このように複数層分の仮設材が構面内方向に複数の仮設材ユニットに分割される場合、横架材を立体フレームから分離させるときには、仮設材ユニット毎に横架材から分離させられ、上層へ盛り替えられることになるため、横架材は分割された複数の仮設材ユニットを支持する必要がある。
本発明は上記背景より、横架材を立体フレームから分離させて屋内側へ回収する場合に、横架材に、構面内方向に分割された隣接する仮設材ユニットの立体フレームを支持する能力を持ち得る仮設材用支持部材を提案するものである。
請求項1に記載の発明の仮設材用支持部材は、屋外に面する鉄骨柱の屋外側を除く2側面のそれぞれに固定される受け材と、この各受け材の鉛直軸回りに回転自在、且つ着脱自在に連結されるブラケットと、この各ブラケットの屋外側の、前記鉄骨柱の屋外側の側面より屋外側へ突出した突出部分に接合され、前記鉄骨柱の屋外側に設置される仮設材を一時的に支持する横架材とを備えた仮設材用支持部材であり、
前記仮設材の骨組である立体フレームを構成し、構面外方向に対向する縦枠の内、屋内側の1本の縦枠が鉛直方向に挿通し、この1本の縦枠を1個で保持する保持部材が前記横架材の軸方向両側のそれぞれに少なくとも2個、接続されていることを構成要件とする。
「屋外に面する鉄骨柱」は中柱以外の側柱と隅柱を指す。「鉄骨柱の屋外側を除く2側面」とは、図1、図2に示す側柱の場合、屋外に面する側面6bを除く、主に屋内側を向く側面以外の側面6aを指し、側柱に沿った構面内方向に隣接する側柱側、または隅柱側を向く側面を指す。図3に示す隅柱の場合も、「鉄骨柱の屋外側を除く2側面」は構面内方向に隣接する側柱側の側面6aを指す。「側面」は鉄骨柱6の表面を指すが、表面を含む鉄骨柱6の板要素を指すこともある。鉄骨柱6の断面形状は問われないが、主には角形鋼管、またはH形鋼が使用される。
受け材7は鉄骨柱6の側面6aに着脱自在に固定される場合と、一体的に固定される場合がある。「着脱自在」とは、上層階への支持部材1の盛り替えのために鉄骨柱6の側面6aから離脱自在に固定されることを意味する。受け材7の固定状態が鉄骨柱6回りへの仕上げ上、支障にならない場合には受け材7は固定されたままの場合もある。支障になる場合には離脱させられる、あるいは除去される。いずれの場合も、受け材7は支持部材1の一部になる。
ブラケット2は受け材7の鉛直軸の回りのいずれの向きにも回転自在に軸支される。回転自在であることで、ブラケット2は鉄骨柱6の屋外側の側面6bから屋外側へ張り出した状態と、図2、図3に二点鎖線で示す屋内側へ回り込んだ状態とに切り替え自在になる。鉛直軸は具体的には受け材7を挿通し、ブラケット2を直接、軸支する軸材8の中心である。鉛直軸としての軸材8にはピンや棒鋼、ボルト等が使用される。
ブラケット2は屋外側へ張り出した状態のときに、支持部材1と仮設材10の鉛直荷重を片持ち梁式に支持する。このため、鉛直軸に過大な捩りモーメントを作用させないようにする上では、受け材7、7は図1に示すように1個のブラケット2に付き、鉛直方向に距離を置いた上下で対になって鉄骨柱6に固定されることが適切である。受け材7、7が上下で対になる場合、鉛直軸としての軸材8は主に水平せん断力を負担すればよくなる。この場合、ブラケット2は鉛直軸側に、上下の受け材7、7に支持される被支持部2aを有する形状になる。
図1、図2-(b)、図3に示すようにブラケット2が屋外側へ張り出した状態にあるときに、ブラケット2の、鉄骨柱6の屋外側の側面6bから張り出した区間が突出部分2Aであり、突出部分2Aの範囲内に横架材3が接合される。横架材3は突出部分2Aに着脱自在に接合される場合もある。その場合、横架材3は回収時にブラケット2から分離可能になり、ブラケット2が受け材7に着脱自在に連結されることで、支持部材1の回収時にはブラケット2と共に回収される。
横架材3がブラケット2の突出部分2Aに接合されることで、ブラケット2の回転中心である鉛直軸から横架材3の接合位置までの距離である横架材3の回転半径が拡大する。この結果、ブラケット2の突出部分2Aが屋外側へ突出した状態から屋内側へ回り込んだときに、横架材3もブラケット2の鉛直軸を中心とする円弧を描いて屋内側へ回り込むため、横架材3の全体を屋内側の床面上の、屋外側の縁より屋内側へ寄った位置に回収することが可能になり、その後の横架材3の鉄骨柱6からの離脱作業は安全に遂行される。
