JP2016065136A - 封止用樹脂組成物、半導体装置、および構造体 - Google Patents

封止用樹脂組成物、半導体装置、および構造体 Download PDF

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Junichi Tabei
純一 田部井
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Abstract

【課題】半導体装置の反りを抑制することができる半導体封止用樹脂組成物の提供。【解決手段】エポキシ樹脂(A)と、無機充填剤(B)と、硬化剤(C)と、を含み、前記硬化剤(C)が置換基として炭素数1〜5のアルキル基及び/又はアルケニルを有するフェノール及び/又はナフトールに由来する構造を有するフェノール樹脂(C1)を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される前記フェノール樹脂(C1)の数平均分子量(Mn)が500〜2000以下である封止用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用樹脂組成物、半導体装置、および構造体に関する。
半導体装置は、たとえば基板上に搭載された半導体素子を、封止用樹脂組成物を用いて封止成形することにより形成される。このような封止用樹脂組成物に関する技術としては、たとえば特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、エポキシ樹脂、アリル基含有ノボラックフェノール樹脂等を必須成分とする半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物が記載されている。
特開2005−97448号公報
半導体素子を封止用樹脂組成物により封止成形して得られる半導体装置については、反りの発生を抑制することが求められる。このような要求は、近年の半導体装置の薄型化に伴ってとくに顕著となっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、半導体装置の反りを十分に抑制することは困難であった。
本発明によれば、
エポキシ樹脂(A)と、
無機充填剤(B)と、
硬化剤(C)と、を含む封止用樹脂組成物であって、
上記硬化剤(C)が下記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)を含み、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、上記フェノール樹脂(C1)の数平均分子量(Mn)が500以上2000以下である封止用樹脂組成物が提供される。
Figure 2016065136
(式(1)中、nおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、n+m=1であり、xは数平均重合度を示し、ArおよびArはフェニレン基またはナフチレン基をそれぞれ表し、ArおよびArがナフチレン基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニレン基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよく、Arは式(1−1)または式(1−2)で示される基であり、ArおよびArはフェニル基またはナフチル基をそれぞれ表し、ArおよびArがナフチル基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニル基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよく、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数2〜5のアルケニル基のいずれかを表し、aはそれぞれ独立に1〜6のいずれかの整数であり、式(1)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい)
また、本発明によれば、
基材と、
上記基材の一面上に搭載された半導体素子と、
上記封止用樹脂組成物の硬化物により構成され、かつ上記半導体素子と、上記基材のうちの上記一面と、を封止する封止樹脂と、
を備える半導体装置が提供される。
また、本発明によれば、
基材と、
上記基材の一面上に搭載された複数の半導体素子と、
上記封止用樹脂組成物の硬化物により構成され、かつ上記複数の半導体素子と、上記基材のうちの上記一面と、を封止する封止樹脂と、
を備える構造体が提供される。
本発明によれば、半導体装置の反りを抑制することが可能となる。
半導体装置の一例を示す断面図である。 構造体の一例を示す断面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。また、数値範囲の「A〜B」は特に断りがなければ、「A以上B以下」を表す。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、無機充填剤(B)と、 硬化剤(C)と、を含んでいる。また、上記硬化剤(C)が下記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、上記フェノール樹脂(C1)の数平均分子量(Mn)が500以上2000以下である。
Figure 2016065136
(式(1)中、nおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、n+m=1であり、nは好ましくは0.9以上1.0以下であり、より好ましくは1.0である。mは好ましくは0以上0.1以下であり、より好ましくは0である。xは数平均重合度を示し、好ましくは4以上20以下、より好ましくは4以上10以下である。ArおよびArはフェニレン基またはナフチレン基をそれぞれ表し、好ましくはフェニレン基である。ArおよびArがナフチレン基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニレン基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよい。Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数2〜5のアルケニル基のいずれかを表し、好ましくはメチル基またはアリル基であり、より好ましくはアリル基である。aはそれぞれ独立に1〜6のいずれかの整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。Arは式(1−1)または式(1−2)で示される基であり、ArおよびArはフェニル基またはナフチル基をそれぞれ表し、好ましくはフェニル基である。ArおよびArがナフチル基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニル基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよい。式(1)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい。)
上述のように、基板上に搭載された半導体素子を封止して得られる半導体パッケージについて、反りの発生を抑制することへの要求が高まっている。とくに、プリント配線基板に対する半導体パッケージの接続信頼性等を向上させる観点からは、室温における半導体パッケージの反りを抑制することが望まれる。しかしながら、本発明者は、半導体パッケージの薄型化に伴って室温におけるクライ反りが生じ得ることを、新たな課題として見出した。クライ反りとは、半導体パッケージの中央部が、半導体素子を搭載する基板からみて半導体素子側へ凸となる反りを指す。このような反りは、基板の収縮により生じる応力の影響が大きくなることに起因するものと想定されている。
鋭意検討の結果、本発明者は、硬化剤(C)として、上記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)を用いることにより、封止用樹脂組成物の成形時における収縮率と、熱処理して得られる硬化物の熱時曲げ弾性率と、を同時に制御することが可能となり、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の、室温における反りを抑制することができることを知見した。本実施形態は、このような知見に基づいて、反りが抑制された半導体装置を実現するものである。
以下、本実施形態に係る封止用樹脂組成物、半導体装置、および構造体について詳細に説明する。
まず、封止用樹脂組成物について説明する。
封止用樹脂組成物は、基材上に搭載された半導体素子を封止する封止樹脂を形成するために用いられる。封止用樹脂組成物を用いた封止成形は、とくに限定されないが、たとえばトランスファー成形法、または圧縮成形法により行うことができる。基材は、たとえばインターポーザ等の有機基板、またはリードフレームである。また、半導体素子は、ワイヤボンディングまたはフリップチップ接続等により、基材に電気的に接続される。
封止用樹脂組成物を用いた封止成形により半導体素子を封止して得られる半導体装置としては、とくに限定されないが、たとえばQFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non−leaded Package)、SON(Small Outline Non−leaded Package)、LF−BGA(Lead Flame BGA)が挙げられる。また、BGAやCSPについては、半導体素子の上面が封止樹脂から露出したエクスポーズドタイプのパッケージであってもよい。また、本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、近年これらのパッケージの成形に多く適用されるMAP(Mold Array Package)成形により形成される構造体にも係るものである。この場合、基材上に搭載される複数の半導体素子を、封止用樹脂組成物を用いて一括して封止することにより上記構造体が得られる。なお、本実施形態における半導体装置の反りを抑制する効果は、BGAやCSPの中でも、封止樹脂の厚さが基板の厚さよりも薄いタイプのBGAやCSP、半導体素子の上面が封止樹脂から露出したエクスポーズドタイプのBGAやCSP等の、封止樹脂が基板の膨張収縮による変形を抑制する力が十分に及ばないパッケージにおいて特に顕著となる。
