JP7514548B2 - 脱ガス用坩堝 - Google Patents
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Description
当該ガス吹き工程では、従来、不活性ガスを金属溶湯に対して放出可能に構成された撹拌機、ランスパイプ、ポーラスプラグが利用されている。
撹拌機、ランスパイプ、ポーラスプラグのいずれも気泡の発生源が点で構成されている。これによって、金属溶湯内で気泡発生源付近でのみ撹拌、対流が発生し、発生源と発生源の間に不活性ガスに触れない溶湯が溜まってしまうおそれがある。そのため、不純物を十分に除去することが出来ず、固化したときピンホールが発生するおそれがある。
また、筒体状の撹拌機、ランスパイプは、使用中に熱衝撃又は酸化で折れるおそれがある。これによって、折れた先端部が金属溶湯内へ沈むと共に露出したガス通路から噴き出した不活性ガスの大きな気泡によって、ガス吹き工程の効率が悪化するおそれがある。
これに対して、ポーラスプラグは、溶湯の熱による熱膨張を原因として取鍋とポーラスプラグとの目地が開き、当該目地へ溶湯が流入するおそれがある。このように目地に地金が差し込んだ場合、ポーラスプラグが取鍋から脱落し、溶湯が漏れ出るおそれがある。
前記周壁部又は前記底部の外面側に、前記坩堝本体よりも高い気孔率を備えた多孔質体からなる気泡発生面を形成し、
前記周壁部又は前記底部の内部、若しくは前記周壁部及び前記底部の内部に、一端が前記気泡発生面に連通し、他端が前記周壁部又は前記底部の外部に開口するガス導通路を形成し、
前記ガス導通路の他端から吹き込まれた不活性ガスが、前記気泡発生面に接している金属溶湯内へ気泡となって放出されるようにしたことを特徴とする。
すなわち、気泡発生面は、坩堝本体よりも気孔率が高く通気抵抗が小さい多孔質体から形成されているので、坩堝本体と比べて通気性が高い。これによって、通気性の良い気泡発生面から不活性ガスが気泡となって放出され、通気性が悪い坩堝本体からガスが漏れ出すことを防止することができる。
このように、金属溶湯に接している気泡発生面で広く不活性ガスを気泡として放出することによって、金属溶湯内へ気泡を大量に放出することができ、当該気泡が湯面へ上昇するとき、金属溶湯を安定的に撹拌、対流させることができ、ガス吹き工程の効率を上げて製品の品質を向上させることができる。
そして好ましくは、気泡発生面の気孔率が、坩堝本体の気孔率よりも少なくとも5%高くなるように構成した。これによって、気泡発生面と坩堝本体の通気抵抗の差を大きくすることができ、通気性が悪い坩堝本体からのガスリークを抑制し、通気性の良い気泡発生面から不活性ガスを放出させることができる。
さらに好ましくは、坩堝本体と気泡発生面を黒鉛質で構成するようにした。黒鉛質は、耐熱衝撃性が大きく、また耐食性が強いので、坩堝本体及び気泡発生面の強度、耐久性をより一層向上させることができる。
坩堝本体11及び気泡発生面12は、それぞれ所定の気孔率を備えた多孔質体からなり、気泡発生面12の気孔率は、坩堝本体11の気孔率よりも高くなるように構成されている。
ここで、多孔質体とは、組織中に空隙、細かな気孔を多く備えた固体であって、本実施例では当該気孔が、坩堝本体11又は気泡発生面12の内部で互いに連接して通気性を備えているものをいう。そして、気孔率とは、多孔質体の単位当たりの外形容積に対し、当該多孔質体に含まれる気孔部分の総容積の比率をいう。
一方、坩堝本体11の気孔率は、12%以下に抑えられている。特に気泡発生面12の気孔率が、坩堝本体11の気孔率よりも少なくとも5%高く、好ましくは10%以上の大きな差があることが好ましい。気泡発生面12と坩堝本体11の気孔率の差が5%よりも小さくなると、坩堝本体11自体から不活性ガスが噴き出すおそれがあり、気泡発生面12とは異なる想定外の場所から不活性ガスが漏洩するガスリーク問題が生じるおそれがある。
本実施例では、気泡発生面12の気孔率は、おおよそ26%となるように調整され、坩堝本体11の気孔率は、おおよそ7%となるように調整されている。
