JP7540456B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置に関する。
従来、被印刷媒体であるロール状のテープに文字や図形などを印刷して印刷物を作成する印刷装置が知られている。この種の印刷装置はラベルプリンタとも呼ばれ、印刷ヘッドとプラテンローラとの間にテープを挟持し、テープを搬送しながら印刷を行い、印刷処理が終了した後にテープカットを行って印刷物(ラベル)を作成する。
ラベルプリンタで行うテープカットには、離型紙(台紙)を含む厚みの全体を切断するフルカットと、離型紙を残してテープの厚みの途中まで切断するハーフカットがある。離型紙を剥がしやすくしたり、印刷したテープの先端余白を除去したりする目的で、印刷開始時に、テープのうち印刷領域よりも先端側の箇所に対するハーフカットを行うことがある。
特許文献1には、ラベルが1枚ずつ台紙から剥がされた状態で排出される剥離発行の機能を備えたプリンタにおいて、剥離させられたラベルの垂れ下がりを抑制する技術が記載されている。
特許文献2には、簡単な構造で、フルカットで切断されたテープ片が印刷装置内に引き戻されることを防止する技術が記載されている。
特許第6571340号公報 特許第5098524号公報
ラベルプリンタでは、印刷したテープは筐体外面の排出口から外部へ排出される。その際に、排出されたテープがカールしながら下方へ進み、テープの先端がラベルプリンタの底面側に入り込んで動きを拘束される場合があった。この場合、印刷後のテープを切断しても、テープの後端側が適切に排出口から排出されずに筐体内に留まってしまう。前に印刷したテープが適切に排出されないと、次のテープの印刷開始時に行うハーフカットによって、前に印刷したテープの後端を切ってしまうという二度切りが発生するおそれがある。また、前に印刷したテープの排出が滞っていると、次のテープの搬送に支障が生じて、搬送系の機構に負荷がかかるおそれもある。特許文献1及び特許文献2のような既存の技術は、このような問題に対応するものではなかった。
そこで本発明は、印刷した被印刷媒体を筐体外部へ確実に排出できる印刷装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の印刷装置は、底面が支持部に支持される筐体と、前記底面よりも上方に設けられ、所定の方向に搬送された所定の幅の被印刷媒体を前記筐体の外部に排出させる排出口と、前記排出口と前記底面との間の前記筐体の外面に設けられ、前記筐体の外面から前記所定の幅より小さい長さで前記所定の方向に突出する突出部であり、前記排出口から排出された前記被印刷媒体の先端が前記底面と前記支持部との間に設けられた隙間に侵入することを規制する侵入防止部と、を備える。
以上の態様の印刷装置によれば、印刷した被印刷媒体を筐体外部へ確実に排出させることができる。
第1の実施形態の印刷装置の斜視図である。 第1の実施形態の印刷装置の一部を拡大した斜視図である。 第1の実施形態の印刷装置の一部断面図である。 第1の実施形態の印刷装置が備える侵入防止リブの形状を説明する断面図である。 第2の実施形態の印刷装置の一部を拡大した斜視図である。 第2の実施形態の印刷装置の一部断面図である。 比較例の印刷装置の一部断面図である。 各実施形態の印刷装置と比較例の印刷装置でのテープ排出効果の違いを説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1から図3は、第1の実施形態の印刷装置1を示している。印刷装置1は、帯状の被印刷媒体であるテープ27に印刷を行ってラベルを作成するラベルプリンタである。
互いに垂直な関係にあるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向を基準として、印刷装置1の構成を説明する。印刷装置1は、印刷時にZ軸方向が上下方向になるように設置され、X軸方向及びY軸方向が水平方向になる。
印刷装置1の筐体10は、本体11と、本体11に対して開閉可能な蓋部12とを備えている。図1から図3は蓋部12が閉じた状態である。図1及び図2に示す境界線Lが、本体11と蓋部12の境目を表している。
