従来、伝送線の断線を予測する技術が提案されている。
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の技術では、電気ケーブルの断線を予測するために、電気ケーブルとは別の断線検知線を用いる必要がある。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、簡易な構成で伝送線の断線を予測することが可能な検知装置、検知システム、伝送線および検知方法を提供することである。
[本開示の効果]
本開示によれば、簡易な構成で伝送線の断線を予測することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る検知装置は、周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力する信号出力部と、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記伝送線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する計測部と、前記計測部による計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記伝送線の一部の損傷を検知する検知部とを備える。
このように、周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力し、伝送線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した評価値に基づいて伝送線の一部の損傷を検知する構成により、伝送線とは別の断線検知線を必要とすることなく、伝送線の一部の損傷を検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線の断線を予測することができる。
(2)上記(1)において、前記伝送線は、複数の素線を含み、前記検知部は、前記伝送線の一部の損傷として、前記複数の素線のうちの一部の前記素線の断線を検知してもよい。
このような構成により、すべての素線が断線することにより伝送線を介した電気的な接続が切断される前に、伝送線の交換等の適切な対処を行うことができる。
(3)上記(2)において、前記伝送線は、前記複数の素線が束ねられた芯線を含み、前記複数の素線は、前記芯線の一部の領域において互いに絶縁されている。
このような構成により、芯線の全部の領域において複数の素線が互いに導通している構成と比べて、伝送線の一部が損傷することにより伝送線の電気的特性がより大きく変化するので、評価値に基づいて伝送線の一部の損傷をより正確に検知することができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記検知部は、一部が損傷した前記伝送線の損傷の程度をさらに検知してもよい。
このような構成により、伝送線の損傷の程度に応じて、より適切なタイミングで伝送線の交換等の対処を行うことができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記検知部は、前記評価値として、前記計測信号と前記応答信号との位相差、前記応答信号と前記計測信号との振幅の比である反射係数、前記伝送線のインピーダンス、前記伝送線のリアクタンス、前記伝送線のレジスタンス、前記伝送線のキャパシタンス、前記伝送線のインダクタンス、および前記伝送線の特性インピーダンスのうちの少なくともいずれか1つを算出してもよい。
このような構成により、評価値としてたとえば伝送線の直流抵抗値を算出する構成と比べて、伝送線の一部が損傷することにより値がより大きく変化する評価値に基づいて、伝送線の一部の損傷をより正確に検知することができる。
(6)本開示の実施の形態に係る検知システムは、検知装置と、切替装置とを備え、前記検知装置は、周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力し、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記伝送線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測し、計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記伝送線の一部の損傷を検知する検知処理を行い、前記切替装置は、前記伝送線における、前記計測信号の入力端とは異なる端部の状態を、前記検知装置が前記伝送線を介して他の装置と通信を行うことが可能な通常状態と、前記検知装置が前記検知処理を行うことが可能な試験状態との間で切り替える処理を行い、前記端部の状態を前記試験状態に切り替える処理は、前記端部が開放された状態に切り替える処理、前記端部がグランドノードに接続された状態に切り替える処理、および前記端部が試験用の負荷に接続された状態に切り替える処理のうちの少なくともいずれか1つである。
このように、周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力し、伝送線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した評価値に基づいて伝送線の一部の損傷を検知する構成により、伝送線とは別の断線検知線を必要とすることなく、伝送線の一部の損傷を検知することができる。また、伝送線の端部が開放された状態、当該端部がグランドノードに接続された状態または当該端部が試験用の負荷に接続された状態に切り替える構成により、より適切な評価値に基づいて、伝送線の一部の損傷をより正確に検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線の断線を予測することができる。
(7)本開示の実施の形態に係る伝送線は、ケーブル部と、前記ケーブル部の第1端に設けられたコネクタ部とを備え、前記コネクタ部は、前記第1端の状態を、前記伝送線を介して通信を行うことが可能な通常状態と、前記伝送線の試験を行うことが可能な試験状態との間で切り替える処理を行う切替装置を含み、前記第1端の状態を前記試験状態に切り替える処理は、前記第1端が開放された状態に切り替える処理、前記第1端がグランドノードに接続された状態に切り替える処理、および前記第1端が試験用の負荷に接続された状態に切り替える処理のうちの少なくともいずれか1つである。
このように、ケーブル部の第1端が開放された状態、当該第1端がグランドノードに接続された状態または当該第1端が試験用の負荷に接続された状態に切り替える構成により、伝送線の特性に基づく、より適切な評価値を算出し、算出した評価値に基づいて、たとえば伝送線の一部の損傷をより正確に検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線の断線を予測することができる。
(8)本開示の実施の形態に係る検知方法は、検知装置における検知方法であって、周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力するステップと、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記伝送線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測するステップと、前記振幅および前記位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記伝送線の一部の損傷を検知するステップとを含む。
このように、周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力し、伝送線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した評価値に基づいて伝送線の一部の損傷を検知する方法により、伝送線とは別の断線検知線を必要とすることなく、伝送線の一部の損傷を検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線の断線を予測することができる。
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[構成および基本動作]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。図1を参照して、通信システム301は、中継装置101と、複数の通信装置111とを備える。
中継装置101は、通信用の伝送線10を介して各通信装置111と1対1で接続されている。より詳細には、伝送線10は、ケーブル部5Aと、ケーブル部5Aの第1端および第2端にそれぞれ設けられたコネクタ部5B,5Cとを含む。コネクタ部5Bは、中継装置101に接続される。コネクタ部5Cは、通信装置111に接続される。伝送線10は、たとえば、イーサネット(登録商標)ケーブルである。
通信システム301は、たとえば車両に搭載される。この場合、通信装置111は、たとえば車載ECU(Electronic Control Unit)である。なお、通信システム301は、たとえばホームネットワークまたはファクトリーオートメーションに用いられてもよい。
中継装置101は、通信装置111と通信を行うことが可能である。中継装置101は、たとえば、異なる伝送線10に接続された複数の通信装置111間でやり取りされる情報を中継する中継処理を行う。また、中継装置101は、検知装置として機能し、たとえば定期的に、伝送線10の一部の損傷を検知する検知処理を行う。
図2は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。図2は、伝送線10の一例である伝送線10Aにおけるケーブル部5Aの断面図を示している。図2は、断線していない伝送線10Aにおけるケーブル部5Aの断面図を示している。
図2を参照して、伝送線10Aは、2本の芯線1と、シース2とを含む。芯線1とシース2との間は、絶縁体により充填されてもよい。たとえば、2本の芯線1の一方は信号線であり、他方はグランド線である。たとえば、伝送線10Aは、ツイストペアケーブルである。すなわち、2本の芯線1は、撚り合わせられている。なお、伝送線10Aは、1つまたは3つ以上の芯線1を含む構成であってもよいし、複数の芯線1が撚り合わせられていない平行線であってもよい。
芯線1では、複数の素線3である複数の素線3Aが束ねられている。より詳細には、芯線1は、複数の素線3Aと、当該複数の素線3Aを覆う絶縁層4とを有する。芯線1における複数の素線3Aは、伝送線10Aのケーブル部5Aにおいて互いに導通している。
