以下、実施形態等について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る貯蔵装置1の一例を示す。図1に示すように、貯蔵装置1は、容器(タンク)2、撹拌翼3、分散翼5、検出部6及び制御部7を備える。容器2の内部には、内部空洞8が形成され、容器2は、鉛直方向(矢印Zで示す方向)に沿った中心軸(図示しない)を有する。容器2の内部空洞8には、分散液Lを貯留可能である。分散液Lとしては、例えば、リチウムイオン二次電池等の電池において電極の活物質含有層を形成するスラリーが、挙げられる。活物質含有層を形成するスラリーが分散液Lとなる場合、分散液Lは、炭素材料の粒子を含み得る。
また、貯蔵装置1には、容器2の内部空洞8に分散液Lを供給する供給流路11、及び、内部空洞8から分散液Lを排出する排出流路12等が形成される。内部空洞8へは、前の工程等において調整された分散液Lが、例えば、ポンプを用いた吐出又は圧送等によって、供給流路11を通して供給される(図1の矢印F1)。また、ある一例では、内部空洞8への排出流路12の接続部分に、開閉弁(図示しない)が設けられ、開閉弁を開くことにより、内部空洞8から排出流路12を通して、分散液Lが排出される(図1の矢印F2)。
図2は、撹拌翼3の一例を示す。図2の一例では、撹拌翼3は、シャフト部15、一対の翼部16及び一対の中継部17を備える。シャフト部15及び一対の翼部16のそれぞれは、鉛直方向に沿って延設される。撹拌翼3は、シャフト部15の中心軸が容器2の中心軸と同軸又は略同軸になる状態で、内部空洞8に配置される。そして、内部空洞8では、一対の翼部16のそれぞれは、シャフト部15に対して外周側に配置される。また、図1及び図2等の一例では、一対の翼部16は、シャフト部15の中心軸の軸回り方向(内部空洞8の周方向)について、互いに対して180°又は略180°離れて配置される。一対の中継部17のそれぞれは、シャフト部15の鉛直下側の端と一対の翼部16の対応する一方の鉛直下側の端との間を、接続する。前述のような構成であるため、撹拌翼3では、シャフト部15、一対の翼部16及び一対の中継部17によって、W形状又は略W形状が形成される。
図3は、分散翼5の一例を示す。図3の一例では、分散翼5は、シャフト部21及びベース板部22を備える。シャフト部21は、鉛直方向に沿って延設され、ベース板部22は、シャフト部21の鉛直下側の端に接続される。分散翼5では、シャフト部21の中心軸が、ベース板部22の中心軸と同軸又は略同軸になる。ベース板部22の外周端部には、複数の翼部23が形成される。複数の翼部23は、ベース板部22の周方向に沿って並んで配置され、ベース板部22の外周端部は、複数の翼部23によって、ベース板部22の全周に渡ってギザギザ形状(jagged shape)又は凸凹形状に形成される。また、ベース板部22では、複数の翼部23のそれぞれは、翼部23に対して内周側の部位に対して、折曲がる。分散翼5は、内部空洞8において、撹拌翼3のシャフト部15に対して外周側に配置される。
図4は、容器2の内部空洞8、及び、内部空洞8に配置される撹拌翼3及び分散翼5を鉛直上側から視た状態を示す。図1、図2及び図4等に示すように、撹拌翼3は、内部空洞8において、軸(第1の軸)R1を中心として自転可能である。軸R1は、シャフト部15の中心軸と同軸又は略同軸になるとともに、容器2の中心軸と同軸又は略同軸となる。容器2の内部空洞8に分散液Lが貯留されている状態において撹拌翼3が自転することにより(図1及び図4の矢印A1)、分散液Lが撹拌される。そして、撹拌翼3を用いた分散液Lの撹拌によって、分散液Lにおいて粒子の沈降及び流動性の低下等が抑制される。なお、図4等の一例では、矢印A1の方向に撹拌翼3が自転するが、矢印A1とは反対方向に撹拌翼3が自転してもよい。
図1及び図4等に示すように、内部空洞8では、分散翼5は、軸R1に対して外周側に配置される。また、分散翼5は、内部空洞8において、軸(第2の軸)R2を中心として自転可能である。軸R2は、鉛直方向に沿うとともに、シャフト部21の中心軸と同軸又は略同軸になる。また、軸R2は、内部空洞8において、軸R1に対して外周側に位置する。容器2の内部空洞8に貯留されている分散液Lにおいて、粒子が凝集しても、分散翼5が自転することにより(図1及び図4の矢印B1)、粒子の凝集体に、すなわち、多数の粒子が凝集した凝集粒子に、せん断力が作用する。これにより、凝集した粒子が、再分散される。なお、図4等の一例では、矢印B1の方向に分散翼5が自転するが、矢印B1とは反対方向に分散翼5が自転してもよい。