封止用樹脂組成物は、たとえばモールドアンダーフィル材料として用いることができる。モールドアンダーフィル材料は、基板上に配置された半導体素子の封止と、基板と半導体素子との間の隙間の充填と、を一括して行う材料である。これにより、半導体装置の製造における工数の削減を図ることができる。また、本実施形態に係る封止用樹脂組成物を基板と半導体素子の間にも充填できることから、半導体装置の反りをより効果的に抑制することも可能となる。
本実施形態においては、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の一例として、有機基板の一面上に半導体素子を搭載した半導体パッケージが挙げられる。この場合、有機基板のうちの上記一面と、半導体素子と、が封止用樹脂組成物によって封止されることとなる。すなわち、片面封止型のパッケージとなる。また、有機基板の上記一面とは反対の他面には、たとえば外部接続端子として複数の半田ボールが形成される。なお、このような半導体パッケージにおいては、半導体素子の上面が封止樹脂により封止されていてもよく、封止樹脂から露出していてもよい。
このような半導体パッケージにおいては、たとえば封止樹脂の厚さを0.4mm以下とすることが好ましく、0.3mm以下とすることがより好ましい。これにより、半導体パッケージの薄型化を図ることができる。また、このような薄型の半導体パッケージであっても、本実施形態に係る封止用樹脂組成物を用いることによって、パッケージ反りの発生を抑制することが可能となる。ここで、封止樹脂の厚さとは、有機基板の上記一面の法線方向における、上記一面を基準とした封止樹脂の厚さを指す。また、本実施形態においては、たとえば封止樹脂の厚さを、有機基板の厚さ以下とすることができる。これにより、半導体パッケージをより効率的に薄型化することができる。
封止用樹脂組成物は、たとえば粉粒体またはタブレット状である。これにより、トランスファー成形法や圧縮成形法等を用いて封止成形を行うことが可能となる。封止用樹脂組成物が粉粒体であるとは、粉末状または顆粒状のいずれかである場合を指す。また、封止用樹脂組成物がタブレット状であるとは、封止用樹脂組成物の粉砕物をタブレット形状へ成形したものである場合を指す。ここでは、封止用樹脂組成物を、たとえばBステージ化されたタブレット状とすることができる。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、以下の条件(A)および(B)を満たすことが好ましい。
(A)175℃、3分で熱処理した際の収縮率Sが0.25%以上である
(B)175℃、3分で熱処理した後、175℃、4時間で熱処理して得られる硬化物の、260℃における曲げ弾性率E(260)が0.8GPa以上である
封止用樹脂組成物が上記条件(A)および(B)を満たすことにより、上述のとおり、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の、室温における反りをより効果的に抑制することが可能となる。この理由は定かではないが、以下の二つの理由が考えられ得る。
一つ目は、封止用樹脂組成物の成形時における収縮率を一定以上とすることによって、有機基板等の基材の収縮量と樹脂組成物の硬化時の収縮量との整合がとれて半導体パッケージのクライ反りが抑制された形状に安定させることができることである。
二つ目は、封止用樹脂組成物の硬化物の熱時弾性率を一定以上とすることによって、後硬化工程後から室温へ冷却されるまでの間における封止樹脂の変形を抑制することができ、その後の半導体パッケージについてもクライ反りへの変形が抑制されることである。
これら二つの効果が互いに作用し合うことにより、結果として、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の室温における反りが抑制されるものと推測される。
また、封止用樹脂組成物が上記条件(B)を満たすことによって、高温時における半導体装置の反りをより効果的に抑制することもできる。これにより、たとえば半導体装置をプリント配線板へ実装する際のリフロー処理によって半導体装置に反りが発生することを抑制し、安定的な実装を可能とすることができる。
このように、本実施形態に係る封止用樹脂組成物によれば、上記条件(A)および(B)を満たすことによって、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の、室温および高温時の双方における反りをより効果的に抑制することが可能となる。
半導体装置の反りを抑制する観点からは、収縮率Sが0.25%以上であることがより好ましく、0.30%以上であることがとくに好ましい。
一方で、収縮率Sは、0.60%以下であることが好ましく、0.55%以下であることがより好ましく、0.50%以下であることがとくに好ましい。収縮率Sを上記上限値以下とすることにより、半導体装置の反りや信頼性等を優れたものとすることができる。
半導体装置の反りを抑制する観点からは、曲げ弾性率E(260)が0.9GPa以上であることがより好ましい。
一方で、曲げ弾性率E(260)は、2.0GPa以下であることが好ましく、1.9GPa以下であることがより好ましく、1.8GPa以下であることがとくに好ましい。曲げ弾性率E(260)を上記上限値以下とすることにより、外部からの応力や、熱応力を効果的に緩和して、耐半田性等を向上させて、半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
上記収縮率Sは、たとえば次のように測定することができる。まず、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間3分の条件下で封止用樹脂組成物を金型キャビティ内に注入成形して円盤状(直径90mm×厚さ12mm)の試験片を作製する。次いで、試験片を25℃まで冷却する。ここで、175℃における金型キャビティの内径寸法と、25℃における試験片の外形寸法と、から以下のようにして収縮率S(%)を算出する。
S={(175℃における金型キャビティの内径寸法)−(25℃における試験片の外径寸法)}/(175℃における金型キャビティの内径寸法)×100
上記曲げ弾性率E(260)は、たとえば次のように測定することができる。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの試験片を得る。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で熱処理して後硬化する。次いで、試験片の、260℃における曲げ弾性率E(260)をJIS K 6911に準じて測定する。
封止用樹脂組成物は、たとえば175℃、3分で熱処理した後、175℃、4時間で熱処理することにより得られる硬化物のガラス転移温度Tgが80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。これにより、半導体装置の耐熱性を効果的に向上させることができる。
また、上記硬化物のガラス転移温度Tgの上限値は、とくに限定されないが、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下、とくに好ましくは150℃以下である。これにより、上記収縮率Sを向上させることができ、半導体装置の反りをより効果的に抑制することができる。
上記ガラス転移温度Tgは、たとえば次にように測定することができる。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの試験片を得る。次いで、得られた試験片を175℃、4時間の条件で熱処理して後硬化する。次いで、後硬化後の上記試験片に対し熱機械分析装置を用いた測定を行い、測定結果からガラス転移温度Tgを算出する。
なお、収縮率S、曲げ弾性率E(260)、およびガラス転移温度Tgは、封止用樹脂組成物に含まれる各成分の種類や配合割合をそれぞれ調製することにより制御することが可能である。これらの中でも、収縮率Sおよび曲げ弾性率E(260)については、とくに後述するエポキシ樹脂(A)、無機充填剤(B)、硬化剤(C)による影響が大きいものと推測されている。本実施形態においては、たとえば上記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)とともにエポキシ樹脂(A)を含むこと、上記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)の含有量を一定範囲内に制御すること、多種の無機充填剤を併用すること、無機充填剤の含有量を一定範囲内に制御すること等を、収縮率Sや曲げ弾性率E(260)へ影響し得る調製方法の例示として挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本実施形態は、このように調製方法を高度に制御することによって、これまで両立が困難であった上記条件(A)と上記条件(B)をともに満たす封止用樹脂組成物を実現するものである。
封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、無機充填剤(B)と、硬化剤(C)と、を含んでいる。
(エポキシ樹脂(A))
