[第1実施形態]
第1実施形態を図1~図6に基づいて説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1~図3,図7~図11,図23における上側および図12,図14,図17~図20における左側を「上」とし、図1~図3,図7~図11,図23における下側および図12,図14,図17~図20における右側を「下」として説明する。
第1実施形態の緩衝器1は、図1に示すように、いわゆるモノチューブ式の油圧緩衝器であり、作動流体としての油液(図示略)が封入されるシリンダ2を備えている。シリンダ2は有底円筒状をなしている。シリンダ2は、円筒状の胴部11と、胴部11の下部側に形成されて胴部11の下部を閉塞する底部12とからなる一体成形品である。
緩衝器1は、いずれもシリンダ2の内部に摺動可能に設けられる、区画体15およびピストン18を有している。区画体15は、ピストン18とシリンダ2の底部12との間に設けられている。ピストン18は、シリンダ2内に上室19と下室20との2つの室を画成しており、区画体15は、シリンダ2内に下室20とガス室16とを画成している。言い換えれば、ピストン18は、シリンダ2内に摺動可能に設けられてシリンダ2内を一側の上室19と他側の下室20とに区画している。シリンダ2内の上室19および下室20には作動流体としての油液が封入され、シリンダ2内のガス室16にはガスが封入されている。
緩衝器1は、軸方向の一端側部分がシリンダ2の内部に配置されてピストン18に連結固定されると共に他端側部分がシリンダ2の外部に延出されるピストンロッド21を備えている。ピストンロッド21は、上室19内を貫通しており、下室20は貫通していない。よって、上室19は、ピストンロッド21が貫通するロッド側室であり、下室20はシリンダ2の底部12側のボトム側室である。
ピストン18およびピストンロッド21は一体に移動する。ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす緩衝器1の伸び行程において、ピストン18は上室19側へ移動することになり、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす緩衝器1の縮み行程において、ピストン18は下室20側へ移動することになる。
シリンダ2の上端開口側には、ロッドガイド22が嵌合固定されており、ロッドガイド22よりもシリンダ2の外部側である上側にシール部材23が嵌合されている。シリンダ2の上端部は、径方向内方に加締められて係止部26となっており、この係止部26とロッドガイド22とがシール部材23を挟持している。ロッドガイド22とシール部材23との間には摩擦部材24が設けられている。
ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23は、いずれも円環状をなしており、ピストンロッド21は、これらロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23のそれぞれの内側に摺動可能に挿通されてシリンダ2の内部から外部に延出されている。ピストンロッド21は、軸方向の一端側部分がシリンダ2の内部でピストン18に固定され、他端側部分がシリンダ2の外部に、ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23を介して突出している。
ロッドガイド22は、ピストンロッド21を、その径方向移動を規制しつつ軸方向移動可能に支持して、このピストンロッド21の移動を案内する。シール部材23は、その外周部でシリンダ2に密着し、その内周部で、軸方向に移動するピストンロッド21の外周部に摺接する。これにより、シール部材23は、シリンダ2内の油液が外部に漏洩するのを防止する。摩擦部材24は、ピストンロッド21に摩擦力を付与する。
ピストンロッド21は、主軸部27と、これよりも小径の取付軸部28と、を有している。ピストンロッド21は、主軸部27が、ロッドガイド22、摩擦部材24およびシール部材23に摺動可能に嵌合され、取付軸部28がシリンダ2内に配置されてピストン18等に連結されている。主軸部27の取付軸部28側の端部は、軸直交方向に広がる軸段部29となっている。
取付軸部28の外周部には、軸方向の中間位置に軸方向に延在する通路切欠部30が形成されており、軸方向の主軸部27とは反対側の先端位置にオネジ31が形成されている。通路切欠部30は、例えば、取付軸部28の外周部を、取付軸部28の中心軸線に平行な面で平面状に切り欠いて形成されている。通路切欠部30は、取付軸部28の周方向の180度異なる二カ所の位置にいわゆる二面幅の形状に形成できる。
ピストンロッド21には、主軸部27のピストン18とロッドガイド22との間の部分に、いずれも円環状のストッパ部材32、一対の支持体33、コイルスプリング34および緩衝体35が設けられている。ストッパ部材32は、内周側にピストンロッド21を挿通させており、加締められて主軸部27に固定されている。ストッパ部材32側から順に、一方の支持体33、コイルスプリング34、他方の支持体33および緩衝体35が配置されている。
一対の支持体33およびコイルスプリング34は、内側にピストンロッド21が挿通されており、ストッパ部材32とロッドガイド22との間に配置されている。緩衝体35は、内側にピストンロッド21が挿通されており、他方の支持体33とロッドガイド22との間に配置されている。これらストッパ部材32、一対の支持体33、コイルスプリング34および緩衝体35は、ピストンロッド21が所定長さシリンダ2から突出すると、緩衝体35においてロッドガイド22に当接し、緩衝体35およびコイルスプリング34が弾性変形する。
緩衝器1は、例えばピストンロッド21のシリンダ2からの突出部分が上部に配置されて車体により支持され、シリンダ2の底部12が下部に配置されて車輪側に連結される。これとは逆に、シリンダ2側が車体により支持され、ピストンロッド21が車輪側に連結されるようにしても良い。
図2に示すように、ピストン18は、ピストンロッド21に連結される金属製のピストン本体36と、ピストン本体36の外周面に一体に装着されてシリンダ2内を摺動する円環状の合成樹脂製の摺動部材37とによって構成されている。
ピストン本体36には、上室19と下室20とを連通可能な複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴38と、上室19と下室20とを連通可能とする複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴39とが設けられている。
複数の通路穴38は、ピストン本体36の円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴39を挟んで等ピッチで形成されており、通路穴38,39の全数のうちの半数を構成する。複数の通路穴38は、2カ所の屈曲点を有するクランク形状であり、ピストン18の軸方向一側(図2の上側)がピストン18の径方向における外側に、ピストン18の軸方向他側(図2の下側)が一側よりもピストン18の径方向における内側に開口している。ピストン本体36には、軸方向の下室20側に、複数の通路穴38を連通させる円環状の環状溝55が形成されている。
環状溝55の下室20側には、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を開閉して減衰力を発生する第1減衰力発生機構41が設けられている。第1減衰力発生機構41が下室20側に配置されることで、複数の通路穴38内および環状溝55内の通路は、ピストン18の上室19側への移動、つまり伸び行程において上流側となる上室19から下流側となる下室20に向けて油液が流れ出す伸び側の通路となる。これら複数の通路穴38内および環状溝55内の通路に対して設けられた第1減衰力発生機構41は、伸び側の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生する伸び側の減衰力発生機構となっている。
通路穴38,39の全数のうちの残りの半数を構成する通路穴39は、ピストン本体36の円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴38を挟んで等ピッチで形成されている。複数の通路穴39は、2カ所の屈曲点を有するクランク形状であり、ピストン18の軸線方向他側(図2の下側)がピストン18の径方向における外側に、ピストン18の軸線方向一側(図2の上側)が他側よりもピストン18の径方向における内側に開口している。ピストン本体36には、軸方向の上室19側に複数の通路穴39を連通させる円環状の環状溝56が形成されている。
環状溝56の上室19側には、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路を開閉して減衰力を発生する第1減衰力発生機構42が設けられている。第1減衰力発生機構42が上室19側に配置されることで、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路は、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程において上流側となる下室20から下流側となる上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路となる。これら複数の通路穴39内および環状溝56内の通路に対して設けられた第1減衰力発生機構42は、縮み側の複数の通路穴39内および環状溝56内の通路から上室19への油液の流動を抑制して減衰力を発生する縮み側の減衰力発生機構となっている。
ピストン本体36は、略円板形状をなしており、その径方向の中央には、ピストンロッド21の取付軸部28が挿入される挿入穴44が軸方向に貫通して形成されている。挿入穴44は、ピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる軸方向一側の小径穴部45と、小径穴部45よりも大径の軸方向他側の大径穴部46と、を有している。小径穴部45が軸方向の上室19側に、大径穴部46が軸方向の下室20側にそれぞれ設けられている。
ピストン本体36の軸方向の下室20側の端部には、環状溝55の下室20側の開口よりも、ピストン本体36の径方向における内側に円環状の内側シート部47が形成されている。また、ピストン本体36の軸方向の下室20側の端部には、環状溝55の下室20側の開口よりも、ピストン本体36の径方向における外側に、第1減衰力発生機構41の一部を構成する円環状のバルブシート部48が形成されている。
ピストン本体36の軸方向の上室19側の端部には、環状溝56の上室19側の開口よりもピストン本体36の径方向における内側に円環状の内側シート部49が形成されている。また、ピストン本体36の軸方向の上室19側の端部には、環状溝56の上室19側の開口よりも、ピストン本体36の径方向における外側に、第1減衰力発生機構42の一部を構成する円環状のバルブシート部50が形成されている。
ピストン本体36の挿入穴44は、大径穴部46が、小径穴部45よりも軸方向の内側シート部47側に設けられている。ピストン本体36の大径穴部46内の通路は、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51と軸方向の位置を重ね合わせて常時連通している。
ピストン本体36において、バルブシート部48よりも径方向外側は、バルブシート部48よりも軸線方向高さが低い段差状をなしており、この段差状の部分に縮み側の通路穴39の下室20側の開口が配置されている。また、同様に、ピストン本体36において、バルブシート部50よりも径方向外側は、バルブシート部50よりも軸線方向高さが低い段差状をなしており、この段差状の部分に伸び側の通路穴38の上室19側の開口が配置されている。
縮み側の第1減衰力発生機構42は、ピストン18のバルブシート部50を含んでおり、軸方向のピストン18側から順に、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク62と、一枚のディスク63と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には四枚)のディスク64と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク65と、同一内径でピストン18から軸方向に離れるほど外径が小径となる複数枚(具体的には四枚)のディスク66と、一枚のディスク67と、一枚のディスク68と、一枚の環状部材69と、を有している。ディスク62~68および環状部材69は、金属製であり、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。ディスク62~68は、プレーンディスク(突起のない平面ディスク)である。
ディスク62は、ピストン18の内側シート部49の外径よりも大径であってバルブシート部50の内径よりも小径の外径となっており、内側シート部49に常時当接している。ディスク63は、ディスク62の外径よりも大径であってバルブシート部50の内径よりも小径の外径となっている。複数枚のディスク64は、ピストン18のバルブシート部50の外径と同等の外径となっており、バルブシート部50に着座可能となっている。
複数枚のディスク65は、ディスク64の外径よりも小径の外径となっている。複数枚のディスク66は、最も大径のものがディスク65の外径よりも小径の外径となっている。ディスク67は、ディスク66のうちの最も小径のものの外径よりも小径であってピストン18の内側シート部49の外径と同等の外径となっている。ディスク68は、ディスク66のうちの最も小径のものの外径よりも大径であって、最も大径のものの外径よりも小径の外径となっている。環状部材69は、ディスク68の外径よりも小径であってピストンロッド21の軸段部29の外径よりも大径の外径となっている。環状部材69は、ディスク62~68よりも厚く高剛性となっており、軸段部29に当接している。
複数枚のディスク64、複数枚のディスク65および複数枚のディスク66が、バルブシート部50に離着座可能な縮み側のメインバルブ71を構成している。メインバルブ71は、バルブシート部50から離座することで、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路を上室19に連通させると共に、バルブシート部50との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生する。環状部材69は、ディスク68とによって、メインバルブ71の開方向への規定以上の変形をメインバルブ71に当接して規制する。
複数の通路穴39内および環状溝56内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ71およびバルブシート部50の間の通路とが、ピストン18の下室20側への移動によりシリンダ2内の上流側となる下室20から下流側となる上室19に油液が流れ出す縮み側の第1通路72を構成している。減衰力を発生する縮み側の第1減衰力発生機構42は、メインバルブ71とバルブシート部50とを含んでおり、よって、この第1通路72に設けられている。第1通路72は、バルブシート部50を含むピストン18に形成されており、ピストンロッド21およびピストン18が縮み側に移動するときに油液が通過する。
ここで、縮み側の第1減衰力発生機構42には、バルブシート部50およびこれに当接するメインバルブ71のいずれにも、これらが当接状態にあっても上室19と下室20とを連通させる固定オリフィスは形成されていない。すなわち、縮み側の第1減衰力発生機構42は、バルブシート部50およびメインバルブ71が全周にわたって当接状態にあれば、上室19と下室20とを連通させることはない。言い換えれば、第1通路72は、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスが形成されておらず、上室19と下室20とを常時連通させる通路ではない。
伸び側の第1減衰力発生機構41は、ピストン18のバルブシート部48を含んでおり、軸方向のピストン18側から順に、一枚のディスク82と、一枚のディスク83と、一枚のディスク84と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には四枚)のディスク85と、一枚のディスク86と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク87と、同一内径でピストン18から軸方向に離れるほど外径が小径となる複数枚(具体的には二枚)のディスク88と、一枚のディスク89と、を有している。ディスク82~89は、金属製であり、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなすプレーンディスクである。
ディスク82は、ピストン18の内側シート部47の外径よりも大径であってバルブシート部48の内径よりも小径の外径となっており、内側シート部47に常時当接している。ディスク82には、図3に示すように、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を、ピストン18の大径穴部46内の通路およびピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51に常時連通させる切欠部90が、径方向の内側シート部47よりも外側の途中位置から内周縁部まで形成されている。切欠部90は、ディスク82のプレス成形時に形成される。切欠部90は、ピストン18の大径穴部46に隣り合って対向している。ディスク83は、ディスク82と同外径であり、ディスク82のような切欠部は形成されていない。ディスク84は、ディスク83の外径よりも大径であってバルブシート部48の内径よりも小径の外径となっている。
複数枚のディスク85は、ピストン18のバルブシート部48の外径と同等の外径となっており、バルブシート部48に着座可能となっている。ディスク86は、ディスク85の外径よりも小径の外径となっている。複数枚のディスク87は、ディスク86の外径よりも小径の外径となっている。複数枚のディスク88は、大径のものの外径がディスク87の外径よりも小径となっている。ディスク89は、複数枚のディスク88のうちの小径のものの外径よりも小径となっており、ピストン18の内側シート部47の外径と同等の外径となっている。図2に示すように、ディスク89は、ディスク67と同形状の共通部品にすることができる。複数枚のディスク88は、ディスク85~87よりも厚さが厚く高剛性となっている。
複数枚のディスク85、一枚のディスク86、複数枚のディスク87および複数枚のディスク88が、バルブシート部48に離着座可能な伸び側のメインバルブ91を構成している。メインバルブ91は、バルブシート部48から離座することで、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を下室20に連通させると共に、バルブシート部48との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生する。
複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ91およびバルブシート部48の間の通路とが、ピストン18の上室19側への移動によりシリンダ2内の上流側となる上室19から下流側となる下室20に油液が流れ出す伸び側の第1通路92を構成している。減衰力を発生する伸び側の第1減衰力発生機構41は、メインバルブ91とバルブシート部48とを含んでおり、よって、この第1通路92に設けられている。第1通路92は、バルブシート部48を含むピストン18に形成されており、ピストンロッド21およびピストン18が伸び側に移動するときに油液が通過する。
伸び側の第1減衰力発生機構41には、バルブシート部48およびこれに当接するメインバルブ91のいずれにも、これらが当接状態にあっても上室19と下室20とを連通させる固定オリフィスは形成されていない。すなわち、伸び側の第1減衰力発生機構41は、バルブシート部48およびメインバルブ91が全周にわたって当接状態にあれば、上室19と下室20とを連通させることはない。言い換えれば、第1通路92は、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは形成されておらず、上室19と下室20とを常時連通させる通路ではない。
図3に示すように、伸び側の第1減衰力発生機構41のピストン18とは反対側には、第1減衰力発生機構41側から順に、一つのキャップ部材101と、一つの可撓ディスク100(可撓部材,移動部材)と、複数枚(具体的には二枚)のディスク102と、一枚のサブバルブ107(第2サブバルブ)と、外周側に一つのOリング108が設けられた一つの弁座部材109と、一枚のサブバルブ110(第1サブバルブ)と、一枚のディスク111と、一枚のディスク113と、図2に示す複数(具体的には二つ)の環状部材114とが、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。ピストンロッド21の取付軸部28には、環状部材114よりも突出する部分にオネジ31が形成されており、このオネジ31にナット115が螺合されている。ナット115は、環状部材114に当接している。
可撓ディスク100、キャップ部材101、ディスク102,111,113、サブバルブ107,110、弁座部材109および環状部材114は、いずれも金属製である。ディスク102,111,113、サブバルブ107,110および環状部材114は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。ディスク102,111,113およびサブバルブ107,110は、プレーンディスクである。可撓ディスク100、キャップ部材101および弁座部材109は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な円環状をなしている。
キャップ部材101は、有底筒状の一体成形品であり、例えば金属板の塑性加工や切削加工により一体的に形成されている。図3に示すように、キャップ部材101は、有孔円板状の一定厚さの底部122と、底部122の外周縁部から、底部122の軸方向一側に拡径しつつ延出する中間テーパ部123と、中間テーパ部123の底部122とは反対側の端縁部から底部122とは反対方向に延出する円筒状の筒状部124と、を有している。
底部122は、内周部にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる有孔円板状である。底部122の内周部に取付軸部28を嵌合させることで、キャップ部材101は、ピストンロッド21に対し径方向に位置決めされて同軸状に配置される。底部122には、内周部と外周部との間に、底部122を底部122の軸方向に貫通する通路孔126が複数形成されている。複数の通路孔126は、底部122の中心から等距離の位置に底部122の周方向に等間隔に配置されており、底部122の内周部と外周部との間の中央よりも外周部側に形成されている。キャップ部材101は、底部122が、筒状部124よりもピストン18側に位置する向きで配置されてディスク89に当接しており、底部122の内周部において取付軸部28に嵌合している。
キャップ部材101は、ディスク85~88よりも厚く、有底筒状をなすことも合わせて、ディスク85~88よりも高剛性となっている。よって、キャップ部材101は、複数枚のディスク85~88で構成されるメインバルブ91の開方向への規定以上の変形をメインバルブ91に当接して規制する。
可撓ディスク100は、主体部301と、主体部301から突出するディスク突出部302(可撓部材側突出部)と、を有している。主体部301は、緩衝器1に組み付けられる前の自然状態にあるとき、一定厚さの有孔円形平板状をなしており、内周面と外周面とが同軸状をなしている。ディスク突出部302は、主体部301から主体部301の軸方向の一側に突出している。ディスク突出部302は、主体部301と同軸の円環状であり、主体部301の内周面と外周面との間の中央位置よりも外周面側に形成されている。主体部301は内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能となっている。主体部301の内周部に取付軸部28を嵌合させることで、可撓ディスク100は、ピストンロッド21に対し径方向に位置決めされて同軸状に配置される。
可撓ディスク100は、一定厚さの一枚の板材からプレス成形により形成されており、よって、主体部301およびディスク突出部302は、一体的に形成されている。ディスク突出部302は、主体部301の外周側から軸方向一側にテーパ状に縮径しつつ延出した後、径方向内側で軸方向他側に向け折り返し、軸方向他側にテーパ状に縮径しつつ延出して主体部301に合流する。言い換えれば、ディスク突出部302は、可撓ディスク100の中心軸線を含む面での断面の形状が、主体部301から軸方向に離れるほど径方向の幅が狭くなる先細のV字状をなしている。ディスク突出部302は、軸対称形状である。ディスク突出部302は、可撓ディスク100の軸方向における主体部301とは反対側の頂点が、可撓ディスク100の内周部および外周部と同心の円形状であり、主体部301からの高さが全周にわたって一定となっている。
可撓ディスク100は、キャップ部材101内に収容されることになり、ディスク突出部302が主体部301から軸方向の底部122側に突出する向きとされ、ディスク突出部302において底部122に当接する。ディスク102は、ディスク突出部302の最小内径よりも小径の外径である。可撓ディスク100は、緩衝器1に組み込まれた状態で、主体部301の内周側がディスク102と底部122とに挟持される。これにより、主体部301は、径方向外側ほど底部122から軸方向に離れるようにテーパ状に弾性変形する。
可撓ディスク100は、緩衝器1に組み込まれた状態で、ディスク突出部302の底部122に当接する先端面の内径が、複数の通路孔126の底部122の中心からの最大距離の2倍よりも大きくなっている。これにより、可撓ディスク100は、円環状のディスク突出部302が、複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における外方で囲むように配置されて底部122に全周にわたって当接する。
可撓ディスク100は、主体部301の内周部のディスク102と重なり合う部分が、ディスク102とキャップ部材101の底部122とに全周にわたって常時当接する内周側当接部303となっている。内周側当接部303の外径は、複数の通路孔126の底部122の中心からの最小距離の2倍よりも小さくなっている。これにより、可撓ディスク100は、内周側当接部303が、複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における内方で囲むように配置されて底部122に全周にわたって当接している。
可撓ディスク100が緩衝器1への組み込まれた状態で、主体部301は、内周側当接部303と、内周側当接部303とディスク突出部302との間の可撓部305と、ディスク突出部302よりも径方向外側の外周縁部306とを構成する。ここで、外周縁部306は、キャップ部材101の中間テーパ部123の最小内径よりも小径の外径となっており、よって、可撓ディスク100は、中間テーパ部123および筒状部124に接触することはない。可撓ディスク100は、可撓部305と外周縁部306とが、径方向外側ほど底部122から軸方向に離れるようにテーパ状をなしている。可撓ディスク100は、可撓部305が底部122に近づいたり、元の状態に戻ったりするように撓み可能となっている。
弁座部材109は、その軸方向に延び厚さ方向に貫通して取付軸部28を挿入させる貫通孔131が径方向の中央に形成された有孔円板状をなしている。貫通孔131は、ピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる軸方向一側の小径穴部132と、小径穴部132よりも大径の軸方向他側の大径穴部133と、を有している。
図4Aに示すように、弁座部材109は、軸方向の大径穴部133側の端部に、大径穴部133を囲むように円環状をなす内側シート部134を有しており、この内側シート部134から径方向外方に広がるバルブシート部135を有している。また、図4Bに示すように、弁座部材109は、軸方向反対側の小径穴部132側の端部に、小径穴部132を囲むように円環状をなす内側シート部138を有しており、この内側シート部138から径方向外方に広がるバルブシート部139を有している。弁座部材109は、その軸方向の内側シート部134およびバルブシート部135と内側シート部138およびバルブシート部139との間が有孔円板状の本体部140となっている。
図4Aに示すように、内側シート部134は、本体部140の軸方向の大径穴部133側の内周縁部から、本体部140の軸方向に沿って一側に突出しており、バルブシート部135も、内側シート部134の径方向外側で本体部140の軸方向に沿って本体部140から内側シート部134と同側に突出している。内側シート部134およびバルブシート部135は、突出側の先端面、すなわち本体部140とは反対側の先端面が、平坦面であり、弁座部材109の軸直交方向に広がって同一平面に配置されている。
図4Bに示すように、内側シート部138は、本体部140の軸方向の小径穴部132側の内周縁部から、本体部140の軸方向に沿って内側シート部134とは反対側に突出しており、バルブシート部139も、内側シート部138の径方向外側で本体部140の軸方向に沿って本体部140から内側シート部138と同側に突出している。内側シート部138およびバルブシート部139は、突出側の先端面、すなわち本体部140とは反対側の先端面が、平坦面であり、弁座部材109の軸直交方向に広がって同一平面に配置されている。内側シート部134,138は、同等の外径となっている。
