以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に検討を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかるトラクタの略左側面図である。
図1に示されるように、本実施態様にかかるトラクタ1は、機体2を備え、機体の後部には、耕耘機3が取り付けられている。
本明細書において、「前後方向」とは、トラクタ1の直進時における進行方向であり、進行方向前方側を「前」、後方側を「後」という。また、「左右方向」とは、前後方向に直行する水平な方向をいい、作業者が操縦席に着座して、前側を向いたとき、左手側を「左」、右手側を「右」という。
図1に示されるように、トラクタ1の機体2は操舵用の車輪である前輪4と、駆動用の車輪である後輪5を有している。後輪5には、機体2の前部のボンネット6内に搭載されたエンジン7で発生された動力が、主変速部(図1には図示されていない。)および副変速部(図1には図示されていない。)によって、適宜減速されて伝達され、駆動されるように構成されている。
主変速部および副変速部は、ミッションケース20内に収容されている。
また、エンジン7で発生され、主変速部および副変速部で減速された動力は、4WDクラッチ(図1には図示されていない。)を介して、前輪4にも伝達されるように構成されている。4WDクラッチから、前輪4に動力が伝達されると、エンジン7から伝達される 動力によって前輪3および後輪4の四輪が駆動され、四輪駆動状態になり、4WDクラッチが動力の伝達を遮断すると、エンジン7から伝達される動力によって後輪4のみが駆動され、二輪駆動状態になる。
トラクタ1の機体2の後部には、作業機を装着可能な作業機連結装置8が設けられており、本実施態様においては、作業機として、耕耘機3が取り付けられている。
また、トラクタ1の機体2の中央部には、トラクタ1を操縦するための操縦席9が設けられ、操縦席9には、前輪3の操舵に用いるステアリングホイール10が設けられている。ステアリングホイール10は、ハンドルポスト11の上端部に回転可能に支持されている。また、ハンドルポスト11の下方には、各種操作ペダル12が設けられている。
機体2の後部には、シリンダケース61が設けられており、シリンダケース61の左右両側には、リフトアーム62が、軸AXまわりに回動可能に設けられており、リフトアーム62は、リフトロッド63を介して、ロアリンク64に連結され、耕耘機3は、ロアリンク64とトップリンク65とによって、機体2の後部に昇降可能に連結されている。
本実施態様においては、シリンダケース61内に複動式の油圧シリンダ61aが設けられている。図1には、詳細な構造は示されていないが、油圧シリンダ61aの内部空間はピストン61bによって、2つのチャンバに分割されており、ピストンロッド61cの反対側(キャップ側)のチャンバ内に油圧が供給されると、図1において、ピストン61bが右方に移動し、リフトアーム62が、軸AXまわりに上昇しつつ回動する。その結果、リフトアーム62は、リフトロッド63を介して、ロアリンク64と連結され、耕耘機3は、ロアリンク64とトップリンク65とによって、機体2の後部に昇降可能に連結されているため、耕耘機3が上昇される。その結果、ロアリンク64とトップリンク65に取り付けられている耕耘機3が上昇される。
一方、ピストンロッド61cが設けられたチャンバ内に油圧が供給されると、図1において、ピストン61cが左方に移動し、リフトアーム62が、軸AXまわりに上昇しつつ回動し、その結果、ロアリンク64とトップリンク65に取り付けられている耕耘機3が下降する。
図1において、リフトアーム62の基部には、リフトアーム62の回転角度を検出するリフトアームセンサ62aが設けられており、耕耘機3の高さ位置は、リフトアームセンサ62aの検出値に基づいて算出可能である。
耕耘機3はロータリ耕耘機であり、耕耘爪66と、耕耘爪66の上方を覆うロータリカバー67と、リヤカバー68とを備えている。耕耘爪66は、PTO連結装置8のPTO軸71によって伝達された動力により、回転されて、圃場の土壌を耕起するように構成されている。リヤカバー68は、ロータリカバー67の後部に上下方向に回転可能に設けられ、リヤカバー68の角度を検出するリヤカバーセンサ69が設けられている。リヤカバーセンサ69は、リヤカバー68の回転に連動するリンクに連結されたポテンショメータによって構成されている。
