以下、図に示した各実施の形態に基づき、本発明を説明する。各実施の形態の車高調整機能付き緩衝器において、共通の符号が付された部材、部品は、同一の構成を備えている。よって、説明の重複を避けるため、一つの実施の形態の車高調整機能付き緩衝器の説明中で詳細に説明した構成については、他の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器の説明では詳しい説明を省略する。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D1は、図1に示すように、緩衝器本体1と、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢する懸架ばねSと、液体を貯留するリザーバRと、ダンパ回路C1と、ポンプPと、切換弁V1とを備えており、図示しない車両の車体と車軸との間に介装されて使用される。なお、各実施の形態の車高調整機能付き緩衝器が利用される車両は、自動二輪車に限られず、自動車その他の車両であってもよい。
まず、緩衝器本体1について説明する。本実施の形態における緩衝器本体1は、液体が充填されるシリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてシリンダ2内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてピストン3に連結されるピストンロッド4と、シリンダ2の外周を覆ってシリンダ2との間に伸側室R1に連通される環状隙間6を形成する筒状のアウターシェル5とを備えている。
シリンダ2は、筒状であって内部には、前述したようにピストン3がシリンダ2に対して軸方向へ移動可能に挿入されており、ピストン3の図1中左方に伸側室R1が、図1中右方に圧側室R2がそれぞれ区画されている。伸側室R1と圧側室R2内には、作動液体として、具体的にはたとえば、作動油が充填されている。なお、作動液体としては、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液等の液体を利用してもよい。シリンダ2の図1中右端には、フランジ2bが設けられている。
また、シリンダ2内には、ピストン3に連結されるピストンロッド4が軸方向へ移動可能に挿入されている。さらに、シリンダ2は、外周側に配置される筒状のアウターシェル5内に収容されており、シリンダ2とアウターシェル5との間には環状隙間6が形成されている。
シリンダ2とアウターシェル5の図1中左端となるヘッド端には、環状のロッドガイド7が取り付けられており、ピストンロッド4は、ロッドガイド7の内周を通してシリンダ2外へ突出している。ロッドガイド7は、ピストンロッド4の外周に摺接するシールリング7aと、ピストンロッド4の外周に摺接する筒状のブッシュ7bを備えており、ピストンロッド4の外周をシールしつつピストンロッド4のシリンダ2に対する軸方向への移動を案内する。
また、シリンダ2とアウターシェル5の図1中右端となるボトム端には、シリンダ2とアウターシェル5のボトム端を閉塞するキャップ8が取り付けられている。そして、シリンダ2およびアウターシェル5の両端の開口部は、ロッドガイド7とキャップ8とによって閉塞され、シリンダ2内およびシリンダ2とアウターシェル5との間の環状隙間6の両端が閉塞されている。
キャップ8は、有底筒状であって、内周にシリンダ2のフランジ2bの外周が嵌合されている。また、キャップ8の内周にアウターシェル5の外周に設けた螺子部5bが螺合されており、アウターシェル5とキャップ8の底部とでシリンダ2のフランジ2bが挟持され、シリンダ2がキャップ8に固定される。なお、前述したシリンダ2およびアウターシェル5のキャップ8への締結する構造は、一例であって他の締結構造を採用してもよい。また、キャップ8には、側方から開口して環状隙間6に通じるポート8aと、同じく側方から開口して圧側室R2に通じるポート8bとが設けられている。ポート8aとポート8bは、それぞれダンパ回路C1に接続されている。そして、シリンダ2のヘッド端の近傍には、伸側室R1を環状隙間6に連通する孔2aが設けられている。よって、伸側室R1は、環状隙間6およびポート8aを介して、圧側室R2は、ポート8bを介して、それぞれダンパ回路C1に接続されている。さらに、キャップ8は、ポート8a,8bの開口よりもシリンダ側の外周に設けられた環状段部でなるボトム側ばね受8cを備えている。
ピストン3には、伸側室R1と圧側室R2とを連通するリリーフ通路9と、リリーフ通路9を開閉するリリーフ弁10が設けられている。リリーフ弁10は、伸側室R1の圧力が圧側室R2の圧力を上回って両者の差圧が開弁圧に達すると開弁して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する。
ピストンロッド4の図1中左端となる先端には、車両へピストンロッド4を取り付けるためのブラケット11が取り付けられるとともに、ヘッド側ばね受12がブラケット11を介して軸方向移動が不能に取り付けられている。なお、ヘッド側ばね受12は、ピストンロッド4に直接取り付けられてもよい。
そして、ヘッド側ばね受12とキャップ8に形成されたボトム側ばね受8cとの間には、懸架ばねSが介装されている。懸架ばねSは、ヘッド側ばね受12とボトム側ばね受8cとの間に圧縮状態で介装されており、常時、シリンダ2からピストンロッド4を外側へ突出させる方向へ付勢している。つまり、懸架ばねSは、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢している。
本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1では、リザーバRは、図示はしないが、内部がダイヤフラムによって作動油が充填された液室と気体が封入された気室とに仕切られており、液室内の作動油が気室内の気体の圧力によって加圧されるアキュムレータとされている。なお、リザーバRは、作動油を貯留するだけで液室を加圧しないものとされてもよい。また、リザーバRにおける液室と気室との仕切は、ダイヤフラムの他にもフリーピストンやベローズ等とされてもよい。
つづいて、ダンパ回路C1について説明する。ダンパ回路C1は、一端が伸側室R1に接続される第1通路13と、第1通路13の他端をリザーバRに接続する第2通路14と、第1通路13と第2通路14との接続点である第1接続点J1を圧側室R2に接続する第3通路15と、第1通路13に設けられて伸側室R1から第1接続点J1へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第1伸側減衰弁16と、第1通路13に第1伸側減衰弁と並列に設けられて第1接続点J1から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する第1伸側逆止弁17と、第2通路14に設けられて第1接続点J1からリザーバRへ向かう作動油の流れに抵抗を与える第1圧側減衰弁18と、第2通路14に第1圧側減衰弁18と並列に設けられてリザーバRから第1接続点J1へ向かう作動油の流れのみを許容する第1圧側逆止弁19とを備えている。
第1通路13は、前述したように、一端が伸側室R1に接続されるとともに、他端が第2通路14に接続されている。さらに、第2通路14は、一端が第1通路13に接続されるとともに、他端がリザーバRに接続されている。このように、第1通路13と第2通路14とが直列に接続されていて、伸側室R1は、第1通路13および第2通路14を介してリザーバRに接続される。また、第3通路15は、一端が圧側室R2に接続されるとともに他端が第1通路13と第2通路14との第1接続点J1に接続されている。よって、伸側室R1は、第1通路13および第3通路15を通じて圧側室R2に接続され、圧側室R2は、第3通路15および第2通路14を通じてリザーバRに接続されている。
第1伸側減衰弁16は、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1では、第1通路13を伸側室R1から第1接続点J1へ向かって通過する作動油の流れのみを許容して通過する作動油の流れに抵抗を与える減衰弁であって、たとえば、リーフバルブやポペット弁等とされる。なお、第1伸側減衰弁16は、オリフィスやチョークといった双方向の流れを許容する弁であってもよい。また、第1伸側逆止弁17は、第1通路13に第1伸側減衰弁と並列に設けられており、第1通路13を第1接続点J1から伸側室R1へ向かって通過する作動油の流れのみを許容し、作動油の逆向きの流れを阻止する。よって、作動油が第1通路13を伸側室R1から第1接続点J1へ向かって流れる場合には、作動油は第1伸側減衰弁16を通過し、反対に作動油が第1通路13を第1接続点J1から伸側室R1へ向かって流れる場合には、作動油は第1伸側逆止弁17を通過する。
第1圧側減衰弁18は、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1では、第2通路14を第1接続点J1からリザーバRへ向かって通過する作動油の流れのみを許容して通過する作動油の流れに抵抗を与える減衰弁であって、たとえば、リーフバルブやポペット弁等とされる。なお、第1圧側減衰弁18は、オリフィスやチョークといった双方向の流れを許容する弁であってもよい。また、第1圧側逆止弁19は、第2通路14に第1圧側減衰弁18と並列に設けられており、第2通路14をリザーバRから第1接続点J1へ向かって通過する作動油の流れのみを許容し、作動油の逆向きの流れを阻止する。よって、作動油が第2通路14を第1接続点J1からリザーバRへ向かって流れる場合には、作動油は第1圧側減衰弁18を通過し、反対に作動油が第2通路14をリザーバRから第1接続点J1へ向かって流れる場合には、作動油は第1圧側逆止弁19を通過する。
つづいて、ポンプPは、一端がリザーバRに接続されるとともに他端が切換弁V1に通じるポンプ通路20に設けられており、モータ21によって駆動されるとリザーバRから作動油を吸い込んで切換弁V1へ向けて吐出する一方向ポンプとされている。なお、ポンプPは、ギヤポンプとされているが、ピストンポンプやスクリューポンプ等、その他の種々の形式のポンプとされてもよい。また、ポンプ通路20には、ポンプ通路20をポンプPから切換弁V1へ向かう作動油の流れのみを許容するポンプ通路逆止弁22が設けられており、切換弁V1側からポンプPへ向けて作動油が逆流するのが防止される。
切換弁V1は、3つのポートa,t,pを備えた3ポート2位置の電磁切換弁とされており、第1通路13の途中にポートa,tを接続して第1伸側減衰弁16および第1伸側逆止弁17より伸側室側に設けられるともに、ポートpをポンプ通路20の他端に接続させている。具体的には、切換弁V1は、ポートaとポートtとを接続して第1通路13を連通させるとともにポートpを閉塞してポンプ通路20の他端を遮断する第1ポジション23aと、ポートtを閉塞して第1通路13を遮断するとともにポートaとポートpとを接続してポンプ通路20と伸側室R1とを連通させる第2ポジション23bとを備えた弁体23と、第1ポジション23aを採るように弁体23を付勢するばね24と、通電時にばね24の付勢力に抗して弁体23を第2ポジション23bへ切り換えるソレノイド25とを備えている。よって、ソレノイド25に通電せずに切換弁V1が第1ポジション23aを採る場合、ポンプ通路20が遮断されて、第1通路13を介して緩衝器本体1がダンパ回路C1に接続されてダンパ回路C1が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D1はダンパモードとなる。他方、ソレノイド25に通電して切換弁V1が第2ポジション23bを採る場合、第1通路13が遮断されて、ポンプ通路20が伸側室R1に接続されてポンプPが有効となり、車高調整機能付き緩衝器D1は、車高調整モードとなる。このように切換弁V1は、車高調整機能付き緩衝器D1をダンパ回路C1のみを有効とするダンパモードとポンプPを有効とする車高調整モードとの一方を選択して切り換えできる。
第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1は、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。まず、切換弁V1が第1ポジション23aを選択して車高調整機能付き緩衝器D1をダンパモードとした場合の作動を説明する。
ダンパモードでは、切換弁V1によって、伸側室R1が第1通路13を介してダンパ回路C1に接続されて、ダンパ回路C1を介して圧側室R2およびリザーバRに接続される一方、ポンプ通路20が遮断されて伸側室R1とポンプPとの接続が断たれる。
そして、緩衝器本体1が外力によって伸長すると、シリンダ2内でピストン3が図1中左方へ移動して伸側室R1を押し縮めるとともに圧側室R2を拡大させる。ピストン3の移動に伴って伸側室R1から押し出された作動油は、第1通路13の第1伸側減衰弁16を通過して第3通路15を介して拡大する圧側室R2へ移動する。緩衝器本体1の伸長作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出するため、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油量では圧側室R2の拡大した容積を賄えず、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出した体積分の作動油が圧側室R2内で不足する。この不足分の作動油は、リザーバRから第2通路14の第1圧側逆止弁19を通過して、第3通路15を経て圧側室R2へ供給される。緩衝器本体1が伸長作動を呈すると、前述したように、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油の流れに第1伸側減衰弁16が抵抗を与えるため、伸側室R1内の圧力が上昇する一方で圧側室R2内の圧力がリザーバR内の圧力と略等しくなるので、車高調整機能付き緩衝器D1は、緩衝器本体1の伸長を妨げる伸側減衰力を発生する。
緩衝器本体1が外力によって収縮すると、シリンダ2内でピストン3が図1中右方へ移動して圧側室R2を押し縮めるとともに伸側室R1を拡大させる。ピストン3の移動に伴って圧側室R2から押し出された作動油は、第3通路15および第1通路13の第1伸側逆止弁17を通過して拡大する伸側室R1へ移動する。緩衝器本体1の収縮作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内へ侵入するため、圧側室R2から押し出された作動油量は、伸側室R1で拡大する容積よりもピストンロッド4がシリンダ2内に侵入した体積分だけ過剰になる。この過剰分の作動油は、圧側室R2から第3通路15を通過した後、第2通路14の第1圧側減衰弁18を介してリザーバRに排出される。緩衝器本体1が収縮作動を呈すると、前述したように、圧側室R2からリザーバRへ移動する作動油の流れに第1圧側減衰弁18が抵抗を与えるため、伸側室R1内と圧側室R2内の圧力が上昇して略等しくなる。圧側室R2の圧力を受けるピストン3の受圧面積は、伸側室R1の圧力を受けるピストン3の受圧面積よりもピストンロッド4の断面積分だけ大きいので、車高調整機能付き緩衝器D1は、緩衝器本体1の収縮を妨げる圧側減衰力を発生する。
よって、車高調整機能付き緩衝器D1がダンパモードを採る場合、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると、車高調整機能付き緩衝器D1は、緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、切換弁V1が第2ポジション23bを選択して車高調整機能付き緩衝器D1を車高調整モードとした場合の作動を説明する。切換弁V1が第2ポジション23bを採ると、ポンプ通路20が伸側室R1に接続され、第1通路13が遮断されて、第1通路13の切換弁V1から第1接続点J1までの部分には作動油が流れない状態となる。
この状態で、モータ21でポンプPを駆動してリザーバRから伸側室R1へ作動油を供給すると、作動油がピストン3を図1中右方へ押して緩衝器本体1が収縮作動を呈する。緩衝器本体1の収縮作動に伴って、伸側室R1が拡大されるとともに圧側室R2が圧縮され、圧側室R2から作動油が押し出される。押し出された作動油は、第3通路15および第2通路14の第1圧側減衰弁18を通過してリザーバRに排出される。
