背景技術及び本明細書全体を通して、様々な刊行物、論文、及び特許が引用又は説明されているが、これらの参照文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文献、行為、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明の文脈を提供することを目的とする。そのような考察は、これらの内容のいずれか又は全てが、開示されている、又は特許請求されているあらゆる発明に関する先行技術の一部を形成することを認めるものではない。
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関係する技術分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で引用される特定の用語は、本明細書で規定されている意味を有する。本明細書で使用される場合及び添付した特許請求の範囲において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の言及を含むことに留意しなければならない。
別段の指示がない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、一連の各要素に関すると理解すべきである。
用語「約」は、数字とともに使用される場合、言及された数の±10%、例えば、±5%、又は±1%内の任意の数を指す。
当業者は、通例の実験だけを使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多数の均等物を認識することになるか、又は確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明に包含されるものとする。
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、「含む」という語句、並びに「含む」及び「含んでいる」などの変形形態は、規定の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を包含するが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味することが理解されよう。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、「含有する」若しくは「包含する」という用語に置き換えられ得るか、又は本明細書で使用される場合に「有する」という用語に置き換えられ得ることもある。
本明細書で使用される場合、「からなる」は、特許請求の範囲の要素において規定されていない任意の要素、工程又は成分を除外する。本明細書で使用される場合、「本質的に~からなる」は、特許請求の範囲の基本的な特徴及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程を除外するものではない。上記の「含む」、「含有する」、「包含する」及び「有する」という用語のいずれも、本発明の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用される場合には常に、「~からなる」又は「本質的に~からなる」という用語に置き換えられて、本開示の範囲を変更し得る。
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素間を接続する「及び/又は」という用語は、個々の選択肢及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものと理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって結合される場合、第1選択肢は第2要素を伴わない第1要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素を含まない第2の要素を適用することを指す。第3の選択肢は、第1の要素及び第2の要素を共に適用することを指す。これらの選択肢のいずれか1つは、本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語の意味の範囲内に含まれ、したがって「及び/又は」という用語の要件を満たすものと理解される。複数の選択肢を同時に適用することは、「及び/又は」という用語の意味の範囲内に含まれ、したがって「及び/又は」という用語の要件を満たすものとも理解される。
本明細書で使用する場合、「O多糖」、「O抗原」、「O抗原」、「O抗原多糖」、「O多糖抗原」及び略語「OPS」という用語は全て、グラム陰性細菌のO抗原を指し、これは、リポ多糖(LPS)の成分であり、グラム陰性細菌の各血清型又は血清(亜)型に特異的である。O抗原は通常、2~7個の糖残基の繰り返し単位(RU)を含有する。本明細書で使用する場合、RUは、生物学的反復単位(BRU)と一致する。BRUは、インビボで合成されるO抗原のRUを表す。大腸菌(E.coli)の異なる血清型が、異なるO抗原を発現する。大腸菌(E.coli)において、O抗原新生に関与する遺伝子産物は、rfb遺伝子クラスターによってコードされる。本明細書でO抗原多糖を参照する際は常に、別段の指示がない限り、それぞれの大腸菌(E.coli)血清型及びその任意の既存の亜血清型のO抗原多糖が意味され、例えば、O1抗原多糖を参照するとき、これは、大腸菌(E.coli)亜血清型O1A、O1A1、O1B、又はO1CのO抗原多糖であり得る一方で、O25抗原多糖は、O25A又はO25B抗原多糖などを意味し得る。多くの大腸菌(E.coli)血清型及び亜血清型並びにそのO抗原多糖のRU(部分構造、又はO単位)の対応する構造は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/039359号パンフレットの表1において提供される。
本明細書で使用する場合、「rfbクラスター」及び「rfb遺伝子クラスター」は、O抗原骨格構造を合成することができる酵素機構をコードする遺伝子クラスターを指す。rfbクラスターという用語は、O抗原生合成クラスターに適用することができ、好ましくは、エシェリキア属(Escherichia)、特に、大腸菌(E.coli)由来の遺伝子クラスターを指す。
本明細書で使用する場合、用語「O1A」は、大腸菌(E.coli)のO1A抗原(大腸菌(E.coli)血清型O1の亜血清型)を指す。用語「O2」は、大腸菌(E.coli)のO2抗原(大腸菌(E.coli)血清型O2)を指す。用語「O4」は、大腸菌(E.coli)のO4抗原(大腸菌(E.coli)血清型O4)を指す。用語「O6A」は、大腸菌(E.coli)のO6A抗原(大腸菌(E.coli)血清型O6の亜血清型)を指す。用語「O8」は、大腸菌(E.coli)のO8抗原(大腸菌(E.coli)血清型O8)を指す。用語「O15」は、大腸菌(E.coli)のO15抗原(大腸菌(E.coli)血清型O15)を指す。用語「O16」は、大腸菌(E.coli)のO16抗原(大腸菌(E.coli)血清型O16)を指す。用語「O18A」は、大腸菌(E.coli)のO18A抗原(大腸菌(E.coli)血清型O18の亜血清型)を指す。用語「O25B」は、大腸菌(E.coli)のO25B抗原(大腸菌(E.coli)血清型O25の亜血清型)を指す。用語「O75」は、大腸菌(E.coli)のO75抗原(大腸菌(E.coli)血清型O75)を指す。本明細書で使用する場合、用語「グルコシル化O4」、「グルコース-分岐状O4」、「O4 Glc+」及び「Glc+O4」O抗原は、グルコース側枝を有する大腸菌(E.coli)のO4 O抗原(大腸菌(E.coli)血清型O4)を指すが、「非グルコシル化O4」、「O4 Glc-」、及び「Glc-O4」は、グルコース側枝を有しないO4抗原を指す。
本明細書を通して参照されるいくつかの大腸菌(E.coli)O抗原多糖の構造は、表1において下で示される。各大腸菌(E.coli)O抗原多糖類の単一の繰り返し単位が示される。
本明細書に記載される全ての単糖は、当該技術分野で知られるそれらの共通の意味を有する。単糖は、D又はL配置を有し得る。D又はLが指定されない場合、糖は、D配置を有することが理解される。単糖は通常、当該技術分野で一般的に知られ、使用される略称によって参照される。例えば、Glcは、グルコースを指し;D-Glcは、D-グルコースを指し;L-Glcは、L-グルコースを指す。単糖のための他の一般的な略称としては、Rha、ラムノース;GlcNAc、N-アセチルグルコサミン;GalNAc、N-アセチルガラクトサミン;Fuc、フコース;Man、マンノース;Man3Me、3-O-メチル-マンノース;Gal、ガラクトース;FucNAc、N-アセチルフコサミン;及びRib、リボースが挙げられる。接尾辞「f」はフラノースを指し、接尾辞「p」はピラノースを指す。
用語「RU」、「反復単位」、及び「繰り返し単位」は、O抗原に関して使用される場合、それが細胞機構(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ)によってインビボで合成されるため、O抗原の生物学的反復単位(BRU)を指す。O抗原のRUの数は、血清型毎に変動する場合があり、本発明の実施形態において、典型的には、約1~100個のRU、好ましくは、約1~50個のRU、例えば、1~50個のRU、1~40個のRU、1~30個のRU、1~20個のRU、及び1~10個のRU、より好ましくは、少なくとも3個のRU、少なくとも4個のRU、少なくとも5個のRU、例えば、3~50個のRU、好ましくは、5~40個のRU、好ましくは、5~30個のRU、例えば、7~25個のRU、例えば、10~20個のRUで変動する。しかしながら、いくつかの例では、O抗原のRUの数は、1~2個であり得る。本明細書に具体的に記載される各O抗原の構造は、1個のRUを含有して示され、変数「n」はRUの数を指定する。本発明のバイオコンジュゲートにおける各O抗原多糖において、nは、独立して、1~100、例えば、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10、好ましくは、少なくとも3、より好ましくは、少なくとも5、例えば、3~50、好ましくは、5~40(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40)、より好ましくは、5~30の整数であるが、いくつかの例では、1~2であり得る。いくつかの実施形態では、nは、独立して、約7~25、例えば、10~20の整数である。値は、組成物中の個々のO抗原多糖間で変動してもよく、平均値として本明細書で提供され、すなわち、バイオコンジュゲートが独立して5~40の整数であるnを有するものとして本明細書で記載される場合、組成物は、5~40個の反復単位を有するO抗原多糖の大部分を含有するが、5個未満の反復単位又は40個より多い反復単位を有するいくつかのO抗原多糖も含有し得る。
本明細書で使用する場合、用語「コンジュゲート」及び「グリココンジュゲート」は、タンパク質、ペプチド、脂質などを含むがこれらに限定されない別の化学種に連結された糖又は糖類抗原(例えば、オリゴ糖及び多糖)-タンパク質コンジュゲートを指す。グリココンジュゲートは、例えば、タンパク質及び糖又は糖類抗原の化学的(合成的)結合によって化学的に調製され得る。グリココンジュゲートという用語はバイオコンジュゲートも含む。
本明細書で使用する場合、本発明の実施形態による方法において対象にO抗原を投与する文脈における用語「有効量」は、対象において所望の免疫効果又は免疫応答を誘導するのに十分なO抗原の量を指す。ある特定の実施形態では、「有効量」は、対象において以下の効果の1つ以上を達成するために対象において免疫をもたらすのに十分なO抗原の量を指す:(i)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患、又はそれと関連する症状の発達又は発症を予防する;(ii)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患、又はそれと関連する症状の再発を予防する;(iii)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患、又はそれと関連する症状の重症度を予防するか、減少させるか又は寛解させる;(iv)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患、又はそれと関連する症状の持続を減少させる;(v)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患、又はそれと関連する症状の進行を予防する;(vi)ExPEC感染又はそれと関連する症状の退行を引き起こす;(vii)ExPEC感染と関連する臓器不全を予防するか又は低減する;(viii)ExPEC感染を有する対象の入院の機会又は頻度を減少させる;(ix)ExPEC感染を有する対象の入院期間を減少させる;(x)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患を有する対象の生存時間を増加させる;(xi)ExPEC感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患を除去する;(xii)ExPEC複製を阻害するか又は減少させる;及び/又は(xiii)別の療法の予防又は治療効果を増強するか又は向上させる。
「有効量」は、対象の健康状態、年齢、体重、健康など;経口又は非経口などの投与経路;標的O抗原、他の同時投与されるO抗原、アジュバントなどの投与される組成物;及び免疫が望まれる特定の疾患などの様々な要因に応じて変動し得る。O抗原がタンパク質キャリアに共有結合されるとき、O抗原のための有効量は、コンジュゲートにおけるO抗原多糖部分のみに基づいて計算される。本明細書に記載されるとおりのバイオコンジュゲートを含むコンジュゲートの全ての濃度、量、及び比もまた、別段の指示がない限り、任意のコンジュゲートされたキャリアタンパク質の濃度、量、又は比にかかわらずコンジュゲート中のO抗原多糖部分の重量にのみ基づいて計算される。例えば、16μgの特定のバイオコンジュゲートの投与は、投与されるバイオコンジュゲートが、16μgの特定のO抗原多糖を含み、コンジュゲートされたキャリアタンパク質の量は、この数に含まれない。別の例では、組成物が、2:1の比で血清型A及びB由来のO抗原多糖のコンジュゲートを含むと言われる場合、それは、コンジュゲートされたO抗原多糖の重量に基づくコンジュゲートされたO抗原多糖Bのものの2倍のコンジュゲートされたO抗原多糖の濃度又は量が存在することを示し、組成物中のコンジュゲートされたキャリアタンパク質の重量を無視する。
用語「侵襲性腸管外病原性大腸菌(Escherichia coli)(ExPEC)疾患(IED)」は、本明細書で使用する場合、全身性の細菌感染と一致する急性疾患であり、血液又は他の正常な無菌の身体部位からの大腸菌(E.coli)の単離及び同定、又は侵襲性疾患(全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症又は敗血症性ショック)の徴候及び症状の存在を有し及び他の識別可能な感染源のない患者における尿からの大腸菌(E.coli)の単離及び同定のいずれかによって微生物学的に確認される。ある特定の実施形態では、IEDは、全身性の細菌感染と一致する急性疾患であり、(i)血液又は他の正常な無菌の身体部位からの大腸菌(E.coli)の単離及び同定、又は(ii)尿路及び/又は男性の生殖器から生じる感染に応答した調節不全にされた宿主応答に起因する生命を脅かす臓器障害を有し及び他の識別可能な感染源のない患者における尿からの大腸菌(E.coli)の単離及び同定のいずれかによって微生物学的に確認される。
IEDは、尿路感染症(UTI)、手術部位感染、腹部感染又は骨盤内感染、肺炎、骨髄炎、蜂巣炎、敗血症、菌血症、創傷感染、腎盂腎炎、前立腺生検関連感染(経直腸的超音波ガイド前立腺針生検[TRUS-PNB]関連感染など)、尿路性敗血症、髄膜炎、腹膜炎、胆管炎、軟部組織感染、化膿性筋炎、化膿性関節炎、眼内炎、化膿性甲状腺炎、副鼻腔炎、心内膜炎、好中球減少性発熱、及び前立腺炎(急性細菌前立腺炎[ABP]を含むがこれに限定されない)を含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。
ある特定の好ましい実施形態では、IEDは、敗血症を含む。ある特定の好ましい実施形態では、IEDは、菌血症を含む。本発明は、ある特定の実施形態において、大腸菌(E.coli)によって引き起こされる敗血症を予防するための本発明による組成物を提供する。本発明は、ある特定の実施形態において、大腸菌(E.coli)によって引き起こされる菌血症を予防するための本発明による組成物を提供する。
用語「敗血症のための判定基準を満たすIED事象」は、感染に対して調節不全にされた宿主応答に起因する生命を脅かす臓器障害のエビデンスを含むIED症例を示す。IEDの症例は、ベースラインから2点以上の全体の逐次臓器不全評価(SOFA)スコアにおける急性の変化が存在し、IEDが原因で生じたとみなされる場合に敗血症のための判定基準を満たしている。本発明は、ある特定の実施形態において、敗血症のための判定基準を満たすIEDを予防するための本発明による組成物を提供する。用語「尿路性敗血症」は、本明細書で使用する場合、腎尿路生殖器路及び/又は男性の生殖器から生じる感染によって引き起こされる敗血症である。
用語「菌血症IED」は、血液からの大腸菌(E.coli)の単離及び同定を含むIED症例である。本発明は、ある特定の実施形態において、菌血症IEDを予防するための本発明による組成物を提供する。
本明細書で使用する場合、抗原又は組成物に対する「免疫学的反応」又は「免疫反応」は、対象中における、この抗原又はこの組成物中に存在する抗原に対する体液性の及び/又は細胞性の免疫反応の発生を指す。
本明細書で使用する場合、2種以上の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む「組成物」は、同じ医薬組成物において2種以上の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む単一の医薬組成物、又は別々の医薬組成物において2種以上の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む2種以上の医薬組成物の組み合わせであり得る。好ましい実施形態では、組成物は、単一の医薬組成物である。大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を誘導する方法において、2種以上の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む「組成物」は、2種以上の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む単一の医薬組成物と合わせて必要とする対象に投与され得るか、又は別々の医薬組成物と組み合わせて対象に投与され得る。好ましい実施形態では、単一の医薬組成物が、対象に投与される。
本明細書で使用する場合、2種以上のO抗原又は組成物の対象への投与の文脈における用語「組み合わせて」又は「~の組み合わせ」は、O抗原又は組成物が対象に投与される順序を制限しない。例えば、第1の組成物は、対象への第2の組成物の投与前(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、16時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、若しくは12週間前)に、投与と同時に、又は投与に続いて(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、16時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、若しくは12週間後に)投与され得る。好ましくは、2種以上のO抗原は、本質的に同時に、例えば、互いに5分位内に対象に投与され、より好ましくは、2種以上のO抗原は、同じ時点での少なくとも2つの組成物の投与を介して、最も好ましくは2種以上のO抗原を含む単一の組成物の投与を介して同時に投与される。
本明細書で使用する場合、「対象」は、本発明の実施形態による方法又は組成物によりワクチン接種されることになるか又はワクチン接種されているあらゆる動物を意味しており、好ましくは哺乳動物を意味しており、最も好ましくはヒトを意味している。「哺乳動物」という用語は、本明細書で使用される場合、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例として、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなどが挙げられるが、これらに限定されず、最も好ましくはヒトが挙げられる。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
用語「配列同一性のパーセント(%)」又は「%同一性」は、アミノ酸配列の全長を構成するアミノ酸残基の数と比較して、2つ以上の整列させたアミノ酸配列の同一のアミノ酸の一致する(「ヒットする」)数を指す。言い換えると、配列が当該技術分野において既知である配列比較アルゴリズムを使用して測定される際に最大限の一致に対して比較され整列させる場合、又は手動で整列させ視覚的に検証される場合、アラインメントを使用して、2つ以上の配列について、同一のものである(例えば、90%、95%、97%又は98%の同一性)アミノ酸残基の百分率が決定されてもよい。したがって、配列同一性を決定するために比較される配列は、アミノ酸の置換、付加又は欠失によって異なってもよい。タンパク質配列を整列させるための好適なプログラムは、当業者に知られている。タンパク質配列の配列同一性のパーセンテージは、例えば、CLUSTALW、Clustal Omega、FASTA、又は例えば、NCBI BLASTアルゴリズムを使用するBLASTなどのプログラムにより決定することができる(Altschul SF,et al(1997),Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。
例えば、アミノ酸配列に関して、配列同一性及び/又は類似性は、当該術分野で知られる標準的な技術、例えば、限定されないが、Smith and Waterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443の配列同一性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,1988,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.85:2444の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WisのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、Devereux et al,1984,Nucl.Acid Res.12:387-395により記載されている、好ましくはデフォルト設定を用いたBest Fit配列プログラムを使用することにより、又は目視により決定され得る。ある特定の実施形態では、同一性パーセントは、以下のパラメーターに基づいてFastDBによって計算される:ミスマッチペナルティが1;ギャップペナルティが1;ギャップサイズペナルティが0.33;及び結合ペナルティが30、「Current Methods in Sequence Comparison and Analysis」,Macromolecule Sequencing and Synthesis,Selected Methods and Applications,pp 127-149(1988),Alan R.Liss,Inc。
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al,1990,J.Mol.Biol.215:403-410;Altschul et al,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402;及びKarin et al,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873-5787に記載されるBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al,1996,Methods in Enzymology 266:460-480から入手したWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2は、いくつかの検索パラメーターを使用しており、その大部分がデフォルト値に設定される。
追加の有用なアルゴリズムは、Altschul et al.,1993,Nucl.Acids Res.25:3389-3402によって報告されるとおりのギャップ付きBLASTである。
大腸菌(E.coli)O抗原
驚くべきことに、キャリアタンパク質にコンジュゲートされる大腸菌(E.coli)O75抗原は、多価ワクチン組成物において同じ多糖濃度でキャリアタンパク質にコンジュゲートされる他の大腸菌(E.coli)O抗原(例えば、O1A、O2、O4、O6A、O15、O16及びO18A)より少ない免疫原性になるように見えることが本発明において発見されている。この発見は、大腸菌(E.coli)O75抗原の投与量及び多価ワクチン内の様々な大腸菌(E.coli)O抗原の投与量比へのさらなる調査につながり、したがって、O75血清型及びExPECの他の血清型に対する向上した免疫応答のための大腸菌(E.coli)O抗原に基づく多価ワクチンの開発及び免疫化方法につながった。
本発明の実施形態は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖及び1つ以上の追加の大腸菌(E.coli)O抗原多糖に関する組成物及び方法に関する。好ましくは、1種以上の追加のO抗原が、大腸菌(E.coli)の臨床分離株間で普及している。本発明において使用され得るそのような大腸菌(E.coli)抗原の例としては、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O8、O15、O16、O18、及びO25抗原が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、組成物は、大腸菌(E.coli)O75血清型に加えて複数の大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫防御をもたらすために、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15種の追加の大腸菌(E.coli)O抗原などの2種以上の追加の大腸菌(E.coli)O抗原を含み得る。いくつかの実施形態では、追加の大腸菌(E.coli)O抗原は、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O18及びO25抗原からなる群から選択される 好ましい実施形態では、追加の大腸菌(E.coli)O抗原は、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A及びO25Bからなる群から選択される。より好ましくは、組成物は、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A及びO25B大腸菌(E.coli)O抗原の全てを含む特定の実施形態では、大腸菌(E.coli)O抗原は、表1に示されるとおりの構造を含み、nは、1~100の整数である。いくつかの実施形態では、nは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。
一実施形態では、本発明の組成物は、大腸菌(E.coli)O75及びO6抗原多糖を含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75抗原多糖とO6抗原多糖の濃度の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~4:1、より好ましくは、約2:1、例えば、1:5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1又は2.5:1である。いくつかの実施形態では、組成物はさらに、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4はグルコシル化されており、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bである。
本発明において有用な大腸菌(E.coli)O抗原は、本開示を鑑みて当該技術分野で知られる方法によって生成され得る。例えば、それらは、細胞、好ましくは、O抗原の生合成に最適化されている組換え細胞から生成され得る。例えば、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2006/119987号パンフレット、国際公開第2009/104074号パンフレット、国際特許出願番号PCT/EP2015/053739号、Ihssen et al.,2010,Microbial Cell Factories 9,61における大腸菌(E.coli)O抗原生合成に関する核酸、タンパク質、宿主細胞、生成方法などに対する関連する開示を参照されたい。
キャリアタンパク質
本発明の実施形態によれば、各大腸菌(E.coli)O抗原は、キャリアタンパク質に、好ましくはグリコシド結合によって共有結合的に結合される。本開示の観点から、当業者に知られている任意のキャリアタンパク質を使用することができる。好適なキャリアタンパク質としては、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)、CRM197、大腸菌(E.coli)フラジェリン(FliC)、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の無毒化溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌(E.coli)易熱性毒素、大腸菌(E.coli)易熱性毒素の無毒化バリアント、コレラトキシンBサブユニット(CTB)、コレラトキシン、コレラトキシンの無毒化バリアント、大腸菌(E.coli)Satタンパク質、大腸菌(E.coli)Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシン、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、緑膿菌(P.aeruginosa)PcrV、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タンパク質(OMPC)、及び分類不能型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)からのタンパク質Dが挙げられるが、これらに限定されない。必要となるコンセンサスグリコシル化配列を含有する様々な異なるキャリアタンパク質とのバイオコンジュゲーションが記載されており、広範なタンパク質がこの技術を使用してグリコシル化され得ることを示している(例えば、バイオコンジュゲーションにおいて首尾よく使用された多種多様のキャリアタンパク質をともに示す国際公開第06/119987号パンフレット、国際公開第2015/124769号パンフレット、国際公開第2015/158403号パンフレット、国際公開第2015/82571号パンフレット、国際公開第2017/216286号パンフレット、及び国際公開第2017/67964号パンフレットを参照のこと)。
ある特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、修飾され、例えば、タンパク質が、毒性が少なく及び/又はグリコシル化しやすいように修飾される。特定の実施形態では、本明細書で使用されるキャリアタンパク質は、キャリアタンパク質におけるグリコシル化部位の数が、例えば、免疫原性組成物、特に、そのバイオコンジュゲート形態において投与されることになるタンパク質のより低い濃度を可能にする様式で最大化されるように修飾される。
したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるキャリアタンパク質は、通常キャリアタンパク質と結合されることになるものより(例えば、その天然の/自然な、すなわち、「野生型」状態においてキャリアタンパク質と結合されるグリコシル化部位の数と比較して)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上多いグリコシル化部位を含むように修飾される。キャリアタンパク質へのグリコシル化部位の導入は、例えば、グリコシル化部位が完全に又は部分的に付加されるようにタンパク質の一次構造に新規のアミノ酸を付加することによって、又はグリコシル化部位を生成するためにタンパク質において既存のアミノ酸を変異させることによって、タンパク質の一次構造における任意の場所へのグリコシル化コンセンサス配列の挿入によって達成され得る。当業者は、タンパク質のアミノ酸配列が、当該技術分野で知られる手法、例えば、タンパク質をコードする核酸配列の修飾を含む組換え手法を使用して容易に修飾され得る。特定の実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、タンパク質のN若しくはC末端にあるキャリアタンパク質の特定の領域、例えば、タンパク質の表面構造、及び/又はタンパク質の基部にあるジスルフィド架橋によって安定化されるループにおいて導入される。いくつかの実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、より効率的なグリコシル化のためにリジン残基の付加によって伸長され得る。
キャリアタンパク質に挿入され得るか又はキャリアタンパク質において生成され得るグリコシル化コンセンサス配列の例示的な例としては、Asn-X-Ser(Thr)(Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号1);及び好ましくは、Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(X及びZは、独立して、Proを除く任意のアミノ酸から選択される)(配列番号2)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、大腸菌(E.coli)O抗原多糖は、キャリアタンパク質におけるアスパラギン(Asn)残基に共有結合的に連結され(例えば、N結合)、Asn残基は、配列番号1を有する、より好ましくは配列番号2を有するグリコシル化コンセンサス配列を含むグリコシル化部位に存在する。通常、キャリアタンパク質は、それぞれ配列番号1のアミノ酸配列、及びより好ましくは配列番号2のアミノ酸配列を有するグリコシル化コンセンサス配列を含む1~10個のグリコシル化部位、好ましくは2~4個のグリコシル化部位、最も好ましくは4個のグリコシル化部位、例えば、1~10個、好ましくは2~4個、及びより好ましくは4個のグリコシル化部位を含む。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素Aである。EPAについては、様々な無毒化タンパク質バリアントが文献に記載されており、キャリアタンパク質として使用することができる。例えば、無毒化は、Lukac et al.,1988,Infect Immun,56:3095-3098、及びHo et al.,2006,Hum Vaccin,2:89-98に従って触媒的に重要な残基L552V及びΔE553を変異させ及び欠失させることによって達成され得る。本明細書で使用する場合、「EPA」は、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素Aを指す。キャリアタンパク質がEPAであるそれらの実施形態では、大腸菌(E.coli)抗原多糖は、配列番号1を有するグリコシル化コンセンサス配列を含むグリコシル化部位においてAsn残基に共有結合的に連結することができ、好ましくは、配列番号2を有するグリコシル化コンセンサス配列を含むグリコシル化部位においてAsn残基に共有結合的に連結することができる。好ましくは、EPAキャリアタンパク質は、それぞれ配列番号1のアミノ酸配列、及びより好ましくは配列番号2のアミノ酸配列を有するグリコシル化コンセンサス配列を含む1~10個のグリコシル化部位、好ましくは2~4個のグリコシル化部位、最も好ましくは4個のグリコシル化部位、例えば、1~10個、好ましくは2~4個、及びより好ましくは4個のグリコシル化部位を含む。