エポキシ樹脂(A)としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。本実施形態においては、エポキシ樹脂(A)として、とくに非ハロゲン化エポキシ樹脂を採用することが好ましい。これにより、ハロゲン化エポキシを含まない封止用樹脂組成物が実現される。
本実施形態において、エポキシ樹脂(A)は、たとえばビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブトキシナフタレン変性メタ(パラ)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性ノボラック型エポキシ樹脂等の縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格および/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格および/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂;から選択される一種類または二種類以上を含むものである。
これらのうち、耐湿信頼性と成形性のバランスを向上させる観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがより好ましい。また、半導体装置の反りを抑制する観点からは、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがとくに好ましい。さらに流動性を向上させるためにはビフェニル型エポキシ樹脂がとくに好ましく、高温の弾性率を制御するためにはフェノールアラルキル型エポキシ樹脂がとくに好ましい。
エポキシ樹脂としては、たとえば下記式(3)で表されるエポキシ樹脂、下記式(4)で表されるエポキシ樹脂、下記式(5)で表されるエポキシ樹脂、下記式(6)で表されるエポキシ樹脂、下記式(7)で表されるエポキシ樹脂および下記式(8)で表されるエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものを用いることができる。これらの中でも、下記式(3)で表されるエポキシ樹脂、および下記式(6)で表されるエポキシ樹脂から選択される一種以上を含むものがより好ましい態様の一つとして挙げられる。
Figure 2016065136
(式(3)中、Arはフェニレン基またはナフチレン基を表し、Arがナフチレン基の場合、グリシジルエーテル基はα位、β位のいずれに結合していてもよい。Arはフェニレン基、ビフェニレン基またはナフチレン基のうちのいずれか1つの基を表す。RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表す。gは0〜5の整数であり、hは0〜8の整数である。nは重合度を表し、その平均値は1〜3である)
Figure 2016065136
(式(4)中、複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表す。nは重合度を表し、その平均値は0〜4である)
Figure 2016065136
(式(5)中、複数存在するRおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。nは重合度を表し、その平均値は0〜4である)
Figure 2016065136
(式(6)中、複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。nは重合度を表し、その平均値は0〜4である)
Figure 2016065136
(式(7)中、複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。nは重合度を表し、その平均値は0〜4である)
Figure 2016065136
(式(8)中、Arは縮合環芳香族炭化水素基を示し、rは1以上4以下の整数であり、好ましくは2である。Xは水素、またはエポキシ基(グリシジルエーテル基)を表し、好ましくは水素である。Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、およびベンジル基の中から選択される1種を表し、好ましくはメチル基である。nは1以上4以下の整数であり、好ましくは2以上3以下の整数である。p、qは1以上3以下の整数であり、好ましくは1以上2以下の整数である。またp、qの値は、繰り返し単位毎に同一でも、異なっていてもよい。式(8)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい。)
Figure 2016065136
(式(8)中のArは、式(9)中の(Ar1)〜(Ar4)で表される構造よりなる群から選ばれる1種であることが好ましい。式(9)中のRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、およびベンジル基の中から選択される1種を表し、好ましくはメチル基である。さらに好ましくは上記式(Ar1)であることが好ましく、特に好ましくは、上記式(Ar1)の中でもRが、メチル基の場合である。)
封止用樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂(A)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、成形性のさらなる向上を図ることができる。一方で、封止用樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂(A)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止樹脂を備える半導体装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
(無機充填剤(B))
封止用樹脂組成物は、たとえば無機充填剤(B)を含むことができる。無機充填剤(B)の構成材料としては、とくに限定されないが、たとえば溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等が挙げられ、これらのうちいずれか1種以上を使用できる。これらの中でも、汎用性に優れている観点から、シリカを用いることがより好ましく、溶融シリカを用いることがとくに好ましい。また、無機充填剤(B)は、球状であることが好ましく、さらには球状シリカであることが好ましい。これにより、封止成形時における封止用樹脂組成物の流動性を効果的に向上させることができる。
無機充填剤(B)は、たとえば異なる平均粒径(D50)の球状シリカを二種以上併用することができる。これにより、曲げ弾性率E(260)および収縮率Sの調整をさらに容易とすることができる。このため、半導体装置の反りの抑制に寄与することも可能となる。また、本実施形態においては、無機充填剤(B)が平均粒径1μm以下の微粉シリカを含むことが、封止用樹脂組成物の充填性を向上させる観点や、半導体装置の反りを抑制する観点から、好ましい態様の一つとして挙げられる。
無機充填剤(B)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがとくに好ましい。無機充填剤(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止樹脂の低吸湿性および低熱膨張性を向上させ、耐湿信頼性や耐リフロー性をより効果的に向上させることができる。一方で、無機充填剤(B)の含有量は、95質量%以下であることが好ましい。無機充填剤(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物の流動性の低下にともなう成形性の低下や、高粘度化に起因したボンディングワイヤ流れ等を抑制することが可能となる。なお、無機充填剤(B)の上記上限値については、上記に限られず、有機基板の線膨張係数等の物性や厚み等に合わせて適宜選択することが可能である。このような観点から、無機充填剤(B)の含有量は、有機基板の種類にあわせて80質量%以下、または75質量%以下とすることが可能である。
また、無機充填剤(B)の含有量をこのような範囲に制御することにより、曲げ弾性率E(260)および収縮率Sを所望の範囲とすることがより容易となる。このため、半導体装置の反りの抑制に寄与することが可能となる。
(硬化剤(C))
封止用樹脂組成物は、硬化剤(C)を含み、硬化剤(C)が下記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)を含んでいる。
Figure 2016065136
(式(1)中、nおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、n+m=1であり、nは好ましくは0.9以上1.0以下であり、より好ましくは1.0である。mは好ましくは0以上0.1以下であり、より好ましくは0である。xは数平均重合度を示し、好ましくは4以上20以下、より好ましくは4以上10以下である。ArおよびArはフェニレン基またはナフチレン基をそれぞれ表し、好ましくはフェニレン基である。ArおよびArがナフチレン基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニレン基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよい。Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数2〜5のアルケニル基のいずれかを表し、好ましくはメチル基またはアリル基であり、より好ましくはアリル基である。aはそれぞれ独立に1〜6のいずれかの整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。Arは式(1−1)または式(1−2)で示される基であり、ArおよびArはフェニル基またはナフチル基をそれぞれ表し、好ましくはフェニル基である。ArおよびArがナフチル基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニル基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよい。式(1)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい。)
