JP2018040083A - リグノセルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用するイオン液体の量が少量で済み、したがって低コストであり、リグノセルロースの結晶構造をある程度保つことで後工程の複合材料化においても有利なリグノセルロースナノファイバーの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のリグノセルロースナノファイバーの製造方法は、リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理工程と、前記前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊する解繊工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、リグノセルロースナノファイバーの製造方法に関する。
近年、世界的な石油資源の枯渇及びそれに伴う価格の高騰により、石油を原料とする種々の化学製品の安定的供給に困難が生じ始めている。1980年代にはナフサの国際価格が1バレル当たり20ドル近辺であったのに対し、2010年代には1バレル当たり100ドルに迫っている。この結果、石油を原料とするプラスチック類の価格上昇及び採算性悪化が現実に起き始めている。とりわけ、安定的に供給可能な天然資源を有していない我が国においては、石油価格の高騰による影響は甚大であり、化学産業の構造的変換を指向した研究の提案が急務となっている。
このような背景から、生物由来資源であるバイオマスの有効利用に大きな期待が寄せられており、具体的には、リグノセルロース(木質系バイオマス)を利用して、燃料や化成品、あるいは複合材料を製造する取り組みが行われている。リグノセルロースは、植物細胞壁の成分であり、主にセルロース、ヘミセルロースそしてリグニンから構成されている。セルロースはβ−1,4グルコースからなる直鎖状のポリマーが水素結合で束になった強固な結晶構造を有している。また、リグニンは、種々の芳香族化合物からなるネットワーク状のポリマーであり、ヘミセルロースと共有結合しつつセルロースの周りを取り囲んである。このようなリグノセルロースから燃料や化成品、複合材料等を製造する際には、原料となるリグノセルロースを前もってフィブリル化し、ナノファイバーの状態にした上で用いている。
近年、リグノセルロースのナノファイバー化において、イオン液体(イオンのみからなり、100℃以下の温度で液体であり、常温融解塩とも称される物質群)の利用が提案されている。イオン液体は極めて揮発性が低く、揮発による汚染や引火等の危険がなく、且つリグノセルロースを溶解する力を有するため、リグノセルロース系バイオマスを加工する際の溶媒として研究開発が進められている。
例えば、特許文献1には、セルロース系物質から多糖類ナノファイバーを製造する方法であって、イミダゾリウム系イオン液体と有機溶媒を含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質を膨潤及び/又は部分溶解させる工程と、膨潤及び/又は部分溶解された成分にエステル化、エーテル化又は同時にエステル化とエーテル化を行う工程と、イオン液体及びその他の可溶物の一部又は全部を除去する洗浄工程とを有する多糖類ナノファイバーの製造方法が開示されている。具体的には、セルロース原料2gに、N,N−ジメチルアセトアミド50mlとイオン液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム60gを加えて解繊を行っている。
また、特許文献2には、上記特許文献1と同様に、セルロース原料2gに、さらにN,N−ジメチルアセトアミド50mlとイオン液体として塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム60gを加え、攪拌後、濾過し、セルロースナノファイバーを得る方法が開示されている。
上記特許文献1及び2の技術では、原料のバイオマスに対し、10〜30倍量もの多量のイオン液体を用いているため、バイオマスがゲル状になり、その繊維状態(結晶構造)が崩れきってしまう傾向があった。そのため、得られたナノファイバーから複合材料を製造する場合に、材料の強度が低下するという問題点があった。また、イミダゾリウム系イオン液体は一般的に高価であり、多量のイミダゾリウム系イオン液体を用いることでコストが増大するという問題点もあった。さらに、イミダゾリウム系イオン液体は微生物に対する毒性を有するため、多量のイミダゾリウム系イオン液体を用いるとナノファイバー中にイオン液体が残存し、その後ナノファイバーの糖化・発酵を行う際に微生物が阻害される不都合があった。
さらに、特許文献3には、セルロース含有原料と、イオン液体及び希釈液からなる処理液とを混合して、解繊処理する解繊処理工程を含み、処理液の重量に基づいて、イオン液体の含有量が5〜20重量%、希釈液の含有量が80〜95重量%であることを特徴とするナノセルロースの製造方法が開示されている。具体的には、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド19部及びエタノール81部を均一混合して処理液を得、この処理液65部とセルロース含有原料35部とを均一混合して、解繊処理を行っている。
