JP7494348B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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本発明は、太陽電池の製造方法、多接合型太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽光発電システムに関する。
新しい太陽電池の1つに、亜酸化銅(CuO)を光吸収層に用いた太陽電池がある。CuOはワイドギャップ半導体である。CuOは地球上に豊富に存在する銅と酸素からなる安全かつ安価な材料であるため、高効率かつ低コストな太陽電池が実現できると期待されている。
特開2017-54917号公報
本発明が解決しようとする課題は、開放電圧に優れた太陽電池の製造方法、多接合型太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽光発電システムを提供する。
実施形態の太陽電池は、基板上にp電極が形成する工程と、p電極上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程とを含む。酸化処理において、水蒸気濃度が9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]以下である。酸化処理における処理時間、処理温度及び酸素分圧は、処理時間が10秒以上5分未満で、処理温度が110[℃]以上150[℃]以下で、酸素分圧が15000[Pa]以上50000[Pa]未満の条件、処理時間が5分以上10分未満で、処理温度が40[℃]以上80[℃]未満で、酸素分圧が15000[Pa]以上100000[Pa]未満の条件、処理時間が10分以上60分未満で、処理温度が40[℃]以上80[℃]未満で、酸素分圧が15000[Pa]以上40000[Pa]以下の条件、処理時間が60分以上90分未満で、処理温度が40[℃]以上120[℃]以下で、酸素分圧が15000[Pa]以上35000[Pa]以下の条件、処理時間が90分以上150分以下で、処理温度が40[℃]以上60[℃]以下で、酸素分圧が5000[Pa]以上21000[Pa]以下の条件のいずれかの条件である。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜され、スパッタリングは、基板上にp電極が成された部材を300℃以上600℃以下に加熱して、スパッタリングの酸素分圧は0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02μm/min以上20μm/min以下の範囲内であり、スパッタリングの堆積速度をdとしたとき、酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たす。酸化処理された亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から5nm深さの領域において、X線光電子分光のピーク面積から求めたCuO、Cu(OH) の比率は、0.1[%]以上10[%]未満である。
図1は、実施形態の太陽電池の断面図。 図2は、実施形態の太陽電池の分析スポットを説明する図。 図3は、実施形態の太陽電池の製造方法のフローチャート。 図4は、実施形態の多接合型太陽電池の断面図。 図5は、実施形態の太陽電池モジュールの斜視図。 図6は、実施形態の太陽電池モジュールの断面図。 図7は、実施形態の太陽光発電システムの構成図。 図8は、実施形態の車両の概念図。 図9は、実施形態の飛翔体の概念図。 図10は、実施例に関する表。 図11は、実施例に関する表。 図12は、実施例に関する表。 図13は、実施例に関する表。 図14は、実施例に関する表。 図15は、実施例に関する表。 図16は、実施例に関する表。 図17は、実施例に関する表。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、特に記載が無い限り、25[℃]、1気圧(大気)における値を示している。また、平均は、算術平均値を表している。
明細書中、「/」は、割り算記号を表している。ただし、「又は/及び」の「/」は、「又は」を意味している。
(第1実施形態)
第1実施形態は、太陽電池と太陽電池の製造方法に関する。図1に、第1実施形態の太陽電池100の断面図を示す。図1に示すように、本実施形態に係る太陽電池100は、基板1、第1電極であるp電極2と、p型光吸収層3と、n型層4と、第2電極であるn電極5を有する。n型層4のn電極5との間等には、図示しない中間層が含まれていてもよい。太陽光はn電極5側、p電極2側いずれから入射しても良いが、n電極5側から入射するのがより好ましい。実施形態の太陽電池100は、透過型の太陽電池であるため、多接合型太陽電池のトップセル(光入射側)に用いることが好ましい。図1では基板1をp電極2のp型光吸収層3側とは反対側に設けているが、基板1をn電極5のn型層4側とは反対側に設けてもよい。以下は、図1に示す形態について説明するが、基板1の位置が異なること以外はn電極5側に基板1が設けられた形態も同様である。実施形態の太陽電池100は、n電極5側からp電極2側に向かって光が入射する。
実施形態の酸化処理を行う場合、基板1は、p電極2側に設けられていることが好ましい。
基板1は、透明な基板である。基板1には、光を透過するアクリル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリプロピレン(PP)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)など)、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンやポリエーテルイミドなどの有機系の基板やソーダライムガラス、白板ガラス、化学強化ガラスや石英などの無機系の基板を用いることができる。基板1は、上記に挙げた基板を積層してもよい。
実施形態において、波長が700[nm]以上1000[nm]以下の光の透光率が50%以上100%以下であって、亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物をp型光吸収層3に用いた太陽電池を透過型の太陽電池とする。
基板1は、ソーダライムガラス、白板ガラス、化学強化ガラス及び石英からなる群より選ばれる1種が好ましい。
p電極2は、基板1上に設けられており、基板1とp型光吸収層3との間に配置されている。p電極2は、p型光吸収層3側に設けられた光透過性を有する導電層である。p電極2の厚さは、典型的には、100[nm]以上2,000[nm]以下である。図1では、p電極2は、p型光吸収層3と直接接している。p電極2は、1層以上の酸化物透明導電膜を含むことが好ましい。酸化物透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al-doped Zinc Oxide;AZO)、ボロンドープ酸化亜鉛(Boron-doped Zinc Oxide;BZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Gallium-doped Zinc Oxide;GZO)、ドープされた酸化スズ、チタンドープ酸化インジウム(Titanium-doped Indium Oxide;ITiO)、酸化インジウム酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide;IZO)や酸化インジウムガリウム亜鉛(Indium Gallium Zinc Oxide;IGZO)、水素ドープ酸化インジウム(Hydrogen-doped Indium Oxide;IOH)など特に限定されない。酸化物透明導電膜は、複数の膜を持つ積層膜であってもよい。酸化スズなどの膜へのドーパントとしては、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上であれば特に限定されない。p電極2は、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上の元素がドープされた酸化スズ膜が含まれることが好ましい。ドープされた酸化スズ膜において、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上の元素は、酸化スズ膜に含まれるスズに対して10原子%以下含まれることが好ましい。p電極2として、酸化物透明導電膜と金属膜を積層した積層膜を用いることができる。金属膜は、厚さが10[nm]以下であることが好ましく、金属膜に含まれる金属(合金を含む)は、Mo、Au、Cu、Ag、Al、TaやWなど特に限定されない。また、p電極2は、酸化物透明導電膜と基板1の間、又は、酸化物透明導電膜とp型光吸収層3の間にドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極(金属、合金、グラフェン、導電性窒化物及び導電性酸化物からなる群より選ばれる1種以上)を含むことが好ましい。ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の金属は、透明導電膜に対して開口率が50%以上であることが好ましい。ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の金属は、Mo、Au、Cu、Ag、Al、TaやWなど特に限定されない。p電極2に金属膜を用いる場合、透過性の観点から5nm以下程度の膜厚とすることが好ましい。ライン状やメッシュ状の金属膜を用いる場合、透過性は開口部で確保されるため、金属膜の膜厚に関してはこの限りではない。
p電極2としては、酸化インジウムスズ膜とドープされた酸化スズ膜が積層した積層構造を含むものが好ましい。p電極2としては、具体的には、酸化インジウムスズ膜とアンチモンドープ酸化スズ膜の積層膜、酸化インジウムスズ膜とフッ素ドープ酸化スズ膜の積層膜、酸化インジウムスズ膜とタンタルドープ酸化スズ膜の積層膜及び酸化インジウムスズ膜とニオブドープ酸化スズ膜の積層膜からなる群より選ばれる1種以上の積層構造を含むことが好ましい。ドープされた酸化スズ膜がp電極2に含まれる場合は、ドープされた酸化スズ膜がp型光吸収層3と直接接していることが好ましい。
p電極2は、In、Zn及びSnからなる群より選ばれる1種以上を含む酸化物を含む酸化物透明導電膜を含むことが好ましい。p電極2の酸化物透明導電膜はp型光吸収層3の亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の結晶粒と直接的に接していることが好ましい。p型光吸収層3のp電極2側を向く面の面積の80%以上100%以下は、p型光吸収層3のCuO結晶粒と直接的に接していることが好ましい。
