以下、本発明の実施形態に係るヒート部材、定着装置及び画像形成装置(レーザプリンタ)について図面を参照して説明する。レーザプリンタは画像形成装置の一例であり、当該画像形成装置はレーザプリンタに限定されないことは勿論である。すなわち、画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、及びインクジェット記録装置のいずれか一つ、またはこれらの少なくとも2つ以上を組み合わせた複合機として構成することも可能である。
なお、各図中の同一または相当する部分には同一の符号を付し、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
以下の実施形態では「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は紙(用紙)だけでなくOHPシートや布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。
現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべて「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。
また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
(レーザプリンタの構成)
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、画像形成装置としては、プリンタのほか、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機などであってもよい。
図1に示す画像形成装置100は、画像形成部である4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkを備える。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、画像形成装置本体103に対して着脱可能に構成され、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的には、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電する帯電装置3と、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング装置5と、を備える。
また、画像形成装置100は、各感光体2の表面を露光し静電潜像を形成する露光装置6と、記録媒体としての用紙Pを供給する給紙装置7と、各感光体2に形成されたトナー画像を用紙Pに転写する転写装置8と、用紙Pに転写されたトナー画像を定着する定着装置300と、用紙Pを装置外に排出する排紙装置10と、を備える。
転写装置8は、複数のローラによって張架された中間転写体としての無端状の中間転写ベルト11と、各感光体2上のトナー画像を中間転写ベルト11へ転写する一次転写部材としての4つの一次転写ローラ12と、中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像を用紙Pへ転写する二次転写部材としての二次転写ローラ13と、を有する。複数の一次転写ローラ12は、それぞれ、中間転写ベルト11を介して感光体2に接触している。
これにより、中間転写ベルト11と各感光体2とが互いに接触し、これらの間に一次転写ニップが形成されている。一方、二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して中間転写ベルト11を張架するローラの1つに接触している。これにより、二次転写ローラ13と中間転写ベルト11との間には二次転写ニップが形成されている。
また、画像形成装置100内には、給紙装置7から送り出された用紙Pが搬送される用紙搬送路14が形成されている。この用紙搬送路14における給紙装置7から二次転写ニップ(二次転写ローラ13)に至るまでの途中には、一対のタイミングローラ15が設けられている。
次に、図1を参照して上記画像形成装置の印刷動作について説明する。
印刷動作開始の指示があると、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkにおいては、感光体2が図1の時計回りに回転駆動され、帯電装置3によって感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面を露光することで、露光された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4からトナーが供給され、各感光体2上にトナー画像が形成される。
各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、図1の反時計回りに回転駆動する中間転写ベルト11に順次重なり合うように転写される。そして、中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、二次転写ニップにおいて搬送されてきた用紙Pに転写される。
この用紙Pは、給紙装置7から供給されたものである。給紙装置7から供給された用紙Pは、タイミングローラ15によって一旦停止された後、中間転写ベルト11上のトナー画像が二次転写ニップに至るタイミングに合わせて二次転写ニップへ搬送される。かくして、用紙P上にフルカラーのトナー画像が担持される。また、トナー画像が転写された後、各感光体2上に残留するトナーは各クリーニング装置5によって除去される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置300へと搬送され、定着装置300によって用紙Pにトナー画像が定着される。その後、用紙Pは排紙装置10によって装置外に排出されて、一連の印刷動作が完了する。
(レーザプリンタの原理)
図2Aは、本発明の定着装置300を備えた画像形成装置100の一実施形態としてのレーザプリンタの原理図である。画像形成装置100は像担持体2(例えば感光体ドラム)と、ドラムクリーニング装置5を有している。また像担持体の表面を一様帯電する帯電手段としての帯電装置3と、像担持体上に形成された静電潜像の可視像処理を行う現像手段としての現像装置4と、像担持体2の下方に配設された転写手段TMと、除電装置等を有する。
露光装置6は像担持体2の上方に配設されている。この露光装置6は、画像情報に応じた書き込み走査、すなわち、画像データに基づいてレーザダイオードからのレーザ光Lbをミラー7aで反射して像担持体2に照射する。
用紙Pを積載するトレイを有する用紙給送装置50は、画像形成装置100の下方に設置されている。この用紙給送装置50は記録媒体としての多数枚の用紙Pを束状で収容可能であり、用紙Pの搬送手段としての給紙ローラ60と共にユニット化される。
給紙ローラ60の下流側に、分離搬送手段としてのレジストローラ対250が配設されている。用紙給送装置50から給紙された用紙Pをレジストローラ対250で一旦停止させる。この一旦停止により用紙Pの先端側に弛みが形成されて用紙Pの斜行(スキュー)が修正される。
レジストローラ対250に突き当てられて先端部に弛みが形成された用紙Pは、像担持体2上のトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせて転写手段TMの転写ニップNに送り出される。そして、送り出された用紙Pは、転写ニップNにおいて印加されたバイアスによって像担持体2上のトナー像が所望の転写位置に静電的に転写されるようになっている。
転写ニップNの下流側に定着装置300が配設されている。定着装置300は後述する発熱体としてのハロゲンヒータを内包する定着部材としての定着ベルト310と、この定着ベルト310に対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧部材としての加圧ローラ320を備えている。
(レーザプリンタの作動)
次に、本実施形態に係るレーザプリンタの基本的動作を説明する。画像形成装置100の制御部からの給紙信号に対応して給紙ローラ60が回転する。この給紙ローラ60の回転により用紙給送装置50に積載された束状用紙Pの最上位の用紙が分離されて給紙路に送り出される。
送り出された用紙Pは、その先端がレジストローラ対250のニップに到達すると、弛みを形成し、その状態で待機する。そして、像担持体2上のトナー画像をこの用紙Pに転写する最適なタイミング(同期)を図ると共に、用紙Pの先端スキューを補正する。
帯電装置3は、像担持体2の表面を高電位に均一に帯電する。そして、露光装置6は、画像データに基づいたレーザ光Lbをミラー6aで反射して像担持体2の表面に照射する。
レーザ光Lbが照射された像担持体2の表面は、照射された部分の電位が低下して、静電潜像を形成する。現像装置4は、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体4aを有し、トナーボトルから供給された未使用のブラックトナーを、現像剤担持体4aを介して、静電潜像が形成された像担持体2の表面部分に転移させる。
トナーが転移した像担持体2は、その表面にトナー画像を形成(現像)する。そして、像担持体2上に形成されたトナー画像を転写手段TMで用紙Pに転写する。
ドラムクリーニング装置5は、転写行程を経た後の像担持体2の表面に付着している残留トナーをクリーニングブレード5aで除去する。除去された残留トナーは廃トナー収容部に回収される。
トナー画像が転写された用紙Pは定着装置300へと搬送される。定着装置300に搬送された用紙Pは、定着ベルト310と加圧ローラ320によって挟まれ、加熱・加圧することで未定着トナー画像が用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは定着装置300から送り出される。
(定着装置)
続いて、定着装置300の構成について説明する。
