JP7542160B2 - レーザ加工方法及びレーザ加工機 - Google Patents

レーザ加工方法及びレーザ加工機 Download PDF

Info

Publication number
JP7542160B2
JP7542160B2 JP2023546890A JP2023546890A JP7542160B2 JP 7542160 B2 JP7542160 B2 JP 7542160B2 JP 2023546890 A JP2023546890 A JP 2023546890A JP 2023546890 A JP2023546890 A JP 2023546890A JP 7542160 B2 JP7542160 B2 JP 7542160B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
processing
laser beam
workpiece
along
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023546890A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2023037915A1 (ja
JPWO2023037915A5 (ja
Inventor
貴幸 神山
裕 益子
祐也 溝口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Amada Co Ltd
Original Assignee
Amada Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Amada Co Ltd filed Critical Amada Co Ltd
Publication of JPWO2023037915A1 publication Critical patent/JPWO2023037915A1/ja
Publication of JPWO2023037915A5 publication Critical patent/JPWO2023037915A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7542160B2 publication Critical patent/JP7542160B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/36Removing material
    • B23K26/38Removing material by boring or cutting
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/08Devices involving relative movement between laser beam and workpiece
    • B23K26/0869Devices involving movement of the laser head in at least one axial direction
    • B23K26/0876Devices involving movement of the laser head in at least one axial direction in at least two axial directions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/08Devices involving relative movement between laser beam and workpiece
    • B23K26/0869Devices involving movement of the laser head in at least one axial direction
    • B23K26/0876Devices involving movement of the laser head in at least one axial direction in at least two axial directions
    • B23K26/0884Devices involving movement of the laser head in at least one axial direction in at least two axial directions in at least in three axial directions, e.g. manipulators, robots
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K37/00Auxiliary devices or processes, not specially adapted to a procedure covered by only one of the preceding main groups
    • B23K37/02Carriages for supporting the welding or cutting element
    • B23K37/0211Carriages for supporting the welding or cutting element travelling on a guide member, e.g. rail, track
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K37/00Auxiliary devices or processes, not specially adapted to a procedure covered by only one of the preceding main groups
    • B23K37/02Carriages for supporting the welding or cutting element
    • B23K37/0211Carriages for supporting the welding or cutting element travelling on a guide member, e.g. rail, track
    • B23K37/0235Carriages for supporting the welding or cutting element travelling on a guide member, e.g. rail, track the guide member forming part of a portal

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Robotics (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

