JP7483547B2 - 振動型アクチュエータ、雲台、および電子機器 - Google Patents

振動型アクチュエータ、雲台、および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、振動体と接触体を備えた、振動型アクチュエータに関するものである。
振動型アクチュエータは低速・大トルクなどの特徴から、例えば一眼レフカメラの撮影レンズにおけるオートフォーカスの駆動用モータとして実用化されており、近年はカメラ以外のさまざまな電子機器への適用も期待されている。例えば、ロボットアームの関節駆動やロボットハンドの回転駆動、監視カメラ等の撮像装置の雲台の回転駆動、画像形成装置の感光体ドラムの回転駆動への振動型アクチュエータの適用が期待されている。
このような他用途への適用に向けて、振動型アクチュエータの生産性の向上とローコスト化、これらの要求に対して、移動体(接触体)が備える接触ばねの製造に、板材のプレス加工を用いる技術が提案されている。(特許文献1参照)。これは、移動体の本体部とは別に接触ばねを製造し、のちに両者を接着させるものである。
しかしながら、特許文献1(たとえば特許文献1図6)に記載された技術では、接触ばねがプレス加工や焼入等の熱処理で歪むため、移動体の本体部への接着時に貼りずれや接着層の厚みムラが発生し、接触ばねのばね剛性が不均一になることがある。そのため、近年求められているより静穏性におけるより低い音圧レベル基準においては、振動型アクチュエータに異音(鳴き)が発生するという課題があった。また、雲台やロボットハンドの回転駆動など高い位置制御性基準の観点においては、スムーズな動作を行うため接触体と振動体との接触する面を平滑にするといった後加工が必要であった。また、高い耐久性基準の観点においては、接触ばねのスプリングバックによって、接着剥がれが発生するという課題もあった。
また、特許文献1の図7(b)と図7(c)に記載された技術においては、接触部材(摩擦部材)がプレス加工や焼入れ等の熱処理で歪むため、耐久性の低下を起こすおそれがあった。
特許第5631018号公報
そこで、本発明は、部品の寸法精度が高く低コストで、異音の発生や耐久性の低下を抑制する、振動型アクチュエータを提供する。
環状の弾性体及び電気-機械エネルギー変換素子を有する振動体と、前記振動体と接し前記振動体と相対的に移動する環状の接触体を備え、前記接触体は、基底部と、前記基底部から前記接触体の径方向に環状に延在する支持部と、前記支持部に設けられ前記支持部とは別の部材であり前記振動体と接触する摩擦部材を有し、前記摩擦部材は、接触体の中心軸に沿った方向に延在する第1の面と、前記径方向に延在する環状の第2の面とで、前記支持部と連結し、前記第1の面は前記中心軸の方向に対し傾斜している部位を有することを特徴とする振動型アクチュエータを提供する。
上記発明により、部品の寸法精度が高く低コストで、異音の発生や耐久性の低下を抑制する、振動型アクチュエータを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る振動型アクチュエータの構成を概略的に示す断面図である。 図1における振動体に励起される駆動振動の変形の様態を説明するための図である。 図1における接触体の構成を概略的に示す図である。 図1における摩擦部材の篏合による調心を示すである。 図1における接触体の第1の変形例の構成を概略的に示す図である。 本発明の実施形態に係る振動型アクチュエータを搭載した雲台と、雲台に搭載された撮像装置の構成を概略的に示す図である。
[実施例1]
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動型アクチュエータ10の構成を概略的に示す断面図である。振動型アクチュエータ10における振動体20および接触体300(移動体、被駆動体)および加圧機構40等の機械的構成は、例えば特開2017-108615号公報に記載の振動型アクチュエータと機能的には同等である。
本実施形態の振動型アクチュエータは、弾性体および電気-機械エネルギー変換素子を有する振動体と、振動体と接する接触体を備えている。加えて、電気-機械エネルギー変換素子に給電する給電部材(フレキシブルプリント基板)を備えている。
図1において、振動型アクチュエータ10は、円環状に形成された振動体20、円環状に形成された接触体300、および加圧機構40を備える。また、振動型アクチュエータ10は、シャフト、ハウジング、ベアリングを備える。
振動体20は、弾性体21と、弾性体21に接合された電気-機械エネルギー変換素子である圧電素子22と、圧電素子22に接合されて圧電素子22に交流電圧である駆動電圧を印加するための給電部材100を有する。