図2Bに示すように、本実施形態に係る定着装置300は、定着部材としての無端状のベルト部材から成る定着ベルト310と、定着ベルト310の外周面に接触してニップ部Nを形成する対向部材としての加圧ローラ320と、定着ベルト310を加熱する加熱部材330を有する。加熱部材330はヒータホルダ340で保持され、ヒータホルダ340は補強部材としてのステー350で長手方向に渡って補強されている。
定着ベルト310は可撓性を有するスリーブ状の回転部材で構成され、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト310の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。
基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト310の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト310の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
加圧ローラ320は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金321と、この芯金321の表面に形成された弾性層322と、弾性層322の外側に形成された離型層323とで構成されている。弾性層322はシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層322の表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層323を形成するのが望ましい。
加熱部材330は、定着ベルト310の幅方向に渡って長手状に設けられ、定着ベルト310の内周面に接触するように配置されている。加熱部材330は、定着ベルト310に対して非接触、あるいは低摩擦シートなどを介して間接的に接触する場合であってもよいが、加熱部材330を定着ベルト310に対して直接接触させる方が定着ベルト310への熱伝達効率がよくなる。
また、加熱部材330を定着ベルト310の外周面に接触させることもできるが、定着ベルト310の外周面が加熱部材330との接触により傷付くと定着品質が低下する虞があるため、加熱部材330は定着ベルト310の内周面に接触している方がよい。
加熱部材330は、基材層331と、基材層331のニップ部N側に順次積層される、絶縁部材としての第1絶縁層332、発熱部333を有する導体層334、絶縁部材としての第2絶縁層335と、基材層331の反対側に積層された絶縁部材としての第3絶縁層336と、で構成されている。
前記基材層331はセラミックで構成することができる。セラミックは線膨張係数がガラスに近いため、絶縁層332、335、336にガラスを使う場合に熱膨張時の基材層331と絶縁層332、335、336との間のズレによって導体層334に剪断力が加わり難いメリットがある。また、セラミックの熱伝導率はステンレス等の金属よりも高いので基材層331を介して定着ベルト310に熱伝導させるのに有利である。
ヒータホルダ340及びステー350は、定着ベルト310の内周側に配置されている。ステー350は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置300の両側壁部に支持されている。ステー350によってヒータホルダ340の加熱部材330側とは反対側の面が支持されていることで、加熱部材330及びヒータホルダ340は加圧ローラ320の加圧力に対して大きく撓むことなく保たれ、定着ベルト310と加圧ローラ320との間にニップ部Nが形成される。
ヒータホルダ340は、加熱部材330の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ヒータホルダ340をLCPやPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、加熱部材330からヒータホルダ340への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト310を加熱することが可能である。
加圧ローラ320と定着ベルト310は、付勢部材としてのバネによって互いに圧接されている。これにより、定着ベルト310と加圧ローラ320との間にニップ部Nが形成される。また、加圧ローラ320は、画像形成装置本体103に設けられた駆動手段から駆動力が伝達されて回転駆動する駆動ローラとして機能する。
一方、定着ベルト310は、加圧ローラ320の回転に伴って従動回転するように構成されている。回転時、定着ベルト310は加熱部材330に対して摺動する。定着ベルト310の摺動性を高めるために、加熱部材330と定着ベルト310との間にオイルやグリースなどの潤滑剤を介在させてもよい。
印刷動作が開始されると、加圧ローラ320が回転駆動され、定着ベルト310が従動回転を開始する。また、加熱部材330に電力が供給されることで、定着ベルト310が加熱される。そして、定着ベルト310の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、図2Bに示すように、未定着トナー画像が担持された用紙Pが、定着ベルト310と加圧ローラ320との間(ニップ部N)に搬送されることで、未定着トナー画像が加熱及び加圧されて用紙Pに定着される。
図3Aに示すように、加熱部材330は中央側5個のヒートブロック337aと両端側2個のヒートブロック337bの計7個のヒートブロックを有する。「ヒートブロック」とは、両端が給電線に接続された蛇行状(又はシート状又は平面状)の抵抗体のことをいい、基材層331の上に直接または間接的に配設することができる。各ヒートブロック337a、337bの抵抗体の短手幅は、ほぼ一定の幅と厚さ、かつ一定蛇行回数の抵抗体で構成され、後述する電極部339a~339cと給電線339d~339fによって並列接続される。
ここで「蛇行」とは、少なくとも一つの折返し部分を有する曲がりくねった形状である。本実施形態では、加熱部材330の長手方向に所定長さで延びた後に逆方向に折り返して所定長さで延びる形を、加熱部材330の短手方向に複数回繰り返した形状である。また「短手方向」とは、加熱部材330の長手方向と直交する方向であって、定着装置300にあっては用紙Pの通紙方向と平行な方向をいう。
加熱部材330の一端部に2つの電極部339a、339cが形成され、他端部に1つの電極部339bが形成されている。電極部339cは給電線339dによって中央側ヒートブロック337aの一端に接続され、当該中央側ヒートブロック337aの他端に給電線339eによって反対側の電極部339bが接続されている。また電極部339aと電極部339bが、給電線339fと給電線339eによって両端側ヒートブロック337bの両端に接続されている。
ヒートブロック337a、337bの蛇行状の抵抗体は、例えば、銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストをスクリーン印刷等により基材層331に塗工し、その後、当該基材層331を焼成することによって形成することができる。抵抗体の材料として、これら以外に、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)の抵抗材料を用いてもよい。
給電線333bは、発熱部333よりも小さい抵抗値の導体で構成されている。給電線333bや電極部333aの材料としては、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)などを用いることができ、このような材料をスクリーン印刷するなどによって給電線333bや電極部333aが形成されている。
ヒートブロック337a、337bの互いに隣接する端部は、同じ傾斜で短手方向で重なる位置にある。これによりヒートブロック337a、337b相互間の短手方向での隙間をなくし、定着ベルト310における温度ムラを解消する。
中央側ヒートブロック337aと両端側ヒートブロック337bの境目(分割位置)は、用紙サイズに対応して設定される。すなわち、例えばA4紙(幅210mm)を縦方向搬送する場合に対応して中央側ヒートブロック337aが配設され、例えばA3紙(幅297mm)を縦方向搬送する場合に対応して中央側ヒートブロック337aと両端側ヒートブロック337bが配設される。
詳しくは、加熱部材330の長手方向中央部を基準としてA4紙(幅210mm)を縦方向搬送する場合に対応して、5個の中央側ヒートブロック337aが配設される。各ヒートブロック337aの長さl1は、例えば43mmとすることができる(43mm×5=215mm>210mm)。
また、加熱部材330の長手方向中央部を基準としてA3紙(幅297mm)を縦方向搬送する場合に対応して、中央側ヒートブロック337aと両端側ヒートブロック337bが配設される。両端側ヒートブロック337bの長さl2は、例えば41.5mmとすることができる。(41.5mm×2+215mm=298mm>297mm)。
ヒートブロック337a、337bを並列接続する場合、1つのブロック当たりの抵抗値(発熱量)はブロック数分だけ掛け算で高くしないといけない。例えば総抵抗10Ωを図3Aのように7ブロックで実現する場合、1つのヒートブロックの抵抗値は70Ωとなる。このようにヒートブロックを高抵抗にするために、抵抗体を蛇行状にして通電距離を長くするのである。
前述したように、用紙サイズに対応してヒートブロックの分割位置を設定する都合で中央側と両端側でヒートブロック337a、337bの長さが異なると、同じ蛇行状態の抵抗体で各ヒートブロック337a、337bを構成した場合、中央側ヒートブロック337aの抵抗値が両端側ヒートブロック337bの抵抗値よりも大きくなる。
そうすると、共通の交流電源から中央側と両端側のヒートブロック337a、337bに同じデューティで電流を供給すると、中央側ヒートブロック337aの発熱密度が両端側ヒートブロック337bの発熱密度よりも小さくなる。このように中央側と両端側で発熱密度が相違すると、定着ベルト310の温度ムラが発生して印刷品質が低下する。