よって、車高調整機能付き緩衝器D1が車高調整モードを採る場合、ポンプPの駆動によって、車高調整機能付き緩衝器D1は、懸架ばねSを押し縮めて緩衝器本体1を収縮させて車両の車高を下降させ得る。懸架ばねSが押し縮められた分だけ懸架ばねSの弾発力が増加して緩衝器本体1が伸長方向に付勢されるため伸側室R1内の圧力は高圧となる。なお、ポンプPの駆動を停止してもポンプ通路20にはポンプ通路逆止弁22が設けられており伸側室R1内の作動油は移動できないため、緩衝器本体1が収縮した状態に維持されて車高も下降した状態に維持される。また、車高調整機能付き緩衝器D1は、ポンプPから供給する作動油量に応じて緩衝器本体1の収縮量を調整できる。緩衝器本体1の伸縮変位を検知するストロークセンサを設ければ、緩衝器本体1の収縮量を把握できるので、前記ストロークセンサを利用して緩衝器本体1の収縮量を監視しつつモータ21を制御すれば緩衝器本体1の収縮量を予め決められた収縮量に調整できる。また、たとえば、車両の搭乗者がモータ21の通電の操作ができる場合には搭乗者が希望する車高となるまでポンプPを駆動させることで車高を搭乗者が調整できる。
なお、車高調整機能付き緩衝器D1が車高調整モードを採った状態で緩衝器本体1が収縮した状態で緩衝器本体1に伸長させる外力が作用して伸側室R1内の圧力が予め設定された上限圧に達すると、リリーフ弁10が開弁して伸側室R1内から作動油が圧側室R2へ移動できるようになる。よって、車高調整機能付き緩衝器D1が車高調整モードを採った状態で、搭乗者が車両を走行させてしまい緩衝器本体1が伸長する事態が生じても伸側室R1内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D1が保護される。
そして、車高調整機能付き緩衝器D1を車高調整モードとして車高を下降させた後、切換弁V1を第2ポジション23bから第1ポジション23aに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D1をダンパモードへすると、伸側室R1が第1通路13を通じてダンパ回路C1に接続され、ポンプ通路20が遮断されてポンプPと伸側室R1との接続が断たれる。すると、車高を下降させたことによって押し縮められていた懸架ばねSが緩衝器本体1を伸長させるので、伸側室R1から作動油が押し出されて第1伸側減衰弁16および第3通路15を通過して圧側室R2へ移動するとともに、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出する体積に見合った量の作動油がリザーバRから第1圧側逆止弁19および第3通路15を介して圧側室R2へ移動する。懸架ばねSは、自身が発揮する弾発力が車両における車体から受ける荷重と釣り合うまで伸長するため、緩衝器本体1も車高を下降させた状態から車高を下降させる前の状態に復帰する。よって、車高調整機能付き緩衝器D1は、車高調整モードからダンパモードへ切り替わると、懸架ばねSの弾発力を利用して車高調整前の状態に復帰できる。また、緩衝器本体1が収縮した状態から元の状態に復帰する際には、作動油の流れに第1伸側減衰弁16が抵抗を与えるので、緩衝器本体1の伸長速度は適度に緩やかとなり、搭乗者に不快感を与えずに済む。
前述したところでは、車高調整機能付き緩衝器D1が車高調整モードとなる場合、ポンプPの駆動によって車高を下降させていたが、車高調整モードにて車高を上昇させたい場合には、図2に示した第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2のように構成すればよい。
第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2は、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1に対して、切換弁V1の設置位置が異なっている。
車高調整機能付き緩衝器D1では、切換弁V1を第1通路13の途中に設けて切換弁V1の切り換えによって、伸側室R1とダンパ回路C1との接続と伸側室R1とポンプ通路20との接続を選択的に切り換えていたが、車高調整モードで車高を上昇させたい場合、車高調整機能付き緩衝器D2のように、切換弁V1を第3通路15の途中に設けて切換弁V1の切り換えによって、圧側室R2とダンパ回路C1との接続と圧側室R2とポンプ通路20との接続を選択的に切り換えればよい。
具体的には、図2に示すように、第3通路15の途中に切換弁V1のポートa,tを接続して、切換弁V1のポートpをポンプ通路20の他端に接続させればよい。つまり、切換弁V1は、第1ポジション23aを採ると、ポートaとポートtとを接続して第3通路15を連通させて圧側室R2とダンパ回路C1とを接続するとともにポートpを閉塞してポンプPと圧側室R2との接続を断つ。また、切換弁V1は、第2ポジション23bを採ると、ポートtを閉塞して第3通路15を遮断して圧側室R2とダンパ回路C1との接続を断つとともに、ポートaとポートpとを接続してポンプPを圧側室R2に接続させる。よって、ソレノイド25に通電せずに切換弁V1が第1ポジション23aを採る場合、ポンプ通路20が遮断されて、第3通路15を介して緩衝器本体1がダンパ回路C1に接続されてダンパ回路C1が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D2はダンパモードとなる。他方、ソレノイド25に通電して切換弁V1が第2ポジション23bを採る場合、第3通路15が遮断されて、ポンプ通路20が圧側室R2に接続されてポンプPが有効となり、車高調整機能付き緩衝器D2は、車高調整モードとなる。このように切換弁V1は、第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2にあっても、ダンパ回路C1のみを有効とするダンパモードとポンプPを有効とする車高調整モードとの一方を選択して切り換えできる。なお、第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2では、リリーフ通路9にリリーフ弁101が車高調整機能付き緩衝器D1とは逆向きに設けられている。
第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2は、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。まず、切換弁V1が第1ポジション23aを選択して車高調整機能付き緩衝器D1をダンパモードとした場合の作動を説明する。
ダンパモードでは、切換弁V1によって、圧側室R2が第3通路15を介してダンパ回路C1に接続されて、ダンパ回路C1を介して伸側室R1およびリザーバRに接続される一方、ポンプ通路20が遮断されて圧側室R2とポンプPとの接続が断たれる。
まず、緩衝器本体1が外力によって伸長すると、シリンダ2内でピストン3が図1中左方へ移動して伸側室R1を押し縮めるとともに圧側室R2を拡大させる。ピストン3の移動に伴って伸側室R1から押し出された作動油は、第1通路13の第1伸側減衰弁16を通過して第3通路15を介して拡大する圧側室R2へ移動する。緩衝器本体1の伸長作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出するため、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油量では圧側室R2の拡大した容積を賄えず、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出した体積分の作動油が圧側室R2内で不足する。この不足分の作動油は、リザーバRから第2通路14の第1圧側逆止弁19を通過して、第3通路15を経て圧側室R2へ供給される。緩衝器本体1が伸長作動を呈すると、前述したように、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油の流れに第1伸側減衰弁16が抵抗を与えるため、伸側室R1内の圧力が上昇する一方で圧側室R2内の圧力がリザーバR内の圧力と略等しくなるので、車高調整機能付き緩衝器D2は、緩衝器本体1の伸長を妨げる伸側減衰力を発生する。
つづいて、緩衝器本体1が外力によって収縮すると、シリンダ2内でピストン3が図1中右方へ移動して圧側室R2を押し縮めるとともに伸側室R1を拡大させる。ピストン3の移動に伴って圧側室R2から押し出された作動油は、第3通路15および第1通路13の第1伸側逆止弁17を通過して拡大する伸側室R1へ移動する。緩衝器本体1の収縮作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内へ侵入するため、圧側室R2から押し出された作動油量は、伸側室R1で拡大する容積よりもピストンロッド4がシリンダ2内に侵入した体積分だけ過剰になる。この過剰分の作動油は、圧側室R2から第3通路15を通過した後、第2通路14の第1圧側減衰弁18を介してリザーバRに排出される。緩衝器本体1が収縮作動を呈すると、前述したように、圧側室R2からリザーバRへ移動する作動油の流れに第1圧側減衰弁18が抵抗を与えるため、伸側室R1内と圧側室R2内の圧力が上昇して略等しくなる。圧側室R2の圧力を受けるピストン3の受圧面積は、伸側室R1の圧力を受けるピストン3の受圧面積よりもピストンロッド4の断面積分だけ大きいので、車高調整機能付き緩衝器D2は、緩衝器本体1の収縮を妨げる圧側減衰力を発生する。
よって、第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2がダンパモードを採る場合、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1と同様に、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると、車高調整機能付き緩衝器D1は、緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、切換弁V1が第2ポジション23bを選択して車高調整機能付き緩衝器D2を車高調整モードとした場合の作動を説明する。切換弁V1が第2ポジション23bを採ると、ポンプ通路20が圧側室R2に接続され、第3通路15が遮断されて、第3通路15の切換弁V1から第1接続点J1までの部分には作動油が流れない状態となる。
この状態で、モータ21でポンプPを駆動してリザーバRから圧側室R2へ作動油を供給すると、作動油がピストン3を図2中左方へ押して緩衝器本体1が伸長作動を呈する。緩衝器本体1の伸長作動に伴って、圧側室R2が拡大されるとともに伸側室R1が圧縮され、伸側室R1から作動油が押し出される。押し出された作動油は、第1通路13の第1伸側減衰弁16および第2通路14の第1圧側減衰弁18を通過してリザーバRに排出される。
よって、車高調整機能付き緩衝器D2が車高調整モードを採る場合、ポンプPの駆動によって、車高調整機能付き緩衝器D2は、緩衝器本体1を伸長させて車両における車体を持ち上げて車高を上昇させ得る。緩衝器本体1の伸長に伴って懸架ばねSも伸長して懸架ばねSの弾発力が減少するので、緩衝器本体1で車体の荷重を分担して支持するようになって圧側室R2内の圧力は高圧となる。なお、ポンプPの駆動を停止してもポンプ通路20にはポンプ通路逆止弁22が設けられており、圧側室R2内の作動油は移動できないため、緩衝器本体1が伸長した状態に維持され車高も上昇した状態に維持される。
また、車高調整機能付き緩衝器D2は、ポンプPから供給する作動油量に応じて緩衝器本体1の伸長量を調整できる。緩衝器本体1の伸縮変位を検知するストロークセンサを設ければ、緩衝器本体1の伸長量を把握できるので、前記ストロークセンサを利用して緩衝器本体1の伸長量を監視しつつモータ21を制御すれば緩衝器本体1の伸長量を予め決められた伸長量に調整できる。また、たとえば、車両の搭乗者がモータ21の通電の操作ができる場合には搭乗者が希望する車高となるまでポンプPを駆動させることで車高を搭乗者が調整できる。
なお、車高調整機能付き緩衝器D2にあっては、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力より所定圧以上上回ると開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れを許容するリリーフ弁101を設けている。このようにすれば、車高調整機能付き緩衝器D2が車高調整モードを採った状態で、搭乗者が車両を走行させてしまい緩衝器本体1が収縮する事態が生じても緩衝器本体1の収縮が許容され車体の振動を軽減できる。
そして、車高調整機能付き緩衝器D2を車高調整モードとして車高を上昇させた後、切換弁V1を第2ポジション23bから第1ポジション23aに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D2をダンパモードへすると、圧側室R2が第3通路15を通じてダンパ回路C1に接続され、ポンプ通路20が遮断されてポンプPと圧側室R2との接続が断たれる。すると、車高を上昇させたことによって伸長していた懸架ばねSと緩衝器本体1とが車体から受ける荷重で収縮するので、圧側室R2から作動油が押し出されて第1伸側逆止弁17を通過して伸側室R1へ移動するとともに、ピストンロッド4がシリンダ2内へ侵入する体積に見合った量の作動油が圧側室R2から第3通路15および第1圧側減衰弁18を介してリザーバRへ移動する。懸架ばねSは、自身が発揮する弾発力が車両における車体から受ける荷重と釣り合うまで収縮するため、緩衝器本体1も車高を上昇させた状態から車高を上昇させる前の状態に復帰する。よって、車高調整機能付き緩衝器D2は、車高調整モードからダンパモードへ切り替わると、車体から受ける荷重を利用して車高調整前の状態に復帰できる。また、緩衝器本体1が伸長した状態から元の状態に復帰する際には、作動油の流れに第1圧側減衰弁18が抵抗を与えるので、緩衝器本体1の収縮速度は適度に緩やかとなり、搭乗者に不快感を与えずに済む。
前述したところでは、車高調整機能付き緩衝器D1が車高調整モードとなる場合にポンプPの駆動によって車高を下降させ、車高調整機能付き緩衝器D2が車高調整モードとなる場合にポンプPの駆動によって車高を上昇させていたが、車高調整モードにて車高を上昇も下降もさせたい場合には、図3に示した第1の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D3のように構成すればよい。
第1の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D3は、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1に対して、切換弁V2の構成と設置位置が異なっている。
車高調整機能付き緩衝器D3では、切換弁V2を第1通路13と第3通路15の途中に設けて切換弁V2の切り換えによって、伸側室R1および圧側室R2とダンパ回路C1との接続と、伸側室R1とポンプ通路20との接続と、圧側室R2とポンプ通路20との接続とを選択的に切り換える。車高調整機能付き緩衝器D3では、車高調整モードは、車高を上昇するモードと車高を下降するモードとの2つのモードを備えており、切換弁V2の切り換えによって車高を上昇させるモードと車高を下降させるモードとに切り換え可能であるとともに、ダンパモードの選択も可能となっている。
具体的には、図3に示すように、切換弁V2は、5つのポートa1,b1,t1,t2,p1を備えた5ポート3位置の電磁切換弁とされており、左ポジション26a、中立ポジション26bおよび右ポジション26cを備えた弁体26と、弁体26を挟んで中立ポジション26bを採るように付勢するばね27a,27bと、プッシュプル型のソレノイド28とを備えている。また、切換弁V2は、第1通路13の途中にポートa1,t1を接続して第1通路13の途中であって第1伸側減衰弁16および第1伸側逆止弁17より伸側室側に設けられ、第3通路15の途中にポートb1,t2を接続して設けられるともに、ポートp1をポンプ通路20の他端に接続させている。