また、分散翼5は、撹拌翼3の自転動作の中心軸となる軸(第1の軸)R1を中心とし、公転可能である。すなわち、分散翼5は、分散翼5の自転動作の中心軸となる軸R2(第1の軸とは異なる第2の軸)が、撹拌翼3の自転動作の中心軸である軸R1の軸回り方向(撹拌翼3のシャフト部15の周方向)に沿って公転可能である。分散翼5が公転する(すなわち、分散翼5の自転の中心軸R2が撹拌翼3の自転の中心軸R1を中心に回転する)ことにより(図1及び図4の矢印B2)、内部空洞8に貯留されている分散液Lにおいて、凝集した粒子が分散翼5の自転によって再分散される領域が、変化する。また、分散翼5が公転することにより、撹拌翼3が自転していない状態においても、内部空洞8に貯留されている分散液Lが撹拌される。
貯蔵装置1は、駆動源25,26を備える。駆動源25には、モータ等の駆動部材が設けられる。駆動源25において駆動部材を駆動することにより、撹拌翼3は、軸R1を中心として前述のように自転動作する。駆動源26には、モータ等の駆動部材が1つ以上設けられる。駆動源26において駆動部材を駆動することにより、分散翼5は、軸R2を中心として前述のように自転動作するとともに、軸R1を中心として前述のように公転動作する。ある一例では、駆動源26において、1つの駆動部材を駆動することにより、分散翼5を自転動作させる動力、及び、分散翼5を公転動作させる動力の両方が発生する。別のある一例では、駆動源26に、駆動されることにより分散翼5を自転動作させる動力を発生する駆動部材、及び、駆動されることにより分散翼5を公転動作させる動力を発生する駆動部材が、互いに対して別部材として設けられる。
制御部(コントローラ)7は、例えば、1つ以上のコンピュータ等から構成され、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。プロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。制御部7は、プロセッサ等を1つのみ備えてもよく、プロセッサ等を複数備えてもよい。ある一例では、制御部7は、クラウド環境のサーバから構成される。この場合、制御部7は、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリを備える。
制御部7は、駆動源25の駆動を制御することにより、撹拌翼3の自転動作を制御可能であり、撹拌翼3の自転動作を制御する。そして、制御部7は、駆動源26の駆動を制御することにより、分散翼5の自転動作及び公転動作を制御可能であり、分散翼5の自転動作及び公転動作を制御する。また、分散翼5の自転速度(自転の回転数)は、撹拌翼3の自転速度(撹拌翼自転回転数)より、速い(大きい)。そして、分散翼5の公転速度(公転の回転数)は、撹拌翼3の自転速度より、遅い(小さい)。ある一例では、撹拌翼3の自転速度が40rpm以上かつ50rpm以下となる。そして、分散翼5の自転速度が、500rpm以上かつ1000rpm以下となり、分散翼5の公転速度が、10rpm以上かつ20rpm以下となる。なお、撹拌翼3の自転速度(撹拌翼自転回転数)、分散翼5の自転速度(分散翼自転回転数)及び分散翼5の公転速度(分散翼公転回転数)については、それぞれ、予め定めた範囲内で可変としても構わない。この場合であっても、分散翼自転回転数の最小値は、撹拌翼自転回転数の最大値よりも大きく、分散翼公転回転数の最大値は、撹拌翼自転回転数の最小値よりも小さく設定することが好ましい。
検出部6は、内部空洞8に貯留されている分散液Lにおける粒子の分散状態を検出可能であり、分散液Lにおける粒子の分散状態を検出する。図1等の一例では、貯蔵装置1に、容器2の内部空洞8と連通可能な循環流路30が設けられる。循環流路30には、内部空洞8から分散液Lを導入可能であるとともに、循環流路30に導入された分散液Lは、内部空洞8へ排出可能である。図1等の一例では、検出部6は、循環流路30において、分散液Lでの粒子の分散状態を検出する。