いくつかの実施形態では、EPAキャリアタンパク質は、それぞれグリコシル化コンセンサス配列、例えば、配列番号2を有するグリコシル化コンセンサス配列を含むグリコシル化部位を含む4個のグリコシル化部位を含む。本明細書で使用する場合、「EPA-4キャリアタンパク質」及び「EPA-4」は、それぞれ配列番号2を有するグリコシル化コンセンサス配列を含む4個のグリコシル化部位を含む緑膿菌(P.aeruginosa)キャリアタンパク質の無毒化外毒素Aを指す。EPA-4キャリアタンパク質の例示的な好ましい例は、配列番号3のアミノ酸配列を含むEPAキャリアタンパク質である。
ある特定の実施形態では、EPAキャリアタンパク質は、キャリアタンパク質を発現する宿主細胞の細胞膜周辺腔にキャリアタンパク質を標的化するシグナル配列(大腸菌(E.coli)DsbA、大腸菌(E.coli)外膜タンパク質A(OmpA)、大腸菌(E.coli)マルトース結合タンパク質(MalE)などのためのシグナルペプチドなど)とともに生成され得る。EPAキャリアタンパク質はまた、「タグ」、すなわち、キャリアタンパク質の単離及び/又は同定を可能にするアミノ酸の配列に修飾され得る。
本発明において有用なEPAキャリアタンパク質は、本開示を鑑みて当該技術分野で知られる方法によって生成され得る。例えば、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれるIhssen et al.,2010,Microbial Cell Factories 9,61、並びに国際公開第2006/119987号パンフレット、国際公開第2009/104074号パンフレット、及び国際公開第2015/124769号パンフレットにおける関連する開示を参照されたい。
他の実施形態では、キャリアタンパク質は、CRM197である。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素の非毒性形態であるが、ジフテリア毒素と免疫学的に識別不能である。CRM197は、毒素産生性のコリネファージベータのニトロソグアニジン変異誘発によって作製される非毒素産生性のファージβ197tox-によって感染されたコリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)によって生成される(Uchida et al.(1971)Nature New Biology 233:8-11)。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、構造遺伝子における単一の塩基変化(グアニンからアデニン)によってそれとは異なる。この単一の塩基変化は、成熟タンパク質においてアミノ酸置換(グリシンに対するグルタミン酸)をもたらし、ジフテリア毒素の毒性特性を除去する。CRM197タンパク質は、糖類のための安全で効果的なT細胞依存性キャリアである。CRM197タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号20に示される。CRM197及びその生成についてのさらなる詳細は、例えば、米国特許第5,614,382号明細書において見出され得る。ある実施形態では、本発明のO抗原多糖は、CRM197タンパク質又はCRM197のA鎖にコンジュゲートされる(中国特許第103495161号明細書を参照のこと)。ある実施形態では、本発明のO抗原多糖は、遺伝子組換え大腸菌(E.coli)による発現を介して得られるCRM197のA鎖にコンジュゲートされる(中国特許第103495161号明細書を参照のこと)。ある実施形態では、本発明のO抗原多糖は、それぞれ独立して、CRM197にコンジュゲートされる。ある実施形態では、本発明のO抗原多糖は、それぞれ独立して、CRM197のA鎖にコンジュゲートされる。
コンジュゲート
用語「バイオコンジュゲート」は、宿主細胞バックグラウンド、好ましくは、細菌宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)宿主細胞(宿主細胞機構は、抗原をタンパク質に連結する(例えば、N結合))において調製されるタンパク質(例えば、キャリアタンパク質)と糖又は糖類抗原(例えば、オリゴ糖及び多糖)の間のコンジュゲートを指す。好ましくは、用語「バイオコンジュゲート」は、宿主細胞バックグラウンド(宿主細胞機構は、抗原をタンパク質に連結する(例えば、N結合))において調製されるタンパク質(例えば、キャリアタンパク質)とO抗原、好ましくは、大腸菌(E.coli)O抗原(例えば、O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、O75など)の間のコンジュゲートを指す。バイオコンジュゲートは、宿主細胞機構によって宿主細胞において調製されるため、抗原及びタンパク質は、グリコシド結合又はバイオコンジュゲートにおける結合を介して共有結合的に連結される。バイオコンジュゲートは、O抗原を合成し及び/又はO抗原を標的タンパク質に連結するのに必要な細胞機構を発現するために操作された組換え宿主細胞において調製され得る。本明細書に記載されるとおりのバイオコンジュゲートは、化学的に調製されるグリココンジュゲートを超える有利な特性を有し、グリカンは、バクテリア細胞壁から精製され、続いてキャリアタンパク質に化学的にカップリングされ、例えば、バイオコンジュゲートは、製造においてより少ない化学物質を必要とし、作製される最終生成物に関してより均一であり、より少ない遊離グリカンを含有するか又は遊離グリカンを含有しない(すなわち、キャリアタンパク質に結合されない)。リピドAのないO抗原の精製及びその後のキャリアタンパク質への化学的コンジュゲーションは、冗長で面倒なプロセスである。さらに、精製、リピドA無毒化及び化学的コンジュゲーションプロセスは、エピトープの消失、抗原不均一性及びコンジュゲートされた多糖の免疫原性の低減をもたらし得る。バイオコンジュゲーションによるグリココンジュゲートの合成は、古典的な精製及び化学的コンジュゲーションのこれらの制約を克服することができる。したがって、典型的な実施形態では、バイオコンジュゲートは、化学的に生成されるグリココンジュゲートより好ましい。
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(E.coli)O抗原及びEPAキャリアタンパク質を生成し、O抗原をEPAキャリアタンパク質に共有結合的に結合して、本発明において有用なバイオコンジュゲートを形成することができる。例えば、開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Ihssen et al.,2010,Microbial Cell Factories 9,61、並びに国際公開第2006/119987号パンフレット、国際公開第2009/104074号パンフレット、及び国際公開第2015/124769号パンフレットにおける関連する開示を参照されたい。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、本発明において有用な大腸菌(E.coli)O抗原にN結合される。例えば、大腸菌(E.coli)O抗原は、Asn-X-Ser(Thr)(Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)(配列番号2)、好ましくは、Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(X及びZは、独立して、Proを除く任意のアミノ酸から選択される)(配列番号3)などのキャリアタンパク質のグリコシル化配列におけるAsn残基に連結される。
或いは、グリココンジュゲートは、化学合成によって調製され得る、すなわち、宿主細胞の外部(インビトロ)で調製され得る。例えば、本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原、例えば、O75抗原は、多糖/オリゴ糖及びタンパク質キャリアにおける活性化反応性基を使用する手段によるものを含む、当業者に知られる方法を使用してキャリアタンパク質にコンジュゲートされ得る。例えば、開示が参照により本明細書に組み込まれるPawlowski et al.,2000,Vaccine 18:1873-1885;及びRobbins et al.,2009,Proc Natl Acad Sci USA 106:7974-7978を参照されたい。そのような手法は、宿主細胞からの抗原性多糖/オリゴ糖の抽出、多糖/オリゴ糖を精製すること、多糖/オリゴ糖を化学的に活性化させること、及び多糖/オリゴ糖をキャリアタンパク質にコンジュゲートすることを含む。キャリアタンパク質への化学的コンジュゲーションを使用してキャリアタンパク質にコンジュゲートされる大腸菌(E.coli)O抗原のグリココンジュゲート、及びそのようなグリココンジュゲートを含む組成物を作製する方法はまた、国際公開第2020/039359号パンフレットにおいて記載されている。
例えば、コンジュゲートは、CDAP化学反応を使用して調製され得る。これらの実施形態では、多糖は、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)で活性化されてシアン酸エステルを形成する。次に、活性化された多糖は、直接的に又はスペーサー(リンカー)基を介してキャリアタンパク質(例えば、EPA又はCRM197)上のアミノ基にカップリングされる。例えば、スペーサーは、マレイミド活性化キャリアタンパク質(例えば、N-[γ-マレイミドブチルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS))又はハロアセチル化キャリアタンパク質(例えば、ヨードアセトイミド、N-スクシンイミジルブロモアセテート(SBA;SIB)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(スルホ-SIAB)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、又はスクシンイミジル3-[ブロモアセトアミド]プロプリオネート(SBAP))との反応後に得られるチオエステル結合を介してキャリアにカップリングされ得るチオール化多糖を得るためにシスタミン又はシステアミンであり得る。好ましくは、シアン酸エステル(任意選択によりCDAP化学反応により作製される)は、ヘキサンジアミン又はアジピン酸ジヒドラジド(ADH)とカップリングされ、アミノ誘導体化糖は、タンパク質キャリア上のカルボキシル基を介するカルボジイミド(例えば、EDAC又はEDC)化学反応を使用してキャリアタンパク質(例えば、EPA又はCRM197)にコンジュゲートされる。そのようなコンジュゲートは、例えば、国際公開第93/15760号パンフレット、国際公開第95/08348号パンフレット及び国際公開第96/129094号パンフレットにおいて記載される。
コンジュゲーションのための他の好適な手法は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを使用する。多くが国際公開第98/42721号パンフレットに記載される。コンジュゲーションは、糖の遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethell et al.(1979)1.Biol.Chern.254:2572-2574;Hearn et al.(1981)J.Chromatogr.218:509-518)に続く、カルバミン酸結合を形成するためのタンパク質との反応によって形成され得るカルボニルリンカーを含み得る。これは、アノマー末端の第一級ヒドロキシル基への還元、第一級ヒドロキシル基の任意選択の保護/脱保護、CDIカルバミン酸中間体を形成するための第一級ヒドロキシル基とCDIの反応及びタンパク質上のアミノ基とCDIカルバミン酸中間体のカップリングを含み得る。
他の実施形態では、コンジュゲートは、還元的アミノ化を使用して調製される。還元的アミノ化は、2つの工程、(1)多糖の酸化、(2)コンジュゲートを形成するための活性化多糖及びキャリアタンパク質の還元を含む。酸化の前に、多糖は任意選択により加水分解される。機械的又は化学的加水分解が利用され得る。化学的加水分解は、酢酸を使用して実行され得る。
酸化工程は、過ヨウ素酸塩との反応を含み得る。本発明の目的のために、用語「過ヨウ素酸塩」は、過ヨウ素酸塩及び過ヨウ素酸の両方を含み;その用語はまた、メタ過ヨウ素酸塩(IO4
-)及びオルト過ヨウ素酸塩(IO6
5-)の両方を含み、過ヨウ素酸塩の様々な塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム及び過ヨウ素酸カリウム)を含む。ある実施形態では、莢膜多糖は、メタ過ヨウ素酸塩の存在下、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)の存在下で酸化される。別の実施形態では、莢膜多糖は、オルト過ヨウ素酸塩の存在下、好ましくは、過ヨウ素酸の存在下で酸化される。
ある実施形態では、酸化剤は、第一級ヒドロキシルを選択的に酸化する酸化体の存在下でピペリジン-N-オキシ又はピロリジン-N-オキシ化合物などの安定なニトロキシル又はニトロキシドラジカル化合物である(国際公開第2014/097099号パンフレットに記載されるとおり)。前記反応において、実際の酸化体は、触媒サイクルにおいてN-オキソアンモニウム塩である。ある態様では、前記安定なニトロキシル又はニトロキシドラジカル化合物は、ピペリジン-N-オキシ又はピロリジン-N-オキシ化合物である。ある態様では、前記安定なニトロキシル又はニトロキシドラジカル化合物は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)又はPROXYL(2,2,5,5-テトラメチル-1-ピロリジニルオキシ)部分を有する。ある態様では、前記安定なニトロキシルラジカル化合物は、TEMPO又はその誘導体である。ある態様では、前記酸化体は、N-ハロ部分を有する分子である。ある態様では、前記酸化体は、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、ジクロロイソシアヌル酸、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、ジブロモイソシアヌル酸、1,3,5-トリブロモ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、ジヨードイソシアヌル酸及び1,3,5-トリヨード-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンからなる群から選択される。好ましくは、前記酸化体は、N-クロロスクシンイミドである。
任意選択により、酸化反応は、消去剤の添加によってクエンチされる。消去剤は、ビシナルジオール、1,2-アミノアルコール、アミノ酸、グルタチオン、亜硫酸塩、重硫酸塩、亜ジチオン酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩又は亜リン酸(グリセロール、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,2-ジオール又はブタン-2,3-ジオール、アスコルビン酸など)から選択される。
多糖の酸化工程の後、多糖は活性化されたと言われ、本明細書の下で「活性化多糖」と称される。活性化多糖及びキャリアタンパク質は、独立して(別々の凍結乾燥)又は合わせて(共凍結乾燥)凍結乾燥され得る。一実施形態では、活性化多糖及びキャリアタンパク質は、共凍結乾燥される。別の実施形態では、活性化多糖及びキャリアタンパク質は、独立して凍結乾燥される。
一実施形態では、凍結乾燥は、非還元糖の存在下で行われ、考えられる非還元糖としては、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトース、デキストラン、マンニトール、ラクチトール及びパラチニットが挙げられる。
コンジュゲーションプロセスの第2の工程は、還元剤を使用するコンジュゲートを形成するための活性化多糖及びキャリアタンパク質の還元(還元的アミノ化と呼ばれる)である。好適である還元剤としては、シアノ水素化ホウ素(ブレンステッド又はルイス酸の存在下でのシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウム若しくは水素化ホウ素亜鉛など)、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン、2,6-ジボラン-メタノール、ジメチルアミン-ボラン、t-BuMeiPrN-BH3、ベンジルアミン-BH3若しくは5-エチル-2-メチルピリジンボラン(PEMB)などのアミンボラン又はボロヒドリド交換レジンが挙げられる。一実施形態では、還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムである。
ある実施形態では、還元反応は、水性溶媒(例えば、6.0~8.5、7.0~8.0、又は7.0及び7.5のpHのPBS、MES、HEPES、ビス-トリス、ADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、DIPSO、MOBS、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、ビシン又はHEPBから選択される)中で実行され、別の実施形態では、反応は、非プロトン性溶媒中で実行される。ある実施形態では、還元反応は、DMSO(ジメチルスルホキシド)又はDMF(ジメチルホルムアミド)溶媒中で実行される。DMSO又はDMF溶媒は、凍結乾燥された活性化多糖及びキャリアタンパク質を再構成するために使用され得る。
還元反応の最後に、コンジュゲート中に残っている未反応のアルデヒド基が存在する場合があり、これらは、好適なキャップ付加剤を使用してキャップ付加され得る。一実施形態では、このキャップ付加剤は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)である。
他の実施形態では、コンジュゲートは、国際公開第2014/027302号パンフレットに記載されるものなどのeTECコンジュゲーションを使用して調製される。前記グリココンジュゲートは、1つ以上のeTECスペーサーを介してキャリアタンパク質に共有結合的にコンジュゲートされた糖を含み、糖は、カルバミン酸結合を介してeTECスペーサーに共有結合的にコンジュゲートされ、キャリアタンパク質は、アミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合的にコンジュゲートされる。本発明のeTEC連結グリココンジュゲートは、一般式(I):
(式中、eTECスペーサーを含む原子は、中央の箱に含有される)によって表され得る。
eTECスペーサーは、7個の直鎖状原子(すなわち、-C(O)NH(CH2)2SCH2C(O)-)を含み、糖とキャリアタンパク質の間に安定なチオエーテル及びアミド結合をもたらす。eTEC連結グリココンジュゲートの合成は、糖にカルバミン酸結合を形成してチオール化糖をもたらす、チオアルキルアミン試薬、例えば、シスタミン若しくはシステアミン又はその塩のアミノ基と糖の活性化ヒドロキシル基の反応を含む。1つ以上の遊離スルフヒドリル基の生成は、活性化チオール化糖をもたらす還元剤との反応によって達成される。活性化チオール化糖の遊離スルフヒドリル基のアミン含有残基上に1つ以上のα-ハロアセトアミド基を有する活性化キャリアタンパク質との反応は、チオエーテル結合を生成してコンジュゲートを形成し、キャリアタンパク質は、アミド結合を介してeTECスペーサーに結合される。
本明細書に記載されるコンジュゲートは、タンパク質の精製のために当該技術分野で知られる任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アニオン交換、アフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又はタンパク質の精製のための任意の他の標準的な手法によって精製され得る。例えば、Saraswat et al.,2013,Biomed.Res.Int.ID#312709(p.1-18)を参照のこと;国際公開第2009/104074号パンフレットに記載される方法も参照のこと。特定のコンジュゲートを精製するために使用される実際の条件は、合成戦略(例えば、組換え体生成に対する合成による生成)並びにバイオコンジュゲートの実効電荷、疎水性、及び/又は親水性などの因子に部分的に依存することになり、当業者に明らかであろう。
宿主細胞
本明細書では、大腸菌(E.coli)O抗原及びそのような大腸菌(E.coli)O抗原を含むバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞、例えば、原核宿主細胞が記載される。本明細書に記載される宿主細胞は、好ましくは、大腸菌(E.coli)O抗原多糖及び/又はそのバイオコンジュゲートを生成するために使用される宿主細胞機構(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸の1つ以上を含む(例えば、遺伝子操作を介して)ように改変される。
古細菌、原核宿主細胞、及び真核宿主細胞を含む当業者に知られる任意の宿主細胞を使用して、本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖(例えば、大腸菌(E.coli)O75多糖)及び本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖を含むバイオコンジュゲート(例えば、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲート)を生成することができる。好ましい実施形態では、宿主細胞は、原核宿主細胞である。本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖及び本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖を含むバイオコンジュゲートの生成における使用のための例示的な原核宿主細胞としては、エシェリキア(Escherichia)種、シゲラ(Shigella)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、キサントモナス(Xhantomonas)種、サルモネラ(Salmonella)種、エルシニア(Yersinia)種、ラクトコッカス(Lactococcus)種、ラクトバチルス(Lactobacillus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、ストレプトマイセス(Streptomyces)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、バチルス(Bacillus)種、及びクロストリジウム(Clostridium)種が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖及び本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖を含むバイオコンジュゲートを生成するために使用される宿主細胞は、原核宿主細胞であり、好ましくは、大腸菌(E.coli)である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される大腸菌(E.coli)O抗原多糖及びバイオコンジュゲートを生成するために使用される宿主細胞は、異種核酸、例えば、所望のO抗原血清型のrfb遺伝子クラスターを含む異種核酸、1つ以上のキャリアタンパク質及び/又はグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含むように操作される。特定の実施形態では、異種rfb遺伝子、及び/又はグリコシル化経路(例えば、原核及び/又は真核グリコシル化経路)に関与するタンパク質をコードする異種核酸が、本明細書に記載される宿主細胞に導入され得る。そのような核酸は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ及び/又はグリコシルトランスフェラーゼを含むがこれらに限定されないタンパク質をコードし得る。
例えば、大腸菌(E.coli)O抗原多糖及びそのバイオコンジュゲートを調製するために使用され得る組換え宿主細胞を作製する際に有用なグリコシルトランスフェラーゼをコードする様々な遺伝子及び遺伝子クラスターの配列は、本明細書に記載される。当業者は、遺伝暗号の縮重に起因して、特定のアミノ酸配列を有するタンパク質が複数の異なる核酸によってコードされ得ることを認識するであろう。したがって、当業者は、本明細書で提供される核酸が、核酸によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼすことなく、その配列が本明細書で提供される配列とは異なるように改変され得ることを理解するであろう。
本明細書では、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、O1A抗原多糖、O2抗原多糖、グリコシル化若しくは非グルコシル化O4抗原多糖、O6A抗原多糖、O8抗原多糖、O15抗原多糖、O16抗原多糖、O18A抗原多糖、又はO25B抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成するための宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)が記載される。本明細書に記載される宿主細胞は、大腸菌(E.coli)O抗原多糖を生成することができる酵素(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ)をコードする核酸を含む。本明細書に記載される宿主細胞は、目的のO抗原を生成することができる核酸を天然に発現することができるか、又は宿主細胞は、そのような核酸を発現するために作製され得る。ある特定の実施形態では、核酸は、宿主細胞に対して異種であり、当該技術分野で知られる遺伝的手法を使用して宿主細胞に導入される。例えば、核酸は、遺伝子操作によって宿主細胞に導入され得る(例えば、遺伝子クラスターは、プラスミド又はプラスミド(複数)上で発現されるか又は宿主細胞ゲノムに組み込まれる(例えば、国際公開第2014/037585号パンフレット、国際公開第2014/057109号パンフレット、国際公開第2015/052344号パンフレットを参照のこと))。
また、本明細書では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A、O2、グルコシル化若しくは非グルコシル化O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、又はO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)が記載される。そのような宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)は、O抗原多糖に特異的なrfb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列を含む。rfb遺伝子クラスターは、野生型大腸菌(E.coli)株から単離され、1つの宿主細胞内でオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(例えば、PglB)及びキャリアタンパク質(例えば、EPA)をコードする核酸と組み合わせて、目的の大腸菌(E.coli)O抗原及びそのバイオコンジュゲートを生成する組換え宿主細胞を得ることができる。例えば、そのような宿主細胞は、国際公開第2015/124769号パンフレット、国際公開第2014/037585号パンフレット、国際公開第2009/104074号パンフレット、及び国際公開第2009/089396号パンフレットに記載されるものなどのバイオコンジュゲーション技術を使用してrfb遺伝子クラスター、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(例えば、PglB)及びキャリアタンパク質(例えば、EPA)を含む1つ以上のプラスミドを含むように組換え手法を使用して操作され得る。好ましくは、宿主細胞は、それらのゲノムに組み込まれたrfb遺伝子クラスターを含む。オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、キャリアタンパク質、及び該当する場合、gtrS遺伝子をコードする核酸もまた、ある特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。異種又は同種のgtrA及びgtrB遺伝子もまた、ある特定の実施形態では、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。
O1A、O2、O6A及びO25B抗原のためのバイオコンジュゲートの調製は、国際公開第2015/124769号パンフレット及び国際公開第2017/035181号パンフレットにおいて詳細に記載されている。各大腸菌(E.coli)O抗原(rfb座位)のための例示的な遺伝子クラスターは、Iguchi A,et al,DNA Research,2014,1-7、及びDebRoy C,et al,PLoS One.2016,11(1):e0147434;Plos One.2016,11(4):e0154551における訂正)において記載されている。内部でコードされるタンパク質のためのrfbクラスター及びアミノ酸配列に関する核酸配列もまた、GenBankなどの公的なデータベースにおいて見出され得る。本明細書で開示される血清型の多糖抗原を有するバイオコンジュゲートのための産生株において使用され得るrfbクラスターの例示的配列もまた、配列番号9及び11~19において提供される。したがって、上述の所望のバイオコンジュゲートの各々に関して、それぞれのrfbクラスターを宿主細胞に導入して、所望のO抗原のための特定のrfbクラスターを有し、及びオリゴサッカリルトランスフェラーゼ及びキャリアタンパク質をコードする核酸を含有する宿主細胞を得ることができる。上で示される理由のために、好ましくは、宿主細胞は、組換え宿主細胞であり、好ましくは、大腸菌(E.coli)実験又は産生株、例えば、大腸菌(E.coli)K12又は大腸菌(E.coli)BL21などの比較的よく知られる特徴を有する株に由来する。好ましくは、rfbクラスターは、宿主細胞に対して異種であり、例えば、宿主細胞の前駆体細胞に導入され、好ましくは、そのゲノムに組み込まれる。好ましくは、元のrfb遺伝子クラスターは、それが前駆体細胞に存在した場合、宿主細胞において目的のO抗原のためのrfb遺伝子クラスターによって置き換えられており、目的のO抗原のバイオコンジュゲートの生成を可能にする。好ましくは、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、宿主細胞に対して異種であり、ある特定の実施形態では、そのようなオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸は、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。
本明細書に記載される宿主細胞のいずれか(例えば、組換え宿主細胞、好ましくは、組換え原核宿主細胞)は、タンパク質のN-グリコシル化において活性の追加の酵素をコードする核酸を含み、例えば、本明細書に記載される宿主細胞はさらに、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸又は他のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を含み得る。
本明細書に記載される宿主細胞は通常、オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸を含む。そのようなオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、脂質に連結されたオリゴ糖を、N-グリコシル化コンセンサスモチーフを含む新生のポリペプチド鎖のアスパラギン残基に移す。オリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸は、宿主細胞に対して生得的であり得るか、又は遺伝的手法を使用して宿主細胞に導入され得る。好ましい実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、宿主細胞に対して異種である。大腸菌(E.coli)は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼを天然に含まず、したがって、大腸菌(E.coli)がバイオコンジュゲートの生成のために宿主細胞として使用される場合、異種オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、例えば、遺伝子操作による導入時にそのような宿主細胞において含まれる。オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、本開示に鑑みて当該技術分野で知られる任意の供給源に由来し得る。
ある特定の実施形態では、例えば、非限定的な例のPglLとしてのO-グリコシルトランスフェラーゼなどのN-グリコシルトランスフェラーゼ活性を有するオリゴサッカリルトランスフェラーゼに対する代替物は、例えば、国際公開第2016/82597号パンフレット及び国際公開第2020/120569号パンフレットに記載されるとおり、キャリアタンパク質においてそれ自体の異なるグリコシル化コンセンサス配列と組み合わせて使用され得る。したがって、O-グリコシルトランスフェラーゼなどの他のグリコシルトランスフェラーゼはまた、本発明によるオリゴサッカリルトランスフェラーゼとしても使用され得る。
ある特定の好ましい実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター属(Campylobacter)由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼである。例えば、一実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼである(すなわち、pglB;例えば、Wacker et al.,2002,Science 298:1790-1793;また、例えば、NCBI Gene ID:3231775,UniProt Accession No.O86154を参照のこと)。別の実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)由来のオリゴサッカリルトランスフェラーゼである(例えば、NCBI Gene ID:7410986を参照のこと)。