耕耘機3の高さ位置は、耕深センサ(図1においては図示されていない。)の検出値に基づいて、耕耘機制御部(図1においては図示されていない。)によって、リフトアーム62が回動されて制御され、耕深が設定された値に維持される。
図2は、図1に示されたトラクタ1の動力伝達経路を示すブロックダイアグラムである。
図2に示されるように、トラクタ1は、機体2の左右両側に、左の前車軸41Lに取付けられた左前輪4Lと、右の前車軸41Rに取付けられた右前輪4Rと、左の後車軸51Lに取付けられた左後輪5Lと、左の後車軸51Rに取り付けられた左の後輪5Rとを備えている。
図2には図示されていないが、右の車軸51Rの後輪5を支承する後輪支承部には、ひずみゲージが設けられ、後輪5の接地荷重を検出する荷重センサが形成されている。
図2に示されるように、機体2の前部には、エンジン7が搭載され、エンジン7には、前後進クラッチ303を介して、主変速部302が接続され、主変速部302の後段には、副変速部304が配置されている。
副変速部304のさらに後段には後輪差動歯車装置305が設けられ、後輪差動歯車装置305と後輪5とを連結する後車軸51L、51Rの基部には、それぞれブレーキ装置306L、306Rが設けられている。
さらに、エンジン7によって生成された動力は、アイドルギヤを介して、変速軸307に入力され、4WDクラッチ301および前輪差動歯車装置308を介して、前輪4に伝達可能に構成されている。上述のように、本実施態様においては、4WDクラッチ301から、前輪4に動力が伝達されると、エンジン7から伝達される動力によって前輪4および後輪5の四輪が駆動されて、四輪駆動状態になり、4WDクラッチ301が前輪4への動力の伝達を遮断すると、エンジン7から伝達される動力によって後輪5のみが駆動され、二輪駆動状態になるように構成され、四輪駆動状態と、二輪駆動状態とが切換え可能になっている。
また、トラクタ1の走行を制御する走行制御部100aには、前輪4の操舵角を検出する前輪操舵角センサ309が接続されている。本実施態様においては、走行制御部100aによって、前輪操舵角センサ309が検出した前輪操舵角の検出値に基づいて、前輪4の操舵角をフィードバックしながら、ステアリングシリンダ310を制御して、操舵するいわゆる自動走行モードを設定可能に構成されている。
後輪5に設けられた左右のブレーキ装置306L、306Rは、操縦席8に設けられた左右のブレーキペダル311L,311Rと連動しており、左後車軸51Lの基部に設けられた左ブレーキ装置306Lは、左ブレーキシリンダ319Lに接続され、右後車軸51Rの基部に設けられた右ブレーキ装置306Rは、右ブレーキシリンダ319Rに接続されている。左右のブレーキシリンダ319L,319Rは、走行制御部100aに接続された左右のブレーキソレノイド312L,312Rと接続されている。したがって、操縦者がブレーキペダル311L,311Rを踏み込むと、走行制御部100aに所定のブレーキ信号が入力され、走行制御部100aによって、ブレーキソレノイド312L、312Rが駆動されて、ブレーキ装置306L,306Rが作動される。ここに、ブレーキソレノイド312L、312Rは、比例調圧弁313を介して、油圧ポンプ314およびリリーフバルブ315とともに、油圧回路を形成している。
図2に示されるように、トラクタ1は、PTOクラッチ316を備えている。PTOクラッチ316は電子制御クラッチであり、エンジン7からの動力はPTOクラッチ316によって、耕耘機3に連結されたPTO軸71に伝達され、または、PTO軸71への動力の伝達が遮断される。また、図示されてはいないが、PTO軸71の前段側には、PT O変速第1シフタおよびPTO変速第2シフタが設けられており、これらのシフタを操作 することによって、低速から高速で、PTO軸71を順回転または逆回転させることができる。
図3は、主変速クラッチ、前後進クラッチおよびPTOクラッチ316の油圧回路図である。
本実施態様においては、エンジン7によって生成された動力により作動する油圧ポンプ314が、サクションフィルタなどを介して、ミッションケース20内の潤滑油を吸い上げ、油圧回路内に作動油としての圧油が供給されるように構成されている。
図3に示されるように、トラクタ1は、主第1主変速クラッチ317aおよび第2主変速クラッチ317bからなる変速クラッチ317と、HI-LOクラッチ318と、前後進クラッチ303の圧着状態を調節可能に構成されている。このような変速クラッチ317、HI-LOクラッチ318および前後進クラッチ303の圧着状態は、対応するアクチュエータ201,202,203,204,205,206,207,208を制御することによって、調節することができる。
