JP7517074B2 - 蓋体 - Google Patents

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Description

本発明は、蓋体及び蓋体の製造方法に関する。
コーヒーなどの飲料や総菜などの内容物を収容する容器に装着可能な蓋体として、紙系素材からなる蓋体が提案されている。
蓋体としては、天蓋を有し天蓋の外周に環状の壁材を取り付けた構造を有するものが知られている。通常、こうした蓋体が、容器に着脱自在に取り付けられる。蓋体が容器に取り付けられた状態では、容器の開口部が天蓋で覆われ、容器の胴部の開口縁部は壁材に接触する。壁材と開口縁との接触部分で係止部が形成される。
蓋体に用いられる環状の壁材としては、帯状の紙片を環状に丸めて紙片の端部同士を重ね合わせて重なり部を形成し、重なり部を構成する端部同士を接合したものが提案されている。しかしながら重なり部で段差が形成されるため、壁材の重なり部付近において蓋体と容器との係止部に隙間が生じ、容器を傾斜させた際等にその隙間から意図せず内容物が漏れ出る事態を生じることがある。
そこで、蓋体を容器に装着した状態で、重なり部の段差と容器との間に生じる隙間を低減することが要請される。
このような隙間を軽減する方法としては、例えば、特許文献1に示すように、重なり部の段差を含む部分に樹脂を塗布して段差を埋める技術が提案されている。
特開2015-227170号公報
特許文献1に提案された技術を適用した蓋体のように、蓋体の重なり部上に樹脂が塗布されてしまうと、樹脂を塗布された部分とそれ以外の部分との間で側壁の肉厚み差が大きくなることがある。したがってその肉厚み差に応じて蓋体と容器との間に隙間が生じる可能性があることから、蓋体を取り付けた容器を傾斜させた際に蓋体と容器との係止部から内容物が漏れ出ることを抑制する点で、さらなる密閉性の改善の余地がある。また、蓋体の壁材の重なり部付近とそれ以外の部分とで剛性差がさらに拡大しやすくなり、蓋体を容器に装着する際に蓋体の壁材の重なり部付近とそれ以外の部分との境界付近で歪みや折れが生じやすくなる可能性がある。蓋体に歪みや折れが生じると密閉性が損なわれる可能性がある点からも、さらなる密閉性の改善の余地がある。また、特許文献1に提案された技術では、容器の内容物が液体であるような場合には、樹脂に含まれる成分が液体に入り込むことへの配慮もさらに必要となってくる。
本発明の目的は、密閉性に優れた蓋体を提供することにある。
本発明は、(1)外周縁に折り曲げ部を有する天面部と、前記折り曲げ部で前記天面部に対して上端を連続させた周面部とを有し、曲げ成型体で形成された天蓋を備え、
前記周面部の内周面は、該周面部と前記天面部とで囲まれた空間に向かって露出する露出領域を有し、
前記周面部は、前記露出領域に凹面を形成する凹部を1つ又は複数形成しており、
1つ又は複数の前記凹部は、前記周面部の部分のうち前記露出領域の下端よりも、前記周面部の厚み方向に圧縮されており、
前記周面部の下端は、前記周面部の上端よりも前記天面部の中心寄りに位置している、
蓋体、
(2)さらに前記周面部の外周面に接合された環状の外壁材を備え、
前記外壁材が前記天蓋を囲繞する、
上記(1)に記載の蓋体、
(3)前記外壁材は、前記周面部の外周面に面接合される、
上記(2)に記載の蓋体、
(4)前記外壁材は、外壁用ブランク材の2つの端部を重ね合わせた環状構造を有しており、
前記外壁用ブランク材は、紙系素材からなる、
上記(2)に記載の蓋体、
(5)前記外壁材のうち前記凹部に対応した対応部が、前記外壁材のうち前記露出領域の下端に対応する部分よりも、前記外壁材の厚み方向に圧縮されている、
上記(2)に記載の蓋体、
(6)前記外壁材の上端は、前記天面部の上面よりも上方側に延び出ている、
上記(2)に記載の蓋体、
(7)前記凹部は、1つ形成されており、
該凹部は、前記露出領域の全域にわたって前記凹面を1つ形成する、
上記(1)に記載の蓋体、
(8)前記凹部は、複数形成されており、
複数の該凹部が、前記天蓋の上下方向に周期的に前記凹面を複数形成している、
上記(1)に記載の蓋体、
(9)前記凹面は、前記露出領域の下端よりも上側寄りに形成される、
上記(1)に記載の蓋体、
(10)前記凹部は、前記周面部の周方向に沿って環状に形成されている、
上記(1)に記載の蓋体、
(11)前記周面部の前記露出領域には、容器の開口縁部に係止させる係止部が形成されている、
上記(1)に記載の蓋体、
(12)前記曲げ成型体は、天蓋用ブランク材の曲げ成型により形成され、
前記天蓋用ブランク材は、紙系素材からなる、
上記(1)に記載の蓋体、
(13)前記周面部の下端には、外方向に延出したフランジ部が設けられている、
上記(1)に記載の蓋体、
を要旨とする。
本発明によれば、蓋体が、天面部とその天面部の外周縁に形成された折り曲げ部で天面部に連続する周面部とを形成した折り曲げ成型体を有する天蓋を備える。したがって、天蓋の周面部には、外壁材のような重なり部の構成が除かれており、周面部の全周囲にわたり材質を同じくすることができる。
さらに、折り曲げ成型体では、成型工程の実施の仕方如何によって、折り曲げ箇所に皺を生じる場合がある。この点、本発明にかかる蓋体では周面部の所定領域(露出領域)が露出しており、露出領域に凹面が形成されている。本発明においては、周面部の内周面に凹面を形成する部分(凹部)が形成されているため、天蓋が折り曲げ成型体で形成されていても周面部の内周面側に皺が生じにくくなっている。そして本発明では、露出領域を形成する部分は、容器の開口縁部を係止する係止部をなすことができる。
このように本発明によれば、周面部における容器に対して接触して容器の開口縁部を係止する部分(係止部)において、段差が省略された状態を形成でき、且つ皺が生じにくい状態を形成できるようになる。したがって、本発明によれば、蓋体を容器に対してより密接に装着できるようになる。すなわち本発明によれば、密閉性に優れた蓋体を得ることができる。
