1.一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体
本発明は、下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
例えば有機ELディスプレイ用の発光材料としては、蛍光材料、りん光材料、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料の3種類が利用されているが、蛍光材料は、発光効率が低く、およそ25~62.5%程度である。一方、りん光材料とTADF材料は、発光効率が100%に達する場合もあるが、いずれも色純度が低い(発光スペクトルの幅が広い)という問題がある。ディスプレイでは、光の三原色である赤・緑・青色の発光を混合することによりさまざまな色を表現しているが、それぞれの色純度が低いと、再現できない色ができてしまい、ディスプレイの画質が大きく低下する。そこで、市販のディスプレイでは、発光スペクトルから不必要な色を光学フィルターで除去することにより、色純度を高めてから(スペクトル幅を狭くしてから)使用している。したがって、元々のスペクトル幅が広いと除去する割合が増えるために、発光効率が高い場合でも、実質的な効率は大きく低下する。例えば、市販のスマートフォンの青色の発光スペクトルの半値幅は、およそ20~25nm程度であるが、一般的な蛍光材料の半値幅は40~60nm程度、りん光材料は60~90nm程度、TADF材料だと70~100nm程度である。蛍光材料を用いた場合は半値幅が比較的狭いため不要な色を一部除去するだけで足りるが、りん光材料やTADF材料を用いた場合は半分以上除去する必要がある。このような背景から、発光効率と色純度の両方を兼ね備えた発光材料の開発が望まれていた。
一般にTADF材料は、ドナーと呼ばれる電子供与性の置換基とアクセプターと呼ばれる電子受容性の置換基を用いて分子内のHOMOとLUMOを局在化させて、効率的な逆項間交差(reverse intersystem crossing)が起きるようにデザインされているが、ドナーやアクセプターを用いると励起状態での構造緩和が大きくなり(ある分子においては、基底状態と励起状態では安定構造が異なるため、外部刺激により基底状態から励起状態への変換が起きると、その後、励起状態における安定構造へと構造が変化する)、色純度が低い幅広な発光スペクトルを与えることになる。
そこで、特許文献6(国際公開第2015/102118号公報)では、TADF材料の色純度を飛躍的に向上させる新たな分子設計を提案している。当該文献に開示された例えば化合物(1-401)では、ホウ素(電子受容性)と窒素(電子供与性)の多重共鳴効果を利用することで、6つの炭素からなるベンゼン環上の3つの炭素(黒丸)にHOMOを、残りの3つの炭素(白丸)にLUMOを局在化させることに成功している。この効率的な逆項間交差により、当該化合物の発光効率は最大で100%に達する。さらに、化合物(1-401)のホウ素と窒素はHOMOとLUMOを局在化させるだけではなく、3つのベンゼン環を縮環させることにより堅牢な平面構造を維持し、励起状態での構造緩和を抑制するという役割も担っており、結果として吸収および発光のピークのストークスシフトが小さい、色純度の高い発光スペクトルを得ることにも成功している。その発光スペクトルの半値幅は28nmであり、実用化されている高色純度の蛍光材料をも凌駕するレベルの色純度を示している。また、二量体化合物(1-422)では、2つのホウ素と2つの窒素が中央のベンゼン環に結合することで、中央のベンゼン環においてさらに多重共鳴効果を増強させており、その結果、極めて狭い発光ピーク幅を有する発光が可能となっている。
一方、化合物(1-401)は、励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーのエネルギー差であるΔESTは比較的小さいが、平面性が高くスピン軌道相互作用(Spin-Orbit Coupling: SOC)が小さいために、遅延蛍光寿命(Tau(Delay))が長く、熱活性型遅延蛍光(TADF)を利用した有機電界発光素子の発光材料として利用した場合に効率が低く、あるいはロールオフが大きくなるという課題があった。
また、二量体化合物(1-422)では、分子の平面性が高く共鳴が広くなったため発光波長が長くなり、実用的な青色の波長からは離れ、また、高い平面性のため分子間スタッキングが誘起されたためか、発光素子における効率も十分満足できるほどではないという課題も生まれた。
そこで我々は鋭意研究の結果、(i)多重共鳴効果を調節する元素を適切な位置に導入し、(ii)分子の平面性を増加させるために芳香族環を架橋し、(iii)分子を歪ませて平面性を減少させるために適切な位置に置換基を導入するという、3つのアプローチを適切に組み合わせることで、化合物において、発光波長および発光スペクトルの半値幅の調整、高い発光効率および短い遅延蛍光寿命を実現し、素子において、適切な発光波長および発光スペクトルの半値幅、高い素子効率および小さいロールオフを実現した。
さらに具体的に言えば、TTFまたはTAFを利用した有機電界発光素子のエミッターには、スペクトル半値幅がより狭く色純度の高い発光や、高い発光効率およびホストに比べて高い三重項エネルギーが必要であり、上記(i)および(ii)に加えて共役長を伸長することで目的が達成される。TADFを利用した有機電界発光素子のエミッターには、スペクトル半値幅がより狭く色純度の高い発光や、高い発光効率および高い三重項エネルギーが必要であり、上記(i)、(ii)および(iii)を適用することで目的が達成される。
前述の(i)に関しては、具体的には、本発明の一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、Xとして>O、>S、>Se、>C(-R)2または>Si(-R)2を有するが、Xに導入される元素の電気陰性度により、分子の多重共鳴効果が影響を受ける。例えば、Xに>O、>Sまたは>C(-R)2を導入すれば、>N-Rの導入に比べて、一般的には発光波長は短くなり、発光スペクトルの半値幅は太くなる。
前述の(ii)に関しては、具体的には、本発明の一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、a環およびd環を連結する連結基Lを有する。Lの導入により共役が延び、分子の平面性が増加する。それにより基底状態と励起状態の軌道の重なりが大きくなり遷移確率が増加し発光効率が高くなる。一方で、共役が延びることは発光波長の長波長化につながる。加えて、三重項エネルギーが若干低下するために素子駆動時に三重項エネルギーに起因する劣化が減少しTTFを利用した有機電界発光素子において長寿命が得られる。また、a環、d環および連結基Lを含んで形成される縮合環は、Lの種類により平面性および柔軟性が変化し、平面性が高ければ発光効率の向上が期待される一方で発光波長が長波長化する場合があり、柔軟性が高ければ分子間スタッキングの低減が得られる一方で発光スペクトルの半値幅が太くなる場合がある。それぞれの連結基Lを導入した場合の発光波長については、Lはa環の多重共鳴効果を崩す位置に置換されているために、電気陰性度が炭素に近い化合物の方が発光波長は短くなる。
前述の(iii)に関しては、具体的には、R7またはR8の置換基を調整する。特定の置換基の導入により分子が歪み、それにともなって、一重項および三重項の軌道も共に歪む。この軌道の歪みはより大きなスピン軌道相互作用につながり、スピン軌道相互作用が大きいほどはTADFが起きやすい。三重項から一重項(または一重項から三重項)への遷移は電子スピンの反転を伴うが、エネルギー保存の法則と角運動量保存の法則より遷移する軌道間に電子スピンと同じ軌道角運動量の変化が必要である。置換基により誘起される分子と軌道の歪みは、遷移の際により大きな軌道角運動量の生成に繋がり、それによってより大きな磁気モーメントが誘起され、より大きなスピン軌道相互作用(スピン軌道結合とも言う)が生じる。また、分子の大きな歪みにより平面性が低下するため、分子間スタッキングの低減にもつながる。
これら(i)~(iii)のアプローチを組み合わせた結果、化合物において、発光波長および発光スペクトルの半値幅の調整、高い発光効率および短い遅延蛍光寿命の実現、ならびに、素子において、適切な発光波長および発光スペクトルの半値幅、高い素子効率および小さいロールオフの実現が可能となった。ただし、本発明の多環芳香族化合物の効果は、上記原理に拘束されるわけではない。
上記一般式(1)では、
R2~R15(以降、「R2等」ともいう)は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、また、R2およびR3、R4~R7、R8~R11ならびにR12~R15のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、c環およびd環の少なくとも1つの環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、
Xは、>O、>S、>Se、>C(-R)2、>Si(-R)2または>N-Rであり、前記>C(-R)2、>Si(-R)2および>N-RのRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、
Lは、単結合、>C(-R)2、>O、>S、>N-Rまたは>Si(-R)2であり、前記>C(-R)2、>N-Rおよび>Si(-R)2におけるRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、そして、
一般式(1)で表される化合物および構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
R2等の「アリール」(第1置換基)は、例えば、炭素数6~30のアリールであり、炭素数6~20のアリールが好ましく、炭素数6~16のアリールがより好ましく、炭素数6~12のアリールがさらに好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
具体的なアリールとしては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニリル、o-テルフェニリル、p-テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
R2等の「ヘテロアリール」(第1置換基)は、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールであり、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールは、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などである。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホリル、ジベンゾホスホリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどが挙げられる。
R2等の「ジアリールアミノ」(第1置換基)中の「アリール」、「ジヘテロアリールアミノ」(第1置換基)中の「ヘテロアリール」、「アリールヘテロアリールアミノ」(第1置換基)中の「アリール」および「ヘテロアリール」、ならびに「アリールオキシ」(第1置換基)中の「アリール」としては、上述したアリールおよびヘテロアリールの説明を引用できる。
R2等の「アルキル」(第1置換基)は、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルである。炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)や炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル(t-アミル)、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル(1,1,3,3-テトラメチルブチル)、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどが挙げられる。
また、例えば、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1,1,4-トリメチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルオクチル、1,1-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルヘプチル、1,1,5-トリメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1-ジメチルヘキシルなどもあげられる。
R2等の「シクロアルキル」(第1置換基)としては、炭素数3~24のシクロアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどが挙げられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体や、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
R2等の「アルコキシ」(第1置換基)は、例えば、炭素数1~24の直鎖または炭素数3~24の分岐鎖のアルコキシである。炭素数1~18のアルコキシ(炭素数3~18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1~12のアルコキシ(炭素数3~12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数3~6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルコキシ(炭素数3~5の分岐鎖のアルコキシ)や炭素数1~4のアルコキシ(炭素数3~4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、t-アミルオキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、t-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、1-メチルペンチルオキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、n-ヘプチルオキシ、1-メチルヘキシルオキシ、n-オクチルオキシ、t-オクチルオキシ、1-メチルヘプチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、2-プロピルペンチルオキシ、n-ノニルオキシ、2,2-ジメチルヘプチルオキシ、2,6-ジメチル-4-ヘプチルオキシ、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ、n-デシルオキシ、n-ウンデシルオキシ、1-メチルデシルオキシ、n-ドデシルオキシ、n-トリデシルオキシ、1-ヘキシルヘプチルオキシ、n-テトラデシルオキシ、n-ペンタデシルオキシ、n-ヘキサデシルオキシ、n-ヘプタデシルオキシ、n-オクタデシルオキシ、n-エイコシルオキシなどが挙げられる。
R2等の「ジアリールボリル」(第1置換基)中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(-R)2、>O、>Sまたは>N-R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(-R)2および>N-RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
R2等(第1置換基)にさらに置換するアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルの説明を引用できる。
具体的には、R2等(第1置換基)の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、フェニル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリル、3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、フェニル、o-トリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジフェニルアミノ、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t-ブチル、t-アミル、t-オクチル、o-トリル、p-トリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-メシチル、ジ-p-トリルアミノ、ビス(p-(t-ブチル)フェニル)アミノ、3,6-ジメチルカルバゾリルおよび3,6-ジ-t-ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt-ブチル、「tAm」はt-アミル、「tOct」はt-オクチルを表し、*は結合位置を表す。
また、特に、b環のR7とc環のR8については、合成の観点から、少なくとも1つは水素であることが好ましく、共に水素であることがより好ましい。また、発光効率の観点から言えば、分子平面性の歪みが少ない方が高い発光効率が得られ、b環のR7とc環のR8については、共に水素であることが好ましい。
一般式(1)におけるR
2およびR
3、R
4~R
7、R
8~R
11ならびにR
12~R
15のうちの隣接する基同士は結合してa環、b環、c環およびd環の少なくとも1つの環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環、c環およびd環における置換基の相互の結合形態によって、下記一般式(1-1)、一般式(1-2)および一般式(1-3)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中の符号の定義は一般式(1)の定義と同じである。
式(1-1)~式(1-3)中のa’環、b’環、c’環およびd’環は、置換基R2およびR3、置換基R4~R7、置換基R8~R11ならびに置換基R12~R15のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環、c環およびd環の少なくとも1つの環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環、c環またはd環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環、c環およびd環の全てがa’環、b’環、c’環およびd’環に変化した化合物など、その他の組み合わせもある。また、式(1-1)~式(1-3)から分かるように、例えば、a環のR3とb環のR4、b環のR7とc環のR8、c環のR11とd環のR12、d環のR15とa環のR2などは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
形成された「アリール環」(a’環、b’環、c’環またはd’環)または「ヘテロアリール環」(a’環、b’環、c’環またはd’環)は、上述した第1置換基としてのアリールまたはヘテロアリールの、無価の環である。ただし、a’環(b’環、c’環またはd’環)の一部を構成するa環(b環、c環またはd環)がすでに炭素数6のベンゼン環であるため、「アリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となり、「ヘテロアリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
式(1-1)~式(1-3)のいずれかで表される化合物は、例えばa環(b環、c環またはd環)であるベンゼン環に対して例えばベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるa’環(b’環、c’環またはd’環)を有する化合物であり、形成された縮合環a’(縮合環b’、縮合環c’または縮合環d’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
形成されたアリール環またはヘテロアリール環に置換する、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)、また、当該第1置換基にさらに置換するアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)としては、上述したR2等(第1置換基)としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
式(1)中、a環、b環、c環およびd環における、任意の「-C(-R)=」(ここでRは式(1)中のR
2~R
15である)は「-N=」に置き換わっていてもよい。
以上に示すように、例えばc環における「-C(-R
10)=」の箇所が「-N=」に置き換わってもよく、このようにして、式(1)でベンゼン環として表示されるc環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、その他の含窒素ヘテロアリール環に変化してもよい。また、c環上に隣接する基が存在する場合(上記式中ではR
8およびR
9)には、これらが結合してc環と共にヘテロアリール環(上記式中ではキノリン環)を形成し、形成された環がさらに置換されていてもよい(n個のRで示す)ことは、上述したとおりである。
その他、以下のような変形例もある。
その他の箇所が「-N=」に置き換わった場合や、a環、b環またはd環が変化した場合についても同じである。
式(1)中、a環、b環、c環およびd環における、任意の「-C(-R)=C(-R)-」(ここでRは式(1)中のR
2~R
15である)は、「-N(-R)-」、「-O-」、または「-S-」に置き換わっていてもよく、前記「-N(-R)-」のRは、アリール、アルキル、またはシクロアルキルである。なお、これらのアリール、アルキルおよびシクロアルキルの詳細については、上述したR
2等(第1置換基)としてのアリール、アルキルおよびシクロアルキルの説明を引用できる。
以上に示すように、例えばc環における「-C(-R
8)=C(-R
9)-」の箇所が「-N(-R)-」、「-O-」、または「-S-」に置き換わってもよく、このようにして、式(1)でベンゼン環として表示されるc環は、R置換のピロール環、フラン環、チオフェン環、その他の含窒素・酸素・硫黄ヘテロアリール環に変化してもよい。また、c環上に隣接する基が存在する場合(上記式中ではR
10およびR
11)には、これらが結合してc環と共にヘテロアリール環(上記式中ではR置換のインドール環、ベンゾフラン環、またはベンゾチオフェン環)を形成し、形成された環がさらに置換されていてもよい(n個のRで示す)ことは、上述したとおりである。
その他、以下のような変形例もある。
その他の箇所が「-N(-R)-」、「-O-」、または「-S-」に置き換わった場合や、a環、b環またはd環が変化した場合についても同じである。
なお、上記式(1-1)、式(1-2)および式(1-3)の説明では、a環、b環、c環およびd環をベンゼン環として説明したが、a環~d環が、含窒素ヘテロアリール環(6員環または5員環)または含酸素・硫黄ヘテロアリール環(5員環)に変化した場合についても同じである。
一般式(1)におけるXは、>O、>S、>Se、>C(-R)2、>Si(-R)2または>N-Rであり、特に、発光波長が短く深い青色発光が可能であるという点で>O、>Sまたは>C(-R)2が好ましく、>Oまたは>C(-R)2がより好ましい。一方で、発光波長が長く緑色発光が可能であるという点では>N-Rが好ましい。
