[第1実施形態]
第1実施形態を図1~図3に基づいて説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図面における上側を「上」とし、図面における下側を「下」として説明する。
<構成>
第1実施形態の緩衝器1は、鉄道車両や二輪、四輪等の自動車のサスペンション装置に用いられる緩衝器である。緩衝器1は、具体的には四輪自動車のサスペンション装置に用いられる緩衝器である。図1に示すように、緩衝器1は、内筒2と外筒3とを有するシリンダ4を備えた複筒式の緩衝器である。内筒2は円筒状である。外筒3は内筒2よりも大径の有底筒状である。外筒3は内筒2の径方向外側に、内筒2と同軸状に設けられている。外筒3と内筒2との間はリザーバ室5となっている。
外筒3は胴部材8と底部材9とを有している。胴部材8は、軸方向両端側が軸方向中間部よりも小径とされた段付き円筒状である。底部材9は、胴部材8の軸方向の一端部を閉塞する。胴部材8の底部材9とは反対側は開口部となっている。
緩衝器1はバルブボディ12とロッドガイド13とを備えている。バルブボディ12は、円環状であり、内筒2の軸方向の一端部に設けられている。ロッドガイド13は、円環状であり、内筒2および外筒3の軸方向の他端部に設けられている。バルブボディ12は、ベースバルブ15を構成するものであり、外周部が段差状をなしている。ロッドガイド13も、外周部が段差状をなしており、その大径部分が胴部材8に径方向に位置決めされて載置されている。
内筒2は、軸方向の一端部が、バルブボディ12の外周部の小径部分に嵌合されている。内筒2は、軸方向の一端部が、このバルブボディ12を介して外筒3の底部材9に係合している。また、内筒2は、軸方向の他端部が、ロッドガイド13の外周部の小径部分に嵌合されている。内筒2は、軸方向の他端部が、このロッドガイド13を介して外筒3の胴部材8に係合している。この状態で、内筒2は、外筒3に対して径方向に位置決めされている。ここで、バルブボディ12と底部材9との間は、バルブボディ12に形成された通路溝16を介して内筒2と外筒3との間に連通している。バルブボディ12と底部材9との間は、内筒2と外筒3との間と同様、リザーバ室5を構成している。
緩衝器1はシール部材18を備えている。シール部材18は、ロッドガイド13の底部材9とは反対側に設けられている。このシール部材18も、ロッドガイド13と同様に胴部材8の内周部に嵌合されている。胴部材8の底部材9とは反対の端部には係止部19が形成されている。係止部19は、胴部材8をカール加工等の加締め加工によって径方向内方に塑性変形させて形成されている。シール部材18は、この係止部19とロッドガイド13とに挟持されている。シール部材18は、外筒3の開口部を閉塞するものであり、具体的にはオイルシールである。
緩衝器1はピストン21を備えている。ピストン21は、シリンダ4内に摺動可能に設けられている。ピストン21は、シリンダ4の内筒2に摺動可能に設けられている。ピストン21は、内筒2内を上室22と下室23との2室に区画している。上室22は、内筒2内のピストン21とロッドガイド13との間に設けられている。下室23は、内筒2内のピストン21とバルブボディ12との間に設けられている。下室23は、バルブボディ12によって、リザーバ室5と画成されている。シリンダ4内には、上室22および下室23に作動流体としての油液Lが封入されている。シリンダ4内には、リザーバ室5に作動流体としてのガスGと油液Lとが封入されている。
緩衝器1はピストンロッド25を備えている。ピストンロッド25は、軸方向の一端側部分がシリンダ4の内部に配置されてピストン21に連結され固定されている。ピストンロッド25は、それと共に他端側部分がシリンダ4の外部に延出されている。ピストンロッド25は、金属製であって、上室22内を貫通している。ピストンロッド25は下室23を貫通していない。よって、上室22はピストンロッド25が貫通するロッド側室である。下室23はシリンダ4の底部材9側のボトム側室である。
ピストン21およびピストンロッド25は一体に移動する。ピストンロッド25がシリンダ4からの突出量を増やす緩衝器1の伸び行程において、ピストン21は上室22側へ移動することになる。ピストンロッド25がシリンダ4からの突出量を減らす緩衝器1の縮み行程において、ピストン21は下室23側へ移動することになる。
ロッドガイド13およびシール部材18は、いずれも円環状である。ピストンロッド25は、これらロッドガイド13およびシール部材18のそれぞれの内側に摺動可能に挿通されてシリンダ4の内部から外部に延出されている。ピストンロッド25は、軸方向の一端側部分がシリンダ4の内部でピストン21に固定されている。ピストンロッド25は、軸方向の他端側部分がシリンダ4の外部に、ロッドガイド13およびシール部材18を介して延出している。
ロッドガイド13は、シリンダ4に対してピストンロッド25を、その径方向の移動を規制しつつその軸方向に移動可能に支持する。ロッドガイド13は、ピストンロッド25の軸方向の移動を案内する。シール部材18は、その外周部がシリンダ4の外筒3に密着する。シール部材18は、その内周部が、軸方向に移動するピストンロッド25の外周部に摺接する。これにより、シール部材18は、シリンダ4内の油液LやガスGが外部に漏れ出すのを防止する。
ピストンロッド25は主軸部27と取付軸部28とを有している。取付軸部28は主軸部27よりも小径である。ピストンロッド25は、主軸部27が、ロッドガイド13およびシール部材18に摺動可能に嵌合されている。ピストンロッド25は、取付軸部28がシリンダ4内に配置されてピストン21等に連結されている。主軸部27の取付軸部28側の端部は、軸直交方向に広がる軸段部29となっている。
取付軸部28の外周部には、通路切欠部30が形成されている。通路切欠部30は、取付軸部28の軸方向の中間位置に形成されており、取付軸部28の軸方向に延びている。取付軸部28の外周部には、軸方向の主軸部27とは反対側の先端位置にオネジ31が形成されている。通路切欠部30は、例えば、取付軸部28の外周部を、取付軸部28の中心軸線に平行な面で平面状に切り欠いて形成されている。通路切欠部30は、取付軸部28の周方向の180度異なる二箇所の位置にいわゆる二面幅の形状に形成できる。
緩衝器1は、例えばピストンロッド25のシリンダ4からの突出部分が鉛直方向の上部に配置されて車体により支持される。その際に、緩衝器1は、シリンダ4の底部材9が鉛直方向の下部に配置されて車輪側に連結される。これとは逆に、シリンダ4側が車体により支持され、ピストンロッド25が車輪側に連結されるようにしても良い。
図2に示すように、ピストン21は、金属製のピストン本体36と合成樹脂製の摺動部材37とを有している。ピストン本体36はピストンロッド25に接して連結される。摺動部材37は、ピストン本体36の外周面に一体に装着されている。ピストン21は、摺動部材37がシリンダ4の内筒2に接して内筒2内を摺動する。
ピストン本体36には、複数(図2では断面とした関係上一箇所のみ図示)の通路穴38と複数(図2では断面とした関係上一箇所のみ図示)の通路穴39とが設けられている。複数の通路穴38および複数の通路穴39は、いずれも上室22と下室23とを連通可能である。
複数の通路穴38は、ピストン本体36の円周方向に等ピッチで配置されている。複数の通路穴38は、ピストン本体36の円周方向において、それぞれ間に一箇所の通路穴39を挟んで配置されている。複数の通路穴38は、通路穴38,39の全数のうちの半数を構成する。複数の通路穴38は、いずれも2箇所の屈曲点を有するクランク形状である。複数の通路穴38は、いずれも、ピストン21の軸方向における下室23側の端部が、上室22側の端部よりもピストン21の径方向における内側に開口している。ピストン本体36には、軸方向の下室23側に円環状の環状溝55が形成されている。環状溝55は、複数の通路穴38を連通させる。
環状溝55の下室23側には第1減衰力発生機構41が設けられている。第1減衰力発生機構41は、複数の通路穴38内および環状溝55内の通路を開閉して減衰力を発生する。第1減衰力発生機構41が下室23側に配置されることで、複数の通路穴38内および環状溝55内の通路は、ピストン21の上室22側への移動において上流側となる上室22から下流側となる下室23に向けて油液Lが流れ出す通路となる。複数の通路穴38内および環状溝55内の通路は、緩衝器1の伸び行程において上流側となる上室22から下流側となる下室23に向けて油液Lが流れ出す伸び側の通路となる。第1減衰力発生機構41は、伸び側の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路に対して設けられている。第1減衰力発生機構41は、伸び側の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路から下室23への油液Lの流動を抑制して減衰力を発生する伸び側の減衰力発生機構となっている。
通路穴38,39の全数のうちの残りの半数を構成する複数の通路穴39は、ピストン本体36の円周方向において、等ピッチで配置されている。複数の通路穴39は、それぞれ間に一箇所の通路穴38を挟んで配置されている。複数の通路穴39は、いずれも2箇所の屈曲点を有するクランク形状である。複数の通路穴39は、いずれも、ピストン21の軸方向における上室22側の端部が、下室23側の端部よりもピストン21の径方向における内側に開口している。ピストン本体36には、軸方向の上室22側に円環状の環状溝56が形成されている。環状溝56は複数の通路穴39を連通させる。
環状溝56の上室22側には第1減衰力発生機構42が設けられている。第1減衰力発生機構42は、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路を開閉して減衰力を発生する。第1減衰力発生機構42が上室22側に配置されることで、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路は、ピストン21の下室23側への移動において上流側となる下室23から下流側となる上室22に向けて油液Lが流れ出す通路となる。複数の通路穴39内および環状溝56内の通路は、緩衝器1の縮み行程において上流側となる下室23から下流側となる上室22に向けて油液Lが流れ出す縮み側の通路となる。第1減衰力発生機構42は、縮み側の複数の通路穴39内および環状溝56内の通路に対して設けられている。第1減衰力発生機構42は、縮み側の複数の通路穴39内および環状溝56内の通路から上室22への油液Lの流動を抑制して減衰力を発生する縮み側の減衰力発生機構となっている。
ピストン本体36は、略円板形状をなしており、その径方向の中央に挿入穴44が形成されている。挿入穴44は、ピストン本体36を、その軸方向に貫通している。挿入穴44に、ピストンロッド25の取付軸部28が挿入される。挿入穴44は小径穴部45と大径穴部46とを有している。小径穴部45は、挿入穴44の軸方向の中央から一側に配置されている。大径穴部46は、挿入穴44の軸方向他側に配置されている。大径穴部46は小径穴部45よりも大径である。ピストン本体36は、小径穴部45が軸方向の上室22側に設けられ、大径穴部46が軸方向の下室23側に設けられている。ピストン21は、その小径穴部45にピストンロッド25の取付軸部28を嵌合させる。これにより、ピストン21は、ピストンロッド25に対して径方向に位置決めされる。
ピストン本体36の軸方向の下室23側の端部には内側シート部47とバルブシート部48とが形成されている。内側シート部47は、環状溝55の下室23側の開口よりもピストン本体36の径方向における内側に配置されている。内側シート部47は円環状である。バルブシート部48は、環状溝55の下室23側の開口よりも、ピストン本体36の径方向における外側に配置されている。バルブシート部48は円環状である。バルブシート部48は第1減衰力発生機構41の一部を構成している。
ピストン本体36の軸方向の上室22側の端部には内側シート部49とバルブシート部50とが形成されている。内側シート部49は、環状溝56の上室22側の開口よりもピストン本体36の径方向における内側に配置されている。内側シート部49は円環状である。バルブシート部50は、環状溝56の上室22側の開口よりも、ピストン本体36の径方向における外側に配置されている。バルブシート部50は円環状である。バルブシート部50は第1減衰力発生機構42の一部を構成している。
ピストン本体36の挿入穴44は、大径穴部46が、小径穴部45よりも軸方向の内側シート部47側に設けられている。ピストン本体36の大径穴部46内の通路は、ピストンロッド25の通路切欠部30内のピストンロッド通路部51と軸方向の位置を重ね合わせている。大径穴部46内の通路はピストンロッド通路部51と常時連通している。
ピストン本体36において、バルブシート部48よりも径方向外側は、バルブシート部48よりも軸線方向高さが低い段差状をなしている。ピストン本体36には、この段差状の部分に縮み側の通路穴39の下室23側の開口が配置されている。また、同様に、ピストン本体36において、バルブシート部50よりも径方向外側は、バルブシート部50よりも軸線方向高さが低い段差状をなしている。ピストン本体36は、この段差状の部分に伸び側の通路穴38の上室22側の開口が配置されている。
縮み側の第1減衰力発生機構42は、ピストン21のバルブシート部50を含んでいる。第1減衰力発生機構42は、軸方向のピストン21側から順に、一枚のディスク63と、複数枚(具体的には二枚)のディスク64と、複数枚(具体的には三枚)のディスク65と、複数枚(具体的には二枚)のディスク66と、一枚のディスク67と、一枚のディスク68と、一枚の環状部材69と、を有している。複数枚のディスク64は同一外径である。複数枚のディスク65は同一外径である。複数枚のディスク66は同一外径である。ディスク63~68および環状部材69は、いずれも金属製であり、いずれも、厚さが一定かつ径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状をなしている。ディスク63~68および環状部材69は、いずれも内側に取付軸部28を嵌合させることでピストンロッド25に対して径方向に位置決めされる。ディスク63~68は、プレーンディスクである。プレーンディスクは、軸方向に突出する突起のない平面ディスクである。
ディスク63は、ピストン21の内側シート部49の外径よりも大径であってバルブシート部50の内径よりも小径の外径となっている。ディスク63は、内側シート部49に常時当接している。複数枚のディスク64は、ピストン21のバルブシート部50の外径と同等の外径となっている。複数枚のディスク64は、最もディスク63側のディスク64がバルブシート部50に着座可能となっている。複数枚のディスク65は、ディスク64の外径よりも小径の外径となっている。複数枚のディスク66は、ディスク65の外径よりも小径の外径となっている。ディスク67は、ディスク66の外径よりも小径であってピストン21の内側シート部49の外径と同等の外径となっている。ディスク68は、ディスク65の外径と同等の外径となっている。環状部材69は、ディスク68の外径よりも小径であってピストンロッド25の軸段部29の外径よりも大径の外径となっている。環状部材69は、ディスク63~68よりも厚く高剛性となっており、軸段部29に当接している。