弁体26は、ソレノイド28へ通電しないとばね27a,27bによって中立ポジション26bを採り、ポートa1とポートt1とを接続して第1通路13を連通させ、ポートb1とポートt2とを接続して第3通路15を連通させるとともに、ポートp1を閉塞してポンプ通路20の他端を遮断する。
また、弁体26は、ソレノイド28の通電によって右方へ押されると左ポジション26aを採り、ポートt1を閉塞して第1通路13を遮断し、ポートa1とポートp1とを接続してポンプ通路20と伸側室R1とを連通させるとともに、ポートb1とポートt2とを接続して第3通路15を連通させる。
また、弁体26は、ソレノイド28の通電によって左方へ押されると右ポジション26cを採り、ポートt2を閉塞して第3通路15を遮断し、ポートb1とポートp1とを接続してポンプ通路20と圧側室R2とを連通させるとともに、ポートa1とポートt1とを接続して第1通路13を連通させる。
よって、ソレノイド28に通電せずに切換弁V2が中立ポジション26bを採る場合、ポンプ通路20が遮断されて、第1通路13と第3通路15を介して緩衝器本体1がダンパ回路C1に接続されてダンパ回路C1が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D3はダンパモードとなる。他方、ソレノイド28に通電して切換弁V2を左ポジション26aに切り換える場合、第1通路13が遮断されて、ポンプ通路20が伸側室R1に接続されてポンプPが有効となり、圧側室R2が第3通路15を介してダンパ回路C1に接続されて、車高調整機能付き緩衝器D3は、車高を下降させる車高調整モードとなる。さらに、ソレノイド28に通電して切換弁V2を右ポジション26cに切り換える場合、第3通路15が遮断されて、ポンプ通路20が圧側室R2に接続されてポンプPが有効となり、伸側室R1が第1通路13を介してダンパ回路C1に接続されて、車高調整機能付き緩衝器D3は、車高を上昇させる車高調整モードとなる。このように切換弁V2は、車高調整機能付き緩衝器D3をダンパ回路C1のみを有効とするダンパモードとポンプPを有効としつつ車高を下降させる車高調整モードと、ポンプPを有効としつつ車高を上昇させる車高調整モードとのうちから一つを選択して切り換えできる。
なお、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D3では、緩衝器本体1は、伸側室R1と圧側室R2とを接続するリリーフ通路9と、リリーフ通路9に設けられて伸側室R1の圧力が圧側室R2の圧力よりも高くなり伸側室R1の圧力と圧側室R2の圧力の差が開弁圧になると開弁して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油(液体)の流れを許容するとともに、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力よりも高くなり圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が開弁圧になると開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油(液体)の流れを許容するリリーフ弁102を備えている。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D3によれば、車高調整モードで車高を下降させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が伸長する事態が生じても伸側室R1内の圧力が過剰とならず、また、車高調整モードで車高を上昇させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が収縮する事態が生じても圧側室R2内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D3が保護される。
第1の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D3は、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。まず、切換弁V2が中立ポジション26bを選択して車高調整機能付き緩衝器D3をダンパモードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D3における緩衝器本体1とダンパ回路C1との接続状態は、ダンパモードとした状態の第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1における緩衝器本体1とダンパ回路C1との接続状態と同じになる。よって、第1の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D3は、ダンパモードを採る場合、ダンパモードの第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1と同様の作動を呈して、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると、緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、切換弁V2が左ポジション26aを選択して車高調整機能付き緩衝器D3を車高を下降させる車高調整モードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D3における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C1との接続状態は、車高調整モードとした状態の第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C1との接続状態と同じになる。よって、第1の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D3は、車高を下降させる車高調整モードを採る場合、車高調整モードの第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1と同様の作動を呈して、ポンプPの駆動によって緩衝器本体1を収縮させて車高を下降させ得る。車高を下降させた後、切換弁V2を中立ポジション26bに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D3をダンパモードにすれば、伸側室R1がダンパ回路C1を通じて圧側室R2およびリザーバRに接続されて緩衝器本体1の伸長が許容されるため、緩衝器本体1は、懸架ばねSの弾発力で車高の下降前の元の変位状態に復帰する。
さらに、切換弁V2が右ポジション26cを選択して車高調整機能付き緩衝器D3を車高を上昇させる車高調整モードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D3における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C1との接続状態は、車高調整モードとした状態の第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C1との接続状態と同じになる。よって、第1の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D3は、車高を上昇させる車高調整モードを採る場合、車高調整モードの第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2と同様の作動を呈して、ポンプPの駆動によって緩衝器本体1を伸長させて車高を上昇させ得る。車高を上昇させた後、切換弁V2を中立ポジション26bに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D3をダンパモードにすれば、圧側室R2内の作動油がダンパ回路C1を通じて伸側室R1およびリザーバRに移動できるようになって緩衝器本体1の収縮が許容されるため、緩衝器本体1は、収縮して車体の荷重を受けて車高の上昇前の元の変位状態に復帰する。
以上のように、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3は、作動油(液体)が充填されるシリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてシリンダ2内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてピストン3に連結されるピストンロッド4とを有する緩衝器本体1と、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢する懸架ばねSと、作動油(液体)を貯留するリザーバRと、伸側室R1、圧側室R2およびリザーバRに接続されて緩衝器本体1の伸縮時に緩衝器本体1に減衰力を発生させるダンパ回路C1と、リザーバRから液体を吸い込んで吐出可能なポンプPと、緩衝器本体1とダンパ回路C1およびポンプPとの間に設置されて緩衝器本体1をダンパ回路C1に接続して緩衝器本体1に減衰力を発生させるダンパモードと、緩衝器本体1をポンプPに接続する車高調整モードとに切り換え可能な切換弁V1,V2とを備えて構成されている。
このように構成された車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3では、切換弁V1,V2でダンパ回路C1とポンプPとを選択的に有効にできるので、緩衝器本体1が減衰力を発生する際にシリンダ2内で過不足となる作動油(液体)を給排するために利用されるリザーバRを車高調整時に緩衝器本体1内に供給する作動油(液体)を貯留するタンクとして利用できる。また、このように構成された車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3では、ポンプPを駆動して緩衝器本体1内に作動油(液体)を供給して緩衝器本体1を伸長或いは収縮或いは伸縮させ得るので、懸架ばねSのばね受を駆動するジャッキも不要となる。
以上より、このように構成された車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3によれば、従来の車高調整機能付き緩衝器で必要であったジャッキおよびジャッキ用のタンクが不要となるので、車高調整機能を備えていても小型化できる。
また、本実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3では、車高調整モードの状態では、切換弁V1,V2は、ポンプPを緩衝器本体1の伸側室R1と圧側室R2の一方に接続するとともに、伸側室R1と圧側室R2との他方をリザーバRにダンパ回路C1を介して接続する。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3によれば、車高調整時に、ダンパ回路C1を利用して伸側室R1と圧側室R2とのうち圧縮される室をリザーバRに接続するため、車高調整だけに圧縮側の室をリザーバRに連通する通路を備える必要がないので、より一層小型化できる。
また、本実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3では、ダンパ回路C1は、一端が伸側室R1に接続される第1通路13と、第1通路13の他端をリザーバRに接続する第2通路14と、第1通路13と第2通路14との接続点である第1接続点J1を圧側室R2に接続する第3通路15と、第1通路13に設けられて伸側室R1から第1接続点J1へ向かう作動油(液体)の流れに抵抗を与える第1伸側減衰弁16と、第1通路13に第1伸側減衰弁16と並列に設けられて第1接続点J1から伸側室R1へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第1伸側逆止弁17と、第2通路14に設けられて第1接続点J1からリザーバRへ向かう作動油(液体)の流れに抵抗を与える第1圧側減衰弁18と、第2通路14に第1圧側減衰弁18と並列に設けられてリザーバRから第1接続点J1へ向かう作動油(液体)の流れのみを許容する第1圧側逆止弁19とを備えている。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3によれば、車高調整モードからダンパモードに切り換わって緩衝器本体1が伸長或いは収縮して車高を車高調整前の元の状態に復帰させる際に、作動油(液体)の流れに第1伸側減衰弁16或いは第1圧側減衰弁18が抵抗を与えるため緩衝器本体1の伸縮が緩やかになって、搭乗者に不快感を与えずに済む。
さらに、切換弁V1が、ダンパモードで第1通路13を連通させてポンプPと緩衝器本体1との接続を断つ第1ポジション23aと、車高調整モードで第1通路13を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する第2ポジション23bとを備えている場合、車高調整機能付き緩衝器D1は、車高調整モードで緩衝器本体1を収縮さて車高を下降させ得る。また、切換弁V1が、ダンパモードで第3通路15を連通させてポンプPと緩衝器本体1との接続を断つ第1ポジション23aと、車高調整モードで第3通路15を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する第2ポジション23bを有する場合、車高調整機能付き緩衝器D2は、車高調整モードで緩衝器本体1を上昇さて車高を上昇させ得る。そしてさらに、切換弁V2が、ダンパモードで第1通路13と第3通路15とを連通させてポンプPと緩衝器本体1との接続を断つ中立ポジション26bと、車高調整モードで第1通路13を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する左ポジション26aと第3通路15を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する右ポジション26cとの2のポジションを選択的に採る場合、車高調整機能付き緩衝器D3は、車高調整モードで緩衝器本体1を上昇も下降もでき、車高を上昇および下降させ得る。
また、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1,D3では、緩衝器本体1は、伸側室R1と圧側室R2とを接続するリリーフ通路9と、リリーフ通路9に設けられて伸側室R1と圧側室R2の差圧が開弁圧になると開弁して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油(液体)の流れを許容するリリーフ弁10,102とを有している。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D1,D3によれば、車高調整モードで車高を下降させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が伸長する事態が生じても伸側室R1内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D1,D3が保護される。さらに、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D2,D3では、緩衝器本体1は、伸側室R1と圧側室R2とを接続するリリーフ通路9と、リリーフ通路9に設けられて圧側室R2と伸側室R1の差圧が開弁圧になると開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油(液体)の流れを許容するリリーフ弁101,102とを有している。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D2,D3によれば、車高調整モードで車高を上昇させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が収縮する事態が生じても圧側室R2内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D2,D3が保護される。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D4は、図4に示すように、緩衝器本体1と、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢する懸架ばねSと、液体を貯留するリザーバRと、ダンパ回路C2と、ポンプPと、切換弁V1とを備えている。第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4は、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1に対して、ダンパ回路C2の構成が異なっている。