Xとしての>C(-R)2、>Si(-R)2および>N-RのRである、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)、また、当該第1置換基にさらに置換するアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)としては、上述したR2等(第1置換基)としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
一般式(1)におけるLは、単結合、>C(-R)2、>O、>S、>N-Rまたは>Si(-R)2であり、単結合、>C(-R)2、>O、>Sまたは>N-Rが好ましく、単結合または>Oがより好ましく、単結合がさらに好ましい。
Lとしての>C(-R)2、>N-Rおよび>Si(-R)2のRである、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)、また、当該第1置換基にさらに置換するアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)としては、上述したR2等(第1置換基)としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
また、本発明は、一般式(1)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。多量体は、2~6量体が好ましく、2~3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、1つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1~3のアルキレン基(例えばメチレン基)、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態(連結型多量体)に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(a環、b環、c環またはd環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(a環、b環、c環またはd環)同士が縮合するようにして結合した形態(環縮合型多量体)であってもよい。
このような多量体としては、例えば、下記一般式(1-4)、式(1-5)、式(1-6)または式(1-7)で表される多量体が挙げられる。下記式(1-4)、式(1-5)または式(1-6)で表される多量体は、一般式(1)で説明すれば、c環、b環またはd環であるベンゼン環を共有するようにして、複数(下記構造式では2つ)の一般式(1)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体(環共有型多量体)である。また、下記式(1-7)で表される多量体は、一般式(1)で説明すれば、例えばある単位構造のa環(b環、c環またはd環)であるベンゼン環と、ある単位構造のa環(b環、c環またはd環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数(下記構造式では2つの)の一般式(1)で表される単位構造を1つの化合物中に有する多量体(環縮合型多量体)である。各式中の符号の定義は一般式(1)の定義と同じである。
多量体において、単位構造同士が共有し合う環上で、(1)ホウ素原子(B)が互いにm位で、かつ、c環およびd環を連結する窒素原子(N)同士が互いにm位になるように形成される多量体(上記式(1-4)の例)、ホウ素原子(B)が互いにm位で、かつ、X原子同士が互いにm位になるように形成される多量体(上記式(1-5)の例)、または、ホウ素原子(B)が互いにm位で、かつ、c環およびd環を連結する窒素原子(N)およびX原子同士が互いにm位になるように形成される多量体が好ましく、より好ましいのは、(1)ホウ素原子(B)が互いにm位で、かつ、c環およびd環を連結する窒素原子(N)同士が互いにm位になるように形成される多量体(上記式(1-4)の例)である。
多量体は、式(1-4)、式(1-5)または式(1-6)で表現される多量化形態と、式(1-7)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
また、一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、一般式(1)においては、a環、b環、c環、d環、これらの環への置換基、ならびに、Xが>C(-R)2、>Si(-R)2および>N-RであるときのR(=アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ)、Lが>C(-R)2、>N-Rおよび>Si(-R)2であるときのR(=アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ)における水素がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されうる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
上記一般式(1)では、R7およびR8のうち、一方が、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~10のヘテロアリールであり、他方が、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~10のヘテロアリールであることが好ましい。また、この場合、b環のR7およびc環のR8は隣接する基と結合することはなく、上述した「形成されたアリール環またはヘテロアリール環」の一部を構成することはない。また、前記「一方」はR7であり、前記「他方」はR8であることが好ましい。このR7およびR8の特徴については、後に置換基群Zとしても詳細に説明する。
R7およびR8のハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。重原子効果によるスピン軌道相互作用の増大の観点からは、分子量の大きなハロゲンが好ましく、塩素、臭素およびヨウ素が好ましく、塩素および臭素がより好ましく、ヨウ素がさらに好ましい。電気陰性度の高い元素の導入によりHOMO/LUMO軌道を深くする観点からは、電気陰性度の大きな元素が好ましく、フッ素、塩素および臭素が好ましく、フッ素および塩素がより好ましく、フッ素がさらに好ましい。
R7およびR8の炭素数1~6のアルキルは、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)や炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)が好ましい。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルなどであり、メチルまたはt-ブチルがより好ましく、メチルがさらに好ましい。
R7およびR8の炭素数3~14のシクロアルキルは、炭素数5~10のシクロアルキルが好ましい。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体や、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
R7およびR8の炭素数6~10のアリールは、具体的にはフェニルまたはナフチルであり、フェニルが好ましい。
R7およびR8の炭素数2~10のヘテロアリールは、具体的にはピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラザニルなどであり、これらの中でも6員環または5員環の一環構造の基が好ましい。
R7およびR8の組み合わせについては、R7およびR8のうち、一方が、ハロゲン、炭素数1~5のアルキルや炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、またはフェニルであり、かつ、他方が、水素、炭素数1~5のアルキルや炭素数1~4のアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、またはフェニルであることが好ましく、R7およびR8の分子量の和が小さい方が好ましい。また、一方が、メチル、t-ブチルまたはフェニルであり、かつ、他方が、水素、メチル、t-ブチルまたはフェニルであることがより好ましい。また、一方が、メチルまたはt-ブチルであり、かつ、他方が水素またはメチルであることがさらに好ましい。また、一方がメチルであり、かつ、他方が水素またはメチルであることが特に好ましい。また、一方がメチルであり、かつ、他方が水素であることが最も好ましい。また、前記「一方」はR7であり、前記「他方」はR8であることが好ましい。
一般式(1)の化合物の合成の観点からは、R7の対称位置にあるR5が水素以外の基であることが好ましく、R7およびR5が同じ基であることがより好ましい。また同様に、R8が水素以外の基である場合、R8の対称位置にあるR10も水素以外の基であることが好ましく、R8およびR10が同じ基であることがより好ましい。
また、本発明に係る多環芳香族化合物およびその多量体は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。特に、有機電界発光素子においては、発光層のドーパント材料またはホスト材料としてXが>Oである化合物が好ましく用いられる。
以下、一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体について、さらに具体的に説明する。一般式(1)におけるXは、>O、>S、>Se、>C(-R)
2、>Si(-R)
2または>N-Rであり、一般式(1)の化合物構造とその化合物番号とを関連付けた場合、一般式(1)はそれぞれ一般式(BOL-1)、式(BSL-1)、式(BEL-1)、式(BCL-1)、式(BIL-1)または式(BNL-1)とも記載される。発光効率および発光波長の観点からはXは>Oが好ましい。なお、以降、化合物の一般構造を表す一般式では表現の簡略化のため、R
2~R
15の符号を省略する場合がある。一般式ではなく、具体的な化合物の構造を表す式ではそのような省略はしない。
一般式(1)において、Lは、単結合、>C(-R)
2、>O、>S、>N-Rまたは>Si(-R)
2であり、それぞれ、一般式(BXCz-1)、式(BXAd-1)、式(BXPx-1)、式(BXPt-1)、式(BXPz-1)または式(BXAs-1)で表される。発光効率の観点からはLは単結合であることが好ましく、発光波長の調整の観点からは単結合、>C(-R)
2、>Oおよび>N-Rが好ましい。
一般式(1)において、Xは、>O、>S、>Se、>C(-R)2、>Si(-R)2および>N-Rであり、また、Lは、単結合、>C(-R)2、>O、>S、>N-Rまたは>Si(-R)2であり、それぞれ、一般式(BOCz-1)、式(BOAd-1)、式(BOPx-1)、式(BOPt-1)、式(BOPz-1)もしくは式(BOAs-1)、一般式(BSCz-1)、式(BSAd-1)、式(BSPx-1)、式(BSPt-1)、式(BSPz-1)もしくは式(BSAs-1)、一般式(BECz-1)、式(BEAd-1)、式(BEPx-1)、式(BEPt-1)、式(BEPz-1)もしくは式(BEAs-1)、一般式(BCCz-1)、式(BCAd-1)、式(BCPx-1)、式(BCPt-1)、式(BCPz-1)もしくは式(BCAs-1)、または、一般式(BICz-1)、式(BIAd-1)、式(BIPx-1)、式(BIPt-1)、式(BIPz-1)もしくは式(BIAs-1)で表される。発光効率の観点からはXは>O、および、Lは単結合が好ましい。発光波長の調整の観点からはLは単結合、>C(-R)2、>Oおよび>N-Rが好ましい。発光効率および発光波長の両立の観点から、Xは>O、かつLは単結合が好ましい。
一般式(1)の多量体の一例である一般式(22)および(23)において、分子量を小さくする観点からはなるべく多くのXが>Oであることが好ましい。合成の観点および特性の観点からは対称性が高い構造が好ましく、具体的には一般式(22BOCz-0001)または式(23BOCz-0001)の構造が好ましく、ΔESTを小さくする観点および短い遅延蛍光寿命の観点の少なくとも1つからはホウ素原子同士および窒素原子同士がそれぞれにm位に結合した一般式(23BOCz-0001)が好ましい。なお、下記構造式中のR’2~R’15の定義は、一般式(1)におけるR2~R15の定義と同じである。
また、一般式(1)の構造に対して、これとは異なるホウ素を含む環状構造が縮合した化合物であってもよい。このような化合物としては、例えば、式(bBOL/BN2-0001)、式(bBOL/BNO-0001)、式(bBOL/BON-0001)、式(bBOL/BO2-0001)、一般式(cBOL/BN2-0001)、式(cBOL/BNO-0001)、式(cBOL/BON-0001)および式(cBOL/BO2-0001)の構造が挙げられる。これらは、b環の置換基R5およびR6が結合してヘテロアリール環を形成した形態またはc環の置換基R9およびR10が結合してヘテロアリール環を形成した形態に相当する。発光効率および半値幅の観点から、共有するアリール環にホウ素原子および窒素原子が多く結合する方が好ましく、具体的には、式(bBOL/BN2-0001)、式(bBOL/BNO-0001)、一般式(cBOL/BN2-0001)または式(cBOL/BNO-0001)の構造が好ましく、一般式(cBOL/BN2-0001)または式(cBOL/BNO-0001)の構造がより好ましい。なお、下記構造式中のR’1~R’11の定義は、一般式(1)におけるR2~R15の定義と同じである。
一般式(1)におけるR2~R15は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R2およびR3、R4~R7、R8~R11ならびにR12~R15のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、c環およびd環の少なくとも1つの環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、上記一般式(BOCz-1)、式(BOAd-1)、式(BOPx-1)、式(BOPt-1)、式(BOPz-1)もしくは式(BOAs-1)、一般式(BSCz-1)、式(BSAd-1)、式(BSPx-1)、式(BSPt-1)、式(BSPz-1)もしくは式(BSAs-1)、一般式(BECz-1)、式(BEAd-1)、式(BEPx-1)、式(BEPt-1)、式(BEPz-1)もしくは式(BEAs-1)、一般式(BCCz-1)、式(BCAd-1)、式(BCPx-1)、式(BCPt-1)、式(BCPz-1)もしくは式(BCAs-1)、または、一般式(BICz-1)、式(BIAd-1)、式(BIPx-1)、式(BIPt-1)、式(BIPz-1)もしくは式(BIAs-1)におけるR2~R15についても、一般式(1)中のR2~R15と同様に考えることができる。
例えば、一般式(BOCz-1)は、そのR
2~R
15が水素である場合、一般式(BOCz-0001)で表される。
また、一般式(BOCz-1)におけるR2~R15が水素ではない置換基を有する場合、例えば、次の構造が挙げられる。立体的な混み具合の観点から、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13、R14およびR15にはいかなる置換基も持つことができ、合成の観点から置換位置はR2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13およびR14が好ましい。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基、「CN」はシアノ基を表す。
一般式(1)においてa環、d環、ならびに、a環とd環とを連結するNおよびLによって形成される芳香族環(それぞれ、カルバゾール環(Lが単結合)、アクリジン環(Lが>C(-R)2)、フェノキサジン環(Lが>O)、フェノチアジン環(Lが>S)、ジヒドロフェナジン環(Lが>N-R)またはジヒドロジベンゾアザシリン環(Lが>Si(-R)2)を部分構造として形成しうる)はc環-N結合に対して線対称になるように置換基を有する方が合成難易度の観点から好ましい。つまり、「R3とR14」および「R2とR15」の少なくとも1つが同じ置換基を有する方が好ましい。
例えば、R3に置換基を有する一般式(BOCz-1)は、R14にも同じ置換基を有する方が好ましく、一般式(BOCz-03##S)で表される。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基を表す。
一般式(1)のR2~R15の複数が置換基を有してもよい。合成の難易度の観点から、互いに立体障害が小さくなるように置換位置が選ばれる。同じ環において隣り合う位置に置換基を有してもよいが、この場合には立体障害の小さな基が好ましく、例えば、メチル基およびフェニル基が好ましい。また、一般式(1)のR2~R15における置換基の個数は何個でもかまわないが、R2~R15の置換基の合計の炭素数は36以下であることが好ましい。
一般式(1)のb環の置換基であるR4~R7において、複数の置換基を有する場合は、合成の観点からb環-B結合またはb環-X結合に対して線対称になるように置換基を有することが好ましい。
例えば、一般式(BOAd-1)は、そのR
2~R
15が水素である場合、一般式(BOAd-0001)で表される。
また、一般式(BOAd-1)におけるR2~R15が水素ではない置換基を有する場合、例えば、次の構造が挙げられる。立体的な混み具合の観点から、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13、R14およびR15にはいかなる置換基も持つことができ、合成の観点から置換位置はR2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13およびR14が好ましい。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基、「CN」はシアノ基を表す。
一般式(1)においてa環、d環、ならびに、a環とd環とを連結するNおよびLによって形成される芳香族環(それぞれ、カルバゾール環(Lが単結合)、アクリジン環(Lが>C(-R)2)、フェノキサジン環(Lが>O)、フェノチアジン環(Lが>S)、ジヒドロフェナジン環(Lが>N-R)またはジヒドロジベンゾアザシリン環(Lが>Si(-R)2)を部分構造として形成しうる)はc環-N結合に対して線対称になるように置換基を有する方が合成難易度の観点から好ましい。つまり、「R3とR14」および「R2とR15」の少なくとも1つが同じ置換基を有する方が好ましい。
例えば、R3に置換基を有する一般式(BOAd-1)は、R14にも同じ置換基を有する方が好ましく、一般式(BOAd-03##S)で表される。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基を表す。
一般式(1)のR2~R15の複数が置換基を有してもよい。合成の難易度の観点から、互いに立体障害が小さくなるように置換位置が選ばれる。同じ環において隣り合う位置に置換基を有してもよいが、この場合には立体障害の小さな基が好ましく、例えば、メチル基およびフェニル基が好ましい。また、一般式(1)のR2~R15における置換基の個数は何個でもかまわないが、R2~R15の置換基の合計の炭素数は36以下であることが好ましい。
一般式(1)のb環の置換基であるR4~R7において、複数の置換基を有する場合は、合成の観点からb環-B結合またはb環-X結合に対して線対称になるように置換基を有することが好ましい。
例えば、一般式(BOPx-1)は、そのR
2~R
15が水素である場合、一般式(BOPx-0001)で表される。
また、一般式(BOPx-1)におけるR2~R15が水素ではない置換基を有する場合、例えば、次の構造が挙げられる。立体的な混み具合の観点から、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13、R14およびR15にはいかなる置換基も持つことができ、合成の観点から置換位置はR2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13およびR14が好ましい。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基、「CN」はシアノ基を表す。
一般式(1)においてa環、d環、ならびに、a環とd環とを連結するNおよびLによって形成される芳香族環(それぞれ、カルバゾール環(Lが単結合)、アクリジン環(Lが>C(-R)2)、フェノキサジン環(Lが>O)、フェノチアジン環(Lが>S)、ジヒドロフェナジン環(Lが>N-R)またはジヒドロジベンゾアザシリン環(Lが>Si(-R)2)を部分構造として形成しうる)はc環-N結合に対して線対称になるように置換基を有する方が合成難易度の観点から好ましい。つまり、「R3とR14」および「R2とR15」の少なくとも1つが同じ置換基を有する方が好ましい。
例えば、R3に置換基を有する一般式(BOPx-1)は、R14にも同じ置換基を有する方が好ましく、一般式(BOPx-03##S)で表される。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基を表す。
一般式(1)のR2~R15の複数が置換基を有してもよい。合成の難易度の観点から、互いに立体障害が小さくなるように置換位置が選ばれる。同じ環において隣り合う位置に置換基を有してもよいが、この場合には立体障害の小さな基が好ましく、例えば、メチル基およびフェニル基が好ましい。また、一般式(1)のR2~R15における置換基の個数は何個でもかまわないが、R2~R15の置換基の合計の炭素数は36以下であることが好ましい。
一般式(1)のb環の置換基であるR4~R7において、複数の置換基を有する場合は、合成の観点からb環-B結合またはb環-X結合に対して線対称になるように置換基を有することが好ましい。
例えば、一般式(BOPt-1)は、そのR
2~R
15が水素である場合、一般式(BOPt-0001)で表される。
また、一般式(BOPt-1)におけるR2~R15が水素ではない置換基を有する場合、例えば、次の構造が挙げられる。立体的な混み具合の観点から、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13、R14およびR15にはいかなる置換基も持つことができ、合成の観点から置換位置はR2、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R13およびR14が好ましい。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基、「CN」はシアノ基を表す。
一般式(1)においてa環、d環、ならびに、a環とd環とを連結するNおよびLによって形成される芳香族環(それぞれ、カルバゾール環(Lが単結合)、アクリジン環(Lが>C(-R)2)、フェノキサジン環(Lが>O)、フェノチアジン環(Lが>S)、ジヒドロフェナジン環(Lが>N-R)またはジヒドロジベンゾアザシリン環(Lが>Si(-R)2)を部分構造として形成しうる)はc環-N結合に対して線対称になるように置換基を有する方が合成難易度の観点から好ましい。つまり、「R3とR14」および「R2とR15」の少なくとも1つが同じ置換基を有する方が好ましい。
例えば、R3に置換基を有する一般式(BOPt-1)は、R14にも同じ置換基を有する方が好ましく、一般式(BOPt-03##S)で表される。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基を表す。
一般式(1)のR2~R15の複数が置換基を有してもよい。合成の難易度の観点から、互いに立体障害が小さくなるように置換位置が選ばれる。同じ環において隣り合う位置に置換基を有してもよいが、この場合には立体障害の小さな基が好ましく、例えば、メチル基およびフェニル基が好ましい。また、一般式(1)のR2~R15における置換基の個数は何個でもかまわないが、R2~R15の置換基の合計の炭素数は36以下であることが好ましい。