そこで本発明の実施形態に係る加熱部材330は、相対的に抵抗値が大きい中央側ヒートブロック337aの抵抗値を下げるため、中央側ヒートブロック337aに図3Bのように抵抗体導体積層部による抵抗調整部338を設けることにした。この抵抗調整部338に使用する導体は、ヒートブロック337a、337bを構成する抵抗体よりも小さい電気抵抗を有する。
抵抗調整部338を中央側ヒートブロック337aに部分的に設けることで、ヒートブロック337aの電流経路が抵抗調整部338の部分で短絡されて、ヒートブロック337aの実質的通電経路長を低減し抵抗値を低減することができる。そして、抵抗調整部338の幅、長さ又は厚さを、中央側ヒートブロック337aと両端側ヒートブロック337bの発熱密度[W/mm2]の比率に対応して、或いは電気抵抗、通電経路長または発熱面積(mm2)の比率に対応して形成することで、中央側と両端側のヒートブロック337a、337bの抵抗値の大きさを調整し発熱密度を均一化することができる。
なお、中央側ヒートブロック337aの抵抗値を低減する代わりに両端側ヒートブロック337bの抵抗体の断面を細くして抵抗値を増大することで発熱密度を均一化することも考えられる。しかし、そうすると、スクリーン印刷の都合上抵抗値のばらつきが大きくなってしまい、また局所的な発熱密度の上昇の影響で経時での寿命影響がある。したがって前述のように抵抗調整部338による発熱密度均一化が実用的である。
抵抗調整部338は図3Bのように、発熱部(抵抗体)333の短手方向幅よりも幅広に形成するのがよい。すなわち、抵抗調整部338が発熱部333の短手方向両側にはみ出している方がスクリーン印刷で好都合に形成可能であり、これとは反対に抵抗調整部338をより幅狭に形成した場合は、局所的な発熱密度上昇による故障の可能性が高まるため、これを抑制する必要性があるからである。
抵抗調整部338の形成方法は複数の方法が可能である。すなわち、
1)ヒートブロック337aの蛇行状抵抗体の上に抵抗調整部338を部分的に上書き形成する方法
2)基材上に予め抵抗調整部338を部分的に形成してからヒートブロック337aの蛇行状抵抗体を上書き形成する方法
3)蛇行状抵抗体を部分的に切り欠くと共に抵抗体の欠けた部分に抵抗調整部338を形成する方法
1)と2)の方法で抵抗調整部338を形成すると、抵抗調整部338の部分だけがヒートブロック337aの表面側に3~12μm程度凸状に盛り上がってしまう。そうすると、例えば加熱部材330を画像形成装置の定着装置に使用する場合、図3Cのように凸状に盛り上がった部分が出来て定着ベルト310への伝熱が阻害される。
すなわち、ヒートブロック337a、337bがある側を定着ベルト310の内周面に摺接させると、抵抗調整部338で凸状に盛り上がった部分の周辺で定着ベルト310の内周面との接触状態が悪くなる。このため、定着ベルト310への伝熱が阻害され、局所的な加熱部材温度の上昇で定着不良や光沢スジ・画像ムラが生じる可能性がある。
そこで、1)と2)の方法で抵抗調整部338を形成する場合は、図3Bのように、ヒートブロック337a、337bがある側を定着ベルト310とは反対側にする。そしてヒートブロック337a、337bがある面とは異なる加熱部材330の一面(背面側)を定着ベルト310の内周面に摺接させる。
すなわち、第3絶縁層336の表面に被加熱部材としての定着ベルト310ないし用紙を加熱するための加熱領域が形成される。加熱部材330の基材層331などに熱伝導性のよい材料(セラミックなど)を使用することで、加熱部材330の背面側であっても定着ベルト310ないし用紙を効率的に加熱することが可能である。
3)の方法で抵抗調整部338を形成する場合、蛇行状抵抗体を切り欠いた部分に設けた導体による抵抗調整部338と両側の抵抗体との確実な導通を確保するため、抵抗調整部338の両側接続部分の導体を抵抗体にオーバーラップさせるのがよい。このように導体をオーバーラップさせた場合、図7(c)のようにオーバーラップ部分が多少盛り上がるが、加熱部材330の背面側の第3絶縁層336を定着ベルト310の内周面に摺接させれば問題ない。この3)の方法は、抵抗体の材料が切り欠きの分だけ少なくて済むので、余計なコストが掛からないという利点がある。
(平面度について)
次に抵抗調整部338の平面度について説明する。「平面度」とは、平面の滑らかさ(均一性)を示す数値であって、平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさを表す。
本実施形態では、定着不良や光沢スジを防止するため、抵抗調整部338を含む所定範囲の平面度よりも面精度が高い面を加熱部材330の一面に形成し、当該一面を通して被加熱部材としての定着ベルト310に熱伝達する。そこで、抵抗調整部338を含む所定範囲の平面度の測定方法を以下に説明する。
図3Dに示すように、基材331の長手方向における抵抗調整部338の端部が、所定範囲(直径D3の円形領域)の中心に位置するものとする。当該円形領域の平面度により、抵抗調整部338を含む所定範囲の凹凸の大きさを表すことができる。
前記円形領域は、直径が3mm以上で15mm以下であるのが望ましい。平面度は、測定範囲Φが大き過ぎる場合には、光沢スジなどの異常画像との相関性が悪いことが判明した。本願発明者が行った以下の印刷試験の結果により、異常画像との相関性が高い平面度の測定範囲は、Φ3mm~Φ15mmであることが判明した。
[印刷試験の結果]
測定範囲の直径 Φ3mm未満 Φ3mm~Φ15mm Φ15mm超
印刷試験の結果 不良 良好 不良
したがって、抵抗調整部338を含む所定範囲の平面度は、直径が3mm以上で15mm以下の円形領域に抵抗調整部338を含めた状態で測定するのがよい。抵抗調整部338を含む所定範囲の平面度よりも面精度が高い面を通して定着ベルト310に熱伝達するには、例えば以下のようにする。すなわち、抵抗調整部338と、抵抗調整部338の無い部分の両方を含む、所定範囲Φ10mmの平面度が、
であった場合には、例えば、
よりも高い面精度を持つ別部材(間接部材)を、抵抗調整部338の上に載せる。当該別部材(間接部材)は、例えば図3Cの第2絶縁層335の上に形成した追加絶縁層で構成することができる。そして当該追加絶縁層を通して定着ベルト310に熱伝達する。なお、絶縁層以外の部材であっても、前述のように高い面精度を持つ部材であれば前記別部材(間接部材)を構成可能である。
別の方法としては、前述した図3Bのように、抵抗調整部338があるヒートブロック337a、337bを定着ベルト310とは反対側にする。そしてヒートブロック337a、337bがある面とは異なる加熱部材330の一面(背面側の第3絶縁層336)を定着ベルト310の内周面に摺接させる。
次に、抵抗調整部338の具体的形成位置の例を図4の加熱部材330によって説明する。この加熱部材330は、中央側4個のヒートブロック337aと両端側2個のヒートブロック337bを有する。各ヒートブロック337a、337bは、ほぼ一定の幅と厚さ、かつ一定蛇行回数の抵抗体で構成されている。
ヒートブロック337a、337bの互いに隣接する端部は、図3Aのように傾斜していないが、ヒートブロック337a、337bと基材層331との間に熱伝導性のよい均熱部材を設けることで定着ベルト310における温度ムラを解消することができる。
加熱部材330の一端部に2つの電極部339a、339cが形成され、他端部に1つの電極部339bが形成されている。電極部339cは給電線339dによって第一の抵抗体としての中央側ヒートブロック337aの一端に接続され、当該中央側ヒートブロック337aの他端に給電線339eによって反対側の電極部339bが接続されている。また電極部339aと電極部339bが、給電線339fと給電線339eによって第二の抵抗体としての両端側ヒートブロック337bの両端に接続されている。
中央側ヒートブロック337aと両端側ヒートブロック337bの境目(分割位置)は、図3Aと同様に用紙サイズに対応して設定される。中央側ヒートブロック337aの長さは、例えばA4紙(幅210mm)を縦方向搬送する場合に対応して53mmに設定される(53mm×4=212mm>210mm)。両端側ヒートブロック337bの長さは、例えばA3紙(幅297mm)を縦方向搬送する場合に対応して47mmに設定される(47mm×2+212mm=306mm>297mm)。
中央側ヒートブロック337aの通電経路には、抵抗調整部338が一つずつ同じ長さで形成されている。各抵抗調整部338は、ヒートブロック337aの短手方向において重ならず、かつ、各ヒートブロック337a内において抵抗調整部338相互間で隙間ができないように形成されている。
このように抵抗調整部338を形成することで、ヒートブロック337aの長手方向の温度ムラを解消することができる。換言すると、ヒートブロック337a、337bの分割位置を変えても、抵抗調整部338の形成状態によってブロック間の発熱密度を均一化することができるので、分割位置の設計自由度が高まる。なお、図4の抵抗調整部338の形成方法は、ヒートブロック337aの蛇行状抵抗体の上に図示するように部分的に上書き形成する他、前述の2~4の方法でも形成可能である。抵抗調整部338をヒートブロック337aの抵抗体より幅広に形成することで、確実な導通を確保することができる。
前述した分割位置の設計自由度について具体的に説明すると、図4の中央側ヒートブロック337aの長手方向の発熱幅をl1(=53mm)とすると、抵抗調整部338を設けることにより、その抵抗体の実質的総通電長をL1(=160mm)にすることができる。
これに対して、両端側ヒートブロック337bの長手方向の発熱幅はl2(=47mm)で(l1>l2)、その抵抗体の総通電長はL2(=188mm)である。抵抗体の線幅D1、D2はどちらも1.0mmで厚みも同一であるとすると、下記L/D比の比較式のように、相対的に発熱面積の広い中央側ヒートブロック337aの抵抗値を低くでき、ひいては発熱密度を均一化することができる。