この特許文献3に開示される従来技術では、原料に対するイオン液体の量は上記特許文献1及び2に比較して少量であるが、イオン液体の含有量が5〜20重量%、希釈液の含有量が80〜95重量%の範囲であるため、イオン液体の濃度が小さく、イオン液体と希釈液の混合物だけでは、原料の解繊を促進する効果は実際には得られないものと推測される。
そこで本発明は、使用するイオン液体の量が少量で済み、したがって低コストであり、リグノセルロースの結晶構造をある程度保つことで後工程の複合材料化においても有利なリグノセルロースナノファイバーの製造方法を提供することを目的とする。
また、製造するナノファイバー中に残存するイオン液体の量を最小限にでき、微生物に対する毒性も低いため、後工程のナノファイバーの糖化・発酵を効率良く行うことができるリグノセルロースナノファイバーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意研究を行った結果、特定範囲内の少量のイオン液体をリグノセルロース系バイオマスに接触させる工程と、高速ブレンダー等により物理的な解繊を行う工程とを組み合わせて行うことによって上記課題が解決されることを見出し、発明を完成した。また、イオン液体の中でも、特にコリン系イオン液体が微生物に対する毒性が小さく、且つ低コストであり、得られるナノファイバーの糖化・発酵を行う際に有利であることを見出し、発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理工程と、
前記前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊する解繊工程と、
を含むリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(2)前記前処理工程を、常圧で、80〜130℃、1時間〜24時間加熱して行う上記(1)に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(3)前記イオン液体が、コリン系イオン液体である上記(1)又は(2)に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(4)前記解繊工程を、高速ブレンダー又は湿式ディスクミルを用いて行う上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(5)前記解繊工程の後に固液分離を行い、分離されたイオン液体水溶液を前記前処理工程において再利用する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(6)リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理を行い、前記前処理を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊して得られるリグノセルロースナノファイバー。
前記前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊する解繊工程と、
を含むリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(2)前記前処理工程を、常圧で、80〜130℃、1時間〜24時間加熱して行う上記(1)に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(3)前記イオン液体が、コリン系イオン液体である上記(1)又は(2)に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(4)前記解繊工程を、高速ブレンダー又は湿式ディスクミルを用いて行う上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(5)前記解繊工程の後に固液分離を行い、分離されたイオン液体水溶液を前記前処理工程において再利用する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
(6)リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理を行い、前記前処理を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊して得られるリグノセルロースナノファイバー。
本発明に係るリグノセルロースナノファイバーの製造方法によれば、使用するイオン液体が少量で済み、それゆえ製造コストが小さくなるとともに、リグノセルロースの結晶構造がある程度保持されるためナノファイバーから得られる複合材料の強度を向上させることができる。また、前処理に使用したイオン液体は、後工程でイオン液体水溶液として回収し、再び前処理に利用することができる。
