図1は本発明の第1実施形態に係る電子部品が組み込まれた電子部品モジュール1の平面図である。図1では、内部構造の明瞭化のため電子部品モジュール1の中央部を透視して示している。
高電圧コイルに電気的に接続された高電圧パッドと、低電圧コイルに電気的に接続された低電圧パッドとが、電子部品の表面において横方向に離れて配置されることがある。
通常、低電圧パッド-高電圧パッド間の距離は、充分な耐圧を確保する観点から、トランスの高電圧コイル-低電圧コイル間の距離に比べて数十倍以上に設定される。そのため、低電圧パッド-高電圧パッド間の領域を利用して耐圧を向上させる点については、現在に至るまで充分な検討がなされていない。
そこで、この形態では、低電圧パッド-高電圧パッド間の領域に着目して、耐圧を向上できる電子部品および電子部品モジュールを提供する。
電子部品モジュール1のパッケージタイプは、SOP(Small Outline Package)である。電子部品モジュール1のパッケージタイプとしては、SOPに限らず、QFP(Quad Flat Package)、SOJ(Small Outline J-lead Package)等の種々のタイプが採用され得る。
電子部品モジュール1は、複数のチップが、1パッケージ化されたパワーモジュールである。樹脂パッケージ2と、複数のリード3と、複数のチップ類4とを含む。
樹脂パッケージ2は、たとえばエポキシ樹脂を用いて四角(正方形)板状に形成されている。複数のリード3は、この形態では、樹脂パッケージ2の互いに対向する一対の端面を介して、樹脂パッケージ2の内外に跨って設けられている。
複数のチップ類4は、低電圧素子(第1デバイス)の一例としてのコントローラチップ5(コントローラIC)と、電子部品6と、高電圧素子(第2デバイス)の一例としてのドライバチップ7(ドライバIC)とを含む。電子部品6は、この形態では、変圧器を含むトランスチップ(すなわち絶縁型部品)である。各チップ5~7は、四角(長方形)板状に形成されている。
コントローラチップ5のサイズおよびドライバチップ7のサイズは、ほぼ等しくてもよい。電子部品6のサイズは、コントローラチップ5およびドライバチップ7よりも小さくてもよい。
電子部品6は、樹脂パッケージ2のほぼ中央部に配置されている。コントローラチップ5およびドライバチップ7は、それぞれ、電子部品6に対して一方のリード3側およびその反対のリード3側に配置されている。
コントローラチップ5およびドライバチップ7は、それらの間に電子部品6を挟むように配置されている。コントローラチップ5およびドライバチップ7は、それぞれ、複数のリード3に隣り合っている。
コントローラチップ5および電子部品6は共通の第1ダイパッド8上に配置されている。ドライバチップ7は、第1ダイパッド8から間隔を空けて設けられた第2ダイパッド9上に配置されている。
コントローラチップ5の表面には、複数のパッド10および複数のパッド11が形成されている。複数のパッド10は、コントローラチップ5のリード3に近い側の長辺に沿って配列されている。複数のパッド10は、ボンディングワイヤ12によってリード3に接続されている。
複数のパッド11は、コントローラチップ5のリード3の反対側(電子部品6に近い側)の長辺に沿って配列されている。
電子部品6の表面には、複数の低電圧パッド13および複数の高電圧パッド14が形成されている。複数の低電圧パッド13は、電子部品6のコントローラチップ5に近い側の長辺に沿って配列されている。複数の低電圧パッド13は、ボンディングワイヤ15によってコントローラチップ5のパッド11に接続されている。
この形態では、コントローラチップ5のパッド11が電子部品6の一次側に接続されている。複数の高電圧パッド14は、電子部品6の幅方向中央部において電子部品6の長辺に沿って配列されている。
ドライバチップ7の表面には、複数のパッド16および複数のパッド17が形成されている。複数のパッド16は、ドライバチップ7の電子部品6に近い側の長辺に沿って配列されている。複数のパッド16は、ボンディングワイヤ18によって電子部品6の高電圧パッド14に接続されている。
この形態では、ドライバチップ7のパッド16が電子部品6の二次側に接続されている。複数のパッド17は、ドライバチップ7の電子部品6の反対側(リード3に近い側)の長辺に沿って配列されている。複数のパッド17は、ボンディングワイヤ19によってリード3に接続されている。
図1で示した各チップ5~7のパッド類の配置形態は一例に過ぎず、パッケージタイプやチップ類4の配置形態に応じて適宜変更できる。
図2は、図1の電子部品モジュール1の接続形態および各部の電位を示す図である。
図2に示すように、電子部品モジュール1では電子部品6において、一次側(低圧側)の下コイル20と、二次側(高圧側)の上コイル21とが上下方向に間隔を空けて対向している。
下コイル20は、低電圧コイル(低電圧導体パターン)の一例として形成されている。上コイル21は、高電圧コイル(高電圧導体パターン)の一例として形成されている。下コイル20および上コイル21は、それぞれ、螺旋状に形成されている。
下コイル20および上コイル21の磁気結合によって変圧器(後述する第1変圧器301および第2変圧器302)が形成されている。コントローラチップ5およびドライバチップ7は、変圧器(下コイル20および上コイル21)により直流絶縁されている。また、コントローラチップ5およびドライバチップ7は、変圧器(下コイル20および上コイル21)により交流接続されている。
下コイル20の内側コイルエンド22(渦巻きの内側末端)および外側コイルエンド92(渦巻きの外側末端)には、それぞれ、低電圧配線24および低電圧配線93が接続されている。低電圧配線24,93の末端は、低電圧パッド13として露出している。
上コイル21の内側コイルエンド23および外側コイルエンド94には、それぞれ、高電圧配線25(内側コイルエンド配線)および高電圧配線95(外側コイルエンド配線)が接続されている。高電圧配線25,95の末端は、高電圧パッド14として露出している。
コントローラチップ5は、トランジスタTr1,Tr2を含む。トランジスタTr1,Tr2は、それぞれ、配線90,91の導通・遮断を行うスイッチング素子である。
トランジスタTr1は、或るパッド10と或るパッド11とを接続する配線90の途中に設けられている。トランジスタTr2は、他のパッド10と他のパッド11とを接続する配線91の途中に設けられている。
配線90側のパッド10,11は、それぞれ、ボンディングワイヤ12,15を通じて入力電圧および外側コイルエンド92側の低電圧パッド13に接続されている。配線91側のパッド10,11は、それぞれ、ボンディングワイヤ12,15を通じて接地電圧および内側コイルエンド22側の低電圧パッド13に接続されている。
第1印加状態(Tr1:ON、Tr2:OFF)と第2印加状態(Tr1:OFF、Tr2:ON)が交互に繰り返されるようにコントローラチップ5を制御することによって、電子部品6の下コイル20に周期的なパルス電圧が発生する。たとえば、図2では、基準電圧=0V(接地電圧)に対して5Vのパルス電圧が下コイル20で発生する。
電子部品6では、直流信号が下コイル20と上コイル21との間で遮断されつつ、電磁誘導によって、下コイル20で発生したパルス電圧に基づく交流信号のみが選択的に高圧側(上コイル21)に伝達される。
伝達される交流信号は、下コイル20と上コイル21との間の変圧比に応じて昇圧される。伝達される交流信号は、ボンディングワイヤ18を通じて、ドライバチップ7に出力される。たとえば、図2では、5Vのパルス電圧が15Vまで昇圧された後、基準電圧が1200Vに設定されたドライバチップ7に出力される。
ドライバチップ7は、入力された15Vのパルス電圧をSiCパワーMOSFET(たとえば、ソース-ドレイン間電圧=1200V)のゲート電極(図示せず)に印加することによって、当該MOSFETのスイッチング動作を行う。
図2で示した具体的な電圧値は、電子部品モジュール1の動作を説明するために用いた一例に過ぎない。ドライバチップ7(HV領域)の基準電圧は1200Vを超える値であってもよい。
図3は、図1の電子部品6の平面構造を説明するための図である。図4は、電子部品6の下コイル20が配置された層の平面構造を説明するための図である。図5は、電子部品6の上コイル21が配置された層の平面構造を説明するための図である。
図6は、電子部品6の断面図(図3のVI-VI線に沿う断面図)である。図7は、電子部品6の断面図(図3のVII-VII線に沿う断面図)である。図6および図7では、明瞭化のために、金属部分のみをハッチングで示している。
図3~図5を参照して、電子部品6は、第1変圧器301および第2変圧器302を含む。第1変圧器301および第2変圧器302は、電子部品6の長手方向に沿って間隔を空けて形成されている。図3~図5の紙面では、第1変圧器301が上側に示されており、第2変圧器302が下側に示されている。
第1変圧器301は、後述するように、互いに対向する一組の下コイル20および上コイル21を2つ含む。第2変圧器302も同様に、互いに対向する一組の下コイル20および上コイル21を2つ含む。
図6および図7に示すように、半導体基板26と、半導体基板26上に形成された絶縁層積層構造27とを含む。半導体基板26としては、Si(シリコン)基板、SiC(炭化珪素)基板等を適用できる。
半導体基板26によって、電子部品6が半導体装置として形成されている。したがって、電子部品6を含む電子部品モジュール1は、半導体モジュールとして形成されている。
絶縁層積層構造27は、半導体基板26の表面から順に積層された複数(図6および図7では12層)の絶縁層28からなる。複数の絶縁層28は、半導体基板26の表面に接する最下層の絶縁層28を除いて、それぞれ、下層のエッチングストッパ膜29と、上層の層間絶縁膜30との積層構造からなる。
最下層の絶縁層28は、層間絶縁膜30のみからなる。エッチングストッパ膜29としては、SiN膜、SiC膜、SiCN膜等が使用されてもよい。層間絶縁膜30としては、SiO2膜が使用されてもよい。
下コイル20および上コイル21は、絶縁層積層構造27において互いに異なる絶縁層28に形成されている。下コイル20および上コイル21は、一層以上の絶縁層28を挟んで互いに対向している。
この形態では、下コイル20は、半導体基板26から4層目の絶縁層28に形成されている。上コイル21は、下コイル20との間に6層の絶縁層28を挟んで、11層目の絶縁層28に形成されている。
図3~図5に示すように、下コイル20および上コイル21は、それぞれ、中央に平面視楕円形の内方領域31,32が区画されるように、その内方領域31,32の周囲を取り囲む楕円環状の領域に形成されている。
上コイル21は、その上面が絶縁層28の上面と面一になるように形成されている。これにより、上コイル21は、側面、上面および下面において、互いに異なる絶縁層28に接している。
具体的には、上コイル21が埋め込まれた絶縁層28は、エッチングストッパ膜29および層間絶縁膜30が上コイル21の側面に接している。上コイル21が埋め込まれた絶縁層28の上側に形成された絶縁層28は、下層のエッチングストッパ膜29のみが上コイル21の上面に接している。下側の絶縁層28は、上層の層間絶縁膜30のみが上コイル21の下面に接している。
ここでは説明を省略するが、下コイル20も上コイル21と同様に、その上面が絶縁層28の上面と面一になるように形成されている。
図3,図6および図7に示すように、絶縁層積層構造27の表面(最上層の絶縁層28の層間絶縁膜30上)には、高電圧導電層の一例としての高電圧パッド層88および低電圧導電層の一例としての低電圧パッド層89が形成されている。
これらを一体で覆うように、表面絶縁膜の一例としての保護膜75およびパッシベーション膜76が、絶縁層積層構造27の全面に順に積層されている。これらの膜75,76には、パッド開口79,78が形成されている。パッド開口79,78は、高電圧パッド層88および低電圧パッド層89を、それぞれ、高電圧パッド14および低電圧パッド13として露出させている。
高電圧パッド14は、絶縁層積層構造27の積層方向に沿って電子部品6を上方から見た平面視において、上コイル21が配置された中央の高電圧領域(HV領域)36に配置されている。
ここで、高電圧領域36は、上コイル21が埋め込まれた絶縁層28における、上コイル21および上コイル21と同電位の配線が形成された領域、およびそれら形成領域の周辺部を含む。
この形態では、図3および図5に示すように、上コイル21が電子部品6の長手方向に間隔を空けて2つずつペアで合計4つ形成されている。各ペアの上コイル21の内方領域32および隣り合う上コイル21間には、それぞれ、内側コイルエンド配線37(第2コンタクト部)および外側コイルエンド配線96が形成されている。内側コイルエンド配線37は、絶縁層積層構造27の厚さ方向(積層方向)に下コイル20に対向しないように絶縁層積層構造27内に配置されている。
各上コイル21のペアでは、一方の上コイル21および他方の上コイル21が、その間の共通の外側コイルエンド配線96によって互いに電気的に接続されている。これら両方の上コイル21、その間の外側コイルエンド配線96および各上コイル21内の内側コイルエンド配線37は全て同電位となっている。
絶縁層28では、各上コイル21の内方領域32および各上コイル21のペアにおける上コイル21間の領域も、上コイル21、内側コイルエンド配線37もしくは外側コイルエンド配線96からの電界が及ぶ範囲内として、高電圧領域36に含まれている。
高電圧領域36の中で、図3および図5の平面視において、各上コイル21と重複する領域および各上コイル21の内方領域32が、高電圧コイルの形成領域の一例である。
高電圧領域36の中で、高電圧コイルの形成領域以外の領域が、上コイル21の外側のコイル外方領域85である。高電圧コイルの形成領域以外の領域は、たとえば、各上コイル21のペアにおける上コイル21間の領域(コイル間領域50)や各上コイル21の周縁に沿う領域(コイル周縁領域99)を含む。
下コイル20(低電圧コイル)が配置された領域は、平面視では高電圧領域36に一致するが、上コイル21(高電圧コイル)から複数の絶縁層28によって隔離されている。下コイル20(低電圧コイル)が配置された領域は、上コイル21からの電界の影響がほとんど及ばないので、この実施形態で言う高電圧領域36に含まれるものではない。
高電圧パッド14は、図3に示すように、各上コイル21の内方領域32の上方および各上コイル21のペアにおけるコイル間領域50の上方に一つずつ、合計6個配置されている。
高電圧パッド14を、その配置形態によって分類することによって、高電圧パッド14は、第1パッド33および第2パッド34を含んでいてもよい。
第1パッド33は、各上コイル21の内方領域32の上方に配置されている。第1パッド33は、絶縁層積層構造27の厚さ方向(積層方向)において当該内方領域32に対向する。第2パッド34は、各コイル間領域50の上方に配置されている。第2パッド34は、絶縁層積層構造27の厚さ方向(積層方向)において当該コイル間領域50に対向する。
図3、図5および図6に示すように、第1パッド33は、上コイル21と同一の絶縁層28に埋め込まれた内側コイルエンド配線37に、ビア38を介して接続されている。
図3、図5および図7に示すように、第2パッド34は、同様の構造によって、上コイル21と同一の絶縁層28に埋め込まれた外側コイルエンド配線96にビア35を介して接続されている。
これにより、上コイル21に伝達された交流信号を、内側コイルエンド配線37およびビア38、ならびに、外側コイルエンド配線96およびビア35を介して、高電圧パッド14から出力できる。
内側コイルエンド配線37およびそれに接続されたビア38、ならびに外側コイルエンド配線96およびそれに接続されたビア35を合わせたものが、それぞれ、図2の高電圧配線25および高電圧配線95となる。
絶縁層積層構造27には、高電圧領域36とは電気的に切り離された低電位の領域(LV領域)として、低電圧領域46(図6および図7)、外側低電圧領域47(図3~図7)および中間領域48(図3~図7)が設定されている。
低電圧領域46は、下コイル20が埋め込まれた絶縁層28における、下コイル20および下コイル20と同電位の配線が形成された領域、および、それら形成領域の周辺部を含んでいる。低電圧領域46は、下コイル20と上コイル21との関係と同様に、一層以上の絶縁層28を挟んで高電圧領域36に対向している。
下コイル20は、この形態では、図4に示すように、上コイル21と対向する位置、すなわち、電子部品6の長手方向に間隔を空けて2つずつペアで合計4つ形成されている。各ペアの下コイル20の内方領域31および隣り合う下コイル20間には、それぞれ、内側コイルエンド配線49(第1コンタクト部)および外側コイルエンド配線97が形成されている。内側コイルエンド配線49は、絶縁層積層構造27の厚さ方向(積層方向)に上コイル21に対向しないように絶縁層積層構造27内に配置されている。
各ペアでは、一方の下コイル20および他方の下コイル20が、その間の共通の外側コイルエンド配線97によって互いに電気的に接続されている。これら両方の下コイル20、その間の外側コイルエンド配線97および各下コイル20内の内側コイルエンド配線49は全て同電位となっている。
