JP7483240B2 - 単結晶成長装置およびiii-v族半導体単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
InPの原材料を直接収容するための第1の領域と、前記原材料とは異なる液体封止剤を直接収容するための第2の領域とを有する下側容器と、
前記上軸のまわりを囲む上側容器と、
前記下側容器を加熱する第1のヒーターと、
を有し、
前記上側容器は、
前記上軸の立設方向に沿った大径部と、前記上軸の立設方向に沿うと共に前記大径部よりも直径が小さい小径部と、前記大径部と前記小径部とを連結する連結部と、を有し、
前記小径部の内周面と前記上軸との間には、前記連結部の内側空間及び前記大径部の内側空間と繋がる内側空間が形成されており、
前記下側容器は、
内側壁と、前記内側壁よりも外側に位置する外側壁と、前記内側壁の内側の空間領域である前記第1の領域と、前記内側壁と前記外側壁との間の空間領域である前記第2の領域と、を有し、
前記大径部と前記連結部と前記小径部とが、
前記下側容器に近いほうからこの順序で配置されており、
前記大径部の外径は、
前記外側壁の内径よりも小さく、
前記大径部の内径は、
前記内側壁の外径よりも大きく、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記内側壁を介して隣接しており、
前記第2の領域の外周側に、前記ヒーターが配置されており、
前記大径部の少なくとも一部は、
前記内側壁と前記外側壁との間の位置に配置されており、
前記小径部の内側には、リンを保持する材料保持部が設けてあり、
前記小径部の外周側には、前記小径部を加熱する線ヒーターが設けてあり、
前記線ヒーターは、前記第1のヒーターとは別々に出力を設定でき、
単結晶を成長させる際に、
前記下側容器の前記第1の領域には、前記原材料が直接収容され、
前記下側容器の前記第2の領域には、B2O3又はKClからなる前記液体封止剤が直接収容され、
前記材料保持部には、リンが保持され、
前記大径部の下端部は、
前記液体封止剤に浸かっており、
前記下側容器と前記上側容器と前記液体封止剤とが、
前記単結晶の周囲の空間を密閉するよう構成されている。
1.半導体単結晶
図1は、第1の実施形態におけるInP単結晶SC1の形状を示す図である。InP単結晶SC1は、種結晶S1と一体となっている。InP単結晶SC1は、円柱形状に近い形状である。InP単結晶SC1は、上部SC1aと中央部SC1bと底部SC1cとを有する。種結晶S1から近い順に、上部SC1a、中央部SC1b、底部SC1cがある。上部SC1aは、種結晶S1と結合している。上部SC1aの直径は、種結晶S1から遠ざかるにつれて大きくなっている。中央部SC1bの直径は、ほぼ一定である。底部SC1cの直径は、種結晶S1から遠ざかるにつれて小さくなっている。
|D2-D1|/D2 ≦ 0.1
また、次式を満たすとさらによい。
|D2-D1|/D2 ≦ 0.06
図2は、第1の実施形態における半導体単結晶を成長させる成長装置1000の概略構成を示す図である。成長装置1000は、III-V 族化合物半導体をエピタキシャル成長させるための装置である。成長装置1000が成長させるIII-V 族化合物半導体の単結晶は、GaP、InP、GaAs、InAsなどの高解離圧化合物半導体の単結晶である。
図3は、第1の実施形態における成長装置1000の使用時を説明するための図である。図3に示すように、使用時においては、内側壁1310の内側の第1の領域R1には、融液M1と液体封止剤E1とが収容されている。融液M1は、例えば、InPが溶融している液体である。融液M1は、InP単結晶の原材料である。液体封止剤E1は、融液M1を封止するための液体である。液体封止剤E1は、融液M1の上に存在する。そのため、融液M1は、下側容器1300と液体封止剤E1に閉じ込められており、気体に接触していない。
4-1.構造
図2に示すように、下側容器1300は、内側壁1310に囲まれた第1の領域R1と、内側壁1310と外側壁1320とに囲まれた第2の領域と、を有する。また、上側容器1400の大径部1410は、第2の領域R2の内部に位置している。つまり、上側容器1400の大径部1410の少なくとも一部は、内側壁1310と外側壁1320との間の位置に配置されている。
図3に示すように、半導体単結晶を成長させる際には、内側壁1310と外側壁1320との間の第2の領域R2に液体封止剤E2が収容されている。上側容器1400の大径部1410は、第2の領域R2の内部の液体封止剤E2に浸かっている。そのため、下側容器1300と上側容器1400と液体封止剤E2とは、融液M1を含む領域を密閉している。融液M1を含む領域は、単結晶の周囲の空間である。
