JP7514157B2 - スルーホール形成方法およびフレキシブルプリント配線板用基板 - Google Patents

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本発明は、スルーホール形成方法およびフレキシブルプリント配線板用基板、より詳しくは、内層にフッ素樹脂層を含むフレキシブルプリント配線板用基板にスルーホールを形成する方法、および当該フレキシブルプリント配線板用基板に関する。
近年、第5世代移動通信システム(5G)などの開発に合わせて、高周波領域において伝送損失が小さいプリント配線板がますます求められている。プリント配線板の伝送損失を小さくするには、絶縁基材の比誘電率および誘電正接(tanδ)を小さくする必要がある。
フレキシブルプリント配線板(FPC)ではこれまで、主として、ポリイミド(PI)または液晶ポリマー(LCP)からなるフィルムが絶縁基材として用いられている。しかし、これらの材料は、高周波領域で比誘電率および誘電正接が比較的大きいため、高周波信号に対する伝送損失を十分に小さくすることが難しい。そこで、比誘電率および誘電正接が小さいフッ素樹脂をフレキシブルプリント配線板の絶縁層に適用することが検討されている。
特許文献1には、フッ素樹脂層を含む電気絶縁体層と、電気絶縁体層の第1の面に設けられた第1導体層と、電気絶縁体層の第2の面に設けられた第2導体層とを備え、第1導体層から第2導体層まで通じる穴を有し、穴の内壁面にメッキ層が形成された配線基板の製造方法が記載されている。
特許文献2には、フッ素樹脂層と、ポリイミド樹脂層とが交互に積層された多層フィルムが記載されている。
国際公開2017-069217号パンフレット 国際公開2019-188611号パンフレット
ところで、フッ素樹脂層は一般に耐熱性が高く、炭酸ガスレーザやUVレーザ等のレーザ光に対する透過率が高い。このため、フッ素樹脂層を含む基板にレーザ光を照射してスルーホール形成用の孔(導通用孔)を穿孔する際、長い間レーザ光(あるいは多数回のレーザ光パルス)を照射する必要がある。フッ素樹脂層に隣接するポリイミド層等の絶縁層長い間レーザ光に曝される結果、当該絶縁層フッ素樹脂層の境界付近において当該絶縁層に深いエグレ(抉れ)が形成されてしまう。このようなエグレが形成されると、導通用孔の内壁にめっき層を形成するめっき工程において、導通用孔の内壁に形成されたエグレをめっき金属で充填できず、ボイドが発生することとなる。ボイドはその後の熱処理工程で膨張し、基板の変形を引き起こす。エグレが深いほどボイドが発生し易くなるため、深いエグレの発生を防止する必要がある。
本発明者らの継続した研究によれば、上記エグレは、レーザ光が照射される方向に沿ってフッ素樹脂層の下側に位置する絶縁層で深く形成されることが判明した。図16は、フッ素樹脂層(PFA)を有する基板に作成されたスルーホールの断面写真を示している。この例では、PFA/PI/PFAの3層構造の基材が中央の銅箔を介して上下に積層されたものとして構成された基板に対し、上下から炭酸ガスレーザのレーザ光を照射して導通用孔(直径100μm)を形成した。その後、デスミア処理、無電解銅めっきを行い、スルーホールを形成した。この場合、図16に示すように、フッ素樹脂層とポリイミド層の境界付近のポリイミド層において深いエグレが形成されており、銅めっきで充填できない部分(ボイド)が発生している。フッ素樹脂層はレーザ光に対する透過率が高いため、フッ素樹脂層が貫通するまでの間にポリイミド層はレーザ光に長く曝される。また、ポリイミド層は耐熱性が高い(熱分解温度が高い)。このため、フッ素樹脂層との境界付近においてポリイミドの溶融、分解が進み、境界付近においてポリイミド層に深いエグレが形成されたものと考えられる。
本発明は、かかる本発明者らに特有の技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的は、内層にフッ素樹脂層を含むフレキシブルプリント配線板用基板にスルーホールを形成する際にボイドの発生を抑制できるスルーホール形成方法、およびフレキシブルプリント配線板用基板を提供することである。
図16の場合、本発明者らの考察によれば、熱分解温度の高いポリイミド層が熱分解温度の比較的低い接着剤層を介さずにフッ素樹脂層に直接接合されているため、フッ素樹脂層が貫通するまでの間にポリイミド層に局所的な溶融、分解が進行し、深いエグレが形成されたものと考えられる。
本発明者らが鋭意研究を進めた結果、フッ素樹脂層と、ポリイミド層等の補強樹脂層との間に、補強樹脂層よりも熱分解温度が低く、且つ10μm以上の厚みを有する接着剤層を介在させることにより、レーザ加工の際、接着剤層の厚さ方向のほぼ全体にわたって緩やかな弓状の、比較的浅いエグレが形成され、それにより、めっき金属でエグレを充填できるようになり、ボイドの発生を抑制できることが判明した。本発明はかかる知見に基づくものである。
本発明に係るスルーホール形成方法は、
第1の主面および第2の主面を有するフッ素樹脂層と、前記第1の主面に設けられた第1の接着剤層と、前記第1の接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第1の補強樹脂層と、前記第1の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第1の導体層と、前記第2の主面に設けられた第2の接着剤層と、前記第2の接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第2の補強樹脂層と、前記第2の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第2の導体層と、を有する積層体を形成する工程と、
前記積層体を加熱し、前記第1の接着剤層および第2の接着剤層を硬化させて、それぞれ第1の硬化接着剤層および第2の硬化接着剤層とする工程と、
前記第1の導体層の開口部にレーザ光を照射し、前記第1の補強樹脂層、前記第1の硬化接着剤層、前記フッ素樹脂層、前記第2の硬化接着剤層および前記第2の補強樹脂層を除去して、底面に前記第2の導体層が露出した有底の導通用孔を形成する工程と、
前記導通用孔の内壁にめっき層を形成して、前記第1の導体層と前記第2の導体層を電気的に接続する工程と、
を備え、
前記第2の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1および第2の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とする。
また、前記スルーホール形成方法において、
前記第2の硬化接着剤層の厚みは、20μm以上100μm以下であってもよい。
また、前記スルーホール形成方法において、
前記第2の導体層をパターニングして導電パターンを形成する工程と、
第3の主面および第4の主面を有する第2のフッ素樹脂層と、前記第3の主面に設けられた第3の接着剤層と、前記第3の接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第2のフッ素樹脂層よりも小さい第3の補強樹脂層と、前記第3の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第3の導体層と、を有する第2の積層体を形成する工程と、
前記第2の積層体を加熱し、前記第3の接着剤層を硬化させて第3の硬化接着剤層とする工程と、
加熱処理された前記積層体の前記導電パターンと、加熱処理された前記第2の積層体の前記第2のフッ素樹脂層とが対向するように、前記積層体と前記第2の積層体を第4の接着剤層を介して積層して、第3の積層体を形成する工程と、
前記第3の積層体を加熱し、前記第4の接着剤層を硬化させて第4の硬化接着剤層とする工程と、
前記第3の導体層の開口部にレーザ光を照射し、前記第3の補強樹脂層、前記第3の硬化接着剤層、前記第2のフッ素樹脂層および前記第4の硬化接着剤層を除去して、底面に前記導電パターンが露出した有底の第2の導通用孔を形成する工程と、
前記第2の導通用孔の内壁にめっき層を形成して、前記第3の導体層と前記導電パターンを電気的に接続する工程と、
をさらに備え、
前記第4の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1の補強樹脂層、前記第2の補強樹脂層および前記第3の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、前記導電パターンの厚みを除いた厚みが10μm以上200μm以下であるようにしてもよい。
本発明の第1の態様に係るフレキシブルプリント配線板用基板は、