図3は、断線した伝送線を示す図である。図3は、断線した伝送線10Aにおけるケーブル部5Aの、断線箇所における断面図である。図3を参照して、断線した伝送線10Aでは、芯線1におけるすべての素線3Aが断線し、断線した素線3Aによる中継装置101と通信装置111との電気的な接続が失われている。中継装置101と通信装置111とは、伝送線10Aの芯線1におけるすべての素線3Aが断線した状態において、当該芯線1を介して電気的に接続されていない。
図4は、一部断線した伝送線を示す図である。図4は、一部断線した伝送線10Aにおけるケーブル部5Aの、一部断線箇所における断面図である。図4を参照して、一部断線した伝送線10Aでは、芯線1における一部の素線3Aが断線し、断線した素線3Aによる中継装置101と通信装置111との電気的な接続が失われている。中継装置101と通信装置111とは、伝送線10Aの芯線1における一部の素線3Aが断線した状態であっても、当該芯線1における断線していない素線3Aを介して電気的に接続されている。ただし、伝送線10Aの損傷が進行し、図3に示すように芯線1におけるすべての素線3Aが断線した状態に至ると、中継装置101と通信装置111との電気的な接続が切断される。
図5は、本開示の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の他の例を示す図である。図5は、伝送線10の一例である伝送線10Bにおけるケーブル部5Aの断面図を示している。図5は、断線率がゼロ%である伝送線10Bにおけるケーブル部5Aの断面図を示している。ここで、伝送線10の断線率とは、芯線1における複数の素線3のうちの、断線している素線3の割合である。
図5を参照して、伝送線10Bは、伝送線10Aと同様に、2本の芯線1と、シース2とを含む。伝送線10Bにおける芯線1では、5本の素線3である5本の素線3Bが束ねられている。より詳細には、芯線1は、5本の素線3Bと、当該5本の素線3Bを覆う絶縁層4とを有する。
たとえば、当該芯線1における5本の素線3Bは、芯線1の一部の領域において互いに絶縁されている。具体的には、5本の素線3Bは、伝送線10Bのコネクタ部5B,5Cにおいて互いに導通しており、かつ伝送線10Bのケーブル部5Aにおいて互いに絶縁されている。より詳細には、5本の素線3Bは、エナメル樹脂等の被膜を有しており、伝送線10Bのケーブル部5Aにおいて互いに絶縁されている。なお、芯線1は、1本、2本、3本、4本または6本以上の素線3Bを有する構成であってもよい。
図6は、一部断線した伝送線を示す図である。図6は、断線率が40%である伝送線10Bにおけるケーブル部5Aの、一部断線箇所における断面図である。図6を参照して、断線率が40%である伝送線10Bでは、5本の素線3Bのうちの2本の素線3Bが断線している。
図7は、一部断線した伝送線を示す図である。図7は、断線率が80%である伝送線10Bにおけるケーブル部5Aの、一部断線箇所における断面図である。図7を参照して、断線率が80%である伝送線10Bでは、5本の素線3Bのうちの4本の素線3Bが断線している。
伝送線10における素線3の一部または全部が断線した場合、当該伝送線10の特性が変化する。たとえば、中継装置101は、伝送線10の一部の損傷として、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線を検知する。
また、伝送線10における素線3の一部または全部が痩せ細った場合においても、当該伝送線10の特性が変化する。たとえば、中継装置101は、伝送線10の一部の損傷として、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の痩せ細りを検知する。
なお、図3、図4、図6および図7では、複数の素線3が伝送線10の長手方向における同じ位置において断線した状態の伝送線10におけるケーブル部5Aの断面図を一例として示しているが、複数の素線3が伝送線10の長手方向における互いに異なる位置において、断線するか、または痩せ細った場合においても、中継装置101は当該断線および当該痩せ細りを伝送線10の一部の損傷として検知することができる。
また、伝送線10における芯線1は、1本の素線3を有する構成であってもよい。この場合、中継装置101は、伝送線10の一部の損傷として、伝送線10の芯線1における素線3の痩せ細りを検知する。
〔検知システム〕
図8は、本開示の実施の形態に係る検知システムの構成を示す図である。図8を参照して、検知システム201は、中継装置101と、切替装置151と、スイッチ161とを備える。たとえば、伝送線10のコネクタ部5Cは、切替装置151、スイッチ161および終端回路171を含む。一例として、終端回路171は、抵抗器である。なお、コネクタ部5Cが切替装置151、スイッチ161および終端回路171を含む代わりに、切替装置151、スイッチ161および終端回路171のうちの少なくともいずれか1つが通信装置111に設けられる構成であってもよい。
中継装置101は、周波数成分を有する計測信号を伝送線10へ出力し、計測信号が反射された信号を含む応答信号を伝送線10から受信する。中継装置101は、受信した応答信号の振幅および位相を計測し、計測結果に基づいて評価値EVを算出する。そして、中継装置101は、算出した評価値EVに基づいて、伝送線10の一部の損傷を検知する。中継装置101における処理の詳細については後述する。
切替装置151は、伝送線10における、計測信号の入力端とは異なる端部の状態を、中継装置101が伝送線10を介して通信装置111と通信を行うことが可能な通常状態と、中継装置101が検知処理を行うことが可能な試験状態との間で切り替える処理を行う。当該端部の状態を通信状態に切り替える処理は、当該端部が通信装置111における通信部112に接続された状態に切り替える処理である。当該端部の状態を試験状態に切り替える処理は、前記端部が開放された状態に切り替える処理、前記端部がグランドノードに接続された状態に切り替える処理、および前記端部が終端回路171に接続された状態に切り替える処理のうちの少なくともいずれか1つである。より詳細には、切替装置151は、スイッチ161を切り替えることにより、伝送線10における通信装置111側の端部を開放するか、当該端部をグランドノードに接続するか、または当該端部を、終端回路171を介してグランドノードに接続する。終端回路171は、試験用の負荷の一例である。当該グランドノードは、信号のリターンパスにおけるノードであってもよいし、通信システム301が設けられる車両などの構造物のシャーシにおけるノードであってもよい。たとえば、終端回路171は、伝送線10の終端を整合させるための、伝送線10の特性インピーダンスに等しい50Ωの抵抗器である。なお、終端回路171は、50Ωの抵抗器以外の負荷であってもよいし、伝送線10の終端を正確に整合させるものでなくてもよい。以下、伝送線10における通信装置111側の端部が開放された状態を「開放状態」とも称し、当該端部がグランドノードに接続された状態を「短絡状態」とも称し、当該端部が終端回路171を介してグランドノードに接続された状態を「整合状態」とも称する。
中継装置101は、中継部11と、複数の検知処理部21と、複数の通信ポート16とを備える。検知処理部21は、信号出力部12と、計測部13と、検知部14、記憶部15とを含む。中継部11、信号出力部12、計測部13および検知部14の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部15は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。通信ポート16は、たとえばコネクタまたは端子である。各通信ポート16には、伝送線10のコネクタ部5Bが接続される。
<中継部>
中継部11は、中継処理を行う。たとえば、中継部11は、通信装置111間のフレームを中継する中継処理を行う。より詳細には、中継部11は、ある通信装置111から対応の伝送線10および対応の通信ポート16経由で受信したフレームを、当該フレームの宛先IPアドレス、MACアドレスおよびメッセージID等の宛先情報に従って他の通信装置111へ対応の通信ポート16および対応の伝送線10経由で送信する。
<検知処理部>
たとえば、中継装置101は、通信ポート16の数と同数の検知処理部21を備える。より詳細には、検知処理部21は、通信ポート16に対応して設けられ、対応の通信ポート16に接続された伝送線10の一部の損傷を検知する検知処理を行う。以下、中継装置101における1つの検知処理部21による検知処理について代表して説明する。また、当該検知処理部21の検知対象の伝送線10を、「対象伝送線」とも称する。たとえば、中継装置101は、対象伝送線における通信装置111側の端部が試験状態のときに、検知処理を行う。
(信号出力部)
信号出力部12は、周波数成分を有する計測信号を対象伝送線へ出力する。より詳細には、信号出力部12は、交流信号、パルス信号または周波数掃引信号を計測信号として対象伝送線へ出力する。
たとえば、信号出力部12は、中継部11により対象伝送線を介した中継処理が行われない期間において、計測信号を対象伝送線へ対応の通信ポート16経由で出力する。
より詳細には、中継部11は、対象伝送線を介した中継処理を行わない期間を示す期間情報を検知部14へ出力する。
検知部14は、中継部11から期間情報を受けて、受けた期間情報に基づいて、検知処理を行う検知期間T1を決定し、決定した検知期間T1を示す検知指示を信号出力部12および計測部13へ出力する。
信号出力部12は、検知部14から検知指示を受けて、受けた検知指示が示す検知期間T1の開始時刻が到来すると、検知期間T1が満了するまで、対象伝送線へ対応の通信ポート16経由で計測信号を出力する。
たとえば、記憶部15は、所定周期分の正弦波をデジタル変換することにより得られるN個のデジタル信号Ds1を記憶している。すなわち、記憶部15は、サンプル数がNである、正弦波に対応するデジタル信号Ds1を記憶している。Nは、2以上の整数である。
信号出力部12は、DA(Digital to Analog)変換部を含む。信号出力部12は、検知期間T1の開始時刻が到来すると、検知期間T1が満了するまで、当該DA変換部の動作クロックの周期に従う出力タイミングにおいて、記憶部15からデジタル信号Ds1を取得し、DA変換部を用いて当該デジタル信号Ds1をアナログ変換することにより生成される計測信号を、通信ポート16経由で対象伝送線へ出力する。また、信号出力部12は、取得したデジタル信号Ds1を検知部14および計測部13へ出力する。
なお、信号出力部12は、たとえばDDS(Direct Digital Synthesizer)等の信号発生部を含み、当該信号発生部により生成される正弦波を通信ポート16経由で対象伝送線へ出力する構成であってもよい。
(計測部)
計測部13は、計測信号が反射された信号を含む応答信号を対象伝送線から受信し、受信した応答信号の振幅および位相を計測する。たとえば、計測部13は、信号出力部12により出力された計測信号と、当該計測信号が反射された信号である反射信号とを含む応答信号を対象伝送線から対応の通信ポート16経由で受信する。