ブラケット2と横架材3を含む支持部材1の回収方法の一例としては、図2-(b)、図3に示すように横架材3を鉄骨柱6両側の各ブラケット2側に後述のように分離させ、各ブラケット2を受け材7の鉛直軸回りに回転させて各ブラケット2を屋内側に寄せ、各ブラケット2を受け材7から分離させる方法がある。この他、図4に示すようにいずれか一方のブラケット2をそのブラケット2を支持する受け材7から分離させ、他方のブラケット2を支持している受け材7の鉛直軸回りに他方のブラケット2を回転させて横架材3を一方のブラケット2と共に屋内側に寄せ、他方のブラケット2を受け材7から分離させる方法がある。後者の場合、「一方のブラケット2」は受け材7から先行して分離させられる側のブラケットを指し、「他方のブラケット2」は受け材7に軸支されたまま鉛直軸回りに回転させられる側のブラケットを指す。
「横架材3を各ブラケット2側に分離させ」とは、図2-(b)に示すように横架材3自体が軸方向に2本の横架材構成材31、31に分割されており、横架材3の使用状態では横架材構成材31、31が互いに分離自在に連結されながら、屋内側への回収時に、連結部分において横架材構成材31毎に分離させられることを言う。図2-(b)に示す鉄骨柱6が側柱の場合と、図3に示す隅柱の場合のいずれでも、横架材3が各ブラケット2側に分離させられることがある。各横架材構成材31は各ブラケット2に接合された状態のまま、ブラケット2の鉛直軸回りの回転に伴って屋内側の床面上に回り込み、ブラケット2が受け材7から分離させられることによりブラケット2と共に回収される。
側柱の場合には、図4に示すように横架材3を横架材構成材31、31に分割せずに、鉛直軸回りに回転させられる他方のブラケット2と横架材3を一方のブラケット2と共に回収する方法もある。只、横架材3全体を他方のブラケット2と共に回収する場合には、図2-(a)に示すように一方のブラケット2が回り込もうとする側に隣接する鉄骨柱6に接触する可能性がないとは言えない。このような場合に、図2-(b)に示すように横架材3が横架材構成材31単位に分割されることで、横架材3やブラケット2を鉄骨柱6に接触させずに済む利点がある。
図2-(b)に示す例の場合、横架材3は例えば軸方向中間部位置で各ブラケット2側の横架材構成材31、31に2分割される。分割の形態は問われないが、横架材構成材31が互いに接合された、一本化した横架材3としての使用状態では、接合部分の曲げ剛性が低下しないように、あるいは曲げ剛性が不連続にならないように、例えば両横架材構成材31、31の接合側の一部が互いに重ねられる等により横架材構成材31、31同士が接合される。
図4に示すように横架材3を横架材構成材31、31に2分割せずに、鉛直軸回りに回転させられる他方のブラケット2と横架材3を一方のブラケット2と共に回収する場合には、一方のブラケット2はそれを軸支する受け材7から先行して離脱させられる。他方のブラケット2はそれを軸支している受け材7の鉛直軸回りに回転させられることにより、横架材3と一方のブラケット2が、他方のブラケット2の受け材7の屋内側に回り込む。横架材3は他方のブラケット2の突出部分2Aに接合されているため、ブラケット2を鉛直軸回りに180°程度、回転させたときに、横架材3全体を鉄骨柱6の屋内側まで移動させることが可能である。「突出部分2Aの開始位置」は突出部分2Aの内、屋内側の位置を指す。
なお、他方のブラケット2の回転により一方のブラケット2を横架材3と共に屋内側へ回転させるか否かは、鉄骨柱6の側面6aにおける鉛直軸の位置によっても決まる。詳しくは図4に示すように鉄骨柱6を平面で見たとき、他方のブラケット2の受け材7への支持点(鉛直軸)から、一方のブラケット2の受け材7への支持点である鉛直軸までの距離L1が、他方のブラケット2の支持点から、一方のブラケット2側の、鉄骨柱6の隅角部までの距離L2より大きいこと(L1>L2)で可能になる。L1>L2の条件は他方のブラケット2の鉛直軸と一方のブラケット2の鉛直軸が、鉄骨柱6の側面6aの幅方向中心より屋外側に位置する程、得られ易い。但し、図4の各部の位置関係は例示に過ぎず、横架材3は回収時に鉄骨柱6の屋内側にまで移動可能であればよい。