このように、気泡発生面12の気孔率を坩堝本体11と比べて高くすることによって、通気抵抗が小さい気泡発生面12側の通気性を良くすることができ、通気抵抗が大きい坩堝本体11側の通気性を悪くして、上記のガスリーク問題を防止することができる。
なお、本実施例では坩堝本体11が黒鉛質材料からなるものとしたが、これに限定されず、本実施例に係る坩堝10を用いる金属の特性、融点等に合わせて主材となる耐火物を適宜選択し、必要な材料を添加して坩堝本体11を構成するようにしても良い。
なお、本実施例においては、気泡発生面12は、周方向に沿って周壁部11aの内面11c全体に亘って配置されている。しかし、これに限定されるものでは無く、周方向に沿って、所定範囲で区画された気泡発生面12を所定間隔で複数個設けるようにしても良い。この場合は、気泡発生面12間の周壁部11aが支柱のようになって坩堝本体11の強度を保持することができる。
ガス導通路15の他端は、周壁部11aの外部へ開口するガス導入口16が形成されている。ガス導入口16は、ガスプラグ17が嵌合され、ガス管18が接続されている。
これによって、不活性ガスをガス管18からガス導入口16を介してガス導通路15へ吹き込んだとき、気泡発生面12の裏面12b側へ不活性ガス、たとえば、アルゴンガス(Ar)、窒素ガス(N2)、二酸化炭素ガス(CO2)を送り込むことができる。
気泡発生面12は、通気抵抗が小さく通気性が良いので、ガス供給源(図示略)からガス管18を経て不活性ガスを供給し、ガス導通路15内の不活性ガスが加圧されたとき、加圧された不活性ガスは、ガス導通路15途中の坩堝本体11からではなく通気性の良い気泡発生面12の裏面12b側から表面12a側へ透過する。このとき、気泡発生面12を構成する多孔質体は組織中に互いに連接している細かな気孔を多く備えているので、不活性ガスの流れが気泡発生面12の内部で各方向へ分散し、拡散する。また、多孔質体からなる気泡発生面12は、その表面12aにおいて気孔の開口端がランダムな方向を指向している。そのため、気泡発生面12内部で様々な方向へ分散、拡散した不活性ガスは、その表面12a全体からもまたランダムな方向へ噴き出すように構成されている。
なお、図1に例示したガス導通路15とガス導入口16の配置に限定されず、たとえば、坩堝10を設置する場所のレイアウトによって、ガスプラグ17を嵌合するガス導入口16を任意の位置に設定することができる。
坩堝本体11は、主に成形、乾燥、焼結の工程を経て製造される。
成形工程は、静水圧成形法、特に冷間静水圧プレス(cold isostatic pressing:以下「CIP成形」という)が好ましい。CIP成形工程では、周壁部11aと底部11bを備えた有底筒体状のゴム型に、粉粒体状に破砕されて水、バインダ等と混練された上記の黒鉛質材料が詰められ、加圧成形処理によって、坩堝本体11が成形される。そして、乾燥工程で坩堝本体11の水分を除去する処理が行われ、焼結工程で坩堝本体11を焼結する処理が行われる。当該焼結工程において、坩堝本体11と気泡発生面12を構成する多孔質体が形成される。なお、CIP成形工程、乾燥工程、及び焼結工程は、周知の技術を使用していることから詳細な説明は省略する。
さらに好ましくは、坩堝本体11及び気泡発生面12を構成する黒鉛質材料のうち、黒鉛(C)の配合量を減らして、ボロンカーバイド(B4C)を添加しても良い。これによって、坩堝本体11及び気泡発生面12の強度と耐酸化性をさらに向上させることができる。なお、ボロンカーバイド(B4C)に限定されるものでは無く、強度と耐酸化性が向上する効果を備えるものであれば、他の低融点酸化防止剤を添加しても良い。
上記のように配合比率を調整し、また添加物を加えることによって、坩堝本体11及び気泡発生面12の耐酸化性、耐食性、強度を向上させることができ、坩堝本体11へ高熱の金属溶湯100を注ぎ込んだとき、酸化して破損すること、特に気泡発生面12が破損することを防止することができる。
また、坩堝本体11の成形工程において、当該坩堝本体11の壁内に溶融材、好ましくはプレート状のパラフィンを挟み込み、焼結工程において、当該溶融材が溶け出して坩堝本体11の壁内にスリットが形成されることによって、ガス導通路15が形成される。