特定の実施形態では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼであり、国際公開第2016/107818号パンフレット及び国際公開第2016/107819号パンフレットに記載されるものなどの天然(野生型)タンパク質又はその任意のバリアントを含む。PglBは、脂質に連結されたオリゴ糖を、コンセンサス配列の配列番号1及び配列番号2におけるアスパラギン残基に移すことができる。特定の実施形態では、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、配列番号6、又はそのバリアントを含む。ある特定の実施形態では、野生型PglBにおける1つ以上の内在性グリコシル化コンセンサス配列は、PglB自己グリコシル化を回避するために変異された(例えば、変異N534Qを含む配列番号6)。本明細書で提供される組換え宿主細胞における使用に好適なバリアントPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼの例としては、N311V、K482R、D483H、A669V、Y77H、S80R、Q287P、及びK289Rからなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む配列番号6のPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼが挙げられる。1つの特定の実施形態では、バリアントPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、変異N311Vを含む配列番号6を有する。別の特定の実施形態では、バリアントPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、変異Y77H及びN311Vを含む配列番号6を有する。別の特定の実施形態では、バリアントPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、変異N311V、K482R、D483H、及びA669Vを含む配列番号6を有する。別の特定の実施形態では、バリアントPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、変異Y77H、S80R、Q287P、K289R、及びN311Vを含む配列番号6を有する。ある特定のPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼバリアントは、特定の血清型の大腸菌(E.coli)O抗原バイオコンジュゲートの生成において収量を驚くほど向上させることが、2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23415において見出され、記載された。所与の大腸菌(E.coli)O抗原のための向上されたか又は最適なPglBバリアントは、予測可能ではなかった。したがって、本発明はまた、ある特定の態様では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼとして特定のPglBバリアントを使用して、特定の大腸菌(E.coli)O抗原のバイオコンジュゲートを生成するための方法を開示する。配列番号6と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であり、好ましくは本明細書における組み合わせにおいて開示される指定の位置に特定のアミノ酸の1つ以上を有するオリゴサッカリルトランスフェラーゼ活性を依然として有するPglBのさらなるバリアント(例えば、77Y、80S、287Q、289K、311N、482K、483D、669A;又は311V;又は311V、482R、483H、669V;又は77H、80R、287P、289R、311V;又は77H、311Vなど)もまた、バイオコンジュゲートの生成のために使用され得る。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)はさらに、配列番号6、又は好ましくは変異N311Vを含む配列番号6のアミノ酸配列を有するカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)に由来するPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。
他の特定の実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A、O6A、又はO15抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)はさらに、配列番号6、又は好ましくは変異N311V、K482R、D483H、及びA669Vを含む配列番号6のアミノ酸配列を有するカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)に由来するPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)はさらに、配列番号6、又は好ましくは変異N311Vを含む配列番号6、又はより好ましくは変異Y77H及びN311Vを含む配列番号6のアミノ酸配列を有するカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)に由来するPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。好ましくは、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートの生成のための組換え宿主細胞はさらに、配列番号4のアミノ酸配列(又は配列番号4と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるそのバリアント)を有し、グルコースの付加により大腸菌(E.coli)O4抗原多糖を修飾して、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖を生成することができるグルコシルトランスフェラーゼGtrSをコードする配列、及びそれぞれ配列番号7及び8(又はそれぞれ配列番号7及び8と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるアミノ酸配列を有するそのバリアント)のアミノ酸配列を有するトランスロカーゼGtrA及びグリコシルトランスフェラーゼGtrBをコードするヌクレオチド配列を含み、トランスロカーゼは、バクトプレノール連結型グルコースを移行させることができ、グリコシルトランスフェラーゼは、バクトプレノールをグルコシル化することができる。キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)非グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートの生成のために、細胞は、GtrS、GtrA、及びGtrBタンパク質をコードするそのような配列を必要としない。大腸菌(E.coli)O4抗原多糖のグルコシル化に特異的な新規のGtrSを使用するキャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートの生成は、全体として参照により本明細書に組み込まれる2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23404において記載される。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O16抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)はさらに、配列番号6、又は好ましくは変異Y77H、S80R、Q287P、K289R、及びN311Vを含む配列番号6のアミノ酸配列を有するカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)に由来するPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O8、O18A、O25B、又はO2抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成することができる宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)はさらに、配列番号6のアミノ酸配列を有するカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)に由来するPglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含み、好ましくは、配列番号6は、77、80、287、289、311、482、483、及び669位でアミノ酸変異を含まない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される宿主細胞のいずれかは、キャリアタンパク質、例えば、バイオコンジュゲートを形成するために宿主細胞グリコシル化機構によって生成されるO抗原多糖が結合され得るタンパク質をコードする核酸を含む。宿主細胞は、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)、大腸菌(E.coli)フラジェリン(FliC)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の無毒化溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌(E.coli)易熱性毒素、大腸菌(E.coli)易熱性毒素の無毒化バリアント、コレラトキシンBサブユニット(CTB)、コレラトキシン、コレラトキシンの無毒化バリアント、大腸菌(E.coli)Satタンパク質、大腸菌(E.coli)Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシン、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、緑膿菌(P.aeruginosa)PcrV、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タンパク質(OMPC)、及び分類不能型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)からのタンパク質Dを含むが、これらに限定されない本開示を鑑みて当業者に知られる任意のキャリアタンパク質をコードする核酸を含み得る。
好ましい実施形態では、宿主細胞はさらに、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)をコードする核酸を含む。好ましくは、EPAキャリアタンパク質は、それぞれ配列番号1のアミノ酸配列、及びより好ましくは配列番号2のアミノ酸配列を有するグリコシル化コンセンサス配列を含む1~10個のグリコシル化部位、好ましくは2~4個のグリコシル化部位、最も好ましくは4個のグリコシル化部位、例えば、1~10個、好ましくは2~4個、及びより好ましくは4個のグリコシル化部位を含む。特定の実施形態では、宿主細胞はさらに、配列番号3を含むEPA-4キャリアタンパク質をコードする核酸を含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される宿主細胞によるバイオコンジュゲートの作製において使用されるキャリアタンパク質は、「タグ」、すなわち、キャリアタンパク質の単離及び/又は同定を可能にするアミノ酸の配列を含む。例えば、タグをキャリアタンパク質に付加することは、そのタンパク質の精製、及びしたがって、タグ付けされたキャリアタンパク質を含むコンジュゲートワクチンの精製において有用であり得る。本明細書で使用され得る例示的なタグとしては、ヒスチジン(HIS)タグ(例えば、ヘキサ-ヒスチジン-タグ、又は6XHis-タグ)、FLAG-TAG、及びHAタグが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書で使用されるタグは、例えば、それらがもはや必要なくなってから、例えば、タンパク質が精製された後に化学薬品又は酵素的手段による除去など、除去可能である。他の実施形態では、キャリアタンパク質は、タグを含まない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるキャリアタンパク質は、キャリアタンパク質を発現する宿主細胞の細胞膜周辺腔にキャリアタンパク質を標的化するシグナル配列を含む。特定の実施形態では、シグナル配列は、大腸菌(E.coli)DsbA、大腸菌(E.coli)外膜タンパク質A(OmpA)、大腸菌(E.coli)マルトース結合タンパク質(MalE)、エルウィニア・カロトボランス(Erwinia carotovorans)ペクチン酸リアーゼ(PelB)、FlgI、NikA、又はバチルス属(Bacillus sp.)エンドキシラナーゼ(XynA)、熱不安定性大腸菌(E.coli)エンテロトキシンLTIIb、バチルス(Bacillus)エンドキシラナーゼXynA、又は大腸菌(E.coli)フラジェリン(FlgI)に由来する。一実施形態では、シグナル配列は、配列番号10を含む。シグナル配列は、タンパク質の周辺質への移行後に切断される場合があり、したがって、バイオコンジュゲートの最終的なキャリアタンパク質中にはもはや存在しない場合がある。
ある特定の実施形態では、追加の修飾が、本明細書に記載される宿主細胞に導入され得る(例えば、組換え手法を使用して)。例えば、グリコシル化経路と場合によっては競合するか又は干渉する(例えば、宿主細胞に組換えにより導入されるグリコシル化に関与する1つ以上の異種遺伝子と競合するか又は干渉する)部分を形成するタンパク質をコードする宿主細胞核酸(例えば、遺伝子)は、それらを不活性/機能不全にするように宿主細胞バックグラウンド(ゲノム)において欠失され得るか又は改変され得る(すなわち、欠失される/改変される宿主細胞核酸は、機能性タンパク質をコードしない)。ある特定の実施形態では、核酸が本明細書で提供される宿主細胞のゲノムから欠失されるとき、それらは、望ましい配列、例えば、O抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートの精製に有用な配列によって置き換えられる。
宿主細胞において欠失され得る(及び、いくつかの場合、他の所望の核酸配列で置き換えられる)例示的な遺伝子又は遺伝子クラスターは、waaL(例えば、Feldman et al.,2005,PNAS USA 102:3016-3021を参照のこと)、リピドAコア生合成クラスター(waa)、ガラクトースクラスター(gal)、アラビノースクラスター(ara)、結腸酸クラスター(wc)、莢膜多糖クラスター、ウンデカプレノール-p生合成遺伝子(例えば、uppS、uppP)、und-P再利用遺伝子、ヌクレオチド活性化糖生合成に関与する代謝酵素、腸内細菌共通抗原クラスター(eca)、及びgtrABSクラスター又はその領域のようなプロファージO抗原修飾クラスターなどの糖脂質生合成に関与する宿主細胞の遺伝子又は遺伝子クラスターを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される宿主細胞は、それらが所望のO抗原多糖、例えば、グルコシル化O4抗原多糖以外の任意のO抗原多糖を生成しないように改変される。
特定の実施形態では、waaL遺伝子は、本明細書で提供される宿主細胞(例えば、組換え宿主細胞)のゲノムから欠失されるか又は機能的に不活性化される。用語「waaL」及び「waaL遺伝子」は、周辺質に位置する活性部位を有する膜結合型酵素をコードするO抗原リガーゼ遺伝子を指す。コードされた酵素は、ウンデカプレニルホスフェート(UPP)結合O抗原をリピドAコアに移行させて、リポ多糖を形成する。内在性waaL遺伝子(例えば、ΔwaaL株)の欠失又は破壊は、O抗原のリピドAへの移行を妨害し、代わりにO抗原のキャリアタンパク質などの別の生体分子への移行を強化することができる。
別の特定の実施形態では、waaL遺伝子、gtrA遺伝子、gtrB遺伝子、gtrS遺伝子、及びrfb遺伝子クラスターの1つ以上が、本明細書で提供される原核宿主細胞の元のゲノムから欠失されるか又は機能的に不活性化される。
一実施形態では、本明細書で使用される宿主細胞は、グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートを生成する大腸菌(E.coli)であり、waaL遺伝子が、宿主細胞のゲノムから欠失されるか又は機能的に不活性化され、大腸菌(E.coli)O4抗原多糖に特異的なgtrS遺伝子が挿入される。グルコシル化O4O抗原のバイオコンジュゲートのための産生株に関するある特定の実施形態では、配列番号4と少なくとも80%の配列同一性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードするgtrS遺伝子が、O4抗原のグルコシル化に関与するものを有する親株におけるgtrS遺伝子を置き換えるために親株のgtrS遺伝子の代わりに挿入される。そのような親株の例は、大腸菌(E.coli)K-12株W3110である。gtrA及びgtrB遺伝子は、親株に対して同種であり得るか、或いはこれらの遺伝子の一方又は両方は、親株に対して異種であり得る。通常、gtrS遺伝子とは異なり、これらのgtrA及びgtrB遺伝子は、O抗原構造に対して特異的ではない。
また、本明細書では、組換え宿主細胞を作製する方法が記載される。本明細書に記載される方法によって生成される組換え宿主細胞を使用して、大腸菌(E.coli)O抗原のバイオコンジュゲートを生成することができる。方法は、1つ以上の組換え核酸分子を細胞に導入して、組換え宿主細胞を生成することを含む。通常、組換え核酸分子は、異種である。本開示を鑑みて当該技術分野で知られる任意の方法を使用して、組換え核酸分子を宿主細胞に導入することができる。組換え核酸は、当業者に知られる任意の方法、例えば、エレクトロポレーション、化学的形質転換、熱ショック、天然の形質転換、ファージ形質導入、及び接合を使用して本明細書に記載される宿主細胞に導入され得る。特定の実施形態では、組換え核酸は、プラスミドを使用して本明細書に記載される宿主細胞に導入される。例えば、異種核酸は、プラスミド(例えば、発現ベクター)によって宿主細胞において発現され得る。別の特定の実施形態では、異種核酸は、例えば、国際公開第2014/037585号パンフレット、国際公開第2014/057109号パンフレット、又は国際公開第2015/052344号パンフレットに記載されるとおりのゲノムへの挿入の方法を使用して本明細書に記載される宿主細胞に導入される。
ツール及びモデル生物の両方として分子生物学において日常的に使用される大腸菌(E.coli)株は、例えば、ある特定の実施形態における宿主細胞のための親として使用され得る。非限定的な例としては、大腸菌(E.coli)K12株(例えば、W1485、W2637、W3110、MG1655、DH1、DH5α、DH10など)、B株(例えば、BL-21、REL606など)、C株、又はW株が挙げられる。1つの特定の実施形態では、宿主株は、親株W3110に由来する。この株は、例えば、YaleのE.coli Genetic Stock Centerから得ることができる。大腸菌(E.coli)に対するさらなる情報については、例えば、Ecoliwiki.netを参照されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される宿主細胞を使用して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O抗原多糖を含むバイオコンジュゲートを生成することができる。宿主細胞を使用してそのようなバイオコンジュゲートを生成する方法は、当該技術分野で知られる。例えば、国際公開第2003/074687号パンフレット及び国際公開第2006/119987号パンフレットを参照されたい。そのような方法は、バイオコンジュゲートの生成のための条件下で本明細書に記載される組換え宿主細胞のいずれかを培養することを含む。バイオコンジュゲートは、本開示を鑑みて当該技術分野で知られる任意の方法を使用して組換え宿主細胞から、単離され、分離され、及び/又は精製され得る。例えば、バイオコンジュゲートは、タンパク質の精製のために当該技術分野で知られる任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アニオン交換、アフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又はタンパク質の精製のための任意の他の標準的な手法によって精製され得る。例えば、国際公開第2009/104074号パンフレットに記載される方法を参照されたい。さらに、バイオコンジュゲートを、異種ポリペプチド配列に融合して、精製を容易にすることができる。特定のバイオコンジュゲートを精製するために使用される実際の条件は、バイオコンジュゲートの実効電荷、疎水性、及び/又は親水性などの因子に部分的に依存することになり、当業者に明らかであろう。O1A、O2、O6A、及びO25Bのためのバイオコンジュゲート、並びにこれらを含むワクチン組成物の調製は、例えば、国際公開第2015/124769号パンフレット及び国際公開第2017/035181号パンフレットに記載されている。
また、本明細書に記載される方法によって、すなわち、本明細書に記載される組換え宿主細胞を使用して生成されるバイオコンジュゲートが提供される。
いくつかの実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O抗原多糖のバイオコンジュゲートを調製する方法は、(i)(a)O抗原多糖のためのrfb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列;(b)配列番号1、好ましくは配列番号2を有するグリコシル化コンセンサス配列を含む少なくとも1つのグリコシル化部位、及びより好ましくは配列番号2を有するグリコシル化コンセンサス配列をそれぞれ含む4つのグリコシル化部位を含むキャリアタンパク質、好ましくはEPAをコードするヌクレオチド配列;並びに(c)オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、例えば、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼ又はそのバリアントをコードするヌクレオチド配列を含む組換え宿主細胞を提供することを含む。
ある特定の実施形態では、大腸菌(E.coli)O抗原多糖は、特定の多糖とタンパク質の重量比(w/w)でキャリアタンパク質に共有結合的に結合される。キャリアタンパク質に共有結合されるO抗原多糖の量のこの重量比は、「グリカン/タンパク質比」又は「多糖/タンパク質比」又は「PS/タンパク質比」と称される。いくつかの実施形態では、O抗原多糖は、約1:20~20:1、好ましくは、1:10~10:1、より好ましくは1:3~3:1の多糖とタンパク質(w/w)比でキャリアタンパク質に共有結合的に結合される。本明細書に記載されるバイオコンジュゲートのためのある特定の非限定的な実施形態では、グリカン/タンパク質比は、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、又は0.5などの約0.1~0.5である。そのような実施形態では、O抗原多糖:タンパク質の重量比は、特定のO抗原血清型に応じて、1:10:1:9:1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、又は1:2などの約1:10~1:2である。ある特定の実施形態では、グリカン/タンパク質比は、約0.15~約0.45である。一般に、より高いO抗原多糖とキャリアタンパク質のグリカン/タンパク質比は、高い量のキャリアタンパク質がいくつかの例において免疫学的干渉を引き起こす可能性があるため好ましい。また、より高いグリカン/タンパク質比は、キャリアタンパク質の量を比較的低く維持しながら、バイオコンジュゲートの形態で十分なO抗原多糖を投与するのに役立つことになり、これは、複数の血清型が組成物、例えば、少なくとも4種の異なるO抗原、少なくとも5種の異なるO抗原、少なくとも6種の異なるO抗原、少なくとも7種の異なるO抗原、少なくとも8種の異なるO抗原、少なくとも9種の異なるO抗原、少なくとも10種の異なるO抗原などのからのバイオコンジュゲートを含む組成物によって包含されることになる多価組成物に特に有益である。
本発明によるコンジュゲートのグリカン/タンパク質比は、タンパク質量及びグリカン量を決定することによって決定され得る。タンパク質量は、280nm(A280)のUV吸光度の測定によって決定され得る。グリカン量は、反復単位における糖の(例えば、表1のO8についてはManの、及び表1の他のグリカンについてはGlcNAcの)アンペロメトリック電気化学検出法によるイオンクロマトグラフィー(IC-PAD)に基づいて決定することができ、その後、反復単位の構造情報を使用して、総グリカン量を計算することができる(例えば、O1Aの反復単位は、845Daのモル質量を有し、そのような反復単位の1モルは、GlcNAcの1モルを含有し、GlcNAcの量がIC-PADによって決定されたときに総グリカン量の計算が可能になる)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるとおりのキャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖のバイオコンジュゲートは、L-Rh糖の2位である特定の程度のアセチル化を有する。(バイオ)コンジュゲートにおけるO25B抗原多糖のO-アセチル化の程度は、好ましくは、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%などの少なくとも50%である。
同様に、(バイオ)コンジュゲートにおける大腸菌(E.coli)O16抗原多糖のO-アセチル化の程度は、好ましくは、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%などの少なくとも50%である。
特定の実施形態では、O抗原多糖のバイオコンジュゲートを調製する方法は、生成されることになるO抗原多糖バイオコンジュゲートに応じて、特定のオリゴサッカリルトランスフェラーゼ酵素、特に、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼ又はそのバリアントをコードする核酸配列を含む組換え宿主細胞を提供することを含む。特定のオリゴサッカリルトランスフェラーゼ酵素バリアントは、宿主細胞によって生成されるバイオコンジュゲートの収量に影響を及ぼし得る。通常、収量は特定のバイオコンジュゲートを生成するためのコストに影響を及ぼすことになるため、より高い収量が好ましく、これはいくつかの異なるバイオコンジュゲートを含む多価組成物にとって特に重要である。
1つの特定の実施形態では、O抗原がO75抗原多糖であるとき、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、N311Vのアミノ酸変異を含み、アミノ酸変異は、配列番号6のアミノ酸配列を有する野生型PglBに対するものである。
別の特定の実施形態では、O抗原がO1A、O6A、又はO15抗原多糖であるとき、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、N311V、K482R、D483H、及びA669Vのアミノ酸変異を含み、アミノ酸変異は、配列番号6のアミノ酸配列を有する野生型PglBに対するものである。
別の特定の実施形態では、O抗原がグルコシル化O4抗原多糖であるとき、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、アミノ酸変異N311V、又はY77H及びN311Vのアミノ酸変異を含み、アミノ酸変異は、配列番号6のアミノ酸配列を有する野生型PglBに対するものである。
別の特定の実施形態では、O抗原がO16抗原多糖であるとき、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、Y77H、S80R、Q287P、K289R、及びN311Vのアミノ酸変異を含み、アミノ酸変異は、配列番号6のアミノ酸配列を有する野生型PglBに対するものである。
別の特定の実施形態では、O抗原がO8、O18A、O25B、又はO2抗原多糖であるとき、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、配列番号6は、77、80、287、289、311、482、483、及び669位にアミノ酸変異を含まない。そのある特定の実施形態では、PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、上で示されるO抗原/PglBオリゴサッカリルトランスフェラーゼ対毎にオリゴサッカリルトランスフェラーゼ酵素をコードする組換え宿主細胞によって生成されるO抗原多糖のバイオコンジュゲートは、好ましくは、本明細書に記載される好ましい特質、例えば、グリカン/タンパク質比及び/又は多グリコシル化キャリアタンパク質のパーセントの1つ以上を有する。
組成物及び組合せ物
本明細書では、大腸菌(E.coli)O75及びO6抗原多糖を含む組成物及び組合せ物が提供され、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、任意選択により、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てをさらに含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。O抗原多糖又はコンジュゲート、例えば、バイオコンジュゲートの組合せ物は、複数の組成物を含み得るが、それは、O抗原多糖又はコンジュゲート、例えば、バイオコンジュゲートの組み合わせが同じ組成物中に存在する場合に好ましい。
本明細書に記載される組成物及び組合せ物は、大腸菌(E.coli)による対象(例えば、ヒト対象)の感染の治療及び予防、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患の予防において有用である。いくつかの実施形態では、組成物は、免疫原性組成物である。本明細書で使用する場合、「免疫原性組成物」は、組成物が投与される宿主又は対象において免疫応答を誘発することができる組成物を指す。組成物及び免疫原性組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」は動物、より特にはヒトにおける使用のために、連邦若しくは州政府の規制当局によって承認されているか、又は米国薬局方若しくは他の一般的に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。用語「担体」は、本明細書中で薬学的に許容される担体に関連して使用される場合、医薬組成物が共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。生理食塩水並びに水性デキストロース溶液及びグリセロール溶液も液体担体として利用されてもよく、特に注射液のための液体担体として利用されてもよい。好適な賦形剤として、下記が挙げられる:デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなど。好適な医薬担体の例は、E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”において記載される。
一実施形態では、本発明の組成物は、トリス緩衝生理食塩水(TBS)pH7.4(例えば、トリス、NaCl及びKClを、例えばそれぞれ25mM、137mM及び2.7mMで含有する)中の本明細書に記載されるとおりの(バイオ)コンジュゲートを含む。他の実施形態では、本発明の組成物は、約7.0のpHの約10mM KH2PO4/Na2HPO4緩衝液、約5%(w/v)ソルビトール、約10mMメチオニン、及び約0.02%(w/v)ポリソルベート80中の本明細書に記載されるとおりの(バイオ)コンジュゲートを含む。他の実施形態では、本発明の組成物は、約7.0のpHの約10mM KH2PO4/Na2HPO4緩衝液、約8%(w/v)スクロース、約1mM EDTA及び約0.02%(w/v)ポリソルベート80中の本明細書に記載されるとおりの(バイオ)コンジュゲートを含む(例えば、EPAキャリアタンパク質に共有結合的に結合された大腸菌(E.coli)O抗原のバイオコンジュゲートのための好適な緩衝液については国際公開第2018/077853号パンフレットを参照のこと)。他の実施形態では、本発明の組成物は、約5mM コハク酸塩/0.9% NaCl、pH6.0中の本明細書に記載されるとおりの(バイオ)コンジュゲートを含む。
本明細書では、多価組成物、例えば、二価、三価、四価などの組成物である組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)が提供される。例えば、多価組成物は、大腸菌(E.coli)O抗原、グリココンジュゲート、又はそのバイオコンジュゲートなどの2種以上の抗原を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される多価組成物は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲート及び大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖のバイオコンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される多価組成物は、少なくとも1つの追加の抗原又はバイオコンジュゲートを含む。
通常、本発明の組成物は、まずキャリアタンパク質にこれらのO抗原多糖を独立して共有結合的に連結することによって、例えば、化学的コンジュゲーション又はバイオコンジュゲーションによって本明細書に記載されるとおりの大腸菌(E.coli)O抗原多糖の各々に関する個々のグリココンジュゲートを得ること、及びその後に本明細書に記載されるとおりの量及び比で個々のグリココンジュゲートを混合して本発明による組成物を得ることによって調製され得る。
一実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)は、本明細書に記載されるとおりのキャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び少なくとも1つの追加の抗原を含む多価組成物である。
いくつかの実施形態では、追加の抗原は、好ましくはキャリアタンパク質にそれぞれ個別にコンジュゲートされた抗原糖又は多糖、より好ましくは、O1、O2、O4、O6、O8、O15、O16、O18、及びO25血清型及びその亜血清型の1つ以上の大腸菌(E.coli)O抗原などの大腸菌(E.coli)O抗原多糖であり、各血清型に関するキャリアタンパク質は、同じであってもよいし、いくつか又は全ての血清型間で異なっていてもよい。好ましくは、大腸菌(E.coli)O75多糖の(バイオ)コンジュゲートを含む多価組成物はさらに、O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、及びO25血清型又はその亜血清型の各々の大腸菌(E.coli)O抗原を含む。いくつかの実施形態では、追加の大腸菌(E.coli)O抗原多糖の各々は、グリココンジュゲートであり、大腸菌(E.coli)O抗原多糖は、別の化学種、例えば、タンパク質、ペプチド、脂質など、最も好ましくは、キャリアタンパク質に、化学的又は酵素的方法などによって共有結合的に連結されていることを意味する。好ましい実施形態では、追加の大腸菌(E.coli)O抗原多糖の各々は、O抗原多糖が宿主細胞機構による酵素的なグリコシド結合を介して、例えば、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたバイオコンジュゲートである。ある特定の実施形態では、多価組成物はさらに、O8血清型の大腸菌(E.coli)O抗原を、好ましくはグリココンジュゲート、好ましくはバイオコンジュゲートの形態で含む。ある特定の実施形態における本明細書で提供される組成物は、大腸菌(E.coli)O抗原多糖の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20種の追加のグリココンジュゲート又は好ましくはバイオコンジュゲートなどの1~20種の追加のグリココンジュゲート、より好ましくは大腸菌(E.coli)O抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み得る。他の抗原は、ペプチド、タンパク質、又は脂質抗原などの本明細書で提供される組成物中に含まれ得る。
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖の(バイオ)コンジュゲート及び大腸菌(E.coli)O6抗原多糖の(バイオ)コンジュゲート、並びに大腸菌(E.coli)O1抗原多糖、大腸菌(E.coli)O2抗原多糖、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖、大腸菌(E.coli)O8抗原多糖、大腸菌(E.coli)O15抗原多糖、大腸菌(E.coli)O16抗原多糖、大腸菌(E.coli)O18抗原多糖、及び大腸菌(E.coli)O25抗原多糖、好ましくは少なくとも大腸菌(E.coli)O1抗原多糖、大腸菌(E.coli)O2抗原多糖及び大腸菌(E.coli)O25抗原多糖、より好ましくは、少なくとも大腸菌(E.coli)O1抗原多糖、大腸菌(E.coli)O2抗原多糖、大腸菌(E.coli)O25抗原多糖、大腸菌(E.coli)O4抗原多糖、大腸菌(E.coli)O15抗原多糖、大腸菌(E.coli)O16抗原多糖及び大腸菌(E.coli)O18抗原多糖からなる群から選択される少なくとも1つの追加の抗原多糖を含む。好ましくは、O1抗原多糖は、O1A抗原多糖であり、O6抗原多糖は、O6A抗原多糖であり、O4抗原多糖は、グルコシル化O4抗原多糖であり、O18抗原多糖は、O18A抗原多糖であり、O25抗原多糖は、O25B抗原多糖である。好ましくは、追加のO抗原多糖の各々は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、より好ましくは、バイオコンジュゲートである。