さらに、コリン系イオン液体を用いることによって、微生物に対する悪影響を最小限に抑え、ナノファイバーの糖化・発酵を効率的に進めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリグノセルロースナノファイバーの製造方法は、リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理工程と、その前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊する解繊工程とを含むことを特徴とする。
本発明のリグノセルロースナノファイバーの製造方法は、リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理工程と、その前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊する解繊工程とを含むことを特徴とする。
原料となるリグノセルロース系バイオマス(木質系バイオマス)としては、特に限定されることなく、種々のリグノセルロース(主にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成される)から選択され、いずれかを単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。このようなリグノセルロース系バイオマスの具体例として、バガス(サトウキビ残渣)、ケナフ、スギ、ユーカリ等の木材、木材チップ、稲わら、竹等、あるいはこれらの2種以上の混合物等を挙げることができる。また、廃建材を利用することもできる。廃建材は木造家屋の解体によって発生し、スギ、マツ等の針葉樹の比率が高い。なお、リグノセルロース系バイオマスは、前処理工程に先立って、裁断、粉砕、乾燥等、必要に応じて種々の処理を施すことができる。例えば、破砕機を用いて予め1mm〜20mmのサイズに破砕することにより、その後に接触させるイオン液体が含浸し易くなるため好ましい。
リグノセルロース系バイオマスに接触させるイオン液体は、イオンのみからなる100℃以下で融解している液体であり、常温融解塩とも称される化合物である。有機塩、無機塩のいずれも使用可能であり、具体的には、リグノセルロース系バイオマスに対して溶解性を示すイミダゾリウム塩(イミダゾリウム系イオン液体)、アンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジン塩、コリン塩等を挙げることができる。イオン液体のアニオンとしては、例えば、塩化物イオン(Cl−)、ヨウ素イオン(I−)、臭化物イオン(Br−)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)、スルホメチルイオン(CH3SO3 −)、各種有機酸アニオン(ギ酸アニオン、酢酸アニオン等)、各種アミノ酸アニオン(グルタミン酸アニオン等)、メチルホスホネート、硫酸イオン、PF6 −、(CF3SO2)2N−等を挙げることができる。
例えば、イミダゾリウム系イオン液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート等を挙げることができる。
上記の各種イオン液体の中でも、コリン系イオン液体は、イミダゾリウム系イオンに比べて価格が安く、微生物に対する毒性が低いため特に好ましく用いられる。コリン系イオン液体は、(CH3)3N+(CH2)2OH X−の示性式で表され、X−としては上述の各種アニオンが適用可能である。本発明は、そもそもイオン液体の使用量が少なくて済むため、得られるリグノセルロースナノファイバーに残存し得るイオン液体の量も少ない。したがって、イオン液体自体の毒性も低くすることにより、製造したナノファイバーを原料として糖化・発酵を行う際に有利である。このようなコリン系イオン液体の具体例として、コリン酢酸、ギ酸コリン、プロピオン酸コリン等を挙げることができる。
リグノセルロース系バイオマスに接触させるイオン液体の量は、リグノセルロース系バイオマスに対して重量比で0.1〜1倍量とする。好ましくは0.3〜1倍量である。0.1倍量未満では、イオン液体によるバイオマスの溶解効果を得ることができず、1倍量を超えると、製造コストが増大し、またリグノセルロースの結晶構造が必要以上に破壊され、リグノセルロースナノファイバーから複合材料を製造する場合等において材料の強度が低下するため不適である。従来のようにイオン液体のみでバイオマスの解繊を行う場合は、バイオマスに対して1倍量以下のイオン液体では不十分であったが、本発明ではイオン液体による化学的な解繊と高速ブレンダー等による物理的な解繊とを併用することにより、ナノファイバーの製造に必要なイオン液体の量を低減することが可能となる。
なお、リグノセルロース系バイオマスに接触させるイオン液体は、水溶液の状態で加えても良いし、水を添加せずにイオン液体を直接接触させても良い。水溶液の状態で接触させる場合であっても、水溶液中のイオン液体の量は、リグノセルロース系バイオマスに対して重量比で0.1〜1倍量とする。水を添加せずにイオン液体を直接接触させる場合には、全体の容量を低減することができ、バイオマスの処理をより効率良く行うことができる。従来、上記のように少量のイオン液体を希釈せずに用いる方法は知られておらず、本発明によって、イオン液体による処理を低コストで行うことができる。