請求項1における「横架材3の軸方向両側のそれぞれに、少なくとも2個の保持部材4、4が接続されている」とは、横架材3の軸方向両側の片側に付き、少なくとも2個の保持部材4が接続されていることを言う。保持部材4は横架材3に一体的に接合されている場合と、着脱自在に接続される場合がある。保持部材4は仮設材10の骨組である立体フレーム11を構成する縦枠11aを挿通自在に包囲しながら、固定状態に保持し、拘束する役目を果たす。保持部材4、4は横架材3の軸方向両端で対になって縦枠11aを保持することで、立体フレーム11を支持する。
保持部材4は具体的には、保持部材4の屋外側に、縦枠11aが挿通し、縦枠11aを保持し、拘束し得るクランプ等の保持具42が固定されていることで(請求項2)、縦枠11aを挿通可能に保持する。保持具42に縦枠11aが挿通したときの縦枠11aの軸方向には、図1に示すように縦枠11aが挿通し、縦枠11aの軸方向の移動を案内する案内具45が固定されることもある。案内具45がない場合は、仮設材10の揚重機等による上昇時に一旦、保持具42から仮設材10を離脱させて鉄骨柱6から分離させ、必要高さまで上昇させた後、保持具42で再度、縦枠11a把持する。
保持具42が固定される保持部材4の屋外側の部分が、縦枠11aの軸方向に複数個の保持具42が配列可能な長さを持ち、この部分に複数個の保持具42が固定されていれば、1本の縦枠11aが複数箇所で保持されるため、仮設材10の支持能力と安定性が向上する。
鉄骨柱6が側柱の場合、保持部材4は図2に示すように横架材3の軸方向両側寄りのいずれかの2箇所に固定される。鉄骨柱6が隅柱の場合には、図3、図6に示すように鉄骨柱6の隅角部の位置にも保持部材4が固定される。横架材3がブラケット2と共に鉛直軸回りに回転し、屋内側へ回収されるときには、保持部材4も横架材3に付属したまま回転させられる。保持部材4は横架材3の回転時に鉄骨柱6に接触しない位置に固定されていればよい。
横架材3の軸方向両側に仮設材10の屋内側の縦枠11aを保持する保持部材4が接続されていることで、作業層への仮設材10の設置状態においては縦枠11aを拘束状態に保持し、仮設材10の上層への移動時ににおいては縦枠11aを昇降自在に保持することができる。このため、作業階での作業時の安全性を確保しながら、作業階での作業終了後の円滑な仮設材10の上昇操作が可能になる。
鉄骨柱6の屋外側の、鉄骨柱6に構面外方向に対向する位置にのみ仮設材10が配置される場合、保持部材4は横架材3の軸方向両側の片側に付き、1個、接続されればよい。この場合、仮設材10は鉄骨柱6の屋外側に対向して配置される仮設材ユニットとしての柱前仮設材10Aとなる(請求項3)。柱前仮設材10Aの立体フレーム11は例えば屋内側の縦枠11aとこれに構面外方向に対向する屋外側の縦枠11aと、構面外方向に隣接する縦枠11a、11a間と、屋外側で構面内方向に隣接する縦枠11a、11a間に架設され、縦枠11a、11aを連結する横枠11cから構成される。
仮設材10が上記のように鉄骨柱6に構面外方向に対向する位置にのみ配置される場合、保持部材4は柱前仮設材10Aの屋内側の縦枠11aを昇降自在に保持する(請求項3)。保持部材4が横架材3の軸方向片側に2個以上、接続されている場合には、複数個の保持部材4の内、横架材3の軸方向中心側に位置する保持部材4が縦枠11aを保持する(請求項3)。
仮設材10が鉄骨柱6に対向する位置と、構面内方向に隣接する2本以上の鉄骨柱6、6間に跨るように配置される場合、仮設材10は鉄骨柱6の屋外側に対向して配置される仮設材ユニットとしての柱前仮設材10Aと、隣接する2本の鉄骨柱6、6間の屋外側に配置される仮設材ユニットとしての柱間仮設材10Bとに分割される(請求項4)。この場合に備え、保持部材4は横架材3の軸方向両側の片側に付き、柱前仮設材10A用と柱間仮設材10B用の少なくとも2個、接続される。
仮設材10が構面内方向に隣接する2本の鉄骨柱6、6間の屋外側に跨るように配置される場合、保持部材4は柱間仮設材10Bの屋内側の縦枠11aを昇降自在に保持する(請求項4)。保持部材4が横架材3の軸方向片側に2個、接続されている場合には、横架材3の軸方向中心側以外の部分に位置する保持部材4が柱間仮設材10Bの縦枠11aを保持する(請求項4)。