図4Aに示すように、バルブシート部135は、花びら型の異形シートであり、複数、具体的には四カ所のバルブシート構成部201を有している。これらのバルブシート構成部201は、同形状であり、弁座部材109の周方向に等間隔で配置されている。
内側シート部134は、弁座部材109の中心軸線を中心とする円環状をなしている。バルブシート構成部201は、この内側シート部134から径方向外方に延出する一対の延出部202と、一対の延出部202の内側シート部134とは反対側の端部同士を結ぶ連結部203と、を有している。一対の延出部202は、いずれも直線状であり、弁座部材109の中心軸線を含む面に対して鏡面対称状をなしている。一対の延出部202は、弁座部材109の軸方向に見て互いに垂直をなすように配置されている。連結部203は、弁座部材109の中心軸線を中心とする円弧状をなしている。
バルブシート構成部201と、その一対の延出部202同士を結ぶ内側シート部134の一部とで囲まれて、これらの突出側の先端面から弁座部材109の軸方向に凹む通路凹部205が形成されている。通路凹部205の底面は本体部140によって形成されている。すべてのバルブシート構成部201の内側に通路凹部205が形成されている。すべての通路凹部205は、弁座部材109の中心軸線から等距離の位置に形成されており、弁座部材109の周方向に等間隔で形成されている。
弁座部材109の周方向における通路凹部205の中央位置には、本体部140を軸方向に貫通することで弁座部材109を軸方向に貫通する通路孔206が形成されている。通路孔206は、弁座部材109の中心軸線に平行な直線状の孔である。すべての通路凹部205の底面に通路孔206が形成されている。すべての通路孔206は、弁座部材109の中心軸線から等距離の位置に形成されており、弁座部材109の周方向に等間隔で形成されている。
弁座部材109の周方向に隣り合って配置されるバルブシート構成部201の隣り合う延出部202同士は、弁座部材109の周方向に離間して互いに平行をなしており、弁座部材109の中心軸線を通る径方向線と平行をなしている。弁座部材109の周方向に隣り合って配置されるバルブシート構成部201の周方向に遠い側の延出部202同士は、弁座部材109の中心軸線を通る径方向線と平行な同一直線上に配置されている。
図4Bに示すように、バルブシート部139も、花びら型の異形シートであり、複数、具体的には四カ所のバルブシート構成部211を有している。これらのバルブシート構成部211は同形状であり、弁座部材109の周方向に等間隔で配置されている。バルブシート構成部211は、バルブシート構成部201と同形状となっている。
内側シート部138は、弁座部材109の中心軸線を中心とする円環状をなしている。バルブシート構成部211は、この内側シート部138から径方向外方に延出する一対の延出部212と、一対の延出部212の内側シート部138とは反対側の端部同士を結ぶ連結部213と、を有している。一対の延出部212は、いずれも直線状であり、弁座部材109の中心軸線を含む面に対して鏡面対称状をなしている。一対の延出部212は、弁座部材109の軸方向に見て互いに垂直をなすように配置されている。連結部213は、弁座部材109の中心軸線を中心とする円弧状をなしている。すべての連結部213の同一円上に配置される外側縁部の外径は、すべての連結部203の同一円上に配置される外側縁部の外径と同等であり、すべての連結部213の同一円上に配置される内側縁部の内径は、すべての連結部203の同一円上に配置される内側縁部の内径と同等である。
バルブシート構成部211と、その一対の延出部212同士を結ぶ内側シート部138の一部とで囲まれて、これらの突出側の先端面から弁座部材109の軸方向に凹む通路凹部215が形成されている。通路凹部215の底面は本体部140によって形成されている。すべてのバルブシート構成部211の内側に通路凹部215が形成されている。すべての通路凹部215は、弁座部材109の中心軸線から等距離の位置に形成されており、弁座部材109の周方向に等間隔で形成されている。
弁座部材109の周方向における通路凹部215の中央位置には、本体部140を軸方向に貫通することで弁座部材109を軸方向に貫通する通路孔216が形成されている。通路孔216は、弁座部材109の中心軸線に平行な直線状の穴である。すべての通路凹部215の底面に通路孔216が形成されている。すべての通路孔216は、弁座部材109の中心軸線から等距離の位置に形成されており、弁座部材109の周方向に等間隔で形成されている。
弁座部材109の周方向に隣り合って配置されるバルブシート構成部211の隣り合う延出部212同士は、弁座部材109の周方向に離間して互いに平行をなしており、弁座部材109の中心軸線を通る径方向線と平行をなしている。弁座部材109の周方向に隣り合って配置されるバルブシート構成部211の周方向に遠い側の延出部212同士は、弁座部材109の中心軸線を通る径方向線と平行な同一直線上に配置されている。
ここで、複数のバルブシート構成部201の弁座部材109の周方向における配置ピッチと、複数のバルブシート構成部211の弁座部材109の周方向における配置ピッチとは同じであり、バルブシート構成部201およびバルブシート構成部211は、互いに半ピッチ分ずれている。言い換えれば、弁座部材109の周方向に隣り合うバルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間の中央位置に、バルブシート構成部211の中央位置が配置され、逆に、弁座部材109の周方向に隣り合うバルブシート構成部211とバルブシート構成部211との間の中央位置に、バルブシート構成部201の中央位置が配置されている。
すべての通路凹部205およびすべての通路凹部215は、弁座部材109の中心軸線から等距離の位置に形成されており、通路凹部205および通路凹部215が弁座部材109の周方向に交互に千鳥状に配置されている。すべての通路孔206およびすべての通路孔216は、弁座部材109の中心軸線から等距離の位置に形成されており、通路孔206および通路孔216が交互に、同一円周上に等間隔で設けられている。
図4Bに示すように、通路孔206は、弁座部材109の周方向に隣り合うバルブシート構成部211とバルブシート構成部211との間に配置されており、よって、バルブシート部139の範囲の外側に配置されている。図4Aに示すように、通路孔216は、弁座部材109の周方向に隣り合うバルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間に配置されており、よって、バルブシート部135の範囲の外側に配置されている。
弁座部材109には、軸方向の大径穴部133側に、内側シート部134を径方向に横断する通路溝221が、内側シート部134および本体部140にわたって形成されている。通路溝221は、内側シート部134の本体部140とは反対側の先端面から弁座部材109の軸方向に凹んでおり、本体部140の内側シート部134側の端面よりもさらに凹んで形成されている。通路溝221は、弁座部材109の中心を通る径方向線上に、この径方向線に沿って設けられており、バルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間に開口する通路孔216から弁座部材109の径方向内方に延出して大径穴部133に抜けている。通路溝221は、すべての通路孔216に対して設けられている。通路溝221は、複数、具体的には四カ所、弁座部材109の径方向における位置を揃えて弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。通路溝221が形成されることで内側シート部134は周方向に断続的に形成されている。
図3に示すように、通路孔216と、この通路孔216が開口する通路凹部215とが、弁座部材109に設けられる第1通路部151を形成している。弁座部材109には第1通路部151が複数、具体的には四カ所、弁座部材109の径方向における位置を揃えて弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。言い換えれば、弁座部材109には第1通路部151が複数同一円周上に等間隔で設けられている。
通路溝221は、第1通路部151に向けて径方向に延びる径方向通路222を形成している。弁座部材109には径方向通路222が複数、具体的には四カ所、弁座部材109の径方向における位置を揃えて弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。
図4Bに示すように、弁座部材109には、本体部140の軸方向の小径穴部132側に通路溝225が形成されている。通路溝225は、本体部140の内側シート部138側の端面から弁座部材109の軸方向に凹んで形成されている。通路溝225は、弁座部材109の中心を通る径方向線上に、この径方向線に沿って設けられており、バルブシート構成部211とバルブシート構成部211との間に開口する通路孔206から弁座部材109の径方向外方に延出して本体部140の外周面に抜けている。通路孔206は、通路溝225の底面に開口している。通路溝225は、すべての通路孔206に対して設けられている。通路溝225は、複数、具体的には四カ所、弁座部材109の径方向における位置を揃えて弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。
図2に示すように、通路孔206と、この通路孔206が開口する通路凹部205とが、弁座部材109に設けられる第2通路部152を形成している。弁座部材109には第2通路部152が複数、具体的には四カ所、弁座部材109の径方向における位置を揃えて弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。言い換えれば、弁座部材109には第2通路部152が複数同一円周上に等間隔で設けられている。
複数の第1通路部151および複数の第2通路部152が、弁座部材109に設けられて油液が流通する弁座部材通路部150を構成している。言い換えれば、弁座部材通路部150は、第1通路部151および第2通路部152を有し、第1通路部151および第2通路部152が、交互に複数同一円周上に等間隔で設けられている。
図3に示すように、弁座部材109には、外周部の軸方向中間位置に、径方向内方に凹む円環状のシール溝145が形成されている。このシール溝145内に、Oリング108が配置されている。弁座部材109は、内側シート部138およびバルブシート部139を、底部122とは反対側に向けた状態で、外周部においてキャップ部材101の筒状部124に嵌合されており、キャップ部材101内に設けられている。この状態で、Oリング108は、キャップ部材101の筒状部124と弁座部材109との隙間をシールする。
キャップ部材101、Oリング108および弁座部材109は、キャップ部材101の内側にキャップ室146を形成している。キャップ室146は、キャップ部材101の底部122と弁座部材109との間に設けられている。可撓ディスク100、複数枚のディスク102およびサブバルブ107は、このキャップ室146内に設けられている。
可撓ディスク100は、キャップ室146内のサブバルブ107とキャップ部材101の底部122との間に設けられている。可撓ディスク100は、ディスク突出部302が複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における外方で囲むようにキャップ部材101の底部122に全周にわたって常時当接する。また、可撓ディスク100は、内周側当接部303が複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における内方で囲むようにキャップ部材101の底部122に全周にわたって常時当接する。
したがって、この可撓ディスク100によって、キャップ室146は、可撓ディスク100よりもサブバルブ107側の中間室147と、可撓ディスク100よりも複数の通路孔126側の連通室149(体積室)とに区画されている。連通室149は、複数の通路孔126内の連通路148に常時連通している。中間室147は、可撓ディスク100によって連通路148との連通が遮断される。言い換えれば、キャップ室146内には、サブバルブ107とキャップ部材101の底部122との間に、連通路148を閉塞する撓み可能な可撓ディスク100が設けられている。さらに言い換えれば、可撓ディスク100とサブバルブ107との間には、可撓ディスク100によって連通路148との連通が遮断される中間室147が形成されている。
可撓ディスク100が撓むことによって、中間室147の容積が変化する。すなわち、可撓ディスク100が撓むことによって中間室147にアキュムレータの機能をもたせる。連通室149は、中間室147の容積の増大を吸収するために容積が減少して油液を排出したり、中間室147の容積の減少を吸収するために容積が増大して油液を流入させたりする。これにより、可撓ディスク100の変形が連通室149の油液によって阻害されることを抑制する。
図2に示すように、環状の弁座部材109および有底筒状のキャップ部材101は、上室19および下室20のうちの一方である下室20に配置されている。その際に、弁座部材109は、バルブシート部135がキャップ室146側に、バルブシート部139が下室20側に配置されている。弁座部材109は、キャップ室146の中間室147と下室20とを区画しており、中間室147および下室20の両方に臨んで設けられている。複数の通路溝225は下室20に臨んで設けられており、複数の第2通路部152は、複数の通路溝225内の通路を介して下室20に常時連通している。キャップ部材101の底部122に形成された連通路148は、上室19および下室20のうちの一方である下室20と常時連通する。
弁座部材109の第1通路部151に開口する通路溝221内の径方向通路222は、中間室147に常時連通しており、中間室147内と、弁座部材109の大径穴部133内の通路およびピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51とを常時連通している。よって、中間室147は、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109の大径穴部133内の通路、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51およびピストン18の大径穴部46内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン18の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とを介して、上室19に常時連通している。
図3に示すように、ディスク102は、内側シート部47の外径と同等の外径である。サブバルブ107は、ディスク状であって、図2に示すように、弁座部材109のバルブシート部135の外径と同等の外径となっており、内側シート部134に常時当接し、バルブシート部135に離着座可能となっている。サブバルブ107は、バルブシート部135の全体に着座することで、すべての第2通路部152を閉塞する。また、サブバルブ107は、図4Aに示すバルブシート部135のうちのいずれかのバルブシート構成部201の全体に着座することで、このバルブシート構成部201の内側の第2通路部152を閉塞する。
図2に示すように、バルブシート部135に離着座可能なサブバルブ107は、キャップ室146内に設けられており、キャップ室146内でバルブシート部135から離座することで、複数の第2通路部152と、キャップ室146の中間室147とを連通させ、下室20を上室19に連通させる。このとき、サブバルブ107は、バルブシート部135との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生する。サブバルブ107は、中間室147内へ下室20から、複数の第2通路部152を介して油液を流入させる際に開く流入バルブであり、中間室147から下室20への第2通路部152を介しての油液の流出を規制する逆止弁である。ここで、第1通路部151を構成する通路孔216は、図4Aに示すように、弁座部材109におけるバルブシート部135の範囲よりも外側に開口しているため、バルブシート部135に着座する図2に示すサブバルブ107とは無関係に中間室147に常時連通する。
複数の通路溝225内の通路と、複数の第2通路部152と、開弁時に出現するサブバルブ107およびバルブシート部135の間の通路と、中間室147と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109の大径穴部133内の通路、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51およびピストン18の大径穴部46内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン18の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とが、ピストン18の下室20側への移動によりシリンダ2内の上流側となる下室20から下流側となる上室19に油液が流れ出す第2通路172を構成している。第2通路172は、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程において上流側となる下室20から下流側となる上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路となる。
第2通路172は、ピストンロッド21を切り欠いて形成される通路切欠部30内のピストンロッド通路部51を含んでおり、言い換えれば、その一部がピストンロッド21を切り欠いて形成されている。ピストンロッド21を切り欠いて形成する以外にも、弁座部材109の大径穴部133内の通路に一端が開口し、ピストン18の大径穴部46内の通路に他端が開口するように、ピストンロッド21の内部を穴状に貫通してピストンロッド通路部51を形成しても良い。よって、第2通路172は、ピストンロッド21を切欠きまたは貫通して形成されるピストンロッド通路部51を有している。
サブバルブ107と、バルブシート部135と、複数枚のディスク102と、可撓ディスク100と、キャップ部材101とが、縮み側の第2通路172に設けられ、この第2通路172を開閉し、この第2通路172から上室19への油液の流動を抑制して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構173を構成している。言い換えれば、第2減衰力発生機構173は、そのバルブシート部135が弁座部材109に設けられている。縮み側の第2減衰力発生機構173を構成するサブバルブ107は、縮み側のサブバルブである。
第2通路172において、第2減衰力発生機構173が開状態にあるときに、ディスク82の切欠部90内の通路が、流路断面積が固定の部分の中で最も狭く、流路断面積がその上流側および下流側よりも狭くなって、第2通路172におけるオリフィス175となる。オリフィス175は、サブバルブ107が開弁して第2通路172で油液が流れる際の油液の流れのサブバルブ107よりも下流側に配置されている。オリフィス175は、第1減衰力発生機構41のうち、ピストン18に当接するディスク82を切り欠いて形成されている。
縮み側の第2減衰力発生機構173は、バルブシート部135およびこれに当接するサブバルブ107のいずれにも、これらが当接状態にあっても上室19と下室20とを連通させる固定オリフィスは形成されていない。すなわち、縮み側の第2減衰力発生機構173は、バルブシート部135とサブバルブ107とが全周にわたって当接状態にあれば、上室19と下室20とを連通させることはない。言い換えれば、第2通路172は、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは形成されておらず、上室19と下室20とを常時連通させる通路ではない。
上室19と下室20とを連通可能な縮み側の第2通路172は、同じく上室19と下室20とを連通可能な縮み側の通路である第1通路72と並列しており、第1通路72に第1減衰力発生機構42が、第2通路172に第2減衰力発生機構173がそれぞれ設けられている。よって、いずれも縮み側の第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構173は、並列に配置されている。
図3に示すように、サブバルブ110は、ディスク状であって、弁座部材109のバルブシート部139の外径と同等の外径となっており、内側シート部138に常時当接し、バルブシート部139に離着座可能となっている。サブバルブ110は、バルブシート部139の全体に着座することで、すべての第1通路部151を閉塞する。また、サブバルブ110は、図4Bに示すバルブシート部139のうちのいずれかのバルブシート構成部211の全体に着座することで、このバルブシート構成部211の内側の第1通路部151を閉塞する。図3に示すように、サブバルブ110は、サブバルブ107と同形状の共通部品にすることができる。ディスク111の外径は、サブバルブ110の外径よりも小径であって、内側シート部138の外径と同等となっている。
サブバルブ110は、下室20内に設けられており、バルブシート部139から離座することで、中間室147と下室20とを連通させる。このとき、サブバルブ110は、バルブシート部139との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生する。サブバルブ110は、中間室147内から油液を下室20に、弁座部材109の複数の第1通路部151を介して排出する際に開く排出バルブであり、下室20から中間室147内への第1通路部151を介しての油液の流入を規制する逆止弁である。ここで、図4Bに示すように、第2通路部152を構成する通路孔206は、弁座部材109におけるバルブシート部139の範囲よりも外側に開口しているため、図2に示すバルブシート部139に着座するサブバルブ110とは無関係に下室20に常時連通する。
ピストン18の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51、ピストン18の大径穴部46内の通路および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、中間室147と、弁座部材109の複数の第1通路部151と、開弁時に出現するサブバルブ110およびバルブシート部139の間の通路とが、ピストン18の上室19側への移動によりシリンダ2内の上流側となる上室19から下流側となる下室20に油液が流れ出す第2通路182を構成している。
第2通路182は、ピストン18の上室19側への移動、つまり伸び行程において上流側となる上室19から下流側となる下室20に向けて油液が流れ出す伸び側の通路となる。第2通路182は、ピストンロッド21を切り欠いて形成される通路切欠部30内のピストンロッド通路部51を含んでおり、言い換えれば、その一部がピストンロッド21を切り欠いて形成されている。
キャップ部材101と、サブバルブ110と、バルブシート部139と、ディスク111,113と、環状部材114とが、伸び側の第2通路182に設けられ、この第2通路182を開閉し、この第2通路182から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構183を構成している。言い換えれば、この第2減衰力発生機構183は、バルブシート部139が弁座部材109に設けられている。伸び側の第2減衰力発生機構183を構成するサブバルブ110は、伸び側のサブバルブである。
図3に示すように、下室20に連通する連通室149は、図2に示す第2通路172および図2,図3に示す第2通路182と並列に配置されている。そして、第2減衰力発生機構173,183は、この連通室149の体積を変更可能な体積可変機構185を有している。体積可変機構185は、可撓ディスク100とキャップ部材101の底部122と連通室149と連通路148とによって構成されている。可撓ディスク100は、底部122に近づくように変形し移動することで連通室149の体積を減らすように変更し、底部122から離れるように変形し移動することで連通室149の体積を増やすように変更する。
第2通路182において、第2減衰力発生機構183が開状態にあるときに、図2に示すディスク82の切欠部90内の通路が、流路断面積が固定の部分の中で最も狭く、流路断面積がその上流側および下流側よりも狭くなって第2通路182においてもオリフィス175となる。オリフィス175は、第2通路172,182に共通である。オリフィス175は、サブバルブ110が開弁して第2通路182で油液が流れる際の油液の流れのサブバルブ110よりも上流側に配置されている。なお、オリフィス175は、サブバルブ110が開弁して第2通路182で油液が流れる際の油液の流れのサブバルブ110よりも下流側に配置されていても良い。サブバルブ110と、上記したサブバルブ107とは独立して開閉する。
伸び側の第2減衰力発生機構183は、バルブシート部139およびこれに当接するサブバルブ110のいずれにも、これらが当接状態にあっても上室19と下室20とを連通させる固定オリフィスは形成されていない。すなわち、伸び側の第2減衰力発生機構183は、バルブシート部139とサブバルブ110とが全周にわたって当接状態にあれば、上室19と下室20とを連通させることはない。言い換えれば、第2通路182は、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは形成されておらず、上室19と下室20とを常時連通させる通路ではない。環状部材114は、ディスク113とによって、サブバルブ110の開方向への規定以上の変形をサブバルブ110に当接して規制する。
緩衝器1は、少なくともピストン18内で軸方向に油液を通過させる流れとしては、上室19と下室20とが、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183を介してのみ連通可能である。よって、緩衝器1は、少なくともピストン18内を軸方向に通過する油液の通路上には、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは設けられていない。緩衝器1は、モノチューブ式であるため、全体として上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは設けられていない。
上室19と下室20とを連通可能な伸び側の第2通路182は、同じく上室19と下室20とを連通可能な伸び側の通路である第1通路92と、上室19側の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を除いて並列しており、並列部分には、第1通路92に第1減衰力発生機構41が、第2通路182に第2減衰力発生機構183がそれぞれ設けられている。よって、いずれも伸び側の第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構183は、並列に配置されている。
第2減衰力発生機構173,183は、弁座部材109と、第2通路172,182のうちの弁座部材109に設けられる部分である弁座部材通路部150の一側に設けられるサブバルブ110および弁座部材通路部150の他側に設けられるサブバルブ107と、第2通路172,182におけるピストン18と弁座部材109との間に設けられる有底筒状のキャップ部材101と、を備えている。弁座部材109はキャップ部材101内に設けられており、サブバルブ110は、弁座部材109の下室20側に設けられ、サブバルブ107は、キャップ部材101の底部122と弁座部材109との間のキャップ室146内に設けられている。弁座部材109には、ピストンロッド通路部51と連通し、伸び側の第1通路部151に向けて径方向に延びる径方向通路222が設けられている。
ピストンロッド21にピストン18等を組み付ける場合、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、軸段部29に、環状部材69と、ディスク68と、ディスク67と、複数枚のディスク66と、複数枚のディスク65と、複数枚のディスク64と、ディスク63と、複数枚のディスク62と、ピストン18とが順に重ねられる。このとき、ピストン18は、小径穴部45が軸段部29側に位置する向きとされる。
加えて、取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、ピストン18に、ディスク82と、ディスク83と、ディスク84と、複数枚のディスク85と、ディスク86と、複数枚のディスク87と、複数枚のディスク88と、ディスク89と、キャップ部材101とが順に重ねられる。このとき、キャップ部材101は、底部122がピストン18側に位置する向きとされてディスク89に当接する。
さらに、取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、キャップ部材101の底部122に、可撓ディスク100と、複数枚のディスク102と、サブバルブ107と、Oリング108が装着された状態の弁座部材109とが順に重ねられる。このとき、可撓ディスク100は、図3に示すようにディスク突出部302が主体部301から底部122側に突出する向きとされ、ディスク突出部302において底部122に当接し、内周側当接部303においてディスク102に当接する。また、このとき、弁座部材109は、図2に示すように、内側シート部134およびバルブシート部135が、サブバルブ107側に位置する向きとされ、外周部およびOリング108をキャップ部材101の筒状部124に嵌合させる。