本発明は、レーザ加工方法及びレーザ加工機に関する。
板状のワーク(板金)を切断し、所定形状のパーツを作製する加工機が普及している。加工機の一例は、レーザビームによってワークを切断加工するレーザ加工機である。レーザ加工機は、レーザ加工機本体と、NC(数値制御:Numerical Control)装置などの制御装置とを含み、制御装置は、加工プログラムに基づいてレーザ加工機本体を制御する。
従来、レーザ加工機の熱切断加工において製品の外側に向けた凸部を呈す角部(以下、外角と呼ぶ)の頂点(エッジ部)の加工を行う際に、このエッジ部の外方にループ状の加工経路を生成し、これによってエッジ部の下面の溶け落ちを抑制して加工品質の向上を図るようにしたものが知られている。
特許文献1には、エッジ部の外方のループ状の加工経路において熱切断加工を中断し、再度エッジ部近傍に到達した際に熱切断を再開する法が記載されている。
特開平10-249563号公報
しかしながら、特許文献1の加工方法では、厚みのあるワークの熱切断加工時に、ループ状の加工経路において熱切断加工を中断した後、再度エッジ部近傍に到達し熱切断が再開される際、既に切断した近傍に熱が籠もり、過燃焼(Over-burning)が起こって切断面に凹みが生じるおそれがある。また、熱切断の再開時にエッジ部の下面に溶け落ちが発生することがある。
本発明の一態様は、
レーザビームをワークに向けて射出する加工ヘッドを、第1の辺、第2の辺、及び第1及び第2の辺が交わる一の角部を有する切断加工軌跡に沿って相対的に移動させることによってワークの切断加工を行うレーザ加工方法であって、
レーザビームを射出しながら、加工ヘッドを第1の辺に沿って角部まで減速せずに移動させ、
第1の辺に沿って移動する加工ヘッドが角部に到達した後に、レーザビームの射出を停止し、
レーザビームを間欠的に射出しながら、加工ヘッドを、角部から第2の辺に沿って第1所定距離だけ離れた第1所定位置まで移動させ、加工ヘッドが第1所定位置に到達した時に、レーザビームの射出を停止し、
レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッドを第2の辺の延長線上かつ角部より手前の位置まで移動させた後に、加工ヘッドを角部に向けて加速させ、
角部に向けて加速する加工ヘッドが角部に到達した時にレーザビームの射出を開始して、加工ヘッドを第2の辺に沿って移動させる
レーザ加工方法である。
また、本発明の一態様は、レーザビームをワークに向けて射出する加工ヘッドを、第1の辺、第2の辺、及び第1及び第2の辺が交わる一の角部を有する切断加工軌跡に沿って相対的に移動させることによってワークの切断加工を行う加工機本体と、
加工機本体を制御する制御部と、
を備え、
制御部は、
レーザビームを射出しながら、加工ヘッドを第1の辺に沿って角部まで減速せずに移動し、
第1の辺に沿って移動する加工ヘッドが角部に到達した後に、レーザビームの射出および加工ヘッドの移動を停止し、
レーザビームを間欠的に射出しながら、加工ヘッドを、角部から第2の辺に沿って第1所定距離だけ離れた第1所定位置まで移動し、加工ヘッドが第1所定位置に到達した時に、レーザビームの射出を停止し、
レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッドを第2の辺の延長線上かつ角部より手前の位置まで移動した後に、加工ヘッドを角部に向けて加速し、
角部に向けて加速する加工ヘッドが角部に到達した時にレーザビームの射出を開始して、加工ヘッドを第2の辺に沿って移動する
ように、加工機本体を制御するレーザ加工機である。
上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、切断加工の減速を行わずに、通常の切断時の速度を維持したまま角部まで切断加工を行い、加工ヘッドが角部に到達した後にレーザビームを停止する。これにより、角部に到達する前に加工ヘッドを減速して、切断条件が不安定になることを抑制でき、角部の溶け落ちを抑制できる。 また、上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、角部においてレーザビームの射出を停止するため、切り欠きの角部(製品側内部に凹みを呈す角部)にも適用可能となる。これにより、ワークの切断範囲を減少でき、歩留まりの低下を抑制できる。
上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、角部から、パルス発振のレーザ―ビームにより第2の辺に沿って所定距離だけ切り込みを入れることができる。パルス発振のレーザ―ビームにより切り込みを入れることにより、角部から第2の辺に沿って切断加工を開始する際に、既に切断した第1の辺の近傍に熱が籠もり、過燃焼が起こることを抑制できる。これにより、切断側面に凹みが発生することを抑制できる。また、角部において次に切断する第2の辺の切断断軌跡上にカッティングフロントを形成することができ、第2の辺の切断開始時に角部の下面に溶け落ちが発生することを抑制できる。
上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機の制御装置は、角部から通常の切断時の速度で第2の辺の切断加工を開始できる。これにより、切断条件が不安定になることを抑制でき、角部の溶け落ちを抑制できる。
また、本発明の一態様は、 ワークを切断加工することで得られる製品の外角の角部の頂点において突き合わされる2つの辺のうち一方の辺に沿ってワーク上を移動して頂点に達した通常加工条件のレーザビームを、頂点を通過し一方の辺の延長線に沿って、一方の辺の延長線上に位置する第1加工点までさらにワーク上で移動させ、
レーザビームのワーク上における照射位置を、第1加工点から、2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点に移動させ、
他方の辺の延長線及び他方の辺に沿って、第2加工点から頂点を経て他方の辺上の第3加工点まで、ワーク上でレーザビームを通常加工条件よりも低速低出力の角部加工条件で移動させ、
レーザビームの出力を停止させた状態で、レーザビームのワーク上における照射位置を第3加工点から第2加工点まで移動させ、
他方の辺の延長線に沿って第2加工点から頂点までワーク上を通常加工条件で移動させたレーザビームを、ワーク上で他方の辺に沿ってさらに通常加工条件で移動させる
レーザ加工方法である。
本発明の一態様は、
ワークを切断加工することで得られる製品の形状に応じた軌跡でワークにレーザビームを照射する加工機本体と、
加工機本体を制御する制御部と、
を備え、
制御部は、
製品の外角の角部の頂点において突き合わされる2つの辺のうち一方の辺に沿ってワーク上を移動して頂点に達した通常加工条件のレーザビームが、頂点を通過し一方の辺の延長線に沿って、一方の辺の延長線上に位置する第1加工点までさらにワーク上で移動し、
レーザビームのワーク上における照射位置が、第1加工点から、2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点に移動し、
レーザビームが、ワーク上で、他方の辺の延長線及び前記他方の辺に沿って、第2加工点から頂点を経て他方の辺上の第3加工点まで、通常加工条件よりも低速低出力の角部加工条件で移動し、
レーザビームのワーク上における照射位置が、レーザビームの出力を停止させた状態で、第3加工点から第2加工点まで移動し、
他方の辺の延長線に沿って第2加工点から頂点までワーク上を通常加工条件で移動したレーザビームが、ワーク上で第3加工点を通り他方の辺に沿ってさらに通常加工条件で移動する、
ように、加工機本体を制御するレーザ加工機である。
上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、製品の外角の角部の一方の辺に沿って外角の角部の頂点に達した通常加工条件のレーザビームを、一方の辺の延長線上の第1加工点に移動させる。製品の外角の角部の一方の辺に沿って外角の角部の頂点に達した通常加工条件のレーザビームが、一方の辺の延長線上の第1加工点に移動すると、ワークの一方の辺から第1加工点にかけて、外角の角部の頂点を通るカーフが形成される。第1加工点までのカーフは、外角の角部の一方の辺に沿って、ワーク上に直線状に配置され、他方の辺及びその延長線上に外角の角部の頂点を挟んで位置する第2加工点と第3加工点との間に配置される。
上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、第2加工点から第3加工点にレーザビームを移動させる。レーザビームが第2加工点から第3加工点に移動すると、レーザビームは、外角の角部の頂点を通るカーフの手前側と向こう側とを乗り継ぐ乗り継ぎ部を通過する。乗り継ぎ部を通過したレーザビームは、ワークのカーフと第3加工点との間に、外角の角部の他方の辺に沿ったカーフを形成する。このカーフは、乗り継ぎ部を通過するレーザビームのカッティングフロントとして機能する。
乗り継ぎ部を通過するレーザビームは、通常加工条件よりも低速及び低出力の角部加工条件である。したがって、カッティングフロントとして機能するカーフを形成する際に、乗り継ぎ部に入熱が籠もってカーフの切断面に変形が生じることを抑制できる。
第2加工点及び第3加工点は、製品の外角の角部の他方の辺又はその延長線上の、外角の角部の頂点を挟んだ両側に配置されている。上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、カッティングフロントとして機能するカーフの形成後、レーザビームを第2加工点から第3加工点を通り他方の辺に沿って移動させる。そして、上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機は、レーザビームを、他方の辺又はその延長線上で、速度及び出力を落とさずに直線条件(通常加工条件)で移動させることができる。
このため、上述した構成のレーザ加工方法及びレーザ加工機の制御装置では、製品の外角の角部の2つの辺に沿ってワークを切断加工する際に、加工条件の変化による切断面の変形が生じにくくなる。
本発明の一態様によれば、厚みのあるワークの熱切断加工においてエッジ部の品質向上を図ることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工機の全体構成の一例を示す図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係るNC装置を説明するブロック図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工機の切り欠きのエッジ部における処理を説明するための図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工機の外角のエッジ部における処理を説明するための図である。 図5Aは、本発明の第1実施形態においてエッジ部から切り込みを入れない場合のレーザ加工の加工断面の模式図である。 図5Bは、本発明の第1実施形態においてエッジ部から切り込みを入れる場合のレーザ加工の加工断面の模式図である。 図6は、本発明の第1実施形態においてオペレータがエッジ加工処理に関する要求を入力する切断条件画面を説明する図である。 図7は、本発明の第1実施形態におけるエッジ加工処理の設定項目を説明する図である。 図8は、本発明の第1実施形態においてCAM上でエッジ加工処理を設定するパーツ編集画面を説明する図である。 図9は、本発明の第1実施形態において切り欠きのエッジ部のエッジ加工処理を行う際の加工プログラムの内容を示す図である。 図10は、本発明の第1実施形態において外角のエッジ部のエッジ加工処理を行う際の加工プログラムの内容を示す図である。 図11は、工具径補正について説明するための図である。 図12は、工具径補正について説明するための図である。 図13は、本発明の第2実施形態に係るレーザ加工機の全体構成の一例を示す図である。 図14Aは、図13の加工機本体によるワークの切断加工について制御部が行う制御の内容を示す図である。 図14Bは、図14AのIIB-IIB線断面図である。 図15Aは、図1の加工機本体によるワークの切断加工について制御部が行う制御の内容を示す図である。 図15Bは、図15AのIIIB-IIIB線断面図である。 図16Aは、図13の加工機本体によるワークの切断加工について制御部が行う制御の内容を示す図である。 図16Bは、図16AのIVB-IVB線断面図である。 図17Aは、図13の加工機本体によるワークの切断加工について制御部が行う制御の内容を示す図である。 図17Bは、図17AのVB-VB線断面図である。 図18は、図13の工具軌跡制御部の構成例を示す図である。 図19Aは、本発明の第2実施形態におけるレーザビームによるワークの切断加工においてワークの切断面に生じるドラグラインの一例を示す図である。 図19Bは、本発明の第2実施形態におけるレーザビームによるワークの切断加工においてワークの外角のエッジ部の切断面に生じる溶損の一例を示す図である。 図20は、本発明の第2実施形態において、レーザビームによるワークの切断加工をワークの外角のエッジ部の頂点で一旦停止させて再開した場合のエッジ部の切断面の一例を示す図である。 図21は、レーザビームの照射位置をワーク上でループ状に移動させて最終加工製品の外角のエッジ部を切断する場合のレーザビームの移動軌跡の一例を示す図である。 図22Aは、ワークのレーザビームを照射した箇所における入熱の分布を示す図である。 図22Bは、ワークの既に形成されているカーフを跨いでレーザビームが移動する箇所における入熱の分布を示す図である。 図22Cは、ワークの既に形成されているカーフを跨いで低速低出力のレーザビームが移動する箇所における入熱の分布を示す図である。 図23Aは、図21のループ部分を通過しワークの既に形成されているカーフの手前側と向こう側との乗り継ぎ部を通過した後のレーザビームによってワークに形成される切断面の一例を示す図である。 図23Bは、図23Aの切断面をループ部分の通過前のレーザビームによってワークに形成された切断面の一例と共に示す斜視図である。 図24は、レーザビームによるワークの切断加工を乗り継ぎ部で低速低出力から通常加工条件に戻した場合に次の辺の切断面に発生する凹部の一例を示す図である。 図25は、図13のNC装置が行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成要素の材質、形状、構造、配置、機能等を下記のものに特定するものでない。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工方法及びレーザ加工機について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工機1Aの全体構成の一例を示す図である。図1において、レーザ加工機1Aは、レーザビームによって、ワークWの切断加工を行う加工機である。加工対象となるワークWは、例えば軟鋼板である。加工対象となるワークWは、例えばステンレス鋼等の、軟鋼板以外の鉄系の板金であっても構わないし、アルミニウム、アルミニウム合金、銅鋼などの板金であっても構わない。
図1に示すように、レーザ加工機1Aは、レーザ発振器10と、プロセスファイバ12と、レーザ加工ユニット20と、アシストガス供給装置40とを備えている。レーザ発振器10、プロセスファイバ12、レーザ加工ユニット20及びアシストガス供給装置40は、加工機本体50Aを構成する。また、レーザ加工機1Aは、制御部としてのNC(数値制御:Numerical Control)装置60Aと、操作表示部70とを備えている。
レーザ発振器10は、レーザビームを生成して射出する。レーザ発振器10としては、レーザダイオードより発せられる励起光を増幅して所定の波長のレーザビームを射出するレーザ発振器、又はレーザダイオードより発せられるレーザビームを直接利用するレーザ発振器が好適である。レーザ発振器10は、例えば、固体レーザ発振器、ファイバレーザ発振器、ディスクレーザ発振器、ダイレクトダイオードレーザ発振器(DDL発振器)である。レーザ発振器10には、レーザダイオードを媒質とするものの他、炭酸ガスを媒質に用いる炭酸ガスレーザを用いることもできる。
炭酸ガスレーザとレーザダイオードビームとは、波長の違いが大きい。炭酸ガスレーザのレーザ波長は10μm帯(代表的には10600nmの波長)である。対して、レーザダイオードビームのレーザ波長は1μm帯以下である。レーザダイオードビームの具体的なレーザ波長は、例えば、ファイバレーザ発振器、ディスクレーザ発振器が射出するレーザビームのレーザ波長は、代表的には1060nm~1080nmである。また、DDL発振器が射出するレーザビームのレーザ波長は、300nm~1000nmの範囲の何れかである。
炭酸ガスレーザとレーザダイオードビームとでは、炭酸ガスレーザとレーザダイオードビームとの波長の違いに起因して、レーザ光の加工対象となるワークWへの吸収率(または反射率)が大きく異なる。この吸収率の違いにより、炭酸ガスレーザとレーザダイオードビームとでは、ワークWの下面側における、レーザ光のカーフ内での反射と吸収の挙動、及び、吸収された後の熱伝導の挙動が異なる。
レーザ光のワークWに対する吸収率は、レーザダイオードビームの方が入射角は小さくても高いので、炭酸ガスレーザよりもワークWを融解させやすい。この吸収率の違いにより、ワークWが下面側で融解し過ぎる可能性は、レーザダイオードビームの方が炭酸ガスレーザよりも高くなる。
第1実施形態のレーザ加工機1Aによるレーザ加工方法は、ワークWが下面側で融解し過ぎるのを抑制するのに効果的である。ワークWが下面側で融解し過ぎる可能性が高いレーザダイオードビームをワークWの切断加工に用いる際に、第1実施形態のレーザ加工機1Aによるレーザ加工方法を用いることは、言うまでもなく有意義である。炭酸ガスレーザをワークWの切断加工に用いる際にも、ワークWが下面側で融解し過ぎる可能性が捨てきれないので、第1実施形態のレーザ加工機1Aによるレーザ加工方法を用いることは有意義となる。以上に説明した事情から、レーザ発振器10は、炭酸ガスレーザであってもよい。
プロセスファイバ12は、レーザ発振器10より射出されたレーザビームをレーザ加工ユニット20へと伝送する。
レーザ加工ユニット20は、プロセスファイバ12によって伝送されたレーザビームを用いて、ワークWを切断する。レーザ加工ユニット20は、ワークWを載せる加工テーブル21と、門型のX軸キャリッジ22と、Y軸キャリッジ23と、コリメータユニット30とを有している。X軸キャリッジ22は、加工テーブル21上でX軸方向に沿って移動自在に構成されている。Y軸キャリッジ23は、X軸キャリッジ22上でX軸に垂直なY軸方向に沿って移動自在に構成されている。