このように、一体成形された坩堝本体11と気泡発生面12は、その境界が一体化されて強固に結合していることから、当該境界部の強度を保つことができ、気孔率の異なる気泡発生面12が坩堝本体11から外れ落ちることを防止したり、当該境界部から不活性ガスが噴出、漏洩するガスリークを抑制したりすることができる。
本実施例に係る坩堝10には、図1に示すように、少なくとも気泡発生面12が覆われる程度に非鉄金属、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金の金属溶湯100が、注ぎ込まれる。
そして、図1に示すように、不活性ガスが、ガス導入口16に接続されたガス管18から吹き込まれる。吹き込まれた不活性ガスにはガス管18に接続されたガス供給源(図示略)の方から所定の圧力が加わっているので、加圧され、気泡発生面12の裏面12b側へ送り込まれた不活性ガスは気泡発生面12の裏面12b側から表面12a側に向かって透過する。このとき、気泡発生面12を構成する多孔質体は組織中に互いに連接している細かな気孔を多く備えているので、不活性ガスの流れが気泡発生面12の内部で各方向へ分散し、拡散する。また、多孔質体からなる気泡発生面12は、その表面12aにおいて気孔の開口端がランダムな方向を指向している。そのため、気泡発生面12内部で様々な方向へ分散、拡散した不活性ガスは、その表面12a全体からランダムな方向へ噴き出してくる。
気泡発生面12の表面12aに噴き出してきた不活性ガスは、気泡発生面12と金属溶湯100が接している面において、当該金属溶湯100の表面張力に抗して気泡となる。ここで、気孔の開口径は大小異なってランダムに形成されているので、気泡発生面12の表面12aには、大小さまざまな径の気泡が発生する。当該気泡は、さらに噴き出してきた不活性ガスを吸収拡大し、所定の浮力を得たとき、金属溶湯100内へ放出される。
細かな気泡として放出された不活性ガスは、金属溶湯100内の水素ガス等の不純物を吸着、吸収して拡大して浮力が大きくなる。水素ガス等の不純物と不活性ガスを含んで拡大した気泡は湯面へ浮上して大気中へ放出される。こうして坩堝10内へ注がれた金属溶湯100内の不純物である水素ガスを除去するガス吹き工程に係る処理を行うことができる。
そのため、当該ガス吹き工程後に坩堝10から鋳型内へ金属溶湯100が注ぎ込まれたとき、完成した鋳物製品では水素ガスを原因としたピンホールの発生を抑えることができ、鋳物製品の品質を向上させることができる。
これによって、ガス吹き工程において、従来、一般的に用いられてきたランスパイプ、撹拌機を金属溶湯100へ挿入する手順を一つ省略することができる。そのため、金属溶湯100が冷める前にガス吹き工程へ素早く移行することができる。
さらに、本実施例に係る脱ガス用坩堝10によれば、坩堝本体11は、周壁部11aの内面11cに周方向に沿って環状の気泡発生面12を有している。不活性ガスは気泡発生面12の表面12a全体から噴き出すように構成されているので、先端から少量の不活性ガスが噴出する従来のランスパイプ或いは撹拌機と比べて、短時間で大量に不活性ガスを気泡発生面12へ送り込むことができる。
そして、気泡発生面12は、金属溶湯100と面で接し、坩堝本体11の周方向に沿って、金属溶湯100を取り囲む周壁部11aの内面11cから広く満遍なく均等に気泡を発生させることができる。当該気泡が湯面へ上昇するとき、周壁部11aの内面11c近傍で気泡とともに金属溶湯100もまた上昇するので、坩堝10内で金属溶湯100の対流を発生させることができる。当該対流は、金属溶湯100内へ送り込まれた大量の気泡状不活性ガスを当該金属溶湯100内へ満遍なく行き渡らせることができ、ガス吹き工程に係る処理を短時間で効率よく行うことができる。
図2は、本実施例に係る脱ガス用坩堝の構成の概略を示す縦断面図である。
坩堝本体11Aは、図2に示すように、底部11bの内面11c側に気泡発生面12が形成されている。気泡発生面12は、坩堝底部11bの内面11c側に露出する表面12aと、当該底部11bの内部に面する裏面12bを有している。