同一建物でも階によって柱間スパンが異なる場合があるため、異なる柱間スパンに対応できるように、横架材3の軸方向片側に保持部材4を3個以上、接続する場合もある。この場合、横架材3の軸方向中心側以外の部分に位置するいずれかの保持部材4が柱間仮設材10Bの縦枠11aを保持する(請求項4)。いずれの場合も、仮設材10が柱前仮設材10Aと柱間仮設材10Bとに分割されるため、作業階での作業終了後、柱前仮設材10Aと柱間仮設材10Bは独立して上昇可能になる。「軸方向中心側以外の部分」は「軸方向中心側(請求項3)」の部分を除いた部分を指し、軸方向中心部分より相対的に軸方向両端側に寄った部分を意味する。
鉄骨柱の屋外側に設置される仮設材を一時的に支持する横架材の軸方向両側に、仮設材の骨組である立体フレームの縦枠を保持する保持部材を接続しているため、支持部材の使用状態で、作業層への仮設材の設置状態で縦枠を拘束状態に保持しながら、仮設材の上層への移動時には縦枠を昇降自在に保持することができる。この結果、作業階での作業時の安全性を確保しながら、作業階での作業終了後の円滑な仮設材の上昇操作が可能になる。
図1は屋外に面する鉄骨柱6の屋外側を除く2側面6a、6aのそれぞれに固定される受け材7、7と、各受け材7の鉛直軸回りに回転自在、且つ着脱自在に連結される2個のブラケット2、2と、2個のブラケット2、2の屋外側に接合され、鉄骨柱6の屋外側に設置される仮設材10を一時的に支持する横架材3とを備えた支持部材1と、鉄骨柱6との関係を示す。横架材3が接合されるブラケット2の屋外側の部分は鉄骨柱6の屋外側の側面6bより屋外側へ突出した突出部分2Aを有し、この突出部分2Aに横架材3が接合される。
ブラケット2は横架材3を支持した状態では、屋内側の受け材7に軸支されながら、屋外側の突出部分2Aにおいて横架材3を支持するため、ブラケット2を軸支する受け材7はモーメントを負担する。このモーメントに有効に抵抗する目的で、図1では鉄骨柱6の1側面6aに付き、2個の受け材7、7を対にし、鉛直方向に距離を置いて配置している。但し、必ずしもその必要はなく、1個の受け材7がブラケット2を支持することもある。図1に示すように2個の受け材7、7を対にして使用した場合には、受け材7、7はモーメントに対して偶力(せん断力)で抵抗することができるため、捩りモーメントを負担せずに済む利点がある。鉄骨柱6の側面6aには鉄骨柱6、6間に架設される梁9が接合されている。
図1では2個の受け材7、7を鉛直方向に距離を置いて側面6aに溶接等により固定しているが、受け材7、7はボルト接合等により着脱自在に接合されることもある。図1ではアングルピース等の鋼材片を受け材7として側面6aに溶接し、上下の受け材7、7間に鉛直軸になるボルト等の軸材8を跨設し、軸材8の両側を受け材7、7にナット等の締結材81で締結しているが、受け材7の形と側面6aへの固定方法、及び軸材8の形態は問われない。
ブラケット2はその屋内側の部分において2個の受け材7、7に支持されながら、屋外側に突出部分2Aを有することに適した、例えば三角形状等の立面形状に形成される。図1では具体例として屋内側で上下に距離を置いた上部材21と下部材22間に接続材23を架設し、上部材21と下部材22を屋外側で互いに接合した形状に形成しているが、ブラケット2の形態は任意である。ブラケット2の上部材21等の構成材には形鋼等が使用されるが、ブラケット2は三角形等、多角形状の鋼板等の周囲にフランジとなるプレートを溶接等、一体化させることによっても形成される。上部材21と下部材22の屋内側には、上下の受け材7、7に軸支される被支持部2a、2aが形成、または接合される。被支持部2a、2aは受け材7、7に、軸材8の中心となる鉛直軸の回りに回転自在に連結される。
横架材3はブラケット2の突出部分2Aの上面上に載置され、支持されるため、直接には上部材21に接合される。この関係で、上部材21の突出部分2Aには横架材3を接合するための接合部が形成される。接合部に横架材3が接合され、横架材3をブラケット2に拘束した状態を維持できれば、接合部の形態は問われない。図1では上部材21の上面に、接合部として横架材3を幅方向両側から挟み込み、ボルト等の軸材8で接合するための接合片2b、2bを横架材3の幅方向に対向させて突設した例を示している。図1では特に、軸材8が挿通する横架材3の挿通孔3aを横架材3の軸方向に複数個、形成し、鉄骨柱6の幅寸法の相違に対応可能にしている。