成長装置1000における製造条件を表1に示す。表1で挙げた数値範囲は、あくまで目安であり、必ずしもこの数値範囲である必要はない。炉内温度は、例えば、400℃以上800℃以下の範囲内である。成長装置1000の炉内圧力は、例えば、30気圧以上80気圧以下の範囲内である。また、メインヒーター1710の電力は、例えば、20kW以上30kW以下である。サブヒーター1720の電力は、例えば、500W以上2000W以下である。
第1の領域の温度 1062℃以上 1300℃以下
炉内温度 400℃以上 800℃以下
炉内圧力 30気圧以上 80気圧以下
ここで、成長装置1000を用いるInP単結晶を製造する場合について説明する。
まず、InPからなる多結晶を準備する。InP多結晶を下側容器1300の第1の領域R1に直接入れる。次に、液体封止剤E1をInP多結晶の上に置く。液体封止剤E1として例えば、B2 O3 などの酸化物、KClなどの塩化物が挙げられる。また、下側容器1300の第2の領域R2に液体封止剤E2を入れる。液体封止剤E2として例えば、B2 O3 などの酸化物、KClなどの塩化物が挙げられる。
次に、外部容器1100の内部を加圧しながら、サセプター1200および下側容器1300を加熱する。外部容器1100を加圧するために、Arガスや窒素ガス等の不活性ガスを供給する。サセプター1200および下側容器1300を加熱するために、メインヒーター1710、サブヒーター1720を用いる。上側容器1400を加熱するために、線ヒーター1730、1735を用いる。まず、下側容器1300の温度を液体封止剤E1が融解する温度まで上昇させた後に一定時間保持する。この段階で、図3に示すように、下側容器1300の内部で融液M1の上に液体封止剤E1が存在する状態になる。また、第2の領域R2の液体封止剤E2も溶融する。
次に、種結晶S1を有する上軸1500を融液M1に向けて下降させる。そして、種結晶S1を融液M1に浸漬させる。そして、種結晶S1を融液M1に浸漬させた状態で一定時間保持する。これにより、種結晶S1を起点にしてInP単結晶が成長しはじめる。つまり、InP単結晶SC1の上部SC1aが成長しはじめる。
次に、上軸1500を上昇させることにより、種結晶S1から成長したInP単結晶SC1を引き上げる。InP単結晶SC1の引き上げを開始した後に、InP単結晶SC1を引き上げつつ、下側容器1300の温度を所定の降下速度で低下させる。これにより、InP単結晶SC1の上部SC1aの直径が大きくなる。InP単結晶SC1の直径が所望の大きさになったところで下側容器1300の温度を一定にする。そして、下側容器1300の温度を一定に保持しつつ、InP単結晶SC1を引き上げる。これにより、直径が一定なInP単結晶SC1の中央部SC1bを成長させることができる。そして、ある程度の長さのInP単結晶SC1を引き上げたところで、下側容器1300の温度を上昇させる。これにより、InP単結晶SC1を融液M1から分離させる。この分離の際に、InP単結晶SC1の底部SC1cが形成される。
次に、InP単結晶SC1を途中まで引き上げている状態で炉内温度を下降させる。このように下側容器1300と上側容器1400と液体封止剤E1とにより密閉されている領域の温度を下降させることにより、InP単結晶SC1は冷却される。このため、InP単結晶SC1は熱応力により破損するおそれがない。
7-1.密閉性および圧力制御性
第1の実施形態の成長装置1000は、下側容器1300と上側容器1400とを有する。下側容器1300は、内側壁1310に囲まれた第1の領域R1と、内側壁1310と外側壁1320とに囲まれた第2の領域R2と、を有する。このように下側容器1300では、半導体単結晶を成長させる第1の領域R1と、第1の領域R1を密閉するための第2の領域R2とが、一体になっている。そのため、成長装置1000は、半導体単結晶を成長させる空間を容易に密閉することができる。また、下側容器1300と上側容器1400とを液体封止剤E2を用いて密閉しているため、密閉空間の内外の圧力制御が比較的容易である。つまり、成長装置1000は、単結晶成長中に単結晶の表面からV 族元素が分解すること抑制しつつ、単結晶を成長させることができる。
単結晶成長時には、下側容器1300と上側容器1400と第2の領域R2の液体封止剤E2とによりInPの融液M1を密閉する。そのため、前述のように、InP単結晶SC1は、好適に密閉された領域内で成長する。上側容器1400は小径部1430を有する。そのため、種結晶のまわりの空間、すなわち密閉体積は比較的小さい。このため、半導体単結晶のまわりの温度勾配は小さい。また、メインヒーター1710、サブヒーター1720、線ヒーター1730、1735があるため、半導体単結晶のまわりの温度勾配は十分に小さい。したがって、成長時または冷却時における半導体単結晶の内部の熱応力を小さくすることができる。このため、半導体単結晶の転位密度は低い。つまり、半導体単結晶の結晶性はよい。