絶縁層28では、各下コイル20の内方領域31および各ペアにおける下コイル20間の領域も、下コイル20、内側コイルエンド配線49もしくは外側コイルエンド配線97からの電界が及ぶ範囲内として、低電圧領域46に含まれている。内側コイルエンド配線49は、図5に示すように、平面視において高電圧側の内側コイルエンド配線37からずれた位置に配置されている。
外側低電圧領域47は、図3~図5に示すように、高電圧領域36および低電圧領域46を取り囲むように設定されている。中間領域48は、高電圧領域36および低電圧領域46と外側低電圧領域47との間に設定されている。
図3,図6および図7に示すように、低電圧パッド13は、外側低電圧領域47において絶縁層積層構造27の表面(最上層の絶縁層28の層間絶縁膜30上)に形成されている。
図6および図7に示すように、外側低電圧領域47は、第1スペースの一例としての第1領域39および第2スペースの一例としての第2領域40を含む。
第1領域39は、高電圧パッド14を挟んで一方側(紙面左側)の領域である。第2領域40は、高電圧パッド14を挟んで他方側(紙面右側)の領域である。低電圧パッド13は、第1領域39に選択的に偏って形成されている。
低電圧パッド13は、この形態では、第1領域39において、電子部品6の長手方向に互いに間隔を空けて6個設けられた高電圧パッド14のそれぞれの側方に一つずつ、合計6個配置されている。
各低電圧パッド13は、絶縁層積層構造27内を引き回された低電圧配線24,93によって、下コイル20に接続されている。低電圧配線24は、貫通配線51と、引き出し配線52とを含む。
貫通配線51は、外側低電圧領域47において各低電圧パッド13から少なくとも下コイル20が形成された絶縁層28を貫通して、下コイル20よりも下方の絶縁層28に達する柱状に形成されている。
より具体的には、貫通配線51は、低電圧層配線53,54(低電圧配線)、および、ビア55,56,57を含む。低電圧層配線53,54は、それぞれ、上コイル21および下コイル20と同一の絶縁層28に島状(四角形状)に埋め込まれている。
複数のビア55は、低電圧層配線53,54の間を接続している。ビア56は、上側の低電圧層配線53と低電圧パッド13とを接続している。ビア57は、下側の低電圧層配線54と引き出し配線52とを接続している。
引き出し配線52は、低電圧領域46から、下コイル20よりも下方の絶縁層28を介して外側低電圧領域47に引き出された線状に形成されている。
引き出し配線52は、より具体的には、内側コイルエンド配線49と、引き出し層配線58と、ビア59とを含む。引き出し層配線58は、下コイル20よりも下方の絶縁層28に線状に埋め込まれている。引き出し層配線58は、下コイル20の下方を横切っている。
ビア59は、引き出し層配線58と内側コイルエンド配線49とを接続している。引き出し層配線58は、ビア86を介して半導体基板26に接続されている。これにより、低電圧配線24は、基板電圧(たとえば接地電圧)に固定される。
詳細は省略するが、低電圧配線93も、低電圧配線24と同様に、貫通配線43(図7)と、引き出し配線98(図3~図5)とを含む配線によって構成されている。
以上の構成により、複数の低電圧パッド13のうち、高電圧パッド14の第1パッド33の側方に配置された第1パッド41は、図3~図6に示すように、貫通配線51および引き出し配線52を介して、下コイル20の内側コイルエンド配線49に接続されている。
図3~図6に示すように、高電圧パッド14の第2パッド34の側方に配置された第2パッド42は、貫通配線43および引き出し配線98を介して、下コイル20の外側コイルエンド配線97に接続されている。これにより、低電圧パッド13に入力された信号を、貫通配線51,43および引き出し配線52,98を介して下コイル20に伝達できる。
絶縁層積層構造27には、低電圧配線24,93よりもさらに外側にシールド層69が形成されている。このシールド層69は、外部からデバイス内に水分が入ったり、端面のクラックが内部に広がったりすることを防止する。
シールド層69は、図3~図7に示すように、電子部品6の端面に沿って壁状に形成されている。シールド層69の底部において半導体基板26に接続されている。これにより、シールド層69は、基板電圧(たとえば接地電圧)に固定される。
より具体的には、シールド層69は、図6および図7に示すように、それぞれ、上コイル21、下コイル20および引き出し層配線58と同一の絶縁層28に埋め込まれたシールド層配線70~72と、それらの間を接続する複数のビア73と、最下層のシールド層配線72と半導体基板26とを接続するビア74とを含む。
さらに、絶縁層積層構造27上において、保護膜75およびパッシベーション膜76の上には、樹脂膜77が形成されている。樹脂膜77は、この形態では、高電圧領域36の全体を一体で覆うように、パッシベーション膜76上に選択的に形成されている。
つまり、樹脂膜77は、図3の平面視において、各上コイル21と重複する領域、各上コイル21の内方領域32、コイル間領域50およびコイル周縁領域99を覆っている。これにより、平面視において、高電圧パッド14の第1パッド33および第2パッド34の両方ともに、それらの周囲全周が樹脂膜77で覆われている。
樹脂膜77において高電圧パッド14を露出させる開口がパッド開口79に一致している。これにより、樹脂膜77は、高電圧パッド14の第1パッド33および第2パッド34の周縁に乗り上がったオーバーラップ部44,45を有している。
保護膜75は、たとえばSiO2からなり、150nm程度の厚さを有している。パッシベーション膜76は、たとえばSiNからなり、1000nm程度の厚さを有している。樹脂膜77は、たとえばポリイミドからなり、4000nm程度の厚さを有している。
電子部品6の各部の詳細について、以下に説明を加える。
図2で説明したように、電子部品6の下コイル20と上コイル21との間には、大きな電位差(たとえば、1200V程度)が生じる。下コイル20と上コイル21との間に配置される絶縁層28は、それらの間の電位差による絶縁破壊を生じない耐圧を実現可能な厚さを有している。
そこで、この形態では、図6に示すように、絶縁層28を、コイル間に複数層(たとえば6層)介在させている。絶縁層28は、300nm程度のエッチングストッパ膜29および2100nm程度の層間絶縁膜30の積層構造からなる。絶縁層28のトータルの厚さ(第1螺旋導体パターンと第2螺旋導体パターンとの間の積層方向の第2距離)L2を12.0μm以上16.8μm以下にすることによって、下コイル20と上コイル21との間の縦方向のDC絶縁を実現している。
下コイル20と上コイル21と間の絶縁層28のトータル厚さL2に比べて、高電圧パッド14と低電圧パッド13との距離L1の方が大きい。たとえば、距離L1は100μm以上450μm以下が一般的であり、厚さL2との比(距離L1/厚さL2)で表せば、6/1以上40/1以下となる。
図8は、本発明の比較形態に係る電子部品6の構成を示す断面図である。図9は、図8のIX-IX線に沿う断面図である。図8および図9に示すように、比較形態に係る電子部品6では、樹脂膜77は、高電圧パッド14の第2パッド34の周囲を露出させている。
図10は、本発明の比較形態に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧および本発明の第1実施形態に係る電子部品6の平均絶縁破壊電圧を比較したグラフである。図10において、縦軸は平均絶縁破壊電圧[kVrms]を表している。
図10を参照して、第1実施形態に係る電子部品6の平均絶縁破壊電圧は、比較形態に係る電子部品6の平均絶縁破壊電圧に対して7.5%だけ増加した。このことから、樹脂膜77によって第2パッド34の周囲を覆うことにより、平均絶縁破壊電圧を向上できることが分かった。
図11は、本発明の比較形態に係る電子部品6の絶縁破壊電圧のバラツキおよび本発明の第1実施形態に係る電子部品6の絶縁破壊電圧のバラツキを比較したグラフである。図11において、縦軸は平均絶縁破壊電圧のバラツキを表している。
図11を参照して、第1実施形態に係る電子部品6の絶縁破壊電圧のバラツキは、比較形態に係る電子部品6の絶縁破壊電圧のバラツキに対して27.9%だけ減少した。このことから、樹脂膜77によって第2パッド34の周囲を覆うことにより、絶縁破壊電圧のバラツキを抑制できることが分かった。
図12は、本発明の第2実施形態に係る電子部品101の上コイル21の平面構造を説明するための図である。この形態では、電子部品6の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
同一のまたは略同一と見なせる平面上(以下、単に「共通の平面上」という。)に低電圧部および高電圧部がレイアウトされた電子部品の場合、高電圧部は、低電圧部との間において電界を形成する。そのため、比較的高い電界が、高電圧部に集中する傾向がある。
たとえば、互いに対向する低電圧コイルおよび高電圧コイルによって一つの変圧器が構成された電子部品の場合、高電圧コイルは、低電圧コイルとの間において電界を形成する。そのため、比較的高い電界が、高電圧コイルに集中する傾向がある。このような電界集中の発生は、耐圧を向上させる上での弊害になることがある。
そこで、この形態では、上記のような電界集中を緩和し、耐圧を向上できる電子部品を提供する。
以下では、第1変圧器301および第2変圧器302の内、第1変圧器301側の構造を例にとって説明する。第2変圧器302側の構造は、第1変圧器301側の構造と同様であるので、同一の参照符号を付して説明を省略する。
また、以下では、説明の便宜上、必要に応じて、2つの上コイル21の内の一方の上コイル21を第1上コイル21Aといい、他方の上コイル21を第2上コイル21Bという。単に上コイル21A,21Bというときは、第1上コイル21Aおよび第2上コイル21Bの両方が含まれるものとする。
また、以下では、第1上コイル21Aおよび第2上コイル21Bの対向方向を「第1方向A」といい、第1方向Aに交差する交差方向を「第2方向B」という。第2方向Bは、より具体的には、第1方向Aに直交する直交方向である。
図12を参照して、電子部品101は、この形態では、変圧器を含むトランスチップである。電子部品101は、導電性の耐圧保持構造102を含む。耐圧保持構造102は、低電圧側の部材および高電圧側の部材の間の領域に形成されている。低電圧側の部材は、たとえば、基準電位やグランド電位に固定される低電圧パッド13やシールド層69等を含む。
高電圧側の部材は、たとえば高電圧パッド14や上コイル21A,21等を含む。耐圧保持構造102は、低電圧側の部材および高電圧側の部材の間の領域に形成される電界に起因する耐圧劣化を抑制する。
耐圧保持構造102は、より具体的には、高電圧側の第1耐圧保持構造103および低電圧側の第2耐圧保持構造104を含む。図12では、第1耐圧保持構造103および第2耐圧保持構造104が簡略化して示されている。
第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bに沿って形成されている。第1耐圧保持構造103は、他の領域から上コイル21A,21Bを区画するように、上コイル21A,21Bを取り囲んでいる。
第1耐圧保持構造103は、より具体的には、上コイル21A,21B、および、上コイル21A,21Bの間に形成された外側コイルエンド配線96を一括して取り囲んでいる。つまり、第1耐圧保持構造103は、平面視においてリング状(楕円リング状)に形成されている。
第2耐圧保持構造104は、平面視で上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53(低電圧パッド13)の間の領域に形成されている。第2耐圧保持構造104は、第1方向Aに沿ってライン状に延びている。
第2耐圧保持構造104は、平面視において複数の低電圧層配線53(低電圧パッド13)に沿って形成されている。これにより、第2耐圧保持構造104は、平面視において低電圧パッド13の外郭よりも外側に張り出している。
第2耐圧保持構造104は、複数の低電圧パッド13を横切るように、第1方向Aに沿ってライン状に延びている。これにより、第2耐圧保持構造104は、上コイル21A,21Bから複数の低電圧パッド13(低電圧層配線53)をそれぞれ区画している。
以下、図13~図17を参照して、耐圧保持構造102の構造についてより具体的に説明する。図13は、図12に示す領域XIIIの拡大図である。図14は、図13に示す領域XIVの拡大図である。図15は、図13に示す領域XVの拡大図である。図16は、図12に示すXVI-XVI線に沿う断面図である。図17は、図12に示すXVII-XVII線に沿う断面図である。
図13では、説明の便宜上、上コイル21A,21Bの外郭が太線によって示されている。上コイル21A,21Bの外郭は、それぞれ、上コイル21A,21Bの最外周を形成する1巻き分の螺旋パターン105の外周縁によって形成されている。
図14では、説明の便宜上、下コイル20の外郭が破線によって示されている。下コイル20の外郭は、下コイル20の最外周を形成する1巻き分の螺旋パターンの外周縁によって形成されている。また、図14では、説明の便宜上、高電圧パッド14の第1パッド33および第2パッド34が、破線によってそれぞれ示されている。
図13および図14を参照して、上コイル21A,21Bは、内側コイルエンド22、外側コイルエンド94および螺旋パターン105をそれぞれ含む。
上コイル21A,21Bの内側コイルエンド22は、平面視において下コイル20の外郭によって取り囲まれた領域内にそれぞれ形成されている。上コイル21A,21Bの外側コイルエンド94は、平面視において下コイル20の外郭によって取り囲まれた領域外の領域にそれぞれ形成されている。上コイル21A,21Bの螺旋パターン105は、内側コイルエンド22から外側コイルエンド94に向けて外巻きに、それぞれ巻回されている。
螺旋パターン105の巻回数は、5以上30以下(たとえば15)であってもよい。螺旋パターン105の幅は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。螺旋パターン105の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。螺旋パターン105の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅で定義される。
螺旋パターン105の巻回ピッチPTLは、0.1μm以上10μm以下であってもよい。螺旋パターン105の巻回ピッチPTLは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。螺旋パターン105の巻回ピッチPTLは、螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの螺旋パターン105の間の距離によって定義される。
上コイル21A,21Bの内側コイルエンド22は、内側接続部106を介して内側コイルエンド配線37にそれぞれ接続されている。内側接続部106は、内側コイルエンド配線37から内側コイルエンド22に向けてそれぞれ引き出されている。
上コイル21A,21Bの外側コイルエンド94は、外側接続部107を介して外側コイルエンド配線96にそれぞれ接続されている。外側接続部107は、外側コイルエンド配線96から外側コイルエンド94に向けてそれぞれ引き出されている。
下コイル20の構造は、第1実施形態において説明した通り、上コイル21A,21Bの構造と略同様である。下コイル20についての具体的な説明は省略する。
図13、図14および図17を参照して、第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bと同一の絶縁層28(層間絶縁膜30)内に形成されている。第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bと共通の工程を経て形成されている。したがって、第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bと共通の電極層によって形成されている。
第1耐圧保持構造103は、平面視において下コイル20の外郭(図14の破線参照)よりも外側に張り出すように、上コイル21A,21Bの外郭に沿って形成されている。第1耐圧保持構造103は、さらに、平面視において第2パッド34の外郭(図14の破線参照)よりも外側に張り出すように、第2パッド34の外郭に沿って形成されている。
第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21B、および、上コイル21A,21Bの間に形成された外側コイルエンド配線96を一括して取り囲んでいる。つまり、第1耐圧保持構造103は、平面視においてリング状(楕円リング状)に形成されている。第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21B、および、上コイル21A,21Bの間に形成された外側コイルエンド配線96を他の領域から区画している。
第1耐圧保持構造103は、より具体的には、複数(たとえば6個)の第1ダミー導体パターン108の集合体によって形成された第1ダミー導体パターン群109を含む。図16および図17では、第1ダミー導体パターン群109の一部が省略して示されている。複数の第1ダミー導体パターン108は、それぞれ、上コイル21A,21Bの螺旋パターン105に対して不連続なパターンを有している。