ダンパ回路C2は、一端が伸側室R1に接続される第4通路31と、圧側室R2を第4通路31の他端に接続する第5通路32と、第4通路31と第5通路32との接続点である第2接続点J2をリザーバRに接続する第6通路33と、第4通路31に設けられて伸側室R1から第2接続点J2へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第2伸側減衰弁34と、第4通路31に第2伸側減衰弁34と並列に設けられて第2接続点J2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する第2伸側逆止弁35と、第5通路32に設けられて圧側室R2から第2接続点J2へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第2圧側減衰弁36と、第5通路32に第2圧側減衰弁36と並列に設けられて第2接続点J2から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する第2圧側逆止弁37とを備えて構成されている。
第4通路31は、前述したように、一端が伸側室R1に接続されるとともに、他端が第5通路32に接続されている。さらに、第5通路32は、一端が圧側室R2に接続されるとともに、他端が第4通路31に接続されている。このように、第4通路31と第5通路32とが直列に接続されていて、伸側室R1は、第4通路31および第5通路32を介して圧側室R2に接続される。また、第6通路33は、一端が第4通路31と第5通路32との第2接続点J2に接続され、他端がリザーバRに接続されている。よって、伸側室R1と圧側室R2とは、第4通路31および第5通路32を通じて互いに接続されている。また、伸側室R1は、第4通路31および第6通路33を通じてリザーバRに接続され、圧側室R2は、第5通路32および第6通路33を通じてリザーバRに接続されている。
第2伸側減衰弁34は、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4では、第4通路31を伸側室R1から第2接続点J2へ向かって通過する作動油の流れのみを許容して通過する作動油の流れに抵抗を与える減衰弁であって、たとえば、リーフバルブやポペット弁等とされる。なお、第2伸側減衰弁34は、オリフィスやチョークといった双方向の流れを許容する弁であってもよい。また、第2伸側逆止弁35は、第4通路31に第2伸側減衰弁34と並列に設けられており、第4通路31を第2接続点J2から伸側室R1へ向かって通過する作動油の流れのみを許容し、作動油の逆向きの流れを阻止する。よって、作動油が第4通路31を伸側室R1から第2接続点J2へ向かって流れる場合には、作動油は第2伸側減衰弁34を通過し、反対に作動油が第4通路31を第2接続点J2から伸側室R1へ向かって流れる場合には、作動油は第2伸側逆止弁35を通過する。
第2圧側減衰弁36は、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4では、第5通路32を圧側室R2から第2接続点J2へ向かって通過する作動油の流れのみを許容して通過する作動油の流れに抵抗を与える減衰弁であって、たとえば、リーフバルブやポペット弁等とされる。なお、第2圧側減衰弁36は、オリフィスやチョークといった双方向の流れを許容する弁であってもよい。また、第2圧側逆止弁37は、第5通路32に第2圧側減衰弁36と並列に設けられており、第5通路32を第2接続点J2から圧側室R2へ向かって通過する作動油の流れのみを許容し、作動油の逆向きの流れを阻止する。よって、作動油が第5通路32を圧側室R2から第2接続点J2へ向かって流れる場合には、作動油は第2圧側減衰弁36を通過し、反対に作動油が第5通路32を第2接続点J2から圧側室R2へ向かって流れる場合には、作動油は第2圧側逆止弁37を通過する。
切換弁V1は、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1における切換弁V1と同様に、3つのポートa,t,pを備えた3ポート2位置の電磁切換弁であり、第4通路31の途中にポートa,tを接続して第2伸側減衰弁34および第2伸側逆止弁35より伸側室側に設けられるともに、ポートpをポンプ通路20の他端に接続させている。具体的には、切換弁V1は、ポートaとポートtとを接続して第4通路31を連通させるとともにポートpを閉塞してポンプ通路20の他端を遮断する第1ポジション23aと、ポートtを閉塞して第4通路31を遮断するとともにポートaとポートpとを接続してポンプ通路20と伸側室R1とを連通させる第2ポジション23bとを備えた弁体23と、第1ポジション23aを採るように弁体23を付勢するばね24と、通電時にばね24の付勢力に抗して弁体23を第2ポジション23bへ切り換えるソレノイド25とを備えている。よって、ソレノイド25に通電せずに切換弁V1が第1ポジション23aを採る場合、ポンプ通路20が遮断されて、第4通路31を介して緩衝器本体1がダンパ回路C2に接続されてダンパ回路C2が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D4はダンパモードとなる。他方、ソレノイド25に通電して切換弁V1が第2ポジション23bを採る場合、第4通路31が遮断されて、ポンプ通路20が伸側室R1に接続されてポンプPが有効となり、車高調整機能付き緩衝器D4は、車高調整モードとなる。このように切換弁V1は、車高調整機能付き緩衝器D1をダンパ回路C2のみを有効とするダンパモードとポンプPを有効とする車高調整モードとの一方を選択して切り換えできる。
第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4は、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。まず、切換弁V1が第1ポジション23aを選択して車高調整機能付き緩衝器D4をダンパモードとした場合の作動を説明する。
ダンパモードでは、切換弁V1によって、ダンパ回路C2を介して伸側室R1と圧側室R2とリザーバRとが互いに接続される一方、ポンプ通路20が遮断されて伸側室R1とポンプPとの接続が断たれる。
そして、緩衝器本体1が外力によって伸長すると、シリンダ2内でピストン3が図4中左方へ移動して伸側室R1を押し縮めるとともに圧側室R2を拡大させる。ピストン3の移動に伴って伸側室R1から押し出された作動油は、第4通路31の第2伸側減衰弁34を通過して第5通路32の第2圧側逆止弁37を介して拡大する圧側室R2へ移動する。緩衝器本体1の伸長作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出するため、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油量では圧側室R2の拡大した容積を賄えず、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出した体積分の作動油が圧側室R2内で不足する。この不足分の作動油は、リザーバRから第6通路33および第5通路32の第2圧側逆止弁37を通過して圧側室R2へ供給される。緩衝器本体1が伸長作動を呈すると、前述したように、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油の流れに第2伸側減衰弁34が抵抗を与えるため、伸側室R1内の圧力が上昇する一方で圧側室R2内の圧力がリザーバR内の圧力と略等しくなるので、車高調整機能付き緩衝器D4は、緩衝器本体1の伸長を妨げる伸側減衰力を発生する。
緩衝器本体1が外力によって収縮すると、シリンダ2内でピストン3が図1中右方へ移動して圧側室R2を押し縮めるとともに伸側室R1を拡大させる。ピストン3の移動に伴って圧側室R2から押し出された作動油は、第5通路32における第2圧側減衰弁36および第4通路31の第2伸側逆止弁35を通過して拡大する伸側室R1へ移動する。緩衝器本体1の収縮作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内へ侵入するため、圧側室R2から押し出された作動油量は、伸側室R1で拡大する容積よりもピストンロッド4がシリンダ2内に侵入した体積分だけ過剰になる。この過剰分の作動油は、圧側室R2から第5通路32における第2圧側減衰弁36および第6通路33を通過してリザーバRに排出される。よって、緩衝器本体1が収縮作動を呈すると、圧側室R2から押し出された作動油は、第2圧側減衰弁36を必ず通過し、この作動油の流れに抵抗が与えられる。そのため、圧側室R2内の圧力が上昇し、伸側室R1内の圧力はリザーバR内の圧力と略等しくなって、車高調整機能付き緩衝器D4は、緩衝器本体1の収縮を妨げる圧側減衰力を発生する。
よって、車高調整機能付き緩衝器D4がダンパモードを採る場合、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると、車高調整機能付き緩衝器D4は、緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、切換弁V1が第2ポジション23bを選択して車高調整機能付き緩衝器D4を車高調整モードとした場合の作動を説明する。切換弁V1が第2ポジション23bを採ると、ポンプ通路20が伸側室R1に接続され、第4通路31が遮断されて、第4通路31の切換弁V1から第2接続点J2までの部分には作動油が流れない状態となる。
この状態で、モータ21でポンプPを駆動してリザーバRから伸側室R1へ作動油を供給すると、作動油がピストン3を図4中右方へ押して緩衝器本体1が収縮作動を呈する。緩衝器本体1の収縮作動に伴って、伸側室R1が拡大されるとともに圧側室R2が圧縮され、圧側室R2から作動油が押し出される。押し出された作動油は、第5通路32の第2圧側減衰弁36および第6通路33を通過してリザーバRに排出される。
よって、車高調整機能付き緩衝器D4が車高調整モードを採る場合、ポンプPの駆動によって、車高調整機能付き緩衝器D4は、懸架ばねSを押し縮めて緩衝器本体1を収縮させて車両の車高を下降させ得る。懸架ばねSが押し縮められた分だけ懸架ばねSの弾発力が増加して緩衝器本体1が伸長方向に付勢されるため伸側室R1内の圧力は高圧となる。なお、ポンプPの駆動を停止してもポンプ通路20にはポンプ通路逆止弁22が設けられており伸側室R1内の作動油は移動できないため、緩衝器本体1が収縮した状態に維持されて車高も下降した状態に維持される。また、車高調整機能付き緩衝器D4は、ポンプPから供給する作動油量に応じて緩衝器本体1の収縮量を調整できる。緩衝器本体1の伸縮変位を検知するストロークセンサを設ければ、緩衝器本体1の伸長量を把握できるので、緩衝器本体1の収縮量を監視しつつモータ21を制御すれば緩衝器本体1の収縮量を予め決められた収縮量に調整できる。また、たとえば、車両の搭乗者がモータ21の通電の操作ができる場合には搭乗者が希望する車高となるまでポンプPを駆動させることで車高を搭乗者が調整できる。
なお、車高調整機能付き緩衝器D4が車高調整モードを採った状態で緩衝器本体1が収縮した状態で緩衝器本体1に伸長させる外力が作用して伸側室R1内の圧力が予め設定された上限圧に達すると、リリーフ弁10が開弁して伸側室R1内から作動油が圧側室R2へ移動できるようになる。よって、車高調整機能付き緩衝器D4が車高調整モードを採った状態で、搭乗者が車両を走行させてしまい緩衝器本体1が伸長する事態が生じても伸側室R1内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D4が保護される。
そして、車高調整機能付き緩衝器D4を車高調整モードとして車高を下降させた後、切換弁V1を第2ポジション23bから第1ポジション23aに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D4をダンパモードへすると、伸側室R1が第4通路31を通じてダンパ回路C2に接続され、ポンプ通路20が遮断されてポンプPと伸側室R1との接続が断たれる。すると、車高を下降させたことによって押し縮められていた懸架ばねSが緩衝器本体1を伸長させるので、伸側室R1から作動油が押し出されて第2伸側減衰弁34および第5通路32の第2圧側逆止弁37を通過して圧側室R2へ移動するとともに、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出する体積に見合った量の作動油がリザーバRから第6通路33および第2圧側逆止弁37を介して圧側室R2へ移動する。懸架ばねSは、自身が発揮する弾発力が車両における車体から受ける荷重と釣り合うまで伸長するため、緩衝器本体1も車高を下降させた状態から車高を下降させる前の状態に復帰する。よって、車高調整機能付き緩衝器D4は、車高調整モードからダンパモードへ切り替わると、懸架ばねSの弾発力を利用して車高調整前の状態に復帰できる。また、緩衝器本体1が収縮した状態から元の状態に復帰する際には、作動油の流れに第2伸側減衰弁34が抵抗を与えるので、緩衝器本体1の伸長速度は適度に緩やかとなり、搭乗者に不快感を与えずに済む。
前述したところでは、車高調整機能付き緩衝器D4が車高調整モードとなる場合、ポンプPの駆動によって車高を下降させていたが、車高調整モードにて車高を上昇させたい場合には、図5に示した第2の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5のように構成すればよい。
第2の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5は、第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4に対して、切換弁V1の設置位置が異なっている。
車高調整機能付き緩衝器D4では、切換弁V1を第4通路31の途中に設けて切換弁V1の切り換えによって、伸側室R1とダンパ回路C2との接続と伸側室R1とポンプ通路20との接続を選択的に切り換えていたが、車高調整モードで車高を上昇させたい場合、車高調整機能付き緩衝器D5のように、切換弁V1を第5通路32の途中に設けて切換弁V1の切り換えによって、圧側室R2とダンパ回路C2との接続と圧側室R2とポンプ通路20との接続を選択的に切り換えればよい。
具体的には、図5に示すように、第5通路32の途中に切換弁V1のポートa,tを接続して、切換弁V1のポートpをポンプ通路20の他端に接続させればよい。つまり、切換弁V1は、第1ポジション23aを採ると、ポートaとポートtとを接続して第5通路32を連通させて圧側室R2とダンパ回路C2とを接続するとともにポートpを閉塞してポンプPと圧側室R2との接続を断つ。また、切換弁V1は、第2ポジション23bを採ると、ポートtを閉塞して第5通路32を遮断して圧側室R2とダンパ回路C2との接続を断つとともに、ポートaとポートpとを接続してポンプPを圧側室R2に接続させる。よって、ソレノイド25に通電せずに切換弁V1が第1ポジション23aを採る場合、ポンプ通路20が遮断されて、第5通路32を介して緩衝器本体1がダンパ回路C2に接続されてダンパ回路C2が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D5はダンパモードとなる。他方、ソレノイド25に通電して切換弁V1が第2ポジション23bを採る場合、第5通路32が遮断されて、ポンプ通路20が圧側室R2に接続されてポンプPが有効となり、車高調整機能付き緩衝器D5は、車高調整モードとなる。このように切換弁V1は、第2の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5にあっても、ダンパ回路C2のみを有効とするダンパモードとポンプPを有効とする車高調整モードとの一方を選択して切り換えできる。なお、第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5では、リリーフ通路9にリリーフ弁101が車高調整機能付き緩衝器D1とは逆向きに設けられている。