印刷装置1の筐体10は概ね6つの面を外面に有する箱型であり、Y軸方向の両側に前面10aと後面10bを有し、Z軸方向の両側に上面10cと底面10dを有し、X軸方向の両側に側面10eと側面10fを有する。上面10cと底面10dはそれぞれ、X軸方向及びY軸方向と略平行な面である。前面10a、後面10b、側面10e、側面10fはZ軸方向に対してやや傾斜しており、上面10c側から底面10d側へ進むにつれて、前面10aと後面10bの間隔が徐々に大きくなり、側面10eと側面10fの間隔が徐々に大きくなる。つまり、Y軸方向やX軸方向に沿って見た場合、筐体10は、上面10cよりも底面10dの方がやや広い台形状になっている。蓋部12は、前面10aの全体と、側面10eと側面10fの途中まで覆う形状を有している。
印刷装置1での印刷時には、底面10dを下方に向けて机や床などの支持部40(図3参照)に載せて使用する。支持部40は、印刷装置1を載せた際に自立させることができる平坦な面を有している。支持部40に支持(載置)した使用状態での印刷装置1の向きに基づいて、Z軸方向のうち上面10c側を上方、底面10d側を下方と定義する。支持部40に支持した使用状態では、上面10cと底面10dは略水平になる。側面10eから側面10fまでの距離は、前面10aから後面10bまでの距離よりも大きい。すなわち、水平方向においては、X軸方向が印刷装置1の長手方向であり、Y軸方向が印刷装置1の短手方向である。
筐体10の側面10eには、印刷済みのテープ27を筐体10の外部に排出させる排出部であるテープ排出口13が設けられている。テープ排出口13は、Y軸方向に延びる細長い形状の開口部であり、境界線Lよりも前方の前面10a寄りの位置に形成されている。図2及び図3に示すように、テープ排出口13は筐体10に形成されており、蓋部12には、テープ排出口13及びその周囲を塞がないようにする開口15が形成されている。
筐体10の底面10dには、脚部14(図3参照)が設けられている。X軸方向及びY軸方向に位置を異ならせて複数の脚部14を備える。例えば、X軸方向及びY軸方向に広がりを持つ矩形状の底面10dの四隅に脚部14が配置される。複数の脚部14を介して、印刷装置1が支持部40上に安定して支持される。筐体10を支持部40に支持させた状態で、底面10dと支持部40との間には、脚部14の高さに応じたZ軸方向の隙間がある。この隙間における底面10dと支持部40との距離は、テープ27の厚み以上の大きさである。
図3に示すように、本体11の内部に、テープ27への印刷を行う印刷部である印刷ヘッド20と、テープ27の搬送を行う搬送部であるプラテンローラ21と、テープ27の切断を行う切断部であるフルカッター22及びハーフカッター23などを備えている。
印刷ヘッド20は、プラテンローラ21から離間する離間位置と、プラテンローラ21に接近する印刷位置とに移動可能である。印刷ヘッド20は、テープ27の長手方向(搬送方向)に対して垂直な主走査方向に配列された複数の発熱素子を有しており、プラテンローラ21との間にテープ27を挟持した状態にて発熱素子で加熱することにより1ラインずつ印刷(印字)を行う。印刷ヘッド20による印刷は、熱転写式、感熱式などによって行われる。
プラテンローラ21は、Y軸方向に延びる軸を中心として回転可能に支持されている。搬送用モータ24の駆動力がギヤ列などの伝達部25を経由して伝達されて、プラテンローラ21が回転する。
本体11の内部にはテープカートリッジ装着部が形成されている。テープカートリッジ装着部は、前面10a側に向けて開放された凹部であり、その内部にテープカートリッジ26を収容可能である。閉じた状態の蓋部12によってテープカートリッジ装着部が覆われる。蓋部12を開くことでテープカートリッジ装着部が露出して、テープカートリッジ装着部へのテープカートリッジ26の着脱が可能になる。
テープカートリッジ26には、テープコア28を中心としてロール形状に巻かれたテープ27が収められる。テープカートリッジ26をテープカートリッジ装着部に装着した状態で、テープコア28の軸線はY軸方向に向いている。
蓋部12が開いた状態では、印刷ヘッド20がプラテンローラ21から離間する。テープカートリッジ26をテープカートリッジ装着部に取り付けると、離間した状態の印刷ヘッド20とプラテンローラ21の間にテープ27が入り込む。
蓋部12を閉じるのに連動して、印刷ヘッド20が印刷位置に移動し、印刷ヘッド20とプラテンローラ21の間にテープ27が挟持される。印刷の際には、このテープ挟持状態で印刷ヘッド20を加熱する。また、テープ挟持状態でプラテンローラ21を回転させると、テープ27が長手方向に搬送される。
印刷ヘッド20によって印刷されたテープ27は、プラテンローラ21の回転によって排出方向に搬送され、筐体10の側面10eに設けられた排出部であるテープ排出口13から外部に排出される。プラテンローラ21からテープ排出口13へ向かうテープ27の搬送方向は、概ねX軸方向である。テープ排出口13は、Z軸方向で上面10cと底面10dの間(すなわち、底面10dよりも上方)に位置している。
