JP7524615B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本開示は、化粧シートに関する。
従来、パール顔料からなるパール層を設けることにより光沢感を付与し、高意匠な表現を可能にした化粧シートは、パール層に接する隣接層との間の密着強度の低さが指摘されている。
これに対し、パール層におけるパール顔料の含有量を、パール層の質量に対して1/3の範囲内にすることにより、剥離強度を向上させた化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-77697号公報
意匠性の高いパール層を形成するために、パール層に高濃度のパール顔料を含有させることが望まれている。しかしながら、高濃度のパール顔料を含有するパール層は、このパール層に接する隣接層との間で十分な密着強度が得られなかった。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、十分な密着強度を備えつつ意匠性に優れた化粧シートを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る化粧シートは、基材と、前記基材の一方の面に設けられ、パール顔料とポリカプロラクトンを構成要素として含むウレタン樹脂とを含有するパールインキ層を有する絵柄層と、を備える。
本開示の一態様に係る化粧シートであれば、十分な密着強度を備えつつ意匠性に優れた化粧シートを提供することが可能となる。
本開示の第一実施形態に係る化粧シートの一構成例を示す断面図である。 本開示の第二実施形態に係る化粧シートの一構成例を示す断面図である。
本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図1及び図2に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率などは現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造などが下記のものに限定されるものでない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<第一実施形態>
本開示の第1実施形態に係る化粧シートの基本構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る化粧シート10の構成を示す断面図である。化粧シート10は、基材11と、基材11上に形成された絵柄層12と、絵柄層12上に形成された接着層13と、接着層13上に形成された透明樹脂層14と、透明樹脂層14上に形成された表面保護層15とを備えている。また、化粧シート10は、また、基材の絵柄層側とは反対側の面に、プライマー層16を備えている。以下、本実施形態として、絵柄層12を印刷形成した基材11に接着層13を介して透明樹脂層14を接合し、さらに表面保護層15を設けた化粧シート10について図1を用いて説明する。
(基材)
基材11を構成する樹脂、即ち樹脂成分は、ポリオレフィンまたはポリエステルが好適に用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレートなどの既存材料から任意に選択可能である。
基材11には、隣接する層との密着性を補うため、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。
なお、基材11がポリオレフィンまたはポリエステルであれば、後述する絵柄層12との密着性が確実になる。
また、基材11の厚さは、10μm以上200μm以下の範囲内であれば好ましい。基材11の厚さが上記数値範囲内であれば、耐衝撃性、耐キャスター性及び加工性をそれぞれ十分に備えた化粧シートとなる。
(絵柄層)
絵柄層12は、化粧シートに所望の絵柄や光沢による意匠性を付与する層である。本実施形態において、絵柄層12は、パール顔料とポリカプロラクトンを構成要素として含むウレタン樹脂とを含有するパールインキ層12cを備えている。本実施形態では、絵柄層12がパールインキ層12cのみを備える場合について説明する。
(パールインキ層)
パールインキ層12cは、ウレタン樹脂にパール顔料を含有する塗工液(インキ)を印刷で塗工して形成される。
パールインキ層12cは、複数種類のパール顔料を用いて形成されるが、形成領域によって使用するパール顔料が一種類となるように調整されている。なお、パール顔料は、例えば金パールと銀パールとを混合した混合パールを含むパール顔料であっても良い。混合パールは、例えば金パールの含有量が、混合パール全体の質量に対して、20質量%以上30質量%以下である。
パール顔料は、二酸化チタン被覆雲母、金、銀、アルミニウムなどを材料とした、鱗状薄片などの薄片形状に形成されている。
パールインキ層12cのパール顔料の粒径は、特に限定されないが、1μm以上60μm以下の範囲内であれば好ましく、5μm以上50μmの範囲内であればさらに好ましい。パール顔料が5μm以上であると、光沢感が付与され、意匠性が向上する。パール顔料が50μm以下であると、パールインキ層12c内から剥離せず、密着強度が向上する。
パールインキ層12cの厚さは、パール顔料の粒径に合わせて、1μm以上60μm以下の範囲内であれば好ましく、5μm以上50μm以下の範囲内であればさらに好ましい。パールインキ層12cの厚さが5μm以上であると、光沢感が付与され、意匠性が向上する。パールインキ層12cの厚さが50μm以下であると、パールインキ層12c内から剥離せず、密着強度が向上する。