第2の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5は、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。まず、切換弁V1が第1ポジション23aを選択して車高調整機能付き緩衝器D5をダンパモードとした場合の作動を説明する。
ダンパモードでは、切換弁V1によって、圧側室R2が第5通路32を介してダンパ回路C2に接続されて、ダンパ回路C2を介して伸側室R1と圧側室R2とリザーバRとが互いに接続される一方、ポンプ通路20が遮断されて圧側室R2とポンプPとの接続が断たれる。
まず、緩衝器本体1が外力によって伸長すると、シリンダ2内でピストン3が図1中左方へ移動して伸側室R1を押し縮めるとともに圧側室R2を拡大させる。ピストン3の移動に伴って伸側室R1から押し出された作動油は、第4通路31の第2伸側減衰弁34を通過して第5通路32の第2圧側逆止弁37を介して拡大する圧側室R2へ移動する。緩衝器本体1の伸長作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出するため、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油量では圧側室R2の拡大した容積を賄えず、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出した体積分の作動油が圧側室R2内で不足する。この不足分の作動油は、リザーバRから第6通路33および第5通路32の第2圧側逆止弁37を通過して圧側室R2へ供給される。緩衝器本体1が伸長作動を呈すると、前述したように、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油の流れに第2伸側減衰弁34が抵抗を与えるため、伸側室R1内の圧力が上昇する一方で圧側室R2内の圧力がリザーバR内の圧力と略等しくなるので、車高調整機能付き緩衝器D2は、緩衝器本体1の伸長を妨げる伸側減衰力を発生する。
つづいて、緩衝器本体1が外力によって収縮すると、シリンダ2内でピストン3が図1中右方へ移動して圧側室R2を押し縮めるとともに伸側室R1を拡大させる。ピストン3の移動に伴って圧側室R2から押し出された作動油は、第5通路32の第2圧側減衰弁36および第4通路31の第2伸側逆止弁35を通過して拡大する伸側室R1へ移動する。緩衝器本体1の収縮作動時には、ピストンロッド4がシリンダ2内へ侵入するため、圧側室R2から押し出された作動油量は、伸側室R1で拡大する容積よりもピストンロッド4がシリンダ2内に侵入した体積分だけ過剰になる。この過剰分の作動油は、圧側室R2から第5通路32の第2圧側減衰弁36を通過した後、第6通路33を介してリザーバRに排出される。緩衝器本体1が収縮作動を呈すると、前述したように、圧側室R2から押し出された作動油は、必ず第2圧側減衰弁36を通過し、この作動油の流れに抵抗が与えられる。そのため、圧側室R2内の圧力が上昇し、伸側室R1内の圧力はリザーバR内の圧力と略等しくなって、車高調整機能付き緩衝器D5は、緩衝器本体1の収縮を妨げる圧側減衰力を発生する。
よって、車高調整機能付き緩衝器D5がダンパモードを採る場合、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると、車高調整機能付き緩衝器D5は、緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、切換弁V1が第2ポジション23bを選択して車高調整機能付き緩衝器D5を車高調整モードとした場合の作動を説明する。切換弁V1が第2ポジション23bを採ると、ポンプ通路20が圧側室R2に接続され、第5通路32が遮断されて、第5通路32の切換弁V1から第2接続点J2までの部分には作動油が流れない状態となる。
この状態で、モータ21でポンプPを駆動してリザーバRから圧側室R2へ作動油を供給すると、作動油がピストン3を図5中左方へ押して緩衝器本体1が伸長作動を呈する。緩衝器本体1の伸長作動に伴って、圧側室R2が拡大されるとともに伸側室R1が圧縮され、伸側室R1から作動油が押し出される。押し出された作動油は、第4通路31の第2伸側減衰弁34および第6通路33を通過してリザーバRに排出される。
よって、車高調整機能付き緩衝器D5が車高調整モードを採る場合、ポンプPの駆動によって、車高調整機能付き緩衝器D5は、緩衝器本体1を伸長させて車両における車体を持ち上げて車高を上昇させ得る。緩衝器本体1の伸長に伴って懸架ばねSも伸長して懸架ばねSの弾発力が減少するので、緩衝器本体1で車体の荷重を分担して支持するようになって圧側室R2内の圧力は高圧となる。なお、ポンプPの駆動を停止してもポンプ通路20にはポンプ通路逆止弁22が設けられており、伸側室R1内の作動油は移動できないため、緩衝器本体1が伸長した状態に維持され車高も上昇した状態に維持される。
また、車高調整機能付き緩衝器D5は、ポンプPから供給する作動油量に応じて緩衝器本体1の伸長量を調整できる。緩衝器本体1の伸縮変位を検知するストロークセンサを設ければ、緩衝器本体1の伸長量を把握できるので、前記ストロークセンサを利用して緩衝器本体1の伸長量を監視しつつモータ21を制御すれば緩衝器本体1の伸長量を予め決められた伸長量に調整できる。また、たとえば、車両の搭乗者がモータ21の通電の操作ができる場合には搭乗者が希望する車高となるまでポンプPを駆動させることで車高を搭乗者が調整できる。
なお、車高調整機能付き緩衝器D5にあっては、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力より所定圧以上上回ると開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れを許容するリリーフ弁101を設けている。このようにすれば、車高調整機能付き緩衝器D5が車高調整モードを採った状態で、搭乗者が車両を走行させてしまい緩衝器本体1が収縮する事態が生じても緩衝器本体1の収縮が許容され車体の振動を軽減できる。
そして、車高調整機能付き緩衝器D5を車高調整モードとして車高を上昇させた後、切換弁V1を第2ポジション23bから第1ポジション23aに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D2をダンパモードへすると、圧側室R2が第5通路32を通じてダンパ回路C2に接続され、ポンプ通路20が遮断されてポンプPと圧側室R2との接続が断たれる。すると、車高を上昇させたことによって伸長していた懸架ばねSと緩衝器本体1とが車体から受ける荷重で収縮するので、圧側室R2から作動油が押し出されて第2圧側減衰弁36および第2伸側逆止弁35を通過して伸側室R1へ移動するとともに、ピストンロッド4がシリンダ2内へ侵入する体積に見合った量の作動油が圧側室R2から第5通路32の第2圧側減衰弁36および第6通路33を介してリザーバRへ移動する。懸架ばねSは、自身が発揮する弾発力が車両における車体から受ける荷重と釣り合うまで収縮するため、緩衝器本体1も車高を上昇させた状態から車高を上昇させる前の状態に復帰する。よって、車高調整機能付き緩衝器D5は、車高調整モードからダンパモードへ切り替わると、車体から受ける荷重を利用して車高調整前の状態に復帰できる。また、緩衝器本体1が伸長した状態から元の状態に復帰する際には、作動油の流れに第2圧側減衰弁36が抵抗を与えるので、緩衝器本体1の収縮速度は適度に緩やかとなり、搭乗者に不快感を与えずに済む。
前述したところでは、車高調整機能付き緩衝器D4が車高調整モードとなる場合にポンプPの駆動によって車高を下降させ、車高調整機能付き緩衝器D5が車高調整モードとなる場合にポンプPの駆動によって車高を上昇させていたが、車高調整モードにて車高を上昇も下降もさせたい場合には、図6に示した第2の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D6のように構成すればよい。
第2の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D6は、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1に対して、切換弁V2の構成と設置位置が異なっている。
車高調整機能付き緩衝器D6では、切換弁V2を第4通路31と第5通路32の途中に設けて切換弁V2の切り換えによって、伸側室R1および圧側室R2とダンパ回路C2との接続と、伸側室R1とポンプ通路20との接続と、圧側室R2とポンプ通路20との接続とを選択的に切り換える。車高調整機能付き緩衝器D6では、車高調整モードは、車高を上昇するモードと車高を下降するモードとの2つのモードを備えており、切換弁V2の切り換えによって車高を上昇させるモードと車高を下降させるモードとに切り換え可能であるとともに、ダンパモードの選択も可能となっている。
切換弁V2の構成は、第1の実施の形態の第2変形例における車高調整機能付き緩衝器D3における切換弁V2と同様である。そして、切換弁V2は、第4通路31の途中にポートa1,t1を接続して第4通路31の途中であって第2伸側減衰弁34および第2伸側逆止弁35より伸側室側に設けられ、第5通路32の途中にポートb1,t2を接続して第5通路32の途中であって第2圧側減衰弁36および第2圧側逆止弁37より圧側室側に設けられるともに、ポートp1をポンプ通路20の他端に接続させている。
弁体26は、ソレノイド28へ通電しないとばね27a,27bによって中立ポジション26bを採り、ポートa1とポートt1とを接続して第4通路31を連通させ、ポートb1とポートt2とを接続して第5通路32を連通させるとともに、ポートp1を閉塞してポンプ通路20の他端を遮断する。
また、弁体26は、ソレノイド28の通電によって右方へ押されると左ポジション26aを採り、ポートt1を閉塞して第4通路31を遮断し、ポートa1とポートp1とを接続してポンプ通路20と伸側室R1とを連通させるとともに、ポートb1とポートt2とを接続して第5通路32を連通させる。
また、弁体26は、ソレノイド28の通電によって左方へ押されると右ポジション26cを採り、ポートt2を閉塞して第5通路32を遮断し、ポートb1とポートp1とを接続してポンプ通路20と圧側室R2とを連通させるとともに、ポートa1とポートt1とを接続して第4通路31を連通させる。
よって、ソレノイド28に通電せずに切換弁V2が中立ポジション26bを採る場合、ポンプ通路20が遮断されて、第4通路31と第5通路32を介して緩衝器本体1がダンパ回路C2に接続されてダンパ回路C2が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D6はダンパモードとなる。
他方、ソレノイド28に通電して切換弁V2を左ポジション26aに切り換える場合、第4通路31が遮断されて、ポンプ通路20が伸側室R1に接続されてポンプPが有効となり、圧側室R2が第5通路32を介してダンパ回路C2に接続されて、車高調整機能付き緩衝器D6は、車高を下降させる車高調整モードとなる。さらに、ソレノイド28に通電して切換弁V2を右ポジション26cに切り換える場合、第5通路32が遮断されて、ポンプ通路20が圧側室R2に接続されてポンプPが有効となり、伸側室R1が第4通路31を介してダンパ回路C2に接続されて、車高調整機能付き緩衝器D6は、車高を上昇させる車高調整モードとなる。このように切換弁V2は、車高調整機能付き緩衝器D6をダンパ回路C2のみを有効とするダンパモードとポンプPを有効としつつ車高を下降させる車高調整モードと、ポンプPを有効としつつ車高を上昇させる車高調整モードとのうちから一つを選択して切り換えできる。
なお、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D6では、緩衝器本体1は、伸側室R1と圧側室R2とを接続するリリーフ通路9と、リリーフ通路9に設けられて伸側室R1の圧力が圧側室R2の圧力よりも高くなり伸側室R1の圧力と圧側室R2の圧力の差が開弁圧になると開弁して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油(液体)の流れを許容するとともに、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力よりも高くなり圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が開弁圧になると開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油(液体)の流れを許容するリリーフ弁102を備えている。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D6によれば、車高調整モードで車高を下降させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が伸長する事態が生じても伸側室R1内の圧力が過剰とならず、また、車高調整モードで車高を上昇させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が収縮する事態が生じても圧側室R2内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D6が保護される。
第2の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D6は、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。まず、切換弁V2が中立ポジション26bを選択して車高調整機能付き緩衝器D6をダンパモードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D4における緩衝器本体1とダンパ回路C2との接続状態は、ダンパモードとした状態の第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4における緩衝器本体1とダンパ回路C2との接続状態と同じになる。よって、第2の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D6は、ダンパモードを採る場合、ダンパモードの第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4と同様の作動を呈して、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると、緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、切換弁V2が左ポジション26aを選択して車高調整機能付き緩衝器D6を車高を下降させる車高調整モードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D6における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C2との接続状態は、車高調整モードとした状態の第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C2との接続状態と同じになる。よって、第2の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D6は、車高を下降させる車高調整モードを採る場合、車高調整モードの第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4と同様の作動を呈して、ポンプPの駆動によって緩衝器本体1を収縮させて車高を下降させ得る。車高を下降させた後、切換弁V2を中立ポジション26bに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D6をダンパモードにすれば、伸側室R1内の作動油がダンパ回路C2を通じて圧側室R2およびリザーバRに接続されて緩衝器本体1の伸長が許容されるため、緩衝器本体1は、懸架ばねSの弾発力で車高の下降前の元の変位状態に復帰する。