複数枚のディスク64、複数枚のディスク65および複数枚のディスク66が、バルブシート部50に離着座可能な縮み側のメインバルブ71を構成している。メインバルブ71は、バルブシート部50から離座することで、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路を上室22に連通させる。その際に、メインバルブ71は、バルブシート部50との間の油液Lの流れを抑制して減衰力を発生する。環状部材69は、ディスク68とによって、メインバルブ71の開方向への規定以上の変形をメインバルブ71に当接して規制する。
複数の通路穴39内および環状溝56内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ71およびバルブシート部50の間の通路とが第1通路72を構成している。第1通路72はピストン21に設けられている。第1通路72は、ピストン21の下室23側への移動によりシリンダ4内の上流側となる下室23から下流側となる上室22に油液Lが流れ出す。第1通路72は縮み側の通路である。減衰力を発生する縮み側の第1減衰力発生機構42は、メインバルブ71とバルブシート部50とを含んでいる。よって、第1減衰力発生機構42は、この第1通路72に設けられている。第1通路72は、バルブシート部50を含むピストン21に設けられており、ピストンロッド25およびピストン21が縮み側に移動するときに油液Lが通過する。
ここで、縮み側の第1減衰力発生機構42には、バルブシート部50およびこれに当接するメインバルブ71のいずれにも固定オリフィスは形成されていない。固定オリフィスは、バルブシート部50およびメインバルブ71が当接状態にあっても上室22と下室23とを連通させるものである。すなわち、縮み側の第1減衰力発生機構42は、バルブシート部50およびメインバルブ71が全周にわたって当接状態にあれば、上室22と下室23とを連通させることはない。言い換えれば、第1通路72には、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスが設けられていない。第1通路72は、上室22と下室23とを常時連通させる通路ではない。
伸び側の第1減衰力発生機構41は、ピストン21のバルブシート部48を含んでいる。第1減衰力発生機構41は、軸方向のピストン21側から順に、一枚のディスク82と、一枚のディスク83と、複数枚(具体的には四枚)のディスク84と、一枚のディスク85と、複数枚(具体的には三枚)のディスク86と、一枚のディスク87と、を有している。複数枚のディスク84は同一外径である。複数枚のディスク86は同一外径である。ディスク82~87は、金属製であって、円環状である。ディスク83~87は、いずれも、厚さが一定かつ全周にわたって径方向幅が一定の有孔円形平板状をなすプレーンディスクである。ディスク82~87は、いずれも内側に取付軸部28を嵌合させることで、ピストンロッド25に対して径方向に位置決めされる。
ディスク82は、ピストン21の内側シート部47の外径よりも大径であってバルブシート部48の内径よりも小径の外径となっている。ディスク82は、内側シート部47に常時当接している。ディスク82には、切欠部90が、径方向の内側シート部47よりも外側の途中位置から内周縁部まで形成されている。切欠部90は、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を、ピストン21の大径穴部46内の通路およびピストンロッド25のピストンロッド通路部51に常時連通させる。切欠部90は、ディスク82のプレス成形時に形成される。ディスク83は、ディスク82と同外径であり、ディスク82のような切欠部は形成されていない。複数枚のディスク84は、ピストン21のバルブシート部48の外径と同等の外径となっている。複数枚のディスク84のうちの最もディスク83側のディスク84がバルブシート部48に着座可能となっている。ディスク85は、ディスク84の外径よりも小径の外径となっている。複数枚のディスク86は、ディスク85の外径よりも小径の外径となっている。ディスク87は、ディスク86の外径よりも小径であってピストン21の内側シート部47の外径よりも若干大径の外径となっている。
複数枚のディスク84、一枚のディスク85、複数枚のディスク86が、バルブシート部48に離着座可能な伸び側のメインバルブ91を構成している。メインバルブ91は、バルブシート部48から離座することで、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を下室23に連通させる。その際に、メインバルブ91は、バルブシート部48との間の油液Lの流れを抑制して減衰力を発生する。
複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、開弁時に出現するメインバルブ91およびバルブシート部48の間の通路とが、第1通路92を構成している。第1通路92は、ピストン21に形成されている。第1通路92は、ピストン21の上室22側への移動によりシリンダ4内の上流側となる上室22から下流側となる下室23に油液Lが流れ出す。第1通路92は伸び側の通路である。減衰力を発生する伸び側の第1減衰力発生機構41は、メインバルブ91とバルブシート部48とを含んでいる。よって、第1減衰力発生機構41は、この第1通路92に設けられている。第1通路92は、バルブシート部48を含むピストン21に設けられており、ピストンロッド25およびピストン21が伸び側に移動するときに油液Lが通過する。
伸び側の第1減衰力発生機構41には、バルブシート部48およびこれに当接するメインバルブ91のいずれにも固定オリフィスは形成されていない。固定オリフィスは、バルブシート部48およびメインバルブ91が当接状態にあっても上室22と下室23とを連通させるものである。すなわち、伸び側の第1減衰力発生機構41は、バルブシート部48およびメインバルブ91が全周にわたって当接状態にあれば、上室22と下室23とを連通させることはない。言い換えれば、第1通路92には、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスは設けられていない。第1通路92は、上室22と下室23とを常時連通させる通路ではない。
図3に示すように、伸び側の第1減衰力発生機構41のピストン21とは反対側には、第1減衰力発生機構41側から順に、一つのケース部材95と、一枚の皿バネ116と、一枚のディスク97と、一枚のディスクバルブ100と、が設けられている。また、ディスクバルブ100のディスク97とは反対側に、ディスクバルブ100側から順に、一枚の弁座ディスク101と、一枚のディスク102と、一枚のディスク104と、が設けられている。また、ディスク104のディスク102とは反対側に、ディスク104側から順に、一枚のバネ部材105と、一枚のディスク106と、一枚のサブバルブ107と、外周側に一つのOリング108が設けられた一つの弁座部材109と、が設けられている。また、弁座部材109のサブバルブ107とは反対側に、弁座部材109側から順に、一枚のサブバルブ110と、一枚のディスク111と、一枚のバネ部材112と、一枚のディスク113と、一枚の環状部材114とが、設けられている。ケース部材95、皿バネ116、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107,110、弁座部材109および環状部材114は、ピストンロッド25の取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させている。取付軸部28をそれぞれの内側に嵌合させることにより、ケース部材95、皿バネ116、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107,110、弁座部材109および環状部材114は、ピストンロッド25に対して径方向に位置決めされる。
図2に示すように、ピストンロッド25の取付軸部28には、環状部材114よりも突出する部分にオネジ31が形成されている。このオネジ31にナット119が螺合されている。ナット119は、環状部材114に当接している。
環状部材69、ディスク63~68,82~87、ピストン21、ケース部材95、図3に示す皿バネ116、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107,110、弁座部材109および環状部材114は、図2に示すように、それぞれの少なくとも径方向内周側がピストンロッド25の軸段部29とナット119とによって軸方向にクランプされている。これら環状部材69、ディスク63~68,82~87、ピストン21、ケース部材95、図3に示す皿バネ116、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107,110、弁座部材109および環状部材114は、それぞれの少なくとも径方向内周側がピストンロッド25に固定されている。この状態で、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107,110、弁座部材109および皿バネ116が、ケース部材95内に配置されている。言い換えれば、ケース部材95は、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107、弁座部材109および皿バネ116を覆っている。
ケース部材95、ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105,112、サブバルブ107,110、弁座部材109、環状部材114および皿バネ116は、いずれも金属製である。ディスク97,102,104,106,111,113、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、サブバルブ107,110および環状部材114は、いずれも、厚さが一定かつ径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状をなすプレーンディスクである。ケース部材95、弁座部材109および皿バネ116は、いずれも径方向の幅が全周にわたって一定の円環状である。バネ部材105,112は環状である。
ケース部材95は、有底筒状の一体成形品であり、例えば金属板の塑性加工や切削加工により形成されている。ケース部材95は底部122と中間テーパ部123と筒状部124とを有している。底部122は、一定厚さの有孔円板状である。中間テーパ部123は、底部122の外周縁部から、底部122の軸方向一側に、拡径しつつ延出している。中間テーパ部123は円環状である。筒状部124は、中間テーパ部123の軸方向において、中間テーパ部123の底部122とは反対側の端縁部から底部122とは反対方向に延出している。筒状部124は円筒状である。
底部122は、径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状である。底部122は、内周部にピストンロッド25の取付軸部28を嵌合させる。これにより、ケース部材95は、ピストンロッド25に対し径方向に位置決めされて同軸状に配置される。底部122には複数の通路孔126が形成されている。複数の通路孔126は、底部122の内周部と外周部との間に配置されており、底部122を底部122の軸方向に貫通している。複数の通路孔126は、底部122の中心から等距離の位置に底部122の周方向に等間隔に配置されている。ケース部材95は、その軸方向において、底部122が筒状部124よりもピストン21側に位置する向きで配置されてディスク87に当接している。ディスク87の外径は、ケース部材95の径方向の中心と通路孔126とを結ぶ最短距離の2倍よりも小径となっている。
中間テーパ部123は、底部122と同軸のテーパ状である。中間テーパ部123は、その軸方向において底部122から離れるほど大径となるテーパ状である。筒状部124も、底部122および中間テーパ部123と同軸状である。
底部122は、その軸方向における筒状部124側の底面122aが平面状である。中間テーパ部123は、その軸方向における筒状部124側の内面123aがテーパ状である。内面123aは、その軸方向において底面122aから離れるほど大径となるテーパ状である。筒状部124は、その径方向内側の内周面124aが円筒面状である。底部122の底面122aと中間テーパ部123の内面123aとは連続している。中間テーパ部123の内面123aと筒状部124の内周面124aとは連続している。
ケース部材95は、ディスク84~86の一枚の厚さよりも厚く、有底筒状をなすことも合わせて、ディスク84~86よりも高剛性となっている。よって、ケース部材95は、複数枚のディスク84~86で構成されるメインバルブ91の開方向への規定以上の変形をメインバルブ91に当接して規制する。
皿バネ116は、金属製の有孔円形の板状であり、撓み可能である。皿バネ116は、一枚の板材からプレス成形による打ち抜き加工およびプレス成形による曲げ加工によって形成される。皿バネ116は、内側円環部401と、中間円環部402と、外側テーパ部403と、支持部404と、を有している。内側円環部401は、有孔円形平板状である。中間円環部402は、内側円環部401の外径よりも大径の内径を有する有孔円形平板状である。支持部404は、内側円環部401と中間円環部402との間に設けられて、これらを繋いでいる。内側円環部401と中間円環部402と支持部404とは同一平面に配置された平板状である。外側テーパ部403は、中間円環部402の外周縁部から径方向外方かつ軸方向一側に広がる円錐筒状である。皿バネ116は、その外径側の部分が外側テーパ部403となっている。外側テーパ部403は、径方向の幅が全周にわたって一定である。外側テーパ部403は、軸方向の長さが全周にわたって一定である。
皿バネ116は、その内径側が、内側円環部401と中間円環部402と支持部404とを有する内側平板状部414である。内側平板状部414は、径方向の幅が全周にわたって一定である。内側平板状部414は、内側円環部401と中間円環部402と支持部404とが同一平面に配置されている。外側テーパ部403は、皿バネ116の軸方向において内側平板状部414とは反対の一端部が、外側テーパ部403の外周端となっている。外側テーパ部403の外周端は、皿バネ116の外周端である。皿バネ116の外周端は、ディスクバルブ100に当接する当接部416となっている。当接部416は円環状である。皿バネ116は、その軸方向において、一端側の当接部416とは反対の他端側に内側平板状部414を有している。皿バネ116は、当接部416よりも内周側の部位が主体部417となっている。主体部417は、内側平板状部414と外側テーパ部403の当接部416を除く部位とからなっている。