横架材3は接合部としての接合片2b、2bに着脱自在に接合されることもあり、その場合、横架材3はブラケット2から分離自在に接合される。横架材3は軸方向両端部等で仮設材10を支持したときに、図5、図6に示す仮設材10を直接、支持する後述の保持部材4から捩りモーメントを受け得るから、図1では横架材3に捩りモーメントに抵抗可能な角形鋼管を使用しているが、横架材3の断面形状は任意である。仮設材10は縦枠11aと横枠11cから組み立てられる立体フレーム11を基本的な骨組とし、立体フレーム11内に水平に設置される足場12と、立体フレーム11の外周に沿って張られる落下防止用等のネット13を含む。仮設材10の詳細は後述する。
鉄骨柱6が図2、図4に示す側柱の場合も、図3、図6に示す隅柱の場合も、横架材3は直接には基本的に2個のブラケット2、2に支持され、受け材7、7を介して鉄骨柱6に支持される。只、鉄骨柱6が隅柱の場合、2分割された1本の横架材3の長さが側柱の場合より長く、鉄骨柱6の側面6aに支持された1個のブラケット2が負担すべき横架材3の質量が大きくなる。この関係で、図3、図6では横架材3を安定させて鉄骨柱6に支持させるために、鉄骨柱6の屋外側の2側面6bにも横架材3を直接、支持するブラケット20を接続している。
このブラケット20も側面6bに固定された受け材7、7に支持され、ブラケット20の屋外側の端部には横架材3を保持する接合片2b、2bが形成される。横架材3の屋内側への回収時にはブラケット20が受け材7、7から分離させられるか、受け材7、7がブラケット20ごと側面6bから分離させられ、ブラケット20は横架材3と共に回収される。横架材3が側面6bの接合片2b、2bから離脱させられ、横架材3の回収後にブラケット20が回収されることもある。
横架材3がブラケット2、2に支持された状態での、軸材8回りの回転に対する安定性を高める上では、ブラケット2、2の鉄骨柱6に対する動きを拘束する拘束材5が両ブラケット2、2間に架設され、各ブラケット2に固定される。図1以下に示す例では鉄骨柱6の屋外側の側面6bに線接触、または面接触する板状等の拘束材5を両ブラケット2、2に固定することで、横架材3を支持した状態でのブラケット2の鉛直軸回りの揺動、または振動を防止している。
拘束材5は側面6bに少なくとも線で接触することで、鉄骨柱6の側面6aとブラケット2との間に空隙がある場合に、ブラケット2の動きを拘束する。拘束材5は支持部材1の一部になる。拘束材5はブラケット2には着脱自在に接合されることもあるが、図1ではブラケット2の突出部分2Aの上面に一体的に固定することで、ブラケット2から分離しない状態に接合した場合の例を示している。具体的には、上部材21に上面側から形成された切り込みに、拘束材5である山形鋼の一方の片を差し込んで溶接している。
横架材3の軸方向両側のそれぞれには、仮設材10の骨組である立体フレーム11を構成する屋内側の縦枠11aが鉛直方向に挿通し、縦枠11aを保持し、支持する少なくとも2個の保持部材4、4が接続される。図1、図2、図5、図6は横架材3の軸方向の片側に付き、2個の保持部材4、4を接続した場合の例を示している。図3、図4は1個の保持部材4を接続した場合の参考例を示している。
保持部材4は直接には、保持部材4の屋外側に固定される保持具42において縦枠11aを保持し、拘束する。保持具42は縦枠11aが軸方向に挿通可能な筒状の形状をし、軸方向が縦枠11aの軸方向と同一方向を向いて保持部材4に固定される。保持具42にはクランプ等の把持機構を有する部材が使用される。縦枠11aの案内は、図1に示すように保持具42の軸線と同一線上に軸線が配置される案内具45が果たし、保持具42は縦枠11aを保持する役目を果たす。
保持部材4の形態は問われないが、保持部材4は仮設材10を支持したときにモーメントを負担し得るため、そのモーメントに抵抗しながら、モーメントを横架材3に伝達できるような形状に形成される。例えば図1に示すように保持部材4は保持具42が接合される保持材41と、保持材41が接合されながら、横架材3に接合されて支持される被支持材43から構成される。
保持具42に縦枠11aが挿通し、保持具42が縦枠11aを保持したとき、縦枠11aからは保持部材4全体にモーメントが作用し、横架材3に捩りモーメントを作用させる。この関係で、保持部材4には横架材3の端面に接合されたプレート44を用いてモーメントを横架材3に伝達可能に接合される。保持材41はモーメントに有効な三角形状に形成され、被支持材43には横架材3の幅方向の複数箇所でプレート44等を介して接合される。保持具42は鉛直方向に挿通する縦枠11aを安定させて保持できるよう、保持材41の三角形の縦部分に鉛直方向に間隔を置いて複数個、溶接等により接合される。図1では上記した案内具45を被支持材43の屋外側の部分に接合している。