さらに、切換弁V2が右ポジション26cを選択して車高調整機能付き緩衝器D6を車高を上昇させる車高調整モードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D6における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C2との接続状態は、車高調整モードとした状態の第2の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5における緩衝器本体1とポンプPおよびダンパ回路C2との接続状態と同じになる。よって、第2の実施の形態の第2変形例の車高調整機能付き緩衝器D6は、車高を上昇させる車高調整モードを採る場合、車高調整モードの第2の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D5と同様の作動を呈して、ポンプPの駆動によって緩衝器本体1を伸長させて車高を上昇させ得る。車高を上昇させた後、切換弁V2を中立ポジション26bに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D6をダンパモードにすれば、圧側室R2内の作動油がダンパ回路C2を通じて伸側室R1およびリザーバRに移動できるようになって緩衝器本体1の収縮が許容されるため、緩衝器本体1は、収縮して車体の荷重を受けて車高の上昇前の元の変位状態に復帰する。
以上のように、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6は、作動油(液体)が充填されるシリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてシリンダ2内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてピストン3に連結されるピストンロッド4とを有する緩衝器本体1と、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢する懸架ばねSと、作動油(液体)を貯留するリザーバRと、伸側室R1、圧側室R2およびリザーバRに接続されて緩衝器本体1の伸縮時に緩衝器本体1に減衰力を発生させるダンパ回路C1と、リザーバRから液体を吸い込んで吐出可能なポンプPと、緩衝器本体1とダンパ回路C1およびポンプPとの間に設置されて緩衝器本体1をダンパ回路C1に接続して緩衝器本体1に減衰力を発生させるダンパモードと、緩衝器本体1をポンプPに接続する車高調整モードとに切り換え可能な切換弁V1,V2とを備えて構成されている。
このように構成された車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6では、切換弁V1,V2でダンパ回路C2とポンプPとを選択的に有効にできるので、緩衝器本体1が減衰力を発生する際にシリンダ2内で過不足となる作動油(液体)を給排するために利用されるリザーバRを車高調整時に緩衝器本体1内に供給する作動油(液体)を貯留するタンクとして利用できる。また、このように構成された車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6では、ポンプPを駆動して緩衝器本体1内に作動油(液体)を供給して緩衝器本体1を伸長或いは収縮或いは伸縮させ得るので、懸架ばねSのばね受を駆動するジャッキも不要となる。
以上より、このように構成された車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6によれば、従来の車高調整機能付き緩衝器で必要であったジャッキおよびジャッキ用のタンクが不要となるので、車高調整機能を備えていても小型化できる。
また、本実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6では、車高調整モードの状態では、切換弁V1,V2は、ポンプPを緩衝器本体1の伸側室R1と圧側室R2の一方に接続するとともに、伸側室R1と圧側室R2との他方をリザーバRにダンパ回路C2を介して接続する。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6によれば、車高調整時に、ダンパ回路C2を利用して伸側室R1と圧側室R2とのうち圧縮される室をリザーバRに接続するため、車高調整だけに圧縮側の室をリザーバRに連通する通路を備える必要がないので、より一層小型化できる。
また、本実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6では、ダンパ回路C2は、一端が伸側室R1に接続される第4通路31と、圧側室R2を第4通路31の他端に接続する第5通路32と、第4通路31と第5通路32との接続点である第2接続点J2をリザーバRに接続する第6通路33と、第4通路31に設けられて伸側室R1から第2接続点J2へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第2伸側減衰弁34と、第4通路31に第2伸側減衰弁34と並列に設けられて第2接続点J2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する第2伸側逆止弁35と、第5通路32に設けられて圧側室R2から第2接続点J2へ向かう作動油の流れに抵抗を与える第2圧側減衰弁36と、第5通路32に第2圧側減衰弁36と並列に設けられて第2接続点J2から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する第2圧側逆止弁37とを備えている。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D4,D5,D6によれば、車高調整モードからダンパモードに切り換わって緩衝器本体1が伸長或いは収縮して車高を車高調整前の元の状態に復帰させる際に、作動油(液体)の流れに第2伸側減衰弁34或いは第2圧側減衰弁36が抵抗を与えるため緩衝器本体1の伸縮が緩やかになって、搭乗者に不快感を与えずに済む。
さらに、切換弁V1が、ダンパモードで第4通路31を連通させてポンプPと緩衝器本体1との接続を断つ第1ポジション23aと、車高調整モードで第4通路31を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する第2ポジション23bとを備えている場合、車高調整機能付き緩衝器D4は、車高調整モードで緩衝器本体1を収縮さて車高を下降させ得る。また、切換弁V1が、ダンパモードで第5通路32を連通させてポンプPと緩衝器本体1との接続を断つ第1ポジション23aと、車高調整モードで第5通路32を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する第2ポジション23bを有する場合、車高調整機能付き緩衝器D5は、車高調整モードで緩衝器本体1を上昇さて車高を上昇させ得る。そしてさらに、切換弁V2が、ダンパモードで第4通路31と第5通路32とを連通させてポンプPと緩衝器本体1との接続を断つ中立ポジション26bと、車高調整モードで第4通路31を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する左ポジション26aと第5通路32を遮断してポンプPを緩衝器本体1に接続する右ポジション26cとの2のポジションを選択的に採る場合、車高調整機能付き緩衝器D6は、車高調整モードで緩衝器本体1を上昇も下降もでき、車高を上昇および下降させ得る。
また、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4,D6では、緩衝器本体1は、伸側室R1と圧側室R2とを接続するリリーフ通路9と、リリーフ通路9に設けられて伸側室R1と圧側室R2の差圧が開弁圧になると開弁して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油(液体)の流れを許容するリリーフ弁10,102とを有している。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D4,D6によれば、車高調整モードで車高を下降させた状態で搭乗者が車両を走行させても、緩衝器本体1が伸長する事態が生じても伸側室R1内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D4,D6が保護される。さらに、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D5,D6では、緩衝器本体1は、伸側室R1と圧側室R2とを接続するリリーフ通路9と、リリーフ通路9に設けられて圧側室R2と伸側室R1の差圧が開弁圧になると開弁して圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油(液体)の流れを許容するリリーフ弁101,102とを有している。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D5,D6によれば、車高調整モードで車高を上昇させた状態で搭乗者が車両を走行させて緩衝器本体1が収縮する事態が生じても圧側室R2内の圧力が過剰とならず、車高調整機能付き緩衝器D5,D6が保護される。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D7は、図7に示すように、緩衝器本体1と、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢する懸架ばねSと、液体を貯留するリザーバRと、ダンパ回路C1と、双方向へ吐出可能なポンプP1と、ポンプ回路PCと、切換弁V3とを備えている。第3の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D7は、第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1に対して、さらにポンプ回路PCを備えるとともに、ポンプP1と切換弁V3の構成が異なっている。
ポンプ回路PCは、一端が切換弁V3に接続されるとともに途中に双方向吐出型のポンプP1が設けられる供給通路41と、供給通路41の途中であってポンプP1より切換弁V3側に設けられたオペレートチェック弁OVと、一端が供給通路41の途中であってポンプP1とオペレートチェック弁OVとの間に接続される第1切換通路42と、一端が供給通路41の途中であってポンプP1より反切換弁側に接続される第2切換通路43と、一端がリザーバRに接続される吸込通路44と、一端がリザーバRに接続されるとともに他端が供給通路41の途中であってポンプPより反切換弁側に接続される戻り通路45と、一端がリザーバRに接続されるとともに他端が供給通路41の途中であってポンプPとオペレートチェック弁OVとの間に接続されるポンプ用リリーフ通路46と、第1切換通路42および第2切換通路43と吸込通路44との接続状態を切り換える方向切換弁47と、戻り通路45に設けたオリフィス48と、ポンプ用リリーフ通路46に設けたポンプ用リリーフ弁49とを備えている。
供給通路41は、一端が切換弁V3に接続されるとともにオペレートチェック弁OVに接続されている。ポンプP1は、双方向吐出型のポンプとされておりモータ21によって駆動され、正転時にオペレートチェック弁OVを介して圧油を切換弁V3へ向けて吐出し、逆転時に圧油をオペレートチェック弁OVへパイロット圧として供給する。なお、ポンプP1は、ギヤポンプとされているが、双方向吐出が可能なポンプであれば種々の形式は限定されない。
オペレートチェック弁OVは、パイロット圧が作用しない状態では、供給通路41をポンプP1から切換弁V3へ向かって通過する作動油の流れのみを許容して逆向きの流れを阻止するが、ポンプP1からパイロット圧が作用すると開弁して供給通路41をポンプP1から切換弁V3へ向かって通過する作動油の流れのみならず、切換弁V3からポンプP1へ向かう作動油の流れも許容する。
方向切換弁47は、3つのポートa4,b4,t4を備えた3ポート3位置の方向切換弁とされており、ポートa4が第1切換通路42の他端に接続され、ポートb4が第2切換通路43の他端に接続され、ポートt4が吸込通路44の他端に接続されている。
具体的には、方向切換弁47は、ポートa4、ポートb4およびポートt4を遮断する中立ポジション50aと、ポートb4とポートt4とを接続して第2切換通路43を吸込通路44を介してリザーバRに連通させるとともにポートa4を遮断する供給ポジション50bと、ポートa4とポートt4とを接続して第1切換通路42を吸込通路44を介してリザーバRに連通させるとともにポートb4を遮断する排出ポジション50cとを備えた弁体50と、弁体50を中立ポジション50aを採るように弁体50を挟んで両側から付勢するばね51a,51bと、供給通路41のポンプP1とオペレートチェック弁OVの間の圧力をパイロット圧力として弁体50が供給ポジション50bを採るように作用させる第1パイロット通路52と、供給通路41のポンプP1よりも反切換弁側の圧力をパイロット圧力として弁体50が排出ポジション50cを採るように作用させる第2パイロット通路53とを備えている。
ポンプ回路PCは、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。モータ21を駆動してポンプP1を正転させると、ポンプP1の駆動によって供給通路41のポンプP1よりも切換弁側の圧力が上昇するため、方向切換弁47が中立ポジション50aから供給ポジション50bに切り換わる。すると、供給通路41のポンプP1より反切換弁側が第2切換通路43および吸込通路44を介してリザーバRに接続されるので、ポンプP1は、リザーバRから作動油を吸い込んで切換弁V3に向けて作動油を吐出する。ポンプP1から吐出された作動油はオペレートチェック弁OVを押し開いて切換弁V3へ向かう。なお、ポンプP1の正転によって供給通路41のポンプP1より切換弁側の圧力が過剰になるとポンプ用リリーフ弁49が開弁して作動油がポンプ用リリーフ通路46を介してリザーバRへ排出されるので、ポンプ回路PCが保護される。
反対に、モータ21を駆動してポンプP1を逆転させると、ポンプP1の駆動によって供給通路41のポンプP1よりも反切換弁側の圧力が上昇するため、方向切換弁47が中立ポジション50aから排出ポジション50cに切り換わる。すると、供給通路41のポンプP1より切換弁側が第1切換通路42および吸込通路44を介してリザーバRに接続されるので、ポンプP1は、リザーバRから作動油を吸い込んで作動油を吐出する。ポンプP1から吐出された作動油は、戻り通路45のオリフィス48を通過してリザーバRへ戻されるので、供給通路41のポンプP1の反切換弁側の圧力がオリフィス48の圧力損失分だけ上昇して、オペレートチェック弁OVのパイロット圧として作用する。パイロット圧を受けたオペレートチェック弁OVは、開弁して供給通路41の切換弁V3からポンプP1までの間を作動油が切換弁V3からポンプP1へ向かって流れるのを許容する。
つづいて、切換弁V3は、ソレノイド25の代わりにポンプP1の吐出圧力をパイロット圧力として導くパイロット通路55を備えている点で切換弁V1と異なっている。よって、切換弁V3は、切換弁V1と同様の弁体23とばね24とを備える一方、ソレノイドの代わりにポンプP1の吐出圧力をパイロット圧力として導くパイロット通路55を備えている。そして、切換弁V3のポートpは、供給通路41の一端に接続されており、パイロット通路55は、供給通路41の途中であって切換弁V3とオペレートチェック弁OVとの間の圧力をパイロット圧力として弁体23に対して第2ポジション23bを採るように作用させる。
ポンプP1を正転させると、方向切換弁47が供給ポジション50bに切り換わり、ポンプP1から吐出された作動油が供給通路41を切換弁V3へ向けて流れ、供給通路41のポンプP1と切換弁V3との間の圧力が上昇するため切換弁V3が第2ポジション23bに切り換わる。よって、ポンプP1を正転させると切換弁V3がポンプP1からのパイロット圧の入力によって自動的に第2ポジション23bに切り換わって、緩衝器本体1を車高調整モードに切り替えて作動油が伸側室R1へ供給されるようになる。
