JP7494612B2 - モジュール - Google Patents

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本発明は、モジュールに係り、例えばハウジングを有するコネクタと回路基板とが一体に封止されたモジュールに関する。
電子部品の小型化・薄型化に対応するため、コネクタを電子回路基板に取り付け、その上から封止樹脂組成物により封止する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2017/056728号
この種のモジュールにおいて、一層の信頼性が求められるようになっている。具体的には、樹脂組成物(モールド樹脂)にハウジング(コネクタ)の一部が埋没するように構成されたモジュールにおいて、その構成上、樹脂組成物とコネクタのハウジングとの界面において、いわゆる剥がれが生じやすいという特性があるが、その剥がれを一層抑制する技術が求められるようになってきている。
特許文献1に記載される技術は、はんだ接合による熱履歴によってコネクタ部と基板が膨張・収縮し反りが生じることに着目し、コネクタ部の固定方法を工夫するものである。しかし、樹脂組成物(モールド樹脂)にハウジング(コネクタ)の一部が埋没するように構成されたモジュールでは、線膨張係数差によりそれらの界面に応力が発生しやすく、界面で剥がれが生じやすいといった課題があり、別の技術が求められていた。
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、樹脂組成物(モールド樹脂)にハウジング(コネクタ)の一部が埋没するように構成されたモジュールにおいて、界面での剥がれを抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、
電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板から延出して設けられ外部機器と電気的に接続する端子部(30)と、
前記端子部の周囲を囲む筒状のハウジングと、
前記回路基板の少なくとも一部と前記ハウジングの少なくとも一部とを一体にモールドするモールド樹脂と
を備え、
前記ハウジングは、その内部に、ハウジング内部空間を筒の長手方向(筒の形成方向)に2分割して回路基板側の第1空間と外部機器の接続部が挿入係止される第2空間とを形成する仕切り板を有し、
前記端子部は、前記仕切り板を貫通し突出するように設けられ、
前記モールド樹脂は、前記第1空間全体を充填するとともに、前記ハウジングの外周面のうち、前記第1空間の周囲に位置する前記外周面の一部または全部を被覆する一方、前記第2空間の周囲に位置する前記外周面を未被覆とする形態でモールドしている、モジュールが提供される。
本発明によれば、樹脂組成物(モールド樹脂)にハウジング(コネクタ)の一部が埋没するように構成されたモジュールにおいて、樹脂組成物とコネクタのハウジングとの界面において分離(剥がれ)を抑制する技術を提供できる。
本実施形態のモジュールを示す模式断面図である 実施例および比較例の計算モデルを示した図である。 実施例および比較例の計算モデルにおける入力したEMCの物性をグラフ表示した図である。 実施例および比較例の計算モデルにおける入力したPPT-GF40及びPBT-GF30の物性をグラフ表示した図である。 実施例および比較例の計算モデルにおけるPPS-GF40を適用したときの応力を示したグラフである。 実施例および比較例の計算モデルにおけるPBT-GF30を適用したときの応力を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。また、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
<モジュール100概要>
図1は、本実施形態の電子部品のモジュール100を示す模式断面図である。
本実施形態のモジュール100は、回路基板10と、回路基板10と外部機器とを電気的に接続するコネクタ部20と、モールド樹脂50とを有する。
回路基板10と、回路基板10と外部機器とを電気的に接続するコネクタ部20は、モールド樹脂50により一括封止されている。
より具体的には、回路基板10はコネクタ部20ともに封止樹脂組成物の硬化物であるモールド樹脂50により封止されている。すなわち、モールド樹脂50は封止体である。
モールド樹脂50は、回路基板10の少なくとも一部とハウジング21の少なくとも一部とを一体にモールドする。回路基板10については、全体がモールド樹脂50に封止されてもよいし、一部が封止されてもよい。ハウジング21は、詳細は後述するように一部が封止される。
<回路基板10>
回路基板10は、絶縁基材に導体パターンなどが形成されたものである。回路基板10としては、プリント基板やセラミック基板を用いることができる。また、回路基板10は、例えば、平板形状の基板である。回路基板10には、ICチップ等の電子部品11が搭載されるとともに、コネクタ部20の端子部30が接続されている。
<コネクタ部20>
コネクタ部20は、回路基板10と外部機器とを電気的に接続する端子部30と、端子部30の外周に配置され、封止用樹脂組成物によって封止される筒状のハウジング21と、を有し、ハウジング21が熱可塑性樹脂を含むものである。いわゆるプラスチックコネクタや樹脂製コネクタと呼ばれる。
具体的には、コネクタ部20は、回路基板10と外部機器とを電気的に中継するものであり、回路基板10に実装され、モールド樹脂50により一体化されている。
