JP7009790B2 - 半導体封止用樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Description
すなわち、特許文献1においては、硬化後の封止樹脂としての熱伝導性及び低吸水性を付与する目的として、また、特許文献2においては、硬化後の封止樹脂として耐トラッキング性や耐湿特性を付与する目的として、樹脂組成物中にクリストバライトを配合している。
特許文献1、2において、クリストバライトを封止用樹脂組成物に適用する理由としては以下のように考えられる。すなわち、クリストバライトは、その特異な結晶構造により、特に加熱時において顕著な膨張特性を発揮する。よって、熱硬化を行う際に、このクリストバライトが著しく膨張し、硬化物に剛性を持たせ、上記特性を実現することができると考えられる。
本発明者はさらに検討したところ、リフロー処理時の内部応力を制御する因子として、硬化物の熱時寸法変化率と、硬化物の熱時曲げ弾性率とに相関があり、これらを小さく制御することにより、反りおよびクラックの発生を抑制できることが分かった。さらに検討を深めた結果、硬化物の熱時寸法変化率として、175℃から260℃における寸法変化率、硬化物の熱時曲げ弾性率として、260℃における曲げ弾性率E260を採用し、これらの積値を指標とすることにより、リフロー処理時の内部応力を安定的に評価することを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、寸法変化率と曲げ弾性率E260との積値である指標を所定値以下とすることにより、リフロー処理時に、反りの発生の抑制を抑制できるとともに、クラックの発生の抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
前記無機充填材は、クリストバライトを含み、
前記エポキシ樹脂がトリフェノールメタン型エポキシ樹脂、およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂の中から選ばれる1種以上を含み、
前記クリストバライトの平均粒径が0.5μm以上20μm以下であり、
熱機械分析(TMA)で測定した当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃における長さをL1(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化量をL1→2(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化率ΔL(%)をL1→2/L1×100と表し、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、260℃における曲げ弾性率をE260(MPa)としたとき、
260℃における熱時応力を示すΔL×E260が、50以上630以下であり、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が155℃以上である、半導体封止用樹脂組成物が提供される。
基板と、
前記基板の一面上に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止材層と、を備える、半導体装置であって、
前記封止材層は、上記の半導体封止用樹脂組成物の硬化物である、半導体装置が提供される。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物の概要について説明する。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含むことができる。当該無機充填材は、クリストバライトを含むことができる。
本実施形態において、熱機械分析(TMA)で測定した当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃での長さをL1(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化量をL1→2(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化率ΔL(%)をL1→2/L1×100と表し、当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、260℃における曲げ弾性率をE260(MPa)としたとき、260℃における熱時応力を示すΔL×E260が、50以上630以下とすることができる。
そして、上記Lは、得られた試験片の25℃における長さを基準長さ(例えば、15mm)としたときに、以下の式で表すことができる。
ΔL(175℃から260℃までの寸法変化率:%)=(175℃から260℃までの寸法変化量L1→2:μm)/(175℃の長さL1:μm))×100
一方で、L×Eの下限値は、特に限定されないが、例えば、50以上としてもよく、100以上としてもよく、200以上としてもよく、320以上としてもよい。これにより、下地基材に対する熱時特性を高め、反りが大きくなることを抑制できる。
本実施形態における(A)エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態においては、(A)エポキシ樹脂として、とくに非ハロゲン化エポキシ樹脂を採用することが好ましい。
これらのうち、耐湿信頼性と成形性のバランスを向上させる観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびトリフェノールメタン型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがより好ましい。また、半導体装置の反りを抑制する観点からは、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがとくに好ましい。さらに流動性を向上させるためにはビフェニル型エポキシ樹脂がとくに好ましく、高温の弾性率を制御するためにはフェノールアラルキル型エポキシ樹脂がとくに好ましい。
一方で、半導体封止用樹脂組成物中における(A)エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物の全体に対して40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。(A)エポキシ樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物を用いて形成される封止樹脂を備える半導体装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
本実施形態において、「樹脂組成物の固形分」とは、樹脂組成物中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。また、本実施形態において、樹脂組成物全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、樹脂組成物のうちの溶媒を除く固形分全体に対する含有量を指す。