パールインキ層12cにおけるパール顔料の含有量は、パールインキ層12cの質量に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲内であれば好ましく、35質量%以上50質量%以下の範囲内であればさらに好ましい。パール顔料の含有量が35質量%以上である場合、光沢を帯びることにより意匠性が向上する。パール顔料の含有量が50質量%以下である場合、密着性が向上する。
また、パールインキ層12cはウレタン樹脂を含有している。パールインキ層12cは、ウレタン樹脂の他に、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリルポリオール樹脂等を使用できる。また、必要に応じて、イソシアネート系の硬化剤、シリコンオイル等の滑剤やワックス等の耐摩強化剤を1%以上5%以下添加しても良い。
パールインキ層12cにおいて、ウレタン樹脂は、例えばポリカプロラクトンを含んでいる。
ポリカプロラクトンは、εカプロラクトンの開環重合で得られる材料であり、内部にエステル結合を有する。このため、パールインキ層12cと基材との密着性、即ち基材密着性が向上する。ポリカプロラクトンは、例えば汎用されているポリエステルと比べて、一般に耐加水分解性が優れている。
本実施形態のウレタン樹脂の分子量は、特に限定されず、例えば、通常印刷によって形成される絵柄層12の印刷適性や化粧シート10の諸性能を考慮すると、質量平均分子量(MW)は、5,000以上100,000以下の範囲内が好ましい。
上記数値範囲内であれば、印刷適性を容易に向上させることができる。
本実施形態のウレタン樹脂の硬化に用いる硬化剤は、特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートおよびその水添物、あるいはジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水添物などを含む市販の硬化剤から適宜選択して用いることができる。
パールインキ層12cは、通常は本実施形態のウレタン樹脂にパール顔料を含有してなる塗工液(インキ)を基材11に印刷することで形成されるが、その他の樹脂成分を必要に応じ添加してもよい。
塗工液(インキ)のウレタン樹脂以外の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、光安定剤など各種添加剤などを用いることができる。顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
パールインキ層12cを設ける方法は、特に限定されず、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷など通常の印刷方法を用いることができる。
パールインキ層12cは、パールインキの乾燥後の塗布量が5ml/m以上25ml/m以下の範囲内であれば好ましい。パールインキの塗布量が5ml/m以上であれば、光沢感が付与され意匠性が向上する。パールインキの塗布量が25ml/m以下であれば、層間密着性が向上する。
(接着層)
絵柄層12を印刷形成した基材11に透明樹脂層14を接合する方法は特に限定されず、例えば、必要に応じて接着層13を介した熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート、サンドラミネートなどの各種ラミネート手法を用いることができる。
接着層13の材料は、特に限定されず、例えば、ウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系などの樹脂材料から適宜選択して用いることができる。接着層13は、適宜選択しインキ化した材料を、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の塗布方法を用いて形成される。
また、接着層13の厚さは特に限定されないが、1μm以上20μm以下の範囲内が望ましい。接着層13の厚さが1μm以上であれば、接着強度が向上する。接着層13の厚さが20μm以下であれば、必要以上に多くの量の接着剤を使用する必要がなくコストを低減することができる。
(透明樹脂層)
透明樹脂層14の材料は、特に限定されず、例えば、ポリオレフィンが好適に用いられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンや、各種αオレフィンコポリマ(プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの共重合体)が用いられる。
透明樹脂層14は、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を配合してもよい。
透明樹脂層14の作製方法は、特に限定されず、例えば、カレンダー成膜や押出成膜など通常の方法を用いることができる。
透明樹脂層14は、意匠性を付与するために表面凹凸、所謂エンボスを設けてもよい。凹凸を設ける方法としては、例えば、透明樹脂層14を押出成形した後に熱エンボス加工を施す方法や、押出形成時に凹凸を設けた冷却ロールを用い押出し成形と同時にエンボス加工を施す方法がある。
また、透明樹脂層14の層厚は特に限定されないが、20μm以上200μm以下の範囲内が望ましい。透明樹脂層14の厚さが20μm以上であれば、耐傷性が向上する。透明樹脂層14の厚さが200μm以下であれば、必要以上に多くの量の樹脂材料を使用する必要がなくコストを低減することができる。