テープ排出口13の手前にフルカッター22とハーフカッター23を備えている。フルカッター22はテープ27の厚み全体を切断する。ハーフカッター23は、離型紙を残してテープ27の厚みの途中まで切断する。フルカッター22とハーフカッター23はそれぞれ、カッター駆動モータ(図示略)の駆動力によって動作し、印刷装置1を制御する制御部によって自動的に切断を行うオートカッターを構成している。
以上の構成の印刷装置1で印刷されたテープ27は、フルカッター22で切断されると、テープカートリッジ26側のテープ27から分離したテープ27A(図3参照)になる。テープ27Aは、長手方向の大部分がテープ排出口13から外側に排出されており、その自重によってテープ排出口13から離脱しようとする。
ところが、切断後のテープ27がテープ排出口13から円滑に排出されない場合がある。図7は、このような排出不良が生じる可能性がある比較例の印刷装置100を示している。印刷装置100は、本実施形態の印刷装置1が備える侵入防止部(詳細は後述する)を備えていない点が異なっている。印刷装置100におけるテープ27のうち、フルカッター22で切断されて分離される部分をテープ27Bとする。
テープ排出口13は、Z軸方向で底面10dの上方に位置しているので、X軸方向に搬送されてテープ排出口13から出たテープ27は、重力によってZ軸方向の下方に向かおうとする。また、テープカートリッジ26に収容された印刷前のテープ27にはテープコア28への巻き癖がある。この巻き癖によって、テープ排出口13から出たテープ27は、先端を筐体10の側面10eに向けて下側に丸まった湾曲形状(カール形状)になりやすい。つまり、テープ排出口13から出たテープ27は、巻き癖と自重とによって、テープ排出口13の下方で筐体10側に戻るようなループ構造になりやすい。
テープ排出口13から出たテープ27の長さが所定以上の場合、テープ27の先端が筐体10の側面10eに当接し、側面10eに摺接しながらテープ27の先端が下方へ進む。ここで、筐体10の底面10dと支持部40との間には、脚部14の高さに応じたZ軸方向の隙間があり、底面10dと支持部40との距離がテープ27の厚み以上の大きさである。そのため、図7の印刷装置100では、テープ27の先端が側面10eの下端まで達すると、底面10dと支持部40との間の隙間にテープ27の先端が入り込む。そして、テープ27をフルカッター22で切断すると、分離されたテープ27Bになる。
この状態を図8の(B)に模式的に示した。テープ27Bの先端付近は、底面10dと支持部40との間に挟まれて保持された状態になっている。すると、先端側が拘束されたループ構造のテープ27Bは、後端側をフルカッター22で切断しても、テープ排出口13から外部へ出ていく移動(図8中の時計方向への転がり動作)が規制されてしまい、筐体10から離れずに留まる。
この段階で、テープ27Bの後端側は、テープ排出口13から排出されず、筐体10内でハーフカッター23の近傍に位置している(図7参照)。そのため、次の印刷開始時にハーフカッター23を動作させてテープ27のハーフカットを行うと、排出されずに筐体10内に残存しているテープ27Bの後端付近をハーフカッター23で切断してしまい、いわゆる二度切りが発生するおそれがある。また、本来排出されているべきテープ27Bが筐体10内に残存していると、テープ27Bに対する二度切りだけではなく、テープカートリッジ26から次に送り出されるテープ27が詰まるなどの搬送不良や、フルカッター22及びハーフカッター23の動作不良などの不具合が生じるおそれもある。
以上の印刷装置100のようなテープ排出不良を防ぐべく、本実施形態の印刷装置1は、侵入防止部である侵入防止リブ30を備えている。図2及び図3に示すように、侵入防止リブ30は、筐体10の側面10eに設けた突出部であり、側面10eからX軸方向へ突出している。侵入防止リブ30は、テープ排出口13と略平行にY軸方向へ延びており、Z軸方向の上方へ向く規制面31を有している。
侵入防止リブ30は、Z軸方向でテープ排出口13と底面10dとの間に位置している。より詳しくは、Z軸方向での侵入防止リブ30の位置は、底面10dの近傍である側面10eの下端付近である。換言すれば、側面10eのうち、底面10dとの境界近くに侵入防止リブ30が設けられている。