比較式:L1/D1(=160/1)<L2/D2(=188/1) ・・・(式1)
図5はシート状の抵抗体で構成されたヒートブロック337a、337bを有する加熱部材330の平面図である。図5(a)は中央側ヒートブロック337aに抵抗調整部338を形成する前の平面図、図5(b)は抵抗調整部338を形成した後の平面図である。
この加熱部材330では、ヒートブロック337aの短手方向(図5の上下方向)中間部に抵抗体の切り欠き部が形成され、この切り欠き部に抵抗調整部338が形成されている。その他は図4と変わらない。なお、抵抗調整部338は前述の1、2の方法でも形成可能である。
図6は蛇行状の抵抗体で構成されたヒートブロック337a、337bを有する加熱部材330の平面図である。加熱部材330は2つの電極部339a、339bを有し、中央側と両端側のヒートブロック337a、337bに共通の電圧・デューティを供給することができる。
図6の右端部ヒートブロック337b以外のヒートブロック337a、337bに、抵抗調整部338が形成されている。すなわち、各中央側ヒートブロック337aに4個の抵抗調整部338が形成され、左端部ヒートブロック337bに1個の抵抗調整部338が形成されている。当該抵抗調整部338は前述の1~4の方法で形成可能である。
抵抗調整部338の数が多いほど、ヒートブロックの抵抗値を大きく低減することができる。図示例では、右端部ヒートブロック337bの発熱密度が最も高い場合を想定し、当該最も高い発熱密度に合わせるように他のヒートブロックに抵抗調整部338が形成されている。
図7(a)(b)はシート状の抵抗体で構成されたヒートブロック337a、337bを有する加熱部材330の平面図である。加熱部材330が2つの電極部339a、339bを有し、中央側と両端側のヒートブロック337a、337bに共通の電圧・デューティを供給するほかは、図5の加熱部材330と同様である。
図7(b)の抵抗調整部338は、ヒートブロック337aの短手方向(図7の上下方向)中間部に形成された抵抗体の切り欠き部に形成されている。抵抗調整部338の短手方向両端部338aは、図7(c)に示すように、ヒートブロック337aとの抵抗調整部338するため発熱部333に上書き形成するとよい。
図8(a)(b)は、図4の抵抗調整部338を形成する前と後の状態を示す。抵抗調整部338は図8(a)のヒートブロック337aの抵抗体の切り欠き部に上書き形成される。
図9(a)(b)は、図6の抵抗調整部338を形成する前と後の状態を示す。抵抗調整部338の形成方法は、図6の拡大図のように、ヒートブロック337aの抵抗体上に上書き形成する他、図9(a)のヒートブロック337aの抵抗体の切り欠き部に形成することができる。
また、図9(b)の拡大図のように、抵抗調整部338を形成する際、その両端部がヒートブロック337aの抵抗体と短手方向でのみ重なるように形成することができる。換言すると、図9(b)の抵抗調整部338は、両端の一組の抵抗体導体積層部と、当該一組の抵抗体導体積層部の間に挟まれた導体部とを有する。このように形成することで、確実な導通を確保しつつ、抵抗調整部338によって図3Cのような凸状部が形成されるのを回避することができる。
図10はシート状の抵抗体で構成されたヒートブロック337a、337bを有する加熱部材330の平面図である。1つのヒートブロックの長さL2が他の11個のヒートブロックの長さL1よりも長い。
ヒートブロック337a、337bは並列接続されているので、共通の電圧またはデューティを供給すると、長さL2のヒートブロックの発熱量、発熱密度が、他の長さL1のヒートブロックの発熱量、発熱密度よりも小さくなる。そこで長さL2のヒートブロックに抵抗調整部338を形成している。
抵抗調整部338の数は図示例では3個にしているが、長さL1の他のヒートブロックと発熱密度を均一化する数で形成することができる。抵抗調整部338は前述した4つの方法が適宜形成可能である。
(発熱密度の大小の測定方法)
ヒートブロック337a、337bの発熱密度[W/mm2]と温度[℃]の関係は、次式(1)で表現することができる。
温度=(発熱密度/熱伝達率)+部品周囲の空気温度・・・・(1)
ヒートブロック337a、337bの熱伝達率及び加熱部材330周囲の空気温度は、ほぼ一定で測定することが可能であるから、発熱密度[W/mm2]の大小は、通電時の加熱部材温度[℃]の大小で測定することができる。
例えば加熱部材330にDC30Vの通電をした時の加熱部材330表面の温度分布をサーモビューワ(例えばフリアーシステムズ社のFLIR T620)で測定する。そして通電後一定時間経過時(例えば10sec後)のヒートブロック337a、337bの温度を比較することで、発熱密度[W/mm2]の大小を間接的に計測することができる。発熱密度が相対的に不足するヒートブロックに前述した方法で抵抗調整部338を適宜形成することで、すべてのヒートブロックの発熱密度を低コストで均一化することができる。
(定着装置の組付構造)
以上、本発明の実施形態について説明したが、次に本発明を適用可能な定着装置300の組付構造について図11A~図39を参照して説明する。この定着装置300の加熱部材330は、図15~17、図25~36に示すように、基材層331の長手方向に一往復する直列接続形の発熱部(抵抗体)333や、図19のように並列接続形の発熱部(抵抗体)333を有するものとして図示するが、当該発熱部333は前述したヒートブロック337の形式の抵抗体に置き換え可能である。
図11は、定着装置の斜視図、図12は、その分解斜視図である。図11及び図12に示すように、定着装置300の装置フレーム360は、一対の側壁部361aと前壁部361bとから成る第1装置フレーム361と、後壁部362aから成る第2装置フレーム362と、を備えている。
一対の側壁部361aは、定着ベルト310の幅方向(以下、「ベルト幅方向」という。)の一端部側と他端部側とに配置されており、両側壁部361aによって、加圧ローラ320及び加熱装置の両端部側が支持される。各側壁部361aには、複数の係合突起361cが設けられ、各係合突起361cが後壁部362aに設けられた係合孔362bに係合することで、第1装置フレーム361と第2装置フレーム362とが組み付けられる。
また、各側壁部361aは、加圧ローラ320の回転軸などを挿通させるための挿通溝361dが設けられている。挿通溝361dは、後壁部362a側で開口し、これとは反対側では開口しない突き当て部となっている。
この突き当て部側の端部には、加圧ローラ320の回転軸を支持する軸受363が設けられている。加圧ローラ320は、その回転軸の両端部がそれぞれ軸受363に装着されることで、両側壁部361aによって回転可能に支持される。
また、加圧ローラ320の回転軸の一端部側には、駆動伝達部材としての駆動伝達ギヤ324が設けられている。駆動伝達ギヤ324は、加圧ローラ320が両側壁部361aに支持された状態で、側壁部361aよりも外側に露出した状態で配置される。これにより、定着装置300が画像形成装置本体103に搭載された際、駆動伝達ギヤ324が画像形成装置本体103に設けられているギヤと連結し、駆動源からの駆動力を伝達可能な状態となる。
加熱装置の長手方向の両端部には、定着ベルト310などを支持する一対の支持部材364が設けられている。この支持部材364は、加熱装置の装置フレームであると共に、定着装置300の装置フレーム360の一部でもある。
定着ベルト310は、支持部材364によって、非回転状態では基本的に周方向の張力が付与されない状態、いわゆるフリーベルト方式で支持されている。また、各支持部材364には、ガイド溝364aが設けられており、このガイド溝364aを側壁部361aの挿通溝361dの縁に沿って進入させることで、側壁部361aに対して組み付けられる。
また、各支持部材364と後壁部362aとの間には、付勢部材としての一対のバネ365が設けられている。各バネ365によって支持部材364が加圧ローラ320側に付勢されることで、定着ベルト310が加圧ローラ320に押し当てられ、定着ベルト310と加圧ローラ320との間にニップ部Nが形成される。
図13は、加熱装置の斜視図、図14は、その分解斜視図である。図13及び図14に示すように、ヒータホルダ340の定着ベルト310側(ニップ部N側)の面には、加熱部材330を収容するための矩形の収容凹部341が設けられている。加熱部材330は、その収容凹部341内に収容された状態で、後述のコネクタによってヒータホルダ340と一緒に挟まれることで保持される。
一対の支持部材364は、定着ベルト310の内周に挿入されて定着ベルト310を支持するC字状のベルト支持部364bと、定着ベルト310の端面に接触してベルト幅方向の移動(片寄り)を規制するフランジ状のベルト規制部364cと、ヒータホルダ340及びステー350の両端部側が挿入されてこれらを支持する支持凹部364dと、を有している。
図15は、加熱部材330の平面図、図16は、その分解斜視図である。なお、以下の説明において、加熱部材330に対する、定着ベルト310側(ニップ部N側)を「表側」と称し、ヒータホルダ340側を「裏側」と称して説明する。
図15及び図16に示すように、加熱部材330は、板状の基材層331と、基材層331の表側に設けられた第1絶縁層332と、第1絶縁層332の表側に設けられた導体層334と、導体層334の表側を被覆する第2絶縁層335と、基材層331の裏側に設けられた第3絶縁層336との、複数の構成層が積層されて構成されている。
導体層334は、面状の抵抗発熱体で構成された一対の発熱部333と、各発熱部333の長手方向一端部側に設けられた一対の電極部333aと、電極部333aと発熱部333との間及び発熱部333同士を接続する複数の給電線333bとで構成されている。また、図15に示すように、各電極部333aは、後述のコネクタとの接続を確保するため、少なくとも一部が第2絶縁層335に被覆されておらず露出した状態となっている。