図5は、循環流路30及びその近傍の構成の一例を示す。図5の一例では、循環流路30は、導入口31及び排出口32を有し、導入口31及び排出口32のそれぞれにおいて、内部空洞8と連通する。また、循環流路30では、検査領域33において、分散液Lでの粒子の分散状態が、検出部6によって検出される。循環流路30には、ポンプ35が配置され、ポンプ35の作動は、例えば、制御部7によって制御される。ポンプ35を作動することにより、内部空洞8から導入口31を通して、分散液Lが循環流路30へ導入される。そして、循環流路30に導入された分散液Lは、排出口32を通して、内部空洞8へ排出される。このため、ポンプ35を作動することにより、内部空洞8と循環流路30の検査領域33との間で、分散液Lが循環する(図5の矢印F3)。検出部6は、内部空洞8と検査領域33との間で分散液Lが循環している状態で、検査領域33において、分散液Lでの粒子の分散状態を検出する。
図6は、循環流路30及びその近傍の構成の図5とは別の一例を示す。図6の一例でも、図5の一例と同様に、循環流路30は、導入口31及び排出口32を有し、循環流路30にポンプ35が配置される。そして、循環流路30では、検査領域33において、分散液Lでの粒子の分散状態が、検出部6によって検出される。ただし、本一例では、導入口31に開閉弁36が配置され、排出口32に開閉弁37が配置される。導入口31では、開閉弁36が開いた状態でのみ、内部空洞8から循環流路30へ分散液Lを導入可能となり、開閉弁36が閉じた状態では、内部空洞8から循環流路30へ分散液Lが導入されない。また、排出口32では、開閉弁37が開いた状態でのみ、循環流路30から内部空洞8へ分散液Lを排出可能となり、開閉弁37が閉じた状態では、循環流路30から内部空洞8へ分散液Lが排出されない。開閉弁36,37の開閉は、例えば、制御部7によって制御される。
図6の一例では、循環流路30の検査領域33に対して並列に、バイパス流路38が形成される。バイパス流路38の一端は、検査領域33及びポンプ35に対して導入口31に近い側の位置で、循環流路30と連通する。そして、バイパス流路38の他端は、検査領域33及びポンプ35に対して排出口32に近い側の位置で、循環流路30と連通する。検出部6を用いて検出を行う場合は、開閉弁36,37を開いた状態でポンプ35を作動し、内部空洞8と循環流路30の検査領域33との間で分散液Lを循環させる。そして、内部空洞8と検査領域33との間で分散液Lが循環している状態において、ポンプ35を作動させたまま、開閉弁36,37を閉じる。これにより、循環流路30へ内部空洞8から分散液Lが導入されなくなるとともに、内部空洞8から循環流路30へ分散液Lが排出されなくなる。そして、循環流路30の検査領域33とバイパス流路38との間で、分散液Lが循環する(図6の矢印F4)。検出部6は、バイパス流路38と検査領域33との間で分散液Lが循環している状態で、検査領域33において、分散液Lでの粒子の分散状態を検出する。
ある一例では、検出部6は、分散液Lでの粒子の分散状態の検出において、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得する。すなわち、検出部6の検出結果として、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像が、取得される。この場合、図5の一例の構成及び図6の一例の構成のいずれかにおいて、検出部6による検出が行われる。そして、検出部6は、カメラ等の撮影装置を備え、検出部6による検出では、検査領域33において、内部空洞8又はバイパス流路38との間で循環する分散液Lを、撮影する。これにより、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像が取得される。
別のある一例では、検出部6は、分散液Lでの粒子の分散状態の検出において、分散液Lの粘度を計測する。すなわち、検出部6の検出結果として、分散液Lの粘度が、取得される。この場合、図6の一例の構成において、検出部6による検出が行われる。そして、検出部6は、粘度計を備え、検出部6による検出では、検査領域33において、バイパス流路38との間で循環する分散液Lの粘度を計測する。分散液Lにおいて粒子が凝集しているほど、分散液Lの粘度は高く、分散液Lにおいて粒子が分散しているほど、分散液Lの粘度は低い。