いくつかの実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)O75及び大腸菌(E.coli)O1、O2、又はO6抗原多糖の少なくとも1つ、好ましくは、大腸菌(E.coli)O1又はO6抗原多糖の少なくとも1つを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75抗原多糖とO1、O2、及び/又はO6抗原多糖の濃度の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。好ましい実施形態では、組成物はさらに、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25抗原多糖、好ましくは大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖を含み、O25抗原多糖とO1、O2、及び/又はO6抗原多糖の濃度の比は、約1.5:1~約4:1、好ましくは、約2:1である。そのような実施形態では、好ましくは、O25抗原多糖とO75抗原多糖の濃度の比は、約2:1~約1:1、好ましくは、約1.5:1、より好ましくは、約1:1である。そのある特定の実施形態では、O25抗原多糖とO2抗原多糖の濃度の比は、約4:1~約2:1である。ある特定の実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)O75、O1、O2、O6及びO25抗原多糖を含み、好ましくは、O1、O6及びO25抗原多糖はそれぞれ、O1A、O6A及びO25B多糖であり、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、抗原多糖O75:O1:O2:O6:O25の濃度の比は、約2:1:1:1:2である。ある特定の実施形態では、O抗原は、例えば、キャリアタンパク質におけるAsn残基に対するN結合を介して、バイオコンジュゲーションによりキャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中のO75抗原多糖の濃度は、約8~64μg/mL、好ましくは、約16~32μg/mL、好ましくは約28~36μg/mL、例えば、32μg/mLである。ある特定の実施形態では、組成物はさらに、大腸菌(E.coli)O4、O15、O16、O18抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、O4はグルコシル化されており、O18抗原はO18Aである。ある特定の実施形態では、組成物はさらに、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O8抗原多糖を含む。ある特定の実施形態では、これらの各々が組成物中に存在する限りにおける抗原多糖O75:O4:O15:O16:O18:O8の濃度比は、約2:1:1:1:1:1である。追加の実施形態では、組成物は、1つ以上のさらなる大腸菌(E.coli)O抗原多糖を含んでもよく、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。
一実施形態では、O1抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O1抗原多糖は、表1に示される式(O1A)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O1抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O1抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O2抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O2抗原多糖は、表1に示される式(O2)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O2抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O2抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O4抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O4抗原多糖は、グルコシル化O4抗原多糖であり、特定の実施形態では、表1に示されるとおりの式(O4-Glc+)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O4抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O4抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O6抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O6抗原多糖は、表1に示される式(O6A)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O6抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O6抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O8抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O8抗原多糖は、表1に示される式(O8)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O8抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O8抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O15抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O15抗原多糖は、表1に示される式(O15)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O15抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O15抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O16抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O16抗原多糖は、表1に示される式(O16)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O16抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結される。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O16抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O18抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O18抗原多糖は、表1に示される式(O18A)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O18抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結されている。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O18抗原多糖間の重量比は、約1.2:1と8:1の間、好ましくは、約1.5:1と4:1の間、より好ましくは、約2:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、又は2.5:1である。
一実施形態では、O25抗原多糖(例えば、グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートの単離された形態又は一部)は、本明細書で提供される組成物中で使用される(例えば、O75抗原多糖又はそのバイオコンジュゲートと組み合わせて)。特定の実施形態では、O25抗原多糖は、O25B抗原多糖を含み、特定の実施形態では、表1に示されるとおりの式(O25B)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、O25抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であり、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結される。ある特定の実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O25抗原多糖間の重量比は、約1:4と1:0.5の間、好ましくは、約1:2と1:1の間、より好ましくは、約1:1、例えば、約1:1.5、1:1.4、1:1.3、1:1.2、1:1.1、1:1.0、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、又は1:0.5である。
別の実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)は少なくとも、キャリアタンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)O75、O1、O2、O4、O6及びO25抗原多糖、好ましくは、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197(すなわち、少なくとも六価組成物)に共有結合的に連結されたO75、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A及びO25B抗原多糖のバイオコンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O1:O2:O4:O6:O25抗原多糖間の重量比は、約2:1:1:1:1:2である。
好ましい実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)は少なくとも、キャリアタンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25及びO75抗原多糖、好ましくは、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197(すなわち、少なくとも九価組成物)に共有結合的に連結されたO1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B及びO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25抗原多糖間の重量比は、約2:1:1:1:1:1:1:1:2である。
別の好ましい実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)は少なくとも、キャリアタンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O8、O15、O16、O18、O25及びO75抗原多糖、好ましくは、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197(すなわち、少なくとも十価組成物)に共有結合的に連結されたO1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物中の及び/又は対象に投与される場合のO75:O1:O2:O4:O6:O8:O15:O16:O18:O25抗原多糖間の重量比は、約2:1:1:1:1:1:1:1:1:2である。
また、本明細書では、他の大腸菌(E.coli)血清型に由来する追加のO抗原(例えば、単離された形態において、又はグリココンジュゲート若しくはバイオコンジュゲートの一部として)を任意選択によりさらに含む組成物が企図される。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)は、少なくとも上記のとおりの六価、九価又は十価組成物を含み、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖などの1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖、好ましくは、キャリアタンパク質、例えば、EPA又はCRM197に共有結合的に連結された抗原多糖の(バイオ)コンジュゲートをさらに含む。ある特定の実施形態では、上記のとおりの六価、九価又は十価組成物は、追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖又はそのコンジュゲートを含まず、すなわち、そのような組成物は、好ましくはコンジュゲート、好ましくはバイオコンジュゲートの形態でそれぞれ6、9、又は10種を含むがさらなる大腸菌(E.coli)抗原多糖を含まない。したがって、それは、9種のコンジュゲート、特に、キャリアタンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25及びO75抗原多糖、好ましくは、キャリアタンパク質、例えば、EPA及びCRM197(すなわち、九価組成物)に共有結合的に連結されたO1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B及びO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O抗原多糖の追加のコンジュゲートを含まない組成物を提供する実施形態である。したがって、それは、10種のコンジュゲート、特に、キャリアタンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O8、O15、O16、O18、O25及びO75抗原多糖、好ましくは、キャリアタンパク質、例えば、EPA及びCRM197(すなわち、十価組成物)に共有結合的に連結されたO1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O抗原の追加のコンジュゲートを含まない組成物を提供する別の実施形態である。
いくつかの好ましい実施形態では、追加の大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、及び/又はO25抗原多糖の各々は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。O抗原多糖は、化学的又は他の合成方法によりキャリアタンパク質に連結されていてもよいし、O抗原多糖は、バイオコンジュゲートの一部であってもよく、好ましくは、バイオコンジュゲートの一部である。好ましくは、組成物により包含される血清型毎のO抗原は、キャリアタンパク質にそれぞれ別々にカップリングされ、すなわち、特定の血清型を包含する各グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートは、本発明に従って組成物中で混合される前に別々に生成され得る。キャリアタンパク質は、好ましくは、組成物中の各グリココンジュゲート又はバイオコンジュゲートについて同じであってもよいし、或いは大腸菌(E.coli)O抗原のいくつか又は全てについて異なってもよく、例えば、異なる血清型のO抗原はまた、異なるキャリアタンパク質にコンジュゲートされてもよい。本開示の観点から、当業者に知られている任意のキャリアタンパク質を使用することができる。好適なキャリアタンパク質としては、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)、大腸菌(E.coli)フラジェリン(FliC)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の無毒化溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌(E.coli)易熱性毒素、大腸菌(E.coli)易熱性毒素の無毒化バリアント、コレラトキシンBサブユニット(CTB)、コレラトキシン、コレラトキシンの無毒化バリアント、大腸菌(E.coli)Satタンパク質、大腸菌(E.coli)Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシン、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、緑膿菌(P.aeruginosa)PcrV、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タンパク質(OMPC)、及び分類不能型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)からのタンパク質Dが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、キャリアタンパク質は、EPA又はCRM197である。
いくつかの実施形態では、追加の大腸菌(E.coli)O1(A)、O2、(グルコシル化)O4、O6(A)、O15、O16、O18(A)、及び/又はO25(B)抗原多糖の各々は、特にバイオコンジュゲートの一部であるとき、キャリアタンパク質におけるアスパラギン(Asn)残基に共有結合的に連結され、Asn残基は、グリコシル化コンセンサス配列Asn-X-Ser(Thr)を含むグリコシル化部位に存在し、Xは、Proを除く任意のアミノ酸(配列番号1)であってもよく、好ましくは、Asn残基は、グリコシル化コンセンサス配列Asn(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)を含むグリコシル化部位に存在し、X及びZは、独立して、Proを除く任意のアミノ酸(配列番号2)から選択される。キャリアタンパク質は、1~10個のグリコシル化部位、好ましくは、2~4個のグリコシル化部位、最も好ましくは、4個のグリコシル化部位を含んでもよく、各々がグリコシル化コンセンサス配列を含む。特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、EPA-4キャリアタンパク質、例えば、配列番号3のアミノ酸配列を含むEPA-4キャリアタンパク質である。
特定の実施形態では、本明細書において、(i)配列番号3(EPA-4キャリアタンパク質)を含む緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素Aキャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖(大腸菌(E.coli)O75抗原多糖は、式(O75)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(ii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖は、式(O1A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(iii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O2抗原多糖(大腸菌(E.coli)O2抗原多糖は、式(O2)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(iv)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖は、式(O6A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(v)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O15抗原多糖(大腸菌(E.coli)O15抗原多糖は、式(O15)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(vi)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O16抗原多糖(大腸菌(E.coli)O16抗原多糖は、式(O16)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(vii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖は、式(O18A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;(viii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖(大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖は、式(O25B)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;及び(ix)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖(大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖は、式(O4-Glc+)の構造を含む)のバイオコンジュゲート(式の各々は、表1で提供され、式の各々について、独立して、nは、1~100、例えば、1~50、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である)を含む組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)が提供される。
特定の実施形態では、前記組成物(例えば、医薬組成物及び/又は免疫原性組成物)はさらに、(x)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O8抗原多糖のバイオコンジュゲート(大腸菌(E.coli)O8抗原多糖は、表1に示されるとおりの式(O8)の構造を含み、この構造に関するnは、1~100、例えば、1~50、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である)を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のコンジュゲート、及び少なくとも大腸菌(E.coli)O6抗原多糖、好ましくは、O6A抗原多糖のコンジュゲートを含み、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のコンジュゲートは、約1.2~8倍、例えば、約2~4倍高い、例えば、組成物中に存在するO6抗原多糖の濃度より1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3、4、5、6、7、又は8倍高い濃度(全ての濃度は、O抗原多糖の重量に基づく)で組成物中に存在する。好ましくは、組成物中の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖は、組成物中のO6抗原多糖の濃度の約1.5~2.5倍、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、又は2.5倍である濃度で存在する。
特定の実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18、O25B、及びO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、O1A:O2:グルコシル化O4:O6A:O15:O16:O18:O25B:O75のバイオコンジュゲートは、1:1:1:1:1:1:1:2:2、1:1:1:1:1:1:1:2:1.5、2:1:1:2:1:1:1:4:3、2:1:1:2:1:1:1:4:4、2:1:2:2:2:2:2:4:4、好ましくは、約1:1:1:1:1:1:1:2:2の比(O抗原多糖の重量)で存在する。
特定の実施形態では、組成物は、大腸菌(E.coli)O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、O1A:O2:グルコシル化O4:O6A:O8:O15:O16:O18A:O25B:O75のバイオコンジュゲートは、1:1:1:1:1:1:1:1:2:2、2:1:2:2:2:2:2:2:4:4、2:1:1:2:1:1:1:1:4:3、又は2:1:1:2:1:1:1:1:4:4、好ましくは、約1:1:1:1:1:1:1:1:2:2の比(O抗原多糖の重量)で存在する。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲート、及び少なくとも大腸菌(E.coli)O6抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートは、約8~約50μg/mL、好ましくは約12~約40μg/mL、より好ましくは約16~約32μg/mL、例えば、16、18、20、22、24、26、28、30、又は32μg/mL、好ましくは約32μg/mLの濃度で組成物中に存在する。大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートの濃度は、好ましくは、組成物中に存在するO6バイオコンジュゲートの濃度より約1.2~約8倍、例えば、約2~4倍高い、例えば、1.5、2、3、4、5、6、7、又は8倍高い。
1つの特定の実施形態では、医薬組成物が提供され、その組成物は、
(i)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(ii)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O2抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(iii)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O4抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(iv)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(v)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O15抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(vi)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O16抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(vii)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖のバイオコンジュゲート;
(viii)約28~36、好ましくは、約32μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖のバイオコンジュゲート;及び
(ix)約28~36、好ましくは、約32μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み;
EPA-4キャリアタンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖は、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造をそれぞれ含み、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、より好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。
ある特定の実施形態では、そのような組成物はさらに、
(x)約12~20、好ましくは、約16μg/mLの多糖濃度でEPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み;
O8抗原多糖は、表1に示される式(O8)の構造を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、より好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。
一実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含む組成物が提供され、O75抗原多糖は、少なくとも約32μg/mLの濃度である。
一実施形態では、
(i)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖は、式(O1A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(ii)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O2抗原多糖(大腸菌(E.coli)O2抗原多糖は、式(O2)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(iii)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖(大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖は、式(O4-Glc+)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(iv)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖は、式(O6A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(v)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O15抗原多糖(大腸菌(E.coli)O15抗原多糖は、式(O15)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(vi)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O16抗原多糖(大腸菌(E.coli)O16抗原多糖は、式(O16)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(vii)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖は、式(O18A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(viii)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖(大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖は、式(O25B)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;及び
(ix)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖(大腸菌(E.coli)O75抗原多糖は、式(O75)の構造を含む)のバイオコンジュゲートを含む組成物が提供され;
式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造の各々は、表1に示され、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、より好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
組成物中に存在する大腸菌(E.coli)抗原多糖は、O1A、O2、O4-Glc+、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75からなる。好ましくは、キャリアタンパク質は、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA-4)であり、より好ましくは、EPA-4は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。好ましくは、O75抗原多糖とO1A、O2、及び/又はO6A抗原多糖の濃度の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である。好ましくは、組成物中に存在する大腸菌(E.coli)抗原多糖は、1:1:1:1:1:1:1:2:2の比でO1A、O2、O4-Glc+、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75からなる。
1つの一般的な態様では、本明細書では、大腸菌(E.coli)O75及びO6抗原多糖を含む組成物が提供され、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75抗原多糖とO6抗原多糖の濃度の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~4:1、好ましくは、約1.5:1~約2.5:1、より好ましくは、約2:1である。
ある特定の実施形態では、組成物はさらに、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、
好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4はグルコシル化されており、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bである。
ある特定の実施形態では、
大腸菌(E.coli)O1抗原多糖は、表1に示される式(O1A)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O2抗原多糖は、表1に示される式(O2)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O4抗原多糖は、表1に示される式(O4-Glc+)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O6抗原多糖は、表1に示される式(O6A)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O15抗原多糖は、表1に示される式(O15)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O16抗原多糖は、表1に示される式(O16)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O18抗原多糖は、表1に示される式(O18A)の構造を含み、
大腸菌(E.coli)O25抗原多糖は、表1に示される式(O25B)の構造を含み、及び
大腸菌(E.coli)O75抗原多糖は、表1に示される式(O75)の構造を含み、
各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。
ある特定の実施形態では、O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25:O75の大腸菌(E.coli)抗原多糖の重量比は、1:1:1:1:1:1:1:2:2である。
ある特定の実施形態では、O75抗原多糖の濃度は、約8~約50μg/mL、好ましくは、12~40μg/mL、例えば、16~32μg/mL、好ましくは、約32μg/mLである。
ある特定の実施形態では、組成物はさらに、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された少なくとも1つの追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む。
特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖は、表1に示される式(O8)を有するO8抗原多糖を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。