各発熱部333は、例えば、銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストをスクリーン印刷等により基材層331に塗工し、その後、当該基材層331を焼成することによって形成することができる。発熱部333の材料として、これら以外に、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)の抵抗材料を用いてもよい。
本実施形態では、各発熱部333が互いに平行に基材層331の長手方向に伸びるように設けられている。各発熱部333の一端部(図7における右端部)同士は、給電線333bを介して互いに電気的に接続され、各発熱部333の他端部(図15における左端部)は、それぞれ別の給電線333bを介して電極部333aに対して電気的に接続されている。
給電線333bは、発熱部333よりも小さい抵抗値の導体で構成されている。給電線333bや電極部333aの材料としては、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)などを用いることができ、このような材料をスクリーン印刷するなどによって給電線333bや電極部333aが形成されている。
基材層331は、ステンレス(SUS)や鉄、アルミニウム等の金属材料で構成されている。また、基材層331の材料として、金属材料のほか、セラミック、ガラス等を用いることも可能である。基材層331にセラミックなどの絶縁材料を用いた場合は、基材層331と導体層334との間の第1絶縁層332を省略することが可能である。
一方、金属材料は、急速加熱に対する耐久性に優れ、加工もしやすいため、低コスト化を図るのに好適である。金属材料の中でも、特にアルミニウムや銅は熱伝導性が高く、温度ムラが発生しにくい点で好ましい。また、ステンレスはこれらに比べて安価に製造できる利点がある。
各絶縁層51,53,54は、耐熱性ガラスで構成されている。また、これらの材料として、セラミックあるいはポリイミド(PI)等を用いることも可能である。
また、図17に示すように、基材層331の裏側の面に基材層331よりも熱伝導率が高い高熱伝導層55を設けてもよい。この場合、加熱部材330の熱が高熱伝導層55を介して分散することで、加熱部材330の温度ムラを抑制することができる。また、効果的に温度ムラを抑制できるようにするため、高熱伝導層55は、発熱部333が設けられている領域全体(長手方向及び短手方向)に渡って配置されていることが望ましい。
本実施形態では、発熱部333や電極部333a及び給電線333bに銀やパラジウムなどの合金を用い、PTC特性を有するものとした。PTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、加熱部材出力が下がる)特性である。
PTC特性を有する発熱部333とすることで、低温では高出力によって高速で立ち上がり、高温では低出力により過昇温を抑制することができる。例えば、PTC特性のTCR係数を300~4000ppm/度程度にすれば、加熱部材に必要な抵抗値を確保しながら、低コスト化を図れる。
より好ましくは、TCR係数を500~2000ppm/度とするのがよい。TCR係数は、25度と125度とで抵抗値を測定することにより算出することができる。例えば、100度温度上昇して抵抗値が10%上昇していれば、TCR係数は1000ppm/度である。
また、抵抗発熱体として正の抵抗温度係数を有する物質、いわゆるPTC特性を有する物質を用いても良い。このような特性を示す物質には例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミックがある。PTC特性を有する物質ではある所定温度に達するまでは温度上昇に従って抵抗値が減少するため印加電力低下が生じず温度立ち上がりが速い。また所定温度に達した後は急激に抵抗値が上昇するため自動的に印加電力が減少するため、温度センサを用いて外部から温度制御しなくても自己温度調節機能を有する。
本実施形態では、発熱部333の長さ(長手方向の幅)を用紙幅よりも長くしている。このようにすることで、立ち上げ直後に、用紙幅方向の端部付近での温度低下による定着不良の発生を防止できる。反対に、発熱部333の長さを長くしすぎると、連続通紙時の非通紙領域における過昇温が発生する虞があるので、発熱部333の長さは適切に設定する必要がある。
具体的には、本実施形態において、通紙可能な最大用紙サイズ(最大記録媒体通過幅)のレターサイズ216mm幅に対して、発熱部333は幅方向の片側で0.5mm~7mm大きい範囲(発熱長217mm~230mm)に設定されることが望ましい。さらに望ましくは、最大用紙サイズに対して、発熱部333が幅方向の片側で1mm~5mm大きい範囲(発熱長219mm~226mm)に設定されるのがよい。本実施形態では、発熱部333の長さを221mmとしている。
図18は、加熱部材330及びヒータホルダ340にコネクタ70を装着した状態を示す斜視図である。図18に示すように、コネクタ70は、樹脂製のハウジング71と、ハウジング71に固定された板バネのコンタクト端子72と、を有している。コンタクト端子72は加熱部材330の各電極部333aに接触する一対の接点部72aを有する。また、コネクタ70(コンタクト端子72)には、給電用のハーネス73が接続されている。
図18に示すように、コネクタ70は、加熱部材330とヒータホルダ340とを表側と裏側とから一緒に挟むようにして取り付けられる。これにより、コンタクト端子72の各接点部72aが加熱部材330の電極部333aに対して弾性的に接触(圧接)することで、コネクタ70を介して発熱部333と画像形成装置に設けられた電源とが電気的に接続され、電源から発熱部333へ電力が供給可能な状態となる。
ところで、加熱部材330は、発熱部333の発熱により温度上昇することで、熱膨張が生じる。このような温度変化に伴う加熱部材330の伸縮は、特に加熱部材330の長手方向において顕著となる傾向にある。そのため、加熱部材330が収容されるヒータホルダ340の収容凹部341は、加熱部材330が温度変化しても長手方向に自由に伸縮できるように、予め加熱部材330よりも長手方向に大きく形成し、長手方向の隙間S(図30参照)を確保しておく必要がある。
しかしながら、加熱部材330と収容凹部341との間に長手方向の隙間Sがあると、加熱部材330が熱膨張していない場合に収容凹部341内での加熱部材330のがたつきが発生する。そして、これが原因で、電極部333aとコネクタ70(コンタクト端子72)との接触位置がずれて摩耗や接触不良が起きる虞がある。また、加熱部材330の発熱領域が長手方向に変化することで定着品質が低下する懸念もある。
特に、加工性や低コスト化などの観点から、基材層331の材料としてセラミックよりも安価な金属材料を用いた場合は、温度変化に伴う加熱部材330の長手方向の伸縮量はより一層大きくなる傾向にあるため、加熱部材330と収容凹部341との間の長手方向の隙間Sを大きく確保する必要が生じる。従って、この場合は、収容凹部341内での加熱部材330のがたつきがより大きくなってしまう。
さらに、本実施形態のように、発熱部333の長さK(図30参照)が最大用紙サイズWmaxよりも長く設定されている場合は、非通紙領域での温度上昇が顕著になるため、その部分での熱膨張が大きくなる傾向にある。また、発熱部333がPTC特性を有する場合は、非通紙領域で温度上昇すると、その部分の抵抗値が上昇し、通紙領域内に比べて発熱量が多くなるので、非通紙領域での熱膨張が促進される。
これらの場合、上述の加熱部材330のがたつきはより深刻なものとなる。なお、PTC特性に起因する熱膨張の事象は、図15に示すような2つの発熱部333同士が直列に接続されているパターンに限らず、例えば図19に示すような発熱部333同士が並列に接続されているパターンにおいても、少なくとも長手方向に電流が流れる成分Ixを有する場合、同様に発生する。
すなわち、図19の一点鎖線で囲まれた拡大図に示すように、1つの発熱部333の一端部から他端部の間で用紙Pの幅方向端部hが通過するように搬送されると、当該発熱部333のうち、用紙Pが通過しない高温の非通紙領域333dから用紙Pが通過する低温の通紙領域333cへ電流が流れる。そうすると直列の場合と同様になるため、非通紙領域333dの発熱量が多くなり、熱膨張が促進されることになる。
そのため、本実施形態においては、加熱部材330が収容凹部341内でがたつかないように、加熱部材330を長手方向に位置決めするようにしている。以下、加熱部材330とヒータホルダ340との位置決め構造について説明する。
(加熱部材とヒータホルダとの位置決め構造)
図13及び図14に示すように、加熱部材330の長手方向一端部側には、位置決め部としての位置決め孔330aが設けられている。本実施形態では、位置決め孔330aが、加熱部材330の長手方向に対して交差する方向(短手方向)に窪むように形成された凹部で構成されている。
一方、ヒータホルダ340の収容凹部341には、位置決め孔330aと嵌合する位置決め部としての位置決め突起340bが設けられている。加熱部材330を収容凹部341内に収容する際、位置決め孔330aを位置決め突起340bに対して嵌合させることで、加熱部材330をヒータホルダ340に対して長手方向に位置決めすることができる。これにより、収容凹部341内での加熱部材330の長手方向のがたつきを防止できるようになる。
なお、加熱部材330及びヒータホルダ340において、それぞれの位置決め部(位置決め孔330a及び位置決め突起340b)が設けられた端部側とは反対の端部側には、位置決め部は設けられていない。このようにすることで、温度変化に伴う加熱部材330の長手方向に伸縮が拘束されないようにしている。
上述の位置決め部を有する加熱部材及びヒータホルダの効果を確認する試験を行った。試験では、位置決め部を有する加熱部材及びヒータホルダと、位置決め部を有しない加熱部材及びヒータホルダとを用意し、それぞれを同じ定着装置及び同じ画像形成装置に搭載して、レターサイズの普通紙を縦方向に、1分当たりの出力枚数50枚(50ppm)で、100枚通紙した。