皿バネ116は、外側テーパ部403の外径すなわち皿バネ116の外径がケース部材95の筒状部124の内径よりも若干小径となっている。皿バネ116は、内側円環部401と中間円環部402と支持部404とを有する内側平板状部414が、ケース部材95の底部122の底面122aに当接する。この状態で、皿バネ116は、外側テーパ部403が軸方向において筒状部124と同側に延出する状態とされる。皿バネ116は、この状態で内側円環部401の内周側に取付軸部28を嵌合させることにより、ピストンロッド25に対して径方向に位置決めされる。皿バネ116は、内周端部がピストンロッド25と当接するように形成されている。皿バネ116の径方向外側に、ケース部材95の筒状部124が配置されている。皿バネ116は、その当接部416が、ケース部材95の中間テーパ部123の内面123aに軸方向において対向する。
ここで、ケース部材95の中間テーパ部123は、その内面123aの最小径が皿バネ116の外側テーパ部403の外径よりも小径であって、内側平板状部414の外径よりも大径である。中間テーパ部123は、その内面123aの最大径が皿バネ116の外側テーパ部403の外径よりも大径である。言い換えれば、中間テーパ部123は、その内面123aの最小径が当接部416の外径よりも小径であり、その内面123aの最大径が当接部416の外径よりも大径である。中間テーパ部123は、その内面123aが、その軸方向において底部122の底面122aよりも皿バネ116が配置される側に変形している。しかも、中間テーパ部123の内面123aは、その軸方向において皿バネ116の内側平板状部414よりも底部122とは反対側まで延びている。言い換えれば、中間テーパ部123の内面123aは、その軸方向において底部122の底面122aよりも皿バネ116が配置される側に位置している。さらに言い換えれば、中間テーパ部123の内面123aは、皿バネ116の軸方向一端側の当接部416よりも内周側にある主体部417の軸方向他端側の端部よりも、軸方向において当接部416側へ変形して形成されている。中間テーパ部123の内面123aは、皿バネ116の軸方向における一端側の当接部416が、当接部416よりも内周側の部位である主体部417よりも、皿バネ116の軸方向における他端側に変位することを抑制する。皿バネ116のこのような変位を、ケース部材95は、当接部416に対向する中間テーパ部123の内面123aで皿バネ116に当接して抑制する。
内側円環部401、中間円環部402および外側テーパ部403は、いずれも全周にわたって径方向の幅が一定である。外側テーパ部403の径方向の幅は、内側円環部401の径方向の幅よりも広くなっている。内側円環部401の径方向の幅は、中間円環部402の径方向の幅よりも広くなっている。内側円環部401と中間円環部402と外側テーパ部403とは同軸状に配置されている。支持部404は、内側円環部401と、中間円環部402および外側テーパ部403とを同軸の状態で連結する。支持部404は、内側円環部401および中間円環部402の円周方向に延びて内側円環部401の外周縁部と中間円環部402の内周縁部とを結んでいる。
皿バネ116は、内側円環部401と中間円環部402と支持部404とで囲まれて穴部415が形成されている。穴部415は、皿バネ116を厚さ方向(軸方向)に貫通している。穴部415は、内側円環部401と中間円環部402との間に設けられている。よって、皿バネ116は、内周端部から外周端部までの間に穴部415を有している。穴部415は、内側平板状部414に設けられている。
皿バネ116は、中間円環部402の内径が、ケース部材95の径方向の中心と通路孔126とを結ぶ最長距離の2倍よりも小径である。中間円環部402の内径は、ケース部材95の径方向の中心と通路孔126とを結ぶ最短距離の2倍よりも大径である。よって、皿バネ116は、穴部415内の通路が底部122の通路孔126内の通路に常時連通する。また、皿バネ116は、中間円環部402の外径すなわち外側テーパ部403の内径が、ケース部材95の径方向の中心と通路孔126とを結ぶ最長距離の2倍よりも大径となっている。皿バネ116は、中間円環部402が、ケース部材95の底部122の底面122aの全ての通路孔126よりも底部122の径方向における外側位置に全周にわたって当接する。
ディスク97は、外径が、皿バネ116の内側円環部401の外径よりも小径となっている。
皿バネ116は、内側円環部401が、ケース部材95の底部122とディスク97とによって軸方向にクランプされることになる。これにより、皿バネ116は、内側円環部401がピストンロッド25に固定される。支持部404と中間円環部402とについては、ケース部材95の底面122aに当接するものの、ディスク97には当接せず、よって、軸方向にクランプはされない。
ディスクバルブ100は、撓み可能である。ディスクバルブ100は、内周端部がピストンロッド25と当接する。ディスクバルブ100は、外径が、皿バネ116の外径よりも大径となっており、ケース部材95の筒状部124の内径よりも若干小径となっている。ディスクバルブ100は、皿バネ116の板厚と同等の厚さとなっている。皿バネ116は、円形の当接部416が全周にわたってディスクバルブ100の外周縁部側に当接する。
ディスクバルブ100は、一枚の板材からプレス成形による打ち抜きによって形成される。ディスクバルブ100は、ピストンロッド25に組み付けられる前の自然状態で、平板状をなす。ディスクバルブ100は、径方向の中間位置に連通孔501が複数形成されている。全ての連通孔501は同径の丸穴であり、ディスクバルブ100を、その厚さ方向(軸方向)に貫通している。全ての連通孔501は、ディスクバルブ100の中心から等距離の位置に形成されている。全ての連通孔501は、ディスクバルブ100の周方向に等間隔で形成されている。ディスクバルブ100の連通孔501は、ディスク97では閉塞されることがない位置に形成されている。
弁座ディスク101は、ピストンロッド25に組み付けられる前の自然状態で、平板状をなす。弁座ディスク101は、その外径が、ディスクバルブ100の外径よりも小径となっている。弁座ディスク101は、その外径が、ディスクバルブ100の中心と連通孔501とを結ぶ最大距離の2倍よりも大径となっている。弁座ディスク101は、ディスクバルブ100に全周にわたって面接触で当接する。すると、弁座ディスク101は、ディスクバルブ100の全ての連通孔501を閉塞する。
ディスク102は、その外径が弁座ディスク101の外径よりも小径である。ディスク102は、ディスク97と同形状の共通部品である。ディスク102は、ディスク97とでディスクバルブ100および弁座ディスク101の内周側を軸方向にクランプする。
ディスク104は、その外径が、弁座ディスク101の外径よりも大径であり、ディスクバルブ100の外径よりも若干小径となっている。ディスク104は、ディスクバルブ100および弁座ディスク101よりも厚さが厚く高剛性となっている。
バネ部材105は、基板部331と複数のバネ板部332とを有している。基板部331は径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状である。基板部331は、その内周部に取付軸部28を嵌合させる。複数のバネ板部332は、基板部331の周方向の等間隔位置から基板部331の径方向の外方に延出している。バネ板部332は、延出先端側ほど基板部331から基板部331の軸方向に離れるように基板部331に対して傾斜している。バネ部材105は、基板部331においてディスク104に当接する。バネ部材105は、基板部331からバネ板部332が基板部331の軸方向においてサブバルブ107側に延出するように取付軸部28に取り付けられている。
ディスク106は、外径が、バネ部材105の基板部331の外径よりも小径であってディスク102の外径よりも大径である。バネ部材105は、基板部331がディスク106に当接し、複数のバネ板部332が、サブバルブ107に当接する。
図2に示すように、弁座部材109は有孔円板状である。弁座部材109には貫通孔131が径方向の中央に形成されている。貫通孔131は、弁座部材109の軸方向に延び、弁座部材109を厚さ方向に貫通している。貫通孔131には、ピストンロッド25の取付軸部28が挿入される。貫通孔131は、小径穴部132と大径穴部133とを有している。大径穴部133は小径穴部132よりも大径である。小径穴部132は、貫通孔131における軸方向一側に配置されている。大径穴部133は、貫通孔131における中央から軸方向他側に配置されている。小径穴部132にピストンロッド25の取付軸部28が嵌合される。
弁座部材109は、軸方向の大径穴部133側の端部に、内側シート部134とバルブシート部135を有している。内側シート部134は大径穴部133を囲むように円環状をなしている。バルブシート部135は、この内側シート部134から径方向外方に広がっている。また、弁座部材109は、軸方向反対側の小径穴部132側の端部に、内側シート部138とバルブシート部139とを有している。内側シート部138は小径穴部132を囲むように円環状をなしている。バルブシート部139は、この内側シート部138から径方向外方に広がっている。弁座部材109は、その軸方向の内側シート部134およびバルブシート部135と、内側シート部138およびバルブシート部139と、の間が本体部140となっている。本体部140は有孔円板状である。
内側シート部134は、本体部140の軸方向の大径穴部133側の内周縁部から、本体部140の軸方向に沿って一側に突出している。バルブシート部135は、内側シート部134の径方向外側で本体部140の軸方向に沿って本体部140から内側シート部134と同側に突出している。内側シート部134は、突出側の先端面、すなわち本体部140とは反対側の先端面が平坦面である。バルブシート部135は、突出側の先端面、すなわち本体部140とは反対側の先端面が平坦面である。内側シート部134の突出側の先端面およびバルブシート部135の突出側の先端面は、弁座部材109の軸直交方向に広がって同一平面に配置されている。
内側シート部138は、本体部140の軸方向の小径穴部132側の内周縁部から、本体部140の軸方向に沿って内側シート部134とは反対側に突出している。バルブシート部139は、内側シート部138の径方向外側で本体部140の軸方向に沿って本体部140から内側シート部138と同側に突出している。内側シート部138は、突出側の先端面、すなわち本体部140とは反対側の先端面が平坦面である。バルブシート部139は、突出側の先端面、すなわち本体部140とは反対側の先端面が平坦面である。内側シート部138の突出側の先端面およびバルブシート部139の突出側の先端面は、弁座部材109の軸直交方向に広がって同一平面に配置されている。
バルブシート部135は、円形ではない花びら型の異形シートである。バルブシート部135は、複数のバルブシート構成部201を有している。これらのバルブシート構成部201は、同形状であり、弁座部材109の周方向に等間隔で配置されている。内側シート部134は、弁座部材109の中心軸線を中心とする円環状をなしている。複数のバルブシート構成部201は、内側シート部134から放射状に延出している。
各バルブシート構成部201の内側には、通路凹部205が形成されている。通路凹部205は、内側シート部134の一部とバルブシート構成部201とで囲まれて形成されている。通路凹部205は、内側シート部134の突出側の先端面とバルブシート構成部201の突出側の先端面とから弁座部材109の軸方向に凹んでいる。通路凹部205の底面は本体部140によって形成されている。すべてのバルブシート構成部201の内側に通路凹部205が形成されている。
弁座部材109の周方向における通路凹部205の中央位置には通路孔206が形成されている。通路孔206は本体部140を軸方向に貫通することで弁座部材109を軸方向に貫通している。通路孔206は、弁座部材109の中心軸線に平行な直線状の孔である。すべての通路凹部205の底面に通路孔206が形成されている。
バルブシート部139も、円形ではない花びら型の異形シートである。バルブシート部139は、複数のバルブシート構成部211を有している。これらのバルブシート構成部211は、同形状であり、弁座部材109の周方向に等間隔で配置されている。内側シート部138は、弁座部材109の中心軸線を中心とする円環状をなしている。複数のバルブシート構成部201は、内側シート部134から放射状に延出している。バルブシート構成部211は、バルブシート構成部201と同形状となっている。
各バルブシート構成部211の内側には、通路凹部215が形成されている。通路凹部215は、内側シート部138の一部とバルブシート構成部211とで囲まれて形成されている。通路凹部215は、内側シート部138の突出側の先端面とバルブシート構成部211の突出側の先端面とから弁座部材109の軸方向に凹んでいる。通路凹部215の底面は本体部140によって形成されている。すべてのバルブシート構成部211の内側に通路凹部215が形成されている。
弁座部材109の周方向における通路凹部215の中央位置には通路孔216が形成されている。通路孔216は本体部140を軸方向に貫通することで弁座部材109を軸方向に貫通している。通路孔216は、弁座部材109の中心軸線に平行な直線状の孔である。すべての通路凹部215の底面に通路孔216が形成されている。
ここで、複数のバルブシート構成部201の弁座部材109の周方向における配置ピッチと、複数のバルブシート構成部211の弁座部材109の周方向における配置ピッチとは同じである。そして、バルブシート構成部201およびバルブシート構成部211は、弁座部材109の周方向において、互いに配置ピッチの半分ずれている。そして、通路孔206は、弁座部材109の周方向に隣り合うバルブシート構成部211とバルブシート構成部211との間に配置されている。よって、通路孔206は、バルブシート部139の範囲の外側に配置されている。通路孔216は、弁座部材109の周方向に隣り合うバルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間に配置されている。よって、通路孔216は、バルブシート部135の範囲の外側に配置されている。
弁座部材109は、軸方向の大径穴部133側に通路溝221を有している。通路溝221は、内側シート部134に内側シート部134を径方向に横断して形成されている。通路溝221は、内側シート部134の本体部140とは反対側の先端面から弁座部材109の軸方向に凹んで形成されている。通路溝221は、弁座部材109の周方向において隣り合うバルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間も含んでいる。通路孔216は、通路溝221の底面に開口している。通路溝221内の通路は、通路孔216内の通路と大径穴部133内の通路とを連通させる。
通路孔216内の通路と、この通路孔216が開口する通路凹部215内の通路とが、弁座部材109に設けられる第1通路部161を構成している。弁座部材109には第1通路部161が複数、弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。通路溝221は、第1通路部161に向けて径方向に延びる径方向通路222を形成している。弁座部材109には径方向通路222が複数、弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。第1通路部161と径方向通路222とは連通している。