p型光吸収層3は、p型の半導体層である。p型光吸収層3は、p電極2と直接的に接していても良いし、p電極2とのコンタクトを確保できる限り、他の層が存在していても良い。p型光吸収層3のn型層4側には、厚さの薄い(例えば、1[nm]以上10[nm]以下)n型の領域を含んでもよい。このn型の領域を除き、p型光吸収層3の導電型は、p-型及びp+型を含むp型である。p型光吸収層3は、p電極2とn型層4との間に配置される。p型光吸収層3はn型層4と直接的に接している。p型光吸収層3としては、Cuを主成分とする金属の酸化物の半導体層である。Cuを主成分とする金属の酸化物は、亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物である。p型光吸収層3は、亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の多結晶であることが好ましい。亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物は、CuM1で表される酸化物である。M1は、Sn、Sb、Ag、Li、Na、K、Cs、Rb、Al、In、Zn、Mg、Ca、Cl、F、Br、I、Mn、Tc及びReからなる群より選ばれる1種以上の元素であることが好ましい。a、b及びcは、1.80≦a≦2.01、0.00≦b≦0.20及び0.98≦c≦1.02を満たすことが好ましい。p型光吸収層3の90[wt%]以上は亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物であることが好ましい。p型光吸収層3の95[wt%]以上は亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物であることがより好ましい。p型光吸収層3の98[wt%]以上は亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物であることがさらにより好ましい。p型光吸収層3は、異相であるCu又は/及びCuOをほとんど含まないことが好ましい。p型光吸収層3に含まれる異相が少なく結晶性が良いとp型光吸収層3の透光性が高くなるため好ましい。p型光吸収層3にM2の元素が含まれると、p型光吸収層3のバンドギャップを調整することができる。p型光吸収層3のバンドギャップは、2.0eV以上2.2eV以下であることが好ましい。かかる範囲のバンドギャップであると、Siを光吸収層に用いた太陽電池をボトムセルに用い、実施形態の太陽電池をトップセルに用いた多接合型太陽電池において、トップセル及びボトムセルの両方で太陽光を効率よく利用できる。
亜酸化銅及び亜酸化銅の複合酸化物は、キャリアドープされた亜酸化銅を含む。
上記p型光吸収層3の組成比は、p型光吸収層3の全体の組成比である。また、上記のp型光吸収層3の化合物組成比は、p型光吸収層3において全体的に満たすことが好ましい。
p型光吸収層3の組成は、p型光吸収層3の厚さをdとする場合、p電極2側のp型光吸収層3の表面から0.2d、0.5d、0.8dの深さにおける組成の平均値である。p型光吸収層3の化合物の元素組成比が傾斜しているといった条件がある場合を除き各深さにおいて、p型光吸収層3は、上記及び下記の好適な組成を満たすことが好ましい。なお、分析はn型層4の表面からの各距離において図2の分析スポットを説明する図に示すような等間隔に可能な限り隔たり無く分布した分析スポット(A1~A9)を例えば二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry;SIMS)で分析することで求められる。図2は太陽電池100を光の入射側から見た模式図である。p型光吸収層3の組成を分析する場合、D1はp型光吸収層3の幅方向の長さであり、D2はp型光吸収層3の奥行き方向の長さである。
p型光吸収層3の厚さは、電子顕微鏡による断面観察や、段差計によって求められ、1,000nm以上10,000nm以下が好ましい。
p型光吸収層3の亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の結晶粒のp型光吸収層3の厚さ方向の長さがp型光吸収層3の厚さの80%以上100%未満である結晶粒(大粒子)を含む。p型光吸収層3の中心を含む断面において、大粒子が占める面積は60%以上100%未満であることが好ましく、80%以上100%未満であることが好ましい。
n型層4は、n型の半導体層である。n型層4は、p型光吸収層3とn電極5との間に配置される。n型層4は、p型光吸収層3のp電極2と接した面とは反対側の面と直接接している。n型層4はGaを含む酸化物半導体層であって、Gaをベースとする化合物を含むことが好ましい。n型層4はGaをベースとする酸化物に他の酸化物が混合していてもよいし、Gaをベースとする酸化物に他の元素がドープしていてもよいし、他の元素がドープしたGaベースの酸化物と他の酸化物が混合していてもよい。n型層4は、単層又は多層である。n型層4に含まれる金属元素のうち、Gaが50原子%以上であることが好ましい。n型層4に含まれる金属元素は、p型光吸収層3側からn電極5側に傾斜していてもよい。
n型層4は、H、Sn、Sb、Cu、Ag、Li、Na、K、Cs、Rb、Al、In、Zn、Mg、Si、Ge、N、B、Ti、Hf、Zr及びCaからなる群より選ばれる1種以上の元素であるM2とGaを含む酸化物を90wt%以上含むことが好ましい。n型層4には、p型光吸収層3に含まれる上記M2以外の元素が含まれていてもよい。
n型層4の90[wt%]以上は、M2とGaを含む酸化物であることが好ましい。n型層4の95[wt%]以上は、M2とGaを含む酸化物であることがより好ましい。n型層4の98[wt%]以上は、M2とGaを含む酸化物であることがさらにより好ましい。n型層4は、下記に説明する中間領域を除きM2とGaを含む酸化物で表される化合物で構成されていることがより好ましい。
なお、n型層4の化合物の組成は、特に条件を付けなければn型層4全体の平均組成である。n型層4の組成は、n型層4の厚さをdとする場合、p型光吸収層3側のn型層4の表面から0.2d、0.5d、0.8dの深さにおける組成の平均値である。n型層4の化合物の元素組成比が傾斜しているといった条件がある場合を除き各深さにおいて、n型層4は、上記及び下記の好適な組成を満たすことが好ましい。なお、n型層4が非常に薄い場合(例えば5[nm]以下)は、p型光吸収層3側のn型層4の表面から0.5dの深さにおける組成をn型層4の全体の組成とみなすことができる。なお、分析はn型層4の表面からの各距離において図2の分析スポットを説明する図に示すような等間隔に可能な限り隔たり無く分布した分析スポット(A1~A9)を例えば二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry;SIMS)で分析することで求められる。図2は太陽電池100を光の入射側から見た模式図である。n型層4の組成を分析する場合、D1はn型層4の幅方向の長さであり、D2はn型層4の奥行き方向の長さである。
p型光吸収層3とn型層4の間に中間領域を含むことが好ましい。中間領域は、p型光吸収層3とn型層4の遷移領域である。中間領域には、界面欠陥になるp型光吸収層3の亜酸化銅酸化物と亜酸化銅の複合酸化物の異相が含まれる。中間領域に含まれる異相には、CuO相、Cu相及びCu、Ga、M3及びOが含まれる相からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中間領域には、Cu、Ga、M3及びOからなる群より選ばれる1種以上の総原子数は、中間領域中の95[atom%]以上100[atom%]以下であり、98[atom%]以上100[atom%]以下であることが好ましい。中間領域には、CuO相が含まれることが好ましい。M3で表される元素は、Sn、Sb、Ag、Li、Na、K、Cs、Rb、Al、In、Zn、Mg、Ca、Cl、F、Br、I、Mn、Tc、Re、H、Sn、Sb、Si、Ge、N、B、Ti、Hf及びZrからなる群より選ばれる1種以上である。
中間領域は、p型光吸収層3とn型層4の界面からn型層4側に2[nm]までの深さのところ(起点)からp型光吸収層3とn型層4の界面からp型光吸収層3側に2[nm]以下までの深さのところ(終点)までの領域である。CuOをp型光吸収層3に用いた太陽電池では4[nm]幅の非常に薄い領域に欠陥が有ることで、発電効率が向上する。界面欠陥となる異相が存在する領域が例えば10[nm]幅で厚いと変換効率は大きく低下してしまう。
p型光吸収層3とn型層4の界面は明瞭でない場合がある。p型光吸収層3とn型層4の界面が明瞭ではない場合は、p型光吸収層3とn型層4の間の不明瞭な部分の中心部分をp型光吸収層3とn型層4の界面とする。p型光吸収層3とn型層4の界面は、平面ではなくて凹凸している場合がある。p型光吸収層3とn型層4の界面は、p型光吸収層3とn型層4の断面を観察して特定することができる。p型光吸収層3とn型層4の間の不明瞭な部分に異相が含まれることから、p型光吸収層3とn型層4の間の不明瞭な部分の幅は、p型光吸収層3とn型層4の積層方向に0[nm]以上10[nm]以下であり、1[nm]以上5[nm]以下であることが好ましく、2[nm]以上4[nm]以下であることがより好ましい。
n電極5は、可視光に対して、光透過性を有するn型層4側の電極である。n電極5とp型光吸収層3によってn型層4を挟んでいる。n型層4とn電極5の間には、図示しない中間層を設けることができる。この中間層にはメッシュやライン形状の電極を含むことができる。n電極5には、酸化物透明導電膜を用いることが好ましい。n電極5で用いられる酸化物透明導電膜としては、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ボロンドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、チタンドープ酸化インジウム、酸化インジウムガリウム亜鉛及び水素ドープ酸化インジウムからなる群より選ばれる1種以上の透明導電膜であることが好ましい。酸化スズなどの膜へのドーパントとしては、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上であれば特に限定されない。n電極5には、グラフェンも用いることができる。グラフェンは、銀ナノワイヤと積層させることが好ましい。
