しかしながら、特許文献1に記載の技術では、連結部に押圧される木造ブレースの先端面は、木造ブレースの軸線方向と垂直に交差するように構成されている。このため、木造ブレースに伝達される圧縮力が大きくなると、木造ブレースが座屈する虞がある。木造ブレースが座屈すると、建築物の靭性(粘り強さ)を向上させることができない。
本開示は上述の課題に鑑みなされたものであり、建築物に大きな地震力が作用した場合であっても、木造ブレースの座屈を回避することで、建築物の靭性を向上させることができる架構補強構造、及びブレース構造体を提供することを目的する。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る架構補強構造は、建築物の架構を補強するための架構補強構造であって、前記架構の内部を斜め方向に沿って延在する少なくとも一つの木造ブレースと、前記架構を構成する第1部材に固定される接合金物と、を備え、前記木造ブレースは、前記木造ブレースの先端面から突出する突出部を含み、前記接合金物は、前記突出部が挿入される凹部を含み、前記木造ブレースと前記第1部材との交角が鋭角となる側を鋭角側、前記第1部材との交角が鈍角となる側を鈍角側と定義した場合に、前記突出部の前記鈍角側の側面が、前記凹部内の内壁面と当接するように構成される。
上記(1)に記載の構成では、架構を構成する第1部材に固定される接合金物は、木造ブレースの先端面から突出する突出部が挿入される凹部を含む。そして、木造ブレースの突出部の鈍角側の側面が、接合金物の凹部内の内壁面と当接するように構成される。このため、木造ブレースに伝達される圧縮力が大きくなっても、木造ブレースが座屈する前に木造ブレースの突出部をめり込ませることができる。木造ブレースは、座屈してしまうとブレースとしての機能を果たすことができない。しかし、木造ブレースの突出部がめり込んだ状態であったとしても、木造ブレースはブレースとしての一定の機能を果たすことができる。したがって、上記(1)に記載の構成によれば、建築物に大きな地震力が作用した場合であっても、木造ブレースの座屈を回避することで、建築物の靭性を向上させることができる。
また、上記(1)に記載の構成によれば、木造ブレースの突出部の鈍角側の側面が接合金物の凹部内の側壁と当接しているに過ぎず、建築物に大きな地震力が作用した場合に、接合金物が木造ブレースを引っ張ろうとしても、接合金物からの引張力は木造ブレースに伝達されない。つまり、引張力による木造ブレースの破損を回避することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、接合金物は、架構に取り付けられる台座を介して、架構に固定される。
上記(2)に記載の構成によれば、様々な外形形状を有する架構に対して接合金物を固定することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、前記少なくとも一つの木造ブレースは、第1の木造ブレースと第2の木造ブレースとを含み、前記第1の木造ブレースの前記突出部と、前記第2の木造ブレースの前記突出部とは、共通の前記接合金物の前記凹部に挿入されている。
上記(3)に記載の構成によれば、第1の木造ブレースの突出部と第2の木造ブレースの突出部は、共通の接合金物の凹部に挿入されるので、架構に固定される接合金物の数を低減することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、前記第1の木造ブレースの前記突出部は、前記共通の前記接合金物の前記凹部の一方側の内壁面と当接し、前記第2の木造ブレースの前記突出部は、前記共通の前記接合金物の前記凹部の他方側の内壁面と当接する。
上記(4)に記載の構成によれば、第1の木造ブレースと第2の木造ブレースとが互いに異なる方向から凹部に挿入されていることとなるので、建築物に地震力が作用した場合に、共通の接合金物に対して第1の木造ブレースおよび第2の木造ブレースから同時に力が作用しない。このため、第1の木造ブレースおよび第2の木造ブレースが同じ方向から凹部に挿入されている場合よりも、接合金物の破損を抑制することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の何れか1つに記載の構成において、前記少なくとも一つの木造ブレースは、第1の木造ブレースと第2の木造ブレースとを含み、前記第1の木造ブレースの前記突出部と、前記第2の木造ブレースの前記突出部とは、前記架構の正面視において同一の断面形状を有する。
本発明者らの鋭意検討の結果、木造ブレースの座屈の発生のしにくさは、木造ブレースの長さではなく、架構の正面視における突出部の断面形状が支配的であることを見出した。上記(5)に記載の構成によれば、第1の木造ブレースは、第2の木造ブレースと異なる長さを有していたとしても、第2の木造ブレースと同程度の座屈の発生のしにくさを有することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)~(5)の何れか1つに記載の構成において、前記少なくとも一つの木造ブレースは、前記架構の内部で互いに交差するように配置される第1の交差木造ブレースと、第2の交差木造ブレースと、を含み、前記第1の交差木造ブレースは、第1交差木造ブレース本体と、前記第1交差木造ブレース本体の一面に積層される第2交差木造ブレース本体と、を含み、前記第2の交差木造ブレースは、第3交差木造ブレース本体と、前記第3交差木造ブレース本体の一面に積層される第4交差木造ブレース本体と、を含み、前記第1交差木造ブレース本体の他面に形成される第1溝と前記第3交差木造ブレース本体の前記一面に形成される第3溝とが係合され、前記第2交差木造ブレース本体の他面に形成される第2溝と前記第4交差木造ブレース本体の前記一面に形成される第4溝とが係合される。
上記(6)に記載の構成によれば、第1の交差木造ブレースと第2の交差木造ブレースとを架構の内部において互いにずらすことなく交差させることができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)~(6)の何れか1つに記載の構成において、前記架構の内部を前記斜め方向に沿って延在する金属ブレース、をさらに備え、前記金属ブレースは、前記木造ブレースの延在方向に沿って配置され、前記接合金物に固定される。