仮設材10が鉄骨柱6に構面外方向に対向する位置にのみ配置される場合、仮設材10は柱前仮設材10Aとして上記立体フレーム11と足場12、及びネット13等から組み立てられる。図5~図7に示すように仮設材10が鉄骨柱6に対向する位置と、構面内方向に隣接する2本以上の鉄骨柱6、6間に跨るように配置される場合、仮設材10は柱前仮設材10Aと、隣接する2本の鉄骨柱6、6間の屋外側に配置される柱間仮設材10Bとに区分される。後者の場合、鉄骨柱6が側柱であれば、基本的に図5に示すように柱前仮設材10Aの構面内方向両側に柱間仮設材10Bが配置される。鉄骨柱6が隅柱の場合には、柱前仮設材10Aの構面内方向両側に柱間仮設材10Bが配置される場合と、片側にのみ配置される場合がある。
図5、図6では柱前仮設材10Aの屋内側の縦枠11a、11aを構面外方向に各2本ずつ、並列させながら水平材11bで互いに連結して一体化させ、屋内側の2本の縦枠11a、11aを対にした形に形成している。その内の屋外側の縦枠11aの屋外側にこれに構面外方向に対向する縦枠11aを配置し、この対向する各2本の縦枠11a、11a間と、屋外側で構面内方向に隣接する縦枠11a、11a間とにそれぞれ横枠11cを架設し、2方向の両縦枠11a、11aを互いに連結して枠組みを形成している。ここでは横枠11cで連結された4本の縦枠11aで包囲された領域に足場12を配置し、この4本の縦枠11aの外周側にネット13を張っている。
図5、図6に示す柱間仮設材10Bも、屋内側の縦枠11a、11aを構面外方向に各2本ずつ、並列させながら水平材11bで互いに連結して一体化させ、屋内側の2本の縦枠11a、11aを対にした形に形成している。横枠11cは図7に示すように構面内方向両側の縦枠11a、11a間に架設される。柱間仮設材10Bは柱前仮設材10Aより構面内方向の距離が大きいため、構面内方向両側の縦枠11a、11a間にも適度の間隔を置いて縦枠11aが配置される。ネット13は構面内方向両側の縦枠11a、11a間の外側に張られる。
仮設材10が柱前仮設材10Aのみの場合も、原則的に保持部材4は横架材3の軸方向の片側に付き、2個、接続される。2個以上接続される場合、柱前仮設材10Aの支持用には軸方向中心側の1組の保持部材4、4が使用される。柱前仮設材10Aの構面内方向両側の屋内側に1本の縦枠11aが配置される場合には、1個の保持部材4が1本の縦枠11aを保持する。
仮設材10が柱前仮設材10Aと柱間仮設材10Bを有する場合、保持部材4は図1等に示すように横架材3の軸方向の片側に2個以上、接続される。横架材3の軸方向片側の2個以上の保持部材4の内、横架材3の軸方向中心側に位置する保持部材4が柱前仮設材10Aの縦枠11aを保持し、軸方向中心側以外の部分に位置する保持部材4が柱間仮設材10Bの縦枠11aを保持する。図5、図6中、保持部材4上に位置し、横架材3の上面に重なっている孔あきのプレートは例えば足場12上での作業時等に作業者が装着している安全帯に親綱を接続する場合等に親綱を連結するための連結具32を示す。連結具32は横架材3の上面に溶接等により固定される。
柱間仮設材10B用の保持部材4を有することで、建方が先行する上節の鉄骨柱6を利用し、構面内方向に隣接する2本以上の鉄骨柱6、6間に跨るように柱間仮設材10Bを支持させることができ、上節の鉄骨柱6、6間への梁9の架設に先行して落下防止養生ネットを張った柱間仮設材10Bを設置することができる。それにより上節の鉄骨柱6、6間に梁9を架設する際の飛来落下災害の防止策が図られる。
柱間仮設材10Bは構面内方向の距離が大きく、足場12がないこともあって、構面外方向の剛性がなく、風に対する安定性が乏しい。このことから、図7では構築済みの下階側の鉄骨柱6、6間の梁9の上部フランジ9a上等に図8に示すような留め具14を固定し、縦枠11aと留め具14間にネット13のあおりを防止するつなぎ材15を架設し、双方に接続している。つなぎ材15は両端部において柱間仮設材10Bの構面内方向両側以外の縦枠11aと留め具14に拘束された状態で連結されることで、構面内方向両側以外の縦枠11aを梁9に拘束する働きをする。