n電極5は、Zn、In及びSnからなる群より選ばれる1種以上を含む酸化物を含む酸化物透明導電膜を含むことが好ましい。Zn、In及びSnからなる群より選ばれる1種以上を含む酸化物を含む酸化物透明導電膜のn電極5がn型層4と直接的に接していることが好ましい。
n電極5の厚さは、電子顕微鏡による断面観察や、段差計によって求められ、特に限定はないが、典型的には、1[nm]以上2000[nm]以下である。
p型光吸収層3は、例えばスパッタなどによって成膜されることが好ましい。p型光吸収層3の成膜後には、p型光吸収層3の表面を酸化処理する。より具体的には、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が酸化処理された膜がp型光吸収層3である。
さらにより具体的には、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が酸化処理されてn型層4が形成された膜がp型光吸収層3である。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜、酸化処理されたp型光吸収層3の両方が亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の多結晶膜である。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の結晶粒の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の厚さ方向の長さが亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の厚さの80%以上100%未満である結晶粒(大粒子)を含む。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の中心を含む断面において、大粒子が占める面積は60%以上100%未満であることが好ましく、80%以上100%未満であることが好ましい。
次に、太陽電池100の製造方法について説明する。実施形態の太陽電池100の製造方法のフローチャートを図3に示す。実施形態の太陽電池100の製造方法は、基板1上にp電極2を形成する工程と、p電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程と、酸化処理を行なった亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜上にn型層4を形成する工程と、n型層4上にn電極5を形成する工程と、を含む。
まず、基板1上にp電極2を形成する工程として、基板1上にp電極2を形成する。酸化物透明導電膜は例えばスパッタで成膜する。金属膜、メッシュ状の金属、ライン状の金属がp電極2に含まれる場合は、これらの金属を成膜し、必要に応じてパターニングする。
次に、p電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程として、基板1上にp電極2が形成された部材のp電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を成膜する。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜することが好ましい。異相が少ない亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を成膜することが好ましい。スパッタリングは、基板1上にp電極2が形成された部材を300[℃]以上600[℃]以下に加熱して、酸素分圧が0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02[μm/min]以上20[μm/min]以下の範囲内で行なうことが好ましい。透過性が高く大粒径な多結晶膜を成膜する観点から、堆積速度をdとしたとき、酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たすことがより好ましい。又、加熱温度は、350[℃]以上500[℃]以下がより好ましい。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の成膜中にM1の元素を添加することができる。この方法で亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の膜を形成すると、亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の膜の表面(p型光吸収層3のn型層4側を向く表面)の結晶粒の面積(粒界を境界とする面積)で、0.8[μm]以上を満たす結晶の比率(面積比率:亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の膜の表面の面積に占める0.8[μm]以上を満たす結晶が占める面積の割合)が全体の80%以上であることが好ましく、1.0[μm]以上を満たす結晶の比率(数)が全体の80%以上であることが好ましい。
なお、0.02μm/min以上20μm/minは、堆積速度d[μm/min]である。酸素分圧の0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下において、堆積速度の単位は無視する。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程として、基板1上にp電極2が形成され、p電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材に、酸化処理を行なう。酸化処理は、酸素が含まれる雰囲気で行なう。酸化処理を行なって、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面の極薄い領域を酸化させる。500[℃]といった高温条件で行なうと酸化が亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の深部にまで進行し、酸化銅などが過剰に膜内部に生成されることで膜の透過性や太陽電池の開放電圧の低下の原因となる。酸化処理は、真空チャンバー内で、基板1上にp電極2が形成され、p電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材を酸素含有の雰囲気で処理することを含む。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材を酸化処理すると、膜の表面の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物が一部酸化され、CuO相などに変化する。これらの異相の存在は、XRD(X線回折法)やXPS(X線光電子分光)で確認をすることができる。実施形態の酸化処理では、酸化が進行しすぎるとCu(OH)相の生成比率が高くなる。酸化処理によって生じたCuO相やCu(OH)相は、n型層4などが形成された太陽電池100では大半が無くなるがn型層4の形成前にCuO相やCu(OH)相が亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面の極薄い領域に形成されることで、高い電流密度と高い開放電圧を有する太陽電池100が得られる。
CuO相の存在は、実施形態の酸化処理を行なわない場合にも認められるが、実施形態の酸化処理を行なった場合に電流密度を低下させないで開放電圧が向上する。開放電圧の向上は、変換効率の向上に重要である。実施形態の方法で酸化処理を行なうとp型光吸収層3の表面の極薄い領域にCuO相が形成されることが確認された。p型光吸収層3をエピタキシャル成長させるなどして成膜した場合は、p型光吸収層3の膜表面が平坦なため表面の深さ方向のCuO相の定量的な評価が容易であるが、p型光吸収層3をスパッタリングで成膜した場合は、膜表面に微細な凹凸(個数平均の凹凸高さが1[nm]以上10[nm]以下)が存在する。微細な凹凸が存在すると太陽電池化したあとからp型光吸収層3の表面のCuO相の定量的な評価が困難である。
酸化処理の前後は、意図しない酸化反応が生じないようにp電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材を保管することが好ましい。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程を行なった後は、酸化処理後の部材を酸素分圧が50[Pa]以下であり、かつ、80[℃]以下、より好ましくは50[℃]以下の雰囲気に保管するか、n型層4の成膜を続けて行なうことが好ましい。n型層4の成膜までに例えば、30[℃]以下の大気雰囲気に1時間以下、好ましくは30分以下の間、酸化処理を行なった部材を保管することができる。酸化処理する前に、酸素分圧が50[Pa]以下であり、かつ、80[℃]以下、より好ましくは50[℃]以下の雰囲気に保管するか、30[℃]以下の大気雰囲気に1時間以下、好ましくは30分以下の間、保管することができる。これらの保管の雰囲気において、酸素分圧に対して0.1%以下のオゾンが含まれていてもよい。
これらの保管の雰囲気において、水蒸気濃度(質量/体積)は5.0×10-8[g/L]以上5.0×10-5[g/L]以下であることが好ましく、5.0×10-8[g/L]以上4.0×10-5[g/L]以下がより好ましい。
これらの保管の雰囲気において、プラズマ化したガスが含まれないことが好ましい。
酸化処理において、チャンバー内のステージ上にp電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材を置き、酸素を含むガスを導入する前に全圧が2×10-4[Pa]以上1×10-1[Pa]以下となるように減圧を行なってもよい。チャンバー内の全圧が安定してから酸素が含まれる酸化処理のガスを導入する。酸素の導入前にp電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材の温度を下記の温度にまで加熱する。
酸化処理の雰囲気(ガス)には、酸素が含まれる。酸化処理の雰囲気には、酸素分圧の0.0%以上0.1%以下(最大1[Pa]以下)のオゾンが含まれていてもよい。酸化処理の雰囲気には、酸素以外に一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素や水素などの、例えば大気中に含まれる混入が不可避的な物質などが含まれても良い。例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素や水素などの、例えば大気中に含まれる混入が不可避的な物質などは、酸化処理雰囲気に5000ppm以下存在する。酸化処理の雰囲気には、窒素やアルゴンなどの不活性ガスや水素がさらに含まれていてもよい。酸化処理の雰囲気には、酸素及びオゾンの他に酸化性の反応性のガスは実質的に含まれないため、酸化処理を行なうチャンバー内には、酸素及びオゾンの他に反応性のガスを導入しない。そこで、チャンバーには、酸素ガスと任意にオゾン及び/又は不活性ガスのみ導入することが好ましい。酸化処理の雰囲気から水蒸気を除いたガスの全圧に占める酸素分圧及び不活性ガスの分圧の和(=([酸素分圧]+[不活性ガスの分圧])/(酸化処理の雰囲気から水蒸気を除いたガスの全圧)は、99.0%以上100%以下であることが好ましく、99.3%以上100%以下(又は99.3%以上99.9%以下)がより好ましい。
酸化処理の酸素分圧[Pa]は、酸化処理の雰囲気の全圧[Pa]の5%以上100%以下が好ましく、10%以上100%以下がより好ましい。
酸化処理において酸素分圧は、5000[Pa]以上200000[Pa]未満であることが好ましい。酸素分圧が低すぎると、処理時間が長くなり生産性が悪くなるか、酸化反応が進まない。酸素分圧が高すぎると、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面から深部にまで酸化反応が進行してしまう。そこで、酸化処理における酸素分圧は、8000[Pa]以上30000[Pa]以下がより好ましく、10000[Pa]以上25000[Pa]以下がさらにより好ましい。酸素分圧及びオゾン分圧は、チャンバー内の値である。
酸化処理において処理温度は、40[℃]以上150[℃]以下が好ましい。処理温度が低すぎると処理時間が長くなり生産性が悪くなるか、酸化反応が進まない。処理温度が高すぎると、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面から深部にまで酸化反応が進行してしまう。そこで、酸化処理における処理温度は、45[℃]以上120[℃]以下が好ましく、50[℃]以上120[℃]以下がより好ましく、50[℃]以上90[℃]以下がさらにより好ましい。なお、処理温度は、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の温度である。酸化反応は穏やかに進行するため、酸化反応で発する熱はわずかである。そこで、p電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の温度とp電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材の温度と実質的に同一である。p電極2上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜が形成された部材の温度は、酸化処理に用いるチャンバーのステージの設定温度であり、設定温度が処理温度である。
酸化処理において処理時間は、10秒以上150分以下が好ましい。処理時間が短すぎると、酸化反応が進まない。処理時間が長すぎると、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面から深部にまで酸化反応が進行してしまう。そこで、酸化処理における処理時間は、5分以上120分以下がより好ましく、10分以上90分以下がさらにより好ましい。
酸化処理において、水蒸気濃度が9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m以下であることが好ましい。水蒸気濃度が低すぎると酸化に伴ってCu(OH)が生成しにくくなるため好ましくない。水蒸気濃度が高すぎると酸化が進行しすぎ易くなる。そこで、酸化処理における水蒸気濃度は、1.0[g/m]以上5.9×10[g/m以下であることがより好ましく、2.3[g/m]以上8.2×10[g/m以下であることがさらにより好ましい。
酸化処理において、酸素分圧が5000[Pa]以上50000[Pa]以下である場合、処理温度を50[℃]以上150[℃]以下とすることが好ましい。5000[Pa]以上50000[Pa]以下で、処理温度を50[℃]以上150[℃]以下ある場合、処理時間は、5分以上150分以下であることが好ましく。5分以上60分以下であることがより好ましい。酸素分圧が中程度から高程度の場合、処理温度及び処理時間も中程度から高程度にすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、酸素分圧が10000[Pa]以上200000[Pa]以下である場合、処理温度を40[℃]以上120[℃]以下とすることが好ましい。10000[Pa]以上200000[Pa]以下で、処理温度を40[℃]以上120[℃]以下ある場合、処理時間は、10秒以上120分以下であることが好ましく。10秒以上60分以下であることがより好ましい。酸素分圧が中程度から高程度の場合、処理温度及び処理時間も低(短)程度から高程度にすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、処理温度が75[℃]以上125[℃]以下である場合、酸素分圧は5000[Pa]以上200000[Pa]以下であり、処理時間は5分以上45分以下が好ましい。処理温度が75[℃]以上125[℃]以下である場合、酸素分圧は5000[Pa]以上100000[Pa]以下であり、処理時間は10分以上60分以下がより好ましい。この条件で酸化処理を行なうと、極めて薄い領域を安定的に酸化させることができる。この条件から外れた場合、温度、酸素分圧と処理時間の3つの数値のバランスが重要になる。例えば、処理温度が高ければ、酸素分圧を低くしたり、処理時間を短くしたりすることで酸化が深部に進行しないように調整する。下記の条件と比較すると75[℃]以上125[℃]以下である場合の酸化処理は、酸化が進行しすぎるような条件であるようにも思われるが、実際には、膜表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。75[℃]以上125[℃]以下である場合、酸素分圧は5000[Pa]以上200000[Pa]以下であり、処理時間は5分以上60分以下の範囲であれば酸化が深部に進行しにくい。処理温度は、80[℃]以上120[℃]以下がより好ましい。処理温度が80[℃]以上120[℃]以下である場合、酸素分圧は5000[Pa]以上200000[Pa]以下であり、処理時間は5分以上60分以下が好ましい。処理温度が80[℃]以上120[℃]以下である場合、酸素分圧は5000[Pa]以上100000[Pa]以下であり、処理時間は10分以上45分以下が好ましい。
水蒸気濃度が高くて酸素分圧が高すぎると酸化が進行しすぎ易くなる。酸化処理において、処理温度が40[℃]以上80[℃]以下であり、酸素分圧は5000[Pa]以上200000[Pa]以下であり、処理時間は5分以上45分以下である場合(又は好ましい範囲)における、水蒸気濃度は9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m以下であることが好ましい。
酸化処理において、処理時間が10秒以上5分未満で、処理温度が40[℃]以上110[℃]未満である場合、酸素分圧は、30000[Pa]以上200000[Pa]以下が好ましく、50000[Pa]以上100000[Pa]以下がより好ましい。低温から中程度の温度で非常に短時間の酸化処理の場合、酸素分圧を高くすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、処理時間が10秒以上5分未満で、処理温度が110[℃]以上150[℃]以下である場合、酸素分圧は、10000[Pa]以上100000[Pa]未満が好ましく、15000[Pa]以上50000[Pa]未満がより好ましい。高温で非常に短時間の酸化処理の場合、酸素分圧を中程度にすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、処理時間が5分以上10分未満で、処理温度が40[℃]以上80[℃]未満である場合、酸素分圧は、10000[Pa]以上100000[Pa]未満が好ましく、15000[Pa]以上100000[Pa]以下がより好ましい。低温から中程度の温度で短時間の酸化処理の場合、酸素分圧を中程度にすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、処理時間が10分以上60分未満で、処理温度が40[℃]以上80[℃]未満である場合、酸素分圧は、10000[Pa]以上50000[Pa]以下が好ましく、15000[Pa]以上40000[Pa]以下がより好ましい。低温から中程度の温度で中程度からやや長い時間の酸化処理の場合、酸素分圧を中程度にすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、処理時間が60分以上90分未満で、処理温度が40[℃]以上120[℃]以下である場合、酸素分圧は、10000[Pa]以上40000[Pa]以下が好ましく、15000[Pa]以上35000[Pa]以下がより好ましい。低温から高温でやや長い時間の酸化処理の場合、酸素分圧を中程度にすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理において、処理時間が90分以上150分以下である場合、処理温度を40[℃]以上60[℃]以下とすることが好ましい。90分以上150分以下で、処理温度が40[℃]以上60[℃]以下である場合、酸素分圧は、5000[Pa]以上25000[Pa]以下が好ましく、5000[Pa]以上21000[Pa]以下がより好ましい。低温で長時間の酸化処理の場合、酸素分圧を低くすることで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物の表面の極薄い領域を局所的に酸化させることができる。
酸化処理の酸素分圧が高い場合は、処理温度を低くしたり処理時間を短くしたりすることで、酸化の進行を制御し易くできる。酸化処理の処理温度が高い場合は、酸素分圧を低くしたり処理時間を短くしたりすることで、酸化が進行を制御し易くできる。
酸化処理の酸素分圧が低い場合は、処理温度を高くしたり処理時間を長くしたりすることで、酸化が進行を制御し易くなる。酸化処理の処理温度が低い場合は、酸素分圧を高くしたり処理時間を長くしたりすることで、酸化が進行を制御し易くなる。