上記(7)に記載の構成によれば、建築物に大きな地震力が作用した場合に、接合金物が金属ブレースを引っ張って、金属ブレースを引張ブレースとして機能させることができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載の構成において、前記金属ブレースは、前記金属ブレースに作用する軸方向の圧縮力をキャンセルするように構成された圧縮力取消機構を含む。
上記(8)に記載の構成によれば、金属ブレースは圧縮力取消機構を含むので、圧縮力取消機構を含まない場合に金属ブレースに作用する軸方向の圧縮力を木造ブレースに負担させることができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の構成において、前記金属ブレースは、前記金属ブレースの軸線方向に沿って延在する第1延在部と、前記金属ブレースの前記軸線方向に沿って延在する第2延在部であって、該第2延在部の一方側の端部が前記第1延在部の他方側の端部と連結されるように構成された第2延在部と、を含み、前記圧縮力取消機構は、前記第2延在部の前記一方側の端部に形成され、前記金属ブレースの前記軸線方向に長手形状を有する第1貫通孔と、前記第1延在部の前記他方側の端部に形成され、前記第1貫通孔に挿通されるピン部材と、を含む。
上記(9)に記載の構成によれば、金属ブレースを圧縮しようとしても、第1延在部及び第2延在部のうち少なくとも一方がスライドし、金属ブレースへの圧縮力の作用を回避する。このように、圧縮力取消機構を容易に実現することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(7)~(9)の何れか1つに記載の構成において、前記木造ブレースは、第1木造ブレース本体と、前記第1木造ブレース本体に積層される第2木造ブレース本体と、を含み、前記金属ブレースは、前記第1木造ブレース本体と前記第2木造ブレース本体との間に配置される。
上記(10)に記載の構成によれば、金属ブレースは、第1木造ブレース本体と第2木造ブレース本体との間に配置される。このため、木造ブレースと金属ブレースとを組み合わせた一部品(ハイブリッドブレース)としての取り扱いが可能になる。また、ハイブリッドブレースの外観を木目調にすることができるので、意匠性向上を図ることができる。尚、後述する実施形態では、上記(10)に記載の構成は、上記(6)に記載の構成をさらに限定した場合について説明しているが、上記(6)に記載の構成を前提とするものではない。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)に記載の構成において、前記木造ブレースは、前記第1木造ブレース本体と前記第2木造ブレース本体との間に前記木造ブレースの軸線方向に沿って延在する収納空間が形成され、前記金属ブレースは、前記収納空間に配置される。
上記(11)に記載の構成によれば、木造ブレースと金属ブレースとを組み合わせたハイブリッドブレースを容易に実現することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)から(11)の何れか1つに記載の構成において、前記架構は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造、コンクリート充填鋼管構造のいずれか、或いはそれらの組み合わせで形成される。
上記(12)に記載の構成によれば、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造、コンクリート充填鋼管構造のいずれか、或いはそれらの組み合わせで形成された架構に対して、本開示に係る架構補強構造を適用することができる。
(13)本開示の少なくとも一実施形態に係るブレース構造体は、建築物の架構の内部を斜め方向に沿って延在するように配置され、前記架構を構成する第1部材に固定される接合金物を介して前記架構に接合されるブレース構造体であって、前記ブレース構造体は、木造ブレースからなり、前記木造ブレースの先端面から突出するとともに、前記架構の内部に向かって開口するように形成される前記接合金物の凹部に挿入可能な突出部を備え、前記木造ブレースと前記第1部材との交角が鋭角となる側を鋭角側、前記第1部材との交角が鈍角となる側を鈍角側と定義した場合に、前記突出部の前記鈍角側の側面が、前記凹部内の内壁面と当接するように構成される。
上記(13)に記載の構成によれば、木造ブレースの突出部の鈍角側の側面が接合金物の凹部内の内壁面と当接するので、木造ブレースに伝達される圧縮力が大きくなっても、木造ブレースが座屈する前に木造ブレースの突出部をめり込ませることができる。木造ブレースは、座屈してしまうとブレースとしての機能を果たすことができない。しかし、木造ブレースの突出部がめり込んだ状態であったとしても、木造ブレースはブレースとしての一定の機能を果たすことができる。したがって、上記(13)に記載の構成によれば、建築物に大きな地震力が作用した場合であっても、木造ブレースの座屈を回避することで、建築物の靭性を向上させることができる。
また、上記(13)に記載の構成によれば、木造ブレースの突出部の鈍角側の側面が接合金物の凹部内の側壁と当接しているに過ぎず、建築物に大きな地震力が作用した場合に、接合金物が木造ブレースを引っ張ろうとしても、接合金物からの引張力は木造ブレースに伝達されない。つまり、引張力による木造ブレースの破損を回避することができる。
(14)本開示の少なくとも一実施形態に係るブレース構造体は、建築物の架構の内部を斜め方向に沿って延在するように配置され、前記架構を構成する第1部材に固定される接合金物を介して前記架構に接合されるブレース構造体であって、前記ブレース構造体は、木造ブレースと金属ブレースを有し、前記木造ブレースは、先端面から突出するとともに、前記架構の内部に向かって開口するように形成される前記接合金物の凹部に挿入可能な突出部を備え、前記木造ブレースと前記第1部材との交角が鋭角となる側を鋭角側、前記第1部材との交角が鈍角となる側を鈍角側と定義した場合に、前記突出部の前記鈍角側の側面が、前記凹部内の内壁面と当接するように構成され、前記金属ブレースは、前記架構の内部を斜め方向に沿って延在するように、前記木造ブレースの延在方向に沿って配置され、前記接合金物に固定される。