加圧機構40は制振ゴム41、加圧ばね受け部材42、加圧ばね受けゴム43、加圧ばね44及び加圧ばね固定部材45を有する。振動体20及び接触体300はシャフトを中心軸として同心円状に配置され、シャフトに固定された加圧機構40によってシャフトのスラスト方向に関して互いに加圧接触(摩擦接触)する。具体的には、シャフトに固定された加圧ばね固定部材45によって移動を規制された加圧ばね44が、制振ゴム41、加圧ばね受け部材42及び加圧ばね受けゴム43を介して接触体300をスラスト方向に押圧する。このように構成されることにより、接触体300と振動体20は安定的に接触する。
振動型アクチュエータ10では、給電部材100を通して圧電素子22へ交流電圧である駆動電圧を印加することにより、振動体20に駆動振動を励起させる。駆動振動の態様は圧電素子22が有する複数の電極の数や配置形態に依存するが、励起される駆動振動が振動体10の周方向に進むn次(本実施形態ではn=9)の進行波となるように、圧電素子22が設計される。なお、n次の駆動振動とは振動体20の周方向における波数がn個となる曲げ振動である。圧電素子22に発生した駆動振動は振動体20の接触部25に生じた進行波によって、接触体300をシャフト回りの周方向へ駆動する。すなわち、接触体300は振動体20と同心を保ったまま、相対的に回転運動する。接触体300に発生した回転力は加圧機構40とシャフトを通して外部へ出力される。
図1に描かれている本実施形態の振動型アクチュエータ10は、例えばハウジングを所望の部材に固定し、シャフトの下方に末広がりに構成されているフランジ面にカメラ等の可動対象を固定することで、可動対象を自由に回転駆動させることができる。他方で、シャフトを固定してハウジングを回転駆動させることも可能である。
図2は、振動体20に励起される駆動振動の変形の様態を説明するための図である。なお、図2では、振動体20において励起される駆動振動の変位に対する理解を容易にするために、変位を実際よりも誇張している。
図3(a)は、接触体300の構成を概略的に示す断面斜視図である。接触体300は、本体部材301と、本体部材301と別の部材である摩擦部材302を有する。本体部材301と摩擦部材302は接着又は接合により連結されている。
図3(b)は、本体部材301および摩擦部材302を分離した状態を概略的に示す断面斜視図である。
本体部材301は、基底部301aと、接触体300の径方向に延在した支持部301bを有する。支持部301bは断面がL字形状をしており、端部に摩擦部材302が連結している。本体部材301は円環状に構成される。
摩擦部材302は、断面がL字形状をしており、円環状に構成される。摩擦部材302は、接触体300の中心軸に沿った方向に延在し、かつ中心軸方向に傾斜した部位を有する第1の面302bと、接触体300の径方向に沿って延在する第2の面302cと、振動体20と接触する摩擦面302aを有している。すなわち第1の面302bは、振動体と接触する面から離れていくに従い、支持部との径方向の間隙が広くなる。
第1の面302bは、支持部301bに対して内篏合(支持部301bの内径側に嵌合)して連結している。第2の面302cは、支持部301bの端部に連結している。なお第1の面の周方向の一部が支持部と連結することで堅牢性が十分な場合は、そのような構成をとってよい。また摩擦部材と支持部との接触は接着剤などの中間材の固着を利用して接触する場合も含まれる。
接触体300は、摩擦面302aで振動体20と接触し、支持部301bが接触ばねの機能を持つ。接触ばねのばね剛性のバラツキは振動アクチュエータの異音(鳴き)に原因となる。そのため、接触ばねである支持部301bは、加工誤差があってもばね剛性にバラツキが発生しないように、アルミニウム合金や真鍮等の低ヤング率の材料で構成することが好ましい。一方、摩擦部材302は振動体20と摩擦接触するため耐摩耗性の高い鉄鋼等の材料が好ましい。一般的に、鉄鋼等の耐摩耗性の高い材料は、アルミニウム合金や真鍮等の材料と比較し、硬くてヤング率が高い。つまり、支持部301bを構成する材料のヤング率は、摩擦部材302を構成する材料よりもヤング率が低いことが好ましい。
また、基底部301aは、制振ゴム41と接触し、減衰効果により振動アクチュエータの異音を抑制する。
本体部材301と摩擦部材302の材料と加工方法について説明する。摩擦部材302は、耐摩耗性の高い材料が好ましく、スレンテレス等の鉄鋼材料の板材を用いて、プレス加工と焼入れ処理で製造することができる。一方、本体部材301は、振動減衰の機能が求められるため、減衰性が高い材料であり、さらに、高精度に加工できる快削材料が好ましく、摩擦部材302よりも快削性の高いアルミニウム合金や真鍮等を用いて、切削加工で製造することができる。本体部材301は表面処理されていても良く、例えば、アルミニウム合金であれば、アルマイト処理されていても良い。なお、摩擦部材302と本体部材301の製造方法は上記挙げた方法に限らない。摩擦部材302の加工方法としては、レーザー加工、放電加工、切削、エッチング等、又はそれらを複合した方法が考えられる。また、摩擦部材302の熱処理としては、窒化、浸炭等でもよく、熱処理以外にもメッキなどの硬化処理でもよい。また、本体部材301の加工方法としては、ダイキャスト、鍛造等、又はそれらを複合した方法が考えられる。