第1の主面、および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有するフッ素樹脂層と、
前記フッ素樹脂層の前記第1の主面に設けられた第1の硬化接着剤層と、
前記第1の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第1の補強樹脂層と、
前記第1の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第1の導体層と、
前記フッ素樹脂層の前記第2の主面に設けられた第2の硬化接着剤層と、
前記第2の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第2の補強樹脂層と、
前記第2の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第2の導体層と、
を備えるフレキシブルプリント配線板用基板であって、
前記第2の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1および第2の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上200μm以下であり、前記第1の導体層および前記第2の導体層を電気的に接続するスルーホールを形成するための導通用孔を穿孔する際に前記第1の導体層に向けてレーザ光が照射されることを特徴とする。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第1の導体層は、前記第1の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第2の導体層は、前記第2の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第2の硬化接着剤層の厚みは20μm以上100μm以下であるようにしてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第1および第2の補強樹脂層は、線膨張係数が30ppm/℃以下、弾性率が3GPa以上であるようにしてもよい。
本発明の第2の態様に係るフレキシブルプリント配線板用基板は、
第1の主面、および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する第1のフッ素樹脂層と、
前記第1のフッ素樹脂層の前記第1の主面に設けられた第1の硬化接着剤層と、
前記第1の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第1のフッ素樹脂層よりも小さい第1の補強樹脂層と、
前記第1の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第1の導体層と、
前記第1のフッ素樹脂層の前記第2の主面に設けられた第2の硬化接着剤層と、
前記第2の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第1のフッ素樹脂層よりも小さい第2の補強樹脂層と、
前記第2の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた導電パターンと、
前記導電パターンに対向する第3の主面、および前記第3の主面の反対側の第4の主面を有する第2のフッ素樹脂層と、
前記導電パターンを埋め込み、前記第2の補強樹脂層と前記第2のフッ素樹脂層とを接着させる第3の硬化接着剤層と、
前記第2のフッ素樹脂層の前記第4の主面に設けられた第4の硬化接着剤層と、
前記第4の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第2のフッ素樹脂層よりも小さい第3の補強樹脂層と、
前記第3の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第2の導体層と、
を備え、
前記第2の硬化接着剤層および前記第3の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1の補強樹脂層、前記第2の補強樹脂層および前記第3の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、前記第2の硬化接着剤層の厚みが10μm以上200μm以下であり、前記導電パターンの厚みを除いた前記第3の硬化接着剤層の厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とする。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第1の導体層は、前記第1の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第2の導体層は、前記第3の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記導電パターンは、前記第2の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第2の硬化接着剤層の厚み、および前記導電パターンの厚みを除いた前記第3の硬化接着剤層の厚みは、20μm以上100μm以下であるようにしてもよい。
また、前記フレキシブルプリント配線板用基板において、
前記第1~第3の補強樹脂層は、線膨張係数が30ppm/℃以下、弾性率が3GPa以上であるようにしてもよい。
本発明によれば、内層にフッ素樹脂層を含むフレキシブルプリント配線板用基板にスルーホールを形成する際にボイドの発生を抑制できるスルーホール形成方法、およびフレキシブルプリント配線板用基板を提供することができる。
実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 図1に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板の断面図である。 図3に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 図4に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 図5に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 図6に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 図7に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 図8に続く、実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を形成する工程を説明するための断面図である。 第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板の断面図である。 第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を用いたスルーホールの形成工程を説明するための断面図である。 図11に続く、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を用いたスルーホールの形成工程を説明するための断面図である。 図12に続く、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を用いたスルーホールの形成工程を説明するための断面図である。 実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板を用いて実際に形成されたスルーホールの断面写真である。 比較例に係るフレキシブルプリント配線板用基板を用いて実際に形成されたスルーホールの断面写真である。 従来の、内層にフッ素樹脂層を有するフレキシブルプリント配線板用基板を用いて形成されたスルーホールの断面写真である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、同等の機能を有する構成要素に同一の符号を付している。また、各図面は模式的なものであり、実施形態に係る特徴部分を中心に示すものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
<フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1>