Y軸方向での侵入防止リブ30の位置は、テープ排出口13の形成範囲に対応しており、テープ排出口13に対して侵入防止リブ30がY軸方向の前方や後方にずれていない。本実施形態では、侵入防止リブ30が境界線Lよりも前方に位置し、侵入防止リブ30は蓋部12の一部として形成されている。
図3に示すように、X軸方向に搬送されてテープ排出口13から出たテープ27は、テープコア28への巻き癖や重力の作用などによって、テープ排出口13の下方で筐体10の側面10eに先端を当接させたループ状の湾曲形状になる。テープ27の先端が側面10eに摺接しながら下方へ進むと、側面10eから突出している侵入防止リブ30の規制面31に当接してそれ以上の進行が規制される。この状態からさらにテープ27の排出量を大きくしても、テープ27の先端は、側面10eと規制面31の付近に留まって下方の底面10d側には進まず、テープ27のループ形状の膨らみが大きくなるように変化する。
これにより、テープ27の先端が筐体10の底面10dと支持部40の間に侵入することが侵入防止リブ30によって規制され、テープ27の先端付近が底面10dと支持部40との間に挟まれて拘束されることを防止できる。そして、テープ27をフルカッター22で切断すると、分離されたテープ27Aになる。
この状態を図8の(A)に模式的に示した。仮にテープ27Aの一部が支持部40に接触しても、テープ27Aの先端が対向する筐体10の側面10eは、支持部40に対してZ軸方向に立ち上がる面であるため、側面10eと支持部40との間でテープ27Aを挟み込む状態にはならない。従って、ループ構造のテープ27Aは、後端側がフルカッター22で切断されると、自重でテープ排出口13から外部へ出ていく移動(図8中の時計方向への転がり)を生じて筐体10から離れることができる。
その結果、テープ27Aの後端側がテープ排出口13から外部へ自然に離脱し、次の印刷開始時にハーフカッター23を動作させてテープ27のハーフカットを行っても、テープ27Aに対する二度切りが発生しない。また、テープ27Aに対する二度切りだけではなく、テープカートリッジ26から送り出されるテープ27が詰まるなどの搬送不良や、フルカッター22及びハーフカッター23の動作不良などの不具合が生じない。
蓋部12は合成樹脂などの材質からなる成形品であり、侵入防止リブ30は蓋部12の一部として一体的に形成される。侵入防止リブ30は蓋部12のみに形成されており、境界線Lを跨いで本体11まで達していないので、製造が容易であり、低コストに得られる。蓋部12の領域のみで侵入防止リブ30が完結しているので、本体11側と蓋部12側とで侵入防止リブ30の位置合わせを行うような手間も要さない。また、侵入防止リブ30は可動部分の無いシンプルな構造であるので、経年使用による故障や精度の狂いなどが生じることがなく、効果を継続的に得ることができる。
侵入防止リブ30は、テープ27の先端を筐体10の底面10d側に入り込ませない侵入防止効果を適切に得られる寸法及び配置に設定されている。
侵入防止リブ30における規制面31は、テープ27が上方から接触したときに、テープ27の先端が侵入防止リブ30を超えて下方に回り込むことを規制する向きに設定されている。具体的には、図4の(A)及び(B)が、本実施形態の侵入防止リブ30における規制面31の構成例である。図4の(C)の侵入防止リブ130は比較例である。
図4の(A)は、規制面31がX軸方向及びY軸方向と略平行な水平面(底面10dに略水平な面)である構成例である。図4の(B)は、侵入防止リブ30の基端側からX軸方向の先端側に進むにつれて、Z軸方向の上方に向かう傾斜を有する面(側面10eとの間の角度が鋭角になる面)として規制面31を設定した構成例である。これらの構成例にすることで、テープ27の先端が侵入防止リブ30を乗り越えにくくなり、侵入防止リブ30による侵入防止効果を確実に得ることができる。従って、規制面31は、略水平な面、又は侵入防止リブ30の先端側へ進むにつれて上方へ傾く面、のいずれかにすることが好ましい。
図4の(C)に示す比較例の侵入防止リブ130は、上方側の面として傾斜面131を有する。傾斜面131は、侵入防止リブ130の基端側からX軸方向の先端側に進むにつれて、Z軸方向の下方に向かう傾斜を有する面(側面10eとの間の角度が鈍角になる面)である。このような傾斜面131では、テープ27の先端が接触したときに傾斜面131に沿って下方へ進行させる分力を生じる可能性がある。すると、テープ27の先端が、侵入防止リブ130の先端を回り込んで下方に落下しやすくなる。実験の結果、Z軸方向に対する傾斜面131の傾斜角が45°以下である場合、侵入防止効果が大きく低下することが判明した。