複数の第1ダミー導体パターン108は、上コイル21A,21Bから離れる方向に沿って間隔を空けて形成されている。各第1ダミー導体パターン108は、上コイル21A,21B、および、上コイル21A,21Bの間に形成された外側コイルエンド配線96を一括して取り囲んでいる。つまり、各第1ダミー導体パターン108は、平面視においてリング状(楕円リング状)に形成されている。
第1ダミー導体パターン108の幅は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第1ダミー導体パターン108の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1ダミー導体パターン108の幅は、螺旋パターン105の幅と等しくてもよい。第1ダミー導体パターン108の幅は、第1ダミー導体パターン108が延びる方向に直交する方向の幅で定義される。
この形態では、各第1ダミー導体パターン108は、電極層が存在しない開放部110を含む。各第1ダミー導体パターン108の開放部110は、絶縁層28(層間絶縁膜30)の一部によって形成されている。これにより、各第1ダミー導体パターン108は有端状に形成されている。
第1ダミー導体パターン群109は、上コイル21A,21B側に位置する内側の第1ダミー導体パターン108、内側の第1ダミー導体パターン108に対して上コイル21A,21Bとは反対側に位置する外側の第1ダミー導体パターン108を含む。
外側の第1ダミー導体パターン108は、内側の第1ダミー導体パターン108の開放部110を外側から閉塞するように延びている。外側の第1ダミー導体パターン108の開放部110は、内側の第1ダミー導体パターン108の開放部110とは異なる領域に形成されている。
開放部110により、第1ダミー導体パターン108を含む開放回路が形成されている。つまり、開放部110は、電流経路が第1ダミー導体パターン108に形成されることを防止する。
これにより、第1ダミー導体パターン108に起因するノイズの発生が抑制される。むろん、複数の第1ダミー導体パターン108のうちの少なくとも1つまたは全部は、無端状であってもよい。
各第1ダミー導体パターン108は、第1ダミー接続部111を介して外側コイルエンド配線96に接続されている。これにより、各第1ダミー導体パターン108は、上コイル21A,21Bの外側コイルエンド94と同電位に固定されている。
第1ダミー接続部111は、外側コイルエンド配線96から任意の方向に沿って引き出されている。第1ダミー接続部111は、外側接続部107とは異なる領域から引き出されていてもよい。第1ダミー接続部111は、この形態では、外側接続部107とは異なる領域から第2方向Bに沿って引き出されている。
第1耐圧保持構造103は、第1近接領域112、第2近接領域113、第1接続領域114および第2接続領域115を含む。第1近接領域112、第2近接領域113、第1接続領域114および第2接続領域115は、それぞれ、第1ダミー導体パターン群109によって形成されている。
第1近接領域112は、第1上コイル21Aに近接し、第1上コイル21Aの外郭に沿ってU字状に延びている。第1近接領域112は、第1上コイル21Aを三方向から挟み込んでいる。第1近接領域112は、低電圧パッド13(低電圧層配線53)およびシールド層69から、第1上コイル21Aを区画している。
第2近接領域113は、第2上コイル21Bに近接し、第2上コイル21Bの外郭に沿ってU字状に延びている。第2近接領域113は、第2上コイル21Bを三方向から挟み込んでいる。第2近接領域113は、低電圧パッド13(低電圧層配線53)およびシールド層69から第2上コイル21Bを区画している。
第1接続領域114は、外側コイルエンド配線96に対して低電圧パッド13側の領域において、第1方向Aに沿って延びるライン状に形成されている。第1接続領域114は、第1近接領域112の一端および第2近接領域113の一端を接続している。第1接続領域114は、低電圧パッド13(低電圧層配線53)から上コイル21A,21Bの一部および外側コイルエンド配線96を区画している。
第1接続領域114は、より具体的には、外側コイルエンド配線96に対して低電圧パッド13側の領域において、第2パッド34の外郭(図14の破線参照)に沿って形成されている。
第1接続領域114に含まれる複数の第1ダミー導体パターン108は、第2パッド34から離れる方向に沿って間隔を空けて形成されている。第2パッド34から離れる方向は、第2方向Bである。
第2接続領域115は、外側コイルエンド配線96に対して第1接続領域114とは反対側の領域において、第1方向Aに沿って延びるライン状に形成されている。第2接続領域115は、第1近接領域112の他端および第2近接領域113の他端を接続している。第2接続領域115は、シールド層69から上コイル21A,21Bの一部および外側コイルエンド配線96を区画している。
第2接続領域115は、より具体的には、外側コイルエンド配線96に対して第1接続領域114とは反対側の領域において、第2パッド34の外郭(図14の破線参照)に沿って形成されている。
第2接続領域115に含まれる複数の第1ダミー導体パターン108は、第2パッド34から離れる方向に沿って間隔を空けて形成されている。第2パッド34から離れる方向は、第2方向Bである。
第1近接領域112および第2近接領域113に含まれる複数の第1ダミー導体パターン108は、それぞれ第1ピッチPT1で形成されている。複数の第1ダミー導体パターン108の第1ピッチPT1は、螺旋パターン105の巻回ピッチPTLと等しくてもよい(PT1=PTL)。
第1ピッチPT1は、上コイル21A,21Bに最も近接する第1ダミー導体パターン108および上コイル21A,21Bの間の距離、ならびに、互いに隣り合う2つの第1ダミー導体パターン108の間の距離によって定義される。
第1接続領域114および第2接続領域115に含まれる複数の第1ダミー導体パターン108は、それぞれ、第2ピッチPTa,PTb,PTc,PTd,PTe,PTfで形成されている。
第2ピッチPTaは、第2パッド34に最も近接する第1ダミー導体パターン108および第2パッド34の間の第2方向Bに沿う距離によって定義される。第2ピッチPTb~PTfは、それぞれ互いに隣り合う2つの第1ダミー導体パターン108の間の第2方向Bに沿う距離によって定義される。
第2ピッチPTa~PTfは、それぞれ、第1ピッチPT1とは異なる値を取り得る(PTa~PTf≠PT1)。第2ピッチPTa~PTfは、1μm以上50μm以下であってもよい。第2ピッチPTa~PTfは、1μm以上50μm以下の範囲で種々の値を取り得る。第2ピッチPTa~PTfの各値については、後に詳述する。
第1近接領域112および第2近接領域113において、下コイル20の外郭に対する第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1は、0μmを超えて100μm以下であってもよい(0μm<Z1≦100μm)。張り出し量Z1は、第1ダミー導体パターン108の個数や第1ピッチPT1の値を変更することにより調整されてもよい。
電子部品101が5000V以上の耐圧を有する場合の一つの形態例は以下の通りである。絶縁層28は、8MV/cm以上10MV/cm以下の絶縁破壊強度を有していてもよい。
絶縁層28は、SiO2またはSiNのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。この場合、張り出し量Z1は、10μm以上であることが好ましい。より具体的には、張り出し量Z1は、20μm以上であることがさらに好ましい。
張り出し量Z1は、第1近接領域112および第2近接領域113において、下コイル20の外郭および第1耐圧保持構造103の最外周を形成する第1ダミー導体パターン108の外周縁の間の距離によって定義される。
樹脂パッケージ2は、0.1以上0.3MV/cm以下の絶縁破壊強度を有していてもよい。樹脂パッケージ2は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂のうちの少なくとも一つのモールド樹脂を含んでいてもよい。「絶縁破壊強度」は、絶縁破壊が引き起こされることなく印加可能な電界強度の最大値によって定義される(以下、同じ)。
第1耐圧保持構造103の第1近接領域112は、第1上コイル21A側で耐圧の低下を抑制する第1コイル側耐圧保持構造116を形成している。第1コイル側耐圧保持構造116は、より具体的には、第1上コイル21Aおよび低電圧パッド13(低電圧層配線53)の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。また、第1コイル側耐圧保持構造116は、第1上コイル21Aおよびシールド層69の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。
第1耐圧保持構造103の第2近接領域113は、第2上コイル21B側で耐圧の低下を抑制する第2コイル側耐圧保持構造117を形成している。第2コイル側耐圧保持構造117は、より具体的には、第2上コイル21Bおよび低電圧パッド13(低電圧層配線53)の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。また、第2コイル側耐圧保持構造117は、第2上コイル21Bおよびシールド層69の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。
第1耐圧保持構造103の第1接続領域114は、第2パッド34側で耐圧の低下を抑制する第1パッド側耐圧保持構造118を形成している。第1パッド側耐圧保持構造118は、より具体的には、外側コイルエンド配線96および低電圧パッド13(低電圧層配線53)の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。また、第1パッド側耐圧保持構造118は、第2パッド34およびシールド層69の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。
第1耐圧保持構造103の第2接続領域115は、第2パッド34側で耐圧の低下を抑制する第2パッド側耐圧保持構造119を形成している。第2パッド側耐圧保持構造119は、より具体的には、第2パッド34およびシールド層69の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。
図13、図15および図17を参照して、第2耐圧保持構造104は、上コイル21A,21Bと同一の絶縁層28(層間絶縁膜30)内に形成されている。第2耐圧保持構造104は、上コイル21A,21Bと共通の工程を経て形成されている。したがって、第2耐圧保持構造104は、上コイル21A,21Bと共通の電極層によって形成されている。
第2耐圧保持構造104は、複数(たとえば3個)の第2ダミー導体パターン121の集合体によって形成された第2ダミー導体パターン群122を含む。図16および図17では、第2ダミー導体パターン群122の一部が省略して示されている。複数の第2ダミー導体パターン121は、それぞれ、上コイル21A,21Bの螺旋パターン105に対して不連続なパターンを有している。
複数の第2ダミー導体パターン121は、それぞれ、第1方向Aに沿って延びるライン状のパターンを含む。複数の第2ダミー導体パターン121は、第2方向Bに沿って互いに間隔を空けて配列されている。
第2ダミー導体パターン121の幅は、0.5μm以上5μm以下であってもよい。第2ダミー導体パターン121の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2ダミー導体パターン121の幅は、螺旋パターン105の幅と等しくてもよい。
第2ダミー導体パターン121の幅は、第1ダミー導体パターン108の幅と等しくてもよい。第2ダミー導体パターン121の幅は、第2ダミー導体パターン121が延びる方向に直交する方向の幅で定義される。第2ダミー導体パターン121が延びる方向に直交する方向は、第2方向Bである。
複数の第2ダミー導体パターン121は、それぞれ第3ピッチPT3で形成されている。第3ピッチPT3は、螺旋パターン105の巻回ピッチPTLと等しくてもよい(PT3=PTL)。
第3ピッチPT3は、低電圧パッド13に最も近接する第2ダミー導体パターン121および低電圧パッド13の間の距離、ならびに、互いに隣り合う2つの第2ダミー導体パターン121の間の距離によって定義される。
各第2ダミー導体パターン121は、有端状に形成されている。これにより、第2ダミー導体パターン121を含む開放回路が形成されている。つまり、開放回路は、第2ダミー導体パターン121に電流経路が形成されることを防止する。
これにより、第2ダミー導体パターン121に起因するノイズの発生が抑制される。むろん、複数の第2ダミー導体パターン121のうちの少なくとも1つまたは全部は、無端状であってもよい。
各第2ダミー導体パターン121は、第2ダミー接続部123を介して低電圧層配線53に接続されている。これにより、各第2ダミー導体パターン121は、低電圧パッド13(低電圧層配線53)と同電位に固定されている。
第2ダミー接続部123は、任意の低電圧層配線53から上コイル21A,21B側の領域に向けて引き出されている。第2ダミー接続部123は、この形態では、下コイル20の外側コイルエンド配線97に対応する低電圧層配線53から引き出されている。
第2ダミー接続部123は、この形態では、第2方向Bに沿ってライン状に引き出されている。1つまたは複数の第2ダミー接続部123が、1つまたは複数の低電圧層配線53から引き出されていてもよい。
第2耐圧保持構造104の張り出し量Z2は、0μmを超えて50μm以下であってもよい(0μm<Z2≦50μm)。第2耐圧保持構造104の張り出し量Z2は、第2方向Bに関して、低電圧パッド13の外郭と、上コイル21A,21Bに最も近接する第2ダミー導体パターン121の上コイル21A,21B側の周縁との間の距離によって定義される。
第2耐圧保持構造104は、第1上コイル21Aおよび低電圧パッド13(低電圧層配線53)の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。また、第2耐圧保持構造104は、第2上コイル21Bおよび低電圧パッド13(低電圧層配線53)の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。また、第2耐圧保持構造104は、第2パッド34および低電圧パッド13(低電圧層配線53)の間に形成される電界に起因する耐圧の低下を抑制する。
次に、耐圧保持構造102および電界強度の関係、ならびに、耐圧保持構造102および絶縁破壊耐量の関係について具体的に説明する。電界強度には、電界強度のピーク値が含まれるものとする。
以下では、第1コイル側耐圧保持構造116を例にとって説明するが、第2コイル側耐圧保持構造117に対しても同様の説明が成り立つ。したがって、第1コイル側耐圧保持構造116に関する説明は第2コイル側耐圧保持構造117に関する説明に準用されるものとし、第2コイル側耐圧保持構造117に関する説明については省略する。
また、以下では、第1パッド側耐圧保持構造118を例にとって説明するが、第2パッド側耐圧保持構造119に対しても同様の説明が成り立つ。したがって、第1パッド側耐圧保持構造118に関する説明は第2パッド側耐圧保持構造119に関する説明に準用されるものとし、第2パッド側耐圧保持構造119に関する説明については省略する。
第1コイル側耐圧保持構造116において、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1と電界強度との関係を調べるため、下記の表1に示される通り、6つのサンプルA1,B1,C1,D1,E1,F1が用意された。
サンプルA1は、参考例に係る電子部品である。参考例に係る電子部品は、耐圧保持構造102を備えていない点を除き、本実施形態に係る電子部品101と同様の構造を有している。参考例に係る電子部品の構造については、説明を省略する(以下において同じ)。
サンプルB1は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が10μmに設定された電子部品101である。サンプルC1は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が20μmに設定された電子部品101である。
サンプルD1は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が30μmに設定された電子部品101である。サンプルE1は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が40μmに設定された電子部品101である。サンプルF1は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が50μmに設定された電子部品101である。