図3を参照して、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1について説明する。このフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1は、コア絶縁基材がフッ素樹脂層から構成されており、たとえば、マイクロストリップ線路を有する高周波信号伝送用のフレキシブルプリント配線板に適用される。
フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1は、図3に示すように、フッ素樹脂層11と、このフッ素樹脂層11の下面に設けられた硬化接着剤層12hと、この硬化接着剤層12h上に設けられた補強樹脂層13と、この補強樹脂層13上に直接または間接的に設けられた導体層14と、フッ素樹脂層11の上面に設けられた硬化接着剤層16hと、この硬化接着剤層16h上に設けられた補強樹脂層17と、この補強樹脂層17上に直接または間接的に設けられた導体層18と、を備えている。
なお、補強樹脂層13と導体層14の間には、接着剤層が介在してもよいし、介在しなくてもよい。本実施形態では、導体層14は補強樹脂層13に直接接合されている。補強樹脂層17と導体層18についても同様のことが言える。
図3に示すように、導体層14および導体層18を電気的に接続するスルーホールを形成するための導通用孔を穿孔する際には、導体層14に向けてレーザ光が照射される。
レーザ光の照射方向に沿ってフッ素樹脂層11の奥側に位置する硬化接着剤層16hは、熱分解温度が補強樹脂層13,17の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上である。これにより、レーザ光で導通用孔を穿孔する際、硬化接着剤層16hに深いエグレが発生することを防止できる。その結果、めっき工程の際にエグレ内にめっき金属を充填でき、ボイドの発生を抑えることができる。
次に、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の各構成について詳しく説明する。
フッ素樹脂層11は、硬化接着剤層12hに対向する第1の主面、および第1の主面の反対側の第2の主面を有する。このフッ素樹脂層11はフッ素樹脂からなる。フッ素樹脂は、たとえば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビリニデン(PVdF)等である。
フッ素樹脂層11の厚みは、たとえば、12.5~200μmであり、好ましくは25~100μmである。12.5μmの下限値よりも薄い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の誘電特性が悪化する。一方、200μmの上限値よりも厚い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の取扱い性や寸法安定性を確保することが難しくなる。
なお、フッ素樹脂層11は、1層のフィルムに限らず、複数のフィルムが積層されて構成されてもよい。たとえば、PFAとPTFEが積層されたものであってもよい。また、PTFEでは接着剤との接着性が良くない場合、PTFAをPFAで挟んだ3層構造(PFA/PTFE/PFA)としてもよい。
また、フッ素樹脂層11は、誘電率や誘電正接が低い無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、炭素繊維、ガラス繊維、ケイ素繊維、LCP繊維、ガラスバルーン、炭素バルーン、木粉、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。フッ素樹脂層11は、1種類の無機フィラーを含有してもよいし、あるいは2種以上の無機フィラーを含有してもよい。
無機フィラーの含有量は、含フッ素共重合体に対して0.1~100質量%が好ましく、0.1~60質量%がより好ましい。無機フィラーが多孔質の場合、フッ素樹脂層11の誘電率や誘電正接をさらに低くすることができる。また、無機フィラーは、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の表面処理剤を用いて表面処理することで、含フッ素共重合体への分散性を向上させてもよい。
また、フッ素樹脂の線膨張係数を下げるために、フッ素樹脂層11は、フッ素樹脂中に、アラミド繊維織布、アラミド繊維不織布、アラミドペーパー、アラミドフィルム、ガラス繊維織布、木綿織布、紙等を含有してもよい。
また、フッ素樹脂層11として、表面改質されたフッ素樹脂層、または接着成分が共重合されたフッ素樹脂層などが用いられてもよい。
次に、硬化接着剤層12h,16hについて説明する。
硬化接着剤層12h,16hは、熱硬化性の接着剤層12,16(後述)を加熱して硬化させた絶縁層である。
硬化接着剤層12h,16hの厚みは、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上100μm以下である。特に、硬化接着剤層16hは10μm以上の厚みを有する必要があり、20μm以上の厚みを有することが好ましい。硬化接着剤層16hが10μmよりも薄い場合、レーザ光により導通用孔を穿孔する際、硬化接着剤層16hに形成されるエグレが深くなり、めっき工程においてボイドが発生し易くなる。硬化接着剤層16hが厚い程、形成されるエグレの深さ(長さ)は小さくなる。なお、硬化接着剤層12h,16hが200μmよりも厚い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の誘電特性や屈曲性が悪化することから200μm以下の厚みであることが好ましい。
次に、補強樹脂層13,17について説明する。
補強樹脂層13,17は、線膨張係数がフッ素樹脂層11よりも小さい。線膨張係数が小さいほど、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の寸法安定性を損なわず、また、補強樹脂層13,17を薄くすることができる。
補強樹脂層13,17の線膨張係数は30ppm/℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは25ppm/℃以下である。ここで、線膨張係数の値は常温における値である(以下の数値についても同様である)。線膨張係数が30ppm/℃以下の補強樹脂層13,17を用いることにより、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1に反りが発生したり、寸法安定性が低下することを抑制できる。
補強樹脂層13,17の弾性率は、3GPa以上であることが好ましく、6Gpa以上であることがさらに好ましい。ここで、弾性率の値は常温における値である(以下の数値についても同様である)。これにより、一体化工程(後述)後の冷却、あるいは導体層18のパターニング時などにおいて、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の収縮を低減し、寸法安定性を向上させることができる。
補強樹脂層13,17は、たとえば、芳香族ポリイミド等のポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などからなる。ポリイミドは、LCP、PEEKに比べて線膨張係数が低いため、寸法安定性を確保し易い。LCP、PEEKは、ポリイミドに比べて吸水率が小さいため、吸湿により誘電率や誘電正接が増大し、伝送特性が劣化することを抑制できる。なお、LCPフィルムとして、(株)クラレのベクスター(登録商標)等を用いてもよい。
その他、補強樹脂層13,17の材料として、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン(ポリエーテルスルホン等)、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶ポリエステル等を用いてもよい。
補強樹脂層13,17の厚みは各々、たとえば7.5~200μmであり、好ましくは12.5~100μmである。7.5μmの下限値よりも薄い場合、取扱い性や寸法安定性を確保することが難しい。一方、200μmの上限値よりも厚い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の誘電特性や屈曲性が悪化する。
なお、補強樹脂層13,17は各々、1層に限らず、多層のフィルムで構成されてもよい。たとえば、熱可塑性樹脂と非熱可塑性樹脂とを貼り合わせて補強樹脂層を構成してもよい。これにより、柔軟性の高い補強樹脂層が得られる。
次に、導体層14,18について説明する。
導体層14,18は、銅もしくは銅合金、ステンレス鋼、ニッケルもしくはニッケル合金(42合金を含む。)、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金等の金属箔である。本実施形態では、導体層14,18は、圧延銅箔、電解銅箔等の銅箔である。