本実施形態における(B)硬化剤は、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、上記したフェノール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂、トリスフェノールメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm-フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記のうち異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、(C)無機充填材を含むことができる。当該(C)無機充填材は、少なくともクリストバライトを含むことができる。
なお、本明細書において、「平均粒径」とは体積50%平均粒子径(D50)を指し、たとえば、(株)島津製作所製レーザー回折散乱式粒度分布計SALD-7000を使用して測定することができる。
一方で、半導体封止用樹脂組成物中におけるクリストバライトの含有量は、樹脂組成物の全体に対して60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。クリストバライトの含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物の高い流動性を確保することや、パッケージ表面の耐クラック性を向上することができる。
また、本実施形態においては、シリカとして、平均粒径1μm以下の微粉シリカを含むことが、半導体封止用樹脂組成物の充填性を向上させる観点や、半導体装置の反りを抑制する観点から、好ましい態様の一つとして挙げられる。
また、(C)無機充填材全体の含有量をこのような範囲に制御することにより、硬化物の線膨張係数α1、α2、25℃における曲げ弾性率E25や、260℃における曲げ弾性率E260等の物性値を所望の範囲とすることがより容易となる。このため、L×Eを所望の数値範囲にすることが容易になるほか、半導体装置の反りの抑制に寄与することも可能となる。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、たとえば(D)硬化促進剤をさらに含むことができる。(D)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般の半導体封止用樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
一方で、(D)硬化促進剤の含有量は、半導体封止用樹脂組成物の全体に対して2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。(D)硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止成形時における流動性の向上を図ることができる。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、たとえば(E)カップリング剤を含むことができる。(E)カップリング剤としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシランまたはビニルシランのシラン系化合物がより好ましい。また、充填性や成形性をより効果的に向上させる観点からは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランに代表される2級アミノシランを用いることが特に好ましい。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物には、さらに必要に応じて、ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤;酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
このような要求に対し、本発明者らが鋭意検討した結果、半導体封止用樹脂組成物の硬化物について、上記線膨張係数α2を上記特定の範囲に調整することにより、半導体素子を搭載する基板との線膨張係数の差を緩和することができ、半導体装置全体としての反りを抑制するということを知見した。
一方、260℃における曲げ弾性率E260の上限値は、特に制限されないが、たとえば1Gpa以下であり、950MPa以下が好ましく、900MPa以下がより好ましい。260℃における曲げ弾性率E260を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂としての適度な柔軟性を付与することができ、外部からの応力や、熱応力を効果的に緩和し、リフロー時の耐半田信頼性等を向上させることができる。
一方で、上記硬化物の25℃における曲げ弾性率E25の上限値は、特に限定されないが、例えば、40GPa以下が好ましく、30GPa以下が好ましく、20GPa以下がさらに好ましい。硬化物の25℃における曲げ弾性率E25を上記上限値以下とすることにより、外部からの応力を効果的に緩和して、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
本実施形態の半導体装置は、基板、半導体素子、封止樹脂層を備えるものである。
本実施形態において、基板としては、たとえばインターポーザ等の有機基板を用いることができる。半導体素子(半導体チップ)は、基板の一面上の搭載されている。半導体素子は、例えば、ワイヤボンディングまたはフリップチップ接続等により、基板と電気的に接続される。複数の半導体素子が実装されていてもよい。例えば、複数の半導体素子は、互いに離間して基板の実装面に配置されてもよいが、互いに積層して配置されていてもよい。複数の半導体素子は、異なる種類を用いてもよい。
また、本実施形態においては、たとえば封止樹脂の厚さを、有機基板の厚さ以下とすることができる。これにより、半導体パッケージをより効率的に薄型化することができる。ここで、封止樹脂層の厚さとは、基板の実装面(外部接続用のバンプが形成された面とは反対側の一面)から、封止樹脂層の天面までの最短距離とする。
図1は、半導体装置100の一例を示す断面図である。
また、基板10の厚さの上限値は、例えば、0.8mm以下としてもよく、0.4mm以下としてもよい。一方、基板10の厚さの下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上としてもよい。
本実施形態によれば、このように半導体パッケージの薄型化を図ることができる。また、薄型の半導体パッケージであっても、本実施形態に係る半導体封止用樹脂組成物を用いて封止樹脂層30を形成することにより、半導体装置100の反りを抑制することが可能となる。また、本実施形態においては、たとえば封止樹脂層30の厚さを、基板10の厚さ以下とすることができる。これにより、半導体装置100をより効率的に薄型化することができる。
図2は、構造体102の一例を示す断面図である。構造体102は、MAP成形により形成された成形品である。このため、構造体102を半導体素子20毎に個片化することにより、複数の半導体パッケージが得られることとなる。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