第1主変速クラッチ317aにおいては、アクチュエータ201が、1速ソレノイド131を介して供給された圧油によって、1速クラッチ321を駆動するとともに、アクチュエータ203が、3速ソレノイド133を介して供給された圧油によって、3速クラッチ323を駆動するように構成されている。ここに、第1主変速クラッチ317aに供給される圧油の流量は、比例制御弁としても機能する1,3速昇圧ソレノイド135によって、調節可能に構成されている。
第2主変速クラッチ317bにおいては、アクチュエータ202が、2速ソレノイド132を介して供給された圧油によって、2速クラッチ322を駆動するとともに、アクチュエータ204が4速ソレノイド134を介して供給された圧油によって、4速クラッチ324を駆動するように構成されている。ここに、第2主変速クラッチ317bに供給される圧油の流量は、比例制御弁としても機能する2,4速昇圧ソレノイド136によって調節可能に構成されている。
HI-LOクラッチ318においては、アクチュエータ205が、高速(HI)昇圧ソレノイド137を介して供給された圧油によって、HIクラッチ318aを駆動するとともに、アクチュエータ206が、低速(LO)昇圧ソレノイド138を介して供給された圧油によって、LOクラッチ318bを駆動するように構成されている。
また、前後進クラッチ303においては、アクチュエータ207が、前進切換えソレノイド127を介して供給された圧油によって、前進クラッチ303aを駆動するとともに、アクチュエータ208が、後進切換えソレノイド129を介して供給された圧油によって、後進クラッチ303bを駆動するように構成されている。ここに、前進クラッチ303aおよび後進クラッチ303bに供給される圧油の流量は、前後進昇圧ソレノイド128またはクラッチペダルソレノイド130によって調節可能に構成されている。
また、各アクチュエータ201,203,202,204,205,206,207,208によって駆動される第1主変速クラッチ317a、第2主変速クラッ チ317b、HI-LOクラッチ318、前後進クラッチ303の圧着状態は、それぞれ、各ソレノイド131,133,132,134,137,138,127,129と各アクチュ エータ201,203,202,204,205,206,207,208との間に設けられた1速クラッチ圧力センサ111、2速クラッチ圧力センサ112、3速クラッチ圧力センサ113、4速クラッチ圧力センサ114、高速クラッチ圧力センサ115、低速クラッチ圧力センサ116、前進クラッチ圧力センサ117および後進クラッチ圧力センサ118によって測定される。これにより、第1主変速クラッチ317a、第2主変速クラッ チ317b、Hi-Loクラッチ318、前後進クラッチ303の圧着状態を調節することができる。
図3に示されるように、油圧回路HCBには、複動式の油圧シリンダ61aが接続され、油圧回路HCB中の油の流れを変更することによって、油圧シリンダ61aを伸縮させて、耕耘機3を昇降させることができ、油圧回路HCBおよび油圧シリンダ61aによって、耕耘機3を昇降させる昇降機構が構成されている。
図3に示されるように、油圧回路HCBは、作業機上昇ソレノイド139および作業機下降ソレノイド140を備えている。
油圧回路HCBには、油圧ポンプ314から送り出された圧油が、減圧回路やフィルタ などを介して、供給される。昇降制御部(図1ないし図3には図示されてない。)は、作業機上昇ソレノ イド139および作業機下降ソレノイド140に向けて、作業機昇降信号を出力することによって、下降と上昇とを切り換えるように構成されている。たとえば、作業機上昇ソレノイド139によって、昇降切換弁144の中立位置144aから上昇位置144bに切り換えると、油圧シリンダ61aのピストンロッド61が設けられたのと反対側(キャップ側)のチャンバに、油圧ポンプ314から圧油が供給されて、油圧シリンダ61aが伸び、耕耘機3が上昇される。そして、上昇メインソレノイド143が、図3に示される状態に復帰すると、油圧シリンダ61aに送り込まれた圧油の油圧回路HCB側への流出が規制されるから、リフトアーム62はその位置に保持される。
また、作業機下降ソレノイド140によって、昇降切換弁144の中立位置144aから、下降油室144cに切り換えられると、油圧シリンダ61aのピストンロッド61が設けられた側のチャンバに、圧油が供給されて、油圧シリンダ61aが縮み、耕耘機3が下降する。