図18は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1と電界強度との関係をシミュレーションにより求めたグラフである。図18において、縦軸は電界強度[kV/mm]を表し、横軸は第1耐圧保持構造103およびシールド層69の間の距離[μm]を表している。
以下では、上コイル21A,21Bの外郭(最外周縁)を単に「上コイル端」という。また、第1耐圧保持構造103の外郭(最外周縁)を単に「第1耐圧保持構造端」という。また、シールド層69の内郭(内周縁)を単に「シールド層端」という。
図18には、第1曲線LN1、第2曲線LN2、第3曲線LN3、第4曲線LN4、第5曲線LN5および第6曲線LN6が示されている。
第1曲線LN1は、サンプルA1のシミュレーション結果を示している。第2曲線LN2は、サンプルB1のシミュレーション結果を示している。第3曲線LN3は、サンプルC1のシミュレーション結果を示している。
第4曲線LN4は、サンプルD1のシミュレーション結果を示している。第5曲線LN5は、サンプルE1のシミュレーション結果を示している。第6曲線LN6は、サンプルF1のシミュレーション結果を示している。
第1曲線LN1を参照して、サンプルA1の上コイル端側の電界強度は、56kV/mmであった。第2曲線LN2を参照して、サンプルB1の第1耐圧保持構造端の電界強度は、34kV/mmであった。第3曲線LN3を参照して、サンプルC1の第1耐圧保持構造端の電界強度は、28kV/mmであった。
第4曲線LN4を参照して、サンプルD1の第1耐圧保持構造端の電界強度は、28kV/mmであった。第5曲線LN5を参照して、サンプルE1の第1耐圧保持構造端の電界強度は、28kV/mmであった。第6曲線LN6を参照して、サンプルF1の第1耐圧保持構造端の電界強度は、28kV/mmであった。
このように、サンプルA1の上コイル端の電界強度は、サンプルB1~F1の電界強度よりも高かった。つまり、第1耐圧保持構造103を有さないサンプルA1では、上コイル端に対する電界集中が顕著であった。その一方で、第1耐圧保持構造103をそれぞれ有するサンプルB1~F1では、上コイル端に対する電界集中が緩和されていることが分かった。
第1曲線LN1を参照して、サンプルA1のシールド層端の電界強度は、20kV/mmであった。第2曲線LN2を参照して、サンプルB1のシールド層端の電界強度は、24kV/mmであった。第3曲線LN3を参照して、サンプルC1のシールド層端の電界強度は、26kV/mmであった。
第4曲線LN4を参照して、サンプルD1のシールド層端の電界強度は、28kV/mmであった。第5曲線LN5を参照して、サンプルE1のシールド層端の電界強度は、29kV/mmであった。第6曲線LN6を参照して、サンプルF1のシールド層端の電界強度は、30kV/mmであった。
シールド層端の電界強度は、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1の増加に比例するように増加した。これは、電界強度が距離に反比例する物理法則に適う結果である。
以上のように、第1曲線LN1~第6曲線LN6より、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1を零にしない限り(つまり、張り出し量Z1>0)、上コイル端に対する電界集中が緩和されることが分かった。その一方で、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が20μmを超えると、第1耐圧保持構造端の電界強度は、28kV/mm程度に落ち着いた。
つまり、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1が或る値(ここでは20μm)を超えると、第1耐圧保持構造103側の電界強度が、第1耐圧保持構造端およびシールド層端の間の距離に支配されることが分かった。これは、シールド層端の電界強度が高まった理由の一つでもある。
図18の結果を以下にまとめる。第1耐圧保持構造103(第1コイル側耐圧保持構造116)を設けることが好ましい。これにより、上コイル21A,21Bおよび下コイル20の間に形成される電界の終端を、上コイル21A,21B側から第1耐圧保持構造103側に移行させることができる。
また、第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bの外郭から外側に向かって張り出している。したがって、下コイル20および上コイル21A,21Bの間で形成される電界を第1耐圧保持構造103によって遮蔽できる。これにより、上コイル21A,21Bの端部に回り込むように電界が形成されることを抑制できる。
その結果、上コイル21A,21Bに対する電界集中を緩和できる。より具体的には、上コイル21A,21Bおよび低電圧パッド13の間の領域において、上コイル端(第1耐圧保持構造端)に対する電界集中を緩和できる。また、上コイル21A,21Bおよびシールド層69の間の領域において、上コイル端(第1耐圧保持構造端)に対する電界集中を緩和できる。
第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1は、0μmを超えることが好ましい。「張り出し量Z1が0μmを超える」とは、第1ダミー導体パターン108を形成することと同義である。
第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1は、10μm以上50μm以下であってもよい。この場合、第1耐圧保持構造端の電界強度が34kV/mm以下になり、上コイル端に対する電界集中を緩和できる。また、この場合、第1耐圧保持構造端の電界強度およびシールド層端の電界強度の間の差の絶対値が、15kV/mm以下になる。
第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1は、20μm以上50μm以下であることが好ましい。この場合、第1耐圧保持構造端の電界強度が、30μm以下になり、上コイル端に対する電界集中を緩和できる。また、この場合、第1耐圧保持構造端の電界強度およびシールド層端の電界強度の間の差の絶対値が、5kV/mm以下になる。
第2耐圧保持構造104と電界強度との関係を調べるため、下記の表2に示される通り、4つのサンプルA2,B2,C2,D2が用意された。
サンプルA2は、参考例に係る電子部品である。サンプルB2は、3個の第2ダミー導体パターン121を含む電子部品101である。サンプルC2は、6個の第2ダミー導体パターン121を含む電子部品101である。サンプルD2は、12個の第2ダミー導体パターン121を含む電子部品101である。
図19は、第2ダミー導体パターン121の個数と電界強度との関係をシミュレーションにより求めたグラフである。図19において、縦軸は電界強度[kV/mm]を表し、横軸は第2ダミー導体パターン121の個数[pcs]を表している。
以下では、低電圧パッド13の上コイル21A,21B側の周縁を単に「低電圧パッド端」という。また、第2耐圧保持構造104の上コイル21A,21B側の周縁を単に「第2耐圧保持構造端」という。
図19には、第1プロット点P1、第2プロット点P2、第3プロット点P3および第4プロット点P4が示されている。
第1プロット点P1は、サンプルA2において、低電圧パッド端の電界強度を示している。第2プロット点P2は、サンプルB2において、第2耐圧保持構造端の電界強度を示している。
第3プロット点P3は、サンプルC2において、第2耐圧保持構造端の電界強度を示している。第4プロット点P4は、サンプルD2において、第2耐圧保持構造端の電界強度を示している。
第1プロット点P1を参照して、サンプルA2において、低電圧パッド端の電界強度は、45kV/mmであった。第2プロット点P2を参照して、サンプルB2において、第2耐圧保持構造端の電界強度は、30kV/mmであった。
第3プロット点P3を参照して、サンプルC2において、第2耐圧保持構造端の電界強度は、35kV/mmであった。第4プロット点P4を参照して、サンプルD2において、第2耐圧保持構造端の電界強度は、38kV/mmであった。
このように、サンプルA2の低電圧パッド端の電界強度は、サンプルB2~D2の第2耐圧保持構造端の電界強度よりも高かった。つまり、第2耐圧保持構造端を有さないサンプルA2では、低電圧パッド端に対する電界集中が顕著であった。その一方で、第2耐圧保持構造端をそれぞれ有するサンプルB2~D2では、低電圧パッド端に対する電界集中が緩和されていることが分かった。
図示は省略するが、サンプルB2において、上コイル端の電界強度は、25kV/mmであった。図示は省略するが、サンプルC2において、上コイル端の電界強度は、30kV/mmであった。図示は省略するが、サンプルD2において、上コイル端の電界強度は、31kV/mmであった。
上コイル端の電界強度は、第2ダミー導体パターン121の個数の増加に比例するように増加した。これは、電界強度が距離に反比例する物理法則に適う結果である。
以上のように、第2耐圧保持構造104を形成することによって、低電圧パッド13に対する電界集中が緩和されることが分かった。その一方で、低電圧パッド13に対する電界集中の抑制効果は、第2ダミー導体パターン121の個数の増加によって高まるとは限らないことが分かった。
図19の結果を以下にまとめる。第2耐圧保持構造104を形成することが好ましい。これにより、低電圧パッド13および上コイル21A,21Bの間の領域において、低電圧パッド端(第2耐圧保持領域端)に対する電界集中を緩和できる。また、低電圧パッド13および第2パッド34の間の領域において、低電圧パッド端(第2耐圧保持領域端)に対する電界集中を緩和できる。
第2耐圧保持構造104の張り出し量Z2は、0μmを超えることが好ましい。「張り出し量Z2が0μmを超える」とは、実質的に、第2ダミー導体パターン121を形成することと同義である。
第2ダミー導体パターン121の個数は、12個以下であってもよい。この場合、第2耐圧保持構造104の張り出し量Z2は、0μmを超えて50μm以下であってもよい。この場合、第2耐圧保持構造104に対する電界強度は35kV/mm以下となり、低電圧パッド端(第2耐圧保持領域端)に対する電界集中を緩和できる。この場合、第2耐圧保持構造端の電界強度および上コイル端の電界強度の間の差の絶対値が、10kV/mm以下であってもよい。
第2ダミー導体パターン121の個数は、6個以下であってもよい。この場合、第2耐圧保持構造104の張り出し量Z2は、0μmを超えて25μm以下であってもよい。この場合、低電圧パッド端に対する電界強度は35kV/mm以下となり、低電圧パッド端(第2耐圧保持領域端)に対する電界集中を緩和できる。この場合、第2耐圧保持構造端の電界強度および上コイル端の電界強度の間の差の絶対値が、5kV/mm以下であってもよい。
第2ダミー導体パターン121の個数は、3個以下であってもよい。この場合、第2耐圧保持構造104の張り出し量Z2は、0μmを超えて10μm以下であってもよい。この場合、低電圧パッド端に対する電界強度は、30kV/mm以下となり、低電圧パッド端(第2耐圧保持領域端)に対する電界集中を緩和できる。この場合、第2耐圧保持構造端の電界強度および上コイル端の電界強度の間の差の絶対値が、5kV/mm以下であってもよい。
第1パッド側耐圧保持構造118と電界強度との関係を調べるため、下記の表3に示される通り、3つのサンプルA3,B3,C3が用意された。3つのサンプルA3,B3,C3では、第2ピッチPTa~PTf(図14も併せて参照)が、それぞれ、下記の表3に示される通りの値に設定されている。
以下では、第2パッド34の低電圧パッド13(低電圧層配線53)側の端部を単に「第2パッド端」という。また、第1パッド側耐圧保持構造118(第1耐圧保持構造103)の低電圧パッド13(低電圧層配線53)側の端部を単に「第1パッド側耐圧保持構造端」という。
ここでは、サンプルA3~C3について、第1パッド側耐圧保持構造端(第2パッド端)の電界強度が求められた。表3では、参考例に係る電子部品の第2パッド端の電界強度も示されている。
サンプルA3において、第1パッド側耐圧保持構造端の電界強度は、25kV/mmであった。サンプルB3において、第1パッド側耐圧保持構造端の電界強度は、9kV/mmであった。サンプルC3において、第1パッド側耐圧保持構造端の電界強度は、5kV/mmであった。
このことから、第2ピッチPTa~PTfの合計値が略等しく設定されている場合であっても、第2ピッチPTa~PTfの値を異ならせることによって、第2パッド端の電界強度が変化することが分かった。
特に、サンプルB3およびサンプルC3のように、第2ピッチPTaを10μm以下に設定することにより、第2パッド端の電界強度を適切に緩和できることが分かった。
表3の結果を以下にまとめる。第2パッド34に沿って第1パッド側耐圧保持構造118(第1耐圧保持構造103)を形成することが好ましい。これにより、第2パッド端に対する電界集中を緩和できる。
第2パッド34に最近接する第1ダミー導体パターン108と第2パッド34との間の第2ピッチPTaは、第2ピッチPTb~PTf以下であることが好ましい。これにより、上コイル21A,21Bおよび下コイル20の間に形成される電界の終端を、第2パッド端から最近接の第1ダミー導体パターン108に移行させることができる。よって、第2パッド端に対する電界強度を適切に緩和できる。
また、第2ピッチPTaは、上コイル21A,21Bおよび下コイル20の間の縦方向距離L2以下(PTa≦L2)であることが好ましい。縦方向距離L2は、下コイル20および上コイル21の間の絶縁層28のトータル厚さL2である。
第2パッド34に最近接する第2ピッチPTaは、10μm以下(PTa≦10μm)であることが好ましい。これにより、第1パッド側耐圧保持構造端の電界強度が、10kV/mm以下になり、第2パッド端の電界強度を効果的に低減できる。
第1パッド側耐圧保持構造118の第2ピッチPTa~PTfについては、必ずしも、上記表3の値に設定される必要はない。第2パッド34および低電圧パッド13の間において緩和すべき電界強度に基づいて、種々の値が、第1パッド側耐圧保持構造118の第2ピッチPTa~PTfに設定されてもよい。
第2パッド側耐圧保持構造119の第2ピッチPTa~PTfについては、必ずしも、第1パッド側耐圧保持構造118の第2ピッチPTa~PTfと同一に設定される必要はない。第2パッド34およびシールド層69の間において緩和すべき電界強度に基づいて、種々の値が、第2パッド側耐圧保持構造119の第2ピッチPTa~PTfに設定されてもよい。
図20は、本発明の参考例に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧および電子部品101の平均絶縁破壊電圧を比較したグラフである。図20において、縦軸は平均絶縁破壊電圧[kVrms]を表している。
図20を参照して、電子部品101の平均絶縁破壊電圧は、参考例に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧に対して6.2%だけ増加した。このことから、耐圧保持構造102により、平均絶縁破壊電圧を向上できることが分かった。
以上のように、電子部品101によれば、耐圧保持構造102によって各部材に対する電界集中を緩和できる。よって、絶縁破壊耐量を向上できる電子部品101を提供できる。
図21は、図16に対応する部分の図であり、本発明の第3実施形態に係る電子部品131の断面図である。この形態では、電子部品101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図21を参照して、電子部品131は、樹脂膜77を含む(図3等も併せて参照)。樹脂膜77は、この形態では、平面視において第1耐圧保持構造103に重なっている。樹脂膜77は、より具体的には、第1耐圧保持構造103の全域を覆っている。
したがって、平面視において樹脂膜77の外周縁によって取り囲まれた領域内に、上コイル21A,21Bおよび第1耐圧保持構造103が収まっている。
樹脂膜77は、絶縁層積層構造27の一部の表面を被覆していてもよい。樹脂膜77は、絶縁層積層構造27の表面全域を被覆していてもよい。つまり、樹脂膜77は、平面視において上コイル21A,21Bの螺旋パターン105の全域および第1耐圧保持構造103の全域を被覆し、かつ、上コイル21A,21Bが配置された絶縁層28(絶縁層積層構造27)の周縁に連なるように上コイル21A,21Bが配置された絶縁層28(絶縁層積層構造27)の全域を被覆していてもよい。
以上、電子部品131によれば、第2実施形態において述べた効果に加えて、第1実施形態において述べた効果と同様な効果を奏することができる。
図22は、図14に対応する部分の図であり、本発明の第4実施形態に係る電子部品141の第1上コイル21A側の平面構造を説明するための図である。この形態では、電子部品101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子部品141において、上コイル21A,21Bの螺旋パターン105は、第1螺旋パターン142および第2螺旋パターン143をそれぞれ含む。第1螺旋パターン142は、平面視において下コイル20と対向する領域において、外巻に引き回されている。
