JP7506358B2 - ガラスロールの製造方法及び製造装置 - Google Patents

Description

本発明は、機能性膜が形成されたガラスフィルムを巻き取ることでガラスロールを製造する方法及び装置に関する。

従来、ロールトゥロール（Ｒｏｌｌ ｔｏ Ｒｏｌｌ）方式により、母材ガラスロールからガラスフィルムを引き出して所定の方向に搬送しつつ、当該ガラスフィルムに機能性膜を形成する技術が知られている。

例えば特許文献１には、母材ガラスロールから引き出された第一ガラスフィルムを所定の方向に送り出すガラスフィルム供給工程と、この第一ガラスフィルムに機能性膜（透明導電膜）を加熱成膜して第二ガラスフィルムを形成する成膜工程と、保護フィルムを第二ガラスフィルムに重ねて第三ガラスフィルムを形成する保護フィルム供給工程と、第三ガラスフィルムをロール状に巻き取ってガラスロールを構成する巻取工程と、を備えるガラスロールの製造方法が開示されている。

上記のように機能性膜が形成されたガラスフィルム（第三ガラスフィルム）をロール状に巻き取る場合、巻芯に当該ガラスフィルムを連結する必要がある。例えば特許文献２には、ガラスフィルムの破損を防止すべく、巻芯とガラスフィルムとを樹脂製のリードフィルム（リーダ）によって連結する技術が開示されている。

特開２０１８－１８８３２０号公報 特開２０１７－１０９８５０号公報

従来のようにロールトゥロール方式でガラスフィルムに機能性膜を形成する場合において、樹脂製のリードフィルムは、ガラスフィルムよりも耐熱性が低いため、成膜工程を通過する際に成膜装置からの熱によって変形もしくは破断するおそれがあった。また、ガラスフィルムとリードフィルムとは粘着テープ等により連結されており、粘着テープの粘着成分等が成膜装置からの熱によって変質することで、この連結部においてガラスフィルムとリードフィルムとが分離してしまうおそれがあった。

本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、リードフィルムを変形もしくは破断させることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことを技術的課題とする。また、本発明は、連結部におけるリードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことを技術的課題とする。

本発明は上記の課題を解決するためのものであり、搬送装置によって搬送されるガラスフィルムを加熱ローラに接触させた状態で加熱しつつ前記ガラスフィルムに機能性膜を形成し、前記機能性膜が形成された前記ガラスフィルムをロール状に巻き取ることでガラスロールを製造する方法において、前記ガラスフィルムは、連結部を介してリードフィルムに連結されており、前記搬送装置は、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させることを特徴とする。

かかる構成によれば、搬送装置によってリードフィルムを加熱ローラから離間させ、当該加熱ローラに接触させることなく搬送することで、加熱ローラの熱によるリードフィルムの変質もしくは溶解を防止できる。これにより、リードフィルムを変形もしくは破断させることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことが可能になる。また、連結部を搬送装置によって加熱ローラから離間させ、当該加熱ローラに接触させることなく搬送することで、当該連結部における連結部材（粘着テープ等）の変質及び溶解を防止できる。これにより、連結部におけるリードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことが可能になる。

前記搬送装置は、前記リードフィルム及び前記ガラスフィルムを搬送する搬送ローラを備え、前記搬送ローラは、前記加熱ローラに対して接近・離反可能に構成されており、前記搬送ローラは、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させてもよい。このように、搬送ローラによってリードフィルムを加熱ローラから離間させることで、当該リードフィルムを変形もしくは破断させることなく好適に搬送できる。また、搬送ローラによって連結部を加熱ローラから離間させることで、リードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、当該連結部を好適に搬送できる。

前記搬送ローラは、前記リードフィルムを挟持可能な一対の搬送ローラを含んでもよい。この構成により、搬送ローラは、リードフィルムに作用する張力を調整できる。したがって、搬送ローラは、リードフィルム及び／又は連結部を加熱ローラから離間させた状態で、当該リードフィルム及び／又は当該連結部を好適に搬送できる。

前記搬送装置は、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させる離間部材を備えてもよい。これにより、リードフィルム及び／又は連結部を加熱ローラから確実に離間させることができる。

前記離間部材は、ローラであってもよい。これにより、リードフィルム及び／又は連結部を加熱ローラから離間させた状態で好適に搬送することができる。

また、前記搬送装置は、前記加熱ローラと、前記リードフィルム及び／又は前記連結部との間に介在させる遮熱部材を備えてもよい。遮熱部材によって加熱ローラからの熱を遮断することで、リードフィルムの変質もしくは溶解、連結部材（粘着テープ等）の変質もしくは溶解を確実に防止できる。

本発明は上記の課題を解決するためのものであり、連結部を介してリードフィルムに連結されたガラスフィルムを搬送する搬送装置と、前記ガラスフィルムに機能性膜を形成する加熱成膜装置と、を備えるガラスロールの製造装置において、前記加熱成膜装置は、前記ガラスフィルムに接触して加熱する加熱ローラを備え、前記搬送装置は、前記ガラスフィルムを送り出す巻出装置と、前記機能性膜が形成された前記ガラスフィルムをロール状に巻き取る巻取装置と、前記巻出装置と前記巻取装置との間に配されるとともに、前記ガラスフィルムを搬送する搬送ローラと、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させる離間部材と、を備えることを特徴とする。

かかる構成によれば、リードフィルムが加熱ローラを通過する際に、搬送装置の離間部材によって当該リードフィルムを当該加熱ローラから離間させることができる。これにより、加熱ローラの熱によるリードフィルムの変質もしくは溶解を防止できる。したがって、リードフィルムを変形もしくは破断させることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことが可能になる。また、リードフィルムとガラスフィルムとの連結部が加熱ローラを通過する際に、離間部材によって当該連結部を当該加熱ローラから離間させることができる。これにより、連結部における連結部材（粘着テープ等）の変質もしくは溶解を防止できる。したがって、連結部におけるリードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことができる。

本発明は上記の課題を解決するためのものであり、搬送装置によって搬送されるガラスフィルムを加熱ローラに接触させた状態で加熱しつつ前記ガラスフィルムに機能性膜を形成し、前記機能性膜が形成された前記ガラスフィルムをロール状に巻き取ることでガラスロールを製造する方法において、前記ガラスフィルムは、連結部を介してリードフィルムに連結されており、前記加熱ローラは、前記ガラスフィルムに接触して加熱するローラ本体と、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記ローラ本体を通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記ローラ本体から離間させる離間部材と、を備えることを特徴とする。

