<精製イオン液体の製造方法>
本発明の一形態は、イミダゾリウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、アンモニウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体および環状アミジニウム系イオン液体からなる群から選択される少なくとも1種のイオン液体を、下記(1)~(3)のうちの少なくとも2つを満たす条件下で無機吸着剤と接触させることにより精製することを含む、精製イオン液体の製造方法である;
(1)前記無機吸着剤の量は、前記イオン液体100質量部に対して0.5~20質量部である;
(2)接触させる際の温度は、25~120℃である;
(3)接触させる時間は、10分間以上である。
(イオン液体)
本明細書において、「イオン液体」とは、100℃以下で液体(融点が100℃以下)であり、かつ、カチオン部とアニオン部とからなるイオン性化合物(イオン結合性塩)を意味する。
本発明では、イオン液体として、イミダゾリウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、アンモニウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体および環状アミジニウム系イオン液体からなる群から選択される少なくとも1種のイオン液体を用いる。これらのイオン液体は、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよび環状アミジニウムカチオンをそれぞれ有するイオン液体である。そして、これらのイオン液体はいずれも、セルロースを溶解することが知られているものであり、後述するセルロース溶解液の製造方法において用いられうる。
イミダゾリウム系イオン液体としては、例えば、下記化学式(1)で表されるものが挙げられる。ピリジニウム系イオン液体としては、例えば、下記化学式(2)で表されるものが挙げられる。アンモニウム系イオン液体としては、例えば、下記化学式(3)で表されるものが挙げられる。ホスホニウム系イオン液体としては、例えば、下記化学式(4)で表されるものが挙げられる。環状アミジニウム系イオン液体としては、例えば、下記化学式(5)で表されるものが挙げられる。
化学式(1)、(2)、(3)および(4)中、R1~R19はそれぞれ独立して、水素原子、置換されているかもしくは非置換の炭素数1~30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数2~30の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換されているかもしくは非置換の炭素数2~30の直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基、または置換されているかもしくは非置換の炭素数3~6のシクロアルキル基である。化学式(5)中、R20は、置換されているかもしくは非置換の炭素数1~3の直鎖状のアルキレン基である。また、X-はそれぞれ独立して、ハロゲンイオン、ホスフェートイオン、アルキルホスフェートイオン、水酸化物イオン、ニトレートイオン、スルフェートイオン、ビスルフェートイオン、スルホネートイオン、トシレートイオン、パークロレートイオン、アルミネートイオン、ジアルミネートイオン、ボレートイオン、アミドイオン、ジシアンアミドイオン、スクシネートイオン、チオシアネートイオンまたはカルボキシレートイオンである。
ここで、化学式(1)、(2)、(3)および(4)中の、炭素数1~30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-トリアコンタニル基が挙げられる。
炭素数2~30の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基、トリアコンテニル基が挙げられる。
炭素数2~30の直鎖状もしくは分岐状のアルキニル基としては、例えば、2-ブチニル基、3-ペンチニル基、ヘキシニル基が挙げられる。
炭素数3~6のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、エイコシニル基、トリアコンチニル基が挙げられる。
また、化学式(5)中の、炭素数1~3の直鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基が挙げられる。
また、上述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基またはアルキレン基が置換されている場合にこれらの基を置換する置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、p-トリルオキシ基などのアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基などのアシル基、メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基などのアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基などのアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基などのジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基などの他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基などが挙げられる。なお、場合によって存在する置換基は、置換される基と同じになることはない。例えば、アルキル基がアルキル基で置換されることはない。
また、化学式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)中、X-はアニオン部を表し、それぞれ独立して、ハロゲンイオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン(なかでも好ましくは、塩化物イオン))、ホスフェートイオン、アルキルホスフェートイオン(例えば、ジメチルホスフェートイオン、ジエチルホスフェートイオンなど)、水酸化物イオン、ニトレートイオン、スルフェートイオン、ビスルフェートイオン、スルホネートイオン、トシレートイオン、パークロレートイオン、アルミネートイオン、ジアルミネートイオン、ボレートイオン、アミドイオン、ジシアンアミドイオン、スクシネートイオン、チオシアネートイオンまたはカルボキシレートイオン(例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなど)である。