酸化処理に用いるガスは、酸化処理中において連続的に置換されることが好ましく、酸化処理を行なう容器の体積をL1[L]とするとき、酸化処理中において置換されるガスの量は、L1/20[L/分]以上100×L1[L/分]以下が好ましい。
気体中の酸素分圧は、例えば、ガルバニ電池式センサ又はジルコニアオキサイドセンサなどを用いて、気体中の酸素濃度から酸素分圧を求めることができる。また、気体中の水蒸気濃度は、例えば、静電容量式や鏡面反射式の露点計で求めた露点と温度から求めることができる。
実施形態の酸化処理では、酸素分圧、処理温度及び処理時間の影響を受けやすい。酸素分圧が高かったり、温度が高かったり、処理時間が長くなったりすると酸化反応が促進される。この3条件が上記範囲を満たすように酸化処理することで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面の極薄い領域を酸化させることができる。この3条件から外れると酸化が進行しすぎるか酸化がほとんど生じ無い。
酸化処理は、スパッタリングで形成した亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の膜に対して行なうことが好ましい。スパッタリングで形成した亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の膜の表面には微細な凹凸が存在する。微細な凹凸が表面に設けられているスパッタリングで形成した亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の膜に酸化処理を行なうことで、好適な酸化反応が生じて太陽電池の開放電圧の向上に寄与すると考えられる。
酸化処理の酸素分圧とは、処理雰囲気中のOガスの分圧である。酸化処理において、Oガスのプラズマ化の処理は行われない。
多結晶膜に酸化処理を行うことで、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面の極薄い領域(例えば、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から1原子層以上1nm以下までの深さの領域)のみを酸化させることができる。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面が全体的に酸化される。酸化条件が異なる場合(例えば、小粒径CuOに対する酸化、単結晶CuO膜、低酸素条件)は、CuOが酸化されない、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面が部分的に酸化される、酸化が深部に進行する、再結晶による大粒径化が起こると考えられる。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、成膜条件によって結晶性や異相の有無が変化する。そのため、単結晶CuO膜に対して行われていたアニールでは表面の薄い領域にCuOが形成されたとの報告がないことから、実施形態のスパッタ法で形成された亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に対する酸化処理は、単結晶CuO膜に対する同じ酸化処理と反応機序が異なると考えられる。
表面にOH基(Cu(OH))が多いCuO膜に対して酸化処理を行うと、OH基によって酸化が促進されるためCuO膜の深部にまで酸化が進行し易い。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面の薄い領域を選択的に酸化させる場合は、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の成膜後にOH基の量を増やす処理は行われないことが好ましい。
実施形態の酸化処理を行うと、酸化が深部に進行しない。酸化処理後の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から10nmの深さまでの領域中の全相に対するCuOの割合は、0.1%以上10%以下が好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を酸化する条件で処理すると、欠陥が増えることで効率が低下したり、透過性が低下したりすると予想される。変換効率や透過性を考慮すると、一般的には結晶性の良い亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成した後に酸化処理をすることが避けられる。酸化が不十分で膜質が悪い場合には、酸化処理が求められる。しかし、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜質が良質な膜の酸化条件を制御することで変換効率が向上させることができる。
単結晶CuO膜に対して、実施形態の酸化処理を行うと、深部に酸化が進行してしまいやすい。
実施形態の酸化処理は、透過型の太陽電池を実現するスパッタ法で成膜された亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に対して行うことが効果的である。
酸化処理の前又は/及び酸化処理の後にp型光吸収層3のキャリア濃度を調節するために、p型ドーパント又は/及びn型ドーパントをドーピングすることができる。
酸化処理を行なった亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜上にn型層4を形成する工程として、亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に例えば、ALD(原子堆積法)、CVD(化学気相成長法)によってn型層4を成膜する。
n型層4上にn電極5を形成する工程として、n型層4上にスパッタなどによってn電極5を成膜する。中間層をn型層4とn電極5の間に設ける場合は、n電極5の形成前に中間層を形成する。上記の工程によって、基板1、p電極2、表面が酸化処理された亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とするp型光吸収層3、n型層4及びn電極5を有する太陽電池100が製造される。
亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の酸化処理が行われた面にn型層4を形成し、n型層上にn電極5が形成された太陽電池は、酸化処理によって変換効率が向上する。
(第2実施形態)
第2実施形態は多接合型太陽電池に関する。図4に第2実施形態の多接合型太陽電池の断面概念図を示す。図4の多接合型太陽電池200は、光入射側に第1実施形態の太陽電池(第1太陽電池)100と、第2太陽電池201を有する。第1太陽電池100は、第1実施形態の太陽電池である。第2太陽電池201の光吸収層のバンドギャップは、第2実施形態の多接合型太陽電池200のp型光吸収層3よりも小さいバンドギャップを有する。なお、実施形態の多接合型太陽電池は、3以上の太陽電池を接合させた太陽電池も含まれる。
第1実施形態の太陽電池100のp型光吸収層3のバンドギャップが2.0eV-2.2eV程度であるため、第2太陽電池201の光吸収層のバンドギャップは、1.0eV以上1.6eV以下であることが好ましい。第2太陽電池の光吸収層としては、Inの含有比率が高いCIGS系及びCdTe系からなる群から選ばれる1種以上の化合物半導体層、結晶シリコン及びペロブスカイト型化合物からなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
(第3実施形態)
第3実施形態は、太陽電池モジュールに関する。図5に第3実施形態の太陽電池モジュール300の斜視図を示す。図5の太陽電池モジュール300は、第1太陽電池モジュール301と第2太陽電池モジュール302を積層した太陽電池モジュールである。第1太陽電池モジュール301は、光入射側であり、第1実施形態の太陽電池100を用いている。第2太陽電池モジュール302には、第2太陽電池201を用いることが好ましい。
図6に太陽電池モジュール300の断面図を示す。図6では、第1太陽電池モジュール301の構造を詳細に示し、第2太陽電池モジュール302の構造は示していない。第2太陽電池モジュール302では、用いる太陽電池の光吸収層などに応じて適宜、太陽電池モジュールの構造を選択する。図6の太陽電池モジュール300は、複数の太陽電池100(太陽電池セル)が横方向に並んで配線304で電気的に直列に接続した破線で囲われたサブモジュール303が複数含まれ、複数のサブモジュール303が電気的に並列もしくは直列に接続している。隣り合うサブモジュール303は、バスバー305で電気的に接続している。
隣り合う太陽電池100は、上部側のn電極5と下部側のp電極2が配線304によって接続している。サブモジュール303中の太陽電池100の両端は、バスバー305と接続し、バスバー305が複数のサブモジュール303を電気的に並列もしくは直列に接続し、第2太陽電池モジュール302との出力電圧を調整するように構成されていることが好ましい。なお、第3実施形態に示す太陽電池100の接続形態は一例であり、他の接続形態によって太陽電池モジュールを構成することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態は太陽光発電システムに関する。第3実施形態の太陽電池モジュールは、第4実施形態の太陽光発電システムにおいて、発電を行う発電機として用いることができる。実施形態の太陽光発電システムは、太陽電池モジュールを用いて発電を行うものであって、具体的には、発電を行う太陽電池モジュールと、発電した電気を電力変換する手段と、発電した電気をためる蓄電手段又は発電した電気を消費する負荷とを有する。図7に実施形態の太陽光発電システム400の構成図を示す。図7の太陽光発電システムは、太陽電池モジュール401(300)と、コンバーター402と、蓄電池403と、負荷404とを有する。蓄電池403と負荷404は、どちらか一方を省略しても良い。負荷404は、蓄電池403に蓄えられた電気エネルギーを利用することもできる構成にしてもよい。コンバーター402は、DC-DCコンバーター、DC-ACコンバーター、AC-ACコンバーターなど変圧や直流交流変換などの電力変換を行う回路又は素子を含む装置である。コンバーター402の構成は、発電電圧、蓄電池403や負荷404の構成に応じて好適な構成を採用すればよい。