かかる構成によれば、リードフィルムが加熱ローラのローラ本体を通過する際に、離間部材によって当該リードフィルムをローラ本体から離間させることができる。これにより、ローラ本体の熱によるリードフィルムの変質もしくは溶解を防止できる。したがって、リードフィルムを変形もしくは破断させることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことが可能になる。また、リードフィルムとガラスフィルムとの連結部がローラ本体を通過する際に、離間部材によって当該連結部をローラ本体から離間させることができる。これにより、連結部における連結部材（粘着テープ等）の変質もしくは溶解を防止できる。したがって、連結部におけるリードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことができる。

本発明は上記の課題を解決するためのものであり、連結部を介してリードフィルムに連結されたガラスフィルムを搬送する搬送装置と、前記ガラスフィルムに機能性膜を形成する加熱成膜装置と、を備えるガラスロールの製造装置において、前記加熱成膜装置は、前記ガラスフィルムに接触して加熱する加熱ローラを備え、前記加熱ローラは、前記ガラスフィルムに接触して加熱するローラ本体と、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記ローラ本体を通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記ローラ本体から離間させる離間部材と、を備えることを特徴とする。

かかる構成によれば、リードフィルムが加熱ローラのローラ本体を通過する際に、離間部材によって当該リードフィルムをローラ本体から離間させることができる。これにより、ローラ本体の熱によるリードフィルムの変質もしくは溶解を防止できる。したがって、リードフィルムを変形もしくは破断させることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことが可能になる。また、リードフィルムとガラスフィルムとの連結部がローラ本体を通過する際に、離間部材によって当該連結部をローラ本体から離間させることができる。これにより、連結部における連結部材（粘着テープ等）の変質もしくは溶解を防止できる。したがって、連結部におけるリードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことができる。

本発明によれば、リードフィルムを変形もしくは破断させることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことができる。また、連結部におけるリードフィルムとガラスフィルムとの分離を生じさせることなく、ガラスフィルムに加熱成膜を行うことができる。

第一実施形態に係るガラスロールの製造装置を示す断面図である。 ガラスロールの製造方法を示すフローチャートである。 ガラスロールの製造方法の一工程を示す断面図である。 ガラスロールの製造方法の一工程を示す断面図である。 第二実施形態に係るガラスロールの製造装置を示す断面図である。 ガラスロールの製造方法の一工程を示す断面図である。 第三実施形態に係るガラスロールの製造装置を示す断面図である。 ガラスロールの製造装置の要部を示す側面図である。 ガラスロールの製造方法の一工程を示す断面図である。 第四実施形態に係るガラスロールの製造装置を示す断面図である。 加熱ローラの側面図である。 加熱ローラの底面図である。 ガラスロールの製造方法の一工程を示す断面図である。

以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。図１乃至図４は、本発明に係るガラスロールの製造方法及び製造装置の第一実施形態を示す。

本方法に使用される製造装置は、ロールトゥロール（Ｒｏｌｌ ｔｏ Ｒｏｌｌ）方式を採用しており、母材ガラスロールから引き出された透明なガラスフィルムに機能性膜を形成し、ロール状に巻き取ることでガラスロールを製造する。以下、母材ガラスロールから引き出されるガラスフィルムを第一ガラスフィルムといい、機能性膜が形成された後のガラスフィルムを第二ガラスフィルムという。

図１に示すように、製造装置１は、真空チャンバ２と、搬送装置３と、成膜装置４と、搬送装置３及び成膜装置４を制御する制御装置５と、を主に備える。

真空チャンバ２は、搬送装置３及び成膜装置４を内部に収容する。真空チャンバ２の内部空間は、真空ポンプにより所定の真空度に設定される。真空チャンバ２内には、アルゴンガス等の不活性ガスが供給され得る。

搬送装置３は、巻出装置６と、巻取装置７と、巻出装置６と巻取装置７との間に配される搬送ローラ８ａ～８ｄと、センサ９，１０とを備える。

巻出装置６は、母材ガラスロールＧＲ１を回転可能に支持するとともに、当該母材ガラスロールＧＲ１から第一ガラスフィルムＧＦ１を引き出して成膜装置４へと送り出す。巻出装置６は、制御装置５の制御によって母材ガラスロールＧＲ１の回転速度（第一ガラスフィルムＧＦ１の送り出し速度）を変更できる。

巻出装置６に装着される母材ガラスロールＧＲ１は、第一ガラスフィルムＧＦ１と、第一ガラスフィルムＧＦ１の始端部ＧＦａに連結される第一リードフィルムＬＦ１と、第一ガラスフィルムＧＦ１の終端部ＧＦｂに連結される第二リードフィルムＬＦ２と、第一ガラスフィルムＧＦ１に重ねられる保護フィルムＰＦ１と、巻芯ＷＣ１とを含む。

第一ガラスフィルムＧＦ１と各リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２は、粘着テープその他の連結部材により連結されている。以下、第一ガラスフィルムＧＦ１の始端部ＧＦａと第一リードフィルムＬＦ１との連結部を第一連結部１１といい、第一ガラスフィルムＧＦ１の終端部ＧＦｂと第二リードフィルムＬＦ２との連結部を第二連結部１２という。第二リードフィルムＬＦ２は、その一端部（始端部）が第二連結部１２を介して第一ガラスフィルムＧＦ１の終端部ＧＦｂと連結され、その他端部（終端部）が巻芯ＷＣ１に連結されている。

第一ガラスフィルムＧＦ１の厚みは、５００μｍ以下とされ、好ましくは１０μｍ以上３００μｍ以下とされ、最も好ましくは３０μｍ以上２００μｍ以下である。

第一ガラスフィルムＧＦ１の材料としては、ケイ酸塩ガラス、シリカガラスが用いられ、好ましくはホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、化学強化ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ成分（アルカリ金属酸化物）が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分の重量比が３０００ｐｐｍ以下のガラスのことである。本発明におけるアルカリ成分の重量比は、好ましくは１０００ｐｐｍ以下であり、より好ましくは５００ｐｐｍ以下であり、最も好ましくは３００ｐｐｍ以下である。

各リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２には樹脂製のフィルムが使用される。具体的には、各リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２として、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アイオノマーフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン－ビニルアルコール共重合体フィルム、エチレン－メタクリル酸共重合体フィルム、ナイロン(登録商標)フィルム（ポリアミドフィルム）、ポリイミドフィルム、セロファンなどの有機樹脂フィルム（合成樹脂フィルム）などを使用することができる。

巻出装置６は、母材ガラスロールＧＲ１に含まれる保護フィルムＰＦ１を巻き取る保護フィルム回収部１３を備える。保護フィルム回収部１３は、巻出装置６の上方の位置に配されているが、この位置に限定されるものではない。保護フィルム回収部１３は、第一ガラスフィルムＧＦ１に重ねられている保護フィルムＰＦ１を剥離させるとともに、ロール状に巻き取ることによって回収する。

搬送ローラ８ａ～８ｄは、第一ガラスフィルムＧＦ１を搬送する第一搬送ローラ８ａ及び第二搬送ローラ８ｂと、第二ガラスフィルムＧＦ２を搬送する第三搬送ローラ８ｃ及び第四搬送ローラ８ｄとを含む。搬送ローラ８ａ～８ｄの数は、本実施形態に限定されず、製造装置１の規模に応じて適宜設定できる。各搬送ローラ８ａ～８ｄは、電動モータ等の駆動装置によって回転駆動される。

第一搬送ローラ８ａ及び第二搬送ローラ８ｂは、巻出装置６と成膜装置４との間で間隔をおいて配される。第三搬送ローラ８ｃ及び第四搬送ローラ８ｄは、成膜装置４と巻取装置７との間で間隔をおいて配される。

第一搬送ローラ８ａ及び第四搬送ローラ８ｄは、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２及びガラスフィルムＧＦ１，ＧＦ２の一方の面に接触する一本のローラにより構成される。第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２、及びガラスフィルムＧＦ１，ＧＦ２に両面に接触する一対（二本）のローラにより構成される。

第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、図示しない移動装置により成膜装置４に対して接近・離反可能に構成される。第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を搬送するために成膜装置４から離れた第一の位置（リードフィルム搬送位置、図１において実線で示す位置）と、ガラスフィルムＧＦ１，ＧＦ２を搬送するために成膜装置４に近接する第二の位置（ガラスフィルム搬送位置、図１において二点鎖線で示す位置）とに移動できる。

第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を成膜装置４に接触させずに通過させる。すなわち、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃ及びその移動装置は、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２が成膜装置４を通過する際に、当該リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を当該成膜装置４から離間させる離間装置としても機能する。特に第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、制御装置５による回転制御により、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を成膜装置４から離間させる離間部材として機能する。

センサ９，１０は、成膜装置４の下流側（成膜装置４と巻取装置７との間）に配される第一センサ９と、成膜装置４の上流側（巻出装置６と成膜装置４との間）に配される第二センサ１０とを含む。各センサ９，１０は、例えば透過型レーザセンサ等の非接触式のセンサにより構成されるが、この構成に限定されるものではない。

第一センサ９は、第一連結部１１及び第一ガラスフィルムＧＦ１の始端部ＧＦａを検出するとともに検出信号を制御装置５に送信する。第二センサ１０は、第二連結部１２及び第一ガラスフィルムＧＦ１の終端部ＧＦｂを検出するとともに、検出信号を制御装置５に送信する。

巻取装置７は、第二ガラスフィルムＧＦ２に保護フィルムＰＦ２を重ねて巻芯ＷＣ２に巻き付けることで、ガラスロールを形成する。巻取装置７は、制御装置５の制御により、巻芯ＷＣ２の回転速度を変更できる。

巻取装置７は、巻芯ＷＣ２に巻き取られる第二ガラスフィルムＧＦ２に保護フィルムＰＦ２を供給する保護フィルム供給部１４を備える。保護フィルム供給部１４は、巻取装置７の上方位置に配されているが、この位置に限定されるものではない。保護フィルム供給部１４は、保護フィルムロールＰＦＲを備えており、保護フィルムロールＰＦＲから引き出された保護フィルムＰＦ２を第二ガラスフィルムＧＦ２に供給する。

成膜装置４は、第一ガラスフィルムＧＦ１を加熱しながら搬送し、当該第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜を形成する加熱成膜装置により構成される。成膜装置４は、スパッタリング法、蒸着法、ＣＶＤ法等の各種成膜法により、第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜を形成できる。本実施形態では、スパッタリング法により機能性膜としての透明導電膜、例えばＩＴＯ膜を形成する場合について説明する。

成膜装置４は、イオンビームスパッタ装置やマグネトロンスパッタ装置などにより構成される。スパッタ装置としての成膜装置４は、ターゲットを含む複数のスパッタ源１５と、第一ガラスフィルムＧＦ１を加熱する加熱ローラ１６とを主に備える。

各スパッタ源１５は、ターゲットから飛散するスパッタ粒子（ＩＴＯ粒子）が第一ガラスフィルムＧＦ１の一方の面に付着するように、加熱ローラ１６から一定の間隔をおいて配置される。

加熱ローラ１６は、第一ガラスフィルムＧＦ１に接触しつつ加熱する回転可能なローラ（キャンローラ）である。加熱ローラ１６は、第一ガラスフィルムＧＦ１を支持する円筒状のローラ本体１７と、このローラ本体１７を加熱するヒータ１８とを備える。

ローラ本体１７は、ガラス、セラミックス、又は金属により構成される。ローラ本体１７は、軸部１９により回転自在に支持されている。

ヒータ１８は、ローラ本体１７を加熱すべく、当該ローラ本体１７の内側に配置される。ヒータ１８は、例えばオイルヒータ、赤外線ヒータ又は近赤外線ヒータにより構成されるが、これらに限定されるものではない。

制御装置５は、例えばＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、ＨＤＤ、入出力インターフェース、ディスプレイ等の各種ハードウェアを実装するコンピュータ（例えばＰＣ）を含む。制御装置５は、成膜装置４、巻出装置６、巻取装置７、搬送ローラ８ａ～８ｄ、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃの移動装置、及びセンサ９，１０に通信可能に接続されている。制御装置５は、成膜装置４の加熱温度、成膜、搬送に係る制御、巻出装置６の制御、巻取装置７の制御、搬送ローラ８ａ～８ｄの回転制御、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃの位置変更制御等を実行する。

以下、上記構成の製造装置１を使用して、ガラスロールを製造する方法について説明する。本方法は、図２に示すように、開始準備工程Ｓ１と、成膜工程Ｓ２と、終了準備工程Ｓ３とを備える。