化学式(1)で表されるイミダゾリウム系イオン液体のカチオン部(イミダゾリウムイオン)の具体的な例としては、例えば、イミダゾリウムイオン、N-イソブチルイミダゾリウムイオン、2-メチルイミダゾリウムイオン、2-エチルイミダゾリウムイオン、2-n-プロピルイミダゾリウムイオン、2-イソプロピルイミダゾリウムイオン、2-n-ブチルイミダゾリウムイオン、4-メチルイミダゾリウムイオン、4-エチルイミダゾリウムイオン、4,5-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-イソブチル-2-メチルイミダゾリウムイオン、1-イソブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、2,4,5-トリメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられる。入手容易性の観点から、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-イソブチル-2-メチルイミダゾリウムイオン、1-イソブチル-2,3-メチルイミダゾリウムイオンが好ましく、セルロースに対する溶解性の観点からは1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオンまたは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオンが特に好ましい。
化学式(2)で表されるピリジニウム系イオン液体のカチオン部(ピリジニウムイオン)の具体的な例としては、例えば、ピリジニウムイオン、1-n-ブチル-3-メチルピリジニウムイオン、2-イソブチルピリジニウムイオン、3-イソブチルピリジニウムイオン、3-メチルピリジニウムイオン、4-メチルピリジニウムイオン、2-エチルピリジニウムイオン、3-エチルピリジニウムイオン、4-エチルピリジニウムイオン、4-プロピルピリジニウムイオン、2-n-ヘキシルピリジニウムイオン、3-n-ヘキシルピリジニウムイオン、3,5-ジメチルピリジニウムイオン、3,5-ジエチルピリジニウムイオン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジニウムイオン、2-ビニルピリジニウムイオン、4-ビニルピリジニウムイオン、3-ヒドロキシメチルピリジニウムイオン、4-ヒドロキシメチルピリジニウムイオン、2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジニウムイオン、2-エテニルピリジニウムイオン、2-エチニルピリジニウムイオン、2-メチル-5-エチルピリジニウムイオン、4-エチル-2-メチルピリジニウムイオン、5-ブチル-2-メチルピリジニウムイオン、2-エチル-6-イソプロピルピリジニウムイオン、3-エチル-4-メチルピリジニウムイオン、2-メチル-5-ビニルピリジニウムイオン、2-メチル-3-エチルピリジニウムイオン、2-メチル-5-(イソ)プロピルピリジニウムイオン、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)ピリジニウムイオンなどが挙げられる。なかでも、セルロースに対する溶解性の観点からは1-n-ブチル-3-メチルピリジニウムイオンが特に好ましい。
化学式(3)で表されるアンモニウム系イオン液体のカチオン部(アンモニウムイオン)の具体的な例としては、例えば、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、モノプロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、モノブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、モノペンチルアンモニウムイオン、ジペンチルアンモニウムイオン、トリペンチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、モノヘキシルアンモニウムイオン、ジヘキシルアンモニウムイオン、メチル(エチル)アンモニウムイオン、メチル(プロピル)アンモニウムイオン、メチル(ブチル)アンモニウムイオン、メチル(ペンチル)アンモニウムイオン、メチル(ヘキシル)アンモニウムイオン、エチル(プロピル)アンモニウムイオン、エチル(ブチル)アンモニウムイオン、エチル(ペンチル)アンモニウムイオン、エチル(ヘキシル)アンモニウムイオン、ジメチル(エチル)アンモニウムイオン、ジメチル(プロピル)アンモニウムイオン、ジメチル(ブチル)アンモニウムイオン、トリメチル(エチル)アンモニウムイオン、トリメチル(プロピル)アンモニウムイオン、トリメチル(ブチル)アンモニウムイオン、トリメチル(ペンチル)アンモニウムイオン、トリメチル(ヘキシル)アンモニウムイオン、モノビニルアンモニウムイオン、ジビニルアンモニウムイオン、トリビニルアンモニウムイオン、モノプロペニルアンモニウムイオン、ジプロペニルアンモニウムイオン、トリプロペニルアンモニウムイオン、モノブテニルアンモニウムイオン、ジブテニルアンモニウムイオン、トリブテニルアンモニウムイオン、モノペンテニルアンモニウムイオン、ジペンテニルアンモニウムイオン、トリペンテニルアンモニウムイオン、モノヘキセニルアンモニウムイオン、ジヘキセニルアンモニウムイオン、ジメチル(ビニル)アンモニウムイオン、ジメチル(プロペニル)アンモニウムイオン、ジメチル(ブテニル)アンモニウムイオン、ジメチル(ペンテニル)アンモニウムイオン、ジメチル(ヘキセニル)アンモニウムイオン、ビス(2-メトキシエチル)モノエチルアンモニウムイオン、トリメチル(ビニル)アンモニウムイオン、ビス(2-メトキシエチル)モノメチルアンモニウムイオン、モノシクロペンチルアンモニウムイオン、ジシクロペンチルアンモニウムイオン、トリシクロペンチルアンモニウムイオン、モノシクロヘキシルアンモニウムイオン、ジシクロヘキシルアンモニウムイオン、ジメチル(シクロペンチル)アンモニウムイオン、ジメチル(シクロヘキシル)アンモニウムイオン、(メチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、ビス(メチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、(ジメチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、ビス(ジメチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、(エチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、ビス(エチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、(メチルエチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、ビス(メチルエチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、(ジエチルシクロペンチル)アンモニウムイオン、(メチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、ビス(メチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、(ジメチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、ビス(ジメチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、(エチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、ビス(エチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、(メチルエチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、(ジエチルシクロヘキシル)アンモニウムイオン、モノメタノールアンモニウムイオン、ジメタノールアンモニウムイオン、トリメタノールアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、モノ(n-プロパノール)アンモニウムイオン、ジ(n-プロパノール)アンモニウムイオン、トリ(n-プロパノール)アンモニウムイオン、モノイソプロパノールアンモニウムイオン、ジイソプロパノールアンモニウムイオン、トリイソプロパノールアンモニウムイオン、モノブタノールアンモニウムイオン、ジブタノールアンモニウムイオン、トリブタノールアンモニウムイオン、モノペンタノールアンモニウムイオン、ジペンタノールアンモニウムイオン、トリペンタノールアンモニウムイオン、モノヘキサノールアンモニウムイオン、ジヘキサノールアンモニウムイオン、モノメチルモノエタノールアンモニウムイオン、モノエチルモノエタノールアンモニウムイオン、モノエチルモノプロパノールアンモニウムイオン、モノエチルモノブタノールアンモニウムイオン、モノエチルモノペンタノールアンモニウムイオン、モノプロピルモノエタノールアンモニウムイオン、モノプロピルモノプロパノールアンモニウムイオン、モノプロピルモノブタノールアンモニウムイオン、モノプロピルモノペンタノールアンモニウムイオン、モノブチルモノエタノールアンモニウムイオン、モノブチルモノプロパノールアンモニウムイオン、モノブチルモノブタノールアンモニウムイオン、モノブチルモノペンタノールアンモニウムイオン、ジメチルモノエタノールアンモニウムイオン、ジエチルモノエタノールアンモニウムイオン、ジエチルモノプロパノールアンモニウムイオン、ジエチルモノブタノールアンモニウムイオン、ジエチルモノペンタノールアンモニウムイオン、ジプロピルモノエタノールアンモニウムイオン、ジプロピルモノプロパノールアンモニウムイオン、ジプロピルモノブタノールアンモニウムイオン、ジプロピルモノペンタノールアンモニウムイオン、ジブチルモノエタノールアンモニウムイオン、ジブチルモノプロパノールアンモニウムイオン、ジブチルモノブタノールアンモニウムイオン、ジブチルモノペンタノールアンモニウムイオン、モノメチルジエタノールアンモニウムイオン、モノメチルジプロパノールアンモニウムイオン、モノメチルジブタノールアンモニウムイオン、モノメチルジペンタノールアンモニウムイオン、モノエチルジエタノールアンモニウムイオン、モノエチルジプロパノールアンモニウムイオン、モノエチルジブタノールアンモニウムイオン、モノエチルジペンタノールアンモニウムイオン、モノプロピルジエタノールアンモニウムイオン、モノプロピルジプロパノールアンモニウムイオン、モノプロピルジブタノールアンモニウムイオン、モノプロピルジペンタノールアンモニウムイオン、モノブチルジエタノールアンモニウムイオン、モノブチルジプロパノールアンモニウムイオン、モノブチルジブタノールアンモニウムイオン、モノブチルジペンタノールアンモニウムイオン、モノシクロヘキシルモノエタノールアンモニウムイオン、モノシクロヘキシルジエタノールアンモニウムイオン、モノシクロヘキシルモノプロパノールアンモニウムイオン、モノシクロヘキシルジプロパノールアンモニウムイオン、モノ(β-アミノエチル)モノエタノールアンモニウムイオン、モノtert-ブチルモノエタノールアンモニウムイオン、モノtert-ブチルジエタノールアンモニウムイオン、モノ(β-アミノエチル)イソプロパノールアンモニウムイオン、ジエチルモノイソプロパノールアンモニウムイオン、トリメチルモノエタノールアンモニウムイオン(コリンイオン)、トリエチルモノエタノールアンモニウムイオン、トリエチルモノプロパノールアンモニウムイオン、トリエチルモノブタノールアンモニウムイオン、トリエチルモノペンタノールアンモニウムイオン、トリプロピルモノエタノールアンモニウムイオン、トリプロピルモノプロパノールアンモニウムイオン、トリプロピルモノブタノールアンモニウムイオン、トリプロピルモノペンタノールアンモニウムイオン、ジエチルモノメチルエタノールアンモニウムイオン、ビス(2-メトキシエチル)モノエチルモノメチルアンモニウムイオン、モノエチルモノメチルジエタノールアンモニウムイオン、ジエチルモノメチルモノエタノールアンモニウムイオンが挙げられる。なかでも、セルロースに対する溶解性の観点からはトリメチルモノエタノールアンモニウムイオン(コリンイオン)が特に好ましい。