また、上記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)は、R基を含むことにより、自由体積が大きくなり、その結果、封止材樹脂組成物の線膨張係数を大きくすることができ、上記収縮率Sを所望の範囲とすることがより容易となる。このため、半導体装置の反りの抑制に寄与することが可能となる。
ここで、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、フェノール樹脂(C1)の数平均分子量(Mn)は500以上2000以下であり、好ましくは700以上1500以下である。
フェノール樹脂(C1)の数平均分子量(Mn)が上記範囲内であると、曲げ弾性率E(260)を所望の範囲とすることがより容易となる。このため、半導体装置の反りの抑制に寄与することが可能となる。
ここで、特許文献1に記載されているような、従来のアリル基含有ノボラックフェノール樹脂は、数平均分子量(Mn)が上記下限値よりも低かったため、硬化剤として、このようなフェノール樹脂を用いると、封止樹脂がブロッキングしてしまい、封止用樹脂組成物を粉粒体またはタブレット状に上手く成形性することができなかった。そのため、従来のアリル基含有ノボラックフェノール樹脂は、液状の封止用樹脂組成物に主に用いられていた。
これに対し、本発明者は、硬化剤(C)として、上記フェノール樹脂(C1)を用いることにより、封止用樹脂組成物のブロッキングが抑制され、成形性の向上を図ることができるとともに、得られる封止樹脂の高温での弾性率を向上させ、さらに収縮率を増大させることができることを新たに知見した。
本実施形態では、封止用樹脂組成物中に硬化剤(C)として上記フェノール樹脂(C1)を含有させることにより、収縮率Sおよび曲げ弾性率E(260)が大きい封止用樹脂組成物を実現することができる。これにより、反りが抑制された半導体装置を実現できる。
また、フェノール樹脂(C1)はGPCにより測定される分子量分布曲線において、複数のピークを有していることが好ましく、7以上10以下のピークを有していることがより好ましく、8以上9以下のピークを有していることがとくに好ましい。これにより、封止用樹脂組成物のブロッキングが抑制され、成形性の向上を図ることができる。
また、フェノール樹脂(C1)はGPCにより測定される分子量分布曲線において、分子量2000以上7000以下の領域に最大のピークを有していることが好ましく、分子量2300以上6500以下の領域に最大のピークを有していることがより好ましく、分子量2500以上6000以下の領域に最大のピークを有していることがとくに好ましい。フェノール樹脂(C1)が上記範囲内に最大のピークを有すると、曲げ弾性率E(260)を所望の範囲とすることがより容易となる。このため、半導体装置の反りの抑制に寄与することが可能となる。
また、フェノール樹脂(C1)は、フェノール樹脂(C1)の上記分子量分布曲線において、4以上のピークを有し、上記ピークのうち分子量の一番低い方から順番に第1ピーク、第2ピーク、・・・第Nピークとしたとき、第4ピークのピークトップが第2ピークのピークトップよりも大きいことが好ましい。これにより、封止用樹脂組成物のブロッキングがより抑制され、成形性の向上をより一層図ることができる。
また、GPCにより測定される、フェノール樹脂(C1)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が好ましくは2.0以上4.0以下、より好ましくは2.2以上3.6以下である。これにより、封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、成形性の向上を図ることができる。
本実施形態に係るGPC測定は次のように行なわれる。GPC装置は、ポンプ、インジェクター、ガードカラム、カラム及び検出器から構成され、溶媒にはテトラヒドロフラン(THF)を用いる。ポンプの流速は0.5ml/分にて測定を行なう。これよりも高い流速では目的の分子量の検出精度が低くなるため好ましくない。また、上記の流速で精度よく測定を行なうためには流量精度のよいポンプを使用することが必要であり、流量精度は0.10%以下が好ましい。ガードカラムには市販のガードカラム(例えば、東ソー(株)製TSK GUARDCOLUMN HHR−L:径6.0mm、管長40mm)、カラムには市販のポリスチレンジェルカラム(東ソー(株)製TSK−GEL GMHHR−L:径7.8mm、管長30mm)を複数本直列接続させる。検出器には示差屈折率計(RI検出器。例えば、WATERS社製示差屈折率(RI)検出器W2414)を用いる。
測定に先立ち、ガードカラム、カラム及び検出器内部は40℃に安定させておく。試料には、濃度3〜4mg/mlに調整したフェノール樹脂のTHF溶液を用意し、これを約50〜150μlインジェクターより注入して測定を行なう。試料の解析にあたっては、単分散ポリスチレン(以下PS)標準試料により作成した検量線を用いる。検量線はPSの分子量の対数値とPSのピーク検出時間(保持時間)をプロットし、3次式に回帰したものを用いる。検量線作成用の標準PS試料としては、昭和電工(株)製ShodexスタンダードSL−105シリーズの品番S−1.0(ピーク分子量1060)、S−1.3(ピーク分子量1310)、S−2.0(ピーク分子量1990)、S−3.0(ピーク分子量2970)、S−4.5(ピーク分子量4490)、S−5.0(ピーク分子量5030)、S−6.9(ピーク分子量6930)、S−11(ピーク分子量10700)、S−20(ピーク分子量19900)を使用する。
上記一般式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)は、下記一般式(2)により示されるフェノール樹脂が好ましい例として挙げられる。
Figure 2016065136
(式(2)中、nおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、n+m=1であり、nは好ましくは0.9以上1.0以下、より好ましくは1.0である。mは好ましくは0以上0.1以下であり、より好ましくは0である。xは数平均重合度を示し、好ましくは4以上20以下、より好ましくは4以上10以下である。Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数2〜5のアルケニル基を表し、好ましくはメチル基またはアリル基であり、より好ましくはアリル基である。bは1〜3の整数であり、好ましくは1である。Arは式(2−1)または式(2−2)で示される基である。式(2)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい。)
上記一般式(2)により示されるフェノール樹脂のうち、Rがアリル基であるものは、例えば、つぎのようにして合成することができる。まず、フェノール樹脂、ハロゲン化アリル、塩基性化合物および溶媒を混合して加熱撹拌することにより、アリルエーテル化したフェノール樹脂を得る。つぎに、得られたアリルエーテル化したフェノール樹脂を加熱して、上記アリルエーテル化したフェノール樹脂の一部または全部のアリル基をクライゼン転位することにより上記一般式(2)により示されるフェノール樹脂のうち、Rがアリル基であるものを得ることができる。
また、o−アリルフェノールとホルマリンとを混合し、これに酸触媒を添加して加熱撹拌することによっても同様に、上記一般式(2)により示されるフェノール樹脂のうち、Rがアリル基であるものを得ることができる。
他のフェノール樹脂(C1)も上記の合成方法に準じて合成することができる。
本実施形態において、このようなフェノール樹脂(C1)を封止用樹脂組成物に含有させることにより、上記条件(A)および(B)を満たす封止用樹脂組成物を実現することができ、その結果、このような封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の、室温および高温時の双方における反りをより効果的に抑制することが可能となる。
また、封止用樹脂組成物に含まれる硬化剤(C)としては、上記フェノール樹脂(C1)以外の硬化剤(C2)を含んでもよい。上記フェノール樹脂(C1)以外の硬化剤(C2)は、たとえば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプに大別することができる。
硬化剤(C2)に用いられる重付加型の硬化剤としては、たとえばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノールなどのフェノール樹脂系硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられる。
硬化剤(C2)に用いられる触媒型の硬化剤としては、たとえばベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;BF3錯体などのルイス酸などが挙げられる。
硬化剤(C2)に用いられる縮合型の硬化剤としては、たとえばメチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、および保存安定性等についてのバランスを向上させる観点から、フェノール樹脂系硬化剤が好ましい。フェノール樹脂系硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は特に限定されない。