弁座部材109は、弁座部材109の周方向において隣り合うバルブシート構成部211とバルブシート構成部211との間が通路溝225となっている。通路孔206は、通路溝225の底面に開口している。よって、通路溝225内の通路は、通路孔206内の通路に連通する。
通路孔206と、この通路孔206が開口する通路凹部205とが、弁座部材109に設けられる第2通路部162を形成している。弁座部材109には第2通路部162が複数、弁座部材109の周方向に等間隔で設けられている。
複数の第1通路部161および複数の第2通路部162が、弁座部材109に設けられて油液Lが流通する弁座部材通路部160を構成している。
弁座部材109には、本体部140の外周部の軸方向の中央位置にシール溝141が形成されている。シール溝141は、円環状であり、本体部140の外周面から径方向内方に凹んでいる。このシール溝141内に、Oリング108が配置されている。弁座部材109は、内側シート部138およびバルブシート部139を、底部122とは反対側に向けた状態で、外周部においてケース部材95の筒状部124に嵌合されている。この状態で、Oリング108は、ケース部材95の筒状部124と弁座部材109との隙間をシールする。
ケース部材95、Oリング108および弁座部材109は、ケース部材95の内側にケース室146を形成している。ケース室146は、ケース部材95の底部122と弁座部材109との間に設けられている。図3に示すように、ディスク97,102,104,106、ディスクバルブ100、弁座ディスク101、バネ部材105、サブバルブ107および皿バネ116は、このケース室146内に設けられている。
ケース室146内には下室連通室149が形成されている。下室連通室149は、ディスクバルブ100と、弁座ディスク101と、皿バネ116と、ディスク97と、ケース部材95の底部122とで囲まれている。この下室連通室149は、皿バネ116の複数の穴部415内の通路に常時連通している。この下室連通室149は、ケース部材95の底部122の複数の通路孔126内の通路に常時連通している。
ケース室146内には上室連通室147が形成されている。上室連通室147は、ケース部材95と、皿バネ116と、ディスクバルブ100と、弁座ディスク101と、ディスク102,104,106と、バネ部材105と、サブバルブ107と、弁座部材109とで囲まれている。下室連通室149と上室連通室147とは、皿バネ116と、皿バネ116の当接部416に当接するディスクバルブ100と、ディスクバルブ100に当接する弁座ディスク101と、によって連通が遮断されている。
図2に示すように、環状の弁座部材109および有底筒状のケース部材95は、上室22および下室23のうちの一方である下室23に配置されている。その際に、弁座部材109は、バルブシート部135がケース室146側に配置されている。また、その際に、弁座部材109は、バルブシート部139が下室23側に配置されている。図3に示すように、ケース部材95の通路孔126内の通路は、下室23に常時連通している。
上室連通室147は、ケース部材95の筒状部124とサブバルブ107との間の通路と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109の大径穴部133内の通路、ピストンロッド25のピストンロッド通路部51およびピストン21の大径穴部46内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン21の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とを介して、図2に示す上室22に常時連通している。
図3に示すディスクバルブ100が軸方向に撓むことによって、下室連通室149および上室連通室147の容積が変化する。すなわち、ディスクバルブ100が撓むことによって下室連通室149および上室連通室147にアキュムレータの機能をもたせる。下室連通室149は、上室連通室147の容積の増大を吸収するために容積が減少して油液Lを下室23に排出する。下室連通室149は、上室連通室147の容積の減少を吸収するために容積が増大して油液Lを下室23から流入させる。逆に、上室連通室147は、下室連通室149の容積の増大を吸収するために容積が減少して油液Lを上室22側に排出する。上室連通室147は、下室連通室149の容積の減少を吸収するために容積が増大して油液Lを上室22側から流入させる。以上のようにして、ディスクバルブ100の変形が上室連通室147および下室連通室149の油液Lによって阻害されることを、抑制するようになっている。
図2に示すように、弁座部材109の複数の通路溝225は下室23に臨んで設けられている。複数の第2通路部162は、複数の通路溝225内の通路を介して下室23に常時連通している。図3に示すように、皿バネ116に形成された穴部415内の通路およびケース部材95の底部122に形成された通路孔126内の通路は、上室22および下室23のうちの一方である下室23と常時連通する。
弁座部材109の第1通路部161に開口する通路溝221内の径方向通路222は、上室連通室147に常時連通している。径方向通路222は、上室連通室147内と、弁座部材109の大径穴部133内の通路およびピストンロッド25のピストンロッド通路部51とを常時連通している。
図2に示すように、サブバルブ107は、ディスク状であって、弁座部材109のバルブシート部135の外径と同等の外径となっている。サブバルブ107は、内側シート部134に常時当接し、バルブシート部135に離着座可能となっている。サブバルブ107は、バルブシート部135の全体に着座することで、すべての第2通路部162を閉塞する。また、サブバルブ107は、バルブシート部135のうちのいずれかのバルブシート構成部201の全体に着座することで、このバルブシート構成部201の内側の第2通路部162を閉塞する。バネ部材105は、サブバルブ107を弁座部材109のバルブシート部135に当接させる。サブバルブ107は、バネ部材105の付勢力によってバルブシート部135に着座して第2通路部162を閉塞する。
バルブシート部135に離着座可能なサブバルブ107は、ケース室146内に設けられている。サブバルブ107は、ケース室146内でバルブシート部135から離座する。すると、サブバルブ107は、複数の第2通路部162と上室連通室147とを連通させる。その結果、下室23が上室22に連通する。このとき、サブバルブ107は、バルブシート部135との間の油液Lの流れを抑制して減衰力を発生する。サブバルブ107は、下室23から上室連通室147側へ、複数の第2通路部162を介して油液Lを流入させる際に開く流入バルブである。サブバルブ107は、上室連通室147から下室23への第2通路部162を介しての油液Lの流出を規制する逆止弁である。ここで、第1通路部161を構成する通路孔216は、弁座部材109におけるバルブシート部135の範囲よりも外側に開口している。このため、通路孔216は、バルブシート部135に着座するサブバルブ107とは無関係に上室連通室147に常時連通する。
複数の通路溝225内の通路と、複数の第2通路部162と、開弁時に出現するサブバルブ107およびバルブシート部135の間の通路と、上室連通室147と、弁座部材109の通路溝221内の径方向通路222と、弁座部材109の大径穴部133内の通路、ピストンロッド25のピストンロッド通路部51およびピストン21の大径穴部46内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン21の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路とが、第2通路172を構成している。第2通路172は、ピストン21の下室23側への移動によりシリンダ4内の上流側となる下室23から下流側となる上室22に油液Lが流れ出す。第2通路172は、ピストン21の下室23側への移動、つまり縮み行程において上流側となる下室23から下流側となる上室22に向けて油液Lが流れ出す。第2通路172は縮み側の通路となる。縮み側の第2通路172は、同じく縮み側の第1通路72とは別に設けられている。第2通路172は、第1通路72とは並列である。
図3に示す通路孔126内の通路と、穴部415内の通路と、下室連通室149とは、縮み側の第3通路511を構成している。第3通路511は常時下室23に連通する。縮み側の第3通路511は、同じく縮み側の図2に示す第2通路172とは別に設けられている。第3通路511は、第2通路172に対して並列に配置されている。
図3に示すように、ディスク104は、サブバルブ107よりも厚く剛性が高い。ディスク104は、サブバルブ107の変形時にサブバルブ107に当接して、それ以上のサブバルブ107の変形を抑制する。ディスク104は、ディスクバルブ100の変形時にディスクバルブ100に当接して、それ以上のディスクバルブ100の変形を抑制する。
図2に示すサブバルブ107と、バルブシート部135を含む弁座部材109と、ディスク104,106と、バネ部材105とが第2減衰力発生機構173を構成している。第2減衰力発生機構173はピストンロッド25に設けられている。第2減衰力発生機構173は縮み側の第2通路172に設けられている。第2減衰力発生機構173は、この第2通路172を開閉し、この第2通路172から上室22への油液Lの流動を抑制して減衰力を発生する。第2減衰力発生機構173は縮み側の第2減衰力発生機構である。第3通路511は、縮み側の第2減衰力発生機構173とは並列に設けられている。
第2減衰力発生機構173は、そのバルブシート部135が弁座部材109に設けられている。第2減衰力発生機構173は、同じ縮み行程で減衰力を発生させる第1減衰力発生機構42とは別に配置されている。縮み側の第2減衰力発生機構173を構成するサブバルブ107は、縮み側のサブバルブである。
図3に示すように、ケース部材95の底部122には通路孔126内の通路が形成されている。通路孔126内の通路は、ケース部材95の内外を連通する。皿バネ116は、軸方向の一端面側がケース部材95の通路孔126内の通路よりも外周側と当接するよう設けられている。撓み可能なディスクバルブ100は、皿バネ116の軸方向の他端面側と当接するように設けられている。
図2に示すように、第2通路172において、ディスク82の切欠部90内の通路がオリフィス175となる。オリフィス175は、サブバルブ107が開弁して第2通路172で油液Lが流れる際の油液Lの流れのサブバルブ107よりも下流側に配置されている。なお、オリフィス175は、サブバルブ107が開弁して第2通路172で油液Lが流れる際の油液Lの流れのサブバルブ107よりも上流側に配置されていても良い。オリフィス175は、第1減衰力発生機構41のうち、ピストン21に当接するディスク82を切り欠いて形成されている。
縮み側の第2減衰力発生機構173は、バルブシート部135およびこれに当接するサブバルブ107のいずれにも固定オリフィスは形成されていない。固定オリフィスは、バルブシート部135およびサブバルブ107が当接状態にあっても上室22と下室23とを連通させるものである。すなわち、縮み側の第2減衰力発生機構173は、バルブシート部135とサブバルブ107とが当接状態にあれば、上室22と下室23とを連通させることはない。言い換えれば、第2通路172は、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスは形成されていない。第2通路172は、上室22と下室23とを常時連通させる通路ではない。
上室22と下室23とを連通可能な縮み側の第2通路172は、同じく上室22と下室23とを連通可能な縮み側の通路である第1通路72と並列している。第1通路72に第1減衰力発生機構42が設けられている。第2通路172に第2減衰力発生機構173が設けられている。よって、いずれも縮み側の第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構173は、並列に配置されている。
図3に示すように、サブバルブ110は、ディスク状であって、弁座部材109のバルブシート部139の外径と同等の外径となっている。サブバルブ110は、内側シート部138に常時当接し、バルブシート部139に離着座可能となっている。サブバルブ110は、バルブシート部139の全体に着座する。すると、サブバルブ110は、すべての第1通路部161を閉塞する。また、サブバルブ110は、バルブシート部139のうちのいずれかのバルブシート構成部211の全体に着座する。すると、サブバルブ110は、このバルブシート構成部211の内側の第1通路部161を閉塞する。サブバルブ110は、サブバルブ107と同形状の共通部品にすることができる。
ディスク111は、ディスク106と同形状の共通部品である。ディスク111の外径は、サブバルブ110の外径よりも小径であって、内側シート部138の外径よりも若干小径となっている。
バネ部材112は、基板部341と複数のバネ板部342とを有している。基板部341は径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状である。基板部341は、その内周部に取付軸部28を嵌合させる。複数のバネ板部342は、基板部341の周方向の等間隔位置から基板部341の径方向の外方に延出している。バネ板部342は、延出先端側ほど基板部341から基板部341の軸方向に離れるように基板部341に対して傾斜している。バネ部材112は、基板部341においてディスク111に当接する。バネ部材112は、基板部341からバネ板部342が基板部341の軸方向においてサブバルブ110側に延出するように取付軸部28に取り付けられている。バネ部材112は、複数のバネ板部342がサブバルブ110に当接する。バネ部材112は、サブバルブ110を弁座部材109のバルブシート部139に当接させる。サブバルブ110は、バネ部材112の付勢力によってバルブシート部139に着座して第1通路部161を閉塞する。
サブバルブ110は、下室23内に設けられている。サブバルブ110は、バルブシート部139から離座することで、上室22および上室連通室147と、下室23とを連通させる。このとき、サブバルブ110は、バルブシート部139との間の油液Lの流れを抑制して減衰力を発生する。サブバルブ110は、上室22および上室連通室147内から油液Lを下室23に、弁座部材109の複数の第1通路部161を介して排出する際に開く排出バルブである。サブバルブ110は、下室23から上室22および上室連通室147内への第1通路部161を介しての油液Lの流入を規制する逆止弁である。ここで、図2に示すように、第2通路部162を構成する通路孔206は、弁座部材109におけるバルブシート部139の範囲よりも外側に開口している。このため、通路孔206は、バルブシート部139に着座するサブバルブ110とは無関係に下室23に常時連通する。