一般式(1)のb環の置換基であるR4~R7において、複数の置換基を有する場合は、合成の観点からb環-B結合またはb環-X結合に対して線対称になるように置換基を有することが好ましい。
例えば、一般式(BNPx-1)は、そのR
2~R
15が水素である場合、一般式(BNPx-0001)で表される。一般式(BNPx-1)で表される化合物は半値幅の狭い緑色の発光を示す。
また、一般式(BNPx-1)におけるR2~R15が水素ではない置換基を有する場合、例えば、次の構造が挙げられる。立体的な混み具合の観点から、R2、R5、R6、R9、R10、R13、R14およびR15にはいかなる置換基も持つことができ、合成の観点から置換位置はR2、R5、R6、R9、R10、R13およびR14が好ましい。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基、「CN」はシアノ基を表す。
一般式(BNPx-0001)において、>N-Rにおけるアリールは置換基を有してもよく、Rがフェニルであるとき一般式(BNPx-0001-Rq)で表される。フェニル基の置換基は、昇華精製時の低い昇華温度、素子駆動時の化合物の安定性および素子の長寿命化の観点からはNに対してo位であることが好ましい。より具体的には、昇華精製時の低い昇華温度の観点からはo位に炭素数1~4のアルキルが好ましく、メチル基がより好ましい。同じく、より具体的には、素子駆動時の化合物の安定性および素子の長寿命化の観点からはo位に炭素数1~24のアルキル、炭素数3~24のシクロヘキシル、炭素数6~24のアリールおよび炭素数7~24のアルキルアリールが好ましく、炭素数6~24のアリールおよび炭素数7~24のアルキルアリールがより好ましく、フェニル、ナフチル、ビフェニル、トリル、キシリル、メシチル、t-ブチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、アダマンチルフェニル、トリルフェニル、キシリルフェニル、メシチルフェニルがさらに好ましく、フェニル、ビフェニル、キシリル、メシチルおよびt-ブチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルおよびシクロヘキシルフェニルがいっそう好ましい。加えて、化合物の蒸着膜中での配向性の観点からはNに対してp位であることが好ましい。より具体的には、p位は炭素数1~24のアルキル、炭素数3~24のシクロヘキシル、炭素数6~24のアリールおよび炭素数7~24のアルキルアリールが好ましく、炭素数3~12のアルキルおよび炭素数6~12のシクロアルキルがより好ましく、イソプロピル、t-ブチル、シクロヘキシルおよびアダマンチルがさらに好ましい。加えて、合成の観点からは対象性が高い方が好ましく、N-フェニル結合またはN-a環結合に対して対象性が高い方が好ましく、N-フェニル結合およびN-a環結合に対して対象性が高い方がより好ましい。
一般式(1)のR2~R15の複数が置換基を有してもよい。合成の難易度の観点から、互いに立体障害が小さくなるように置換位置が選ばれる。同じ環において隣り合う位置に置換基を有してもよいが、この場合には立体障害の小さな基が好ましく、例えば、メチル基およびフェニル基が好ましい。また、一般式(1)のR2~R15における置換基の個数は何個でもかまわないが、R2~R15の置換基の合計の炭素数は36以下であることが好ましい。
一般式(1)のb環の置換基であるR4~R7において、複数の置換基を有する場合は、合成の観点からb環-B結合またはb環-X結合に対して線対称になるように置換基を有することが好ましい。
例えば、一般式(BNPz-1)は、そのR
2~R
15が水素である場合、一般式(BNPz-0001)で表される。一般式(BNPz-1)で表される化合物は半値幅の狭い緑色の発光を示す。
また、一般式(BNPz-1)におけるR2~R15が水素ではない置換基を有する場合、例えば、次の構造が挙げられる。立体的な混み具合の観点から、R2、R5、R6、R9、R10、R13、R14およびR15にはいかなる置換基も持つことができ、合成の観点から置換位置はR5、R6、R9、R10、R13およびR14が好ましい。各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基、「CN」はシアノ基を表す。
一般式(BNPz-0001)において、>N-Rにおけるアリールは置換基を有してもよく、一般式(BNPx-0001)と同様に考えることができる。
一般式(1)のR2~R15の複数が置換基を有してもよい。合成の難易度の観点から、互いに立体障害が小さくなるように置換位置が選ばれる。同じ環において隣り合う位置に置換基を有してもよいが、この場合には立体障害の小さな基が好ましく、例えば、メチル基およびフェニル基が好ましい。また、一般式(1)のR2~R15における置換基の個数は何個でもかまわないが、R2~R15の置換基の合計の炭素数は36以下であることが好ましい。
一般式(1)のb環の置換基であるR4~R7において、複数の置換基を有する場合は、合成の観点からb環-B結合またはb環-X結合に対して線対称になるように置換基を有することが好ましい。
上述した一般式(22)および式(23)の多量体においては、BおよびNまたはOにより、各単位構造が共有するb環またはc環の多重共鳴効果を強調することで、ΔESTおよび遅延蛍光寿命の少なくとも1つを減少させ、素子特性の改善を試みている。多重共鳴効果を強く受ける、式(22)においてはa環、b環およびa’環上の置換基、式(23)においてはa環、c環およびa’環上の置換基は、結合する環への多重共鳴効果に強い影響を与える。発光波長の短波長化の観点からは>Oを多く有する方が好ましく、長波長化の観点からは>N-Rを多く有する方が好ましい。多重共鳴効果を強める観点からは、式(22)におけるb環または式(23)におけるc環に>N-Rを多く有する方が好ましく、多重共鳴効果を強めると一般的にΔESTは小さくなる。
分子に歪みを与えることで、スピン-軌道相互作用を大きくすることができる。これにより、遅延蛍光寿命を短くしTADF機構を発現させ、素子の発光効率を高くすることができる。この目的のために、一般式(1)において、R7およびR8の少なくとも1つに以下に説明する置換基群Zを導入する。
一般式(1)において、R
7およびR
8の少なくとも1つがZであり、Zは、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数6~10のアリールまたは炭素数2~10のヘテロアリールであり、具体的には、下記部分構造式(m)、式(e)、式(v)、式(t)、式(h)、式(p)、式(q)、式(r)、式(s)、式(y)、式(u)、式(w)、式(j)、式(k)、式(f)、式(c)、式(b)、式(i)および式(n)の基が好ましく、これらの中でも式(m)、式(t)、式(p)、式(f)および式(n)の基がより好ましく、式(m)および式(t)の基がさらに好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
分子に歪みを与えることで、遅延蛍光寿命を短くしTADF機構を発現させる観点から、R7およびR8が共にZであることが好ましい。高いPLQYを得る観点および分子の安定性からは、R7およびR8のどちらか一方のみがZであることが好ましい。合成の容易さの観点からは、R7がZであることが好ましい。
合成の容易さの観点から、R7がZであるときR5に置換基を有する方が好ましく、同様に、R8がZであるときR10に置換基を有する方が好ましく、同様にR10がZであるときR8に置換基を有する方が好ましい。また、合成の容易さおよび安定性の観点から、置換基は小さい方が好ましく、上記式(m)、式(e)、式(v)、式(t)、式(h)、式(p)、式(q)、式(r)、式(s)、式(j)、式(k)、式(f)、式(c)、式(b)、式(i)および式(n)の基が好ましく、これらの中でも式(m)、式(e)、式(v)、式(t)、式(p)、式(f)および式(n)の基がより好ましく、式(m)および式(t)の基がさらに好ましく、式(m)の基が最も好ましい。
例えば、一般式(BOCz-0001)においてR
7およびR
8の少なくとも1つがZであるとき、以下のように表される。
一般式(BOCz-7z-0001)、式(BOCz-8z-0001)および式(BOCz-15z-0001)において、R
5およびR
10の少なくとも1つに置換基を有する方が好ましく、特にZと同じ置換基をR
5およびR
10の少なくとも1つに有するとき、以下のように表される。
例えば、一般式(BOCz-7z-0001)、式(BOCz-8z-0001)、式(BOCz-15z-0001)、式(BOCz-12z-0001)、式(BOCz-20z-0001)および式(BOCz-30z-0001)において、Zが上記式(m)の基のとき、以下の構造式で表される。
合成の容易さおよび安定性の観点から、一般式(BOCz-7m-0001)、式(BOCz-8m-0001)、式(BOCz-12m-0001)および式(BOCz-20m-0001)が好ましく、一般式(BOCz-7m-0001)および式(BOCz-12m-0001)がさらに好ましい。短い遅延蛍光寿命の観点から、一般式(BOCz-12m-0001)が好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物(この高分子化合物を得るための前記モノマーは重合性置換基を有する)、もしくは当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体(この高分子架橋体を得るための前記高分子化合物は架橋性置換基を有する)、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物(このペンダント型高分子化合物を得るための前記反応性化合物は反応性置換基を有する)、もしくは当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体(このペンダント型高分子架橋体を得るための前記ペンダント型高分子化合物は架橋性置換基を有する)としても、有機デバイス用材料、例えば、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料に用いることができる。
上述した反応性置換基(前記重合性置換基、前記架橋性置換基、および、ペンダント型高分子を得るための反応性置換基を含み、以下、単に「反応性置換基」とも言う)としては、上記多環芳香族化合物またはその多量体を高分子量化できる置換基、そのようにして得られた高分子化合物をさらに架橋化できる置換基、また、主鎖型高分子にペンダント反応し得る置換基であれば特に限定されないが、以下の構造の置換基が好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
Lは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、>C=O、-O-C(=O)-、炭素数1~12のアルキレン、炭素数1~12のオキシアルキレンおよび炭素数1~12のポリオキシアルキレンである。上記置換基の中でも、式(XLS-1)、式(XLS-2)、式(XLS-3)、式(XLS-9)、式(XLS-10)または式(XLS-17)で表される基が好ましく、式(XLS-1)、式(XLS-3)または式(XLS-17)で表される基がより好ましい。
このような高分子化合物、高分子架橋体、ペンダント型高分子化合物およびペンダント型高分子架橋体(以下、単に「高分子化合物および高分子架橋体」とも言う)の用途の詳細については後述する。
2.多環芳香族化合物の製造方法
一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、例えば国際公開第2015/102118号公報で開示されている方法を応用することで合成することができる。すなわち、下記スキームのように、Lで架橋された基を有する中間体を合成して、それをタンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応)で環化させることで所望の多環芳香族化合物およびその多量体を合成できる。下記スキーム中、各符号の定義は上述した定義と同じである。
上記スキーム中の環化前の中間体も、同様に国際公開第2015/102118号公報などに示されている方法で合成することができる。すなわちBuchwald-Hartwig反応や鈴木カップリング反応、または求核置換反応やUllmann反応などによるエーテル化反応などを適宜組み合わせることで、所望の置換基を有する中間体を合成することができる。
上記スキームに示す、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応による環化は、a環、b環およびc環を結合するB(ホウ素)を導入する反応である。まず、XおよびN(窒素)の間のa環上の水素原子をn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムまたはt-ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム-ホウ素の金属交換を行った後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。ここでは、反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。
また、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入する方法に加えて、リチウムを導入したい位置に臭素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン-メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。
3.有機デバイス
これ以降で例示する化学構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基を表す。
本発明に係る多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。
3-1.有機電界発光素子
本発明に係る多環芳香族化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および正孔輸送層104の少なくとも1つが設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100~5Ω/□、好ましくは50~5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50~300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。
それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン、N4,N4’-ジフェニル-N4,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、N4,N4,N4’,N4’-テトラ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン、4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)または特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
上述した正孔注入層用材料および正孔輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、正孔層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、上記一般式(1)で表される多環芳香族化合物を用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着したり、有機溶媒と共にホスト材料と予め混合してから湿式成膜法により製膜したりしてもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50~99.999重量%であり、より好ましくは80~99.95重量%であり、さらに好ましくは90~99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001~50重量%であり、より好ましくは0.05~20重量%であり、さらに好ましくは0.1~10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
一方、熱活性化遅延蛍光ドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、ドーパント材料の使用量は低濃度である方が濃度消光現象を防止できるという点で好ましいが、ドーパント材料の使用量が高濃度である方が熱活性化遅延蛍光機構の効率の点からは好ましい。さらには、熱活性化遅延蛍光アシストドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、アシストドーパント材料の熱活性化遅延蛍光機構の効率の点からは、アシストドーパント材料の使用量に比べてドーパント材料の使用量が低濃度である方が好ましい。
アシストドーパント材料が使用される場合における、ホスト材料、アシストドーパント材料およびドーパント材料の使用量の目安は、それぞれ、発光層用材料全体の40~99.999重量%、59~1重量%および20~0.001重量%であり、好ましくは、それぞれ、60~99.99重量、39~5重量%および10~0.01重量%であり、より好ましくは、70~99.95重量、29~10重量%および5~0.05重量%である。本発明に係る化合物およびその高分子化合物はアシストドーパント材料としても使用することもできる。
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
ホスト材料のT1エネルギーは、発光層内でのTADFの発生を阻害せず促進させる観点から、発光層内において最も高いT1エネルギーを有するドーパントまたはアシストドーパントのT1エネルギーに比べて高い方が好ましく、具体的には、ホストのT1エネルギーは、0.01eV以上が好ましく、0.03eV以上がより好ましく、0.1eV以上がさらに好ましい。また、ホスト材料にTADF活性な化合物を用いてもよい。
ホスト材料としては、例えば、下記一般式(H1)で表される化合物、下記一般式(H2)で表される化合物、下記一般式(H3)で表される化合物、下記一般式(H4)で表される構造を含む化合物、下記一般式(H5)で表される化合物、および、TADF材料が挙げられる。好ましくは一般式(H1)で表される化合物である。
<一般式(H1)で表される化合物>
上記式(H1)中、L
1は炭素数6~30のアリーレンまたは炭素数2~30のヘテロアリーレンであり、炭素数6~24のアリーレンが好ましく、炭素数6~16のアリーレンがより好ましく、炭素数6~12のアリーレンがさらに好ましく、炭素数6~10のアリーレンが特に好ましく、また、炭素数2~25のヘテロアリーレンが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリーレンがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリーレンがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリーレンが特に好ましい。アリーレンとして具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの二価の基が挙げられる。また、ヘテロアリーレンとして具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環、ベンゾベンゾインドロカルバゾール環およびナフトベンゾフラン環などの二価の基が挙げられる。
式(H1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
<一般式(H2)で表される化合物>
上記式(H2)中、L
2およびL
3は、それぞれ独立して、炭素数6~30のアリールまたは炭素数2~30のヘテロアリールである。アリールとしては、炭素数6~24のアリールが好ましく、炭素数6~16のアリールがより好ましく、炭素数6~12のアリールがさらに好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの一価の基が挙げられる。ヘテロアリールとしては、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましく、具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環、ベンゾベンゾインドロカルバゾール環およびナフトベンゾフラン環などの一価の基が挙げられる。
式(H2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1~6のアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(H3)において、
MUはそれぞれ独立して芳香族化合物から任意の2つの水素原子を除いて表される2価の基、ECはそれぞれ独立して芳香族化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基であり、MU中の2つの水素がECまたはMUと置換され、kは2~50000の整数である。
より具体的には、
MUは、それぞれ独立して、アリーレン、ヘテロアリーレン、ジアリーレンアリールアミノ、ジアリーレンアリールボリル、オキサボリン-ジイル、アザボリン-ジイルであり、
ECは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシであり、
MUおよびECにおける少なくとも1つの水素はさらに、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルおよびシクロアルキルで置換されていてもよく、
kは2~50000の整数である。
kは20~50000の整数であることが好ましく、100~50000の整数であることがより好ましい。
式(H3)中のMUおよびECにおける少なくとも1つの水素は、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~24のシクロアルキル、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、さらに、前記アルキルにおける任意の-CH2-は-O-または-Si(CH3)2-で置換されていてもよく、前記アルキルにおける式(H3)中のECに直結している-CH2-を除く任意の-CH2-は炭素数6~24のアリーレンで置換されていてもよく、前記アルキルにおける任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。
MUとしては、例えば、以下のいずれかの化合物から任意の2つの水素原子を除いて表される2価の基が挙げられる。
より具体的には、以下のいずれかの構造で表される2価の基が挙げられる。これらにおいて、MUは*において他のMUまたはECと結合する。
また、ECとしては、例えば以下のいずれかの構造で表される1価の基が挙げられる。これらにおいて、ECは*においてMUと結合する。
