JP7525360B2 - 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムに関する。
塩化ビニリデン系樹脂は、透明性、耐水性及びガスバリア性等の特性に優れているため、ラップフィルム等として用いられている。近年、電子レンジの普及により、ラップフィルムに包まれた食品をレンジアップすることがおこなわれている。レンジアップとは、冷蔵食品又は冷凍食品を電子レンジで加熱して調理することをいう。
例えば、特許文献1には、縦裂けトラブルが抑制され、かつ、密着性及び透明性に優れるポリ塩化ビニリデン樹脂ラップフィルムに関する技術が開示されている。
また、特許文献2には、臭気を克服しつつ、押出成形時の熱分解を抑制し、かつ、フィルムの過剰密着現象や引出性の低下等、物性の経時変化も少ない塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムに関する技術が開示されている。
特開2011-168750号公報 特開2008-74955号公報
従来の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、密着性に優れるため、食品と密着されて加熱されることになるが、加熱の際、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは収縮する。この時、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの収縮に伴って、食品がつぶれてしまうという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レンジアップしても、内包する食品がつぶれることがない塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムのパルスNMRにて測定される低運動性成分比率を60%以上とすることで、レンジアップしても、内包する食品がつぶれることがないことを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
塩化ビニリデン系樹脂を含有するラップフィルムであって、
パルスNMRにて測定される低運動性成分比率が60%以上である、
塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[2]
前記塩化ビニリデン系樹脂は塩化ビニリデン繰り返し単位を72~93mоl%含有する、上記[1]に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[3]
前記塩化ビニリデン系樹脂はクエン酸エステル、二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド及びエポキシ化植物油よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含み、前記添加剤の合計含有量が2~8重量%である、上記[1]又は[2]に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
[4]
前記塩化ビニリデン系樹脂は温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が60℃を超える、上記[1]~[3]のいずれかに記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
本発明によれば、レンジアップしても、内包する食品がつぶれることがない、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが得られる。
本発明の製膜プロセスで使用された装置の概略図である。 本発明のフィルムの利用形態例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム〕
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム(以下、単に「ラップフィルム」ともいう。)は、パルスNMRにて測定される低運動性成分比率が60%以上である。本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、このような構成を有することにより、レンジアップしても、内包する食品がつぶれることがない、という効果を奏する。この理由は明らかでないが、以下のように推察される。
パルスNMRにて測定される低運動性成分比率は、高温時に分子が運動しにくい部分であり、塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが高温になっても、運動しにくい(すなわち収縮しにくい)部分である。低運動性成分比率が60%以上であることにより、レンジアップ時の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの収縮が抑えられ、レンジアップしても、内包する食品がつぶれることがない。なお、上記理由は推定であり、これに限定されるものではない。
<低温結晶化開始温度>
本実施形態のラップフィルムは、温度変調型示差走査熱量計(温度変調型DSC)にて測定される低温結晶化開始温度が60℃超であることが好ましい。このような構成のラップフィルムは、レンジアップ時の内包する食品のつぶれを更に抑制できる傾向にある。この理由は明らかではないが以下のように推察できる。
低温結晶化開始温度は結晶化度の指標であり、高いほど結晶化度が高いと推測される。すなわち低運動性成分においても結晶の存在比率が高いことを示唆しており、ラップフィルムが高温になっても、低運動性成分がより収縮しにくくなる。従って、レンジアップ時の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの収縮が抑えられ、レンジアップしても、内包する食品がつぶれにくくなる。なお、上記理由は推定であり、これに限定されるものではない。
温度変調型DSCにて測定される低温結晶化開始温度は、レンジアップ時の内包する食品のつぶしにくさ及び食品の包みやすさの観点から、好ましくは61~80℃であり、より好ましくは63~75℃であり、さらに好ましくは65~70℃である。