より詳細には、計測部13は、検知部14から検知指示を受けて、受けた検知指示が示す検知期間T1の開始時刻が到来すると、検知期間T1が満了するまで、対象伝送線から対応の通信ポート16経由で応答信号を受信する。
計測部13は、AD(Analog to Digital)変換部を含む。計測部13は、検知期間T1において、対象伝送線から受信した応答信号を、AD変換部を用いてサンプリングすることによりサンプル数がNであるデジタル信号Ds2を生成する。
たとえば、計測部13は、生成したデジタル信号Ds2から、信号出力部12から受けたデジタル信号Ds1の成分を差し引くことにより、反射信号を示すデジタル信号Ds3を生成する。
計測部13は、生成したデジタル信号Ds3に基づいて、反射信号の振幅を示す振幅データDs3a、および反射信号の位相を示す位相データDs3pを生成し、生成した振幅データDs3aおよび位相データDs3pを検知部14へ出力する。
(検知部)
検知部14は、計測部13による計測結果に基づいて評価値EVを算出し、算出した評価値EVに基づいて、対象伝送線の一部の損傷を検知する。たとえば、検知部14は、対象伝送線の一部の損傷として、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線を検知する。
また、たとえば、検知部14は、一部が損傷した対象伝送線の損傷の程度をさらに検知する。より詳細には、検知部14は、対象伝送線の断線率を検知する。あるいは、検知部14は、対象伝送線における芯線1が1本の素線3を有する場合、当該素線3の痩せ細りの度合いを検知する。
(検知例1)
検知部14は、評価値EVとして、計測信号と応答信号との位相差を算出する。一例として、検知部14は、計測信号と、応答信号に含まれる反射信号との位相差pdを算出する。検知部14は、算出した位相差pdに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、開放状態の対象伝送線へ計測信号が出力されたときの、当該計測信号と反射信号との位相差pdを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知期間T1を決定すると、対象伝送線を開放状態に切り替えるための制御信号CON_1を切替装置151へ送信する。より詳細には、検知部14は、図示しない信号線を介して切替装置151へ制御信号CON_1を送信する。
切替装置151は、検知部14から制御信号CON_1を受信し、受信した制御信号CON_1に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を開放状態に切り替える。
検知部14は、対象伝送線の開放状態において、検知指示を信号出力部12および計測部13へ出力する。そして、検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、計測信号の位相を示す位相データDs1pを生成する。
検知部14は、計測部13から受けた位相データDs3pと、算出した位相データDs1pとの差分をたとえば計測信号の1周期ごとに算出する。検知部14は、計測信号の1周期ごとの当該差分に基づいて位相差pdを算出する。
図9は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される位相差pdの実験結果を示す図である。図9において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は位相差[degree]である。図9は、位相差pd_1から位相差pd_befを差し引いた差分Dpd1と、位相差pd_2から位相差pd_befを差し引いた差分Dpd2とを示している。ここで、位相差pd_befは、屈曲試験を行う前の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。また、位相差pd_1は、屈曲試験BT1を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。また、位相差pd_2は、屈曲試験BT1に続けてさらなる屈曲試験BT2を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。
ここで、屈曲試験BT1,BT2とは、伝送線10Aを、プラス方向およびマイナス方向に90度ずつ交互に複数回屈曲させる試験である。本願発明者らが、屈曲試験を行う前の伝送線10AのCT(Computed Tomography)画像を確認したところ、伝送線10Aにおけるすべての素線3は断線していなかった。また、本願発明者らが、屈曲試験BT1において複数回屈曲させた伝送線10AのCT画像を確認したところ、伝送線10Aにおける一部の素線3が断線していた。また、本願発明者らが、屈曲試験BT1に続く屈曲試験BT2において、さらに複数回屈曲させた伝送線10AのCT画像を確認したところ、屈曲試験BT1を行った後であって屈曲試験BT2を行う前の伝送線10Aと比べて、より多くの素線3が断線していた。
図9を参照して、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態における位相差pd_1は、素線3が断線していない状態における位相差pd_befと比べて、約0.8度の差がある。また、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態における位相差pd_2は、素線3が断線していない状態における位相差pd_befと比べて、約1.7度の差がある。
図10は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される位相差pdの実験結果を示す図である。図10において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は位相差[degree]である。図10は、位相差pd_20から位相差pd_zeroを差し引いた差分Dpd20と、位相差pd_40から位相差pd_zeroを差し引いた差分Dpd40と、位相差pd_60から位相差pd_zeroを差し引いた差分Dpd60と、位相差pd_80から位相差pd_zeroを差し引いた差分Dpd80とを示している。ここで、位相差pd_zeroは、断線率がゼロ%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。また、位相差pd_20は、断線率が20%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。また、位相差pd_40は、断線率が40%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。また、位相差pd_60は、断線率が60%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。また、位相差pd_80は、断線率が80%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdである。
図10を参照して、差分Dpd20,Dpd40,Dpd60,Dpd80はこの順に大きく、いずれも負の値である。すなわち、断線率がゼロ%のときの位相差pd_zero、断線率が20%のときの位相差pd_20、断線率が40%のときの位相差pd_40、断線率が60%のときの位相差pd_60、および断線率が80%のときの位相差pd_80は、この順に大きい。
図9および図10を参照して説明した実験結果によれば、位相差pdに基づいて、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、芯線1における素線3の断線の進行度合い、および伝送線10の断線率を判定することができる。
たとえば、記憶部15は、位相差pdの基準値Spdを記憶している。基準値Spdは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdに基づいて予め設定される。なお、基準値Spdは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数の位相差pdに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、位相差pdを算出すると、記憶部15から基準値Spdを取得し、位相差pdから基準値Spdを差し引いた差分Dpdを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分Dpdと、所定のしきい値Thpdとを比較し、比較結果に基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否かを判定する。より詳細には、検知部14は、差分Dpdがしきい値Thpd以上である場合、芯線1における素線3は断線してないと判断する一方で、差分Dpdがしきい値Thpd未満である場合、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線していると判断する。
たとえば、しきい値Thpdは、上述した位相差pd_bef,pd_1,pd_2に基づいて予め設定される。
図11は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。図11を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分Dpdと、断線率との対応関係を示す判定テーブルTpdを記憶している。
たとえば、検知部14は、算出した差分Dpdと、記憶部15における判定テーブルTpdとに基づいて、対象伝送線の断線率を判定する。より詳細には、検知部14は、差分Dpdがしきい値Thpd1以上である場合、断線率はゼロ%であると判定する。また、検知部14は、差分Dpdが、しきい値Thpd2以上であり、かつしきい値Thpd1未満である場合、断線率は20%であると判定する。また、検知部14は、差分Dpdが、しきい値Thpd3以上であり、かつしきい値Thpd2未満である場合、断線率は40%であると判定する。また、検知部14は、差分Dpdが、しきい値Thpd4以上であり、かつしきい値Thpd3未満である場合、断線率は60%であると判定する。また、検知部14は、差分Dpdがしきい値Thpd4未満である場合、断線率は80%であると判定する。
たとえば、しきい値Thpd1,Thpd2,Thpd3,Thpd4は、上述した位相差pd_zero,pd_20,pd_40,pd_60,pd_80に基づいて予め設定される。
なお、検知部14は、整合状態または短絡状態の対象伝送線へ計測信号が出力されたときの、当該計測信号と反射信号との位相差pdを算出する構成であってもよい。