式(H3)で表される化合物は、溶解性および塗布製膜性の観点から、分子中のMU総数(k)の10~100%のMUが炭素数1~24のアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(k)の30~100%のMUが炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)を有することがより好ましく、分子内のMU総数(k)の50~100%のMUが炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)を有することがさらに好ましい。一方、面内配向性および電荷輸送の観点からは、分子中のMU総数(k)の10~100%のMUが炭素数7~24のアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(k)の30~100%のMUが炭素数7~24のアルキル(炭素数7~24の分岐鎖アルキル)を有することがより好ましい。
<一般式(H4)で表される構造を含む化合物>
当該化合物は下記式(H4)で表される構造を含む化合物であり、当該構造を複数個、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個、さらに好ましくは1~2個、最も好ましくは1個含み、複数個含む場合には当該構造同士が直接単結合で結合されたり、特定の連結基で結合される。
上記一般式(H4)中、Gは「=C(-H)-」または「=N-」であり、前記「=C(-H)-」中のHは置換基または他の式(H4)で表される構造で置換されていてもよい。
一般式(H4)で表される構造を含む化合物は、例えば、国際公開第2012/153780号および国際公開第2013/038650号等に記載の化合物を用いることができ、前記文献中に記載の方法にしたがって製造することができる。
Gである「=C(-H)-」中のHが置換される場合の置換基の例は、例えば以下のとおりであるが、これらに限定されない。
置換基である「アリール基」の具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、フェナントリル、ピレニル、クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、ベンゾアントリル、トリフェニレニル、フルオレニル、9,9-ジメチルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、フルオランテニル等が挙げられ、好ましくはフェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、トリフェニレニルおよびフルオレニル等を挙げることができる。置換基を有するアリール基としては、トリル、キシリルおよび9,9-ジメチルフルオレニル等を挙げることができる。具体例が示すように、アリール基は、縮合アリール基および非縮合アリール基の両方を含む。
置換基である「ヘテロアリール基」の具体例としては、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、フリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、アザジベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、アザジベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、ベンズオキサゾリル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、ベンズチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル等が挙げられ、好ましくは、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、カルバゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、アザジベンゾフラニルおよびアザジベンゾチエニル等を挙げることができる。ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、アザジベンゾフラニルまたはアザジベンゾチエニルがさらに好ましい。
置換基である「置換シリル基」は、置換または無置換のトリアルキルシリル基、置換または無置換のアリールアルキルシリル基、および置換または無置換のトリアリールシリル基からなる群から選択される基であることも好ましい。
置換または無置換のトリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリルおよびトリエチルシリルを挙げることができる。置換または無置換のアリールアルキルシリル基の具体例としては、ジフェニルメチルシリル、ジトリルメチルシリルおよびフェニルジメチルシリル等を挙げることができる。置換または無置換のトリアリールシリル基の具体例としては、トリフェニルシリルおよびトリトリルシリル等を挙げることができる。
置換基である「置換ホスフィンオキシド基」は、置換または無置換のジアリールホスフィンオキシド基であることも好ましい。置換または無置換のジアリールホスフィンオキシド基の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシドおよびジトリルホスフィンオキシド等を挙げることができる。
置換基である「置換カルボキシ基」としては、例えば、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
式(H4)で表される構造を複数個結合する連結基としては、上述したアリールやヘテロアリールの2~4価、2~3価、または2価の誘導体が挙げられる。
一般式(H4)で表される構造を含む化合物の具体例を以下に示す。
<一般式(H5)で表される化合物>
上記式(H5)において、
R
1~R
11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、
R
1~R
11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらにアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)で置換されていてもよく、
式(H5)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲンまたは重水素で置換されてもよい。
好ましくは、上記式(H5)において、
R1~R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9~16のアリール環または炭素数6~15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~30のアリール、炭素数2~30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~12のアリール)、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~16のシクロアルキルで置換されていてもよい。
さらに好ましくは、上記式(H5)において、
R1~R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよく、
R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9~12のアリール環または炭素数6~12のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数6~16のアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6~10のアリール)、炭素数1~6のアルキルまたは炭素数3~14のシクロアルキルで置換されていてもよい。
上記第1置換基および第2置換基において、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールへテロアリールアミノにおける「アリール」や「ヘテロアリール」としては、以下の例が挙げられる。
具体的な「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、炭素数6~24のアリールが好ましく、炭素数6~20のアリールがより好ましく、炭素数6~16のアリールがさらに好ましく、炭素数6~12のアリールが特に好ましく、炭素数6~10のアリールが最も好ましい。例えば、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホリル、ジベンゾホスホリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどが挙げられる。
上記第1置換基および第2置換基において、「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルが挙げられ、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)や炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)が特に好ましく、メチルが最も好ましい。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどが挙げられる。
上記第1置換基および第2置換基において、「シクロアルキル」としては、炭素数3~24のシクロアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどが挙げられる。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体や、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
第1置換基がアリールの場合の置換位置は、R1、R3、R4、R5、R10およびR11が好ましく、例えば、R1およびR3への置換、R5およびR10への置換、R4およびR11への置換がより好ましく、アリールはフェニル基が好ましい。
第1置換基がヘテロアリールの場合の置換位置は、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R10およびR11が好ましく、例えば、R1への置換、R2への置換、R3への置換、R1およびR3への置換、R4およびR11への置換、R5およびR10への置換、R6およびR9への置換がより好ましく、ヘテロアリールはカルバゾリル基が好ましい。このヘテロアリール(例えばカルバゾリル)はフェニレン基を介して上記位置へ置換していてもよい。
式(H5)で表される化合物の具体的な例としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。なお、式中の「Me」はメチル基である。
式(H5)で表される化合物は、まずa~c環を結合基(-O-)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、a~c環をB(ホウ素)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えば求核置換反応やウルマン反応といった一般的エーテル化反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応)が利用できる。第1および第2反応の詳細は、国際公開第2015/102118号公報に記載された説明を参考にすることができる。
<TADF材料>
励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差を小さくすることで、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動を高効率で生じさせることで、一重項からの発光(熱活性化遅延蛍光、TADF)が発現する。通常の蛍光発光では電流励起により生じた75%の三重項励起子は熱失活経路を通るため蛍光として取りたすことはできない。一方、TADFでは全ての励起子を蛍光発光に利用することができ、高効率な有機EL素子が実現できる。
このような目的で使用できるTADF材料としては、例えば下記一般式(H6)で表される化合物、または下記一般式(H6)を部分構造として有する化合物があげられる。
式(H6)において、EDは電子供与性基であり、Lnは結合基であり、EAは電子受容性基であり、式(H6)で表される化合物の一重項エネルギー(S
1)と三重項エネルギー(T
1)のエネルギー差(ΔS
1T
1)は0.2eV以下である(Hiroki Uoyama, Kenichi Goushi, Katsuyuki Shizu, Hiroko Nomura, Chihaya Adachi, Nature, 492, 234-238 (2012))。エネルギー差(ΔS
1T
1)は、好ましくは0.15eV以下であり、より好ましくは0.10eV以下であり、さらに好ましくは0.08eV以下である。
TADF材料は、ドナーと呼ばれる電子供与性の置換基とアクセプターと呼ばれる電子受容性の置換基を用いて分子内のHOMOとLUMOを局在化させて、効率的な逆項間交差(reverse intersystem crossing)が起きるようにデザインされた、ドナー-アクセプター型TADF化合物(D-A型TADF化合物)であることが好ましい。
ここで、本明細書中において「電子供与性の置換基」(ドナー)とは、TADF化合物分子中でLUMO軌道が局在する置換基および部分構造のことを意味し、「電子受容性の置換基」(アクセプター)とは、TADF化合物分子中でHOMO軌道が局在する置換基および部分構造のことを意味することとする。
一般的に、ドナーやアクセプターを用いたTADF化合物は、構造に起因してスピン軌道結合(SOC: Spin Orbit Coupling)が大きく、かつ、HOMOとLUMOの交換相互作用が小さくΔE(ST)が小さいために、非常に速い逆項間交差速度が得られる。一方、ドナーやアクセプターを用いたTADF化合物は、励起状態での構造緩和が大きくなり(ある分子においては、基底状態と励起状態では安定構造が異なるため、外部刺激により基底状態から励起状態への変換が起きると、その後、励起状態における安定構造へと構造が変化する)、幅広な発光スペクトルを与えるため、発光材料として使うと色純度を低下させる可能性がある。
TADF材料により色純度が低下する場合、他の成分として、蛍光性の化合物を発光層または発光層に隣接する層に添加すればよい。TADF材料は、アシスティングドーパンドとして、他の成分はエミッティングドーパントとして、働く。他の成分としては、該化合物の吸収スペクトルがアシスティングドーパントの発光ピークと少なくとも一部重なる化合物であればよい。
TADF材料に用いられるドナー性およびアクセプター性の構造としては、例えば、Chemistry of Materials, 2017, 29, 1946-1963に記載の構造を用いることができる。EDとしては、例えば、sp3窒素を含有する官能基があげられ、より具体的には、カルバゾール、ジメチルカルバゾール、ジ-tert-ブチルカルバゾール、ジメトキシカルバゾール、テトラメチルカルバゾール、ベンゾフルオロカルバソール、ベンゾチエノカルバゾール、フェニルジヒドロインドロカルバゾール、フェニルビカルバゾール、ビカルバゾール、ターカルバゾール、ジフェニルカルバゾリルアミン、テトラフェニルカルバゾリルジアミン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、フェノチアジン、ジメチルジヒドロアクリジン、ジフェニルアミン、ビス(tert-ブチル)フェニル)アミン、(ジフェニルアミノ)フェニルジフェニルベンゼンジアミン、ジメチルテトラフェニルジヒドロアクリジンジアミン、テトラメチル-ジヒドロ-インデノアクリジンおよびジフェニル-ジヒドロジベンゾアザシリンなどから誘導される基があげられる。また、EAとしては、例えば、sp2窒素含有芳香族環、CN置換芳香族環、ケトンを有する環およびシアノ基、より具体的には、スルホニルジベンゼン、ベンゾフェノン、フェニレンビス(フェニルメタノン)、ベンゾニトリル、イソニコチノニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、パラフタロニトリル、トリアゾール、オキサゾール、チアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾビス(チアゾール)、ベンゾオキサゾール、ベンゾビス(オキサゾール)、キノリン、ベンゾイミダゾール、ジベンゾキノキサリン、ヘプタアザフェナレン、チオキサントンジオキシド、ジメチルアントラセノン、アントラセンジオン、ピリジン、シクロヘプタビピリジン、ベンゼントリカルボニトリル、フルオレンジカルボニトリル、ピラジンジカルボニトリル、ピリジンジカルボニトリル、ジベンゾキノキサリンジカルボニトリル、ピリミジン、フェニルピリミジン、メチルピリミジン、トリアジン、トリフェニルトリアジン、ビス(フェニルスルホニル)ベンゼン、ジメチルチオキサンテンジオキド、チアンスレンテトラオキシドおよびトリス(ジメチルフェニル)ボランなどから誘導される基があげられる。Lnとしては、例えば、単結合およびアリーレンがあげられ、より具体的には、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレンなどがあげられる。また、いずれの構造においても水素がアルキル、シクロアルキルおよびアリールで置換されてもよい。特に、部分構造として、カルバゾール、フェノキサジン、アクリジン、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、チオキサンテン、ベンゾニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、ジフェニルスルホン、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールおよびベンゾフェノンから選択される少なくとも一つを有する化合物であることが好ましい。
一般式(H6)で表される化合物は、より具体的には、下記一般式(H6-1)、式(H6-2)および式(H6-3)のいずれかで表される化合物である。
上記一般式(H6-1)、式(H6-2)および式(H6-3)中、
Mは、それぞれ独立して、単結合、-O-、>N-Arまたは>C(-Ar)2であり、形成する部分構造のHOMOの深さおよび励起一重項エネルギー準位および励起三重項エネルギー準位の高さの観点から、好ましくは、単結合、-O-または>N-Arであり、
Jはドナー性の部分構造とアクセプター性の部分構造を分けるスペーサー構造であり、それぞれ独立して、炭素数6~18のアリーレンであり、ドナー性の部分構造とアクセプター性の部分構造から染み出す共役の大きさの観点から、炭素数6~12のアリーレンが好ましく、より具体的には、フェニレン、メチルフェニレンおよびジメチルフェニレンが挙げられ、
Qは、それぞれ独立して、=C(-H)-または=N-であり、形成する部分構造のLUMOの浅さおよび励起一重項エネルギー準位および励起三重項エネルギー準位の高さの観点から、好ましくは、=N-であり、
Arは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~24のアリール、炭素数2~24のヘテロアリール、炭素数1~12のアルキルまたは炭素数3~18のシクロアルキルであり、形成する部分構造のHOMOの深さおよび励起一重項エネルギー準位および励起三重項エネルギー準位の高さの観点から、好ましくは、水素、炭素数6~12のアリール、炭素数2~14のヘテロアリール、炭素数1~4のアルキルまたは炭素数6~10のシクロアルキルであり、より好ましくは、水素、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ビフェニル、ピリジル、ビピリジル、トリアジル、カルバゾリル、ジメチルカルバゾリル、ジ-tert-ブチルカルバゾリル、ベンゾイミダゾールまたはフェニルベンゾイミダゾールであり、さらに好ましくは、水素、フェニルまたはカルバゾリルであり、
mは、1または2であり、
nは、2~(6-m)の整数であり、立体障害の観点から、好ましくは、4~(6-m)の整数である。
さらに、上記各式で表される化合物における少なくとも1つの水素は、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(H6)で表される化合物としては、例えば、下記構造で表される化合物があげられる。なお、構造式中の*は結合位置、「Me」はメチル基、「tBu」はt-ブチル基を示す。
一般式(H6)で表される化合物としては、上記具体的な化合物の中でも特に4CzBN、4CzBN-Ph、5CzBN、3Cz2DPhCzBN、4CzIPN、2PXZ-TAZ、Cz-TRZ3、BDPCC-TPTA、MA-TA、PA-TA、FA-TA、PXZ-TRZ、DMAC-TRZ、BCzT、DCzTrz、DDCzTrz、spiroAC-TRZ、Ac-HPM、Ac-PPM、Ac-MPM、TCzTrz、TmCzTrzおよびDCzmCzTrzが好ましい。
また、ドーパント材料としては、特に限定されず、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1-245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2-メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2-トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7-ジアルキルアミノクマリン誘導体、7-ピペリジノクマリン誘導体、7-ヒドロキシクマリン誘導体、7-メトキシクマリン誘導体、7-アセトキシクマリン誘導体、3-ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3-ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3-ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5-チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。
発色光ごとに例示すると、青~青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
また、緑~黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青~青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
さらに、橙~赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体などが挙げられ、さらに上記青~青緑色および緑~黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それに挙げられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
上述するドーパント材料の中でも、特にスチルベン構造を有するアミン、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体またはピレン誘導体が好ましい。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
当該式中、Ar
1は炭素数6~30のアリールに由来するm価の基であり、Ar
2およびAr
3は、それぞれ独立して炭素数6~30のアリールであるが、Ar
1~Ar
3の少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar
1~Ar
3は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよびシクロアルキルの少なくとも1つでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、mは1~4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