ここで、低温結晶化開始温度は、温度変調型DSCによる昇温測定で得られる非可逆成分の温度-熱流曲線において、低温結晶化に起因する発熱ピークの補外開始温度(昇温測定において低温側のベースラインを高温側に延長した線と、結晶化ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線の交点の温度)をいう。
DSC昇温測定中に結晶化と結晶融解は協奏して起こるため、従来のDSC測定方法では微結晶の形成・成長と融解に由来する熱流が相殺されてしまい、微結晶の熱挙動を検討することは難しく、従来のラップフィルムと本実施形態のラップフィルムを区別することが困難であった。一方、温度変調型DSCを利用した場合、結晶化等の非可逆成分と結晶融解やガラス転移等の可逆成分の熱流に分離することができ、微結晶の熱挙動を評価することが可能となる。
ラップフィルムの低温結晶化開始温度を60℃超とするためには、例えば、TD方向の延伸倍率とMD方向の延伸倍率の積(TD延伸倍率×MD延伸倍率)を上げるか、延伸時の温度を下げる事により、延伸過程で掛かる応力を上昇させ配向結晶化を促進すればよい。
<パルスNMR>
本実施形態のラップフィルムは、パルスNMRにて測定される低運動性成分比率が60%以上である。低運動性成分比率は、レンジアップ時の内包物のつぶしにくさ及び食品を包むのに十分な柔軟性を両立させる観点から、好ましくは60~80%であり、より好ましくは63~80%であり、さらに好ましくは65~75%である。
また、本実施形態のラップフィルムは、パルスNMRにて測定される高運動性成分比率が10%以下であることが好ましい。高運動性成分比率が10%以下である場合、高温時に運動する成分及び分子の運動を促進する成分が十分に少ないため、更にレンジアップ時の内包物をつぶしにくくなる傾向にある。
高運動性成分比率は、食品を包むのに十分な密着性及びレンジアップ時の内包物のつぶしにくさの観点から、好ましくは1~10%であり、より好ましくは2~8%であり、さらに好ましくは3~6%である。
パルスNMRは、有機化合物の構造決定などにおいて汎用されるような高分解能NMRとは異なり、系内の分子運動性と関連した1H核の各緩和時間を測定することができるとともに、その高い定量性を利用して、系内における各運動成分の存在割合を求めることができる分析法である。
本実施形態においては、ラップフィルムにおける、Cs:低運動性成分のモル分率、Cm:中間成分のモル分率およびCl:高運動性成分のモル分率を求めるにあたり、1Hのスピン-スピン緩和時間T2を用いる。
具体的には、1Hのスピン-スピン緩和時間T2の測定において得られる自由誘導減衰(FID)信号が下記式に近似的にあてはまるように、当該あてはめ(フィッティング)は線形最小二乗法を用いて行うことが好ましい。パルスNMRを測定する際の具体的な各条件としては、実施例において後述する各条件をそれぞれ採用することができる。
s:低運動性成分のモル分率
m:中間成分のモル分率
l:高運動性成分のモル分率
s:低運動性成分の緩和時間
m:中間成分の緩和時間
l:高運動性成分の緩和時間
パルスNMRにて測定される低運動性成分比率を60%以上とする方法としては、例えば、MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率の積(MD延伸倍率×TD延伸倍率)や、延伸時の温度を調整することにより、延伸過程で掛かる応力を調整したり、インフレーション成型する場合には環状ダイの内径を調整すること等が挙げられる。MD延伸倍率は、好ましくは4倍~9倍であり、より好ましくは5倍~8倍であり、さらに好ましくは6倍~8倍である。MD延伸倍率×TD延伸倍率は、好ましくは19~40倍であり、より好ましくは21~38倍であり、さらに好ましくは22~35倍であり、特に好ましくは25~33倍である。ダイの内径は、好ましくは20~60mm、より好ましくは25~50mm、更に好ましくは30~45mmである。
また、塩化ビニリデン系樹脂の有する塩化ビニリデン繰り返し単位を調整することによっても低運動性成分比率を調整できる。塩化ビニリデン繰り返し単位の含有率は、好ましくは72~93mоl%であり、より好ましくは75~90mоl%である。
さらに、可塑剤総量を調整することによっても低運動性成分比率を調整することができる。可塑剤総量は好ましくは2~8重量%であり、より好ましくは3~8重量%である。
パルスNMRにて測定される高運動性成分比率を10%以下とする方法としては、例えば、延伸倍率の積や延伸時の温度、塩化ビニリデン繰り返し単位、可塑剤総量を調整すること等が挙げられる。
<ラップフィルムの厚み>
本実施形態のラップフィルムの厚みは、特に限定されないが、6~18μmが好ましく、9~12μmがより好ましい。ラップフィルムの厚みが6μm以上の場合、フィルムの引張強度が高く、使用時のフィルム切れを一層抑制できる傾向にある。また、引裂強度の著しい低下がなく、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際、化粧箱付帯の切断刃でカットした端部からフィルムが裂けるトラブルを低減できる傾向にある。一方、ラップフィルムの厚みが18μm以下の場合、フィルム切断刃でフィルムをカットするのに必要な力を低減でき、カット性が良好であり、また、フィルムが容器形状にフィットしやすく、容器への密着性が向上する傾向にある。すなわち、フィルム切れのトラブル抑制、カット性、及び密着性のバランスの観点から、ラップフィルムの厚みは、6~18μmが好ましく、9~12μmがより好ましい。
ラップフィルムの厚みは、後述する実施例に記載された方法に従って測定することができる。
<引裂強度>
本実施形態のラップフィルムは、TD方向の引裂強度が2.0~6.0cNであることが好ましい。ここで、TD方向とは、巻回体からラップフィルムを引き出す方向に垂直な方向をいう。引裂強度は、後述の実施例に記載された方法によって測定される。