また、本発明によれば、蓋体は、天面部の折り曲げ部で連続する周面部の外周面に環状の外壁材を接合している場合、周面部の強度不足が生じにくい。したがって、蓋体を容器に装着した場合に、周面部に対して容器から外方向に力が付与されても周面部の形状が保持されやすく、周面部の露出領域に開口縁部を接触させることで形成される係止状態が意図せずに解除されてしまう事態を抑制することができる。
また、本発明によれば、天蓋がフィルム材で形成され且つ周面部の外周面に環状の外壁材が接合されている場合、フィルム材がある程度厚みの薄いものであっても、十分な強度を有する蓋体を形成することができる。さらに、フィルム材が透光性を有するものである場合には、蓋体を容器に装着した際に、容器と蓋体との係止状態を視認することができ、容器と蓋体が正しく装着されているか目視で確認することが可能となる。また、外部から容器内部を視認することもできる。
また、本発明によれば、蓋体にフランジ部が設けられている場合には、周面部の強度不足が生じにくい。したがって、蓋体を容器に装着した場合に、周面部に対して容器から外方向に力が付与されても周面部の形状が保持されやすく、周面部の露出領域に開口縁部を接触させることで形成される係止状態が意図せずに解除されてしまう事態を抑制することができる。
本発明の製造方法によれば、上記したような効果を発揮しうる蓋体を製造することができるようになる。
図1は、第1の実施形態の一実施例を説明するための斜視図である。 図2は、図1のA-A線断面の状態を示す横断面図及び一点鎖線で囲まれた領域S1の部分拡大図である。 図3は、図1のB-B線断面の状態を示す縦断面図である。 図4は、第1の実施形態にかかる蓋体を容器に取り付けた状態の例を示す断面図及び一点鎖線で囲まれた領域S2の部分拡大図である。 図5A、図5Bは、第1の実施形態にかかる蓋体の変形例を示す縦断面図である。 図6は、第1の実施形態の他の実施形態を説明するための断面図である。 図7は、第2の実施形態の一実施例を説明するための斜視図である。 図8は、図7のC-C線断面の状態を示す横断面図及び一点鎖線で囲まれた領域S3の部分拡大図である。 図9は、図7のD-D線断面の状態を示す縦断面図及び一点鎖線で囲まれた領域S4の部分拡大図である。 図10は、第2の実施形態の他の一実施例を説明するための断面図及び一点鎖線で囲まれた領域S5の部分拡大図である。 図11は、第2の実施形態の他の一実施例を説明するための断面図及び一点鎖線で囲まれた領域S6の部分拡大図である。 図12A、図12Bは、第2の実施形態の他の一実施例を説明するための断面図である。 図13A、図13Bは、第2の実施形態の他の一実施例を説明するための断面図である。 図14A、図14Bは、第3の実施形態の一実施例を説明するための断面図である。 図15は、第2の実施形態の他の一実施例を説明するための断面図である。 図16A、図16Bは、第2の実施形態の他の一実施例を説明するための断面図である。
以下、本発明にかかる一実施例等について図面を参照しながら説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して前後、左右、上下等の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。図1から図16の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)、X軸方向を前後方向(前側が+X方向、後ろ側が-X方向)、Y軸方向を左右方向(右側が+Y方向、左側が-Y方向)であるものとし、これに基づき説明を行う。図1から図16の各図に示す各部の大きさや厚みの相対的な大小比率は、特に定められていない限り、便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。
[1 第1の実施形態]
[1-1 構成]
本発明の第1の実施形態にかかる蓋体1は、図1、図2、図3に示すように、天蓋2を備える。蓋体1は、図4等を用いて後述するように、例えば上端側を開口させた有底の容器Tの開口縁部130に対して装着させることができる。このとき、容器Tとしては、特に開口縁部130に可撓性を有するものが好適に用いられる。ただし、このことは容器Tが、金属製の容器など可撓性の少ないあるいはほとんど認められないような容器であることを禁止するものではない。蓋体1は、可撓性の少ない容器及び可撓性のない容器に対しても装着することが可能である。
(天蓋)
天蓋2は、天面部4と周面部5とを有している。天蓋2は、後述する天蓋用ブランク材の一体成型によって天面部4と周面部5とが一体的に形成されたものである。
(天面部)
天面部4は、蓋体1を容器Tに装着した状態で、容器Tの開口部140を覆う部分となる。天面部4の形状は、容器Tの形状に応じて定められてよく、円形状、楕円形状、三角形状、矩形状、多角形状、面取り形状などを例示することができる。また、天面部4は、水平面でも湾曲面、凹凸を有する面でもよいが、図1、2に示す例では水平面(X軸とY軸で張られるXY平面に平行な面)で構成されている。
(折り曲げ部)
天蓋2においては、天面部4の外周縁4aには、折り曲げ部6が形成されている。折り曲げ部6は、屈曲形状であってもよいし、湾曲形状であってもよい。なお、天面部4の外周縁4aは、天面部4の外周端40aと外周端40aから所定の距離だけ内側に向かった位置までの所定の領域で定められる。
(周面部)