硬化剤(C2)に用いられるフェノール樹脂系硬化剤としては、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のノボラック型樹脂;ポリビニルフェノール;トリスフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、封止用樹脂組成物の充填性を向上させる観点や、半導体装置の反りを低減させる観点からは、アラルキル型樹脂およびノボラック型樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
封止用樹脂組成物中における硬化剤(C)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。硬化剤(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、成形性のさらなる向上を図ることができる。また、硬化剤(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の、室温および高温時の双方における反りをより効果的に抑制することが可能となる。
一方で、封止用樹脂組成物中における硬化剤(C)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。硬化剤(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止樹脂を備える半導体装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
硬化剤(C)中におけるフェノール樹脂(C1)の含有量は、硬化剤(C)全体に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、75質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
硬化剤(C)中におけるフェノール樹脂(C1)の含有量を上記範囲内とすることにより、封止用樹脂組成物を用いて形成される半導体装置の、室温および高温時の双方における反りをより効果的に抑制することが可能となる。
(硬化促進剤(D))
封止用樹脂組成物は、たとえば硬化促進剤(D)をさらに含むことができる。硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基と、硬化剤(C)のフェノール性水酸基と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般の半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
本実施形態において、硬化促進剤(D)は、たとえば有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等が例示されるアミジンや3級アミン、上記アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性を向上させる観点からはリン原子含有化合物を含むことがより好ましい。また、成形性と硬化性のバランスを向上させる観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有するものを含むことがより好ましい。
封止用樹脂組成物で用いることができる有機ホスフィンとしては、例えばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
封止用樹脂組成物で用いることができるテトラ置換ホスホニウム化合物としては、例えば下記一般式(10)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016065136
(上記一般式(10)において、Pはリン原子を表す。R、R、RおよびRは芳香族基またはアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3の数、zは0〜3の数であり、かつx=yである。)
一般式(10)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られるがこれに限定されるものではない。まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで水を加えると、一般式(10)で表される化合物を沈殿させることができる。一般式(10)で表される化合物において、リン原子に結合するR、R、RおよびRがフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどの単環式フェノール類、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、アントラキノールなどの縮合多環式フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、フェニルフェノール、ビフェノールなどの多環式フェノール類などが例示される。
封止用樹脂組成物で用いることができるホスホベタイン化合物としては、例えば、下記一般式(11)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016065136
(上記一般式(11)において、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rはヒドロキシル基を表す。fは0〜5の数であり、gは0〜3の数である。)
一般式(11)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。
封止用樹脂組成物で用いることができるホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、例えば、下記一般式(12)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016065136
(上記一般式(12)において、Pはリン原子を表す。R10、R11およびR12は炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R13、R14およびR15は水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R14とR15が結合して環状構造となっていてもよい。)
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換またはアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基等の置換基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
また、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
一般式(12)で表される化合物において、リン原子に結合するR10、R11およびR12がフェニル基であり、かつR13、R14およびR15が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が封止用樹脂組成物の硬化物の熱時弾性率を低下させる点で好ましい。
封止用樹脂組成物で用いることができるホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、例えば下記一般式(13)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016065136
(上記一般式(13)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R16、R17、R18およびR19は、それぞれ、芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中R20は、基YおよびYと結合する有機基である。式中R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYは、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。R20、およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Y、Y、YおよびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。Zは芳香環または複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基である。)
一般式(13)において、R16、R17、R18およびR19としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等のアルキル基、アルコキシ基、水酸基などの置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
