JP2016204277A - リグニンの抽出方法 - Google Patents

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【課題】分子量の高いリグニンを、木質材料から簡易に効率良く抽出する。【解決手段】木質系バイオマスからリグニンを抽出する方法であって、木質系バイオマスを水とともに摩砕して、平均繊維径が10〜800nmのセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む組成物を得る工程Aと、組成物をイオン液体に浸漬して、当該組成物に含まれるセルロース及びヘミセルロースをイオン液体に溶解させる工程Bと、工程Bの後に、イオン液体からリグニンを含む固形分を分離する工程Cとを備えるリグニンの抽出方法。【選択図】図1

Description

本発明は、木質系バイオマスからリグニンを抽出する方法に関する。
リグニンは、セルロースやヘミセルロースとともに含まれる木材の主要成分であり、木材中に20〜30%程度含まれている。木材中におけるリグニンは、フェニルプロパンが多数縮合した構造のフェニルプロパノイドであって、三次元網目構造を有する複雑な巨大分子である。
現在、製紙工業においては、紙の原料となるパルプを製造する際の副生物としてリグニンが得られている。こうして得られるリグニンは、セルロースから分離して抽出する際に、酸やアルカリなどの薬品を用いて加熱するので、その分子鎖が細かく切断されていて木材中に含まれていたものとは異なった構造を有している。一部のリグニンは接着剤などの原料として利用されているものの、その他の多くは焼却処分されて熱回収がなされているだけである。
近年、木質系バイオマスからそれに含まれる成分を抽出するために、イオン液体を用いる方法が報告されている。ここで、イオン液体は、一般に常圧(1気圧)において100℃以下でも液体である塩のことをいい、不揮発性である。
イオン液体を用いて木質系バイオマスからそれに含まれる成分を抽出する方法として、例えば特許文献1に記載の方法が挙げられる。特許文献1には、木質系バイオマスをイオン液体に混合することで、主として当該木質系バイオマス由来のセルロース及び/又はヘミセルロースを当該イオン液体に溶解させる工程と、当該イオン液体からリグニンを含む残査成分を分離する工程とを含む、木質系バイオマスの処理方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、木質系バイオマスからリグニンを含む残査成分を除いてセルロース及び/又はヘミセルロースを選択的に回収し、これらを利用するものである。したがって、イオン液体を用いて木質系バイオマスから選択的にリグニンを抽出して用いることについて記載されていない。
これまで本発明者らは、イオン液体を用いて木質系バイオマスからリグニンを抽出する方法を報告した(特許文献2)。この方法によれば、分子量の高いリグニンを、木質系バイオマスから効率良く抽出することができる。しかしながら、特許文献2に記載の方法は、木質系バイオマスをイオン液体に浸漬させる前に特殊な前処理を行う必要がある。そのため、より簡便な抽出方法が求められていた。
特開2009−189277号公報 特開2014−189491号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、分子量の高いリグニンを、木質系バイオマスから簡易に効率良く抽出する方法を提供するものである。
上記課題は、木質系バイオマスからリグニンを抽出する方法であって、木質系バイオマスを水とともに摩砕して、平均繊維径が10〜800nmのセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む組成物を得る工程Aと、前記組成物をイオン液体に浸漬して、当該組成物に含まれるセルロース及びヘミセルロースを前記イオン液体に溶解させる工程Bと、工程Bの後に、前記イオン液体からリグニンを含む固形分を分離する工程Cとを備えることを特徴とするリグニンの抽出方法を提供することによって解決される。このとき、工程Aにおいて、前記組成物を酸性の水溶液中で加熱処理した後に前記イオン液体に浸漬することが好ましい。
前記イオン液体がホスホン酸アニオンを含むことが好ましい。また、前記イオン液体がイミダゾリウムイオンを含むことが好ましい。
本発明によれば、分子量の高いリグニンを、木質系バイオマスから簡易に効率良く抽出することができる。