コネクタ部20内の端子部30の一部は外部に露出し、その周囲はハウジング21により囲われている。
<ハウジング21>
コネクタ部20は、上述のように、筒形状のハウジング21と、筒形状の内部にハウジング内部空間を長手方向(言い換えると筒の形成方向)に2分割する仕切り板24が形成されている。すなわち、仕切り板24は、ハウジング21の内部空間を、回路基板10側の第1空間41と、外部機器の接続部(図示せず)が挿入され係止される第2空間42と、を形成している。
また、端子部30が、仕切り板24を貫通するように設けられている。すなわち、端子部30は、一端側が回路基板10に接続され、仕切り板24を第1空間41側から第2空間42側に貫通し突出する。
<モールド樹脂50とハウジング21の関係>
図示のように、回路基板10側の第1空間41には、モールド樹脂50が充填されている。言い換えると、第1空間41において、端子部30はモールド樹脂50に封止されている。一方、第2空間42にはモールド樹脂50は充填されていない。
モールド樹脂50は、ハウジング21の外周面22のうち、第1空間41の周囲に位置する外周面22の一部または全部を被覆する。また、モールド樹脂50は、第2空間42の周囲に位置する外周面22を未被覆とする形態でモールドしている。このような構成とすることで、コネクタ部20(すなわちハウジング21)とモールド樹脂50との剥がれを抑制できる。
ここで、ハウジング21の外周面22のうち、仕切り板24の回路基板10側(すなわち、第1空間41側)にある面(基板側面25)を含む平面Xを基準とし、回路基板10側にある領域を第1領域A1とし、回路基板10側と反対側(すなわち第2空間42側)にある領域を第2領域A2とする。
モールド樹脂50は、ハウジング21の外周面22において、第1領域A1の一部または全部を被覆する。一方、モールド樹脂50は、第2領域A2を未被覆とする。なお、以下では便宜的に、外周面22においてモールド樹脂50に被覆されている先端側端部、すなわち被覆領域と未被覆領域との境界を被覆境界Yとして説明する。
また、第1空間41の周囲に位置する外周面22の面積をS1とし、ハウジング21の外周面22においてモールド樹脂50で被覆された領域の面積をS2とする。すなわち、第1領域A1の面積がS1である。このとき、面積S1とS2の比S2/S1が0.2以上1.0以下である。比S2/S1の下限は、好ましくは0.3以上であり、よりこのましくは0.4以上である。比S2/S1の上限は、好ましくは0.9以下であり、よりこのましくは0.8以下である。このようは範囲とすることで、モールド樹脂50とコネクタ部20(すなわちハウジング21)との界面に応力が発生したときに、モールド樹脂50とコネクタ部20の剥がれを効果的に抑制できる。
<モールド樹脂50の成分>
モールド樹脂50は、熱硬化性樹脂(A)および無機充填材(B)を含む熱硬化性組成物(C)の硬化体である。熱硬化性組成物(C)には、硬化促進剤(D)が含まれる。
[硬化促進剤(D)]
本実施形態の硬化促進剤(D)は、活性が強いものである。これにより、低温硬化を実現する一方で、特段の工夫をせずにそのまま用いると保存中に反応が進行する等し、保存性が低下する。
硬化促進剤(D)としては、たとえば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、または、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、イミダゾール等のアミジン系化合物;ベンジルジメチルアミン等の3級アミン、アミジニウム塩、またはアンモニウム塩等の窒素原子含有化合物等が挙げられる。
なかでも、硬化促進剤(D)が、イミダゾール系硬化促進剤またはリン系硬化促進剤であることが好ましい。イミダゾール系硬化促進剤として、例えば、アミジン系化合物のイミダゾール化合物を含むことがより好ましい。イミダゾール化合物としては、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、イダゾール-2-カルボアルデヒド、5-アザベンゾイミダゾール、4-アザベンゾイミダゾール等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、2-メチルイミダゾールが好ましく用いられる。
封止樹脂組成物中における硬化促進剤(D)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
硬化促進剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物を適切に硬化しやすくなる。一方、硬化促進剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、溶融状態を長くし、より低粘度状態を長くできる結果、低温封止を実現しやすくなる。
[熱硬化性樹脂(A)]
熱硬化性樹脂(A)としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびポリウレタン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、アルコキシナフタレン骨格含有フェノールアラルキルエポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アルミニウム電解コンデンサの信頼性、および成形性のバランスを向上させる観点からは、アラルキル型エポキシ樹脂およびナフチルエーテル型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を用いることがより好ましい。