ピストン21の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、ディスク82の切欠部90内の通路と、ピストン21の大径穴部46内の通路、ピストンロッド25のピストンロッド通路部51および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の径方向通路222と、弁座部材109の複数の第1通路部161と、開弁時に出現するサブバルブ110およびバルブシート部139の間の通路とが、第2通路182を構成している。第2通路182は、ピストン21の上室22側への移動によりシリンダ4内の上流側となる上室22から下流側となる下室23に油液Lが流れ出す。第2通路182は、ピストン21の上室22側への移動、つまり伸び行程において上流側となる上室22から下流側となる下室23に向けて油液Lが流れ出す伸び側の通路となる。
上室22と下室23とを連通可能な伸び側の第2通路182は、同じく上室22と下室23とを連通可能な伸び側の通路である第1通路92と、上室22側の環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を除いて並列している。第1通路92および第2通路182は、並列部分が、互いに別に設けられている。
上室連通室147は、ケース部材95の筒状部124とサブバルブ107との間の通路とで、伸び側の第3通路512を構成する。伸び側の第3通路512は、同じく伸び側の第2通路182から分岐しており、第2通路182とは別に設けられている。
ディスク113は、外径が、サブバルブ110の外径と同等になっている。ディスク113は、サブバルブ110よりも厚く剛性が高い。ディスク113は、サブバルブ110の変形時にサブバルブ110に当接して、それ以上のサブバルブ110の変形を抑制する。環状部材114は、外径が、ディスク113の外径よりも小径となっている。環状部材114は、環状部材69と同形状の共通部品である。
サブバルブ110と、バルブシート部139を含む弁座部材109と、ディスク111,113と、バネ部材112とが、第2減衰力発生機構183を構成している。第2減衰力発生機構183は、伸び側の第2通路182に設けられ、この第2通路182を開閉する。第2減衰力発生機構183は、この第2通路182から下室23への油液Lの流動を抑制して減衰力を発生する。第2減衰力発生機構183は伸び側の第2減衰力発生機構である。この第2減衰力発生機構183は、ピストンロッド25に設けられており、そのバルブシート部139が弁座部材109に設けられている。第2減衰力発生機構183は、同じ伸び行程で減衰力を発生させる第1減衰力発生機構41とは別に配置されている。伸び側の第2減衰力発生機構183を構成するサブバルブ110は、伸び側のサブバルブである。第3通路512は、延び側の第2減衰力発生機構183とは並列に設けられている。
図3に示すように、ディスクバルブ100と、弁座ディスク101と、皿バネ116と、ディスク97と、ケース部材95の底部122と、下室連通室149とが、下室連通室149の体積を変更可能な下室体積可変機構185を構成している。下室体積可変機構185は、下室連通室149を含む縮み側の第3通路511に設けられている。流路上、ディスクバルブ100とサブバルブ110との、下室23、通路孔126内の通路および穴部415内の通路を介しての間に、下室連通室149が設けられている。
下室体積可変機構185は、ディスクバルブ100および弁座ディスク101が、底部122から離れるように一体に変形し移動する。すると、下室体積可変機構185は、下室連通室149の体積を増やすように変更する。その際に、ディスクバルブ100は、全周にわたって皿バネ116に当接する状態が維持されていれば、皿バネ116の外側テーパ部403との間が閉塞される。すなわち、ディスクバルブ100は、底部122から離れるように変形する際に、全周にわたって皿バネ116に当接する状態が維持されていれば、下室連通室149と上室連通室147との遮断状態を維持する。
また、下室体積可変機構185は、ディスクバルブ100および弁座ディスク101が、底部122に近づくように一体に変形し移動する。すると、下室体積可変機構185は、下室連通室149の体積を減らすように変更する。その際に、ディスクバルブ100は、全体的に皿バネ116に当接する状態が維持され皿バネ116の外側テーパ部403との間が閉塞される。
図2に示すように、上室22に連通する上室連通室147を含む伸び側の第3通路512は、伸び側の第2通路182から分岐している。第3通路512は、第2通路182とは別に設けられている。図3に示すように、ディスクバルブ100と、弁座ディスク101と、皿バネ116と、ディスク102,104,106と、バネ部材105と、サブバルブ107と、ケース部材95と、上室連通室147とが、上室体積可変機構186を構成している。上室体積可変機構186は、上室連通室147の体積を変更可能である。上室体積可変機構186は、上室連通室147を含む伸び側の第3通路512に設けられている。流路上、ディスクバルブ100とサブバルブ107との間に上室連通室147が設けられている。
上室体積可変機構186は、ディスクバルブ100および弁座ディスク101が、ディスク104から離れるように一体に変形し移動する。すると、上室体積可変機構186は、上室連通室147の体積を増やすように変更する。その際に、弁座ディスク101は、全体的にディスクバルブ100に当接する状態が維持されていれば、ディスクバルブ100の連通孔501内の通路を閉塞する。すなわち、下室連通室149と上室連通室147との遮断状態を維持する。
また、上室体積可変機構186は、ディスクバルブ100および弁座ディスク101が、ディスク104に近づくように変形し移動する。すると、上室体積可変機構186は、上室連通室147の体積を減らすように変更する。その際に、弁座ディスク101は、全体的にディスクバルブ100に当接する状態が維持されディスクバルブ100の連通孔501内の通路を閉塞する。
下室体積可変機構185と上室体積可変機構186とに対して、ディスクバルブ100、弁座ディスク101および皿バネ116が共用となっている。下室連通室149を含む下室体積可変機構185と、上室連通室147を含む上室体積可変機構186とが、作動流体としての油液を貯留するアキュムレータ190を構成している。アキュムレータ190は、ディスクバルブ100と皿バネ116とケース部材95とを有している。アキュムレータ190は、ピストンロッド25に設けられている。アキュムレータ190は、緩衝器1内に、第2減衰力発生機構173,183とは別に配置されている。アキュムレータ190のディスクバルブ100は、伸び行程において第2減衰力発生機構183が開弁するよりも前に変形し、縮み行程において第2減衰力発生機構173が開弁するよりも前に変形する。アキュムレータ190は、縮み側の第3通路511に設けられている。アキュムレータ190は、伸び側の第3通路512に設けられている。アキュムレータ190を構成するディスクバルブ100も、第3通路511,512に設けられている。
第2通路182においても、ディスク82の切欠部90内の通路がオリフィス175となる。オリフィス175は、第2通路172,182に共通である。オリフィス175は、サブバルブ110が開弁して第2通路182で油液Lが流れる際の油液Lの流れのサブバルブ110よりも上流側に配置されている。なお、オリフィス175は、サブバルブ110が開弁して第2通路182で油液Lが流れる際の油液Lの流れのサブバルブ110よりも下流側に配置されていても良い。サブバルブ110と、上記したサブバルブ107とは独立して開閉する。
伸び側の第2減衰力発生機構183は、バルブシート部139およびこれに当接するサブバルブ110のいずれにも、固定オリフィスは形成されていない。固定オリフィスは、バルブシート部139およびサブバルブ110が当接状態にあっても上室22と下室23とを連通させるものである。すなわち、伸び側の第2減衰力発生機構183は、バルブシート部139とサブバルブ110とが当接状態にあれば、上室22と下室23とを連通させることはない。言い換えれば、第2通路182は、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスは形成されていない。第2通路182は、上室22と下室23とを常時連通させる通路ではない。環状部材114は、ディスク113とによって、サブバルブ110の開方向への規定以上の変形を規制する。
緩衝器1は、少なくともピストン21の範囲内で軸方向に油液Lを通過させる流れとしては、上室22と下室23とが、第1減衰力発生機構41,42、第2減衰力発生機構173,183およびアキュムレータ190を介してのみ連通可能である。緩衝器1は、油液Lの通路上には、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスは設けられていない。
上記したように第2通路182と第1通路92とは、環状溝55内および複数の通路穴38内の通路を除いて並列している。第2通路182および第1通路92の並列部分には、第1通路92に第1減衰力発生機構41が、第2通路182に第2減衰力発生機構183がそれぞれ設けられている。よって、いずれも伸び側の第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構183は、並列に配置されている。
第2減衰力発生機構173,183は、弁座部材109と、弁座部材通路部160の一側に設けられるサブバルブ110および弁座部材通路部160の他側に設けられるサブバルブ107と、ケース部材95と、を備えている。弁座部材通路部160は、第2通路172,182のうちの弁座部材109に設けられる部分である。ケース部材95は、有底筒状であり、第2通路172,182におけるピストン21と弁座部材109との間に設けられている。弁座部材109はケース部材95内に設けられている。サブバルブ110は、弁座部材109の下室23側に設けられている。サブバルブ107は、ケース部材95の底部122と弁座部材109との間のケース室146内に設けられている。
上記したように、上室体積可変機構186は、ディスクバルブ100が、ディスク104から離れるように変形し移動することで上室連通室147の体積を増やすように変更する。その際に、第2減衰力発生機構183が開弁した状態で、上室連通室147と下室連通室149との圧力差が所定値を超えることがある。すると、上室体積可変機構186は、ディスクバルブ100が、皿バネ116の外側テーパ部403を底部122側に弾性変形させながら、外周側が底部122側に変形する。その結果、ディスクバルブ100は、弁座ディスク101から軸方向に離れることになる。すると、ディスクバルブ100は、連通孔501内の通路を介して上室連通室147と下室連通室149とを連通させる。連通孔501内の通路と、ディスクバルブ100および弁座ディスク101の間の通路とが第4通路521である。第4通路521は、伸び行程において、上室連通室147と下室連通室149とを連通させる。第4通路521は伸び側の通路である。第4通路521は、上室連通室147を含む第3通路512とは別に設けられている。第4通路521は、開時に第3通路512と直列で連通する。
ディスクバルブ100と弁座ディスク101とがリリーフ機構522を構成している。リリーフ機構522は、第4通路521を介して上室連通室147から下室連通室149に油液Lを流す。言い換えればリリーフ機構522は上室22から下室23に油液Lを流す。リリーフ機構522は、伸び側のリリーフ機構である。リリーフ機構522は、伸び側の第4通路521に設けられている。リリーフ機構522は、伸び側の第2減衰力発生機構183が開弁した後に開弁するように設定されている。
上室体積可変機構186はディスクバルブ100と皿バネ116とを有している。ディスクバルブ100は、撓み可能であり、第2減衰力発生機構183が開弁するよりも前に変形する。ディスクバルブ100は、内周端部から外周端部までの間に、上流側と下流側とを連通する連通孔501が形成されている。皿バネ116は、ディスクバルブ100の端面に当接してディスクバルブ100を付勢する。リリーフ機構522は、ディスクバルブ100の撓み量によって、ディスクバルブ100の連通孔501を開閉可能に設けられている。
下室体積可変機構185は、ディスクバルブ100が、ディスク104に近づくように変形し移動することで下室連通室149の体積を増やすように変更する。その際に、第2減衰力発生機構173が開弁した状態で、上室連通室147と下室連通室149との圧力差が所定値を超えることがある。すると、下室体積可変機構185は、ディスクバルブ100の外周側の変形量が大きくなる。その結果、ディスクバルブ100は、皿バネ116の当接部416から軸方向に離れることになる。すると、ディスクバルブ100は、皿バネ116との間を介して下室連通室149と上室連通室147とを連通させる。言い換えれば、皿バネ116は、ディスクバルブ100の端面に当接する当接部416が、ディスクバルブ100の撓み量によって、ディスクバルブ100の端面から少なくとも一部離れるようになっている。ディスクバルブ100と皿バネ116との間の通路が第4通路531である。第4通路531は、縮み行程において、下室連通室149と上室連通室147とを連通させる。第4通路531は、縮み側の通路である。第4通路531は、下室連通室149を含む第3通路511とは別に設けられている。第4通路531は、開時に第3通路511と直列で連通する。
ディスクバルブ100と皿バネ116とがリリーフ機構532を構成している。リリーフ機構532は、第4通路531を介して下室連通室149から上室連通室147に油液Lを流す。リリーフ機構532は、言い換えれば下室23から上室22に油液Lを流す。リリーフ機構532は、縮み側のリリーフ機構である。リリーフ機構532は、縮み側の第4通路531に設けられている。リリーフ機構532は、縮み側の第2減衰力発生機構173が開弁した後に開弁するように設定されている。
図2に示すように、ピストンロッド25に組み付けられた状態で、メインバルブ71は、ディスク63とディスク67とに内周側がクランプされる。それと共に、メインバルブ71は、ピストン21のバルブシート部50に外周側が全周にわたって当接する。また、この状態で、メインバルブ91は、ディスク83とディスク87とに内周側がクランプされる。それと共に、メインバルブ91は、ピストン21のバルブシート部48に外周側が全周にわたって当接する。
また、この状態で、サブバルブ107は、弁座部材109の内側シート部134とディスク106とに内周側がクランプされる。それと共に、サブバルブ107は、弁座部材109のバルブシート部135に全周にわたって当接する。また、この状態で、サブバルブ110は、弁座部材109の内側シート部138とディスク111とに内周側がクランプされる。それと共に、サブバルブ110は、弁座部材109のバルブシート部139に全周にわたって当接する。