本実施形態のラップフィルムは、TD方向の引裂強度が2.0cN以上であることにより、特に巻回体からラップフィルムを引き出す際の裂けを低減でき、また、ラップフィルム使用時の意図しない裂けトラブルを抑制できる傾向にある。一方、TD方向の引裂強度が6.0cN以下であることにより、化粧箱に付帯する鋸刃でフィルムをTD方向にカットする際に裂きやすく、カット性が向上する傾向にある。TD方向の引裂強度は2.5~4.0cNであることがより好ましい。
本実施形態のラップフィルムのTD方向の引裂強度は、塩化ビニリデン系樹脂の組成、添加剤組成、フィルムの延伸倍率、延伸速度、及びフィルムの厚み等によって調整できる。TD方向の引裂強度は、例えば、TD方向の延伸倍率を低くしたり、ラップフィルムを厚くすることによって向上する傾向にあり、TD方向の延伸倍率を高くしたり、ラップフィルムを薄くすることによって低下する傾向にある。
<塩化ビニリデン系樹脂>
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、塩化ビニリデン系樹脂を含有する。
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン繰り返し単位を含むものであれば特に制限されず、塩化ビニリデン繰り返し単位以外に、例えば塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル等、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体が一種又は二種以上共重合されていてもよい。
塩化ビニリデン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは80.000~200,000であり、より好ましくは90,000~180,000であり、さらに好ましくは100,000~170,000である。重量平均分子量が80,000以上であれば、使用時のフィルムの切れを抑制できる傾向にあり、200,000以下であれば、加工適性に優れる傾向にある。重量平均分子量が上記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。なお、本実施形態において、重量平均分子量は、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー法(GPC法)により、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、特に制限されないが、前記塩化ビニリデン系樹脂に加えて、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。前記添加剤は、特に制限されず、例えば、エポキシ化植物油等の公知の安定剤、及びクエン酸エステルや二塩基酸エステル等の公知の可塑剤等が挙げられる。
ラップフィルム中の各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。例えば、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、重量測定して得ることができる。
一方、エポキシ化植物油の含有量は、例えば、H-NMR測定することにより得ることができる。サンプルを50mg秤量し、重溶媒(溶媒:重水素化テトラヒドロフラン、内部標準:テレフタル酸ジメチル、容量:0.7ml)に溶かし、400MHzプロトンNMR(積算回数:512回)を測定する。8.05~8.11ppmの積分値に対する2.23~2.33ppmの積分値の比を積分比とし、絶対検量線法で定量値を計算する。
積分比=積分値(2.23~2.33ppm)/積分値(8.05~8.11ppm)
また、クエン酸エステル、二塩基酸エステル及びアセチル化脂肪酸グリセライドの含有量は、アセトン等の有機溶媒を用いて、抽出溶媒の沸点より5~10度低い温度にてラップフィルムから添加剤を抽出し、ガスクロマトグラフィー分析して得ることができる。
<エポキシ化植物油>
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、ラップフィルムの色調変化の抑制の観点から、エポキシ化植物油を含有することが好ましい。エポキシ化植物油は、塩化ビニリデン系樹脂押出加工用安定剤としても作用する。
エポキシ化植物油としては、特に限定されないが、一般的に、食用油脂をエポキシ化して製造されるものが挙げられる。具体的には、例えば、エポキシ化大豆油(ESO)、エポキシ化アマニ油が挙げられる。
本実施形態のラップフィルムがエポキシ化植物油を含有する場合も、その含有量は特に限定されないが、ラップフィルムの色調変化の抑制、臭気バリア性の維持等の観点から、塩化ビニリデン系樹脂に対し、0.5~5重量%が好ましく、1~3重量%がより好ましい。
本実施形態のラップフィルムは、成形加工性等の観点から、クエン酸エステル、二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド及びエポキシ化植物油からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
<クエン酸エステル>
本実施形態のラップフィルムに用いられるクエン酸エステルは、特に限定されないが、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、アセチルクエン酸トリ-n-(2-エチルヘキシル)などが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニリデン系樹脂に対する可塑化効果が高く、少量でも十分に樹脂を可塑化し、成形加工性が向上する傾向にあるため、ATBCが好ましい。
<二塩基酸エステル>
本実施形態のラップフィルムに含まれる二塩基酸エステルとしては、特に限定されないが、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジn-ヘキシル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル系;アゼライン酸ジ-2-エチルヘキシル、アゼライン酸オクチル等のアゼライン酸エステル系;セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等のセバシン酸エステル系などが挙げられる。これらの中でも、塩化ビニリデン系樹脂に対する可塑化効果が高く、少量でも十分に樹脂を可塑化し、成形加工性が向上する傾向にあるため、DBSが好ましい。