周面部5は、天面部4の外周縁4aに形成された折り曲げ部6で連続し、折り曲げ部6との境界を周面部5の上端50aとして下方向に延びる。図1から図3の例では、周面部5は、中心線mに向かって斜め下方向に延びている。天蓋2では、周面部5と天面部4とで囲まれた空間20が形成されており、空間20が下側に開口している。すなわち、周面部5は、天面部4よりも下方側に形成された空間20を囲繞するように形成されている。周面部5は、容器Tに取り付けられた際に、容器Tの開口縁部130に接触する。
(露出領域)
周面部5の内周面5aは、空間20に露出する露出領域19を有する。周面部5の露出領域19には、容器Tの開口縁部130に係止させる係止部15が形成されている。露出領域19は、周面部5の周方向に環状に形成されることが、係止部15を周面部5の内周面5aの全周囲に形成することができる観点からは好ましい。図1から図3の例では、露出領域19の上端19aは、周面部5の上端50aの位置における内周面5a側に位置しており、露出領域19の下端19bは、周面部5の下端50bの位置における内周面5a側に位置し、周面部5の内周面5a全域が露出領域19をなしている。
(係止部)
係止部15は、周面部5に形成され、容器Tの開口縁部130に接触した状態にて蓋体1を容器Tに係止する部分である。周面部5の内周面5aのうち係止部15に対応する領域は、露出領域19全域で形成されてもよいし、露出領域19の一部に形成されてもよいし、露出領域19の一部を含む領域でもよい。また、周面部5の内周面5aのうち係止部15に対応する領域は、凹面7a全域で形成されてもよいし、凹面7aの一部に形成されてもよいし、凹面7a全域を含む領域に形成されてもよく、凹面7aの一部を含む領域でもよい。
(凹部)
周面部5は、凹部7を形成している。凹部7は、周面部5の内周面の露出領域19に凹面7aを形成する部分(内周面側凹面形成部)である。図1から図3に示す例では、凹部7は、周面部5の部分のうち露出領域19の下端19bに対応した部分よりも、周面部5の厚み方向に圧縮されていることが好適である。凹部7は、天蓋用ブランク材における周面部5に対応した部分のうちの所定の部分を圧縮することで形成できる。凹部7は、天蓋2を構成する曲げ成型体を形成する際又はその後に形成することができる。凹部7が圧縮により形成された部分であることで、凹部7の部分の保形性を向上させることができる。また、凹部7の凹面7aに容器Tの開口縁部130が接触して凹面7aに対して外方向に力を負荷した場合においても、凹部7の形状をより強く維持することができる。ただし、このことは、凹部7を、天蓋用ブランク材の周面部5に対応する部分の所定位置の圧縮により形成される場合に限定するものではない。例えば、後述の第2の実施形態の変形例1に示すように、周面部5の外側に外壁材3が設けられ、外壁材3における対応部16(凹部7に対応する部分)に凹面17が形成されている場合等では、凹部7は、その外面側を対応部16の凹面に追従するような凸面とした非圧縮部となっていてもよい。
図1から図3の例では、凹部7は、周面部5に1つ形成されている。そして凹部7では、内周面5a側に凹面7aが形成される。図1から図3の例では、凹部7の凹面7aは、露出領域19の下端19bよりも上側寄りに形成されており、凹部7の凹面7aが、周面部5の内周面5a側の露出領域19における係止部15に対応する領域となっている。また、凹部7は、図1から図3の例では、周面部5の周方向に沿って環状に形成されている。なお、図1から図3の例では、周面部5、露出領域19や係止部15についても、環状に形成されている。
図1から図3の例では、凹部7は、周面部5の外周面5b側を凹凸の非形成面としている。ただし、このことは凹部7が、周面部5の外周面5b側に凹凸面を形成することを禁止するものでない。例えば、凹部7において、外周面5b側に凸状面あるいは凹状面が形成されてよい。このとき、凸状面あるいは凹状面は、湾曲面でも屈曲面でもよい。
凹部7による凹面7aの形成領域は、図1から図3、図5Aのように、露出領域19の一部領域でも全領域でもよい。図1から図3の例では、露出領域19の一部に1つの凹面7aが形成されている場合が示されており、図5Aは、露出領域19の全域に1つの凹面7aが形成されている場合が例示されている。また、凹面7aが形成されている領域は、内周面5aの露出領域19における係止部15に対応する領域であることが好ましい。この場合、後述するように凹面7aの形成された領域で容器Tの開口縁部130が密接に接する状態を形成することが容易となる。ただし、このことは、図5Aに示すように、凹面7aの形成された領域が係止部15に対応する領域の一部に対応することや、係止部15に対応する領域に含む領域に形成されていることを禁止するものではない。
上記では、凹部7が1つ形成されていたが、図5Bに示すように凹部7は複数形成されてもよい。図5Bは、凹部7が上下方向に周期的に凹面7aを複数形成している。そして、周面部5の露出領域19には、複数の凹面7aで凹凸面が形成される。図5Bの例では、凹凸面は、連続的な波状面を形成している。なお、これは一例であり、凹凸面は、波状の面に限定されず、例えば、連続山形状であってもよいし、不均一な凹凸を形成してもよい。
(天蓋を構成する材料)
天蓋2を構成する材料は特に限定されるものではなく、例えば、紙系素材、非紙系素材やこれらの組み合わせや積層体等を挙げることができる。紙系素材としては、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される、いわゆる紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等が挙げられる。非紙系素材としては、布巾系素材(織布素材や不織布素材)、樹脂系素材、金属系素材、木材系素材、ガラス系素材等を挙げることができる。紙系素材と非紙系素材とを組み合わせた場合とは、紙系素からなるシートの一部に孔部を形成してその孔部に非紙系素材を取り付けたものなどを挙げることができる。不織布素材としては、例えば、空気流によって積繊した粉砕パルプを結合してシート状に形成したいわゆるエアレイドシート、パルプ系素材、天然繊維素材や合成繊維等の繊維の不織布を挙げることができる。樹脂系素材としては、樹脂製のフィルム材やシート材を挙げることができ、例えば、合成樹脂や天然樹脂、生分解性樹脂のフィルム材やシート材を挙げることができる。樹脂系素材としては、中でも生分解性樹脂のフィルム材やシート材を好ましく用いることができる。フィルム材は、自重で変形する程度に薄いものを示し、シート材は、自重で形状を保持できる程度の厚みを有するものを示すものとする。