また、この状態で、図3に示すように、ディスクバルブ100は、弁座ディスク101と共にディスク97とディスクと102とに内周側がクランプされる。それと共に、ディスクバルブ100は、外周側が全周にわたって皿バネ116の当接部416に当接する。その際に、ディスクバルブ100は、ディスク97よりも径方向外側の部分が径方向外側ほど軸方向において底部122から離れるようにテーパ状に弾性変形する。このとき、皿バネ116は、その外側テーパ部403が弾性変形しつつ当接部416においてディスクバルブ100に全周にわたって当接する。また、この状態で、弁座ディスク101も、ディスクバルブ100の形状に倣って、ディスク102よりも径方向外側の部分が径方向外側ほど軸方向において底部122から離れるようにテーパ状に弾性変形する。
図1に示すように、バルブボディ12には、軸方向に貫通する液通路251および液通路252が形成されている。液通路251,252は、下室23とリザーバ室5とを連通可能となっている。ベースバルブ15は、バルブボディ12の軸方向の底部材9側に減衰力発生機構255を有している。減衰力発生機構255は液通路251を開閉可能である。減衰力発生機構255は縮み側の減衰力発生機構である。また、ベースバルブ15は、バルブボディ12の軸方向の底部材9とは反対側に減衰力発生機構256を有している。減衰力発生機構256は液通路252を開閉可能である。減衰力発生機構256は伸び側の減衰力発生機構である。
ピストンロッド25が縮み側に移動しピストン21が下室23を狭める方向に移動すると、下室23の圧力がリザーバ室5の圧力よりも所定値以上高くなることがある。すると、ベースバルブ15は、減衰力発生機構255が液通路251を開いて、下室23の油液Lをリザーバ室5に流すことになる。減衰力発生機構255は、その際に減衰力を発生させる。言い換えれば、ピストンロッド25が縮み側に移動してピストン21を移動させると、液通路251において油液Lがリザーバ室5に流れ出す。減衰力発生機構255は、縮み側の減衰力発生機構である。この減衰力発生機構255は、液通路252の油液Lの流れを阻害することはない。
ピストンロッド25が伸び側に移動しピストン21が上室22側に移動すると、下室23の圧力がリザーバ室5の圧力より低下することになる。すると、ベースバルブ15は、減衰力発生機構256が液通路252を開いて、リザーバ室5の油液Lを下室23に流すことになる。その際に減衰力発生機構256は減衰力を発生させる。言い換えれば、ピストンロッド25が伸び側に移動してピストン21を移動させると、液通路252において油液Lが下室23に流れ出す。減衰力発生機構256は、伸び側の減衰力発生機構である。この減衰力発生機構256は、液通路251の油液Lの流れを阻害することはない。減衰力発生機構256は、リザーバ室5から下室23内に実質的に減衰力を発生させずに油液Lを流すサクションバルブとしても良い。
<作動>
図2に示すように、いずれも伸び側の第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構183のうち、第1減衰力発生機構41のメインバルブ91は、第2減衰力発生機構183のサブバルブ110よりも剛性が高くサブバルブ110よりも開弁圧が高い。よって、伸び行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構41は閉弁した状態で第2減衰力発生機構183が開弁する。言い換えれば、第2減衰力発生機構183は、第1減衰力発生機構41よりもピストン速度が低速時に開弁して減衰力を発生する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構41および第2減衰力発生機構183が共に開弁することになる。サブバルブ110は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極微低速バルブである。
すなわち、伸び行程においては、ピストン21が上室22側に移動することで上室22の圧力が高くなり、下室23の圧力が低くなる。ここで、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスはない。よって、上室22の油液Lが、ピストン21の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、オリフィス175と、ピストン21の大径穴部46内の通路、ピストンロッド25のピストンロッド通路部51および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の径方向通路222と、第3通路512とを介して上室連通室147に流入する。これにより、上室連通室147が昇圧することになる。このため、上室体積可変機構186は、第2減衰力発生機構183が開弁する前に、ディスクバルブ100の皿バネ116の外側テーパ部403への当接位置よりも径方向内側の部分が、底部122側に撓む。すると、ディスクバルブ100は、上室連通室147の容量を大きくすることになる。これにより、上室体積可変機構186が、上室連通室147の圧力の上昇を抑えることになる。このとき、弁座ディスク101は、ディスクバルブ100に倣って変形し第4通路521の閉状態を維持する。また、このとき、ディスクバルブ100が底部122側に撓んで移動することから、下室体積可変機構185は下室連通室149の体積を小さくする。
ここで、緩衝器1の低周波入力時(大振幅加振時)の伸び行程では、上記のような上室22から上室連通室147への油液Lの流入量が大となる。このため、ディスクバルブ100が大きく変形する。ディスクバルブ100は、変形量が大きくなると、クランプされた内周側の支持剛性による反力が大きくなって変形量に制限がかかる。これにより、上室連通室147が昇圧していく。その結果、第2減衰力発生機構183が開弁する状態まで第2通路182が昇圧する。
このとき、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも、上室22と下室23とを常時連通させる固定オリフィスがない。このことから、ピストン速度が、第2減衰力発生機構183が開弁する第1所定値未満での伸び行程においては、減衰力が急激に立ち上がる。また、ピストン速度が、第1所定値よりも高速の領域であって、第1所定値よりも高速の第2所定値よりも低速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構41は閉弁した状態で第2減衰力発生機構183が開弁する。
つまり、サブバルブ110がバルブシート部139から離座して、伸び側の第2通路182で上室22と下室23とを連通させる。よって、上室22の油液Lが、ピストン21の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、オリフィス175と、ピストン21の大径穴部46内の通路、ピストンロッド25のピストンロッド通路部51および弁座部材109の大径穴部133内の通路と、弁座部材109の径方向通路222と、弁座部材109内の第1通路部161と、サブバルブ110およびバルブシート部139の間の通路とを介して下室23に流れる。これにより、ピストン速度が第2所定値よりも低速の極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、伸び行程において、第2減衰力発生機構183が開弁した後に開弁するリリーフ機構522が設けられている。このため、ピストン速度が第2所定値以上の通常速度領域で、上室連通室147の圧力が高くなると、第2減衰力発生機構183が開弁した状態のまま、リリーフ機構522が第4通路521を開いて、上室連通室147の油液Lを下室23に流すことになる。その後、第2減衰力発生機構183およびリリーフ機構522が開弁した状態のまま、第1減衰力発生機構41が開弁する。すなわち、上記のようにサブバルブ110がバルブシート部139から離座して、伸び側の第2通路182で上室22から下室23に油液Lを流す。その後、第2減衰力発生機構183が開弁した状態のまま、リリーフ機構522が第4通路521を開いて、第4通路521で上室22から下室23に油液Lを流すことになる。このとき、第2通路182においてメインバルブ91よりも下流側に設けられたオリフィス175で油液Lの流れが絞られる。これにより、メインバルブ91に加わる圧力が高くなって差圧が高まり、メインバルブ91がバルブシート部48から離座して、伸び側の第1通路92で上室22から下室23に油液Lを流す。よって、上室22の油液Lが、複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、メインバルブ91およびバルブシート部48の間の通路とを介して下室23に流れる。
これにより、ピストン速度が第2所定値以上の通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。通常速度領域におけるピストン速度の増加に対する伸び側の減衰力の増加率は、極微低速領域におけるピストン速度の増加に対する伸び側の減衰力の増加率よりも低くなる。言い換えれば、通常速度領域におけるピストン速度の上昇に対する伸び側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域よりも寝かせることができる。
ここで、アキュムレータ190およびリリーフ機構522を構成するディスクバルブ100がケース部材95の底部122側に大きく変形すると、皿バネ116の外側テーパ部403がテーパを大きくするように変形して追従する。このとき、外側テーパ部403は、ケース部材95の中間テーパ部123の内面123aに当接して、それ以上テーパを大きくする変形が抑制される。その結果、ケース部材95の中間テーパ部123の内面123aによって、皿バネ116は、当接部416が主体部417よりも底部122の底面122a側に変位することが抑制される。したがって、皿バネ116において、外側テーパ部403が、外周側が内周側よりも底部122側に位置するように変形してしまうことを抑制することができる。言い換えれば、皿バネ116において、外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。
伸び行程において、ピストン速度が第2所定値以上の通常速度領域では、上室22と下室23との差圧が第1所定値以上第2所定値未満の低速領域よりも大きくなる。第1通路92はオリフィスによる絞りがない。そのため、メインバルブ91が開弁することで油液Lを第1通路92を介して大流量で流すことができる。これと、第2通路182をオリフィス175で絞ることと、リリーフ機構522が第4通路521を開いて、上室連通室147の油液Lを下室23に流すこととにより、サブバルブ110の変形を抑制することができる。
また、このとき、閉状態のサブバルブ107には、下室23と上室連通室147とから反対向きの圧力が加わることになる。第2通路182においてサブバルブ107よりも上流側にオリフィス175が形成されている。このため、上室22と下室23との差圧が大きくなっても、上室連通室147の圧力上昇が上室22の圧力上昇に対して緩やかになる。これと、リリーフ機構522が第4通路521を開いて、上室連通室147の油液Lを下室23に流すこととにより、上室連通室147と下室23との圧力差が大きくなることを抑制する。よって、閉状態のサブバルブ107が受ける上室連通室147と下室23との圧力差が大きくなることを抑制できる。その結果、サブバルブ107に上室連通室147側から下室23側に向けた大きな背圧が加わることを抑制できる。
緩衝器1は、伸び行程で上室22から下室23に油液Lを流す流路を第1通路92と第2通路182との並列で設けている。緩衝器1は、伸び行程で作動するメインバルブ91とサブバルブ110とを並列で設けている。オリフィス175はサブバルブ110と直列に接続されている。
以上のように、伸び行程において、ピストン速度が第2所定値以上の通常速度領域では、メインバルブ91が開弁することで油液Lを第1通路92を介して大流量で流すことができる。これにより、サブバルブ110およびバルブシート部139の間の通路を流れる流量が小さくなる。よって、例えば、ピストン速度が通常速度領域(第2所定値以上)でのピストン速度の上昇に対する減衰力の増加率を下げること等ができる。言い換えれば、通常速度領域(第2所定値以上)におけるピストン速度の上昇に対する伸び側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域(第2所定値未満)よりも寝かせることができる。これにより、設計自由度を拡大することができる。
上記した低周波入力時よりも高い周波数が緩衝器1に入力される高周波入力時(小振幅加振時)の伸び行程では、上室22から上室連通室147への油液Lの流入量が小さい。このため、ディスクバルブ100の変形は小さく、上室体積可変機構186は、ディスクバルブ100の撓み量で、上室連通室147への油液Lの流入のボリュームを吸収できることになる。よって、上室連通室147の昇圧が小さくなる。このため、極微低速減衰力の立ち上がり時には、あたかもディスクバルブ100がない場合と同様の状態となる。言い換えれば、極微低速減衰力の立ち上がり時には、上室連通室147が皿バネ116の穴部415内の通路およびケース部材95の通路孔126内の通路で下室23に常時連通する状態、すなわち第2減衰力発生機構183がない構造と同様の状態にすることが可能となる。
よって、高周波入力時の伸び行程においては、低周波入力時または、従来の減衰力特性に対して、極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになる。言い換えれば、伸び行程において、ピストン21の周波数が所定周波数を超えると、ディスクバルブ100を含む上室体積可変機構186により、第2減衰力発生機構183のサブバルブ110への油液Lの流量を制限する。なお、ディスクバルブ100の剛性(板厚など)の違いにより、第2減衰力発生機構183の開弁までの減衰力変化(ピストン速度に対する減衰力の傾き)を調整することができる。
ここで、伸び行程においては、減衰力発生機構256による減衰力特性も合わせた特性となる。
いずれも縮み側の第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構173のうち、第1減衰力発生機構42のメインバルブ71は、第2減衰力発生機構173のサブバルブ107よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、縮み行程において、ピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力発生機構42は閉弁した状態で第2減衰力発生機構173が開弁する。言い換えれば、第2減衰力発生機構173は、第1減衰力発生機構42よりもピストン速度が低速時に開弁して減衰力を発生する。ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力発生機構42および第2減衰力発生機構173が共に開弁することになる。サブバルブ107は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極微低速バルブである。