(検知例2)
検知部14は、評価値EVとして、応答信号と計測信号との振幅の比である反射係数を算出する。一例として、検知部14は、応答信号に含まれる反射信号と計測信号との振幅の比である反射係数rcを算出する。検知部14は、算出した反射係数rcに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、整合状態の対象伝送線へ計測信号が出力されたときの、反射信号と当該計測信号との振幅の比である反射係数rcを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知期間T1を決定すると、対象伝送線を整合状態に切り替えるための制御信号CON_2を切替装置151へ送信する。より詳細には、検知部14は、図示しない信号線を介して切替装置151へ制御信号CON_2を送信する。
切替装置151は、検知部14から制御信号CON_2を受信し、受信した制御信号CON_2に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を整合状態に切り替える。
検知部14は、対象伝送線の整合状態において、検知指示を信号出力部12および計測部13へ出力する。そして、検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、計測信号の振幅を示す振幅データDs1aを生成する。
検知部14は、計測部13から受けた振幅データDs3aを、生成した振幅データDs1aで除した値をたとえば計測信号の1周期ごとに算出する。検知部14は、計測信号の1周期ごとの当該値に基づいて反射係数rcを算出し、反射係数rcの絶対値Arcを算出する。
図12は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される反射係数rcの絶対値Arcの実験結果を示す図である。図12において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は反射係数の絶対値である。図12は、絶対値Arc_20から絶対値Arc_zeroを差し引いた差分Drc20と、絶対値Arc_40から絶対値Arc_zeroを差し引いた差分Drc40と、絶対値Arc_60から絶対値Arc_zeroを差し引いた差分Drc60と、絶対値Arc_80から絶対値Arc_zeroを差し引いた差分Drc80とを示している。ここで、絶対値Arc_zeroは、断線率がゼロ%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcである。また、絶対値Arc_20は、断線率が20%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcである。また、絶対値Arc_40は、断線率が40%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcである。また、絶対値Arc_60は、断線率が60%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcである。また、絶対値Arc_80は、断線率が80%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcである。
図12を参照して、差分Dpd80,Dpd60,Dpd40,Dpd20はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、断線率が80%のときの絶対値Arc_80、断線率が60%のときの絶対値Arc_60、断線率が40%のときの絶対値Arc_40、断線率が20%のときの絶対値Arc_20、および断線率がゼロ%のときの絶対値Arc_zeroは、この順に大きい。
図12を参照して説明した実験結果によれば、反射係数rcの絶対値Arcに基づいて、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、芯線1における素線3の断線の進行度合い、および伝送線10の断線率を判定することができる。
たとえば、記憶部15は、反射係数rcの基準値Srcを記憶している。基準値Srcは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出される絶対値Arcに基づいて予め設定される。なお、基準値Srcは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数の絶対値Arcに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、絶対値Arcを算出すると、記憶部15から基準値Srcを取得し、絶対値Arcから基準値Srcを差し引いた差分Drcを算出する。
図13は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。図13を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分Drcと、断線率との対応関係を示す判定テーブルTrcを記憶している。
たとえば、検知部14は、算出した差分Drcと、記憶部15における判定テーブルTrcとに基づいて、対象伝送線の断線率を判定する。より詳細には、検知部14は、差分Drcがしきい値Thrc1未満である場合、断線率はゼロ%であると判定する。また、検知部14は、差分Drcが、しきい値Thrc1以上であり、かつしきい値Thrc2未満である場合、断線率は20%であると判定する。また、検知部14は、差分Drcが、しきい値Thrc2以上であり、かつしきい値Thrc3未満である場合、断線率は40%であると判定する。また、検知部14は、差分Drcが、しきい値Thrc3以上であり、かつしきい値Thrc4未満である場合、断線率は60%であると判定する。また、検知部14は、差分Drcがしきい値Thrc4以上である場合、断線率は80%であると判定する。
たとえば、しきい値Thrc1,Thrc2,Thrc3,Thrc4は、上述した絶対値Arc_zero,Arc_20,Arc_40,Arc_60,Arc_80に基づいて予め設定される。
なお、検知部14は、開放状態または短絡状態の対象伝送線へ計測信号が出力されたときの、当該計測信号と反射信号との反射係数rcおよび絶対値Arcを算出する構成であってもよい。
(検知例3)
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のインピーダンスZを算出する。検知部14は、算出したインピーダンスZに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、整合状態における対象伝送線のインピーダンスZを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知例2において説明した処理を行うことにより反射係数rcを算出する。そして、検知部14は、以下の式(1)に従って、インピーダンスZを算出する。
ここで、Zoutは、中継装置101の出力インピーダンスである。たとえば、出力インピーダンスZoutは、予め記憶部15に保存されている。
検知部14は、反射係数rcを算出すると、記憶部15から出力インピーダンスZoutを取得し、式(1)に従ってインピーダンスZを算出する。
たとえば、記憶部15は、インピーダンスZの基準値SZを記憶している。基準値SZは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインピーダンスZに基づいて予め設定される。なお、基準値SZdは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のインピーダンスZに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、インピーダンスZを算出すると、記憶部15から基準値SZを取得し、インピーダンスZから基準値SZを差し引いた差分DZを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分DZに基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、および芯線1における対象伝送線の断線率を判定する。
なお、検知部14は、開放状態または短絡状態における対象伝送線のインピーダンスZを算出する構成であってもよい。
(検知例4)
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のリアクタンスXを算出する。検知部14は、算出したリアクタンスXに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、整合状態における対象伝送線のリアクタンスXを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知例3において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。そして、検知部14は、インピーダンスZの虚部であるリアクタンスXを取得する。
たとえば、記憶部15は、リアクタンスXの基準値SXを記憶している。基準値SXは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXに基づいて予め設定される。なお、基準値SXは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のリアクタンスXに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、リアクタンスXを算出すると、記憶部15から基準値SXを取得し、リアクタンスXから基準値SXを差し引いた差分DXを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分DXに基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、および芯線1における対象伝送線の断線率を判定する。
なお、検知部14は、開放状態または短絡状態における対象伝送線のリアクタンスXを算出する構成であってもよい。
(検知例5)
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のレジスタンスRを算出する。検知部14は、算出したレジスタンスRに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、整合状態における対象伝送線のレジスタンスRを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知例3において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。そして、検知部14は、インピーダンスZの実部であるレジスタンスRを取得する。