別のある一例では、検出部6は、分散液Lでの粒子の分散状態の検出において、パルスNMR(Nuclear Magnetic Resonance)法によって、分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータを計測する。すなわち、検出部6の検出結果として、分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータが、取得される。この場合、図6の一例の構成において、検出部6による検出が行われる。そして、検査領域33において、バイパス流路38との間で循環する分散液Lに、磁場をパルス状に印加する。パルス状に磁場が印加されることにより、分散液Lにおいて、プロトンの核スピンが励起状態になり、検査領域33を通って循環する分散液Lの磁化強度が上昇する。そして、パルス状に磁場が印加されてからある程度の時間が経過すると、分散液Lにおいて、プロトンの核スピンが励起状態から基底状態に戻り、分散液Lの磁化強度が元の大きさまで低下する。
本一例では、検出部6は、プロトンの核スピンが励起状態となった分散液Lについて、核スピンが励起状態から基底状態に戻るまでに要する時間である緩和時間を、分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータとして計測する。この際、検査領域33を通って循環する分散液Lについて、パルス状に磁場を印加した時点からの磁化強度の時間変化を計測する。そして、磁場の印加によって上昇した磁化強度が元の大きさに戻るまでに要した時間を、緩和時間として計測する。分散液Lにおいて粒子が凝集しているほど、前述のようにして計測される緩和時間は長い。そして、分散液Lにおいて粒子が分散しているほど、緩和時間は短い。
なお、分散液Lでの粒子の分散状態の検出では、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得すること、分散液Lの粘度を計測すること、及び、パルスNMR法によって分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータを計測することの1つ以上が行われればよい。したがって、ある一例では、分散液Lでの粒子の分散状態の検出において、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得すること、分散液Lの粘度を計測すること、及び、パルスNMR法によって分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータを計測することの複数が行われてもよい。
制御部7は、分散液Lでの粒子の分散状態についての検出部6による検出結果を取得する。このため、制御部7は、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像、分散液Lの粘度の計測結果、及び、前述した緩和時間の計測結果等の分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータの計測結果のいずれか1つ以上を、検出部6での検出結果として取得する。制御部7は、検出部6での検出結果に基づいて、撹拌翼3の自転動作、及び、分散翼5の自転動作及び公転動作を制御する。
図7は、実施形態において制御部7によって行われる、撹拌翼3及び分散翼5の動作制御における処理の一例を示す。図7の一例の処理は、容器2の内部空洞8に分散液Lが貯留されている状態において、定期的に行われる。また、図7の一例の処理は、撹拌翼3のみが自転し、かつ、分散翼5が自転及び公転していない状態、分散翼5のみが自転及び公転し、かつ、撹拌翼3が自転していない状態、及び、撹拌翼3が自転し、かつ、分散翼5が自転及び公転している状態のいずれかにおいて、開始される。
図7の一例の処理を開始すると、制御部7は、検出部6での検出結果に基づいて、分散液Lでの粒子の分散状態に関連する指標を取得する(S101)。この際、例えば、検出部6での検出において分散液Lの粘度が計測される場合は、計測された分散液Lの粘度が、粒子の分散状態に関連する指標として、取得される。また、前述した緩和時間等の分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータが計測される場合は、計測されたパラメータが、粒子の分散状態に関連する指標として、取得される。また、検出部6での検出によって分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像が取得される場合、制御部7は、粒子の分散状態を示す画像を画像処理する等して、粒子の分散状態に関連する指標を算出する。