導体層14,18の主面のうち補強樹脂層13,17と対向する面には、接着性を向上させるために化学的または機械的な表面処理が施されていてもよい。化学的な表面処理としては、ニッケルメッキ、銅-亜鉛合金めっき等のめっき処理、あるいは、アルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等の表面処理剤による処理などが挙げられる。なかでも、シランカップリング剤による表面処理が好ましい。シランカップリング剤としては、アミノ基を有するシランカップリング剤が好適に使用可能である。一方、機械的な表面処理としては、粗面化処理などが挙げられる。
導体層14,18の厚みは、フレキシブルプリント配線板の用途に応じて充分な機能が発揮できる厚みであればよく、特に限定されない。フレキシブルプリント配線板の屈曲性などを考慮すると、導体層14,18の厚みは、6~70μmが好ましく、9~35μmがより好ましい。
導体層14,18のうち、少なくとも信号線が形成される導体層については、十点平均粗さ(Rz)は2.0μm以下が好ましく、1.3μm以下がさらに好ましい。これにより、高周波信号の電流が表皮効果によって導体層の表層部分のみを流れる場合であっても、信号の伝搬距離が長くなることが抑制される。その結果、高周波信号を伝送する際、伝送速度を維持し、伝送損失の増加を抑制することができる。
図3に示すように、本実施形態では、導体層14は、補強樹脂層13の上に接着剤層を介さず直接設けられている。同様に、導体層18は、補強樹脂層17の上に接着剤層を介さず直接設けられている。接着剤を介さないことで、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の厚みを低減することができ、十分な可撓性を確保することができる。あるいは、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の厚みが一定の場合、硬化接着剤層12h,16hや補強樹脂層13,17を厚くすることができ、その結果、寸法安定性を改善させたり、穿孔時のレーザ加工性を改善することができる。
以上説明したフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1によれば、レーザ光の照射方向から見てフッ素樹脂層11の奥側となる硬化接着剤層16hについて、熱分解温度が補強樹脂層13,17の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上200μm以下とされている。これにより、レーザ光で導通用孔を穿孔する際、硬化接着剤層16hに深いエグレが形成されることを抑制できる。その結果、スルーホールめっきを行う際にエグレ内にめっき金属を充填でき、ボイドの発生を抑えることができる。
<フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の製造方法>
図1~図3を参照して、上述したフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1の製造方法について説明する。
まず、フッ素樹脂層11、接着剤層12,16、および片面金属箔張積層板15,19を用意する。
フッ素樹脂層11としては、前述のフッ素樹脂からなる絶縁フィルムのほか、多層構造(たとえばPFA/PTFE/PFA)のものを用いてもよい。れにより、フッ素樹脂層11と接着剤層12,16を強固に接着させることができる。
接着剤層12,16は、耐熱性に優れた接着剤からなるものが好ましく、このような接着剤としては、変性ポリオレフィン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ブチラール樹脂系接着剤、ビスマレイミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、変性ポリフェニレンエーテル系接着剤、または変性芳香族ポリエステル系接着剤等、各種樹脂系の誘電特性に優れた熱硬化性接着剤が挙げられる。市販品の接着剤では、たとえば、ニッカン工業(株)の接着剤シートSAFY、東亜合成(株)のアロンマイティAS-700、荒川化学工業(株)のPIAD(熱可塑性ポリイミドワニス)とエポキシと活性エステル樹脂とを添加した接着剤、日鉄ケミカル&マテリアル(株)のエスパネックスNSC-003などが適用可能である。
接着剤層12,16の厚みは、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上100μm以下である。特に、接着剤層16は10μm以上の厚みを有する必要があり、20μm以上の厚みを有することが好ましい。
片面金属箔張積層板15,19は、絶縁層(補強樹脂層)の片面に金属箔(導体層)が設けられている。片面金属箔張積層板15,19としては、日鉄機能材製造(株)の無接着剤銅張積層板エスパネックス(登録商標)等、市販のFCCLを用いてもよい。
次に、図1および図2に示すように、接着剤シートである接着剤層12,16を介して片面金属箔張積層板15,19でフッ素樹脂層11を挟み込むように配置し、プレスして積層体LB1を形成する。なお、本工程は、各樹脂層のガラス転移温度より低い温度(たとえば60~80℃)で、いわゆる仮ラミネーション(仮積層)として行うことが好ましい。仮ラミネーションは、真空プレスの他、ロールツーロール工法により行ってもよい。この場合、金属ロールから巻き出されたシートの所定領域について加圧加熱を行い、完了後、金属ロールを回転させ、別の領域について加圧加熱を行う。
なお、接着剤層12,16として接着剤シートを用いない場合は、フッ素樹脂層11の下面に接着剤を塗布して接着剤層12を形成した後、片面金属箔張積層板15を貼り合わせ、同様に、フッ素樹脂層11の上面に接着剤を塗布して接着剤層16を形成した後、片面金属箔張積層板19を貼り合わせることにより積層体LB1を形成してもよい。もちろん、補強樹脂層13(17)側に接着剤を塗布して接着剤層12(16)を形成しておき、接着剤層12(16)が形成された片面金属箔張積層板15(19)をフッ素樹脂層11の下面(上面)に積層してもよい。
積層体LB1を形成した後、積層体LB1を加熱し、接着剤層12および接着剤層16を硬化させて、それぞれ硬化接着剤層12hおよび硬化接着剤層16hとする(一体化工程)。より詳しくは、本工程では、接着剤層12,16の硬化温度以上で積層体LB1を加熱しながら加圧することで、積層体LB1を一体化させる。本工程を経て図3に示すフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1が得られる。
なお、接着剤層12,16の加熱温度は、たとえば、250℃以下である。好ましくは、接着剤層12,16の加熱温度は、200℃以下、あるいはフッ素樹脂層11を構成するフッ素樹脂のガラス転移温度に90℃(好ましくは60℃)を加えた温度以下である。これよりも高い温度で接着剤層12,16を加熱すると、室温に冷却したときに、残留ひずみが大きくなり、寸法安定性が悪化するおそれがある。加熱温度が低いほど、接着剤の硬化速度が遅くなり、接着するまでに時間を要する。一方、長い加熱時間をかけて接着剤層12,16を硬化させた方が寸法安定性は改善される。
また、補強樹脂層13,17が微量の水分を含有する場合、180℃を超える温度で加熱すると、急激な水分の揮発により発泡する場合がある。加熱温度が低いほど、揮発がゆっくりとなり、発泡を防止できる。
上記の点を踏まえて、フッ素樹脂層11がPFAまたはPTFEであり、補強樹脂層13,17がLCPの場合は、加熱温度を130~230℃の範囲内の温度とすることにより、発泡を防止し、寸法安定性が良いフレキシブルプリント配線板用基板を得ることができる。
上記の工程を経て、図3に示すフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1が得られる。
なお、上記製造方法においては、フッ素樹脂層11として、表面処理されたものを用いてもよい。たとえば、フッ素樹脂層11の接合面(主面)を表面改質等しておき、接着剤層12,16を介して片面金属箔張積層板15,19を積層することで、一体化工程後の接着強度を確保することができる。この場合、市販されている一般的なフッ素樹脂フィルムに表面改質の処理を施したものがフッ素樹脂層11として使用できる。