コリメータユニット30は、プロセスファイバ12によって伝送されたレーザビームをワークWに照射する。コリメータユニット30は、プロセスファイバ12の射出端より射出したレーザビームが入射されるコリメータレンズ31と、コリメータレンズ31より射出したレーザビームをX軸及びY軸に垂直なZ軸方向下方に向けて反射させるベンドミラー33とを有している。また、コリメータユニット30は、ベンドミラー33で反射したレーザビームを集束させる集束レンズ34を有している。コリメータレンズ31、ベンドミラー33及び集束レンズ34は、予め光軸が調整された状態で配置されている。
コリメータユニット30は、ワークWにレーザビームを射出する加工ヘッド35を有している。加工ヘッド35の先端には、レーザビームを射出するノズル36が着脱自在に取り付けられている。ノズル36の先端部には、円形の開口が設けられており、集束レンズ34で集束されたレーザビームは、ノズル36の先端部の開口からワークWに照射される。
コリメータユニット30は、Y軸方向に移動自在のY軸キャリッジ23に固定され、Y軸キャリッジ23は、X軸方向に移動自在のX軸キャリッジ22に設けられている。よって、加工機本体50Aは、加工ヘッド35、即ち、レーザビームをワークWに照射する位置を、ワークWの面(X軸方向及びY軸方向)に沿って移動させることができる。なお、加工機本体50Aは、加工ヘッド35をワークWの面に沿って移動させる構成に代えて、加工ヘッド35の位置を固定したまま、ワークWを移動する構成であってもよい。加工機本体50Aは、ワークWの面に対して加工ヘッド35を相対的に移動させる構成を備えていればよい。
アシストガス供給装置40は、酸素のアシストガスを加工ヘッド35に供給する。アシストガスは、窒素と酸素との混合気体、又は空気であってもよい。アシストガスは、その目的が、少なくとも酸化反応熱を利用するものであればよく、窒素と酸素との混合比は任意に設定できる。ワークWを加工する時、アシストガスはノズル36の開口からワークWへと吹き付けられる。アシストガスは、ワークWが溶融したカーフ幅内の溶融金属を排出する。
以上のように構成されるレーザ加工機1Aは、加工ヘッド35より射出されたレーザビームによってワークWを切断し、所定の形状を有するパーツを作製する。
NC装置60Aは、レーザ加工機1Aの各部を制御する制御装置である。NC装置60Aは、コンピュータから構成されており、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random-Access Memory)を有している。NC装置60Aには、操作表示部70が接続されている。
NC装置60Aは、CPUがROMから各種プログラムを読み出し、RAMに展開し、展開したプログラムを実行することにより、各種の機能を実現する。図2は、本発明の第1実施形態に係るNC装置60Aを説明するブロック図である。図2に示すように、NC装置60Aは、加工プログラム保持部61、加工制御部62、受付部63としての機能を有している。
加工プログラム保持部61は、加工プログラムを保持する。加工プログラム保持部61が保持する加工プログラムは、CAM(コンピュータ支援製造:Computer-Aided Manufacturing)などの外部装置によって作成されている。加工プログラム保持部61は、外部装置から加工プログラムを取得する。なお、外部装置は、作成した加工プログラムを、図示しないデータ管理サーバ内のデータベースに格納してもよい。この場合、加工プログラム保持部61は、データ管理サーバのデータベースに格納された加工プログラムを読み出すことで、加工プログラムを取得する。
加工プログラムは、ワークWを複数の経路に沿って順番に切断してパーツを作製するために必要な加工機本体50Aの動作を定義するコードを含んでいる。
加工プログラムには、加工条件の設定、レーザビームの射出開始及びレーザビームの射出停止、要素毎の加工ヘッド35の移動、経路から経路への移動といった、パーツを作製するために必要な加工機本体50Aの一連の動作を規定するコードが記述されている。パーツを作製する場合、加工機本体50Aは、パーツの内周及び外周である切断加工軌跡に沿って加工ヘッド35(レーザビーム)を移動させることによって、ワークWからパーツを切断する。また、ワークWから複数のパーツを切断する場合、加工プログラムには、複数のパーツ毎にコードが記述されている。
第1実施形態において、加工機本体50Aは、切断開始点でレーザビームの射出を開始し、切断加工軌跡に沿って加工ヘッド35を移動させ、切断終了点でレーザビームの射出を停止する。
加工制御部62は、加工プログラムを実行して、加工機本体50Aを制御する。第1実施形態において、加工制御部62は、パーツの角部(以下、エッジ部という)においてエッジ加工処理を行う。エッジ加工処理の詳細については、後述する。
受付部63は、オペレータから、加工処理に関する要求を受け付ける。受付部63は、オペレータから加工処理に関する要求を受け付けるための画面を操作表示部70に表示させる。受付部63は、加工制御部62に、オペレータから受け付けた要求を実行するための情報を送信する。
操作表示部70は、オペレータがNC装置60Aに情報を入力するために必要な画面を表示する。操作表示部70は、NC装置60Aに情報の入力を行うために、オペレータによって操作される。オペレータは、操作表示部70を操作することにより、NC装置60Aにエッジ加工処理に関する様々な情報を入力することができる。操作表示部70は、オペレータから入力されたエッジ加工処理に関する情報を、NC装置60Aに送信する。操作表示部70は、オペレータから入力されたエッジ加工処理に関する情報を、受付部63に送信する。
操作表示部70は、例えば、液晶パネルに装着されて、液晶パネルに表示される情報に従って入力操作を行うことができるタッチパネルである。操作表示部70は、表示部と操作部が別体あってもよい。
(エッジ加工処理)
以下、図3、図4を参照し、第1実施形態に係るレーザ加工機1Aの加工方法におけるエッジ加工処理について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工機の切り欠きのエッジ部における処理を説明するための図である。図4は、本発明の第1実施形態に係るレーザ加工機1Aの外角のエッジ部における処理を説明するための図である。
レーザ加工機1Aの加工機本体50Aは、レーザビームをワークWに向けて射出する加工ヘッド35を、第1の辺L1、第2の辺L2、及び前記第1及び第2の辺L1、L2が交わるエッジ部Aを有する切断加工軌跡に沿って相対的に移動させることによってワークWの切断加工を行う。レーザ加工機1Aは、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35を第1の辺L1に沿ってエッジ部Aまで減速せずに移動させる。加工機本体50Aは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後に、レーザビームの射出を停止する。レーザビームを間欠的に射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って第1所定距離(距離D1)だけ離れた第1所定位置(位置D)まで移動させる。加工機本体50Aは、加工ヘッド35が第1所定位置に到達した時に、レーザビームの射出及び加工ヘッド35の移動を停止する。加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッド35を第2の辺L2の延長線上かつエッジ部Aより手前の位置(位置E)まで移動した後に、加工ヘッド35をエッジ部Aに向けて加速させる。レーザ加工機1Aは、エッジ部Aに向けて加速する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時にレーザビームの射出を開始して、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿って移動させる。加工機本体50Aは、NC装置60Aにより制御される。
まず、切り欠きのエッジ部Aにおけるエッジ加工処理の詳細について、図3を参照して説明する。図3において、エッジ部Aは切断加工軌跡上の切り欠きのエッジ部であり、レーザ加工機1Aが、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後に、レーザビームの射出を停止する。このことは、レーザ加工機1Aが、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時に、レーザビームの射出を停止することを含む。
切り欠きのエッジ部Aにおいて、加工機本体50Aは、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35を第1の辺L1に沿ってエッジ部Aまで減速せずに移動させる。加工機本体50Aは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時に、レーザビームの射出を停止する。即ち、加工機本体50Aは、減速を行わずに第1の辺L1の切断時の速度を維持したまま、エッジ部Aまで切断加工を行い、加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時にレーザビームを停止する。これにより、エッジ部Aに到達する前に加工ヘッドを減速して切断条件が不安定になることを抑制でき、エッジ部Aの溶け落ちを抑制できる。また、エッジ部Aにおいてレーザビームの射出を停止するため、切り欠きの角部にも適用可能となる。ワークの切断範囲を減少でき、歩留まりの低下を抑制できる。
加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35をエッジ部Aから減速し、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って距離D3だけ離れた位置Cで、加工ヘッド35の移動を停止する。距離D3は、例えば約1.0mmに設定される。なお、距離D3の長さは、加工ヘッド35をエッジ部Aから十分に減速できる長さであればよく、特に限定されない。
加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Cから第1の辺の延長線に沿ってエッジ部Aまで移動させる。なお、加工ヘッド35を位置Cからエッジ部Aまで移動させる経路はこれに限定されない。加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Cから、第2の辺L2の延長線上かつエッジ部Aより手前の位置Eまで移動させた後、加工ヘッド35を位置Eからエッジ部Aまで移動させてもよい。この場合、加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Cから直線状の経路に沿って位置Eまで移動させた後、加工ヘッド35を位置Eからエッジ部Aまで移動させてもよい。また、加工機本体50Aはレーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Cから円弧状の経路に沿って位置Eまで移動させた後、加工ヘッド35を位置Eからエッジ部Aまで移動させてもよい。
加工機本体50Aは、加工ヘッド35が位置Cからエッジ部Aに到達した時に、レーザビームをパルス発振で射出する。加工機本体50Aは、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って距離D1だけ離れた位置Dまで移動させる。加工機本体50Aは、加工ヘッド35が位置Dに到達した時に、レーザビームの射出を停止して、加工ヘッド35の移動を停止する。即ち、エッジ部Aからパルス発振のレーザ―ビームにより第2の辺L2に沿って所定距離だけ切り込みを入れる。パルス発振のレーザビームによる切り込みを入れることで、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って切断加工を開始する際に、既に切断した第1の辺L1の近傍に熱が籠もり、過燃焼が起こることを抑制でき、切断側面に凹みが発生することを抑制できる。
距離D1は、切断加工時に切断面の下面の溶け落ちを抑制できような長さに設定され、例えば約1.0mmに設定される。例えば、距離D1は、ワークWの材質に基づいて設定される。距離D1は、例えばワークWが電炉材の場合には、0.6~1.1mmの範囲に設定される。また、距離D1は、例えばワークWが高炉材の場合には、0.6~1.0mmの範囲に設定される。レーザ加工機1Aは、エッジ部Aから、パルス発振のレーザ―ビームにより第2の辺L2に沿って切り込みを入れる距離D1を、材質に最も適した値に設定でき、よりエッジ部Aの品質を向上できる。
加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッド35を位置Dから第2の辺L2の延長線上かつエッジ部Aより手前の位置Eまで移動させた後に、加工ヘッド35をエッジ部Aに向けて加速させる。位置Eは、第2の辺L2の延長線上に、エッジ部Aから距離D4だけ離れた位置である。距離D4は、例えば約1.0mmに設定される。距離D4の長さは、位置Dからエッジ部Aまでに加工ヘッド35を切断時の定速まで加速できる長さであればよく、特に限定されない。
加工機本体50Aは、位置Eからエッジ部Aに向けて加速する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時にレーザビームの射出を開始して、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿って移動させて、第2の辺L2の切断加工を開始する。加工ヘッド35をエッジ部Aの手前の位置Eから加速させ、エッジ部Aから通常の切断時の速度で第2の辺の切断加工を開始することで、切断条件が不安定になることを抑制でき、エッジ部Aの溶け落ちを抑制できる。加工機本体50Aは、加工ヘッド35が切断終了点に到達し切断加工を終了するまで、同様の処理を切断加工軌跡上の切り欠きのエッジ部において繰り返す。
次に、外角のエッジ部Aにおけるエッジ加工処理の詳細について図4を参照して説明する。図4において、エッジ部Aは切断加工軌跡上の外角のエッジ部であり、レーザ加工機1Aが、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後に、レーザビームの射出を停止する。このことは、レーザ加工機1Aが、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35をエッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って第2所定距離(距離D2)だけ離れた第2所定位置(位置B)まで移動させ、加工ヘッド35が第2所定位置Bに到達した時に、レーザビームの射出を停止することを含む。
外角のエッジ部Aにおいて、加工機本体50Aは、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35を第1の辺に沿ってエッジ部Aまで減速せずに移動させる。加工機本体50Aは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35をエッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って距離D2だけ離れた位置Bまで移動させる。そして、加工ヘッド35が位置Bに到達した時に、レーザビームの射出を停止する。即ち、外角のエッジ部Aにおいては、加工機本体50Aは、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って距離D2だけ切り込みを入れる。
ここで、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って切り込みを入れる意義について、図5A及び図5Bを参照して説明する。図5Aは、本発明の第1実施形態においてエッジ部Aから切り込みを入れない場合のレーザ加工の加工断面の模式図である。レーザ加工機1Aが厚みのあるワークWを切断加工する際、図5Aに示すように、ワークWの切断面にはカッティングフロントが形成されている。加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時にレーザビームの射出を停止した場合、即ち、エッジ部Aから切り込みを入れない場合、領域Tにカッティングフロントが残り、エッジ部Aにおいて切断面の下面が溶け落ちてしまうことがある。
図5Bは、本発明の第1実施形態においてエッジ部Aから切り込みを入れる場合のレーザ加工の加工断面の模式図である。図5Bに示すように、加工機本体50Aが、加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35をエッジ部Aから位置Bまで移動させる。加工ヘッド35が位置Bに到達した時に、レーザビームの射出を停止した場合、即ちエッジ部Aから切り込みを入れた場合、レーザビームがオンの状態でエッジ部Aを通過する。このため、切断面にカッティングフロントが残らず、エッジ部Aにおいて切断面の下面の溶け落ちが発生することを抑制できる。
図4の距離D2は、切断加工時に切断面の下面の溶け落ちを抑制できような長さに設定され、例えば約1.0mmに設定される。距離D2は、ワークWの材質に基づいて設定されてもよい。距離D2は、例えばワークWが電炉材の場合には、0.1mm以上に設定される。また、距離D2は、例えばワークWが高炉材の場合には、1.0mm以上に設定される。レーザ加工機1Aは、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って切り込みを入れる距離D2を、材質に最も適した値に設定できる。これにより、よりエッジ部Aの品質を向上できる。
加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Bから減速し、位置Bから第1の辺L1の延長線に沿ってさらに距離D5だけ離れた位置Fで、加工ヘッド35の移動を停止する。距離D5は、例えば約1.0mmに設定される。距離D5の長さは、加工ヘッド35をエッジ部Aから十分に減速できる長さであればよく、特に限定されない。
加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Fから第1の辺の延長線に沿ってエッジ部Aまで移動させる。なお、加工ヘッド35を位置Fからエッジ部Aまで移動させる経路はこれに限定されない。加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Fから位置Eまで移動させた後、加工ヘッド35を位置Eからエッジ部Aまで移動させてもよい。この場合、加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Fから直線状の経路に沿って位置Eまで移動させた後、加工ヘッド35を位置Eからエッジ部Aまで移動させてもよい。また、加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Fから円弧状の経路に沿って位置Eまで移動させた後、加工ヘッド35を位置Eからエッジ部Aまで移動させてもよい。加工ヘッド35を位置Fからエッジ部Aまで移動させて以降の処理は、切り欠きのエッジ部Aでのエッジ加工処理と同様のため、説明を省略する。