たとえば、記憶部15は、レジスタンスRの基準値SRを記憶している。基準値SRは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRに基づいて予め設定される。なお、基準値SRは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のレジスタンスRに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、レジスタンスRを算出すると、記憶部15から基準値SRを取得し、レジスタンスRから基準値SRを差し引いた差分DRを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分DRに基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、および芯線1における対象伝送線の断線率を判定する。
なお、検知部14は、開放状態または短絡状態における対象伝送線のレジスタンスRを算出する構成であってもよい。
(検知例6)
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のキャパシタンスCを算出する。検知部14は、算出したキャパシタンスCに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、開放状態における対象伝送線のキャパシタンスCを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知期間T1を決定すると、対象伝送線を開放状態に切り替えるための制御信号CON_1を切替装置151へ送信する。より詳細には、検知部14は、図示しない信号線を介して切替装置151へ制御信号CON_1を送信する。
切替装置151は、検知部14から制御信号CON_1を受信し、受信した制御信号CON_1に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を開放状態に切り替える。
検知部14は、対象伝送線の開放状態において、検知指示を信号出力部12および計測部13へ出力する。そして、検知部14は、検知例3において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。
以下、開放状態における対象伝送線のインピーダンスZを、インピーダンスZopと称する。インピーダンスZopは、以下の式(2)により表される。
ここで、Gは、対象伝送線のコンダクタンスである。jは、虚数単位である。ωは、角速度[rad/秒]である。
検知部14は、インピーダンスZopを算出すると、インピーダンスZopの虚部からキャパシタンスCを取得する。
図14は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるキャパシタンスCの実験結果を示す図である。図14において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は静電容量[pF]である。図14は、キャパシタンスC_1からキャパシタンスC_befを差し引いた差分DC1と、キャパシタンスC_2からキャパシタンスC_befを差し引いた差分DC2とを示している。ここで、キャパシタンスC_befは、屈曲試験を行う前の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。また、キャパシタンスC_1は、屈曲試験BT1を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。また、キャパシタンスC_2は、屈曲試験BT1に続けてさらなる屈曲試験BT2を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。
図14を参照して、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態におけるキャパシタンスC_1は、素線3が断線していない状態におけるキャパシタンスC_befと比べて、約1.9pF大きい。また、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態におけるキャパシタンスC_2は、素線3が断線していない状態におけるキャパシタンスC_befと比べて、約3.6pF大きい。
図15は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるキャパシタンスCの実験結果を示す図である。図15において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は静電容量[pF]である。図15は、キャパシタンスC_zeroからキャパシタンスC_20を差し引いた差分DC20と、キャパシタンスC_zeroからキャパシタンスC_40を差し引いた差分DC40と、キャパシタンスC_zeroからキャパシタンスC_60を差し引いた差分DC60と、キャパシタンスC_zeroからキャパシタンスC_80を差し引いた差分DC80とを示している。ここで、キャパシタンスC_zeroは、断線率がゼロ%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。また、キャパシタンスC_20は、断線率が20%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。また、キャパシタンスC_40は、断線率が40%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。また、キャパシタンスC_60は、断線率が60%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。また、キャパシタンスC_80は、断線率が80%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCである。
図15を参照して、差分DC80,DC60,DC40,DC20はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、断線率がゼロ%のときのキャパシタンスC_zero、断線率が20%のときのキャパシタンスC_20、断線率が40%のときのキャパシタンスC_40、断線率が60%のときのキャパシタンスC_60、および断線率が80%のときのキャパシタンスC_80は、この順に大きい。
図14および図15を参照して説明した実験結果によれば、キャパシタンスCに基づいて、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、芯線1における素線3の断線の進行度合い、および伝送線10の断線率を判定することができる。
たとえば、記憶部15は、キャパシタンスCの基準値SCを記憶している。基準値SCは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCに基づいて予め設定される。なお、基準値SCは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のキャパシタンスCに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、キャパシタンスCを算出すると、記憶部15から基準値SCを取得し、キャパシタンスCから基準値SCを差し引いた差分DCaを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分DCaと、所定のしきい値ThCとを比較し、比較結果に基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否かを判定する。より詳細には、検知部14は、差分DCaがしきい値ThC未満である場合、芯線1における素線3は断線してないと判断する一方で、差分DCaがしきい値ThC以上である場合、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線していると判断する。
たとえば、しきい値ThCは、上述したキャパシタンスC_bef,C_1,C_2に基づいて予め設定される。
図16は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。図16を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DCbと、断線率との対応関係を示す判定テーブルTCを記憶している。
たとえば、検知部14は、キャパシタンスCを算出すると、記憶部15から基準値SCを取得し、基準値SCからキャパシタンスCを差し引いた差分DCbを算出する。検知部14は、算出した差分DCbと、記憶部15における判定テーブルTCとに基づいて、対象伝送線の断線率を判定する。より詳細には、検知部14は、差分DCbがしきい値ThC1未満である場合、断線率はゼロ%であると判定する。また、検知部14は、差分DCbが、しきい値ThC1以上であり、かつしきい値ThC2未満である場合、断線率は20%であると判定する。また、検知部14は、差分DCbが、しきい値ThC2以上であり、かつしきい値ThC3未満である場合、断線率は40%であると判定する。また、検知部14は、差分DCbが、しきい値ThC3以上であり、かつしきい値ThC4未満である場合、断線率は60%であると判定する。また、検知部14は、差分DCbがしきい値ThC4以上である場合、断線率は80%であると判定する。
たとえば、しきい値ThC1,ThC2,ThC3,ThC4は、上述したキャパシタンスC_zero,C_20,C_40,C_60,C_80に基づいて予め設定される。
(検知例7)
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のインダクタンスLを算出する。検知部14は、算出したインダクタンスLに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、短絡状態における対象伝送線のインダクタンスLを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知期間T1を決定すると、対象伝送線を短絡状態に切り替えるための制御信号CON_3を切替装置151へ送信する。より詳細には、検知部14は、図示しない信号線を介して切替装置151へ制御信号CON_3を送信する。