(表面保護層)
表面保護層15は、化粧シート10に耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性などの機能を付与するために設けられた層である。表面保護層15の材料としては、特に限定されず、例えば、ウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系などの樹脂材料より適宜選択して用いられる。
表面保護層15は、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤を配合してもよい。
表面保護層15の形成方法は、特に限定されず、前述の材料を塗液化したものを、例えばグラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の方法で塗布した後、熱硬化や紫外線硬化など材料に適合した方法で硬化させることで表面保護層15を形成する。
また、表面保護層15の層厚は特に限定されないが、3μm以上20μm以下の範囲内が望ましい。透明樹脂層14の厚さが3μm以上であれば、耐傷性が向上する。透明樹脂層14の厚さが20μm以下であれば、必要以上に多くの量の樹脂材料を使用する必要がなくコストを低減することができる。
<第一実施形態の効果>
以上のような化粧シート10は、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の化粧シート10は、絵柄層12においてパール顔料とポリカプロラクトンを構成要素として含むウレタン樹脂とを含有するパールインキ層を有している。
この構成によれば、密着強度低下を抑制しつつ、高濃度のパール顔料を含む高意匠な化粧シート10を提供することができる。
(2)本実施形態の化粧シート10は、絵柄層12のパールインキ層におけるパール顔料の含有量が、パールインキ層の質量に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲内であれば好ましい。
この構成によれば、高意匠な表現を可能とする化粧シート10を得ることができる。
(3)本実施形態の化粧シート10は、絵柄層12のパールインキ層におけるパール顔料の粒径が、1μm以上60μm以下の範囲内であれば好ましい。
この構成によれば、高意匠な表現を可能とする化粧シート10を得ることができる。
<第二実施形態>
本開示の第2実施形態に係る化粧板について、図2を用いて説明する。
図2は、本開示の第2実施形態に係る化粧シート20の一構成例を説明するための断面図である。化粧シート20は、基材11と、基材11上に形成された絵柄層22と、絵柄層22上に形成された接着層13と、接着層13上に形成された透明樹脂層14と、透明樹脂層14上に形成された表面保護層15とを備えている。また、化粧シート10は、また、基材の絵柄層側とは反対側の面に、プライマー層16を備えている。
すなわち、化粧シート20は、絵柄層12に代えて絵柄層22を備える点で、第一実施形態に係る化粧シート10と相違する。
以下、絵柄層22について説明する。なお、絵柄層22以外の各層(基材11、接着層13、透明樹脂層14、表面保護層15及びプライマー層16)については、化粧シート10の各層と同様の構成であるため説明を省略する。
(絵柄層)
絵柄層22は、第1絵柄模様層22aと、第2絵柄模様層22bと、パールインキ層22cとを備える層である。第二実施形態にかかる化粧シート20では、任意の絵柄模様が付与された第1絵柄模様層22a及び第2絵柄模様層22bと、光沢感を付与するパールインキ層22cとを合わせて絵柄層22とすることで、所望の意匠を表現しつつ十分な光沢を備えた高意匠の化粧シート20を得る。
(パールインキ層)
第2実施形態のパールインキ層22cは、第一実施形態で説明したパールインキ層12cと同様の構成を有している。
(第2絵柄模様層)
パールインキ層22cの上には、第2絵柄模様層22bが設けられている。第2絵柄模様層22bは、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与する層であり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
第2絵柄模様層22bの形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。第2絵柄模様層22bは、下層のパールインキ層22cが表現する少なくとも一部の柄が視認可能なだけの光透過性を有する。
第2絵柄模様層22bの印刷インキについては、特に限定されないが、印刷方式に対応したインキを適宜選ぶことができる。とくに後述するパールインキ層22cに対する密着性や印刷適性また化粧シートとしての耐候性等を考慮して選択することが好ましい。絵柄用のインキとしては、例えば2液ウレタン樹脂系インキが例示出来る。
印刷インキには、適宜、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、バインダーを添加する。顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。なお、バインダーは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、硬化方法についても1液タイプ、主剤と硬化剤とを含む2液タイプ、もしくは、紫外線や電子線などによって硬化するタイプなど特に限定されない。中でも最も一般的な方法は、2液タイプのもので、ウレタン系の主剤と、イソシアネートを含む硬化剤を用いる方法である。この他にも、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すようにしてもよい。