第2螺旋パターン143は、平面視において下コイル20外の領域において、第1螺旋パターン142から連続的に外巻きに引き回されている。第2螺旋パターン143は、外側コイルエンド配線96に接続されている。
第1耐圧保持構造103は、第2螺旋パターン143を含むことができる。つまり、第1コイル側耐圧保持構造116および第2コイル側耐圧保持構造117は、それぞれ、第2螺旋パターン143を含むことができる。つまり、第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bに電気的および機械的に接続されたパターンを含む。また、第1耐圧保持構造103は、絶縁層積層構造27の積層方向に下コイル20に対向しないように絶縁層積層構造27の上層部のみに配置されている。第1耐圧保持構造103は、絶縁層積層構造27の積層方向の直交方向に関して、他の導電体を介さず絶縁層積層構造27の一部を挟んで上コイル21A,21Bに対向している。
また、図21および図22を参照して、第1耐圧保持構造103は、断面視において下コイル20から絶縁層積層構造27の積層方向の直交方向の一方側に第1間隔を空けて形成された第1部分、および、断面視において上コイル21A,21Bから前記直交方向の他方側に第1間隔とほぼ等しい第2間隔を空けて形成された第2部分を含む。この構造において、第1部分および第2部分は、図21に示されるように、断面視において上コイル21A,21Bによって取り囲まれた領域(内方領域32)の中央部を基準に左右対称になるように上コイル21A,21Bの両サイドに配置されている。
この形態では、張り出し量Z1に代えて、下コイル20の外郭に対する第2螺旋パターン143および第1耐圧保持構造103のトータル張り出し量Z4が適用される。トータル張り出し量Z4は、0μmを超えて100μm以下であってもよい。
トータル張り出し量Z4は、下コイル20の外郭に対する第2螺旋パターン143の張り出し量Z3と、第2螺旋パターン143の外郭(上コイル21A,21Bの外郭)に対する第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1との和(=Z3+Z1)によって定義される。
トータル張り出し量Z4は、第2螺旋パターン143の巻回数や巻回ピッチPTLを変更することにより調整されてもよい。トータル張り出し量Z4は、第1ダミー導体パターン108の個数や第1ピッチPT1の値を変更することにより調整されてもよい。
次に、第2螺旋パターン143および電界強度の関係について説明する。ここでは、第2螺旋パターン143および電界強度の関係を調べるため、図23、図24および図25に示される3つのサンプルA4,B4,C4が用意された。
図23は、図22に示す電子部品141のサンプルA4の上コイル21(上コイル21A,21B)を示す平面図である。図24は、図22に示す電子部品141のサンプルB4の上コイル21(上コイル21A,21B)を示す平面図である。図25は、図22に示す電子部品141のサンプルC4の上コイル21(上コイル21A,21B)を示す平面図である。
図23、図24および図25では、説明の便宜上、上コイル21を楕円環状で示し、下コイル20の外郭を破線によって示している。下コイル20の構造は、巻回数が異なる点を除いて上コイル21A,21Bの構造と同様であるので、図23、図24および図25では、具体的な説明を省略する。
また、図23、図24および図25では、第2螺旋パターン143および電界強度の関係を調べるため、第1耐圧保持構造103は形成されていない。つまり、第1耐圧保持構造103の張り出し量Z1は零(張り出し量Z1=0)である。
図23を参照して、サンプルA4では、下コイル20の巻回数が13である。一方、上コイル21A,21Bにおいて、第1螺旋パターン142の巻回数は13であり、第2螺旋パターン143の巻回数は2である。トータル張り出し量Z4は、8μm以上13μm以下(ここでは、10μm程度)である。
図24を参照して、サンプルB4では、下コイル20の巻回数が10である。一方、上コイル21A,21Bにおいて、第1螺旋パターン142の巻回数は10であり、第2螺旋パターン143の巻回数は5である。トータル張り出し量Z4は、17μm以上23μm以下(ここでは、20μm程度)である。
図25を参照して、サンプルC4では、下コイル20の巻回数が7である。一方、上コイル21A,21Bにおいて、第1螺旋パターン142の巻回数は7であり、第2螺旋パターン143の巻回数は8である。トータル張り出し量Z4は、27μm以上33μm以下(ここでは、30μm程度)である。
図26は、サンプルA4、サンプルB4およびサンプルC4の電界強度の測定結果を示すグラフである。図26において、縦軸は電界強度[kV/mm]であり、横軸はトータル張り出し量Z4[μm]である。
図26には、第1プロット点P11、第2プロット点P12、第3プロット点P13および第4プロット点P14が示されている。
第1プロット点P11は、参考例に係る電子部品の上コイル端の電界強度を示している。第2プロット点P12は、サンプルA4の第2螺旋パターン143の端部の電界強度を示している。
第3プロット点P13は、サンプルB4の第2螺旋パターン143の端部の電界強度を示している。第4プロット点P14は、サンプルC4の第2螺旋パターン143の端部の電界強度を示している。
第1プロット点P11を参照して、参考例に係る電子部品において、上コイル端の電界強度は、66kV/mmであった。
第2プロット点P12を参照して、サンプルA4の第2螺旋パターン143の端部の電界強度は、30kV/mm以上35kV/mm以下であった。
第3プロット点P13を参照して、サンプルB4の第2螺旋パターン143の端部の電界強度は、25kV/mm以上30kV/mm以下であった。
第4プロット点P14を参照して、サンプルC4の第2螺旋パターン143の端部の電界強度は、25kV/mm以上30kV/mm以下であった。
このように、参考例に係る電子部品の上コイル端の電界強度は、3つのサンプルA4,B4,C4の各電界強度よりも高かった。つまり、第2螺旋パターン143を有さない参考例に係る電子部品では、上コイル端に対する電界集中が顕著であった。その一方で、第2螺旋パターン143をそれぞれ有する3つのサンプルA4,B4,C4では、第2螺旋パターン143により、電界集中が緩和されることが分かった。
以上より、トータル張り出し量Z4を零にしない限り、上コイル端に対する電界集中が緩和されることが分かった。
図27は、本発明の参考例に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧、図23に示すサンプルA4の平均絶縁破壊電圧、図24に示すサンプルB4の平均絶縁破壊電圧、および、図25に示すサンプルC4の平均絶縁破壊電圧を比較したグラフである。図27において、縦軸は平均絶縁破壊電圧[kVrms]を表している。
図27を参照して、サンプルA4の平均絶縁破壊電圧は、参考例に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧に対して6.5%だけ増加した。サンプルB4の平均絶縁破壊電圧は、参考例に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧に対して9.7%だけ増加した。
サンプルC4の平均絶縁破壊電圧は、参考例に係る電子部品の平均絶縁破壊電圧に対して10.0%だけ増加した。
このことから、トータル張り出し量Z4を増加させることにより、平均絶縁破壊電圧を増加させること、つまり、絶縁破壊耐量を向上できることが分かった。
図26および図27の結果を以下にまとめる。第1コイル側耐圧保持構造116および第2コイル側耐圧保持構造117は、それぞれ、上コイル21A,21Bの第2螺旋パターン143を含むことができる。電界強度は距離に反比例するため、緩和すべき電界強度に応じて、第1耐圧保持構造103および/または第2螺旋パターン143を設けることが好ましい。
これにより、第2螺旋パターン143および低電圧パッド13の間の領域において、第2螺旋パターン143に対する電界集中を緩和できる。また、第2螺旋パターン143およびシールド層69の間の領域において、第2螺旋パターン143に対する電界集中を緩和できる。
トータル張り出し量Z4は、5μm以上11μm以下であってもよい。この場合、第2螺旋パターン143の端部の電界強度が、30kV/mm以上35kV/mm以下になる。
トータル張り出し量Z4は、17μm以上23μm以下であることが好ましい。この場合、第2螺旋パターン143の端部の電界強度が、25kV/mm以上30kV/mm以下になる。
トータル張り出し量Z4は、27μm以上33μm以下であることが好ましい。この場合、第2螺旋パターン143の端部の電界強度が、25kV/mm以上30kV/mm以下になる。
以上のように、電子部品141によれば、第2実施形態において述べた効果とほぼ同様の効果を奏することができる。
この形態では、トータル張り出し量Z4を調整するに当たり、下コイル20の線幅およびピッチ幅ならびに上コイル21の線幅およびピッチ幅がそれぞれ互いに等しい、という条件の下で、上コイル21の巻回数を下コイル20の巻回数よりも多くした。
しかしながら、トータル張り出し量Z4を調整するに当たり、上コイル21の線幅、ピッチ幅および巻回数の少なくとも1つを変更してもよい。また、トータル張り出し量Z4を調整するに当たり、下コイル20の線幅、ピッチ幅および巻回数の少なくとも1つを変更してもよい。
さらに、下コイル20の各条件および上コイル21の各条件が、それぞれ変更されてもよい。一つの形態例では、下コイル20の巻回数および上コイル21の巻回数が同一の値に設定される一方で、上コイル21の線幅が下コイル20の線幅よりも大きい値に設定されてもよい。
他の形態例では、下コイル20の線幅および巻回数、ならびに、上コイル21の線幅および巻回数がそれぞれ同一の値に設定されている一方で、上コイル21のピッチ幅が下コイル20のピッチ幅よりも大きい値に設定されてもよい。
むろん、トータル張り出し量Z4を増加させるに当たり、上コイル21の巻き数、線幅、ピッチ幅のうちの少なくとも2つが、下コイル20のものよりも大きい値に設定されてもよい。
図28は、本発明の第5実施形態に係る電子部品151を説明するための断面図である。この形態では、電子部品101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子部品151は、第1絶縁層としての絶縁層積層構造27の上の領域を被覆する第2絶縁層152を含む。第2絶縁層152は、保護膜75、パッシベーション膜76、樹脂膜77等を一括して被覆している。
絶縁層積層構造27は、前述したように、エッチングストッパ膜29および層間絶縁膜30を含む。エッチングストッパ膜29は、たとえば、SiN膜、SiC膜、SiCN膜等を含む。層間絶縁膜30は、たとえば、SiO2膜を含む。
したがって、絶縁層積層構造27は、5.0MV/cm以上の第1絶縁破壊強度S1を有している。絶縁層積層構造27の第1絶縁破壊強度S1は、8.0MV/cm以上15MV/cm以下であることが好ましい。
絶縁層積層構造27は、第1絶縁破壊強度S1が5.0MV/cm以上であれば、SiN、SiC、SiCNおよびSiO2以外の絶縁材料からなる絶縁膜を含んでいてもよい。8.0MV/cm以上10MV/cm以下の第1絶縁破壊強度S1を有する絶縁体(SiO2やSiN等)が、絶縁層積層構造27として選択されてもよい。
第2絶縁層152は、第1絶縁破壊強度S1以下の第2絶縁破壊強度S2(S2≦S1)を有している。第2絶縁破壊強度S2は、より具体的には、第1絶縁破壊強度S1未満(S2<S1)である。
第2絶縁層152の第2絶縁破壊強度S2は、0.1MV/cm以上0.5MV/cm以下であってもよい。0.1MV/cm以上0.3MV/cm以下の第2絶縁破壊強度S2を有する樹脂(エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等)が、第2絶縁層152として選択されてもよい。
第2絶縁層152は、この形態では、樹脂層からなる。樹脂層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。樹脂層は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂のうちの少なくとも一つを含むモールド樹脂によって形成されていてもよい。
第2絶縁層152がモールド樹脂を含む場合、第2絶縁層152は、電子部品モジュール1における樹脂パッケージ2(図1参照)の一部によって形成されていてもよい。つまり、電子部品151は、樹脂パッケージ2の内部に配置された状態において、樹脂パッケージ2において絶縁層積層構造27の上の領域を被覆する部分を含んでいてもよい。
このような形態は、樹脂膜77の有無による違いは存在しているが、第2実施形態に係る電子部品101や、第3実施形態に係る電子部品131や、第4実施形態に係る電子部品141が樹脂パッケージ2の内部に配置された形態と実質的に同一である。
上コイル21A,21Bは、低電圧層配線53との間で第1絶縁破壊強度S1以下の第1値R1(R1≦S1)を有する電界を形成する。第1値R1は、より具体的には、第1絶縁破壊強度S1未満(R1<S1)である。
第1耐圧保持構造103は、低電圧層配線53との間で、第1値R1以上第1絶縁破壊強度S1以下の第2値R2(R≦<R2≦S1)を有する電界を形成する。第2値R2は、より具体的には、第1値R1を超え第1絶縁破壊強度S1未満(R1<R2<S1)である。
第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bへの電界集中を緩和しながら、距離の短縮によって、上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53の間の電界を高めている。
第2耐圧保持構造104は、第1耐圧保持構造103との間で、第2値R2以上第1絶縁破壊強度S1以下の第3値R3(R2≦R3≦S1)を有する電界を形成する。第3値R3は、より具体的には、第2値R2を超え第1絶縁破壊強度S1未満(R2<R3<S1)である。
第2耐圧保持構造104は、低電圧層配線53への電界集中を緩和しながら、距離の短縮によって、上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53の間の電界を高めている。
高電圧パッド14は、低電圧パッド13との間で第2絶縁破壊強度S2以下の第4値R4(R4≦S2)を有する電界を形成する。第4値R4は、より具体的には、第2絶縁破壊強度S2未満(R4<S2)である。
上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53の間の電界は、実質的には、第1耐圧保持構造103および第2耐圧保持構造104の間の距離に支配される。同様に、上コイル21A,21Bおよびシールド層69の間の電界は、実質的には、第1耐圧保持構造103およびシールド層69の間の距離に支配される。
これにより、第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53の間の電界や、上コイル21A,21Bおよびシールド層69の間の電界を高める第1電界増強構造として機能している。また、第2耐圧保持構造104は、上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53の間の電界を高める第2電界増強構造として機能している。
より具体的には、第1耐圧保持構造103の第1近接領域112は、第1上コイル21Aおよびシールド層69の間の電界を高める第1コイル側電界増強構造を形成している。また、第1耐圧保持構造103の第1近接領域112は、第1上コイル21Aおよびシールド層69の間の電界を高める第1コイル側電界増強構造を形成している。
第1耐圧保持構造103の第2近接領域113は、第2上コイル21Bおよび低電圧層配線53の間の電界を高める第2コイル側電界増強構造を形成している。また、第1耐圧保持構造103の第2近接領域113は、第2上コイル21Bおよびシールド層69の間の電界を高める第2コイル側電界増強構造を形成している。
第1耐圧保持構造103の第1接続領域114は、第2パッド34および低電圧層配線53の間の電界を高める第1パッド側電界増強構造を形成している。また、第1耐圧保持構造103の第1接続領域114は、第2パッド34およびシールド層69の間の電界を高める第1パッド側電界増強構造を形成している。
第1耐圧保持構造103の第2接続領域115は、第2パッド34およびシールド層69の電界を高める第2パッド側電界増強構造を形成している。
図29は、図28に示す電子部品151の効果を説明するための図である。図30は、図28に示す電子部品151の効果を説明するための図である。図29および図30では、説明の便宜上、下コイル20、上コイル21、耐圧保持構造102、その他の構造を簡略化して示している。
本実施形態に係る電子部品151では、第1絶縁破壊強度S1を有する絶縁層積層構造27内に上コイル21A,21Bおよび下コイル20が形成されている。