気泡発生面12の裏面12bは、ガス導通路15の一端が連通されている。当該ガス導通路の他端は、坩堝本体11Aの縁部近傍まで伸ばされている。
当該ガス導通路15の他端には、周壁部11aの外部へ開口するガス導入口16が形成されている。当該ガス導入口16は、ガスプラグ17が嵌合され、ガス管18が接続されている。
これによって、不活性ガスをガス管18からガス導入口16を介してガス導通路15へ吹き込んだとき、気泡発生面12の裏面12b側へ不活性ガス、たとえば、アルゴンガス(Ar)、窒素ガス(N2)、二酸化炭素ガス(CO2)を送り込むことができる。
気泡発生面12は、通気抵抗が小さく通気性が良いので、ガス供給源(図示略)からガス管18を経て不活性ガスを供給し、ガス導通路15内の不活性ガスが加圧されたとき、加圧された不活性ガスは、ガス導通路15途中の坩堝本体11Aからではなく通気性の良い気泡発生面12の裏面12b側から表面12a側へ透過する。
このとき、気泡発生面12を構成する多孔質体は組織中に互いに連接している細かな気孔を多く備えているので、不活性ガスの流れが気泡発生面12の内部で各方向へ分散し、拡散する。また、多孔質体からなる気泡発生面12は、その表面12aにおいて気孔の開口端がランダムな方向を指向している。そのため、気泡発生面12内部で様々な方向へ分散、拡散した不活性ガスは、その表面12a全体からもまたランダムな方向へ噴き出すように構成されている。
なお、図2に例示したガス導通路15とガス導入口16の配置に限定されず、たとえば、坩堝10Aを設置する場所のレイアウトによって、ガスプラグ17を嵌合するガス導入口16を任意の位置に設定することができる。
また、気泡発生面12を坩堝本体11Aの底部11bの内面11c側に形成したが、これに限定されるものではなく、第1実施例に記載した気泡発生面12の位置と合わせて、坩堝本体11Aの周壁部11a及び底面11bの内面11c側に気泡発生面12を形成するようにしても良い。
そして、第1実施例と同様に、気泡発生面12の気孔率を坩堝本体11Aと比べて高くすることによって、通気抵抗が小さい気泡発生面12側の通気性を良くすることができ、通気抵抗が大きい坩堝本体11A側の通気性を悪くして、ガスリークを防止することができる。
上記の構成を有する坩堝10Aの使用方法の一例については、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
これによって、ガス吹き工程において、従来、一般的に用いられてきたランスパイプ、撹拌機を金属溶湯100へ挿入する手順を一つ省略することができる。そのため、金属溶湯100が冷める前にガス吹き工程へ素早く移行することができる。
さらに、本実施例に係る脱ガス用坩堝10Aによれば、坩堝本体11Aは、底部11bの内面11cに気泡発生面12を有している。不活性ガスは気泡発生面12の表面12a全体から噴き出すように構成されているので、先端から少量の不活性ガスが噴出する従来のランスパイプ或いは撹拌機と比べて、短時間で大量に不活性ガスを気泡発生面12へ送り込むことができる。
そして、気泡発生面12は、面で接する金属溶湯100に対して底部11bの内面11cから広く満遍なく均等に気泡を発生させることができる。当該気泡が湯面へ上昇するとき、気泡とともに金属溶湯100もまた上昇する。大量に送り込まれた気泡状の不活性ガスは坩堝10A内で金属溶湯100の対流を素早く発生させることができる。これによって、不活性ガスの気泡を金属溶湯100内へ満遍なく行き渡らせることができ、ガス吹き工程に係る処理を短時間で効率よく行うことができる。
さらに、第1実施例同様に、ガス吹き工程後に坩堝10から鋳型内へ金属溶湯100が注ぎ込まれたとき、当該金属溶湯100へ吹き込んだ大量の気泡状不活性ガスは、完成した鋳物製品における水素ガスを原因としたピンホールの発生を抑えることができ、鋳物製品の品質を向上させることができる。
図3は、本実施例に係る脱ガス用坩堝の構成の概略を示す縦断面図である。
坩堝本体11Bは、図3に示すように、底部11bの外面11dに気泡発生面12が形成されている。気泡発生面12は、坩堝本体11Bの下方を指向するように、表面12a側を底部11bの外面11dに、裏面12b側を底部11bの内部にして形成されている。