上記(14)に記載の構成によれば、建築物に大きな地震力が作用した場合であっても、木造ブレースの座屈を回避することで、建築物の靭性を向上させることができる。また、引張力による木造ブレースの破損を回避することができる。また、建築物に大きな地震力が作用した場合に、接合金物が金属ブレースを引っ張って、金属ブレースを引張ブレースとして機能させることができる。
本開示の少なくとも一実施形態によれば、建築物に大きな地震力が作用した場合であっても、木造ブレースの座屈を回避することで、建築物の靭性を向上させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
<第1実施形態>
(架構補強構造の構成)
本開示の第1実施形態に係る架構補強構造1の構成について説明する。架構補強構造1は、建築物の架構2を補強するためのものである。図1に示すように、架構2は、柱4と梁6とを互いに結合させることで組み立てられる。第1実施形態では、架構2は鉄骨造(S造)で形成されている。本開示では、図面への記載も含め、柱4が延びる方向を「上下方向W1」とし、梁6が延びる方向を「左右方向W2」とする。尚、建築物を上面視した際に、建築物が矩形状を有する場合には、梁6は、建築物の長手方向に沿って延びていてもよいし、建築物の短手方向に沿って延びていてもよい。また、建築物を上面視した際に、建築物が円形形状を有する場合には、梁6は、建築物の径方向に沿って延びていてもよい。
第1実施形態では、架構2は、鉄骨造で形成されるが、本開示はこの形態に限定されない。幾つかの実施形態では、架構2は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造、コンクリート充填鋼管構造のいずれか、或いはそれらの組み合わせで形成される。例えば、架構2は、コンクリート充填鋼管構造(CFT造)で形成されていてもよいし、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)であってもよい。また、架構2を構成する柱4と梁6は、同一の構造である必要はなく、本開示で提示した各種構造を組み合わせて形成されていても良い。(例えば、柱4をCFT造、梁6をS造で形成しても良い。)
架構補強構造1は、木造ブレース8からなるブレース構造体9と、接合金物10と、を備える。
木造ブレース8は、一対の柱4,4と一対の梁6,6とによって囲われることで形成される架構2の内部3を斜め方向に沿って延在するように配置される。一対の柱4,4は、左右方向W2に並んで配置されている。一対の梁6,6は、上下方向W1に並んで配置されている。柱4及び梁6のそれぞれを形成する鋼材は特に限定されず、例えば、H型鋼、角型鋼、丸型鋼、山形鋼、又は溝形鋼などである。また、柱4及び梁6は、鋼材の組み合わせによって形成されてもよい。この場合、柱4及び梁6は、例えば箱形状を有する。木造ブレース8は、架構2の内部3を、左から右に向かうにつれて上に向かって延在する、又は、左から右に向かうにつれて下に向かって延在する。図1に示す例示的な形態では、架構2の正面視において架構2の内部3が格子状に区画されるように、複数の木造ブレース8(後述する第1の木造ブレース32、及び第2の木造ブレース34)が設けられている。尚、図1に示す例示的な形態では、架構補強構造1は、架構2の内部3に第1の木造ブレース32、及び第2の木造ブレース34の両方が設けられる場合について説明しているが、本開示はこの実施形態に限定されない。架構補強構造1は、架構2の内部3に第1の木造ブレース32及び第2の木造ブレース34のうち何れか一方が設けられ、他方が設けられないように構成されてもよい(木造ブレース8が片流れに配置されてもよい)。
接合金物10は、柱4又は梁6に固定されており、木造ブレース8と柱4、又は、木造ブレース8と梁6とを接合する。接合金物10は、例えば溶接によって柱4又は梁6に固定されてもよいし、高力ボルトのような締結具によって柱4又は梁6に固定されてもよい。本実施形態では、接合金物10は、架構2の内周面5に固定され、架構2の内周面5から架構2の内部3に向かって突出している。この架構2の内周面5は、柱4の外周面のうち架構2の内部3に面する内側面5A、及び梁6の外周面のうち架構2の内部3に面する内側面5Bを含む。また、図1に示す例示的な形態では、一対の柱4,4のうち左右方向W2の左側に配置される一方の柱4に固定されている接合金物10は、柱4と接合金物10との間に配置される台座7を介して、柱4の内側面5Aに取り付けられている。一対の柱4,4のうち左右方向W2の右側に配置される他方の柱4に固定されている接合金物10は、柱4の内側面5Aに直接取り付けられている。梁6に固定されている接合金物10は、梁6の内側面5Bに直接取り付けられている。接合金物10の突出面12には、架構2の内部3側とは反対側(つまりは、柱4側又は梁6側)に向かって凹む凹部14が形成されている。木造ブレース8は、木造ブレース8の先端面16から架構2の内部3側とは反対側に向かって突出する突出部18を含む。この突出部18は、接合金物10の凹部14に挿入可能に構成されている。
図2を参照して、接合金物10によって木造ブレース8と梁6とが接合される部分について説明する。図2に示す例示的な形態では、接合金物10は梁6の内側面5Bから上方に向かって突出している。また、木造ブレース8は、左から右に向かうにつれて上に向かって延在している。尚、木造ブレース8の突出部18は、木造ブレース8の両方の先端面16に設けられている(図1参照)が、木造ブレース8の一方の先端面16に設けられている突出部18だけを図示して説明する。また、接合金物10は、柱4と木造ブレース8とを接合する接合金物10であってもよい。
図2に示すように、木造ブレース8の軸線O1と梁6との交角が鋭角θ1となる側を右側(鋭角側)、梁6との交角が鈍角θ2となる側を左側(鈍角側)とする。以下では、木造ブレース8の軸線O1が延在する方向を「第1軸線方向」とする。