つなぎ材15は柱間仮設材10Bの主に構面外方向の挙動を拘束すればよいため、基本的には軸方向を構面外方向に向けて架設される。それに対し、いずれかの、例えば図7に示すように鉄骨柱6寄りのつなぎ材15を構面外方向に対して傾斜させれば、柱間仮設材10Bからの構面内方向の張力もつなぎ材15が軸方向力の分力として負担しながら、梁9に伝達することができる。
留め具14はつなぎ材15の梁9側の端部を梁9の上部フランジ9a等に接続する働きをすればよく、形態は問われないが、図8では留め具14として形鋼、または鋼板を組み合わせた鋼材を使用している。具体的には上部フランジ9a上等に固定されている作業用の吊りピース16を利用して留め具14としての鋼材を固定している。
ここでは留め具14を高さ調整自在、あるいは長さ調整自在にするために、2枚の鋼板141、142の一方にナット144を、他方にボルト145を、軸方向を鉛直方向に向けて溶接し、ボルト145をナット144に螺入させている。一方の鋼板141は上部フランジ9a等に溶接等により固定されるが、図8では鋼板141の上部フランジ9aへの溶接時に安定させるために、鋼板141の下端に垂直に鋼板143を一体化させている。ここではまた、留め具14の固定状態での安定性を増すために、一方の鋼板141を吊りピース16にボルト145を用いて接合している。図8の例では他方の鋼板142が一方の鋼板141から僅ながら分離しているが、分離によるボルト145への曲げモーメントとせん断力の作用を低減するために、分離距離を極力、抑えている。
相対的に上側に位置する他方の鋼板142にはつなぎ材15としての鋼管等が挿通する開口142aが形成される。この開口142aに(a)に示すようにつなぎ材15が挿通し、他方の鋼板142の厚さ方向両側位置でつなぎ材15に定着具17が着脱自在に固定される。図8では定着具17にクランプを使用している。柱間仮設材10B側でもつなぎ材15の端部は同様に縦枠11a等に接続される。つなぎ材15には柱間仮設材10Bのネット13が受ける風圧力により軸方向力が作用するため、つなぎ材15の軸方向力による曲げモーメントが大きくなる一方の鋼板141にはリブ141aが形成、または接合される。
図2-(a)は鉄骨柱6が側柱である場合に、隣接する側柱の鉄骨柱6、6間において、横架材3に一方のブラケット2を接合したまま回転させるときに、横架材3が鉄骨柱6に接触する可能性がある場合の状況を示している。この場合、拘束材5自体が互いに分離自在でなければ、拘束材5は両ブラケット2、2に一体化するため、支持部材1の回収時には両ブラケット2、2と同時に回転し、回収される。図2-(b)は鉄骨柱6が側柱である場合に、横架材3が2本の横架材構成材31、31に分割され、拘束材5も2本の拘束材構成材51、51に分割されている場合の、支持部材1の屋内側への回収の様子を示している。
但し、図2-(b)に示すように拘束材5自体が軸方向に互いに分離自在であれば、拘束材5は各ブラケット2単位で分離した拘束材構成材51も回収されることになる。拘束材5が互いに分離自在でない場合でも、ブラケット2に着脱自在に接合されていれば、拘束材5は回収側となる他方のブラケット2と共に回収され、一方のブラケット2は単独で回収される。拘束材5は図2-(b)に示す例の他、図3に示すように横架材3が2本の横架材構成材31、31に分割される場合に、2本の拘束材構成材51、51に分割される。図2-(b)に示す回収方法は、図2-(a)に示すように横架材3の全体を他方のブラケット2の鉛直軸回りに回転させようとすると、横架材3の一方のブラケット2寄りの部分がその側にある鉄骨柱6に接触する可能性がある場合に実施される。
図2-(b)の例ではブラケット2、2が横架材3を支持した状態では、横架材3は各ブラケット2の接合片2bに接合されることで、ブラケット2、2に支持され、間接的に鉄骨柱6に支持されている。2本の横架材構成材31、31は互いに接合されたときに、接合部分の曲げ剛性が低下しないような状態で接合される。例えば横架材構成材31、31は少なくとも一部の区間で互いに厚さ方向に重なった状態で接合される、または横架材構成材31、31の重なり部分に剛性を付与する何らかの補剛材が両横架材構成材31、31に跨って接合される。