当該式中、Ar
2およびAr
3は、それぞれ独立して炭素数6~30のアリールであり、Ar
2およびAr
3は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよびシクロアルキルの少なくとも1つでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよい。
炭素数6~30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、スチルベニル、ジスチリルフェニル、ジスチリルビフェニリル、ジスチリルフルオレニルなどが挙げられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’-テトラ(4-ビフェニリル)-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’-テトラ(1-ナフチル)-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’-テトラ(2-ナフチル)-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N’-ジ(2-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノスチルベン、N,N’-ジ(9-フェナントリル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノスチルベン、4,4’-ビス[4”-ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]-ビフェニル、1,4-ビス[4’-ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]-ベンゼン、2,7-ビス[4’-ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]-9,9-ジメチルフルオレン、4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-ビフェニル、4,4’-ビス(9-フェニル-3-カルバゾビニレン)-ビフェニルなどが挙げられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ペリレン、3,10-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ペリレン、3,10-ジフェニルペリレン、3,4-ジフェニルペリレン、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルペリレン、3,4,9,10-テトラフェニルペリレン、3-(1’-ピレニル)-8,11-ジ(t-ブチル)ペリレン、3-(9’-アントリル)-8,11-ジ(t-ブチル)ペリレン、3,3’-ビス(8,11-ジ(t-ブチル)ペリレニル)などが挙げられる。
また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8-ジフェニル-10-(ジメシチルボリル)アントラセン、9-フェニル-10-(ジメシチルボリル)アントラセン、4-(9’-アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4-(10’-フェニル-9’-アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9-(ジメシチルボリル)アントラセン、9-(4’-ビフェニリル)-10-(ジメシチルボリル)アントラセン、9-(4’-(N-カルバゾリル)フェニル)-10-(ジメシチルボリル)アントラセンなどが挙げられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
当該式中、Ar
4は炭素数6~30のアリールに由来するn価の基であり、Ar
5およびAr
6はそれぞれ独立して炭素数6~30のアリールであり、Ar
4~Ar
6は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよびシクロアルキルの少なくとも1つでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、nは1~4の整数である。
特に、Ar4がアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、Ar5およびAr6がそれぞれ独立して炭素数6~30のアリールであり、Ar4~Ar6は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、トリ置換シリル(アリール、アルキルおよびシクロアルキルの少なくとも1つでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6~30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニルクリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(m-トリル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(4-イソプロピルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(ナフタレン-2-イル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)クリセン-6,12-ジアミン、N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)クリセン-6,12-ジアミンなどが挙げられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニルピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(m-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(4-イソプロピルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(3,4-ジメチルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)ピレン-1,6-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(3,4-ジメチルフェニル)-3,8-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン、N,N,N,N-テトラフェニルピレン-1,8-ジアミン、N,N’-ビス(ビフェニル-4-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,8-ジアミン、N1,N6-ジフェニル-N1,N6-ビス-(4-トリメチルシラニル-フェニル)-1H,8H-ピレン-1,6-ジアミンなどが挙げられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N-テトラフェニルアントラセン-9,10-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラ(m-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(4-イソプロピルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-エチルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-N,N,N’,N’-テトラ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジ-t-ブチル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジシクロヘキシル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ジ(p-トリル)アントラセン-9,10-ジアミン、2,6-ジシクロヘキシル-N,N’-ビス(4-イソプロピルフェニル)-N,N’-ビス(4-t-ブチルフェニル)アントラセン-9,10-ジアミン、9,10-ビス(4-ジフェニルアミノ-フェニル)アントラセン、9,10-ビス(4-ジ(1-ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10-ビス(4-ジ(2-ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10-ジ-p-トリルアミノ-9-(4-ジ-p-トリルアミノ-1-ナフチル)アントラセン、10-ジフェニルアミノ-9-(4-ジフェニルアミノ-1-ナフチル)アントラセン、10-ジフェニルアミノ-9-(6-ジフェニルアミノ-2-ナフチル)アントラセンなどが挙げられる。
また、他には、[4-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)ナフタレン-1-イル]-ジフェニルアミン、[6-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)ナフタレン-2-イル]-ジフェニルアミン、4,4’-ビス[4-ジフェニルアミノナフタレン-1-イル]ビフェニル、4,4’-ビス[6-ジフェニルアミノナフタレン-2-イル]ビフェニル、4,4”-ビス[4-ジフェニルアミノナフタレン-1-イル]-p-テルフェニル、4,4”-ビス[6-ジフェニルアミノナフタレン-2-イル]-p-テルフェニルなどが挙げられる。
また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン-6、クマリン-334などが挙げられる。
また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどが挙げられる。
また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
上述した発光層用材料(ホスト材料およびドーパント材料)は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、発光層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環もしくは複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9’-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(4’-(2,2’:6’2”-テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM-1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
上記式(ETM-1)中、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R
13~R
16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
上記一般式(ETM-1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM-1-1)で表される化合物や下記一般式(ETM-1-2)で表される化合物が好ましい。
式(ETM-1-1)中、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R
13~R
16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、R
21およびR
22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、X
1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0~3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0~4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
式(ETM-1-2)中、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R
13~R
16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、X
1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0~3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
X
1の具体的な例としては、下記式(X-1)~式(X-9)のいずれかで表される2価の基が挙げられる。各構造式中の*は結合位置を表す。
(各式中、R
aは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM-2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)で表される化合物である。
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
上記式(ETM-2-1)において、R11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。
上記式(ETM-2-2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキルまたは炭素数5~10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。各構造式中の*は結合位置を表す。
ピリジン系置換基は、上記式(Py-1)~式(Py-15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py-21)~式(Py-44)のいずれかであることが好ましい。各構造式中の*は結合位置を表す。
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
R11~R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、n-オクチル、t-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-デシル、n-ウンデシル、1-メチルデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、1-ヘキシルヘプチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-エイコシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1~4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
R11~R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数5~10のシクロアルキルとしては、上記シクロアルキルの説明を引用することができる。
R11~R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6~30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどが挙げられ、さらに好ましくはフェニル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはフェナントリルが挙げられ、特に好ましくはフェニル、1-ナフチルまたは2-ナフチルが挙げられる。
上記式(ETM-2-2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM-3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
上記式(ETM-3)中、X12~X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールアルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM-4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM-4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
R1~R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R1~R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM-4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM-4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM-4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(1)で表される化合物やその多量体の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM-5-1)で表される化合物である。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R1~R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py-1)~式(Py-12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。各構造式中の*は結合位置を表す。
これらの基の中でも、上記式(Py-1)~式(Py-9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py-1)~式(Py-6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
R1~R4における炭素数1~6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1~6の直鎖アルキルまたは炭素数3~6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、または2-エチルブチルなどが挙げられ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、またはt-ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt-ブチルがより好ましい。
R1~R4における炭素数3~6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
R1~R4における炭素数6~20のアリールについては、炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6~20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o-,m-,p-)トリル、(2,3-,2,4-,2,5-,2,6-,3,4-,3,5-)キシリル、メシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、(o-,m-,p-)クメニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン-(1-,2-,9-)イル、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、テトラセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6~20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチル、2-ナフチルまたはm-テルフェニル-5’-イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1-ナフチルまたは2-ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM-5-2)で表される化合物である。
Ar1は、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Ar2は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
R1~R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM-6)で表される化合物である。
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6~20のアリールであり、上記式(ETM-5-1)における「炭素数6~20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6~16のアリールが好ましく、炭素数6~12のアリールがより好ましく、炭素数6~10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
Ar2は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)であり、2つのAr2は結合して環を形成していてもよい。
Ar2における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシルなどが挙げられる。
Ar2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3~12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3~6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
Ar2における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6~30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6~18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6~14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「炭素数6~30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
2つのAr2は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
R
5は、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
R
6は、CN、置換または無置換の、炭素数1~20のアルキル、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数1~20のヘテロアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数5~20のヘテロアリール、炭素数1~20のアルコキシまたは炭素数6~20のアリールオキシであり、
R
7およびR
8は、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6~20のアリールまたは炭素数5~20のヘテロアリールであり、