ある特定の実施形態では、各キャリアタンパク質は、独立して、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)、大腸菌(E.coli)フラジェリン(FliC)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の無毒化溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌(E.coli)易熱性毒素、大腸菌(E.coli)易熱性毒素の無毒化バリアント、コレラトキシンBサブユニット(CTB)、コレラトキシン、コレラトキシンの無毒化バリアント、大腸菌(E.coli)Satタンパク質、大腸菌(E.coli)Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシン、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、緑膿菌(P.aeruginosa)PcrV、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タンパク質(OMPC)、及び分類不能型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)からのタンパク質Dからなる群から選択される。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)又はCRM197である。
ある特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を有するコンセンサス配列を有する1~20個、例えば、1~10個、又は2~4個のグリコシル化コンセンサス配列を含み、最も好ましくは、キャリアタンパク質は、4個のグリコシル化コンセンサス配列を含む。
特定の実施形態では、各キャリアタンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列を含むEPAである。
ある特定の実施形態では、大腸菌(E.coli)抗原多糖は、バイオコンジュゲーション又は化学的コンジュゲーションによりキャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。化学的コンジュゲーションは、例えば、還元的アミノ化化学反応(RAC)、単一末端コンジュゲーション、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバミン酸塩(eTEC)スペーサーによるコンジュゲーション、ADHスペーサーを伴うか又は伴わないシアニル化化学反応(CNBr、CDAP)、チオエーテル化学反応(マレイミド/ブロモアセチルリンカー系)、又はEDC-N-ヒドロキシスクシンイミドゼロリンカー化学反応を含み得る。
ある特定の実施形態では、大腸菌(E.coli)抗原多糖は、バイオコンジュゲーションによってキャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、多糖は、キャリアタンパク質中のグリコシル化部位のAsn残基に共有結合的に連結されている。
別の態様では、本明細書では、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA-4)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖のバイオコンジュゲート(大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖は、式(O1A)の構造を含む);
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O2抗原多糖(大腸菌(E.coli)O2抗原多糖は、式(O2)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖(大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖は、式(O4-Glc+)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖は、式(O6A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O15抗原多糖(大腸菌(E.coli)O15抗原多糖は、式(O15)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O16抗原多糖(大腸菌(E.coli)O16抗原多糖は、式(O16)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖は、式(O18A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖(大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖は、式(O25B)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;及び
EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖(大腸菌(E.coli)O75抗原多糖は、式(O75)の構造を含む)のバイオコンジュゲートを含む組成物が提供され;
EPA-4は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造の各々は、表1に示され、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、より好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
O75抗原多糖とO6A抗原多糖の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である。
ある特定の実施形態では、組成物はさらに、キャリアタンパク質にそれぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を含む。
ある特定の実施形態では、組成物は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖は、表1に示される式(O4-Glc+)の構造を含み、nは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートは、
(i)大腸菌(E.coli)O4抗原多糖についてのrfb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列;
(ii)配列番号4と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(グルコシルトランスフェラーゼは、大腸菌(E.coli)O4抗原多糖を修飾して、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖を生成することができる);
(iii)それぞれ配列番号7及び8と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するトランスロカーゼ及びグリコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(トランスロカーゼは、バクトプレノール連結型グルコースを移行させることができ、グリコシルトランスフェラーゼは、バクトプレノールをグルコシル化することができる);
(iv)キャリアタンパク質をコードするヌクレオチド配列;及び
(v)大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖をキャリアタンパク質に共有結合的に連結することができるオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(好ましくは、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のPglBである)を含む大腸菌(E.coli)細胞において生成されている。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物はさらに、水銀誘導体チロメサールなどの保存剤を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、保存剤を含まない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば、免疫原性組成物)はアジュバントを含むか、又はアジュバントと組み合わせて投与される。本明細書に記載される組成物と組み合わせた投与のためのアジュバントは、前記組成物の投与の前(例えば、72時間、48時間、24時間、12時間、6時間、2時間、1時間、10分位内)、それと同時に、又はその後(例えば、72時間、48時間、24時間、12時間、6時間、2時間、1時間、10分位内)に投与され得る。いくつかの実施形態では、用語「アジュバント」は、本明細書に記載される組成物と組み合わせて、又はその一部として投与される場合、バイオコンジュゲートに対する免疫応答を増加、増強、及び/又は増大させるが、アジュバント化合物が単独で投与される場合、バイオコンジュゲートに対する免疫応答を生成しない化合物を指す。いくつかの実施形態では、アジュバントは、バイオコンジュゲートペプチドに対して免疫応答を引き起こし、アレルギー又は他の有害な反応をもたらさない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B細胞及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかの機構によって、免疫応答を増強し得る。ある特定の好ましい実施形態では、本明細書に記載される組成物は、バイオコンジュゲートを除いてアジュバントを含まず、及び/又はバイオコンジュゲートを除いてアジュバントと組み合わせて投与されない(バイオコンジュゲートがいくつかの固有のアジュバント特性を含む場合、これらは無視され、これらの実施形態では、外来性のアジュバントは添加されない)。
好適なアジュバントの例としては、アルミニウム塩(アラム)(アラム又はナノアラム製剤を含むナノ粒子を含む水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム及び酸化アルミニウムなど)、リン酸カルシウム、モノホスホリルリピドA(MPL)又は3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(例えば、英国特許第2220211号明細書、欧州特許第0971739号明細書、欧州特許第1194166号明細書、米国特許第6491919号明細書を参照されたい)、AS01、AS02、AS03及びAS04(全てGlaxoSmithKline;例えば、AS04に関しては、欧州特許第1126876号明細書、米国特許第7357936号明細書、AS02に関しては、欧州特許第0671948号明細書、欧州特許第0761231号明細書、米国特許第5750110号明細書を参照されたい)、MF59(Novartis)、イミダゾピリジン化合物(国際公開第2007/109812号パンフレットを参照されたい)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開第2007/109813号パンフレットを参照されたい)、デルタ-インスリン、STING-活性化合成環状ジヌクレオチド(例えば、米国特許出願公開第20150056224号明細書)、レシチン及びカルボマーホモポリマーの組み合わせ(例えば、米国特許第6676958号明細書)、並びにサポニン、例えば、QuilA及びQS21(例えば、Zhu D and W Tuo,2016,Nat Prod Chem Res 3:e113、Matrix M、Iscoms、Iscomatrixなど、これらは、任意選択により、QS7と組み合わされる(Kensil et al.,in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(eds.Powell & Newman、Plenum Press、NY、1995);米国特許第5,057,540号明細書を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、水中油型エマルション(例えば、スクアレン又は落花生油)であり、任意選択によりモノホスホリルリピドAなどの免疫賦活剤と組み合わせられる(Stoute et al.,N.Engl.J.Med.336,86-91(1997)を参照のこと)。別のアジュバントは、CpGである。アジュバントのさらなる例は、免疫賦活剤を含むリポソーム(例えば、例えばS01E及びAS01B中のMPL及びQS21(例えば、米国特許出願公開第2011/0206758号明細書)である。アジュバントの他の例は、イミダゾキノリン(イミキモド及びR848など)である。例えば、Reed G,et al.,2013,Nature Med,19:1597-1608を参照されたい。ある特定の実施形態では、アジュバントは、トール様受容体4(TLR4)アゴニストを含有する。TLR4アゴニストは、当該技術分野でよく知られており、例えば、Ireton GC and SG Reed,2013,Expert Rev Vaccines 12:793-807を参照されたい。ある特定の実施形態では、アジュバントは、MPL、3D-MPL、RC529(例えば、欧州特許第1385541号明細書)、PET-リピドA、GLA(グリコピラノシルリピドアジュバント、合成二糖糖脂質;例えば、米国特許出願公開第20100310602号明細書、米国特許第8722064号明細書)、SLA(例えば、Carter D et al,2016,Clin Transl Immunology 5:e108(doi:10.1038/cti.2016.63)、これは、ヒトワクチン用のTLR4リガンドを最適化するための構造-機能アプローチを説明している)、PHAD(リン酸化ヘキサアシル二糖)、3D-PHAD(この構造は、GLAの構造と同一である)、3D-(6-アシル)-PHAD(3D(6A)-PHAD)(PHAD、3D-PHAD、及び3D(6A)PHADは、合成リピドAバリアントである、例えば、これらの分子の構造も提供するavantilipids.com/divisions/adjuvantsを参照されたい)、E6020(CAS番号287180-63-6)、ONO4007、OM-174などのリピドA、又はその類似体若しくは誘導体を含むTLR4アゴニストを含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、アジュバントを含まず、アジュバントと組み合わせて投与されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、対象への意図した投与経路に好適であるように製剤化される。例えば、本明細書に記載される組成物は、皮下投与、非経口投与、経口投与、皮内投与、経皮投与、結腸直腸投与、腹腔内投与、及び直腸投与に好適であるように製剤化され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与、経口投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、気管内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、皮内投与、経皮投与、又は肺投与のために製剤化され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、筋肉内注射によって投与される。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物はさらに、1種以上の緩衝液(例えば、トリス緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、又はスクロースリン酸グルタミン酸緩衝液)を含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物はさらに、1種以上の塩(例えば、トリス-塩酸塩、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、又はアルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、アラム(硫酸アルミニウムカリウム)、又はそのようなアルミニウム塩の混合物)を含む。
本明細書に記載される組成物は、投与のための指示書とともに、容器、パック、又はディスペンサに含まれ得る。
本明細書に記載される組成物は、使用前に保存されてもよく、例えば、組成物は、(例えば、約-20℃又は約-70℃で)凍結保存され得るか;冷蔵条件下(例えば、約4℃で)保存され得るか;又は室温で保存され得る。
一態様では、本発明はまた、本発明による組成物を調製する方法であって、要求されるO抗原コンジュゲートの各々を(例えば、これらを、例えば、原体の形態で得ること又は製造することによって)提供すること、及び所望の比及び/又は量でそれらを混合して、本発明の組成物(例えば、多価大腸菌(E.coli)、特に、ExPEC、ワクチン組成物、場合により製剤と称される)を得ることを含む方法を提供する。
免疫応答を誘導する方法
本明細書で提供されるバイオコンジュゲート及び組成物を使用して、対象において大腸菌(E.coli)O抗原に対する抗体を誘導することができるか、又は大腸菌(E.coli)に対して対象をワクチン接種することができる。本明細書に記載される対象において免疫応答を誘導する方法は、O抗原が組成物中に存在するExPEC株による感染に対する対象のワクチン接種をもたらす。O抗原亜型が使用されるとき、本発明の方法はまた、同様の抗原性を有する別のO抗原亜型に対する免疫応答を誘導することができる。例は、亜血清型間の交差反応性であり、例えば、O25B抗原による免疫化は、O25B及びO25A血清型の両方のO-LPSを認識する抗体を誘導し、グルコシル化O4による免疫化は、グルコシル化O4及び非グルコシル化O4血清型の両方のO-LPSを認識する抗体を誘導し、他の例では、異なるO抗原を有するが、抗原性構造において依然として多少の類似性を共有する他の血清型に対する交差免疫化もあり得る(例えば、いくつかの血清は、血清型判定試験において交差反応するように見える)。
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ExPEC感染又は侵襲性ExPEC疾患を有するか又は有するリスクのあるヒトである。
いくつかの実施形態では、侵襲性ExPEC疾患は、敗血症を含む。いくつかの実施形態では、侵襲性ExPEC疾患は、菌血症を含む。いくつかの実施形態では、侵襲性ExPEC疾患は、尿路感染症、手術部位感染、腹部感染又は骨盤内感染、肺炎、骨髄炎、蜂巣炎、敗血症、菌血症、創傷感染、腎盂腎炎、髄膜炎、腹膜炎、胆管炎、軟部組織感染、化膿性筋炎、化膿性関節炎、眼内炎、化膿性甲状腺炎、副鼻腔炎、心内膜炎、及び前立腺炎の1つ以上を含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物の投与後に対象において誘導される免疫応答は、対象における侵襲性ExPEC疾患の重症度を制限するか、又は侵襲性ExPEC疾患を予防する。一実施形態では、対象は、投与時に大腸菌(E.coli)(例えば、ExPEC)感染を有する。好ましい実施形態では、対象は、投与時に大腸菌(E.coli)(例えば、ExPEC)感染を有しない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物の投与後に対象において誘導される免疫応答は、組成物で投与された対象のExPEC感染に起因する症状を、好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%予防するか又は低減するのに有効である。ExPEC感染の症状は、感染の性質に応じて変動する場合があり、排尿障害、尿意頻数若しくは尿意切迫の増加、膿尿、血尿症、背痛、骨盤痛、排尿中の疼痛、発熱、悪寒、及び/又は嘔気(例えば、ExPECによって引き起こされる尿路感染症を有する対象において);高熱、頭痛、肩こり、嘔気、嘔吐、痙攣、眠気、及び/又は光感受性(例えば、ExPECによって引き起こされる髄膜炎を有する対象における);発熱、心拍数の増加、呼吸数の増加、尿量の減少、血小板数の減少、腹痛、呼吸困難、及び/又は心機能異常(例えば、ExPECによって引き起こされる敗血症を有する対象における)を含み得るが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物の投与後の対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染に罹患している対象の入院の可能性を低減するのに有効である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物の投与後の対象において誘導される免疫応答は、ExPEC感染に罹患している対象の入院の期間を減少させるのに有効である。
ある特定の実施形態では、本発明の組成物によるワクチン接種は、侵襲性ExPEC疾患(IED)例えば、尿路性敗血症、菌血症、敗血症などを予防するためのものである。ある特定の実施形態では、ワクチン接種は、尿路感染症の発生又は重症度を予防するか又は低減することである。ある特定の実施形態では、IEDは、例えば、泌尿生殖器及び/又は腹腔の処置若しくは手術を経ている患者において院内感染の可能性がある。ある特定の実施形態では、IEDは、例えば、病院、外来外科センター、末期腎疾患施設、長期ケア施設などにおいて、例えば、中心ライン、カテーテルなどを介して、別の状態のために医療を受ける患者において医療関連感染である可能性がある。ある特定の実施形態では、IEDは、例えば、健康管理リスクに最近曝されていなかった患者において市中感染である可能性がある。
いくつかの実施形態では、対象において腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法は、本明細書に記載される組成物を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、対象において腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法は、第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O6抗原多糖を対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び第1の有効量と第2の有効量の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、より好ましくは、約2:1である。いくつかの好ましい実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO6抗原多糖は、1つの組成物として投与される。いくつかの代替的な実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO6抗原多糖は、別々の組成物の組み合わせとして投与される。
いくつかの実施形態では、対象において腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法はさらに、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4抗原はグルコシル化O4抗原多糖であり、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bである。好ましくは、O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25、及びO75抗原はそれぞれ、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造を有し、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。本発明によれば、O75抗原多糖とO6抗原多糖の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、キャリアタンパク質に、それぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、そのような追加の大腸菌(E.coli)抗原は、表1に示されるとおりの式(O8)の構造を好ましくは有するO8抗原多糖を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された各大腸菌(E.coli)抗原多糖は、バイオコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、1つの組成物として投与される。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、2つ以上の別々の組成物の組み合わせとして投与される。別々の投与の回数を制限することが好ましく、そのため抗原の大部分又は全てを含む単一の組成物の使用が好ましい。
一実施形態では、大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を誘導するための組成物を投与する方法であり、組成物は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、及び投与されるO75抗原多糖の濃度は、用量当たり少なくとも16μgである。
いくつかの実施形態では、対象において腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法は、第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O1抗原多糖を対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び第1の有効量と第2の有効量の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、より好ましくは、約2:1である。いくつかの好ましい実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO1抗原多糖は、1つの組成物として投与される。いくつかの代替的な実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO1抗原多糖は、組成物の組み合わせとして投与される。いくつかの実施形態では、方法はさらに、大腸菌(E.coli)O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4抗原はグルコシル化O4抗原多糖であり、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bである。好ましくは、O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25、及びO75抗原はそれぞれ、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造を有し、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。本発明によれば、O75抗原多糖とO1抗原多糖の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、キャリアタンパク質に、それぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、そのような追加の大腸菌(E.coli)抗原は、表1に示されるとおりの式(O8)の構造を好ましくは有するO8抗原多糖を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された各大腸菌(E.coli)抗原多糖は、バイオコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、1つの組成物として投与される。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、2つ以上の別々の組成物の組み合わせとして投与される。別々の投与の回数を制限することが好ましく、そのため抗原の大部分又は全てを含む単一の組成物の使用が好ましい。
いくつかの実施形態では、対象において腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法は、第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O2抗原多糖を対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び第1の有効量と第2の有効量の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、例えば、約1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2.0:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、より好ましくは、約2:1である。いくつかの好ましい実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO2抗原多糖は、1つの組成物として投与される。いくつかの代替的な実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO2抗原多糖は、組成物の組み合わせとして投与される。いくつかの実施形態では、方法はさらに、大腸菌(E.coli)O1、O4、O6、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4抗原はグルコシル化O4抗原多糖であり、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bである。好ましくは、O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25、及びO75抗原はそれぞれ、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造を有し、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。本発明によれば、O75抗原多糖とO2抗原多糖の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、キャリアタンパク質に、それぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を対象に投与することを含む。好ましくは、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された各大腸菌(E.coli)抗原多糖は、バイオコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、1つの組成物として投与される。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、2つ以上の別々の組成物の組み合わせとして投与される。別々の投与の回数を制限することが好ましく、そのため抗原の大部分又は全てを含む単一の組成物の使用が好ましい。
いくつかの実施形態では、対象において腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法は、第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O25抗原多糖を対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、第1の有効量と第2の有効量の比は、約1:4~1:0.5、好ましくは、約1:2~1:1、より好ましくは、約1:1、例えば、約1:1.5、1:1.4、1:1.3、1:1.2、1:1.1、1:1.0、1:0.9、1:0.8、1:0.7、1:0.6、又は1:0.5である。いくつかの好ましい実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO25抗原多糖は、1つの組成物として投与される。いくつかの代替的な実施形態では、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO75抗原多糖及びキャリアタンパク質に共有結合的に連結されたO25抗原多糖は、組成物の組み合わせとして投与される。いくつかの実施形態では、方法はさらに、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結されている。好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4抗原はグルコシル化O4抗原多糖であり、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bである。好ましくは、O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25、及びO75抗原はそれぞれ、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造を有し、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。本発明によれば、O75抗原多糖とO25抗原多糖の比は、約1:4~約1:0.5、好ましくは、約1:2~約1:1、より好ましくは、約1:1である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、キャリアタンパク質に、それぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、そのような追加の大腸菌(E.coli)抗原は、表1に示されるとおりの式(O8)の構造を好ましくは有するO8抗原多糖を含み、nは、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である。好ましくは、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された各大腸菌(E.coli)抗原多糖は、バイオコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、1つの組成物として投与される。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートは、2つ以上の別々の組成物の組み合わせとして投与される。別々の投与の回数を制限することが好ましく、そのため抗原の大部分又は全てを含む単一の組成物の使用が好ましい。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物、組合せ物、及びバイオコンジュゲートは、抗体、好ましくは、オプソニン作用活性を有する抗体の生成を含む免疫応答を誘導するために対象に投与され得る。そのような抗体は、当業者に知られる手法(例えば、免疫親和性クロマトグラフィー、遠心分離、沈殿など)を使用して単離され得る。
本明細書に記載されるバイオコンジュゲート及び組成物の対象において免疫応答を生成する能力は、当業者に知られるか又は本明細書に記載される任意の手法を使用して評価され得る。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲートの対象において免疫応答を生成する能力は、対象(例えば、マウス、ラット、ウサギ、又はサル)又は対象のセットを本明細書に記載されるバイオコンジュゲートで免疫化し、対照(例えば、PBS)で追加の対象(例えば、マウス、ラット、ウサギ、又はサル)又は対象のセットを免疫化することによって評価され得る。その後、対象又は対象のセットは、ExPECでチャレンジされ、ExPECの対象又は対象のセットにおいて疾患(例えば、UTI、菌血症、又は他の疾患)を引き起こす能力が決定され得る。当業者は、対照で免疫化された対象又は対象のセットがExPECによるチャレンジの後に疾患に罹患するが、本明細書に記載されるバイオコンジュゲート又はその組成物で免疫化された対象又は対象のセットが疾患に罹患しにくいか又は疾患に罹患しない場合、バイオコンジュゲートが対象において免疫応答を生成できることを認識するであろう。本明細書に記載されるバイオコンジュゲート又はその組成物のExPECに由来するO抗原と交差反応する抗血清を誘導する能力は、例えば、イムノアッセイ、ELISA(例えば、Van den Dobbelsteen et al,2016,Vaccine 34:4152-4160を参照のこと)、又はECL系イムノアッセイなどによって試験され得る。