化学式(4)で表されるホスホニウム系イオン液体のカチオン部(ホスホニウムイオン)の具体的な例としては、例えば、テトラメチルホスホニウムイオン、エチルトリメチルホスホニウムイオン、ジエチルジメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、メチルトリプロピルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、トリメチルプロピルホスホニウムイオン、ジアリルジメチルホスホニウムイオン、テトラn-プロピルホスホニウムイオン、テトラn-ブチルホスホニウムイオンが挙げられる。なかでも、セルロースに対する溶解性の観点からはテトラn-ブチルホスホニウムイオンが特に好ましい。
化学式(5)で表される環状アミジニウム系イオン液体のカチオン部(環状アミジニウムイオン)の具体的な例としては、例えば、ジアザビシクロウンデセニウムイオン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-eneの1位の窒素原子がプロトン化された第四級アンモニウムカチオン)、ジアザビシクロノネニウムイオン(1,5-diazabicyclo[4.3.0]non-5-eneの1位の窒素原子がプロトン化された第四級アンモニウムカチオン)が挙げられる。
本発明の好ましい一実施形態において、イオン液体は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(BmimCl)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(EmimAc)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート(EmimDEP)、1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロライド、コリン酢酸塩、テトラブチルホスホニウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1種である。本発明のより好ましい一実施形態において、イオン液体は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(BmimCl)である。これらのイオン液体は、セルロースの溶解性の観点から特に好ましく用いられうる。
(無機吸着剤)
本形態に係る精製イオン液体の製造方法では、上述したイオン液体を無機吸着剤と接触させることにより精製する。ここで、本明細書において、「吸着剤」とは、当該吸着剤との接触によって精製されるイオン液体に含まれるイオン液体の構成成分(すなわち、カチオン部およびアニオン部)以外の成分(夾雑物)を吸着し、その後のイオン液体からの分離操作によってイオン液体から当該夾雑物を除去することができるものを広く意味する。
ここで、無機吸着剤とは、金属を吸着する性質を有する無機物質である。無機吸着剤の具体例としては、例えば、ハイドロタルサイト、ケイ酸アルミニウム、活性炭、活性アルミナ、ゼオライト、層状粘度鉱物、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、石灰などが挙げられる。ここで、本明細書における「ハイドロタルサイト」は、一般式:[(M1)y-x(M2)x(OH)2y(A)x/k・zH2O]で表されるハイドロタルサイト類化合物を指す。式中、M1は、金属の2価イオンを表し、M2は、金属の3価イオンを表す。Aは、層間陰イオンを表し、kは、Aの価数を表す。x、yおよびzはそれぞれ自然数であり、x<yであり、0≦z<yである条件を満たす。M1で表される金属の2価イオンとしては、例えば、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、CoおよびCuからなる群から選ばれる1つ、または任意の割合で選ばれる複数の金属の2価イオンが挙げられる。M2で表される金属の3価イオンとしては、例えば、Al、FeおよびMnからなる群から選ばれる1つ、または任意の割合で選ばれる複数の金属の3価イオンが挙げられる。Aで表される層間陰イオンとしては、例えば、炭酸イオン、硫酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、および酢酸イオンからなる群から選ばれる1つ、または任意の割合で選ばれる複数の陰イオンが挙げられる。
このような無機吸着剤としては、例えば、キョーワード(登録商標)500(ハイドロタルサイト;Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、キョーワード(登録商標)1000(ハイドロタルサイト;Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O))およびキョーワード(登録商標)700(ケイ酸アルミニウム;Al2O3・9SiO2・mH2O)(いずれも、協和化学工業株式会社製)、ならびにSTABIACE(登録商標)HT-6(ハイドロタルサイト;Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、STABIACE(登録商標)HT-P(NC)(ハイドロタルサイト;Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O)、STABIACE(登録商標)HT-1(NC)(ハイドロタルサイト;Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O)、STABIACE(登録商標)HT-7(NC)(ハイドロタルサイト;Mg3.5Zn0.5Al2(OH)12CO3・3H2O)(いずれも、堺化学工業株式会社製)、MA-OH(Mg4Al2(OH)12A・mH2O(式中、Aは、CO3以外のアニオン(例えば、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン)を表す))およびMF-500(Mg4Fe2(OH)12CO3・mH2O)(いずれも、共栄社化学株式会社製)などが挙げられる。
一形態によると、無機吸着剤は、ハイドロタルサイトを含むことが好ましく、ハイドロタルサイトであることがより好ましい。イオン液体を特定の条件下でハイドロタルサイトと接触させることで、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量が低下することをよりいっそう防止できる。ハイドロタルサイトは、特定の条件下での精製処理においてより多くの種類および/または量の夾雑物を除去しうるためであると考えられる。