本体部材301と摩擦部材302の組立について説明する。本体部材301は部品の剛性が高いため、摩擦部材302よりも高精度に製造することができる。特に高い位置決め精度を求められる雲台やロボットハンドへの振動型アクチュエータの適用においては、スムーズな動作を行うために接触体と振動体との接触する面の高い平面度が求められる。本体部材301は部品の剛性が高いため、振動体20と接触する側の面301cが高い平面度を得ることが出来る。
一方、摩擦部材302は、プレス加工や焼入れ処理等の製造過程で大きな歪みが発生する。しかし摩擦部材302は部品としての剛性が低いため、容易に弾性変形させることができる。したがって、高精度な本体部材301を基準として、摩擦部材302を弾性変形させながら、嵌合させることで、摩擦面302aが高い平面度の状態で、かつ摩擦部材302の貼りずれを抑制し、摩擦面302aの真円度を向上させることができる。
図4(a)(b)(c)は支持部301bと摩擦部材302の組立時の篏合(挿入)に関する概略図である。精度良く加工された支持部301bを真円形状、歪みの大きい摩擦部材302を楕円形状で模している。図4(d)(e)(f)は摩擦部材302の楕円形状における長軸位置の支持部301bと摩擦部材302の断面を示している。図4(g)(h)(i)は摩擦部材302の楕円形状における短軸位置の支持部301bと摩擦部材302の断面を示している。また、図4(a)(d)(g)は支持部301bと摩擦部材302が挿入する前、(b)(e)(h)は挿入途中を示している。また、図4(c)(f)(i)は支持部301bの振動体20と接触する側の面301cが第2の面302aに接触体300の中心軸に沿った方向に突き当たった状態を示している。
第1の面302bは接触体300の中心軸方向に第2の面301aから離れるに従い、接触体300の中心軸方向に対し傾斜している。高精度に加工されている支持部301bに歪が大きい摩擦部材302が挿入されていくに従い、第1の面302bの傾斜に倣い楕円形状から真円形状へと補正されていく。これにより摩擦面302cの真円度が向上する。また支持部301bの内径301dは第1の面302bの最外径302dより大きくしている。そのため第1の面302bと支持部301bの内径が全周にわたり接触する前に支持部301bが第2の面302bに突き当たるため、高精度に加工された支持部301bに第2の面302aが全周にわたり倣い、摩擦面302aの平面度が良くなる。
振動型アクチュエータがスムーズに動作するためには、接触体と振動体の接触する面が平滑であることが求められる。接触体の組立て時に摩擦面302aの平面度が良くなることから、組立後の摩擦面平滑化の加工時間低減もしくは廃止することが可能となる。
本実施例における第1の面302bの傾斜は接触体300の中心軸に対し10°であるが、この値に限らず摩擦部材302が支持部301bに挿入されるに従い真円形状に補正されればよく、好ましくは0°より大きく45°以下が良い。
また、本体部材301と摩擦部材302は金属同士の摩擦を避けるため、接着、接合により連結させることが好ましい。これにより、振動型アクチュエータに異音(鳴き)を抑制することができる。
図5は、本実施形態の変形例の一例を示す図である。接触体310は、本体部材311と、本体部材311とは別部材の摩擦部材312を有する。本体部材311は、基底部311aと、接触体310の径方向に延在した端部断面形状がL字の支持部311bを有し、円環状に構成される。摩擦部材312は、断面形状がL字であり、振動体20との接触する摩擦面312aと、接触体310の中心軸に沿った方向に延在し、かつ中心軸方向に傾斜した部位を有する第1の面312bを有する。さらには、接触体310の径方向に延在する第2の面312cとを有し、全体としては円環状に構成される。第1の面312bが支持部311bのL字形状をした部分に対して外篏合(支持部311bの外径311eに嵌合)して連結している。第2の面312cは、支持部311bの接触体300の中心軸に沿った方向に突き当たる方向に連結している。支持部311bの外径311eは第1の面312bの最内径312eより小さくしている。この本変形例の構成でも本実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、接触体の支持部の断面形状が片持ち梁の構成で、梁の端部に摩擦部材が嵌合して設けられた構成を説明したが、これに限定されない。支持部は端部以外の場所に摩擦部材が嵌合して設けられた構成でもよい。また、支持部の断面形状が両持ち梁の構成で、梁の中央部に摩擦部材が嵌合して設けられた構成でもよい。