木造ブレース8は、木造ブレース8の先端面16から梁6に向かって突出する突出部18を含む。木造ブレース8の先端面16は、平面形状を有しており、接合金物10の突出面12に対向している。本実施形態では、木造ブレース8の先端面16及び接合金物10の突出面12は、梁6の内側面5Bと互いに平行であるように構成されている。また、突出部18は、先端面16のうち左右方向W2の左側の一部から梁6に向かって突出している。先端面16のうち左右方向W2の右側の残部には、突出部18は設けられておらず、接合金物10の突出面12と当接している。
接合金物10は、突出部18が挿入される凹部14を含む。そして、突出部18の左側の左側面20が、凹部14内の左側の左側内壁面22と当接する。本実施形態では、凹部14は、左側内壁面22が左右方向W2に対して垂直に交差する平面形状を有するように構成されている。突出部18は、左側面20が左右方向W2に対して垂直に交差する平面形状を有するように構成されている。
また、不図示であるが、幾つかの実施形態では、凹部14の左側内壁面22は左右方向W2に対して傾斜していてもよい。凹部14の左側内壁面22は、左から右に向かうにつれて凹部14の底面28と離間する距離が大きくなるように、左右方向W2に対して傾斜してもよい。この場合、突出部18の左側面20は、凹部14内の左側内壁面22と面接触する。また、凹部14の左側内壁面22は、左から右に向かうにつれて凹部14の底面28に近づくように、左右方向W2に対して傾斜してもよい。
図2に示す例示的な形態では、突出部18の右側の右側面24は、凹部14内の右側の右側内壁面30と離間している。また、突出部18の先端面26は、凹部14の底面28と当接している。尚、不図示であるが、幾つかの実施形態では、突出部18の右側面24は、凹部14内の右側内壁面30と当接している。また、不図示であるが、幾つかの実施形態では、突出部18の先端面26は凹部14の底面28と離間している。
また、第1実施形態では、図1に示すように、木造ブレース8は、第1の木造ブレース32(8)と第2の木造ブレース34(8)と、を含む。本実施形態では、木造ブレース8のうち左から右に向かうにつれて上に向かって延在する木造ブレース8を第1の木造ブレース32とする。また、木造ブレース8のうち左から右に向かうにつれて下に向かって延在する木造ブレース8を第2の木造ブレース34とする。第1の木造ブレース32の突出部36(18)と、第2の木造ブレース34の突出部38(18)とは、共通の接合金物10の凹部14に挿入されてもよい。
ここで、図3を参照して、接合金物10の構成の一例について説明する。接合金物10は、左側壁面形成部44と、右側壁面形成部46と、を含む。左側壁面形成部44、及び右側壁面形成部46のそれぞれは梁6の内側面5Bに固定されている。左側壁面形成部44及び右側壁面形成部46は、左右方向W2に互いに離間して並んで配置されている。
左側壁面形成部44は、梁6の内側面5Bから上方に延在する上方延在部48、上方延在部48の上端から左方に延在する左方延在部50、及び上方延在部48の上端と下端との間から右方に延在する第1底面部28A(28)、を含む。左側壁面形成部44の上方延在部48は、第1底面部28Aよりも上方に突出している。左側壁面形成部44の上方延在部48の右側面のうち第1底面部28Aよりも上方の部分47が、上述した凹部14の左側内壁面22に相当する。また、左方延在部50の上面49が、上述した接合金物10の突出面12の一部(第1の木造ブレース32の先端面16と当接していない側の突出面12)に相当する。
右側壁面形成部46は、梁6の内側面5Bから上方に延在する上方延在部52及び、上方延在部52の上端から右方に延在する右方延在部54、及び上方延在部52の上端と下端との間から左方に延在する第2底面部28B(28)、を含む。右側壁面形成部46の上方延在部52は、第2底面部28Bよりも上方に突出している。右側壁面形成部46の上方延在部52の左側面のうち第2底面部28Bよりも上方の部分51が、上述した凹部14の右側内壁面30に相当する。また、右方延在部54の上面53が、上述した接合金物10の突出面12の残部(第1の木造ブレース32の先端面16と当接している側の突出面12)に相当する。また、左右方向W2において、第1底面部28Aと第2底面部28Bとは互いに離間している。
また、図3に示す例示的な形態では、第1の木造ブレース32の突出部36は、共通の接合金物10の凹部14内に挿入されている際に、共通の接合金物10の凹部14内の左側の左側内壁面22(一方側の内壁面)と当接している。また、第2の木造ブレース34の突出部38は、共通の接合金物10の凹部14内に挿入されている際に、共通の接合金物10の凹部14内の右側の右側内壁面30(他方側の内壁面)と当接している。また、上下方向W1及び左右方向W2のそれぞれと直交する方向(紙面奥行き方向であって、以下「前後方向W3」とする)において、第1の木造ブレース32の突出部36と第2の木造ブレース34の突出部38とは、互いにずれて共通の接合金物10の凹部14内に挿入されている。本実施形態では、第1の木造ブレース32は第2の木造ブレース34よりも前後方向W3の一方側(前側)に配置されている。また、共通の接合金物10を起点とすると、左右方向W2において、第1の木造ブレース32は共通の接合金物10から右に向かって延在し、第2の木造ブレース34は共通の接合金物10から左に向かって延在している。また、第1の木造ブレース32の突出部36と、第2の木造ブレース34の突出部38とは、架構2の正面視(前後方向W3の前側から見た方向)において、上下方向W1と左右方向W2に沿って延びる各辺によって画定される面において、同一の矩形状の断面形状を有する。
また、第1実施形態では、図1に示すように、木造ブレース8は、架構2の内部3で互いに交差するように配置される第1の交差木造ブレース56(8)と、第2の交差木造ブレース58(8)と、を含む。図4を参照して、第1の交差木造ブレース56と、第2の交差木造ブレース58とが交差する構成について説明する。本開示では、木造ブレース8のうち左から右に向かうにつれて上に向かって延在する木造ブレース8を第1の交差木造ブレース56とする。つまり、上述した第1の木造ブレース32が第1の交差木造ブレース56に相当している。また、木造ブレース8のうち左から右に向かうにつれて下に向かって延在する木造ブレース8を第2の交差木造ブレース58とする。つまり、上述した第2の木造ブレース34が第2の交差木造ブレース58に相当している。