実施例1で用いたLCNFのSEM写真である。 実施例1で得られた固体の13C−NMRチャートである。 実施例2で得られた固体の13C−NMRチャートである。 比較例1で得られた固体の13C−NMRチャートである。
本発明は、木質系バイオマスからリグニンを抽出する方法に関する。本発明者らは、分子量の高いリグニンを簡易に効率よく抽出するために、木質系バイオマスを水とともに摩砕して得られた組成物に着目した。本発明の抽出方法においては、このような組成物を原料として用いることが重要であり、当該組成物を用いることで簡易に効率よくリグニンを抽出することができる。
本発明の抽出方法は、工程A〜Cを備える。まず、工程Aについて説明する。工程Aは、木質系バイオマスを水とともに摩砕して、平均繊維径が10〜800nmのセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む組成物を得る工程である。
木質系バイオマスは特に限定されず、木材、樹皮、葉などを用いることができる。植物種も、針葉樹、広葉樹、草、竹などいずれであってもかまわない。切削屑や樹皮などは、もともと廃棄処分されるものであるから、経済的に有用である。
工程Aにおける組成物は、バイオマス粉砕物製造装置を用いて木質系バイオマスを水とともに直接微粉砕することによって製造される。そのため、用いた木質系バイオマス由来の成分であるリグニン、セルロース、ヘミセルロースをそのまま含有する。
上記組成物に含まれるセルロースは微細な繊維であり、その平均繊維径は10〜800nmである。平均繊維径が10nm未満のセルロース繊維は通常の方法で得ることが難しく、工業的に使用するのは現実的でない。平均繊維径は20nm以上であることが好ましい。一方、平均繊維径が800nmを超える場合には、効率よくリグニンを抽出することができないおそれがある。平均繊維径は500nm以下であることが好ましい。上記平均繊維径は、走査型電子顕微鏡を用いて繊維を観察することにより求めた値である。
このように、上記組成物はリグニン、セルロース、ヘミセルロースを含み、なおかつそれに含まれるセルロースは微細な繊維であることから、当該組成物のことを「リグノセルロースナノファイバー(以下、LCNFと略記することがある)」と称すことがある。一方、微細なセルロース繊維からなるものとして、一般に「セルロースナノファイバー(以下、CNFと略記することがある)」と呼ばれるものがある。CNFは、木材を蒸解してリグニンを溶出させてパルプを得て、このパルプをディスクミルや叩解機やホモジナイザー等を用いて機械的なせん断力をかけることで得られるものであり、リグニンを含まない。LCNFとCNFとはこの点で異なる。なお、LCNFはモリマシナリー株式会社から入手することが可能である。
本発明の抽出方法では、工程Aで得られた組成物を酸性の水溶液中で加熱処理してから、工程Bにおいて前記イオン液体に浸漬することが好ましい。工程Aで得られた組成物を酸性の水溶液中で加熱処理することにより、当該組成物に含まれるセルロースやヘミセルロースが予め加水分解される。その結果、得られる固形分中のリグニンの純度を高めることが可能になる。
このような処理で用いられる酸性の水溶液は特に限定されないが、セルロースやヘミセルロースを効率的に加水分解する観点から、硫酸水溶液が好適である。酸性の水溶液の濃度は通常、0.01〜5mol/Lである。加熱温度が高すぎるとリグニンも分解するおそれがあるため、加熱処理は通常200℃以下で行い、好適には180℃以下で行う。一方、加熱温度が低すぎるとセルロースやヘミセルロースを加水分解することができないおそれがあるため、加熱処理は通常100℃以上で行い、好適には120℃以上で行う。処理時間は、温度との関係で設定されるが通常、1分〜24時間である。当該処理を行う際には水溶液を撹拌することが好ましい。
上記加熱処理は通常、密閉型の反応容器(例えばオートクレーブ)を用いて、当該反応容器を公知の加熱装置により加熱することにより行う。この場合、上記の加熱温度は加熱装置の設定温度のことである。
次に、工程Bについて説明する。工程Bは、工程Aで得られた組成物をイオン液体に浸漬して、当該組成物に含まれるセルロース及びヘミセルロースを前記イオン液体に溶解させる工程である。このとき工程Aで得られる組成物は、水を含むペースト状の組成物である。より効率的にリグニンを抽出するためには、前記組成物を乾燥して水を除去した後にイオン液体に浸漬して、当該組成物に含まれるセルロース及びヘミセルロースをイオン液体に溶解させることが好ましい。乾燥方法としては、凍結乾燥や真空乾燥が挙げられる。