その結果、位置決め部を有しない例では、通紙開始後2枚目で用紙の幅方向一端部側に定着不良が生じ、50枚目で定着ベルトの離型層(PFA層)に剥離が生じた。これは、図20に示すように、加熱部材330が正規の位置(点線で示す位置)より左側に位置ずれした結果、加熱部材330の発熱分布も左側にずれて温度ムラが発生したためと考えられる。
すなわち、ベルト幅方向の右側では、定着ベルトの温度(実線)が本来の温度(点線)に比べて低い温度となったため、用紙の右端部側で定着不良が発生したものと考えられる。一方、ベルト幅方向の左側では、反対に定着ベルトの温度上昇が過剰になってしまい、定着ベルトの表層が剥離したものと考えられる。
これに対して、位置決め部を有する例においては、定着不良、定着ベルトの損傷(表層剥離)はいずれも生じなかった。従って、位置決め部を有することで、ヒータホルダに対する加熱部材の位置精度が向上し、定着不良やベルト損傷が生じるような温度分布ムラを回避できることが確認できた。
また、図15に示すように、本実施形態では、位置決め孔330aが加熱部材330の長手方向における電極部333a側に設けられているため、電極部333a側を基準に加熱部材330の位置決めがなされる。従って、加熱部材330が熱膨張しても、電極部333aの位置は加熱部材330の長手方向に変化しにくいので、電極部333aとコネクタ70とのずれが効果的に抑制され、摩耗や接触不良の発生を防止できる。
また、図21に示す例のように、加熱部材330の長手方向の両端部側にそれぞれ電極部333aがあり、一端部側と他端部側とで電極部333aの数が異なる場合は、できるだけ多くの電極部333aとコネクタ70とのずれを抑制するために、電極部333aの数の多い側に位置決め孔330aを設けるとよい。
また、図22に示す例のように、加熱部材330の一端部側と他端部側とで加熱部材330の長手方向における電極部333aの幅が異なる場合は(L1<L2)、短い方の電極部333a側(L1側)に位置決め孔330aを設けるのがよい。このようにすることで、幅の小さい電極部333aとコネクタ70とのずれを抑制することができ、導通性を確保することができる。
別の見方をすると、位置決め孔330aが設けられた側では、電極部333aを長手方向に短くすることができるので、小型化及び低コスト化を図れる。また、図15に示すように、本実施形態では、位置決め孔330aが、加熱部材330の長手方向における左側給電線333bの箇所に対応して設けられている。
左側給電線333b以外の箇所、例えば、発熱部333や電極部333aの箇所に対して位置決め孔330aを設けることも可能であるが、その場合、加熱部材330(基材層331)が短手方向(図15における上下方向)に大きくなる可能性がある。発熱部333では、用紙に対して十分な熱を供給するために短手方向に所定以上の幅(例えば5mm以上)を確保する必要があり、電極部333aも、コネクタ70との位置ずれを考慮して短手方向に所定以上の幅(例えば5mm以上)を確保しければならない。
一方、左側給電線333bにはこのような事情がないため、通電可能であれば短手方向の幅は比較的小さくすることが可能である。このため、ある程度設計自由度の高い左側給電線333bの箇所に対応して位置決め孔330aを設けることで、加熱部材330の短手方向の大型化を回避することが可能となる。
図23は、位置決め孔330a及び位置決め突起340bを拡大して示す図である。図23において、上側が加熱部材330の表側、下側が加熱部材330の裏側である。図23に示すように、位置決め突起340bの根元部には、隅曲面部340cが形成されている場合がある。
このような隅曲面部340cが存在する場合、位置決め突起340bを位置決め孔330aに嵌合すると、図23に示すように、隅曲面部23cの箇所では位置決め突起340bの幅が広がっているため、位置決め孔330aに対して位置決め突起340bを完全に挿入できずに、加熱部材330の裏面と収容凹部341の底面との間に隙間が生じる。その結果、加熱部材330が収容凹部341の底面から浮いてしまい、加熱部材330を安定して保持することができなくなる。
このような加熱部材330の浮きを抑制するため、図24に示すように、位置決め孔330aにおける位置決め突起340bの根元部が挿入される開口部側の箇所を、幅広に形成してもよい。図24に示す例では、裏面側の第3絶縁層336の開口幅を、基材層331の開口幅よりも、幅方向の片側で(幅α)0.1mm以上5mm以下の範囲で大きく形成している。
これにより、位置決め突起340bの根元部(隅曲面部23c)が位置決め孔330a内に完全に挿入されるようになり、収容凹部341の底面に対する加熱部材330の浮きを抑制することができるようになる。本実施形態では、位置決め部として、加熱部材330に位置決め孔330aを設け、ヒータホルダ340に位置決め突起340bを設けているが、これとは反対に、図25に示すように、加熱部材330に位置決め突起330bを設け、ヒータホルダ340に位置決め孔340dを設けることでも、加熱部材330とヒータホルダ340との長手方向の位置決めを行うことが可能である。
しかしながら、この場合は、加熱部材330に位置決め突起340bを設ける分、加熱部材330の外形が大きくなるため、小型化に不利となる。また、加熱部材330を金属板などの板状の部材から切り出す場合、加熱部材330に突起を設けると材料を余分に切り出さなければならず、歩留まりが悪くなるため、製造コストも高くなってしまう。従って、小型化や低コスト化の観点からすれば、加熱部材330の外形が大きくならないように、加熱部材330に設けられる位置決め部は位置決め孔330aであることが好ましい。
また、位置決め孔330aとしては、上述の凹部に限らず、図26に示すような貫通孔であってもよい。この貫通孔は、加熱部材330の表側から裏側へ厚さ方向に貫通し、開口部が加熱部材330の表側の面と裏側の面にのみに形成されている。
すなわち、貫通孔は、上述の凹部とは異なり、加熱部材330の側面部(加熱部材330の表側の面又は裏側の面とは交差する面)には開口していない。このような貫通孔で位置決め孔330aを構成することで、加熱部材330の外形(側面部)を凹凸の無い矩形に形成することができる。これにより、加熱部材330の製造コストを低減できるようになる。
上述のように、温度変化に伴う加熱部材330の伸縮は、特に加熱部材330の長手方向において顕著となる傾向にあるが、短手方向においても加熱部材330の伸縮は発生する。そのため、短手方向においても、加熱部材330と収容凹部341との間には隙間が介在するように構成されている。
従って、加熱部材330を収容凹部341に収容したときは、短手方向に若干のガタがある。このように、加熱部材330を収容凹部341に収容した時点では、短手方向のガタがあるが、定着ベルト310が回転した際は、その回転力によって加熱部材330の短手方向の位置決めがなされる。
すなわち、図27に示すように、定着ベルト310が回転すると、その回転力によって加熱部材330が定着ベルト310の回転方向Q(以下、「ベルト回転方向」という。)の下流側へ押し動かされるので、加熱部材330のベルト回転方向下流側の側面部330xがこれに対向する収容凹部341の側面部341xに突き当たることで、加熱部材330の短手方向の位置決めがなされる。
ここで、本実施形態では、図28に示すように、加熱部材330の位置決め孔330a及びヒータホルダ340の位置決め突起340bは、ベルト回転方向上流側(図の下側)の側面部330y,341yに設けられている。このため、本実施形態では、ベルト回転方向下流側(図の上側)の側面部330x,341xを、凹凸の無い直線状の平面に形成することができる。これにより、定着ベルト310が回転した際の加熱部材330の短手方向の位置決めを、凹凸の無い側面部330x,341x同士で行うことができ、短手方向の位置精度が向上する。
また、図26に示す例のように、位置決め孔330aを貫通孔で構成した場合も、同様にベルト回転方向下流側の側面部330x,341xを、凹凸の無い直線状の平面に形成することができる。要するに、加熱部材330の短手方向の位置精度を高めるには、位置決め部を加熱部材330及びヒータホルダ340のベルト回転方向下流側の側面部330x,341x以外の部分に設けるとよい。
また、図29に示す例のように、反対に、位置決め孔330a及び位置決め突起340bが、ベルト回転方向下流側の側面部330x,341xに設けられている場合は、定着ベルト310の回転によって、位置決め孔330aと位置決め突起340bとの嵌合を確実に行わせることが可能である。
(ヒータホルダと定着装置本体との位置決め構造)
次に、ヒータホルダ340と定着装置本体(装置フレーム360)との位置決め構造について説明する。図13及び図14に示すように、ヒータホルダ340の長手方向一端部側には、位置決め部としての位置決め凹部340eが設けられている。この位置決め凹部340eに対して、図13及び図14の左側に示される支持部材364の嵌合部364eが嵌合することで、ヒータホルダ340と支持部材364との長手方向の位置決めがなされる。
なお、本実施形態とは反対に、支持部材364に位置決め凹部が設けられ、ヒータホルダ340にその位置決め凹部と嵌合する凸状の嵌合部が設けられていてもよい。一方、図13及び図14の右側に示される支持部材364には、嵌合部364eは設けられておらず、ヒータホルダ340との長手方向の位置決めはされない。これにより、温度変化に伴うヒータホルダ340の長手方向の伸縮が拘束されないようにしている。
また、図12に示すように、支持部材364は、そのガイド溝364aを側壁部361aの挿通溝28bに沿って進入させることで、両側壁部361aに対して組み付けられる。図12に示す2つの支持部材364のうち、ヒータホルダ340に対して長手方向の位置決めがなされる支持部材364は、奥側の支持部材364である。