そして、制御部7は、取得した指標に基づいて、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かを判定する(S102)。この際、例えば、分散液Lの粘度が指標として取得されている場合は、制御部7は、分散液Lの粘度について閾値を設定する。そして、計測された分散液Lの粘度が閾値以上の場合は、制御部7は、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していると判定する。一方、計測された分散液Lの粘度が閾値より小さい場合は、制御部7は、分散液Lにおいて粒子の凝集状態が基準レベルを超えていないと判定する。
また、前述した緩和時間が指標として取得されている場合は、制御部7は、緩和時間について閾値を設定する。そして、計測された緩和時間が閾値以上の場合は、制御部7は、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していると判定する。一方、計測された緩和時間が閾値より短い場合は、制御部7は、分散液Lにおいて粒子の凝集状態が基準レベルを超えていないと判定する。また、粒子の分散状態を示す画像を画像処理することにより指標が算出される場合は、制御部7は、算出される指標に関して閾値を設定する。そして、制御部7は、算出された指標が閾値以上であるか否か等に基づいて、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かを判定する。
分散液Lにおいて粒子の凝集状態が基準レベルを超えていない場合は(S102-No)、制御部7は、撹拌翼3を自転させる(S103)。この際、分散翼5は、自転させず、かつ、公転させない。一方、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集している場合は(S102-Yes)、制御部7は、撹拌翼3を自転させる(S104)。そして、制御部7は、分散翼5を自転及び公転させる(S105)。したがって、制御部7は、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していることに基づいて、分散翼5を自転及び公転させる。ある一例では、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集している場合において、S104の処理が行われず、制御部7は、撹拌翼3を自転させなくてもよい。この場合も、制御部7は、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していることに基づいて、S105の処理を行い、分散翼5を自転及び公転させる。
図7等の一例では、分散液Lにおいて粒子の凝集状態が基準レベルを超えていない場合、粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かについての次回の判定まで、制御部7は、撹拌翼3を継続して自転させる。また、ある一例では、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集している場合、粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かについての次回の判定まで、制御部7は、分散翼5を継続して自転及び公転させる。別のある一例では、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していると判定した後、制御部7は、規定時間の間だけ、分散翼5を継続して自転及び公転させる。そして、規定時間の終了時点において、制御部7は、分散翼5の自転及び公転を停止させる。そして、規定時間の終了時点から粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かについての次回の判定まで、制御部7は、撹拌翼3を継続して自転させる。この際、分散翼5は、自転せず、かつ、公転しない。
図8は、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像から粒子の分散状態に関連する指標を算出する処理の一例を示す。図8の一例の処理は、図7の一例のS101の処理に相当する。制御部7は、図8の一例の処理を行う前に、検出部6での検出結果として、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得する。また、図8の一例では、分散液Lは、例えば、電池の電極において活物質含有層を形成するスラリー等であり、炭素材料を含む。