なお、作業機下降ソレノイド140は比例ソレノイドであり、比例ソレノイドである作業機下降ソレノイド140によって、油圧シリンダ61aに供給される油の流量を変更することができる。また、耕耘機3の下降速度は、油圧シリンダ61aに供給される油の流量に応じて変化する。たとえば、流量を大きくすれば、耕耘機3の下降速度は速くなるが、流量を小さくすれば、耕耘機3の下降速度は遅くなる。このように、昇降制御部は、比例ソレノイドである作業機下降ソレノイド140によって、流量を任意に変更することができ、これにより、耕耘機3の下降速度を任意に変更することができる。
図4は 操縦席8の前方の略斜視図であり、図5は図4のAで示された部分の略斜視図、図6は操縦席の右側方の略斜視図である。
図4に示されるように、操縦席9の前方には、ハンドルポスト11に取り付けられたステアリングホイール10が設けられている。ハンドルポスト11の下部には各種操作ペダル12が設けられている。
具体的には、ハンドルポスト11の下部左方には、クラッチペ ダル325が設けられ、ハンドルポスト11の下部右方には、アクセルペダル326およびブレーキペダル311が設けられている。ブレーキペダル311は、左右のブレーキペダル311L,311Rを備えている。
ハンドルポスト11の上部左方には、前後進レバー327が設けられている。また、図5に示されるように、ハンドルポスト11の上部右方には、ウィンカレバー328、スロットルレバー329、レバー型の昇降スイッチ(ワンタッチ昇降レバー)330などが設けられている。昇降スイッチ(ワンタッチ昇降レバー)330は、耕耘機3を連結用のリフトアーム62をポジションレバーの操作位置または最上位置に移動させる場合に、ワンタッチ操作で移動可能なレバーである。さらに、ハンドルポスト11には、PTO変速レバーなどが設けられている。
図4および図5に示されるように、ハンドルポスト10の右方には、PTOスイッチ331が設けられている。PTOスイッチ331は、PTOクラッチ316(図2参照)を接続または非接続する場合に操作するスイッチである。たとえば、PTOスイッチ331を押し込んで回すことにより、押し込まれたまま固定されて、オン状態になり、オン状態において、PTOクラッチ316の上部を押すことにより、固定が解除されて、自動的に回転し、元のオフ状態に復帰する。
PTOスイッチ331の近傍には、PTO感度スイッチ332が設けられており、PTO感度スイッチ332は、PTOクラッチ316の接続時の感度(接続 時間)を調整するために用いられる。
また、たとえば、PTOスイッチ331は、図6に示すように、操縦席8の右側方などに設けられてもよい。図6に示すように、この他、操縦席8の右側方には、主変速操作部333(主変速増速ボタン333a、主変速減速ボタン333b)、副変速レバー334、耕耘機3のボタン型の昇降スイッチ335、耕耘機3の昇降レバー336、主変速スイッチ337、アクセルレバー338などが設けられている。このうち、昇降レバー336は、リフトアーム62(図1参照)を任意の位置に昇降する場合に操作される。
また、図4に示されるように、ステアリングホイール10の前方には、ダッシュボード339が設けられており、ダッシュボード339には、操縦席9に着席した作業者から見えるように、表示部であるメータパネル340が設けられている。
メータパネル340には、液晶モニターなどの表示画面やエンジン回転計(タコメータ)などが設けられている。表示画面には、現在選択されている変速段を表示する変速段表示、燃料消費率および走行速度などの各種情報が表示される。なお、このうち、燃料消費率表示と走行速度表示とは、一定時間ごとに自動的に切り替わるように表示されてもよい。
メータパネル340の表示画面には、機体2に装着されている耕耘機3(図1参照)が駆動状態か否かを報知する報知部が設けられている。報知部は、たとえば、PTOモニタ341(図7参照)やPTOランプであり、たとえば、耕耘機3に動力が伝達されている場合、すなわち、耕耘機3が駆動している場合に画像変化したりランプ点灯したりするように構成されている。また、報知部は、耕耘機3が駆動している場合に警告音などを鳴らすように構成されてもよい。
操縦席9の近傍、たとえば、ダッシュボード339には、機体2の走行モードを自動変速モードに設定する(自動変速モードをオンにする)場合に操作される入力スイッチ157(図7参照)が設けられている。