さらに、取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、弁座部材109に、サブバルブ110と、ディスク111と、ディスク113と、複数の環状部材114とが順に重ねられる。この状態で、環状部材114よりも突出するピストンロッド21のオネジ31にナット115を螺合させて、ナット115と軸段部29とで、これらの少なくとも内周側を軸方向にクランプする。
この状態で、メインバルブ71は、ディスク62,63を介してピストン18の内側シート部49とディスク67とに内周側がクランプされるとともに、ピストン18のバルブシート部50に全周にわたって当接する。また、この状態で、メインバルブ91は、ディスク82~84を介してピストン18の内側シート部47とディスク89とに内周側がクランプされるとともに、ピストン18のバルブシート部48に全周にわたって当接する。
また、この状態で、可撓ディスク100は、図3に示すように、弾性変形しつつ、ディスク突出部302において底部122に当接し、内周側当接部303がキャップ部材101の底部122とディスク102とにクランプされる。また、この状態で、サブバルブ107は、図2に示すように、弁座部材109の内側シート部134とディスク102とに内周側がクランプされるとともに、弁座部材109のバルブシート部135に全周にわたって当接する。また、この状態で、サブバルブ110は、弁座部材109の内側シート部138とディスク111とに内周側がクランプされるとともに、弁座部材109のバルブシート部139に全周にわたって当接する。
図3に示すように、可撓ディスク100は、ディスク突出部302において底部122に当接し、内周側当接部303がキャップ部材101の底部122とディスク102とにクランプされると、ディスク突出部302が、その高さ分のプリロードがかかった状態でキャップ部材101の底部122に全周にわたって当接することになる。なお、サブバルブ107は、開弁時に可撓ディスク100の方向へ撓むことになるが、サブバルブ107と可撓ディスク100との間には十分な隙間が設けてあり、サブバルブ107が、その最大リフト時においても可撓ディスク100には接触しないようになっている。
図2に示すように、いずれも伸び側の第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構183のうち、第1減衰力発生機構41のメインバルブ91は、第2減衰力発生機構183のサブバルブ110よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、伸び行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構41は閉弁した状態で第2減衰力発生機構183が開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構183がともに開弁することになる。サブバルブ110は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極微低速バルブである。
すなわち、伸び行程においては、ピストン18が上室19側に移動することで上室19の圧力が高くなり、下室20の圧力が低くなる。すると、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスはないものの、上室19の油液が、ピストン18の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、オリフィス175と、ピストン18の大径穴部46内の通路、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、を介して中間室147に流入する。これにより、中間室147が昇圧することになる。このため、図3に示す体積可変機構185は、可撓ディスク100の可撓部305が底部122側に撓んで中間室147の容量を大きくすることになって、中間室147の圧力の上昇を抑えることになる。このとき、可撓ディスク100が底部122側に撓んで移動することから、体積可変機構185は連通室149の体積を小さくする。
ここで、緩衝器1の低周波入力時(大振幅加振時)の伸び行程では、上記のような上室19から中間室147への油液の流入量が大となるため、可撓ディスク100が大きく変形してキャップ部材101の底部122に可撓部305において接触し、その接触面積が大きくなる。このように可撓ディスク100の底部122への接触面積が増えると、可撓ディスク100の撓み量に制限がかかることになり、ある程度以上の差圧付加により撓まなくなる。このように、可撓ディスク100が撓み切ることで、中間室147の容量増加がなくなる。すると、可撓ディスク100および連通路148がない状態と同じ状態となって第2減衰力発生機構183が開弁する状態まで昇圧する。
このとき、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスがないことから、図5に実線で示すように、ピストン速度が、第2減衰力発生機構183が開弁する第1所定値v1未満での伸び行程においては、減衰力が急激に立ち上がる。また、ピストン速度が、第1所定値v1よりも高速の領域であって、第1所定値よりも高速の第2所定値v2よりも低速の極微低速領域(v1以上v2未満)では、第1減衰力発生機構41は閉弁した状態で第2減衰力発生機構183が開弁する。
つまり、サブバルブ110がバルブシート部139から離座して、伸び側の第2通路182で上室19と下室20とを連通させる。よって、上室19の油液が、ピストン18の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、オリフィス175と、ピストン18の大径穴部46内の通路、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、中間室147と、弁座部材109内の第1通路部151と、サブバルブ110およびバルブシート部139の間の通路とを介して下室20に流れる。これにより、ピストン速度が第2所定値よりも低速の極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、伸び行程において、ピストン速度が第2所定値v2以上の通常速度領域では、第2減衰力発生機構183が開弁した状態のまま、第1減衰力発生機構41が開弁する。つまり、サブバルブ110がバルブシート部139から離座して、伸び側の第2通路182で上室19から下室20に油液を流すことになるが、このとき、第2通路182においてメインバルブ91よりも下流側に設けられたオリフィス175で油液の流れが絞られることにより、メインバルブ91に加わる圧力が高くなって差圧が高まり、メインバルブ91がバルブシート部48から離座して、伸び側の第1通路92で上室19から下室20に油液を流す。よって、上室19の油液が、複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、メインバルブ91およびバルブシート部48の間の通路とを介して下室20に流れる。
これにより、ピストン速度が第2所定値v2以上の通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。通常速度領域におけるピストン速度の増加に対する伸び側の減衰力の増加率は、極微低速領域におけるピストン速度の増加に対する伸び側の減衰力の増加率よりも低くなる。言い換えれば、通常速度領域におけるピストン速度の上昇に対する伸び側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域よりも寝かせることができる。
ここで、伸び行程において、ピストン速度が第2所定値v2以上の通常速度領域では、上室19と下室20との差圧は、第1所定値v1以上第2所定値v2未満の低速領域よりも大きくなるが、第1通路92はオリフィスによる絞りがないため、メインバルブ91が開弁することで油液を第1通路92を介して大流量で流すことができる。これと、第2通路182をオリフィス175で絞ることとにより、サブバルブ110の変形を抑制することができる。
また、このとき、閉状態のサブバルブ107には下室20と中間室147とから反対向きの圧力が加わることになる。上室19と下室20との差圧が大きくなっても、第2通路182においてサブバルブ107よりも上流側にオリフィス175が形成されているため、中間室147の圧力上昇が上室19の圧力上昇に対して緩やかになり、中間室147と下室20との圧力差が大きくなることを抑制する。よって、閉状態のサブバルブ107が受ける中間室147と下室20との圧力差が大きくなることを抑制でき、サブバルブ107に中間室147側から下室20側に向けた大きな背圧が加わることを抑制できる。
緩衝器1は、伸び行程で上室19から下室20に油液を流す流路を第1通路92と第2通路182との並列で設け、メインバルブ91とサブバルブ110とを並列で設けている。また、オリフィス175はサブバルブ110と直列に接続されている。
以上のように、伸び行程において、ピストン速度が第2所定値v2以上の通常速度領域では、メインバルブ91が開弁することで油液を第1通路92を介して大流量で流すことができる。これにより、サブバルブ110およびバルブシート部139の間の通路を流れる流量が小さくなる。よって、例えば、ピストン速度が通常速度領域(v2以上)でのピストン速度の上昇に対する減衰力の増加率を下げること等ができる。言い換えれば、通常速度領域(v2以上)におけるピストン速度の上昇に対する伸び側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域(v2未満)よりも寝かせることができる。これにより、設計自由度を拡大することができる。
上記した低周波入力時よりも高い周波数が緩衝器1に入力される高周波入力時(小振幅加振時)の伸び行程では、上室19から中間室147への油液の流入量が小さい。このため、可撓ディスク100の変形は小さく、体積可変機構185は、可撓ディスク100の撓み量で、中間室147への油液の流入のボリュームを吸収できることになって、中間室147の昇圧が小さくなる。このため、極微低速減衰力の立ち上がり時には、あたかも、可撓ディスク100がなく、中間室147がキャップ部材101の連通路148で下室20に常時連通する状態、すなわち第2減衰力発生機構183がない構造と同じ状態にすることが可能となる。
よって、図5に実線で示す低周波入力時の減衰力特性に対して、図5に二点鎖線で示すように極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになる。また、極微低速領域(v2未満)では、可撓ディスク100が撓むことで中間室147への油液の流入のボリュームを大きくしつつ第2減衰力発生機構183が開弁するため、同じピストン速度に対する極微低速減衰力が、可撓ディスク100が撓み切って中間室147への油液の流入のボリュームが変わらない低周波入力時よりも下がった特性となる。言い換えれば、ピストン18の周波数が所定周波数を超えると、可撓ディスク100を含む体積可変機構185により、第2減衰力発生機構183のサブバルブ110への油液の流量を制限する。なお、可撓ディスク100の剛性(板厚など)の違いにより、第2減衰力発生機構183の開弁までの減衰力変化(ピストン速度に対する減衰力の傾き)を調整できる。
図2に示すように、いずれも縮み側の第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構173のうち、第1減衰力発生機構42のメインバルブ71は、第2減衰力発生機構173のサブバルブ107よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、縮み行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構42は閉弁した状態で第2減衰力発生機構173が開弁し、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構173がともに開弁することになる。サブバルブ107は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極微低速バルブである。
すなわち、縮み行程においては、ピストン18が下室20側に移動することで下室20の圧力が高くなり、上室19の圧力が低くなる。すると、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも下室20と上室19とを常時連通させる固定オリフィスがないため、第2減衰力発生機構173が開弁するまで、油液は流れない。このため、減衰力は急激に立ち上がる。ピストン速度が、第2減衰力発生機構173が開弁する第3所定値よりも高速の領域であって、第3所定値よりも高速の第4所定値よりも低速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構42は閉弁した状態で第2減衰力発生機構173が開弁する。
つまり、サブバルブ107がバルブシート部135から離座して、縮み側の第2通路172で下室20と上室19とを連通させる。これにより、下室20の油液が、弁座部材109の通路溝225内の通路および第2通路部152と、サブバルブ107およびバルブシート部135の間の通路と、中間室147と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109の大径穴部133内の通路、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51およびピストン18の大径穴部46内の通路と、オリフィス175と、ピストン18の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とを介して上室19に流れる。これにより、ピストン速度が第4所定値よりも低速の極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、縮み行程において、ピストン速度が上記第4所定値以上の通常速度領域では、第2減衰力発生機構173が開弁した状態のまま、第1減衰力発生機構42が開弁する。つまり、サブバルブ107がバルブシート部135から離座して、縮み側の第2通路172で下室20から上室19に油液を流すことになるが、このとき、第2通路172はオリフィス175で油液の流量が絞られていることから、第1通路72に設けられたメインバルブ71に生じる差圧が大きくなり、メインバルブ71がバルブシート部50から離座して、縮み側の第1通路72で下室20から上室19に油液を流す。よって、下室20の油液が、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路と、メインバルブ71およびバルブシート部50の間の通路とを介して流れる。
これにより、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。通常速度領域におけるピストン速度の増加に対する縮み側の減衰力の増加率は、極微低速領域におけるピストン速度の増加に対する縮み側の減衰力の増加率よりも低くなる。言い換えれば、通常速度領域におけるピストン速度の上昇に対する縮み側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域よりも寝かせることができる。
縮み行程において、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域では、下室20と上室19との差圧は低速領域よりも大きくなるが、第1通路72はオリフィスによる絞りがないため、メインバルブ71が開弁することで油液を第1通路72を介して大流量で流すことができる。よって、ピストン速度が通常速度領域での減衰力を下げること等ができ、設計自由度を拡大することができる。
また、このとき(ピストン速度が速い場合)、下室20と上室19との差圧は大きくなるものの、第2通路172をオリフィス175で絞ることにより、上室19にオリフィス175を介して連通する中間室147内の圧力は、下室20と上室19との間の圧力となるので、下室20との差圧が大きくなり過ぎることを抑制できる。これと、メインバルブ71が開弁することで油液を第1通路72を介して大流量で流すことができることとによって、サブバルブ107の変形を抑制することができる。
また、このとき、閉状態のサブバルブ110には下室20と中間室147とから反対向きの圧力が加わることになるが、下室20と上室19との差圧は大きいものの、下室20と中間室147とは、サブバルブ107が開くことで連通しており、サブバルブ110の下流側となる中間室147と上室19との間にオリフィス175が設けられているため、中間室147内の圧力が低下し過ぎることを抑制でき、下室20の圧力上昇に合わせて中間室147の圧力も上昇させることができる。よって、サブバルブ110の上流側と下流側の面に生じる差圧が小さく、サブバルブ110に下室20側から中間室147側に向けた大きな背圧が加わることを抑制できる。
以上の緩衝器1は、縮み行程で下室20から上室19に油液を流す流路を第1通路72と第2通路172との並列で設け、メインバルブ71とサブバルブ107とを並列で設けている。また、オリフィス175は、第2通路172においてサブバルブ107と直列に接続されている。
なお、縮み行程においては、下室20の圧力が上昇すると、連通路148および連通室149の圧力も上昇することになるが、連通路148および連通室149の圧力によって可撓ディスク100が変形する前に、第2減衰力発生機構173が開弁する設定となっている。よって、縮み行程において、可撓ディスク100が連通室149を中間室147に連通させてしまうこともない。
以上に述べたように、緩衝器1は、伸び行程において、ピストン速度が第2所定値v2以上の通常速度領域では上室19と下室20との差圧が大きくなるが、サブバルブ107よりも上流側に形成されたオリフィス175で中間室147の圧力上昇を抑えることができるため、サブバルブ107の背圧による変形を抑制することができる。また、縮み行程において、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域では下室20と上室19との差圧は低速領域よりも大きくなるが、第1通路72で油液を大流量で流すことと、第2通路172のサブバルブ107よりも下流側をオリフィス175で絞ることとにより、サブバルブ107の変形を抑制することができる。よって、サブバルブ107の耐久性を向上させることができる。
また、緩衝器1は、伸び行程において、ピストン速度が第2所定値v2以上の通常速度領域では上室19と下室20との差圧は低速領域よりも大きくなるが、第1通路92で油液を大流量で流すことと、第2通路182をオリフィス175で絞ることとにより、サブバルブ110の変形を抑制することができる。また、縮み行程において、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域では下室20と上室19との差圧が大きくなるが、サブバルブ107の開弁で下室20と中間室147とは連通しており、しかも中間室147は上室19との間に設けられたオリフィス175で上室19への油液の流れが絞られる。このため、下室20と中間室147との差圧は小さく、サブバルブ110の背圧による変形を抑制することができる。よって、サブバルブ110の耐久性を向上させることができる。
また、緩衝器1は、縮み行程および伸び行程で独立した第2減衰力発生機構173,183を有するため、減衰力特性の設定の自由度が高くなる。
上記した特許文献1には、同一行程で開弁するバルブを2つ有する緩衝器が記載されている。このように同一行程で開弁するバルブを2つ有する構造を採用することで、一方のバルブを他方のバルブよりもピストン速度が低速の領域で開弁させ、これよりも高速の領域では両方のバルブを開弁させることができる。このような構造の緩衝器において、特に、微操舵入力時の応答性改善や良路乗り心地のフラット感改善等のため、極微低速領域での低周波入力時に減衰力を出す設定にすると、高周波入力時において異音が発生する可能性がある。
第1実施形態の緩衝器1は、ピストン18の移動により油液が流れ出す第1通路92および第2通路182と、第1通路92に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構41と、第2通路182に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構183と、を有している。第2減衰力発生機構183は、第2通路182の一側に設けられるサブバルブ110と、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を変更する体積可変機構185と、を有する。これにより、体積可変機構185によって、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を変更することが可能となる。よって、第2通路182を流れる油液の流量を変更することが可能となる。したがって、異音の発生を抑制することが可能となる。
また、体積可変機構185は、連通室149と、移動して連通室149の体積を変更する可撓ディスク100と、を有する。このため、体積可変機構185を簡素な構成にできる。
また、ピストン18の周波数が所定周波数を超えると、体積可変機構185により、サブバルブ110への油液の流量を制限する。このため、特に高周波入力時において異音の発生を抑制することが可能となる。
また、第1通路92と第2通路182とは、並列に接続されている。このため、第2通路182に流れる油液の流量を抑えることができる。よって、サブバルブ110の変形を抑制することができる。
第1実施形態の緩衝器1は、第1減衰力発生機構41,42が設けられるピストン18の第1通路72,92とは並列の第2通路172,182の第2減衰力発生機構173,183のサブバルブ110およびサブバルブ107を、下室20に配置される弁座部材109に設ける。それとともに、第2通路172,182におけるピストン18と弁座部材109との間に有底筒状のキャップ部材101を、その内側に弁座部材109を配置して設ける。このとき、サブバルブ110を下室20側に、サブバルブ107をキャップ部材101の底部122と弁座部材109との間のキャップ室146内に設ける。そして、キャップ部材101の底部122に、下室20と連通する連通路148を形成するとともに、キャップ室146内の第2サブバルブ107とキャップ部材101の底部122との間に、連通路148を閉塞する撓み可能な可撓ディスク100を設けている。これにより、可撓ディスク100と第2サブバルブ107との間に、可撓ディスク100によって連通路148との連通が遮断される中間室147を形成することができる。この中間室147は、第2通路172,182を構成するとともに、可撓ディスク100が撓むことで容量が可変となる。
この構成により、緩衝器1の低周波入力時の伸び行程では、上室19から中間室147への油液の流入量が大きいため、可撓ディスク100が撓み切って、その後の中間室147の容量増加がなくなる。その結果、図5に実線で示すように、ピストン速度が第1所定値v1未満での伸び行程において減衰力を急激に立ち上げることができる。他方、異音が発生し易い緩衝器1の高周波入力時の伸び行程では、上室19から中間室147への油液の流入量は小さいため、可撓ディスク100の撓みで中間室147への油液の流入のボリュームを吸収することができる。その結果、中間室147がキャップ部材101の連通路148で下室20に常時連通する状態と同様の状態にすることができる。これにより、図5に実線で示す低周波入力時の減衰力特性に対して、図5に二点鎖線で示すように極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになり、第2減衰力発生機構183の開弁時の減衰力の変化が滑らかになって、極微低速領域(v2未満)では、同じピストン速度に対する極微低速減衰力が低周波入力時よりも下がった特性となる。言い換えれば、第2減衰力発生機構183に周波数依存性の機能をもたせることができる。
このように、緩衝器1は、微操舵入力時の応答性改善や良路乗り心地のフラット感改善等のため極微低速でも減衰力が必要とされる低周波入力に対しては、しっかり極微低速でも減衰力を発生しつつ、異音を発生し易い高周波入力に対しては、極微低速での減衰力を弱め、かつ第2減衰力発生機構183の開弁時の減衰力の変化を滑らかにすることで、異音を抑制する。したがって、極微低速での所望の減衰性能と異音抑制とを両立させることが可能となる。
ここで、第1実施形態の緩衝器1の異音抑制の効果を検証するために、異音の発生と相関するロッド加速度を解析した。すなわち、所定特性のバネ機構の一端を位置固定とし他端に緩衝器1のピストンロッド21を連結するとともに、シリンダ2を振動源に連結して、振動源でシリンダ2を所定の正弦波で振動させた場合に生じるピストンロッド21の加速度であるロッド加速度および緩衝器1の減衰力を解析した。また、比較のため、緩衝器1に対し、キャップ部材101の底部122に連通路148がなく、キャップ室146内に可撓ディスク100が設けられていない構成の比較例の緩衝器についても同様の解析を行った。その解析結果を図6に示す。
図6は、特に異音が発生し易い、図6に二点鎖線で示す減衰力がマイナスからプラスに転じる縮み行程から伸び行程への行程反転時の特性を示している。この図6から明らかなように、図6に実線で示す第1実施形態の緩衝器1のロッド加速度は、図6に破線で示す比較例のロッド加速度に比べて、プラス側のピーク値が矢印Y1で示すように0に近くなり、マイナス側のピーク値が矢印Y2で示すように0に近くなっている。これにより、ロッド加速度に相関する異音を抑制する効果が得られることがわかる。
第1実施形態の緩衝器1は、可撓ディスク100に、キャップ部材101の底部122に常時当接するディスク突出部302が一体的に形成されているため、部品点数の増大および組み付け工数の増大を抑制することができる。また、可撓ディスク100をプレス成形で製造することができるため、部品コストを低減することができる。
また、第2通路182のサブバルブ110が開弁する伸び行程時の流れの上流側にオリフィス175を配置する。これにより、縮み行程時に下室20からサブバルブ107を開いて中間室147内に流れ、上室19へ流れる油液の流れをオリフィス175が絞ることになる。このため、中間室147と下室20との差圧が小さくなり、下室20から背圧を受ける閉状態のサブバルブ110が、中間室147から下室20と同等の圧力を受けることになって、受ける背圧(差圧)が抑制されることになる。よって、サブバルブ110の耐久性を向上させることができる。
また、弁座部材通路部150は、伸び側の第1通路部151および縮み側の第2通路部152を有し、伸び側の第1通路部151および縮み側の第2通路部152は、交互に複数同一円周上に設けられている。このため、伸び側のバルブシート部139を、第1通路部151をそれぞれ囲んで形成される複数のバルブシート構成部211で形成することができ、縮み側のバルブシート部135を、第2通路部152をそれぞれ囲んで形成される複数のバルブシート構成部201で形成することができる。したがって、サブバルブ110とバルブシート部139とを含む伸び側の第2減衰力発生機構183の開弁時の急な開弁および油圧変動を抑制して減衰力特性を滑らかに変化させることができる。
すなわち、図5に実線で示すように、ピストン速度が、第1所定値v1未満での伸び行程において、減衰力が急激に立ち上がった後、ピストン速度が、第2減衰力発生機構183が開弁する第1所定値v1よりも高速の極微低速領域(v1以上v2未満)に移行する際の減衰力特性を滑らかに変化させることができる。ここで、図5に示す破線は、一つの円環状のバルブシート部にサブバルブ110を離着座させる場合の減衰力特性であるが、これと比較して第1実施形態の緩衝器1の減衰力特性が滑らかに変化することがわかる。
バルブシート部139と同形状のバルブシート部135と、サブバルブ107とを含む縮み側の第2減衰力発生機構173についても、同様であり、開弁時の減衰力特性を滑らかに変化させることができる。
しかも、伸び側の第1通路部151および縮み側の第2通路部152は、交互に複数同一円周上に設けられているため、サブバルブ107,110の径を共に大きくできることになり、伸縮両行程においてバルブ剛性を低くし、油圧変動を抑制して減衰力特性を滑らかに変化させることができる。
ここで、極微低速領域の減衰力のつながりが滑らかでない、言い換えれば減衰係数が不連続になると、同一車線内でゆっくりステアリングを切るような微舵操作に対して、非線形感を与えてしまうことになる。また、減衰力の急激な変化は、乗り心地に硬さを感じて不快に感じる可能性がある。これに対し、第1実施形態の緩衝器1は、極微低速領域での減衰力アップを図った上で、操縦安定性および乗り心地の低下を抑制することができる。また、油圧変動を抑制することができるため、異音の発生を抑制することもできる。
また、ピストン18、キャップ部材101および弁座部材109に、ピストンロッド21が挿入される構造であるため、ピストン18、キャップ部材101および弁座部材109をコンパクトに配置することができる。
第2通路172,182は、それぞれの一部がピストンロッド21を切り欠いてまたは貫通して形成されているため、第2通路172,182を容易に形成することができる。
弁座部材109に、ピストンロッド通路部51と連通し、伸び側の第1通路部151に向けて径方向に延びる径方向通路222が形成されているため、簡素な構造でピストンロッド通路部51と伸び側の第1通路部151とを連通させることができる。
オリフィス175が、伸び側の第1減衰力発生機構41のうち、ピストン18に当接するディスク82を切り欠いて形成されているため、オリフィス175を容易に形成することができる。