R
9は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0~4の整数であり、qは1~3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM-7-2)で表される化合物でもよい。
R1~R3は、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Ar1は、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、Ar2は、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、Ar1およびAr2のうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0~3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基などを挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1~20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1~20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオ基とは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナントリル基、テルフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6~40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2~30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3~20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1~6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、Ar1とR2、Ar1とR3、Ar2とR2、Ar2とR3、R2とR3、Ar1とAr2などの間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR1同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM-8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-8-1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~4の整数であり、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは、それぞれ独立して、0~4の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM-9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM-10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM-10-1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1~3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6~30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6~24のアリール、より好ましくは炭素数6~20のアリール、さらに好ましくは炭素数6~12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2-,3-,4-)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1-,2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-5’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン-(1-,3-,4-,5-)イル、フルオレン-(1-,2-,3-,4-,9-)イル、フェナレン-(1-,2-)イル、(1-,2-,3-,4-,9-)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5’-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、m-クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン-(1-,2-)イル、ピレン-(1-,2-,4-)イル、ナフタセン-(1-,2-,5-)イル、縮合五環系アリールであるペリレン-(1-,2-,3-)イル、ペンタセン-(1-,2-,5-,6-)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2~25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2~20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-11)で表される化合物である。
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。下記構造式中の*は結合位置を表す。
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1~24のアルキル、炭素数3~12のシクロアルキルまたは炭素数6~30のアリールであり、上記式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1-フェニル-2-(4-(10-フェニルアントラセン-9-イル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(3-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(10-(ナフタレン-2-イル)アントラセン-9-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、1-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-2-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール、5-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)-1,2-ジフェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾールなどが挙げられる。
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM-12)または式(ETM-12-1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数である。
各式のR11~R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1~24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3~12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6~30のアリール)である。また、上記式(ETM-12-1)においてはR11~R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
R
11~R
18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM-2)におけるR
11~R
18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式が挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。また、各構造式中の*は結合位置を表す。
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン、9,10-ジ(1,10-フェナントロリン-2-イル)アントラセン、2,6-ジ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ピリジン、1,3,5-トリ(1,10-フェナントロリン-5-イル)ベンゼン、9,9’-ジフルオル-ビス(1,10-フェナントロリン-5-イル)、バソクプロインや1,3-ビス(2-フェニル-1,10-フェナントロリン-9-イル)ベンゼンなどが挙げられる。
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM-13)で表される化合物である。
式中、R
1~R
6は、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1~3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8-キノリノールリチウム、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-1)で表される化合物である。
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM-14-2)で表される化合物である。
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1~4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM-2)、式(ETM-2-1)および式(ETM-2-2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。下記構造式中の*は結合位置を表す。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができ、各式中のR11~R18は上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM-2-1)または式(ETM-2-2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11~R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM-2-1)におけるR11~R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11~R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0~2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
上述した電子注入層用材料および電子輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、電子層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の物質を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率を上げて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、蒸着用ルツボの加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として印加すればよく、電圧2~40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
<蒸着法>
適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
<湿式成膜法>
湿式成膜法は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物を液状の有機層形成用組成物として準備し、これを用いることによって実施される。この低分子化合物を溶解する適当な有機溶媒がない場合には、当該低分子化合物に反応性置換基を置換させた反応性化合物として溶解性機能を有する他のモノマーや主鎖型高分子と共に高分子化させた高分子化合物などから有機層形成用組成物を準備してもよい。
湿式成膜法は、一般的には、基板に有機層形成用組成物を塗布する塗布工程および塗布された有機層形成用組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。上記高分子化合物が架橋性置換基を有する場合(これを架橋性高分子化合物ともいう)には、この乾燥工程によりさらに架橋して高分子架橋体が形成される。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いる方法をスピンコート法、スリットコーターを用いる方法をスリットコート法、版を用いる方法をグラビア、オフセット、リバースオフセット、フレキソ印刷法、インクジェットプリンタを用いる方法をインクジェット法、霧状に吹付ける方法をスプレー法と呼ぶ。乾燥工程には、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行なってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行なってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
湿式成膜法とは溶液を用いた成膜法であり、例えば、一部の印刷法(インクジェット法)、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などである。湿式成膜法は真空蒸着法と異なり高価な真空蒸着装置を用いる必要が無く、大気圧下で成膜することができる。加えて、湿式成膜法は大面積化や連続生産が可能であり、製造コストの低減につながる。
一方で、真空蒸着法と比較した場合には、湿式成膜法は積層化が難しい場合がある。湿式成膜法を用いて積層膜を作製する場合、上層の組成物による下層の溶解を防ぐ必要があり、溶解性を制御した組成物、下層の架橋および直交溶媒(Orthogonal solvent、互いに溶解し合わない溶媒)などが駆使される。しかしながら、それらの技術を用いても、全ての膜の塗布に湿式成膜法を用いるのは難しい場合がある。
そこで、一般的には、幾つかの層だけを湿式成膜法を用い、残りを真空蒸着法で有機EL素子を作製するという方法が採用される。
例えば、湿式成膜法を一部適用し有機EL素子を作製する手順を以下に示す。
(手順1)陽極の真空蒸着法による成膜
(手順2)正孔注入層用材料を含む正孔注入層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順3)正孔輸送層用材料を含む正孔輸送層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順4)ホスト材料とドーパント材料を含む発光層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順5)電子輸送層の真空蒸着法による成膜
(手順6)電子注入層の真空蒸着法による成膜
(手順7)陰極の真空蒸着法による成膜
この手順を経ることで、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子が得られる。
もちろん、下層の発光層の溶解を防ぐ手段があったり、また上記手順とは逆に陰極側から成膜する手段などを用いることで、電子輸送層用材料や電子注入層用材料を含む層形成用組成物として準備して、それらを湿式成膜法により成膜できる。
<その他の成膜法>
有機層形成用組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料に有機層形成用組成物を用いることができる。
<任意の工程>
成膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶媒を用いた洗浄処理および加熱処理等が挙げられる。さらには、バンクを作製する一連の工程も挙げられる。
バンクの作製にはフォトリソグラフィ技術を用いることができる。フォトリソグラフィの利用可能なバンク材としては、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料を用いることができる。また、インクジェット法、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーン印刷などのパターン可能な印刷法も用いることができる。その際には永久レジスト材料を用いることもできる。また、バンクはひとつの材料を用いて形成されても、複数の材料を用いて複数の構造を組み合わせて形成されてもよい。
バンクに用いられる材料としては、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素および窒化酸化ケイ素などの無機材料、多糖類およびその誘導体、ヒドロキシルを有するエチレン性モノマーの単独重合体および共重合体、生体高分子化合物、ポリアクリロイル化合物、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合ポリマー(ABS)、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム、ポリフルオロビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ化ポリマー、フルオロオレフィン-ヒドロカーボンオレフィンの共重合ポリマー、フルオロカーボンポリマーが挙げられるが、それだけに限定されない。
<湿式成膜法に使用される有機層形成用組成物>
有機層形成用組成物は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物、または当該低分子化合物を高分子化させた高分子化合物を有機溶媒に溶解させて得られる。例えば、発光層形成用組成物は、第1成分として少なくとも1種のドーパント材料である多環芳香族化合物(またはその高分子化合物)と、第2成分として少なくとも1種のホスト材料と、第3成分として少なくとも1種の有機溶媒とを含有する。第1成分は、該組成物から得られる発光層のドーパント成分として機能し、第2成分は発光層のホスト成分として機能する。第3成分は、組成物中の第1成分と第2成分を溶解する溶媒として機能し、塗布時には第3成分自身の制御された蒸発速度により平滑で均一な表面形状を与える。
<有機溶媒>
有機層形成用組成物は少なくとも一種の有機溶媒を含む。成膜時に有機溶媒の蒸発速度を制御することで、成膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を制御および改善することができる。また、インクジェット法を用いた成膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を制御・改善することができる。加えて、膜の乾燥速度および誘導体分子の配向を制御することで、該有機層形成用組成物より得られる有機層を有する有機EL素子の電気特性、発光特性、効率、および寿命を改善することができる。
(1)有機溶媒の物性
少なくとも1種の有機溶媒の沸点は、130℃~300℃であり、140℃~270℃がより好ましく、150℃~250℃がさらに好ましい。沸点が130℃より高い場合、インクジェットの吐出性の観点から好ましい。また、沸点が300℃より低い場合、塗膜の欠陥、表面粗さ、残留溶媒および平滑性の観点から好ましい。有機溶媒は、良好なインクジェットの吐出性、成膜性、平滑性および低い残留溶媒の観点から、2種以上の有機溶媒を含む構成がより好ましい。一方で、場合によっては、運搬性などを考慮し、有機層形成用組成物中から溶媒を除去することで固形状態とした組成物であってもよい。
さらに、有機溶媒が溶質の少なくとも1種に対する良溶媒(GS)と貧溶媒(PS)とを含み、良溶媒(GS)の沸点(BPGS)が貧溶媒(PS)の沸点(BPPS)よりも低い、構成が特に好ましい。
高沸点の貧溶媒を加えることで成膜時に低沸点の良溶媒が先に揮発し、組成物中の含有物の濃度と貧溶媒の濃度が増加し速やかな成膜が促される。これにより、欠陥が少なく、表面粗さが小さい、平滑性の高い塗膜が得られる。
溶解度の差(SGS-SPS)は、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましい。沸点の差(BPPS-BPGS)は、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。
有機溶媒は、成膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、塗布成膜性改善の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)+30℃以下で行うことが好ましい。また、残留溶媒の削減の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移点(Tg)-30℃以上で加熱することが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、異なる温度で複数回乾燥を行ってもよく、複数の乾燥方法を併用してもよい。
(2)有機溶媒の具体例
有機層形成用組成物に用いられる有機溶媒としては、アルキルベンゼン系溶媒、フェニルエーテル系溶媒、アルキルエーテル系溶媒、環状ケトン系溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、単環性ケトン系溶媒、ジエステル骨格を有する溶媒および含フッ素系溶媒などがあげられ、具体例として、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサン-2-オール、ヘプタン-2-オール、オクタン-2-オール、デカン-2-オール、ドデカン-2-オール、シクロヘキサノール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、δ-テルピネオール、テルピネオール(混合物)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、p-キシレン、m-キシレン、o-キシレン、2,6-ルチジン、2-フルオロ-m-キシレン、3-フルオロ-o-キシレン、2-クロロベンゾ三フッ化物、クメン、トルエン、2-クロロ-6-フルオロトルエン、2-フルオロアニソール、アニソール、2,3-ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4-フルオロアニソール、3-フルオロアニソール、3-トリフルオロメチルアニソール、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、2-メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4-メチルアニソール、s-ブチルベンゼン、3-メチルアニソール、4-フルオロ-3-メチルアニソール、シメン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、2-フルオロベンゾニトリル、4-フルオロベラトロール、2,6-ジメチルアニソール、n-ブチルベンゼン、3-フルオロベンゾニトリル、デカリン(デカヒドロナフタレン)、ネオペンチルベンゼン、2,5-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、1-フルオロ-3,5-ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル、イソペンチルベンゼン、3,4-ジメチルアニソール、o-トルニトリル、n-アミルベンゼン、ベラトロール、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、安息香酸エチル、n-ヘキシルベンゼン、安息香酸プロピル、シクロヘキシルベンゼン、1-メチルナフタレン、安息香酸ブチル、2-メチルビフェニル、3-フェノキシトルエン、2,2’-ビトリル、ドデシルベンゼン、ジペンチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、トリメトキシベンゼン、トリメトキシトルエン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、1-メチル-4-(プロポキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ブチルオキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ペンチルオキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ヘキシルオキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ヘプチルオキシメチル)ベンゼン、ベンジルブチルエーテル、ベンジルペンチルエーテル、ベンジルヘキシルエーテル、ベンジルヘプチルエーテル、ベンジルオクチルエーテルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。また、溶媒は単一で用いてもよく、混合してもよい。