また、ポンプP1を正転させてから停止させると、方向切換弁47が中立ポジション50aに切り換わり、オペレートチェック弁OVが閉弁して、供給通路41における切換弁V3とオペレートチェック弁OVとの間の区間は高圧となり、切換弁V3は第2ポジション23bを維持し続ける。つまり、ポンプP1を正転させてから停止しても、緩衝器本体1は車高調整モードを維持する。この状態から、ポンプP1を逆転させると、ポンプP1から吐出された作動油が戻り通路45を通じてリザーバRへ向けて流れ、方向切換弁47が排出ポジション50cに切り換わり、供給通路41のポンプP1より切換弁側がリザーバRに接続される。そのため、オペレートチェック弁OVが開弁して切換弁V3に作用していたパイロット圧力が解消され、切換弁V3は、第1ポジション23aに切り換わって緩衝器本体1をダンパモードに復帰させる。緩衝器本体1をダンパモードに復帰させる場合、切換弁V3が第2ポジション23bから第1ポジション23aに切り換わればよい。つまり、ポンプP1の正転によって高圧となった供給通路41の切換弁V3とオペレートチェック弁OVとの間の圧力を低下させるべくオペレートチェック弁OVを一旦開弁させればよいので、ポンプP1の逆転駆動はごく短い時間の間だけ行われればよい。
切換弁V3が第1ポジション23aに切り換わった後、ポンプP1を停止した状態では、方向切換弁47が中立ポジション50aを採り、供給通路41のポンプP1より切換弁側の圧力は上昇しないため、切換弁V3は、第1ポジション23aを採って、緩衝器本体1のダンパモードを維持する。
つまり、ダンパモードを採っている状態で、ポンプP1を駆動しなければ、切換弁V3は第1ポジション23aを採ってポンプ回路PCが遮断されて、第1通路13と第3通路15を介して緩衝器本体1がダンパ回路C1に接続されてダンパ回路C1が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D7はダンパモードを維持し続ける。
他方、ダンパモードを採っている状態で、ポンプP1を正転駆動すると、切換弁V3がポンプP1から受けるパイロット圧力で第2ポジション23bに切り換わり、第1通路13が遮断されて、供給通路41が伸側室R1に接続されてポンプP1が有効となり、圧側室R2が第3通路15を介してダンパ回路C1に接続されて、車高調整機能付き緩衝器D7は、車高を下降させる車高調整モードとなる。ポンプP1を正転駆動してから停止させると、オペレートチェック弁OVが閉じて供給通路41におけるオペレートチェック弁OVと切換弁V3との間が高圧のまま維持されて切換弁V3は第2ポジション23bを採り続けるため、車高調整機能付き緩衝器D7は、車高調整モードを維持し続ける。
車高調整モードとなった車高調整機能付き緩衝器D7をダンパモードに復帰させるには、ポンプP1を逆転させてオペレートチェック弁OVを開弁させて、切換弁V3とオペレートチェック弁OVとの間の圧力を抜いて切換弁V3を第1ポジション23aに切り換える。すると、切換弁V3は、第1ポジション23aを採ってポンプ回路PCを遮断し、第1通路13と第3通路15を介して緩衝器本体1をダンパ回路C1に接続する。よって、ポンプP1と伸側室R1との連通が断たれるとともにダンパ回路C1が有効となり、車高調整機能付き緩衝器D7はダンパモードに復帰する。
このように切換弁V3は、第1ポジション23aを採っている場合にはポンプP1の正転によって第2ポジション23bに切り換わり、第2ポジション23bを採っている場合にはポンプP1の逆転によって第1ポジション23aに切り換わるため、車高調整機能付き緩衝器D7は、ポンプP1の駆動によって切換弁V3を自動的に切り換えて、ダンパ回路C1のみを有効とするダンパモードとポンプP1を有効としつつ車高を下降させる車高調整モードとに切り換えられる。
そして、第3の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D7は、ダンパモードを採る場合、車高調整機能付き緩衝器D6における緩衝器本体1とダンパ回路C1との接続状態は、ダンパモードとした状態の第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1における緩衝器本体1とダンパ回路C1との接続状態と同じになる。よって、第3の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D7は、ダンパモードを採る場合、ダンパモードの第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1と同様の作動を呈して、緩衝器本体1が外力によって伸縮させられると緩衝器本体1の伸縮を妨げる減衰力を発生する。
つづいて、ポンプP1を正転させて切換弁V3が第2ポジション23bを選択して車高調整機能付き緩衝器D7を車高を下降させる車高調整モードとした場合の作動を説明する。この状態では、車高調整機能付き緩衝器D7における緩衝器本体1の伸側室R1にポンプP1から作動油が供給され、緩衝器本体1とダンパ回路C1との接続状態は、車高調整モードとした状態の第1の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D1における緩衝器本体1とダンパ回路C1との接続状態と同じになる。よって、第3の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D7は、ポンプP1の正転駆動によって切換弁V3を自動的に切り換えて、緩衝器本体1を収縮させて車高を下降させ得る。車高を下降させた後、ポンプP1を停止させるとポンプP1から伸側室R1に作動油は供給されなくなるが切換弁V3が第2ポジション23bを採り続け、伸側室R1は閉鎖される一方、圧側室R2がダンパ回路C1を通じてリザーバRに連通される。よって、車高調整機能付き緩衝器D7は、ポンプP1を正転後に停止させれば、車高調整によって緩衝器本体1を収縮させた状態に維持する。
その後、ポンプP1を逆転させて切換弁V3を第1ポジション23aに切り換えて車高調整機能付き緩衝器D7をダンパモードにすれば、伸側室R1がダンパ回路C1を通じて圧側室R2およびリザーバRに接続されて緩衝器本体1の伸長が許容されるため、緩衝器本体1は、懸架ばねSの弾発力で車高の下降前の元の変位状態に復帰する。
以上のように、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D7は、作動油(液体)が充填されるシリンダ2と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてシリンダ2内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、シリンダ2内に移動可能に挿入されてピストン3に連結されるピストンロッド4とを有する緩衝器本体1と、緩衝器本体1を伸長方向へ付勢する懸架ばねSと、作動油(液体)を貯留するリザーバRと、伸側室R1、圧側室R2およびリザーバRに接続されて緩衝器本体1の伸縮時に緩衝器本体1に減衰力を発生させるダンパ回路C1と、リザーバRから液体を吸い込んで吐出可能なポンプP1と、緩衝器本体1とダンパ回路C1およびポンプPとの間に設置されて緩衝器本体1をダンパ回路C1に接続して緩衝器本体1に減衰力を発生させるダンパモードと、緩衝器本体1をポンプP1に接続する車高調整モードとに切り換え可能な切換弁V3とを備えて構成されている。
このように構成された車高調整機能付き緩衝器D7では、切換弁V3でダンパ回路C1とポンプP1とを選択的に有効にできるので、緩衝器本体1が減衰力を発生する際にシリンダ2内で過不足となる作動油(液体)を給排するために利用されるリザーバRを車高調整に緩衝器本体1内に供給する作動油(液体)を貯留するタンクとして利用できる。また、このように構成された車高調整機能付き緩衝器D7では、ポンプP1を駆動して緩衝器本体1内に作動油(液体)を供給して緩衝器本体1を伸長或いは収縮或いは伸縮させ得るので、懸架ばねSのばね受を駆動するジャッキも不要となる。
以上より、このように構成された車高調整機能付き緩衝器D7によれば、従来の車高調整機能付き緩衝器で必要であったジャッキおよびジャッキ用のタンクが不要となるので、車高調整機能を備えていても小型化できる。
また、本実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D7では、車高調整モードの状態では、切換弁V3は、ポンプPを緩衝器本体1の伸側室R1と圧側室R2の一方に接続するとともに、伸側室R1と圧側室R2との他方をリザーバRにダンパ回路C1を介して接続する。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D7によれば、車高調整時に、ダンパ回路C1を利用して伸側室R1と圧側室R2とのうち圧縮される室をリザーバRに接続するため、車高調整だけに圧縮側の室をリザーバRに連通する通路を備える必要がないので、より一層小型化できる。
さらに、本実施の形態における車高調整機能付き緩衝器D7では、ポンプP1が双方向へ吐出可能であって、切換弁V3がポンプP1の吐出圧をパイロット圧として車高調整モードへ切り換わるように構成されている。このように構成された車高調整機能付き緩衝器D7によれば、ポンプP1の駆動によって切換弁V3を自動的に切り換えできるので、ポンプP1の駆動に応じて自動的に車高調整モードとダンパモードと切り換え可能となり、ソレノイドによって切換弁V3を切り換える必要がなくなるからコストを低減できる。前述したポンプ回路PCは、一例であって、ポンプP1の吐出圧をパイロット圧として切換弁V3の切り換えに利用できるような態様であれば、設計変更可能であるが、前述のポンプ回路PCでは、ポンプP1を正回転させてから停止させた場合に、切換弁V3が第2ポジション23bを維持して緩衝器本体1の伸長或いは収縮をさせたままの状態に維持できるので、緩衝器本体1の伸長或いは収縮をさせたままの状態に維持するのにポンプP1の駆動が不要となるために消費エネルギを低減できる。
なお、車高調整モードで車高を下降させたい場合、第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D4の構成に対して、切換弁V1を切換弁V3に変更するとともに、ポンプP、ポンプ通路20およびポンプ通路逆止弁22の代わりにポンプP1とともにポンプ回路PCを設ければ、ポンプP1の正転によって車高調整機能付き緩衝器をダンパモードから車高調整モードに切り換えて車高を下降させられ、その後のポンプP1の逆転によって車高調整モードからダンパモードへ復帰させ得る。さらに、車高調整モードで車高を上昇させたい場合、第1の実施の形態の第1変形例の車高調整機能付き緩衝器D2或いは第2の実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D5の構成に対して、切換弁V1を切換弁V3に変更するとともに、ポンプP、ポンプ通路20およびポンプ通路逆止弁22の代わりにポンプP1とともにポンプ回路PCを設ければ、ポンプP1の正転によって車高調整機能付き緩衝器をダンパモードから車高調整モードに切り換えて車高を上昇させられ、その後のポンプP1の逆転によって車高調整モードからダンパモードへ復帰させ得る。
車高調整機能付き緩衝器D7におけるダンパ回路C1の構成では、第1伸側減衰弁16と第1伸側逆止弁17とが並列に設けられた第1通路13と、第1圧側減衰弁18と第1圧側逆止弁19とが並列に設けられた第2通路14との第1接続点J1を圧側室R2に接続し、第2通路14の第1接続点J1とは反対側の端部をリザーバRに接続している。そして、第1通路13の第1接続点J1とは反対側の端部は、伸側室R1に接続されている。
よって、本実施の形態の車高調整機能付き緩衝器D7のようにシリンダ2の外周にアウターシェル5を設けて、シリンダ2とアウターシェル5との間の環状隙間6を伸側室R1に連通させると、ダンパ回路C1、切換弁V3およびリザーバRをボトム側に配置できるため、ダンパ回路C1、切換弁V3およびリザーバRをシリンダ2とアウターシェル5のボトム端を閉塞するキャップ8に設け得る。
具体的には、たとえば、図8および図9に示すように、キャップ8にダンパ回路C1、切換弁V3およびリザーバRを設ければよい。キャップ8は、シリンダ2およびアウターシェル5の端部に嵌合する有底筒状のキャップ本体60と、キャップ本体60の側方に連なる筒状の第1バルブハウジング61と、第1バルブハウジング61に連なるリザーバ筒62と、キャップ本体60の側方と第1バルブハウジング61に連なる筒状の第2バルブハウジング63と、キャップ本体60の軸方向端部に設けられて図示しない車体への連結を可能とするブラケット64とを備えている。なお、理解を容易とするため、図8では、キャップ本体60と、第1バルブハウジング61および第2バルブハウジング63とを異なるレベルで切断した断面として表示しており、また、図9では、第1バルブハウジング61に収容される第1伸側減衰弁16、第1伸側逆止弁17、第1圧側減衰弁18および第1圧側逆止弁19の図示を省略している。
キャップ本体60は、有底筒状であって、有底筒状であって、内周にシリンダ2のフランジ2bの外周が嵌合されている。また、キャップ本体60の内周にアウターシェル5の外周に設けた螺子部5bが螺合されており、アウターシェル5とキャップ8の底部とでシリンダ2のフランジ2bが挟持され、シリンダ2がキャップ8に固定される。そして、キャップ本体60は、リンダ2およびアウターシェル5のボトム側の端部を閉塞している。なお、前述したシリンダ2およびアウターシェル5のキャップ8への締結する構造は、一例であって他の締結構造を採用してもよい。また、キャップ本体60は、シリンダ側の外周に設けられた環状段部でなるボトム側ばね受60aを備えている。
第1バルブハウジング61は、筒状であってキャップ本体60の側方に連なって一体化されており、緩衝器本体1の軸線に対して直交する平面上であって前記軸線に対してねじれの位置に中心線を持つように配置されている。第1バルブハウジング61内の丁度中央はキャップ本体60に設けられたポート60bによってシリンダ2内の圧側室R2に連通されている。ポート60bは、ダンパ回路C1における第3通路として機能する。第1バルブハウジング61内には、第1伸側減衰弁16、第1伸側逆止弁17、第1圧側減衰弁18および第1圧側逆止弁19が収容される。
他方、リザーバ筒62は、第1バルブハウジング61の図8中左端側に緩衝器本体1に平行な姿勢で連なっている。また、リザーバ筒62の図9中下端開口端は栓65によって閉塞されており、リザーバ筒62内が密閉されている。そして、リザーバ筒62内には、内部に圧縮気体が充填されるとともに栓65に取り付けられたダイヤフラム66が挿入されており、リザーバ筒62内が、ダイヤフラム66内の気室Gと、ダイヤフラム66外の作動油が充填される液室Lとに仕切られている。そして、リザーバ筒62内の上方側の液室Lと第1バルブハウジング61内の左方とがポート62aによって連通されている。ポート62aは、ダンパ回路C1における第2通路の一部として機能する。また、リザーバ筒62の図9中上端には液室Lをリザーバ筒62の外方に設置されるポンプ回路PCの吸込通路44に接続するポート62bが設けられている。なお、栓65には、ダイヤフラム66内に気体を注入可能な図示しない弁が設けられており、リザーバ筒62内にダイヤフラム66を挿入した後に気体の注入が可能となっており、気室G内の圧力調整も前記弁によって可能となっている。
さらに、第2バルブハウジング63は、後端が開口している有底筒状であって側方から先端にかけてキャップ本体60の側方と第1バルブハウジング61とに一体化されており、緩衝器本体1の軸線に対して直交するとともに第1バルブハウジング61が配置される平面上に第1バルブハウジング61の中心線に直交するとともに緩衝器本体1の軸線とねじれの位置に中心線を持つように設けられている。第2バルブハウジング63内は、キャップ本体60に設けた通路60cとアウターシェル5に設けられた孔5aを通じてシリンダ2とアウターシェル5との間の環状隙間6に連通されるとともに、先端に設けられたポート63aによって第1バルブハウジング61内の右方に連通され、さらに、通路60cよりも第2バルブハウジング63の後端側に設けられたポート63bによって外部に連通されている。シリンダ2とアウターシェル5との間の環状隙間6、孔5a、通路60cおよびポート63aは、ダンパ回路C1における第1通路を構成しており、通路60cおよびポート63aは、それぞれポートaとポートtとして機能する。また、ポート63bは、切換弁V3のポートpとして機能しており、ポンプ回路PCにおける供給通路41に接続される。