中間室147と下室20の差圧が、伸縮両行程において、大きくならないので、キャップ部材101として薄板のプレス部品を用いることが可能となる。よって、製造性、軽量化の面で有利である。
以上の第1実施形態は、第2減衰力発生機構173,183を上室19および下室20のうちの一方である下室20側に設けたが、上室19側に設けることも可能である。その場合、例えば、上記したキャップ部材101と、可撓ディスク100と、複数枚のディスク102と、サブバルブ107と、Oリング108が装着された弁座部材109と、サブバルブ110と、ディスク111と、ディスク113とを、並び順はそのまま、軸方向に反転させて、環状部材69とディスク68との間に配置する。よって、これらのうちのディスク113が環状部材69に、キャップ部材101がディスク68に当接することになる。また、ディスク89が環状部材114に当接することになる。
また、その場合、複数枚のディスク62と、切欠部90を有するディスク82とを入れ替えて切欠部90内の通路を縮み側の環状溝56内の通路に連通させる。加えて、ピストン18の大径穴部46を、切欠部90に隣り合って対向するように内側シート部49側に形成し、ピストンロッド通路部51が、ディスク82の切欠部90の通路およびピストン18の大径穴部46内の通路と、弁座部材109の大径穴部133内の通路とを連通させるように通路切欠部30を形成する。
このように構成すると、第2減衰力発生機構173が伸び側の第2減衰力発生機構となり、第2減衰力発生機構183が縮み側の第2減衰力発生機構となる。そして、第1通路部151が縮み側の通路部となり、弁座部材109の径方向通路222は、ピストンロッド通路部51と連通し、縮み側の第1通路部151に向けて径方向に延びることになる。その結果、縮み行程において、極微低速での所望の減衰性能と異音抑制とを両立させることが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態の緩衝器1Aにおいては、図7に示すように、第1実施形態のディスク突出部302を有する可撓ディスク100にかえて、可撓ディスク100A(可撓部材,移動部材)と、段差調整シム321とが設けられている。
可撓ディスク100Aは、緩衝器1Aに組み付けられる前の自然状態にあるとき、一定厚さの有孔円形平板状をなすプレーンディスク(突起のない平面ディスク)であり、内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能となっている。可撓ディスク100Aは、内周面と外周面とが同軸状に配置されており、軸対称形状である。可撓ディスク100Aは、内周部に取付軸部28を嵌合させることで、ピストンロッド21に対し径方向に位置決めされて同軸状に配置される。可撓ディスク100Aには、第1実施形態のディスク突出部302は形成されていない。可撓ディスク100Aも一定厚さの一枚の板材からプレス成形により形成されている。
段差調整シム321は、一定厚さの有孔円形平板状をなしており、内周面と外周面とがいずれも円筒面であり、同軸状に配置されている。段差調整シム321は、軸対称形状である。段差調整シム321も一定厚さの一枚の板材からプレス成形により形成されている。段差調整シム321は、可撓ディスク100Aとは別体で形成されている。
段差調整シム321は、その内径が、ディスク102の外径よりも大きく、複数の通路孔126の底部122の中心からの最大距離の2倍よりも大きくなっている。また、段差調整シム321は、その外径が、キャップ部材101の中間テーパ部123の最小内径と同等になっている。
段差調整シム321は、キャップ部材101の底部122に載置されることになり、その際に中間テーパ部123によってキャップ部材101に対し径方向に位置決めされて、キャップ部材101と同軸状に配置される。段差調整シム321は、複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における外方で囲むように配置されて底部122に全周にわたって当接する。段差調整シム321は、底部122に載置されると、底部122とは反対側の面がキャップ部材101の軸線直交方向に広がる平面となる。
可撓ディスク100Aおよび段差調整シム321は、キャップ部材101内に収容されることになり、その際に、段差調整シム321は、可撓ディスク100Aとキャップ部材101の底部122との間に配置される。可撓ディスク100Aは、緩衝器1Aに組み込まれた状態で、その内周側が、ディスク102と底部122とに挟持されることになり、その外周側が段差調整シム321に全周にわたって当接する。これにより、可撓ディスク100Aは、径方向外側ほど底部122から軸方向に離れるようにテーパ状に弾性変形する。
可撓ディスク100Aは、内周部のディスク102と重なり合う部分が、キャップ部材101の底部122とディスク102とに全周にわたって常時当接する内周側当接部303Aとなっている。内周側当接部303Aの外径は、複数の通路孔126の底部122の中心からの最小距離の2倍よりも小さくなっている。これにより、可撓ディスク100Aは、内周側当接部303Aが、複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における内方で囲むように配置されて底部122に全周にわたって当接している。
可撓ディスク100Aは、内周側当接部303Aと、外周縁部306Aと、これらの間の可撓部305Aと、を有している。可撓ディスク100Aの外周縁部306Aは、段差調整シム321の内径よりも大径の外径であり、キャップ部材101の中間テーパ部123の最小内径よりも小径の外径となっている。可撓ディスク100Aは、外周縁部306Aにおいて段差調整シム321に全周にわたって当接することになり、可撓部305Aと外周縁部306Aとが、径方向外側ほど底部122から軸方向に離れるようにテーパ状に弾性変形する。可撓ディスク100Aは、可撓部305Aが底部122に近づいたり、元の状態に戻ったりするように変形する。
可撓ディスク100A、段差調整シム321、複数枚のディスク102およびサブバルブ107が、キャップ室146内に設けられている。可撓ディスク100Aは、キャップ室146内のサブバルブ107とキャップ部材101の底部122との間に設けられている。可撓ディスク100Aは、複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における外方で囲むように設けられた段差調整シム321に全周にわたって常時当接する。また、可撓ディスク100Aは、内周側当接部303Aが複数の通路孔126の全体を、底部122の径方向における内方で囲むようにキャップ部材101の底部122に全周にわたって常時当接する。
可撓ディスク100Aおよび段差調整シム321によって、キャップ室146は、サブバルブ107側の中間室147と、複数の通路孔126内の連通路148に連通する連通室149とに区画されている。中間室147は、可撓ディスク100Aによって連通路148との連通が遮断される。言い換えれば、キャップ室146内には、サブバルブ107とキャップ部材101の底部122との間に、連通路148を閉塞する撓み可能な可撓ディスク100Aが設けられている。さらに言い換えれば、可撓ディスク100Aとサブバルブ107との間には、可撓ディスク100Aによって連通路148との連通が遮断される中間室147が形成されている。可撓ディスク100Aの可撓部305Aが撓むことによって、中間室147の容積が変化する。
第2実施形態は、体積可変機構185とは一部異なる体積可変機構185Aを有する。第2実施形態の体積可変機構185Aは、可撓ディスク100Aと段差調整シム321とキャップ部材101の底部122と連通室149と連通路148とによって構成されている。第2実施形態においても、可撓ディスク100Aは、底部122に近づくように変形し移動することで、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を減らすように変更し、底部122から離れるように変形し移動することで、連通室149の体積を増やすように変更する。
ピストンロッド21にピストン18等を組み付ける場合、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、軸段部29に、環状部材69と、ディスク68と、ディスク67と、複数枚のディスク66と、複数枚のディスク65と、複数枚のディスク64と、ディスク63と、複数枚のディスク62と、ピストン18と、ディスク82と、ディスク83と、ディスク84と、複数枚のディスク85と、ディスク86と、複数枚のディスク87と、複数枚のディスク88と、ディスク89と、キャップ部材101とが、第1実施形態と同様にして順に重ねられる。
さらに、取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、キャップ部材101の底部122に、段差調整シム321と、可撓ディスク100Aと、複数枚のディスク102とが順に重ねられる。
さらに、取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、複数枚のディスク102に、サブバルブ107と、Oリング108が装着された状態の弁座部材109と、サブバルブ110と、ディスク111と、ディスク113と、複数の環状部材114とが、第1実施形態と同様にして順に重ねられる。この状態で、環状部材114よりも突出するピストンロッド21のオネジ31にナット115を螺合させて、ナット115と軸段部29とで、これらのうち段差調整シム321を除いて、少なくとも内周側を軸方向にクランプする。
この状態で、可撓ディスク100Aは、弾性変形しつつ、外周縁部306Aにおいて段差調整シム321に当接し、段差調整シム321をキャップ部材101の底部122に押し付ける。また、この状態で、可撓ディスク100Aは、内周側当接部303Aがキャップ部材101の底部122とディスク102とにクランプされる。
可撓ディスク100Aは、外周縁部306Aにおいて段差調整シム321に当接し、内周側当接部303Aがキャップ部材101の底部122とディスク102とにクランプされると、段差調整シム321の高さ分のプリロードがかかった状態で段差調整シム321に全周にわたって当接することになり、段差調整シム321を全周にわたって底部122に当接させる。なお、第1実施形態と同様、サブバルブ107の最大リフト時においても、サブバルブ107が可撓ディスク100Aには接触しないようになっている。
第2実施形態の緩衝器1Aは、第2通路182の一側に設けられるサブバルブ110と、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を変更する体積可変機構185Aと、を有する。これにより、体積可変機構185Aによって、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を変更することが可能となる。よって、第1実施形態と同様、第2通路182を流れる油液の流量を変更することが可能となる。したがって、異音の発生を抑制することが可能となる。
第2実施形態の緩衝器1Aは、可撓ディスク100Aと第2サブバルブ107との間に、可撓ディスク100Aおよび段差調整シム321によって連通路148との連通が遮断される中間室147を形成し、この中間室147の容量を可撓ディスク100Aが撓むことで可変とする。これにより、第1実施形態と同様、極微低速での所望の減衰性能と異音抑制とを両立させることが可能となる。
また、第2実施形態の緩衝器1Aは、可撓ディスク100Aおよびキャップ部材101とは別体の段差調整シム321を用いているため、段差調整シム321を厚さの異なる複数のものから選択して用いることで、可撓ディスク100Aのプリロードを容易に調整することができる。
以上の第2実施形態は、第2減衰力発生機構173,183を上室19および下室20のうちの一方である下室20側に設けたが、上室19側に設けることも可能である。その場合、例えば、上記したキャップ部材101と、段差調整シム321と、可撓ディスク100Aと、複数枚のディスク102と、サブバルブ107と、Oリング108が装着された弁座部材109と、サブバルブ110と、ディスク111と、ディスク113とを、並び順はそのまま、軸方向に反転させて、環状部材69(図2参照)とディスク68(図2参照)との間に配置することになる。それ以外は、第1実施形態において述べた、第2減衰力発生機構173,183を上室19に設ける場合と同様の変更を行うことになる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図8に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態の緩衝器1Bにおいては、図8に示すように、第2実施形態の段差調整シム321を有していない。第3実施形態の緩衝器1Bにおいては、第1,第2実施形態のキャップ部材101にかえて、これとは一部異なるキャップ部材101Bが設けられている。
キャップ部材101Bは、底部122Bが第1実施形態の底部122とは異なっている。底部122Bは、第1実施形態の底部122と同様の有孔円板状の一定厚さの底部本体331と、底部本体331の外周縁部から、中間テーパ部123の径方向内側において軸方向に、中間テーパ部123と同側に突出する円環状のキャップ突出部321B(キャップ部材側突出部)と、を有している。キャップ突出部321Bは外周側が中間テーパ部123に繋がっている。キャップ部材101Bも、底部本体331およびキャップ突出部321Bからなる底部122Bと中間テーパ部123と筒状部124とを含んでの一体成形品であり、例えば金属板の塑性加工や切削加工により一体的に形成されている。
底部122Bは、第2実施形態の底部122と同様の底部本体331に、第2実施形態では別体であった段差調整シム321を、キャップ突出部321Bとして一体に形成した形状である。キャップ突出部321Bの内周面は円筒面であり、キャップ突出部321Bの軸方向の底部本体331とは反対側はキャップ部材101Bの軸直交方向に広がる平面となっている。底部122Bには、底部本体331のキャップ突出部321Bよりも径方向内側に、底部本体331を底部本体331の軸方向に貫通する第1,第2実施形態と同様の複数の通路孔126が形成されている。
可撓ディスク100Aは、緩衝器1Bに組み込まれた状態で、その内周側の内周側当接部303Aが、ディスク102と底部本体331とに挟持されることになり、その外周側の外周縁部306Aがキャップ部材101Bのキャップ突出部321Bに全周にわたって当接する。これにより、可撓ディスク100Aは、可撓部305Aおよび外周縁部306Aが、径方向外側ほど底部本体331から軸方向に離れるようにテーパ状に弾性変形する。
可撓ディスク100Aは、キャップ突出部321Bに全周にわたって当接することにより、キャップ室146を中間室147と連通室149とに区画する。可撓ディスク100Aの可撓部305Aが撓むことによって、中間室147の容積が変化する。
第3実施形態は、体積可変機構185Aとは一部異なる体積可変機構185Bを有する。体積可変機構185Bは、可撓ディスク100Aとキャップ部材101Bの底部122Bと連通室149と連通路148とによって構成されている。体積可変機構185Bにおいても、可撓ディスク100Aは、底部122Bの底部本体331に近づくように変形し移動することで、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を減らすように変更し、底部122の底部本体331から離れるように変形し移動することで、連通室149の体積を増やすように変更する。
ピストンロッド21にピストン18等を組み付ける場合、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、軸段部29に、環状部材69と、ディスク68と、ディスク67と、複数枚のディスク66と、複数枚のディスク65と、複数枚のディスク64と、ディスク63と、複数枚のディスク62と、ピストン18と、ディスク82と、ディスク83と、ディスク84と、複数枚のディスク85と、ディスク86と、複数枚のディスク87と、複数枚のディスク88と、ディスク89とが、第1,第2実施形態と同様にして順に重ねられる。
また、取付軸部28を挿通させながら、ディスク89に、底部122Bをピストン18側に向けた状態のキャップ部材101Bと、可撓ディスク100Aと、複数枚のディスク102とが順に重ねられる。
さらに、取付軸部28をそれぞれ挿通させながら、複数枚のディスク102に、サブバルブ107と、Oリング108が装着された状態の弁座部材109と、サブバルブ110と、ディスク111と、ディスク113と、複数の環状部材114とが、第1,第2実施形態と同様にして順に重ねられる。この状態で、環状部材114よりも突出するピストンロッド21のオネジ31にナット115を螺合させて、ナット115と軸段部29とで、これらの少なくとも内周側を軸方向にクランプする。
この状態で、可撓ディスク100Aは、外周縁部306Aにおいてキャップ部材101Bのキャップ突出部321Bに当接する。また、この状態で、可撓ディスク100Aは、内周側当接部303Aがキャップ部材101Bの底部本体331とディスク102とにクランプされる。
可撓ディスク100Aは、外周縁部306Aにおいてキャップ部材101Bのキャップ突出部321Bに当接し、内周側当接部303Aがキャップ部材101Bの底部本体331とディスク102とにクランプされると、キャップ突出部321Bの高さ分のプリロードがかかった状態でキャップ突出部321Bに全周にわたって当接することになる。なお、第1,第2実施形態と同様、サブバルブ107の最大リフト時においても、サブバルブ107が可撓ディスク100Aには接触しないようになっている。
第3実施形態の第2減衰力発生機構183Bは、第2通路182の一側に設けられるサブバルブ110と、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を変更する体積可変機構185Bと、を有する。これにより、体積可変機構185Bによって、第2通路182と並列に設けられた連通室149の体積を変更することが可能となる。よって、第2実施形態と同様、第2通路182を流れる油液の流量を変更することが可能となる。したがって、異音の発生を抑制することが可能となる。
第3実施形態の緩衝器1Bは、可撓ディスク100Aと第2サブバルブ107との間に、可撓ディスク100Aによって連通路148との連通が遮断される中間室147を形成し、この可撓ディスク100Aが撓むことで中間室147の容量を可変とすることできる。これにより、第1実施形態と同様、極微低速での所望の減衰性能と異音抑制とを両立させることが可能となる。
また、キャップ部材101Bの底部122Bには、可撓ディスク100Aと常時当接するキャップ突出部321Bが一体的に形成されているため、部品点数の増大および組み付け工数の増大を抑制することができる。
以上の第3実施形態は、第2減衰力発生機構173,183Bを上室19および下室20のうちの一方である下室20側に設けたが、上室19側に設けることも可能である。その場合、例えば、上記したキャップ部材101Bと、可撓ディスク100Aと、複数枚のディスク102と、サブバルブ107と、Oリング108が装着された弁座部材109と、サブバルブ110と、ディスク111と、ディスク113とを、並び順はそのまま、軸方向に反転させて、環状部材69(図2参照)とディスク68(図2参照)との間に配置することになる。それ以外は、第1実施形態において述べた、第2減衰力発生機構173,183Bを上室19に設ける場合と同様の変更を行うことになる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を主に図9,図10に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第4実施形態の緩衝器1Cにおいては、図9に示すように、第2実施形態の弁座部材109にかえて、これとは一部異なる弁座部材109Cが設けられている。
弁座部材109Cは、第2実施形態の貫通孔131よりも軸方向長さが短い貫通孔131Cを有している。貫通孔131Cは、第2実施形態の小径穴部132よりも軸方向長さが短い軸方向一側の小径穴部132Cと、第2実施形態と同様の軸方向他側の大径穴部133と、を有している。小径穴部132Cも、貫通孔131Cにおけるピストンロッド21の取付軸部28を嵌合させる部分である。
弁座部材109Cは、軸方向の大径穴部133側の端部が、第2実施形態と同様の内側シート部134を有している。弁座部材109Cは、軸方向の小径穴部132C側の端部が、第2実施形態とは異なっている。弁座部材109Cは、軸方向の小径穴部132C側の端部に、小径穴部132Cを囲むように円環状をなす内側シート部138Cと、内側シート部138Cを囲むように筒状をなす通路形成部401とを有している。弁座部材109Cは、その軸方向の内側シート部134と、内側シート部138Cおよび通路形成部401との間が、第2実施形態の本体部140とは主に厚さが異なる本体部140Cとなっている。
内側シート部134は、本体部140Cの軸方向の大径穴部133側の内周縁部から、本体部140Cの軸方向に沿って一側に突出している。
内側シート部138Cは、本体部140Cの軸方向の小径穴部132C側の内周縁部から、本体部140Cの軸方向に沿って内側シート部134とは反対側に突出している。通路形成部401は、内側シート部138Cの径方向外側で本体部140Cの軸方向に沿って本体部140Cから内側シート部138Cと同側に突出している。内側シート部138Cは、突出側の先端面、すなわち軸方向の本体部140Cとは反対側の先端面が、平坦面である。内側シート部134,138Cは、同等の外径となっている。
通路形成部401は、内側シート部138Cの径方向外側で本体部140Cの軸方向に沿って本体部140Cから内側シート部138Cと同側に突出する円筒状の円筒状部402と、円筒状部402の本体部140Cとは反対側の端部の内周部から径方向内方に突出する円環状の環状突部403とを有している。
環状突部403は、図10に示すように、円筒状部402の内径よりも小径の一定径の中間円筒面411と、中間円筒面411の軸方向の本体部140C側にあって本体部140C側ほど大径となる基端側テーパ面412と、中間円筒面411の軸方向の本体部140Cとは反対側にあって本体部140Cから離れるほど大径となる先端側テーパ面413とを有している。基端側テーパ面412と先端側テーパ面413とは、中間円筒面411に対し同等の角度で傾斜している。
弁座部材109Cは、本体部140Cと内側シート部138Cと通路形成部401とを有することにより、これらに囲まれて、円環状の通路凹部415が形成されている。通路凹部415は、内側シート部138Cおよび通路形成部401の突出側の先端面から弁座部材109Cの軸方向に凹んでいる。
図9に示すように、弁座部材109Cの径方向における通路凹部415の中間位置には、第2実施形態の通路孔206よりも軸方向長さが短い通路孔206Cが形成されている。通路孔206Cも、すべての通路凹部205の底面に形成されている。通路孔206Cは、通路凹部415の底面にも開口している。
弁座部材109Cの径方向における通路凹部415の中間位置には、第2実施形態の通路孔216よりも軸方向長さが短い通路孔216Cが形成されている。通路溝221は通路孔216Cから大径穴部133まで延びている。通路孔216Cも、通路凹部415の底面に開口している。
通路孔216Cと、この通路孔216Cが開口する通路凹部415とが、弁座部材109Cに設けられる第1通路部151Cを形成している。通路溝221の径方向通路222は、第1通路部151Cに向けて径方向に延びている。通路孔206Cと、この通路孔206Cが開口する通路凹部415とが、弁座部材109Cに設けられる第2通路部152Cを形成している。本実施の形態では、第1実施形態のサブバルブ107を、サブバルブ431が兼ねる構造としている。
複数の第1通路部151Cおよび複数の第2通路部152Cが、弁座部材109Cに設けられて油液が流通する弁座部材通路部150Cを構成している。言い換えれば、弁座部材通路部150Cは、複数の第1通路部151Cおよび複数の第2通路部152Cを有している。通路凹部415は第1通路部151Cおよび第2通路部152Cに共通する部分である。
弁座部材109Cには、本体部140Cおよび通路形成部401の外周部の軸方向中間位置に、第2実施形態と同様のシール溝145が形成されており、このシール溝145内に、キャップ部材101の筒状部124と弁座部材109Cとの隙間をシールするOリング108が配置されている。
キャップ部材101、Oリング108および弁座部材109Cは、キャップ部材101の内側に、第2実施形態と同様のキャップ室146を形成している。環状の弁座部材109Cおよび有底筒状のキャップ部材101は、上室19および下室20のうちの一方である下室20に配置されている。その際に、弁座部材109Cは、内側シート部134がキャップ室146側に、通路形成部401が下室20側に配置されている。弁座部材109Cは、キャップ室146の中間室147と下室20とを区画しており、中間室147および下室20の両方に臨んで設けられている。
第4実施形態の緩衝器1Cにおいては、弁座部材109Cと環状部材114との間に、第2実施形態のサブバルブ110、ディスク111およびディスク113にかえて、一枚のディスク421と、一枚のディスク422と、一枚のディスクバルブ423と、一枚のディスク424と、複数枚(具体的には三枚)のディスク425と、一枚のディスク426とが設けられている。
ディスク421,422,424~426およびディスクバルブ423は、金属製であり、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。ディスク421,422,424~426およびディスクバルブ423は、いずれもプレーンディスクであり、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。
ディスク421は、その外径が、内側シート部138Cの先端面の外径と同等になっている。ディスク422は、その外径が、ディスク421の外径よりも大径となっている。ディスクバルブ423は、その外径が、ディスク422の外径よりも大径となっており、通路形成部401の中間円筒面411の内径よりも所定量小径となっている。ディスク424は、その外径が、ディスクバルブ423の外径よりも小径で、ディスク422の外径よりも大径となっている。ディスク425は、その外径が、ディスク421の外径と同径となっている。ディスク426は、その外径が、ディスクバルブ423の外径よりも小径となっており、ディスク424の外径および環状部材114の外径よりも大径となっている。
ディスク421,422,424~426およびディスクバルブ423は、少なくとも内周側が弁座部材109Cとナット115とにクランプされている。ディスクバルブ423の円筒面からなる外周面は、弁座部材109Cの通路形成部401の環状突部403の中間円筒面411と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向している。ディスク421,425は、ピストンロッド21に一体に連結されて、ディスクバルブ423の内周側をディスク422,424を介して片持ち支持することになる。
ディスクバルブ423は、外周端が自由端となっており、弾性変形可能となっている。ディスクバルブ423に加えてディスク422,424も、外周側が自由端となっており、弾性変形可能となっている。ディスクバルブ423およびディスク422,424は、内周側がピストンロッド21に一体的に移動するように連結され、外周側が弾性変形可能なサブバルブ431(第1サブバルブ)を構成している。
ディスクバルブ423を含むサブバルブ431は、弁座部材109Cとの間に、部材内室433を形成している。部材内室433は、通路凹部415とサブバルブ431とで形成されている。部材内室433は、複数の第1通路部151Cと、中間室147と、弁座部材109Cの通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109Cの大径穴部133内の通路と、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51と、ピストン18の大径穴部46内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン18の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とを介して上室19に常時連通する。
部材内室433は、ディスクバルブ423と通路形成部401との間の可変通路435を介して下室20に常時連通している。ディスク422,424とともにディスク421,425に片持ち支持されたディスクバルブ423は、部材内室433および下室20間の差圧、すなわち上室19および下室20間の差圧により弾性変形する。
可変通路435は、ディスクバルブ423が弾性変形せずに環状突部403の中間円筒面411と軸方向の位置を重ね合わせた状態では、流路断面積が最小となり、ディスクバルブ423が弾性変形して中間円筒面411から離れるほど流路断面積が大きくなる。
サブバルブ431および通路形成部401の間の可変通路435と、部材内室433と、弁座部材109Cの複数の第2通路部152Cと、中間室147と、弁座部材109Cの通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109Cの大径穴部133内の通路と、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51と、ピストン18の大径穴部46内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン18の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とが、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程でシリンダ2内の上流側となる下室20から下流側となる上室19に油液が流れ出す第2通路172Cを構成している。
