JP7487447B2 - 化粧紙 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目したもので、耐水性や耐油性、カール性に優れた化粧紙を提供することを目的としている。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の化粧紙10は、図1に示すように、原紙1の一方の面1a側に、熱可塑性樹脂層2、絵柄層3及び表面保護層4がこの順に積層されて形成されている。絵柄層3は、熱可塑性樹脂層2の直上に設けられている。
原紙1は、化粧紙10のベースとなる層である。例えば、セルロース繊維間に樹脂を含む紙間強化紙を用いることができる。紙間強化紙としては、紙間強化紙の全質量に対して、セルロース繊維を50質量%以上含むものが好ましい。また、紙間強化紙の厚さは、15μm以上60μm未満が好ましい。また、紙間強化紙の坪量は、10g/m2~50g/m2が好ましい。これにより、原紙1に厚みとコシとを持たせることができる。そのため、化粧紙10がシワになり難く、化粧紙10のカールの発生を防止することができる。
熱可塑性樹脂層2は、防湿性を有するシート状の層である。防湿性とは、水蒸気を通し難い性質である。例えば、融点が100℃以上200℃未満のオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂層2の厚さは、10μm以上で、且つ、原紙1の厚さに対して20%以上であることが好ましい。これにより、十分な防湿効果を得ることができる。また、熱可塑性樹脂層2の厚さの上限値としては、原紙1の厚さに対して90%以下であることが好ましい。これにより、化粧紙10のカールを抑制することができる。
また、熱可塑性樹脂層2の直上に絵柄層3、つまり印刷インキからなる層が形成されるため、熱可塑性樹脂層2の絵柄層3が設けられる面には、濡れ性向上のための処理がなされる。濡れ性向上のための処理としては、例えば、コロナ処理を用いることができる。
また、熱可塑性樹脂層2には、耐候劣化を防止するため、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜添加してもよい。
絵柄層3は、化粧紙10に絵柄による意匠性を付与するための層である。絵柄層3は、原紙1の一方の面1a上に、面1a全体を覆い隠蔽性を確保するためのベタインキ層5と、下地色以外の絵柄を表す柄インキ層6と、がこの順に積層されて形成されている。ベタインキ層5及び柄インキ層6は、印刷インキやコーティング剤等を用いて形成される。
印刷インキ等としては、特に制限はなく、従来の化粧紙において絵柄層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用できる。例えば、アクリルインキを用いることができる。アクリルインキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂系インキを使用することができる。また、印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法を用いることができる。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、コルク柄、抽象柄等或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることできる。
なお、本実施形態では、絵柄層3がベタインキ層5と柄インキ層6とを備える例を示したが、他の構成も採用できる。例えば、絵柄層3からベタインキ層5を省略してもよい。
表面保護層4は、化粧紙10の表面を保護するための層である。表面保護層4の材料としては、特に制限はなく、従来の化粧紙で表面保護層に使用されている材料と同様のものを使用できる。例えば、アクリルウレタン系樹脂、電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物を主剤とし、イソシアネート化合物を硬化剤とした反応生成物を採用できる。また、電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電子線や紫外線等の電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を採用することができる。
表面保護層4は、単層でもよく、2層~3層の複層でもよい。複層とした場合、マット樹脂とグロス樹脂との塗り分けによって、グロスマット表現を付与することもできる。
また、熱可塑性樹脂層2の下に原紙1を有するため、化粧紙10裏面にプライマー処理を施すことなく接着性に優れ、高温ラミネート及び熱溶融型接着剤塗布を行った際の寸法安定性に優れる。また、従来のVSプリント(原紙/熱可塑性樹脂層/原紙)と異なり、熱可塑性樹脂層2両側に原紙1を積層する必要がないため、製造コストを低減できる。
また、本発明の実施形態に係る化粧紙10では、原紙1と熱可塑性樹脂層2との層間強度を、1.1N/cm以上とした。それゆえ、原紙1と熱可塑性樹脂層2との剥離強さの低下を抑制でき、原紙1から熱可塑性樹脂層2を剥がれ難くすることができる。
また、本発明の実施形態に係る化粧紙10では、絵柄層3は、熱可塑性樹脂層2の直上に設けるようにした。それゆえ、耐水性や耐油性をより向上することができる。