リグノセルロース系バイオマスにイオン液体を接触させる際には、必要に応じて有機溶媒を一緒に加えることができる。これらの有機溶媒は、高沸点で、非プロトン性である、極性溶媒という性質を有することが要求され、イオン液体に対し重量比で0〜5倍量の有機溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等から選択される一種以上を挙げることができる。
リグノセルロース系バイオマスにイオン液体を接触させることで、イオン液体をバイオマスに含浸させ、リグノセルロースの結晶構造の一部を崩し、その後の物理的な解繊によるナノファイバー化を効率的に行うことができる。この前処理工程における温度等の条件は、例えば常圧で処理する場合、80〜130℃で1時間〜24時間加熱することが好ましい。特に好ましくは、90〜110℃で6時間〜16時間の加熱である。この前処理により、バイオマスの内部が物理的な解繊に適した状態となる。また、イオン液体を水溶液の状態で接触させる場合には、上述の80〜130℃、1時間〜24時間の加熱の最中に水分が蒸発し、結果として少量のイオン液体を含浸させることができる。
次に、イオン液体による前処理工程を経たバイオマスに対して水を加え、物理的な解繊を行ってリグノセルロースナノファイバーを製造する。ここで、物理的な解繊とは、水に分散させたリグノセルロース系バイオマスに剪断力を加えて粉砕し、直径10nm〜100nmの繊維状になるよう解繊させる工程をいう。このような物理的な解繊工程に用いる機器は、剪断力を加えることができる機器であれば良く、特に限定されるものではない。例えば、高速ブレンダーや湿式ディスクミルを用いることができる。解繊を行う際の条件は、適宜設定することができ、例えば、高速ブレンダーにより解繊する場合は、30,000〜37,000rpmで15分〜2時間の条件で行うことができる。また、湿式ディスクミルにより解繊する場合は、ディスクミル間隔10μm〜100μm、回転数1,000〜2,000rpmとすることが好ましい。
物理的な解繊に先立って加える水の量は、前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスを十分に分散させることができる量であれば良い。具体的には、重量比で、バイオマスの33〜100倍量とし、1〜3重量%のバイオマスの水分散液を調製することが好ましい。また、水を加えた後、物理的な解繊を行う前には水分散液を120分〜48時間程度静置し、バイオマスを水に馴染ませることが好ましい。
解繊工程の後、固液分離を行い、イオン液体の水溶液を分離し、目的のリグノセルロースナノファイバーを得ることができる。固液分離は、従来知られた適宜手段により行うことができ、例えば、遠心分離、フィルターによる濾過等の方法を採用することができる。この固液分離により、解繊工程において含まれていたイオン液体の大部分(例えば98重量%)を水溶液の状態で回収することができる。回収したイオン液体水溶液は、前処理工程においてバイオマスに接触させるイオン液体として再利用することができる。その際、再利用するイオン液体の量が、バイオマスに対し0.1〜1倍量に満たない場合は、適宜イオン液体を補充することができる。固液分離を行っても、通常は数%のイオン液体(例えば2重量%)がリグノセルロースナノファイバー中に残存するが、少量であるため問題はなく、特にイオン液体としてコリン系イオン液体を用いた場合には微生物に対する毒性を有さないため後工程に悪影響を与えない。
なお、イオン液体水溶液の分離は、上述の手順によらず、前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を添加して分散液を調製する前に、別途バイオマスを水により洗浄し、洗浄液を遠心分離等の手段により分離してイオン液体を回収しても良い。その後、改めて水を加えて分散液とし、物理的な解繊を行うことができる。
得られたリグノセルロースナノファイバーは、ナノサイズまで十分に解繊され、比表面積が大きいため化学反応に対する効率に優れている。また、ある程度の結晶構造を残しているため、これらの特徴を生かして種々の用途に適用することができる。例えば、リグノセルロースナノファイバーの糖化・発酵を行い、エタノール等のバイオ燃料を製造することができる。また、ナノファイバー中のリグニンをNaOH等を用いたアルカリ酸化分解法により分解し、酢酸エチル等により抽出し、バニリン、バニリン酸、シリンガアルデヒド、シリンガ酸、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシ安息香酸等のリグノモノマーを得ることができる。これらのリグノモノマーは、バイオ化成品の製造に用いることができる。