第2通路172Cは、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程において上流側となる下室20から下流側となる上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路となる。第2通路172Cは、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは形成されておらず、上室19と下室20とを常時連通させる通路ではない。
ピストン18の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51と、ピストン18の大径穴部46内の通路と、弁座部材109Cの大径穴部133内の通路と、弁座部材109Cの通路溝221内の径方向通路222と、中間室147と、弁座部材109Cの複数の第1通路部151Cと、部材内室433と、サブバルブ431および通路形成部401の間の可変通路435とが、ピストン18の上室19側への移動、つまり伸び行程においてシリンダ2内の上流側となる上室19から下流側となる下室20に油液が流れ出す第2通路440を構成している。第2通路440は、上室19と下室20とを常時連通させている。
第2通路440は、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程においても、シリンダ2内の上流側となる下室20から下流側となる上室19に油液が流れ出す。よって、第2通路440は、ピストン18の下室20側への移動、つまり縮み行程において上流側となる下室20から下流側となる上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路となるとともに、ピストン18の上室19側への移動、つまり伸び行程において上流側となる上室19から下流側となる下室20に向けて油液が流れ出す伸び側の通路になる。
サブバルブ431と、弁座部材109Cの通路形成部401とが、伸縮両行程で油液が流通する第2通路440に設けられ、この第2通路440を開閉し、この第2通路440での油液の流動を抑制して減衰力を発生する伸縮両行程での第2減衰力発生機構441を構成している。第2減衰力発生機構441は、縮み行程で油液が流通する第2通路172Cにも設けられており、この第2通路172Cを開閉し、この第2通路172Cでの油液の流動を抑制して減衰力を発生する。
第2通路172C,440において、ディスク82の切欠部90内の通路が、流路断面積が固定の部分の中で最も狭くなって前後よりも絞られることになり、第2通路172C,440におけるオリフィス175となる。
上室19と下室20とを連通可能な縮み側の通路である第2通路172C,440は、上室19と下室20とを連通可能な縮み側の通路である第1通路72と並列しており、第1通路72に第1減衰力発生機構42が、第2通路172C,440に第2減衰力発生機構441が、それぞれ設けられている。よって、第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構441は、並列に配置されている。
上室19と下室20とを連通可能な伸び側の通路である第2通路440は、上室19と下室20とを連通可能な伸び側の通路である第1通路92と上室19側の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路を除いて並列しており、並列部分には、第1通路92に第1減衰力発生機構41が、第2通路440に第2減衰力発生機構441が、それぞれ設けられている。よって、第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構441は、並列に配置されている。
いずれも伸び側の第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構441のうち、第1減衰力発生機構41のメインバルブ91は、第2減衰力発生機構441のサブバルブ431よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、伸び行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構41は閉弁した状態で第2減衰力発生機構441が開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構441がともに開弁することになる。サブバルブ431は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極微低速バルブである。
すなわち、伸び行程においては、ピストン18が上室19側に移動することで上室19の圧力が高くなり、下室20の圧力が低くなるが、ピストン速度が、第5所定値未満での伸び行程においては、第2通路440が、流路断面積が最小の状態の可変通路435を介して上室19と下室20とを連通させている。よって、上室19の油液が、ピストン18の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、オリフィス175と、ピストン18の大径穴部46内の通路と、ピストンロッド21の通路切欠部30内の通路と、弁座部材109Cの大径穴部133内の通路と、径方向通路222と、第1通路部151Cと、部材内室433と、流路断面積が最小の状態の可変通路435とを介して下室20に流れる。
このとき、その流れの一部が第1通路部151Cから中間室147に流れる。これにより、中間室147が昇圧することになる。このため、可撓ディスク100Aの図10に示す可撓部305Aが底部122側に撓んで中間室147の容量を大きくすることになって、中間室147の圧力の上昇を抑えることになる。
ここで、緩衝器1Cの低周波入力時(大振幅加振時)の伸び行程では、上記のような上室19から中間室147への油液の流入量が大となるため、可撓ディスク100Aが大きく変形してキャップ部材101の底部122に可撓部305Aにおいて接触し、その接触面積が大きくなる。このように可撓ディスク100Aの底部122への接触面積が増えると、可撓ディスク100Aの撓み量に制限がかかることになり、ある程度以上の差圧付加により撓まなくなる。このように、可撓ディスク100Aが撓み切ることで、中間室147の容量増加がなくなる。すると、第2減衰力発生機構441が開弁する状態まで昇圧する。
ピストン速度が、第5所定値よりも高速の領域であって、第5所定値よりも高速の第6所定値よりも低速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構41は閉弁した状態で第2減衰力発生機構441が開弁する。すなわち、第2減衰力発生機構441のサブバルブ431が下室20側に変形し開弁して可変通路435を含む第2通路440で上室19から下室20に油液を流す。このとき、ピストン速度の増大に応じてサブバルブ431の下室20側への変形量が大きくなり、通路形成部401との間の可変通路435が拡大する。これにより、ピストン速度が第6所定値よりも低速の極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、伸び行程において、ピストン速度が第6所定値以上の通常速度領域では、上記のように第2減衰力発生機構441のサブバルブ431が下室20側に変形して開弁量を大きくした状態のまま、第1減衰力発生機構41が開弁する。つまり、サブバルブ431が下室20側に変形して可変通路435を含む第2通路440で上室19から下室20に油液を流すことになるが、このとき、第2通路440においてサブバルブ431よりも上流側に設けられたオリフィス175で油液の流れが絞られることにより、メインバルブ91に加わる圧力が高くなって差圧が高まり、メインバルブ91がバルブシート部48から離座して、伸び側の第1通路92で上室19から下室20に油液を流す。よって、上室19の油液が、複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、メインバルブ91およびバルブシート部48の間の通路とを介して下室20に流れる。
これにより、ピストン速度が第6所定値以上の通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。通常速度領域におけるピストン速度の増加に対する伸び側の減衰力の増加率は、極微低速領域におけるピストン速度の増加に対する伸び側の減衰力の増加率よりも低くなる。言い換えれば、通常速度領域におけるピストン速度の上昇に対する伸び側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域よりも寝かせることができる。
ここで、伸び行程において、ピストン速度が第6所定値以上の通常速度領域では、上室19と下室20との差圧は、第5所定値以上第6所定値未満の低速領域よりも大きくなるが、第1通路92にはオリフィスによる絞りがないため、メインバルブ91が開弁することで油液を第1通路92を介して大流量で流すことができる。これと、第2通路440をオリフィス175で絞ることとにより、サブバルブ431の変形を抑制することができる。
上記した低周波入力時よりも高い周波数が緩衝器1Cに入力される高周波入力時(小振幅加振時)の伸び行程では、上室19から中間室147への油液の流入量が小さい。このため、可撓ディスク100Aの変形は小さく、可撓ディスク100Aの撓み量で、中間室147への油液の流入のボリュームを吸収できることになって、中間室147の昇圧が小さくなる。このため、極微低速減衰力の立ち上がり時には、あたかも、可撓ディスク100Aがなく、中間室147がキャップ部材101の連通路148で下室20に常時連通する状態、すなわち第2減衰力発生機構441がない構造と同じ状態にすることが可能となる。
よって、低周波入力時の減衰力特性に対して、極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになる。また、極微低速領域では、可撓ディスク100Aが撓むことで中間室147への油液の流入のボリュームを大きくしつつ第2減衰力発生機構441が開弁するため、同じピストン速度に対する極微低速減衰力が、可撓ディスク100Aが撓み切って中間室147への油液の流入のボリュームが変わらない低周波入力時よりも下がった特性となる。
いずれも縮み側の第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構441のうち、第1減衰力発生機構42のメインバルブ71は、第2減衰力発生機構441のサブバルブ431よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、縮み行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構42は閉弁した状態で第2減衰力発生機構441が開弁し、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構441が全て開弁することになる。サブバルブ431は、縮み行程において、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極微低速バルブである。
すなわち、縮み行程においては、ピストン18が下室20側に移動することで下室20の圧力が高くなり、上室19の圧力が低くなる。すると、ピストン速度が、第7所定値未満での伸び行程においては、第2通路440が、流路断面積が最小の状態の可変通路435を介して上室19と下室20とを連通させている。よって、下室20の油液が、流路断面積が最小の状態の可変通路435と、部材内室433と、弁座部材109Cの第1通路部151C、径方向通路222および大径穴部133内の通路と、ピストンロッド21の通路切欠部30内の通路と、ピストン18の大径穴部46内の通路と、オリフィス175と、ピストン18の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とを介して上室19に流れる。
そして、ピストン速度が、第7所定値よりも高速の領域であって、第7所定値よりも高速の第8所定値よりも低速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構42は閉弁した状態で、第2減衰力発生機構441のサブバルブ431が部材内室433側に変形して開弁し、可変通路435を含む第2通路172C,440で下室20から上室19に油液を流す。このとき、ピストン速度の増大に応じてサブバルブ431の部材内室433側への変形量が大きくなり、通路形成部401との間の可変通路435が拡大する。これにより、ピストン速度が第8所定値よりも低速の極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、縮み行程において、ピストン速度が上記第7所定値以上の通常速度領域では、上記のように第2減衰力発生機構441のサブバルブ431が部材内室433側に変形して開弁量を大きくするとともに、第1減衰力発生機構42が開弁する。つまり、サブバルブ431が部材内室433側に変形して可変通路435を含む第2通路172C,440で下室20から上室19に油液を流すことになるが、このとき、第2通路172C,440はオリフィス175で油液の流量が絞られていることから、メインバルブ71に生じる差圧が大きくなり、メインバルブ71がバルブシート部50から離座して、縮み側の第1通路72で下室20から上室19に油液を流す。よって、下室20の油液が、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路と、メインバルブ71およびバルブシート部50の間の通路とを介して流れる。
これにより、ピストン速度が第8所定値以上の通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。通常速度領域におけるピストン速度の増加に対する縮み側の減衰力の増加率は、極微低速領域におけるピストン速度の増加に対する縮み側の減衰力の増加率よりも低くなる。言い換えれば、通常速度領域におけるピストン速度の上昇に対する縮み側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域よりも寝かせることができる。
縮み行程において、ピストン速度が第8所定値以上の通常速度領域では、下室20と上室19との差圧は低速領域よりも大きくなるが、第1通路72はオリフィスによる絞りがないため、メインバルブ71が開弁することで油液を第1通路72を介して大流量で流すことができる。これと、第2通路172C,440をオリフィス175で絞ることとにより、サブバルブ431の変形を抑制することができる。
また、このとき(ピストン速度が速い場合)、下室20と上室19との差圧は大きくなるものの、第2通路172C,440をオリフィス175で絞ることにより、上室19にオリフィス175を介して連通する部材内室433内の圧力は、下室20と上室19との間の圧力となるので、下室20との差圧が大きくなり過ぎることを抑制できる。これと、メインバルブ71が開弁することで油液を第1通路72を介して大流量で流すことができることとによって、サブバルブ431の変形を抑制することができる。
なお、縮み行程においては、減衰バルブ機構197による減衰力特性も合わせた特性となる。
第2実施形態に対する第4実施形態の変更と同様の変更を、第1実施形態に対して行うことも可能であり、第3実施形態に対して行うことも可能である。また、同様の変更を、後述する第5~第10,第13実施形態に対して行うことも可能である。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を主に図11~図13に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第5実施形態の緩衝器1Dにおいては、第1実施形態のストッパ部材32、一対の支持体33、コイルスプリング34および緩衝体35は設けられていない。
また、第5実施形態の緩衝器1Dにおいては、縮み側の第1減衰力発生機構42Dが第1減衰力発生機構42と一部相違している。第1減衰力発生機構42Dは、ピストン18のバルブシート部50を含んでおり。第1減衰力発生機構42Dは、軸方向のピストン18側から順に、一枚のディスク62と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク64と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には三枚)のディスク65と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク66Dと、一枚のディスク67と、一枚のディスク68Dと、一枚の環状部材69Dと、を有している。
ディスク66Dは、ディスク65の外径よりも小径であって、ディスク67の外径よりも大径の外径となっている。ディスク68Dは、ディスク65の外径と同等の外径となっている。ディスク66D、ディスク68Dおよび環状部材69Dは、金属製である。ディスク66D、ディスク68Dおよび環状部材69Dは、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能である。ディスク66D,68Dは、一定厚さの有孔円形平板状をなすプレーンディスク(突起のない平面ディスク)である。
環状部材69Dは、径方向外側の部分が残りの部分に対して軸方向にずれた段差状をなしている。環状部材69Dは、ディスク62,64,65,66D,67,68Dよりも厚く高剛性となっている。環状部材69Dは、いずれも円環状の基板部501および段差板部502を有している。基板部501は取付軸部28を嵌合可能である。基板部501は一定厚さの有孔円形平板状をなす。段差板部502は、基板部501に対して基板部501の径方向における外側にある。段差板部502は基板部501に対して基板部501の軸方向にずれている。環状部材69Dは、基板部501からピストン18とは反対側に段差板部502が突出する状態で、基板部501において軸段部29に当接する。
緩衝器1Dは、円環状の緩衝体35Dを有している。緩衝体35Dは、ピストンロッド21の主軸部27を内側に嵌合させている。緩衝体35Dは、環状部材69Dのピストン18とは反対側に設けられている。緩衝器1Dは、ピストンロッド21の伸び切り時に、緩衝体35Dがロッドガイド22(図1参照)に当接する。
複数枚のディスク64、複数枚のディスク65および複数枚のディスク66Dが、バルブシート部50に離着座可能な縮み側のメインバルブ71Dを構成している。メインバルブ71Dは、バルブシート部50から離座することで、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路を上室19に連通させると共に、バルブシート部50との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生する。環状部材69Dおよびディスク68Dは、メインバルブ71Dの開方向への規定以上の変形をメインバルブ71Dに当接して規制する。
複数の通路穴39内および環状溝56内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ71Dおよびバルブシート部50の間の通路とが、第1実施形態と同様の縮み側の第1通路72を構成している。第1減衰力発生機構42Dは、メインバルブ71Dとバルブシート部50とを含んで、この第1通路72に設けられている。縮み側の第1減衰力発生機構42Dには、第1実施形態の第1減衰力発生機構42と同様、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは形成されていない。
図12に示すように、伸び側の第1減衰力発生機構41Dは、ピストン18のバルブシート部48を含んでおり、軸方向のピストン18側から順に、一枚のディスク82と、一枚のディスク83と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には四枚)のディスク85と、一枚のディスク86と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には三枚)のディスク87と、一枚のディスク88Dと、を有している。
ディスク88Dは、ディスク87の外径よりも小径の外径となっている。ディスク88Dは、金属製である。ディスク88Dは、内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなすプレーンディスクである。
複数枚のディスク85、一枚のディスク86および複数枚のディスク87が、バルブシート部48に離着座可能な伸び側のメインバルブ91Dを構成している。メインバルブ91Dは、バルブシート部48から離座することで、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を下室20に連通させると共に、バルブシート部48との間の油液の流れを抑制して減衰力を発生する。
複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ91Dおよびバルブシート部48の間の通路とが、第1実施形態と同様の伸び側の第1通路92を構成している。第1減衰力発生機構41Dは、メインバルブ91Dとバルブシート部48とを含んで、この第1通路92に設けられている。伸び側の第1減衰力発生機構41Dには、第1実施形態の第1減衰力発生機構41と同様、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスは形成されていない。
伸び側の第1減衰力発生機構41Dのピストン18とは反対側には、第1減衰力発生機構41D側から順に、第1実施形態とは一部異なるキャップ部材101Dと、一枚のディスク511と、一枚のディスク512と、一枚のディスク513と、一枚のディスク514と、一枚の可撓ディスク515(可撓部材,移動部材)とが、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。
また、可撓ディスク515のピストン18とは反対側には、可撓ディスク515側から順に、一枚のディスク516と、一枚のディスク517と、一枚のディスク518と、一枚のディスク519と、一枚のストッパ部材521と、一枚のバネディスク522と、一枚のディスク523とが、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。
また、ディスク523のピストン18とは反対側には、ディスク523側から順に、第1実施形態と同様のサブバルブ107(一側サブバルブ)と、第1実施形態と同様の弁座部材109と、第1実施形態と同様のサブバルブ110(他側サブバルブ)と、一枚のディスク524と、一枚のバネディスク525と、一枚のディスク526と、第1実施形態と同様の環状部材114とが、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。
図11に示すように、ピストンロッド21の取付軸部28の環状部材114よりも突出するオネジ31に、第1実施形態と同様のナット115が螺合されている。これにより、軸段部29とナット115とで、環状部材69Dから環状部材114までの部品の少なくとも内周側を軸方向にクランプする。
図12に示すように、キャップ部材101Dは、有底筒状の一体成形品であり、金属板の塑性加工により一体的に形成されている。キャップ部材101Dは、有孔円板状の一定厚さの底部122Dと、底部122Dの外周縁部から、底部122Dとは反対方向に延出する円筒状の筒状部124Dと、を有している。底部122Dは、第1実施形態の底部122と同様の形状であって、底部122よりも肉厚が薄い。底部122Dには、第1実施形態の通路孔126と同様の通路孔126Dが複数形成されている。通路孔126D内が連通路148となっている。筒状部124Dは、第1実施形態の筒状部124と同様の形状であって、筒状部124よりも肉厚が薄い。キャップ部材101Dは、筒状部124Dが底部122Dからピストン18とは反対側に突出する向きでピストンロッド21の取付軸部28に取り付けられている。
ディスク511~514,516~519,523,524,526、可撓ディスク515、ストッパ部材521およびバネディスク522,525は、いずれも金属製である。ディスク511~514,516~519,523,524,526、可撓ディスク515、ストッパ部材521は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなすプレーンディスクである。ディスク511~514,516~519,523,524,526、可撓ディスク515、ストッパ部材521、バネディスク522,525は、いずれもキャップ部材101D内に収容されている。弁座部材109もキャップ部材101D内に収容されている。バネディスク522,525は、いずれも内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な環状をなしている。
ディスク511,519は、共通部品であり、外径が、キャップ部材101Dの底部122Dの中心からの通路孔126Dまでの最小距離の2倍よりも小径となっている。ディスク512,518は、共通部品であり、外径が、ディスク511,519の外径よりも大径となっている。ディスク513,517は、共通部品であり、外径が、ディスク512,518の外径よりも小径となっている。ディスク514,516は、共通部品であり、外径が、ディスク513,517の外径よりも小径となっている。
可撓ディスク515は、外径が、ディスク512,518の外径よりも大径となっている。可撓ディスク515は、外径が、キャップ部材101Dの筒状部124Dの内径よりも若干小径となっている。
ストッパ部材521は、外径が、キャップ部材101Dの筒状部124Dの内径よりも若干小径となっている。ストッパ部材521には、ストッパ部材521の径方向における位置をキャップ部材101Dの通路孔126Dと一致させて、通路孔530が軸方向に貫通して形成されている。通路孔530内は連通路531となっている。
バネディスク522は、取付軸部28に嵌合する有孔円形平板状の基板部535と、基板部535の周方向の等間隔位置から基板部535の径方向の外方に延出する複数のバネ板部536とを有している。基板部535は、外径が、ストッパ部材521の中心から通路孔530までの最小距離の2倍よりも小径となっている。バネ板部536は、延出先端側ほど基板部535から基板部535の軸方向に離れるように基板部535に対して傾斜している。バネディスク522は、基板部535からバネ板部536が基板部535の軸方向においてサブバルブ107側に延出するように取付軸部28に取り付けられている。
ディスク523は、バネディスク522の基板部535の外径よりも外径が小径である。バネディスク522は、複数のバネ板部536が、サブバルブ107に当接する。ディスク524は、ディスク523と共通部品である。
バネディスク525は、取付軸部28に嵌合する有孔円形平板状の基板部541と、基板部541の周方向の等間隔位置から基板部541の径方向の外方に延出する複数のバネ板部542とを有している。基板部541は、外径が、ディスク524の外径よりも大径である。バネ板部542は、延出先端側ほど基板部541から基板部541の軸方向に離れるように基板部541に対して傾斜している。バネディスク525は、基板部541からバネ板部542が基板部541の軸方向においてサブバルブ110側に延出するように取付軸部28に取り付けられている。バネディスク525は、複数のバネ板部542が、サブバルブ110に当接する。ディスク526は、外径が、サブバルブ110の外径と同等になっている。
キャップ部材101Dの底部122Dと可撓ディスク515との間には、Oリング551が設けられている。Oリング551は、連通路148よりも、可撓ディスク515の径方向における外側に設けられている。Oリング551は、この位置において、可撓ディスク515と底部122Dとに締め代をもって当接する。Oリング551は、この位置において、可撓ディスク515と底部122Dとの間を全周にわたってシールする。Oリング551は、内周側がピストンロッド21と一体になるように軸方向にクランプされた可撓ディスク515の外周側を軸方向一側で支持する。
可撓ディスク515とストッパ部材521との間には、Oリング552が設けられている。Oリング552は、Oリング551と共通部品である。Oリング552は、連通路531よりも、可撓ディスク515の径方向における外側に設けられている。Oリング552は、この位置において、可撓ディスク515とストッパ部材521とに締め代をもって当接する。Oリング552は、この位置において、可撓ディスク515とストッパ部材521との間を全周にわたってシールする。Oリング552は、可撓ディスク515とサブバルブ107との間に設けられている。Oリング552は、可撓ディスク515の外周側を、Oリング551とは反対の軸方向他側で支持する。
可撓ディスク515は、Oリング551よりも径方向内側の部分が底部122Dに近づいたり、元の状態に戻ったりするように撓み可能となっている。可撓ディスク515は、Oリング551とディスク514,516との間の部分が底部122Dに近づいたり、元の状態に戻ったりするように撓み可能となっている。Oリング551は、中心軸線を含む面での断面が円形である。このため、可撓ディスク515の底部122Dの方向への撓み量が大きくなると、Oリング551は、可撓ディスク515を支持する支点を、可撓ディスク515の径方向における内側に移動させる。この状態から可撓ディスク515の撓み量が小さくなると、Oリング551は、可撓ディスク515を支持する支点を、可撓ディスク515の径方向における外側に移動させる。