また、上側容器1400の大径部1410が第1の領域R1の融液M1に接触していない。つまり、上側容器1400を用いて密閉した場合に、融液M1の状態に悪影響を与えない。このように、封止する箇所を有する下側容器1300および上側容器1400が、InP単結晶SC1を成長させる上で障害になることがない。
また、この半導体単結晶の製造方法においては、大口径の半導体単結晶を成長させることができる。
8-1.III-V 族化合物半導体
第1の実施形態の半導体単結晶の製造方法はInP単結晶の製造方法である。成長装置1000は、InP単結晶以外にGaP単結晶、GaAs単結晶、InAs単結晶を製造することもできる。
第1の領域R1および第2の領域R2は、一体の下側容器1300が収容する空間である。しかし、第1の下側容器が第1の領域R1を有し、第2の下側容器が第2の領域R2を有してもよい。
第1の液体封止剤E1における引き上げ軸方向の温度勾配を、半導体単結晶の引き上げの開始から徐々に小さくする。これにより、InP単結晶SC1における上部と下部との転位密度の差が小さくなる。
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
A.実験1
1.準備
InP多結晶を原材料として準備した。InP多結晶を適当な大きさに破砕し、ブロームエタノールで表面をエッチングして純水で洗浄し、乾燥させた。p-BN製の坩堝にInP多結晶を充填した。液体封止剤としてB2 O3 を準備した。B2 O3 を適当な大きさに破砕した。B2 O3 が溶融したときにその厚さが多結晶原料からリンが分解揮発しにくい量をInP多結晶の上に置いた。
炉内に不活性ガスとして窒素ガスを供給した。炉内の圧力は25気圧まで上昇させるとともに下側容器1300を加熱した。まず、液体封止剤を溶融させるために600℃まで昇温して60分保持した。この温度での炉内圧力は35気圧である。この状態で、上側容器1400の大径部1410を第2の領域R2のB2 O3 に浸した。この段階で、下側容器1300および上側容器1400の内部の領域は封止された。封止された後には、材料保持部1810のリンが蒸発する。その後、InP多結晶を溶融させるために1250℃まで昇温して60分保持した。この温度での炉内圧力は45気圧である。この状態で加熱を続け、下側容器1300の内部で上軸1500の軸方向に温度勾配をつけた。上側容器1400の連結部1420で500℃、小径部1430で500℃であった。
InPが十分に溶解した後に、InPの温度をInPの融点近傍の1125℃程度まで下げた。InPの温度を調整し、引き上げ開始温度を決定した。
上軸1500の種結晶S1を降下させてInP融液に浸漬させた。このとき、種結晶S1は、5rpmで時計回りに回転させた。種結晶S1のInP融液への浸漬の開始から10分経過した後に、10mm/hrの速度でInP単結晶SC1の引き上げを開始した。InP単結晶SC1を引き上げ始めてから坩堝の温度を2℃/hrから10℃/hrで低下させて単結晶のコーン部を形成した。これにより、InP単結晶SC1の直径が大きくなる。InP単結晶SC1の直径が110mm程度になったところで、InP単結晶SC1の直径がほぼ一定となるように坩堝の冷却温度を調整した。InP単結晶SC1における一定の直径の部分の長さが50mmとなったところで坩堝の温度を上昇させてInP単結晶SC1をInP融液から切り離した。
InP単結晶SC1をInP融液から分離させた状態で、炉内の温度を100℃/hr程度で冷却した。また、坩堝の温度が600℃程度まで冷却したところで、上側容器1400の大径部1410を第2の領域R2の液体封止剤から離脱させた。液体封止剤の固化により、下側容器1300と上側容器1400とが固着することを防止するためである。
InP単結晶が得られた。InP単結晶SC1の頂部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、3.2×104 cm-2であった。InP単結晶SC1の底部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、3.4×104 cm-2であった。このとき、|D2-D1|/D2 = 0.059である。
1.実験方法
実験2の実験方法が実験1の実験方法と異なる点は、通常のLEC法を用いたことである。つまり、上側容器1400を設けず、リン蒸気圧を印加しないでInP結晶を成長させた。この場合には、液体封止剤E1内の引き上げ軸方向の温度勾配は130℃/cm以上である。
InP単結晶が得られた。InP単結晶SC1の頂部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、8×104 cm-2であった。InP単結晶SC1の底部におけるInP単結晶SC1の転位密度は、1.5×105 cm-2であった。液体封止剤E1内の引き上げ軸方向の温度勾配が、実験1の場合よりも大きいためである。