第1の交差木造ブレース56は、第1交差木造ブレース本体60と、第2交差木造ブレース本体62と、を含む。第1交差木造ブレース本体60は、長板形状を有しており、第1の交差木造ブレース56の軸線方向に沿って延びている。第2交差木造ブレース本体62は、長板形状を有しており、第1の交差木造ブレース56の軸線方向に沿って延びている。また、第2交差木造ブレース本体62は、平面形状を有する第1交差木造ブレース本体60の一面61に積層される。本開示では、第1交差木造ブレース本体60の一面61が向く方向を、「厚さ方向W4」の一方とする。図4に示す例示的な形態では、第1交差木造ブレース本体60の一面61は、第2交差木造ブレース本体62の厚さ方向W4の他方側の他面63に対向している。
第2の交差木造ブレース58は、第3交差木造ブレース本体64と、第4交差木造ブレース本体66と、を含む。第3交差木造ブレース本体64は、長板形状を有しており、第2の交差木造ブレース58の軸線方向に沿って延びている。第4交差木造ブレース本体66は、長板形状を有しており、第2の交差木造ブレース58の軸線方向に沿って延びている。また、第4交差木造ブレース本体66は、平面形状を有する第3交差木造ブレース本体64の厚さ方向W4の一方側の一面65に積層される。図4に示す例示的な形態では、第3交差木造ブレース本体64の一面65は、第4交差木造ブレース本体66の厚さ方向W4の他方側の他面67に対向している。
また、第1交差木造ブレース本体60の厚さ方向W4の他方側の他面69には、厚さ方向W4の一方に向かって凹む第1溝70が形成されている。また、第2交差木造ブレース本体62の他面63には、厚さ方向W4の一方に向かって凹む第2溝72が形成されている。第1溝70は、第1交差木造ブレース本体60の幅方向(厚さ方向W4及び第1の交差木造ブレース56の軸線方向のそれぞれと直交する方向)全体に亘って、第1交差木造ブレース本体60の他面69から凹んでいる。第2溝72は、第2交差木造ブレース本体62の幅方向(厚さ方向W4及び第1の交差木造ブレース56の軸線方向のそれぞれと直交する方向)全体に亘って、第2交差木造ブレース本体62の他面63から凹んでいる。
また、第3交差木造ブレース本体64の一面65には、厚さ方向W4の他方に向かって凹む第3溝74が形成されている。また、第4交差木造ブレース本体66の厚さ方向W4の一方側の一面71には、厚さ方向W4の他方に向かって凹む第4溝76が形成されている。第3溝74は、第3交差木造ブレース本体64の幅方向(厚さ方向W4及び第2の交差木造ブレース58の軸線方向のそれぞれと直交する方向)全体に亘って、第3交差木造ブレース本体64の一面65から凹んでいる。第4溝76は、第4交差木造ブレース本体66の幅方向(厚さ方向W4及び第2の交差木造ブレース58の軸線方向のそれぞれと直交する方向)全体に亘って、第4交差木造ブレース本体66の一面71から凹んでいる。
そして、第1交差木造ブレース本体60の他面69に形成される第1溝70と第3交差木造ブレース本体64の一面65に形成される第3溝74とが係合される。また、第2交差木造ブレース本体62の他面63に形成される第2溝72と第4交差木造ブレース本体66の一面71に形成される第4溝76とが係合される。本実施形態では、第1の交差木造ブレース56と第2の交差木造ブレース58とが交差する領域では、厚さ方向W4の他方から一方に向かう方向において、第3交差木造ブレース本体64、第1交差木造ブレース本体60、第4交差木造ブレース本体66、第2交差木造ブレース本体62の順に配置(積層)されている。
(作用・効果)
本開示の第1実施形態に係る架構補強構造1の作用・効果について説明する。図5には、木造ブレース8に作用する圧縮力と架構2の変形量との関係を示したグラフが示されている。本開示の第1実施形態に係る木造ブレース8は実線で図示され、参考例に係る木造ブレース08が点線で図示されている。図6に示すように、参考例に係る木造ブレース08では、木造ブレース08の先端面016には接合金物010の凹部に挿入される突出部は設けられておらず、木造ブレース08の先端面016と接合金物010の突出面012とが当接している。そして、木造ブレース08の先端面016と接合金物010の突出面012とは、木造ブレース08の軸線O方向に対して垂直に交差している。
図5の点線で示すように、参考例に係る木造ブレース08では、木造ブレース08に作用する圧縮力が大きくなるにつれて、木造ブレース08自体が圧縮されて変形する。そして、圧縮力が所定の値P1に達すると、木造ブレース08は座屈してしまう。木造ブレース08が座屈してしまうと、木造ブレース08は圧縮ブレースとしての機能を果たすことができない。これに対して、第1実施形態に係る木造ブレース8では、木造ブレース8に作用する圧縮力が大きくなるにつれて、木造ブレース8は圧縮されて架構2も変形するが、木造ブレース8に作用する圧縮力が所定の値P2に達すると、木造ブレース8が座屈する前に突出部18が優先的にめり込むため、これ以上木造ブレース8に作用する圧縮力が大きくなることなく、架構2の変形量だけが増大していく。
本開示の第1実施形態に係る架構補強構造1の構成によれば、建築物に大きな地震力が作用し、接合金物10から木造ブレース8に伝達される圧縮力が大きくなっても、突出部18の左側面20と接合金物10の凹部14内の左側内壁面22とが当接しているので、木造ブレース8が座屈する前に木造ブレース8の突出部18をめり込ませることができる。木造ブレース8の突出部18がめり込んだ状態であったとしても、木造ブレース8は圧縮ブレースとしての一定の機能を果たすことができる。よって、建築物に大きな地震力が作用した場合であっても、木造ブレース8の座屈を回避し、建築物の靭性を向上させることができる。
図1及び図3に例示して説明した構成によれば、第1の木造ブレース32の突出部36と第2の木造ブレース34の突出部38は、共通の接合金物10の凹部14に挿入されるので、架構2に固定される接合金物10の数を低減することができる。