図29を参照して、第2実施形態において述べたように、耐圧保持構造102が形成されていない場合、上コイル端に電界が集中する。とりわけ、上コイル21A,21Bの平面視面積が下コイル20の平面視面積以下である場合には、絶縁層積層構造27および第2絶縁層152の間の境界領域を超えて上コイル端の上側に電界が回り込むため、上コイル端に電界が集中し易い。
上コイル端の電界強度が第2絶縁層152の第2絶縁破壊強度S2を超える場合、第2絶縁層152で絶縁破壊が生じる可能性がある。
これに対して、図30を参照して、第1耐圧保持構造103(耐圧保持構造102)が形成されている場合、第2実施形態において述べたように、上コイル端等に対する電界集中が緩和される。
第1耐圧保持構造103は、上コイル21A,21Bの外郭から外側に向かって張り出しているため、下コイル20および上コイル21A,21Bの間で形成される電界を遮蔽できる。これにより、電界が絶縁層積層構造27および第2絶縁層152の間の境界領域を超えることが、抑制される。
しかも、第2耐圧保持構造104(耐圧保持構造102)が、低電圧パッド13の外郭から上コイル21A,21B側に向かって張り出している。これにより、上コイル21A,21Bおよび低電圧層配線53の間の電界は、実質的には、第1耐圧保持構造103および第2耐圧保持構造104の間の距離に支配される。
したがって、第2絶縁破壊強度S2以上の第1絶縁破壊強度S1(S1≧S2)を有する絶縁層積層構造27において電界強度が増加する一方で、第1絶縁破壊強度S1以下の第2絶縁破壊強度S2(S2≦S1)を有する第2絶縁層152において電界強度が低下する。
電子部品151では、絶縁破壊強度が高い絶縁層積層構造27側の電界強度を敢えて増加させることによって、絶縁破壊強度の低い第2絶縁層152側の電界強度を低減させている。これにより、電界集中に起因する第2絶縁層152の絶縁破壊を抑制できる。その結果、絶縁破壊耐量を向上できる電子部品151を提供できる。
図31は、本発明の第6実施形態に係る電子部品161の平面構造を説明するための図である。図32は、図31に示す電子部品161の低電圧側キャパシタ導体膜162の平面構造を説明するための図である。
図33は、図31に示す電子部品161の高電圧側キャパシタ導体膜163の平面構造を説明するための図である。図34は、図31に示すXXXIV-XXXIV線に沿う断面図である。以下では、電子部品101の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図31~図34を参照して、電子部品161では、下コイル20および上コイル21、内側コイルエンド配線37および外側コイルエンド配線96、ならびに、内側コイルエンド配線49および外側コイルエンド配線97は、形成されていない。
電子部品161では、下コイル20、内側コイルエンド配線49および外側コイルエンド配線97に代えて低電圧側キャパシタ導体膜162が形成されている。また、上コイル21、内側コイルエンド配線37および外側コイルエンド配線96に代えて、高電圧側キャパシタ導体膜163が形成されている。
低電圧側キャパシタ導体膜162は、低電圧導体パターンの一例として形成されている。高電圧側キャパシタ導体膜163は、高電圧導体パターンの一例として形成されている。低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163は、下コイル20および上コイル21を形成するためのマスクパターンを変更するだけで形成できる。
この形態では、2つの低電圧側キャパシタ導体膜162が第1方向Aに沿って間隔を空けて形成されている。また、2つの高電圧側キャパシタ導体膜163が第1方向Aに沿って間隔を空けて形成されている。
各高電圧側キャパシタ導体膜163は、少なくとも一つの絶縁層28を挟んで、低電圧側キャパシタ導体膜162とそれぞれ対向している。高電圧側キャパシタ導体膜163および低電圧側キャパシタ導体膜162の間の縦方向距離L2は、12.0μm以上16.8μm以下であってもよい。縦方向距離L2は、高電圧側キャパシタ導体膜163および低電圧側キャパシタ導体膜162の間の絶縁層28のトータル厚さL2である。
第1方向Aの一方側において互いに対向する低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163によって第1キャパシタンス164が形成されている。第1方向Aの他方側において互いに対向する低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163によって第2キャパシタンス165が形成されている。
第1キャパシタンス164側の構造および第2キャパシタンス165側の構造は、ほぼ同様である。以下では、第1キャパシタンス164側の構造を例にとって説明し、第2キャパシタンス165側の構造については、第1キャパシタンス164側の構造と同一の符号を付して説明を省略する。
第1キャパシタンス164において、低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163は、それぞれ、平板状に形成されている。低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163は、この形態では、平面視において楕円形状に形成されている。
低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163の平面形状は任意であり、楕円形状に限定されない。したがって、低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163は、それぞれ、平面視において円形状や多角形状(たとえば四角形状)に形成されていてもよい。
低電圧側キャパシタ導体膜162は、貫通配線51および引き出し配線52を介して低電圧パッド13に電気的に接続されている。高電圧側キャパシタ導体膜163は、ビア38を介して高電圧パッド14に電気的に接続されている。
低電圧パッド13は、この形態では、平面視において高電圧側キャパシタ導体膜163外の領域に形成されている。高電圧パッド14は、この形態では、平面視において高電圧側キャパシタ導体膜163に対向する領域に形成されている。
電子部品161は、電子部品101と同様に、導電性の耐圧保持構造102を含む。耐圧保持構造102は、低電圧側の部材および高電圧側の部材の間の領域に形成されている。低電圧側の部材は、たとえば、基準電位やグランド電位に固定される低電圧パッド13やシールド層69等を含む。
高電圧側の部材は、たとえば高電圧パッド14や高電圧側キャパシタ導体膜163等を含む。耐圧保持構造102は、低電圧側の部材および高電圧側の部材の間の領域に形成される電界に起因する耐圧劣化を抑制する。耐圧保持構造102は、高電圧側の第1耐圧保持構造103および低電圧側の第2耐圧保持構造104を含む。
第1耐圧保持構造103は、この形態では、平面視において低電圧側キャパシタ導体膜162の外郭よりも外側に張り出すように、低電圧側キャパシタ導体膜162の外郭に沿って形成されている。第1耐圧保持構造103は、他の領域から高電圧側キャパシタ導体膜163を区画するように、高電圧側キャパシタ導体膜163を取り囲んでいる。
第1耐圧保持構造103は、高電圧側キャパシタ導体膜163と同電位に形成されている。第1耐圧保持構造103は、この形態では、平面視においてリング状(楕円リング状)に形成された一枚の第1ダミー導体パターン108を含む。
第1ダミー導体パターン108は、シールド層を形成している。第1ダミー導体パターン108は、この形態では、高電圧側キャパシタ導体膜163の外周縁と一体的に形成されている。
第1ダミー導体パターン108が一枚からなる点を除いて、第1耐圧保持構造103(第1ダミー導体パターン108)の構成は電子部品101に係る第1耐圧保持構造103(第1ダミー導体パターン108)と同様である。第1耐圧保持構造103(第1ダミー導体パターン108)についての具体的な説明は省略する。
第2耐圧保持構造104は、平面視で高電圧側キャパシタ導体膜163および低電圧層配線53(低電圧パッド13)の間の領域に形成されている。第2耐圧保持構造104は、第1方向Aに沿ってライン状に延びている。
第2耐圧保持構造104は、平面視において複数の低電圧層配線53(低電圧パッド13)に沿って形成されている。第2耐圧保持構造104は、複数の低電圧パッド13を横切るように、第1方向Aに沿ってライン状に延びている。これにより、第2耐圧保持構造104は、上コイル21A,21Bから複数の低電圧パッド13(低電圧層配線53)をそれぞれ区画している。
第2耐圧保持構造104は、この形態では、一枚の第2ダミー導体パターン121を含む。第2ダミー導体パターン121は、シールド層を形成している。第2耐圧保持構造104は、電子部品101と同様に、複数の第2ダミー導体パターン121の集合体によって形成された第2ダミー導体パターン群122を含んでいてもよい。
第2耐圧保持構造104(第2ダミー導体パターン121)の構成は電子部品101に係る第2耐圧保持構造104(第2ダミー導体パターン121)と同様である。第2耐圧保持構造104(第2ダミー導体パターン121)についての具体的な説明は省略する。
以上、電子部品161のように、低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163を含む場合であっても、電子部品101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
電子部品161は、電子部品101と同様に、絶縁層積層構造27の上の領域を被覆する第2絶縁層152を含んでいてもよい(図28も併せて参照)。この場合、図29および図30において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
電子部品161は、電子部品6や電子部品131と同様に、樹脂膜77を含んでいてもよい(図3等も併せて参照)。樹脂膜77は、平面視において第1耐圧保持構造103に重なっていてもよい。樹脂膜77は、第1耐圧保持構造103の全域を覆っていてもよい。
平面視において樹脂膜77の外周縁によって取り囲まれた領域内に、高電圧側キャパシタ導体膜163および第1耐圧保持構造103が収まっていてもよい。樹脂膜77は、絶縁層積層構造27の一部の表面を被覆していてもよい。樹脂膜77は、絶縁層積層構造27の表面全域を被覆していてもよい。この場合、電子部品6や電子部品131に対して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
図34は、本発明の第7実施形態に係る電子部品171を説明するための断面図である。以下では、電子部品161の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子部品171では、第1耐圧保持構造103が、高電圧側キャパシタ導体膜163から間隔を空けて形成されている。第1耐圧保持構造103は、高電圧側キャパシタ導体膜163と同電位に形成されている。
第1耐圧保持構造103は、接続配線(図示せず)を介して、高電圧側キャパシタ導体膜163に接続されていてもよい。接続配線は、第1耐圧保持構造103および高電圧側キャパシタ導体膜163と同一の層に形成されていてもよい。接続配線は、第1耐圧保持構造103および高電圧側キャパシタ導体膜163とは異なる層に形成されていてもよい。
第1耐圧保持構造103は、高電圧側キャパシタ導体膜163から間隔を空けて形成された第1ダミー導体パターン108を含む。第1耐圧保持構造103は、電子部品101と同様に、複数の第1ダミー導体パターン108の集合体によって形成された第1ダミー導体パターン群109を含んでいてもよい。
第1耐圧保持構造103(第1ダミー導体パターン群109)の構成は電子部品101に係る第1耐圧保持構造103(第1ダミー導体パターン群109)と同様である。第1耐圧保持構造103(第1ダミー導体パターン群109)についての具体的な説明は省略する。
以上、電子部品171のように、低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163を含む場合であっても、電子部品101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
電子部品171は、電子部品151と同様に、絶縁層積層構造27の上の領域を被覆する第2絶縁層152を含んでいてもよい(図28も併せて参照)。この場合、図29および図30において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
電子部品171は、電子部品6や電子部品131と同様に、樹脂膜77を含んでいてもよい(図3等も併せて参照)。樹脂膜77は、平面視において第1耐圧保持構造103に重なっていてもよい。樹脂膜77は、第1耐圧保持構造103の全域を覆っていてもよい。
平面視において樹脂膜77の外周縁によって取り囲まれた領域内に、高電圧側キャパシタ導体膜163および第1耐圧保持構造103が収まっていてもよい。樹脂膜77は、絶縁層積層構造27の一部の表面を被覆していてもよい。樹脂膜77は、絶縁層積層構造27の表面全域を被覆していてもよい。この場合、電子部品6や電子部品131に対して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
第1実施形態では、樹脂膜77は、高電圧パッド14の第2パッド34の両方の周囲全周を覆っていた。しかし、樹脂膜77は、図36に示すように、第2パッド34の、低電圧パッド13が配置された第1領域39側のみを選択的に覆っていてもよい。
この場合、樹脂膜77は、第1パッド33の周囲において、平面視で上コイル21を全体的に覆うように形成されていることが好ましい。
たとえば、電子部品6を封止する樹脂パッケージ2にフィラーが含有されている場合、上コイル21が樹脂膜77で覆われていなければ、封止時にフィラーによって上コイル21がダメージを受けるおそれがある(フィラーアタック)。しかし、上コイル21が全体的に樹脂膜77で覆われていれば、フィラーアタック等の不具合を抑制できる。この構造は、第2~第7実施形態にも適用できる。
第1実施形態では、樹脂膜77は、第2パッド34の周縁にオーバーラップするように形成されていた。しかし、図37に示すように、樹脂膜77は、第2パッド34の周縁にオーバーラップしていなくてもよい。
この場合、樹脂膜77は、第2パッド34を露出させるために、パッド開口79よりも大きな径を有する開口60を有していてもよい。この構造は、第2~第7実施形態にも適用できる。
第1~第5実施形態において、下コイル20の厚さは、上コイル21の厚さ以上であってもよい。下コイル20の厚さは、上コイル21の厚さ以下であってもよい。
第1~第5実施形態において、下コイル20は、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、窒化チタンまたはタングステンのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。上コイル21は、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、窒化チタンまたはタングステンのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。下コイル20および上コイル21は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。
第1~第5実施形態において、下コイル20の螺旋パターンの幅は、上コイル21A,21Bの螺旋パターン105の幅以下であってもよい。むろん、下コイル20の螺旋パターンの幅は、上コイル21A,21Bの螺旋パターン105の幅以上であってもよい。
第2~第5実施形態において、第1変圧器301側の第1耐圧保持構造103および第2変圧器302側の第1耐圧保持構造103は一体的に形成されていてもよい。
この場合、第1変圧器301側の上コイル21A,21Bおよび外側コイルエンド配線96、ならびに、第2変圧器302側の上コイル21A,21Bおよび外側コイルエンド配線96は、第1耐圧保持構造103によって一括して取り囲まれていてもよい。
第2~第5実施形態において、第1変圧器301側の第2耐圧保持構造104および第2変圧器302側の第2耐圧保持構造104は一体的に形成されていてもよい。
この場合、第2耐圧保持構造104は、第1変圧器301側の低電圧パッド13(低電圧層配線53)、ならびに、第2変圧器302側の低電圧パッド13(低電圧層配線53)に沿って連続的に延びるように形成されていてもよい。
第2~第5実施形態において、第1近接領域112、第2近接領域113、第1接続領域114および第2接続領域115は、それぞれ別体として形成されていてもよい。第1近接領域112、第2近接領域113、第1接続領域114および第2接続領域115は、互いに独立した第1ダミー導体パターン群109をそれぞれ含んでいてもよい。
第2~第5実施形態において、耐圧保持構造102は、上コイル21A,21Bとは異なる層に形成されていてもよい。
第2~第5実施形態において、第1耐圧保持構造103および第2耐圧保持構造104は、それぞれ異なる層に形成されていてもよい。