なお、侵入防止リブ130の傾斜面131とテープ27の先端との間には摩擦力なども作用するため、傾斜面131のような傾斜方向であっても、Z軸方向に対する傾斜角が大きい場合には、テープ27に対する侵入防止効果を発揮する場合もある。
Z軸方向での侵入防止リブ30の位置については、側面10eのうち底面10dに近いほど侵入防止効果が高くなる。本実施形態の侵入防止リブ30は、側面10eのうち底面10dの近傍(側面10eの下端付近)に設けられており、底面10dの直前でテープ27の侵入を防止するので、極めて高い侵入防止効果を得ることができる。
なお、Z軸方向での侵入防止リブ30の位置設定については、ある程度選択の幅を持たせることができるが、なるべくテープ排出口13よりも底面10dに近い位置であることが好ましい。底面10dよりもテープ排出口13に近い位置に侵入防止リブを配した場合、テープ排出口13から排出されたループ形状のテープ27の先端が、侵入防止リブを跨いだ下方で筐体10の側面10eに当接してしまい、侵入防止効果を得られない可能性が高くなる。
印刷装置1では複数種のテープ27を使用可能であるが、これらのテープ27の厚みなどに基づいて研究した結果、本実施形態の侵入防止リブ30の位置では、X軸方向での規制面31の幅(突出量)が0.5mm以上であれば十分な侵入防止効果が得られることが分かった。筐体10の側面10eは完全な平面ではなく、Y軸方向に進むにつれてX軸方向の位置が僅かに変化する湾曲形状であるため、側面10eの湾曲形状による突出量の変化を考慮して0.2mm程度のマージンを持たせて、本実施形態ではX軸方向での侵入防止リブ30の突出量(規制面31の幅)を0.7mmに設定している。
なお、Z軸方向での侵入防止リブ30の位置がテープ排出口13に近くなるほど、侵入防止効果を得るために必要なX軸方向での侵入防止リブ30の突出量(規制面31の幅)が大きくなる傾向になる。そのため、テープ排出口13から遠い側面10eの下端付近に侵入防止リブ30を設けることは、X軸方向で侵入防止リブ30を小型にできるという利点がある。また、底面10dに近い位置の方が、侵入防止リブ30がデザイン上目立ちにくいという利点もある。
本実施形態ではZ軸方向での侵入防止リブ30の厚みを0.5mmに設定している。X軸方向の侵入防止リブ30の突出量を0.7mmにする場合、厚みを0.5mm程度にすると、蓋部12の一部として侵入防止リブ30を形成する場合に、十分な成形精度や強度を確保できる。
Y軸方向での侵入防止リブ30の位置及び幅については、テープ排出口13から排出されるテープ27の軌跡からY軸方向にずれていないことが求められる。基本的には、筐体10の側面10eをX軸方向に沿って側面視した場合に、テープ排出口13の下方の延長上に侵入防止リブ30が位置していればよい。
さらに、テープ排出口13において、印刷装置1で使用する複数種のテープ27が全て通過するY軸方向の領域を設定し、筐体10の側面10eをX軸方向に沿って側面視した場合に、当該領域の下方の延長上に侵入防止リブ30を設けるとよい。これにより、幅が異なる複数種のテープ27の全てに対して、侵入防止リブ30による侵入防止効果を得ることができる。
なお、テープ27の先端の幅の少なくとも一部が侵入防止リブ30に当接すれば侵入防止効果が得られるので、Y軸方向での侵入防止リブ30の幅はテープ27の幅より小さくてもよい。本実施形態では、印刷装置1で使用可能な最大のテープ幅W1よりも、Y軸方向での侵入防止リブ30の幅W2の方が小さい(図2参照)。侵入防止リブ30の幅が小さいと、外観上目立ちにくくデザイン性に優れる、周囲の構成に制約されずに設けやすい、製造時のコストが抑制される、などの利点がある。
具体的な例として、印刷装置1で使用可能なテープ27の幅を6mmから24mmの範囲とする。この場合、Y軸方向での侵入防止リブ30の幅を15mm程度にすることが好ましい。
テープカートリッジ26には、Y軸方向でのテープ27の通過位置を定めるテープガイド(図示略)が設けられている。テープガイドの幅は実際のテープ27の幅に対して余裕を持たせてあり、テープ27が搬送される際には、Y軸方向の通過位置が多少移動する可能性がある。また、テープ排出口13から排出されたテープ27は、風などの影響によって、Y軸方向に多少振られる可能性がある。特にテープ27の幅が小さいほど、テープ排出口13の外側でY軸方向に横振れしやすい。