環境負荷の観点と取り扱いの容易性の観点からは、天蓋2を構成する材料は、天面部4と周面部5いずれの部分も全体として紙系素材で形成されていることが好ましい。ただし、このことは、天蓋2を構成する材料の全てが同一素材である場合に天蓋2を構成する材料の全てを紙系素材に限定するものではない。例えば、天蓋2を構成する材料は、樹脂製のフィルムであってもよい。なお、天蓋2の一部(例えば、天面部4のみ等)を構成する材料が樹脂製フィルムとされてもよい。
天蓋2は、後述するように、例えば、原反材を打ち抜き加工等することで形成された天蓋用ブランク材に曲げ加工を施すことで形成された曲げ成型体に、凹部7を形成することで得ることができる。天蓋形成用のブランク材の原反材(天蓋形成用の原反材)は、上記天蓋2として適用可能な各種の素材を用いることができる。
(皺)
天蓋用ブランク材の曲げ加工によって天蓋2を得る場合、一般に、折り曲げ部6と周面部5にかけて皺が生じやすい。この点、周面部5では、凹面7aが形成されていることで皺が引き延ばされた状態が形成されやすい。すなわち、折り曲げ部6から周面部5にかけての領域では、凹面7aは、その凹面7aの外側の領域よりも皺が少ない状態となりやすい。なお、皺が少ないとは、皺の形成が抑制されている又は皺がないことを示す。なお、凹面7aでは皺の形成がおおよそ完全に抑制されていることが、さらに好ましく、凹面7aでは皺が完全にないことが理想的である。なお、皺が浅いとは、皺の深さがより小さいことを示し、皺が細かいとは、皺の幅がより小さいことを示すものとする。
(周面部5の上端50aと下端50bの位置関係)
天蓋2の中心Kを通り天蓋2の厚み方向(Z軸方向)に沿った中心線mを含む平面αを想定し、平面αで周面部5の内周面5aを切断した切断面(図3に該当する)を想定した場合に、図3に示すようにその切断面では、中心線mから下端50bまでの距離よりも、中心線mから周面部5の上端50aまでの距離のほうが長いことが好ましい。すなわち、下端50bに対応する位置A1は、天面部4の厚み方向を視線方向とする場合(-Z方向)に、周面部5の上端50aに対応する位置A2よりも天面部4の中心寄り(蓋体1の内外方向において蓋体1の内側寄り)に位置していることが好ましい。なお、位置A1と位置A2は、同一の切断面上に定められる位置である。またその同一切断面上に、後述の直線mpも位置しているものとする。
周面部5の位置A2よりも位置A1のほうが蓋体1の内側寄りにある場合、蓋体1の周面部5の内周面5aが斜め上方向に向けられた形成されやすくなっている。すなわち、位置A1と位置A2を通過する直線mpに直交する線Lの向きが中心線mに向かって斜め上方向を向きやすくなる。このような場合に、容器Tの開口縁部130が蓋体1の周面部5で囲まれた空間20に押し込まれていると、容器Tの開口縁部130の復元力で開口縁部130が外方向に向かおうとして周面部5に外方向に向かう力が作用しても、開口縁部130が周面部5に対してより一層押し込まれた状態となり、開口縁部130と凹部7との係止状態が強まる方向に作用しやすくなる。
ただし、上記の周面部5の上端50aと下端50bの位置関係の記載は好ましい例であり、第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図6に示すように、中心線mから下端50bまでの距離と、中心線mから周面部5の上端50aまでの距離とがおおよそ等しくてもよい。
[1-2 作用効果]
第1の実施形態にかかる蓋体1は、図4に示すように、上端側を開口させた有底の容器Tの開口縁部130に対して装着させることができる。容器Tは、底面部120と、筒状の胴材110とを備える。容器Tは、底面部120の周囲に筒状の胴材110の内周面を接合させて、内容物を収容するための空間部160を形成している。容器Tは、空間部160の上側を開口させており開口部140を形成している。胴材110の上端側の縁にそって開口部140を定める開口縁部130が形成されている。容器Tとしては、開口縁部130に可撓性を有するものが好適に用いられる。図4の例では、開口縁部130に係止用の容器カール部150が外巻きに形成されている。容器カール部150は、胴材110を形成するためのブランク材のうち開口縁部130に対応した端部の部分を外方向に巻くことで形成することができる。なお、図4に示す容器Tは一例であり、蓋体1を装着することができる容器を限定するものではない。また、図4においては、容器カール部150と蓋体1の周面部5の上端50aとの間、容器カール部150と天面部4の外周縁4aとの間に隙間が形成されているが、容器カール部150と蓋体1との位置関係は、図4の例に限定されない。容器カール部150と蓋体1の上端50aとの間の隙間、容器カール部150と天面部4の外周縁4aとの間の隙間は、それぞれ小さいことが好ましく、それぞれの隙間がない状態となること、すなわち容器カール部150に対して上端50aや天面部4の外周縁4aが面接触していることが、蓋体1を容器Tに密接に装着する観点からは、より好ましい。