そして、坩堝本体11Bは、周壁部11a及び底部11bの内部に、一端が気泡発生面12の裏面12b側と連通し、他端が坩堝本体11Bの縁部近傍まで伸びるガス導通路15を有している。
ガス導通路15の他端は、周壁部11aの外部に開口したガス導入口16が形成されている。ガス導入口16は、ガスプラグ17が嵌合され、ガス管18が接続されている。
なお、本実施例においては、気泡発生面12は底部11bの外側下面11dの全体に亘って形成されている。しかし、これに限定されるものでは無く、底部11bの外側下面11dの所定位置に所定範囲で区画された気泡発生面12を所定間隔で複数個形成しても良く、また所定範囲で区画された気泡発生面12を所定間隔で複数個設けたりしても良い。
そして、第1実施例と同様に、気泡発生面12の気孔率を坩堝本体11Bと比べて高くすることによって、通気抵抗が小さい気泡発生面12側の通気性を良くすることができ、通気抵抗が大きい坩堝本体11B側の通気性を悪くして、ガスリークを防止することができる。
本実施例に係る坩堝10Bは、図3に示すように、非鉄金属、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金の金属溶湯100が溜められた取鍋110へ所定の深さまで浸漬される。このとき、金属溶湯100から坩堝本体11Bに対して浮力がかかるので、坩堝本体11B内に所定重量の重りを入れたり、或いはアーム、支柱等で坩堝10Bの内壁側から抑えつけたりして坩堝10Bが金属溶湯100の湯面へ浮き上がらないようにしても良い。これによって、取鍋110の底近傍から湯面間際まで金属溶湯100中の任意の深さで坩堝本体11Bを浸漬させることができる。
そして、第1実施例と同様に、ガス導入口16に接続されたガス管18から、不活性ガスが吹き込まれる。吹き込まれた不活性ガスは、ガス導通路15を通じ、気泡発生面12の裏面12b側から表面12a側へ通じ、気泡発生面12の表面12a全体から噴き出し、当該気泡発生面12が接している金属溶湯100内へ気泡となって放出される。
気泡状に放出された不活性ガスは、第1実施例と同様に、取鍋110内の金属溶湯100に対してガス吹き工程に係る処理を行うことができる。これによって、取鍋110から鋳型内へ注ぎ込まれ、完成した鋳物製品において、水素ガスを原因としたピンホールの発生を抑えることができ、鋳物製品の品質を向上させることができる。
図4は、本実施例に係る脱ガス用坩堝の構成の概略を示す縦断面図である。
坩堝本体11Cは、図4に示すように、周壁部11aの外面11d側に気泡発生面12が形成されている。気泡発生面12は、周壁部11aの外面11d側に露出する表面12aと、当該周壁部11aの内部に面する裏面12bを有している。
気泡発生面12の裏面12bは、ガス導通路15の一端が連通されている。当該ガス導通路の他端は、坩堝本体11Cの縁部近傍まで伸ばされている。
当該ガス導通路15の他端には、周壁部11aの外部へ開口するガス導入口16が形成されている。当該ガス導入口16は、ガスプラグ17が嵌合され、ガス管18が接続されている。
これによって、不活性ガスをガス管18からガス導入口16を介してガス導通路15へ吹き込んだとき、気泡発生面12の裏面12b側へ不活性ガス、たとえば、アルゴンガス(Ar)、窒素ガス(N2)、二酸化炭素ガス(CO2)を送り込むことができる。
気泡発生面12は、通気抵抗が小さく通気性が良いので、ガス供給源(図示略)からガス管18を経て不活性ガスを供給し、ガス導通路15内の不活性ガスが加圧されたとき、加圧された不活性ガスは、ガス導通路15途中の坩堝本体11Cからではなく通気性の良い気泡発生面12の裏面12b側から表面12a側へ透過する。
このとき、気泡発生面12を構成する多孔質体は組織中に互いに連接している細かな気孔を多く備えているので、不活性ガスの流れが気泡発生面12の内部で各方向へ分散し、拡散する。また、多孔質体からなる気泡発生面12は、その表面12aにおいて気孔の開口端がランダムな方向を指向している。そのため、気泡発生面12内部で様々な方向へ分散、拡散した不活性ガスは、その表面12a全体からもまたランダムな方向へ噴き出すように構成されている。