使用するテープ幅が6mmである場合、侵入防止リブ30のY軸方向の幅が15mm以上あると、上記のようなテープ27の横振れが生じても、Y軸方向でのテープ27の先端位置が侵入防止リブ30の幅の範囲内に収まって、侵入防止リブ30による侵入防止効果を得ることができる。また、使用するテープ幅が24mmである場合、侵入防止リブ30が15mm程度の幅を有していれば、十分な侵入防止効果を得ることができる。
図5及び図6は、印刷装置1における侵入防止部の第2の実施形態として、侵入防止凹部35を設けた構成を示している。先に説明した印刷装置1の構成と共通する部分については、同じ符号で示して説明を省略する。
侵入防止凹部35は、側面10eに対してX軸方向に凹んだ形状であり、Z軸方向の最下方に規制面36を備えている。規制面36は、Z軸方向の上方に向く面であり、第1の実施形態の侵入防止リブ30における規制面31に対応する部位である。規制面36の役割や形状については、側面10eに対してX軸方向に突出しているか凹んでいるかという構成上の相違を除いて、先に説明した規制面31と基本的に共通する。筐体10の側面10eに沿って下方へ進むテープ27の先端が、侵入防止凹部35に入って規制面36に当接すると、テープ27の先端は下方への進行が規制され、底面10dと支持部40の間に侵入しない。よって、図8の(A)に示すように、切断したテープ27Aを確実に筐体10の外部へ排出することができる。
第1の実施形態との相違点として、規制面36を含む侵入防止凹部35のY軸方向の幅W3は、印刷装置1で使用する最大のテープ幅W1以上の大きさを有している。これにより、印刷装置1で使用する全ての種類のテープ27が侵入防止凹部35に入ることが可能になり、幅の大きいテープ27が侵入防止凹部35に入らずに底面10d側へ進んでしまうことを防止できる。
侵入防止凹部35はさらに導入面37を備えている。導入面37は、規制面36に接続する下端側からZ軸方向の上方(テープ排出口13側)へ進むにつれて、側面10eに対するX軸方向の深さが徐々に浅くなる傾斜面である。
導入面37を備えることによって、テープ27の先端をスムーズに侵入防止凹部35に導くことができる。また、導入面37は、規制面36に対して垂直に近い角度で立ち上がる面であるため、規制面36と導入面37の関係は、第1の実施形態における規制面31と側面10eに似たものとなる。従って、仮に規制面36と導入面37の両方にテープ27が接触する状態になっても、規制面36と導入面37の間でテープ27の先端付近を挟み込んで拘束する状態にはならない。
以上から、侵入防止凹部35は、底面10dと支持部40の間へのテープ27の侵入を防ぐと共に、侵入防止凹部35内でテープ27を拘束する状態にはせず、上記の侵入防止リブ30と同様の侵入防止効果を得ることができる。また、侵入防止凹部35は、蓋部12の一部として成形が可能なシンプルな形状であるため、低コストに得ることができる。
以上の実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
例えば、侵入防止リブ30や侵入防止凹部35のような侵入防止部を、筐体10のうち蓋部12ではなく、本体11側に設けてもよい。
上記実施形態の侵入防止リブ30の規制面31と侵入防止凹部35の規制面36は平坦な平面であるが、規制面を凹面にしたり、規制面上に凹凸などを形成したりしてもよい。
上記実施形態の印刷装置1は、上面10cと底面10dの間に4つの面(前面10a、後面10b、側面10e、側面10f)を有する六面体に近い形状の筐体10を有するが、本発明を適用可能な印刷装置の構成はこれに限定されない。例えば、筐体の外面形状が円筒状である印刷装置などにも適用が可能である。この場合、円筒状の外周面上にテープ排出口や侵入防止部を設ける。
上記実施形態の侵入防止リブ30は、Y軸方向に連続する形状の突起部であるが、Y軸方向に間隔を空けて設けた複数の突起部によって侵入防止部を構成してもよい。この場合、最も幅が小さいテープが複数の突起部の間を通過しないような配置設定にする。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
底面が支持部に支持される筐体と、
前記底面よりも上方に設けられ、搬送された被印刷媒体を前記筐体の外部に排出させる排出口と、