太陽電池モジュール300に含まれる太陽電池セルが発電し、その電気エネルギーは、コンバーター402で変換され、蓄電池403で蓄えられるか、負荷404で消費される。太陽電池モジュール401には、太陽電池モジュール401を常に太陽に向けるための太陽光追尾駆動装置を設けたり、太陽光を集光する集光体を設けたり、発電効率を向上させるための装置等を付加することが好ましい。
太陽光発電システム400は、住居、商業施設や工場などの不動産に用いられたり、車両、航空機や電子機器などの動産に用いられたりすることが好ましい。実施形態の開放電圧に優れた太陽電池を太陽電池モジュールに用いることで、発電量の増加が期待される。
太陽光発電システム400の利用例として車両を示す。図8に車両500の構成概念図を示す。図8の車両500は、車体501、太陽電池モジュール502、電力変換装置503、蓄電池504、モーター505とタイヤ(ホイール)506を有する。車体501の上部に設けられた太陽電池モジュール502で発電した電力は、電力変換装置503変換されて、蓄電池504にて充電されるか、モーター505等の負荷で電力が消費される。太陽電池モジュール502又は蓄電池504から供給される電力を用いてモーター505によってタイヤ(ホイール)506を回転させることにより車両500を動かすことができる。太陽電池モジュール502としては、多接合型ではなく、第1実施形態の太陽電池100等を備えた第1太陽電池モジュールだけで構成されていてもよい。透過性のある太陽電池モジュール502を採用する場合は、車体501の上部に加え、車体501の側面に発電する窓として太陽電池モジュール502を使用することも好ましい。
太陽光発電システム400の利用例として飛翔体(ドローン)を示す。飛翔体は、太陽電池モジュール300を用いている。本実施形態にかかる飛翔体の構成を、図9の飛翔体(クアッドコプター)600の模式図を用いて簡単に説明する。飛翔体600は、太陽電池モジュール300、機体骨格601、モーター602、回転翼603と制御ユニット604を有する。太陽電池モジュール300、モーター602、回転翼603と制御ユニット604は、機体骨格601に配置している。制御ユニット604は、太陽電池モジュール300から出力した電力を変換したり、出力調整したりする。制御ユニット604には、太陽電池モジュール300が発電した電力を蓄電する蓄電池をさらに備えていてもよい。モーター602は太陽電池モジュール300から出力された電力を用いて、回転翼603を回転させる。実施形態の太陽電池モジュール300を有する本構成の飛翔体600とすることで、より多くの電力を用いて飛行することができる飛翔体が提供される。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例A-1~A~15、比較例A-1~A-3)
ガラス基板上に、裏面側のp電極として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20nm)とATO(Sn:Sb=98:2 150nm)を堆積する。透明なp電極上に酸素、アルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法により500[℃]で加熱してCuO光吸収層を成膜する。その後、CuO光吸収層の表面を図10の表に示した条件で酸化処理する。そして、XPSで酸化処理したCuO光吸収層の表面をXPSで観察する。CuO、CuO及びCu(OH)に対応するピークの高さを求める。図11にXPSで求めた積分強度を示す。
XPS分析はULVAC-PHI社のQuantera SXMを用いて、X線源に単結晶分光 Al Kα線、X線出力は50W、X線の照射領域は200μmφ~300μmφ、試料に対するX線の照射角度は45deg、試料と検出器の角度は90deg、帯電中和銃は不使用せずに実施した。この条件で測定することで亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面の極薄い領域に含まれるCuOとその異相であるCuO及びCu(OH)の比率を評価することができる。
CuO、CuO、Cu(OH)の割合はXPS分析法によって得られたCu 2p3/2(結合エネルギー932.5eV付近)のスペクトルをCuO(中心:932.5eV付近), CuO(中心:933.7eV付近), Cu(OH)(中心:935.1eV付近)においてそれぞれ疑似フォークト関数でフィッティングを行い、ローレンツ分布の式を4割、ガウス分布の式を6割の比率でXPSスペクトルとフィッティングする。またXPSスペクトルのベースラインは、動的シャーリー法を用いる。フィッティングされた疑似フォークト関数と上記で得られたベースラインで囲まれた積分面積が積分強度と定義する。CuO、CuO、Cu(OH)のそれぞれ積分強度を算出する。CuO、CuO、Cu(OH)の割合は、CuO[%]=CuO積分強度÷(CuO積分強度+CuO積分強度+Cu(OH)積分強度)×100、CuO[%]=CuO積分強度÷(CuO積分強度+CuO積分強度+Cu(OH)積分強度)×100、Cu(OH)[%]=Cu(OH)積分強度÷(CuO積分強度+CuO積分強度+Cu(OH)積分強度)×100で表すことができる。
図11において、CuOとCu(OH)の割合に応じて、A、B、CとDの4段階で評価した。亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面のCuO、Cu(OH)の割合が10[%]以上100[%]以下である場合はAと評価し、1[%]以上10[%]未満である場合はBと評価し、0.1[%]以上1[%]未満である場合はCと評価し、0.0[%]以上0.1[%]未満である場合はDと評価した。試料に対するX線の照射角度は45deg、試料と検出器の角度は90deg の条件でXPS分析を実施する場合、深さ5nm程度まで強度が得られるため、A評価であるCuO、Cu(OH)の割合が10[%]以上100[%]以下である場合は酸化しすぎていると考えられる。この分析手法だとB評価である1[%]以上10[%]未満のCuO、Cu(OH)が最適だと考えられる。B評価の場合、表面の極薄い領域が酸化され、それよりも深い領域では酸化が進行していないと考えられる。
チャンバー内に供給された適度に水蒸気が存在し、温度や酸素分圧が調節された酸化処理ガスとCuO層表面が効率的に反応するので、1原子層~1[nm]と極薄い領域に異相であるCuO及びCu(OH)を生成できる。1原子層~1[nm]と極薄い領域に異相であるCuO及びCu(OH)が生成する事によりCuO太陽電池の電圧が上がる。ただし、高い基板温度や長時間反応させるとCuOなどの異相が深くまで生成し、その生成したCuOなどの異相がCuO層の不純物層となり、CuO太陽電池の電流密度が低下してしまう。
(実施例B-1~B~15、比較例B-1~B-3)
ガラス基板上に、裏面側のp電極として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20nm)とATO(Sn:Sb=98:2 150μm)を堆積する。透明なp電極上に酸素、アルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法により500[℃]で加熱してCuO光吸収層を成膜する。その後、CuO光吸収層の表面を図12の表に示した条件で酸化処理する。次いでALD法により、n型層としてGa2を10nm堆積させる。n型層上にn電極としてAZO透明導電膜を堆積する。そして、反射防止膜としてMgF膜を成膜することで太陽電池を得る。得られた太陽電池について、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)及び変換効率を評価する。
AM1.5Gの光源を模擬したソーラーシミュレータを用い、その光源下で基準となるSiセルを用いて1sunになるように光量を調節する。測定は大気圧下で測定室内の気温は25[℃]とする。電圧をスイープし、電流密度(電流をセル面積で割ったもの)を測定する。横軸を電圧、縦軸を電流密度とした際に、横軸と交わる点が開放電圧Vocとなり、縦軸と交わる点が短絡電流密度Jscとなる。測定曲線上において、電圧と電流密度を掛け合わせ、最大になる点をそれぞれVmpp、Jmpp(マキシマムパワーポイント)とすると、FF=(Vmpp*Jmpp)/(Voc*Jsc)であり、変換効率Eff.はEff.=Voc*Jsc*FFで求まる。
図13の実施例に関する表に実施例及び比較例の開放電圧(Voc)、電流密度(Jsc)、変換効率(Eff)をまとめて示す。
Vocは、比較対象例のVoc以下である場合をBと評価し、比較対象例のVocより大きい場合をAと評価する。Jscは、比較対象例のJscより小さい場合をBと評価し、比較対象例のJsc以上である場合をAと評価する。Effは、比較対象例のVoc以下である場合をBと評価し、比較対象例のEffより大きい場合をAと評価する。
図12、13の表から分るように、適切な条件で酸化処理を行なうことで、Jscが同等以上の状態でVocが向上し、変換効率が向上する。
(実施例C-1)
ガラス基板上に、裏面側のp電極として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20nm)とATO(Sn:Sb=98:2 150nm)を堆積する。透明なp電極上に酸素及びアルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法により500℃で加熱して5.0μm厚のCuO光吸収層を成膜する。その後、CuO光吸収層の表面を図14の表に示した条件で酸化処理する。酸化処理後に速やかに酸化処理された部材を25℃で封止して分析する。
(比較例C-1)
Al上に200μm厚の単結晶CuO層が形成された部材に図14の表に示した条件で酸化処理を行う。酸化処理後に速やかに酸化処理された部材を25℃で封止して分析する。
(比較例C-2)
Al上に200μm厚の単結晶CuO層が形成された部材のCuO層の表面に水蒸気で処理をする。水蒸気処理された部材に図14の表に示した条件で酸化処理を行う。酸化処理後に速やかに酸化処理された部材を25℃で封止して分析する。
図15の実施例に関する表に、酸化処理後の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から10nmの深さまでの領域中の全相に対するCuOの割合を示す。
酸化処理後の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から10nmの深さまでの領域中の全相に対するCuOの割合が10%より大きく100%以下である場合をAと評価し、1%以上10%未満である場合をBと評価し、0.1%以上1%未満である場合をCと評価する。酸化処理後の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から10nmの深さまでの領域中の全相に対するCuOの割合は、上述のXPSの測定方法の分析深度を変更した方法で分析して求められる。