蓋体1を容器Tに装着する際には、容器Tの開口部140に対して相対的に蓋体1を斜めに傾斜させ、容器Tの開口縁部130の所定の位置(接触開始点)に蓋体1の周面部5の露出領域19を当接させる。次に、開口縁部130と露出領域19との接触状態を維持しながら、蓋体1の傾斜を水平に近づけていく。これに伴い、開口縁部130と露出領域19との接触領域は、接触開始点から開口縁部130に沿って拡大し、開口縁部130は徐々に空間20内に押し込まれ、やがて開口縁部130の所定の部分(はみ出し部)のみが周面部5の外側に位置した状態が形成される。さらに周面部5のうちははみ出し部の上側近傍に位置する部分が局所的に弾性変形されながら開口縁部130のはみ出し部の外側に広げられる。そして開口縁部130は、はみ出し部についても露出領域19に接触しながら空間20内に押し込まれる。
容器Tが開口縁部130に可撓性を有する場合には、空間20に押し込まれた開口縁部130が外向きの復元力を露出領域19に作用させようとすることがあるが、開口縁部130が凹部7の凹面7a内により一層押し付けられ、開口縁部130が凹部7内で一層保持されやすくなる。
本発明においては、天蓋2として重なり部9そのものを省略した周面部5を備えたものが用いられており、周面部5で、露出領域19に凹面7aを形成する凹部7が形成されている。このため、周面部5の内周面5aの表面積が拡大し皺が引き延ばされ露出領域19に皺が生じにくい状態を形成することができることから、蓋体1を容器Tに対してより密接に装着することができるようになる。この点においても、本発明によれば、密閉性に優れた蓋体1を得ることができる。また、後述する製造方法を用いて蓋体が形成された場合には、周面部5における皺の発生をより抑制することができる。このため、より蓋体1と容器Tとの密接性をより一層向上させることができるようになる。
[2 第2の実施形態]
[2-1 構成]
本発明の第1の実施形態にかかる蓋体1は、図7から図9に示すように、さらに環状の外壁材を備えてもよい(第2の実施形態)。
(外壁材)
第2の実施形態にかかる蓋体1においては、外壁材3は、環状構造を有し、周面部5の外周面5bに接合されており、天蓋2を囲繞する。外壁材3は、所定形状を有する外壁用ブランク材300を丸めて環状となし、丸められた外壁用ブランク材300の2つの端部31、32を重ねた重なり部9と、その重なり部9で端部31、32を互いに接合する壁材接合部10とを備える。外壁材3は、周面部5の外周面5bに面接合されることが好適である。
外壁用ブランク材300を形成するための原反材としては、紙系素材が用いられる。したがって、外壁用ブランク材300としては、紙系素材が用いられる。紙系素材としては、周面部5を構成する材料に関して上述したような各種の紙系素材を適宜用いることができる。図7から図9の例では、壁材形成用の原反材として扇形状に形成された紙系素材を用い、紙系素材の円周方向に沿って離間した2つの端部31、32を互いに重ねあわせて重なり部9が形成されている。ここにいう端部31、32とは、外壁用ブランク材300の端縁から内側方向に向かった所定の位置までの部分を示す。
(壁材接合部)
壁材接合部10は、重なり部9の少なくとも一部、好ましくは重なり部9の全体で2つの端部31、32を互いに接合することで形成される。2つの端部31、32の接合方法としては、接着剤やホットメルト接着剤、二液型接着剤、ヒートシール、超音波接合等の方法が挙げられるが、ヒートシール、超音波接合が好適に用いられている。
(外壁材の周面形状)
外壁材3の周面(内周面3a、外周面3b)の形状は、周面部5の外周面5bに対してより密接に接合されるようにする観点からは、天蓋2の周面部5の外周面5bの形状に整合した形状であることが好ましい。図7から図9に示す例では、周面部5の外周面5bは、凹凸の非形成面となっており、外壁材3の内周面3aも同様に凹凸の非形成面となっている。
(側面接合部)
図1等の例では、上記したように外壁材3の内周面3aは、外壁材3の上端30aよりも下側の所定位置で、周面部5の外周面5bに接合されており、周面部5と外壁材3は面接触していることが好適である。周面部5と外壁材3の接続部分を側面接合部8とよぶ。側面接合部8は、周面部5と外壁材3とを接合する部分となっていればその構造を特に限定されず、例えば、周面部5と外壁材3との間に接着剤を塗布して形成される接着剤層であってもよい。また、周面部5と外壁材3の少なくとも一方が表面に樹脂等をコーティングしたコート紙であるような場合に、側面接合部8は、周面部5と外壁材3をヒートシール等によって直接接合した場合に形成される接合部であってもよい。
また外壁材3について、周面部5と同様に、位置A1に向かい合う位置B1と位置A2に向かい合う位置B2を比較した場合に、位置B1のほうが位置B2よりも蓋体1の内外方向において蓋体1の内側寄りにあるほうが好ましい。この場合、外壁材3が、周面部5の位置A2よりも位置A1のほうが蓋体1の内側寄りにある状態を維持させやすくなる。
(外壁材の上端と下端の上下方向の位置)
外壁材3は、周面部5の外周面5bを完全に被覆するように配置されることが、蓋体1の保形性をより強める観点からは好ましい。図7から図9の例では、外壁材3の上端30aの位置は、周面部5の上端50aに対応した位置よりもやや上側となっている。外壁材3の下端30bの位置は、周面部5の下端50bに対応した位置となっている。
[2-2 作用効果]
第2の実施形態にかかる蓋体1を容器Tに装着する場合、第1の実施形態にかかる蓋体1と同様に開口縁部130全体が空間20に押し込まれ露出領域19に開口縁部130が押し付けられた状態が形成される。そしてその後においては、紙系素材で形成されている外壁材3で周面部5の形状が保持されるため、露出領域19に開口縁部130が押し付けられた状態で開口縁部130が空間20に押し込まれた状態が保持されやすくなる。