この奥側の支持部材364が側壁部361aに対して組み付けられることで、側壁部361aに対するヒータホルダ340の長手方向の位置決めがなされる。このように、側壁部361a及び支持部材364は、ヒータホルダ340の長手方向の位置決めを行う定着装置本体の位置決め部として機能する。
ステー350は、支持部材364に対して長手方向の位置決めはされない。図14に示すように、ステー350は、その両端部側に、各支持部材364に対する長手方向の移動(脱落)を規制する段差部350aが設けられているが、各段差部350aは各支持部材364の少なくとも一方に対して長手方向の隙間を介して配置される。
すなわち、ステー350は、温度変化に伴う長手方向の伸縮が拘束されないように、両方の支持部材364に対して長手方向にガタを有するように組み付けられており、支持部材364の一方に対して位置決めされるようには構成されていない。続いて、定着装置本体(装置フレーム360)と画像形成装置本体103との位置決め構造について説明する。
(定着装置本体と画像形成装置本体との位置決め構造)
図12に示すように、第2装置フレーム362を構成する後壁部362aの長手方向の一端部側には、画像形成装置本体103に対する定着装置本体の位置決めを行う位置決め部としての孔部362cが設けられている。定着装置本体を画像形成装置本体103に取り付ける際、画像形成装置本体103に設けられた位置決め部としての突起101が、後壁部362aの孔部362cに対して挿入されることで、突起101と孔部362cが嵌合し、画像形成装置本体103に対する定着装置本体の長手方向(ベルト幅方向)の位置決めがなされる。
なお、本実施形態とは反対に、定着装置本体に位置決め部としての突起が設けられ、画像形成装置本体103にその突起が嵌合する孔部が設けられていてもよい。さらに、位置決め部としての孔部は、貫通孔であってもよいし、底部を有する凹部であってもよい。
また、後壁部362aの孔部362cが設けられた端部側とは反対の端部側には、位置決め部は設けられていない。これにより、温度変化に伴う定着装置本体の長手方向の伸縮が拘束されないようにしている。
以上のように、本実施形態においては、加熱部材とヒータホルダとの間、ヒータホルダと定着装置本体との間、及び定着装置本体と画像形成装置本体との間のそれぞれにおいて、長手方向の位置決めがなされる。以下、これら位置決め部同士の位置関係について説明する。また、以下の説明において、加熱部材とヒータホルダとの位置決め部を「第1の位置決め部」、ヒータホルダと定着装置本体との位置決め部を「第2の位置決め部」、定着装置本体と画像形成装置本体との位置決め部を「第3の位置決め部」と、称することにする。
(位置決め部同士の位置関係)
図30は、定着装置300を分解した模式図である。なお、図30において、定着ベルト310は図示省略している。図30に示すように、第1の位置決め部A(位置決め孔330a及び位置決め突起340b)と、第2の位置決め部B(位置決め凹部340e及び嵌合部364e)と、第3の位置決め部C(孔部362c及び突起101)は、いずれも加熱部材330の長手方向における発熱部333の中央部Mを基準に同じ側(図30では左側)に設けられている。
このように、各位置決め部A,B,Cが全て同じ側に設けられていることで、加熱部材330やヒータホルダ340、定着装置本体(装置フレーム360)の相対的な位置精度が向上する。すなわち、加熱部材330やヒータホルダ340、定着装置本体が熱膨張しても、これらは同じ端部側(位置決めされている端部側)が基準となって伸縮するため、基準となる端部側での相対的な位置ずれを抑制することができる。
特に、本実施形態では、加熱部材330の長手方向における、第1の位置決め部Aの位置と第2の位置決め部Bの位置とが同じ位置(長手方向おいて重なる位置)となっていることで、図30における、左側の側壁部361aに対する加熱部材330及びヒータホルダ340の位置精度が向上する。従って、位置決めされる端部側において、用紙に対する発熱部333の位置精度を高めることができ、定着性を向上させることができる。
また、図30に示すように、定着ベルトの温度を検知する温度センサとしてのサーミスタTHも、加熱部材330の長手方向における発熱部333の中央部Mを基準に各位置決め部A,B,Cと同じ側に設けることで、加熱部材330に対するサーミスタTHの位置精度も向上させることができる。これにより、サーミスタTHの検知結果に基づく定着ベルト310の温度制御を高精度に行うことができるようになる。
なお、定着ベルトの温度を検知する温度センサは、接触式あるいは非接触式のいずれであってもよい。また、定着ベルトの温度を検知する代わりに、加圧ローラ320の温度を検知する温度センサを用いることも可能である。温度センサを加熱部材330の裏側の面に接触又は近接させて配置する場合は、本実施形態のように、基材層331の裏側の面に絶縁層(第3絶縁層336)を設けることが望ましい。
また、図31に示すように、異なる幅サイズの用紙P1,P2,P3がそれぞれの幅方向の一端部(図の左端部側)を位置決め基準Gとして揃えて供給される場合は、用紙の位置決め基準Gも、上記発熱部333の中央部Mを基準に各位置決め部A,B,Cと同じ側に設けられていることが望ましい。これにより、加熱部材330に対する用紙の位置精度が向上し、定着品質を向上させることができる。
本実施形態では、各位置決め部A,B,Cの全てを同じ側に設けているが、これらのうちのいずれか2つのみを同じ側に設けることでも、位置精度を向上させることが可能である。例えば、第1の位置決め部Aと第2の位置決め部Bのみ、あるいは、第1の位置決め部Aと第3の位置決め部Cのみを、発熱部333の中央部Mを基準に同じ側に配置してもよい。続いて、第1の位置決め部Aと加圧ローラ320の駆動伝達ギヤ324との位置関係について説明する。
(第1の位置決め部と駆動伝達ギヤとの位置関係)
図30に示すように、本実施形態では、駆動伝達ギヤ324に対する加熱部材330やヒータホルダ340の干渉を回避するため、第1の位置決め部Aと駆動伝達ギヤ324とを、発熱部333の中央部Mを基準に互いに反対側に設けている。これに対して、第1の位置決め部Aと駆動伝達ギヤ324とを同じ側に設けると、加熱部材330やヒータホルダ340が駆動伝達ギヤ324と干渉する虞がある。
すなわち、加熱部材330及びヒータホルダ340に位置決め部Aを設けると、第1の位置決め部Aの設置スペース分、加熱部材330及びヒータホルダ340が長くなるので、それぞれの端部が駆動伝達ギヤ324の位置まで伸ばされると、駆動伝達ギヤ324と干渉する問題が生じる。また、駆動伝達ギヤ324は、その径が小さいと、画像形成装置本体103側のギヤから受ける力が大きくなり、加圧ローラ320の回転軸が撓む虞があるため、駆動伝達ギヤ324の径は大きい方が望ましい。
しかしながら、駆動伝達ギヤ324の径を大きくすると、ますます加熱部材330やヒータホルダ340との干渉が生じやすくなる。さらに、本実施形態のように、加熱部材330がヒータホルダ340の加圧ローラ320側(ニップ部N側)の面に保持されている場合は(図2参照)、加熱部材330と駆動伝達ギヤ324と距離が近くなるため、これらの干渉は一層生じやすくなる。
このような干渉を回避する対策として、例えば、加圧ローラ320の軸を伸ばし、駆動伝達ギヤ324を加熱部材330やヒータホルダ340と干渉しない位置にずらして配置する方法が考えられる。しかしながら、加圧ローラ320の軸を伸ばすと、加圧ローラ320と定着ベルト310との間での加圧力に対する剛性(曲げ強度)が低下し、撓みが生じやすくなる。
そのため、加圧ローラ320の剛性を確保できるように回転軸を太く形成する必要が生じ、重量が増えたり高コスト化したりするといった別の課題が発生する。従って、加圧ローラ320の軸を伸ばす方法は好ましい解決策とは言えない。
そこで、本実施形態においては、上述のように、第1の位置決め部Aと駆動伝達ギヤ324とを、発熱部333の中央部Mを基準に互いに反対側に設けるようにしている。このように、第1の位置決め部Aと駆動伝達ギヤ324とを互いに反対側に設けることで、加圧ローラ320の軸を伸ばさなくても、駆動伝達ギヤ324に対する加熱部材330及びヒータホルダ340の干渉を回避することができるようになる。
また、図30に示すように、電極部333aも、発熱部333の中央部Mを基準に駆動伝達ギヤ324とは反対側に設けられることで、ギヤの噛み合い部で発生する熱によって電極部333aやこれに接続されるコネクタ70が温度上昇するのを抑制できるようになる。これにより、コネクタ70の温度上昇に伴う電極部333aに対する接触圧の低下などを防止できるようになる。
なお、加熱部材330の小型化及び低コスト化の観点からすれば、上述のように、加熱部材330に設けられる位置決め部は、図17に示す位置決め突起330bではなく、図14に示す位置決め孔330aであることが好ましい。しかし、位置決め部がいずれの場合でも加熱部材330及びヒータホルダ340に設けられると、これらを長くする必要があるので、駆動伝達ギヤ324に対する加熱部材330及びヒータホルダ340の干渉の問題は同様に生じ得る。
従って、加熱部材330及びヒータホルダ340に位置決め部を設けることによる駆動伝達ギヤ324との干渉を回避する観点からすれば、加熱部材330に設けられる位置決め部は、凹部、凸部、貫通孔のいずれかに限定されるものではない。また、加圧ローラ320の一端部側に設けられる駆動伝達部材は、駆動伝達ギヤ324のほか、駆動伝達ベルトを張架するプーリやカップリング機構などであってもよい。さらに続いて、加熱部材330における電極部333aへの熱伝達を抑制する構成について説明する。
(電極部への熱伝達抑制構造)
上述の説明では、加熱部材330の長手方向の位置決めを行うために、加熱部材330に位置決め孔330aを設けた構成ついて述べたが、このような位置決め孔330aを、発熱部333が設けられた部分と電極部333aが設けられた部分との間に形成することで、発熱部333から電極部333aへの熱伝達を抑制する手段として利用することができる。すなわち、図15に示すように、位置決め孔330aが設けられている部分は、発熱部333が設けられた部分よりも断面積の小さい小断面部330zとなっているため、この小断面部330zにおいて発熱部333から電極部333aへの熱伝達を抑制することができる。