例えば、本明細書に記載されるバイオコンジュゲートの対象において免疫応答を生成する能力は、グリココンジュゲート系ワクチンの承認を得るために使用された確立され、承認された方法を表す血清殺菌力アッセイ(SBA)又はオプソニン作用死滅アッセイ(OPKアッセイ、又はOPKA)を使用して評価され得る。そのようなアッセイは、当該技術分野でよく知られており、簡潔に述べると、目的の標的(例えば、O抗原多糖、例えば、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖)に対する抗体を、対象(例えば、マウス、ラット、ウサギ、又はサル)にそのような抗体を誘発する化合物を投与することによって生成する工程及び単離する工程を含む。その後、抗体の殺菌能が、例えば、抗体及び補体並びに(アッセイに応じて)好中球の存在下で目的の細菌(例えば、関連する血清型の大腸菌(E.coli))を培養し、例えば、標準的な微生物学的手法を使用して細菌の死滅及び/又は中和を媒介する抗体の能力を評価することによって評価され得る。大腸菌(E.coli)バイオコンジュゲートワクチンのためのOPKアッセイの例については、例えば、Abbanat et al,2017,Clin.Vaccine Immunol.24:e00123-17を参照されたい。OPKアッセイは、モノプレックス又はマルチプレックス形式で実施することができ、マルチプレックス形式(例えば、同時に複数の血清型を試験すること)が典型的には好ましい。マルチプレックスOPKアッセイは、本明細書で「MOPA」と称される場合がある。
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のバイオコンジュゲート及び少なくとも大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖のバイオコンジュゲートを含み、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖の有効量は、組成物中に存在する他のバイオコンジュゲートのいずれかの濃度より約1.2~8倍、例えば、約2~4倍高く、例えば、1.5、2、3、4、5、6、7又は8倍高い。そのような実施形態では、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖の有効量は、例えば、投与当たり5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18μgなど、投与当たり約5~18μgである。好ましくは、約8~16μgのO75抗原多糖が、投与毎に投与される。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、1つ以上の他の療法(例えば、抗細菌又は免疫調節性療法)と組み合わせて対象に投与される。1つ以上の他の療法は、ExPEC感染の治療又は予防において有益であり得るか又はExPEC感染と関連する症状又は状態を寛解させ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の療法は、鎮痛剤又は抗熱剤である。ある特定の実施形態では、療法は、5分未満間隔から1週間未満間隔で投与される。当業者に知られる任意の抗細菌剤(例えば、抗生物質)が、本明細書に記載される組成物と組み合わせて使用され得る。
ある特定の実施形態では、本発明によるバイオコンジュゲート又は組成物は、対象に1回投与される。ある特定の実施形態では、本発明によるバイオコンジュゲート又は組成物は、例えば、プライム-ブーストレジメンにおいて対象に2回以上投与される。ある特定の実施形態では、2回の投与間の時間は、少なくとも2週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、又は少なくとも15年である。ヒトにおいて、所望の免疫応答は、典型的には、本発明によるバイオコンジュゲート又は組成物の1回の投与によって生成され得る。ある特定の実施形態では、例えば、10年後の反復投与が提供される。
本明細書で提供される組成物は、対象において大腸菌(E.coli)O抗原に対する抗体を誘導し、大腸菌(E.coli)、特に、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対して対象をワクチン接種するために使用され得る。本明細書で使用する場合、「対象」は、本明細書で提供されるバイオコンジュゲート又は組成物を投与されることになるか又は投与された任意の動物、好ましくは、哺乳動物を意味する。用語「哺乳動物」は本明細書で使用する場合、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又は類人猿などの非ヒト霊長類(NHP)、ヒトなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ヒト対象は、任意の年齢であり得る。ある特定の実施形態では、対象は、約2ヶ月~約18歳、例えば、1歳~18歳のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、少なくとも18歳のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、15~50歳、例えば、18~45歳、例えば、20~40歳のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、ヒト男性である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒト女性である。ある特定の実施形態では、対象は、免疫無防備状態である。ある特定の実施形態では、対象は、少なくとも50歳、少なくとも55歳、少なくとも60歳、少なくとも65歳のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、100歳を超えないか、95歳を超えないか、90歳を超えないか、85歳を超えないか、80歳を超えないか、又は75歳を超えないヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、少なくとも60歳であり、及び85歳を超えないヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、安定した健康状態のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、安定した健康状態の少なくとも60歳であり、及び85歳以下のヒト成人である。ある特定の実施形態では、対象は、尿路感染症(UTI、すなわち、尿道、膀胱、尿管、及び/又は腎臓における細菌感染;いくつかの実施形態では、これは腎盂腎炎を含む)の病歴を有する、すなわち、対象の生涯において少なくとも1回のUTIエピソードを有したヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、過去20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1年でUTIの病歴を有するヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、過去2年でUTIの病歴を有するヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、再発性UTIの病歴を有する、すなわち、6ヶ月で少なくとも2回のUTI又は1年で少なくとも3回のUTIを有したヒト対象である。ある特定の実施形態では、対象は、過去2年で再発性UTIの病歴を有するヒト対象である。ある特定の実施形態では、対象は、安定した健康状態の60歳以上のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、過去2年でUTIの病歴を有する60歳以上のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、過去2年でUTIの病歴を有する少なくとも60歳であり、及び75歳未満のヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、過去2年でUTIの病歴を有する75歳以上のヒト対象である。ある特定の実施形態では、対象は、待機的な泌尿生殖器及び/又は腹腔の処置若しくは手術、例えば、経直腸的超音波ガイド前立腺針生検(TRUS-PNB)にかけられるために予定された患者である。ある特定の実施形態では、対象は、急性細菌性前立腺炎(ABP)、すなわち、前立腺の細菌感染を含むがこれらに限定されない前立腺炎の病歴を有し、すなわち、対象の生涯において、例えば、最近の10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1年で少なくとも1回の前立腺炎エピソードを有したヒトである。
好ましい実施形態では、本発明に従って免疫応答を誘導する組成物又は方法によって誘導される免疫応答は、オプソニン作用活性を有する抗体を含む。キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O抗原多糖(すなわち、大腸菌(E.coli)O抗原のグリココンジュゲート)を含む組成物は、ヒトにおいてこの型の機能性抗体を誘導できることが示されており、そのような抗体は、インビボでの細菌の死滅を媒介し、この機構を介して、大腸菌(E.coli)感染から保護することができることが示されている。
別の態様では、本明細書において、対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に本明細書に記載されるとおり組成物を投与することを含む方法が提供される。
別の態様では、本明細書において、大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対して対象にワクチン接種する方法であって、対象に本明細書に記載されるとおり組成物を投与することを含む方法が提供される。ある特定の態様では、本明細書において、大腸菌(E.coli)、好ましくは、ExPECに対する抗体を誘導する際の使用のための本明細書に記載されるとおりの組成物が提供される。ある特定の態様では、本明細書において、大腸菌(E.coli)、好ましくは、ExPECに対するワクチン接種の際の使用のための本明細書に記載されるとおりの組成物が提供される。ある特定の態様では、本明細書において、大腸菌(E.coli)、好ましくは、ExPECに対して対象において抗体を誘導するための医薬の製造のための本明細書に記載されるとおりの組成物の使用が提供される。ある特定の態様では、本明細書において、大腸菌(E.coli)、好ましくは、ExPECに対して対象にワクチン接種するための医薬の製造のための本明細書に記載されるとおりの組成物の使用が提供される。
ある特定の態様では、本明細書において、対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法における使用のための本明細書に記載されるとおりの組成物が提供される。ある特定の態様では、本明細書において、対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導するための医薬の製造における本明細書に記載されるとおりの組成物の使用が提供される。
別の態様では、対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法であって、第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O6抗原多糖を対象に投与することを含み、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、第1の有効量と第2の有効量の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である方法が提供される。
ある特定の実施形態では、免疫応答は、対象における侵襲性ExPEC疾患の重症度を制限するか又は侵襲性ExPEC疾患を予防する。
ある特定の実施形態では、侵襲性ExPEC疾患は、敗血症及び/又は菌血症を含む。
ある特定の実施形態では、方法はさらに、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを対象に投与することを含み、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、
好ましくは、O1抗原はO1Aであり、O4はグルコシル化されており、O6抗原はO6Aであり、O18抗原はO18Aであり、及びO25抗原はO25Bであり、
より好ましくは、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖の各々は、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造をそれぞれ含み、各nは、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
O75抗原多糖とO6抗原多糖の比は、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である。
ある特定の実施形態では、方法はさらに、キャリアタンパク質に、それぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を対象に投与することを含む。
特定の実施形態では、キャリアタンパク質の各々は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、対象は、大腸菌(E.coli)(好ましくは、ExPEC)感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患を有するか又は有するリスクのあるヒトである。
ある特定の実施形態では、約8~16μg、好ましくは、約16gのO75抗原多糖が、投与毎に投与される。
ある特定の実施形態では、O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25:O75の投与される大腸菌(E.coli)抗原多糖の重量比は、1:1:1:1:1:1:1:2:2である。
ある特定の実施形態では、グルコシル化O4は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートであり、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖は、表1に示される式(O4-Glc+)の構造を含み、nは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートは、
(i)大腸菌(E.coli)O4抗原多糖についてのrfb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列;
(ii)配列番号4と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(グルコシルトランスフェラーゼは、大腸菌(E.coli)O4抗原多糖を修飾して、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖を生成することができる);
(iii)それぞれ配列番号7及び8と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するトランスロカーゼ及びグリコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(トランスロカーゼは、バクトプレノール連結型グルコースを移行させることができ、グリコシルトランスフェラーゼは、バクトプレノールをグルコシル化することができる);
(iv)キャリアタンパク質をコードするヌクレオチド配列;及び
(v)大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖をキャリアタンパク質に共有結合的に連結することができるオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(好ましくは、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のPglBである)を含む大腸菌(E.coli)細胞において生成されている。
一態様では、本発明はまた、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25及びO75抗原多糖(それぞれ、各抗原について上で示されるとおりの構造を有する)を含む組成物を提供し、抗原多糖の各々は、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び組成物は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された他の大腸菌(E.coli)OO抗原多糖を含まない(すなわち、九価組成物)。この態様のある特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、EPAである。この態様の他の実施形態では、キャリアタンパク質は、CRM197である。この態様のある特定の実施形態では、共有結合は、化学的コンジュゲーションの結果である。他の実施形態では、共有結合は、バイオコンジュゲーションの結果である。この態様のある特定の実施形態では、キャリアタンパク質は、CRM197であり、共有結合は、化学的コンジュゲーションの結果である。この態様の他の実施形態では、キャリアタンパク質は、EPAであり、共有結合は、バイオコンジュゲーションの結果である。この態様の好ましい実施形態では、組成物は、O1、O2、又はO6抗原多糖と比較して、好ましくは、O1、O2、及びO6抗原多糖の各々の1つと比較して大腸菌(E.coli)O75抗原多糖の増加した量、好ましくは約1.5~4倍の増加、好ましくは、約2倍増加した量を含む。
実施形態
実施形態1は、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖並びにO1、O2、O4、O6、O15、O16、及びO18からなる群から選択される少なくとも1つの追加の大腸菌(E.coli)O抗原多糖を含む組成物であって、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75抗原多糖の濃度と追加のO抗原多糖の濃度との比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、好ましくは約1.5~1~2.5:1、より好ましくは約2:1である組成物である。
実施形態1aは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O1、好ましくは、O1Aである、実施形態1の組成物である。
実施形態1a1は、O75抗原多糖の濃度とO1抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1aの組成物である。
実施形態1bは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O2である、実施形態1の組成物である。
実施形態1b1は、O75抗原多糖の濃度とO1抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1bの組成物である。
実施形態1cは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O4、好ましくは、グルコシル化O4である、実施形態1の組成物である。
実施形態1c1は、O75抗原多糖の濃度とO4抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1cの組成物である。
実施形態1dは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O6、好ましくは、O6Aである、実施形態1の組成物である。
実施形態1d1は、O75抗原多糖の濃度とO6抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1dの組成物である。
実施形態1eは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O15である、実施形態1の組成物である。
実施形態1e1は、O75抗原多糖の濃度とO15抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1eの組成物である。
実施形態1fは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O16である、実施形態1の組成物である。
実施形態1f1は、O75抗原多糖の濃度とO16抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1fの組成物である。
実施形態1gは、少なくとも1つの追加のO抗原多糖が、O18、好ましくは、O18Aである、実施形態1の組成物である。
実施形態1g1は、O75抗原多糖の濃度とO18抗原多糖の濃度との比が、2:1である、実施形態1gの組成物である。
実施形態1hは、キャリアタンパク質に独立して共有結合的に連結されたO25抗原多糖をさらに含み、好ましくは、O25抗原がO25Bである、実施形態1の組成物である。
実施形態1h1は、O75抗原多糖の濃度とO25抗原多糖の濃度との比が、1:1である、実施形態1hの組成物である。
実施形態2は、組成物が、大腸菌(E.coli)O75抗原多糖及び大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O6、O15、O16、O18、O25抗原多糖の2種以上、好ましくは全てを含み、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、O1抗原がO1Aであり、O4がグルコシル化されており、O6抗原がO6Aであり、O18抗原がO18Aであり、及びO25抗原がO25Bである、実施形態1の組成物である。
実施形態3は、
(i)大腸菌(E.coli)O1抗原多糖が、式(O1A)の構造:
を含み、
(ii)大腸菌(E.coli)O2抗原多糖が、式(O2)の構造:
を含み、
(iii)大腸菌(E.coli)O4抗原多糖が、式(O4-Glc+)の構造:
を含み、
(iv)大腸菌(E.coli)O6抗原多糖が、式(O6A)の構造:
を含み、
(v)大腸菌(E.coli)O15抗原多糖が、式(O15)の構造:
[→2)-β-D-Galp-(1→3)-α-L-FucpNAc-(1→3)-β-D-GlcpNAc-(1→]n
を含み、
(vi)大腸菌(E.coli)O16抗原多糖が、式(O16)の構造:
を含み、
(vii)大腸菌(E.coli)O18抗原多糖が、式(O18A)の構造:
を含み、
(viii)大腸菌(E.coli)O25抗原多糖が、式(O25B)の構造:
を含み、及び
(ix)大腸菌(E.coli)O75抗原多糖が、式(O75)の構造:
を含み、
各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である、実施形態2の組成物である。
実施形態4は、O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25:O75の大腸菌(E.coli)抗原多糖の重量比が、1:1:1:1:1:1:1:2:2である、実施形態2又は3の組成物である。
実施形態5は、O75抗原多糖の濃度が、約8~約50μg/mL、好ましくは、12~40μg/mL、例えば、16~32μg/mL、好ましくは、約26~38μg/mL、好ましくは、約32μg/mLである、実施形態1~4のいずれか1つの組成物である。
実施形態6は、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された少なくとも1つの他の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖をさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つの組成物である。
実施形態7は、1つの他の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖が、式(O8):
α-D-Manp3Me-(1→[3)-β-D-Manp-(1→2)-α-D-Manp-(1→2)-α-D-Manp-(1→]n
を有するO8抗原多糖を含み、
nが、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である、実施形態6の組成物である。
実施形態8は、各キャリアタンパク質が、独立して、緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)、大腸菌(E.coli)フラジェリン(FliC)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の無毒化溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、大腸菌(E.coli)易熱性毒素、大腸菌(E.coli)易熱性毒素の無毒化バリアント、コレラトキシンBサブユニット(CTB)、コレラトキシン、コレラトキシンの無毒化バリアント、大腸菌(E.coli)Satタンパク質、大腸菌(E.coli)Satタンパク質のパッセンジャードメイン、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシン、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、緑膿菌(P.aeruginosa)PcrV、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タンパク質(OMPC)、及び分類不能型ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)からのタンパク質Dからなる群から選択される、実施形態1~7のいずれか1つの組成物である。
実施形態9は、キャリアタンパク質が、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)又はCRM197である、実施形態8の組成物である。
実施形態10は、キャリアタンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列、例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するコンセンサス配列を有する1~20個、例えば、1~10個、又は2~4個のグリコシル化コンセンサス配列を含み、最も好ましくは、キャリアタンパク質が、4個のグリコシル化コンセンサス配列を含む、実施形態1~9のいずれか1つの組成物である。
実施形態11は、各キャリアタンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列を含むEPAである、実施形態1~10のいずれか1つの組成物である。
実施形態12は、大腸菌(E.coli)抗原多糖が、バイオコンジュゲーション又は化学的コンジュゲーション、例えば、還元的アミノ化化学反応(RAC)、単一末端コンジュゲーション、又は(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバミン酸塩(eTEC)スペーサーによるコンジュゲーションによってキャリアタンパク質に共有結合的に連結されている、実施形態1~11のいずれか1つの組成物である。
実施形態13は、大腸菌(E.coli)抗原多糖が、バイオコンジュゲーションによってキャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、多糖が、キャリアタンパク質中のグリコシル化部位のAsn残基に共有結合的に連結されている、実施形態12の組成物である。
実施形態14は、
(i)緑膿菌(P.aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA-4)キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O1A抗原多糖は、式(O1A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(ii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O2抗原多糖(大腸菌(E.coli)O2抗原多糖は、式(O2)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(iii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖(大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖は、式(O4-Glc+)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(iv)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O6A抗原多糖は、式(O6A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(v)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O15抗原多糖(大腸菌(E.coli)O15抗原多糖は、式(O15)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(vi)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O16抗原多糖(大腸菌(E.coli)O16抗原多糖は、式(O16)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(vii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖(大腸菌(E.coli)O18A抗原多糖は、式(O18A)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;
(viii)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖(大腸菌(E.coli)O25B抗原多糖は、式(O25B)の構造を含む)のバイオコンジュゲート;及び
(ix)EPA-4キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)O75抗原多糖(大腸菌(E.coli)O75抗原多糖は、式(O75)の構造を含む)のバイオコンジュゲートを含み;
EPA-4が、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造の各々が、表1に示され、各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、より好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、及び
O75抗原多糖とO6A抗原多糖の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である、組成物である。
実施形態15は、キャリアタンパク質にそれぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖をさらに含む、実施形態14の組成物である。
実施形態16は、グリコシル化O4が、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートであり、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖が、表1に示される式(O4-Glc+)の構造を含み、nが、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートが、
(i)大腸菌(E.coli)O4抗原多糖についてのrfb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列;
(ii)配列番号4と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(グルコシルトランスフェラーゼは、大腸菌(E.coli)O4抗原多糖を修飾して、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖を生成することができる);
(iii)それぞれ配列番号7及び8と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するトランスロカーゼ及びグリコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(トランスロカーゼは、バクトプレノール連結型グルコースを移行させることができ、グリコシルトランスフェラーゼは、バクトプレノールをグルコシル化することができる);
(iv)キャリアタンパク質をコードするヌクレオチド配列;及び
(v)大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖をキャリアタンパク質に共有結合的に連結することができるオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(好ましくは、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のPglBである)を含む大腸菌(E.coli)細胞において生成されている、実施形態2~15のいずれか1つの組成物である。
実施形態17は、対象において大腸菌(E.coli)(好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)、ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法であって、実施形態1~16のいずれか1つの組成物を対象に投与することを含む方法である。
実施形態17aは、対象が前記免疫応答を必要とする、実施形態17の方法である。
実施形態18は、対象において大腸菌(E.coli)(好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC))に対する免疫応答を誘導する方法であって、第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖、及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O6抗原多糖を対象に投与することを含み、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び第1の有効量と第2の有効量の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である方法である。
実施形態18aは、対象が前記免疫応答を必要とする、実施形態18の方法である。
実施形態19は、免疫応答が、対象において侵襲性ExPEC疾患の重症度を制限するか又は侵襲性ExPEC疾患を予防する、実施形態17~18aのいずれか1つの方法である。
実施形態20は、侵襲性ExPEC疾患が、敗血症及び/又は菌血症を含む、実施形態19の方法である。
実施形態20aは、侵襲性ExPEC疾患が、敗血症を含む、実施形態20の方法である。
実施形態20bは、侵襲性ExPEC疾患が、菌血症を含む、実施形態20の方法である。
実施形態21は、大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てを対象に投与することをさらに含み、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、
好ましくは、O1抗原がO1Aであり、O4がグルコシル化されており、O6抗原がO6Aであり、O18抗原がO18Aであり、及びO25抗原がO25Bであり、
より好ましくは、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖の各々が、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造をそれぞれ含み、各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、O75抗原多糖とO6抗原多糖の重量比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは約1.5:1~約4:1、より好ましくは約2:1である、実施形態18~20のいずれか1つの方法である。
実施形態22は、キャリアタンパク質にそれぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖を対象に投与することをさらに含む、実施形態18~21のいずれか1つの方法である。
実施形態23は、キャリアタンパク質の各々が、配列番号3のアミノ酸を含む、実施形態18~22のいずれか1つの方法である。