第2絵柄模様層22bを設ける方法は、特に限定されず、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷など通常の印刷方法を用いることができる。
また、第2絵柄模様層22bの層厚は、特に限定されないが0.5μm以上10μm以下の範囲内が望ましい。第2絵柄模様層22bの厚さがこの数値範囲内である場合、印刷を明瞭にすることができるとともに、化粧シート20を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
(第1絵柄模様層)
第2絵柄模様層22bの上には、第1絵柄模様層22aが設けられている。第1絵柄模様層22aは、第2絵柄模様層22bと同様に、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与する層であり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
第1絵柄模様層22aの形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。第1絵柄模様層22aは、下層の第2絵柄模様層22b及びパールインキ層22cが表現する少なくとも一部の柄が視認可能なだけの光透過性を有する。
第1絵柄模様層22aの印刷インキについては、特に限定されず、印刷方式に対応したインキを適宜選ぶことができる。とくに第2絵柄模様層22b及びパールインキ層22cに対する密着性や印刷適性また化粧シートとしての耐候性等を考慮して選択することが好ましい。絵柄用のインキとしては、例えば2液ウレタン樹脂系インキが例示出来る。
印刷インキには、適宜、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、バインダーを添加する。顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。なお、バインダーは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、硬化方法についても1液タイプ、主剤と硬化剤とを含む2液タイプ、もしくは、紫外線や電子線などによって硬化するタイプなど特に限定されない。中でも最も一般的な方法は、2液タイプのもので、ウレタン系の主剤と、イソシアネートを含む硬化剤を用いる方法である。この他にも、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すようにしてもよい。
第1絵柄模様層22aを設ける方法は、特に限定されず、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷など通常の印刷方法を用いることができる。
また、第1絵柄模様層22aの層厚は、特に限定されないが0.5μm以上10μm以下の範囲内が望ましい。第1絵柄模様層22aの厚さがこの数値範囲内である場合、印刷を明瞭にすることができるとともに、化粧シート20を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
<第二実施形態の効果>
以上のような化粧シート20は、第一実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
(4)本実施形態の化粧シート20は、第1絵柄模様層22aと、第2絵柄模様層22bと、パールインキ層22cを有している。
この構成によれば、所望の意匠を付与しつつ十分な光沢を備えた高意匠の化粧シート20を提供することができる。
以下、実施例および比較例を示して本開示を詳細に説明するが、本開示は下記例に制限されるものではない。
次に、実施例及び比較例の化粧シートを示して本開示をさらに具体的に説明する。
<実施例1>
ポリオレフィン系樹脂を用いた厚さ200μmの基材の表面に、バインダ樹脂にパール顔料を含有するパールインキを乾燥後の塗布量が5ml/mとなるように塗布して、絵柄層を形成した。バインダ樹脂は、ポリカプロラクトンを使用した。パールインキに含まれるパール顔料の含有量は30質量%とし、またパール顔料の粒径は、60μmとした。
続いて絵柄層上に、ドライラミネート用接着剤を介して透明ホモポリプロピレン樹脂を押出しラミネートすることで透明樹脂層を形成した。透明樹脂層の厚さは80μmとした。
次に、透明樹脂層上に紫外線硬化樹脂をグラビア法により塗布して表面保護層を形成した。
また、基材の絵柄層形成側面とは反対側の面に、グラビア印刷により2液ウレタン系樹脂を用いて厚さ10μmのプライマー層を形成した。
以上により、実施例1の化粧シートを形成した。
<実施例2>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の粒径を0.1μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の化粧シートを形成した。
<実施例3>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の粒径を1μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の化粧シートを形成した。