ここで、表面改質について説明する。表面改質は、フッ素樹脂層の表面に活性点を形成し、形成された活性点に親水性の高い官能基、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれか一つまたはこれらの混合物(以下、単に「改質材」ともいう。)をフッ素樹脂層に接触させることにより行う。表面改質によりフッ素樹脂層の表面にいわゆるタック感、接着性が得られる。たとえば、表面改質されたフッ素樹脂層としては、真空プラズマ処理が施されたフッ素樹脂層を使用する。真空プラズマ処理が施されることにより、フッ素樹脂層の表面には処理ガスに応じてNH基、COOH基、OH基などの親水性の官能基(極性基)が付加される。
フッ素樹脂層の表面に活性点を形成する方法としては、紫外線(UV)、エキシマレーザー光等の活性光線を照射する方法や、コロナ放電、プラズマ放電等の放電による方法がある。その他、アルカリ金属錯体溶液にフッ素樹脂層を浸漬する方法もある。フッ素樹脂層への改質材の接触方法としては、ガス状または液状の改質材をフッ素樹脂層に直接接触させる方法がある。その他、改質材をキャリアガスに希釈した混合ガス、または改質材を溶解させた水溶液もしくは有機溶剤溶液をフッ素樹脂層に接触させてもよい。
なお、フッ素樹脂層に活性点を形成するために活性光線を照射する場合、ガス状または液状の改質材をフッ素樹脂層に直接接触させた状態、あるいは、改質材をキャリアガスに希釈した混合ガス、または改質材を溶解させた水溶液もしくは有機溶剤溶液をフッ素樹脂層に接触させた状態で、活性光線を照射することも有効である。
表面改質の有力な方法として、真空プラズマ処理が挙げられる。真空プラズマ処理は、電極間に直流または交流の高電圧を印加することによって開始し持続する真空でのグロー放電等に、処理基材(ここではフッ素樹脂層)を曝すことによって行われる。真空プラズマ処理の場合、処理ガス(改質材)の選択肢が比較的多い。たとえば、He、Ne、Ar、N、O、炭酸ガス、空気、水蒸気、アンモニアガス等を処理ガスとして使用可能である。なお、これらのガスの混合ガスを用いてもよい。特に、Nガス、N+Hガス(窒素と水素の混合ガス)、N+Oガス(窒素と酸素の混合ガス)、またはアンモニアガスなどによりプラズマによりフッ素樹脂表面が接着性官能基を付与させることで良好な結果を得ることができる。
なお、上記の製造方法では、片面金属箔張積層板15,19を用いたが、これに代えて、補強樹脂層13(17)、導体層14(18)を順次積層してもよい。この場合、線膨張係数の低い導体層と、PI,LCP等の補強樹脂層とを直接接着させるには、たとえば、補強樹脂層を融点近くまで加熱し、導体層を補強樹脂層に張り合わせてプレスする。その後、補強樹脂層に歪を残さないために徐冷する。導体層と補強樹脂層の積層・一体化処理には、真空プレスの他、ロールツーロール工法、ダブルベルトプレス、ロートプレスなどを用いることができる。
<フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2>
次に、図10を参照して、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板FPCB2について説明する。このフレキシブルプリント配線板用基板FPCB2は、コア絶縁基材がフッ素樹脂層から構成されており、たとえば、ストリップ線路を有する高周波信号伝送用のフレキシブルプリント配線板に適用される。
フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2は、図10に示すように、下側部分は第1の実施形態で説明したフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1と同様の構成を有する。ただし、導体層18に代えて導電パターン18aとなっている。
導電パターン18aは、補強樹脂層17の上に直接または間接的に設けられている。本実施形態では、導電パターン18aは補強樹脂層17上に、接着剤層を介さずに直接接合されている。
図10に示すように、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2は、さらに、フッ素樹脂層21と、このフッ素樹脂層21の下面に設けられ、導電パターン18aを埋め込む硬化接着剤層31hと、フッ素樹脂層21の上面に設けられた硬化接着剤層22hと、この硬化接着剤層22h上に設けられた補強樹脂層23と、この補強樹脂層23上に直接または間接的に設けられた導体層24と、を備えている。
硬化接着剤層16hおよび硬化接着剤層31hは、熱分解温度が補強樹脂層13,17,23の熱分解温度よりも低い。また、硬化接着剤層16hの厚みは10μm以上200μm以下である。導電パターン18aの厚みを除いた硬化接着剤層31hの厚み(すなわち、導電パターン18aの上面からフッ素樹脂層21までの長さ)が10μm以上200μm以下である。これにより、レーザ光で導通用孔(後述の導通用孔H1,H2)を穿孔する際、深いエグレが発生することを抑制することができる。その結果、スルーホールめっきを行う際にエグレ内にめっき金属を充填でき、ボイドの発生を抑えることができる。
次に、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の各構成について詳しく説明する。ただし、第1の実施形態と同じ構成については詳しい説明を省略する。
フッ素樹脂層21は、導電パターン18aに対向する第3の主面、および第3の主面の反対側の第4の主面を有し、フッ素樹脂からなる。フッ素樹脂層21の材料は、前述のフッ素樹脂層11と同様である。
フッ素樹脂層21の厚みは、たとえば12.5~200μmであり、好ましくは25~100μmである。12.5μmの下限値よりも薄い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の誘電特性が悪化する。一方、200μmの上限値よりも厚い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の取扱い性や寸法安定性を確保することが難しくなる。
フッ素樹脂層21は、フッ素樹脂層11と同様に、表面改質されたフッ素樹脂層、または接着成分が共重合されたフッ素樹脂層などが用いられてもよい。
なお、フッ素樹脂層21は、1層のフィルムに限らず、複数のフィルムが積層されて構成されてもよい。たとえば、PFAとPTFEが積層されたものであってもよい。また、PTFEでは接着剤との接着性が良くない場合、PTFAをPFAで挟んだ3層構造(PFA/PTFE/PFA)としてもよい。
また、フッ素樹脂層21は、誘電率や誘電正接が低い無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーの材料および含有量は、フッ素樹脂層11と同様である。
次に、硬化接着剤層22h,31hについて説明する。
硬化接着剤層22h,31hは、熱硬化性の接着剤層22,31(後述)を加熱して硬化させた絶縁層である。
硬化接着剤層31hは、導電パターン18aを埋め込み、補強樹脂層17とフッ素樹脂層21とを接着させる絶縁層である。
硬化接着剤層22hの厚み、および導電パターン18aの厚みを除いた硬化接着剤層31hの厚みは、好ましくは、10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上100μm以下である。特に、硬化接着剤層31hについては10μm以上の厚みを有する必要があり、20μm以上の厚みを有することが好ましい。硬化接着剤層31hが10μmよりも薄い場合、レーザ光により導通用孔を穿孔する際、硬化接着剤層31hに形成されるエグレが深くなり、めっき工程においてボイドが発生し易くなる。硬化接着剤層31hが厚い程、形成されるエグレの深さは小さくなる。なお、硬化接着剤層22h,31hが200μmよりも厚い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の誘電特性や屈曲性が悪化することから200μm以下の厚みであることが好ましい。
次に、補強樹脂層23について説明する。
補強樹脂層23は、線膨張係数がフッ素樹脂層21よりも小さい。線膨張係数が小さいほど、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の寸法安定性を損なわず、また、補強樹脂層23を薄くすることができる。補強樹脂層23の材料は、前述の補強樹脂層13,17と同様である。
補強樹脂層23の厚みは、たとえば7.5~200μmであり、好ましくは12.5~100μmである。7.5μmの下限値よりも薄い場合、取扱い性や寸法安定性を確保することが難しい。一方、200μmの上限値よりも厚い場合、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の誘電特性や屈曲性が悪化する。