可撓ディスク515は、Oリング552よりも径方向内側の部分がストッパ部材521に近づいたり、元の状態に戻ったりするように撓み可能となっている。可撓ディスク515は、Oリング551とディスク514,516との間の部分がストッパ部材521に近づいたり、元の状態に戻ったりするように撓み可能となっている。Oリング552は、中心軸線を含む面での断面が円形である。このため、可撓ディスク515のストッパ部材521の方向への撓み量が大きくなると、Oリング552は、可撓ディスク515を支持する支点を、可撓ディスク515の径方向における内側に移動させる。この状態から可撓ディスク515の撓み量が小さくなると、Oリング552は、可撓ディスク515を支持する支点を、可撓ディスク515の径方向における外側に移動させる。
キャップ部材101D、Oリング108および弁座部材109は、キャップ部材101Dの底部122Dと弁座部材109との間にキャップ室146を形成している。サブバルブ107は、このキャップ室146内に設けられている。可撓ディスク515およびOリング551,552は、キャップ室146内に設けられている。可撓ディスク515は、キャップ部材101Dの底部122Dとサブバルブ107との間に設けられている。
可撓ディスク515およびOリング551,552によって、キャップ室146は、可撓ディスク515よりもサブバルブ107側の中間室147と、可撓ディスク515よりも複数の通路孔126D側の連通室149とに区画されている。中間室147は、可撓ディスク515とストッパ部材521との間に設けられている。中間室147は、可撓ディスク515およびOリング551,552によって連通室149および連通路148との連通が遮断される。
可撓ディスク515が撓むことによって、中間室147および連通室149の容積が変化する。すなわち、可撓ディスク515が撓むことによって中間室147および連通室149にアキュムレータの機能をもたせる。連通室149は、中間室147の容積の増大を吸収するために容積が減少して油液を下室20に排出したり、中間室147の容積の減少を吸収するために容積が増大して油液を下室20から流入させたりする。逆に、中間室147は、連通室149の容積の増大を吸収するために容積が減少して油液を上室19側に排出したり、連通室149の容積の減少を吸収するために容積が増大して油液を上室19側から流入させたりする。可撓ディスク515の変形が中間室147および連通室149の油液によって阻害されることは、抑制されるようになっている。
サブバルブ107は、バネディスク522の付勢力によってバルブシート部135に着座して第2通路部152を閉塞する。サブバルブ107と、バルブシート部135と、ディスク523と、バネディスク522と、ストッパ部材521とが、縮み側の第2通路172に設けられ、この第2通路172を開閉し、この第2通路172から上室19への油液の流動を抑制して減衰力を発生する縮み側の第2減衰力発生機構173Dを構成している。
上室19に連通する中間室147は、第2通路172を構成している。第2減衰力発生機構173D,183Dは、この中間室147の体積を変更可能な体積可変機構185Dを有している。体積可変機構185Dは、可撓ディスク515と、Oリング551,552と、キャップ部材101Dの筒状部124Dと、ディスク516~519と、ストッパ部材521と、中間室147と、連通路531とによって構成されている。流路上、可撓ディスク515とサブバルブ107との間に中間室147が設けられている。体積可変機構185Dは、可撓ディスク515が、底部122Dに近づくように変形し移動することで中間室147の体積を増やすように変更し、底部122Dから離れるように変形し移動することで中間室147の体積を減らすように変更する。
サブバルブ110は、バネディスク525の付勢力によってバルブシート部139に着座して第1通路部151を閉塞する。サブバルブ110と、バルブシート部139と、ディスク524と、バネディスク525と、ディスク526とが、伸び側の第2通路182に設けられ、この第2通路182を開閉し、この第2通路182から下室20への油液の流動を抑制して減衰力を発生する伸び側の第2減衰力発生機構183Dを構成している。
連通路148を介して下室20に常時連通する連通室149は、第2通路182と並列に配置されている。第2減衰力発生機構173D,183Dは、この連通室149の体積を変更可能な体積可変機構561を有している。体積可変機構561は、可撓ディスク515と、Oリング551,552と、キャップ部材101Dの底部122Dと、ディスク511~514と、連通室149と、連通路148とによって構成されている。流路上、可撓ディスク515とサブバルブ110との、下室20および連通路148を介しての間に連通室149が設けられている。可撓ディスク515は、底部122Dに近づくように変形し移動することで連通室149の体積を減らすように変更し、底部122Dから離れるように変形し移動することで連通室149の体積を増やすように変更する。体積可変機構185Dと体積可変機構561とに対して、可撓ディスク515およびOリング551,552が共用となっている。体積可変機構185Dと体積可変機構561とが、アキュムレータ565を構成している。
ストッパ部材521は、キャップ部材101Dの筒状部124Dとの間に隙間がある。このため、Oリング552には、径方向に差圧は生じない。Oリング551には、中間室147と連通室149との差圧がかかる。この差圧は、第2減衰力発生機構173D,183Dに生じる差圧と同等になる。この差圧により、Oリング551は、キャップ部材101Dの底部122Dと可撓ディスク515との間をシールする。Oリング551は、そのゴム材質の硬度と、底部122Dおよび可撓ディスク515に対する締め代が、第2減衰力発生機構173D,183Dに生じる差圧では、異常な変形を生じないように設定されている。Oリング551を用いた構造は、中間室147と下室20との間の油液の漏れを防止する機能に優れている。
以上の緩衝器1Dの油圧回路図は、図13に示すようになっている。すなわち、第1減衰力発生機構41D,42Dと、第2減衰力発生機構173D,183Dとが、上室19と下室20との間に並列に設けられ、上室19と、第2減衰力発生機構173D,183Dとの間にオリフィス175と、ピストンロッド通路部51とが設けられ、ピストンロッド通路部51に、アキュムレータ565の体積可変機構185Dの中間室147が接続されている。また、アキュムレータ565の体積可変機構561の連通室149が、オリフィスとしての連通路148を介して下室20に接続されている。
いずれも伸び側の第1減衰力発生機構41Dおよび第2減衰力発生機構183Dのうち、第1減衰力発生機構41Dのメインバルブ91Dは、第2減衰力発生機構183Dのサブバルブ110よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、伸び行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構41Dは閉弁した状態で第2減衰力発生機構183Dが開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構41Dおよび第2減衰力発生機構183Dがともに開弁することになる。
すなわち、伸び行程においては、上室19の圧力が高くなり、下室20の圧力が低くなる。すると、第1減衰力発生機構41D,42Dおよび第2減衰力発生機構173D,183Dのいずれにも、上室19と下室20とを常時連通させる固定オリフィスはないものの、上室19の油液が、ピストン18の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、オリフィス175と、ピストン18の大径穴部46内の通路、ピストンロッド21の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、ストッパ部材521の連通路531と、を介して中間室147に流入する。これにより、中間室147が昇圧することになる。このため、体積可変機構185Dは、可撓ディスク515のOリング551への当接位置よりも径方向内側の部分が、底部122D側に撓んで中間室147の容量を大きくすることになる。これにより、体積可変機構185Dが、中間室147の圧力の上昇を抑えることになる。このとき、可撓ディスク515が底部122D側に撓んで移動することから、体積可変機構561は連通室149の体積を小さくする。
ここで、緩衝器1Dの低周波入力時(大振幅加振時)の伸び行程では、上記のような上室19から中間室147への油液の流入量が大となるため、可撓ディスク515が大きく変形する。可撓ディスク515は変形量が大きくなると、クランプされた内周側の支持剛性による反力が大きくなって変形量に制限がかかる。これにより、中間室147が昇圧していく。その結果、第2減衰力発生機構183Dが開弁する状態まで第2通路182が昇圧する。
これにより、ピストン速度が低い第2減衰力発生機構183Dが開弁するまでの伸び行程において、減衰力が急激に立ち上がる。また、伸び行程において、ピストン速度が上がって極微低速領域になると、第1減衰力発生機構41Dは閉弁した状態で第2減衰力発生機構183Dが開弁する。すると、伸び側の第2通路182を介して上室19の油液が下室20に流れる。さらに、伸び行程において、ピストン速度がさらに上がって通常速度領域になると、第2減衰力発生機構183Dが開弁した状態のまま、第1減衰力発生機構41Dが開弁して、伸び側の第2通路182および伸び側の第1通路92を介して上室19の油液が下室20に流れる。
上記した低周波入力時よりも高い周波数が緩衝器1Dに入力される高周波入力時(小振幅加振時)の伸び行程では、上室19から中間室147への油液の流入量が小さい。このため、可撓ディスク515の変形も小さい。よって、体積可変機構185Dは、可撓ディスク515の撓み量で、中間室147への油液の流入のボリュームを吸収できることになる。これにより、中間室147の昇圧が小さくなる。このため、極微低速減衰力の立ち上がり時には、あたかも、可撓ディスク515がなく、中間室147がキャップ部材101Dの連通路148で下室20に常時連通する状態、すなわち第2減衰力発生機構183Dがない構造と同じ状態にすることが可能となる。よって、伸び行程において、低周波入力時の減衰力特性に対して、極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになる。
また、極微低速領域では、可撓ディスク515が撓むことで中間室147への油液の流入のボリュームを大きくしつつ第2減衰力発生機構183Dが開弁するため、同じピストン速度に対する極微低速減衰力が、可撓ディスク515が撓み切って中間室147への油液の流入のボリュームが変わらない低周波入力時よりも下がった特性となる。言い換えれば、ピストン18の周波数が所定周波数を超えると、可撓ディスク515を含む体積可変機構185Dにより、第2減衰力発生機構183Dのサブバルブ110への油液の流量を制限する状態になる。
いずれも縮み側の第1減衰力発生機構42Dおよび第2減衰力発生機構173Dのうち、第1減衰力発生機構42Dのメインバルブ71Dは、第2減衰力発生機構173Dのサブバルブ107よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、縮み行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構42Dは閉弁した状態で第2減衰力発生機構173Dが開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構42Dおよび第2減衰力発生機構173Dがともに開弁することになる。
すなわち、縮み行程においては、下室20の圧力が高くなり、上室19の圧力が低くなる。すると、第1減衰力発生機構41D,42Dおよび第2減衰力発生機構173D,183Dのいずれにも、下室20と上室19とを常時連通させる固定オリフィスはないものの、下室20の油液が、キャップ部材101Dの連通路148を介して、連通室149に流入する。これにより、連通室149が昇圧することになる。このため、体積可変機構561は、可撓ディスク515のOリング552への当接位置よりも径方向内側の部分が、ストッパ部材521側に撓んで連通室149の容量を大きくすることになる。これにより、体積可変機構561が、連通室149の圧力の上昇を抑えることになる。このとき、可撓ディスク515がストッパ部材521側に撓んで移動することから、体積可変機構185Dは中間室147の体積を小さくする。
ここで、緩衝器1Dの低周波入力時(大振幅加振時)の縮み行程では、上記のような下室20から連通室149への油液の流入量が大となるため、可撓ディスク515が大きく変形する。可撓ディスク515は変形量が大きくなると、クランプされた内周側の支持剛性による反力が大きくなって変形量に制限がかかり、連通室149が昇圧していく。その結果、第2減衰力発生機構173Dが開弁する状態まで昇圧する。
これにより、ピストン速度が低い第2減衰力発生機構173Dが開弁するまでの縮み行程においては、減衰力が急激に立ち上がる。また、縮み行程において、ピストン速度が上がって極微低速領域になると、第1減衰力発生機構42Dは閉弁した状態で第2減衰力発生機構173Dが開弁する。すると、縮み側の第2通路172を介して下室20の油液が上室19に流れる。さらに、縮み行程において、ピストン速度がさらに上がって通常速度領域になると、第2減衰力発生機構173Dが開弁した状態のまま、第1減衰力発生機構42Dが開弁して、縮み側の第2通路172および縮み側の第1通路72を介して下室20の油液が上室19に流れる。
上記した低周波入力時よりも高い周波数が緩衝器1Dに入力される高周波入力時(小振幅加振時)の縮み行程では、下室20から連通室149への油液の流入量が小さい。このため、可撓ディスク515の変形は小さい。よって、体積可変機構561は、可撓ディスク515の撓み量で、連通室149への油液の流入のボリュームを吸収できることになって、連通室149の昇圧が小さくなる。このため、極微低速減衰力の立ち上がり時には、あたかも、可撓ディスク515がなく、連通室149がストッパ部材521の連通路531で上室19に常時連通する状態、すなわち第2減衰力発生機構173Dがない構造と同じ状態にすることが可能となる。よって、縮み行程において、低周波入力時の減衰力特性に対して、極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになる。
また、極微低速領域では、可撓ディスク515が撓むことで連通室149への油液の流入のボリュームを大きくしつつ第2減衰力発生機構173Dが開弁する。このため、同じピストン速度に対する極微低速減衰力が、可撓ディスク515が撓み切って連通室149への油液の流入のボリュームが変わらない低周波入力時よりも下がった特性となる。言い換えれば、ピストン18の周波数が所定周波数を超えると、可撓ディスク515を含む体積可変機構561により、第2減衰力発生機構173Dのサブバルブ107への油液の流量を制限する。
ここで、可撓ディスク515の板厚等で調整できる剛性の違いにより、可撓ディスク515の荷重に対する撓みの傾きを調整できる。その結果、第2減衰力発生機構173D,183Dの開弁までの減衰力の変化の傾きを調整することができる。
低周波入力時に、可撓ディスク515の撓みに対する荷重の傾きが小さすぎる(ばね定数が低すぎる)と、第2減衰力発生機構173D,183Dの開弁までの遅れが大きくなってしまう。その結果、低周波でも極微低速減衰力が立ち上がらなくなり、第2減衰力発生機構173D,183Dの狙いとしているばね上制振機能が十分に得られなくなってしまう可能性がある。このため、適度に可撓ディスク515の剛性を高く設定し体積可変機構185D,561のばね定数を高く設定しておく必要がある。
また、高周波入力時には、可撓ディスク515の撓みに対する荷重の傾きが大きすぎる(ばね定数が高すぎる)と、体積可変機構185D,561の中間室147および連通室149へ流入する油液の量に対して荷重が早く立ち上がり、第2減衰力発生機構173D,183Dの開弁圧に達してしまう。その結果、小振幅加振(高周波)でも第2減衰力発生機構173D,183Dがある特性に近づいてしまうため、体積可変機構185D,561の効果が低くなってしまう。このため、適度に可撓ディスク515の剛性を低く設定し体積可変機構185D,561のばね定数を低く設定しておく必要がある。
故に、体積可変機構185D,561のばね定数は、第2減衰力発生機構173D,183Dの仕様によって、低周波で内圧が高くなり、低減衰の目標とする高周波で内圧が低くなるように適度に調整する必要がある。線形のばね特性では、低周波、高周波の両立が難しい場合があるが、緩衝器1Dは、上記のように、可撓ディスク515の撓み量に応じて、可撓ディスク515を支持するOリング551,552の支点を内径側に移動させて支持剛性を上げる。これにより、大きい撓みに対しては高剛性となる非線形のばね特性となり、低周波でばね定数を大きく、高周波ではばね定数を小さくできる。
逆に第2減衰力発生機構173D,183Dの開弁圧が高い場合など、第2減衰力発生機構173D,183Dの開弁の遅れが大きすぎる場合は、可撓ディスク515がある程度撓むと、可撓ディスク515の撓みを抑制して、高荷重になるようにする。上記したディスク511~514およびディスク516~519は、可撓ディスク515がある程度撓むと、可撓ディスク515に当接して、可撓ディスク515の撓みを抑制する。
このように、極微低速減衰力が必要とされる、微操舵入力時の応答性や良路乗り心地のフラット感など、ばね上制振の低周波に対しては、しっかり極微低速減衰力を発生させることができる。また、ロッド加速度に起因する異音が発生する高周波で小振幅の入力に対しては、極微低速減衰力を弱め、かつ第2減衰力発生機構173D,183Dの開弁時のつながりを良くすることができる。これにより、ロッド加速度に起因する異音の発生を抑制することができる。したがって、低周波入力時の極微低速減衰の性能向上と、高周波入力時の異音発生の抑制とを両立させることが可能となる。
第5実施形態の緩衝器1Dにおいては、キャップ室146内のサブバルブ107とキャップ部材101Dの底部122Dとの間に、移動可能な可撓ディスク515が設けられている。可撓ディスク515とサブバルブ107との間には、可撓ディスク515の移動によって体積変更される中間室147が形成された体積可変機構185Dを有する。よって、伸び側の第2通路182を流れる油液の流量を変更することが可能となる。したがって、伸び行程での異音の発生を抑制することが可能となる。
また、緩衝器1Dは、弁座部材通路部150のサブバルブ107とは反対側に、下室20に設けられるサブバルブ110を有する。可撓ディスク515とサブバルブ110との流路上の間には、可撓ディスク515の移動によって体積変更される連通室149が形成された体積可変機構561を有する。よって、縮み側の第2通路172を流れる油液の流量を変更することが可能となる。したがって、縮み行程での異音の発生を抑制することが可能となる。
また、キャップ部材101Dの底部122Dと可撓ディスク515との間にはOリング551が設けられており、可撓ディスク515とストッパ部材521との間にはOリング552が設けられている。このため、可撓ディスク515の撓み量が大きくなると、Oリング551,552は、可撓ディスク515を支持する支点を径方向内側に移動させることになる。これにより、可撓ディスク515を、大きい撓みに対しては高剛性となる非線形のばね特性とすることができる。なお、可撓ディスク515の外周側を支持する部材として、Oリング551,552のうちの少なくともいずれか一方のみを採用し、他方は別の支持部材を用いても良い。
ここで、可撓ディスク515の撓みに対するアキュムレータ565の荷重の特性は、撓みが小さい領域では小さい荷重で動きやすく、撓みが大きい領域では大きい荷重で動きにくくなるようにするのが良い。このためには、以下の(1)~(3)のいずれかのように設定する。例えば、低荷重では低ばね、高荷重では高ばねになるような非線形ばねの特性とする。
(1)微小撓みに対しては、ばね定数が低く撓みやすく、大きく撓むとばね定数が高くなり撓みにくくなるような非線形特性。
(2)微小撓みに対しては、ばね定数が低く撓みやすく、大きく撓むとストッパに当たりそれ以上撓まなくなるような非線形特性。
(3)微小撓みでも適度に撓み、大きく撓むと適度に撓みを抑えるような線形特性。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態を主に図14~図16に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第6実施形態の緩衝器1Eにおいては、縮み側の第2減衰力発生機構173Eが第2減衰力発生機構173Dと一部相違している。また、緩衝器1Eにおいては、伸び側の第2減衰力発生機構183Eが第2減衰力発生機構183Dと一部相違している。第2減衰力発生機構173E,183Eは、体積可変機構561Eが体積可変機構561と一部相違している。また、第2減衰力発生機構173E,183Eは、体積可変機構185Eが体積可変機構185Dと一部相違している。すなわち、緩衝器1Eは、アキュムレータ565とは一部異なるアキュムレータ565Eを有している。
体積可変機構561E,185Eは、体積可変機構561,185DのOリング551,552にかえて皿バネ601,602を設けている。皿バネ601は、キャップ部材101Dの底部122Dと可撓ディスク515との間に設けられている。皿バネ602は、可撓ディスク515とストッパ部材521との間に設けられている。
皿バネ601は、有孔のテーパ板状である。皿バネ601の径方向内側に、ディスク511~514が配置されている。皿バネ601は、径方向外側ほど軸方向において可撓ディスク515側に位置するように傾斜して広がっている。皿バネ601は、内周縁部がキャップ部材101Dの底部122Dに当接している。皿バネ601は、外周縁部が可撓ディスク515に当接している。皿バネ601は、内周側が軸方向にクランプされた可撓ディスク515の外周側を軸方向一側で支持する。
皿バネ602は、皿バネ601と共通部品である。皿バネ602は、有孔のテーパ状である。皿バネ602の径方向内側に、ディスク516~519が配置されている。皿バネ602は、径方向外側ほど軸方向において可撓ディスク515側に位置するように傾斜して広がっている。皿バネ602は、内周縁部がストッパ部材521に当接している。皿バネ602は、外周縁部が可撓ディスク515に当接している。皿バネ602は、内周側が軸方向にクランプされた可撓ディスク515の外周側を皿バネ601とは逆側の軸方向他側で支持する。
言い換えれば、可撓ディスク515は2枚の皿バネ601,602で支持されている。これら皿バネ601,602は、自然状態で凹側を対向させて配置されている。
体積可変機構185Eは、伸び行程において、中間室147に油液が流入し、中間室147が昇圧すると、可撓ディスク515が、皿バネ601への当接位置よりも径方向内側の部分を、底部122D側に撓ませて中間室147の容量を大きくすることになる。その際に、皿バネ601は、可撓ディスク515を支持する支点が径方向に移動しない。
体積可変機構561Eは、縮み行程において、連通室149に油液が流入し、連通室149が昇圧すると、可撓ディスク515が、皿バネ602への当接位置よりも径方向内側の部分を、ストッパ部材521側に撓ませて連通室149の容量を大きくすることになる。その際に、皿バネ602は、可撓ディスク515を支持する支点が径方向に移動しない。
第6実施形態の緩衝器1Eは、自然状態で凹側を対向させて配置される2枚の皿バネ601,602で可撓ディスク515を支持する。このため、可撓ディスク515の撓み量にかかわらず、可撓ディスク515を支持する支点を径方向の一定位置に維持することができる。これにより、可撓ディスク515を、撓み量にかかわらず剛性が変化しない線形のばね特性とすることができる。なお、可撓ディスク515がある程度撓むと、ディスク511~514,ディスク516~519が可撓ディスク515に接触してその撓みを抑制するため、非線形のばね特性とすることができる。ディスク511~514,ディスク516~519の大きさや組み合わせを調整して剛性を調整することで、第5実施形態と同様、低周波入力時の極微低速減衰の性能向上と、高周波入力時の異音発生の抑制とを両立させることが可能となる。
皿バネ601,602を用いることで、Oリング551,552を用いる場合と比べて省スペース化が可能となり、アキュムレータ565Eを追加することによる緩衝器1Eの基本軸長の長大化を抑制することができる。
図15には、第6実施形態の緩衝器1Eのロッド加速度の実測値を示す。図16はアキュムレータ565Eがない比較例の結果である。図15,図16においては、ロッド加速度を実線で、減衰力を一点鎖線で、ピストン速度を二点鎖線で示している。図15に示すように、緩衝器1Eは、図16に示す比較例と比べて、伸び行程から縮み行程への行程反転時と縮み行程から伸び行程への行程反転時とに発生するロッド加速度を小さくすることができる。よって、異音発生を抑制することができる。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態を主に図17に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第7実施形態の緩衝器1Fにおいては、縮み側の第2減衰力発生機構173Fが第2減衰力発生機構173Dと一部相違している。また、緩衝器1Fにおいては、伸び側の第2減衰力発生機構183Fが第2減衰力発生機構183Dと一部相違している。第2減衰力発生機構173F,183Fは、体積可変機構561Fが体積可変機構561と一部相違している。第2減衰力発生機構173F,183Fは、体積可変機構185Fが体積可変機構185Dと一部相違している。すなわち、緩衝器1Fは、アキュムレータ565とは一部異なるアキュムレータ565Fを有している。
体積可変機構561F,185Fは、体積可変機構561,185DのOリング551,552にかえて、可撓ディスク515の外周側の軸方向両側に円環状のシール部材641,642を固着している。可撓ディスク515とシール部材641,642とが一体となって一枚の区画ディスク643となっている。言い換えれば、第7実施形態では、第5実施形態の体積可変機構561,185DのOリング551,552および可撓ディスク515の三部品にかえて一部品である区画ディスク643が設けられている。
シール部材641は、可撓ディスク515の底部122Dと対向する面に焼き付けられている。シール部材641は、中心軸線を含む面での断面が三角形状である。シール部材641は、可撓ディスク515の軸方向において可撓ディスク515から離れるほど径方向の幅が小さくなっている。
シール部材642は、シール部材641と同形状である。シール部材642は、可撓ディスク515のストッパ部材521と対向する面に焼き付けられている。シール部材642は、中心軸線を含む面での断面が三角形状である。シール部材642は、可撓ディスク515の軸方向において可撓ディスク515から離れるほど径方向の幅が小さくなっている。
シール部材641は、可撓ディスク515とは反対側の先端部が、全周にわたってキャップ部材101Dの底部122Dに当接している。シール部材641は、底部122Dの径方向における連通路148よりも外側に当接している。シール部材642は、可撓ディスク515とは反対側の先端部が、全周にわたってストッパ部材521に当接している。シール部材642は、ストッパ部材521の径方向における連通路531よりも外側に当接している。
体積可変機構185Fは、伸び行程において、中間室147に油液が流入し、中間室147が昇圧すると、可撓ディスク515のシール部材641よりも径方向内側の部分が、底部122D側に撓んで中間室147の容量を大きくすることになる。
体積可変機構561Fは、縮み行程において、連通室149に油液が流入し、連通室149が昇圧すると、可撓ディスク515のシール部材642よりも径方向内側の部分が、ストッパ部材521側に撓んで連通室149の容量を大きくすることになる。
第7実施形態の緩衝器1Fは、体積可変機構185F,561Fに、可撓ディスク515とシール部材641,642とが一体とされた一つの区画ディスク643を用いている。このため、組み付け性を向上させることができる。また、可撓ディスク515にシール部材641,642を貼り付けることで、可撓ディスク515とシール部材641,642との間のシール性能を向上させることができる。また、可撓ディスク515にシール部材641,642を貼り付けることで、シール部材641,642の形状を可撓ディスク515で維持することができる。よって、シール部材641,642の径方向の異常変形を抑制することができ、性能の安定化を図ることができる。
第7実施形態の緩衝器1Fの作動および効果は、第5実施形態とほぼ同様である。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態を主に図18に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第8実施形態の緩衝器1Gにおいては、縮み側の第2減衰力発生機構173Gが第2減衰力発生機構173Dと一部相違している。また、緩衝器1Gにおいては、伸び側の第2減衰力発生機構183Gが第2減衰力発生機構183Dと一部相違している。第2減衰力発生機構173G,183Gは、体積可変機構561Gが体積可変機構561と一部相違している。第2減衰力発生機構173G,183Gは、体積可変機構185Gが体積可変機構185Dと一部相違している。すなわち、緩衝器1Gは、アキュムレータ565とは一部異なるアキュムレータ565Gを有している。