ハイドロタルサイトの中でも、キョーワード(登録商標)500(Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、STABIACE(登録商標)HT-6(Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、STABIACE(登録商標)HT-P(NC)(Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O)、STABIACE(登録商標)HT-1(NC)(Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O)、STABIACE(登録商標)HT-7(NC)(Mg3.5Zn0.5Al2(OH)12CO3・3H2O)、MA-OH(Mg4Al2(OH)12A・mH2O(式中、Aは、CO3以外のアニオン(例えば、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン)を表す)、共栄社化学株式会社製)およびMF-500(Mg4Fe2(OH)12CO3・mH2O、共栄社化学株式会社製)が好ましく、キョーワード(登録商標)500(Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、STABIACE(登録商標)HT-6(Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、STABIACE(登録商標)HT-P(NC)(Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O)、MA-OH(Mg4Al2(OH)12A・mH2O(式中、Aは、CO3以外のアニオン(例えば、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン)を表す)、共栄社化学株式会社製)およびMF-500(Mg4Fe2(OH)12CO3・mH2O、共栄社化学株式会社製)がより好ましく、キョーワード(登録商標)500(Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)、STABIACE(登録商標)HT-6(Mg6Al2(OH)16CO3・mH2O)およびSTABIACE(登録商標)HT-P(NC)(Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O)がさらに好ましい。イオン液体を特定の条件下でこれらのハイドロタルサイトと接触させることで、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量低下を防止するという本発明の効果が顕著に奏される。
本形態によると、無機吸着剤がハイドロタルサイトである場合において、ハイドロタルサイトに含まれるM2
2O3に対するM1Oのモル比(M1O/M2
2O3、M1は金属の2価イオンを表し、M2は金属の3価イオンを表す)は、3.0以上であることが好ましく、3.5以上6.0以下であることがより好ましく、4.0以上6.0以下であることがさらに好ましく、4.5以上6.0以下であることが特に好ましい。M1O/M2
2O3のモル比が上記の好ましい範囲内であるハイドロタルサイトとイオン液体とを接触させることで、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量低下を防止するという本発明の効果が顕著に奏される。
なお、本形態の精製イオン液体の製造方法において、イオン液体を特定の条件下で無機吸着剤と接触させることにより精製することを含む限りにおいては、イオン液体を無機吸着剤以外の他の吸着剤(例えば、イオン交換物質等)と接触させることにより精製することをさらに含んでも構わない。ただし、製造コストの低減や、製造工程の簡便化の観点からは、本形態の製造方法は、イオン液体を他の吸着剤と接触させることにより精製することを含まないことが好ましい。
本発明の一形態に係る精製イオン液体の製造方法においては、上述したイオン液体と無機吸着剤とを下記(1)~(3)のうちの少なくとも2つを満たす条件下で接触させることにより精製する点にも特徴を有する;
(1)前記無機吸着剤の量は、前記イオン液体100質量部に対して0.5~20質量部である(以下、「条件(1)」とも称する);
(2)接触させる際の温度は、25~120℃である(以下、「条件(2)」とも称する);
(3)接触させる時間は、10分間以上である(以下、「条件(3)」とも称する)。
なお、本明細書において、「イオン液体を無機吸着剤と接触させる処理」を、単に「無機吸着剤処理」とも称する。
本発明においては、上記(1)~(3)のうちの少なくとも2つを満たす条件下で無機吸着剤処理を行うことが必須であるが、上記(1)~(3)のうち3つすべてを満たす条件下で無機吸着剤処理を行うことにより本発明の効果がよりいっそう顕著に奏されるため、好ましい。一方で、(1)~(3)のうちの1つのみを満たす条件下で無機吸着剤を行うと、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下を充分に防止することができない場合がある。各条件についてより詳細に説明する。
条件(1)は、イオン液体を無機吸着剤と接触させる際の無機吸着剤の量に関する。無機吸着剤の量は、イオン液体100質量部に対して、0.5~20質量部であり、好ましくは1~15質量部であり、より好ましくは2~10質量部であり、さらに好ましくは2~5質量%である。無機吸着剤の量を上記の好ましい範囲内とすることにより、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下をよりいっそう抑制できる。なお、無機吸着剤を2種以上の混合物の形態で使用する場合は、上記無機吸着剤の量は、各無機吸着剤の量の合計量を指す。
条件(2)は、イオン液体を無機吸着剤と接触させる際の温度(以下、「接触温度」とも称する)に関する。接触温度は、25~120℃であり、好ましくは25~100℃であり、より好ましくは30~90℃、さらに好ましくは40~80℃である。接触温度を上記の好ましい範囲内とすることにより、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下をよりいっそう抑制できる。なお、本明細書において、接触温度は、無機吸着剤処理中のイオン液体および無機吸着剤を含む混合物の温度を指す。