特に、外壁材3と周面部5が面接合している場合には、露出領域19の状態がより安定化することから、開口縁部130を空間20内に押し込んだ状態の安定性が向上しやすくなり、周面部5の凹部7から開口縁部130が意図せずに簡単に脱離する事態が生じにくくなる。
本発明によれば、天面部4の外周縁4aに形成された折り曲げ部6で天面部4に連続する周面部5を有する天蓋2と、天蓋2の周面部5の外周面5bに接合された外壁材3とを有することから、外壁材3の内周面3a側に周面部5が配置される。そのため、外壁材3に重なり部9が形成された場合においても、外壁材3の内周面3a側に形成された重なり部9の段差11が周面部5で隠蔽される。天蓋2は曲げ成型体で形成されており、周面部5には重なり部9に対応した構成が省略される。したがって、蓋体1の周面部5で容器Tの開口縁部130が係止された場合に、蓋体1を容器Tに対してより密接に装着されるようになる。すなわち、本発明によれば、密閉性に優れた蓋体1を得ることができる。
[2-3 変形例]
(変形例1)
第2の実施形態にかかる蓋体1について、上記の例では、周面部5の外周面5bは、凹凸の非形成面となっていたが、これに限定されない。周面部5の外周面5bは、図10に示すように、凹凸の形成面となっていてもよい。図10では、周面部5の凹部7において、外周面5b側に凸面7bが形成されており、この凸面7bに対面するように、外壁材3のうち凹部7に対応する部分(対応部16)に凹面17が形成されている。凹部7に対応する部分とは、外壁材3のうち、凹部7に対して上下方向の位置について同位置にある部分を示すものとする。
対応部16は、外壁材3の外壁部34が圧縮されて、外壁材3の内周面3a側に凹面17を形成している。対応部16は、外壁材3のうち露出領域19の下端19bに対応する部分(図10の例では、外壁材3の下端30b)よりも、外壁材3の厚み方向に圧縮されている。応部16における内周面3aの凹面17の形状は、周面部5の外周面5bに凸面7bに追従した形状であることが好ましい。このような形状は、例えば、周面部5の内周面5aの所定位置で、内周面5aから外周面3bに向かう方向に圧力がかけられることで具体的に形成することができる。すなわち、上記圧力によって、凹部7が形成され、このとき周面部5の内周面5aに凹面7aが形成され、外周面5bに凸面7bが形成される。また、凹部7に対応する対応部16の内周面3a側で凹面17が形成される。この場合、凹部7は、天蓋用ブランク材の周面部5に対応する部分の所定位置の圧縮により圧縮部として形成されていてもよいし、非圧縮部としてされていてもよい。凹部7が圧縮部、非圧縮部いずれの場合であっても、凹部7の外周面5b側の凸面7bは、対応部16の凹面17に追従する形状とされていることが好適である。
また、図10では、対応部16は外周面3b側の面を凹凸の非形成面としているが、図11に示すように、対応部16の外周面3b側に凹凸面が形成されてもよい。図11では、対応部16の外周面3b側に凸面18が形成されている。ただし、この場合、対応部16の外周面3b側の凸面18は、対応部16の内周面側の凹面17よりも緩やかに湾曲している好ましい。また、凸面18の高さQ2が凹面17の深さQ1よりも小さいことが好ましい。この場合、凸面18が形成されたとしても、対応部16を圧縮部とすることができる。
(変形例2)
図12A、図12B等に示すように、第2の実施形態にかかる蓋体1においては、外壁材3の上端30aが天面部4の上面よりも上方側に延び出て(延設されて)いてもよい(第2の実施形態の変形例2)。外壁材3のうち、天面部4の上面よりも上方側の部分を上側外壁部35と呼ぶ。図12Aは、第2の実施形態にかかる蓋体1で、対応部16における内周面3a側に凹凸が非形成で、上側外壁部35が形成されている場合の一実施例を示し、図12Bは、第2の実施形態にかかる蓋体1で、対応部16における内周面3a側に凹面17が形成され、上側外壁部35が形成されている場合の一実施例を示す。
第2の実施形態の変形例2にかかる蓋体1によれば、上側外壁部35が形成されていることで、蓋体1を取り付けた容器Tから蓋体1の着脱を行うことが容易となる。上側外壁部35が形成されていることで、蓋体1を構成する部材に占める紙系素材で形成された外壁材3の体積比率が上昇し、天蓋2の保形性を高めることができる。また、スタッキング性も向上する。
(変形例3)
第2の実施形態の変形例2においては、上側外壁部35の上端(外壁材3の上端30a)に沿って外巻きに形成された環状のカール部100が形成されてもよい(図13A、図13B)。図13A、図13Bの例では、蓋体1における外壁材3の上端30a側に、カール部100で囲まれた開口が形成される。図13Aは、図12Aに示す蓋体1について、外壁材3の上端30a側に、カール部100で囲まれた開口が形成される場合の実施例を示している。図13Bは、図12Bに示す蓋体1について、外壁材3の上端30a側に、カール部100で囲まれた開口が形成される場合の実施例を示している。
蓋体1において、外壁材3の上端30aの位置にカール部100が形成されていると、外壁材3の形状が一層安定化しやすくなり、容器Tを蓋体1に取り付ける際に開口縁部130を蓋体1内に押し込んだ状態の安定性が向上しやすくなる。このため周面部5の係止部15から開口縁部130が意図せずに簡単に脱離する事態が生じにくくなる。また、外壁材3にカール部100が形成されていると、外壁材3を形成するための外壁用ブランク材300の端面が上端30aに露出する虞を低減することができる。したがって、蓋体1を装着した容器T内の内容物がコーヒー等の液体である場合に、上端30a付近に口をつけて内容物を飲む際にも、蓋体1への口触りを良好にすることができる。外壁材3を形成するための外壁用ブランク材の端面が上端30aに露出する虞を低減する観点からは、外壁材3の上端30aの位置に形成されるのは、カール部100に限定されない。例えば、図16A、図16Bに示すように折り返し部101であってもよい。図16Aでは、折り返し部101は、外壁材3の上端30側で外向きに外壁材3を折り返された部分として形成されている。図16Bでは、折り返し部101は、外壁材3の上端30側で内向きに外壁材3を折り返された部分として形成されている。