なお、切り欠きのエッジ部Aでのエッジ加工処理において説明したとおり、加工機本体50Aがエッジ部Aからパルス発振のレーザ―ビームにより第2の辺L2に沿って切り込みを入れることにより、エッジ部Aにおいて切断側面に凹みが発生することを抑制する効果が得られる。このため、外角のエッジ部Aにおいても、加工機本体50Aは、切り欠きのエッジ部Aと同様のエッジ加工処理を行い、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って切り込みを入れる処理を行わなくてもよい。即ち、加工機本体50Aは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時に、レーザビームの射出を停止してもよい。また、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35をエッジ部Aから減速し、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って距離D3だけ離れた位置Cで、加工ヘッド35の移動を停止させてもよい。
(エッジ加工処理の実現方法)
次に、エッジ加工処理を実現する具体的な方法について図6~図8を参照して説明する。
第1実施形態のレーザ加工機1Aにおいては、切断加工を開始する前に、NC装置60Aがオペレータからエッジ加工処理に関する要求を受け付けることにより、エッジ加工処理が実行される。図6は、本発明の第1実施形態においてオペレータがエッジ加工処理に関する要求を入力する切断条件画面を説明する図である。受付部63は、切断加工を開始する前に、図6に示すような切断条件画面80を表示する。切断条件画面80は、エッジ加工処理条件の設定を行うためのエッジ加工設定部81を備えている。エッジ加工設定部81は、オペレータからエッジ加工処理の設定の要求を受け付けることができる。オペレータは、エッジ加工設定部81を選択することで、NC装置60Aにエッジ加工処理の設定の要求を入力することができる。
オペレータが、エッジ加工設定部81を選択した場合、即ち、受付部63がエッジ加工処理の設定の要求を受け付けた場合には、受付部63は、エッジ加工設定画面(図示せず)を表示する。受付部63は、エッジ加工設定画面に、例えば図7に示すようなエッジ加工処理に必要な設定項目を表示する。図7は、本発明の第1実施形態におけるエッジ加工処理の設定項目を説明する図である。エッジ加工処理に必要な設定項目は、例えば、「角度」、「エッジ出力」、「復帰距離」、「復帰速度」、「復帰周波数」、「復帰デューティ」、「ノズルギャップ」、「切り込み距離」、「減速距離」、「アプローチランニング距離」である。
以下、各設定項目について説明する。
「角度」は、エッジ加工処理が適用されるエッジ部の最大角度であり、入力範囲は0~180°に設定される。「角度」は、例えば140°に設定される。
「エッジ出力」は、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って距離D1だけ離れた位置Dまで移動させるときのレーザビームの出力値である。「エッジ出力」の入力範囲は0~9999Wに設定される。「エッジ出力」は、例えば第1の辺L1の切断時と同じ出力値に設定される。
「復帰距離」は、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って距離D1だけ離れた位置Dまで移動させるときの距離D1である。「復帰距離」の入力範囲は0~99.9mmに設定される。「復帰距離」は、例えば1.0mmに設定される。
「復帰速度」は、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って距離D1だけ離れた位置Dまで移動させるときの加工ヘッド35の移動速度である。「復帰速度」の入力範囲は0~9999mm/分に設定される。「復帰速度」は、例えば500~1000mm/分に設定される。
「復帰周波数」は、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って距離D1だけ離れた位置Dまで移動させるときのレーザビームの周波数である。「復帰周波数」の入力範囲は5~32767Hzに設定される。「復帰周波数」は、例えば10Hzに設定される。
「復帰デューティ」は、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って距離D1だけ離れた位置Dまで移動させるときの1パルス時間当たりのレーザビームオン時間の比率である。「復帰デューティ」の入力範囲は0~100%に設定される。「復帰デューティ」は、例えば15~30%に設定される。
「ノズルギャップ」は、エッジ部Aにおいてエッジ加工処理を行う際のワークWの表面とノズル36の先端との距離であり、入力範囲は0~9.999mmに設定される。「ノズルギャップ」は、例えば第1の辺L1の切断時と同じ距離に設定される。
「切り込み距離」は、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35をエッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って距離D2だけ離れた位置Bまで移動させるときの距離D2である。「切り込み距離」の入力範囲は0~99.999mmに設定される。「切り込み距離」は、例えば1.0mmに設定される。
「減速距離」は、レーザビームの射出を停止した状態で加工ヘッド35を位置Bから減速し、位置Bから第1の辺L1の延長線に沿ってさらに距離D5だけ離れた位置Fで、加工ヘッド35の移動を停止するときの距離D5である。「減速距離」の入力範囲は0~99.999mmに設定される。「減速距離」は、例えば1.0mmに設定される。
「アプローチランニング距離」は、レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッド35を位置Dから第2の辺L2の延長線上に、エッジ部Aから距離D4だけ離れた位置Eまで移動させるときの距離D4である。「アプローチランニング距離」の入力範囲は0~99.999mmに設定される。「アプローチランニング距離」は、例えば1.0mmに設定される。
エッジ加工設定画面は、オペレータからエッジ加工処理に関する各設定項目の設定値を受け付ける。なお、エッジ加工設定画面は、オペレータから、エッジ条件Noを受け付けることにより、エッジ条件Noに対応して予め設定された各設定項目の数値を適用してもよい。また、「切り込み距離」、「減速距離」及び「アプローチランニング距離」は、NC装置上のマクロ変数に予め登録された数値を適用してもよい。NC装置60Aは、受け付けたエッジ加工処理に必要な設定項目の設定値に基づいて、エッジ加工処理を実行する。NC装置60Aは、エッジ加工処理に必要な設定項目の設定値に基づいて、加工プログラムにエッジ加工処理の動作に必要な座標及び指令コードを追加して、切断加工を実行する。
(変形例)
上記の説明では、NC装置60Aは、オペレータにより入力されたエッジ加工処理に必要な設定項目の設定値に基づいて、エッジ加工処理を実行した。しかしながら、設定項目が多いことから、エッジ加工処理の動作に必要な座標やコードが多く追加されるため、エッジ加工処理の制御が複雑になる。このため、エッジ加工処理を行うための加工プログラムを予めCAMなどの外部装置により作成し、NC装置60Aに出力することで、エッジ加工処理を実現してもよい。
図8は、本発明の第1実施形態においてCAM上でエッジ加工処理を設定するパーツ編集画面82を説明する図である。パーツ編集画面82は、加工プログラムにより切断加工されるパーツの切断加工軌跡を表示する。CAM側にエッジ加工処理を動作させる角度の情報を予め保持させることにより、パーツ編集画面82では、パーツの切断加工軌跡から、エッジ加工処理を実行するエッジ部を選択可能になっている。パーツ編集画面82は、パーツの切断加工軌跡上から、エッジ加工処理を実行するエッジ部を選択するエッジ部選択部83と、エッジ部での処理の種類を選択するコーナー処理選択部84と、を備えている。例えば、コーナー処理選択部84において、オペレータが「エッジ部交差」を選択し、エッジ加工処理設定部85の「切り込み量」と「エッジ長さ」を設定し、追加ボタン86を押下することにより、パーツを切断加工する加工プログラムに、エッジ加工処理に必要な座標及び指令コードが追加される。エッジ加工処理に必要な座標及び指令コードが追加された加工プログラムは、NC装置60Aに出力される。
以下、図9及び図10を参照して、エッジ加工処理に必要な座標及び指令コードが追加された加工プログラムの例を説明する。図9及び図10の加工プログラムは、40mm×40mmの正方形のパーツを切断加工するためのGコードである。図9及び図10のGコード90は、エッジ加工処理を設定する前の、40mm×40mmの正方形のパーツを切断加工するための従来のGコードである。
正方形のパーツの左上のエッジ部Aにおいて、エッジ加工処理を実行したい場合、オペレータは、パーツ編集画面82のエッジ部選択部83において、左上のエッジ部Aを選択する。次に、オペレータは、コーナー処理選択部84において「エッジ部交差」を選択し、エッジ加工処理設定部85の「切り込み量」と「エッジ長さ」を設定する。
エッジ部Aが切り欠きの角部の場合には、オペレータは、例えば「切り込み量」を0、「エッジ長さ」を1.0mmに設定する。そして、オペレータが追加ボタン86を押下すると、従来のGコード90に、エッジ部Aにおいてエッジ加工処理を実行するための座標及び指令コード101~106が追加されたGコード91が作成される。
図9は、本発明の第1実施形態において切り欠きのエッジ部のエッジ加工処理を行う際の加工プログラムの内容を示す図である。図9において、コード101は、レーザビームの射出を停止して減速し、加工ヘッド35を第1の辺L1の延長線に沿ってエッジ部Aから1.0mmだけ離れた位置Cまで移動させることを指令するコードである。コード102は、加工ヘッド35をエッジ部Aまで移動させることを指令するコードである。コード103は、予め設定された加工条件E025を呼び出し、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿ってエッジ部Aから1.0mmだけ離れた位置Dまで移動させることを指令するコードである。コード104は、レーザビームの射出を停止して、加工ヘッド35を第2の辺L2の延長線上に、エッジ部Aから距離1.0mmだけ離れた位置Eまで移動させることを指令するコードである。コード105は、加工ヘッド35をエッジ部Aまで移動させることを指令するコードである。コード106は、レーザビームの射出を開始して、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿って次のエッジ部まで移動させることを指示するコードである。
一方、エッジ部Aが外角の場合には、オペレータは、例えば「切り込み量」を1.0mm、「エッジ長さ」を1.0mmに設定する。そして、オペレータが追加ボタン86を押下すると、従来のGコード90に、エッジ部Aにおいてエッジ加工処理を実行するための座標及び指令コード201~207が追加されたGコード91が作成される。
図10は、本発明の第1実施形態において外角のエッジ部のエッジ加工処理を行う際の加工プログラムの内容を示す図である。図10において、コード201は、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35をエッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って1.0mmだけ離れた位置Bまで移動させることを指令するコードである。コード202は、レーザビームの射出を停止して減速し、加工ヘッド35を第1の辺L1の延長線に沿って位置Bから1.0mmだけ離れた位置Fまで移動させることを指令するコードである。コード203は、加工ヘッド35をエッジ部Aまで移動させることを指令するコードである。コード204は、予め設定された加工条件E025を呼び出し、レーザビームをパルス発振で射出しながら、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿ってエッジ部Aから1.0mmだけ離れた位置Dまで移動させることを指令するコードである。コード205は、レーザビームの射出を停止して、加工ヘッド35を第2の辺L2の延長線上に、エッジ部Aから距離1.0mmだけ離れた位置Eまで移動させることを指令するコードである。コード206は、加工ヘッド35をエッジ部Aまで移動させることを指令するコードであり、コード207は、レーザビームの射出を開始して、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿って次のエッジ部まで移動させることを指示するコードである。
NC装置60Aは、エッジ加工処理を実行するための座標及び指令コードが追加された加工プログラムを実行することにより、エッジ部においてエッジ加工処理を実行する。
以上の説明では、レーザ加工機1Aのレーザ加工方法において、切断加工軌跡にそって切断加工を行うことを前提に説明した。しかしながら、第1実施形態のレーザ加工機1Aにおいては、レーザビームのワーク上面における照射半径rに基づいて、加工ヘッド35を移動させる軌跡を補正する工具径補正を行う場合がある。図11及び図12は、工具径補正について説明するための図である。工具径補正を行わない場合、図11に示すように、加工機本体50Aは、第1の辺L1の切断時において、レーザビームLB1を射出しながら加工ヘッド35を第1の辺L1に沿ってエッジ部Aまで移動させる。そして、加工機本体50Aは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後に、レーザビームLB1の射出を停止する。また、加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッド35を第2の辺L2の延長線上かつエッジ部Aより手前の位置まで移動させた後に、加工ヘッド35をエッジ部Aに向けて加速させる。加工機本体50Aは、エッジ部Aに向けて加速する加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した時に、レーザビームLB2の射出を開始して、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿って移動させる。即ち、第1の辺L1の切断後にレーザビームLB1の射出を停止する位置と、第2の辺L2の切断時にレーザビームLB2の射出を開始する位置は、いずれもエッジ部Aである。
一方、工具径補正を行う場合、図12に示すように、加工機本体50Aは、第1の辺L1の切断時において、レーザビームLB1を射出しながら加工ヘッド35を第1の辺L1から半径rだけ上にずらした経路L1′に沿って移動させる。加工機本体50Aは、加工ヘッド35を経路L1′に沿ってエッジ部Aから半径rだけ上の位置A1まで移動させる。そして、加工機本体50Aは、経路L1′に沿って移動する加工ヘッド35が位置A1に到達した後に、レーザビームLB1の射出を停止する。即ち、加工機本体50Aは、第1の辺L1の切断時において、エッジ部Aよりも上の位置A1でレーザビームLB1の射出を停止する。
また、加工機本体50Aは、レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッド35を第2の辺L2から半径rだけ左にずらした経路L2′の延長線上かつエッジ部Aより手前の位置まで移動させた後に、加工ヘッド35をエッジ部Aから半径rだけ左の位置A2に向けて加速させる。加工機本体50Aは、位置A2に向けて加速する加工ヘッド35が位置A2に到達した時に、レーザビームLB2の射出を開始して、加工ヘッド35を経路L2′に沿って移動させる。即ち、加工機本体50Aは、第2の辺L2の切断時において、エッジ部Aよりも奥側の位置A2でレーザビームLB2の射出を開始する。このため、第1の辺L1の切断後にレーザビームLB1の射出を停止する位置A1と、第2の辺L2の切断時にレーザビームLB2の射出を開始する位置A2には、エッジ部Aから経路L1′の方向に半径r分、経路L2′の方向に半径r分のずれが生じている。
上記のような工具径補正を行うレーザ加工機1Aにエッジ加工処理を適用し、位置A2においてパルス発振のレーザビームの射出を開始して経路L2′に沿って所定距離だけ切り込みを入れるとする。この場合、エッジ部A付近での熱量が不足して、切り込みの際にワークWの下面までレーザが到達せず、第2の辺L2の切断時に熱が籠もって過燃焼による爆発が起こることがある。つまり、エッジ部Aにおいて加工不良が発生するおそれがある。第1実施形態のレーザ加工機1Aの加工方法において工具径補正が行われている場合には、加工機本体50Aは、レーザビームLB1の射出を停止する位置A1を、経路L1′の方向に半径rだけ左にずらし、レーザビームLB2の射出を開始する位置A2を、経路L2′の方向に半径rだけ上にずらすことにより、位置A1と位置A2の位置のずれを解消でき、エッジ加工処理時の加工不良を抑制できる。
(第1実施形態の作用効果)
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
本発明の第1実施形態に係るレーザ加工方法及びレーザ加工機1Aは、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35を第1の辺L1に沿って角部(エッジ部A)まで減速せずに移動させ、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35が角部に到達した後に、レーザビームの射出を停止する。レーザビームを間欠的に射出しながら、加工ヘッド35を、角部から第2の辺L2に沿って第1所定距離(距離D1)だけ離れた第1所定位置(位置D)まで移動させ、加工ヘッド35が第1所定位置に到達した時に、レーザビームの射出及び加工ヘッド35の移動を停止する。レーザビームの射出を停止した状態で、加工ヘッド35を第2の辺L2の延長線上かつ角部より手前の位置Eまで移動させた後に、加工ヘッド35を角部に向けて加速させ、角部に向けて加速する加工ヘッド35が角部に到達した時にレーザビームの射出を開始して、加工ヘッド35を第2の辺L2に沿って移動させる。
第1実施形態に係るレーザ加工方法は、減速を行わずに通常の切断時の速度を維持したままエッジ部Aまで切断加工を行い、加工ヘッド35がエッジ部Aに到達した後にレーザビームを停止する。これにより、エッジ部Aに到達する前に加工ヘッド35を減速して切断条件が不安定になることを抑制でき、エッジ部Aの溶け落ちを抑制できる。
また、第1実施形態に係るレーザ加工方法は、エッジ部Aにおいてレーザビームの射出を停止するため、切り欠きのエッジ部Aにも適用可能となる。ワークWの切断範囲を減少でき、歩留まりの低下を抑制できる。