また、図1及び図3に例示して説明した構成によれば、第1の木造ブレース32と第2の木造ブレース34とが互いに異なる方向から共通の接合金物10の凹部14に挿入されていることとなるので、建築物に地震力が作用した場合に、共通の接合金物10に対して第1の木造ブレース32および第2の木造ブレース34から同時に力が作用しない。このため、第1の木造ブレース32および第2の木造ブレース34が同じ方向から共通の接合金物10の凹部14に挿入されている場合よりも、接合金物10の破損を抑制することができる。
また、本発明者らの鋭意検討の結果、木造ブレース8の座屈の発生のしにくさは、木造ブレース8の長さではなく、架構2の正面視における突出部18の断面形状が支配的であることを見出した。図1及び図3に例示して説明した構成によれば、第1の木造ブレース32の突出部36と第2の木造ブレース34の突出部38とは、架構2の正面視において同一の断面形状を有する。このため、例えば、第1の木造ブレース32が第2の木造ブレース34よりも架構2の内部3を斜め方向に沿って長く延在していたとしても、第1の木造ブレース32は第2の木造ブレース34と同程度の座屈の発生のしにくさを有することができる。また、第1の木造ブレース32の突出部36と第2の木造ブレース34の突出部38の寸法を統一し、第1の木造ブレース32と第2の木造ブレース34とを含む木造ブレース8の生産効率を向上させることができる。
また、図1及び図4に例示して説明した構成によれば、第1の交差木造ブレース56と第2の交差木造ブレース58とを架構2の内部3において互いにずらすことなく交差させることができる。
<第2実施形態>
(ハイブリッドブレースの構成)
本開示の第2実施形態に係る架構補強構造1について説明する。第2実施形態は、金属ブレース80がさらに設けられている点で第1実施形態とは異なるが、それ以外の構成は第1実施形態で説明した構成と同じである。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、架構補強構造1は、架構2の内部3を斜め方向に沿って延在する金属ブレース80、をさらに備える。言い換えると、架構補強構造1は、木造ブレース8と金属ブレース80を有するブレース構造体9をさらに備える。金属ブレース80は、金属によって形成される。金属ブレース80は、接合金物10に固定されているとともに、金属ブレース80に作用する軸方向の圧縮力をキャンセルするように構成された圧縮力取消機構82を含む。本実施形態では、木造ブレース8内に金属ブレース80が配置されており、異なる素材の組み合わせからなる、いわゆるハイブリッドブレースが架構2の内部3に設けられている。また、金属ブレース80は、金属ブレース80の一端部84aがボルトなどの締結具85によって接合金物10と締結されることで、接合金物10に固定されている。尚、金属ブレース80の他端部84bもボルトなどの締結具85によって金属ブレース80の一端部84aが締結される接合金物10とは異なる接合金物10と締結されている。また、本開示はこの実施形態に限定されず、金属ブレース80は、締結具85による固定以外の方法で接合金物10に固定されてもよい。
図8を参照して、金属ブレース80を接合金物10に固定するための接合金物10の構成例について説明する。金属ブレース80は、金属ブレース80の一端部84aが木造ブレース8の突出部18よりも架構2の内部3側とは反対側(梁6側)に向かって突出している。また、金属ブレース80の一端部84aには、締結具85が挿入される貫通孔84cが設けられている。
接合金物10は、前後方向W3において2つに分割された形状を有し、この間に、金属ブレース80の一端部84aを挿入可能な間隙87が形成されるように構成されている。図8に示す例示的な形態では、接合金物10の左側壁面形成部44は、前後方向W3に並んで配置される第1左側壁面形成部44aと第2左側壁面形成部44bとを含む。前後方向W3において、第1左側壁面形成部44aは第2左側壁面形成部44bよりも前側に位置している。第1左側壁面形成部44aと第2左側壁面形成部44bとは互いに離間している。同様に、接合金物10の右側壁面形成部46は、前後方向W3に並んで配置される第1右側壁面形成部46aと第2右側壁面形成部46bとを含む。前後方向W3において、第1右側壁面形成部46aは第2右側壁面形成部46bよりも前側に位置している。第1右側壁面形成部46aと第2右側壁面形成部46bとは互いに離間している。つまり、本実施形態では、第1左側壁面形成部44aと第2左側壁面形成部44bとを互いに離間させ、第1右側壁面形成部46aと第2右側壁面形成部46bとを互いに離間させることで、間隙87が形成されている。尚、第1左側壁面形成部44a、第2左側壁面形成部44b、第1右側壁面形成部46a、及び第2右側壁面形成部46bのそれぞれは、後述するL字部材91の上下部91bに、ボルトのような締結具によって締結されるように構成されている。つまり、左側壁面形成部44及び右側壁面形成部46は、L字部材91を介して、梁6の内側面5Bに固定されている。
また、図8に示す例示的な形態では、接合金物10は、一対のL字部材91,91をさらに含んでいる。一対のL字部材91,91は、前後方向W3に並んで配置されている。L字部材91は、梁6の内側面5Bに固定可能に構成される板状の水平部91aと、間隙87に挿入可能に構成される板状の上下部91bと、を含む。間隙87内において、一対のL字部材91,91の上下部91bは、前後方向W3において互いに離間するように配置されている。つまり、間隙87内において、一対のL字部材91,91の上下部91bによって挿入空間89が画定されている。金属ブレース80の一端部84aは挿入空間89内に挿入され、上下部91bに形成される貫通孔91cと金属ブレース80の一端部84aの貫通孔84cとが締結具85(不図示)によって締結されるように構成されている。