ここに、トラクタ1は、たとえば、圃場間を移動するような路上走行中、アクセルペダ ル326(図4参照)の踏み込み操作に基づいて主変速部302(図2参照)における変 速制御であるアクセル変速(自動変速)を行うことが好ましい。このため、トラクタ1は、制御部100(図7参照)によって自動変速モードに設定可能に構成されている。自動変速モードでは、後述するアクセルペダルセンサ153の検出値と、車速センサ150の検出値と、エンジン回転センサ152の検出値とに応じて、主変速部302(主変速クラッチ317)の変速段が切り替えられる。
この場合、アクセルペダル326の操作量(踏み込み量)と車速(走行速度)とエンジン回転数とに対応する主変速部302の変速段が予め設定されるとともに、設定された変速段が走行制御部100aの記憶部に記憶されている。走行制御部100aは、上記各検出値に応じた変速段を記憶部から導出し、主変速部302の変速段を導出した変速段に切り替える。
図7は、図1ないし図6に示されたトラクタ1の制御系、検出系、駆動系を示すブロックダイアグラムである。
図7においては、図3の変速にかかる各ソレノイド131,133,132,134,137,138,127,129を「変速ソレノイド」と総称するとともに、符号120を付している。
図7に示されるように、本実施態様にかかるトラクタ1の制御系は、トラクタ1の走行を制御する走行制御部100aと、エンジン7を制御するエンジン制御部100bと、耕耘機3の昇降動作を制御する作業機昇降制御部100cを備えている。
ここに、走行制御部100aと、エンジン制御部100bと、作業機昇降制御部100cは、たとえば、CAN通信ラインを介して、メータパネル340などに交互に交信可能に接続されている。
走行制御部100aには、前輪操舵角センサ309および車速センサ150が接続され、前輪操舵角センサ309が検出した前輪4の操舵角の検出値および車速センサ150が検出したトラクタ1の走行速度の検出値は、走行制御部100aに入力される。
走行制御部100aにはさらに、変速ソレノイド120と、左側の左ブレーキソレノイド312Lと,右側の右ブレーキソレノイド312Rと、比例調圧ソレノイド(比例調圧弁)313と、PTOソレノイド151が接続され、走行制御部100aは、変速ソレノイド120、左側の左ブレーキソレノイド312L,右側の右ブレーキソレノイド312R、比例調圧ソレノイド(比例調圧弁)313およびPTOソレノイド151に制御信号を出力するように構成されている。ここに、PTOソレノイド151は、PTOクラッチ316に供給される圧油の供給量を制御するものである。
エンジン制御部100bには、エンジン回転センサ152およびアクセルペダルセンサ153が接続され、エンジン回転センサ152が検出したエンジン7の回転数の検出値およびアクセルペダルセンサ153が検出したアクセルペダル326の踏み込み量は、エンジン制御部100bに入力される。
図7に示されるように、作業機昇降制御部100cには、後輪5に加わる接地荷重を検出する荷重センサ15、昇降レバー336が操作されているか否かを検出する昇降レバーセンサ154および耕耘機3の昇降スイッチ335が接続され、荷重センサ15によって検出された後輪5の接地荷重の検出信号、昇降レバーセンサ154によって検出されたオン・オフ信号および昇降スイッ チ335のオン・オフ信号は作業機昇降制御部100cに入力される。昇降スイッチ335は、作業機上げスイッチ155の耕耘機3の上昇操作を検出し、作業機下げスイッチ156の耕耘機3の下降操作を検出する。なお、ワンタッチ昇降レバー330についても、昇降スイッチ335と同様の構成で耕耘機3の上昇および下降操作を検出する。
作業機昇降制御部100cには、上昇パイロットソレノイド144および下降パイロットソレノイド141が接続されており、作業機昇降制御部100cは、上昇パイロットソレノイド144および下降パイロットソレノイド141に作業機昇降信号を出力して、作業機昇降用の油圧シリンダ61aを駆動制御するように構成されている。
操縦席9の近傍に設けられた入力スイッチ157がオン操作されると、走行制御部100aは、走行モードを自動変速モードに設定する。走行制御部100aによって、走行モードが自動変速モードに設定されると、トラクタ1は、アクセルペダル326の踏み込み操作によって自動的に変速する。自動変速モードにおいては、トラクタ1は、車速センサ150によって検出され、走行制御部100aに入力される機体2の走行速度、アクセルペダルセンサ153によって検出され、エンジン制御部100bに入力されるアクセルペダル326の踏み込み量(踏み込み位置)およびエンジン回転センサ152によって検出され、エンジン制御部100bに入力されるエンジン回転数に基づいて、自動的に変速される。