実施形態24は、対象が、大腸菌(E.coli)(好ましくは、ExPEC)感染又は侵襲性ExPEC疾患を有するか又は有するリスクのあるヒトである、実施形態17~23のいずれか1つの方法である。
実施形態25は、約8~16μg、好ましくは、約16μgのO75抗原多糖が、投与毎に投与される、実施形態17~24のいずれか1つの方法である。
実施形態26は、O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25:O75の投与される大腸菌(E.coli)抗原多糖の重量比が、1:1:1:1:1:1:1:2:2である、実施形態21~25のいずれか1つの方法である。
実施形態27は、グリコシル化O4が、キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートであり、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖が、表1に示される式(O4-Glc+)の構造を含み、nが、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
キャリアタンパク質に共有結合的に連結された大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖のバイオコンジュゲートが、
(i)大腸菌(E.coli)O4抗原多糖についてのrfb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列;
(ii)配列番号4と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するグルコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(グルコシルトランスフェラーゼは、大腸菌(E.coli)O4抗原多糖を修飾して、大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖を生成することができる);
(iii)それぞれ配列番号7及び8と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するトランスロカーゼ及びグリコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(トランスロカーゼは、バクトプレノール連結型グルコースを移行させることができ、グリコシルトランスフェラーゼは、バクトプレノールをグルコシル化することができる);
(iv)キャリアタンパク質をコードするヌクレオチド配列;及び
(v)大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原多糖をキャリアタンパク質に共有結合的に連結することができるオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列(好ましくは、オリゴサッカリルトランスフェラーゼは、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のPglBである)を含む大腸菌(E.coli)細胞において生成されている、実施形態21~26のいずれか1つの方法である。
実施形態27は、対象において大腸菌(E.coli)(好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)、ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法のける使用のための実施形態1~16のいずれか1つの組成物である。
実施形態28は、対象において大腸菌(E.coli)(好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)、ExPEC)に対する免疫応答を誘導するための医薬の製造における実施形態1~16のいずれか1つの組成物である。
実施形態29は、対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法における使用のための第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O6抗原多糖の組合せ物であって、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び第1の有効量と第2の有効量の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である組合せ物である。
実施形態29aは、第1の有効量及び第2の有効量が、同じ組成物中にある、実施形態29の組合せ物である。
実施形態29bは、第1の有効量及び第2の有効量が、別々の組成物中にある、実施形態29の組合せ物である。
実施形態29cは、対象が前記免疫応答を必要とする、実施形態29~29bのいずれか1つの組合せ物である。
実施形態30は、免疫応答が、対象において侵襲性ExPEC疾患の重症度を制限するか又は侵襲性ExPEC疾患を予防する、実施形態29~29cのいずれか1つの組合せ物である。
実施形態31は、侵襲性ExPEC疾患が、敗血症及び/又は菌血症を含む、実施形態30の組合せ物である。
実施形態32は、有効量の大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てをさらに含み、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、O1抗原がO1Aであり、O4がグルコシル化されており、O6抗原がO6Aであり、O18抗原がO18Aであり、及びO25抗原がO25Bであり、好ましくは、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖の各々が、それぞれ表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造を含み、各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、及びO75抗原多糖とO6抗原多糖の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である、実施形態29~31のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態33は、キャリアタンパク質にそれぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖の有効量をさらに含む、実施形態29~32のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態34は、キャリアタンパク質の各々が、配列番号3のアミノ酸を含む、実施形態29~33のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態35は、対象が、大腸菌(E.coli)(好ましくは、ExPEC)感染又は侵襲性ExPEC疾患を有するか又は有するリスクのあるヒトである、実施形態29~34のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態36は、O75抗原多糖の有効量が、約8~16μg、好ましくは、約16μgである、実施形態29~35のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態37は、対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導するための医薬の製造における第1の有効量の大腸菌(E.coli)O75抗原多糖及び第2の有効量の大腸菌(E.coli)O6抗原多糖の組合せ物であって、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、及び第1の有効量と第2の有効量の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である組合せ物である。
実施形態37aは、対象が前記免疫応答を必要とする、実施形態37の組合せ物である。
実施形態38は、免疫応答が、対象において侵襲性ExPEC疾患の重症度を制限するか又は侵襲性ExPEC疾患を予防する、実施形態37又は37aの組合せ物である。
実施形態39は、侵襲性ExPEC疾患が、敗血症及び/又は菌血症を含む、実施形態38の組合せ物である。
実施形態40は、医薬の製造において有効量の大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25抗原多糖の1つ以上、好ましくは全てをさらに含み、抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、O1抗原がO1Aであり、O4がグルコシル化されており、O6抗原がO6Aであり、O18抗原がO18Aであり、及びO25抗原がO25Bであり、好ましくは、O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖の各々が、それぞれ表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造を含み、各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、及びO75抗原多糖とO6抗原多糖の比が、約1.2:1~約8:1、好ましくは、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である、実施形態37~39のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態41は、医薬の製造においてキャリアタンパク質にそれぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖の有効量をさらに含む、実施形態37~40のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態42は、キャリアタンパク質の各々が、配列番号3のアミノ酸を含む、実施形態37~41のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態43は、対象が、大腸菌(E.coli)(好ましくは、ExPEC)感染又は侵襲性ExPEC疾患を有するか又は有するリスクのあるヒトである、実施形態37~42のいずれか1つの組合せ物である。
実施形態44は、対象への投与のための1つの用量におけるO75抗原多糖の有効量が、約8~16μg、好ましくは、約16μgである、実施形態37~43のいずれか1つの組合せ物である。
実施例1:大腸菌(E.coli)感染の疫学的データ
菌血症を引き起こす大腸菌(E.coli)のO血清型分布を決定するために、国際調査研究が実施された。2011年と2017年の間に、3200種を超える大腸菌(E.coli)血流分離株が、北米、欧州、アジア太平洋領域、及び南米内の国々において入院した60歳以上の患者から回収された。各株は、古典的な凝集手法及び配列に基づくO遺伝子型判定を使用してO抗原血清型について解析された。下の表2を参照されたい。
単離されたヒト血液試料を解析して、その中の病原体の同一性及びそれらの抗生物質耐性パターンを決定した。大腸菌(E.coli)分離株は、以下の解析に従って試料から得られた。大腸菌(E.coli)の同一性は、MALDI-TOF MSによって検証された。大腸菌(E.coli)分離株に対するさらなる解析を、抗血清に基づく凝集アッセイを使用して実施して、O抗原血清型を決定した(DebRoy et al.(2011)Animal health research reviews/Conference of Research Workers in Animal Diseases 12,169-185)。凝集法により分類可能ではない分離株はさらに、全ゲノム配列決定に続くO血清型特異的wzy及びwzx遺伝子配列に基づくO遺伝子型判定によって解析された。
菌血症に関連する大腸菌(E.coli)の世界的規模のセットにおける地理的な位置の階層化は、位置に依存しない上位10種のO血清型の罹患率を示したが、このことは、これらが菌血症を引き起こす大腸菌(E.coli)と関連する世界的規模に支配的なO血清型となることを示唆している。
菌血症に関連する多剤耐性大腸菌(E.coli)分離株(n=345)、すなわち、臨床的に意味のある抗菌剤の少なくとも3つのクラスに対して耐性であるそれらの株の世界的規模のセットにおいて、上位10種のO血清型の罹患率は、75.4%である。
疫学解析からの全ての情報をまとめると、10種の支配的なO血清型は、大腸菌(E.coli)関連菌血症感染の推定で60~80%を包含することができ、分類可能ではない株の下位部分を包含すると仮定した。
菌血症を引き起こす大腸菌(E.coli)血清型の著しい割合を包含する多価ワクチンは非常に有用であろう。したがって、表2のO血清型は、O抗原に基づく多価ワクチンのための良好な候補であろう。そのようなワクチンは、化学的コンジュゲーション又はバイオコンジュゲーション技術を使用して有利に調製することができた。
実施例2:大腸菌(E.coli)O抗原バイオコンジュゲート及び結果として生じるバイオコンジュゲート生成物の生成。
大腸菌(E.coli)O1A-EPAバイオコンジュゲート、O2-EPAバイオコンジュゲート、O4-Glc+-EPAバイオコンジュゲート(本明細書の下でO4-EPAとも称される、すなわち、下の例において、O4抗原多糖のバイオコンジュゲートは、O4がグルコシル化されており、表1に示されるグリカン構造(O4-Glc+)を有するバリアントである;大腸菌(E.coli)グルコシル化O4抗原を生成するためのグルコースの付加により大腸菌(E.coli)O4抗原多糖を特異的に修飾することができる新規の今までに報告されていない未知のグルコシルトランスフェラーゼGtrSを使用してこのバリアントを作製する記述は、参照により本明細書に組み込まれる2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23404において詳細が提供される)、O6A-EPAバイオコンジュゲート、O8-EPAバイオコンジュゲート、O15-EPAバイオコンジュゲート、O16-EPAバイオコンジュゲート、O18A-EPAバイオコンジュゲート、O25B-EPAバイオコンジュゲート、及びO75-EPAバイオコンジュゲートを含む10種のバイオコンジュゲートが生成された。これらのコンジュゲートのグリカンの構造は、表1のそれぞれの式において見ることができる。10種のバイオコンジュゲートを含む組成物は、本明細書で「ExPEC10V」と称される。O1A-EPA、O2-EPA、O6A-EPA及びO25B-EPAバイオコンジュゲートを含む組成物は、「ExPEC4V」と称される(例えば、国際公開第2015/124769号パンフレット及び国際公開第2017/035181号パンフレットにおいて以前に記載された)。これらの10種のバイオコンジュゲート、及びこれらのバイオコンジュゲートのための例示的な産生株の生成は、参照により本明細書に組み込まれる2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23404において詳細が記載された。
大腸菌(Escherichia coli)W3110親株
非病原性大腸菌(E.coli)K12株W3110が、10種全ての産生株の構築のための親株として使用された。大腸菌(E.coli)K12株W3110は、Coli Genetic Stock Center(Yale University、New Haven(CT)、USA、製品番号CGSC#4474)から得られた。その関連する遺伝子型は、以前に記載された(大腸菌(E.coli)W3110、F-、ラムダ-、IN(rrnD-rrnE)1、rph-1)、そのゲノム配列は、以前に公表された(Hayashi K,et al.,2006,Mol.Syst.Biol.2006.0007(doi:10.1038/msb4100049)。大腸菌(E.coli)W3110株を遺伝子改変して、大腸菌(E.coli)O抗原バイオコンジュゲートの各々の生成を可能にした(表3)。
バイオコンジュゲート産生株
「ExPEC4V」及び「ExPEC10V」組成物は両方ともに、同じ産生株に由来するO2-EPA及びO25B-EPAバイオコンジュゲートを含む。「ExPEC4V」組成物は、stGVXN4411又はstLMTB10217産生株からのO1A-EPAバイオコンジュゲートを含む一方で、「ExPEC10V」組成物は、stLMTB10217産生株からのO1A-EPAバイオコンジュゲートを含む。「ExPEC4V」組成物は、stGVXN4112産生株からのO6A-EPAバイオコンジュゲートを含む一方で、「ExPEC10V」組成物は、stLMTB10923産生株からのO6A-EPAバイオコンジュゲートを含む。さらに、「ExPEC10V」組成物は、「ExPEC4V」のために使用されない産生株からのO4-EPA(すなわち、(O4-Glc+)-EPA)、O8-EPA、O15-EPA、O16-EPA、O18A-EPA、及びO75-EPAバイオコンジュゲートを含む。異なる産生株は、以下に示されるとおり、EPAキャリアタンパク質及び/又はオリゴサッカリルトランスフェラーゼPglBの発現のためのプラスミドが異なる可能性がある。いくつかの例示的な産生株の概要は、下の表3において与えられる。
代替的な産生株もまた、例えば、収量の向上及び/又はバイオコンジュゲートのある特定の特徴の変化を有するクローンを発見するためのバイオコンジュゲートのいくつかのために調製され、使用された。
O抗原生合成(rfb)遺伝子クラスター
全ての大腸菌(E.coli)O抗原産生株において、天然に存在する大腸菌(E.coli)W3110ゲノムO16::IS5-抗原生合成(rfb)遺伝子クラスターは、血清型特異的O抗原構造(これらのO抗原構造については表1を参照のこと)のためにコードする選択された血清型の大腸菌(E.coli)株に由来する選択されたO抗原特異的生合成クラスターによって置き換えられた。10種のドナーrfbクラスターは、大腸菌(E.coli)血液分離株の全ゲノム解析後に選択されたか又は確認された。O抗原生合成において欠陥のあるW3110 O16::IS5 rfb遺伝子クラスターの置き換えは、1回の相同組換え事象において達成された。O16及びO18A rfb遺伝子クラスターの場合、ドナーDNAは、隣接gnd及びrmlCA遺伝子を介して組み換えた一方で、他の株のためのrfb遺伝子クラスターは、隣接gnd及びgalF遺伝子を介して組み換えた。産生株におけるrfbクラスターの配列は、配列番号9及び11~19において提供される。
O抗原リガーゼ(waaL)遺伝子
全ての大腸菌(E.coli)O抗原産生株は、waaL遺伝子によってコードされる大腸菌(E.coli)W3110ゲノムO抗原リガーゼの人工的に導入された欠失を保有する。waaL株において、O抗原のリピドAの移行は妨害され、代わりに生成物収量を増加させるためにO抗原のキャリアタンパク質への移行を指示する。
O抗原グルコシル化(gtrABS)遺伝子
大腸菌(E.coli)O8、O15、O16、O18A、O25B、及びO75産生株において、O16O抗原グルコシル化に関与する大腸菌(E.coli)W3110ゲノムgtrABS遺伝子は、欠失されている。異なる血清型におけるgtrA及びgtrB遺伝子は、高度に相同であり及び互換的であるが、gtrS遺伝子は、血清型特異的O抗原グリコシルトランスフェラーゼをコードする。大腸菌(E.coli)W3110において、GtrSは、大腸菌(E.coli)O16O抗原のα-l-Rha-(1→3)-d-GlcNAcモチーフにおいてグルコース(Glc)残基をGlcNAc糖に移行させることができる。大腸菌(E.coli)O1A、O2及びO6A産生株において、gtrABS遺伝子の欠失又は置き換えは発生しなかった。これらのO抗原は、大腸菌(E.coli)O16 gtrSのための天然の基質であるα-l-Rha-(1→3)-d-GlcNAcモチーフを欠損している。大腸菌(E.coli)O4産生株において、W3110 gtrS遺伝子は、大腸菌(E.coli)O4 O抗原の適切なグルコシル化に適応させるために大腸菌(E.coli)O4 gtrS遺伝子と置き換えられている(大腸菌(E.coli)O4 gtrS遺伝子のコード配列は、配列番号5として本明細書で提供され、大腸菌(E.coli)O4 GtrSタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号4として本明細書で提供される;例えば、2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23404も参照されたい)。
オリゴサッカリルトランスフェラーゼPglB
全ての大腸菌(E.coli)O抗原産生株は、N-グリコシル化によってキャリアタンパク質のアミノ酸コンセンサス配列上にO抗原を移行させることができるC.ジェジュニ(C.jejuni)グリコシルトランスフェラーゼPglBのバリアントを発現した。PglBは、広範な基質認識を有するが、生成物収量が低いため、改変された基質特異性を有するPglBバリアントを発現するいくつかの産生株が作製され、生成物収量の向上をもたらした(例えば、国際公開第2016/107818号パンフレット、国際公開第2016/107819号パンフレットを参照のこと)。pglB遺伝子は、プラスミド上のイソプロピルβ-d-1-チオガルクトピラノシド(IPTG)誘導性プロモーターの後に配置された。下の表4は、上記のExPEC4V及びExPEC10V組成物のためのバイオコンジュゲート用の大腸菌(E.coli)O抗原産生株の生成のために使用されるプラスミドによってコードされるPglBバリアントを列挙する。ベクター骨格、抗生物質耐性マーカー、及び/又は代替的なPglBバリアントにおけるバリエーションを有するさらなるプラスミドもまた、バイオコンジュゲート生成について首尾よく試験されている。
キャリアタンパク質(EPA)
全ての大腸菌(E.coli)O抗原産生株は、O抗原のためのキャリアタンパク質として遺伝的に無毒化された緑膿菌(P.aeruginosa)ADP-リボシルトランスフェラーゼトキソイド(EPA)を発現した。EPAトキソイドは、2つの残基における野生型EPA毒素とは異なる:Leu552はValに変更され、Glu553(触媒ドメインにおける)は欠失された。Glu553欠失は、毒性を著しく低減することが報告された。無毒化変異に加えて、4つ(EPA-4)のコンセンサスN-グリコシル化部位モチーフが導入された。epa遺伝子は、プラスミド上のl-アラビノース(Ara)誘導性プロモーターの後に配置された(表4)。表4は、上記の「ExPEC4V」及び「ExPEC10V」組成物において使用されるバイオコンジュゲートのための産生株において使用されるプラスミドに限定される。ベクター骨格、抗生物質耐性マーカー、及び/又はEPAバリアントにおけるバリエーション、例えば、コンセンサスN-グリコシル化部位モチーフ(例えば、2つのそのようなモチーフを有する、EPA-2)の数の変動を有するプラスミドもまた、バイオコンジュゲート生成について首尾よく試験されている。
実施例3:大腸菌(E.coli)O抗原のバイオコンジュゲートの生成のためのオリゴサッカリルトランスフェラーゼの最適化。
バイオコンジュゲート生成のための収量の最適化は、C.ジェジュニ(C.jejuni)オリゴサッカリルトランスフェラーゼPglBの改変によって達成することができ、これは、より効率的な又はより高度のEPAキャリアタンパク質に対する目的のO抗原のN-グリコシル化をもたらすことができる。グルコシル化O4(O4-Glc+)O抗原多糖によるバイオコンジュゲートの生成のための大腸菌(E.coli)株において、そのような最適化戦略が適用され、バイオコンジュゲート生成物収量を向上させる(O4-Glc+)に特異的な最適化されたPglBバリアントをもたらした。
この手法において、EPA発現プラスミドを含有するO4-Glc+O抗原多糖産生株は、様々な異なるPglB発現プラスミドで形質転換され、その各々は、基質特異性を改変するPglBタンパク質において異なるアミノ酸置換を含有した。各株のバイオコンジュゲート産生レベル及びプロファイルは、浸透圧ショック実験において振盪フラスコレベルで評価され、読み取りは、O4-Glc+特異的モノクローナル抗体を使用する周辺質抽出物に対するキャピラリー電気泳動イムノアッセイによって実施された。
N311Vアミノ酸置換を含有する試験されるPglBバリアントの1つは、グルコシル化O4バイオコンジュゲートの生成物収量を著しく向上させることが見出された(全体として参照により本明細書に組み込まれる2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23415を参照のこと)。
N311V PglB-バリアントがさらに改変されたさらなる改善において、Y77Hアミノ酸置換はさらに、O4-Glc+特異的生成物の収量を高め、N311V PglB-バリアントと比較して増加した程度のジグリコシル化及びトリグリコシル化生成物を示し、他の改変は、生成物収量に対して中立の又は負の効果になることが見出された(全体として参照により本明細書に組み込まれる2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23415を参照のこと)。プラスミドpLMTB4008(SpR)は、大腸菌(E.coli)コドン使用が最適化され、(O4-Glc+)-基質最適化された変異Y77H及びN311Vを有するPglBバリアントをコードする。
野生型(wt)C.ジェジュニ(C.jejuni)グリコシルトランスフェラーゼPglBと比較してN311V及びY77Hアミノ酸置換を含有するO4-Glc+O抗原多糖についての最適化された基質特異性を有するPglBバリアントは、第1ラウンドの最適化されたPglB-N311Vバリアントと比較して2倍のバイオコンジュゲート収量であることが見出された。
同様に、選別を使用して、最適な収量のPglBバリアントもまた、ExPEC10V組成物における他の9種の血清型の大腸菌(E.coli)O抗原バイオコンジュゲート生成のために決定された(例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれる2020年3月18日に出願されたPCT/US20/23415を参照のこと)。
O1A、O6A、又はO15抗原多糖を有するバイオコンジュゲートのために、アミノ酸変異N311V、K482R、D483H、及びA669Vを有するPglBが最も高い収量を得るために見出された。
O2、O8、O18、又はO25B抗原多糖を有するバイオコンジュゲートのために、野生型PglB(すなわち、77、80、287、289、311、482、483及び669位でアミノ酸変異を有しない)が最も高い収量を得るために見出された。
O16抗原多糖を有するバイオコンジュゲートのために、アミノ酸変異Y77H、S80R、Q287P、K289R、及びN311Vを有するPglBが最も高い収量を得るために見出された。
O75抗原多糖を有するバイオコンジュゲートのために、アミノ酸変異N311Vを有するPglBが最も高い収量を得るために見出された。
これらの結果は、最適なPglBバリアントが異なるO抗原について異なり、及び所与のO抗原多糖を有するバイオコンジュゲートを生成するための最適なPglBバリアントが予測不可能であることを示した。
実施例4:10種の大腸菌(E.coli)血清型由来のO抗原のバイオコンジュゲートの品質特性。
標的O抗原のO-グリカン残基は、構造的に多様であり、可変的な繰り返し単位を有する。グリコシルトランスフェラーゼPglBの特異性及び親和性は、グリカン構造に関連している。したがって、所望の品質特性、例えば、純度、グリカン/タンパク質比などを有するバイオコンジュゲートを作製することは、困難な単純明快ではない課題である。PglB及びEPAキャリアタンパク質の正しい組み合わせが収量を決定し、グリコシル化効率に影響を及ぼし得る。PglB及びキャリアタンパク質を最適化することによって、所望の品質特性を有するバイオコンジュゲートが生成された。非常に多い量のキャリアタンパク質は、免疫学的干渉を引き起こす可能性があるため、特に1つ以上のO抗原バイオコンジュゲートがともに合わせられ、単一の組成物又はワクチンにおいて投与されるとき、全体的なキャリアタンパク質のより低い閾値を維持することも重要であり得る。そのような現象を回避するために、より高いグリカン/タンパク質比を有するコンジュゲートが好ましい。したがって、ExPEC10Vワクチンに関して、少なくとも同等の(臨床試験に対する対象となった以前に記載されたExPEC4Vワクチンに対して)グリコシル化比が開発された。
バイオコンジュゲートはそれぞれ、以前に記載された方法に従って、バイオリアクター(10L及び/又は200L体積)中でそれぞれの宿主細胞(実施例2、表3)を培養すること及びバイオコンジュゲートの発現によって生成された。各原体は、対応する多糖血清型の発現されたバイオコンジュゲートを含有するバイオマスを作製するための細菌フェドバッチ発酵によってバッチ式で製造された。細胞は、培養され、IPTG及びアラビノースで誘導された。バイオコンジュゲートは、浸透圧ショックに続くクロマトグラフィー精製によってバイオリアクター培養物中の細胞の周辺質から単離された。このプロセスは、10種のバイオコンジュゲートの各々について実施された。
ExPEC10V及びExPEC4Vのための原体(DS)であるそのように調製された大腸菌(E.coli)O抗原バイオコンジュゲートは、同等の重要な品質特性を示した:(1)プロセス関連純度(RP-HPLCにより測定される)は、95%より高く、(2)多糖/タンパク質比は、約0.1~0.5、大部分は0.15~0.45の範囲であり、(3)菌体内毒素(Ph.Eur.2.2.3)は、0.5EU/μg未満の多糖であった。個々の多糖鎖の平均長は通常、約10~20の繰り返し単位(高分解能SDS-PAGEを使用して測定される)であった。
多糖反復単位の構造は、上記のExPEC10V組成物のためのDSである10種全てのバイオコンジュゲートに関して、表1の対応する血清型についての式において示されるものであることが確認された(インタクトな又はトリプシン消化されたコンジュゲートのNMR及びMS/MSによって)。
ExPEC10V製剤(DP)は、上記の10種の一価DSの混合物を含む。
実施例5:ExPEC10Vワクチンの毒性学。
ExPEC10Vによる単一用量の試験的毒性及び局所耐性試験(非GLP)が、雌NZWウサギにおいて実行された。ある群(n=2)は、対照(生理食塩水)の筋肉内(IM)注射を受け(0日目)、第2の群(n=4)は、0.6mL(176μg PS/mL)の投与体積を使用して、105.6μgの合計の多糖(PS)/用量のExPEC10VのIM注射を受けた(それぞれO血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75に関して用量当たり9.6:9.6:9.6:9.6:9.6:9.6:9.6:9.6:19.2:9.6μgのPS)。剖検は、2日目に実施された。
死亡数は観察されなかった。加えて、臨床所見(ドレイズスコアリングを使用する注射部位の影響を含む)、体重、摂食量、及び体温に関して記載されるワクチンに関連する影響はなかった。組織病理学的には、投与部位又は排出(腸骨)リンパ節で観察されるワクチンに関連する変化はなかった。脾臓中の胚中心形成の最小限の増加は、4頭の治療された動物のうち1頭で観察され(2日目)、注射されたワクチンに対する正常な免疫応答とみなされた。全体的に見て、雌ウサギに対するExPEC10Vの単一のIM用量の投与は、忍容性が良好であった。
実施例6:ウサギにおけるExPEC10V混合製剤の免疫原性。
ExPEC4Vワクチン(大腸菌(E.coli)O1A、O2、O6A、及びO25B血清型のバイオコンジュゲートを含む)は、ラット、ウサギ、及びヒトにおいてこれらの4種の血清型について免疫原性であることが以前に示されている(例えば、国際公開第2015/124769号パンフレット;国際公開第2017/035181号パンフレット;Huttner et al,2017,Lancet Infect Dis,http://dx.doi.org/10.1016/S1473-3099(17)30108-1;RW Frenck Jr,et al,2019,Lancet Infect Dis 19(6):631-640,http://dx.doi.org/10.1016/S1473-3099(18)30803-X)。大腸菌(E.coli)血清型O4-Glu+、O8、O15、O16、O18A、及びO75(全てがキャリアタンパク質としてEPA-2を有する)のバイオコンジュゲートの免疫原性は、ラットに別々に投与されるとき(一価)、これらのバイオコンジュゲートの各々もまた、免疫原性であることが確認されたが、それは、ELISAデータが、これらのバイオコンジュゲートの各々が、高レベルの大腸菌(E.coli)O抗原に特異的な抗体を誘発できたことを示したためである(示されない)。
上記のとおりの10種のバイオコンジュゲートの混合物を含有した十価ワクチンの免疫原性も試験された。ニュージーランド白(NZW)ウサギ(雌、12~16週齢)は、2週間隔で投与されるExPEC10V又は生理食塩水による3回の筋肉内免疫化を受けた(表5;0、14、及び27日目の投与)。これらの実験において使用されるExPEC10Vワクチンの一部である10種の多糖は、4個のグリコシル化の部位(EPA-4)を含有するキャリアタンパク質EPAにコンジュゲートされた。ワクチンは、3種の異なる用量で製剤化された:群1(「高用量」):8μg/用量のO1A、O2、O6A、O4、O8、O15、O16、O18及びO75並びに16μg/用量のO25B;群2(「中用量」):4μg/用量のO2、O4、O8、O15、O16、O18及びO75、8μg/用量のO1A及びO6A並びに16μg/用量のO25B;群3(「低用量」):0.4μg/用量のO2、O4、O8、O15、O16、O18及びO75、0.8μg/用量のO1A及びO6A並びに1.6μg/用量のO25B。対照群(群4)の動物は、生理食塩水(0.9%(w/v)塩化ナトリウム溶液)(表5)のみを受容した。
抗体応答は、0日目(免疫化前)並びに免疫化後14、27及び42日目に評価された。ワクチン中に含まれるバイオコンジュゲート及びキャリアタンパク質EPAの各々によって誘導される血清抗体レベルは、コーティング材料として型に特異的なLPSを使用してELISA(総IgG)によって測定された。抗体力価は、4パラメーターロジスティック非線形回帰モデルにおいてプロットされる二つ組の12工程の滴定曲線に基づく50%効果濃度に対応するEC50値として報告された。機能活性は、OPKによって決定された。
結果は図1において示され、表6において要約される。
高用量のExPEC10V(群1)は、O1A、O2、O4、O6A、O16、O18A及びO25Bに関する生理食塩水対照と比較して、調査された全ての時点(免疫化後14、27及び42日目)で著しく高いIgG抗体レベルを誘導した(図2、表6)。生理食塩水対照と比較してO8及びO75コンジュゲートによって誘導される著しく高い抗体力価は、免疫化後27及び42日目に観察された(図1、表6)。
中用量のExPEC10V(群2)及び低用量(群3)は、O1A、O2、O4、O6A、O16及びO25Bに関する生理食塩水対照と比較して、調査された全ての時点(免疫化後14、27及び42日目)で著しく高い抗体レベルを誘導した(図1、表6)。生理食塩水対照と比較してO8、O18A及びO75コンジュゲートによって誘導される著しく高い抗体力価は、免疫化後27及び42日目に観察され、ウサギにおけるブースト用量が、これらのO血清型に対する応答を増大させることを示唆している(図1、表6)。
O15コンジュゲートに関して、対照群から外れ値の動物を取り除く感受性解析は、3つ全ての用量のExPEC10Vワクチンが、生理食塩水対照と比較して免疫化後の14、27及び42日目に抗体応答の著しい増大を誘導することを示した(図1、表6)。
キャリアタンパク質EPAによって誘導される抗体は、調査される全ての時点(14、27及び42日目)で試験されたExPEC10Vの3つの用量(高、中及び低)に関する生理食塩水治療(対照)群におけるEPA抗体力価より著しく高かった(図1)。
用量間の比較(示されない)は、ワクチン接種後14日目に、高用量のExPEC10Vが、試験されるコンジュゲート(O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A及びO25B)の大部分について低用量と比較して著しく高い抗体応答を誘導したことを示した。中用量のExPEC10Vもまた、O1A、O2、O4、O18A、O25B及びO75に関する低用量と比較して著しく高い抗体応答を誘導した。O8コンジュゲートに関して、ExPEC10Vの3つ全ての製剤は、ワクチン接種後の14日目に同様のレベルの抗体を誘導した。