条件(3)は、イオン液体を無機吸着剤と接触させる時間(以下、「接触時間」とも称する)に関する。接触時間は、10分間以上であり、好ましくは20分間~10時間であり、より好ましくは0.5~3時間である。接触時間を上記の好ましい範囲内とすることにより、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下をよりいっそう抑制できる。なお、本明細書において、接触時間は、イオン液体と無機吸着剤とを接触させた(イオン液体に無機吸着剤を添加した)時点から、イオン液体と無機吸着剤とを分離した(例えば、ろ過することにより無機吸着剤を除去した)時点までを指す。
本形態に係る精製イオン液体の製造方法によれば、上述した無機吸着剤を用いて特定の条件下でイオン液体を処理することにより、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下を防止しうる、すなわち、経時的な保存安定性および熱安定性に優れる精製イオン液体を製造することができる。本形態に係る構成とすることにより上述したような効果が奏されるメカニズムは完全には明らかとはなっていないが、以下のメカニズムが推定されている。すなわち、無機吸着剤を用いてイオン液体を特定の条件下で処理することで、処理前のイオン液体に含まれていた何らかの夾雑物(イオン液体以外の塩やイオン液体の製造時に用いられた酸またはアルカリなど)やその分解物(イオン液体以外の塩が解離して新たに生じる遊離酸など)が無機吸着剤によって吸着される。そして、これらの夾雑物(分解物)を吸着した無機吸着剤はイオン液体との分離操作によってイオン液体から除去される。このように、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下をもたらすような成分が無機吸着剤との接触によって除去される結果、イオン液体を長時間にわたって保存した後にセルロースの溶解処理に供したり、セルロースの溶解処理の際に比較的高温に加熱したりした場合であっても、得られるセルロース溶解液に含まれるセルロースの分子量の低下が防止されるものと考えられる。ただし、このメカニズムはあくまでも推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすことはない。
本形態に係る精製イオン液体の製造方法において、無機吸着剤処理は、イオン液体および無機吸着剤のみからなる混合物の形態で実施してもよいが、無機吸着剤処理の操作を容易にする観点から適量の溶媒(例えば、水)の存在下において無機吸着剤処理を実施しても構わない。
なお、本形態に係る精製イオン液体の製造方法において、無機吸着剤以外の他の吸着剤(有機吸着剤(例えば、イオン交換樹脂)を併用しても構わないが、本発明の効果をより効果的に発揮させる観点から、他の吸着剤を用いた吸着剤処理を含まないことが好ましい。例えば、イオン交換樹脂を用いた吸着剤処理を行うと、イオン交換樹脂中に元々存在するイオンが系内に排出され得る。これら排出されたイオンは、イオン液体やセルロースが分解する原因となるおそれがあるためである。
<精製イオン液体の用途>
上述したように、本発明の一形態に係る製造方法によって製造された精製イオン液体は、経時的な保存安定性および熱安定性に優れることから、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下を防止することができる。したがって、上記精製イオン液体は、セルロースの溶解処理の際の溶媒として好適に用いられる。このようなセルロースの溶解処理により、セルロース溶解液が得られる。そして、このセルロース溶解液を紡糸液として用いて溶液紡糸を行うことで、再生セルロース繊維が製造される。このようにして製造された再生セルロース繊維は、例えばタイヤコード等の有機繊維コードに用いられうる。したがって、本発明の第2の形態によれば、上述した本発明の第1の形態に係る製造方法によって得られた精製イオン液体にセルロースを溶解させることを含む、セルロース溶解液の製造方法が提供される。また、本発明の第3の形態によれば、上述した本発明の第2の形態に係る製造方法によって得られたセルロース溶解液を紡糸液として用いて溶液紡糸を行うことを含む、再生セルロース繊維の製造方法が提供される。さらに、本発明の第4の形態によれば、上述した本発明の第3の形態に係る製造方法によって得られた再生セルロース繊維を含む、繊維組成物が提供される。さらに、本発明の第5の形態によれば、上述した本発明の第4の形態に係る繊維組成物を含む、有機繊維コードが提供される。以下、これらの形態について、説明する。
<セルロース溶解液の製造方法>
本発明の第2の形態によれば、上述した本発明の第1の形態に係る製造方法によって得られた精製イオン液体にセルロースを溶解させることを含む、セルロース溶解液の製造方法が提供される。
本形態に係るセルロース溶解液の製造方法において、原料として用いられるセルロースは、植物の細胞壁の主成分である天然高分子である。セルロースの種類について、特に制限はないが、例えば、コットン、コットンリンター、麻、竹、アバカ、バクテリアセルロース等の天然セルロースやそれらを精製した木材パルプおよび非木材パルプ、紙等が用いられうる。レーヨンやキュプラ、リヨセル等の再生セルロース、また、それらからなる紙や衣服を再利用して用いてもよい。原料として用いるセルロース中のセルロース含有量が高いと、油脂分やリグニン、ヘミセルロース等の夾雑物が少なく、粉砕時の加工性や溶解性、紡糸性を阻害しない。また、原料として用いるセルロースの平均重合度は、500以上が好ましく、溶解性から5000以下が好ましい。この範囲であれば、紡糸された再生セルロース繊維が加工に適した引張強度および弾性率を有することができる。
本形態において、上述した精製イオン液体にセルロースを溶解させる方法は特に限定されず、例えば、精製イオン液体とセルロースとを接触させ、必要に応じて加熱や撹拌を行うことにより、セルロース溶解液を製造することができる。また、場合によっては、精製イオン液体を含む液体と、セルロースとを接触させ、必要に応じて加熱や撹拌を行うことによってセルロース溶解液を製造してもよい。
精製イオン液体を含む液体を用いる場合、精製イオン液体以外の液体成分として具体的には、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、精製イオン液体以外のものであれば特に限定されるものではなく、精製イオン液体との相溶性や、粘性等を考慮して適宜選択することができる。なかでも、有機溶媒としては、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、ニトリル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族アミン系溶媒およびケトン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