本実施態様にかかる作業車両1においては、作業機昇降制御部100cが、耕耘機3の高さ位置Hを常時モニターしており、耕耘機3の高さ位置Hが所定の高さH0を超えたときは、エンジン7からの動力が耕耘機3に連結されたPTO軸71に伝達されないように、PTOクラッチ316を制御している。
すなわち、リフトアームセンサ62aが検出したリフトアーム62の回転角度は作業機昇降制御部100cに入力され、作業機昇降制御部100cは、走行制御部100aに入力されたリフトアーム62の回転角度に基づいて、耕耘機3の高さ位置Hを算出し、耕耘機3の高さHが、所定の高さH0を超えたと認められたときは、PTOクラッチ316に遮断信号を出力して、エンジン7からの動力がPTO軸71に伝達されないように、PTOクラッチ316を制御している。
以上のように構成された本実施態様にかかるトラクタ1は、以下のようにして、耕耘機3によって圃場を耕起する。
まず、エンジン7が起動され、エンジン7が生成した動力は、主変速部302および副変速部304で減速されて、4WDクラッチ301に入力される。平坦地を走行する通常状態においては、4WDクラッチ301は、エンジン7で生成され、主変速部および副変速部で減速された動力を前輪4に伝達するように構成され、後輪5とともに、前輪4も駆動され、トラクタ1は、四輪駆動によって走行される。
耕耘機3を用いて、圃場を耕起する場合には、耕耘爪66が圃場の土壌内に位置するように、作業者によって、耕耘機下げスイッチ156がオンされて、耕耘機3が圃場面に押し付けられる。
このように、圃場を耕起するときは、圃場の土壌内に押し込まれた耕耘爪66によって、圃場の土壌を掘り起こしつつ、トラクタ1が走行されるが、中華人民共和国の圃場のように、圃場の表面が固い場合には、耕耘爪66を圃場の土壌内に押し込むことが困難なため、強い力で耕耘爪66を土壌面に押し付ける必要がある。
そのため、本実施態様においては、複動式の油圧シリンダ61aを用いて、耕耘機3を昇降させるように構成されている。
しかし、このように複動式の油圧シリンダ61aを用いて、耕耘機3を強い力で圃場面に押し付けるように構成されている場合には、耕耘機3を圃場の土壌面に押し付ける力によって、駆動輪である後輪5が圃場面から浮き上がり、継続して、走行することができなくなる場合があった。
そこで、本実施態様においては、後輪5が圃場面から浮き上がっている場合、または、後輪5が圃場面から浮き上がりつつある場合に、耕耘機3を上昇させて、圃場面から離間させ、後輪5を圃場面に当接させて、円滑な走行が可能になるように構成されている。
具体的には、圃場の耕起中に、作業機昇降制御部100cが、荷重センサ15によって検出された後輪5の接地荷重の検出信号に基づいて、後輪5に加わる接地荷重Lが第一の所定値L01以下になったと判定したときは、耕耘機3を土壌内に押し込む力が過大で、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がりつつあるおそれがあるから、作業機昇降制御部100cは、上昇パイロットソレノイド144に作業機上昇信号を出力し、油圧シリンダ61aに作動油を供給させ、リフトアーム62を、軸AXまわりに上昇させつつ回動させて、耕耘機3を上昇させる。
本実施態様においては、耕耘機3が所定の高さH0を超えたときは、作業機昇降制御部100cは、PTOクラッチ316に遮断信号を出力して、エンジン7からの動力がPTO軸71に伝達されないように、PTOクラッチ316が制御されるが、作業機昇降制御部100cから、上昇パイロットソレノイド144に作業機上昇信号が出力されているときは、耕耘機3が所定の高さH0を超えていても、作業機昇降制御部100cは、PTOクラッチ316に遮断信号を出力しないように構成されている。
その結果、耕耘機3を圃場面に強い力で押し付けていたために、圃場面から浮き上がっていたか、または、浮き上がりつつあった後輪5は下降し、圃場面に当接する。
こうして、後輪5が圃場面に当接した後も、作業機昇降制御部100cは、荷重センサ15によって検出された後輪5に加わる接地荷重Lをウォッチングし続け、荷重センサ15が検出した後輪5に加わる接地荷重Lが第二の所定値L02(ここに、L02>L01である。)以上になったと判定したときは、後輪5が圃場面に完全に当接したと認められるから、上昇パイロットソレノイド144に作業機停止信号を出力して、油圧シリンダ61aへの作動油の供給を停止させ、耕耘機3の上昇を停止させる。