(変形例4)
第2の実施形態の変形例2や変形例3に示すように、上側外壁部35が形成されている場合には、図15に示すように、天面部4の外周縁4aの外周端40aに沿って上方側に隆起した隆起部71が形成されてもよい(変形例4)。隆起部71は天面部4の外周縁4aのなかでもより外周端40aに近い位置に形成されていることが好ましい。
(隆起部)
蓋体1の天面部4において、図15に示すように、折り曲げ部6と周面部5との境界により近い位置に、上方向に隆起部71が形成されている。この例では、隆起部71の下面側に凹状湾曲面71aが形成され、その凹状湾曲面71aに対応する凸状湾曲面が、隆起部の上面側に形成されている。隆起部71の大きさ(隆起高さや幅)は、特に限定されるものではない。例えば、隆起部71は、その下面側の凹状湾曲面71aに容器Tの容器カール部150の上側がはまりこむような大きさに形成されてもよい。この場合、凹面7aと凹状湾曲面71aの両方を、容器カール部150に接触させるようにすることが可能となり、より蓋体1と容器Tに装着した場合に蓋体1を容器Tにより密接に取り付けることができるようになる。
(作用効果)
このような蓋体1によれば、天面部4の外周縁4aの外周端40aに沿って上方側に隆起した隆起部71が形成されていることで、上側外壁部35上を流下した内容物が天面部4と外壁材3との境界にたまる現象が生じる事態の発生を効果的に抑制することができる。
天蓋用ブランク材の曲げ加工によって天蓋2を得る場合、天面部4の外周縁4aの折り曲げ部6から周面部5にかけて皺が生じることがある。この点、周面部5に連続する折り曲げ部6では、隆起部71が形成されていることで折り曲げ部6から周面部5にかけての皺が引き延ばされた状態が形成されやすい。特に、周面部5の係止部15内に皺が形成されたとしても、隆起部71が形成されていることで周面部5における係止部15での皺の形成数をより少ない状態にすることができる。このため、周面部5に形成された係止部15を開口縁部130に対してより密接に面接触させることができる。
[3 第3の実施形態]
[3-1 構成]
図14A、図14Bに示すように、第1の実施形態又は第2の実施形態の蓋体1に対して、外方向に延出したフランジ部14が設けられてもよい(第3の実施形態)。図14Aは、第1の実施形態にかかる蓋体1に対してフランジ部14が形成されている場合の実施例を示し、図14Bは、第2の実施形態にかかる蓋体1に対してフランジ部14が形成されている場合の実施例を示す。いずれの場合でも、フランジ部14の大きさは、特に限定されない。また、フランジ部14は、周面部5の下端50bに沿って周面部5の一部に形成されてもよいが、周面部5の形状安定性向上の効果を高める観点からは、周面部5の下端50bに沿って周面部5の全周囲にわたって形成されていることが好ましい。
[3-2 作用効果]
第3の実施形態に示すように蓋体1にフランジ部14が設けられていることで、周面部5の形状を一層安定化させることができるようになる。したがって、第3の実施形態によれば、容器Tを蓋体1に取り付ける際に開口縁部130から周面部5に外方向の力が作用しても、周面部5の下端50b側の形状が外方向に変形することを規制することができるようになる。
次に、本発明の蓋体の製造方法について、詳細に説明する。上記第2実施形態にかかる蓋体を製造する場合であって、且つ、蓋体1全体が紙系素材で形成されている場合を一例として、以下に説明する。
[4 製造方法]
[4-1 製造方法の内容]
まず、紙系素材からなる原反材を円形状に打ち抜き加工して天蓋用ブランク材が得られる。そして天蓋用ブランクの一体形成を行うことで天面部4と周面部5を形成する。一体成型は、曲げ加工を例示することができる。具体的には、紙系素材からなる天蓋用ブランク材の外周縁部を固定した状態で天蓋用ブランク材が曲げ加工されることで、折り曲げ部6で連続する天面部4と周面部5とを有する天蓋2を一体的に形成する(賦形工程)。
曲げ加工は、例えばプレス加工処理を実施することで実現可能である。プレス加工処理は、例えば次に示すように実施することができる。
まず天蓋用ブランク材の外周縁部がブランクホルダーで固定される。この状態で、天蓋2の形状に対応した形状を有する金型で天蓋用ブランク材を挟みこみ、金型で天蓋用ブランク材が加圧される。このとき、天蓋用ブランク材が天蓋2の形状に賦形される。プレス加工処理の温度、圧力、湿度などの諸条件は特に限定されず、天蓋2の形状や天蓋用ブランク材の材質などの条件に応じて定められてよい。したがって、プレス加工処理は、非加熱状態で実施されてもよいし、加熱状態で実施されてもよい。また、加湿状態で実施されてもよいし、非加湿状態で実施されてもよい。プレス加工処理で、より緻密な賦形を実現する観点からは、プレス加工処理が、加熱状態且つ加湿状態下で実施されていることが好ましい。
賦形工程で天蓋2が製造される場合、外壁材3における重なり部9による段差11に対応した構成が周面部5に形成されることを回避することができる。また、ブランクホルダーで天蓋用ブランク材を予め固定した後に、プレス加工処理が実施されることで、周面部5における皺の形成を抑制することができる。皺の形成を一層抑制する観点からは、ブランクホルダーは、天蓋用ブランク材の全周囲を固定するように配置されていることが好ましい。
また壁材用ブランク材が準備される。壁材用ブランク材としては、例えば、紙系素材からなる原反材を扇形状に打ち抜き加工したものを用いることができる。壁材用ブランク材の端部31、32を重ね合わせて重なり部9を形成し、重なり部9で壁材接合部10を形成する。壁材接合部10の形成方法は、既述したように特に限定されず、例えば超音波溶着などの方法を採用することができる。これにより環状の外壁材3が形成される。