開始準備工程Ｓ１において、母材ガラスロールＧＲ１が巻出装置６に装着され、当該母材ガラスロールＧＲ１から第一リードフィルムＬＦ１が引き出され、その始端部が巻取装置７の巻芯ＷＣ２に連結される。この場合において、搬送装置３は、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第一の位置（リードフィルム搬送位置）に設置する。図１に示すように、第二搬送ローラ８ｂと第三搬送ローラ８ｃとの間に位置する第一リードフィルムＬＦ１の一部分は、成膜装置４の加熱ローラ１６から離間した状態となる。第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、第一リードフィルムＬＦ１を挟持することで、上記のように当該第一リードフィルムＬＦ１と加熱ローラ１６を離間させた状態を維持しながら、巻出装置６から第二搬送ローラ８ｂまでの領域、及び第三搬送ローラ８ｃから巻取装置７までの領域において、第一リードフィルムＬＦ１に適度な張力を付与できる。

その後、真空チャンバ２が閉じられ、その内部空間が所定の真空度に設定される。また、真空チャンバ２内には、不活性ガスが充填される。

次に、制御装置５は、巻出装置６、搬送ローラ８ａ～８ｄ、加熱ローラ１６のローラ本体１７、及び巻取装置７を同期して作動させ、所定の速度で第一リードフィルムＬＦ１を上流側の巻出装置６から下流側の巻取装置７へと搬送する。また、制御装置５は、成膜装置４のヒータ１８を始動させ、ローラ本体１７の加熱を開始する（昇温工程）。

昇温工程において、ローラ本体１７は、ヒータ１８により所定の成膜温度以上となるように加熱される。加熱されるローラ本体１７の温度は、例えば２００℃以上５００℃以下に設定されるが、この範囲に限定されない。なお、昇温工程の実行中において、スパッタ源１５は作動せず、スパッタ粒子を放出しない。

制御装置５は、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃの回転速度を制御し、第二搬送ローラ８ｂと第三搬送ローラ８ｃとの間の領域において、第一リードフィルムＬＦ１が成膜装置４の加熱ローラ１６から離間した状態を維持する。加熱ローラ１６を迂回して通過した第一リードフィルムＬＦ１は、第三搬送ローラ８ｃ及び第四搬送ローラ８ｄを経て巻取装置７に巻き取られる。

開始準備工程Ｓ１において、母材ガラスロールＧＲ１に含まれている第一ガラスフィルムＧＦ１は、成膜装置４を通過した第一リードフィルムＬＦ１が巻取装置７に巻き取られることによって、当該母材ガラスロールＧＲ１から引き出される。第一ガラスフィルムＧＦ１は、第一リードフィルムＬＦ１とともに成膜装置４を経て巻取装置７へと搬送される。

図３に示すように、第一センサ９は、第一連結部１１が成膜装置４を通過したときに、当該第一連結部１１及び第一ガラスフィルムＧＦ１の始端部ＧＦａを検出し、検出信号を制御装置５に送信する。制御装置５は、第一センサ９からの検出信号を受信すると、ローラ本体１７が所定の成膜温度に加熱されているか否かを判定する。制御装置５は、ローラ本体１７が成膜温度に到達していない場合には昇温工程を継続する。制御装置５は、ローラ本体１７が成膜温度に達している場合には、開始準備工程Ｓ１を終了し、次の成膜工程Ｓ２を開始する。

成膜工程Ｓ２において、制御装置５は、搬送装置３に制御信号を送信し、第一の位置（図３において二点鎖線で示す位置）にある第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第二の位置（図３において実線で示す位置）へと移動させる。さらに制御装置５は、搬送装置３による第一ガラスフィルムＧＦ１の搬送速度を制御し、当該第一ガラスフィルムＧＦ１を成膜装置４の加熱ローラ１６に接触させる。本実施形態では、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第二の位置に移動させる（加熱ローラ１６に接近させる）ことで、加熱ローラ１６における第一ガラスフィルムＧＦ１の抱き角を可及的に大きく確保できる。

成膜工程Ｓ２において、ローラ本体１７は、その回転により、第一ガラスフィルムＧＦ１を加熱しながら下流側に案内する。第一ガラスフィルムＧＦ１は、ローラ本体１７によって１５０℃以上に加熱される。スパッタ粒子がＩＴＯである場合、第一ガラスフィルムＧＦ１は、２００℃以上に加熱されることが望ましく、２５０℃以上に加熱されることが更に望ましく、３００℃以上に加熱されることが最も望ましい。

制御装置５の制御により、成膜装置４は、複数のスパッタ源１５からスパッタ粒子（例えばＩＴＯ粒子）を飛散させ、ローラ本体１７により搬送されている第一ガラスフィルムＧＦ１に順次付着させる。

ローラ本体１７によって第一ガラスフィルムＧＦ１が加熱されることで、当該第一ガラスフィルムＧＦ１に付着したＩＴＯ粒子が結晶化し、低抵抗（例えば２０Ω／□以下）の機能性膜ＦＭが形成される。これにより、図４に示すように第二ガラスフィルムＧＦ２が形成される。

図４に示すように、成膜工程Ｓ２では、保護フィルム供給部１４によって保護フィルムＰＦ２を第二ガラスフィルムＧＦ２に重ねつつ、巻取装置７によって巻芯ＷＣ２に第二ガラスフィルムＧＦ２および保護フィルムＰＦ２を巻き付ける。これにより、巻芯ＷＣ２の周囲にガラスロールＧＲ２が形成される。ガラスロールＧＲ２は、巻芯ＷＣ２の回転に応じてその外径を拡大する。

成膜工程Ｓ２が終了に近づくと、全ての第一ガラスフィルムＧＦ１が巻出装置６から送り出される。その後、第二連結部１２が巻出装置６から送り出される。第二連結部１２が第二センサ１０に到達すると、第二センサ１０は、当該第二連結部１２及び第一ガラスフィルムＧＦ１の終端部ＧＦｂを検出し、検出信号を制御装置５に送信する。

第二センサ１０から検出信号を受信すると、制御装置５は、成膜工程Ｓ２を終了し、終了準備工程Ｓ３を開始する。終了準備工程Ｓ３は、第二リードフィルムＬＦ２の変形もしくは破断や、第二連結部１２での第一ガラスフィルムＧＦ１と第二リードフィルムＬＦ２との分離を防止するために成膜装置４を降温させる降温工程を備える。この降温工程は、第一ガラスフィルムＧＦ１が成膜装置４を通過している間であって、終端部ＧＦｂが成膜装置４に到達する前に開始する。