図8の一例の処理を開始すると、制御部7は、取得した画像に対して、コントラストを高くする処理、及び、エッジ検出処理等を行うことにより、分散液Lに含まれる粒子を画像から検出する(S111)。この際、微粒子に加えて、多数の微粒子が凝集した凝集粒子も、粒子として検出される。そして、制御部7は、画像における明暗及び色等に基づいて、検出した粒子の中から、炭素材料の粒子を検出する(S112)。この際、例えば、S111で検出した粒子の中で暗さが基準値を超えている粒子が、炭素材料の粒子として検出される。炭素材料の粒子として検出される粒子には、炭素材料の微粒子、及び、多数の炭素材料の微粒子が凝集した凝集粒子が含まれる。
そして、制御部7は、検出した炭素材料の粒子のそれぞれについて、その炭素材料の粒子全体が含まれる状態に長方形を設定する(S113)。長方形のそれぞれは、対応する炭素材料の粒子全体が含まれる範囲で、最小の大きさに設定される。そして、制御部7は、設定した長方形のそれぞれについて、長辺の長さを算出する(S114)。そして、制御部7は、設定した全ての長方形の長辺の長さの平均値を算出する(S115)。図8の一例では、S115で算出された長方形の長辺の長さの平均値が、分散液Lにおける炭素材料の粒子の大きさとして算出される。そして、算出された炭素材料の粒子の大きさが、分散液Lでの粒子の分散状態に関連する指標として、用いられる。したがって、特定の材料についての粒子の大きさが、分散液Lでの粒子の分散状態に関連する指標として算出される。
図9は、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像から炭素材料の粒子の大きさを算出する一例を示す。図9の一例では、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像として、画像I1が取得される。そして、画像I1において、炭素材料の粒子C1,C2,C3が検出される。図9では、粒子C1~C3は、斜線のハッチングで示す。そして、粒子C1全体を含む最小の大きさの長方形として、長方形α1が設定され、粒子C2全体を含む最小の大きさの長方形として、長方形α2が設定され、粒子C3全体を含む最小の大きさの長方形として、長方形α3が設定される。そして、長方形α1の長辺の長さL1、長方形α2の長辺の長さL2、及び、長方形α3の長辺の長さL3の平均値が、分散液Lにおける炭素材料の粒子の大きさとして算出され、分散液Lでの粒子の分散状態に関連する指標として用いられる。
図8の一例のように、分散液Lにおける炭素材料の粒子の大きさが指標として算出される場合、制御部7は、炭素材料の粒子の大きさについて閾値を設定する。そして、算出された炭素材料の粒子の大きさが閾値以上の場合は、制御部7は、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していると判定する。一方、算出された炭素材料の粒子の大きさが閾値より小さい場合は、制御部7は、分散液Lにおいて粒子の凝集状態が基準レベルを超えていないと判定する。図8の一例のように指標が算出される場合も、制御部7は、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していることに基づいて、分散翼5を自転及び公転させる。このため、図8の一例のように指標が算出される場合、制御部7は、算出した粒子の大きさが閾値以上であることに基づいて、すなわち、特定の材料についての粒子の大きさが閾値以上であることに基づいて、分散翼5を自転及び公転させる。
本実施形態では、軸(第1の軸)R1を中心として撹拌翼3が自転可能であり、容器2の内部空洞8において軸R1に対して外周側に、分散翼5が配置される。そして、分散翼5は、撹拌翼3の自転速度より速い自転速度で軸(第2の軸)R2を中心として自転可能であるとともに、撹拌翼3の自転速度より遅い公転速度で軸R1を中心として公転可能である。このため、撹拌翼3の自転によって、分散液Lが撹拌可能になるとともに、分散翼5の自転及び公転によって、分散液Lにおいて凝集した粒子を再分散可能となる。
また、本実施形態では、分散液Lにおける粒子の分散状態を検出部6が検出し、検出部6での検出結果に基づいて、撹拌翼3の自転動作、及び、分散翼5の自転動作及び公転動作が適切に制御される。したがって、分散液Lでの粒子の分散状態に基づいて、撹拌翼3及び分散翼5の動作が制御される。これにより、貯留される分散液Lにおいて、粒子の沈降及び流動性の低下等が適切に抑制可能になるとともに、凝集した粒子を適切に再分散可能となる。したがって、分散液Lにおいて、粒子の適切な分散状態を維持可能となる。