<実施例4>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の粒径を80μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の化粧シートを形成した。
<実施例5>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の含有量を10質量%に変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例5の化粧シートを形成した。
<実施例6>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の含有量を50質量%に変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の化粧シートを形成した。
<実施例7>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の含有量を80質量%に変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の化粧シートを形成した。
<実施例8>
絵柄層において、パールインキの乾燥後の塗布量が1ml/mになるよう塗布した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例8の化粧シートを形成した。
<実施例9>
絵柄層において、パールインキの乾燥後の塗布量が25ml/mになるよう塗布した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例9の化粧シートを形成した。
<実施例10>
絵柄層において、パールインキの乾燥後の塗布量が40ml/mになるよう塗布した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例10の化粧シートを形成した。
<実施例11>
ポリオレフィン系樹脂ではなくポリブチレン系樹脂に変更して基材を形成した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例11の化粧シートを形成した。
<実施例12>
基材の厚さを1μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例12の化粧シートを形成した。
<実施例13>
基材の厚さを10μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例13の化粧シートを形成した。
<実施例14>
基材の厚さを250μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例14の化粧シートを形成した。
<実施例15>
プライマー層の厚さを0.5μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例15の化粧シートを形成した。
<実施例16>
プライマー層の厚さを1μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例16の化粧シートを形成した。
<実施例17>
プライマー層の厚さを20μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例17の化粧シートを形成した。
<実施例18>
絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の粒径を0.1μmに変更した。そして、パールインキに含まれるパール顔料の含有量を10質量%に変更した。続いて、パールインキの乾燥後の塗布量が1ml/mになるよう塗布した。また、ポリオレフィン系樹脂ではなくポリブチレン系樹脂に変更して厚さ1μmの基材を形成した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例18の化粧シートを形成した。そして、プライマー層の厚さを0.5μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例18の化粧シートを形成した。
<比較例1>
絵柄層において、バインダ樹脂にポリエステルウレタンを使用した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の化粧シートを形成した。
<比較例2>
絵柄層において、バインダ樹脂にポリエステルウレタンを使用した。また、絵柄層において、パールインキに含まれるパール顔料の含有量を10質量%に変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の化粧シートを得た。
<比較例3>
絵柄層において、バインダ樹脂にポリエステルウレタンを使用した。また、絵柄層において、パールインキの乾燥後の塗布量が40ml/mになるよう塗布した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例3の化粧シートを得た。
<比較例4>
絵柄層において、バインダ樹脂にポリエステルウレタンを使用した。また、絵柄層において、パールインキの乾燥後の塗布量が1ml/mになるよう塗布した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例4の化粧シートを得た。