工程Bで用いられるイオン液体は、セルロース及びヘミセルロースを溶解することのできるものが用いられる。イオン液体のアニオン成分は、イオン液体を構成することができるものであれば特に限定されないが、セルロースを温和な条件で溶解することができることから、ホスホン酸アニオンが好ましい。ホスホン酸アニオンとしては、ホスホン酸アニオン;メチルホスホン酸アニオン、エチルホスホン酸アニオンなどのアルキルホスホン酸アニオン;フェニルホスホン酸アニオンなどのアリールホスホン酸アニオンなどが挙げられる。これらの中でも、アルキルホスホン酸アニオンが好ましく、炭素数1〜4のアルキルホスホン酸アニオンがより好ましく、メチルホスホン酸アニオンが特に好ましい。
イオン液体のカチオン成分も、イオン液体を構成することができるものであればよく、特に限定されないが、有機アンモニウムイオンが好適である。有機アンモニウムイオンとしては、脂肪族アンモニウムイオン、芳香族アンモニウムイオン、脂環式アンモニウムイオンなどが例示される。中でも、含窒素複素5員環骨格を有するカチオンであることが好ましい。そのような含窒素複素5員環骨格としては、イミダゾリウム骨格、ピラゾリウム骨格、オキサゾリウム骨格、1,2,3−トリアゾリウム骨格、1,2,4−トリアゾリウム骨格、チアゾリウム骨格、ピラジニウム骨格などが例示される。溶解性の観点から、イミダゾリウム骨格又はピラジニウム骨格であることが好ましく、イミダゾリウム骨格であることがより好ましい。上記含窒素複素5員環骨格において、環を形成している炭素原子又は窒素原子に置換基が結合することができる。
セルロースを温和な条件で溶解することができ、かつ入手容易であることから、上記したもののうち、イオン液体がホスホン酸アニオンとイミダゾリウムカチオンとの塩であることが特に好ましい。
工程Bにおいて、組成物をイオン液体に浸漬する際のこれらの割合は特に限定されるものではないが、組成物100質量部に対して、イオン液体が200〜5000質量部であることが好ましい。また、組成物をイオン液体に浸漬する際の温度は、40〜120℃であることが好ましい。温度が40℃未満の場合には、セルロース及びヘミセルロースの溶解効率が不十分になるおそれがある。温度は、より好適には50℃以上であり、さらに好適には70℃以上である。一方、温度が120℃を超える場合には、イオン液体が分解するおそれがある。温度は、より好適には110℃以下である。時間は、10分〜24時間程度である。また、組成物とイオン液体の混合物を撹拌することが好ましい。組成物をイオン液体に浸漬して加熱する前に、当該組成物をイオン液体に浸漬したまま常温で浸漬しておくことも好ましい。
次に、工程Cについて説明する。工程Cは、工程Bの後に、前記イオン液体からリグニンを含む固形分を分離する工程である。工程Bで得られるイオン液体はセルロース及びヘミセルロースが溶解した懸濁液である。このとき、当該懸濁液に含まれる固形分は主にリグニンを含むものである。イオン液体からリグニンを含む固形分を分離する方法は、固体と液体を分離する手段であれば特に限定されず、遠心分離やろ過などの方法を採用することができる。得られたリグニンは、必要に応じて水洗、乾燥が施される。
また、イオン液体にはセルロースやヘミセルロースとともに、少量のリグニンが溶解していることがある。そのためイオン液体を遠心分離して、セルロース及びヘミセルロースが溶解した上澄みを取り除いて、リグニンが分散した下層を得る。そして得られた下層に適量の貧溶媒を加えてリグニンを析出させることもできる。得られたリグニンは、必要に応じて水洗、乾燥が施される。このとき用いられる貧溶媒は、リグニンを溶解させずに、イオン液体に溶解するものを用いることができる。そのような貧溶媒としては水が挙げられる。
工程Cにおいてリグニンが分離された後のイオン液体は、その後、回収される。そして、貧溶媒を添加するなどして、イオン液体に溶解したセルロース及びヘミセルロースを取り除いて、貧溶媒を蒸発させて、再度工程Aで用いることができる。
こうして得られたリグニンは、分子量が高く純度も高い。そして、このような高分子量のリグニンは、従来品と同様に接着剤にも用いることができるが、耐熱性と接着強度の向上が期待できる。それ以外にも電池用炭素材料の原料などとしても有望である。また、ポリビニルアルコールやポリアクリロニトリルとの混合により活性炭繊維としても有用である。