第1実施形態に係るレーザ加工方法は、エッジ部Aから、パルス発振のレーザ―ビームにより第2の辺L2に沿って所定距離だけ切り込みを入れることができる。パルス発振のレーザ―ビームにより切り込みを入れることで、エッジ部Aから第2の辺L2に沿って切断加工を開始する際に、既に切断した第1の辺L1の近傍に熱が籠もり、過燃焼が起こることを抑制できる。これにより、切断側面に凹みが発生することを抑制できる。また、エッジ部Aにおいて次に切断する第2の辺L2の切断断軌跡上にカッティングフロントを形成することができ、第2の辺L2の切断開始時にエッジ部Aの下面に溶け落ちが発生することを抑制できる。
第1実施形態に係るレーザ加工方法は、エッジ部Aから通常の切断時の速度で第2の辺L2の切断加工を開始できる。これにより、切断条件が不安定になることを抑制でき、エッジ部Aの溶け落ちを抑制できる。
以上から、厚みのあるワークWの熱切断加工においてエッジ部Aの品質向上を図ることができ、且つ切り欠きのエッジ部にも適用できる。
本発明の第1実施形態に係るレーザ加工方法において、角部は切断加工軌跡上の外角の角部であり、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35が角部に到達した後に、レーザビームの射出を停止することは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35が角部に到達した後、レーザビームを射出しながら、加工ヘッド35を角部から第1の辺L1の延長線に沿って第2所定距離(距離D2)だけ離れた第2所定位置(位置B)まで移動させ、加工ヘッドが第2所定位置に到達した時に、レーザビームの射出を停止することを含む。
これにより、第1実施形態に係るレーザ加工方法は、エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って所定距離だけ切り込みを入れることができる。切り込みを入れることにより、エッジ部Aの下面の溶け落ちをより抑制できる。また、第1の辺L1の切断時に発生した熱がこもり、過燃焼による爆発が起こることをさらに抑制できる。
第1実施形態に係るレーザ加工方法において、角部が切断加工軌跡上の切り欠きの角部であり、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35が角部に到達した後に、レーザビームの射出を停止することは、第1の辺L1に沿って移動する加工ヘッド35が角部に到達した時に、レーザビームの射出を停止することを含む。
これにより、第1実施形態に係るレーザ加工方法は、角部の切断加工時に加工ヘッド35を減速して切断条件が不安定になることを抑制でき、エッジ部Aの溶け落ちを抑制できる。また、エッジ部Aにおいてレーザビームの射出を停止することにより、切り欠きのエッジ部Aにも適用可能となる。
第1実施形態に係るレーザ加工方法において、第2所定距離は、ワークWの材質に基づいて設定される。エッジ部Aから第1の辺L1の延長線に沿って切り込みを入れる所定距離を、材質に最も適した値に設定でき、よりエッジ部Aの品質を向上できる。
第1実施形態に係るレーザ加工方法において、第1所定距離は、ワークWの材質に基づいて設定される。エッジ部Aから、パルス発振のレーザ―ビームにより第2の辺L2に沿って切り込みを入れる所定距離を、材質に最も適した値に設定でき、よりエッジ部Aの品質を向上できる。
[第2実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2実施形態に係るレーザ加工方法及びレーザ加工機を説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係るレーザ加工機1Bの全体構成の一例を示す図である。図14A~図17Aは、図13の加工機本体50Bによるワークの切断加工について制御部60Bが行う制御の内容を示す図である。図14B~図17Bは、図14A~図17AのIIB~VB線の各断面図である。
図13に示すように、第2実施形態に係るレーザ加工機1Bは、
ワークWを切断加工することで得られる製品400の形状に応じた軌跡でワークWにレーザビームを照射する加工機本体50Bと、
加工機本体50Bを制御する制御部(NC装置)60Bと、
を備え、
制御部60Bは、図14A及び図14Bに示すように、
製品400の外角のエッジ部401の頂点において突き合わされる2つの辺のうち一方の辺に沿ってワークW上を移動して頂点に達した通常加工条件のレーザビームLBが、頂点を通過し一方の辺の延長線に沿って、一方の辺の延長線上に位置する第1加工点403までさらにワークW上で移動し、
レーザビームLBのワークW上における照射位置が、第1加工点403から、2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点405に移動し、
レーザビームLBが、図15A及び図15Bに示すように、ワークW上で、他方の辺の延長線及び他方の辺に沿って、第2加工点405から頂点を経て他方の辺上の第3加工点407まで、通常加工条件よりも低速低出力の角部加工条件で移動し、
レーザビームLBのワークW上における照射位置が、図16A及び図16Bに示すように、レーザビームLBの出力を停止させた状態で、第3加工点407から第2加工点405まで移動し、
図17A及び図17Bに示すように、他方の辺の延長線に沿って第2加工点405から頂点までワークW上を通常加工条件で移動したレーザビームLBが、ワークW上で第3加工点407を通り他方の辺に沿ってさらに通常加工条件で移動する、
ように、加工機本体50Bを制御する。
以下、第2実施形態のレーザ加工機1Bの詳細について説明する。
図13において、レーザ加工機1Bは、レーザビームによって、ワークWの切断加工を行う加工機である。図13に示すように、レーザ加工機1Bは、レーザ発振器10と、プロセスファイバ12と、加工機本体50Bと、制御部としてのNC装置60Bとを備える。NC装置60Bは、レーザ発振器10と加工機本体50Bとを制御する。レーザ発振器10はレーザビームを生成して射出する。レーザ発振器10から射出されたレーザビームは、プロセスファイバ12を介して加工機本体50Bへ伝送される。加工機本体50Bは、ワークWにレーザビームを照射し、かつ、ワークWとレーザビームのビームスポットとの相対位置を変化させることにより、ワークWを最終加工製品(製品)の形状に切断加工する。
レーザ発振器10は、第1実施形態のレーザ加工機1Aにおけるレーザ発振器10と同様の構成を備える。レーザ発振器10には、レーザダイオードを媒質とするものの他、炭酸ガスを媒質に用いる炭酸ガスレーザを用いることもできる。
第2実施形態のレーザ加工機1Bによるレーザ加工方法は、ワークWが下面側で融解し過ぎるのを抑制するのに効果的である。ワークWが下面側で融解し過ぎる可能性が高いレーザダイオードビームをワークWの切断加工に用いる際に、第2実施形態のレーザ加工機1Bによるレーザ加工方法を用いることは、言うまでもなく有意義である。炭酸ガスレーザをワークWの切断加工に用いる際にも、ワークWが下面側で融解し過ぎる可能性が捨てきれないので、第2実施形態のレーザ加工機1Bによるレーザ加工方法を用いることは有意義となる。以上に説明した事情から、第2実施形態のレーザ加工機1Bのレーザ発振器10は、炭酸ガスレーザであってもよい。
加工機本体50Bは、ワークWを載せる加工テーブル21と、門型のX軸キャリッジ22と、Y軸キャリッジ23と、加工ユニット300と、工具軌跡制御部301とを有する。レーザ発振器10から射出されたレーザビームは、プロセスファイバ12を介して加工機本体50Bの加工ユニット300へ伝送される。工具軌跡制御部301は加工ユニット300の内部に収容されている。
X軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23の構成は、第1実施形態のレーザ加工機1AにおけるX軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23と同様であるため、説明は省略する。
加工ユニット300ノズル303が取り付けられている。ノズル303の先端部には円形の開口部302が形成されている。加工ユニット300に伝送されたレーザビームは、ノズル303の開口部302から射出され、ワークWの上面に照射される。
加工ユニット300には、酸素のアシストガスが供給される。ワークWを加工する時、アシストガスはノズル303の開口部302からワークWへと吹き付けられる。
工具軌跡制御部301は、加工ユニット300内を進行して開口部302から射出されるレーザビームを、非円形状の振動パターンで振動させるビーム振動機構として機能する。工具軌跡制御部301がレーザビームを非円形状の振動パターンで振動させることにより、加工ユニット300は非円形状の工具軌跡によりワークWを切断加工する。工具軌跡制御部301の具体的な構成例、及び、工具軌跡制御部301がレーザビームのビームスポットを非円形状の振動パターンで振動させる方法については後述する。
ここで、工具軌跡とは、一定時間内に非円形状の振動パターンで振動させたビーム振動によってなされたビームの軌跡が描いた図形であって、振動工具形状を指す。つまり、通常は、ノズル303から射出される円形のレーザビームそのものが切断工具であり、そのビーム半径分が工具径補正となるが、ここでは、振動パターンで描いた図形の工具軌跡を切断工具とする。ノズル303と加工テーブル21との相対位置が固定されている状態における切断加工軌跡は、工具軌跡に対応する。
CAD(コンピュータ支援設計:Computer Aided Design)装置601は、ワークWを切断加工することによって得られる最終加工製品の寸法及び形状を含む製品形状情報に基づいて製品形状データ(CADデータ)SDを生成する。CAD装置601は、生成した製品形状データSDをCAM装置602へ出力する。CAM装置602は、製品形状データSDに基づいて、レーザ加工機1BがワークWを切断加工するための加工プログラム(NCデータ)PPを生成し、加工条件CPを指定する。即ち、加工プログラムPPと加工条件CPとは、最終加工製品の寸法及び形状を含む製品形状情報に基づいて設定される。
加工プログラムPPには、切断工具の軌跡を切断加工の進行方向の左側に工具径補正量分だけシフトさせるG41(左工具径補正)、又は、進行方向の右側にシフトさせるG42(右工具径補正)のGコードが含まれている。切断工具の軌跡をGコードで制御することで、ビームの軌跡が最終加工製品の輪郭の内側又は外側にずれるのを回避することができる。
CAM装置602は、加工条件CPとして、切断工具に相当する工具軌跡を指定する。工具軌跡は例えば非円形状を有する。CAM装置602は、形状又は工具径が異なる複数の工具軌跡を指定することができる。加工条件CPには、切断加工中に工具軌跡を変更するための切断工具情報が含まれている。
加工条件CPには、ワークWの材質及び厚さ等の材料パラメータが指定された加工対象情報が含まれている。加工条件CPには、レーザビームの出力、加工速度、及び、ノズル303の開口部302の直径(ノズル径)等の加工パラメータ、及び、アシストガス条件等の切断加工情報が含まれている。即ち、加工条件CPには、工具軌跡等の切断工具情報と加工対象情報と切断加工情報とが含まれている。
CAM装置602は、加工プログラムPPと加工条件CPとをレーザ加工機1BのNC装置60Bへ出力する。NC装置60Bは、加工プログラムPPと加工条件CPとに基づいてレーザ発振器10を制御する。NC装置60Bは、加工プログラムPPと加工条件CPとに基づいて、加工機本体50Bを制御してX軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23を駆動させることにより、ノズル303を目的の位置へ移動させる。
NC装置60Bは、加工プログラムPPと加工条件CPとに基づいて、工具軌跡制御部301を制御することにより、ノズル303の開口部302より射出されるレーザビームのビームスポットの軌跡を制御する。ビームスポットの軌跡は工具軌跡に相当する。
NC装置60Bは、工具径補正量演算部64と、加工軌跡演算部65と、駆動制御部66とを有する。工具径補正量演算部64、及び、加工軌跡演算部65には、CAM装置602から加工プログラムPPと加工条件CPとが入力される。工具径補正量演算部64は、加工プログラムPPと加工条件CPとに基づいて、ワークWを切断加工するための切断工具の工具径を補正するための工具径補正情報TCを生成する。
工具径補正量演算部64は、加工条件CPに含まれる工具軌跡を認識する。工具径補正量演算部64は、認識された工具軌跡とノズル303の軌跡(以下、ノズル軌跡とする)と切断加工の進行方向とに基づいて、工具径補正情報TCを生成する。工具軌跡はワークWを切断加工するための切断工具に相当する。工具軌跡の形状は切断工具の形状に相当する。工具軌跡は例えば非円形状を有する。
工具径補正情報TCは、工具軌跡における制御中心点と、ノズル軌跡におけるノズル303の中心点(以下、ノズル中心点とする)とを含む。なお、制御中心点とは、一般的なレーザ加工の工具径補正の場合のレーザビームの中心に相当する。第2実施形態においては、工具軌跡を非円形状の切断工具としており、切断ラインを切断工具と製品の境界とするとき、工具軌跡の制御中心点は、切断ラインに対して制御する切断工具の中心の位置となる。ノズル軌跡とは、具体的にはノズル中心点の軌跡である。ノズル303の中心点と開口部302の中心点とは一致している。
レーザ加工機の場合、工具軌跡はレーザビームのビームスポットの軌跡に相当する。ビームスポットは工具軌跡上を往復移動する。又は、ビームスポットは非円形状であれば周期移動してもよい。
工具径補正量演算部64は、加工条件CPに含まれる工具軌跡を認識し、加工プログラムPPと加工条件CPとに基づいて、工具軌跡に基づく補正情報とノズル軌跡に基づく補正情報とを含む工具径補正情報TCを生成する。工具径補正量演算部64は、工具径補正情報TCを加工軌跡演算部65へ出力する。また、工具径補正量演算部64は、左工具径補正と右工具径補正の両方の補正情報を含む工具径補正情報TCを加工軌跡演算部65へ出力する。
加工軌跡演算部65には、CAM装置602から加工プログラムPPと加工条件CPとが入力され、工具径補正量演算部64から工具径補正情報TCが入力される。加工軌跡演算部65は、加工プログラムPPに含まれているGコードを翻訳する。なお、加工プログラムPPはGコードの代わりにロボット言語等を含んでいてもよい。
加工軌跡演算部65は、翻訳結果と加工プログラムPPと加工条件CPと工具径補正情報TCとに基づいて、切断加工補正条件を決定する。切断加工補正条件は、例えば、ノズル軌跡を用いて左工具径補正又は右工具径補正にて切断加工するか、工具軌跡を用いて左工具径補正又は右工具径補正にて切断加工するかのいずれかとすることができる。
工具軌跡を用いて切断加工する場合、駆動制御部66は、工具軌跡と工具軌跡における制御中心点とに基づいて駆動制御信号CSを生成する。ノズル軌跡を用いて切断加工する場合、駆動制御部66は、ノズル軌跡とノズル軌跡におけるノズル中心点とに基づいて駆動制御信号CSを生成する。
駆動制御部66は、駆動制御信号CSにより、加工機本体50Bの工具軌跡制御部301を制御する。工具軌跡制御部301は、駆動制御信号CSに基づいて、ノズル303の開口部302より射出されるレーザビームのビームスポットの軌跡を制御する。
図18は、図13の工具軌跡制御部301の構成例を示す図である。図18を用いて、工具軌跡制御部301がレーザビームのビームスポットを非円形状の振動パターンで振動させる方法の一例を説明する。
図18に示すように、工具軌跡制御部301は加工ユニット300の内部に収容されている。工具軌跡制御部301は、コリメータレンズ331と、ガルバノスキャナユニット340と、ベンドミラー334と、集束レンズ335とを有する。コリメータレンズ331は、プロセスファイバ12より射出されたレーザビームを平行光(コリメート光)に変換する。
駆動部342は、駆動制御部66の制御により、スキャンミラー341を所定の方向(例えばX方向)に所定の角度範囲で往復駆動させることができる。スキャンミラー341は、コリメータレンズ331により平行光に変換されたレーザビームをスキャンミラー343に向けて反射する。
駆動部344は、駆動制御部66の制御により、スキャンミラー343を、スキャンミラー341の駆動方向とは異なる方向(例えばY方向)に所定の角度範囲で往復駆動させることができる。スキャンミラー343は、スキャンミラー341により反射されたレーザビームをベンドミラー334に向けて反射する。
ベンドミラー334は、スキャンミラー343により反射されたレーザビームをX軸及びY軸に垂直なZ軸方向下方に向けて反射させる。集束レンズ335はベンドミラー334により反射したレーザビームを集束して、ワークWに照射する。
ガルバノスキャナユニット340は、スキャンミラー341とスキャンミラー343とのいずれか一方又は双方を高速で往復振動させることにより、切断加工軌跡を多種の非円形状にすることができる。即ち、一定の光強度以上のレーザビームを単位時間当たりに複数個所へ集束させることにより、ワークWに接して実質的に加工に寄与する工具形状を、多種の非円形状にすることができる。
レーザビームを振動させない場合、ビーム振動機構に関連する工具軌跡制御部301のスキャンミラー341、スキャンミラー343、ベンドミラー334を省略することができる。レーザビームを振動させない場合は、コリメータレンズ331を通過したレーザビームの平行光を、集束レンズ335で収束してワークWに照射する。レーザビームを振動させない場合の工具軌跡は、ノズル303の開口部302より射出されるレーザビームのビームスポットの輪郭と一致する。
図13の工具径補正量演算部64は、加工条件CPに工具軌跡切り替え情報が含まれているか否かを認識する。加工条件CPに工具軌跡切り替え情報が含まれていない場合、工具径補正量演算部64は、加工条件CPに含まれる工具軌跡を認識する。加工条件CPに工具軌跡切り替え情報が含まれている場合、工具径補正量演算部64は、工具軌跡切り替え情報に含まれる複数の工具軌跡を認識する。
工具径補正量演算部64は、加工条件CPに基づいて、複数の工具軌跡を含む上記の工具軌跡切り替え情報を有する工具径補正情報TCを生成する。また、工具径補正量演算部64は、加工プログラムPPと加工条件CPとに基づいて、複数の工具軌跡における制御中心点を含む工具軌跡変更情報を有する工具径補正情報TCを生成する。即ち、工具径補正情報TCには、上記の工具軌跡切り替え情報と工具軌跡変更情報とが含まれている。工具径補正量演算部64は、工具径補正情報TCを加工軌跡演算部65へ出力する。
加工軌跡演算部65は、加工プログラムPPに含まれているGコードを翻訳する。加工軌跡演算部65は、翻訳結果と加工プログラムPPと加工条件CPと工具径補正情報TCとに基づいて、切断加工補正条件を決定する。加工軌跡演算部65は、切断加工補正条件を、ノズル軌跡を用いて左工具径補正又は右工具径補正にて切断加工するか、工具軌跡を用いて左工具径補正又は右工具径補正にて切断加工するか、のいずれかに決定することができる。