また、一般式(13)において、R20は、YおよびYと結合する有機基である。同様に、R21は、基YおよびYと結合する有機基である。YおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。同様にYおよびYはプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基YおよびYが珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。基R20およびR21は互いに同一であっても異なっていてもよく、基Y、Y、Y、およびYは互いに同一であっても異なっていてもよい。このような一般式(13)中の−Y−R20−Y−、および−Y−R21−Y−で表される基は、プロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、プロトン供与体としては、分子内にカルボキシル基、または水酸基を少なくとも2個有する有機酸が好ましく、さらには芳香環を構成する隣接する炭素にカルボキシル基または水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物が好ましく、芳香環を構成する隣接する炭素に水酸基を少なくとも2個有する芳香族化合物がより好ましく、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、1,1'−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオールおよびグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
また、一般式(13)中のZは、芳香環または複素環を有する有機基または脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基およびオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基およびビフェニル基等の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基等のグリシジルオキシ基、メルカプト基、アミノ基を有するアルキル基およびビニル基等の反応性置換基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基が熱安定性の面から、より好ましい。
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。しかし、これに限定されるものではない。
本実施形態において、硬化促進剤(D)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.15質量%以上であることがとくに好ましい。硬化促進剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止成形時における硬化性を効果的に向上させることができる。
一方で、硬化促進剤(D)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。硬化促進剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止成形時における流動性の向上を図ることができる。
(カップリング剤(E))
封止用樹脂組成物は、たとえばカップリング剤(E)を含むことができる。カップリング剤(E)としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシランまたはビニルシランのシラン系化合物がより好ましい。また、充填性や成形性をより効果的に向上させる観点からは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランに代表される2級アミノシランを用いることがとくに好ましい。
カップリング剤(E)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.15質量%以上であることがより好ましい。カップリング剤(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、無機充填剤(B)の分散性を良好なものとすることができる。一方で、カップリング剤(E)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。カップリング剤(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止成形時における封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、充填性や成形性の向上を図ることができる。
(低応力剤(F))
封止用樹脂組成物は、たとえば低応力剤(F)を含むことができる。低応力剤(F)は、たとえばシリコーンオイル、シリコーンゴム、ポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン等のポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン等の熱可塑性エラストマー、ポリスルフィドゴム、およびフッ素ゴムから選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、シリコーンゴム、シリコーンオイル、およびアクリロニトリル−ブタジエンゴムのうちの少なくとも一方を含むことが、曲げ弾性率や収縮率を所望の範囲に制御して、得られる半導体パッケージの反りの発生を抑える観点から、とくに好ましい態様として選択し得る。
低応力剤(F)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して0.05質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましい。一方で、低応力剤(F)の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。低応力剤(F)の含有量をこのような範囲に制御することにより、得られる半導体パッケージの反りをより確実に抑制することができる。
封止用樹脂組成物には、さらに必要に応じて、ハイドロタルサイト等のイオンキャッチャー;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼン等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
また、封止用樹脂組成物は、ビスマレイミド基を有する化合物を積極的に含まないことが好ましい。具体的には、ビスマレイミド基を有する化合物の含有量は封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。ビスマレイミド基を有する化合物を積極的に含まない、またはビスマレイミド基を有する化合物の含有量が上記上限値以下とすることにより、得られる硬化物のガラス転移温度Tgを低下させるとともに、収縮率Sを向上させることができる。その結果、半導体装置の反りをより効果的に抑制することができる。
封止用樹脂組成物としては、たとえば前述の各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却した後に粉砕したもの、粉砕後にタブレット状に打錠成型したもの、また必要に応じて適宜分散度や流動性等を調整したもの等を用いることができる。
次に、半導体装置100について説明する。
図1は、半導体装置100の一例を示す断面図である。半導体装置100は、基材10と、基材10の一面上に搭載された半導体素子20と、基材10のうちの上記一面および半導体素子20とを封止する封止樹脂30と、を備えた半導体パッケージである。すなわち、半導体装置100は、基材10のうちの上記一面とは反対の他面が封止樹脂30によって封止されない、片面封止型の半導体パッケージである。封止樹脂30は、上述の封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。これにより、半導体装置100の反りを抑制することができる。なお、封止樹脂30は、たとえば封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて封止成形することにより形成される。また、本実施形態において、半導体素子20の上面は、図1に示すように封止樹脂30により封止されていてもよく、封止樹脂30から露出していてもよい。
図1においては、基材10が有機基板である場合が例示されている。この場合、基材10のうち半導体素子20を搭載する表面とは反対側の裏面には、たとえば複数の半田ボール12が設けられる。また、半導体素子20は、たとえば基材10上にフリップチップ実装される。この場合、半導体素子20は、たとえば複数のバンプ22を介して基材10へ電気的に接続される。一方で、半導体素子20は、ボンディングワイヤを介して基材10へ電気的に接続されていてもよい。
図1に示す例では、半導体素子20が基材10上にフリップチップ実装されている。本例において、半導体素子20と基材10との間の隙間は、たとえばアンダーフィル32によって充填される。このアンダーフィル32としては、たとえばフィルム状または液状のアンダーフィル材料を使用することができる。一方で、封止用樹脂組成物は、たとえばモールドアンダーフィル材料として用いることもできる。この場合、半導体素子20の封止と、基材10と半導体素子20との間の隙間の充填と、が一括して行われることとなる。
本実施形態において、封止樹脂30の厚さは、たとえば0.4mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。これにより、半導体パッケージの薄型化を図ることができる。また、このような薄型の半導体パッケージであっても、本実施形態に係る封止用樹脂組成物を用いて封止樹脂30を形成することにより、半導体装置100の反りを抑制することが可能となる。ここで、封止樹脂30の厚さとは、基材10のうちの半導体素子20を搭載する一面の法線方向における、上記一面を基準とした封止樹脂30の厚さを指す。また、本実施形態においては、たとえば封止樹脂30の厚さを、基材10の厚さ以下とすることができる。これにより、半導体装置100をより効率的に薄型化することができる。
次に、構造体102について説明する。