<評価判定>
上述した実施例1~18、比較例1~4で得られた化粧シートについて、以下の方法で密着性と意匠性を評価した。評価結果を表1に示す。
<評価>
〔密着性〕
実施例1~18及び比較例1~4の化粧シート作製後に室温環境で24時間保存した試料及び48時間保存した試料について、それぞれ透明樹脂層と基材との間におけるT字剥離強度を測定した(試料幅:25.4mm、引張り速度:50mm/min)。また、常態で24時間又は48時間の室温養生をした後、それぞれ密着強度の測定を行った。
<評価基準>
◎:密着強度が17.6N/25.4mm以上であり、剥離界面せずに基材が破断
○:密着強度が17.6N/25.4mm以上であり、基材変形を生じ剥離面生成
△:密着強度が17.6N/25.4mm以下であり、基材変形なく剥離面が生成
×:密着強度が17.6N/25.4mm以下であり、試料ハンドリング時に剥離が生じ、測定不可
なお、本実施例では、評価が「○」以上であれば合格とした。
〔意匠性〕
実施例1~18及び比較例1~4の化粧シートを目視にて表面状態を観察した。
<評価基準>
◎:十分に光沢感が付与されており意匠性が高い
○:やや光沢感が付与されている
△:部分的に光沢感が付与されている
×:まったく光沢感が付与されておらず意匠性が低い
なお、「△」以上の評価であれば実用可能レベルであるため、「合格」とした。
以上の評価結果を表1にまとめた。
Figure 0007524615000001
表1中に表されるように、実施例1~18、比較例1~4の評価結果から、実施例1~18のように絵柄層においてバインダ樹脂にポリカプロラクトンを使用した場合には、比較例1~4のように絵柄層においてバインダ樹脂にポリエステルを使用した場合と比べて高い密着性を有することがわかった。
また、実施例2及び実施例4の評価結果から、実施例4のようにパールインキに含まれるパール顔料の粒径が80μmである場合には、実施例2のようにパール顔料の粒径が0.1μmである場合と比べて高い意匠性を有することがわかった。
また、実施例5及び実施例7の評価結果から、実施例7のようにパールインキに含まれるパール顔料の含有量が80質量%である場合には、実施例5のようにパール顔料の含有量が10質量%である場合と比べて高い意匠性を有することがわかった。
なお、本開示の粘着シートは、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
10,20:化粧シート
11:基材
12,22:絵柄層
22a:第1絵柄模様層
22b:第2絵柄模様層
12c,22c:パールインキ層
13:接着層
14:透明樹脂層
15:表面保護層
16:プライマー層

Claims (13)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に設けられ、パール顔料とポリカプロラクトンを構成要素として含むウレタン樹脂とを含有するパールインキ層を有する絵柄層と、
    を備え
    前記絵柄層は、前記パールインキ層を含む複数の層で構成され、
    前記パールインキ層は、前記絵柄層を構成する層のうち、最も前記基材側に位置する化粧シート。
  2. 前記パール顔料の粒径は、1μm以上60μm以下である請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記パール顔料の含有量は、前記パールインキ層の質量に対して、30質量%以上50質量%以下の範囲内である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記パールインキ層は、パールインキの乾燥後の塗布量が5ml/m以上25ml/m以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記基材はポリオレフィンにより形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 前記基材はポリブチレンにより形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  7. 前記基材の厚さは、10μm以上200μm以下である請求項1からのいずれか1項に記載の化粧シート。
  8. 前記基材の前記絵柄層側とは反対側に設けられ、ウレタン系樹脂を含むプライマー層を備える請求項1からのいずれか1項に記載の化粧シート。
  9. 前記プライマー層の厚さは、1μm以上10μm以下である請求項に記載の化粧シート。
  10. 前記パールインキ層は、樹脂成分として、前記ポリカプロラクトンを構成要素として含むウレタン樹脂のみを含有する請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧シート。
  11. 前記絵柄層は、紫外線吸収剤または光安定剤を含まない請求項1から10のいずれか1項に記載の化粧シート。
  12. 前記基材と、前記絵柄層と、透明樹脂層と、をこの順に備える請求項1から11のいずれか1項に記載の化粧シート。
  13. 基材と、
    前記基材の一方の面に設けられ、パール顔料とポリカプロラクトンを構成要素として含むウレタン樹脂とを含有するパールインキ層を有する絵柄層と、
    を備え
    前記パールインキ層は、パールインキの乾燥後の塗布量が5ml/m 以上25ml/m 以下である化粧シート。
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