なお、図4に例示したガス導通路15とガス導入口16の配置に限定されず、たとえば、坩堝10Cを設置する場所のレイアウトによって、ガスプラグ17を嵌合するガス導入口16を任意の位置に設定することができる。
また、気泡発生面12を坩堝本体11Cの周壁部11aの外面11d側に形成したが、これに限定されるものではなく、第3実施例に記載した気泡発生面12の位置と合わせて、坩堝本体11Cの周壁部11a及び底面11bの外面11d側に気泡発生面12を形成するようにしても良い。
そして、第1実施例と同様に、気泡発生面12の気孔率を坩堝本体11Cと比べて高くすることによって、通気抵抗が小さい気泡発生面12側の通気性を良くすることができ、通気抵抗が大きい坩堝本体11C側の通気性を悪くして、ガスリークを防止することができる。
上記の構成を有する坩堝10Cの使用方法の一例については、第1実施例と同様であるから説明を省略する。
そして、当該ガス吹き工程によって、取鍋110内の金属溶湯100へ大量に吹き込まれた気泡状の不活性ガスは、第3実施例と同様に、取鍋110から鋳型内へ注ぎ込まれて完成した鋳物製品において、水素ガスを原因としたピンホールの発生を抑えることができ、鋳物製品の品質を向上させることができる。
このようにガス吹き機能を持たせた坩堝10,10A,10B,10Cを用いることによって、従来のランスパイプ、ポーラスプラグ、脱ガス用撹拌機を使用しなくてもガス吹き工程に係る処理を行うことができる。
また、坩堝本体11,11A,11B,11Cの製造時に、当該坩堝本体11,11A,11B,11Cの使用目的・使用態様に合わせて、坩堝本体上に形成される気泡発生面の位置、大きさ、範囲を自在に設定することができる。
そして、気泡発生面12の表面12a全体から噴き出す不活性ガスが金属溶湯100内で気泡となって上昇することによって、坩堝10,10A内又は坩堝10B,10Cへ浸漬させた取鍋110内の金属溶湯100の対流を促すことができるので、ガス吹き工程の効率を向上させることができる。
さらに、坩堝本体11,11A,11B,11Cと気泡発生面12を一体成形し、気泡発生面12の気孔率を、坩堝本体11,11A,11B,11Cの気孔率よりも少なくとも5%以上高くなるようにした。
これによって、吹き込まれた不活性ガスは、通気抵抗が小さく通気性の良い気泡発生面12を透過するので、通気抵抗が大きく通気性が悪い坩堝本体11,11A,11B,11Cからのガスリークを抑制することができる。
11,11A,11B,11C…坩堝本体、11a…周壁部、11b…底部、11c…内面、11d…外面、
12…気泡発生面、12a…気泡発生面表面、12b…気泡発生面裏面、
15…ガス導通路、16…ガス導入口、17…ガスプラグ、18…ガス管、
100…金属溶湯、110…取鍋。
Claims (4)
- 周壁部と底部からなる有底筒体状の坩堝本体を備えた脱ガス用坩堝であって、
前記周壁部又は前記底部の外面側に、前記坩堝本体よりも高い気孔率を備えた多孔質体からなる気泡発生面を形成し、
前記周壁部又は前記底部の内部、若しくは前記周壁部及び前記底部の内部に、一端が前記気泡発生面に連通し、他端が前記周壁部又は前記底部の外部に開口するガス導通路を形成し、
前記ガス導通路の他端から吹き込まれた不活性ガスが、前記気泡発生面に接している金属溶湯内へ気泡となって放出されるようにしたことを特徴とする脱ガス用坩堝。 - 前記坩堝本体と前記気泡発生面が、一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の脱ガス用坩堝。
- 前記気泡発生面の気孔率が、前記坩堝本体の気孔率よりも少なくとも5%高くなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱ガス用坩堝。
- 前記坩堝本体と前記気泡発生面が、黒鉛質であることを特徴とする請求項1に記載の脱ガス用坩堝。
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