補強樹脂層23の線膨張係数は30ppm/℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは25ppm/℃以下である。線膨張係数が30ppm/℃以下の補強樹脂層23を用いることにより、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2に反りが発生したり、寸法安定性が低下することを抑制できる。
補強樹脂層23の弾性率は、3GPa以上であることが好ましく、6Gpa以上であることがさらに好ましい。これにより、一体化工程後の冷却時等における、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の収縮を低減し、寸法安定性を向上させることができる。
なお、補強樹脂層23は、1層に限らず、多層のフィルムで構成されてもよい。たとえば、熱可塑性樹脂と非熱可塑性樹脂とを貼り合わせて補強樹脂層を構成してもよい。これにより、柔軟性の高い補強樹脂層が得られる。
次に、導体層24について説明する。導体層14については前述の通りであり、導電パターン18aについては導体層18と同様であるので説明を省略する。
導体層24は、銅もしくは銅合金、ステンレス鋼、ニッケルもしくはニッケル合金(42合金を含む。)、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金等の金属箔である。本実施形態では、導体層24は、圧延銅箔、電解銅箔等の銅箔である。
導体層24の主面のうち補強樹脂層23と対向する面には、接着性を向上させるために化学的または機械的な表面処理が施されていてもよい。
導体層24の厚みは、フレキシブルプリント配線板の用途に応じて充分な機能が発揮できる厚みであればよく、特に限定されない。フレキシブルプリント配線板の屈曲性などを考慮すると、導体層24の厚みは、6~70μmが好ましく、9~35μmがより好ましい。
図10に示すように、本実施形態では、導体層14は、補強樹脂層13の上に接着剤層を介さず直接設けられている。同様に、導電パターン18aは、補強樹脂層17の上に接着剤層を介さず直接設けられている。導体層24は、補強樹脂層23の上に接着剤層を介さず直接設けられている。このように接着剤を介さないことで、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の厚みを低減することができ、十分な可撓性を確保することができる。あるいは、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の厚みが一定の場合、硬化接着剤層12h,16h、22h、31hや補強樹脂層13,17,23を厚くすることができ、その結果、寸法安定性を改善させたり、穿孔時のレーザ加工性を改善することができる。
以上説明したフレキシブルプリント配線板用基板FPCB2によれば、レーザ光の照射方向から見てフッ素樹脂層11の奥側となる硬化接着剤層16hについて、その熱分解温度が補強樹脂層13,17,23の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上200μm以下とされている。また、レーザ光の照射方向から見てフッ素樹脂層21の奥側となる硬化接着剤層31hについて、その熱分解温度が補強樹脂層13,17,23の熱分解温度よりも低く、導電パターン18aの厚みを除く厚みが10μm以上200μm以下とされている。これにより、レーザ光で導通用孔を穿孔する際、硬化接着剤層16h,31hに深いエグレが形成することを抑制できる。その結果、スルーホールめっきを行う際にエグレ内にめっき金属を充填でき、ボイドの発生を抑えることができる。
<フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の製造方法>
図4~図10を参照して、上述したフレキシブルプリント配線板用基板FPCB2の製造方法について説明する。
まず、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1を用意する。そして、図4に示すように、公知のファブリケーション手法により導体層14をパターニングして導電パターン18aを形成する。この導電パターン18aには、高速信号伝送用の信号線や、外層のグランド層とスルーホールを介して電気的に接続されることとなるグランド配線が含まれてもよい。
次に、図5に示すように、フッ素樹脂層21、接着剤層22および片面金属箔張積層板25を用意する。
フッ素樹脂層21としては、前述のフッ素樹脂層11と同様のフッ素樹脂からなる絶縁フィルムのほか、多層構造(たとえばPFA/PTFE/PFA)のものを用いてもよい。これにより、フッ素樹脂層21と接着剤層22を強固に接着させることができる。
接着剤層22は、前述の接着剤層12,16と同様に、耐熱性に優れた接着剤からなるものが好ましく、このような接着剤としては、変性ポリオレフィン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ブチラール樹脂系接着剤、ビスマレイミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、変性ポリフェニレンエーテル系接着剤、または変性芳香族ポリエステル系接着剤等、各種樹脂系の誘電特性に優れた熱硬化性接着剤が挙げられる。
片面金属箔張積層板25は、絶縁層(補強樹脂層)の片面に金属箔(導体層)が設けられている。この片面金属箔張積層板25としては、日鉄機能材製造(株)の無接着剤銅張積層板エスパネックス(登録商標)等、市販のFCCLを用いてもよい。
次に、図5および図6に示すように、接着剤シートである接着剤層22を介して片面金属箔張積層板25をフッ素樹脂層21に重ねるように配置し、プレスして積層体LB2を形成する。なお、本工程は、各樹脂層のガラス転移温度より低い温度(たとえば60~80℃)で、いわゆる仮ラミネーションとして行うことが好ましい。
なお、接着剤層22として接着剤シートを用いない場合は、フッ素樹脂層21の上面に接着剤を塗布して接着剤層22を形成した後、片面金属箔張積層板25を貼り合わせることにより積層体LB2を形成してもよい。もちろん、補強樹脂層23側に接着剤を塗布して接着剤層22を形成しておき、接着剤層22が形成された片面金属箔張積層板25をフッ素樹脂層21の上面に積層してもよい。
上記のようにして積層体LB2を形成した後、図7に示すように、積層体LB2を加熱し、接着剤層22を硬化させて、硬化接着剤層22hとする(一体化工程)。より詳しくは、本工程では、接着剤層22の硬化温度以上で積層体LB2を加熱しながら加圧することで、積層体LB2を一体化させる。
次に、図8および図9に示すように、加熱処理(一体化)された積層体LB1(フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1)の導電パターン18aと、加熱処理(一体化)された積層体LB2のフッ素樹脂層21とが対向するように、加熱処理された積層体LB1と積層体LB2を接着剤層31を介して積層して、積層体LB3を形成する。接着剤層31は、導電パターン18aを埋設可能であるとともに、導電パターン18aを除いた厚みが10μm以上確保可能な厚みとする。
接着剤層31は、前述の接着剤層12,16,22と同様に、耐熱性に優れた接着剤からなるものが好ましく、このような接着剤としては、変性ポリオレフィン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ブチラール樹脂系接着剤、ビスマレイミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、変性ポリフェニレンエーテル系接着剤、または変性芳香族ポリエステル系接着剤等、各種樹脂系の誘電特性に優れた熱硬化性接着剤が挙げられる。
なお、接着剤層31として接着剤シートを用いない場合は、フッ素樹脂層21の下面に接着剤を塗布して接着剤層31を形成した後、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB1に貼り合わせてもよい。あるいは、導電パターン18aを埋め込むように補強樹脂層17上に接着剤を塗布して接着剤層31を形成した後、図7に示す積層体を貼り合わせてもよい。
次に、積層体LB3を加熱し、接着剤層31を硬化させて硬化接着剤層31hとする。これにより、図10に示す、第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板FPCB2が得られる。