その後、所定時間T0が経過すると、作業機昇降制御部100cは、下降パイロットソレノイド141に作業機昇降信号を出力して、油圧シリンダ61aのピストンロッド61cが設けられたチャンバ内に圧油を供給し、リフトアーム62を、軸AXまわりに下降させつつ、回動させて、耕耘機3を下降させ、圃場面に当接させる。
その結果、耕耘機3の耕耘爪66を土壌面に所定の力で押し付けることができるから、耕耘機3を用いて、圃場の耕起作業を再開することができる。
圃場を耕起するため、耕耘機3を圃場面に強く押し付けつつ、トラクタ1を走行させるときに、圃場が固い場合には、後輪5が圃場面から浮き上がって、走行ができなくなる場合があるが、本実施態様によれば、作業機昇降制御部100cは、荷重センサ15によって検出された後輪5に加わる接地荷重Lが第一の所定値L01以下になったと判定したときは、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がるおそれがあると判定して、上昇パイロットソレノイド144に作業機上昇信号を出力し、油圧シリンダ61aに作動油を供給させ、リフトアーム62を軸AXまわりに上昇させつつ回動させて、耕耘機3を上昇させるように構成されている。したがって、後輪5を圃場面に向けて下降させ、後輪5を圃場面に当接させることができる。
さらに、荷重センサ15が検出した後輪5に加わる接地荷重Lが第二の所定値L02(ここに、L02>L01である。)以上になったと判定したときは、作業機昇降制御部100cは、後輪5が圃場面に完全に当接したと判定し、上昇パイロットソレノイド144に作業機停止信号を出力して、油圧シリンダ61aへの作動油の供給を停止させ、耕耘機3の上昇を停止させる。
その後、所定時間T0が経過すると、作業機昇降制御部100cは、下降パイロットソレノイド141に作業機昇降信号を出力して、油圧シリンダ61aのピストンロッド61cが設けられたチャンバ内に圧油を供給し、リフトアーム62を、軸AXまわりに下降させつつ、回動させて、耕耘機3を下降させ、圃場面に当接させる。
その結果、耕耘機3の耕耘爪66を土壌面に所定の力で押し付けることができるから、耕耘機3を用いて、圃場の耕起作業を再開することができる。
以上のように、本実施態様によれば、複動式の油圧シリンダ61aを用いているので、圃場面が固くても、耕耘機3を圃場面に強く押し付けつつ、耕起作業を行うことができ、その一方で、耕耘機3を圃場面に強く押し付けつつ、トラクタ1を走行させた結果、圃場から後輪5が浮き上がりやすいときでも、後輪5が浮き上がって、圃場の耕起作業ができなくなることを効果的に防止し、トラクタ1によって、円滑に圃場を耕起することが可能になる。
図8は、本発明の別の好ましい実施態様にかかるトラクタの制御系、検出系、駆動系を示すブロックダイアグラムである。
図8においては、後輪5に加わる接地荷重を検出する図7の荷重センサ15に代えて、後輪5の回転数を検出する後輪回転数センサ25が設けられている。
後輪回転数センサ25によって検出された後輪5の回転数は作業機昇降制御部100cに入力される。作業機昇降制御部100cは、入力された後輪5の回転数に基づいて、後輪5の回転数の変化率ΔVを算出する。その結果、後輪5の回転数の変化率ΔVが第一の所定値ΔV1を超えているときは、後輪5が空回りをしていると認められるから、作業機昇降制御部100cは、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、または、後輪5が圃場面から浮き上がりつつあると判定し、上昇パイロットソレノイド144に作業機上昇信号を出力し、油圧シリンダ61aのピストンロッド61cが設けられていない側のチャンバ内に油圧を供給させて、リフトアーム62を、軸AXまわりに上昇させつつ回動させて、耕耘機3を上昇させる。
したがって、耕耘機3を圃場面に強い力で押し付けていたために、圃場面から浮き上がっていたか、または、浮き上がりつつあった後輪5は下降し、圃場面に当接する。
こうして、後輪5が圃場面に当接した後も、作業機昇降制御部100cは、後輪回転数センサ25が検出した後輪5の回転数をウオッチし続け、後輪5の回転数の変化率ΔVが第二の所定値ΔV2(ΔV2<ΔV1)以下になったと判定すると、後輪5が圃場面に完全に接地していると判定できるから、上昇パイロットソレノイド144に作業機停止信号を出力し、油圧シリンダ61aのピストンロッド61cが設けられていない側のチャンバ内への圧油の供給を停止させて、耕耘機3の上昇を停止させる。
その結果、後輪5を駆動して、トラクタ1が圃場面を走行することが可能になる。