[1]
エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
前記無機充填材は、クリストバライトを含み、
熱機械分析(TMA)で測定した当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃における長さをL1(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化量をL 1→2 (μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化率ΔL(%)をL 1→2 /L1×100と表し、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、260℃における曲げ弾性率をE 260 (MPa)としたとき、
260℃における熱時応力を示すΔL×E 260 が、50以上630以下である、半導体封止用樹脂組成物。
[2]
[1]に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度が150℃以上250℃以下である、半導体封止用樹脂組成物。
[3]
[1]または[2]に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃から260℃までの平均線膨張係数α 2 が、50ppm/K以上200ppm/K以下である、半導体封止用樹脂組成物。
[4]
[1]から[3]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトが球状クリストバライトを含む、半導体封止用樹脂組成物。
[5]
[1]から[4]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトの平均粒径が20μm以下である、半導体封止用樹脂組成物。
[6]
[1]から[5]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記無機充填材がシリカを含む、半導体封止用樹脂組成物。
[7]
[1]から[6]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
カップリング剤をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。
[8]
基板と、
前記基板の一面上に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止材層と、を備える、半導体装置であって、
前記封止材層は、[1]から[7]のいずれか一つに記載の半導体封止用樹脂組成物の硬化物である、半導体装置。
(半導体封止用樹脂組成物の調製)
まず、表1に従い配合された各原材料を常温でミキサーを用いて混合した後、70~100℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕して半導体封止用樹脂組成物を得た。表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
エポキシ樹脂1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC-3000、エポキシ当量276g/eq)
エポキシ樹脂2:トリフェノールメタン型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、1032H-60、エポキシ当量171g/eq)
硬化剤1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(日本化薬(株)製、GPH-65、水酸基当量198g/eq)
硬化剤2:フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)製、MEH-7800、水酸基当量175g/eq)
無機充填材1:下記の製造方法により得られた球状クリストバライト(新日鉄住金マテリアルズ(株)製、HT-2)
[無機充填材1:球状クリストバライトの製造方法]
不純物含有量(金属アルミニウム換算で400~5000ppmのアルミニウム)の原料シリカ粉末を溶射して、球状シリカ粒子を作製した。得られた球状シリカ粒子を大気中で昇温速度200℃/時で1300℃まで昇温し、1300℃で6時間保持した後、降温速度200℃/時で常温まで冷却した。
無機充填材2:球状溶融シリカ(電気化学工業(株)社製、商品名「FB560」、平均粒径(D50):30μm)。
無機充填材3:球状溶融シリカ(微粉)((株)アドマテックス製、SO-C2、平均粒径(D50):0.5μm)
無機充填材4:水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、CL-303、平均粒径(D50):5.2μm)
なお、本実施例における平均粒径は(株)島津製作所製レーザー回折散乱式粒度分布計SALD-7000を使用して測定した。
硬化促進剤1:下記式(13)で示される化合物
撹拌装置付きのセパラブルフラスコに4,4’-ビスフェノールS37.5g(0.15モル)、メタノール100mlを仕込み、室温で撹拌溶解し、更に攪拌しながら予め50mlのメタノールに水酸化ナトリウム4.0g(0.1モル)を溶解した溶液を添加した。次いで予め150mlのメタノールにテトラフェニルホスホニウムブロマイド41.9g(0.1モル)を溶解した溶液を加えた。しばらく攪拌を継続し、300mlのメタノールを追加した後、フラスコ内の溶液を大量の水に撹拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。沈殿を濾過、乾燥し、白色結晶の上記式(13)で示される化合物を得た。
カップリング剤1:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、CF4083)
離型剤1:モンタン酸エステルワックス(WE―4(クラリアントジャパン(株)製))
着色剤1:カーボンブラック(カーボン#5(三菱化学(株)製))
低応力剤1:シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製、FZ―3730)
(175℃から260℃までの寸法変化率(ΔL)、線膨張係数(α1、α2)、ガラス転移温度(Tg))
各実施例および各比較例について、得られた半導体封止用樹脂組成物の硬化物の175℃から260℃までの寸法変化率ΔL、線膨張係数(α1、α2)およびガラス転移温度を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で半導体封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの試験片を得た。得られた試験片の長辺15mmを測定対象の基準長さとした(室温25℃での長さL0)。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、圧縮モードで、測定温度範囲0℃~320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。この測定結果から、175℃での長さ(L1)、260℃での長さ(L2)、175℃から260℃までの寸法変化量(L1→2=(L2-L1))、175℃から260℃までの寸法変化率ΔL、60℃から80℃までの平均線膨張係数(α1)、175℃から260℃までの平均線膨張係数(α2)、ガラス転移温度、を算出した。表1中、175℃から260℃までの寸法変化率ΔLの単位は%であり、α1とα2の単位はppm/Kであり、ガラス転移温度の単位は℃である。結果を表1に示す。