熱硬化性樹脂(A)の150℃におけるICI粘度は、無機充填材(B)の含有量により適宜設定されることが好適であるが、たとえば、上限値は、好ましくは60ポアズ以下であり、より好ましくは50ポアズ以下であり、さらに好ましくは40ポアズ以下である。これにより、封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、また、低温封止を実現しやすくする。
一方、熱硬化性樹脂(A)の150℃におけるICI粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01ポアズ以上としてもよい。
なお、1ポアズは、0.1Pa・sである。
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、2質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物の流動性や成型性をより効果的に向上させることができる。また、熱硬化性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、アルミニウム電解コンデンサの信頼性をより効果的に向上させることができる。
[無機充填材(B)]
無機充填材(B)としては、例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、クレイ、マイカ、ロックウール、ウォラストナイト、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスファイバー、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミ、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、セルロース、アラミド、または木材等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のシリカとしては、結晶性シリカ(破砕状の結晶性シリカ)、溶融シリカ(破砕状のアモルファスシリカ、球状のアモルファスシリカ)、および液状封止シリカ(液状封止用の球状のアモルファス止シリカ)が挙げられる。なかでも、低温、低圧封止を実現しやすくする観点から、溶融球状シリカであることが好ましい。
無機充填剤(B)の平均粒径は、特に限定されないが、典型的には1~100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~20μmである。平均粒径が適当であることにより、後述の造粒工程において、溶融混合物を含むシェルがより均一にコーティングされる等の効果が得られると考えられる。また、最終的に得られたコアシェル粒子を半導体封止材として使用するときに、金型キャビティ内での半導体素子周辺への充填性を高めることができる。
なお、無機充填材(B)の体積基準粒度分布は、市販のレーザー式粒度分布計(たとえば、株式会社島津製作所製、SALD-7000)で測定することができる。
無機充填材(B)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましい。
無機充填材(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物により封止されたアルミニウム電解コンデンサの信頼性を効果的に向上させることができる。また、無機充填材(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性をより効果的に向上させることが可能となる。
本実施形態の封止樹脂組成物は、上記以外に、以下の成分を含んでもよい。
[硬化剤(C)]
封止樹脂組成物は、硬化剤(C)を含むことができる。硬化剤(C)としては、熱硬化性樹脂(A)と反応して硬化させるものであればとくに限定されないが、たとえば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、および、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2~20の直鎖脂肪族ジアミン、ならびに、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4-アミノフェニル)フェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等のアミン類;アニリン変性レゾール樹脂、ジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等を含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテル等のポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネート等のイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂等の有機酸類が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、封止樹脂組成物の低温・低圧封止を実現させる観点からは、ノボラック型フェノール樹脂またはフェノールアラルキル樹脂のうちの少なくとも一方を用いることがより好ましい。