ナノファイバーの糖化・発酵によりエタノールを製造する場合、糖化反応の方法としては、公知の技術を採用すれば良く、例えば酵素による糖化を行うことができる。酵素糖化は、ナノファイバーを原料として糖化酵素を用いてグルコースへと加水分解する方法である。本発明により得られるナノファイバーは十分に解繊されているため、ナノファイバーに対する酵素のアクセスが良好であり、糖化効率が高いという特徴がある。この酵素糖化により得られたグルコースを未糖化残渣から分離し、エタノール発酵に用いる。エタノール発酵の方法も、公知の技術を採用して行うことができる。例えば、グルコースの溶液に、窒素、リンを含む栄養源とアルコール発酵菌等を加え、発酵することによりエタノールを製造することができる。
なお、アルコール発酵に先立ち、必要に応じて、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリを加える等してpHを調整しても良い。アルコール発酵工程前の段階において、溶液のpHは5〜9の範囲であることが好ましい。
アルコール発酵菌として、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属の酵母等を挙げることができる。具体的には、アルコール発酵菌として、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、シゾサッカロミセス・ジャポニカス(Schizosaccharomyces japonicus)、シゾサッカロミセス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporus)等を挙げることができる。
また、アルコール発酵菌として、アルコール発酵性遺伝子組換え大腸菌(株名:KO11)等を用いることができ、又はこの大腸菌と上記の各種酵母とを混合して用いても良い。
発酵温度及び発酵時間は、使用するアルコール発酵菌等の種類に応じて、適切な条件を設定することができる。具体的には、発酵温度を20〜50℃、発酵時間を1時間〜100時間とすることが好ましい。製造した発酵液中のエタノールは、蒸留等の手段を用いて分離することができる。また、アルコール発酵に用いた酵母、組換え大腸菌等のアルコール発酵菌は、遠心分離等により除去することができる。
また、本発明により製造されたリグノセルロースナノファイバーの修飾反応を行って誘導体化し、種々の用途に適するように改質することができる。例えば、リグノセルロースナノファイバーと各種の樹脂とをブレンドしてバイオ樹脂を得るため、親水性であるリグノセルロースナノファイバーを疎水性に改質することができる。この疎水化の方法としては、例えば、リグノセルロースナノファイバーに対し無水プロピオン酸を反応させてエステル化する方法が挙げられる。得られる疎水化リグノセルロースナノファイバーは、熱可塑性を有し、疎水性であるため各種樹脂との複合化に有利である。
さらに、リグノセルロースナノファイバーと、各種樹脂、及び必要に応じて相溶化剤等を混練し、ペレットを製造して射出成形等により複合材料(木質系コンポジット)を得ることができる。リグノセルロースナノファイバーと複合化させる樹脂としてはプリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート等が挙げられ、相溶化剤としてはポリプロピレン−グラフト−マレイン酸無水物、ポリエチレン−グラフト−マレイン酸無水物等を挙げることができる。本発明によるリグノセルロースナノファイバーは、結晶構造が崩れきっていないため、複合材料にした場合にも材料の強度が高いという利点がある。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前処理工程として、ジメチルスルホキシド(DMSO)10gとイオン液体であるコリン酢酸10gとの混合物中に、リグノセルロース系バイオマスであるバガス(10g)を浸漬し、110℃で16時間加熱した。続いて、バイオマスを水で洗浄し、遠心分離(室温、8,000rpm、15分)を行ってイオン液体を除去した。
前処理工程として、ジメチルスルホキシド(DMSO)10gとイオン液体であるコリン酢酸10gとの混合物中に、リグノセルロース系バイオマスであるバガス(10g)を浸漬し、110℃で16時間加熱した。続いて、バイオマスを水で洗浄し、遠心分離(室温、8,000rpm、15分)を行ってイオン液体を除去した。
その後、水990gをバガス10gに加え、48時間静置し、高速ブレンダー(Vitamix社製:VM0111)で物理的解繊を行った(回転数37,000rpm、45分)。そして、遠心分離を行い、目的のリグノセルロースナノファイバーを製造した。得られたナノファイバーの電子顕微鏡写真を図1に示す(図1の(d))。また、(a)未処理のバガス、(b)イオン液体による前処理のみを行ったバガス、及び(c)高速ブレンダーによる物理的解繊のみを行ったバガスを併せて示す。図1から明らかなように、イオン液体による前処理と物理的解繊とを併用した実施例1のナノファイバーが最も良好に解繊されていた。
(参考例1)