切替装置151は、検知部14から制御信号CON_3を受信し、受信した制御信号CON_3に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を短絡状態に切り替える。
検知部14は、対象伝送線の短絡状態において、検知指示を信号出力部12および計測部13へ出力する。そして、検知部14は、検知例3において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。
以下、短絡状態における対象伝送線のインピーダンスZを、インピーダンスZstと称する。インピーダンスZstは、以下の式(3)により表される。
ここで、Rは、対象伝送線の単位長さあたりの直流抵抗[Ω]である。
検知部14は、インピーダンスZstを算出すると、インピーダンスZstの虚部からインダクタンスLを取得する。
図17は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるインダクタンスLの実験結果を示す図である。図17において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はインダクタンス[nH]である。図17は、インダクタンスL_befからインダクタンスL_1を差し引いた差分DL1と、インダクタンスL_befからインダクタンスL_2を差し引いた差分DL2とを示している。ここで、インダクタンスL_befは、屈曲試験を行う前の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。また、インダクタンスL_1は、屈曲試験BT1を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。また、インダクタンスL_2は、屈曲試験BT1に続けてさらなる屈曲試験BT2を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。
図17を参照して、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態におけるインダクタンスL_2は、素線3が断線していない状態におけるインダクタンスL_befと比べて、約1.5nH小さい。また、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態におけるインダクタンスL_1は、素線3が断線していない状態におけるインダクタンスL_befと比べて、約3.1nH小さい。
図18は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるインダクタンスLの実験結果を示す図である。図18において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はインダクタンス[nH]である。図18は、インダクタンスL_20からインダクタンスL_zeroを差し引いた差分DL20と、インダクタンスL_40からインダクタンスL_zeroを差し引いた差分DL40と、インダクタンスL_60からインダクタンスL_zeroを差し引いた差分DL60と、インダクタンスL_80からインダクタンスL_zeroを差し引いた差分DL80とを示している。ここで、インダクタンスL_zeroは、断線率がゼロ%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。また、インダクタンスL_20は、断線率が20%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。また、インダクタンスL_40は、断線率が40%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。また、インダクタンスL_60は、断線率が60%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。また、インダクタンスL_80は、断線率が80%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLである。
図18を参照して、差分DL80,DL60,DL40,DL20はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、断線率が80%のときのインダクタンスL_80、断線率が60%のときのインダクタンスL_60、断線率が40%のときのインダクタンスL_40、断線率が20%のときのインダクタンスL_20、および断線率がゼロ%のときのインダクタンスL_zeroは、この順に大きい。
図17および図18を参照して説明した実験結果によれば、インダクタンスLに基づいて、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、芯線1における素線3の断線の進行度合い、および伝送線10の断線率を判定することができる。
たとえば、記憶部15は、インダクタンスLの基準値SLを記憶している。基準値SLは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLに基づいて予め設定される。なお、基準値SLは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のインダクタンスLに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、インダクタンスLを算出すると、記憶部15から基準値SLを取得し、基準値SLからインダクタンスLを差し引いた差分DLaを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分DLaと、所定のしきい値ThLとを比較し、比較結果に基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否かを判定する。より詳細には、検知部14は、差分DLaがしきい値ThL以上である場合、芯線1における素線3は断線してないと判断する一方で、差分DLaがしきい値ThL未満である場合、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線していると判断する。
たとえば、しきい値ThLは、上述したインダクタンスL_bef,L_1,L_2に基づいて予め設定される。
図19は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。図19を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DLbと、断線率との対応関係を示す判定テーブルTLを記憶している。
たとえば、検知部14は、インダクタンスLを算出すると、記憶部15から基準値SLを取得し、インダクタンスLから基準値SLを差し引いた差分DLbを算出する。検知部14は、算出した差分DLbと、記憶部15における判定テーブルTLとに基づいて、対象伝送線の断線率を判定する。より詳細には、検知部14は、差分DLbがしきい値ThL1未満である場合、断線率はゼロ%であると判定する。また、検知部14は、差分DLbが、しきい値ThL1以上であり、かつしきい値ThL2未満である場合、断線率は20%であると判定する。また、検知部14は、差分DLbが、しきい値ThL2以上であり、かつしきい値ThL3未満である場合、断線率は40%であると判定する。また、検知部14は、差分DLbが、しきい値ThL3以上であり、かつしきい値ThL4未満である場合、断線率は60%であると判定する。また、検知部14は、差分DLbがしきい値ThL4以上である場合、断線率は80%であると判定する。
たとえば、しきい値ThL1,ThL2,ThL3,ThL4は、上述したインダクタンスL_zero,L_20,L_40,L_60,L_80に基づいて予め設定される。
(検知例8)
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線の特性インピーダンスZcを算出する。検知部14は、算出した特性インピーダンスZcに基づいて、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3の断線、および対象伝送線の断線率を検知する。
たとえば、検知部14は、開放状態および短絡状態において、対象伝送線の特性インピーダンスZcを算出する。
より詳細には、検知部14は、検知例6において説明した処理を行うことにより、インピーダンスZopを算出する。次に、検知部14は、検知例7において説明した処理を行うことにより、インピーダンスZstを算出する。なお、検知部14は、先にインピーダンスZstを算出し、次にインピーダンスZopを算出してもよい。
そして、検知部14は、以下の式(4)に従って、特性インピーダンスZcを算出し、特性インピーダンスZcの絶対値AZcを算出する。
図20は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcの実験結果を示す図である。図20において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は特性インピーダンスの絶対値[Ω]である。図20は、絶対値AZc_1から絶対値AZc_befを差し引いた差分DZc1と、絶対値AZc_2から絶対値AZc_befを差し引いた差分DZc2とを示している。ここで、絶対値AZc_befは、屈曲試験を行う前の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。また、絶対値AZc_1は、屈曲試験BT1を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。また、絶対値AZc_2は、屈曲試験BT1に続けてさらなる屈曲試験BT2を行った後の伝送線10Aへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。
図20を参照して、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態における特性インピーダンスZcの絶対値AZc_1は、素線3が断線していない状態における特性インピーダンスZcの絶対値AZc_befと比べて、約0.75Ω小さい。また、たとえば計測信号の周波数が20MHzである場合、素線3の一部が断線した状態における特性インピーダンスZcの絶対値AZc_2は、素線3が断線していない状態における特性インピーダンスZcの絶対値AZc_befと比べて、約1.2Ω小さい。