封止樹脂組成物中における硬化剤(C)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、1質量%以上12質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
硬化剤(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物を適切に硬化しやすくなる。一方、硬化剤(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、適度な流動性を保持し、低温・低圧封止を実現しやすくなる。
[カップリング剤(E)]
封止樹脂組成物は、たとえばカップリング剤(E)を含むことができる。カップリング剤(E)としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。
より具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
封止樹脂組成物中におけるカップリング剤(E)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。カップリング剤(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物中における無機充填材(B)分散性を良好なものとすることができる。また、カップリング剤(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態の封止樹脂組成物は、上記成分の他に、たとえば、カーボンブラック等の着色剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を含むことができる。
<ハウジング21の熱可塑性樹脂材料の成分>
ハウジング21が、熱可塑性樹脂材料で形成されている。すなわち、熱硬化性組成物の硬化体である。
ハウジング21を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエステルおよびポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、およびエンジニアリングプラスチックの中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
なかでも、エンジニアリングプラスチックであることが好ましい。また、エンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)またはポリアミド(PA)からなる群より選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
例えば、エンジニアリングプラスチックがある。
ハウジング21が熱可塑性樹脂を含む場合であっても、本実施形態のモールド樹脂50によれば、低温での封止が実現できるため、モジュール100の良好な外観および信頼性が保持される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施形態で示したモジュール100について、コネクタ部20とモールド樹脂50との剥がれを抑制する観点から、コネクタ部20とモールド樹脂50とのモールド構造について次の4つの計算モデル1-4について検討とした。計算モデル1-4では、図2に示すように、基板側面25が含まれる面Xの位置と外周面22におけるモールド樹脂50の境界(被覆境界Y)の位置とを変え、モールド樹脂50とコネクタ部20との界面の応力を計算し、コネクタ部20(ハウジング21)をモールド樹脂50で封止する最適構造を求めた。
コネクタ部20(ハウジング21)の材料として、PPS-GF40(ポリフェニレンサルファイド ガラス繊維40%)とPBT-GF30(ポリブチレンテレフタレート ガラス繊維30%)の2種類について、TMA(熱機械分析)の仮定値、DMA(動的粘性測定)の仮定値を設定した。
<計算モデル>
計算モデル1、2が比較例1~4であり、計算モデル3、4が実施例1~4である。
・計算モデル1(比較例1、3):
被覆境界Yが面X及び仕切り板24の先端側の面より先端側である。
PPS-GF40が比較例1、PBT-GF30が比較例3である。
・計算モデル2(比較例2、4):
被覆境界Yが面Xより先端側であり且つ仕切り板24の先端側の面と同じ位置である。
PPS-GF40が比較例2、PBT-GF30が比較例4である。
・計算モデル3(実施例1、3):
被覆境界Yが面Xと同じ位置である。
PPS-GF40が実施例1、PBT-GF30が実施例3である。
・計算モデル4(実施例2、4):
被覆境界Yが面Xよりも基板側の位置である。
PPS-GF40が実施例2、PBT-GF30が実施例4である。
<シミュレーションの条件>
・シミュレーションソフト: Marc(MSC Software社製)
・EMC(モールド樹脂)物性:
次の条件により12通りに設定した。図3に下記に示す入力したEMCの物性をグラフ表示したものを示す。図3(a)がCTE(熱膨張率)、図3(b)が弾性率を示す。
CTE(熱膨張率): 8、10、12、14、16、18ppm/℃の6通り
弾性率: 12、16GPaの2通り
Tg: 160℃の1通り
線膨張率α2は、線膨張率α1の5倍とする。