実施例1で得られたリグノセルロースナノファイバー0.05gに、アセテートバッファー5ml、及び糖化酵素としてCellic Ctec2(10FPU/g−バイオマス)を添加し、50℃、48時間の条件で糖化を行い、グルコース量を測定した。酵素糖化時間とセルロース糖化率[%](糖化されたセルロース量[g]/原料バイオマス中のセルロース量[g]×100)との関係を図2に示す。また、図1と同様に、未処理のバガス、イオン液体による前処理工程のみを行ったバガス、及び高速ブレンダーによる物理的解繊のみを行ったバガスを併せて示す。
実施例1で得られたリグノセルロースナノファイバー0.05gに、アセテートバッファー5ml、及び糖化酵素としてCellic Ctec2(10FPU/g−バイオマス)を添加し、50℃、48時間の条件で糖化を行い、グルコース量を測定した。酵素糖化時間とセルロース糖化率[%](糖化されたセルロース量[g]/原料バイオマス中のセルロース量[g]×100)との関係を図2に示す。また、図1と同様に、未処理のバガス、イオン液体による前処理工程のみを行ったバガス、及び高速ブレンダーによる物理的解繊のみを行ったバガスを併せて示す。
図2から明らかなように、イオン液体による前処理と物理的解繊とを併用した実施例1のナノファイバーが最も糖化率が高かった。この結果は、実施例1のナノファイバーが良好に解繊されて比表面積が大きくなり、酵素が接触し易くなったためと推測される。
(参考例2)
50℃で乾燥させた実施例1のリグノセルロースナノファイバー5gに、無水プロピオン酸10mlを加え、140℃で3時間反応させた。その後、アセトン及び水を順に加えて洗浄し、遠心分離を行ってアセトン及び水とともに未反応の無水プロピオン酸を除き、無水プロピオン酸によりエステル化された疎水化リグノセルロースナノファイバーを製造した。得られたナノファイバーのIR吸収スペクトルを図3に示す(図3の(8))。また、図3には、(1)未処理のバガス、(2)イオン液体による前処理のみを行ったバガス、(3)物理的解繊のみを行ったバガス、(4)イオン液体による前処理及び物理的解繊を行ったバガス(実施例1で得られたナノファイバー)、(5)未処理のバガスを同様の反応で疎水化したもの、(6)イオン液体による前処理のみを行ったバガスを疎水化したもの、及び(7)物理的解繊のみを行ったバガスを疎水化したもの、のIR吸収スペクトルを併せて示す。
50℃で乾燥させた実施例1のリグノセルロースナノファイバー5gに、無水プロピオン酸10mlを加え、140℃で3時間反応させた。その後、アセトン及び水を順に加えて洗浄し、遠心分離を行ってアセトン及び水とともに未反応の無水プロピオン酸を除き、無水プロピオン酸によりエステル化された疎水化リグノセルロースナノファイバーを製造した。得られたナノファイバーのIR吸収スペクトルを図3に示す(図3の(8))。また、図3には、(1)未処理のバガス、(2)イオン液体による前処理のみを行ったバガス、(3)物理的解繊のみを行ったバガス、(4)イオン液体による前処理及び物理的解繊を行ったバガス(実施例1で得られたナノファイバー)、(5)未処理のバガスを同様の反応で疎水化したもの、(6)イオン液体による前処理のみを行ったバガスを疎水化したもの、及び(7)物理的解繊のみを行ったバガスを疎水化したもの、のIR吸収スペクトルを併せて示す。
図3の結果から、実施例1のリグノセルロースナノファイバーをさらに疎水化したもの(図3の(8))には、1745cm−1にC=Oに起因する強いピークが観測され、最も誘導体化(エステル化)されていることが分かった。実施例1のナノファイバーは良好に解繊されているため比表面積が大きく、無水プロピオン酸との反応効率が向上したことによるものと推測される。
(参考例3)
以下の手順により、リグノセルロースナノファイバーの複合材料化を行った。
まず、キシレン500ml中に、図3の(8)に示す疎水化リグノセルロースナノファイバー20g、ポリプロピレン18.8g(日本ポリプロ社製、WINTEC WSX03、射出グレード、融点約120℃)、及びポリプロピレン−グラフト−マレイン酸無水物(相溶化剤、ALDRICH社製、融点156℃)を加え、130℃で2時間混合し、乾燥して予備ペレットを製造した。続いて、小型混練機(DSM製:Xplore MC5)を用い、予備ペレットを混練してペレットを製造した(温度:180℃、速度:60rpm、時間:3分)。このペレットを、射出成形機(東洋精機製:Hand Truder、充填温度:190℃、金型温度:60℃)を用いて射出成形し、JIS K 7162−ABに基づくダンベル型試験片を作製した。
以下の手順により、リグノセルロースナノファイバーの複合材料化を行った。
まず、キシレン500ml中に、図3の(8)に示す疎水化リグノセルロースナノファイバー20g、ポリプロピレン18.8g(日本ポリプロ社製、WINTEC WSX03、射出グレード、融点約120℃)、及びポリプロピレン−グラフト−マレイン酸無水物(相溶化剤、ALDRICH社製、融点156℃)を加え、130℃で2時間混合し、乾燥して予備ペレットを製造した。続いて、小型混練機(DSM製:Xplore MC5)を用い、予備ペレットを混練してペレットを製造した(温度:180℃、速度:60rpm、時間:3分)。このペレットを、射出成形機(東洋精機製:Hand Truder、充填温度:190℃、金型温度:60℃)を用いて射出成形し、JIS K 7162−ABに基づくダンベル型試験片を作製した。