図2-(b)の場合、支持部材1の回収の際には、図5に示すように足場12を含む仮設材10が支持部材1に支持されている状態で、仮設材10の一部である足場12上で、横架材3が横架材構成材31、31に分離させられる。分離した横架材構成材31、31がそれぞれに接合されているブラケット2、2と共に各鉛直軸回りに回転させられることで、支持部材1が各ブラケット2側に分離して屋内側へ回収される。拘束材5も拘束材構成材51、51に分離させられ、各ブラケット2と共に回収される。図6に示す例でも同様に作業される。
図3は鉄骨柱6が隅柱である場合に、支持部材1を各ブラケット2単位で鉄骨柱6の中心に関して両側に分割させて回収するときの様子を示す。ブラケット2、2は鉄骨柱6の屋外側を除く、鉄骨柱6が隣接する側の側面6a、6aに固定された受け材7、7に軸支される。この例でも横架材3は横架材構成材31、31に分離自在に組み立てられるが、横架材3は使用状態では鉄骨柱6の位置に応じ、平面上、L字形に形成される。この例でも横架材構成材31、31は横架材3の使用状態では例えばL字の隅角部寄りの位置等で互いに重なり合い、接合される。拘束材5も回収に備え、鉄骨柱6の屋外側の隅角部付近等で拘束材構成材51、51に分割されるが、使用状態では互いに分離自在に連結されていればよい。
図3では支持部材1の回収の際には、支持部材1に仮設材10が支持されている状態で、横架材3が横架材構成材31、31に、拘束材5が拘束材構成材51、51に分離させられ、鉄骨柱6の各側面6aに支持されているブラケット2と共に回収される。この例では鉄骨柱6が隅柱である関係で、横架材構成材31、31が重なる(交わる)位置である、鉄骨柱6の屋外側隅角部の屋外側にも、横架材3のブラケット2寄りの位置に支持されている保持部材4が固定される。この鉄骨柱6の隅角部寄りの保持部材4は支持部材1の回収時には二点鎖線の上方寄り部分に示すようにいずれかの横架材構成材31に接合されたまま、回収される。
図3では前記のように鉄骨柱6の屋外側の側面6bにもブラケット20が接続され、各横架材構成材31はこのブラケット20にも支持されているが、支持部材1の回収時には、横架材構成材31がブラケット20と共に、またはブラケット20及び受け材7、7と共に側面6bから分離させられ、ブラケット2と共に回収される。
図4は鉄骨柱6が側柱である場合に、いずれか一方のブラケット2をそのブラケット2を支持する受け材7から分離させ、他方のブラケット2を支持している受け材7の鉛直軸である軸材8の中心回りに他方のブラケット2を回転させて支持部材1を屋内側へ回収する場合の回収要領を示す。この例では支持部材1の回収側となる他方のブラケット2を軸支している受け材7の鉛直軸の回りに横架材3と一方のブラケット2も回収するため、横架材3と拘束材5は2分割されている必要はない。
支持部材1の回収は一方のブラケット2を受け材7から離脱させ、他方のブラケット2を鉛直軸回りに回転させることにより行われる。横架材3と一方のブラケット2が屋内の床面上に位置するまで、他方のブラケット2を回転させた時点で、他方のブラケット2を軸支している軸材8からブラケット2の被支持部2aを分離させることにより回収が終了する。
図4に示す例では他方のブラケット2を軸支する鉛直軸回りの回転によって屋内側へ回り込む支持部材1が、図2-(b)の場合より長くなる。但し、横架材3がブラケット2の突出部分2Aに接合されていることで、回転中心である鉛直軸から他方のブラケット2に接合されている横架材3の接合部分までの距離である回転半径を大きく確保することができる。このため、支持部材1の屋内側への回収時には二点鎖線で示すようにブラケット2と横架材3を含む支持部材1全体を屋内側の床面上に位置するまで取り込むことが可能になっている。
図4の例では鉄骨柱6を平面で見たとき、他方のブラケット2を軸支する鉛直軸である軸材8の中心から、一方のブラケット2を軸支する鉛直軸までの距離L1が、他方のブラケット2の鉛直軸から、一方のブラケット2側の、鉄骨柱6の隅角部までの距離L2より大きければ(L1>L2)、他方のブラケット2を鉛直軸回りに回転させることで、支持部材1の回収が可能になる。
L1>L2の条件は、他方のブラケット2の鉛直軸と一方のブラケット2の鉛直軸との距離が、鉄骨柱6の側面6aの幅方向中心より屋外側の側面6bに近い程、成立し易い。L1>L2であれば、一方のブラケット2は被支持部2aを含め、他方のブラケット2の鉛直軸回りの回転時に鉄骨柱6の隅角部の外周を通過して回り込むことができる。