アキュムレータ565Gは、キャップ部材101Gが、キャップ部材101Dと一部相違している。キャップ部材101Gは、キャップ部材101Dの底部122Dの筒状部124D側に段差部661を設けた形状となっている。
キャップ部材101Gの底部122Gは、底部本体662と環状突出部663と段板部664とを有している。底部本体662は、通路孔126Dが複数形成された有孔円形平板状である。環状突出部663は、円環状であり、底部本体662の外周縁部から底部本体662の軸方向において筒状部124D側に突出する。段板部664は、環状突出部663の底部本体662とは反対側の端縁部から環状突出部663の径方向における外側に広がって筒状部124Dに繋がる。環状突出部663と段板部664とが底部本体662から底部本体662の軸方向における筒状部124D側に突出する段差部661を構成している。キャップ部材101Gも、底部122Gから底部122Gの軸方向におけるピストン18とは反対側に筒状部124Dが突出する向きとなっている。
アキュムレータ565Gは、ストッパ部材521Gが、ストッパ部材521と一部相違している。ストッパ部材521Gは、ストッパ部材521の外周部に段差部666を設けた形状となっている。
ストッパ部材521Gは、基板部667と環状突出部668と段板部669とを有している。基板部667は、連通路531が複数形成された有孔円形平板状である。環状突出部668は、円環状であり、基板部667の外周縁部から基板部667の軸方向において一側に突出する。段板部669は、環状突出部668の基板部667とは反対側の端縁部から環状突出部668の径方向における外側に広がる円環状をなす。環状突出部668と段板部669とが基板部667から基板部667の軸方向における一側に突出する段差部666を構成している。ストッパ部材521Gは、基板部667から基板部667の軸方向におけるピストン18側に段差部666が突出する向きとなっている。
キャップ部材101Gの底部122Gのピストン18とは反対側には、底部122G側から順に、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク671と、一枚の貼合ディスク672と、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク673と、ストッパ部材521Gとが、ピストンロッド21の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。そして、ストッパ部材521Gのピストン18とは反対側に、第5実施形態と同様のバネディスク522が設けられている。
ディスク671は、有孔円形平板状である。ディスク671は、その外径が、キャップ部材101Gの中心から通路孔126Dまでの最小距離の2倍よりも小径となっている。ディスク673は、ディスク671と共通部品である。
貼合ディスク672は、内側板部681と膨出板部682と外側板部683とを有する凹凸形状の単板ディスク684が二枚貼り合わされて一つの部品となっている。単板ディスク684は、金属製であり、プレス成形により形成されている。内側板部681は有孔円形平板状であり、その内側にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。膨出板部682は、内側板部681の外周縁部から内側板部681の軸方向一側に突出した後、内側板部681と平行に内側板部681の径方向外側に広がり、その後、内側板部681の軸方向逆側に突出する形状をなしている。外側板部683は、膨出板部682の内側板部681とは反対側の端縁部から膨出板部682の径方向における外側に広がる。外側板部683は、内側板部681と同一平面に配置される。このような単板ディスク684を二枚、膨出板部682が互いに反対向きに膨出するようにして、内側板部681同士を貼り合わせ、外側板部683同士を貼り合わせる。これにより、貼合ディスク672が形成される。
貼合ディスク672は、二つの内側板部681が貼り合わされて構成される内側貼合板部687と、二つの外側板部683が貼り合わされて構成される外側貼合板部688と、互いに反対向きに膨出する二つの膨出板部682で構成される膨出部689とを有している。内側貼合板部687と外側貼合板部688とは同一平面に配置されている。膨出部689は、内側貼合板部687と外側貼合板部688との間で、これらの軸方向における両側に膨出している。膨出部689内は、空気が充満して密封された空気室670となっている。二枚の単板ディスク684の貼り合わせは、貼り合せにより空気室670内の密閉が保持されエア漏れが防止できれば、接着でも溶接でも良い。
貼合ディスク672は、内側貼合板部687が、ディスク671,673にクランプされてピストンロッド21に一体に固定される。それとともに、貼合ディスク672は、外側貼合板部688が、キャップ部材101Gの段板部664とストッパ部材521Gの段板部669とにクランプされてピストンロッド21に一体に固定される。この状態で、貼合ディスク672は、キャップ部材101Gの底部122Gとの間に連通室149を形成している。また、この状態で、貼合ディスク672は、ストッパ部材521Gとの間に中間室147を形成している。貼合ディスク672は、膨出部689が一方の膨出板部682において中間室147に臨んでいる。また、貼合ディスク672は、他方の膨出板部682において連通室149に臨んでいる。貼合ディスク672が中間室147と連通室149とを区画している。
体積可変機構185Gは、貼合ディスク672と、ストッパ部材521Gと、二枚のディスク673と、これらで囲まれた中間室147と、連通路531とによって構成されている。体積可変機構185Gは、伸び行程において、中間室147に油液が流入し、中間室147が昇圧すると、貼合ディスク672の中間室147に臨む一方の膨出板部682が空気室670の容積を減らすように他方の膨出板部682側に変形して中間室147の容量を大きくすることになる。このとき、基本的に連通室149の容量は変わらない。
体積可変機構561Gは、貼合ディスク672と、キャップ部材101Gの底部122Gと、二枚のディスク671と、これらで囲まれた連通室149と、連通路148とによって構成されている。体積可変機構561Gは、縮み行程において、連通室149に油液が流入し、連通室149が昇圧すると、貼合ディスク672の連通室149に臨む他方の膨出板部682が空気室670の容積を減らすように一方の膨出板部682側に変形して連通室149の容量を大きくすることになる。このとき、基本的に中間室147の容量は変わらない。
すなわち、体積可変機構185G,561Gは、中間室147と連通室149との差圧を受けると空気室670のボリュームを変化させる機構となる。言い換えれば、体積可変機構185G,561Gは、貼合ディスク672の空気室670のエアボリュームを、中間室147と連通室149との差圧に応じて変化させて、中間室147および連通室149の油液の流入量を吸収する。空気室670のエア圧が第2減衰力発生機構183G,173Gの開弁圧に達すると、第2減衰力発生機構183G,173Gが開弁する。空気室670のエア圧が第2減衰力発生機構183G,173Gの開弁圧より低い範囲で、空気室670のエアボリュームが変化すれば、第2減衰力発生機構183G,173Gは開弁しない。緩衝器1Gは、高周波で微振幅の入力時にはこのように作動する。
中間室147と連通室149との差圧と、貼合ディスク672の撓みとの関係は、貼合ディスク672が変形し空気室670のエアボリュームが変化することによるエア圧の上昇と、貼合ディスク672自体の剛性とによって決まる。貼合ディスク672の剛性が高すぎると、空気室670が変形しにくく、高周波で微振幅の入力時でも変形しにくくなる。その結果、高周波で微振幅の入力時でも、第2通路172あるいは第2通路182の内圧が上昇し極微低速減衰力が立ち上がる。逆に剛性が低すぎると、ばね定数が低い貼合ディスク672に依存した変形となり、低周波でも、極微低速減衰力が上がらないか、もしくは、空気室670のボリュームがゼロ近くになる。すると、空気室670のエア圧が急上昇し、油圧の急激な変化をもたらし、減衰力波形の崩れや、これによる異音発生をもたらす可能性がある。よって、第2減衰力発生機構183G,173Gの狙いの減衰力性能と、高周波での極微減衰低減による異音抑制とを両立できるように、第2減衰力発生機構183G,173Gや緩衝器1Gの仕様により、この貼合ディスク672の剛性を適度に設定することになる。
第8実施形態の緩衝器1Gは、体積可変機構185G,561Gに、空気室670を内側に有する変形可能な膨出部689を有する貼合ディスク672を用いている。このため、組み付け性を向上させることができる。
なお、貼合ディスク672は、金属製とする以外にも、ゴム製としても良い。ゴム製としても、金属製とした場合とほぼ同様に作動することになり、金属製とした場合と同様の効果が得られる。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態を主に図19に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第9実施形態の緩衝器1Hにおいては、縮み側の第2減衰力発生機構173Hが第2減衰力発生機構173Dと一部相違している。また、緩衝器1Hにおいては、伸び側の第2減衰力発生機構183Hが第2減衰力発生機構183Dと一部相違している。第2減衰力発生機構173H,183Hは、体積可変機構561Hが体積可変機構561と一部相違している。第2減衰力発生機構173H,183Hは、体積可変機構185Hが体積可変機構185Dと一部相違している。すなわち、緩衝器1Hは、アキュムレータ565とは一部異なるアキュムレータ565Hを有している。
体積可変機構561H,185Hでは、体積可変機構561,185Dのディスク511~514,516~519にかえて、一つのスペーサ701が設けられている。また、体積可変機構561H,185Hでは、体積可変機構561,185DのOリング551,552および可撓ディスク515にかえて、一つのシール部材702が設けられている。
スペーサ701は、円筒状であり、金属製である。スペーサ701は、その内側にピストンロッド21の取付軸部28が嵌合される。スペーサ701は、軸方向の一端面がキャップ部材101Dの底部122Dに当接し、軸方向の他端面がストッパ部材521に当接する。スペーサ701は、その外径が、キャップ部材101Dの中心から通路孔126Dまでの最小距離の2倍よりも小径となっている。スペーサ701は、その外径が、ストッパ部材521の中心から通路孔530までの最小距離の2倍よりも小径となっている。
シール部材702は、基板部711と、外側筒状部712と、内側筒状部713とを有している。シール部材702は、弾性変形可能なゴム材料からなる一体成形品である。基板部711は有孔円形平板状である。外側筒状部712は、円筒状であり、基板部711の外周縁部から基板部711の軸方向における両側に突出している。内側筒状部713は、円筒状であり、基板部711の内周縁部から基板部711の軸方向における両側に突出している。基板部711、外側筒状部712および内側筒状部713は、中心軸線を一致させている。外側筒状部712および内側筒状部713は、軸方向の長さが同等である。外側筒状部712および内側筒状部713は、軸方向の位置を一致させている。外側筒状部712および内側筒状部713は、基板部711から基板部711の軸方向における両側に同長さ突出している。シール部材702は、中心軸線を含む面での断面がH字状をなしている。
シール部材702は、内側筒状部713の内径がスペーサ701の外径よりも若干大径である。内側筒状部713の外径は、キャップ部材101Dの中心から通路孔126Dまでの最小距離の2倍よりも小径となっている。内側筒状部713の外径は、ストッパ部材521の中心から通路孔530までの最小距離の2倍よりも小径となっている。シール部材702は、外側筒状部712の外径がキャップ部材101Dの筒状部124Dの内径よりも若干小径である。外側筒状部712の内径は、キャップ部材101Dの中心から通路孔126Dまでの最大距離の2倍よりも大径となっている。外側筒状部712の内径は、ストッパ部材521の中心から通路孔530までの最大距離の2倍よりも大径となっている。シール部材702は、その径方向において、キャップ部材101Dの通路孔126Dおよびスペーサ701の通路孔530を、常に内側筒状部713と外側筒状部712との間に位置させるようになっている。
シール部材702は、外側筒状部712が、全周にわたってキャップ部材101Dの底部122Dおよびストッパ部材521に締め代をもって当接している。また、シール部材702は、内側筒状部713も、全周にわたってキャップ部材101Dの底部122Dおよびストッパ部材521に締め代をもって当接している。よって、シール部材702は、外側筒状部712、内側筒状部713および基板部711が、キャップ部材101Dの底部122Dとで連通室149を形成している。また、シール部材702は、外側筒状部712、内側筒状部713および基板部711が、ストッパ部材521とで中間室147を形成している。シール部材702は、基板部711がその軸方向の一側において中間室147に臨み、軸方向の他側において連通室149に臨んでいる。シール部材702は、中間室147と連通室149とを区画する。
体積可変機構185Hは、シール部材702と、ストッパ部材521と、これらで囲まれた中間室147と、連通路531とによって構成されている。体積可変機構185Hは、伸び行程において、中間室147に油液が流入し、中間室147が昇圧すると、シール部材702の基板部711が、中間室147の容積を増やし、連通室149の容積を減らすように、キャップ部材101Dの底部122D側に変形し移動して中間室147の容量を大きくすることになる。このとき、底部122Dに当接すると、基板部711は、それ以上の変形が規制される。
体積可変機構561Hは、シール部材702と、キャップ部材101Dの底部122Dと、これらで囲まれた連通室149と、連通路148とによって構成されている。体積可変機構561Hは、縮み行程において、連通室149に油液が流入し、連通室149が昇圧すると、シール部材702の基板部711が、連通室149の容積を増やし、中間室147の容積を減らすように、ストッパ部材521側に変形し移動して連通室149の容量を大きくすることになる。このとき、ストッパ部材521に当接すると、基板部711は、それ以上の変形が規制される。
アキュムレータ565Hは、キャップ部材101Dの底部122Dおよびストッパ部材521と、シール部材702との接触部分にシール機能を持たせることで、中間室147と連通室149との差圧を保持する。また、アキュムレータ565Hは、中間室147と連通室149とに差圧が生じた時に、キャップ部材101Dの底部122Dおよびストッパ部材521に接触していない基板部711が撓んで変形する。基板部711は、中間室147と連通室149との差圧に応じて線形に変形し始めるが、ある程度大きく撓むと、キャップ部材101Dの底部122Dあるいはストッパ部材521に接触し、撓みに制限がかかる。
よって、アキュムレータ565Hは、中間室147あるいは連通室149への油液の流入量が少ない高周波で微振幅の入力に対しては、基板部711の変形で低ばね定数となる。また、アキュムレータ565Hは、中間室147あるいは連通室149への油液の流入量が多い低周波で大振幅の入力時には、基板部711が、キャップ部材101Dの底部122Dあるいはストッパ部材521に接触して撓まなくなり、高ばね定数となる。よって、第5実施形態のアキュムレータ565や、第6実施形態のアキュムレータ565Eと同じように非線形ばねのアキュムレータ565Hになる。よって、第5,第6実施形態のアキュムレータ565,565Eと同じ機能および効果をもたらす。
第9実施形態の緩衝器1Hは、体積可変機構185H,561Hに、ゴム製の単体部品であるシール部材702を用いている。このため、組み付け性を向上させることができる。
[第10実施形態]
次に、第10実施形態を主に図20に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第10実施形態の緩衝器1Jにおいては、縮み側の第2減衰力発生機構173Jが第2減衰力発生機構173Dと一部相違している。また、緩衝器1Jにおいては、伸び側の第2減衰力発生機構183Jが第2減衰力発生機構183Dと一部相違している。第2減衰力発生機構173J,183Jは、体積可変機構561Jが体積可変機構561と一部相違している。第2減衰力発生機構173J,183Jは、体積可変機構185Jが体積可変機構185Dと一部相違している。すなわち、緩衝器1Jは、アキュムレータ565とは一部異なるアキュムレータ565Jを有している。
体積可変機構561J,185Jは、第5実施形態の体積可変機構561,185DのOリング552にかえて、第6実施形態の皿バネ602を設けている。よって、皿バネ602は、可撓ディスク515とストッパ部材521との間に設けられている。
体積可変機構185Jは、伸び行程において、中間室147に油液が流入し、中間室147が昇圧すると、可撓ディスク515のOリング551への当接位置よりも径方向内側の部分が、底部122D側に撓んで中間室147の容量を大きくすることになる。その際に、Oリング551は、可撓ディスク515が撓むほど、可撓ディスク515を支持する支点が径方向内側に移動する。
体積可変機構561Jは、縮み行程において、連通室149に油液が流入し、連通室149が昇圧すると、可撓ディスク515の皿バネ602への当接位置よりも径方向内側の部分が、ストッパ部材521側に撓んで連通室149の容量を大きくすることになる。その際に、皿バネ602は、可撓ディスク515を支持する支点が径方向に移動しない。
第10実施形態の緩衝器1Jは、伸び行程では第5実施形態と同様に作動し、縮み行程では第6実施形態と同様に作動する。
以上の第5~第10実施形態においても、第2減衰力発生機構173D~173H,173J,183D~183H,183Jを上室19および下室20のうちの一方である下室20側に設けたが、上室19側に設けることも可能である。
[第11実施形態]
次に、第11実施形態を主に図21に基づいて第1~第10実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1~第10実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第1~第10実施形態では、伸び側の第1通路と伸び側の第2通路とを並列に設け、縮み側の第1通路と縮み側の第2通路とを並列に設ける場合を例にとり説明した。しかしながら、第1~第10実施形態において、伸び側の第1通路と伸び側の第2通路とを直列に設け、縮み側の第1通路と縮み側の第2通路とを直列に設けても良い。
図21に示すように、第11実施形態の緩衝器1Kでは、伸び側の第1通路92Kと伸び側の第2通路182Kとを直列に設け、縮み側の第1通路72Kと縮み側の第2通路172Kとを直列に設ける。この場合、例えば、伸び側の第1通路92Kおよび縮み側の第1通路72Kを並列に設け、伸び側の第2通路182Kおよび縮み側の第2通路172Kを並列に設けて、第1通路92K,72Kと、第2通路182K,172Kとの間に室731を設ける。
そして、例えば第1減衰力発生機構41Dと同様の伸び側の第1減衰力発生機構41Kを第1通路92Kに設け、例えば第2減衰力発生機構183Dと同様の伸び側の第2減衰力発生機構183Kを第2通路182Kに設ける。また、例えば第1減衰力発生機構42Dと同様の縮み側の第1減衰力発生機構42Kを第1通路72Kに設け、例えば第2減衰力発生機構173Dと同様の縮み側の第2減衰力発生機構173Kを第2通路172Kに設ける。
そして、室731と下室20とを、第2通路172K,182Kとは並列に結ぶ通路732を設ける。この通路732に、アキュムレータ565Kを設ける。言い換えれば、第2減衰力発生機構183K,173Kと並列にアキュムレータ565Kを設ける。この場合、通路732における室731への連通部分に、体積可変機構185Kの中間室147を接続させる。また、通路732における下室20への連通部分に、体積可変機構561Kの連通室149を接続させる。体積可変機構561Kは、連通室149と下室20との間にオリフィスとしての連通路148を有している。
また、上室19と室731とを、第1通路72K,92Kとは並列に結ぶ通路733を設ける。この通路733にオリフィス734を設ける。
第11実施形態の緩衝器1Kでは、アキュムレータ565Kが、第2減衰力発生機構173K,183Kと並列に設けられている。このため、第2減衰力発生機構173K,183Kの開弁後は、第2通路172K,182Kが油液のメイン流路となる。よって、アキュムレータ565Kには、油液がほどんど流れない。このため、アキュムレータ565Kは、油液の流量も油液による圧力負荷も小さく維持できる。よって、車両の悪路走行などで、緩衝器1Kに高いピストン速度の入力があっても、アキュムレータ565Kの信頼性を高く保つことができる。
第11実施形態の緩衝器1Kの低周波振動での減衰性能、すなわち第2減衰力発生機構173K,183Kでの狙いの性能と緩衝器1Kの高周波振動時の異音防止とを両立するための作動と、その効果とは、例えば第5実施形態と同様である。
[第12実施形態]
次に、第12実施形態を主に図22に基づいて第1~第10実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1~第10実施形態とと共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第12実施形態の緩衝器1Lは、例えば、特開2013-133896号公報に記載された緩衝器にアキュムレータ565Lを設けたものとなる。具体的には、この公報に記載された緩衝器のロッド側油室Aと中間室Dとを連通させるように通路751を設け、この通路751にアキュムレータ565Lを設けたものが第12実施形態の緩衝器1Lとなる。
第12実施形態の緩衝器1Lの油圧回路図は、図22に示すようになっている。すなわち、緩衝器1Lでは、例えば第1減衰力発生機構41Dと同様の伸び側の第1減衰力発生機構41Lが第1通路92Lに設けられ、例えば第2減衰力発生機構183Dと同様の伸び側の第2減衰力発生機構183Lが第2通路182Lに設けられている。また、例えば第1減衰力発生機構42Dと同様の縮み側の第1減衰力発生機構42Lが第1通路72Lに設けられ、例えば第2減衰力発生機構173Dと同様の縮み側の第2減衰力発生機構173Lが第2通路172Lに設けられている。
そして、第2通路182L,172Lと下室20とを結ぶ通路752が設けられ、この通路752に室753が設けれている。この室753が特開2013-133896号公報に記載された中間室Dである。また、室753と下室20とを結ぶ通路754が設けられ、この通路754に可変オリフィス755が設けられている。さらに、第1通路92L,72Lと並列に上室19と下室20とを結ぶ通路756が設けられ、この通路756に可変オリフィス757が設けられている。
以上が、特開2013-133896号公報に記載された緩衝器となる。
そして、第12実施形態の緩衝器1Lでは、上室19と室753とを結ぶように通路761が設けられ、この通路761にアキュムレータ565Lが設けられている。この場合、通路761における上室19への連通部分に、体積可変機構185Lの中間室147を接続させ、通路761における室753への連通部分に、体積可変機構561Lの連通室149を接続させる。体積可変機構561Lは、連通室149と室753との間にオリフィスとしての連通路148を有している。
[第13実施形態]
次に、第13実施形態を主に図23に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第13実施形態の緩衝器1Mにおいては、図23に示すように、ピストンロッド21とは一部異なるピストンロッド21Mが用いられている。ピストンロッド21Mは、取付軸部28とは一部異なる取付軸部28Mを有しており、取付軸部28Mには、通路切欠部30が形成されていない。
また、第13実施形態の緩衝器1Mにおいては、第5実施形態のピストン18とは一部異なるピストン18Mが用いられている。ピストン18Mは、ピストン本体36Mがピストン本体36とは一部異なっている。ピストン本体36Mには、軸方向に貫通する複数の通路穴38Mと、軸方向に貫通する複数(図23では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴39Mとが形成されている。
複数の通路穴38Mは、ピストン本体36Mの軸方向に沿って直線状に延びる形状であり、ピストン本体36Mの円周方向に等ピッチで形成されている。ピストン本体36Mには、軸方向の上室19とは反対側に、複数の通路穴38Mを連通させる円環状の環状溝55Mが形成されている。環状溝55Mの上室19とは反対側には、伸び側の第1減衰力発生機構41Mが設けられている。
複数の通路穴39Mは、ピストン本体36Mの軸方向に沿って直線状に延びる形状であって、ピストン本体36Mの円周方向に所定のピッチで形成されている。すべての通路穴39Mは、すべての通路穴38Mよりもピストン本体36Mの径方向における外側に形成されている。複数の通路穴39Mの上室19側には、縮み側の第1減衰力発生機構42Mが設けられている。
ピストン本体36Mは、略円板形状をなしており、その径方向の中央には、ピストンロッド21Mの取付軸部28Mが挿入される挿入穴44Mが軸方向に貫通して形成されている。挿入穴44Mは、ストレート形状であり、ピストンロッド21Mの取付軸部28Mを嵌合させている。
ピストン本体36Mの軸方向の上室19とは反対側の端部には、環状溝55Mの上室19とは反対側の開口よりも、ピストン本体36Mの径方向における内側に環状の内側シート部47Mが形成されている。ピストン本体36Mの軸方向の上室19とは反対側の端部には、環状溝55Mの上室19とは反対側の開口よりも、ピストン本体36Mの径方向における外側に第1減衰力発生機構41Mの一部を構成する円環状のバルブシート部48Mが形成されている。バルブシート部48Mには、これを径方向に貫通する通路溝771が形成されている。
ピストン本体36Mの軸方向の上室19側の端部には、複数の通路穴38Mの上室19側の開口よりもピストン本体36Mの径方向における内側に環状の内側シート部49Mが形成されている。また、ピストン本体36Mの軸方向の上室19側の端部には、複数の通路穴39Mの一つまたは複数の上室19側の開口を囲むように、環状で異形のバルブシート部50Mが形成されている。バルブシート部50Mは、ピストン本体36Mの周方向に間隔をあけて複数形成されている。複数の通路穴38Mは、バルブシート部50M間の隙間を介して上室19に常時連通している。
縮み側の第1減衰力発生機構42Mは、ピストン18Mのバルブシート部50Mを含んでおり、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には四枚)のディスク64Mと、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク65Mとを有している。ディスク64M,65Aは、金属製であり、いずれも内側にピストンロッド21Mの取付軸部28Mを嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。複数枚のディスク64Mは、内側シート部49Mに常時当接しており、バルブシート部50Mに着座してバルブシート部50Mを閉塞可能となっている。薄い金属板からなる複数枚のディスク64Mおよび複数枚のディスク65Mが、撓み可能であってバルブシート部50Mに離着座可能な縮み側のメインバルブ71Mを構成している。
伸び側の第1減衰力発生機構41Mは、ピストン18Mのバルブシート部48Mを含んでおり、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク85Mを有している。ディスク85Mのバルブシート部48Mとは反対側には、同一内径および同一外径の複数枚(具体的には二枚)のディスク86Mが設けられている。ディスク85M,86Aは、金属製であり、いずれも内側にピストンロッド21Mの取付軸部28Mを嵌合可能な一定厚さの有孔円形平板状をなしている。複数枚のディスク85Mは、内側シート部47Mに常時当接しており、バルブシート部48Mに着座してバルブシート部48Mを閉塞可能となっている。ディスク86Mは、ディスク85Mの外径よりも小径であってピストン18Mの内側シート部47Mの外径よりも小径の外径となっている。薄い金属板からなる複数枚のディスク85Mが、撓み可能であってバルブシート部48Mに離着座可能な伸び側のメインバルブ91Mを構成している。
ピストン本体36Mには、バルブシート部48Mよりもピストン本体36Mの径方向における外側に、バルブシート部48Mよりも上室19とは反対側に突出する円環状の嵌合筒部772が形成されている。嵌合筒部772は内周面が、挿入穴44Mと同軸状の円筒面となっている。
ディスク86Mの上室19とは反対側には、一つの第1ケース部材800が、ピストンロッド21Mの取付軸部28Mをその内側に嵌合させて設けられている。第1ケース部材800のディスク86Mとは反対側に、一枚のディスク801と、一枚のディスクバルブ802と、一枚のディスク803と、一枚のディスク804と、一枚のディスク805と、一つの第2ケース部材806とが、ピストンロッド21Mの取付軸部28Mをそれぞれの内側に嵌合させて設けられている。