得られた試験片について、内部構造をX線CT(ZEISS社製:Xradia 410 Versa)により観察した。その結果を図4に示す(図4の(8))。また、図3の(5)、(6)及び(7)と同じバガスを複合材料化したもののX線CT画像も併せて示す。図4から明らかなように、実施例1のリグノセルロースナノファイバーを疎水化したものから製造した複合材料が最も良好な分散性を示していた。
さらに、参考例3で得られた試験片について、引張試験機(島津製作所社製:AG−5kNXplus)を用いて引張試験を行った。測定は、各条件について5本のダンベル型試験片を用い、平均値を採用した。引張速度は5mm/分とした。その結果を図5に示す。図5において、タフネスとは、応力−ひずみ曲線での曲線下面積(樹脂が破断されるまでに必要なエネルギー密度)に相当する。測定の結果、実施例1のリグノセルロースナノファイバーを疎水化したものから製造した複合材料が最も高いタフネスを示した。複合材料の分散性が優れているためと考えられる。
(実施例2)
前処理工程として、リグノセルロース系バイオマスである木粉(10kg)に、イオン液体水溶液を常圧下、100℃で6〜24時間接触させ、前処理を行う。イオン液体水溶液には、コリン酢酸が10kg含まれている。前処理中、最初の数時間で水分は蒸発する。続いて、水500kgを加え、高速ブレンダーもしくは湿式ディスクミルを用いて、室温下5〜30分間の物理的な解繊を行う。その後、室温で15分間の遠心分離(8,000rpm)及びフィルタープレスを行い、固液分離によってイオン液体のほとんどを回収し、目的のリグノセルロースナノファイバーを得る。このナノファイバー中、コリン酢酸は0.2kg程度含まれる。したがって、9.8kgのコリン酢酸をリサイクルすることができ、これに0.2kgのコリン酢酸を新たに補充して、リグノセルロース系バイオマスの前処理に再び利用することができる。
前処理工程として、リグノセルロース系バイオマスである木粉(10kg)に、イオン液体水溶液を常圧下、100℃で6〜24時間接触させ、前処理を行う。イオン液体水溶液には、コリン酢酸が10kg含まれている。前処理中、最初の数時間で水分は蒸発する。続いて、水500kgを加え、高速ブレンダーもしくは湿式ディスクミルを用いて、室温下5〜30分間の物理的な解繊を行う。その後、室温で15分間の遠心分離(8,000rpm)及びフィルタープレスを行い、固液分離によってイオン液体のほとんどを回収し、目的のリグノセルロースナノファイバーを得る。このナノファイバー中、コリン酢酸は0.2kg程度含まれる。したがって、9.8kgのコリン酢酸をリサイクルすることができ、これに0.2kgのコリン酢酸を新たに補充して、リグノセルロース系バイオマスの前処理に再び利用することができる。
なお、5回のリサイクルによって、コリン酢酸の化学構造は変化せず、前処理能力も低下しないことが確認された。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
Claims (6)
- リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理工程と、
前記前処理工程を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊する解繊工程と、
を含むリグノセルロースナノファイバーの製造方法。 - 前記前処理工程を、常圧で、80〜130℃、1時間〜24時間加熱して行う請求項1に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記イオン液体が、コリン系イオン液体である請求項1又は2に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記解繊工程を、高速ブレンダー又は湿式ディスクミルを用いて行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
- 前記解繊工程の後に固液分離を行い、分離されたイオン液体水溶液を前記前処理工程において再利用する請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロースナノファイバーの製造方法。
- リグノセルロース系バイオマスに対し、重量比で0.1〜1倍量のイオン液体を接触させて加熱する前処理を行い、前記前処理を経たリグノセルロース系バイオマスに水を加え、物理的に解繊して得られるリグノセルロースナノファイバー。
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- 2016-09-08 JP JP2016175354A patent/JP2018040083A/ja active Pending
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