尚、図8では、一つの木造ブレース8と金属ブレース80が、接合金物10に固定される例を示したが、これ以外にも、図7で示されるように、一つの接合金物10に対し、もう一つの木造ブレース8と金属ブレース80を、接合金物10の貫通孔91cの位置を中心にして、線対称となる方向から接合金物10に取り付けるようにしても良い。この場合、2つの金属ブレース80は、接合金物10の貫通孔91cの位置において、共通の締結具85によって固定される。2つの木造ブレース8の接合金物10に対する挿入は、図3に示した構造と同じである。
図9を参照して、圧縮力取消機構82の構成について説明する。金属ブレース80は、第1延在部84と、第2延在部86と、を含む。第1延在部84は、金属ブレース80の軸線O2の方向に沿って延在する。以下では、金属ブレース80の軸線O2の方向を、「第2軸線方向」とする。この第2軸線方向は、上述した木造ブレース8の軸線方向である第1軸線方向と平行な方向であってもよい。
第2延在部86は、第2軸線方向に沿って延在し、第2延在部86の第2軸線方向の一方側の一方側端部94が第1延在部84の第2軸線方向の他方側の他方側端部90と連結するように構成されている。第2延在部86には、第2延在部86の一方側端部94を貫通する第1貫通孔92が形成されている。この第1貫通孔92は、第2軸線方向に長手形状を有している。また、第1延在部84には、第1延在部84の他方側端部90から突出するピン部材96が設けられている。このピン部材96は第1貫通孔92を挿通している。図9の例では、ピン部材96は、第1貫通孔92の内壁面のうち第2軸線方向の他方に向いている部分の内壁面98に当接しているが、ピン部材96は、第1貫通孔92の第2軸線方向の長さ分、移動可能であり、この構造により、金属ブレース80に圧縮する力が働いても、その力をキャンセルすることができる。
図9に示す例示的な形態では、金属ブレース80は第3延在部88をさらに含む。第3延在部88は、第2軸線方向に沿って延在する。第3延在部88の第2軸線方向の一方側の一方側端部99には孔101が形成されており、第2延在部86の他方側端部100から突出する凸部材103が貫通されている。この孔101と凸部材103の組み合わせにより、第2延在部86が第3延在部88に固定される。図7に参照されるように、第1延在部84の第2軸線方向の一方側の一方側端部が上述した金属ブレース80の一端部84aに相当する。同様に第3延在部88の第2軸線方向の他方側の他方側端部が上述した金属ブレース80の他端部84bに相当する。
図10を参照して、木造ブレース8内に金属ブレース80を配置する構成(つまりは、ハイブリッドブレースの構成)について説明する。木造ブレース8は、第1木造ブレース本体102と、第1木造ブレース本体102に積層される第2木造ブレース本体104と、を含む。そして、金属ブレース80は、第1木造ブレース本体102と第2木造ブレース本体104との間に配置される。
本実施形態では、第1木造ブレース本体102(60)は、第1実施形態で説明した第1交差木造ブレース本体60の構成をさらに限定したものである。また、第2木造ブレース本体104(62)は、第1実施形態で説明した第2交差木造ブレース本体62の構成をさらに限定したものである。以下では、第1木造ブレース本体102を第1交差木造ブレース本体60と記載し、第2木造ブレース本体104を第2交差木造ブレース本体62と記載して説明する。
本実施形態では、第1の交差木造ブレース56は、第1交差木造ブレース本体60(第1木造ブレース本体102)と第2交差木造ブレース本体62(第2木造ブレース本体104)との間に第1の交差木造ブレース56の軸線方向に沿って延在する第1収納空間106が形成される。図10に示す例示的な形態では、第1収納空間106は、第1交差木造ブレース本体60の一面61の一部が第1交差木造ブレース本体60の他面69に向かって凹むことで形成されている。そして、金属ブレース80は、第1収納空間106内に配置される。尚、第1収納空間106は金属ブレース80を配置可能に構成されるのであれば、図10に例示して説明した構成に限定されない。例えば、不図示であるが、第1収納空間106は、第2交差木造ブレース本体62の他面63の一部が第2交差木造ブレース本体62の一面(厚さ方向W4一方に対向する面)に向かって凹むことで形成されてもよい。
図10に示す例示的な形態では、第1交差木造ブレース本体60は、第1交差木造ブレース本体60の一面61の残部(第1収納空間106が形成されていない部分)に配置される一対の第1スペーサ108,108を含む。一対の第1スペーサ108,108のそれぞれは、長手形状を有し、第1の交差木造ブレース56の軸線方向に沿って延在している。また、一対の第1スペーサ108,108のそれぞれには、金属ブレース80に交差する交差金属ブレース114が貫通する隙間109が形成されている。また、一対の第1スペーサ108,108のそれぞれは、第1交差木造ブレース本体60の幅方向において、互いに離間している。尚、第1交差木造ブレース本体60は一対の第1スペーサ108,108を含む場合を例に説明したが、本開示はこの実施形態に限定されない。
また、図10に示す例示的な形態では、第3交差木造ブレース本体64は、第3交差木造ブレース本体64の一面65に配置される一対の第2スペーサ110,110を含む。一対の第2スペーサ110,110のそれぞれは、長手形状を有し、第2の交差木造ブレース58の軸線方向に沿って延在している。一対の第2スペーサ110,110のそれぞれは、第2の交差木造ブレース58の軸線方向において、第3溝74の両側に設けられている。また、一対の第2スペーサ110,110のそれぞれは、第3交差木造ブレース本体64の幅方向において、互いに離間している。第2収納空間112は、第3交差木造ブレース本体64、及び一対の第2スペーサ110,110によって囲われることで形成される。そして、第2収納空間112には、金属ブレース80に交差する交差金属ブレース114が配置される。交差金属ブレース114は、厚さ方向W4において、第1交差木造ブレース本体60よりも一方側に位置している。尚、第2収納空間112は交差金属ブレース114を配置可能に構成されるのであれば、図10に例示して説明した構成に限定されない。例えば、不図示であるが、第2収納空間112は、第3交差木造ブレース本体64の一面65の一部が第3交差木造ブレース本体64の他面(厚さ方向W4他方に対向する面)に向かって凹むことで形成されてもよい。また、第3交差木造ブレース本体64は一対の第2スペーサ110,110を含む場合を例に説明したが、本開示はこの実施形態に限定されない。