これらの構成でも本実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、摩擦部材は全周が閉じた環状の構成を説明したが、これに限定されない。摩擦部材は一部が開いていても、概ね環状の構成でもよい。これらの構成でも本実施例と同様の効果を得ることができる。本実施形態の図面では、製造工程での加工誤差や歪みを考慮していない構成を示したが、これに限らない。実際に製造された接触体は、図面よりも角部や隅部のRが大きかったり、ダレやバリが発生したり、本体部材と摩擦部材の隙間が不均一だったりする。これらの構成であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態で説明した振動型アクチュエータ10を備える装置の一例としての監視カメラ等の撮像装置の雲台の構成について説明する。
本実施形態では、回転台と、回転台に設けられた振動型アクチュエータを備える雲台を以下説明する。
図6は、雲台800と、雲台800に搭載された撮像装置840の構成を概略的に示す図である。雲台800は、ベース820と、2つの振動型アクチュエータ870、880を備えるヘッド810と、撮像装置840を固定するためのLアングル830を備える。パン軸に設けられた振動型アクチュエータ880は、ヘッド810とLアングル830と撮像装置840を、ベース820に対してパン軸まわりに回転させるためのアクチュエータである。また、チルト軸に設けられた振動型アクチュエータ870は、Lアングル830と撮像装置840を、ヘッド810に対してチルト軸まわりに回転させるためのアクチュエータである。
雲台800に2つの振動型アクチュエータ870、880を用いることにより、撮像装置840の向きを高速、高応答、静粛、高精度に変える事が可能となる。また、振動型アクチュエータは無通電時でも高い保持トルクを持つため、撮像装置840のチルト軸まわりの重心ずれがあっても振動型アクチュエータの電力を消費することなく撮像装置40の向きを維持することができる。
その他、本発明の利用者が所望する部材と、その部材に設けられた振動型アクチュエータを備える電子機器を提供することができる。
10 振動型アクチュエータ
20 振動体
21 弾性体
22 圧電素子
100 給電部材
300,310 接触体
301,311 本体部材
301a,311a 基底部
301b,311b 支持部
301c 振動体と接触する側の面
301d 支持部の内径
311e 支持部の外径
302,312 摩擦部材
302a,312a 摩擦面
302b,312b 第1の面
302c,312c 第2の面
302d 第1の面の最外径
302e 第1の面の最内径

Claims (7)

  1. 環状の弾性体及び電気-機械エネルギー変換素子を有する振動体と、
    前記振動体と接し前記振動体と相対的に移動する環状の接触体を備え、
    前記接触体は、
    基底部と、
    前記基底部から前記接触体の径方向に環状に延在する支持部と、
    前記支持部に設けられ前記支持部とは別の部材であり前記振動体と接触する摩擦部材を有し、
    前記摩擦部材は、前記接触体の中心軸に沿った方向に延在する第1の面と、
    前記径方向に延在する環状の第2の面とで、前記支持部と連結し、
    前記第1の面は前記中心軸の方向に対し傾斜している部位を有することを特徴とする振動型アクチュエータ。
  2. 前記第1の面の傾斜している部位が前記振動体と接触する面から離れていくに従い、
    前記支持部との径方向の間隙が広くなることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
  3. 前記第1の面の前記接触体の中心軸に対する傾斜が、0°より大きく45°以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  4. 前記第1の面の周方向の一部が前記支持部と連結することを
    特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ
  5. 前記支持部と前記摩擦部材が接着剤により固着されていることを
    特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
  6. 回転台と、前記回転台に設けられた請求項1から5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータを備える雲台。
  7. 部材と、前記部材に設けられた請求項1から5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータを備える電子機器。
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