図14、15の表から分るように、結晶性の違いと酸化処理前のOH基の比率によって、酸化処理後の酸化処理後の亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面近傍のCuOの比率が変化する。また、比較例の様に深部にまで酸化が進行したCuO層を用いて作成した太陽電池は、CuOによって、700nmから1000nmの波長の光の透過率が低下する。深部にまで酸化が進行すると透過率と発電効率の両方が低下する。
(実施例D-1~D-3、比較例D-1~D-8)
ガラス基板上に、裏面側のp電極として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20nm)とATO(Sn:Sb=98:2 150nm)を堆積する。透明なp電極上に酸素、アルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法により500℃で加熱して5.0μm厚のCuO光吸収層を成膜する。その後、CuO光吸収層の表面を図16の表に示した条件で酸化処理する。次いでALD法により、n型層としてGa2を10nm堆積させる。n型層上にn電極としてAZO透明導電膜を堆積する。そして、反射防止膜としてMgF膜を成膜することで太陽電池を得る。得られた太陽電池について、開放電圧(Voc)と電流密度(Jsc)を評価する。
AM1.5Gの光源を模擬したソーラーシミュレータを用い、その光源下で基準となるSiセルを用いて1sunになるように光量を調節する。測定は大気圧下で測定室内の気温は25℃とする。電圧をスイープし、電流密度(電流をセル面積で割ったもの)を測定する。横軸を電圧、縦軸を電流密度とした際に、横軸と交わる点が開放電圧Vocとなり、縦軸と交わる点が短絡電流密度Jscとなる。
図17の実施例に関する表に実施例及び比較例の開放電圧(Voc)、電流密度(Jsc)をまとめて示す。
Vocは、比較対象例のVoc以下である場合をBと評価し、比較対象例のVocより大きい場合をAと評価する。Jscは、比較対象例のJscより小さい場合をBと評価し、比較対象例のJsc以上である場合をAと評価する。
図16、17の表から分るように、適切な条件で酸化処理を行なうことで、Jscが同等以上の状態でVocが向上する。
明細書中一部の元素は、元素記号のみで示している。
以下、実施形態の技術案を記す。
技術案1
基板上にp電極が形成する工程と、
前記p電極上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、
前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程とを含み、
前記酸化処理において、酸素分圧は、5000[Pa]以上200000[Pa]以下であり、
前記酸化処理において、水蒸気濃度が9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]であり、
前記酸化処理において、処理温度は、40[℃]以上150[℃]以下であり、
前記酸化処理において、処理時間は、5分以上150分以下である太陽電池の製造方法。
技術案2
前記酸化処理において、前記酸素分圧が5000[Pa]以上50000[Pa]以下で、前記処理温度が50[℃]以上150[℃]以下ある場合、前記処理時間は、5分以上150分以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案3
前記酸化処理において、前記酸素分圧が10000[Pa]以上200000[Pa]以下で、前記処理温度が40[℃]以上120[℃]以下ある場合、前記処理時間は、10秒以上120分以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案4
前記酸化処理において、前記処理温度が75[℃]以上125[℃]以下である場合、前記酸素分圧は5000[Pa]以上200000[Pa]以下であり、前記処理時間は5分以上45分以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案5
前記処理温度が80[℃]以上120[℃]以下である場合、前記酸素分圧は5000[Pa]以上100000[Pa]以下であり、前記処理時間は10分以上45分以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案6
前記水蒸気濃度は9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]である技術案4に記載の太陽電池の製造方法。
技術案7
前記酸化処理において、前記処理時間が10秒以上5分未満で、前記処理温度が40[℃]以上110[℃]未満である場合、前記酸素分圧は、30000[Pa]以上200000[Pa]以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案8
前記酸化処理において、前記処理時間が10秒以上5分未満で、前記処理温度が110[℃]以上150[℃]以下である場合、前記酸素分圧は、10000[Pa]以上100000[Pa]未満である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案9
前記酸化処理において、前記処理時間が5分以上10分未満であり、前記処理温度が40[℃]以上80[℃]未満である場合、前記酸素分圧は、10000[Pa]以上100000[Pa]未満である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案10
前記酸化処理において、前記処理時間が10分以上60分未満で、前記処理温度が40[℃]以上80[℃]未満である場合、前記酸素分圧は、10000[Pa]以上50000[Pa]以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案11
前記酸化処理において、前記処理時間が60分以上90分未満で、前記処理温度が40[℃]以上120[℃]以下である場合、前記酸素分圧は、10000[Pa]以上40000[Pa]以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案12
前記酸化処理において、前記処理時間が90分以上150分以下で、前記処理温度が40[℃]以上60[℃]以下である場合、前記酸素分圧は、5000[Pa]以上25000[Pa]以下である技術案1に記載の太陽電池の製造方法。
技術案13
前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜上にn型層を形成する工程を含む技術案1ないし12のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
技術案14
前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜上にn型層を形成する工程と、
前記n型層上にn電極を形成する工程を含む技術案1ないし13のいずれか1案に記載の太陽電池の製造方法。
技術案15
前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜され、
前記スパッタリングは、前記基板上にp電極2が成された部材を300℃以上600℃以下に加熱して、
前記スパッタリングの酸素分圧は0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02μm/min以上20μm/min以下の範囲内であり、
前記スパッタリングの堆積速度をdとしたとき、前記酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たす技術案1ないし14のいずれか1案に記載の太陽電池の製造方法。
技術案16
前記スパッタリングの前記加熱温度は、350℃以上500℃以下である技術案1ないし14のいずれか1案に記載の太陽電池の製造方法。
技術案17
技術案1ないし16のいずれか1案に記載の製造方法で製造された太陽電池を有する多接合型太陽電池。
技術案18
技術案1ないし16のいずれか1案に記載の製造方法で製造された太陽電池又は技術案17に記載の多接合型太陽電池を用いた太陽電池モジュール。
技術案19
技術案18に記載の太陽電池モジュールを用いて太陽光発電を行う太陽光発電システム。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定解釈されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、変形例の様に異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
1 :基板
2 :p電極
3 :p型光吸収層
4 :n型層
5 :n電極
100 :太陽電池(第1太陽電池)
200 :多接合型太陽電池
201 :第2太陽電池
300 :太陽電池モジュール
301 :第1太陽電池モジュール
302 :第2太陽電池モジュール
303 :サブモジュール
304 :配線
305 :バスバー
400 :太陽光発電システム
401 :太陽電池モジュール
402 :コンバーター
403 :蓄電池
404 :負荷
500 :車両
501 :車体
502 :太陽電池モジュール
503 :電力変換装置
504 :蓄電池
505 :モーター
600 :飛翔体
601 :機体骨格
602 :モーター
603 :回転翼
604 :制御ユニット

Claims (14)

  1. 基板上にp電極が形成する工程と、
    前記p電極上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程とを含み、
    前記酸化処理において、水蒸気濃度が9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]以下であり、