図21は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcの実験結果を示す図である。図21において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は特性インピーダンスの絶対値[Ω]である。図21は、絶対値AZc_20から絶対値AZc_zeroを差し引いた差分DZc20と、絶対値AZc_40から絶対値AZc_zeroを差し引いた差分DZc40と、絶対値AZc_60から絶対値AZc_zeroを差し引いた差分DZc60と、絶対値AZc_80から絶対値AZc_zeroを差し引いた差分DZc80とを示している。ここで、絶対値AZc_zeroは、断線率がゼロ%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。また、絶対値AZc_20は、断線率が20%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。また、絶対値AZc_40は、断線率が40%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。また、絶対値AZc_60は、断線率が60%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。また、絶対値AZc_80は、断線率が80%である伝送線10Bへ計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcである。
図21を参照して、差分DZc80,DZc60,DZc40,DZc20はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、断線率が80%のときの特性インピーダンスZcの絶対値AZc_80、断線率が60%のときの特性インピーダンスZcの絶対値AZc_60、断線率が40%のときの特性インピーダンスZcの絶対値AZc_40、断線率が20%のときの特性インピーダンスZcの絶対値AZc_20、および断線率がゼロ%のときの特性インピーダンスZcの絶対値AZc_zeroは、この順に大きい。
図20および図21を参照して説明した実験結果によれば、特性インピーダンスZcに基づいて、伝送線10の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否か、芯線1における素線3の断線の進行度合い、および伝送線10の断線率を判定することができる。
たとえば、記憶部15は、特性インピーダンスZcの基準値SZcを記憶している。基準値SZcは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcの絶対値AZcに基づいて予め設定される。なお、基準値SZcは、素線3が断線していない対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数の絶対値AZcに基づいて予め設定されてもよい。
検知部14は、絶対値AZcを算出すると、記憶部15から基準値SZcを取得し、絶対値AZcから基準値SZcを差し引いた差分DZcを算出する。
たとえば、検知部14は、算出した差分DZcと、所定のしきい値ThZcとを比較し、比較結果に基づいて、対象伝送線の芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線しているか否かを判定する。より詳細には、検知部14は、差分DZcがしきい値ThZc以上である場合、芯線1における素線3は断線してないと判断する一方で、差分DZcがしきい値ThZc未満である場合、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線していると判断する。
たとえば、しきい値ThZcは、上述した絶対値AZc_bef,AZc_1,AZc_2に基づいて予め設定される。
図22は、本開示の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。図22を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DZcと、断線率との対応関係を示す判定テーブルTZcを記憶している。
たとえば、検知部14は、算出した差分DZcと、記憶部15における判定テーブルTZcとに基づいて、対象伝送線の断線率を判定する。より詳細には、検知部14は、差分DZcがしきい値ThZc1未満である場合、断線率はゼロ%であると判定する。また、検知部14は、差分DZcが、しきい値ThZc1以上であり、かつしきい値ThZc2未満である場合、断線率は20%であると判定する。また、検知部14は、差分DZcが、しきい値ThZc2以上であり、かつしきい値ThZc3未満である場合、断線率は40%であると判定する。また、検知部14は、差分DZcが、しきい値ThZc3以上であり、かつしきい値ThZc4未満である場合、断線率は60%であると判定する。また、検知部14は、差分DZcがしきい値ThZc4以上である場合、断線率は80%であると判定する。
たとえば、しきい値ThZc1,ThZc2,ThZc3,ThZc4は、上述した絶対値AZc_zero,AZc_20,AZc_40,AZc_60,AZc_80に基づいて予め設定される。
検知部14は、対象伝送線の一部が断線していると判定した場合、判定結果を図示しない通信部および通信装置111を介してユーザへ通知する。具体的には、検知部14は、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線している旨の判定結果、および対象伝送線の断線率を示す判定結果をユーザへ通知する。
たとえば、記憶部15は、対象伝送線と、当該対象伝送線に対して検知処理を行う場合において用いるべき評価値EVの種類との対応関係を示す対応情報を記憶している。検知部14は、記憶部15における当該対応情報に従って、対象伝送線に対応する種類の評価値EVを算出し、算出した評価値EVに基づいて当該対象伝送線の一部の損傷を検知する。すなわち、検知部14は、記憶部15における当該対応情報に従って、上述した検知例1~検知例8のうちのいずれか1つを行うことにより対象伝送線の一部の損傷を検知する。
あるいは、検知部14は、検知例1~検知例8のうちのいずれか2つ以上または検知例1~検知例8の全部を行い、複数の判定結果を総合的に考慮することにより、対象伝送線の一部の損傷を検知する。一例として、検知部14は、検知例1~検知例8を行い、少なくともいずれか1つの検知例において、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線していると判定した場合、芯線1における複数の素線3のうちの一部の素線3が断線している旨の判定結果をユーザへ通知する。
なお、検知部14は、位相差pd、反射係数rc、インピーダンスZ、リアクタンスX、レジスタンスR、キャパシタンスC、インダクタンスLおよび特性インピーダンスZcの代わりに、対象伝送線の電気的特性を示す他の評価値EVを算出する構成であってもよい。
[動作の流れ]
図23は、本開示の実施の形態に係る中継装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図23を参照して、まず、中継装置101は、検知期間T1の到来を待ち受け(ステップS102でNO)、検知期間T1が到来すると(ステップS102でYES)、計測信号の出力および応答信号の受信を開始する(ステップS104)。
次に、中継装置101は、受信した応答信号の振幅および位相を計測する。より詳細には、中継装置101は、応答信号に含まれる反射信号の振幅を示す振幅データDs3a、および反射信号の位相を示す位相データDs3pを生成する(ステップS106)。
次に、中継装置101は、計測信号の振幅を示す振幅データDs1a、計測信号の位相を示す位相データDs1p、振幅データDs3a、および位相データDs3pに基づいて、評価値EVを算出する(ステップS108)。
次に、中継装置101は、算出した評価値EVと当該評価値EVの基準値との差分を算出する(ステップS110)。
次に、中継装置101は、算出した当該差分と、記憶部15における判定テーブルとに基づいて、対象伝送線の断線率を判定する(ステップS112)。
次に、中継装置101は、たとえば対象伝送線の断線率が20%以上である場合、対象伝送線の断線率を示す判定結果をユーザへ通知する(ステップS114)。
次に、中継装置101は、新たな検知期間T1の到来を待ち受ける(ステップS102でNO)。
図24は、本開示の実施の形態に係る検知システムにおける検知処理のシーケンスの一例を示す図である。
図24を参照して、まず、中継装置101は、検知期間T1を決定する(ステップS202)。
次に、中継装置101は、たとえば対象伝送線を開放状態に切り替えるための制御信号CON_1を切替装置151へ送信する(ステップS204)。
次に、切替装置151は、中継装置101から受信した制御信号CON_1に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を開放状態に切り替える(ステップS206)。
次に、中継装置101は、検知処理を行う。より詳細には、中継装置101は、対象伝送線の開放状態において、計測信号の出力および応答信号の受信を開始し、応答信号に含まれる反射信号の位相を示す位相データDs3pと、計測信号の位相を示す位相データDs1pとを用いて、評価値EVの一例である位相差pdを算出する。そして、中継装置101は、算出した位相差pdに基づいて、対象伝送線の一部の損傷を検知する(ステップS208)。
次に、中継装置101は、検知期間T1を決定する(ステップS210)。
次に、中継装置101は、たとえば対象伝送線を整合状態に切り替えるための制御信号CON_2を切替装置151へ送信する(ステップS212)。
次に、切替装置151は、中継装置101から受信した制御信号CON_2に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を整合状態に切り替える(ステップS214)。
次に、中継装置101は、検知処理を行う。より詳細には、中継装置101は、対象伝送線の整合状態において、計測信号の出力および応答信号の受信を開始し、応答信号に含まれる反射信号の振幅を示す振幅データDs3aと、計測信号の振幅を示す振幅データDs1aとを用いて、評価値EVの一例である反射係数rcを算出する。そして、中継装置101は、算出した反射係数rcに基づいて、対象伝送線の一部の損傷を検知する(ステップS216)。
次に、中継装置101は、検知期間T1を決定する(ステップS218)。
次に、中継装置101は、たとえば対象伝送線を短絡状態に切り替えるための制御信号CON_3を切替装置151へ送信する(ステップS220)。
次に、切替装置151は、中継装置101から受信した制御信号CON_3に従ってスイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を短絡状態に切り替える(ステップS222)。