<アセチル化脂肪酸グリセライド>
本実施形態のラップフィルムに含まれるアセチル化脂肪酸グリセライドとしては、特に限定されないが、グリセリンジアセチルモノラウレートなどが挙げられる。
クエン酸エステルや二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド、エポキシ化植物油の合計含有量は、特に限定されないが、塩化ビニリデン系樹脂に対し、2~8重量%が好ましく、3~7重量%がより好ましく、3~5重量%がさらに好ましく、3.5~5重量%が特に好ましい。クエン酸エステルや二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド、エポキシ化植物油の合計含有量が2重量%以上であれば、より優れた成形加工性が付与される上に、レンジアップ時の収縮を更に抑えられる傾向にある。合計含有量が8重量%以下であれば、適度な密着性を維持でき、かつ臭気バリア性が維持される上に、レンジアップ時の収縮を更に抑えられる傾向にある。合計含有量がレンジアップ時の収縮特性に影響を及ぼす理由は明らかではないが、下記のように推察される。
クエン酸エステルや二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド、エポキシ化植物油の合計含有量が2重量%以上であれば、良好な密着性と成型加工性を維持できる。一方、クエン酸エステルや二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド、エポキシ化植物油の合計含有量が8重量%以下であれば、低運動性成分が含有する添加剤の割合が小さくなるため、フィルムがより収縮しにくくなる。なお、上記理由は推定であり、これに限定されるものではない。
<その他の配合物>
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、前記エポキシ化植物油、クエン酸エステル、二塩基酸エステル及びアセチル化脂肪酸グリセライド以外の配合物(以下、「その他の配合物」という。)、例えば可塑剤、安定剤、耐候性向上剤、染料又は顔料等の着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤、ポリエステル等のオリゴマー、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体)等のポリマー等を含有してもよい。
前記可塑剤としては、特に限定されないが、具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、及びリン酸エステル等が挙げられる。
前記安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、2,5-t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2-エチル-ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤が挙げられる。
前記耐候性向上剤としては、特に限定されないが、具体的には、エチレン-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)5-クロロベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤が挙げられる。
前記染料又は顔料等の着色剤としては、特に限定されないが、具体的には、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、及びベンガラ等が挙げられる。
前記防曇剤としては、特に限定されないが、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
前記抗菌剤としては、特に限定されないが、具体的には、銀系無機抗菌剤等が挙げられる。
前記滑剤としては、特に限定されないが、具体的には、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸エステル滑剤等が挙げられる。
前記核剤としては、特に限定されないが、具体的には、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。
前記その他の配合物の含有量は、ラップフィルムに対して5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
〔塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法〕
本実施形態の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン系樹脂等を含む樹脂組成物を溶融押し出しした後、MD方向及びTD方向に延伸する方法を用いることができる。このとき、例えば、MD方向の延伸倍率を4~9倍、TD方向の延伸倍率を2~6倍とすることができる。
以下、本実施形態のラップフィルムの好ましい製造方法について説明する。
まず、塩化ビニリデン系樹脂と、必要に応じて、エポキシ化植物油、クエン酸エステル、二塩基酸エステル及びアセチル化脂肪酸グリセライドからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、必要に応じて種々の添加剤とを、リボンブレンダー又はヘンシェルミキサー等で均一に混合させ、24時間熟成させて塩化ビニリデン系樹脂組成物を製造する。その後、図1にラップフィルムの製造工程の一例の概略図を示すように、該樹脂組成物を押出機(1)により溶融させ、ダイ(2)から管状に押出し、ソック(4)を形成する。ソック(4)の外側を冷水槽(6)にて冷水に接触させ、ソック(4)の内部にはソック液(5)を注入することにより、内外から冷却して固化させる。固化されたソック(4)は、第1ピンチロール(7)にて折り畳まれ、パリソン(8)が成形される。