たとえば、第1耐圧保持構造103が上コイル21A,21Bよりも上層に形成されている一方で、第2耐圧保持構造104が上コイル21A,21Bよりも下層に形成されていてもよい。
これとは反対に、第1耐圧保持構造103が上コイル21A,21Bよりも下層に形成されている一方で、第2耐圧保持構造104が上コイル21A,21Bよりも上層に形成されていてもよい。
第2~第5実施形態において、第1耐圧保持構造103は、複数の第1ダミー導体パターン108に代えて、一枚の幅広のシールド層を含んでいてもよい。シールド層は、張り出し量Z1を有していてもよい。このような構造によっても、各実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
第2~第5実施形態において、複数の第1ダミー導体パターン108は、互いに異なる層に形成されていてもよい。たとえば、任意の3つの第1ダミー導体パターン108を上コイル21A,21Bと同一の層に形成し、他の3つの第1ダミー導体パターン108を1つ下の層に形成してもよい。
また、たとえば、任意の2つの第1ダミー導体パターン108を上コイル21A,21Bと同一の層に形成し、他の2つの第1ダミー導体パターン108を上コイル21A,21Bの1つ下の層に形成し、さらに他の2つの第1ダミー導体パターン108を上コイル21A,21Bの1つ上の層に形成してもよい。
第2~第5実施形態において、第2耐圧保持構造104は、複数の第2ダミー導体パターン121に代えて、一枚の幅広のシールド層を含んでいてもよい。シールド層は、張り出し量Z2を有していてもよい。このような構造によっても、各実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
第2~第5実施形態において、複数の第2ダミー導体パターン121は、互いに異なる層に形成されていてもよい。たとえば、任意の1つの第2ダミー導体パターン121を上コイル21A,21Bと同一の層に形成し、他の2つの第2ダミー導体パターン121を1つ下の層に形成してもよい。
また、たとえば、任意の1つの第2ダミー導体パターン121を上コイル21A,21Bと同一の層に形成し、他の1つの第2ダミー導体パターン121を上コイル21A,21Bの1つ下の層に形成し、さらに他の1つの第2ダミー導体パターン121を上コイル21A,21Bの1つ上の層に形成してもよい。
第2~第5実施形態において、第2ダミー導体パターン群122は、第2方向Bに沿って上コイル21A,21Bとは反対側に延びる第2ダミー導体パターン121を含んでいてもよい。
第6~第7実施形態において、低電圧側キャパシタ導体膜162の厚さは、高電圧側キャパシタ導体膜163の厚さ以上であってもよい。低電圧側キャパシタ導体膜162の厚さは、高電圧側キャパシタ導体膜163の厚さ以下であってもよい。
第6~第7実施形態において、低電圧側キャパシタ導体膜162は、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、窒化チタンまたはタングステンのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
高電圧側キャパシタ導体膜163は、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、窒化チタンまたはタングステンのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。低電圧側キャパシタ導体膜162および高電圧側キャパシタ導体膜163は、コストや量産性の観点から、銅やアルミニウムを含むことが好ましい。
第6~第7実施形態において、第1キャパシタンス164側の第1耐圧保持構造103および第2キャパシタンス165側の第1耐圧保持構造103は一体的に形成されていてもよい。
この場合、第1キャパシタンス164側の高電圧側キャパシタ導体膜163、および、第2キャパシタンス165側の高電圧側キャパシタ導体膜163は、第1耐圧保持構造103によって一括して取り囲まれていてもよい。
第6~第7実施形態において、第1キャパシタンス164側の第2耐圧保持構造104および第2キャパシタンス165側の第2耐圧保持構造104は一体的に形成されていてもよい。
この場合、第2耐圧保持構造104は、第1キャパシタンス164側の低電圧パッド13(低電圧層配線53)、ならびに、第2キャパシタンス165側の低電圧パッド13(低電圧層配線53)に沿って連続的に延びるように形成されていてもよい。
第6~第7実施形態において、耐圧保持構造102は、高電圧側キャパシタ導体膜163とは異なる層に形成されていてもよい。
第6~第7実施形態において、第1耐圧保持構造103および第2耐圧保持構造104は、それぞれ異なる層に形成されていてもよい。たとえば、第1耐圧保持構造103が高電圧側キャパシタ導体膜163よりも上層に形成されている一方で、第2耐圧保持構造104が高電圧側キャパシタ導体膜163よりも下層に形成されていてもよい。
これとは反対に、第1耐圧保持構造103が高電圧側キャパシタ導体膜163よりも下層に形成されている一方で、第2耐圧保持構造104が高電圧側キャパシタ導体膜163よりも上層に形成されていてもよい。
第7実施形態において、複数(たとえば6個)の第1ダミー導体パターン108が形成されている場合、複数の第1ダミー導体パターン108は、互いに異なる層に形成されていてもよい。
たとえば、任意の3つの第1ダミー導体パターン108を高電圧側キャパシタ導体膜163と同一の層に形成し、他の3つの第1ダミー導体パターン108を1つ下の層に形成してもよい。
また、たとえば、任意の2つの第1ダミー導体パターン108を高電圧側キャパシタ導体膜163と同一の層に形成し、他の2つの第1ダミー導体パターン108を高電圧側キャパシタ導体膜163の1つ下の層に形成し、さらに他の2つの第1ダミー導体パターン108を高電圧側キャパシタ導体膜163の1つ上の層に形成してもよい。
第6~第7実施形態において、複数(たとえば3個)の第2ダミー導体パターン121が形成されている場合、複数の第2ダミー導体パターン121は、互いに異なる層に形成されていてもよい。
たとえば、任意の1つの第2ダミー導体パターン121を高電圧側キャパシタ導体膜163と同一の層に形成し、他の2つの高電圧側キャパシタ導体膜163を1つ下の層に形成してもよい。
また、たとえば、任意の1つの第2ダミー導体パターン121を高電圧側キャパシタ導体膜163と同一の層に形成し、他の1つの第2ダミー導体パターン121を高電圧側キャパシタ導体膜163の1つ下の層に形成し、さらに他の1つの第2ダミー導体パターン121を高電圧側キャパシタ導体膜163の1つ上の層に形成してもよい。
第6~第7実施形態において、第2ダミー導体パターン群122は、第2方向Bに沿って高電圧側キャパシタ導体膜163とは反対側に延びる第2ダミー導体パターン121を含んでいてもよい。
第2~第7実施形態において、第2ダミー導体パターン群122は、平面視において1つまたは複数の低電圧パッド13を取り囲むように形成されていてもよい。この場合、第2ダミー導体パターン群122に含まれる第2ダミー導体パターン121は、第1ダミー導体パターン108と同様に、開放部110を有する有端状に形成されていてもよい。
図38は、変形例に係る電子部品モジュール201の平面図である。本変形例では、電子部品モジュール1の構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
第1実施形態に係る電子部品モジュール1では、コントローラチップ5、電子部品6およびドライバチップ7が、それぞれ別体チップとして形成されている。
これに対して、本変形例に係る電子部品モジュール201では、電子部品101の機能の一部が、コントローラチップ5およびドライバチップ7にそれぞれ組み込まれている。
より具体的には、電子部品101の第1変圧器301が、コントローラチップ5に組み込まれており、電子部品101の第2変圧器302が、ドライバチップ7に組み込まれている。これにより、コントローラチップ5およびドライバチップ7が、それぞれ、電子部品としても形成されている。
コントローラチップ5の第1変圧器301に係る3つの高電圧パッド14は、高電圧用ワイヤ303を介して、ドライバチップ7に設けられた3つの高電圧パッド304にそれぞれ接続されている。コントローラチップ5の第1変圧器301は、グランド端子として使用される任意の低電圧用のリード3(任意の低電圧用のパッド10)にも電気的に接続されている。
ドライバチップ7の第2変圧器302に係る3つの高電圧パッド14は、高電圧用ワイヤ305を介して、コントローラチップ5に設けられた3つの高電圧パッド306にそれぞれ接続されている。ドライバチップ7の第2変圧器302は、グランド端子として使用される任意の低電圧用のリード3(任意の低電圧用のパッド17)にも電気的に接続されている。
電子部品101の第1変圧器301が、コントローラチップ5に組み込まれた場合、コントローラチップ5の配線材料を利用して、第1変圧器301が作り込まれる。したがって、第1変圧器301に含まれる下コイル20、上コイル21、下コイル20および上コイル21を接続する配線部材等は、コントローラチップ5の配線材料と同一になる。
たとえば、コントローラチップ5の配線材料が銅である場合、下コイル20、上コイル21、下コイル20および上コイル21を接続する配線部材等は、銅によって形成される。電子部品101の配線材料が銅およびアルミニウムを含む場合、下コイル20、上コイル21、下コイル20および上コイル21を接続する配線部材等は、銅および/またはアルミニウムによって形成される。
下コイル20がアルミニウムで形成されている一方で、上コイル21が銅によって形成されていてもよい。下コイル20が銅で形成されている一方で、上コイル21がアルミニウムによって形成されていてもよい。
電子部品101の第2変圧器302が、ドライバチップ7に組み込まれた場合、ドライバチップ7の配線材料を利用して、第2変圧器302が作り込まれる。したがって、第2変圧器302に含まれる下コイル20、上コイル21、下コイル20および上コイル21を接続する配線部材等は、ドライバチップ7の配線材料と同一になる。
たとえば、ドライバチップ7の配線材料が銅である場合、下コイル20、上コイル21、下コイル20および上コイル21を接続する配線部材等は、銅によって形成される。電子部品101の配線材料が銅およびアルミニウムを含む場合、下コイル20、上コイル21、下コイル20および上コイル21を接続する配線部材等は、銅および/またはアルミニウムによって形成される。
下コイル20がアルミニウムで形成されている一方で、上コイル21が銅によって形成されていてもよい。下コイル20が銅で形成されている一方で、上コイル21がアルミニウムによって形成されていてもよい。
本変形例では、第1実施形態に係る第1変圧器301がコントローラチップ5に組み込まれた例について説明した。しかし、第2~第4実施形態に係る耐圧保持構造102を備えた第1変圧器301が、コントローラチップ5に組み込まれてもよい。
第3実施形態に係る耐圧保持構造102を備えた第1変圧器301がコントローラチップ5に組み込まれた場合、コントローラチップ5において、コントローラICが作り込まれた素子形成面のほぼ全域が、樹脂膜77によって被覆されていてもよい。
本変形例では、第1実施形態に係る第2変圧器302がドライバチップ7に組み込まれた例について説明した。しかし、第2~第4実施形態に係る耐圧保持構造102を備えた第1変圧器301が、ドライバチップ7に組み込まれてもよい。
第3実施形態に係る耐圧保持構造102を備えた第2変圧器302がドライバチップ7に組み込まれた場合、ドライバチップ7において、ドライバICが作り込まれた素子形成面のほぼ全域が、樹脂膜77によって被覆されていてもよい。
以下、この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
[項1]絶縁層と、前記絶縁層内に形成された低電圧コイルと、前記低電圧コイルと上下方向に対向するように、前記絶縁層内に形成された高電圧コイルと、前記絶縁層の厚さ方向において前記高電圧コイルの形成領域と対向するように配置された第1パッド、および、前記厚さ方向において前記高電圧コイルの形成領域を避けるように配置された第2パッドを含み、前記絶縁層の上において前記高電圧コイルに電気的に接続された高電圧パッドと、前記絶縁層の上において前記低電圧コイルに電気的に接続された低電圧パッドと、前記第1パッドの周囲および前記第2パッドの周囲を覆うように、前記絶縁層の上に選択的に形成された樹脂膜と、を含む、電子部品。
この構成によれば、高電圧パッドの第1パッドおよび第2パッドの両方の周囲が樹脂膜で覆われているため、高電圧パッド-低電圧パッド間の耐圧を向上できる。
[項2]前記絶縁層の上には、前記高電圧パッドを挟んで両側に第1スペースおよび第2スペースが形成されており、前記低電圧パッドは、前記第1スペースに選択的に形成されており、前記樹脂膜は、少なくとも前記第2パッドの前記第1スペース側の周囲および前記第1パッドを覆っている、項1に記載の電子部品。
[項3]前記樹脂膜は、前記第2パッドの前記第2スペース側の周囲および前記第1パッドを覆っている、項2に記載の電子部品。
[項4]前記樹脂膜は、前記第1パッドの周囲および前記第2パッドの周囲を全周に亘って覆っている、項3に記載の電子部品。
[項5]前記樹脂膜は、前記第1パッドの周囲および前記第2パッドの周囲を一体的に覆っている、項1~4のいずれか一項に記載の電子部品。
[項6]前記絶縁層の上に形成された高電圧導電層と、前記高電圧導電層から間隔を空けて前記絶縁層の上に形成された低電圧導電層と、前記高電圧導電層および前記低電圧導電層を一体で覆うように前記絶縁層の上に形成され、前記高電圧導電層の一部を前記高電圧パッドとして露出させる高電圧側パッド開口、および、前記低電圧導電層の一部を前記低電圧パッドとして露出させる低電圧側パッド開口を有する表面絶縁膜とを含み、前記樹脂膜は、前記表面絶縁膜の上に形成されている、項1~5のいずれか一項に記載の電子部品。
[項7]前記樹脂膜は、前記高電圧側パッド開口の周囲で、前記第1パッドを区画するように前記高電圧導電層にオーバーラップしており、かつ、前記高電圧側パッド開口の周囲で、前記第2パッドを区画するように前記高電圧導電層にオーバーラップしている、項6に記載の電子部品。
[項8]前記高電圧コイルの形成領域は、前記高電圧コイルで囲まれたコイル内方領域を含み、前記第1パッドは、前記厚さ方向において前記コイル内方領域と対向しており、前記第2パッドは、前記厚さ方向において、前記高電圧コイルの外側のコイル外方領域と対向している、項1~7のいずれか一項に記載の電子部品。
[項9]前記樹脂膜は、ポリイミドを含む、項1~8のいずれか一項に記載の電子部品。
[項10]前記樹脂膜は、3000nm以上5000nm以下の厚さを有している、項1~9のいずれか一項に記載の電子部品。
[項11]前記高電圧パッドおよび前記低電圧パッドの横方向距離L1は、前記高電圧コイルおよび前記低電圧コイルの縦方向距離L2よりも大きい、項1~10のいずれか一項に記載の電子部品。
[項12]前記横方向距離L1は、100μm以上450μm以下であり、前記縦方向距離L2は、12.0μm以上16.8μm以下である、項11に記載の電子部品。
[項13]平面視において前記低電圧コイルよりも外側に張り出すように、前記絶縁層内において前記高電圧コイルに沿って形成された導電性の耐圧保持構造をさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の電子部品。
[項14]前記耐圧保持構造は、前記高電圧コイルの螺旋パターンとは不連続なパターンで前記高電圧コイルに沿って延びるダミーパターンを含む、項13に記載の電子部品。
[項15]前記ダミーパターンは、有端状である、項14に記載の電子部品。
[項16]前記高電圧コイルは、内側末端および外側末端を含み、前記ダミーパターンは、前記高電圧コイルの前記外側末端と同電位に固定されている、項14または15に記載の電子部品。
[項17]前記高電圧コイルの前記内側末端は、平面視において前記低電圧コイルの内側の領域に位置しており、前記高電圧コイルの前記外側末端は、平面視において前記低電圧コイルの外側の領域に位置しており、前記ダミーパターンは、前記高電圧コイルの前記外側末端から引き出されている、項16に記載の電子部品。
[項18]平面視において前記高電圧パッドの前記第2パッドの周縁に沿うように、前記絶縁層内に形成された導電性のパッド側耐圧保持構造をさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の電子部品。
[項19]前記パッド側耐圧保持構造は、平面視において前記高電圧コイルの螺旋パターンとは不連続なパターンで前記第2パッドの周縁に沿って延びるパッド側ダミーパターンを含む、項18に記載の電子部品。
[項20]前記パッド側耐圧保持構造は、前記第2パッドから離れる方向に沿って間隔を空けて形成された複数の前記パッド側ダミーパターンを含む、項19に記載の電子部品。
[項21]前記第2パッドに最も近接する前記パッド側ダミーパターンおよび前記第2パッドの間の距離は、前記高電圧コイルおよび前記低電圧コイルの間の縦方向距離以下である、項19に記載の電子部品。