<任意成分>
有機層形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤等が挙げられる。
(1)バインダー
有機層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーは、成膜時には膜を形成するとともに、得られた膜を基板と接合する。また、該有機層形成用組成物中で他の成分を溶解および分散および結着させる役割を果たす。
有機層形成用組成物に用いられるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、および、上記樹脂およびポリマーの共重合体、が挙げられるが、それだけに限定されない。
有機層形成用組成物に用いられるバインダーは、1種のみであってもよく複数種を混合して用いてもよい。
(2)界面活性剤
有機層形成用組成物は、例えば、有機層形成用組成物の膜面均一性、膜表面の親溶媒性および撥液性の制御のために界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、親水性基の構造からイオン性および非イオン性に分類され、さらに、疎水性基の構造からアルキル系およびシリコン系およびフッ素系に分類される。また、分子の構造から、分子量が比較的小さく単純な構造を有する単分子系および分子量が大きく側鎖や枝分かれを有する高分子系に分類される。また、組成から、単一系、二種以上の界面活性剤および基材を混合した混合系に分類される。該有機層形成用組成物に用いることのできる界面活性剤としては、全ての種類の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL-245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP-341、KP-358、KP-368、KF-96-50CS、KF-50-100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC-101、サーフロンKH-40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX-218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF-351、EFTOP EF-352、EFTOP EF-601、EFTOP EF-801、EFTOP EF-802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF-470、メガファックF-471、メガファックF-475、メガファックR-08、メガファックF-477、メガファックF-479、メガファックF-553、メガファックF-554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機層形成用組成物の組成および物性>
有機層形成用組成物における各成分の含有量は、有機層形成用組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および成膜性、ならびに、該有機層形成用組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された有機層を有する有機EL素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、寿命の観点を考慮して決定される。例えば、発光層形成用組成物の場合には、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.0001重量%~2.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.0999重量%~8.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、90.0重量%~99.9重量%が好ましい。
より好ましくは、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.005重量%~1.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.095重量%~4.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、95.0重量%~99.9重量%である。さらに好ましくは、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.05重量%~0.5重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.25重量%~2.5重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、97.0重量%~99.7重量%である。
有機層形成用組成物は、上述した成分を、公知の方法で攪拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
有機層形成用組成物の粘度としては、高粘度である方が、良好な成膜性とインクジェット法を用いた場合の良好な吐出性が得られる。一方、低粘度である方が薄い膜を作りやすい。このことから、該有機層形成用組成物の粘度は、25℃における粘度が0.3~3mPa・sであることが好ましく、1~3mPa・sであることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
有機層形成用組成物の表面張力としては、低い方が良好な成膜性および欠陥のない塗膜が得られる。一方、高い方が良好なインクジェット吐出性を得られる。このことから、該有機層形成用組成物は、25℃における表面張力が20~40mN/mであることが好ましく、20~30mN/mであることがより好ましい。本発明において、表面張力は懸滴法を用いて測定した値である。
<架橋性高分子化合物:一般式(XLP-1)で表される化合物>
次に、上述した高分子化合物が架橋性置換基を有する場合について説明する。このような架橋性高分子化合物は例えば下記一般式(XLP-1)で表される化合物である。
式(XLP-1)において、
MUx、ECxおよびkは上記式(H3)におけるMU、ECおよびkと同定義であり、ただし、式(XLP-1)で表される化合物は少なくとも1つの架橋性置換基(XLS)を有し、好ましくは架橋性置換基を有する1価または2価の芳香族化合物の含有量は、分子中0.1~80重量%である。
架橋性置換基を有する1価または2価の芳香族化合物の含有量は、0.5~50重量%が好ましく、1~20重量%がより好ましい。
架橋性置換基(XLS)としては、上述した高分子化合物をさらに架橋化できる基であれば特に限定されないが、以下の構造の置換基が好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
Lは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、>C=O、-O-C(=O)-、炭素数1~12のアルキレン、炭素数1~12のオキシアルキレンおよび炭素数1~12のポリオキシアルキレンである。上記置換基の中でも、式(XLS-1)、式(XLS-2)、式(XLS-3)、式(XLS-9)、式(XLS-10)または式(XLS-17)で表される基が好ましく、式(XLS-1)、式(XLS-3)または式(XLS-17)で表される基がより好ましい。
架橋性置換基を有する2価の芳香族化合物としては、例えば下記部分構造を有する化合物が挙げられる。下記構造式中の*は結合位置を表す。
<高分子化合物および架橋性高分子化合物の製造方法>
高分子化合物および架橋性高分子化合物の製造方法について、上述した式(H3)で表される化合物および(XLP-1)で表される化合物を例にして説明する。これらの化合物は、公知の製造方法を適宜組み合わせて合成することができる。
反応で用いられる溶媒としては、芳香族溶媒、飽和/不飽和炭化水素溶媒、アルコール溶媒、エーテル系溶媒などがあげられ、例えば、ジメトキシエタン、2-(2-メトキシエトキシ)エタン、2-(2-エトキシエトキシ)エタン等があげられる。
また、反応は2相系で行ってもよい。2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。
式(H3)の化合物および(XLP-1)の化合物を製造する際、一段階で製造してもよいし、多段階を経て製造してもよい。また、原料を反応容器に全て入れてから反応を開始する一括重合法により行ってもよいし、原料を反応容器に滴下し加える滴下重合法により行ってもよいし、生成物が反応の進行に伴い沈殿する沈殿重合法により行ってもよく、これらを適宜組み合わせて合成することができる。例えば、式(H3)で表される化合物を一段階で合成する際、モノマーユニット(MU)およびエンドキャップユニット(EC)を反応容器に加えた状態で反応を行うことで目的物を得る。また、式(H3)で表される化合物を多段階で合成する際、モノマーユニット(MU)を目的の分子量まで重合した後、エンドキャップユニット(EC)を加えて反応させることで目的物を得る。多段階で異なる種類のモノマーユニット(MU)を加え反応を行えば、モノマーユニットの構造について濃度勾配を有するポリマーを作ることができる。また、前駆体ポリマーを調製した後、あと反応により目的物ポリマーを得ることができる。
また、モノマーユニット(MU)の重合性基を選べばポリマーの一次構造を制御することができる。例えば、合成スキームの1~3に示すように、ランダムな一次構造を有するポリマー(合成スキームの1)、規則的な一次構造を有するポリマー(合成スキームの2および3)などを合成することが可能であり、目的物に応じて適宜組み合わせて用いることができる。さらには、重合性基を3つ以上有するモノマーユニットを用いれば、ハイパーブランチポリマーやデンドリマーを合成することができる。
本発明で用いることのできるモノマーユニットとしては、特開2010-189630号公報、国際公報第2012/086671号、国際公開第2013/191088号、国際公開第2002/045184号、国際公開第2011/049241号、国際公開第2013/146806号、国際公開第2005/049546号、国際公開第2015/145871号、特開2010-215886号、特開2008-106241号公報、特開2010-215886号公報、国際公開第2016/031639号、特開2011-174062号公報、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2002/045184号に記載の方法に準じて合成することができる。
また、具体的なポリマー合成手順については、特開2012-036388号公報、国際公開第2015/008851号、特開2012-36381号公報、特開2012-144722号公報、国際公開第2015/194448号、国際公開第2013/146806号、国際公開第2015/145871号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/125560号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/125560号、国際公開第2015/145871号、国際公開第2011/049241号、特開2012-144722号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
3-2.その他の有機デバイス
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されない。
窒素雰囲気下、2-ブロモ-9H-カルバゾール(7.4g)、フェノール(5.6g)、炭酸セシウム(19.5g)、塩化銅(I)(0.30g)およびキシレン(120ml)をフラスコに入れ、8時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/9(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮することで、オイル状の2-フェノキシ-9H-カルバゾール(7.1g)を得た。
窒素雰囲気下、2-フェノキシ-9H-カルバゾール(7.1g)、2-トリメチルシリルブロモベンゼン(6.9g)、炭酸カリウム(11.4g)、Pd-132(0.13g)、およびキシレン(150ml)をフラスコに入れ、1時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のメタノールで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、2-フェノキシ-9-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-9H-カルバゾール(8.5g)を得た。
2-フェノキシ-9-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-9H-カルバゾール(8.5g)およびクロロベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、三臭化ホウ素(26g)を滴下した。滴下後、130℃まで昇温して30時間撹拌した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/3(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のヘプタンで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、化合物(BOCz-0001)(3.1g)を得た。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):δ=7.25(d,1H)、7.35-7.45(m,2H)、7.56-7.64(m,3H)、7.94-8.01(m,2H)、8.10-8.20(m,3H)、8.35-8.41(m,3H)、8.74-8.80(dd,2H).
窒素雰囲気下、2-ブロモ-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(8.6g)、フェノール(5.6g)、炭酸セシウム(19.5g)、塩化銅(I)(0.30g)およびキシレン(120ml)をフラスコに入れ、10時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮することで、オイル状の9,9-ジメチル-3-フェノキシ-9,10-ジヒドロアクリジン(8.1g)を得た。
窒素雰囲気下、9,9-ジメチル-3-フェノキシ-9,10-ジヒドロアクリジン(8.1g)、2-トリメチルシリルブロモベンゼン(6.8g)、炭酸カリウム(11.1g)、Pd-132(0.12g)、およびキシレン(150ml)をフラスコに入れ、3時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のメタノールで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、9,9-ジメチル-3-フェノキシ-10-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-9,10-ジヒドロアクリジン(7.4g)を得た。
9,9-ジメチル-3-フェノキシ-10-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-9,10-ジヒドロアクリジン(7.4g)、およびクロロベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、三臭化ホウ素(21g)を滴下した。滴下後、130℃まで昇温して24時間撹拌した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/5(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のヘプタンで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、化合物(BOAd-0001)(2.8g)を得た。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):δ=7.20(d,1H)、7.30-7.40(m,2H)、7.49-7.60(m,3H)、7.67(t,1H)、7.80(t,1H)、8.10-8.20(m,2H)、8.31-8.37(dd,2H)、8.75-8.80(dd,2H)、1.68(s,6H).
窒素雰囲気下、2-ブロモ-10H-フェノキサジン(7.9g)、フェノール(5.6g)、炭酸セシウム(19.5g)、塩化銅(I)(0.30g)およびキシレン(120ml)をフラスコに入れ、12時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/4(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮することで、オイル状の2-フェノキシ-10H-フェノキサジン(6.9g)を得た。
窒素雰囲気下、2-フェノキシ-10H-フェノキサジン(6.9g)、2-トリメチルシリルブロモベンゼン(6.3g)、炭酸カリウム(11.4g)、Pd-132(0.10g)、およびキシレン(150ml)をフラスコに入れ、1時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/3(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のメタノールで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、2-フェノキシ-10-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-10H-フェノキサジン(8.0g)を得た。
2-フェノキシ-10-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-10H-フェノキサジン(8.0g)およびクロロベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、三臭化ホウ素(24g)を滴下した。滴下後、130℃まで昇温して30時間撹拌した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/5(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のヘプタンで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、化合物(BOPx-0001)(1.9g)を得た。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):δ=7.27(d,1H)、7.36-7.45(m,2H)、7.54-7.64(m,3H)、7.68(t,1H)、7.85(t,1H)、8.15-8.20(m,2H)、8.31-8.37(dd,2H)、8.75-8.80(dd,2H).
窒素雰囲気下、2-ブロモ-5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン(16.9g)、ジフェニルアミン(16.9g)、炭酸セシウム(32.6g)、塩化銅(I)(0.49g)およびキシレン(200ml)をフラスコに入れ、24時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:酢酸エチル/トルエン=1/5(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮することで、オイル状のN,N,5-トリフェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-2-アミン(5.5g)を得た。
窒素雰囲気下、N,N,5-トリフェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-2-アミン(5.5g)、2-トリメチルシリルブロモベンゼン(3.3g)炭酸カリウム(5.4g)、Pd-132(0.06g)、およびキシレン(100ml)をフラスコに入れ、2時間還流した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/5(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のメタノールで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、N,N,5-トリフェニル-10-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-5,10-ジヒドロフェナジン-2-アミン(4.3g)を得た。
N,N,5-トリフェニル-10-(2-(トリメチルシリル)フェニル)-5,10-ジヒドロフェナジン-2-アミン(4.3g)およびクロロベンゼン(70ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、三臭化ホウ素(9.4g)を滴下した。滴下後、130℃まで昇温して45時間撹拌した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/9(容量比))で精製した後、目的物を含むフラクションを濃縮した。得られた粗生成物を少量のトルエンと過剰のヘプタンで再結晶を行った。析出した沈殿を濾過することで、化合物(BNPz-0001)(0.65g)を得た。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,(CDCl3)):δ=7.25(d,1H)、7.37-7.45(m,2H)、7.53-7.66(m,3H)、7.65(t,1H)、7.84(t,1H)、8.13-8.20(m,2H)、8.31-8.35(dd,2H)、8.75-8.83(dd,2H).