前記排出口と前記底面との間の前記筐体の外面に設けられ、前記排出口から排出された前記被印刷媒体の先端が前記底面と前記支持部との間に設けられた隙間に侵入することを規制する侵入防止部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記底面と前記支持部との距離は、前記被印刷媒体の厚み以上の大きさであることを特徴とする、付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
前記侵入防止部は、前記筐体の外面のうち前記底面の近傍に設けられていることを特徴とする、付記1又は付記2に記載の印刷装置。
[付記4]
前記侵入防止部は、前記筐体の外面から突出する突出部であることを特徴とする、付記1から付記3のいずれかに記載の印刷装置。
[付記5]
前記侵入防止部は規制面を有し、
前記規制面は、前記底面に略水平な面、又は前記突出部の先端側へ進むにつれて上方へ傾く面であることを特徴とする、付記4に記載の印刷装置。
[付記6]
前記侵入防止部は、前記筐体の外面に対して凹んだ凹部であることを特徴とする、付記1から付記3のいずれかに記載の印刷装置。
[付記7]
前記侵入防止部は、最下方に位置して上方を向く規制面と、前記規制面から前記排出口側へ進むにつれて浅くなる導入面と、を備えることを特徴とする、付記6に記載の印刷装置。
[付記8]
前記筐体の内部に、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を切断する切断部と、を備えることを特徴とする、付記1から付記7のいずれかに記載の印刷装置。
1 :印刷装置
10 :筐体
10a :前面
10b :後面
10c :上面
10d :底面
10e :側面(筐体の外面)
10f :側面
11 :本体
12 :蓋部
13 :テープ排出口
20 :印刷ヘッド(印刷部)
21 :プラテンローラ(搬送部)
22 :フルカッター(切断部)
23 :ハーフカッター(切断部)
26 :テープカートリッジ
27(27A) :テープ(被印刷媒体)
28 :テープコア
30 :侵入防止リブ(侵入防止部、突出部)
31 :規制面
35 :侵入防止凹部(侵入防止部、凹部)
36 :規制面
37 :導入面
40 :支持部

Claims (7)

  1. 底面が支持部に支持される筐体と、
    前記底面よりも上方に設けられ、所定の方向に搬送された所定の幅の被印刷媒体を前記筐体の外部に排出させる排出口と、
    前記排出口と前記底面との間の前記筐体の外面に設けられ、前記筐体の外面から前記所定の幅より小さい長さで前記所定の方向に突出する突出部であり、前記排出口から排出された前記被印刷媒体の先端が前記底面と前記支持部との間に設けられた隙間に侵入することを規制する侵入防止部と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記底面と前記支持部との距離は、前記被印刷媒体の厚み以上の大きさであることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記侵入防止部は、前記筐体の外面のうち前記底面の近傍に設けられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記侵入防止部は規制面を有し、
    前記規制面は、前記底面に略水平な面、又は前記突出部の先端側へ進むにつれて上方へ傾く面であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
  5. 底面が支持部に支持される筐体と、
    前記底面よりも上方に設けられ、搬送された被印刷媒体を前記筐体の外部に排出させる排出口と、
    前記排出口と前記底面との間の前記筐体の外面に設けられ、前記筐体の外面に対して凹んだ凹部であり、前記排出口から排出された前記被印刷媒体の先端が前記底面と前記支持部との間に設けられた隙間に侵入することを規制する侵入防止部と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  6. 前記侵入防止部は、最下方に位置して上方を向く規制面と、前記規制面から前記排出口側へ進むにつれて浅くなる導入面と、を備えることを特徴とする、請求項5に記載の印刷装置。
  7. 前記筐体の内部に、前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、前記被印刷媒体を切断する切断部と、を備えることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の印刷装置。
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