弾性率の下がり始めは、Tg+20℃とし、更に50℃上昇した温度で線膨張率α2領域に達するとする。
線膨張率α2領域の弾性率は線膨張率α1領域の弾性率の1/10とする。
・コネクタ部(ハウジング)物性:
図4に入力したPPT-GF40及びPBT-GF30の物性をグラフ表示したものを示す。図4(a)がPPT-GF40の流動方向およびそれに垂直方向のTMAを示し、図4(b)がPPT-GF40のDMAである。図4(a)がPPT-GF40の流動方向およびそれに垂直方向のTMAを示し、図4(b)がPPT-GF40のDMAである。図4(c)がPBT-GF30の流動方向およびそれに垂直方向のTMAを示し、図4(d)がPBT-GF30のDMAである。
コネクタ部(ハウジング)物性の材料であるPPT-GF40及びPBT-GF30にはガラスファイバーが配合されておりコネクタ成形時の樹脂流動方向と垂直方向でコネクタ物性が異なることから、TMAについては異なる値を用いている。
・150℃を応力フリーとし、室温(RT)まで降温させたときの、コネクタ部20(ハウジング21)とモールド樹脂50の界面の応力を計算した。
<シミュレーション結果>
図5にPPS-GF40を適用したときの計算モデル1-4のシミュレーション結果のグラフを示す。図6にPBT-GF30を適用したときの計算モデル1-4のシミュレーション結果のグラフを示す。グラフの縦軸は、ハウジング21が湾曲している部分のモールド樹脂50との界面の応力を示す。横軸はCTEである。
図5、6のシミュレーション結果に示されるように、計算モデル3、4(実施例1~4)では、計算モデル1、2(比較例1~4)に対して、界面に生じる応力が半分になっている。すなわち、コネクタ部20(ハウジング21)の材料として、PPS-GF40とPBT-GF30のいずれの材料を用いた場合であっても、モールド樹脂50の被覆境界Yが、仕切り板24の基板側面25(面X)より基板側の位置である構成において、コネクタ部20(ハウジング21)とモールド樹脂50との界面の剥がれを抑制できる。
100 モジュール
10 回路基板
11 電子回路
20 コネクタ
21 ハウジング
22 外周面
24 仕切り板
25 基板側面
30 端子部
41 第1空間
42 第2空間
50 モールド樹脂
100 モジュール

Claims (9)

  1. 電子部品が実装された回路基板と、
    前記回路基板から延出して設けられ外部機器と電気的に接続する端子部と、
    前記端子部の周囲を囲む筒状のハウジングと、
    前記回路基板の少なくとも一部と前記ハウジングの少なくとも一部とを一体にモールドするモールド樹脂と
    を備え、
    前記ハウジングは、その内部に、ハウジング内部空間を筒の形成方向に2分割して回路基板側の第1空間と外部機器の接続部が挿入係止される第2空間とを形成する仕切り板を有し、
    前記端子部は、前記仕切り板を貫通突出するように設けられ、
    前記モールド樹脂は、前記第1空間全体を充填するとともに、前記ハウジングの外周面のうち、前記第1空間の周囲に位置する前記外周面の一部または全部を被覆する一方、前記第2空間の周囲に位置する前記外周面を未被覆とする形態でモールドしており、
    前記ハウジングの外周面のうち、前記仕切り板の前記回路基板側にある面を含む平面に対して前記回路基板側にある領域を第1領域とし、前記平面に対して前記回路基板側と反対側にある領域を第2領域としたとき、
    前記モールド樹脂は、前記第1領域の一部または全部を被覆する一方、前記第2領域を未被覆とする形態でモールドしている、
    モジュール。
  2. 請求項に記載のモジュールであって、
    前記第1空間の周囲に位置する前記外周面の面積をS1とし、前記ハウジングの外周面において前記モールド樹脂で被覆された領域の面積をS2としたとき、S2/S1が0.2以上1.0以下である、
    モジュール。
  3. 請求項1または2に記載のモジュールであって、
    前記モールド樹脂は、熱硬化性樹脂(A)および無機充填材(B)を含む熱硬化性組成物の硬化体である、モジュール。
  4. 請求項に記載のモジュールであって、
    熱硬化性樹脂(A)は、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂である、
    モジュール。
  5. 請求項またはに記載のモジュールであって、
    前記無機充填材(B)はシリカを含む、
    モジュール。
  6. 請求項からまでのいずれか1項に記載のモジュールであって、
    前記熱硬化性組成物が、イミダゾール系硬化促進剤またはリン系硬化促進剤を含む、
    モジュール。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載のモジュールであって、
    前記ハウジングが、熱可塑性樹脂材料で形成されたものである、
    モジュール。
  8. 請求項に記載のモジュールであって、
    前記熱可塑性樹脂材料がエンジニアリングプラスチックを含む、モジュール。
  9. 請求項に記載のモジュールであって、
    前記エンジニアリングプラスチックは、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレンまたはポリアミドからなる群より選ばれる1種または2種以上である、モジュール。
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