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の多環芳香族化合物を合成することができる。
(1)蒸着型有機EL素子の作製と評価
実施例および比較例に係る有機EL素子を作製し、電圧を印加して電流密度、輝度、色度および外部量子効率などを測定する。作製した有機EL素子の構成として、以下の構成A(表1)、構成B(表2)、構成C(表3)および構成D(表4)の4つを選定して評価する。構成A、CおよびDは熱活性化型遅延蛍光用材料に適合した構成であり、構成BはTTFを用いた一般的な構成である。構成Aは文献(Adv. Mater. 2016, 28, 2777-2781)で示された高い効率を期待できる素子構成である。構成Cは文献(Scientific Reports, 6, 2016, 22463)で示された比較的高い効率と長期間の駆動安定性を期待できる素子構成である。構成Dは熱活性化型遅延蛍光をアシスティングドーパントとする素子である。ただし、本発明の化合物の適用はこれらの構成に限定されず、各層の膜厚や構成材料は本発明の化合物の基礎物性によって適宜変更することができる。
表1において、「NPD」はN,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-4,4’-ジアミノビフェニルであり、「TcTa」は4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミンであり、「mCP」は1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼンであり、「mCBP」は3,3’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニルであり、「TSPO1」はジフェニル[4-(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシドである。本発明の化合物(BOCz-0001)と共に以下に化学構造を示す。
<実施例1>
<構成A:化合物(BOCz-0001)をドーパントとした素子>
スパッタリングにより200nmの厚さに製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、NPD、TcTa、mCP、mCBP、化合物(BOCz-0001)およびTSPO1をそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れたタングステン製蒸着用ボートを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、NPDを加熱して膜厚40nmになるように蒸着して正孔注入層を形成する。次に、TcTaを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成する。次に、mCPを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して電子阻止層を形成する。次に、mCBPと化合物(BOCz-0001)を同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成する。mCBPと化合物(BOCz-0001)の重量比がおよそ99対1になるように蒸着速度を調節する。次に、TSPO1を加熱して膜厚40nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得る。このとき、アルミニウムの蒸着速度は1~10nm/秒になるように調節する。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、輝度、色度および外部量子効率を測定できる。
表2において、「HI-1」はN4,N4’-ジフェニル-N4,N4’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンであり、「HAT-CN」は1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT-1」はN-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンであり、「HT-2」はN,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-4-アミンであり、「EMH2」は9-フェニル-10-(4-フェニルナフタレン-1-イル)アントラセンであり、「ET-1」は4,6,8,10-テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4-kl]フェノキサボリニンであり、「ET-2」は3,3’-((2-フェニルアントラセン-9,10-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(4-メチルピリジン)であり、「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
<実施例2>
<構成B:化合物(BOCz-0001)をドーパントとした素子>
構成Aと同様の手順で表2の構成材料や膜厚に従って構成BのEL素子を得る。ただし、発光層のEMH2と化合物(BOCz-0001)の重量比はおよそ99対1になるように、電子輸送層2のET-2とLiqの重量比はおよそ1対1になるように蒸着速度を調節する。また、銀とマグネシウムの重量比は1:9になるように蒸着速度を調節する。
ITO電極を陽極、銀マグネシウム合金電極を陰極として直流電圧を印加し、輝度、色度および外部量子効率を測定できる。
表3において、「Tris-PCz」は9,9’,9”-トリフェニル-9H,9H’,9H”-3,3’,6’,3”-テルカルバゾールであり、「T2T」は2,4,6-トリ[[1,1’-ビフェニル]-3-イル]-1,3,5-トリアジンであり、「BPy-TP2」は2,7-ジ([2,2’-ビピリジン]-5-イル)トリフェニレンである。以下に化学構造を示す。
<実施例3>
<構成C:化合物(BOCz-0001)をドーパントに用いた素子>
スパッタリングにより製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置((株)長州産業)の基板ホルダーに固定し、HAT-CN、Tris-PCz、mCBP、化合物(BOCz-0001)、T2TおよびBPy-TP2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ルツボ、LiFおよびアルミニウムを入れた窒化アルミニウム製蒸着用ルツボを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を2.0×10-4Paまで減圧し、まず、HAT-CNを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、次いで、Tris-PCzを加熱して膜厚30nmになるように蒸着することで2層からなる正孔層を形成する。次に、mCBPと化合物(BOCz-0001)を同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して発光層を形成する。mCBPと化合物(BOCz-0001)の重量比がおよそ90対10になるように蒸着速度を調節する。次に、T2Tを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、BPy-TP2を30nmになるように蒸着して2層からなる電子輸送層を形成する。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように0.1~2nm/秒の蒸着速度で蒸着して陰極を形成することで、有機EL素子を得ることができる。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、輝度、色度および外部量子効率を測定できる。
表4において、「3Cz2DPhCzBN」は、2,4,6-トリ(9H-カルバゾール-9-イル)-3,5-ビス(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾニトリルである。以下に化学構造を示す。
<実施例4>
<構成D:アシスティングドーパントに3Cz2DPhCzBNを、エミッティングドーパントに化合物(BOCz-0001)を用いた素子>
スパッタリングにより200nmの厚さに製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HAT-CN、Tris-PCz、mCBP、3Cz2DPhCzBN、化合物(BOCz-0001)、T2TおよびBPy-TP2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着する。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HAT-CNを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、次に、Tris-PCzを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して2層からなる正孔層を形成する。次に、ホストとしてmCBP、アシスティングドーパントとして3Cz2DPhCzBNおよびエミッティングドーパントとして化合物(BOCz-0001)を同時に加熱して膜厚30nmになるように共蒸着して発光層を形成する。ホスト、アシスティングドーパントおよびエミッティングドーパントの重量比がおよそ80対19対1になるように蒸着速度を調節する。次に、T2Tを加熱して膜厚10nmになるように蒸着し、ついで、BPy-TP2とLiqの重量比がおよそ70対30になるように加熱して膜厚30nmまで蒸着し、電子輸送層1および2を形成する。以上の各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒とする。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得る。このとき、アルミニウムの蒸着速度は1~10nm/秒になるように調節する。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、輝度、色度および外部量子効率を測定できる。
(有機EL素子の構成B1)
有機EL素子の構成B1は、前述の有機EL素子の構成Bにおけるホストおよび陰極の材料を変更した構成である。
表5において、「EMH3」は2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ジベンゾ[b,d]フランであり、「BD1」は9-フェニル-9H-5-オキサ-9-アザ-13b-ボラナフト[3,2,1-de]アントラセンであり、「BD2」は5-オキサ-8b-アザ-15b-ボラベンゾ[a]ナフト[1,2,3-hi]アセナフチレンである。以下に化学構造を示す。
<実施例5>
<構成B1:化合物(BOCz-0001)をドーパントとした素子>
スパッタリングにより200nmの厚さに製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI-1、HAT-CN、HT-1、HT-2、EMH3、化合物(BOCz-0001)、ET-1、ET-2およびLiqをそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HI-1を加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、さらにHAT-CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着して、二層からなる正孔注入層を形成した。次いで、HT-1を加熱して膜厚15nmになるように蒸着し、さらにHT-2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、二層からなる正孔輸送層を形成した。次に、EMH3と化合物(BOCz-0001)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。EMH3と化合物(BOCz-0001)の重量比がおよそ99対1になるように蒸着速度を調節した。次に、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、さらに、ET-2およびLiqを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、二層からなる電子輸送層を形成した。ET-2およびLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒である。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成して、有機EL素子を得た。このとき、アルミニウムの蒸着速度は1~10nm/秒になるように調節した。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加したところ、輝度1000cd/m2のとき、発光ピーク波長は453nm、発光半値幅は30nm、外部量子効率は7.3%であった。また、初期輝度1000cd/m2で連続駆動させたときのLT90(輝度が900cd/m2になるまでの時間)は56時間であった。
<実施例6>
<構成B1:化合物(BOAd-0001)をドーパントとした素子>
ドーパントに化合物(BOAd-0001)を用いた以外は、実施例5と同様の手順で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加したところ、輝度1000cd/m2のとき、発光ピーク波長は476nm、発光半値幅は37nm、外部量子効率は6.2%であった。また、初期輝度1000cd/m2で連続駆動させたときのLT90は81時間であった。
<実施例7>
<構成B1:化合物(BOPx-0001)をドーパントとした素子>
ドーパントに化合物(BOPx-0001)を用いた以外は、実施例5と同様の手順で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加したところ、輝度1000cd/m2のとき、発光ピーク波長は473nm、発光半値幅は34nm、外部量子効率は6.6%であった。また、初期輝度1000cd/m2で連続駆動させたときのLT90は75時間であった。
<比較例1>
<構成B1:化合物(BD1)をドーパントとした素子>
ドーパントに化合物(BD1)を用いた以外は、実施例5と同様の手順で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加したところ、輝度1000cd/m2のとき、発光ピーク波長は445nm、発光半値幅は28nm、外部量子効率は3.0%であった。また、初期輝度1000cd/m2で連続駆動させたときのLT90は12時間であった。
<比較例2>
<構成B1:化合物(BD2)をドーパントとした素子>
ドーパントに化合物(BD2)を用いた以外は、実施例5と同様の手順で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加したところ、輝度1000cd/m2のとき、発光ピーク波長は452nm、発光半値幅は40nm、外部量子効率は5.1%であった。また、初期輝度1000cd/m2で連続駆動させたときのLT90は19時間であった。
以下に実施例5~7、比較例1および2の特性をまとめた。本発明の化合物を用いた有機EL素子では外部量子効率や素子寿命が比較例に対して優れていた。
(2)発光層形成用組成物の調製と評価
<実施例S-1~実施例S-5および比較例S-1>
表7に記載のとおり、第1成分のホストを0.99重量%、第2成分のドーパントを0.01重量%および第3成分の溶媒を99重量%混合して、固形分濃度1重量%の発光層形成用組成物をそれぞれ調製した。
上記表7において、「EMH4」は9-(7-([1,1’:3’,1”:3”,1’”-クアトロフェニル]-3-イル)ナフタレン-2-イル)-10-フェニルアントラセンである。以下に化学構造を示す。
また、発光層形成用組成物の調製に際して使用した溶媒は以下のとおりである。
「Tol / DHNp (9/1)」
トルエン/デカヒドロナフタレン=9/1(容量比)の混合溶液
「3PxT / c6B (7/3)」
3-フェノキシトルエン/シクロヘキシルベンゼン=7/3(容量比)の混合溶液
調製した発光層形成用組成物について、以下の評価を行った。これらの結果は表8に示すとおりであった。
<溶解性の評価>
調製した発光層形成用組成物の濁りおよび沈殿の有無を確認することで溶解性の評価を行った。濁りおよび沈殿のない組成物を「A」、濁りまたは沈殿が起きた組成物を「F」とした。
<成膜性の評価>
溶解性の評価が「A」であった発光層形成用組成物に関して、下記の操作に沿って、スピンコート成膜後またはインクジェット印刷後に得られた膜を観察し、ピンホール、化合物の析出またはムラのいずれかがある膜を「C」、ピンホール、化合物の析出およびムラのすべてがない膜を「B」、評価「B」に加えてさらに平滑性が高い(Ra<5nm)膜を「A」とした。
(スピンコートによる成膜方法)
厚み0.5mm、サイズ28×26mmの清浄なガラス基板に、照射エネルギー1000mJ/cm2(低圧水銀灯(254ナノメートル))を照射することでUV-O3処理を行った。次いで、0.3~0.6mlの発光層形成用組成物をガラス上に滴下し、スピンコート(スロープ(5秒間で所定の回転数まで上げる)→500~5000rpmで塗布(所定の回転数で10秒間維持)→スロープ(5秒間で回転数を下げ、回転数を0rpmとする))を行った。さらに、120℃のホットプレート上で10分間乾燥させて成膜した。
(インクジェットによる成膜方法)
インクジェットを用いて、100ppiのピクセル内に発光層形成用組成物を吐出し、120℃で乾燥させて成膜した。
<インクジェット吐出安定性の評価>
溶解性の評価が「A」であった発光層形成用組成物に関して、インクジェットを用いて、100ppiのピクセル内に発光層形成用組成物を吐出し、吐出開始直後と24時間連続運転後におけるそれぞれのインクジェットの吐出安定性を評価した。なお、評価に際して、5割未満の吐出孔より吐出できる場合(吐出できない場合を含む)は「C」、5割以上9割未満の吐出孔から吐出できる場合は「B」、9割以上の吐出孔から吐出できる場合は「A」とした。
(3)塗布型有機EL素子の作製と評価
次に、有機層を塗布形成して得られる有機EL素子について説明する。
<高分子正孔輸送化合物:XLP-101の合成>
特開2018-61028号公報に記載の方法に従い、XLP-101を合成した。M4の隣にはM5またはM6が結合した共重合体が得られ、仕込み比より各ユニットは40:10:50(モル比)であると推測される。なお、下記式において、Bpinはピナコラートボリルである。
<高分子正孔輸送化合物:XLP-101溶液の調製>
特開2018-61028号公報に記載の方法に従い合成したXLP-101を0.7重量%になるように3-フェノキシトルエン/シクロヘキシルベンゼン=7/3(容量比)の混合溶液に溶解させた。
<実施例SD-1および比較例SD-1の有機EL素子の作製>
有機EL素子における、各層の材料構成を表9に示す。
上記表9における、正孔注入層の形成材料である「PEDOT:PSS」としては、市販のPEDOT:PSS溶液(Clevios(TM) P VP AI4083、下記式で表されるPEDOT:PSSの水分散液、Heraeus Holdings社製)を用いた。
<実施例SD-1>
ITOが50nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、PEDOT:PSS溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚40nmの正孔注入層を成膜した。次いで、XLP-101溶液をスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥した後、200℃のホットプレート上で1時間焼成することで、発光層形成用組成物に不溶な膜厚30nmの正孔輸送層を成膜した。次いで、実施例S-3で調製した発光層形成用組成物をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜した。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET-1、ET-2、LiqおよびLiFをそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、アルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。真空槽を5×10-4Paまで減圧した後、ET-1を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して電子輸送層1を形成した。次いで、ET-2およびLiqを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層2を形成した。ET-2およびLiqの重量比がおよそ1:1になるように蒸着速度を調節した。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とした。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。このようにして有機EL素子を得た。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光面は均一であり、発光スペクトルはピーク波長478nm、半値幅40nmであった。また、1000cd/m2発光時の外部量子効率は4.3%であった。
<比較例SD-1>
実施例S-3の代わりに比較例S-1を成膜した以外は実施例SD-1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光面は均一であり、発光スペクトルはピーク波長448nmおよび半値幅38nmであった。また、1000cd/m2発光時の外部量子効率は1.1%であった。
表10に実施例SD-1および比較例SD-1の結果をまとめた。本発明の化合物の方が高い効率が得られた。
(4)発明化合物から製造される高分子化合物
本発明の有機EL素子は、高分子化合物や高分子架橋体を含む発光層を有する構成としてもよい。このような発光層に含まれる高分子化合物としては、例えば、実施例PS-1に記載の高分子化合物があげられる。
<実施例PS-1>
国際公開第2019/004248号公報に記載の方法で本発明の構造を含む高分子化合物を合成することができる。下記高分子化合物は、本発明の化合物(BOCz-0001)をリンカーを介して高分子化した化合物であり、それぞれに由来の構成単位を有する。