すなわち、縮み行程においては、ピストン21が下室23側に移動することで下室23の圧力が高くなり、上室22の圧力が低くなる。ここで、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも、下室23と上室22とを常時連通させる固定オリフィスはない。このため、下室23の油液Lが、ケース部材95の通路孔126内の通路および皿バネ116の穴部415内の通路を介して下室連通室149に流入する。これにより、下室連通室149が昇圧することになる。このため、下室体積可変機構185は、第2減衰力発生機構173が開弁する前に、ディスクバルブ100がディスク104側に撓む。これにより、ディスクバルブ100が下室連通室149の容量を大きくすることになる。その結果、下室体積可変機構185が、下室連通室149の圧力の上昇を抑えることになる。このとき、弁座ディスク101は、ディスクバルブ100に倣って変形し第4通路521の閉状態を維持する。また、このとき、ディスクバルブ100がディスク104側に撓んで移動することから、上室体積可変機構186は上室連通室147の体積を小さくする。
ここで、緩衝器1の低周波入力時(大振幅加振時)の縮み行程では、上記のような下室23から下室連通室149への油液Lの流入量が大となる。このため、ディスクバルブ100が大きく変形する。ディスクバルブ100は変形量が大きくなると、クランプされた内周側の支持剛性による反力が大きくなって変形量に制限がかかる。これにより、下室連通室149が昇圧していく。その結果、第2減衰力発生機構173が開弁する状態まで第2通路172が昇圧する。
このとき、第1減衰力発生機構41,42および第2減衰力発生機構173,183のいずれにも、下室23と上室22とを常時連通させる固定オリフィスがない。このことから、ピストン速度が、第2減衰力発生機構173が開弁する第3所定値未満での縮み行程においては、減衰力が急激に立ち上がる。また、ピストン速度が、第3所定値よりも高速の領域であって、第3所定値よりも高速の第4所定値よりも低速の極微低速領域では、第1減衰力発生機構42は閉弁した状態で第2減衰力発生機構173が開弁する。
すなわち、サブバルブ107がバルブシート部135から離座して、縮み側の第2通路172で下室23と上室22とを連通させる。よって、下室23の油液Lが、弁座部材109内の第2通路部162と、サブバルブ107およびバルブシート部135の間の通路と、上室連通室147と、弁座部材109の径方向通路222と、弁座部材109の大径穴部133内の通路と、ピストンロッド25のピストンロッド通路部51と、ピストン21の大径穴部46内の通路と、オリフィス175と、ピストン21の複数の通路穴38内および環状溝55内の通路と、を介して上室22に流れる。これにより、ピストン速度が第4所定値よりも低速の極微低速領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する特性)の減衰力が得られる。
また、縮み行程において、第2減衰力発生機構173が開弁した後に開弁するリリーフ機構532が設けられている。このため、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域では、下室連通室149の圧力が高くなると、第2減衰力発生機構173が開弁した状態のまま、リリーフ機構532が第4通路531を開いて、下室23および下室連通室149の油液Lを上室連通室147を介して上室22に流すことになる。その後、第2減衰力発生機構173およびリリーフ機構532が開弁した状態のまま、第1減衰力発生機構42が開弁する。すなわち、上記のようにサブバルブ107がバルブシート部135から離座して、縮み側の第2通路172で下室23から上室22に油液Lを流す。その後、第2減衰力発生機構173が開弁した状態のまま、リリーフ機構532が第4通路531を開いて、第4通路531で下室23から上室22に油液Lを流すことになる。このとき、第2通路172においてサブバルブ107およびリリーフ機構532よりも下流側に設けられたオリフィス175で油液Lの流れが絞られる。このことにより、メインバルブ71に加わる圧力が高くなって差圧が高まる。すると、メインバルブ71がバルブシート部50から離座して、縮み側の第1通路72で下室23から上室22に油液Lを流す。よって、下室23の油液Lが、複数の通路穴39内および環状溝56内の通路と、メインバルブ71およびバルブシート部50の間の通路とを介して上室22に流れる。
これにより、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域でも、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が得られる。通常速度領域におけるピストン速度の増加に対する縮み側の減衰力の増加率は、極微低速領域におけるピストン速度の増加に対する縮み側の減衰力の増加率よりも低くなる。言い換えれば、通常速度領域におけるピストン速度の上昇に対する伸び側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域よりも寝かせることができる。
ここで、縮み行程において、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域では、下室23と上室22との差圧は、第3所定値以上第4所定値未満の低速領域よりも大きくなる。このとき、第1通路72にはオリフィスによる絞りがない。このため、メインバルブ71が開弁することで油液Lを第1通路72を介して大流量で流すことができる。これと、第2通路172をオリフィス175で絞ることと、リリーフ機構532が第4通路531を開いて、下室23および下室連通室149の油液Lを上室連通室147に流すこととにより、サブバルブ107の変形を抑制することができる。
また、このとき、閉状態のサブバルブ110には下室23と上室連通室147側とから反対向きの圧力が加わることになる。下室23と上室22との差圧が大きくなっても、第2通路172においてサブバルブ110よりも下流側にオリフィス175が形成されていることと、リリーフ機構532が第4通路531を開いて、下室23および下室連通室149の油液Lを上室連通室147に流すことととにより、下室23と上室連通室147との圧力差が大きくなることを抑制する。よって、閉状態のサブバルブ110が受ける下室23と上室連通室147との圧力差が大きくなることを抑制できる。その結果、サブバルブ110に下室23側から上室連通室147側に向けた大きな背圧が加わることを抑制できる。
緩衝器1は、縮み行程で下室23から上室22に油液Lを流す流路を第1通路72と第2通路172との並列で設けている。緩衝器1は、縮み行程で作動するメインバルブ71とサブバルブ107とを並列で設けている。オリフィス175はサブバルブ107と直列に接続されている。
以上のように、縮み行程において、ピストン速度が第4所定値以上の通常速度領域では、メインバルブ71が開弁することで油液Lを第1通路72を介して大流量で流すことができる。これにより、サブバルブ107およびバルブシート部135の間の通路を流れる流量が小さくなる。よって、例えば、ピストン速度が通常速度領域(第4所定値以上)でのピストン速度の上昇に対する減衰力の増加率を下げること等ができる。言い換えれば、通常速度領域(第4所定値以上)におけるピストン速度の上昇に対する縮み側の減衰力の増加率の傾きを、極微低速領域(第4所定値未満)よりも寝かせることができる。これにより、設計自由度を拡大することができる。
上記した低周波入力時よりも高い周波数が緩衝器1に入力される高周波入力時(小振幅加振時)の縮み行程では、下室23から下室連通室149への油液Lの流入量が小さい。このため、ディスクバルブ100の変形は小さい。よって、ディスクバルブ100の変形は小さい。その結果、下室体積可変機構185は、ディスクバルブ100の撓み量で、下室連通室149への油液Lの流入のボリュームを吸収できることになる。よって、下室連通室149の昇圧が小さくなる。このため、極微低速減衰力の立ち上がり時には、あたかも、ディスクバルブ100がない場合と同様の状態になる。言い換えれば、極微低速減衰力の立ち上がり時には、下室連通室149が上室連通室147に常時連通する状態、すなわち第2減衰力発生機構173がない構造と同様の状態にすることが可能となる。
よって、高周波入力時の縮み行程において、低周波入力時または、従来の減衰力特性に対して、極微低速減衰力の立ち上がりが緩やかになる。言い換えれば、ピストン21の周波数が所定周波数を超えると、ディスクバルブ100を含む下室体積可変機構185により、第2減衰力発生機構173のサブバルブ107への油液Lの流量を制限する。なお、ディスクバルブ100の剛性(板厚など)の違いにより、第2減衰力発生機構173の開弁までの減衰力変化(ピストン速度に対する減衰力の傾き)を調整できる。
ここで、縮み行程においては、減衰力発生機構255による減衰力特性も合わせた特性となる。
上記した特許文献1には、同一行程で開弁するバルブを2つ有する緩衝器が記載されている。このように同一行程で開弁するバルブを2つ有する構造を採用することで、一方のバルブを他方のバルブよりもピストン速度が低速の領域で開弁させ、これよりも高速の領域では両方のバルブを開弁させることができる。ところで、緩衝器においては、皿バネを用いるものがある。皿バネは、薄板で形成されることから、大きく軸方向に変形した場合に、軸方向に反転してしまう可能性がある。
第1実施形態の緩衝器1は、上記したように、アキュムレータ190およびリリーフ機構522を構成する皿バネ116を有している。アキュムレータ190およびリリーフ機構522を構成するディスクバルブ100がケース部材95の底部122側に大きく変形すると、皿バネ116の外側テーパ部403がテーパを大きくするように変形して追従する。その際に、外側テーパ部403が大きく変形することがあっても、ケース部材95の中間テーパ部123が、内面123aで外側テーパ部403に当接して、外側テーパ部403の外周端の当接部416が主体部417よりも底部122の底面122a側に変位することを抑制する。このように、ケース部材95の中間テーパ部123が、皿バネ116の外側テーパ部403が、外周側が内周側よりも底部122側に位置するように変形してしまうことを抑制する。これにより、皿バネ116において、外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。その結果、リリーフ機構532が常に開いた状態となって第2減衰力発生機構173,183による良好な減衰力特性が得られない状態になることを抑制することができる。したがって、機能の低下を抑制することが可能となる。
また、ケース部材95に形成された中間テーパ部123の皿バネ116の当接部416と対向する内面123aが、ケース部材95の全周にわたって、皿バネ116の主体部417の底面122a側の端部よりも当接部416側へ変形するよう形成されている。このため、部品点数を増やすことなく、簡素な構造で、皿バネ116の外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。
なお、中間テーパ部123の内面123aが、ケース部材95の周方向に部分的に、皿バネ116の主体部417の底面122a側の端部よりも当接部416側へ変形するよう形成されていても良い。すなわち、中間テーパ部123の内面123aの少なくとも一部が、皿バネ116の主体部417の底面122a側の端部よりも当接部416側へ変形するよう形成されていれば良い。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図4に示すように、第2実施形態の緩衝器1Aにおいては、ケース部材95とは一部異なるケース部材95Aをケース部材95にかえて有している。また、緩衝器1Aはストッパ部材601を有している。下室体積可変機構185Aは下室体積可変機構185に対してケース部材95にかえてケース部材95Aを有する点が相違している。上室体積可変機構186Aは上室体積可変機構186に対してケース部材95にかえてケース部材95Aを有する点が相違している。アキュムレータ190Aはアキュムレータ190に対してケース部材95にかえてケース部材95Aを有する点が相違している。
ケース部材95Aは、ケース部材95と同様、有底筒状の一体成形品であり、例えば金属板の塑性加工や切削加工により形成されている。ケース部材95Aは底部122Aと筒状部124Aとを有している。底部122Aは、一定厚さであって、径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状である。筒状部124Aは、底部122Aの外周縁部から、底部122Aの軸方向一側に延出している。
底部122Aは、底部122と同様、内周部にピストンロッド25の取付軸部28を嵌合させる。底部122Aには、複数の通路孔126と同様の複数の通路孔126Aが形成されている。ケース部材95Aは、底部122Aが、筒状部124Aよりもピストン21側に位置する向きで配置されてディスク87に当接している。ケース部材95Aも、ケース部材95と同様、メインバルブ91の開方向への規定以上の変形をメインバルブ91に当接して規制する。
底部122Aは、その径方向における筒状部124A側の端部に凹溝602が形成されている。底部122Aは、その軸方向における筒状部124A側の底面122Aaが平面状である。凹溝602は、底部122Aの底面122Aaから、底部122Aの軸方向における筒状部124Aとは反対側に凹んでいる。筒状部124Aは、その径方向内側の内周面124Aaが円筒面状である。凹溝602は、底面122Aaと内周面124Aaとの境界位置に配置されている。凹溝602は、筒状部124Aの中心軸線を中心とする円環状である。凹溝602は、筒状部124Aの中心軸線を含む面での断面が、半円状である。
ストッパ部材601は、ケース部材95Aの凹溝602に入り込んだ状態でケース部材95Aに固定されている。ストッパ部材601は、具体的には、円環の一部を切り欠いたCリングである。ストッパ部材601は、自らの径方向外方への弾性力でケース部材95Aに固定される。
ストッパ部材601は、凹溝602に入り込んだ状態でケース部材95Aに固定されると、その一部が底部122Aの底面122Aaから突出する。ストッパ部材601は、このように底部122Aの底面122Aaから突出する部分がストッパ部605となっている。ストッパ部605は、その底面122Aaから突出する突出面605aが湾曲している。そして、皿バネ116の当接部416が、ストッパ部605の突出面605aに軸方向において対向する。ストッパ部605は、ケース部材95Aと同軸状に配置されている。ここで、ストッパ部605および突出面605aの径方向は、ケース部材95Aの径方向と一致する方向をいう。
皿バネ116は、その内側平板状部414が、ケース部材95Aの底部122Aの底面122Aaに当接する。ストッパ部605は、その突出面605aの最小径が皿バネ116の外側テーパ部403の外径よりも小径であって、内側平板状部414の外径よりも大径である。ストッパ部605は、その突出面605aの最大径が皿バネ116の外側テーパ部403の外径よりも大径である。言い換えれば、ストッパ部605は、その突出面605aの最小径が当接部416の外径よりも小径であり、その突出面605aの最大径が当接部416の外径よりも大径である。