アミド系溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1-ビニル-2-ピロリドン等が挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。芳香族アミン系溶媒としては、ピリジン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらの有機溶媒を用いる場合、精製イオン液体と有機溶媒との配合質量比は、6:1~0.1:1であることが好ましく、5:1~0.2:1であることがより好ましく、4:1~0.5:1であることがさらに好ましい。上記範囲とすることにより、セルロース原料を膨潤しやすい溶媒とすることができる。また、有機溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、セルロース100質量部に対して、100~3000質量部であることが好ましく、100~2500質量部であることが好ましく、150~1000質量部であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、適度な粘度のセルロース溶解液とすることができる。上記のような有機溶媒を精製イオン液体と併せて用いることにより、セルロース原料の溶解性がより向上するため好ましい。ただし、イオン液体の回収、再利用の観点からは、精製イオン液体を含む液体ではなく、精製イオン液体のみを用いてセルロースを処理することも好ましい形態である。
精製イオン液体(またはこれを含む液体)と、セルロースとを接触させる方法についても特に制限はなく、例えば、精製イオン液体(またはこれを含む液体)にセルロースを添加してもよいし、セルロースに精製イオン液体(またはこれを含む液体)を添加してもよい。
溶解の際に加熱を行う場合、加熱温度は、30~200℃であることが好ましく、70~180℃であることがより好ましい。加熱を行うことにより、セルロースの溶解性がさらに向上するため好ましい。また、撹拌の方法も特に制限されず、撹拌羽根、撹拌棒、ローター、スクリュー等を用いて例えば溶解槽、密封ミキサーや押し出し機で精製イオン液体(またはこれを含む液体)とセルロースとを機械的に撹拌してもよく、精製イオン液体(またはこれを含む液体)とセルロース原料とを密閉容器に封入し、マイクロウェーブで溶解してもよい。撹拌の時間は特に制限されず、セルロースが好適に溶解されるまで行うことが好ましい。
また、精製イオン液体を含む液体が、精製イオン液体に加えて有機溶媒を含む場合、有機溶媒と精製イオン液体とは、予め混合しておいてもよく、精製イオン液体とセルロースとを混合した後に、有機溶媒を添加して溶解してもよく、有機溶媒とセルロースとを混合した後に、精製イオン液体を添加して溶解してもよい。
上記のようにして得られた、イオン液体を用いたセルロース溶解液は、必要に応じてセルロース微結晶および変性セルロース微結晶、カーボンナノチューブ、クレイ、シリカ等の充填剤や界面活性剤、老化防止剤、分散剤、粘度調製剤、表面調製剤、可塑剤、pH調整剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤等の添加物を含んでもよい。
上記のようにして得られた、精製イオン液体を用いたセルロース溶解液に対しては、必要に応じてろ過処理や脱泡処理を施してもよい。この際、溶液の粘度を下げるために、上記セルロース溶解液を30~180℃に加熱して行うことが好ましい。
<再生セルロース繊維の製造方法>
本発明の第3の形態によれば、上述した本発明の第2の形態に係る製造方法によって得られたセルロース溶解液を紡糸液として用いて溶液紡糸を行うことを含む、再生セルロース繊維の製造方法が提供される。
本形態に係る再生セルロース繊維の製造方法においては、上記のようにして得られたセルロース溶解液を、当該セルロース溶解液以外の液体である凝固液に接触させることによりセルロースを凝固させ、乾湿式紡糸、湿式紡糸等の公知の紡糸法により再生セルロース繊維を紡糸することができる。ここで、乾湿式紡糸とは、一般的に紡糸口金から一旦気体中に吐出されたセルロース溶解液を、凝固液を保持する凝固槽中に導入してセルロースを紡糸する方法である。また、湿式紡糸とは、凝固槽中に配した紡糸口金から吐出されたセルロースを紡糸する方法である。凝固槽とは、セルロースを凝固させるための凝固液が保持された浴槽を意味する。かかる凝固液としては、水および極性溶媒が単独または組み合わせて用いられ、さらに必要に応じて本発明の第1の形態において説明したイオン液体が含まれてもよい。このイオン液体は、吸着剤で処理されたものであってもよいし、吸着剤で処理されていないものであってもよい。
極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸、1-ヘプタノール、1-ブタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、メタノール等が挙げられる。
なお、紡糸後の凝固槽中の凝固液から、蒸留、膜分離等の公知の分離法によりイオン液体を回収してリサイクルすることができる。ここで、蒸留の具体的な方法としては、薄膜蒸留法、減圧蒸留法、常圧蒸留法、分子蒸留法等が挙げられる。また、膜分離の具体的な方法としては、限外濾過法、逆浸透膜法等が挙げられる。
<繊維組成物および有機繊維コード>
本発明の第4の形態によれば、上述した本発明の第3の形態に係る製造方法によって得られた再生セルロース繊維を含む、繊維組成物が提供される。また、本発明の第5の形態によれば、上述した本発明の第4の形態に係る繊維組成物を含む、有機繊維コードが提供される。
本形態に係る繊維組成物は、上述した本発明の第3の形態に係る製造方法によって得られた再生セルロース繊維を含むものである。当該繊維組成物は、当該再生セルロース繊維のみを含むものであってもよいし、他の繊維をさらに含むものであってもよい。他の繊維としては、例えば、有機繊維が挙げられる。有機繊維の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリビニルアルコール、レーヨンおよびアラミドからなる群から選択される1種または2種以上が汎用性、耐久性、工業生産性の観点からは好ましい。