図2は、構造体102の一例を示す断面図である。構造体102は、MAP成形により形成された成形品である。このため、構造体102を半導体素子20毎に個片化することにより、複数の半導体パッケージが得られることとなる。
構造体102は、基材10と、複数の半導体素子20と、封止樹脂30と、を備えている。複数の半導体素子20は、基材10の一面上に配列されている。図2においては、各半導体素子20が、基材10に対してフリップチップ実装される場合が例示されている。この場合、各半導体素子20は、複数のバンプ22を介して基材10へ電気的に接続される。一方で、各半導体素子20は、ボンディングワイヤを介して基材10に電気的に接続されていてもよい。なお、基材10および半導体素子20は、半導体装置100において例示したものと同様のものを用いることができる。
図2に示す例では、各半導体素子20と基材10との間の隙間は、たとえばアンダーフィル32によって充填される。アンダーフィル32としては、たとえばフィルム状または液状のアンダーフィル材料を使用することができる。一方で、封止用樹脂組成物は、たとえばモールドアンダーフィル材料として用いることもできる。この場合、半導体素子20の封止と、基材10と半導体素子20との間の隙間の充填と、が一括して行われる。
封止樹脂30は、複数の半導体素子20と、基材10のうちの上記一面と、を封止している。この場合、基材10のうちの上記一面とは反対の他面は、封止樹脂30により封止されない。また、封止樹脂30は、上述した封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。これにより、構造体102や、構造体102を個片化して得られる半導体パッケージの反りを抑制することができる。封止樹脂30は、たとえば封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて封止成形することにより形成される。また、本実施形態において、各半導体素子20の上面は、図2に示すように封止樹脂30により封止されていてもよく、封止樹脂30から露出していてもよい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(封止用樹脂組成物の調製)
まず、表1に従い配合された各原材料を常温でミキサーを用いて混合した後、70〜100℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕して固体粉末状の封止用樹脂組成物を得た。ただし、比較例2では、封止用樹脂組成物がブロッキングしてしまい、固体粉末状の封止用樹脂組成物は得られなかった。
表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。また、表1中の単位は、質量%である。
・エポキシ樹脂(A)
エポキシ樹脂1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC−3000)
エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、YX4000K)
・無機充填剤(B)
無機充填剤1:球状シリカ(電気化学工業(株)製、FB−5SDC、平均粒径(D50)4.5μm)
無機充填剤2:球状シリカ((株)アドマテックス製、SO−C2、平均粒径(D50)0.5μm)
無機充填剤3:球状シリカ((株)アドマテックス製、SO−C5、平均粒径(D50)1.6μm)
・硬化剤(C)
硬化剤1:アリル基含有ノボラックフェノール樹脂(上記一般式(2)において、n=1、m=0、R=アリル基、b=1の化合物、Arは式(2−1)で示される構造)、Mw=4020、Mn=1190、Mw/Mn=3.4、ピーク数=9、最大ピークに対する分子量=5448、第4ピークのピークトップ>第2ピークのピークトップ
硬化剤2:メチル基含有ノボラックフェノール樹脂(上記一般式(2)において、n=1、m=0、R=メチル基、b=1の化合物、Arは式(2−1)で示される構造)、Mw=2800、Mn=1000、Mw/Mn=2.8、ピーク数=8、最大ピークに対する分子量=2550、第4ピークのピークトップ>第2ピークのピークトップ
硬化剤3:フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、PR−HF−3)、Mw=627、Mn=330、Mw/Mn=1.9、ピーク数=6、最大ピークに対する分子量=164、第4ピークのピークトップ<第2ピークのピークトップ
硬化剤4:アリル基含有ノボラックフェノール樹脂(明和化成工業(株)製、MEH8000、上記一般式(2)において、n=1、m=0、R=アリル基、b=1の化合物、Arは式(2−1)で示される構造)、Mw=1330、Mn=380、Mw/Mn=3.5、ピーク数=6、最大ピークに対する分子量=280、第4ピークのピークトップ<第2ピークのピークトップ
[上記硬化剤1の合成方法]
o−アリルフェノール1340g(10モル)、37%ホルマリン689g(8.5モル)及びシュウ酸20gを三つ口フラスコに入れ、100℃で5時間反応させた後,160℃まで昇温して脱水した。引き続き、160℃、40torrの減圧下で未反応成分を除去し、1030gのアリル基含有ノボラックフェノール樹脂を得た。
[上記硬化剤2の合成方法]
o−クレゾール1080g(10モル)、37%ホルマリン567g(7モル)及びシュウ酸20gを三つ口フラスコに入れ、100℃で5時間反応させた後,160℃まで昇温して脱水した。引き続き、160℃、40torrの減圧下で未反応成分を除去し、820gのメチル基含有ノボラックフェノール樹脂を得た。
[硬化剤のGPC測定]
硬化剤1〜4についてのGPC測定は以下の方法でおこなった。
硬化剤20mgに溶剤テトラヒドロフラン(THF)を6ml加えて十分溶解しGPC測定に供した。GPCシステムは、WATERS社製モジュールW2695、東ソー(株)製TSK GUARDCOLUMN HHR−L(径6.0mm、管長40mm、ガードカラム)、東ソー(株)製TSK−GEL GMHHR−L(径7.8mm、管長30mm、ポリスチレンジェルカラム)2本、WATERS社製示差屈折率(RI)検出器W2414を直列に接続したものを用いた。ポンプの流速は0.5ml/分、カラム及び示差屈折率計内温度を40℃とし、測定溶液を100μlインジェクターより注入して測定を行った。試料の解析にあたっては、単分散ポリスチレン(以下PS)標準試料により作成した検量線を用いた。検量線はPSの分子量の対数値とPSのピーク検出時間(保持時間)をプロットし、3次式に回帰したものを用いた。検量線作成用の標準PS試料としては、昭和電工(株)製ShodexスタンダードSL−105シリーズの品番S−1.0(ピーク分子量1060)、S−1.3(ピーク分子量1310)、S−2.0(ピーク分子量1990)、S−3.0(ピーク分子量2970)、S−4.5(ピーク分子量4490)、S−5.0(ピーク分子量5030)、S−6.9(ピーク分子量6930)、S−11(ピーク分子量10700)、S−20(ピーク分子量19900)を使用した。
・硬化促進剤(D)
下記式(14)で示される化合物
Figure 2016065136
[上記式(14)で示される化合物の合成方法]
撹拌装置付きのセパラブルフラスコに4,4'−ビスフェノールS37.5g(0.15モル)、メタノール100mlを仕込み、室温で撹拌溶解し、更に攪拌しながら予め50mlのメタノールに水酸化ナトリウム4.0g(0.1モル)を溶解した溶液を添加した。次いで予め150mlのメタノールにテトラフェニルホスホニウムブロマイド41.9g(0.1モル)を溶解した溶液を加えた。しばらく攪拌を継続し、300mlのメタノールを追加した後、フラスコ内の溶液を大量の水に撹拌しながら滴下し、白色沈殿を得た。沈殿を濾過、乾燥し、白色結晶の上記式(14)で示される化合物を得た。
・カップリング剤(E)
フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(CF4083、東レ・ダウコーニング社製)
・低応力剤(F)
低応力剤1:シリコーンオイル(FZ―3730、東レ・ダウコーニング社製)
低応力剤2:アクリロニトリル−ブタジエンゴム(CTBN1008SP、宇部興産社製)
・その他の成分(G)
離型剤:WE―4(クラリアントジャパン社製)
イオンキャッチャー:DHT−4H(協和化学社製)
着色剤:カーボン#5(三菱化学社製)
難燃剤:水酸化アルミニウム(CL−303、住友化学社製)
(収縮率S)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、得られた封止用樹脂組成物の収縮率を次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間3分の条件下で封止用樹脂組成物を金型キャビティ内に注入成形して円盤状の試験片(直径90mm×厚さ12mm)を作製した。次いで、試験片を25℃まで冷却した。ここで、175℃における金型キャビティの内径寸法と、25℃における試験片の外形寸法と、から以下のようにして収縮率S(%)を算出した。
S={(175℃における金型キャビティの内径寸法)−(25℃における試験片の外径寸法)}/(175℃における金型キャビティの内径寸法)×100
得られた結果を表1に示す。
(ガラス転移温度Tg)
各実施例および各比較例について、得られた封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。この測定結果から、ガラス転移温度を算出した。表1中、ガラス転移温度の単位は℃である。
(曲げ弾性率E(260)
各実施例および各比較例について、得られた封止用樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率E(260)を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した。次いで、試験片の260℃における曲げ弾性率E(260)をJIS K 6911に準じて測定した。曲げ弾性率E(260)の単位はGPaである。得られた結果を表1に示す。