また、本発明の実施形態に係る化粧紙10では、絵柄層3は、ベタインキ層5を含み、ベタインキ層5は、イソシアネート硬化剤を含むようにした。それゆえ、Vカット加工後に優れたインキ密着性を有するため、インキの剥がれを抑制することができる。
まず、原紙1として、天間特殊製紙株式会社製HPN29を用意した。続いて、原紙1の一方の面1aに、酸化防止剤、UVA、HALSを含んだMDPEを、溶融押出成形方式で積層して、熱可塑性樹脂層2を形成した。熱可塑性樹脂層2の厚さは、20μmとした。原紙1と熱可塑性樹脂層2との積層体は、カールが少なかった。続いて、熱可塑性樹脂層2にコロナ処理を施した。熱可塑性樹脂層2の濡れ指数は、50dynとなった。さらに、熱可塑性樹脂層2と原紙1との層間強度は、19.6N/cmとなった。
層間強度の計測では、例えば、原紙1と熱可塑性樹脂層2との積層体の原紙1側の面をMDF等の基材に両面テープで固定した後、熱可塑性樹脂層2が切れないように25mm幅のセロハンテープで補強してから、ロードセル式引張試験機で測定した。その際、測定条件は200mm/min、測定幅(試験片の幅)は25mmとした。
続いて、化粧紙10の原紙1側の面に、3M製EVAホットメルト接着剤を、ロッドコーターで30g/m2溶融塗布した。そして、120℃×30秒、2kgf/cm2の圧力で3mm厚のMDF基材と接着させた。これにより、実施例1の化粧板を作製した。
実施例2では、ベタインキ層5のイソシアネート硬化剤を省略した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2の化粧紙10及び化粧板を作製した。
(実施例3)
実施例3では、熱可塑性樹脂層2の厚さを40μmとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3の化粧紙10及び化粧板を作製した。
(実施例4)
実施例4では、原紙1と熱可塑性樹脂層2との層間強度を0.6N/cmとした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例4の化粧紙10及び化粧板を作製した。
(比較例1)
比較例1では、原紙1の厚さを100μmとした。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の化粧紙10及び化粧板を作製した。
実施例1~4、比較例1の化粧紙10に対して、以下の性能評価を行った。
(平面引張強度評価)
平面引張強度評価では、JAS合板規格の平面引張試験によって接着力を計測した。そして、0.4N/mm2以上の場合を「○」とし、0.4N/mm2未満0.2N/mm2以上の場合を「△」とし、0.2N/mm2未満の場合を「×」とした。
(カール性評価)
カール性評価では、化粧紙10を10cm角にカットし、平面の上に25℃50%RH条件で48時間静置した。そして、4つの角と平面との距離の平均が3cm以下となった場合を「○」とし、3cmより大きく5cm以下となった場合を「△」とし、5cmより大きくなった場合を「×」とした。
Vカットインキ剥離評価では、Vカット加工を施して化粧紙10を90°折り曲げた後、曲げ部分をコインで10往復擦った。そして、印刷インキの剥離が発生しなかった場合を「○」とし、印刷インキの剥離を僅かに生じた場合を「△」とし、大きな印刷インキの剥離を生じた場合を「×」とした。
(透湿度評価)
透湿度評価では、JIS-0208カップ法(40度90%RH)で測定した。そして、透湿度が30g/m2・h未満の場合を「○」とし、30g/m2・h以上40g/m2・h未満の場合を「△」とし、40g/m2・h以上の場合を「×」とした。
この評価結果を表1に示す。
したがって、実施例1~4の化粧紙10は、比較例1の化粧紙10と異なり、「透湿度」に優れ、耐水性や耐油性に優れることが確認された。さらに、耐水性や耐油性だけでなく、カール性や平面引張強度、Vカットインキ剥離にも優れることが確認された。
Claims (5)
- 紙間強化紙と、
前記紙間強化紙の一方の面側に設けられた熱可塑性樹脂層と、
前記熱可塑性樹脂層の前記紙間強化紙と反対側の面側に設けられた絵柄層と、
前記絵柄層の前記熱可塑性樹脂層と反対側の面側に設けられた表面保護層と、を備え、
前記紙間強化紙の厚さは、15μm以上60μm未満であり、
前記熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂は、MDPEであり、
前記熱可塑性樹脂層の厚さは、20μm以上で、且つ、前記紙間強化紙の厚さに対して50%以上100%以下であることを特徴とする化粧紙。 - 前記熱可塑性樹脂層の厚さは、前記紙間強化紙の厚さに対して50%以上90%以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧紙。
- 前記紙間強化紙と前記熱可塑性樹脂層との層間強度は、1.1N/cm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧紙。
- 前記絵柄層は、前記熱可塑性樹脂層の直上に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の化粧紙。
- 前記絵柄層は、ベタインキ層を含み、
前記ベタインキ層は、イソシアネート硬化剤を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の化粧紙。
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