続いて、パリソン(8)の内側にエアを注入することにより、再度パリソン(8)は開口されて管状となる。このとき、ソック(4)内面に表面塗布したソック液(5)はパリソン(8)の開口剤としての効果を発現する。パリソン(8)は、温水により延伸に適した温度まで再加熱される。パリソン(8)の外側に付着した温水は、第2ピンチロール(9)にて搾り取られる。適温まで加熱された管状のパリソン(8)にエアを注入してバブル(10)を成形し、延伸フィルムが得られる。その後延伸フィルムは、第3ピンチロール(11)で折り畳まれ、ダブルプライフィルム(12)となる。ダブルプライフィルム(12)は、巻き取りロール(13)にて巻き取られる。さらに、このフィルムはスリットされて、1枚のフィルムになるように剥がしながら巻き取られ、一時的に1~3日間原反の状態で保管される。最終的には原反から紙管に巻き返され、化粧箱に詰められることで、化粧箱に収納された塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム巻回体が得られる。
上記記載の第1ピンチロール(7)から第3ピンチロール(11)までの工程が延伸工程であり、第1ピンチロール(7)と第3ピンチロール(11)の回転速度比でMD方向の延伸倍率が決まり、パリソン(8)の延伸温度やバブル(10)の大きさでTD方向の延伸倍率を調整できる。
これに対して、パルスNMRにて測定される低運動性成分比率を60%以上に制御した、レンジアップしても、内包する食品がつぶれることがない塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムは、特に制限されないが、延伸温度10~28℃条件下において、MD方向の延伸倍率を4~9倍、TD方向の延伸倍率を2~6倍とすることにより、好適に製造できる。
ここで、MD方向とは、フィルムの流れ方向であり、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向をいい、TD方向とは、前記MD方向と垂直な方向であり、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向に垂直な方向をいう。
また、MD方向の延伸倍率は、パリソン(8)をMD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、第1ピンチロール(7)の回転速度に対する第3ピンチロール(11)の回転速度の比によって算出できる。TD方向の延伸倍率は、パリソン(8)をTD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、パリソン(8)の幅の長さに対するダブルプライフィルム(12)の幅の長さの比によって算出できる。
スリット原反は、保管後、特に制限されないが、例えば紙管等に巻き返され、巻回体(16)として、図2に示すようなフィルム切断刃(15)を備える化粧箱(14)に収納される。図2に例示するように、ラップフィルム(17)は、使用時に引き出されて使用される。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。実施例及び比較例における各物性の測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
(測定方法)
1.塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量
塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムの塩化ビニリデン繰り返し単位の比率は、高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置(H-NMR:400MHz以上)を用いて測定した。ラップフィルム0.5gをテトロヒドロフラン10mlに溶解し、メタノール約30mlを加えて樹脂分を析出させた後、遠心分離にて析出物を分離、乾燥し、再沈濾過物を得た。再沈濾過物を真空乾燥し、5重量%になるように重水素化テトラヒドロフランに溶解させた溶液を、測定雰囲気温度約27℃にてH-NMR測定した。塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体に関しては、テトラメチルシランを基準とした前記共重合体の3.50~4.20ppm、2.80~3.50ppm、2.00~2.80ppmのピークを利用して塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量を計算した。
2.フィルムの厚み
測定にはダイアルゲージ(テクロック社製)を利用し、23℃、50%RHの雰囲気中で行った。
3.引裂強度
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、ラップフィルムの引裂強度を測定した。測定は軽荷重引裂試験機D型(東洋精機製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて引裂強度の測定を行った。引裂方向のサンプル長さは63.5mmとし、サンプル幅は50.0mmとした。測定の際には、振り子を持ち上げてから止めた後、試験片を注意深くつまみ具に取り付け、スリットを入れる位置がフィルム幅の中央となるように、クランプをしっかりと締め付けた。その後、装置に取り付けられたナイフでフィルムにスリットを入れた。この際に、フィルムの切り込み長さが12.7mm±0.5mmになるよう、ナイフの刃位置を調整した。スリットを入れた後、振り子を注意深く解放し、試験片を引き裂くのに要した力の値を読み取った。引裂線がスリットの延長線より10mm以上それた試験は除外し、代わりに追加の試験片の試験を行った。測定結果は小数点第二位の値を四捨五入した。
4.低温結晶化開始温度