(反り抑制の評価)
各実施例および各比較例について、次のように反り抑制の評価を行った。まず、次のタイプのパッケージ(以下、PKGと略す)をMAP成形用のトランスファー成形機を用い、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間2分で封止用樹脂組成物を注入成形し、次いで175℃、4時間後硬化した。
10×10×0.15mmのSiチップをマウントした基板に、PKGサイズが14×14×0.48mm、基板厚みが0.28mm、樹脂厚みが0.20mmになるように設計したPKGを用いた。次いで、PKGの反りを10個測定した。反りの測定はShadow moire(akrometrix社製)を用いて、25℃から260℃へ昇温して、25℃、260℃でのPKG反りを測定することにより行った。そして、25℃、260℃のそれぞれについて、PKG反りが100μm未満を合格とし、100μm以上を不合格として、反り抑制評価を行った。(反りの評価基準を3段階○、△、×とした。○はすべて合格、△は1個以上3個以下の不合格、×は4個以上不合格)
(耐半田性の評価)
各実施例および各比較例のそれぞれについて、上記反り抑制の評価で使用したPKGと同様の仕様のPKG10個を、60℃、相対湿度60%の環境下に96時間放置した。次いで、放置後のPKG10個に対し、IRリフロー処理(260℃)を行った。次いで、処理後のPKG内部を超音波探傷装置で観察し、封止樹脂と、チップや基板界面等と、において剥離が生じた面積を算出した。ここでは、10個のPKGにおける剥離面積の最大値が、封止樹脂の投影面積全体の5%未満であった場合を◎とし、5%以上10%以下であった場合を○とし、10%を超える場合を×とした。
Figure 2016065136
100 半導体装置
102 構造体
10 基材
12 半田ボール
20 半導体素子
22 バンプ
30 封止樹脂
32 アンダーフィル

Claims (17)

  1. エポキシ樹脂(A)と、
    無機充填剤(B)と、
    硬化剤(C)と、を含む封止用樹脂組成物であって、
    前記硬化剤(C)が下記式(1)により示されるフェノール樹脂(C1)を含み、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、前記フェノール樹脂(C1)の数平均分子量(Mn)が500以上2000以下である、封止用樹脂組成物。
    Figure 2016065136
    (式(1)中、nおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、n+m=1であり、xは数平均重合度を示し、ArおよびArはフェニレン基またはナフチレン基をそれぞれ表し、ArおよびArがナフチレン基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニレン基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよく、Arは式(1−1)または式(1−2)で示される基であり、ArおよびArはフェニル基またはナフチル基をそれぞれ表し、ArおよびArがナフチル基の場合、水酸基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、ArおよびArがフェニル基の場合、水酸基はメタ位、オルト位、パラ位のいずれに結合していてもよく、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数2〜5のアルケニル基のいずれかを表し、aはそれぞれ独立に1〜6のいずれかの整数であり、式(1)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい)
  2. 請求項1に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記フェノール樹脂(C1)はGPCにより測定される分子量分布曲線において、複数のピークを有しており、かつ、分子量2000以上7000以下の領域に最大のピークを有する、封止用樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記フェノール樹脂(C1)は、前記フェノール樹脂(C1)の前記分子量分布曲線において、4以上のピークを有し、
    前記ピークのうち分子量の一番低い方から順番に第1ピーク、第2ピーク、・・・第Nピークとしたとき、
    前記第4ピークのピークトップが第2ピークのピークトップよりも大きい封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    GPCにより測定される、前記フェノール樹脂(C1)の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が2.0以上4.0以下である封止用樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記フェノール樹脂(C1)が下記式(2)により示されるフェノール樹脂である封止用樹脂組成物。
    Figure 2016065136
    (式(2)中、nおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、n+m=1であり、xは数平均重合度を示し、Arは式(2−1)または式(2−2)で示される基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数2〜5のアルケニル基を表し、bは1〜3の整数であり、式(2)中の各繰り返し単位はそれぞれ独立し、任意に配列することができ、各繰り返し単位はブロック状またはランダム状に存在してもよい)
  6. 請求項5に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記式(2)において、前記Rはアリル基であり、前記bは1である封止用樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    以下の条件(A)および(B)を満たす封止用樹脂組成物。
    (A)175℃、3分で熱処理した際の収縮率が0.25%以上である
    (B)175℃、3分で熱処理した後、175℃、4時間で熱処理して得られる硬化物の、260℃における曲げ弾性率が0.8GPa以上である
  8. 請求項1乃至7いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    175℃、3分で熱処理した後、175℃、4時間で熱処理することにより得られる硬化物のガラス転移温度Tgが80℃以上250℃以下である封止用樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記硬化剤(C)の含有量が、前記封止用樹脂組成物全体に対して1質量%以上25質量%以下である封止用樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至9いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記無機充填剤(B)の含有量が、前記封止用樹脂組成物全体に対して40質量%以上95質量%以下である封止用樹脂組成物。
  11. 請求項1乃至10いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    前記エポキシ樹脂(A)がビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択される一種または二種以上である封止用樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至11いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    ビスマレイミド基を有する化合物の含有量が、前記封止用樹脂組成物全体に対して10質量%以下である封止用樹脂組成物。
  13. 請求項1乃至12いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    モールドアンダーフィル材料として用いられる封止用樹脂組成物。
  14. 請求項1乃至13いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物において、
    粉粒体またはタブレット状である封止用樹脂組成物。
  15. 基材と、
    前記基材の一面上に搭載された半導体素子と、
    請求項1乃至14いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物により構成され、かつ前記半導体素子と、前記基材のうちの前記一面と、を封止する封止樹脂と、
    を備える半導体装置。
  16. 請求項15に記載の半導体装置において、
    前記基材は、有機基板である半導体装置。
  17. 基材と、
    前記基材の一面上に搭載された複数の半導体素子と、
    請求項1乃至14いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物により構成され、かつ前記複数の半導体素子と、前記基材のうちの前記一面と、を封止する封止樹脂と、
    を備える構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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