これにより、電極部333aに接触するコネクタ70の温度上昇を抑制することができ、コネクタ70の温度上昇に伴う電極部333aに対する接触圧の低下を防止できるようになる。このように、本実施形態によれば、発熱部333が発熱しても、電極部333aやコネクタ70が温度上昇しにくくなり、電極部333aに対するコネクタ70の接触圧を良好に維持することができるので、信頼性が向上する。
特に、本実施形態のように、発熱部333の長さを最大用紙サイズよりも長く設定している場合や、発熱部333がPTC特性を有し、発熱部333の少なくとも一部において加熱部材330の長手方向に電流が流れるように構成されている場合は、非通紙領域で発熱量が多くなるため、このような小断面部330zを設けることによる効果を大きく期待できる。
また、本実施形態の構成の場合、位置決め孔330aが、発熱部333から電極部333aへの熱伝達を抑制する小断面部330zとしての機能も兼ねることで、位置決め部と熱伝達抑制部とを別個に設けなくてもよくなり、加熱部材330の小型化を図れるようになる。また、加熱部材330に小断面部330zを形成するだけで、電極部333aへの熱伝達を抑制できるので、加熱部材330に放熱部材などの別部材を新たに追加する必要がなく小型化に有利である。
また、小断面部330zは、発熱部333が設けられた部分よりも断面積が小さければ、任意の形状に形成することが可能である。例えば、図26に示す例のような、貫通孔から成る位置決め孔330aを設けることでも小断面部330zを形成することが可能である。
さらに、図32に示す例のように、発熱部333が設けられた部分と電極部333aが設けられた部分との間で、基材層331を部分的に薄くすることで、小断面部330zを形成することも可能である。以下、他の定着装置の構成について説明する。
(他の定着装置の構成)
図33に示す例では、上述の実施形態とは反対に、駆動伝達ギヤ324を、発熱部333の中央部Mを基準として各位置決め部A,B,Cと同じ側に設けている。この場合、駆動伝達ギヤ324の位置精度が向上するので、画像形成装置本体103に設けられたギヤとの噛み合いを精度良くに行うことができるようになり、耐久性に関する信頼性が向上する。
また、図33に示す例では、定着装置本体(装置フレーム360)と画像形成装置本体103とを位置決めする第3の位置決め部Cを、定着装置300の一方の側壁部361aの端部361eと、これと嵌合する画像形成装置本体103側の孔部102(又は凹部)と、で構成している。この場合、各位置決め部A,B,Cの全てを、加熱部材330の長手方向において同じ位置(長手方向おいて重なる位置)にすることができる。このように、各位置決め部A,B,Cの全てを、加熱部材330の長手方向において同じ位置にすることで、画像形成装置本体103に対する加熱部材330の位置精度がより一層向上する。
また、図34に示す例のように、加熱部材330に設けられた位置決め部としての孔部330c(小断面部330z)に対して側壁部361aの挿通溝361dの縁を直接嵌合させたり、あるいは、図35に示す例のように、加熱部材330に設けられた孔部330c(小断面部330z)に対してステー350に設けられた突起350bを直接嵌合させたりして、加熱部材330を長手方向に位置決めすることも可能である。このように、加熱部材330の位置決め部に嵌合して位置決めを行う相手部材は、上述のヒータホルダ340以外に、側壁部361aやステー350であってもよい。
しかもこの場合、加熱部材330の熱は、加熱部材330に直接接触する側壁部361aやステー350へ伝達されやすくなるので、加熱部材330の温度上昇を抑制することが可能である。また、図34及び図35に示すように、このような側壁部361aやステー350が加熱部材330に直接接触する箇所を、加熱部材330の長手方向における発熱部333と電極部333aとの間に設けることで、発熱部333から電極部333aへの熱の伝達をより一層抑制することができるようになる。
また、側壁部361aやステー350の材料を、ヒータホルダ340よりも熱伝導率の高い材料、より好ましくは加熱部材330(基材層331)よりも熱伝導率の高い材料で構成することで、加熱部材330の温度上昇を効率的に抑制することができる。ただし、加熱部材330の熱をその長手方向の一端部側において、側壁部361aやステー350に伝達しやすくすると、反対の端部側との放熱量の差が大きくなることで、加熱部材330の一端部側と他端部側とで温度が不均一になる可能性がある。
これに対する対策として、例えば、図36に示すように、加熱部材330の孔部330c(小断面部330z)が設けられた端部とは反対の端部側に、基材層331よりも熱伝導率の高い高熱伝導部材74を設けるとよい。これにより、側壁部361aやステー350が直接接触する端部側とは反対の端部側においても伝熱効果(放熱効果)が増すようになるので、加熱部材330の一端部側と他端部側とでの温度不均一を緩和することができる。
また、温度不均一を効果的に緩和するために、発熱部333の中央部Mからの孔部330cまでの距離E1と、発熱部333の中央部Mから高熱伝導部材74までの距離E2は、差が2mm以下、望ましくは同じ距離(対称位置)であるのがよい。また、高熱伝導部材74を板バネ形状などに形成し、高熱伝導部材74が加熱部材330とヒータホルダ340とを一緒に挟んで保持する挟持部材としての機能を兼ねるようにしてもよい。これにより、加熱部材330の均熱化と脱落防止の2つの機能を一部品で実現することができ、低コスト化を図れる。
また、本発明は、上述の定着装置のほか、図37~図39に示すような定着装置にも適用可能である。以下、図37~図39に示す各定着装置の構成について簡単に説明する。
まず、図37に示す定着装置300は、定着ベルト310に対して加圧ローラ320側とは反対側に、押圧ローラ370が配置されており、この押圧ローラ370と加熱部材330とによって定着ベルト310を挟んで加熱するように構成されている。一方、加圧ローラ320側では、定着ベルト310の内周にニップ形成部材380が配置されている。ニップ形成部材380は、ステー350によって支持されており、ニップ形成部材380と加圧ローラ320とによって定着ベルト310を挟んでニップ部Nを形成している。
次に、図38に示す定着装置300では、前述の押圧ローラ370が省略されており、定着ベルト310と加熱部材330との周方向接触長さを確保するために、加熱部材330が定着ベルト310の曲率に合わせて円弧状に形成されている。その他は、図37に示す定着装置300と同じ構成である。
最後に、図39に示す定着装置300では、定着ベルト310のほかに加圧ベルト390が設けられ、加熱ニップ(第1ニップ部)N1と定着ニップ(第2ニップ部)N2とを分けて構成している。すなわち、加圧ローラ320に対して定着ベルト310側とは反対側に、ニップ形成部材380とステー381とを配置し、これらニップ形成部材380とステー381を内包するように加圧ベルト390を回転可能に配置している。
そして、加圧ベルト390と加圧ローラ320との間の定着ニップN2に用紙Pを通紙して加熱及び加圧して画像を定着する。その他は、図2に示す定着装置300と同じ構成である。
(電子写真プリンタのヒートローラへの適用)
また、本発明は図40に示す電子写真プリンタ400のヒートローラに適用することもできる。この電子写真プリンタ400は用紙湿気除去用ローラ430など複数のヒートローラを使用する。当該ヒートローラは、前述したヒートブロックを有する円筒状の面状発熱体を内管と外管からなる二重管の間にサンドイッチして構成することができる。
図40の電子写真プリンタ400は、感光体ドラム410及び定着用フラッシュランプ420を有する。ヒートローラは、感光体ドラム410の上流側に配置された用紙湿気除去用ローラ430として使用される。また、ヒートローラは、感光体ドラム410の内部に配置されたドラム結露防止ローラ440として使用される。また、ヒートローラは、感光体ドラム410と定着用フラッシュランプ420との間に配置されたプレヒートローラ450として使用される。また、ヒートローラは、定着用フラッシュランプ420の下流側に配置された用紙しわ伸ばしローラ460として使用される。
このように、ヒートローラは、(a)転写前の用紙の湿気を除去する、(b)感光体ドラムの結露を防止する、(c)フラッシュ定着前のプレヒートを行う、(d)定着後に媒体のしわ伸ばしを行うために使用することができる。勿論、ヒートローラは上記した例の全てに使用される必要はない。また、ヒートローラの応用は図40に示した例に限定されるものではない。ヒートブロックの抵抗は、抵抗体に導体または高抵抗体を設けることで簡単に設定可能なため、定着器以外での汎用性も高まる。
以上、種々の定着装置の構成について説明したが、本発明に係る加熱装置は、薄肉定着ベルトを直接加熱する型式の定着装置の他、加熱部材を内周に配設したヒートローラ型式の定着装置にも適用可能である。また本発明に係る加熱装置は、定着装置にのみ適用されるものではない。例えば、本発明に係る加熱装置は、用紙に塗布されたインクを乾燥させるために、インクジェット方式の画像形成装置に搭載される乾燥装置や、インクジェットプリントヘッドの加熱部材にも適用可能である。
また本発明に係る加熱装置は、抵抗体に設ける導体に代えて、当該抵抗体よりも大きな抵抗を有する高抵抗体を設けることもできる。すなわち、抵抗体導体積層部により抵抗を低減調整するのに代えて、抵抗体高抵抗体積層部により抵抗を増大調整する。
さらに、本発明に係る加熱部材は、ベルト部材によって用紙などのシートを搬送しながら、そのシートの表面に被覆部材としてのフィルムを熱圧着する被覆装置(ラミネータ)にも適用可能である。また、本発明に係る加熱部材は、ベルト部材を加熱するベルト加熱装置に限らず、ベルト部材を備えていない加熱装置にも適用可能である。また前記加熱部材の抵抗体は、シート状、蛇行状の他、櫛歯状、渦巻状等の任意の形状で形成可能である。