次に、中継装置101は、検知処理を行う。より詳細には、中継装置101は、対象伝送線の短絡状態において、計測信号の出力および応答信号の受信を開始し、応答信号に含まれる反射信号の振幅を示す振幅データDs3aと、計測信号の振幅を示す振幅データDs1aとを用いて反射係数rcを算出する。中継装置101は、反射係数rcを用いてインピーダンスZstを算出し、インピーダンスZstから、評価値EVの一例であるインダクタンスLを取得する。そして、中継装置101は、算出したインダクタンスLに基づいて、対象伝送線の一部の損傷を検知する(ステップS224)。
なお、検知システム201は、図24に示すシーケンスにおいて、ステップS204,S212,S220の一部または全部を行わない構成であってもよい。この場合、たとえば、切替装置151は、所定の周期で対象伝送線の端部の接続状態を遷移させる。
より詳細には、切替装置151は、初期状態において、対象伝送線をたとえば開放状態に切り替え、中継装置101による計測信号の出力を待ち受ける。中継装置101は、たとえば通信システム301が搭載される車両の電源がオンされたことをトリガとして1回目の検知処理を開始する、すなわち計測信号を出力する。
次に、切替装置151は、対象伝送線へ出力された計測信号を検知すると、計測信号を検知してから所定時間が経過したタイミングにおいて、スイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を整合状態に切り替える。その後、中継装置101は、1回目の検知処理を開始してから所定時間が経過したタイミングにおいて2回目の検知処理を開始する、すなわち計測信号を出力する。
次に、切替装置151は、対象伝送線へ出力された計測信号を検知すると、計測信号を検知してから所定時間が経過したタイミングにおいて、スイッチ161を切り替えることにより、対象伝送線を短絡状態に切り替える。その後、中継装置101は、2回目の検知処理を開始してから所定時間が経過したタイミングにおいて3回目の検知処理を開始する、すなわち計測信号を出力する。
なお、本開示の実施の形態に係る通信システム301では、中継装置101は、伝送線10を介して通信装置111と1対1で接続されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置101は、バス型の伝送線10を介して複数の通信装置111と1対多で接続されている構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る通信システム301では、中継装置101が検知処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301における中継装置101とは別の装置が検知処理を行う構成であってもよい。具体的には、たとえば通信装置111が、検知装置として機能し、検知処理を行う構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る検知システム201は、切替装置151およびスイッチ161を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知システム201は、切替装置151およびスイッチ161を備えない構成であってもよい。この場合、伝送線10における通信装置111側の端部は、固定的に、開放されているか、グランドノードに接続されているか、または終端回路171を介してグランドノードに接続されている。
また、本開示の実施の形態に係る検知システム201では、中継装置101は、対象伝送線における通信装置111側の端部が試験状態のときに、検知処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置101は、対象伝送線における通信装置111側の端部が通常状態のときに、検知処理を行う構成であってもよい。この場合、たとえば、中継装置101は、通信信号と計測信号とを周波数分割多重する。より詳細には、信号出力部12は、中継部11による中継処理が行われる期間において、信号出力部12は、中継部11により送受信される通信信号の周波数帯域とは異なる周波数帯域の計測信号を生成して対象伝送線へ出力する。
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、計測部13は、信号出力部12により出力された計測信号と、当該計測信号が反射された信号である反射信号とを含む応答信号を対象伝送線から対応の通信ポート16経由で受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。計測部13は、計測信号を含まない応答信号を受信する構成であってもよい。すなわち、計測部13は、反射信号を応答信号として受信する構成であってもよい。より詳細には、たとえば、信号出力部12は、方向性結合器および通信ポート16を介して計測信号を対象伝送線へ出力する。計測部13は、当該通信ポート16および当該方向性結合器を介して、計測信号を含まない応答信号を対象伝送線から受信する。
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、計測部13は、デジタル信号Ds2からデジタル信号Ds1を差し引くことにより、反射信号を示すデジタル信号Ds3を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。計測部13は、信号出力部12から計測信号を受けて、受信した応答信号から計測信号を差し引くことにより、反射信号を示すアナログ信号を生成し、生成したアナログ信号をデジタル変換することによりデジタル信号Ds3を生成する構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、対象伝送線の損傷の程度を検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部14は、対象伝送線の一部の損傷を検知する一方で、対象伝送線の損傷の程度の検知を行わない構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、図示しない信号線を介して切替装置151へ制御信号CON_1,CON_2,CON_3を送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部14は、対象伝送線におけるケーブル部5Aを介して切替装置151へ制御信号CON_1,CON_2,CON_3を送信する構成であってもよい。より詳細には、たとえば、検知部14は、信号出力部12により計測信号が対象伝送線へ出力される前に、ケーブル部5Aを介して切替装置151へ制御信号CON_1,CON_2,CON_3を送信する。
また、たとえば、検知部14は、中継部11により送受信される通信信号の周波数帯域とは異なる周波数帯域の制御信号CON_1,CON_2,CON_3を生成し、生成した制御信号CON_1,CON_2,CON_3を通信信号に多重してケーブル部5Aへ出力する。一例として、検知部14は、直流信号である制御信号CON_1,CON_2,CON_3を通信信号に多重してケーブル部5Aへ出力する。切替装置151は、ケーブル部5Aを介して受信した信号から制御信号CON_1,CON_2,CON_3を分離することにより、制御信号CON_1,CON_2,CON_3を取得する。
ところで、簡易な構成で伝送線10の断線を予測することが可能な技術が望まれる。より詳細には、伝送線10は、経年劣化、屈曲による疲労劣化、および外部からの衝撃等により、損傷が徐々に進行し、最終的に断線に至る。伝送線10が断線に至る前に伝送線10の交換等の適切な対処を行うために、伝送線10の断線を予測することが可能な技術が望まれる。
たとえば、従来、TDR(Time Domain Reflectometry)を用いて、伝送線10の特性を検出する技術が知られている。このような技術を用いて伝送線10の特性の変化を検出し、検出結果に基づいて伝送線10の断線の予測を試みる場合、伝送線10の特性の変化を正確に検出するために、高い再現性で立ち上がりパルスを伝送線10へ出力する必要があり、その結果、高性能のパルス信号発生器が必要となる。
また、ネットワークアナライザを用いて伝送線10のSパラメータ等の特性を計測し、計測結果に基づいて伝送線10の断線の予測を試みる場合、十分な検知精度を得るために、高価かつ複雑な計測機器を用いる必要があり、また、計測のたびに計測機器の校正を行う必要がある。
これに対して、本開示の実施の形態に係る中継装置101では、信号出力部12は、周波数成分を有する計測信号を伝送線10へ出力する。計測部13は、計測信号が反射された信号を含む応答信号を伝送線10から受信し、受信した応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する。検知部14は、計測部13による計測結果に基づいて評価値EVを算出し、算出した評価値EVに基づいて、伝送線10の一部の損傷を検知する。
このように、周波数成分を有する計測信号を伝送線10へ出力し、伝送線10から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値EVを算出し、算出した評価値EVに基づいて伝送線10の一部の損傷を検知する構成により、伝送線10とは別の断線検知線を必要とすることなく、伝送線10の一部の損傷を検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線10の断線を予測することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
検知装置であって、
周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力する信号出力部と、
前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記伝送線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記伝送線の一部の損傷を検知する検知部とを備え、
前記検知部は、前記伝送線における、前記計測信号の入力端とは異なる端部の状態を、開放、短絡および負荷接続の間で切り替えるための制御信号を、前記検知装置の外部における切替装置へ送信する、検知装置。
[付記2]
処理回路を備え、
前記処理回路は、
周波数成分を有する計測信号を伝送線へ出力し、
前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記伝送線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測し、
前記振幅および前記位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記伝送線の一部の損傷を検知する、検知装置。