降温工程において、制御装置５は、加熱ローラ１６による加熱を停止させる。ヒータ１８が停止することで、ローラ本体１７の温度は徐々に低下する。また、制御装置５は、成膜装置４のスパッタ源１５を停止させる。

制御装置５は、第二の位置（ガラスフィルム搬送位置）にある第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第一の位置（リードフィルム搬送位置）に移動させる。さらに、制御装置５は、巻出装置６の巻芯ＷＣ１、搬送ローラ８ａ～８ｄ及び巻取装置７の巻芯ＷＣ２の回転速度を制御し、第二搬送ローラ８ｂと第三搬送ローラ８ｃとの間の領域において、第二リードフィルムＬＦ２を加熱ローラ１６から離間させる。

制御装置５は、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃの回転速度を制御し、第二リードフィルムＬＦ２が成膜装置４の加熱ローラ１６から離間した状態を維持する。加熱ローラ１６を迂回して通過した第二リードフィルムＬＦ２は、第三搬送ローラ８ｃ及び第四搬送ローラ８ｄを経て巻取装置７に巻き取られる。

成膜装置４を通過した第二リードフィルムＬＦ２が巻取装置７に巻き取られると、終了準備工程Ｓ３が終了し、ガラスロールＧＲ２が巻取装置７に支持された状態で完成する。ガラスロールＧＲ２は真空チャンバ２から取り出され、次工程へと送られる。

なお、その後の工程において、ガラスロールＧＲ２から第二ガラスフィルムＧＦ２が引き出され、フォトリソグラフィ等の手段により、機能性膜ＦＭに所定の回路パターン（例えば電極パターン）が形成される。所定の製造関連処理が実行されると、保護フィルムＰＦ２は、第二ガラスフィルムＧＦ２から除去（剥離）される。

以上説明した本実施形態に係るガラスロールＧＲ２の製造方法及び製造装置１によれば、制御装置５による搬送装置３の制御により、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を搬送する場合に、ガラスフィルムＧＦ１，ＧＦ２の搬送経路とは異なる搬送経路（パスライン）に変更できる。

すなわち、開始準備工程Ｓ１及び終了準備工程Ｓ３において、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を加熱ローラ１６から離間させることで、当該リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を当該加熱ローラ１６に接触させずに迂回させることができる。この迂回路により、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を変質もしくは溶解させることなく搬送できる。したがって、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を変形もしくは破断させることなく、第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜ＦＭを形成できる。

同様に、迂回路によって各連結部１１，１２を加熱ローラ１６から離間させることで、粘着テープ等の連結部材における変質もしくは溶解を生じさせることなく、当該連結部１１，１２を搬送できる。したがって、各連結部１１，１２における第一ガラスフィルムＧＦ１とリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２との分離を生じさせることなく、第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜ＦＭを形成できる。

また、開始準備工程Ｓ１では、第一リードフィルムＬＦ１の搬送を停止させることなく昇温工程を実行できることから、第一リードフィルムＬＦ１を加熱ローラ１６に接触させて搬送する場合と比較して、開始準備工程Ｓ１に係る時間を可及的に短縮できる。したがって、ガラスロールＧＲ２を効率良く製造することが可能になる。

図５及び図６は、本発明の第二実施形態を示す。本実施形態では、製造装置における搬送装置の構成が第一実施形態と異なる。

搬送装置３は、巻出装置６、巻取装置７、搬送ローラ８ａ～８ｄの他、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を成膜装置４の加熱ローラ１６から離間させる離間装置を備える。離間装置は、離間部材としての離間ローラ２０ａ，２０ｂと、この離間ローラ２０ａ，２０ｂを移動させる移動装置とを含む。本実施形態では、離間ローラ２０ａ，２０ｂとして二本のローラを例示するが、離間ローラ２０ａ，２０ｂの数は本実施形態に限定されず、製造装置１の規模に応じて適宜設定できる。

図５に示すように、離間ローラ２０ａ，２０ｂは、移動装置により、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２に接触する第一の位置（リードフィルム離間位置、図５において実線で示す位置）と、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２に接触しない第二の位置（待機位置、図５において二点鎖線で示す位置）とに位置変更可能に構成される。離間ローラ２０ａ，２０ｂは、第二搬送ローラ８ｂと加熱ローラ１６との間でリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２に接触する第一離間ローラ２０ａと、第三搬送ローラ８ｃと加熱ローラ１６との間でリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２に接触する第二離間ローラ２０ｂとを含む。

本実施形態におけるその他の構成は第一実施形態と同じである。本実施形態において第一実施形態と共通する構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付している。

以下、本実施形態に係るガラスロールＧＲ２の製造方法について説明する。

図５に示すように、開始準備工程Ｓ１において、各離間ローラ２０ａ，２０ｂは、第二の位置から第一の位置へと移動する。この場合において、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、第一の位置（リードフィルム搬送位置）に配されている。第一離間ローラ２０ａは、第一の位置に移動する際に、第二搬送ローラ８ｂと加熱ローラ１６との間を通過する。第二離間ローラ２０ｂは、第一の位置に移動する際に、第三搬送ローラ８ｃと加熱ローラ１６との間を通過する。

各離間ローラ２０ａ，２０ｂは、第一の位置において、第一リードフィルムＬＦ１に接触し、当該第一リードフィルムＬＦ１を加熱ローラ１６から離間させる。各離間ローラ２０ａ，２０ｂが第一の位置に移動することで、第一リードフィルムＬＦ１に加熱ローラ１６を迂回させる迂回路が形成される。

開始準備工程Ｓ１において、制御装置５は、巻出装置６、搬送ローラ８ａ～８ｄ及び巻取装置７を制御し、第一リードフィルムＬＦ１の搬送を開始する。制御装置５は、ローラ本体１７を回転させつつ、当該ローラ本体１７をヒータ１８によって加熱させる（昇温工程）。

開始準備工程Ｓ１が進行し、第一連結部１１が第一センサ９によって検出されると、制御装置５は、第一実施形態と同様に、加熱ローラ１６が成膜温度に到達しているか否かを判定する。加熱ローラ１６が成膜温度に到達している場合、制御装置５は、開始準備工程Ｓ１を終了し、次の成膜工程Ｓ２を実行する。