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、ラップフィルムの低温結晶化開始温度を測定した。パーキンエルマー社製示差走査熱量測定装置(DSC)(入力補償型ダブルファーネスDSC8500)を使用し、ステップスキャン測定モード(サンプル重量:6mg、サンプルパン材質:アルミ製、測定温度:0~180℃、昇温速度:10℃/min、昇温ステップ幅:4℃、等温時間:1min)を利用した。空のアルミ製サンプルパンについても同様の温度条件にて測定し、これをブランクとした。温度-熱流曲線の非可逆成分において、低温結晶化に起因する発熱が開始する温度を低温結晶化開始温度とした。
5.パルスNMR
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、ラップフィルムのパルスNMRを測定した。略正方形に切断したラップフィルム1gを折りたたみ円筒状に丸め、直径10mmのNMRチューブに詰め、下記の条件によりパルスNMRを用いて測定した。
[条件]
装置:Bruker Biоspin社製 Мinispec МQ20
核種:1H
測定:T2
測定法:ソリッドエコー法
測定温度:40℃(設定温度に達してから5min後に測定)
積算回数:256回
繰り返し時間:1.0sec
試料量:約1g
得られた自由誘導減衰(FID)曲線を、下式を用いて3成分に分離し、それぞれの成分比率及び緩和時間を求めた。
下式第一項のガウス関数とsinc関数を組み合わせた関数で表される成分を低運動性成分、下式第二項のローレンツ関数で表される成分を中間成分、下式第三項のローレンツ関数で表される成分を高運動性成分とした。
s:低運動性成分のモル分率
m:中間成分のモル分率
l:高運動性成分のモル分率
s:低運動性成分の緩和時間
m:中間成分の緩和時間
l:高運動性成分の緩和時間
6.米飯の調製方法
以下の(1)~(3)の手順により、米飯の調製を行った。
(1)炊飯:三重県産コシヒカリ無洗米600gを、水道水798g(無洗米重量の1.33倍)を用いて、IH電気釜(象印製)の無洗米コースにより炊飯した。
(2)包装:(1)の方法で炊飯後、直ちに釜の中の米飯が均一になるように杓文字でよく混ぜ、そのうち150gの米飯を、球形に手で握り成型した。
(3)放冷:上記成型した米飯を、室温(23℃)にて、表面温度が40℃になるまで放冷したのち、冷蔵庫に24時間放置し、表面温度が5℃になるようにした。
(4)包みやすさ評価:(3)で得られた米飯をラップフィルムで包装し、そのときの包みやすさを、3点(包みやすい)、2点(まあ包みやすい)、1点(やや包みにくい)、0点(包みにくい)の4段階で判定してもらった。モニター30名の平均点で次の4段階で評価した。
評価記号 平均点 判定
A 2.5点以上 包みやすい
B 1.5点以上 まあ包みやすい
C 0.5点以上 やや包みにくい
D 0.5点未満 包みにくい
(5)つぶれにくさ評価:ラップフィルムで包んだ米飯をラップフィルムごと800Wの電子レンジで5分加熱し、加熱終了後の米飯のつぶれ具合を目視で確認し、そのときのつぶれ具合を、3点(ほとんどつぶれていない)、2点(ごくわずかにつぶれている)、1点(ややつぶれている)、0点(つぶれている)の4段階で判定してもらった。モニター30名の平均点で次の4段階で評価した。
評価記号 平均点 判定
A 2.5点以上 ほとんどつぶれていない
B 1.5点以上 ごくわずかにつぶれている
C 0.5点以上 ややつぶれている
D 0.5点未満 つぶれている
[実施例1]
重量平均分子量120,000の塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン繰り返し単位が85mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が15mоl%)、ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、田岡化学工業(株))、ESO(ニューサイザー510R、日本油脂(株))をそれぞれ93.4重量%、5.5重量%、1.1重量%の割合で混ぜたもの合計10kgをヘンシェルミキサーにて5分間混合させ、24時間以上熟成して塩化ビニリデン系樹脂組成物を得た。
上記の塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融押出機に供給して溶融し、押出機の先端に取り付けられた環状ダイでのスリット出口での溶融樹脂温度が170℃になるように押出機の加熱条件を調節しながら、管状に10kg/hrの押出速度で押出した。ダイの内径は50mmとした。
これを過冷却した後、インフレーション延伸によって、延伸温度は25℃で、MD方向は7.4倍に延伸し、TD方向は2.5倍に延伸して筒状フィルムとし、ダブルプライフィルムの幅125mmの2枚重ねのフィルムを巻取速度18m/minにて巻き取った。このフィルムを、115mmの幅にスリットし、1枚のフィルムに剥がしながら外径92mmの紙管に巻き直した。その後、30時間の間15℃で保管し、外径36mm、長さ300mmの紙管に20m巻き取ることで、ラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
12.5kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は3.5倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅178mmとした以外は[実施例1]と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
15kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅215mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
18kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.7倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅235mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
延伸温度20℃で、TD方向は2.5倍に延伸した以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