加工軌跡演算部65は、工具径補正制御信号TSを駆動制御部66へ出力する。駆動制御部66は、工具径補正制御信号TSに基づいて駆動制御信号CSを生成する。駆動制御部66は、駆動制御信号CSにより、加工機本体50Bを制御する。加工機本体50Bは、駆動制御信号CSに基づいて、X軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23を駆動させてノズル軌跡を制御する。また、加工機本体50Bは、駆動制御信号CSに基づいて、工具軌跡制御部301を駆動させて工具軌跡を制御する。
加工機本体50Bは、NC装置60Bの制御によりノズル303の開口部302から射出されたレーザビームにより、最終加工製品の輪郭に沿ってワークWを切断加工することができる。
図19Aは、本発明の第2実施形態におけるレーザビームLBによるワークWの切断加工においてワークWの切断面に生じるドラグラインの一例を示す図である。ワークWをレーザビームLBで切断加工すると、図19Aに示すように、ワークWの切断面500に多数のドラグライン(drag lines)501が形成される。ドラグライン501は、ワークWの上面に対するレーザビームLBの照射による入熱で溶融された金属の流れに応じた形状となる。
レーザビームLBの照射によるワークWの溶融は、レーザビームLBが照射される上面側よりも、反対側の下面側の方が遅れて発生するので、ドラグライン501の向きは、ワークWの下面側に近いほどレーザビームLBの移動方向Rの上流側にずれる。ドラグライン501のずれは、レーザビームLBの移動速度が速いほど大きくなる。
図19Bは、本発明の第2実施形態におけるレーザビームLBによるワークWの切断加工においてワークWの外角のエッジ部の切断面に生じる異常な溶け落ち部(以下、溶損部(abnormal meltdown portion)と呼ぶ)の一例を示す図である。最終加工製品の外角のエッジ部でレーザビームの移動方向Rを次の辺に沿った方向に変えると、レーザビームからの入熱が遅れて届く下面側ほど、ワークWのエッジ部の頂点よりも内側の部分が入熱により溶融する。この溶融により、ワークWの下面側では、図19Bに示す溶損部505がエッジ部503に発生する。
エッジ部503の溶損部505を低減させるには、遅れているワークWの下面側の溶融がエッジ部503の頂点に達するのを待って、エッジ部503の頂点から次の辺に沿った方向にレーザビームLBを移動させるのが有効である。
図20は、本発明の第2実施形態において、レーザビームLBによるワークWの切断加工をワークWのエッジ部503の頂点で一旦停止させて再開した場合の、エッジ部503の切断面の一例を示す図である。仮に、遅れている下面側の溶融がエッジ部503の頂点に達するまでレーザビームの照射をエッジ部503の頂点で一旦停止させると、図20に示すように、エッジ部503の溶損部505の発生が低減する。
エッジ部503の頂点で一旦停止させたレーザビームの照射を、次の辺に沿った向きで再開すると、切断したワークWの切断面507に不規則な表面の凹凸509が生じる。この不規則な表面の凹凸509は、次の辺に沿った向きでレーザビームLBの照射を再開させてから、レーザビームLBの移動速度が安定するまでの間、次の辺の切断面507に発生する。
図21は、レーザビームLBの照射位置をワークW上でループ状に移動させて最終加工製品の外角のエッジ部503を切断する場合のレーザビームLBの移動軌跡の一例を示す図である。図21では、レーザビームLBの照射によりワークWに形成されたカーフ511を、レーザビームLBの移動軌跡として図示している。
図21に示すように、エッジ部503でレーザビームLBをループ状に移動させ、ワークWの下面側をエッジ部503の頂点まで溶融させてから、次の辺の切断面507が形成されるようにすることも考えられる。ループ部分の曲率が小さいほど、ループ部分のレーザビームLBの通過速度を下げなくても入熱過多を回避でき、直線移動時と同じ通常加工条件のままで、ループ部分をレーザビームLBに移動させることができる。
通常加工条件のままループ部分を移動したレーザビームLBは、ループ前のレーザビームLBの照射によってワークWに既に形成されているカーフ511を手前側から向こう側に乗り継ぐ乗り継ぎ部513を通過する。
図22Aは、ワークWのレーザビームLBを照射した箇所における入熱の分布を示す図である。図22Bは、ワークWの既に形成されているカーフ511を跨いでレーザビームLBが移動する箇所における入熱の分布を示す図である。図22Cは、ワークWの既に形成されているカーフ511を跨いで低速低出力のレーザビームLBが移動する箇所における入熱の分布を示す図である。
図22Aに示すように、ワークWのレーザビームLBの照射箇所において、レーザビームLBからの入熱は、レーザビームLBが照射されるワークWの上面に沿って放射されて同心円状に分布する。レーザビームLBが乗り継ぎ部513を通過する際には、カーフ511の手前側に照射されたレーザビームLBからの入熱は、カーフ511の向こう側に伝わらない。乗り継ぎ部513の手前側に照射されたレーザビームLBからの入熱は、図22Bに示すように、ワークWの乗り継ぎ部513の手前側に籠もる。
図23Aは、図21のループ部分を通過しワークWの既に形成されているカーフ511の手前側と向こう側との乗り継ぎ部513を通過した後のレーザビームによってワークWに形成される切断面の一例を示す図である。図23Bは、図23Aの切断面をループ部分の通過前のレーザビームによってワークWに形成された切断面の一例と共に示す斜視図である。
乗り継ぎ部513の手前側にこもった入熱は、ループ部分を通過した後のレーザビームLBによって切断されるワークWの切断面515の上面側に、図23A及び図23Bに示す凹部517を発生させる。
乗り継ぎ部513の手前側において、レーザビームの加工条件を、通常加工条件よりも低速低出力に変更すれば、図22Cに示すように、乗り継ぎ部513の手前側に籠もる入熱が減り、図23A及び図23Bの凹部517の発生を抑制することができる。
乗り継ぎ部513の手前側でレーザビームを低速低出力の加工条件に変更した場合は、レーザビームLBの照射箇所が乗り継ぎ部513を跨ぐ際に、レーザビームを元の高速高出力の通常加工条件に戻す。レーザビームLBを通常加工条件に戻して次の辺の切断を継続すると、レーザビームLBの移動速度及び出力の急激な変化で、ワークWの溶融金属の流れが急変する。
図24は、レーザビームLBによるワークWの切断加工を乗り継ぎ部513で低速低出力から通常加工条件に戻した場合に次の辺の切断面515に発生する凹部の一例を示す図である。通常加工条件に戻したレーザビームLBによって次の辺の切断を継続すると、図24に示すように、ワークWの溶融金属の流れが急変し、次の辺の切断面515に凹部519が発生する。
第2実施形態のレーザ加工機1Bでは、ワークWを最終加工製品の形状に切断加工する際に、最終加工製品の各外角のエッジ部において、エッジ部で突き合わされる2つの辺のレーザビームLBをループ状に移動させる。ループ部分を通過したレーザビームLBが、ワークWに既に形成されているカーフの手前側から向こう側に乗り継ぐ乗り継ぎ部を通過する際に、低速低出力の角部加工条件としたレーザビームLBをワークWの乗り継ぎ部に照射する。乗り継ぎ部に角部加工条件でレーザビームLBを照射することで、乗り継ぎ部の向こう側にカッティングフロントを形成する。
カッティングフロントの形成後に、改めて、乗り継ぎ部からカッティングフロントを通り次の辺に沿って、通常加工条件のレーザビームLBを照射し、次の辺に沿ってワークWを切断する。
図25は、図13のNC装置60Bが行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。第2実施形態のレーザ加工機1Bでは、加工機本体50Bは、ワークWを切断加工することで得られる製品の形状に応じた軌跡でワークWにレーザビームLBを照射する。NC装置60Bは、製品の各外角のエッジ部において加工機本体50Bが製品の形状に応じた切断加工を行うために、図25の手順で、加工機本体50Bを制御する処理を実行する。
図13のNC装置60Bは、加工機本体50Bの制御処理を、図25に示す第1~第5の5つのステップ(ステップS1~ステップS9)によって実行する。
第1ステップ(ステップS1)では、NC装置60Bは、図14A及び図14Bに示すように、製品400の外角のエッジ部401の頂点において突き合わされる2つの辺のうち一方の辺に沿ってワークW上を移動するレーザビームLBの移動を制御する。図14A及び図14Bでは、レーザビームLBの照射によりワークW上に形成されたカーフ409を、レーザビームLBの移動軌跡として図示している。
具体的には、NC装置60Bは、第1ステップにおいて、エッジ部401の一方の辺に沿って移動しエッジ部401の頂点に達した通常加工条件のレーザビームLBを、エッジ部401の頂点を通過し一方の辺の延長線に沿って、さらにワークW上で移動させる。NC装置60Bは、エッジ部401の頂点を通過したレーザビームLBを、一方の辺の延長線上に位置する第1加工点403まで移動させる。
図25の第2ステップ(ステップS3)では、NC装置60Bは、レーザビームLBのワークW上における照射位置を、第1加工点403から、エッジ部401の2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点405に移動させる。図14A及び図14Bでは、レーザビームLBのワークW上における照射位置を、エッジ部401の一方の辺の延長線に沿って第1加工点403から始まり他方の辺の延長線に沿って第2加工点405に至るループ411を通って移動させる。図14A及び図14Bでは、レーザビームLBの出力を継続したまま、レーザビームLBの照射箇所を第1加工点403から第2加工点405に移動させる場合を示している。即ち、図14A及び図14Bでは、通常加工条件のレーザビームLBをワークW上で第1加工点403から第2加工点405に移動させる。
ループ411の曲率が小さくループ411の半径が大きいほど、直線移動時と同じ通常加工条件のままで、ループ411のレーザビームLBの通過速度を下げなくても入熱過多を回避できる。ループ411の半径が大きいほど、直線移動時と同じ通常加工条件のままで、ループ411をレーザビームLBに移動させることができる。
図25の第3ステップ(ステップS5)では、NC装置60Bは、図15A及び図15Bに示すように、レーザビームLBをワークW上で、他方の辺及びその延長線の辺に沿って、第2加工点405から他方の辺上の第3加工点407まで移動させる。NC装置60Bは、レーザビームLBを、通常加工条件よりも低速低出力の角部加工条件で、第2加工点405からエッジ部401の頂点を経て第3加工点407まで移動させる。
この移動によりレーザビームLBは、ループ411よりも前にレーザビームLBが照射されてワークWに形成されているカーフ409を手前側から向こう側に乗り継ぐ乗り継ぎ部415を通過する。乗り継ぎ部415を通過した角部加工条件のレーザビームLBは、ワークWのカーフ409の向こう側に、カッティングフロントとなるカーフ413を形成する。
図15Aに示す乗り継ぎ部415からのカーフ413の長さSは、通常加工条件のレーザビームLBを乗り継ぎ部415からカーフ413に移動させる際に、カーフ413がレーザビームLBのカッティングフロントとして機能する長さであればよい。ワークWの板厚、材料等にもよるが、カーフ413の長さSは、例えば、1mmとすることができる。
カッティングフロントとなるカーフ413を形成するレーザビームLBは、低速低出力の角部加工条件でワークWに照射される。これにより、カーフ413の形成の際、図23A、図23B、図24に示す凹部517,519の発生が抑制される。
図25の第4ステップ(ステップS7)では、NC装置60Bは、レーザビームLBの出力を停止させた状態で、レーザビームLBのワークW上での照射位置を、図16A及び図16Bに示すように、第3加工点407から第2加工点405まで移動させる。
図25の第5ステップ(ステップS9)では、NC装置60Bは、図17A及び図17Bに示すように、レーザビームLBをワークW上で、エッジ部401の他方の辺の延長線に沿って第2加工点405からエッジ部401の頂点まで通常加工条件で移動させる。NC装置60Bは、さらに、レーザビームLBをワークW上でエッジ部401の頂点から第3加工点407を通りエッジ部401の他方の辺に沿って通常加工条件で移動させる。
この移動により、ワークWには、第2加工点405からエッジ部401の頂点を経て、エッジ部401の他方の辺に沿うカーフ409が形成される。第2加工点405からレーザビームLBが通常加工条件で移動する際には、レーザビームLBの加工条件が変更されない。よって、レーザビームLBの速度及び出力の急激な変化によるワークWの溶融金属の流れの急変により、ワークWに形成されるカーフ409の切断面に図24の凹部519のような変形が発生するのを、抑制することができる。
第5ステップでレーザビームLBを第2加工点405からエッジ部401の頂点を経て移動させる際に、レーザビームLBは、エッジ部401の頂点を通過するまでに、通常加工条件の速度及び出力で安定している必要がある。このため、第2加工点405は、第2加工点405から移動し始めたレーザビームLBの速度及び出力が、エッジ部401の頂点を通過するまでに通常加工条件の速度及び出力で安定するのに十分な間隔を、エッジ部401の頂点との間に有している必要がある。
なお、ステップS1~ステップS9の手順でNC装置60Bに加工機本体50Bの動作を制御させるための入力は、例えば、図13のCAM装置602において、エッジ部401のパーツ割り付けメニューでループ411を通るルートを指定する形式としてもよい。この場合、CAM装置602は、エッジ部401及びループ411の位置を特定するのに必要な座標値をNC装置60Bに出力する。NC装置60Bは、CAM装置602からの座標値を用いて、ループ411を通ってレーザビームLBを移動させるためのNCコードを生成する。
また、ステップS1~ステップS9の手順でNC装置60Bに加工機本体50Bの動作を制御させるための入力は、例えば、加工機本体50Bの操作盤(図示せず)を介して、NC装置60BにGコード等のNCコードを直接入力する形式でもよい。
(第2実施形態の作用効果)
本発明の第2実施形態に係るレーザ加工方法及びレーザ加工機1Bでは、図14A及び図14Bに示すように、製品400の外角のエッジ部401の一方の辺に沿ってエッジ部401の頂点に達した通常加工条件のレーザビームLBを、一方の辺の延長線上の第1加工点403に移動させる。すると、ワークWの一方の辺から第1加工点403にかけて、エッジ部401の頂点を通るカーフ409が形成される。第1加工点403までのカーフ409は、エッジ部401の一方の辺に沿って、ワークW上に直線状に配置される。カーフ409は、図15A及び図15Bに示すように、他方の辺及びその延長線上にエッジ部401の頂点を挟んで位置する第2加工点405と第3加工点407との間に配置される。
第2加工点405から第3加工点407にレーザビームLBを移動させると、レーザビームLBは、エッジ部401の頂点を通るカーフ409の手前側と向こう側とを乗り継ぐ乗り継ぎ部415を通過する。乗り継ぎ部415を通過したレーザビームLBは、ワークWのカーフ409と第3加工点407との間に、エッジ部401の他方の辺に沿ったカーフ413を形成する。このカーフ413は、乗り継ぎ部415を通過するレーザビームLBのカッティングフロントとして機能する。
乗り継ぎ部415を通過するレーザビームLBは、通常加工条件よりも低速及び低出力の角部加工条件である。このため、カッティングフロントとして機能するカーフ409の形成の際に、乗り継ぎ部415に入熱が籠もってカーフ409の切断面に変形が生じることが抑制される。
第2加工点405及び第3加工点407は、製品のエッジ部401の他方の辺又はその延長線上の、エッジ部401の頂点を挟んだ両側に配置されている。カッティングフロントとして機能するカーフ409の形成後には、図17A及び図17Bに示すように、レーザビームLBを、第2加工点405からエッジ部401の頂点及び第3加工点407を通り、他方の辺に沿って移動させる。レーザビームLBは、他方の辺又はその延長線上で、速度及び出力を落とさずに直線条件(通常加工条件)で移動させることができる。
このため、製品のエッジ部401の2つの辺に沿ってワークWを切断加工する際に、加工条件の変化による切断面の変形が生じにくくなる。
第2実施形態のレーザ加工機1Bでは、ワークWを切削加工することで得られる製品400の2つの辺が突き合わされるエッジ部401を、直線移動時の通常加工条件のレーザビームLBで切断加工でき、製品のエッジ部401を高い品質で加工することができる。
図25の第2ステップにおける第1加工点403から第2加工点405へのレーザビームLBの照射箇所の移動は、ループ411以外のルートを通ってもよい。第2ステップにおける第1加工点403から第2加工点405へのレーザビームLBの照射箇所の移動は、レーザビームLBの出力を停止させた状態で行ってもよい。
レーザビームLBを、出力を停止させずに移動させる場合は、ループ411の曲率を下げてループ411の半径が大きくする。ループ411の半径が大きくすることで、速度及び出力の加工条件を通常加工条件から変えずに、第1加工点403から第2加工点405にレーザビームLBの照射箇所を移動させることができる。レーザビームLBの加工条件を変えないことで、第2加工点405の先をレーザビームLBの照射で切断加工する際に、切断面に変形が発生しにくくすることができる。
以上に説明した構成により、以下に示すレーザ加工方法の発明を開示することができる。
第2実施形態に係るレーザ加工方法において、レーザビームのワーク上における照射位置を、第1加工点から、2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点に移動させる第2ステップは、以下の内容としてもよい。例えば、第2ステップにおける、レーザビームのワーク上における照射位置を、一方の辺の延長線に沿って第1加工点から始まり他方の辺の延長線に沿って第2加工点に至るループを通って移動させてもよい。また、第2ステップにおいて、通常加工条件のレーザビームをワーク上で第1加工点から第2加工点に移動させてもよい。
開示される上記の発明では、第2ステップにおいてレーザビームの出力を下げずに第1加工点から第2加工点に移動させることができ、第2ステップ後の移動の際にレーザビームを元の出力に戻す必要がなくなる。レーザビームの出力を変更する必要を減らすことで、レーザビームの出力変更によるワークの溶融金属の流れの変化を抑制し、製品の外角のエッジ部の切断面に変形が生じるのを抑制することができる。
本願の開示は、2021年9月9日に出願された特願2021-146945号及び2021年9月9日に出願された特願2021-146965号に記載の主題と関連しており、それらの全ての開示内容は引用によりここに援用される。