ストッパ部605は、その突出面605aが、その軸方向において底部122Aの底面122Aaよりも皿バネ116が配置される側に突出している。しかも、ストッパ部605の突出面605aは、その軸方向において皿バネ116の内側平板状部414よりも底部122Aとは反対側まで突出している。言い換えれば、ストッパ部605の突出面605aは、その軸方向において底部122Aの底面122Aaよりも皿バネ116が配置される側に位置している。さらに言い換えれば、ストッパ部605の突出面605aは、皿バネ116の軸方向一端側の当接部416よりも内周側にある主体部417の軸方向他端側の端部よりも、軸方向において当接部416側へ突出して形成されている。ストッパ部605の突出面605aは、皿バネ116の軸方向における一端側の当接部416が、当接部416よりも内周側の部位である主体部417よりも、皿バネ116の軸方向における他端側に変位することを抑制する。皿バネ116のこのような変位を、ストッパ部605は、当接部416に対向する突出面605aで皿バネ116に当接して抑制する。
第2実施形態の緩衝器1Aにおいては、皿バネ116の外側テーパ部403がテーパを大きくするように変形しても、ストッパ部605が、その突出面605aで外側テーパ部403に当接して、外側テーパ部403の外周端の当接部416が主体部417よりも底部122Aの底面122Aa側に変位することを抑制する。このように、ストッパ部605の突出面605aは、皿バネ116の外側テーパ部403が、その外周側が内周側よりも底部122側に位置するように変形してしまうことを抑制する。これにより、皿バネ116において、外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。したがって、機能の低下を抑制することが可能となる。
また、ストッパ部605は、皿バネ116の当接部416と対向するケース部材95Aの底面122Aaに配置され、皿バネ116の主体部417よりも当接部416側へ突出するよう固定されているストッパ部材601に設けられている。このため、簡素な構造で、皿バネ116の外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。
なお、ストッパ部605の突出面605aが、ケース部材95の周方向の全周にわたって、皿バネ116の主体部417の底面122Aa側の端部よりも当接部416側へ突出するよう形成されていても良い。すなわち、ストッパ部605の突出面605aの少なくとも一部が、皿バネ116の主体部417の底面122Aa側の端部よりも当接部416側へ突出するよう形成されていれば良い。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図5に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図5に示すように、第3実施形態の緩衝器1Bにおいては、ケース部材95とは一部異なるケース部材95Bをケース部材95にかえて有している。下室体積可変機構185Bは下室体積可変機構185に対してケース部材95にかえてケース部材95Bを有する点が相違している。上室体積可変機構186Bは上室体積可変機構186に対してケース部材95にかえてケース部材95Bを有する点が相違している。アキュムレータ190Bはアキュムレータ190に対してケース部材95にかえてケース部材95Bを有する点が相違している。
ケース部材95Bは、ケース部材95と同様、有底筒状の一体成形品であり、例えば金属板の塑性加工や切削加工により形成されている。ケース部材95Bは底部122Bと筒状部124Bとを有している。底部122Bは、底部本体部611とストッパ部612とを有している。底部本体部611は一定厚さであり、径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状である。筒状部124Bは、底部本体部611の外周縁部から、底部本体部611の軸方向一側に延出している。ストッパ部612は底部本体部611の径方向の筒状部124B側に配置されている。
底部本体部611は、その軸方向における筒状部124B側の底面611aが平面状である。ストッパ部612は、底部本体部611の底面611aから、底部本体部611の軸方向における筒状部124B側に変形し突出する。ストッパ部612は、底部本体部611の全周にわたって形成されて円環状をなす。ストッパ部612は、底部本体部611および筒状部124Bと同軸状に形成されている。ストッパ部612は、その底面611aから突出する突出面612aが湾曲している。ストッパ部612は、底部本体部611および筒状部124Bと同軸状に配置されている。ここで、ストッパ部612および突出面612aの径方向は、底部本体部611および筒状部124Bの径方向と一致する方向をいう。筒状部124Bは、その径方向内側の内周面124Baが底面611aの外周縁部と連続している。
底部122Bは、底部122と同様、内周部にピストンロッド25の取付軸部28を嵌合させる。底部122Bには、複数の通路孔126と同様の複数の通路孔126Bが底部本体部611に形成されている。複数の通路孔126Bは、底部本体部611の径方向におけるストッパ部612よりも内側に配置されている。ケース部材95Bは、底部122Bが、筒状部124Bよりもピストン21側に位置する向きで配置されてディスク87に当接している。ケース部材95Bも、ケース部材95と同様、メインバルブ91の開方向への規定以上の変形をメインバルブ91に当接して規制する。
皿バネ116は、その内側平板状部414が、ケース部材95Bの底部本体部611の底面611aに当接する。そして、皿バネ116の当接部416が、ストッパ部612の突出面612aに軸方向において対向する。ストッパ部612は、その突出面612aの最小径が皿バネ116の外側テーパ部403の外径よりも小径であって、内側平板状部414の外径よりも大径である。ストッパ部612は、その突出面612aの最大径が皿バネ116の外側テーパ部403の外径よりも小径である。言い換えれば、ストッパ部612は、その突出面612aの最小径が当接部416の外径よりも小径であり、その突出面612aの最大径が当接部416の外径よりも小径である。
ストッパ部612は、その突出面612aが、その軸方向において底部本体部611の底面611aよりも皿バネ116が配置される側に突出している。しかも、ストッパ部612の突出面612aは、その軸方向において皿バネ116の内側平板状部414よりも底部本体部611とは反対側まで突出している。言い換えれば、ストッパ部612の突出面612aは、その軸方向において底部本体部611の底面611aよりも皿バネ116が配置される側に位置している。さらに言い換えれば、ストッパ部612の突出面612aは、皿バネ116の軸方向一端側の当接部416よりも内周側にある主体部417の軸方向他端側の端部よりも、軸方向において当接部416側へ突出して形成されている。ストッパ部612の突出面612aは、皿バネ116の軸方向における一端側の当接部416が、当接部416よりも内周側の部位である主体部417よりも、皿バネ116の軸方向における他端側に変位することを抑制する。皿バネ116のこのような変位を、ストッパ部612は、当接部416に対向する突出面612aで皿バネ116に当接して抑制する。
第3実施形態の緩衝器1Bにおいては、皿バネ116の外側テーパ部403がテーパを大きくするように変形しても、ストッパ部612が、その突出面612aで外側テーパ部403に当接して、外側テーパ部403の外周端の当接部416が主体部417よりも底部本体部611の底面611a側に変位することを抑制する。このように、ストッパ部612の突出面612aが、皿バネ116の外側テーパ部403が、外周側が内周側よりも底部本体部611側に位置するように変形してしまうことを抑制する。これにより、皿バネ116において、外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。したがって、機能の低下を抑制することが可能となる。
また、ケース部材95Bに形成されたストッパ部612の皿バネ116の当接部416と対向する突出面612aが、ケース部材95Bの全周にわたって、皿バネ116の主体部417の底面122a側の端部よりも当接部416側へ変形するよう形成されている。このため、部品点数を増やすことなく、簡素な構造で、皿バネ116の外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。
なお、ストッパ部612の突出面612aが、ケース部材95の周方向に部分的に、皿バネ116の主体部417の底面122a側の端部よりも当接部416側へ変形し突出するよう形成されていても良い。すなわち、ストッパ部612の突出面612aの少なくとも一部が、皿バネ116の主体部417の底面611a側の端部よりも当接部416側へ変形し突出するよう形成されていれば良い。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を主に図6に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図6に示すように、第4実施形態の緩衝器1Cにおいては、ケース部材95とは一部異なるケース部材95Cをケース部材95にかえて有している。また、皿バネ116とは一部異なる皿バネ116Cを皿バネ116にかえて有している。下室体積可変機構185Cは下室体積可変機構185に対して、ケース部材95にかえてケース部材95Cを有し皿バネ116にかえて皿バネ116Cを有する点が相違している。上室体積可変機構186Cは上室体積可変機構186に対して、ケース部材95にかえてケース部材95Cを有し皿バネ116にかえて皿バネ116Cを有する点が相違している。アキュムレータ190Cはアキュムレータ190に対して、ケース部材95にかえてケース部材95Cを有し皿バネ116にかえて皿バネ116Cを有する点が相違している。リリーフ機構532Cはリリーフ機構532に対して皿バネ116にかえて皿バネ116Cを有する点が相違している。
ケース部材95Cは、ケース部材95と同様、有底筒状の一体成形品であり、例えば金属板の塑性加工や切削加工により形成されている。ケース部材95Cは底部122Cと筒状部124Cとを有している。底部122Cは、一定厚さであり、径方向の幅が全周にわたって一定の有孔円形平板状である。筒状部124Cは、底部122Cの外周縁部から、底部122Cの軸方向一側に延出している。
底部122Cは、その軸方向における筒状部124C側の底面122Caが平面状である。底部122Cは、底部122と同様、内周部にピストンロッド25の取付軸部28を嵌合させる。底部122Cには、複数の通路孔126と同様の複数の通路孔126Cが底部122Cに形成されている。筒状部124Cは、その径方向内側の内周面124Caが底面122Caの外周縁部と連続している。ケース部材95Cは、底部122Cが、筒状部124Cよりもピストン21側に位置する向きで配置されてディスク87に当接している。ケース部材95Cも、ケース部材95と同様、メインバルブ91の開方向への規定以上の変形をメインバルブ91に当接して規制する。
皿バネ116Cは、皿バネ116に対してストッパ部621をさらに有する点が相違している。皿バネ116Cは、ストッパ部621を含んで一枚の板材からプレス成形による打ち抜き加工およびプレス成形による曲げ加工によって形成される。ストッパ部621は、外側テーパ部403の外周縁部から径方向外方かつ軸方向の内側平板状部414側に広がる円錐筒状である。皿バネ116Cは、その外径側の端部がストッパ部621となっている。ストッパ部621は、径方向の幅が全周にわたって一定である。ストッパ部621は、軸方向の長さが全周にわたって一定である。ストッパ部621は、外側テーパ部403よりも径方向の幅および軸方向の長さが共に短い。ストッパ部621の外周端は、皿バネ116Cの外周端である。外側テーパ部403の外周端の当接部416よりもストッパ部621は径方向外側にある。外側テーパ部403の当接部416よりもストッパ部621は軸方向の内側平板状部414側にある。
皿バネ116Cは、ストッパ部621の外径すなわち皿バネ116Cの外径がケース部材95の筒状部124の内径よりも若干小径となっている。皿バネ116Cは、内側円環部401と中間円環部402と支持部404とを有する内側平板状部414が、ケース部材95の底部122の底面122aに当接する。皿バネ116Cは、そのストッパ部621が、ケース部材95Cの底部122Cの底面122Caに軸方向において対向する。
ストッパ部621は、皿バネ116Cの外周端に設けられている。ストッパ部621は、外側テーパ部403の外周縁部から、皿バネ116Cの軸方向における主体部417の当接部416とは反対側へ向けて変形し突出するよう形成されている。ストッパ部621は、皿バネ116Cの軸方向における一端側の当接部416が、当接部416よりも内周側の部位である主体部417よりも、皿バネ116Cの軸方向における他端側に変位することを抑制する。皿バネ116Cのこのような変位を、皿バネ116Cは、ストッパ部621がケース部材95の底部122Cの底面122Caに当接して抑制する。
第4実施形態の緩衝器1Cにおいては、皿バネ116Cの外側テーパ部403がテーパを大きくするように変形しても、ストッパ部621が、ケース部材95Cの底面122Caに当接して、外側テーパ部403の外周端の当接部416が主体部417よりも底部122Cの底面122Ca側に変位することを抑制する。このように、ストッパ部621は、皿バネ116Cの外側テーパ部403が、その外周側が内周側よりも底部122C側に位置するように変形してしまうことを抑制する。これにより、皿バネ116Cにおいて、外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。したがって、機能の低下を抑制することが可能となる。
また、ストッパ部621は、皿バネ116Cの外周端に設けられている。ストッパ部621は、外側テーパ部403の外周縁部から、皿バネ116Cの軸方向における主体部417の当接部416とは反対側へ向けて変形し突出するよう形成されている。このため、部品点数を増やすことなく、簡素な構造で、皿バネ116Cの外側テーパ部403が通常に対して軸方向に反転した形状になることを抑制することができる。
なお、ストッパ部621が、皿バネ116Cの周方向に部分的に、外側テーパ部403の外周縁部から、皿バネ116Cの軸方向における主体部417の当接部416とは反対側へ向けて変形し突出するよう形成されていても良い。すなわち、皿バネ116Cの外周端の少なくとも一部が、外側テーパ部403の外周縁部から、皿バネ116の主体部417の底面122Ca側へ変形し突出するよう形成されていれば良い。
第1~第4実施形態においては、上室22から油液が流れ出す第1通路92と下室23から油液が流れ出す第1通路72とを有する場合を例にとり説明したが、上室22および下室23の両方から油液が流れ出す第1通路を設けても良い。ピストン21の移動により上室22および下室23の少なくとも一方から油液が流れ出す第1通路を有していれば良い。