[項22]前記絶縁層内において前記高電圧コイルに沿って形成され、平面視において前記低電圧コイルよりも外側に張り出した導電性のコイル側耐圧保持構造をさらに含む、項18~21のいずれか一項に記載の電子部品。
[項23]前記コイル側耐圧保持構造は、前記パッド側耐圧保持構造と同電位に固定されている、項22に記載の電子部品。
[項24]前記絶縁層内において前記絶縁層の表面に沿う方向に前記高電圧コイルから間隔を空けて形成され、前記低電圧コイルに電気的に接続され、前記高電圧コイルとの間で前記絶縁層の絶縁破壊強度以下の第1値を有する電界を形成する低電圧配線と、前記絶縁層内において前記高電圧コイルおよび前記低電圧配線の間の領域に介在し、前記低電圧配線との間で、前記絶縁層の絶縁破壊強度以下でかつ前記第1値以上の第2値を有する電界を形成する導電性の電界増強構造と、前記高電圧パッドおよび前記低電圧パッドを被覆するように、前記絶縁層の上に形成され、前記絶縁層の絶縁破壊強度以下の絶縁破壊強度を有する第2絶縁層と、を含む、項1~12のいずれか一項に記載の電子部品。
[項25]前記電界増強構造は、前記高電圧コイルと同電位に固定され、かつ、前記高電圧コイルに沿って形成された導電性の高電圧側ダミーパターンを含む、項24に記載の電子部品。
[項26]前記電界増強構造は、前記低電圧配線と同電位に固定され、かつ、前記低電圧配線に沿って形成された導電性の低電圧側ダミーパターンを含む、項24または25に記載の電子部品。
[項27]前記絶縁層の絶縁破壊強度は、5.0MV/cm以上であり、前記第2絶縁層の絶縁破壊強度は、1.0MV/cm以上である、項24~26のいずれか一項に記載の電子部品。
[項28]前記第2絶縁層は、樹脂層からなる、項24~27のいずれか一項に記載の電子部品。
[項29]前記樹脂層は、モールド樹脂を含む、項28に記載の電子部品。
[項30]項1~29のいずれか一項に記載の電子部品と、前記電子部品を封止する樹脂パッケージと、を含む、電子部品モジュール。
[項31]前記電子部品の前記低電圧コイルに電気的に接続された低電圧素子と、前記電子部品の前記高電圧コイルに電気的に接続された高電圧素子と、をさらに含み、前記樹脂パッケージは、前記電子部品、前記低電圧素子および前記高電圧素子を一括して封止している、項30に記載の電子部品モジュール。
絶縁層を挟んで互いに対向する低電圧導体パターンおよび高電圧導体パターンを含む電子部品では、低電圧導体パターンおよび高電圧導体パターンの間の領域に電界が形成される。この電界は、高電圧導体パターン側に集中する傾向がある。このような電界集中の発生は、耐圧を向上させる上での弊害になり得る。そこで、以下の[A1]~[A39]は、高電圧導体パターンに対する電界集中を緩和し、耐圧を向上できる電子部品および電子部品モジュールを提供する。
[A1]絶縁層と、前記絶縁層内に形成された低電圧導体パターンと、前記低電圧導体パターンと上下方向に対向するように、前記絶縁層内に形成された高電圧導体パターンと、平面視において前記低電圧導体パターンよりも外側に張り出すように、前記絶縁層内において前記高電圧導体パターンに沿って形成された導電性の耐圧保持構造と、を含む、電子部品。
[A2]前記低電圧導体パターンは、螺旋状の低電圧コイルを含み、前記高電圧導体パターンは、螺旋状の高電圧コイルを含み、前記低電圧コイルおよび前記高電圧コイルによって変圧器が形成されている、A1に記載の電子部品。
[A3]前記耐圧保持構造は、前記高電圧コイルの螺旋パターンに対して不連続なパターンで前記高電圧コイルに沿って延びるダミー導体パターンを含む、A2に記載の電子部品。
[A4]前記ダミー導体パターンは、有端状である、A3に記載の電子部品。
[A5]前記高電圧コイルは、内側末端および外側末端を含み、前記ダミー導体パターンは、前記高電圧コイルの前記外側末端と同電位に固定されている、A3またはA4に記載の電子部品。
[A6]前記高電圧コイルの前記内側末端は、平面視において前記低電圧コイルの内側の領域に位置しており、前記高電圧コイルの前記外側末端は、平面視において前記低電圧コイルの外側の領域に位置しており、前記ダミー導体パターンは、前記高電圧コイルの前記外側末端から引き出されている、A5に記載の電子部品。
[A7]前記耐圧保持構造は、前記高電圧コイルから離れる方向に沿って間隔を空けて形成された複数の前記ダミー導体パターンを含む、A3~A6のいずれか一つに記載の電子部品。
[A8]前記高電圧コイルは、平面視で前記低電圧コイルと対向する領域において、外巻の第1螺旋領域、および、平面視で前記低電圧コイル外の領域において、前記第1螺旋領域から連続的に外巻きの第2螺旋領域を含み、前記耐圧保持構造は、前記高電圧コイルの前記第2螺旋領域を含む、A2~A7のいずれか一つに記載の電子部品。
[A9]前記高電圧コイルの第1巻回数は、前記低電圧コイルの第2巻回数よりも大きい、A2~A7のいずれか一つに記載の電子部品。
[A10]前記第1巻回数および前記第2巻回数の間の差は、5以上である、A9に記載の電子部品。
[A11]前記低電圧導体パターンは、平板状の低電圧側キャパシタ導体膜を含み、前記高電圧導体パターンは、平板状の高電圧側キャパシタ導体膜を含み、前記低電圧側キャパシタ導体膜および前記高電圧側キャパシタ導体膜によってキャパシタンスが形成されている、A1に記載の電子部品。
[A12]前記耐圧保持構造は、前記高電圧導体パターンに沿って延び、前記高電圧導体パターンと同電位に固定されたダミー導体パターンを含む、A11に記載の電子部品。
[A13]前記ダミー導体パターンは、前記高電圧導体パターンと一体的に形成されている、A12に記載の電子部品。
[A14]前記ダミー導体パターンは、前記高電圧導体パターンから間隔を空けて形成されている、A12に記載の電子部品。
[A15]絶縁層と、前記絶縁層内に形成された低電圧導体パターンと、前記低電圧導体パターンと上下方向に対向するように、前記絶縁層内に形成された高電圧導体パターンと、前記絶縁層の上に形成され、前記低電圧導体パターンに電気的に接続された低電圧パッドと、平面視において前記低電圧パッドから間隔を空けて前記絶縁層の上に形成され、前記高電圧導体パターンに電気的に接続された高電圧パッドと、平面視において前記高電圧パッドの周縁に沿うように、前記絶縁層内に形成された導電性のパッド側耐圧保持構造と、を含む、電子部品。
[A16]前記低電圧導体パターンは、螺旋状の低電圧コイルを含み、前記高電圧導体パターンは、螺旋状の高電圧コイルを含み、前記低電圧コイルおよび前記高電圧コイルによって変圧器が形成されている、A15に記載の電子部品。
[A17]前記パッド側耐圧保持構造は、平面視において前記高電圧コイルの螺旋パターンに対して不連続なパターンで前記高電圧パッドの周縁に沿って延びるパッド側ダミー導体パターンを含む、A16に記載の電子部品。
[A18]前記パッド側耐圧保持構造は、前記高電圧パッドから離れる方向に沿って間隔を空けて形成された複数の前記パッド側ダミー導体パターンを含む、A17に記載の電子部品。
[A19]前記高電圧パッドに最も近接する前記パッド側ダミー導体パターンおよび前記高電圧パッドの間の距離は、前記高電圧導体パターンおよび前記低電圧導体パターンの間の縦方向距離以下である、A18に記載の電子部品。
[A20]前記絶縁層内において前記高電圧導体パターンに沿って形成され、平面視において前記低電圧導体パターンよりも外側に張り出した導電性のコイル側耐圧保持構造をさらに含む、A18またはA19に記載の電子部品。
[A21]前記コイル側耐圧保持構造は、前記高電圧コイルの螺旋パターンに対して不連続なパターンで前記高電圧コイルに沿って引き回され、前記パッド側ダミー導体パターンと同電位に固定されたコイル側ダミー導体パターンを含む、A20に記載の電子部品。
[A22]前記コイル側ダミー導体パターンは、前記パッド側ダミー導体パターンと一体的に形成されている、A21に記載の電子部品。
[A23]前記高電圧コイルは、平面視において前記低電圧コイルの内側の領域に位置する内側末端、および、平面視において前記低電圧コイルの外側の領域に位置する外側末端を有しており、前記高電圧パッドは、前記高電圧コイルの前記外側末端に電気的に接続されるように、前記高電圧コイルの前記外側末端の直上に配置されており、前記パッド側耐圧保持構造は、前記絶縁層内において、前記高電圧コイルの前記外側末端に沿うように形成されている、A16~A22のいずれか一つに記載の電子部品。
[A24]前記低電圧導体パターンは、平板状の低電圧側キャパシタ導体膜を含み、前記高電圧導体パターンは、平板状の高電圧側キャパシタ導体膜を含み、前記低電圧側キャパシタ導体膜および前記高電圧側キャパシタ導体膜によってキャパシタンスが形成されている、A15に記載の電子部品。
[A25]平面視において前記低電圧導体パターンよりも外側に張り出すように、前記絶縁層内において前記高電圧導体パターンに沿って延び、前記高電圧導体パターンと同電位に固定された導電性のキャパシタンス側耐圧保持構造を含む、A24に記載の電子部品。
[A26]前記キャパシタンス側耐圧保持構造は、前記高電圧導体パターンと一体的に形成されたキャパシタンス側ダミー導体パターンを含む、A25に記載の電子部品。
[A27]前記キャパシタンス側耐圧保持構造は、前記高電圧導体パターンから間隔を空けて形成されたキャパシタンス側ダミー導体パターンを含む、A25に記載の電子部品。
[A28]第1絶縁破壊強度を有する第1絶縁層と、前記第1絶縁層内に形成された低電圧導体パターンと、前記低電圧導体パターンと上下方向に対向するように、前記第1絶縁層内に形成された高電圧導体パターンと、前記第1絶縁層内において前記第1絶縁層の表面に沿う方向に前記高電圧導体パターンから間隔を空けて形成され、前記低電圧導体パターンに電気的に接続され、前記高電圧導体パターンとの間で前記第1絶縁破壊強度以下の第1値を有する電界を形成する低電圧配線と、前記第1絶縁層内において前記高電圧導体パターンおよび前記低電圧配線の間の領域に介在し、前記低電圧配線との間で、前記第1絶縁破壊強度以下でかつ前記第1値以上の第2値を有する電界を形成する導電性の電界増強構造と、前記第1絶縁層の上に形成され、前記第1絶縁破壊強度以下の第2絶縁破壊強度を有する第2絶縁層と、を含む、電子部品。
[A29]前記電界増強構造は、前記高電圧導体パターンと同電位に固定され、かつ、前記高電圧導体パターンに沿って形成された導電性の高電圧側ダミー導体パターンを含む、A28に記載の電子部品。
[A30]前記電界増強構造は、前記低電圧配線と同電位に固定され、かつ、前記低電圧配線に沿って形成された導電性の低電圧側ダミー導体パターンを含む、A28またはA29に記載の電子部品。
[A31]前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の間の領域に介在し、前記低電圧配線に電気的に接続された低電圧パッドと、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の間の領域に前記低電圧パッドから間隔を空けて介在し、前記高電圧導体パターンに電気的に接続され、前記低電圧パッドとの間で前記第2絶縁破壊強度以下の電界を形成する高電圧パッドと、をさらに含む、A28~A30のいずれか一つに記載の電子部品。
[A32]前記第1絶縁層の前記第1絶縁破壊強度は、5.0MV/cm以上であり、前記第2絶縁層の前記第2絶縁破壊強度は、1.0MV/cm以上である、A28~A31のいずれか一つに記載の電子部品。
[A33]前記第2絶縁層は、樹脂層からなる、A28~A32のいずれか一つに記載の電子部品。
[A34]前記樹脂層は、モールド樹脂を含む、A33に記載の電子部品。
[A35]前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の間に介在するパッシベーション膜をさらに含む、A28~A34のいずれか一つに記載の電子部品。
[A36]前記低電圧導体パターンは、螺旋状の低電圧コイルを含み、前記高電圧導体パターンは、螺旋状の高電圧コイルを含み、前記低電圧コイルおよび前記高電圧コイルによって変圧器が形成されている、A28~A35のいずれか一つに記載の電子部品。
[A37]前記低電圧導体パターンは、平板状の低電圧側キャパシタ導体膜を含み、前記高電圧導体パターンは、平板状の高電圧側キャパシタ導体膜を含み、前記低電圧側キャパシタ導体膜および前記高電圧側キャパシタ導体膜によってキャパシタンスが形成されている、A28~A35のいずれか一つに記載の電子部品。
[A38]A1~A37のいずれか一つに記載の電子部品と、前記電子部品を封止する樹脂パッケージと、を含む、電子部品モジュール。
[A39]前記電子部品の前記低電圧導体パターンに電気的に接続された低電圧素子と、前記電子部品の前記高電圧導体パターンに電気的に接続された高電圧素子と、をさらに含み、前記樹脂パッケージは、前記電子部品、前記低電圧素子および前記高電圧素子を一括して封止している、A38に記載の電子部品モジュール。
[B1]下部絶縁層と、前記下部絶縁層上に形成された上部絶縁層と、前記下部絶縁層内に配置され、平面視において一定の巻回ピッチで螺旋状に引き回された部分を含む第1螺旋導体パターンと、前記第1螺旋導体パターンに対向するように前記上部絶縁層内に配置され、平面視において一定の巻回ピッチで螺旋状に引き回された部分を含む第2螺旋導体パターンと、平面視において前記第1螺旋導体パターンによって取り囲まれた領域内に位置するように前記下部絶縁層内において前記第1螺旋導体パターンと同一レイヤに配置され、前記第1螺旋導体パターンに電気的に接続された第1コンタクト部と、平面視において前記第2螺旋導体パターンによって取り囲まれた領域内に位置するように前記上部絶縁層内において前記第2螺旋導体パターンと同一レイヤに配置され、前記第2螺旋導体パターンに電気的に接続された第2コンタクト部と、平面視において前記第1螺旋導体パターンよりも外側に張り出すように前記上部絶縁層内において前記第2螺旋導体パターンの周囲に配置され、前記第2螺旋導体パターンに電気的および機械的に接続された外側導体パターンと、を含み、前記第1コンタクト部は、前記下部絶縁層および前記上部絶縁層の積層方向に前記第2螺旋導体パターンに対向しないように前記下部絶縁層内に配置され、前記第2コンタクト部は、前記積層方向に前記第1螺旋導体パターンに対向しないように前記上部絶縁層内に配置され、前記外側導体パターンは、前記第2螺旋導体パターンの巻回方向に沿って延びるように前記第2螺旋導体パターンから連続的に引き出され、前記外側導体パターンは、前記積層方向に前記第1螺旋導体パターンに対向しないように前記上部絶縁層内のみに配置され、かつ、断面視において前記第2螺旋導体パターンから前記積層方向の直交方向の一方側に第1間隔を空けて形成された第1部分、および、断面視において前記第2螺旋導体パターンから前記直交方向の他方側に前記第1間隔と等しい第2間隔を空けて形成された第2部分を含む、絶縁型部品。
[B2]前記第1部分および前記第2部分は、断面視において前記第2螺旋導体パターンによって取り囲まれた領域の中央部を基準に左右対称になるように前記第2螺旋導体パターンの両サイドに配置されている、B1に記載の絶縁型部品。
[B3]前記外側導体パターンは、前記第2螺旋導体パターンから一定の距離を保ちながら前記第2螺旋導体パターンの巻回方向に沿って延びている、B1またはB2に記載の絶縁型部品。
[B4]前記外側導体パターンは、前記直交方向に関して、他の導電体を介さず前記上部絶縁層の一部を挟んで前記第2螺旋導体パターンに対向している、B1~B3のいずれか一つに記載の絶縁型部品。
[B5]前記外側導体パターンは、前記第2螺旋導体パターンと同一レイヤに配置されている、B1~B4のいずれか一つに記載の絶縁型部品。
[B6]前記外側導体パターンは、耐圧保持構造である、B1~B5のいずれか一つに記載の絶縁型部品。
[B7]前記耐圧保持構造は、前記第2螺旋導体パターンの周囲において前記第2螺旋導体パターンから離れる方向に間隔を空けて形成された複数のダミー導体パターンを含む、B6に記載の絶縁型部品。
[B8]前記第2螺旋導体パターンは、平面視において前記第1螺旋導体パターンと対向する領域において外巻きに巻回された第1螺旋領域、および、平面視において前記第1螺旋導体パターン外の領域において前記第1螺旋領域から連続的に外巻きに巻回された第2螺旋領域を含む、B6またはB7に記載の絶縁型部品。
[B9]前記耐圧保持構造は、前記第2螺旋導体パターンの前記第2螺旋領域を含む、B8に記載の絶縁型部品。
[B10]B1~B9のいずれか一つに記載の前記絶縁型部品と、前記絶縁型部品に電気信号を付与する第1デバイスと、前記絶縁型部品を支持する第1支持部材と、を含む、モジュール。
[B11]前記絶縁型部品からの電気信号を受信する第2デバイスと、前記第2デバイスを支持する第2支持部材と、を含む、B10に記載のモジュール。
[B12]前記第1デバイスに第1電源電位が付与され、前記第2デバイスに前記第1電源電位を超える第2電源電位が付与される、B11に記載のモジュール。
[B13]前記第1デバイスは、パルス信号からなる電気信号を前記絶縁型部品に付与する、B10~B12のいずれか一つに記載のモジュール。
この出願は、2017年10月13日に日本国特許庁に提出された特願2017-199877号に基づく優先権を主張しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。