175℃から260℃までの寸法変化率ΔLは、以下の式で表される。
寸法変化率ΔL(%)=(175℃から260℃までの寸法変化量L1→2(μm)/175℃での長さL1(μm))×100
各実施例および各比較例について、得られた半導体封止用樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で半導体封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した。次いで、試験片の、25℃における曲げ弾性率E25と、260℃におけるおよび曲げ弾性率E260と、をJIS K 6911に準じて測定した。曲げ弾性率の単位はMPaである。結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、次のように耐クラック性の評価を行った。まず、得られた半導体封止用樹脂組成物を使用して、次のタイプのパッケージ(以下、PKGと略す)をMAP成形用のトランスファー成形機を用いて準備した(成形温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間2分)。サイズ240mm×70mm×0.23mmの基板に10×10×0.20mmのSiチップを64(4×16)枚マウントした。そして、樹脂厚みが0.45mmになるように設計したPKGを用いた。次いで、PKGの耐クラック性を測定した。上記で作成したPKGを乾燥機で175℃2時間のポストモールドキュアを実施し、それをリフロー装置で260℃処理を1回実施した。リフロー処理後のクラック発生率(%)を測定した。結果を表1に示す。
各実施例および各比較例について、次のように反り抑制の評価を行った。まず、得られた半導体封止用樹脂組成物を使用して、次のタイプのパッケージ(以下、PKGと略す)をMAP成形用のトランスファー成形機を用いて準備した(成形温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間2分)。PKGはサイズが14×14×0.53mmで、10×10×0.1mmのSiチップをマウントした厚み0.28mmの基板に、樹脂厚みが0.25mmになるように樹脂を封止したものである。次いで、PKGの反りを測定した。反りの測定はShadow moire(akrometrix製)を用いて、25℃から260℃へ昇温して、25℃、260℃でのPKG反りを測定することにより行った。そして、25℃、260℃の各条件について、PKG反りが100μm未満であるものを○とし、100μm以上であるものを×として、反り抑制評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例2は260℃の条件において、パッケージ表面の封止材にクラックが発生したため、PKG反りを測定することが不可能であった。
102 構造体
10 基材
12 半田ボール
20 半導体素子
22 バンプ
30 封止樹脂
32 アンダーフィル
Claims (11)
- エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含む半導体封止用樹脂組成物であって、
前記無機充填材は、クリストバライトを含み、
前記エポキシ樹脂がトリフェノールメタン型エポキシ樹脂、およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂の中から選ばれる1種以上を含み、
前記クリストバライトの平均粒径が0.5μm以上20μm以下であり、
熱機械分析(TMA)で測定した当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃における長さをL1(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化量をL1→2(μm)とし、175℃から260℃までの寸法変化率ΔL(%)をL1→2/L1×100と表し、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、260℃における曲げ弾性率をE260(MPa)としたとき、
260℃における熱時応力を示すΔL×E260が、50以上630以下であり、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度が155℃以上である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度が250℃以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
当該半導体封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃から260℃までの平均線膨張係数α2が、50ppm/K以上200ppm/K以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトが球状クリストバライトを含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記無機充填材がシリカを含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
カップリング剤をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂のエポキシ基モル数の前記硬化剤のフェノール性水酸基モル数に対する当量比は、0.5以上2以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記クリストバライトの含有量が、前記半導体封止用樹脂組成物の全体に対して5質量%以上60質量%以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
前記無機充填材の含有量が、前記半導体封止用樹脂組成物の全体に対して30質量%以上88質量%以下である、半導体封止用樹脂組成物。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物であって、
低応力剤をさらに含む、半導体封止用樹脂組成物。 - 基板と、
前記基板の一面上に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止材層と、を備える、半導体装置であって、
前記封止材層は、請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物の硬化物である、半導体装置。
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