なお、上記製造方法において、フッ素樹脂層21として、表面処理されたものを用いてもよい。たとえば、フッ素樹脂層21の接合面(主面)を表面改質等しておき、接着剤層22を介して片面金属箔張積層板25を積層することで、一体化工程後の接着強度を確保することができる。この場合、市販されている一般的なフッ素樹脂フィルムに表面改質の処理を施したものがフッ素樹脂層21として使用できる。
また、上記の製造方法では片面金属箔張積層板25を用いたが、これに代えて、接着剤層22の上に補強樹脂層23、導体層24を順次積層してもよい。
<スルーホールの形成方法>
以下、図11~図13を参照して、フレキシブルプリント配線板用基板FPCB2にスルーホールを形成する方法について説明する。
図11に示すように、導体層14をパターニングして、開口部A1を有するコンフォーマルマスクを形成する。同様に、導体層24をパターニングして、開口部A2を有するコンフォーマルマスクを形成する。
次に、図11および図12に示すように、導体層14の開口部A1にレーザ光を照射し、補強樹脂層13、硬化接着剤層12h、フッ素樹脂層11、硬化接着剤層16hおよび補強樹脂層17を除去して、底面に導電パターン18a(導体層18)が露出した有底の導通用孔H1を形成する。同様に、導体層24の開口部A2にレーザ光を照射し、補強樹脂層23、硬化接着剤層22h、フッ素樹脂層21および硬化接着剤層31hを除去して、底面に導電パターン18aが露出した有底の導通用孔H2を形成する。なお、導通用孔H1,H2の穿孔工程は、たとえば、開口部A1,A2に向けてレーザパルスを複数回照射することで行われる。
次に、デスミア処理を行った後、図13に示すように、導通用孔H1の内壁にめっき層27を形成して、導体層14と導電パターン18a(導体層18)を電気的に接続するスルーホールTH1を形成する。同様に、導通用孔H2の内壁にめっき層28を形成して、導体層24と導電パターン18aを電気的に接続するスルーホールTH2を形成する。
前述のように硬化接着剤層16hは、熱分解温度が補強樹脂層13,17,23の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上である。このため、導通用孔H1を穿孔するレーザ加工工程において、硬化接着剤層16hに生じるエグレは比較的浅くなる。これは、硬化接着剤層16hに形成されるエグレの体積(すなわち、レーザ光照射により溶融、分解する硬化接着剤の量)が硬化接着剤層16hの厚みにかかわらずほぼ一定であること(当該体積はレーザ光パルスの照射回数に依存する)、および、硬化接着剤層16hの熱分解温度が比較的低いために硬化接着剤層16hが厚さ方向全体にわたって溶融、分解することによる。したがって、硬化接着剤層16hが厚いほどエグレの深さ(水平方向の長さ)は浅くなる。このように、本実施形態によれば、硬化接着剤層16hに生じるエグレのアスペクト比(エグレの幅と深さの比)を低くすることができる。
上記のように硬化接着剤層16hに生じるエグレのアスペクト比が低いため、めっき工程においてエグレはめっき金属により充填され、その結果、スルーホールTH1形成後のボイドの発生を抑制することができる。
硬化接着剤層31hについても同様である。すなわち、硬化接着剤層31hは、熱分解温度が補強樹脂層13,17,23の熱分解温度よりも低く、導電パターン18aの厚みを除いた厚みが10μm以上であるため、硬化接着剤層31hに生じるエグレのアスペクト比が低くなり、その結果、スルーホールTH2形成後のボイドの発生を抑制することができる。
なお、当然ながら、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1を対象として、上記の方法と同様にして導体層14と導体層18(導電パターン18a)とを電気的に接続するスルーホールを形成することも可能である。
図14は、実際に作製されたスルーホールの断面写真を示している。この例では、第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板用基板FPCB1と同様の構成を有する基板にスルーホールを形成している。フッ素樹脂層11として50μm厚のPFA、補強樹脂層13,17として25μm厚のLCP、導体層14,18として厚みが12μm程度の銅箔が用いられている。また、硬化接着剤層12hの厚みは30μm、硬化接着剤層16hの厚みは10μmである。図14に示すように、導通用孔の内壁に深いエグレは形成されておらず、ボイドは発生していない。
図15は、比較例として実際に作製されたスルーホールの断面写真を示している。図14との相違点は硬化接着剤層の厚みであり、硬化接着剤層12h,16hに相当する硬化接着剤層の厚みは6μmである。この場合、図15に示すように、フッ素樹脂層の下側の硬化接着剤層に深いエグレが形成されており、銅めっきでエグレを充填することができず、ボイドが発生している。なお、フッ素樹脂層の上側の硬化接着剤層のエグレは浅く、ボイドは発生していない。これは、フッ素樹脂層の上側の硬化接着剤層12hはフッ素樹脂層の穿孔時にすでに貫通しておりレーザ光照射の影響をあまり受けないのに対し、フッ素樹脂層の下側の硬化接着剤層は、フッ素樹脂層が貫通するまでの比較的長い時間、レーザ光を受け続け、溶融、分解が進むためと考えられる。
なお、仮に硬化接着剤層16hの熱分解温度が補強樹脂層13,17と同程度に高いとすると、硬化接着剤層16hの厚みが10μm以上確保されていたとしても、レーザ光を受けている間にフッ素樹脂層との境界面付近で局所的な溶融、分解が進んでしまう。その結果、硬化接着剤層16hの上部(フッ素樹脂層との境界面付近)にのみ深いエグレが形成されてしまう。したがって、硬化接着剤層16h,31hについては10μm以上の厚みを確保するとともに、熱分解温度が補強樹脂層ほど高くないことが必要である。これにより、硬化接着剤層の内壁は厚み方向の全体にわたって緩やかな弓状に削られ、その結果、アスペクト比の高いエグレが形成されず、めっき工程においてボイドの発生を回避することができる。
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
11,21 フッ素樹脂層
12,16,22,31 接着剤層
12h,16h,22h,31h 硬化接着剤層
13,17,23 補強樹脂層
14,18,24 導体層
18a 導電パターン
15,19 片面金属箔張積層板
27,28 めっき層
A1,A2 開口部
FPCB1,FPCB2 フレキシブルプリント配線板用基板
H1,H2 導通用孔
LB1,LB2 積層体
TH1,TH2 スルーホール

Claims (15)

  1. 第1の主面および第2の主面を有するフッ素樹脂層と、前記第1の主面に設けられた第1の接着剤層と、前記第1の接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第1の補強樹脂層と、前記第1の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第1の導体層と、前記第2の主面に設けられた第2の接着剤層と、前記第2の接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第2の補強樹脂層と、前記第2の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第2の導体層と、を有する積層体を形成する工程と、
    前記積層体を加熱し、前記第1の接着剤層および前記第2の接着剤層を硬化させて、それぞれ第1の硬化接着剤層および第2の硬化接着剤層とする工程と、
    前記第1の導体層の開口部にレーザ光を照射し、前記第1の補強樹脂層、前記第1の硬化接着剤層、前記フッ素樹脂層、前記第2の硬化接着剤層および前記第2の補強樹脂層を除去して、底面に前記第2の導体層が露出した有底の導通用孔を形成する工程と、
    前記導通用孔の内壁にめっき層を形成して、前記第1の導体層と前記第2の導体層を電気的に接続する工程と、
    を備え、
    前記レーザ光の照射方向に沿って前記フッ素樹脂層の奥側に位置する前記第2の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1および第2の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とするスルーホール形成方法。
  2. 前記第2の硬化接着剤層の厚みは、20μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスルーホール形成方法。
  3. 前記第2の接着剤層は、変性ポリオレフィン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ブチラール樹脂系接着剤、ビスマレイミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、変性ポリフェニレンエーテル系接着剤、または変性芳香族ポリエステル系接着剤からなることを特徴とする請求項1または2に記載のスルーホール形成方法。