第1の態様における単結晶成長装置は、種結晶を保持するための上軸と、原材料または坩堝を収容するための下側容器と、上軸のまわりを囲む上側容器と、を有する。上側容器は、大径部と、小径部と、大径部と小径部とを連結する連結部と、を有する。下側容器は、内側壁と、内側壁よりも外側に位置する外側壁と、を有する。大径部と連結部と小径部とが、下側容器に近いほうからこの順序で配置されている。大径部の外径は、外側壁の内径よりも小さい。大径部の内径は、内側壁の外径よりも大きい。
1100…外部容器
1200…サセプター
1300…下側容器
1400…上側容器
1410…大径部
1420…連結部
1430…小径部
1500…上軸
1600…下軸
1710…メインヒーター
1720…サブヒーター
1730…線ヒーター
Claims (6)
- 種結晶を保持するための上軸と、
InPの原材料を直接収容するための第1の領域と、前記原材料とは異なる液体封止剤を直接収容するための第2の領域とを有する下側容器と、
前記上軸のまわりを囲む上側容器と、
前記下側容器を加熱する第1のヒーターと、
を有し、
前記上側容器は、
前記上軸の立設方向に沿った大径部と、前記上軸の立設方向に沿うと共に前記大径部よりも直径が小さい小径部と、前記大径部と前記小径部とを連結する連結部と、を有し、
前記小径部の内周面と前記上軸との間には、前記連結部の内側空間及び前記大径部の内側空間と繋がる内側空間が形成されており、
前記下側容器は、
内側壁と、前記内側壁よりも外側に位置する外側壁と、前記内側壁の内側の空間領域である前記第1の領域と、前記内側壁と前記外側壁との間の空間領域である前記第2の領域と、を有し、
前記大径部と前記連結部と前記小径部とが、
前記下側容器に近いほうからこの順序で配置されており、
前記大径部の外径は、
前記外側壁の内径よりも小さく、
前記大径部の内径は、
前記内側壁の外径よりも大きく、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記内側壁を介して隣接しており、
前記第2の領域の外周側に、前記ヒーターが配置されており、
前記大径部の少なくとも一部は、
前記内側壁と前記外側壁との間の位置に配置されており、
前記小径部の内側には、リンを保持する材料保持部が設けてあり、
前記小径部の外周側には、前記小径部を加熱する線ヒーターが設けてあり、
前記線ヒーターは、前記第1のヒーターとは別々に出力を設定でき、
単結晶を成長させる際に、
前記下側容器の前記第1の領域には、前記原材料が直接収容され、
前記下側容器の前記第2の領域には、B2O3又はKClからなる前記液体封止剤が直接収容され、
前記材料保持部には、リンが保持され、
前記大径部の下端部は、
前記液体封止剤に浸かっており、
前記下側容器と前記上側容器と前記液体封止剤とが、
前記単結晶の周囲の空間を密閉するよう構成されている、
単結晶成長装置。 - 請求項1に記載の単結晶成長装置において、
前記線ヒーターは、前記上軸の立設方向における少なくとも前記材料保持部と同じ位置に配置されている、単結晶成長装置。 - 請求項2に記載の単結晶成長装置において、
前記線ヒーターは、前記第1のヒーターの内周端よりも内周側に配置されている、
単結晶成長装置。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の単結晶成長装置において、
前記下側容器を支持すると共に外周側から覆うサセプターを備え、
前記サセプターは、前記第1の領域の下側と前記第2の領域の下側とにわたり、同じ高さ位置に下面を有する、
単結晶成長装置。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の単結晶成長装置を用いてIII-V 族半導体単結晶を製造する方法であって、
前記下側容器における前記第1の領域に前記原材料および第1の液体封止剤を直接供給し、
前記下側容器の前記第2の領域に第2の液体封止剤を直接供給し、
前記上側容器の一部が前記第2の領域の前記第2の液体封止剤に浸かるようにして前記下側容器と前記上側容器と前記第2の液体封止剤とにより前記第1の領域の周囲の空間を密閉し、
前記第1の領域の前記原材料を溶融させて融液とし、
前記種結晶を融液に浸漬させることにより半導体単結晶を成長させること
を含むIII-V族半導体単結晶の製造方法。 - 請求項5に記載のIII-V 族半導体単結晶の製造方法において、
前記第1の液体封止剤における引き上げ軸方向の温度勾配を、前記半導体単結晶の引き上げの開始から徐々に小さくすること
を含むIII-V 族半導体単結晶の製造方法。
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