本形態に係る繊維組成物は、好ましくは有機繊維コードの原料として用いられる。ここで、「有機繊維コード」とは、有機繊維からなるコードを意味し、好ましくはマルチフィラメントの形態の有機繊維コードである。本形態に係る有機繊維コードは、例えば、タイヤ、ベルト、ホース等の自動車用をはじめとする各種ゴム部材に用いられることで、ゴム部材の軽量化や耐久性の向上に寄与することができる。なかでも、本形態に係る有機繊維コードは、空気入りタイヤの補強材として用いられるタイヤコードであることが特に好ましい。本形態に係る有機繊維コードをタイヤコードとして用いることにより、バイオマス材料の使用比率を高めた環境負荷の小さいタイヤコードを提供することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
《吸着剤を用いたイオン液体の処理》
まず、イミダゾリウム系イオン液体である1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド(BmimCl)を準備した。一方、無機吸着剤処理の際の溶媒として水を準備し、無機吸着剤として下記のものを準備した。
[実施例1]
上記で準備したイオン液体100質量部に対して、適量の水および無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)1質量部を添加し、25℃にて3時間、緩やかに撹拌することによりイオン液体を吸着剤で処理した。その後、得られた混合物をろ過することにより吸着剤を除去し、ろ液に対して脱水処理を施して、精製イオン液体を得た。
[実施例2]
無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)の添加量をイオン液体100質量部に対して2質量部に変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例3]
無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)の添加量をイオン液体100質量部に対して3質量部に変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例4]
処理時間を0.5時間に変更したこと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例5]
処理温度を40℃に変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例6]
処理温度を70℃に変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例7]
処理温度を90℃に変更したこと以外は、上述した実施例4と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例8]
無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)の添加量をイオン液体100質量部に対して0.5質量部に変更したこと、および、処理時間を10時間に変更したこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例9]
無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)の添加量をイオン液体100質量部に対して2質量部に変更したこと以外は、上述した実施例8と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例10]
無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)の添加量をイオン液体100質量部に対して3質量部に変更したこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例11]
無機吸着剤Aに代えて無機吸着剤B(MA-OH)を用いたこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例12]
無機吸着剤Aに代えて無機吸着剤C(MF-500)を用いたこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[実施例13]
無機吸着剤Aに代えて無機吸着剤C(STABIACE(登録商標)HT-6)を用いたこと以外は、上述した実施例6と同様の手法により、精製イオン液体を得た。
[比較例1]
無機吸着剤A(キョーワード(登録商標)500-SN)の添加量をイオン液体100質量部に対して0.4質量部に変更したこと、および、処理温度を20℃に変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、比較イオン液体を得た。
[比較例2]
処理温度を70℃に変更したこと、および、処理時間を0.1時間に変更したこと以外は、上述した比較例1と同様の手法により、比較イオン液体を得た。
[比較例3]
無機吸着剤処理を行っていないイオン液体を比較例3の比較イオン液体とした。
《精製イオン液体を用いたセルロースの溶解処理》
ステンレス缶に溶解パルプ(重合度1200)を入れ、次いで上述した各実施例で得られた精製イオン液体または各比較例の比較イオン液体を注いで、セルロース濃度が9質量%になるように調整した混合物を得た。その後、100℃に加熱した混合物を真空型自転公転ミキサー(シンキー製 真空自転・公転ミキサーARV-310)を用いて2000rpm、0.2kPaの条件にて2分30秒間撹拌し、100℃にて15分静置させた。その後、再度真空型自転公転ミキサーを用いて2000rpm、0.2kPaの条件にて2分30秒間撹拌し、偏光顕微鏡を用いて溶解状態を確認した。溶解が確認できたら、調製直後を0時間として5時間または24時間100℃で静置した際の粘度を測定した。なお、粘度測定は、マルバーン製 Kinexus pro+ rheometerを用い、パラレルプレート、100℃、定常流の条件にて行った。そして、せん断速度0.1s-1での粘度を読み取り、この値を粘度値として採用した。結果を下記の表2および3に示す。
上記結果より、本発明に係る製造方法によると、セルロースの溶解処理の際にセルロースの分子量の低下を防止しうる、すなわち、経時的な保存安定性および熱安定性に優れる精製イオン液体を製造できることが示された。