  4. 前記第2の導体層をパターニングして導電パターンを形成する工程と、
    第3の主面および第4の主面を有する第2のフッ素樹脂層と、前記第3の主面に設けられた第3の接着剤層と、前記第3の接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第2のフッ素樹脂層よりも小さい第3の補強樹脂層と、前記第3の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第3の導体層と、を有する第2の積層体を形成する工程と、
    前記第2の積層体を加熱し、前記第3の接着剤層を硬化させて第3の硬化接着剤層とする工程と、
    加熱処理された前記積層体の前記導電パターンと、加熱処理された前記第2の積層体の前記第2のフッ素樹脂層とが対向するように、前記積層体と前記第2の積層体を第4の接着剤層を介して積層して、第3の積層体を形成する工程と、
    前記第3の積層体を加熱し、前記第4の接着剤層を硬化させて第4の硬化接着剤層とする工程と、
    前記第3の導体層の開口部にレーザ光を照射し、前記第3の補強樹脂層、前記第3の硬化接着剤層、前記第2のフッ素樹脂層および前記第4の硬化接着剤層を除去して、底面に前記導電パターンが露出した有底の第2の導通用孔を形成する工程と、
    前記第2の導通用孔の内壁にめっき層を形成して、前記第3の導体層と前記導電パターンを電気的に接続する工程と、
    をさらに備え、
    前記第4の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1の補強樹脂層、前記第2の補強樹脂層および前記第3の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、前記導電パターンの厚みを除いた厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のスルーホール形成方法。
  5. 第1の主面、および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有するフッ素樹脂層と、
    前記フッ素樹脂層の前記第1の主面に設けられた第1の硬化接着剤層と、
    前記第1の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第1の補強樹脂層と、
    前記第1の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第1の導体層と、
    前記フッ素樹脂層の前記第2の主面に設けられた第2の硬化接着剤層と、
    前記第2の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記フッ素樹脂層よりも小さい第2の補強樹脂層と、
    前記第2の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第2の導体層と、
    を備えるフレキシブルプリント配線板用基板であって、
    前記第2の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1および第2の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、厚みが10μm以上200μm以下であり、前記第1の導体層および前記第2の導体層を電気的に接続するスルーホールを形成するための導通用孔を穿孔する際に前記第1の導体層に向けてレーザ光が照射されることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用基板。
  6. 前記第1の導体層は、前記第1の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられていることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  7. 前記第2の導体層は、前記第2の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  8. 前記第2の硬化接着剤層の厚みは20μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  9. 前記第1および第2の補強樹脂層は、線膨張係数が30ppm/℃以下、弾性率が3GPa以上であることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  10. 第1の主面、および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有する第1のフッ素樹脂層と、
    前記第1のフッ素樹脂層の前記第1の主面に設けられた第1の硬化接着剤層と、
    前記第1の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第1のフッ素樹脂層よりも小さい第1の補強樹脂層と、
    前記第1の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第1の導体層と、
    前記第1のフッ素樹脂層の前記第2の主面に設けられた第2の硬化接着剤層と、
    前記第2の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第1のフッ素樹脂層よりも小さい第2の補強樹脂層と、
    前記第2の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた導電パターンと、
    前記導電パターンに対向する第3の主面、および前記第3の主面の反対側の第4の主面を有する第2のフッ素樹脂層と、
    前記導電パターンを埋め込み、前記第2の補強樹脂層と前記第2のフッ素樹脂層とを接着させる第3の硬化接着剤層と、
    前記第2のフッ素樹脂層の前記第4の主面に設けられた第4の硬化接着剤層と、
    前記第4の硬化接着剤層の上に設けられ、線膨張係数が前記第2のフッ素樹脂層よりも小さい第3の補強樹脂層と、
    前記第3の補強樹脂層の上に直接または間接的に設けられた第2の導体層と、
    を備え、
    前記第2の硬化接着剤層および前記第3の硬化接着剤層は、熱分解温度が前記第1の補強樹脂層、前記第2の補強樹脂層および前記第3の補強樹脂層の熱分解温度よりも低く、前記第2の硬化接着剤層の厚みが10μm以上200μm以下であり、前記導電パターンの厚みを除いた前記第3の硬化接着剤層の厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用基板。
  11. 前記第1の導体層は、前記第1の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられていることを特徴とする請求項10に記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  12. 前記第2の導体層は、前記第3の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられていることを特徴とする請求項10または11に記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  13. 前記導電パターンは、前記第2の補強樹脂層の上に接着剤層を介さず直接設けられていることを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  14. 前記第2の硬化接着剤層の厚み、および前記導電パターンの厚みを除いた前記第3の硬化接着剤層の厚みは、20μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項10~13のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
  15. 前記第1の補強樹脂層~第3の補強樹脂層は、線膨張係数が30ppm/℃以下、弾性率が3GPa以上であることを特徴とする請求項10~14のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板用基板。
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