また、本実施形態では、制御部7は、検出部6での検出結果に基づいて、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かを判定する。そして、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集していることに基づいて、分散翼5が自転及び公転される。したがって、凝集した粒子を再分散することが必要な状態において、分散翼5が自転及び公転し、分散液Lにおいて粒子が適切に再分散される。これにより、分散液Lにおいて、粒子が適切な分散状態が維持される。
分散液Lにおいて粒子が適切な分散状態で維持されることにより、分散液Lを用いて製品を製造する場合等に、分散液Lを用いる後の工程での歩留まりが向上する。これにより、分散液Lを用いた製品を、安定して生産可能となる。また、分散液Lにおいて粒子が適切な分散状態で維持されることにより、分散液Lを用いた製品において性能等の低下が、有効に防止される。これにより、分散液Lを用いた製品の品質管理等が、適切に行われる。
また、本実施形態では、分散液Lにおける粒子の分散状態を検出において、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得すること、分散液Lの粘度を計測すること、及び、パルスNMR法によって分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータを計測することのいずれか1つ以上が、行われる。このため、分散液Lにおける粒子の分散状態が、適切に検出される。そして、適切に検出された検出結果に基づいて判定が行われるため、分散液Lにおいて粒子が基準レベルを超えて凝集しているか否かが、適切に判定される。
また、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得する場合は、内部空洞8と循環流路30の検査領域33との間で分散液Lが循環している状態、又は、バイパス流路38と循環流路30の検査領域33との間で分散液Lが循環している状態において、分散液Lの画像が取得される。これにより、分散液Lにおける粒子の分散状態の検出結果として、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像が、適切に取得される。
また、分散液Lにおける粒子の分散状態を示す画像を取得する場合、制御部7は、検出部6が取得した画像を解析することにより、分散液Lにおける粒子の大きさを算出する。これにより、例えば炭素材料の粒子の大きさ等の、特定の材料の粒子の大きさが適切に算出される。したがって、分散液Lでの粒子の分散状態に関連する指標として、特定の材料の粒子の大きさが適切に算出される。そして、制御部7は、適切に算出した粒子の大きさが閾値以上であることに基づいて、分散翼を自転及び公転させる。したがって、凝集した粒子を再分散することが必要な状態において、分散翼5が自転及び公転し、分散液Lにおいて粒子が適切に再分散される。
また、分散液Lの粘度を計測する場合、及び、パルスNMR法によって分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータを計測する場合のそれぞれでは、バイパス流路38と循環流路30の検査領域33との間で分散液Lが循環している状態において、粘度及び分子の運動性を示すパラメータのそれぞれが計測される。これにより、分散液Lにおける粒子の分散状態の検出結果として、分散液Lの粘度、及び、分散液Lにおける分子の運動性を示すパラメータのそれぞれが、適切に取得される。
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、撹拌翼は、容器の内部空洞において第1の軸を中心として自転可能である。分散翼は、内部空洞において第1の軸とは異なる第2の軸を中心として撹拌翼の自転の回転数より大きな回転数で自転可能であるとともに、第2の軸が第1の軸を中心に撹拌翼の自転の回転数より小さい回転数で公転可能である。検出部は、貯留されている分散液における粒子の分散状態を検出可能であり、制御部は、検出結果に基づいて、撹拌翼及び分散翼の動作を制御可能である。これにより、貯留される分散液において、粒子の沈降及び流動性の低下を抑制するとともに、粒子の適切な分散状態を維持する貯蔵装置及び貯蔵方法を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。