図６に示すように、成膜工程Ｓ２では、離間ローラ２０ａ，２０ｂは、第一の位置から待機位置である第二の位置へと移動する。第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、第一の位置（リードフィルム搬送位置）から第二の位置（ガラスフィルム搬送位置）へと移動し、第一ガラスフィルムＧＦ１を加熱ローラ１６に接触させる。

その後、制御装置５は、スパッタ源１５を始動させ、加熱ローラ１６により搬送される第一ガラスフィルムＧＦ１にスパッタ粒子を付着させる。これにより、機能性膜ＦＭが形成された第二ガラスフィルムＧＦ２が形成される。第二ガラスフィルムＧＦ２が巻取装置７の巻芯ＷＣ２に巻き取られることで、ガラスロールＧＲ２が形成される。

成膜工程Ｓ２が進行し、第二連結部１２が第二センサ１０によって検出されると制御装置５は、成膜工程Ｓ２を終了し、次の終了準備工程Ｓ３を実行する。制御装置５は、成膜装置４のローラ本体１７の回転を維持した状態で、ヒータ１８及びスパッタ源１５を停止させる（降温工程）。

降温工程において、制御装置５は、第二の位置（ガラスフィルム搬送位置）にある第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第一の位置（リードフィルム搬送位置）に移動させる。その後、第二の位置（待機位置）にある離間ローラ２０ａ，２０ｂは、制御装置５の制御により、第二連結部１２が加熱ローラ１６に到達する前に第一の位置（リードフィルム離間位置）に移動する。

第一の位置に移動した離間ローラ２０ａ，２０ｂは、搬送装置３によって搬送される第二リードフィルムＬＦ２を加熱ローラ１６から離間させる。成膜装置４を通過した第二リードフィルムＬＦ２が巻取装置７によって全て巻き取られると、ガラスロールＧＲ２が完成する。

本実施形態に係るガラスロールＧＲの製造方法及び製造装置１によれば、離間ローラ２０ａ，２０ｂによってリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２及び連結部１１，１２を加熱ローラ１６から離間させることで、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２及び連結部１１，１２と加熱ローラ１６との離間距離を一定に維持することができる。

図７乃至図９は、本発明の第三実施形態を示す。本実施形態に係る製造装置１の搬送装置３は、巻出装置６、巻取装置７、搬送ローラ８ａ～８ｄの他、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を成膜装置４の加熱ローラ１６から離間させる離間装置と、遮熱装置とを備える。離間装置は、離間部材としての離間ローラ２０ａ，２０ｂと、この離間ローラ２０ａ，２０ｂを移動させる移動装置とを含む。遮熱装置は、遮熱部材としての遮熱板２１と、この遮熱板２１を移動させる移動装置とを含む。

図７及び図８に示すように、遮熱板２１は、断熱材によって平板状に構成されるが、この形状に限らず円弧状の湾曲した板形状その他の各種形状により構成されてもよい。本実施形態では、三枚の遮熱板２１を例示するが、遮熱板２１の数は本実施形態に限定されない。

遮熱板２１の内部には、冷却配管２２が設けられている。冷却配管２２は、冷却水等の冷媒を流通させることにより、遮熱板２１を冷却する。

図８に示すように、遮熱板２１は、移動装置により、遮熱を行う第一の位置（実線で示す位置）と、待機位置としての第二の位置（二点鎖線で示す位置）とに位置変更可能に構成される。第一の位置において、遮熱板２１は、加熱ローラ１６のローラ本体１７とリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２との間に介在する。第二の位置において、遮熱板２１は、加熱ローラ１６の軸方向において当該加熱ローラ１６から離れた位置にある。

本実施形態におけるその他の構成は第二実施形態と同じである。本実施形態において第二実施形態と共通する構成要素には、第二実施形態と同じ符号を付している。

以下、本実施形態に係るガラスロールＧＲ２の製造方法について説明する。

開始準備工程Ｓ１において、搬送装置３は、各離間ローラ２０ａ，２０ｂを第二の位置（待機位置）から第一の位置（リードフィルム離間位置）へと下降させる。この場合において、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃは、第一の位置（リードフィルム搬送位置）に配されている。

各離間ローラ２０ａ，２０ｂは、第一リードフィルムＬＦ１に接触し、当該第一リードフィルムＬＦ１を加熱ローラ１６から離間させる。その後、制御装置５の制御により、搬送装置３は、各遮熱板２１を第二の位置（待機位置）から第一の位置（遮熱位置）へと移動させる。遮熱板２１は、加熱ローラ１６のローラ本体１７と、離間ローラ２０ａ，２０ｂによって支持される第一リードフィルムＬＦ１との間の空間に進入し、第一の位置で停止する。その後、搬送装置３は、第一リードフィルムＬＦ１を下流側へと搬送する。

図９に示すように、成膜工程Ｓ２において、搬送装置３は、第一の位置にある遮熱板２１を第二の位置へと移動させる。その後、搬送装置３は、第一の位置にある離間ローラ２０ａ，２０ｂを第二の位置へと上昇させる。その後、搬送装置３は、第一の位置にある第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第二の位置（ガラスフィルム搬送位置）へと移動させる。

その後、図９に示すように、成膜装置４によって第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜ＦＭが形成される。この場合において、各遮熱板２１が加熱ローラ１６の軸方向において当該加熱ローラ１６から離れた第二の位置（待機位置）にあるため、スパッタ源１５から放出されたスパッタ粒子は、遮熱板２１に進路を塞がれることなく第一ガラスフィルムＧＦ１に向かって移動できる。

成膜工程Ｓ２が終了すると、終了準備工程Ｓ３（降温工程）において、搬送装置３は、第二の位置にある第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第一の位置（リードフィルム搬送位置）に移動させる。その後、搬送装置３は、第二の位置で待機する離間ローラ２０ａ，２０ｂを第一の位置（リードフィルム離間位置）へと移動させる。その後、搬送装置３は、第二の位置で待機する各遮熱板２１を第一の位置（遮熱位置）へと移動させる。

本実施形態に係るガラスロールＧＲ２の製造方法及び製造装置１によれば、開始準備工程Ｓ１及び終了準備工程Ｓ３において、遮熱板２１を加熱ローラ１６とリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２との間に介在させることで、加熱ローラ１６から輻射された熱を、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２及び連結部１１，１２に伝達しないように遮断できる。これにより、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２の変形及び破断、連結部１１，１２における第一ガラスフィルムＧＦ１とリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２との分離を効果的に防止できる。