Claims (10)

  1. レーザビームをワークに向けて射出する加工ヘッドを、第1の辺、第2の辺、及び前記第1及び第2の辺が交わる一の角部を有する切断加工軌跡に沿って相対的に移動させることによって前記ワークの切断加工を行うレーザ加工方法であって、
    前記レーザビームを射出しながら、前記加工ヘッドを前記第1の辺に沿って前記角部まで減速せずに移動させ、
    前記第1の辺に沿って移動する前記加工ヘッドが前記角部に到達した後に、前記レーザビームの射出を停止し、
    前記レーザビームを間欠的に射出しながら、前記加工ヘッドを、前記角部から前記第2の辺に沿って第1所定距離だけ離れた第1所定位置まで移動させ、前記加工ヘッドが前記第1所定位置に到達した時に、前記レーザビームの射出および前記加工ヘッドの移動を停止し、
    前記レーザビームの射出を停止した状態で、前記加工ヘッドを前記第2の辺の延長線上かつ前記角部より手前の位置まで移動させた後に、前記加工ヘッドを前記角部に向けて加速させ、
    前記角部に向けて加速する前記加工ヘッドが前記角部に到達した時に前記レーザビームの射出を開始して、前記加工ヘッドを前記第2の辺に沿って移動させる
    レーザ加工方法。
  2. 前記角部は前記切断加工軌跡上の製品の外側に向けた凸部を呈す角部であり、
    前記第1の辺に沿って移動する前記加工ヘッドが前記角部に到達した後に、前記レーザビームの射出を停止することは、
    前記第1の辺に沿って移動する前記加工ヘッドが前記角部に到達した後、前記レーザビームを射出しながら、前記加工ヘッドを前記角部から前記第1の辺の延長線に沿って第2所定距離だけ離れた第2所定位置まで移動させ、
    前記加工ヘッドが前記第2所定位置に到達した時に、前記レーザビームの射出を停止する
    ことを含む
    請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記角部は前記切断加工軌跡上の切り欠きの角部であり、
    前記第1の辺に沿って移動する前記加工ヘッドが前記角部に到達した後に、前記レーザビームの射出を停止することは、
    前記第1の辺に沿って移動する前記加工ヘッドが前記角部に到達した時に、前記レーザビームの射出を停止する
    ことを含む
    請求項1又は2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記第2所定距離は、前記ワークの材質に基づいて設定される
    請求項2に記載のレーザ加工方法。
  5. 前記第1所定距離は、前記ワークの材質に基づいて設定される
    請求項1~4のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
  6. レーザビームをワークに向けて射出する加工ヘッドを、第1の辺、第2の辺、及び前記第1及び第2の辺が交わる一の角部を有する切断加工軌跡に沿って相対的に移動させることによって前記ワークの切断加工を行う加工機本体と、
    前記加工機本体を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記レーザビームを射出しながら、前記加工ヘッドを前記第1の辺に沿って前記角部まで減速せずに移動し、
    前記第1の辺に沿って移動する前記加工ヘッドが前記角部に到達した後に、前記レーザビームの射出および前記加工ヘッドの移動を停止し、
    前記レーザビームを間欠的に射出しながら、前記加工ヘッドを、前記角部から前記第2の辺に沿って第1所定距離だけ離れた第1所定位置まで移動し、前記加工ヘッドが前記第1所定位置に到達した時に、前記レーザビームの射出を停止し、
    前記レーザビームの射出を停止した状態で、前記加工ヘッドを前記第2の辺の延長線上かつ前記角部より手前の位置まで移動した後に、前記加工ヘッドを前記角部に向けて加速し、
    前記角部に向けて加速する前記加工ヘッドが前記角部に到達した時に前記レーザビームの射出を開始して、前記加工ヘッドを前記第2の辺に沿って移動する
    ように、前記加工機本体を制御する
    レーザ加工機。
  7. ワークを切断加工することで得られる製品の外側に向けた凸部を呈す角部の頂点において突き合わされる2つの辺のうち一方の辺に沿って前記ワーク上を移動して前記頂点に達した通常加工条件のレーザビームを、前記頂点を通過し前記一方の辺の延長線に沿って、前記一方の辺の延長線上に位置する第1加工点までさらに前記ワーク上で移動させ、
    前記レーザビームの前記ワーク上における照射位置を、前記第1加工点から、前記2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点に移動させ、
    前記他方の辺の延長線及び前記他方の辺に沿って、前記第2加工点から前記頂点を経て前記他方の辺上の第3加工点まで、前記ワーク上で前記レーザビームを前記通常加工条件よりも低速低出力の角部加工条件で移動させ、
    前記レーザビームの出力を停止させた状態で、前記レーザビームの前記ワーク上における照射位置を前記第3加工点から前記第2加工点まで移動させ、
    前記他方の辺の延長線に沿って前記第2加工点から前記頂点まで前記ワーク上を前記通常加工条件で移動させた前記レーザビームを、前記ワーク上で前記他方の辺に沿ってさらに前記通常加工条件で移動させる
    レーザ加工方法。
  8. 前記レーザビームの前記ワーク上における照射位置を、前記一方の辺の延長線に沿って前記第1加工点から始まり前記他方の辺の延長線に沿って前記第2加工点に至るループを通って移動させる請求項7に記載のレーザ加工方法。
  9. 前記通常加工条件の前記レーザビームを前記ワーク上で前記第1加工点から前記第2加工点に移動させる請求項7又は8に記載のレーザ加工方法。
  10. ワークを切断加工することで得られる製品の形状に応じた軌跡で前記ワークにレーザビームを照射する加工機本体と、
    前記加工機本体を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記製品の外側に向けた凸部を呈す角部の頂点において突き合わされる2つの辺のうち一方の辺に沿って前記ワーク上を移動して前記頂点に達した通常加工条件の前記レーザビームが、前記頂点を通過し前記一方の辺の延長線に沿って、前記一方の辺の延長線上に位置する第1加工点までさらに前記ワーク上で移動し、
    前記レーザビームの前記ワーク上における照射位置が、前記第1加工点から、前記2つの辺のうち他方の辺の延長線上に位置する第2加工点に移動し、
    前記レーザビームが、前記ワーク上で、前記他方の辺の延長線及び前記他方の辺に沿って、前記第2加工点から前記頂点を経て前記他方の辺上の第3加工点まで、前記通常加工条件よりも低速低出力の角部加工条件で移動し、
    前記レーザビームの前記ワーク上における照射位置が、前記レーザビームの出力を停止させた状態で、前記第3加工点から前記第2加工点まで移動し、
    前記他方の辺の延長線に沿って前記第2加工点から前記頂点まで前記ワーク上を前記通常加工条件で移動した前記レーザビームが、前記ワーク上で前記第3加工点を通り前記他方の辺に沿ってさらに前記通常加工条件で移動する、
    ように、前記加工機本体を制御する、
    レーザ加工機。
JP2023546890A 2021-09-09 2022-08-29 レーザ加工方法及びレーザ加工機 Active JP7542160B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021146945 2021-09-09
JP2021146945 2021-09-09
JP2021146965 2021-09-09
JP2021146965 2021-09-09
PCT/JP2022/032343 WO2023037915A1 (ja) 2021-09-09 2022-08-29 レーザ加工方法及びレーザ加工機