天蓋2の周面部5の外周面5bに環状の外壁材3を接合する(接合工程)。接合工程では、外壁材3の内周面3aと周面部5の外周面5bが接合処理される。接合処理には、ヒートシールなどを用いることができる。具体的には、周面部5の外周面5bに予め接着剤を塗布しておき天蓋2の周面部5を外壁材3の内周面3aに押し当てた状態で、周面部5の内周面5a側からローラを押し当て加圧する。ローラは、自転しながら周面部5の内周面5a側に沿って回動する。このとき、ローラは加熱状態とされていることが好ましい。なお上記した接合処理は、一例であり、接合処理はこの方法に限定されるものではない。たとえば、天蓋用ブランク材と壁材用ブランク材として樹脂などで表面にコート層を形成したコート紙を用い、天蓋2の周面部5、外壁材3の内周面3aについてそれぞれコート層を向い合せてローラを押し当てて加熱及び加圧してもよい。このほかの接合方法が用いられてもよい。なお、このときローラとして、周面に凹部7に対応した形状を形成したものが用いられることが好ましい。この場合、接合工程で周面部5に凹部7を形成する工程(圧縮工程)を行うことも可能となる。例えば、凹部7が凹面7aとして凹状の湾曲面を形成している場合には、圧縮工程は、ローラとして、その周面に凹面7aに対応した凸形状の湾曲面を形成したものを用い、天蓋2の周面部5の内周面5a側から天蓋用ブランク材や外壁用ブランク材をローラで圧縮することで具体的に実現することができる。凹部7が形成されると、賦形工程において周面部5に皺が形成されていたとしても、周面部5の皺が押し広げられ、周面部5の皺をより少ない状態にすることも可能となる。なお、ローラによる周面部5への押圧力を制御することで凹部7の外周面5b側に凸面7bを形成するとともに外壁材3への対応部16にも凹面17を形成することができる。また、さらに外壁材3の対応部16における外周面3b側に凸面18を形成することもできる。
[4-2 作用効果]
上記した蓋体の製造方法によれば、密閉性に優れるとともに側面部における皺の発生をより規制された蓋体を製造することができる。
以上、本発明の各実施形態およびそれらの変形例について具体的に説明したが、本発明は、上述の各実施形態およびそれらの変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。上述の一実施形態およびそれらの変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
1 蓋体
2 天蓋
3 壁材
3a 壁材の内周面
3b 壁材の外周面
4 天面部
4a 天面部の外周縁
5 周面部
5a 周面部の内周面
5b 周面部の外周面
6 折り曲げ部
7 凹部
7a 凹面
7b 凸面
8 側面接合部
9 重なり部
10 壁材接合部
11 段差
14 フランジ部
15 係止部
16 対応部
17 対応部の凹面
18 対応部の凸面
41 天面部の裏面
71 隆起部
71a 凹状湾曲面
100 カール部

Claims (13)

  1. 外周縁に折り曲げ部を有する天面部と、前記折り曲げ部で前記天面部に対して上端を連続させた周面部とを有し、曲げ成型体で形成された天蓋を備え、
    前記周面部の内周面は、該周面部と前記天面部とで囲まれた空間に向かって露出する露出領域を有し、
    前記周面部は、前記露出領域に凹面を形成する凹部を1つ又は複数形成しており、
    1つ又は複数の前記凹部は、前記周面部の部分のうち前記露出領域の下端よりも、前記周面部の厚み方向に圧縮されており、
    前記周面部の下端は、前記周面部の上端よりも前記天面部の中心寄りに位置している、
    蓋体。
  2. さらに前記周面部の外周面に接合された環状の外壁材を備え、
    前記外壁材が前記天蓋を囲繞する、
    請求項1に記載の蓋体。
  3. 前記外壁材は、前記周面部の外周面に面接合される、
    請求項2に記載の蓋体。
  4. 前記外壁材は、外壁用ブランク材の2つの端部を重ね合わせた環状構造を有しており、
    前記外壁用ブランク材は、紙系素材からなる、
    請求項2に記載の蓋体。
  5. 前記外壁材のうち前記凹部に対応した対応部が、前記外壁材のうち前記露出領域の下端に対応する部分よりも、前記外壁材の厚み方向に圧縮されている、
    請求項2に記載の蓋体。
  6. 前記外壁材の上端は、前記天面部の上面よりも上方側に延び出ている、
    請求項2に記載の蓋体。
  7. 前記凹部は、1つ形成されており、
    該凹部は、前記露出領域の全域にわたって前記凹面を1つ形成する、
    請求項1に記載の蓋体。
  8. 前記凹部は、複数形成されており、
    複数の該凹部が、前記天蓋の上下方向に周期的に前記凹面を複数形成している、
    請求項1に記載の蓋体。
  9. 前記凹面は、前記露出領域の下端よりも上側寄りに形成される、
    請求項1に記載の蓋体。
  10. 前記凹部は、前記周面部の周方向に沿って環状に形成されている、
    請求項1に記載の蓋体。
  11. 前記周面部の前記露出領域には、容器の開口縁部に係止させる係止部が形成されている、
    請求項1に記載の蓋体。
  12. 前記曲げ成型体は、天蓋用ブランク材の曲げ成型により形成され、
    前記天蓋用ブランク材は、紙系素材からなる、
    請求項1に記載の蓋体。
  13. 前記周面部の下端には、外方向に延出したフランジ部が設けられている、
    請求項1に記載の蓋体。
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