図１０乃至図１３は、本発明の第四実施形態を示す。本実施形態では、製造装置における成膜装置の構成が第一実施形態と異なる。

図１０乃至図１２に示すように、成膜装置４の加熱ローラ１６は、ローラ本体１７と、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２をローラ本体１７から離間させる複数の離間部材２３とを備える。

ローラ本体１７は、離間部材２３を収容する複数の凹部１７ａを備える。図１１に示すように、凹部１７ａには、離間部材２３が挿通される孔１７ｂが形成されている。図１２に示すように、凹部１７ａは、ローラ本体１７における幅方向の端部に形成されている。

ローラ本体１７は、内部にヒータを備えている。ヒータは、第一ガラスフィルムＧＦ１に接触するローラ本体１７の外周面を加熱することができる。

離間部材２３は、板状又は棒状に構成されている。離間部材２３は、ローラ本体１７に内蔵されるアクチュエータにより、進退可能に構成されている。離間部材２３は、制御装置５の制御により、ローラ本体１７の外周面よりも当該ローラ本体１７の半径方向外方に突出する第一の位置（リードフィルム支持位置）と、第一の位置から後退して凹部１７ａに収容される第二の位置（待機位置）とに位置を変更することができる。図１２に示すように、離間部材２３は、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２における幅方向の端部ＬＦａ，ＬＦｂに接触するように配置されている。

本実施形態におけるその他の構成は第一実施形態と同じである。本実施形態において第一実施形態と共通する構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付している。

以下、本実施形態に係るガラスロールＧＲ２の製造方法について説明する。

図１０に示すように、開始準備工程Ｓ１において、制御装置５は、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第一の位置（リードフィルム搬送位置）に配置し、加熱ローラ１６の離間部材２３を第一の位置（リードフィルム支持位置）に配置する。

開始準備工程Ｓ１において、制御装置５は、巻出装置６、搬送ローラ８ａ～８ｄ及び巻取装置７を制御し、第一リードフィルムＬＦ１の搬送を開始する。制御装置５は、ローラ本体１７を回転させつつ、当該ローラ本体１７をヒータによって加熱させる（昇温工程）。

搬送装置３によって搬送される第一連結部１１及び第一リードフィルムＬＦ１は、加熱ローラ１６に到達すると、離間部材２３に接触する。離間部材２３の先端部は、第一リードフィルムＬＦ１を支持しつつ、この第一リードフィルムＬＦ１をローラ本体１７の外周面から離間させる。

加熱ローラ１６（ローラ本体１７）の回転により、第一リードフィルムＬＦ１は、複数の離間部材２３に接触した状態で、ローラ本体１７の外周面に接触することなく加熱ローラ１６の下流側へと搬送される。

開始準備工程Ｓ１が進行し、第一連結部１１が第一センサ９によって検出されると、制御装置５は、第一実施形態と同様に、加熱ローラ１６が成膜温度に到達しているか否かを判定する。加熱ローラ１６が成膜温度に到達している場合、制御装置５は、開始準備工程Ｓ１を終了し、次の成膜工程Ｓ２を実行する。

図１３に示すように、制御装置５は、第一の位置にある離間部材２３を第二の位置へと移動させる。これにより、離間部材２３は、ローラ本体１７の凹部１７ａに収容される。

その後、成膜装置４は、第一実施形態と同様に、ローラ本体１７によって第一ガラスフィルムＧＦ１を加熱しながら、当該第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜ＦＭを形成する。この場合において、ローラ本体１７の凹部１７ａに収納された離間部材２３は、第一ガラスフィルムＧＦ１に接触しない。

終了準備工程Ｓ３において、制御装置５は、第二の位置で待機する離間部材２３を第一の位置へと移動させるとともに、降温工程を開始する。加熱ローラ１６に到達した第二連結部１２及び第二リードフィルムＬＦ２は、離間部材２３によってローラ本体１７から離間された状態で下流側へと搬送される。

以上説明した本実施形態に係るガラスロールＧＲ２の製造方法及び製造装置１によれば、開始準備工程Ｓ１及び終了準備工程Ｓ３において、加熱ローラ１６の離間部材２３によってリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２をローラ本体１７から離間させることで、当該リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を当該ローラ本体１７に接触させずに迂回させることができる。この迂回路により、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を変質もしくは溶解させることなく搬送できる。したがって、リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２を変形もしくは破断させることなく、第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜ＦＭを形成できる。

同様に、迂回路によって各連結部１１，１２をローラ本体１７から離間させることで、粘着テープ等の連結部材における変質もしくは溶解を生じさせることなく、当該連結部１１，１２を搬送できる。したがって、各連結部１１，１２における第一ガラスフィルムＧＦ１とリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２との分離を生じさせることなく、第一ガラスフィルムＧＦ１に機能性膜ＦＭを形成できる。

なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

上記の実施形態では、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを第一の位置と第二の位置とに位置変更可能に構成した例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。搬送装置３は、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃをリードフィルムＬＦ１，ＬＦ２及びガラスフィルムＧＦ１，ＧＦ２を好適に搬送可能な位置に設置し、その位置変更を行うことなく当該リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２及びガラスフィルムＧＦ１，ＧＦ２を搬送できる。

搬送装置３は、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃのみならず、第一搬送ローラ８ａ及び第四搬送ローラ８ｄを一対のローラにより構成し、位置変更可能に構成してもよい。

上記の第二実施形態及び第三実施形態では、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃを一対のローラにより構成したが、本発明はこの構成に限定されない。製造装置１が離間装置（離間ローラ２０ａ，２０ｂ）を備える場合には、第二搬送ローラ８ｂ及び第三搬送ローラ８ｃのそれぞれを一本のローラにより構成してもよい。

上記の実施形態では、終了準備工程Ｓ３において加熱ローラ１６を降温させる降温工程を実行する例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。第二リードフィルムＬＦ２を変質もしくは溶解しない位置まで加熱ローラ１６から離間できる場合、第二連結部１２で使用する粘着テープ等の連結部材が変質もしくは溶解しない位置まで当該第二連結部１２を加熱ローラ１６から離間させることができる場合には、加熱ローラ１６を降温させることなく第二リードフィルムＬＦ２及び第二連結部１２を搬送してもよい。また、遮熱板２１による遮熱が行われる場合には、加熱ローラ１６を降温させることなく第二リードフィルムＬＦ２を搬送してもよい。