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2023037915A1 JPWO2023037915A1 (ja) 2023-03-16
JPWO2023037915A5 JPWO2023037915A5 (ja) 2024-06-03
JP7542160B2 true JP7542160B2 (ja) 2024-08-29

Family

ID=85506644

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023546890A Active JP7542160B2 (ja) 2021-09-09 2022-08-29 レーザ加工方法及びレーザ加工機

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP4400250A1 (ja)
JP (1) JP7542160B2 (ja)
WO (1) WO2023037915A1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007196254A (ja) 2006-01-25 2007-08-09 Fanuc Ltd レーザ加工方法
JP2008200712A (ja) 2007-02-20 2008-09-04 Fanuc Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1080784A (ja) * 1996-09-06 1998-03-31 Amada Co Ltd 熱切断機における多角形穴切断方法およびその装置
JPH10249563A (ja) 1997-03-06 1998-09-22 Komatsu Ltd 熱切断加工方法
JP2016068144A (ja) * 2014-10-01 2016-05-09 小池酸素工業株式会社 レーザ切断方法
JP2021146945A (ja) 2020-03-19 2021-09-27 トヨタ自動車株式会社 電動車両
JP6940643B2 (ja) 2020-03-23 2021-09-29 株式会社日立製作所 鉄道車両

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007196254A (ja) 2006-01-25 2007-08-09 Fanuc Ltd レーザ加工方法
JP2008200712A (ja) 2007-02-20 2008-09-04 Fanuc Ltd レーザ加工方法及びレーザ加工装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023037915A1 (ja) 2023-03-16
JPWO2023037915A1 (ja) 2023-03-16
EP4400250A1 (en) 2024-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6638011B2 (ja) レーザ加工機及びレーザ加工方法
JP3746019B2 (ja) レーザ加工機
US11953875B2 (en) Cutting processing machine and cutting processing method
WO2017134964A1 (ja) レーザ加工機およびレーザ加工方法
JP6684872B2 (ja) レーザ加工機及びレーザ加工方法
WO2012063668A1 (ja) レーザ加工方法、及び、レーザ加工装置
EP3766630B1 (en) Laser processing machine and laser processing method
WO2020085279A1 (ja) レーザ加工機及びレーザ加工方法
JP7542160B2 (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工機
EP3871825B1 (en) Laser beam machine, laser beam machining method
JP7129469B2 (ja) 切削加工機及び切削加工方法
JP6643442B1 (ja) レーザ加工機及びレーザ加工方法
US20240351144A1 (en) Laser processing method and laser processing machine
EP3819068B1 (en) Cutting machine and cutting method
CN117999147A (zh) 激光加工方法及激光加工机
JP6719683B2 (ja) 切削加工機及び切削加工方法
EP3766628B1 (en) Cut-processing machine and cut-processing method
JP2018103251A (ja) レーザ加工機及びレーザ加工方法
WO2023085156A1 (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工機
JP2005014009A (ja) ワーク切断方法
WO2023085160A1 (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工機
WO2020008778A1 (ja) 切削加工機及び切削加工方法
JP7291527B2 (ja) レーザ加工機及びレーザ加工方法
EP3871826B1 (en) Laser beam machine, method for setting machining conditions, and control device for laser beam machine
WO2024004111A1 (ja) レーザ加工方法、加工プログラム及び制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240322

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240723

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7542160

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150