    前記酸化処理における処理時間、処理温度及び酸素分圧は、前記処理時間が10秒以上5分未満で、前記処理温度が40[℃]以上110[℃]未満で、前記酸素分圧が50000[Pa]以上100000[Pa]以下の条件、前記処理時間が10秒以上5分未満で、前記処理温度が110[℃]以上150[℃]以下で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上50000[Pa]未満の条件、前記処理時間が5分以上10分未満で、前記処理温度が40[℃]以上80[℃]未満で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上100000[Pa]未満の条件、前記処理時間が10分以上60分未満で、前記処理温度が40[℃]以上80[℃]未満で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上40000[Pa]以下の条件、前記処理時間が60分以上90分未満で、前記処理温度が40[℃]以上120[℃]以下で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上35000[Pa]以下の条件、前記処理時間が90分以上150分以下で、前記処理温度が40[℃]以上60[℃]以下で、前記酸素分圧が5000[Pa]以上21000[Pa]以下の条件のいずれかの条件であり、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜され、
    前記スパッタリングは、前記基板上にp電極が成された部材を300℃以上600℃以下に加熱して、
    前記スパッタリングの酸素分圧は0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02μm/min以上20μm/min以下の範囲内であり、
    前記スパッタリングの堆積速度をdとしたとき、前記酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たし、
    前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から5nm深さの領域において、X線光電子分光のピーク面積から求めたCuO、Cu(OH) の比率は、0.1[%]以上10[%]未満である太陽電池の製造方法。
  2. 基板上にp電極が形成する工程と、
    前記p電極上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程とを含み、
    前記酸化処理において、酸素分圧が5000[Pa]以上50000[Pa]以下で、処理温度が50[℃]以上150[℃]以下で、処理時間が5分以上60分以下であり、
    蒸気濃度は9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]以下であり、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜され、
    前記スパッタリングは、前記基板上にp電極が成された部材を300℃以上600℃以下に加熱して、
    前記スパッタリングの酸素分圧は0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02μm/min以上20μm/min以下の範囲内であり、
    前記スパッタリングの堆積速度をdとしたとき、前記酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たし、
    前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から5nm深さの領域において、X線光電子分光のピーク面積から求めたCuO、Cu(OH) の比率は、0.1[%]以上10[%]未満である太陽電池の製造方法。
  3. 基板上にp電極が形成する工程と、
    前記p電極上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程とを含み、
    前記酸化処理において、処理温度が75[℃]以上125[℃]以下であり、酸素分圧が5000[Pa]以上100000[Pa]以下であり、処理時間が5分以上45分以下であり、
    水蒸気濃度は9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]以下であり、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜され、
    前記スパッタリングは、前記基板上にp電極が成された部材を300℃以上600℃以下に加熱して、
    前記スパッタリングの酸素分圧は0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02μm/min以上20μm/min以下の範囲内であり、
    前記スパッタリングの堆積速度をdとしたとき、前記酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たし、
    前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から5nm深さの領域において、X線光電子分光のピーク面積から求めたCuO、Cu(OH) の比率は、0.1[%]以上10[%]未満である太陽電池の製造方法。
  4. 基板上にp電極が形成する工程と、
    前記p電極上に亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜を形成する工程と、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程とを含み、
    処理温度が80[℃]以上120[℃]以下であり、酸素分圧が5000[Pa]以上100000[Pa]以下であり、処理時間が10分以上45分以下であり、
    水蒸気濃度は9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]であり、
    前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜は、スパッタリングで成膜され、
    前記スパッタリングは、前記基板上にp電極が成された部材を300℃以上600℃以下に加熱して、
    前記スパッタリングの酸素分圧は0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下の範囲内で0.02μm/min以上20μm/min以下の範囲内であり、
    前記スパッタリングの堆積速度をdとしたとき、前記酸素分圧は、0.55xd[Pa]以上1.00xd[Pa]以下を満たし、
    前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から5nm深さの領域において、X線光電子分光のピーク面積から求めたCuO、Cu(OH) の比率は、0.1[%]以上10[%]未満である太陽電池の製造方法。
  5. 前記水蒸気濃度は9.4×10-1[g/m]以上2.5×10[g/m]以下である請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記酸化処理における処理時間、処理温度及び酸素分圧は、
    前記処理時間が10秒以上5分未満で、前記処理温度が110[℃]以上150[℃]以下で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上50000[Pa]未満の条件、前記処理時間が5分以上10分未満で、前記処理温度が40[℃]以上80[℃]未満で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上100000[Pa]未満の条件、前記処理時間が10分以上60分未満で、前記処理温度が40[℃]以上80[℃]未満で、前記酸素分圧が15000[Pa]以上40000[Pa]以下の条件、前記処理時間が90分以上150分以下で、前記処理温度が40[℃]以上60[℃]以下で、前記酸素分圧が5000[Pa]以上21000[Pa]以下の条件のいずれかの条件である請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程は、前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から1原子層以上1nm以下の深さの領域のみを酸化させる工程である請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程は、前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から1原子層以上1nm以下の深さの領域のみを酸化させる工程である請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程は、前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から1原子層以上1nm以下の深さの領域のみを酸化させる工程である請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜に酸化処理を行なう工程は、前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜の表面から1原子層以上1nm以下の深さの領域のみを酸化させる工程である請求項4に記載の太陽電池の製造方法。
  11. 前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜上にn型層を形成する工程を含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  12. 前記酸化処理された前記亜酸化銅及び/又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする膜上にn型層を形成する工程と、
    前記n型層上にn電極を形成する工程を含む請求項1ないし10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  13. 前記スパッタリングにおいて、前記基板上にp電極2が成された部材を350℃以上500℃以下に加熱する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  14. 前記p電極は、光透過性を有し、
    前記n電極は、光透過性を有し、
    前記太陽電池は透過型である請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
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