延伸温度15℃で、TD方向は2.4倍に延伸した以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
塩化ビニリデン繰り返し単位が71mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が29mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、20kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は5.5倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅275mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
塩化ビニリデン繰り返し単位が73mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が27mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、15kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅215mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
塩化ビニリデン繰り返し単位が78mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が22mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、15kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅215mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例10]
塩化ビニリデン繰り返し単位が88mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が12mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、15kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅215mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例11]
塩化ビニリデン繰り返し単位が92mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が8mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、15kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅215mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例12]
塩化ビニリデン繰り返し単位が94mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が6mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、TD方向は2.5倍に延伸した以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例13]
塩化ビニリデン系樹脂98.5重量%、ATBC0.5重量%、ESO1.0重量%混ぜたものを用いた以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例14]
塩化ビニリデン系樹脂97.5重量%、ATBC1.2重量%、ESO1.3重量%混ぜたものを用いた以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例15]
塩化ビニリデン系樹脂96重量%、ATBC1.0重量%、DALG(グリセリンジアセチルモノラウレート、理研ビタミン)1.7重量%、ESO1.3重量%混ぜたものを用いた以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例16]
塩化ビニリデン系樹脂94重量%、DBS(セバシン酸ジブチル、大八化学工業)3重量%、DALG1.7重量%、ESO1.3重量%混ぜたものを用いて、12.5kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は3.5倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅175mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例17]
塩化ビニリデン系樹脂93.4重量%、ATBC5.3重量%、ESO1.3重量%混ぜたものを用いて、20kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は3.5倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅280mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例18]
塩化ビニリデン系樹脂92.5重量%、ATBC3.0重量%、DALG2.5重量%、ESO2.0重量%混ぜたものを用いて、20kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅280mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例19]
塩化ビニリデン系樹脂91.5重量%、ATBC2.5重量%、DALG2.0重量%、DBS2.0重量%、ESO2.0重量%混ぜたものを用いて、20kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅280mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例20]