実施例1
(試料)
固形分濃度が10質量%のリグノセルロースナノファイバーを含むペースト(以下、LCNFペーストと称す)をモリマシナリー株式会社から入手した。このLCNFペーストは、粗粉砕した檜チップを水に混ぜてバイオマス粉砕物製造装置により微細化処理して得られたものである。LCNFペーストの固形分は、リグニンを40質量%、ヘミセルロースを約15質量%含有し、残部がセルロースであった。
LCNFペーストを凍結乾燥して、その中に含まれていた繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。図1にSEM写真を示す。図1に示すように、ほとんどの繊維の径が50〜300nmの範囲内にあることがわかった。また、SEM写真から木質繊維の平均繊維長を測定することは困難であるが、木質繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が少なくとも10以上であることは確認できた。
(酸加水分解処理)
(1−1)内側がテフロン(登録商標)でコーティングされたオートクレーブ(内容積:65mL)を用意し、これに撹拌子を入れた。そして上記LCNFペースト10g、蒸留水35mL及び硫酸水溶液8mL(濃度:1.5mol/L)を入れた。
(1−2)オートクレーブを密閉した後、オイルバスに浸し撹拌を開始した。
(1−3)オイルバスの温度が180℃に達したことを確認した後、60分間その温度を保持した。
(1−4)オイルバスの温度を室温まで下げた後、オートクレーブから試料を取り出した。取り出した試料をろ過してから、凍結乾燥して、当該試料に含まれていた水分を除去した。得られた固体は430mgであった。
(イオン液体による抽出処理)
(2−1)フラスコを用意し、このフラスコに撹拌子を入れた。そして上記(1−4)で得られた固体200mg及びイオン液体2.0gを入れた。ここで用いたイオン液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナートであった。
(2−2)室温にて一晩放置した後、フラスコを加熱するとともに撹拌を開始した。
(2−3)液の温度が100℃に達したことを確認した後、30分間その温度を保持した。
(2−4)液の温度を室温まで下げた後フラスコから液を取り出し、遠心分離(5800rpm、20分)を行った。その結果、液は上層と下層とに相分離した。
(2−5)下層を分離した後、これに蒸留水を加え固体を析出させた。
(2−6)得られた固体を洗浄した後乾燥した。得られた固体は170mgであった。
実験条件と各工程における収率を表1にまとめて示す。
(分析)
以下のNMR装置を用いて、得られた固体を分析した。NMRチャートを図2に示す。
装置 Bruker Biospin社製「Avance400」
測定雰囲気 乾燥空気
測定温度 室温(〜22℃)
化学シフト基準 ヘキサメチルベンゼン(外部基準:17.35ppm)
観測周波数 13C:100.6248425MHz
観測幅 40kHz
パルス幅 90°パルス:4.2μs
パルス繰り返し時間 ACQTM=25.6625ms、PD=5s
データ点 POINT=8192、SAMPO=2048
パルスモード CP/MAS法
コンタクトタイム 2ms
試料回転速度 11kHz
図2に示すように、55ppm付近及び145ppm付近にピークが観測された。55ppm付近に観測されるピークはリグニンのO−CHに由来するピークであり、セルロース及びヘミセルロースでは観測されないピークである。145ppm付近に観測されるピークはリグニンのPh−O(C−O)に由来するピークであり、セルロース及びヘミセルロースでは観測されないピークである。一方、105ppm付近には、わずかにショルダーピークが観測された。このピークはセルロース又はヘミセルロースのO−CH−Oに由来するピークであり、リグニンでは観測されないピークである。これらのことから、得られた固体はリグニンを含み、セルロース又はヘミセルロースをほとんど含まないことがわかった。なお、60〜90ppmに観測されるピークは、リグニン、セルロース及びヘミセルロースに由来するピークである。
実施例2
実施例2は、実施例1において「酸加水分解処理」を行わずに「イオン液体による抽出処理」のみを行った例である。このときの「イオン液体による抽出処理」は以下の通りである。