(作用・効果)
第2実施形態によれば、建築物に大きな地震力が作用した場合に、接合金物10が金属ブレース80を引っ張って、金属ブレース80を引張ブレースとして機能させることができる。また、金属ブレース80は圧縮力取消機構82を含むので、圧縮力取消機構82を含まない場合に金属ブレース80に作用する金属ブレース80の軸方向の圧縮力を木造ブレース8に負担させることができる。図8に例示した圧縮力取消機構82によれば、金属ブレース80を圧縮しようとしても、第1延在部84及び第2延在部86のうち少なくとも一方がスライドし、金属ブレース80への圧縮力の作用を回避することができる。
また、第2実施形態によれば、金属ブレース80は、第1木造ブレース本体102と第2木造ブレース本体104との間に配置される。このため、木造ブレース8と金属ブレース80とを組み合わせた一部品(ハイブリッドブレース)としての取り扱いが可能になる。また、ハイブリッドブレースの外観を木目調にすることができるので、意匠性向上を図ることができる。
以上、本開示の第1実施形態及び第2実施形態に係る架構補強構造について説明したが、本開示は上記の形態に限定されるものではなく、本開示の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
幾つかの実施形態では、図11に示すように、架構2A(2)は、第1柱4A(4)、第2柱4B(4)、及び梁6A(6)を含む。第1柱4A及び第2柱4BのそれぞれはH型鋼で形成されている。また、第1柱4A及び第2柱4Bは梁6の延在方向に並んで配置されている。第1柱4Aは第1柱4Aのフランジ11(梁6の延在方向において第2柱4Bに近い側)の表面11aが架構2の内部3に面するように配置されている。第2柱4Bは第2柱4Bのウェブ17の表面17aが架構2の内部3に面するように配置されている。梁6Aは、一端19aが第1柱4Aのフランジ11の表面11aに当接し、他端19bが第2柱4Bのウェブ17の表面17aに当接するように配置されている。つまり、梁6Aの他端19bを含む他端部19cは、第2柱4Bのウェブ17及びフランジ15によって画定される隙間21に嵌合している。
この場合、不図示であるが、第1柱4Aに固定される接合金物10は、第1柱4Aのフランジ11の表面11aに直接取り付けられる。また、第2柱4Bに固定される接合金物10は、第2柱4Bと接合金物10との間に配置される台座7を介して、第2柱4Bのウェブ17の表面17aに取り付けられる。このような構成によれば、様々な外形サイズの架構2Aを容易に形成することができる。
第1実施形態及び第2実施形態では、架構2は鉄骨造で形成されていたが、本開示はこの形態に限定されない。本開示に係る架構補強構造1は、鉄筋コンクリート造の建築物の架構2を補強するものであってもよい。
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係る架構補強構造1について説明する。第3実施形態では、架構2が鉄筋コンクリート造(RC造)で形成されており、それ以外の構成は第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成と同じである。第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12は、本開示の第3実施形態に係る架構2の構成を概略的に示す正面図である。図12に示すように、架構2を構成する柱4と梁6とのそれぞれは、鉄筋コンクリート造で形成されている。この架構2を補強するため、第3実施形態に係る架構補強構造1は、木造ブレース8と、接合金物10と、を備え、木造ブレース8の突出部18の鈍角側の側面(左側面20)が、接合金物10の凹部14内の内壁面(左側内壁面22)と当接するように構成されている。
ところで、接合金物10を柱4又は梁6に固定する方法は特に限定されないが、柱4が鉄筋コンクリート造で形成されている場合、又は、梁6が鉄筋コンクリート造で形成されている場合、アンカーボルトによって接合金物10を柱4又は梁6に固定してもよい。
図13は、本開示の第3実施形態に係る接合金物10の構成を示す斜視図である。図13に示すように、接合金物10はアンカーボルト120によって梁6に固定されている。
図14は、接合金物10を梁6に固定する一例を説明するための図である。より具体的に説明すると、図14に示すように、アンカーボルト120は、一部120aが梁6内に埋め込まれ、残りの一部120bが梁6の内側面5Bから架構2の内部3に向かって突出するように構成されている。図14に例示する形態では、アンカーボルト120の一部120aは、アンカーボルト120の一部120aの延在方向が屈曲する屈曲部120cを含んでおり、アンカーボルト120が梁6から抜けることを防止するようになっている。アンカーボルト120の残りの一部120bにナット122が締め付けられることで、L字部材91の水平部91aが梁6に固定される(接合金物10が梁6に固定される)。尚、図14に例示する形態では、ナット122とL字部材91の水平部91aとの間に座金124が配置されている。
<第4実施形態>
本開示の第4実施形態に係る架構補強構造1について説明する。第4実施形態では、架構2が木造で形成されていることを特徴とする。それ以外の構成は第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成と同じである。
不図示であるが、第4実施形態に係る架構2は、例えば、集成材で形成された構造や、内部に鋼材や炭素繊維を入れた構造など、種々の木造の梁及び柱を使用することが出来る。尚、建物の階数が4階建て以上の場合は、架構2を耐火構造とする必要がある。また、防火地域に延べ面積100m2超の建物を建てる場合、および準防火地域に延べ面積1500m2超の建物を建てる場合にも、耐火構造とする必要がある。これらの条件下において、木造で計画する場合には、耐火木造構法の中から選択する必要がある。木造の耐火構造構法は、主にメンブレン型耐火木造、燃え止まり型耐火木造、鋼材内蔵型耐火木造の3つの構法に分類できる。