キャップ8は、以上のように構成されており、前述した通り、第1バルブハウジング61内には、第1伸側減衰弁16、第1伸側逆止弁17、第1圧側減衰弁18および第1圧側逆止弁19が収容され、第2バルブハウジング63内には切換弁V3が収容されている。
第1バルブハウジング61の図8中左端の内周には、第1バルブハウジング61の左端開口部を閉塞する栓部材67が螺着されている。栓部材67は、第1バルブハウジング61内に突出する軸67aを備えており、軸67aの外周には、環状の仕切部材68と、仕切部材68の図8中で左方側に積層された環状の積層リーフバルブでなる第1圧側減衰弁18と、仕切部材68の図8中で右方側に積層された環状板と環状板を仕切部材68側へ付勢するばね部材とでなる第1圧側逆止弁19とが装着されている。そして、仕切部材68は、第1バルブハウジング61の内周に当接して第1バルブハウジング61内を、ポート62aを介して液室L内に連通される空間とポート60bを介して圧側室R2に連通される空間とに仕切っている。また、仕切部材68は、仕切部材68を軸方向に貫くポート68a,68bを備えており、仕切部材68の図8中の左方側の空間と右方側の空間とをポート68a,68bによって連通させている。
第1圧側減衰弁18は、栓部材67の軸67aに内周が固定されていて外周側の撓みが許容されて、仕切部材68に積層されてポート68aの出口端を開閉する。そして、第1圧側減衰弁18は、ポート68aを圧側室R2からリザーバRへ向かう作動油の流れに対して外周を撓ませて開弁して抵抗を与えつつ当該流れを許容するが、反対側への作動油の流れに対してはポート68aを閉塞したまた維持する。
第1圧側逆止弁19における環状板は、栓部材67の軸67aの外周に摺動自在に装着されてポート68bの出口端を開閉する。そして、第1圧側逆止弁19は、ポート68bをリザーバRから圧側室R2へ向かう作動油の流れに対して仕切部材68から環状板を離間させて開弁して抵抗を殆ど与えず当該流れを許容するが、反対側への作動油の流れに対してはポート68bを閉塞したまた維持する。
第1バルブハウジング61の図8中右端の内周には、第1バルブハウジング61の右端開口部を閉塞する栓部材69が螺着されている。栓部材69は、第1バルブハウジング61内に突出する軸69aを備えており、軸69aの外周には、環状の仕切部材70と、仕切部材70の図8中で右方側に積層された環状の積層リーフバルブでなる第1伸側減衰弁16と、仕切部材70の図8中で左方側に積層された環状板と環状板を仕切部材70側へ付勢するばね部材とでなる第1伸側逆止弁17とが装着されている。そして、仕切部材70は、第1バルブハウジング61の内周に当接して第1バルブハウジング61内をポート63aに連通される空間とポート60bに連通される空間とに仕切っている。仕切部材70の図8中右方の空間は、ポート63a、第2バルブハウジング63内、通路60cおよびシリンダ2とアウターシェル5との間の環状隙間6を通じて伸側室R1に連通されており、仕切部材70の図8中左方の空間は、ポート60bを介して圧側室R2に連通されている。また、仕切部材70は、仕切部材70を軸方向に貫くポート70a,70bを備えており、仕切部材70の図8中の左方側の空間と右方側の空間とをポート70a,70bによって連通させている。
第1伸側減衰弁16は、栓部材69の軸69aに内周が固定されていて外周側の撓みが許容されて、仕切部材70に積層されてポート70aの出口端を開閉する。そして、第1伸側減衰弁16は、ポート70aを伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れに対して外周を撓ませて開弁して抵抗を与えつつ当該流れを許容するが、反対側への作動油の流れに対してはポート70aを閉塞したまた維持する。
第1伸側逆止弁17における環状板は、栓部材69の軸69aの外周に摺動自在に装着されてポート70bの出口端を開閉する。そして、第1伸側逆止弁17は、ポート70bをリザーバR或いは圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れに対して仕切部材70から環状板を離間させて開弁して抵抗を殆ど与えず当該流れを許容するが、反対側への作動油の流れに対してはポート70bを閉塞したまた維持する。
第2バルブハウジング63の図8中上端の内周には、第2バルブハウジング63の上端開口部を閉塞する栓部材71が螺着されている。さらに、第2バルブハウジング63内には、筒状のスリーブ72と、スリーブ72内に摺動自在に挿入された有底筒状の弁体73と、スリーブ72と弁体73との間に介装されて弁体73を栓部材71へ向けて付勢するばね74とが収容されている。そして、スリーブ72、弁体73およびばね74は切換弁V3を構成していて、切換弁V3は第2バルブハウジング63内に収容されている。
スリーブ72は、内径が図8中下端となる先端から図8中上端となる後端側へ向かう途中で2段階に拡径されており、内周に2つの段部72a,72bを備えて、後端の外周を第2バルブハウジング63の内周であって通路60cよりも後端側に嵌合させるとともに先端を第2バルブハウジング63の先端の底部に当接させている。また、スリーブ72の後端側の段部72bよりも後端側に孔72cを備えており、スリーブ72内が孔72cを介して通路60cに連通されるとともにポート63aに連通されている。さらに、スリーブ72の後端側の外周には、第2バルブハウジング63の内周であって通路60cの開口部とポート63bの開口部との間に密着するシールリング75が装着されており、通路60cがスリーブ72内を介さずにポート63bに連通されるのを阻止している。なお、第2バルブハウジング63の開口部を閉塞する栓部材71はスリーブ72の後端の内周に嵌合するとともに孔71bを有するソケット71aを備えており、孔71bを介して、スリーブ72内とポート63bとの連通が確保されている。
弁体73は、有底筒状であって外周にフランジ73aを備えており、フランジ73aより開口部側をスリーブ72の内周の段部72aと段部72bとの間に摺接させるとともに、フランジ73aの外周をスリーブ72の内周であって段部72bよりも後端側に摺接させている。また、弁体73のフランジ73aより開口部側の側部には孔73bが設けられている。
弁体73は、スリーブ72内に侵入する方向にはフランジ73aがスリーブ72の段部72bに当接するまで移動でき、反対に、スリーブ72から退出する方向にはフランジ73aが栓部材71のソケット71aに当接するまで移動できる。
そして、弁体73は、フランジ73aが段部72bに当接する位置では、孔73bがスリーブ72の内周によって閉塞されるため通路60cとポート63aとの連通を断つ一方、スリーブ72の孔72cと第2バルブハウジング63のポート63bとを連通させる。また、弁体73は、フランジ73aが段部72bから離間して栓部材71のソケット71aに当接する状態では、フランジ73aとソケット71aとの当接によってポート63aとポート63bとの連通を断つ一方で、孔73bをスリーブ72の孔72cに対向させて通路60cとポート63aとを連通させる。
また、弁体73の開口端とスリーブ72の段部72aとの間には、コイルスプリングでなるばね74が圧縮された状態で介装されている。ばね74は、弁体73を栓部材71へ向けて常時付勢しており、ポート63bに連通された弁体73と栓部材71との間の空間の圧力が低圧状態であるとフランジ73aが栓部材71のソケット71aに当接する位置に弁体73を位置決める。この状態では、前述したように、フランジ73aとソケット71aとの当接によってポート63aとポート63bとの連通が断たれ、前述した通り、ポート63bがポンプ回路PCに接続されているため、ポンプ回路PCと伸側室R1との接続が断たれる一方、通路60cとポート63aとの連通によってダンパ回路C1と伸側室R1とが接続される。つまり、この状態では、切換弁V3は、第1ポジションを採る。
切換弁V3が第1ポジションを採っている状態で、ポンプP1が正回転するように駆動されると、ポンプP1からポート63bを介して弁体73と栓部材71との間の空間に作動油が送り込まれて弁体73がばね74を押し縮めてフランジ73aが段部72bに当接し、ポート63bと通路60cとが連通されて作動油がポンプP1から伸側室R1に供給される。この状態では、フランジ73aと段部72bとの当接によって、第1通路を構成するポート63aと通路60cとの連通が断たれるため、伸側室R1とダンパ回路C1との接続が断たれる。つまり、切換弁V3は、第1ポジションから第2ポジションに切り換わる。
そして、切換弁V3が第2ポジションを採った後に、ポンプP1の駆動を停止すると、ポンプ回路PCにおけるオペレートチェック弁OVが閉弁するため、弁体73と栓部材71との間の空間は高圧に保たれ、弁体73のフランジ73aがスリーブ72の段部72bに当接した状態に維持され、切換弁V3は第2ポジションを維持し続ける。
その後、切換弁V3が第2ポジションを維持している状態で、ポンプP1が逆回転するように駆動されると、ポンプP1の逆回転によってオペレートチェック弁OVが開弁し、弁体73と栓部材71との間の空間内からポート63bを通じて作動油が排出される。そのため、弁体73がばね74の付勢力で押されてフランジ73aが栓部材71のソケット71aに当接して、ポート63bと通路60cとの連通が断たれるとともに、第1通路を構成するポート63aと通路60cとが連通される。よって、切換弁V3は、第2ポジションから第1ポジションへ復帰して、伸側室R1とポンプ回路PCとの接続を断つとともに、伸側室R1とダンパ回路C1とを接続させる。
切換弁V3が第1ポジションを採る場合、第1通路として機能するポート63aと通路60cとを通じてダンパ回路C1が伸側室R1に連通される。ダンパ回路C1は、常時、第3通路として機能するポート60bを介して圧側室R2に連通されている。この状態で、緩衝器本体1が伸長すると伸側室R1から押し出された作動油が第1伸側減衰弁16を通過して拡大する圧側室R2へ移動するので、図8および図9に示した車高調整機能付き緩衝器D7は、緩衝器本体1が伸長すると緩衝器本体1の伸長を妨げる伸側減衰力を発生する。また、この状態で、緩衝器本体1が収縮すると圧側室R2から押し出された作動油がポート60bおよび第1圧側減衰弁18を通過してリザーバRへ移動するとともに拡大する伸側室R1へ第1伸側逆止弁17を介して移動する。よって、図8および図9に示した車高調整機能付き緩衝器D7は、緩衝器本体1が収縮すると緩衝器本体1の収縮を妨げる伸側減衰力を発生する。
他方、ポンプP1を正回転させて切換弁V3が第2ポジションに切り換わると、ポート63bと通路60cとを通じてポンプ回路PCが伸側室R1に連通されるとともにダンパ回路C1と伸側室R1との連通が断たれる。すると、ポンプP1から伸側室R1に供給される作動油によって緩衝器本体1が収縮するため、車高が下降し、ポンプP1を停止すると緩衝器本体1は収縮状態を維持して車高を下降させた状態に維持する。その後、ポンプP1をごく短い時間の間、逆回転させれば、切換弁V3が第1ポジションに復帰して、緩衝器本体1は懸架ばねSの弾発力で車高を下降させる前の車高になるまで伸長する。
このように、図8および図9に示した車高調整機能付き緩衝器D7にあっても、車高調整モードを採る場合には、ポンプP1の正回転駆動によって緩衝器本体1を収縮させて車高を下降させ得る。なお、車高調整モード時に車高を上昇させたい場合には、第1バルブハウジング61内の仕切部材68と仕切部材70と圧側室R2とを接続するポート60bの途中に第2バルブハウジング63が配置されるようにし、ポート63aを廃止するとともに、通路60cを第1バルブハウジング61内の仕切部材68より左方側の空間に接続して常時伸側室R1にダンパ回路C1が接続させるようにすればよい。このように構成すれば、車高調整機能付き緩衝器は、車高調整機能付き緩衝器D2と同じ回路構成となるので、車高調整モードにおいて車高を上昇させ得る。
また、車高調整機能付き緩衝器D3,D4のダンパ回路C2を採用する場合も、シリンダ2の外周にアウターシェル5を設けて、シリンダ2とアウターシェル5との間の環状隙間6を伸側室R1に連通させると、ダンパ回路C2、切換弁V3およびリザーバRをボトム側に配置できるため、ダンパ回路C2、切換弁V3およびリザーバRをシリンダ2とアウターシェル5のボトム端を閉塞するキャップ8に設け得る。
なお、スペースがあれば、ポンプ回路PC、ポンプP1およびモータ21をキャップ8に一体化してもよい。キャップ8に、ダンパ回路C1,C2、切換弁V3およびリザーバRを設けた例を説明したが、切換弁V3に代えて電磁切換弁である切換弁V1をキャップ8に設けてもよく、その場合、ポンプ通路20、モータ21、ポンプ通路逆止弁22およびポンプPをキャップ8に一体化してもよい。
そして、前述したように、緩衝器本体1がシリンダ2の外周を覆うとともにシリンダ2との間に伸側室R1に連通される環状隙間6を形成するアウターシェル5と、シリンダ2の一端とアウターシェル5の一端とを閉塞するキャップ8とを備え、リザーバR、ダンパ回路C1,C2および切換弁V1,V3がキャップ8に設けられる場合には、リザーバR、ダンパ回路C1,C2および切換弁V3をキャップ8に集約できるので、緩衝器本体1の組立が容易となるとともに、緩衝器本体1の外からリザーバR、ダンパ回路C1,C2および切換弁V1,V3にアクセスできるようになるからメンテナンスやチューニングも容易となる。
また、ダンパ回路C1(C2)における第1伸側減衰弁16および第1圧側減衰弁18(第2伸側減衰弁34および第2圧側減衰弁36)は、減衰力調整可能な弁とされてもよく、キャップ8にこれら第1伸側減衰弁16および第1圧側減衰弁18(第2伸側減衰弁34および第2圧側減衰弁36)が設けられることで、容易に減衰力調整できるようになる。このように、車高調整機能付き緩衝器D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7において、第1伸側減衰弁16、第1圧側減衰弁18、第2伸側減衰弁34および第2圧側減衰弁36は、減衰力調整可能な減衰弁であってもよく、ソレノイドを利用した電磁弁であってもよい。
さらに、ダンパ回路C1(C2)における第1伸側減衰弁16、第1伸側逆止弁17、第1圧側減衰弁18および第1圧側逆止弁19(第2伸側減衰弁34、第2伸側逆止弁35、第2圧側減衰弁36および第2圧側逆止弁37)は、単一の筒状の第1バルブハウジング61内に収容される場合には、キャップ8の構造が複雑ならずに済むとともに第3通路(第6通路)の設置も容易となる。また、第1バルブハウジング61の両端側の開口部からそれぞれ第1伸側減衰弁16および第1伸側逆止弁17(第2伸側減衰弁34および第2伸側逆止弁35)を保持する栓部材67と、第1圧側減衰弁18および第1圧側逆止弁19(第2圧側減衰弁36および第2圧側逆止弁37)を保持する栓部材69と向かい合わせに挿入すれば、ダンパ回路C1,(C2)の組立が完了するので組付性も良好となる。なお、第1バルブハウジング61は、有底筒状とされてもよく、その場合、第1バルブハウジング61の開口部に螺着される栓部材に設けられる1つの軸部に第1伸側減衰弁16、仕切部材68、第1伸側逆止弁17、第1圧側減衰弁18、仕切部材70および第1圧側逆止弁19(第2伸側減衰弁34、仕切部材68、第2伸側逆止弁35、第2圧側減衰弁36、仕切部材70および第2圧側逆止弁37)を装着する構造を採用すればよい。また、第1バルブハウジング61は、第1伸側減衰弁16および第1伸側逆止弁17(第2伸側減衰弁34および第2伸側逆止弁35)を収容する第1筒と、第1圧側減衰弁18および第1圧側逆止弁19(第2圧側減衰弁36および第2圧側逆止弁37)を収容する第2筒とで構成されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。