フラスコを用意し、このフラスコに撹拌子を入れた。そして、モリマシナリー株式会社から入手した上記LCNFペーストを凍結乾燥して得られた繊維集合体200mgとイオン液体(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナート)2.0gを入れた以外は実施例1と同様にしてイオン液体による抽出処理を行った。得られた固体は70mgであった。実験条件と収率を表1にまとめて示す。
そして得られた固体について、実施例1と同様にしてNMR分析を行った。NMRチャートを図3に示す。図3に示されるように、55ppm付近及び145ppm付近にリグニンに由来するピークが観測された。一方、105ppm付近にセルロース又はヘミセルロースに由来する低いピークが観測された。これらのことから、得られた固体はリグニンを含み、セルロース又はヘミセルロースを少量含むことがわかった。
比較例1
実施例1の「酸加水分解処理」の(1−3)及び(1−4)において、オイルバスの温度が190℃に達したことを確認した後120分間その温度を保持し、オイルバスの温度を室温まで下げた後、オートクレーブから試料を取り出した。取り出した試料をろ過してから、凍結乾燥して、当該試料に含まれていた水分を除去した。得られた固体は380mgであった。その後「イオン液体による抽出処理」を行わなかった。実験条件と収率を表1にまとめて示す。
そして得られた固体について、実施例1と同様にしてNMR分析を行った。NMRチャートを図4に示す。図4に示されるように、55ppm付近及び145ppm付近にリグニンに由来するピークが観測された。105ppm付近にセルロース又はヘミセルロースに由来するショルダーピークがわずかに観測された。このことから、得られた固体はリグニンを含み、セルロース又はヘミセルロースをわずかに含むことがわかった。
しかしながら、60〜90ppmにリグニン、セルロース及びヘミセルロースに由来するピークはほとんど観測されなかった。リグニンを含むにもかかわらず60〜90ppmにピークが観測されないことから、分子量の高いリグニンを含むものではなく、分子鎖が細かく切断された分子量の低いリグニンを含むものであると考えられる。
比較例2
比較例2は、実施例1におけるLCNFペーストの代わりに木粉を用いた例である。具体的な方法は以下の通りである。
実施例1の「酸加水分解処理」の(1−1)において、LCNFペーストの代わりに檜由来の乾燥粉末(平均粒径5mm以下)1gを用いた以外は実施例1と同様にして酸加水分解処理を行った。得られた固体は620mgであった。実験条件と収率を表1にまとめて示す。
得られた固体200mgを用いて、実施例1と同様にして「イオン液体による抽出処理」を行った。得られた固体は150mgであった。表1に示す最終収率から得られた固体はセルロースやヘミセルロースを含むことがわかった。
比較例3
比較例3は、実施例1においてLCNFペーストの代わりに上記乾燥木粉を用いて、「酸加水分解処理」を行わずに「イオン液体による抽出処理」のみを行った例である。つまり、比較例3は、実施例2においてLCNFペーストの代わりに上記乾燥木粉を用いた例である。このときの「イオン液体による抽出処理」の方法は実施例2と同様である。得られた固体は102mgであった。実験条件と収率を表1にまとめて示す。表1に示す最終収率から得られた固体は多量のセルロースやヘミセルロースを含むことがわかった。

Claims (4)

  1. 木質系バイオマスからリグニンを抽出する方法であって;
    木質系バイオマスを水とともに摩砕して、平均繊維径が10〜800nmのセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む組成物を得る工程Aと、
    前記組成物をイオン液体に浸漬して、当該組成物に含まれるセルロース及びヘミセルロースを前記イオン液体に溶解させる工程Bと、
    工程Bの後に、前記イオン液体からリグニンを含む固形分を分離する工程Cとを備えることを特徴とするリグニンの抽出方法。
  2. 工程Aにおいて、前記組成物を酸性の水溶液中で加熱処理した後に前記イオン液体に浸漬する請求項1に記載のリグニンの抽出方法。
  3. 前記イオン液体がホスホン酸アニオンを含む請求項1又は2に記載のリグニンの抽出方法。
  4. 前記イオン液体がイミダゾリウムイオンを含む請求項1〜3のいずれかに記載のリグニンの抽出方法。
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