第1ケース部材800、ディスク801,803~805、ディスクバルブ802および第2ケース部材806は、いずれも金属製である。ディスク801,803~805およびディスクバルブ802は、内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な一定厚さ且つ径方向幅一定の有孔円形平板状をなしている。第1ケース部材800および第2ケース部材806は、内側にピストンロッド21の取付軸部28を嵌合可能な円環状をなしている。
第1ケース部材800は、有底筒状の一体成形品であり、有孔円板状の底部811と、底部811の外周縁部から、底部811の軸方向一側に突出する円筒状の筒状部812とを有している。筒状部812は、底部811の中心軸線を中心とする円筒状である。
第1ケース部材800は、筒状部812が底部811よりもピストン18Mとは反対側に位置する向きで配置されており、底部811の内周部において取付軸部28に嵌合し、底部811の筒状部812とは反対側の端面においてディスク86Mに当接している。
底部811は、軸方向の筒状部812側に、径方向外側から順に、第1ケース部材800の軸直交方向に広がる平坦な外側底部815と、径方向内側ほど軸方向に筒状部812から離れるように傾斜するテーパ状の中間底部816と、第1ケース部材800の軸直交方向に広がる平坦な内側底部817とを有している。底部811は、径方向内側ほど厚さが薄くなっている。
筒状部812は全周にわたって連続する円筒状をなしており、内周面が、一定内径のストレートな円筒面となっている。底部811は、外周面が筒状部812の外周面と同一円筒面をなす大径部821と、外径が大径部821よりも小径の小径部822とを有している。第1ケース部材800は、小径部822の円筒面からなる外周面でピストン18Mの嵌合筒部772の内周面に嵌合することになる。
第1ケース部材800は、その径方向の中央に、底部811を軸方向に貫通して、ピストンロッド21Mの取付軸部28Mが挿通される挿通穴825が形成されている。挿通穴825は小径部822と同軸状をなしており、取付軸部28Mを嵌合させる。
底部811には、径方向の中間底部816の位置に、底部811を軸方向に貫通する貫通穴826が形成されている。貫通穴826は、底部811の周方向に間隔をあけて複数形成されている。
ディスク801,803~805およびディスクバルブ802は、いずれも外周面において第1ケース部材800の筒状部812の内周面に嵌合可能な外径となっている。筒状部812の内周面は、挿通穴825と同軸状をなしている。また、ディスク801,803~805およびディスクバルブ802は、いずれも内側にピストンロッド21Mの取付軸部28Mを挿通可能な内径となっている。
ディスク801は、その内径が、外側底部815の内径よりも小径となっている。ディスクバルブ802は、その内径が、ディスク801の内径よりも小径となっている。ディスク803は、その内径が、ディスク801の内径よりも小径であってディスクバルブ802の内径よりも大径となっている。ディスク804は、その内径が、ディスク801の内径よりも大径となっている。ディスク805は、その内径が、ディスク804の内径よりも大径であって外側底部815の内径と同等となっている。
第2ケース部材806は、有孔円板状の一体成形品であり、有孔円板状の基部831と、基部831の内周縁部から、軸方向一側に突出する通路形成部832とを有している。基部831には外周部に径方向内方に凹む通路溝834が基部831の軸方向に貫通して形成されている。基部831には、通路溝834が、基部831の周方向に間隔をあけて複数形成されている。基部831は、通路形成部832側の端面が軸直交方向に広がる平面となっている。
通路形成部832は、基部831の内周縁部から基部831の軸方向における一側に突出する首部835と、首部835から基部831の軸方向における基部831とは反対側に突出する頭部836とを有している。頭部836は、外径が首部835の外径よりも大径となっている。
首部835は、基部831の中心軸線を中心とする円筒状をなしており、その外周面が一定径の円筒面となっている。頭部836は、基部831の中心軸線を中心とする円筒状をなしており、その外周面が、一定径の円筒面とその軸方向両側の面取りとからなっている。頭部836の外径は、ディスクバルブ802の内径よりも所定量小径となっている。
第2ケース部材806は、その径方向の中央に、基部831および通路形成部832を軸方向に貫通して、ピストンロッド21の取付軸部28が挿通される挿通穴851が形成されている。基部831の外径面、首部835の外周面および頭部836の外周面は、挿通穴851と同軸状となっている。
第2ケース部材806は、通路形成部832が基部831よりもピストン18M側に位置する向きで配置されており、挿通穴851において取付軸部28Mに嵌合し、基部831において第1ケース部材800の筒状部812に嵌合されている。第1ケース部材800の底部811の外側底部815と、第2ケース部材806の基部831との間に、ディスク801、ディスクバルブ802、ディスク803~805が挟持される。このとき、ディスクバルブ802は、その外周側が、ディスク801,803,804の外周側とともに、第1ケース部材800の外側底部815とディスク805とで軸方向にクランプされる。これにより、ディスクバルブ802は、外周側がピストンロッド21Mに一体に固定される。ディスクバルブ802の円筒面からなる内周面は、第2ケース部材806の通路形成部832の頭部836の円筒面からなる外周面と軸方向の位置を重ね合わせて径方向に対向する。
第1ケース部材800、第2ケース部材806およびディスク805は、ピストンロッド21に一体に連結されて、ディスクバルブ802の外周側をディスク801,803,804を介して片持ち支持することになる。ディスクバルブ802は、内周端が自由端となっている。ディスクバルブ802に加えてディスク801,803,804も、内周側が自由端となっており、弾性変形可能となっている。ディスクバルブ802およびディスク801,803,804は、外周側がピストンロッド21に一体的に移動するように連結され、内周側が弾性変形可能なサブバルブ861を構成している。ディスクバルブ802は、有孔円板状であって自由端である内周部が、通路形成部832を介してピストンロッド21に対向している。
第1ケース部材800および第2ケース部材806は、ディスク801、ディスクバルブ802,ディスク803,804,805を挟持した状態で、第1ケース部材800の内側底部817と第2ケース部材806の通路形成部832とが軸方向に離間して対向している。第1ケース部材800および第2ケース部材806は、これらの内側にケース内室865を形成している。ディスクバルブ802を含むサブバルブ861は、ケース内室865に設けられている。ケース内室865は、第2ケース部材806の通路溝834内の通路を介して下室20に常時連通している。
ケース内室865は、ディスクバルブ802を含むサブバルブ861によって、上室19側の上室連通室871と、下室20側の下室連通室872とに仕切られている。これら上室連通室871および下室連通室872は、ディスクバルブ802と通路形成部832との間の可変通路873を介して常時連通している。ディスク801,803,804とともに、第1ケース部材800、ディスク805および第2ケース部材806に片持ち支持されたディスクバルブ802は、上室連通室871および下室連通室872間の差圧により弾性変形する。
可変通路873は、ディスクバルブ802が弾性変形せずに頭部836の円筒面からなる外周面と軸方向の位置を重ね合わせた状態では、流路断面積が最小となり、ディスクバルブ802が弾性変形して頭部836から離れるほど流路断面積が大きくなる。
第2ケース部材806の通路溝834内の通路と、下室連通室872と、サブバルブ861および通路形成部832の間の可変通路873と、上室連通室871と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、第1ケース部材800およびピストン18Mの間の室875と、ピストン18Mの複数の通路穴39Mと、開弁時に出現するメインバルブ71Mおよびバルブシート部50Mの間の通路とが、縮み行程において上流側となる下室20から下流側となる上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路部881を構成している。減衰力を発生する縮み側の第1減衰力発生機構42Mは、メインバルブ71Mとバルブシート部50Mとを含んでおり、よって、この通路部881に設けられている。通路部881は、ピストン18Mに形成された通路溝771内、環状溝55M内および複数の通路穴38M内の通路も含んでいる。通路溝771内の通路はオリフィス882を構成している。
ピストン18Mの複数の通路穴38M内および環状溝55M内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ91Mおよびバルブシート部48Mの間の通路と、第1ケース部材800およびピストン18Mの間の室875と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、上室連通室871と、サブバルブ861および通路形成部832の間の可変通路873と、下室連通室872と、第2ケース部材806の通路溝834内の通路とが、伸び行程において上流側となる上室19から下流側となる下室20に向けて油液が流れ出す伸び側の通路部883となる。減衰力を発生する伸び側の第1減衰力発生機構41Mは、メインバルブ91Mとバルブシート部48Mとを含んでおり、よって、この通路部883に設けられている。通路部883は、ピストン18Mに形成された通路溝771内の通路を含んでいる。通路部881,883は、ピストン18Mの移動によりシリンダ2内の上室19および下室20のうちの上流側となる一方から下流側となる他方に作動流体が流れ出す通路885を構成している。
開弁時に出現するメインバルブ71Mおよびバルブシート部50Mの間の通路と、複数の通路穴39M内の通路とが、ピストン18Mの下室20側への移動により上室19に油液が流れ出す縮み側の第1通路888を構成している。よって、第1通路888は、ピストン18Mに形成されている。第1通路888に、これを開閉して減衰力を発生する縮み側の第1減衰力発生機構42Mが設けられている。
開弁時に出現するメインバルブ91Mおよびバルブシート部48Mの間の通路と、環状溝55M内および複数の通路穴38M内の通路とが、ピストン18Mの上室19側への移動によりシリンダ2内の上流側となる上室19からの油液が流れ出す伸び側の第1通路889を構成している。よって、第1通路889は、ピストン18Mに形成されている。第1通路889に、これを開閉して減衰力を発生する伸び側の第1減衰力発生機構41Mが設けられている。
第1ケース部材800およびピストン18Mの間の室875と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、上室連通室871と、サブバルブ861および通路形成部832の間の可変通路873と、下室連通室872と、第2ケース部材806の通路溝834内の通路とが、通路部881および通路部883に共通する第2通路891となっている。第2通路891は、縮み行程において上流側となる下室20から下流側となる上室19に向けて油液が流れ出す縮み側の通路となるとともに、伸び行程において上流側となる上室19から下流側となる下室20に向けて油液が流れ出す伸び側の通路になる。
サブバルブ861および通路形成部832は、この第2通路891を開閉し、この第2通路891での油液の流動を抑制して減衰力を発生する伸縮両行程での第2減衰力発生機構892を構成している。よって、第2減衰力発生機構892は、通路部881および通路部883に共通の第2通路891に設けられている。
第2通路891は、縮み側の第1通路888と直列しており、第1通路888に第1減衰力発生機構42Mが、第2通路891に第2減衰力発生機構892が、それぞれ設けられている。よって、第1減衰力発生機構42Mおよび第2減衰力発生機構892は、直列に配置されている。
第2通路891は、伸び側の第1通路889と直列しており、第1通路889に第1減衰力発生機構41Mが、第2通路891に第2減衰力発生機構892が、それぞれ設けられている。よって、第1減衰力発生機構41Mおよび第2減衰力発生機構892は、直列に配置されている。
伸び側の第1減衰力発生機構41Mおよび第2減衰力発生機構892のうち、第1減衰力発生機構41Mのメインバルブ91Mは、第2減衰力発生機構892のサブバルブ861よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、伸び行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構41Mは閉弁した状態で第2減衰力発生機構892が開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構41Mおよび第2減衰力発生機構892がともに開弁することになる。
すなわち、伸び行程においては、ピストン18Mが上室19側に移動することで上室19の圧力が高くなり、下室20の圧力が低くなるが、ピストン速度が、低いときの伸び行程においては、通路部883が、流路断面積が最小の状態の可変通路873を介して上室19と下室20とを連通させている。よって、上室19の油液が、ピストン18Mの複数の通路穴38M内および環状溝55M内の通路と、オリフィス882と、室875と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、上室連通室871と、流路断面積が最小の状態の可変通路873と、下室連通室872と、第2ケース部材806の通路溝834内の通路とを介して下室20に流れる。
そして、ピストン速度が、これよりも高速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構41Mは閉弁した状態で、第2減衰力発生機構892のサブバルブ861が下室連通室872側に変形し開弁して可変通路873を含む通路部883で上室19から下室20に油液を流す。このとき、ピストン速度の増大に応じてサブバルブ861の下室連通室872側への変形量が大きくなり、通路形成部832との間の可変通路873が拡大する。これにより、極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、伸び行程において、ピストン速度が、さらに高速の通常速度領域では、上記のように第2減衰力発生機構892のサブバルブ861が下室連通室872側に変形して開弁量を大きくした状態のまま、第1減衰力発生機構41Mが開弁する。つまり、サブバルブ861が下室連通室872側に変形して可変通路873を含む通路部883で上室19から下室20に油液を流すことになるが、このとき、通路部883においてサブバルブ861よりも上流側に設けられたオリフィス882で油液の流れが絞られることにより、通路部883においてメインバルブ91Mに加わる圧力が高くなって差圧が高まり、メインバルブ91Mがバルブシート部48Mから離座して上室19から下室20に油液を流す。よって、上室19の油液が、複数の通路穴38M内および環状溝55M内の通路と、メインバルブ91Mおよびバルブシート部48Mの間の通路と、室875と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、上室連通室871と、流路断面積が拡大している状態の可変通路873と、下室連通室872と、第2ケース部材806の通路溝834内の通路とを介して下室20に流れる。これにより、通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
縮み側の第1減衰力発生機構42Mおよび第2減衰力発生機構892のうち、第1減衰力発生機構42Mのメインバルブ71Mは、第2減衰力発生機構892のサブバルブ861よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、縮み行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構42Mは閉弁した状態で第2減衰力発生機構892が開弁し、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構42Mおよび第2減衰力発生機構892がともに開弁することになる。
すなわち、縮み行程においては、ピストン18Mが下室20側に移動することで下室20の圧力が高くなり、上室19の圧力が低くなるが、ピストン速度が低い状態での縮み行程においては、通路部881が、流路断面積が最小の状態の可変通路873を介して上室19と下室20とを連通させている。よって、下室20の油液が、第2ケース部材806の通路溝834内の通路と、下室連通室872と、流路断面積が最小の状態の可変通路873と、上室連通室871と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、室875と、オリフィス882と、ピストン18Mの環状溝55M内および複数の通路穴38M内の通路とを介して上室19に流れる。
そして、ピストン速度が、これよりも高速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構42Mは閉弁した状態で第2減衰力発生機構892のサブバルブ861が上室連通室871側に変形し開弁する。このとき、ピストン速度の増大に応じてサブバルブ861の上室連通室871側への変形量が大きくなり、通路形成部832との間の可変通路873が拡大する。これにより、極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、縮み行程において、ピストン速度がさらに高速の通常速度領域では、上記のように第2減衰力発生機構892のサブバルブ861が上室連通室871側に変形して開弁量を大きくした状態のまま、第1減衰力発生機構42Mが開弁する。つまり、サブバルブ861が上室連通室871側に変形して可変通路873を含む通路部881で下室20から上室19に油液を流すことになるが、このとき、通路部881は一方の流れがオリフィス882での油液の流量が絞られていることから、他方の流れのメインバルブ71Mに生じる差圧が大きくなり、メインバルブ71Mがバルブシート部50Mから離座して下室20から上室19に油液を流す。よって、下室20の油液が、第2ケース部材806の通路溝834内の通路と、下室連通室872と、流路断面積が拡大した状態の可変通路873と、上室連通室871と、第1ケース部材800の貫通穴826内の通路と、室875と、複数の通路穴39M内の通路と、メインバルブ71Mおよびバルブシート部50Mの間の通路とを介して流れる。これにより、通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。
第13実施形態の緩衝器1Mは、室875と、下室20とを連通させるよう通路901が設けられている。そして、第2減衰力発生機構892には、アキュムレータ565Mが、この通路901に設けられている。この場合、通路901における室875への連通部分に、体積可変機構185Mの中間室147を接続させ、通路901における下室20への連通部分に、体積可変機構561Mの連通室149を接続させる。体積可変機構561Mは、連通室149と下室20との間にオリフィスとしての連通路148を有している。
第13実施形態の緩衝器1Mは、油圧回路図が第11実施形態と同様となり、第11実施形態と作動および効果も同様である。
以上の第13実施形態においても、第2減衰力発生機構892を上室19および下室20のうちの一方である下室20側に設けたが、上室19側に設けることも可能である。
なお、以上の実施形態では、ピストンと弁座部材との間に有底筒状のキャップ部材を備え、キャップ室内に、キャップ部材の底部の連通路を閉塞する撓み可能な可撓部材が設けられ、可撓部材と弁座部材との間に、可撓部材によって連通路との連通が遮断される中間室が形成される構成を示した。しかし、これに限らず、例えば特開2015-232403号公報に示されるように、中間室を形成する部材を別に設けるようにしてもよい。
上記第1~第13実施形態は、モノチューブ式の油圧緩衝器に本発明を適用した例を示したが、これに限らず、シリンダを外筒と内筒とで構成し、外筒と内筒との間にリザーバ室を形成する複筒式の油圧緩衝器に用いてもよく、ディスクにシール部材を設けた構造のパッキンバルブを使用した圧力制御バルブを含むあらゆる緩衝器に用いることができる。
上記第1~第13実施形態では、第1通路、第2通路、第1減衰力発生機構および第2減衰力発生機構をピストン等のピストンロッドと一体に移動する部品に設けたが、これに限らない。例えば、複筒式の緩衝器の場合、シリンダのピストンロッドが延出する側とは反対側に設けられるボトムバルブに第1通路、第2通路、第1減衰力発生機構および第2減衰力発生機構を設けても良い。また、シリンダの外周面に取り付けられる横付バルブに第1通路、第2通路、第1減衰力発生機構および第2減衰力発生機構を設けても良い。
以上に述べた実施形態の第1の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられ、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の一側に設けられるサブバルブと、前記第2通路と並列に設けられた体積室の体積を変更する体積可変機構と、を有する。これにより、異音の発生を抑制することが可能となる。
第2の態様は、第1の態様において、前記体積可変機構は、前記体積室と、移動して体積室の体積を変更する移動部材と、を有する。
第3の態様は、第1または第2の態様において、所定周波数を超えると、前記体積可変機構により、前記サブバルブへの流量を制限する。
第4の態様は、第1乃至第3のいずれか一態様において、前記第1通路と前記第2通路とは、直列に接続されている。
第5の態様は、第1乃至第3のいずれか一態様において、前記第1通路と前記第2通路とは、並列に接続されている。
第6の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられ、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有する。前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の弁座部材に設けられる弁座部材通路部の一側に設けられる一側サブバルブと、前記第2通路における前記ピストンと前記弁座部材との間に設けられる有底筒状のキャップ部材と、を備える。前記弁座部材は前記キャップ部材内に、前記一側サブバルブは前記キャップ部材の底部と前記弁座部材との間のキャップ室内に、それぞれ設けられる。前記第2通路には、前記一側サブバルブが開弁する流れの上流側または下流側にオリフィスが配置される。ピストン速度が低速の領域では前記第1減衰力発生機構は閉弁した状態で前記一側サブバルブが開弁する。ピストン速度が低速よりも大きい速度領域では、前記第1減衰力発生機構および前記一側サブバルブがともに開弁する。前記キャップ部材の底部には、一方の室と連通する連通路が形成される。前記キャップ室内には、前記一側サブバルブと前記キャップ部材の底部との間に、移動可能な移動部材が設けられる。前記移動部材と前記一側サブバルブとの間には、前記移動部材の移動によって体積変更される中間室が形成される体積可変機構を有する。
第7の態様は、第6の態様において、前記弁座部材通路部の他側に設けられ、前記一方の室に設けられる他側サブバルブを有し、前記移動部材と前記他側サブバルブとの、前記一方の室を介する間には、前記移動部材の移動によって体積変更される体積室が形成される体積可変機構を有する。
第8の態様は、第6または第7の態様において、前記移動部材と前記キャップ部材の底部との間、および、前記移動部材と前記一側サブバルブとの間、のうちの少なくともいずれか一方には、Oリングが設けられる。
第9の態様は、第7の態様において、前記移動部材は2枚の皿バネで支持され、これら皿バネは自然状態で凹側を対向させて配置される。
第10の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられ、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる前記室から下流側となる前記室に作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記ピストンに形成される前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記2室のうちの一方の室に配置される環状の弁座部材に設けられ、前記第1通路とは並列の前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有し、前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の前記弁座部材に設けられる弁座部材通路部の一側に設けられる第1サブバルブおよび他側に設けられる第2サブバルブと、前記第2通路における前記ピストンと前記弁座部材との間に設けられる有底筒状のキャップ部材と、を備え、前記弁座部材は前記キャップ部材内に、前記第1サブバルブは前記一方の室に、前記第2サブバルブは前記キャップ部材の底部と前記弁座部材との間のキャップ室内に、それぞれ設けられ、前記第2通路には、前記第1サブバルブが開弁する流れの上流側または下流側にオリフィスが配置され、ピストン速度が低速の領域では前記第1減衰力発生機構は閉弁した状態で前記第2減衰力発生機構が開弁し、ピストン速度が低速よりも大きい速度領域では、前記第1減衰力発生機構および第2減衰力発生機構がともに開弁し、前記キャップ部材の底部には、前記一方の室と連通する連通路が形成され、前記キャップ室内には、前記第2サブバルブと前記キャップ部材の底部との間に、前記連通路を閉塞する撓み可能な可撓部材が設けられ、前記可撓部材と前記第2サブバルブとの間には、前記可撓部材によって前記連通路との連通が遮断される中間室が形成されている。これにより、異音の発生を抑制することが可能となる。
第11の態様は、第10の態様において、前記可撓部材には、前記キャップ部材の底部に常時当接する可撓部材側突出部が一体的に形成されている。
第12の態様は、第10または第11の態様において、前記キャップ部材の底部には、前記可撓部材に常時当接するキャップ部材側突出部が一体的に形成されている。
第13の態様は、第10乃至第12のいずれか一態様において、前記弁座部材通路部は、伸び側の通路部および縮み側の通路部を有し、前記伸び側の通路部および前記縮み側の通路部は、交互に複数同一円周上に設けられている。
第14の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられ、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる前記室から下流側となる前記室に作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記ピストンに形成される前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記2室のうちの一方の室に配置される環状の弁座部材に設けられ、前記第1通路とは並列の前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有し、前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の前記弁座部材に設けられる弁座部材通路部の一側に設けられる第1サブバルブと、前記第2通路における前記ピストンと前記弁座部材との間に設けられる有底筒状のキャップ部材と、を備え、前記弁座部材は前記キャップ部材内に、前記第1サブバルブは前記一方の室に設けられ、前記第2通路には、前記第1サブバルブが開弁する流れの上流側または下流側にオリフィスが配置され、ピストン速度が低速の領域では前記第1減衰力発生機構は閉弁した状態で前記第2減衰力発生機構が開弁し、ピストン速度が低速よりも大きい速度領域では、前記第1減衰力発生機構および第2減衰力発生機構がともに開弁し、前記キャップ部材の底部には、前記一方の室と連通する連通路が形成され、前記キャップ部材の底部と前記弁座部材との間のキャップ室内には、前記連通路を閉塞する撓み可能な可撓部材が設けられ、前記可撓部材と前記弁座部材との間には、前記可撓部材によって前記連通路との連通が遮断される中間室が形成されている。
第15の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられ、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の上流側となる前記室から下流側となる前記室に作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記ピストンに形成される前記第1通路に設けられ、減衰力を発生する第1減衰力発生機構と、前記2室のうちの一方の室に配置される環状の弁座部材に設けられ、前記第1通路とは並列の前記第2通路に設けられて減衰力を発生する第2減衰力発生機構と、を有し、前記第2減衰力発生機構は、前記第2通路の前記弁座部材に設けられる弁座部材通路部の一側に設けられる第1サブバルブを備え、前記弁座部材には、前記一方の室に前記第1サブバルブが設けられ、前記第2通路には、前記第1サブバルブが開弁する流れの上流側または下流側にオリフィスが配置され、ピストン速度が低速の領域では前記第1減衰力発生機構は閉弁した状態で前記第2減衰力発生機構が開弁し、ピストン速度が低速よりも大きい速度領域では、前記第1減衰力発生機構および第2減衰力発生機構がともに開弁し、内部に前記第2通路の少なくとも一部の通路が形成されるハウジングと、前記ハウジング内に移動可能に設けられ、前記第2通路を上流と下流に画成するフリーピストンとが設けられ、前記フリーピストンによって前記第2通路の連通が遮断される中間室が形成される。