上記の実施形態では、第一連結部１１や第二連結部１２の位置を第一センサ９や第二センサ１０を用いて検出する例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。あらかじめ第一ガラスフィルムＧＦ１と各リードフィルムＬＦ１，ＬＦ２の長さを把握しておくことで、巻き出した距離や巻き取った距離から、第一連結部１１や第二連結部１２の搬送経路上の位置を把握できる。

上記の実施形態では、第一リードフィルムＬＦ１及び第一連結部１１を搬送する場合に加熱ローラ１６から離間させ、第一連結部１１が加熱ローラ１６を通過した後に第一ガラスフィルムＧＦ１を加熱ローラ１６に接触させたが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、第一リードフィルムＬＦ１として耐熱性が高いポリイミドフィルム等を使用した場合には、当該第一リードフィルムＬＦ１を加熱ローラ１６と接触させた状態で搬送できる。この場合では、第一連結部１１が加熱ローラ１６に到達する前、又は到達した直後に当該第一連結部１１を加熱ローラ１６から離間させても良い。第二リードフィルムＬＦ２と第二連結部１２についても同様である。更に加えて、加熱ローラ１６の加熱温度が所定の温度まで達しておらず、第一リードフィルムＬＦ１が変質や溶解等しない温度域である場合については、第一リードフィルムＬＦ１を加熱ローラ１６と接触させて搬送しても良く、その後加熱ローラ１６が所定の温度に達することで、加熱ローラ１６が第一リードフィルムＬＦ１が変質や溶解等するおそれがある温度域になったところで、第一リードフィルムＬＦ１を加熱ローラ１６から離間させても良い。

上記の第三実施形態では、遮熱装置の遮熱板２１を、成膜装置４の加熱ローラ１６に係る軸方向に沿って移動可能に構成した例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。遮熱板２１を加熱ローラ１６の周方向に沿って移動させることで、当該遮熱板２１を第一の位置（遮熱位置）と、加熱ローラ１６の上方の第二の位置（待機位置）とに位置変更させてもよい。

上記の第三実施形態では、遮熱装置の遮熱板２１内部に冷却配管２２を設けた構成を例に示したが、本発明はこの構成に限定されず、冷却配管２２を設けずに遮熱板２１のみでも良い。

１ 製造装置
３ 搬送装置
４ 成膜装置
６ 巻出装置
７ 巻取装置
８ａ 第一搬送ローラ
８ｂ 第二搬送ローラ
８ｃ 第三搬送ローラ
８ｄ 第四搬送ローラ
１１ 第一連結部
１２ 第二連結部
１６ 加熱ローラ
１７ ローラ本体
２０ａ 第一離間ローラ
２０ｂ 第二離間ローラ
２１ 遮熱板
２３ 離間部材
ＦＭ 機能性膜
ＧＦ１ 第一ガラスフィルム
ＧＦ２ 第二ガラスフィルム
ＧＲ２ ガラスロール
ＬＦ１ 第一リードフィルム
ＬＦ２ 第二リードフィルム

Claims (9)

1. 搬送装置によって搬送されるガラスフィルムを加熱ローラに接触させた状態で加熱しつつ前記ガラスフィルムに機能性膜を形成し、前記機能性膜が形成された前記ガラスフィルムをロール状に巻き取ることでガラスロールを製造する方法において、
   前記ガラスフィルムは、連結部を介してリードフィルムに連結されており、
   前記搬送装置は、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させることを特徴とするガラスロールの製造方法。
2. 前記搬送装置は、前記リードフィルム及び前記ガラスフィルムを搬送する搬送ローラを備え、
   前記搬送ローラは、前記加熱ローラに対して接近・離反可能に構成されており、
   前記搬送ローラは、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させる請求項１に記載のガラスロールの製造方法。
3. 前記搬送ローラは、前記リードフィルムを挟持可能な一対の搬送ローラを含む請求項２に記載のガラスロールの製造方法。
4. 前記搬送装置は、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させる離間部材を備える請求項１から３のいずれか一項に記載のガラスロールの製造方法。
5. 前記離間部材は、ローラである請求項４に記載のガラスロールの製造方法。
6. 前記搬送装置は、前記加熱ローラと、前記リードフィルム及び／又は前記連結部との間に介在させる遮熱部材を備える請求項１から５のいずれか一項に記載のガラスロールの製造方法。
7. 連結部を介してリードフィルムに連結されたガラスフィルムを搬送する搬送装置と、
   前記ガラスフィルムに機能性膜を形成する加熱成膜装置と、を備えるガラスロールの製造装置において、
   前記加熱成膜装置は、前記ガラスフィルムに接触して加熱する加熱ローラを備え、
   前記搬送装置は、
   前記ガラスフィルムを送り出す巻出装置と、
   前記機能性膜が形成された前記ガラスフィルムをロール状に巻き取る巻取装置と、
   前記巻出装置と前記巻取装置との間に配されるとともに、前記ガラスフィルムを搬送する搬送ローラと、
   前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記加熱ローラを通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記加熱ローラから離間させる離間部材と、を備えることを特徴とするガラスロールの製造装置。
8. 搬送装置によって搬送されるガラスフィルムを加熱ローラに接触させた状態で加熱しつつ前記ガラスフィルムに機能性膜を形成し、前記機能性膜が形成された前記ガラスフィルムをロール状に巻き取ることでガラスロールを製造する方法において、
   前記ガラスフィルムは、連結部を介してリードフィルムに連結されており、
   前記加熱ローラは、前記ガラスフィルムに接触して加熱するローラ本体と、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記ローラ本体を通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記ローラ本体から離間させる離間部材と、を備えることを特徴とするガラスロールの製造方法。
9. 連結部を介してリードフィルムに連結されたガラスフィルムを搬送する搬送装置と、
   前記ガラスフィルムに機能性膜を形成する加熱成膜装置と、を備えるガラスロールの製造装置において、
   前記加熱成膜装置は、前記ガラスフィルムに接触して加熱する加熱ローラを備え、
   前記加熱ローラは、前記ガラスフィルムに接触して加熱するローラ本体と、前記リードフィルム及び／又は前記連結部が前記ローラ本体を通過する際に、前記リードフィルム及び／又は前記連結部を前記ローラ本体から離間させる離間部材と、を備えることを特徴とするガラスロールの製造装置。

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