その後、所定時間T0が経過すると、作業機昇降制御部100cは、下降パイロットソレノイド141に作業機昇降信号を出力して、油圧シリンダ61aのピストンロッド61cが設けられたチャンバ内に圧油を供給し、リフトアーム62を、軸AXまわりに下降させつつ、回動させて、耕耘機3を下降させ、圃場面に当接させる。
したがって、耕耘機3の耕耘爪66を土壌面に所定の力で押し付けることができるから、耕耘機3を用いて、圃場の耕起作業を再開することができる。
本実施態様においても、後輪5の回転数の変化率ΔVが第一の所定値ΔV1以上になったときに、作業機昇降制御部100cは、後輪5が圃場面から浮き上がりつつあるか、または、後輪5が圃場面から浮き上がりつつあると判定して、耕耘機3を上昇させ、耕耘機3を上昇させた後に、後輪5の回転数の変化率ΔVが、第二の所定値ΔV2(ΔV2<ΔV1)以下になったと判定すると、作業機昇降制御部100cは、後輪5が圃場面に接地していると判定し、耕耘機3を下降させ、圃場面に当接させて、耕起作業を再開するように構成されているから、耕耘機3を固い圃場面に押し付けつつ、圃場を耕起する場合にも、後輪5が圃場面から浮き上がり、円滑な走行ができなくなることを確実に防止することが可能になる。
図9は、本発明のさらに他の好ましい実施態様にかかるトラクタの制御系、検出系、駆動系を示すブロックダイアグラムである。
本実施態様においては、図9に示されるように、作業車両1には、リヤカバー68の角度を検出するリヤカバーセンサ69が設けられている。
リヤカバー68は、耕耘機3による圃場の耕耘深さが深いときは上昇し、耕耘深さが浅いときは下降するから、作業機昇降制御部100cが、リヤカバー68の回動量が一定になるように、耕耘機3の昇降を制御すれば、圃場を一定の深さで耕耘することが可能になる。
しかしながら、本実施態様においては、作業機昇降制御部100cは、荷重センサ15によって検出された後輪5の接地荷重Lが第一の所定値L01以下になったときは、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がりつつあるおそれがあると判定し、耕耘機3を上昇させて、後輪5を下降させ、その後、荷重センサ15が検出した後輪5に加わる接地荷重Lが第二の所定値L02(ここに、L02>L01である。)以上になったと判定したときは、後輪5が完全に圃場面に完全に当接したと判定して、耕耘機3の上昇を停止させるように構成されており、したがって、リヤカバーの回動量が一定で、耕耘深さが一定になるように、圃場を耕耘していた場合でも、耕耘機3が上昇され、リヤカバーセンサ69が検出したリヤカバー68の回動量が変化することがあり得る。そこで、作業機昇降制御部100cは、荷重センサ15によって検出された後輪5の接地荷重Lが第一の所定値L01以下になったときは、耕耘機3が上昇中で、耕耘深さが変化する旨をメータパネル340の表示画面に表示するように構成されている。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施態様においえは、作業機として耕耘機3を用いているが、作業機として耕耘機3を用いることは必ずしも必要でなく、耕耘機耘機3以外の作業機を備えていてもよい。
さらに、図1ないし図7に示された実施態様においては、後輪5に加わる荷重を検出する荷重センサ15を用いて、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がりつつあるかを判定しており、図8に示された実施態様においては、後輪5の回転数を検出する後輪回転数センサ25を用いて、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がりつつあるかを判定しているが、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がりつつあるかを、荷重センサ15または後輪回転数センサ25を用いて判定することは必ずしも必要ではなく、他の方法によって、後輪5が圃場面から浮き上がっているか、あるいは、浮き上がりつつあるかを判定してもよい。
また、図8に示された実施態様においては、後輪5の回転数を検出する後輪回転数センサ25を用いて、後輪5の回転数を検出しているが、図1ないし図7に示された実施態様において用いられている車速センサ150を、後輪5の回転数に基づいて、トラクタ1の車速を求めるように構成すれば、車速センサ150に基づいて、後輪5の回転数を検出すればよく、後輪回転数センサ115を用いることは必要がない。