ダイの内径を30mmとし、6kg/hrの押出速度で押出し、ダブルプライフィルムの幅76mmとし、65mmの幅にスリットした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例21]
ダイの内径を35mmとし、7kg/hrの押出速度で押出し、ダブルプライフィルムの幅88mmとし、80mmの幅にスリットした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[実施例22]
ダイの内径を40mmとし、8kg/hrの押出速度で押出し、ダブルプライフィルムの幅100mmとし、90mmの幅にスリットした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[実施例23]
ダイの内径を45mmとし、9kg/hrの押出速度で押出し、ダブルプライフィルムの幅113mmとし、100mmの幅にスリットした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例1]
20kg/hrの押出速度で押出し、MD方向は3.7倍に延伸し、TD方向は5.6倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅280mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例2]
塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量を110,000とし、塩化ビニリデン繰り返し単位が84mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が16mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、塩化ビニリデン系樹脂92.8重量%、ATBCの添加量を2.3重量%とし、ESOの添加量を2.2重量%とし、DALGの添加量を2.8重量%として、15kg/hrの押出速度で押出し、MD方向は4.2倍に延伸し、TD方向は4.3倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅215mmとした以外は実施例1と同様の方法にてラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例3]
塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量を130,000とし、塩化ビニリデン繰り返し単位を80mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が20mоl%とし、ATBCの添加量を5.2重量%とし、ESOの添加量を1.8重量%として、12.5kg/hrの押出速度で押出し、MD方向の延伸倍率を4.5倍、TD方向の延伸倍率を3.6倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅182mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例4]
塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量を130,000とし、塩化ビニリデン繰り返し単位を81mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が19mоl%とし、ATBCの添加量を5.3重量%とし、ESOの添加量を1.5重量%として、12kg/hrの押出速度とし、MD方向の延伸倍率を4.9倍、TD方向の延伸倍率を3.1倍に延伸し、ダブルプライフィルムの幅157mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例5]
延伸温度を30℃としたこと以外は実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例6]
塩化ビニリデン繰り返し単位が71mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が29mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、15kg/hrの押出速度で押出し、ダブルプライフィルムの幅215mmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で作製することで、ラップフィルムの巻回体を得た。評価結果を表3に示す。
[比較例7]
塩化ビニリデン繰り返し単位が94mоl%、塩化ビニル繰り返し単位が6mоl%の塩化ビニリデン系樹脂を用いて、15kg/hrの押出速度で押出し、TD方向は4.3倍に延伸し、それ以外は実施例1と同様の方法で作成しようとしたが、この条件では成膜できなかった。

Claims (2)

  1. 塩化ビニリデン系樹脂を含有するラップフィルムであって、
    パルスNMRにて測定される低運動性成分比率が60%以上であり、
    前記塩化ビニリデン系樹脂はクエン酸エステル、二塩基酸エステル、アセチル化脂肪酸グリセライド及びエポキシ化植物油よりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含み、
    前記塩化ビニリデン系樹脂は温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が60℃を超える、
    塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
  2. 前記塩化ビニリデン系樹脂は塩化ビニリデン繰り返し単位を72~93mоl%含有する、請求項1に記載の塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム。
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