低用量のExPEC10Vは、O1A、O2、O4、O16、O25B及びO75コンジュゲートに関する高用量及び中用量のExPEC10Vと比較してワクチン接種後の42日目(プライム及び2回のブースト投与の後)に抗体応答の著しい増大を誘導した。これらの知見は、コンジュゲートワクチンによる他の実験と一致しており、例えば、用量と最初のワクチン接種に対する抗体応答の大きさの間の明白な関連性は、肺炎球菌ワクチンでワクチン接種された乳幼児において観察されなかった(Poolman JT,et al.Expert Rev Vaccines.2013,12(12):1379-94)。
O6A、O8及びO15コンジュゲートに関するワクチン接種後の42日目に試験されるExPEC10Vの3つの用量間で著しい差はなかった。O18Aコンジュゲートに関して、高用量のExPEC10Vは、ワクチン接種後の42日目に中用量と比較して著しく高い抗体応答を誘導した。
キャリアタンパク質(EPA)に関して、高用量及び中用量のExPEC10Vは、ワクチン接種後の14日目に低用量と比較して著しく高い抗体応答を誘導した。高用量のワクチンはまた、ワクチン接種後の42日目に低用量と比較して著しく高い抗体応答を誘導した。
結論として、0、14、27日目に筋肉内注射を介して投与されるExPEC10Vの3つの製剤(高、中及び低)は、ウサギにおいて免疫原性である。
今までに、ウサギにおいてこのワクチンによって誘導される大腸菌(E.coli)株を死滅させることができる機能性抗体は、血清型O1A、O2、O4、O6A、O15、O16及びO25Bに関して示された。
さらなる実験において、ExPEC10VワクチンのGMPバッチ(生成については上の実施例4を参照のこと)が調製され、毒性試験の一部としてNZWウサギに注射された(表7)。この試験において、NZWウサギ(雄及び雌)は、ExPEC10Vワクチンの3回の筋肉内注射(0.6mL)(1、15及び29日目)を受容し、対照群は、0.9%(w/v)塩化ナトリウム溶液(生理食塩水)を受容した。ワクチンの各用量は、血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A及びO75に関して9.6μgの多糖(PS)及び血清型O25Bに関して19.2μgのPSを含有し、105.6μgの総PS(176μgの総PS/mL)及び382.8μgの総EPA(638μgのEPA/mL)に対応する。O抗原及びキャリアタンパク質(EPA)に対するIgG力価は、治療前期間中(1日目)並びに免疫化後の31及び50日目に回収される試料から決定された。
全てのO抗原及びキャリアタンパク質EPAに対する抗体応答における著しい増大は、生理食塩水のみを受容した対照群と比較してExPEC10Vを受容した群においてワクチン接種後の31及び50日目に観察された(図2、表8)。O1A血清型に関して、ワクチン接種された動物が対照と比較されたとき、著しく高い抗体応答はまた1日目(ベースライン)に観察された。これらの結果は、一部の動物が、大腸菌(E.coli)に予め暴露されたか又はO1A-LPSと交差反応する抗体を有することを示唆している。
実施例7:ヒトにおけるExPEC10Vワクチンによる第1/2a臨床試験
現在、IEDを予防するのに利用可能なワクチンは存在しない。ExPEC10Vワクチンを含む血清型(O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75)は、ST131を含む抗菌剤耐性IEDを引き起こすExPEC分離株の大部分も表す臨床的に意味のあるExPEC株の大部分によって引き起こされる侵襲性疾患に対処するために選択された。選択される血清型は、高齢集団における血流感染を引き起こす10種の流行しているExPEC O血清型を代表するものであり、ExPECによって引き起こされる血流感染のおよそ70%に関与する。
侵襲性疾患の予防におけるコンジュゲートワクチンの作用機序は、抗生物質耐性機構によって影響されないと予想されるため、ExPEC10Vワクチンは、薬物耐性及び薬物感受性O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75血清型によって引き起こされるIEDに対する防御をもたらすと考えられる。
ExPEC10Vにおいても見出される4種の大腸菌(E.coli)O抗原コンジュゲート(O1A、O2、O6A及びO25B)のサブセットで構成される初期のワクチン候補であるExPEC4Vの先行する臨床実験がある。4つの完了した臨床試験(2つの第1相試験、2つの第2相試験)からの結果に基づいて、ExPEC4Vは、試験参加者によって忍容性が良好であり、血清型(O1A、O2、O6A及びO25B)当たり最大16μgの多糖(PS)の用量でワクチンに関連する安全性シグナルは観察されなかった。最も多い有害事象(AE)は、グレード1及び2であり、非常に少ないグレード3のAEが報告された。遅発型の非自発的局所AE(ワクチン接種後の5日目の後に始まるAE)は、より高い用量のExPEC4Vで主に観察された。各試験において、ExPEC4Vワクチンは、免疫原性であることが示されたが、これは、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)によって測定されるとおり、用量依存的ワクチン免疫応答、及びO抗原特異的免疫グロブリンG(IgG)力価の増大を実証している。抗体の機能活性は、ExPEC4Vに最適化されたオプソニン作用死滅アッセイ(OPKA)により実証された。ELISA及びOPKA試験結果の共同の解析は、アッセイ応答間の相関(第2相臨床試験[試験4V-BAC2001]において30日目及び360日目についてそれぞれピアソン相関係数≧0.61及び≧0.48)を示したが、これは、ExPEC4V抗体力価の主要な測定として及び機能抗体活性を予測するELISAの使用を裏付けている。免疫原性データの解析は、ExPEC4Vによるワクチン接種の後の3年間の免疫応答の耐久性を実証した。現在、ExPEC4Vでワクチン接種され、血清型特異的オプソニン作用抗体の高い力価を有したヒトの血清は、引き続いてO25B又はO2血清型の大腸菌(E.coli)株で腹腔内チャレンジされたマウスに受動的に移されるとき、血液、脾臓及び肝臓における大腸菌(E.coli)コロニー数(CFU)の著しい減少によって実証される(データは示さず)インビボでの防御を媒介することができたことも観察されている。したがって、ExPEC4V特異的オプソニン作用ヒト抗体は、インビボで細菌の死滅を媒介し、これは、提案される防御の機構が細菌の死滅を媒介するオプソニン作用抗体の誘導によるものである他のコンジュゲートワクチンに一致している。
ExPEC10Vは、合計10種の血清型を含み、60歳以上の成人においてExPECによって引き起こされる血流感染のカバー度を約50%(ExPEC4V)からおよそ70%まで増加させる。ExPEC4Vによる臨床実験、及び上の実施例において論じられるとおりのExPEC10Vに関する前臨床データに基づいて、ExPEC10Vの投与は、ヒトにおいても大腸菌(E.coli)血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75に対する免疫応答を誘導することになることが予想された。O抗原多糖(PS)の各々は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素A(EPA)の遺伝的に無毒化された形態であるキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされ、その生成は上で記載されている。O4 PSは、表1の式(O4-Glc+)の構造を有するグルコシル化形態である。
ExPEC10Vワクチンの3種の異なる用量の安全性、反応源性、及び免疫原性を評価するための無作為化観察者盲検ファースト・イン・ヒューマン第1/2相試験は、安定な健康状態の60~85歳のヒトにおいて実行される(試験10V-BAC1001)。試験デザインは、2つのコホートを含む:合計824名の参加者が試験に登録され、コホート1において安定な健康状態の60歳以上~85歳以下の404名の参加者(100名の参加者/ExPEC10V投与)及びコホート2において過去5年にUTIの病歴を有する安定した健康状態の60歳以上のおよそ420名の追加の参加者(ExPEC10V群において280名及びプラセボ群において140名)である(当初、コホート2において600名の参加者を含むように計画されたが、この数は、プロトコルにいくつかの改変を伴って試験中におよそ420名まで減少された)。
目的及び評価項目
コホート1-非盲検の長期追跡調査期間を伴う第1/2a相観察者盲検期間(N=404):
コホート2-二重盲検長期追跡調査期間を伴う二重盲検期間(N=420):
全体的デザイン
これは、2つのコホートを含む無作為化多施設介入試験である。
コホート1に関して、試験は、観察者盲検実薬対照デザインを有し、UTIの病歴を有するか又は有しない安定した健康状態の60歳以上~85歳以下の合計で404名の成人参加者が含まれた。コホート1のための試験デザインは、3つの期間で構成される:最大28日のスクリーニング期間、1日目のワクチン接種を伴う観察者盲検181日の追跡調査期間及びワクチン接種後の182日目から3年(1096日目)まで続く非盲検LTFU期間(図3A)。ExPEC10V選択投与群(およそ100名の参加者)の参加者及びプレブナー13群の参加者のみが、LTFU期間に進む。コホート1の最後は、最後の参加者の3年目の来院(1096日目)である。
コホート2に関して、試験は、二重盲検プラセボ対照デザインであり、過去5年にUTIの病歴を有する安定した健康状態の60歳以上の合計でおよそ420名の成人参加者が含まれた。登録は、第1/2a相主要解析及びコホート1からのExPEC10V用量選択の完了後に開始した。コホート2のための試験デザインは、3つの期間で構成される:最大28日のスクリーニング期間、1日目のワクチン接種を伴う二重盲検の181日の追跡調査期間、及びワクチン接種後の182日目から3年(1096日目)まで続く二重盲検LTFU期間(図3B)。コホート2の全ての参加者は、LTFU期間に進む。試験の最後は、コホート2における最後の参加者の3年目の来院(1096日目)である。
コホート1:第1相
コホート1の第1相において、合計で84名の参加者が、安全性評価の後に次の工程に進む段階的な用量漸増手順に従って段階的な手法で登録された。この試験のために社内のデータ審査委員会(DRC)に委託し、これらの84名の第1相参加者の身体検査データ(ベースライン及び標的化)、ベースライン人口統計データ及びワクチン接種後14日間の安全性データ(非自発的局所及び全身性AE、自発的AE、SAE、臨床検査データ及び生命徴候を含む)を審査した。試験のこの相において、参加者が登録され、6つの工程において無作為化された:
工程1:4名の歩哨の参加者が登録され、無作為化された;ExPEC10V低用量群において2名の参加者(表11)、並びにExPEC4V及びプレブナー13群においてそれぞれ1名の参加者。
工程2:24名の参加者が登録され、無作為化された;ExPEC10V低用量群において18名の参加者(表11)、及びExPEC4V及びプレブナー13群においてそれぞれ3名の参加者。
工程3:4名の歩哨の参加者が登録され、無作為化された;ExPEC10V中用量群において2名の参加者(表11)、並びにExPEC4V及びプレブナー13群においてそれぞれ1名の参加者。
工程4:24名の参加者が登録され、無作為化された;ExPEC10V中用量群において18名の参加者(表11)、並びにExPEC4V及びプレブナー13群においてそれぞれ3名の参加者。
工程5:4名の歩哨の参加者が登録され、無作為化された;ExPEC10V高用量群において2名の参加者(表11)、並びにExPEC4V及びプレブナー13群においてそれぞれ1名の参加者。
工程6:24名の参加者が登録され、無作為化された;ExPEC10V高用量群において18名の参加者(表11)、並びにExPEC4V及びプレブナー13群においてそれぞれ3名の参加者。
全ての参加者が、割り当てられた試験ワクチン接種群毎に1日目にExPEC10V(3つの用量のうちの1つ)、ExPEC4V又はプレブナー13のいずれかの単回の筋肉内(IM)注射を受けた。工程1、3及び5の各々の4名の歩哨の参加者は、安全性情報を収集するためにワクチン接種後の24時間に電話によって連絡された。4名の歩哨の参加者の各群における盲検のワクチン接種後24時間の安全性データは、研究代表者(PI)、試験責任医師(SRP)及びスポンサーのメディカルリード(SML)によって審査された。次の工程のための追加の参加者の無作為化は、この2日目の歩哨の安全性評価が完了されるまで停止された。
いずれかの臨床的に意義のある知見が存在しない場合、追加の24名の参加者(工程2、4、及び6に関する)が登録され、1日目のExPEC10V(3つの用量のうちの1つ)、ExPEC4V又はプレブナー13のいずれかの単回のIM注射を受けるように3つの試験ワクチン接種群(表11)のうちの1つに無作為化された。
各用量レベル(工程2における低用量、工程4における中用量、及び工程6における高用量)での追加の24名の参加者のワクチン接種の後、各用量レベルでの28名(4+24名)全ての参加者のワクチン接種後14日の安全性データが、次の用量レベル又は第2a相に進む前にDRCによって審査された。
コホート1:第2a相
初期の84名の参加者に関するワクチン接種後の14日の安全性データの審査の後にDRCによって決定されるとおりの許容される安全性及び反応源性(いずれかの安全性の懸念又は特定の試験休止規則を満たすいずれかの事象が存在しない場合)に基づいて、コホート1からの残りの320名の参加者が無作為化され、試験の第2a相において投与された。これらの追加の320名の参加者が登録され、1日目のExPEC10V(3つの用量のうちの1つ)、ExPEC4V又はプレブナー13のいずれかの単回のIM注射を受けるように5つの試験ワクチン接種群のうちの1つに2:2:2:1:1の比で並行して無作為化された(表11)。初期の84名の参加者に関する14日の安全性審査を実施することに加えて、DRCはまた、試験の期間にわたるコホート1の安全性データを評価し、特定の試験ワクチン接種休止規則又は生じる可能性のあるいずれかの他の安全性の問題を満たすいずれかの事象を審査する。
コホート1に関して、主要解析は、全ての参加者が30日目の来院(来院4)を完了したか又はより早期に中断したときに行われた。最終解析は、全ての参加者が181日目の来院を完了したか又はより早期に中断したときに行われる。非盲検の長期追跡調査(LTFU)期間(ExPEC10Vの選択された用量群及びプレブナー13群)に進む参加者のために、年1回の追跡調査解析は、ワクチン接種後の1年目(366日目)、2年目(731日目)及び3年目(1096日目)の来院の期間まで収集された安全性及び免疫原性データ(マルチプレックスECL系イムノアッセイ及びMOPA)を含む。
コホート2
コホート2において、ExPEC10Vの選択された用量の安全性、反応源性、及び免疫原性(高用量が選択されたコホート1の主要解析結果に基づく)は、過去5年にUTIの病歴を有する安定した健康状態の60歳以上の参加者において評価される。コホート2に関して、試験は、二重盲検プラセボ対照デザインであり、合計でおよそ420名の参加者が登録され、2:1比で並行して無作為化された(ExPEC10V群においておよそ280名の参加者及びプラセボ群においておよそ140名)。
全ての参加者が、割り当てられた試験ワクチン接種群毎に1日目に選択された用量のExPEC10V又はプラセボのいずれかの単回のIM注射を受けた(表12)。
コホート2に関して、主要解析は、安全性及び免疫原性データを含み、全ての参加者が30日目の来院(来院4)を完了したか又はより早期に中断したときに行われる。最終解析は、全ての参加者が181日目の来院を完了したか又はより早期に中断したときに行われる。全ての参加者に関して、年1回の追跡調査解析は、ワクチン接種後の1年目(366日目)、2年目(731日目)(MOPAに関しては該当しない)、及び3年目(1096日目)の来院の期間まで収集された安全性及び免疫原性データ(マルチプレックスECL系イムノアッセイ及びMOPA)を含む。
糞便試料の解析は、メタゲノム解析を使用して病原体(例えば、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile))の罹患率に対するExPEC10Vの影響及び腸内フローラにおけるExPEC10V血清型を評価するために参加者の選択されたサブセットにおいて実施される。
参加者の数
合計でおよそ824名の参加者が試験に登録された;コホート1における404名の参加者及びコホート2におけるおよそ420名の参加者。
介入群:介入の説明
ExPEC10V:EPAキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされたExPEC血清型O1A、O2、O4、O6A、O8、O15、O16、O18A、O25B及びO75のO抗原PSを含有するリン酸緩衝溶液中の大腸菌(E.coli)バイオコンジュゲートワクチン。1日目のExPEC10Vの3つの用量のうちの1つの単回の0.5mL IM(三角筋)注射。
ExPEC4V:EPAキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされたExPEC血清型O1A、O2、O6A、O25B(4:4:4:8μg PS/ExPEC血清型)のO抗原PSを含有する生理食塩水酸緩衝溶液中の大腸菌(E.coli)バイオコンジュゲートワクチン。1日目のExPEC4Vの単回の0.5mL IM(三角筋)注射。
プレブナー13:非毒性ジフテリアCRM197タンパク質に個々に連結された肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、及び23Fの莢膜抗原の糖の無菌懸濁液。単回用量プレフィルドシリンジにおいて供給される1日目の単回の0.5mL IM(三角筋)注射。
プラセボ:生理食塩水。1日目のプラセボの単回の0.5mL IM(三角筋)注射。
ExPEC試験介入材料は、表9において記載される。
ExPEC10Vは、10種の一価原体(DS)で構成される。この臨床試験に関して、製剤(DP)の2種の異なる濃度(中及び高)が生成される(表10)。第3の(低)濃度は、高濃度を製剤緩衝液と同じである希釈緩衝液で1:1に希釈することによってクリニックにおいて得られる。各DPは、pH7.0のリン酸ナトリウム/リン酸カリウム緩衝液(0.02%[w/w]ポリソルベート80、5%[w/w]ソルビトール、10mM メチオニン)中で製剤化される。
安全性評価
重要な安全性評価は、非自発的局所及び全身性AE、自発的AE、SAE、身体検査、生命徴候測定、及び臨床検査を含む。
免疫原性評価
回収された血清の重要な免疫原性評価は、マルチプレックスECL系イムノアッセイによって測定されるとおりのワクチンにより誘発されるExPEC10V及びExPEC4V血清型特異的な総IgG抗体レベル、並びにマルチプレックス形式(MOPA)におけるオプソニン作用死滅アッセイ(OPKA)によって測定されるとおりのExPEC10V及びExPEC4V血清型特異的な機能性抗体の評価を含む。プレブナー13によって誘発される肺炎球菌抗体力価の免疫原性評価は実施されない。
ExPEC10Vによって誘導される血清抗体のレベルは、マルチプレックス電気化学発光(ECL)系イムノアッセイによって測定される。このアッセイは、異なる大腸菌(E.coli)O-LPS抗原又はキャリアタンパク質EPAでコーティングされている複数スポットの96ウェル形式マイクロプレート中の高結合炭素電極を組み合わせる。血清試料中に存在する抗原特異的抗体のレベルは、SULFO-TAGで標識された二次抗体(抗ヒトIgG)を使用して検出される。SULFO-TAGは、電気刺激の存在下にて、結合されるIgG抗体の量に比例して増加する強度で光を放射する。このアッセイは、医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonisation)(ICH)の勧告に従って認定された。
ExPEC10Vによって誘導される機能性抗体のレベルは、マルチプレックスオプソニン作用アッセイ(MOPA)によって測定される。簡潔に述べると、熱不活性化血清試料は、段階的に希釈され、異なる型の抗生物質に特異的に耐性である異なる大腸菌(E.coli)株とともにインキュベートされる。その後、ヒト補体及び貪食細胞(HL60)を反応に加え、第2のインキュベーション期間の後、一定分量の反応混合物を、特定の抗生物質に耐性である株の増殖を選択的に可能にする特定の抗生物質が補充された培地を含有する異なるPVDF親水性濾過膜プレートに移す。一晩の増殖の後、コロニー形成単位(CFU)を計数して、生存している細菌の数を決定する。このアッセイは、ICH勧告に従って認定された。
マルチプレックスECL系イムノアッセイ及びMOPAによって測定されるとおりのExPEC10V血清型抗体、並びにマルチプレックスECL系イムノアッセイによってのみ測定されるとおりのEPAに関して、免疫原性の以下の測定値が評価され、全ての免疫原性時点に関して試験ワクチン接種群毎に作表される:
- 1日目(ワクチン接種前)の血清抗体力価における2倍以上及び4倍以上の増加を有する参加者の割合
- 幾何平均力価(GMT)
- GMR:ベースライン後/ベースライン値から計算されるベースラインからの倍率変化。
LTFU期間に関して、免疫原性の記述的な概要が、各血清型について提供される。
後期のための用量選択は、コホート1の主要解析の時点で利用可能なエビデンス(30日目の結果)の全体性を考慮する。
試験のコホート2において登録される参加者に関する無作為化比は、2:1(ExPEC10V:プラセボ)である。コホート2において使用されるExPEC10V用量は、コホート1の主要解析(30日目)結果に基づき、これはコホート1において使用された高用量である。
状態
上記の試験のコホート1の登録及びワクチン接種が完了された。大幅な安全性の問題は同定されず、ExPEC10Vワクチンは、許容される安全性プロファイルを有する。
コホート1臨床試料の免疫原性の解析が実施され、結果が下に記載される。
コホート2ワクチン接種は、高用量のExPEC10Vを使用して開始され、試験のこの部分は進行中である。
コホート1の安全性及び免疫原性の結果
本明細書で示されるこれらの結果は、BAC1001臨床試験(コホート1)を指す。最大の解析対象集団には416名の参加者が存在した。各参加者は、ExPEC10Vの3つの単回の筋肉内投与される用量のうちの1つ又はExPEC4V若しくはプレブナーの2つの実薬対照用量のうちの1つのいずれかに無作為化された;104名は、ExPEC10V低用量でワクチン接種され、102名はExPEC10V中用量でワクチン接種され、104名は、ExPEC10V高用量でワクチン接種され、52名はExPEC4V(4:4:4:8μg O1A、O2、O6A及びO25B多糖/用量)でワクチン接種され、54名はプレブナーでワクチン接種された。合計で413名の参加者が30日目の来院を完了した。15日目の治験実施計画書に適合した免疫原性解析に含まれる392名(94.2%)の参加者が存在した。
安全性
全体的に見て、全てのExPEC10V用量は忍容性が良好であった。高用量で反応源性が増大する傾向があり、ExPEC10Vの高用量の反応源性は、紅斑、膨化及び嘔気を除いてプレブナーより低いか又は同等であった。プレブナーとは対照的に、より遅発性の局所反応源性が、ExPEC10V群において観察され、注射部位紅斑及び膨化は、これらの局所事象を経験している参加者の>90%の遅発性事象として報告された。しかしながら、ExPEC10Vの反応源性プロファイルは、より高齢の成人集団において使用される他のライセンス化されたワクチンと比較して許容される。
免疫原性
ワクチンに誘導される免疫応答は、血清型特異的血清抗体(総免疫グロブリンG[IgG])のレベルを測定するマルチプレックス電気化学発光(ECL)系イムノアッセイ及び抗体に媒介される細菌オプソニン作用死滅を測定するマルチプレックスオプソニン作用死滅アッセイ(MOPA)を使用してベースライン(1日目のワクチン接種前)及びワクチン接種後の15日目で評価された。
抗原特異的血清抗体のレベル(ECL)
O抗原特異的血清抗体(総IgG)のレベルは、試験される全てのExPEC10V用量及び全てのワクチン関連血清型に関してワクチン接種後の15日目に著しく増大した。高用量のExPEC10Vワクチンを受容した対象の少なくとも80%は、O25B、O6A、O2、O1A、O4、O15、O16及びO18Aを含む10種の血清型のうちの8種に関してワクチン接種後の15日目までにO抗原特異的抗体力価の2倍以上の増加を示したことが観察された。ExPEC10V中用量群に関して、対象の少なくとも80%は、O25B、O2、O1A、O4及びO15を含む10種の血清型のうちの5種に関して;及びExPEC10V低用量群については、O25B、O2、O15及びO16を含む10種の血清型のうちの4種に関して、ワクチン接種後の15日目までにO抗原特異的抗体力価の2倍以上の増加を示す(図4、表13)。1日目から15日目までのGMTの最小限の変化が、プレブナー又はExPEC4V(非ExPEC4V血清型用)を受容した対象の群において観察された(図4、表13)。
ECLアッセイに関して、全ての対象が解析され、全ての免疫原性サブセットに含まれた。治験実施計画書除外基準に従って主要な違反を有する対象は、治験実施計画書に適合した解析から除外された。ECL系イムノアッセイにおいてベースラインから少なくとも2倍及び4倍の増加を有する参加者の幾何平均力価(GMT)、GMT FI(幾何平均力価倍率増加)及びパーセンテージは、下の表13において要約される。
O75多糖抗原に対する総IgG応答は、同じ量で投与された他の抗原と比較して低い(例えば、1日目に対して15日目に少なくとも2倍の増加を有する対象のパーセンテージの低下)とデータ(図4)から見ることができ、これは驚くべき結果であった。データはまた、組成物中のO75多糖抗原の量の増加(すなわち、低及び中用量の4μgに対する高用量の8μgの投与)が、O75多糖抗原に対して免疫応答の誘導を増加させたことを示している。
血清抗体の機能性(MOPA)
部分的なデータは、コホート1のMOPA解析において含まれた。表14は、15日目のMOPA GMT解析において含まれる参加者の数を示す。部分的なデータが、ExPEC10Vによって誘導される抗体応答の機能性の評価のために使用されたが、解析の結論は、完全なデータセットが利用可能であったときに変化しなかった。
MOPAによって測定されるオプソニン作用抗体のレベルは一般に、ECL系イムノアッセイによって測定されるO抗原特異的抗体(総IgG)のレベルと一致した。機能性抗体のレベルの増大は、試験された全ての用量群で10種のExPEC10V血清型のうちの9種に関して15日目に観察された(図5)。
他のExPEC10V血清型とは対照的に、血清型O8に関して、認定されたMOPAアッセイは、1日目のExPEC10Vワクチン接種後の15日目の機能性抗体のワクチンに媒介される増加を示すことができなかったが(図5)、血清型O8総IgG力価の増大が観察された(図4)。試験は、認定されたアッセイが機能性O8抗体を検出できなかったかどうかを区別するために開始された。改変されたMOPAアッセイ並びに1日目及び15日目の血清によるその後の実験は、15日目の機能性抗体の2倍以上の増加を首尾よく示し(データは示さず)、ExPEC10Vワクチンが血清型O8のための機能性抗体も実際に誘導したことを実証している。臨床開発のために、改変されたO8 MOPAは、アッセイの再認定及び臨床試料の再検査を必要とし、かなりの時間を要するため、最初にO8多糖体抗原を含まないワクチン組成物の開発を進めることが決定された。しかしながら、十価ExPECワクチン組成物におけるO8バイオコンジュゲートは、大腸菌(E.coli)O8血清型に対して機能性抗体を誘導し、したがって、そのようなバイオコンジュゲートは、下の実施例に記載される九価ワクチン組成物に首尾よく加えられる可能性があることが後の実験から明白である。
最も高いレベルのオプソニン作用抗体は、血清型O2について観察された;高用量の当該ワクチンでワクチン接種された対象の95%は、ワクチン接種後の15日目の抗O2オプソニン抗体力価の2倍以上の増加を示した。限定的なレベルの機能性抗体が上で論じられるとおりに検出されたO8血清型を除いて、最も低いレベルのオプソニン作用抗体は、血清型75について観察された;高用量のワクチンでワクチン接種された対象の36%は、ワクチン接種後の15日目の抗O75オプソニン抗体力価の2倍以上の増加を示した。したがって、O75血清型に関するMOPAデータは、上記のこの血清型に関するECLデータと一致し、同じ濃度の組成物中のいくつかの他のコンジュゲート、例えば、大腸菌(E.coli)O6、O1、又はO2コンジュゲートと比較して大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のコンジュゲートの相対的に低い免疫原性を確証している。加えて、1日目から15日目までのGMTの最小限の変化は、プレブナー又はExPEC4V(非ExPEC4V血清型用)を受容した対象の群において観察され(図5)、これはそれぞれのワクチン組成物中に存在しない血清型のための予想と一致している。
MOPAにおいてベースラインから少なくとも2倍及び4倍の増加を有する参加者の幾何平均力価(GMT)、幾何平均倍率増加(GMR FI)及びパーセンテージは、10種の血清型の各々について表15において要約される。
用量選択
各用量群のベースラインから15日目へのlog10倍率増加の平均に基づく免疫原性用量選択アルゴリズムは、2つの解析セット(PPI及びFAS)及び2つのアッセイ(ECL及びMOPA)を考慮するこの臨床試験のコホート2に関するExPEC10V高用量を同定した。
血清型O2、O4、O15、O16及びO18Aに関して、高用量群は、両方のアッセイにおいて他の2つのExPEC10V用量と比較して15日目に2倍及び4倍の増加を有する参加者のより高いGMT、GMR及びパーセンテージを有した。血清型O25Bに関して、中用量群は一般に、3つのExPEC10V用量群間で2倍及び4倍の増加を有する参加者のより高いGMT、GMR及びパーセンテージを有した;この血清型に関して、O抗原用量は、中及び高ExPEC10V用量群の両方に関して同じ(16μg)であった。両方の血清型O1A及びO6Aに関して、結果は、高用量と中用量の間で混ぜられた。血清型O75において、ExPEC10V用量に関して測定可能な機能性抗体応答が存在した。測定可能な機能性抗体応答は、上で論じられるとおり、血清型O8に関して認定されたアッセイにおいて検出されなかった。非EcPEC4V血清型において、低い機能性抗体応答は、2つの実薬対照において観察された;抗体応答は、ワクチンに誘導される応答からではなく既存の抗体から生じた。これらの結果に基づいて、高用量のExPEC10Vが、BAC1001臨床試験のコホート2のために選択された。
結論
ExPEC10Vワクチンは、ロバストな抗体応答を誘導し、O抗原特異的血清抗体の増加は、ベースライン(1日目)力価と比較してワクチン接種後の15日目の全てのワクチン関連血清型に関して観察された。大腸菌(E.coli)のオプソニン作用性の死滅を媒介したExPEC10Vに誘導される機能性抗体は、血清型O8を除いて、全てのワクチン関連血清型について認定されたMOPAにおいて検出された。血清型O8に関して、改変されたMOPAによるその後の試験は、機能性抗体応答を測定した。注目すべきことに、O75応答は、同じ用量での他の血清型に関するものより4μg及び8μgの用量でより弱く、これは、この試験からの驚くべきであり及び予測不可能な知見であった。多価グリココンジュゲート組成物によって生成される大腸菌(E.coli)O75血清型に対する免疫応答を向上させるために、一態様において、本発明は、血清型O75抗原多糖の用量を、例えば、他の血清型のいくつかの用量の約1.2~8倍、例えば、O6又はO1などの他の血清型のいくつかの用量の約1.5~4倍、例えば、約1.5~2.5倍、例えば、約2倍、例えば、約16μgまで増加させ、これは、例えば、最も関連し及び流行している血清型O1A、O2、及びO6Aの3つより高く、血清型O25B抗原多糖と同様である。先行する実験において(例えば、この実施例の上記並びに実施例5及び6、すなわち、本明細書で開示されるExPEC10Vワクチンによる臨床データが利用可能になる前)、O75抗原多糖の用量は、せいぜいO1A、O2及びO6A抗原多糖の用量と同程度に高いか、又は実際には、ある特定の試験群において、O1A及びO6A抗原多糖の2分の1でさえあり、O25B抗原多糖の2~4分の1でさえあった。対照的に、本発明のある特定の態様では、O75の用量は、O1、O2、及び/又はO6の用量と比較してそのように実際に増加される。
コホート2の安全性及び免疫原性の結果
この試験のコホート2において、過去5年にUTIの病歴を有する安定した健康状態の60歳以上の合計でおよそ420名の参加者が登録され、2:1の比で並行して無作為化された(完全な結果の解析が実施されたセットは、ExPEC10V(高用量)群において278名の参加者及びプラセボ群において138名を含んだ)。
安全性
全体的に見て、ExPEC10Vワクチンは忍容性が良好であった。反応源性プロファイルは一般に、コホート1における中用量及び高用量のExPEC10Vで観察されるものと同等であった。最も頻度の高い局所非自発的AEは、疼痛/圧痛であり、最も頻繁に報告させる全身性AEは、筋肉痛、頭痛、及び疲労であった。注射部位紅斑及び膨化は、最も一般的な遅発型事象(最初の発症までの時間はワクチン接種の5日より後)であった。ExPEC10Vの反応源性プロファイルは、より高齢の成人集団において使用される他のライセンス化されたワクチンと比較して許容される。
免疫原性
ワクチンに誘導される抗体応答は、血清型特異的血清抗体(総IgG)のレベルを測定するマルチプレックスECL系イムノアッセイを使用してベースライン(ワクチン接種前の1日目)並びにワクチン接種後の15日目及び30日目に評価された。
抗原特異的血清抗体のレベル(ECL、1日目、15日目及び30日目)
ExPEC10Vワクチンは、ベースラインから1日目~15日目に力価の少なくとも2倍の増加を有する参加者のGMT、GMT FI及びパーセンテージの値の増加に基づいて、全ての血清型に対して免疫原性であった。15日目~30日目の3つ全ての測定値において変化は最小限であった。
最も高い抗体応答は、血清型O2、O4、O15及びO16に関して観察され、ExPEC10Vでワクチン接種された参加者の少なくとも80%は、ワクチン接種後の15日目及び30日目までに抗体応答の2倍以上の増加を示した。血清型O1A、O6A及びO25Bに関して、参加者の少なくとも70%が、抗体応答において2倍以上の増加を示し、血清型O8及びO18Aに関して、参加者の少なくとも60%が、抗体応答において2倍以上の増加を示す。より低い抗体応答は、血清型O75に関して観察されたが、それにもかかわらず、抗原特異的抗体応答における2倍以上の増加が、参加者の少なくとも50%において観察された。1日目から15日目及び30日目までのGMTにおける最小限の変化が、プラセボを受容した対象の群において観察された(表16)。
ECL系イムノアッセイにおいてベースラインから少なくとも2倍及び4倍の増加を有する参加者の幾何平均力価(GMT)、GMT FI(幾何平均力価倍率増加)及びパーセンテージは、下の表16において要約される。
15日目の応答の大きさ(GMT)は、全ての血清型についてコホート1と2の間で同様であった。
実施例8:新規のExPEC組成物及びウサギにおける免疫原性。
新たな試験が設計され、これは、ExPECワクチンの2種の適合した組成物(本明細書では適合した製剤とも称される)を含んだ(ExPEC9V a及びb、表17)。これらの適合した製剤は、低い免疫原性が第1/2a相臨床試験のコホート1の解析中にこれらの抗原について観察されたため、血清型O8多糖が除去され、大腸菌(E.coli)血清型O75(ExPEC9V b)に関して増加した多糖含量を有する。上記の先行する実験を検証するための対照として、ExPEC10V組成物もまた評価された。生理食塩水対照(ワクチン未接種群)も含まれた。
試験の全体的な目的は、上記のExPEC10Vと比較したワクチン組成物における変化(O8多糖の枯渇及びO75抗原多糖に対して特異的な用量増加)が、ワクチンに誘導される免疫応答に対して影響を及ぼすかどうかを評価することであった。特に、目的は、例えば、多価コンジュゲートワクチン組成物中の大腸菌(E.coli)O6抗原多糖のコンジュゲートと比較して大腸菌(E.coli)O75抗原多糖のコンジュゲートの量を増加させることが、血清型O75の大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を実際に選択的に向上させ、それにより構成要素の大腸菌(E.coli)血清型にわたってより均一に免疫応答を上昇させるかどうかを理解することであった。そのために、ExPECワクチンの異なる製剤によって誘導される抗体応答は、ニュージーランドホワイトラビット(NZW)を使用して免疫原性の確立された前臨床モデルにおいて評価された。
実験デザイン
ニュージーランドホワイトラビット(NZW、試験の開始時に13週齢)は、2週間隔で投与されるExPECワクチン又は生理食塩水の異なる製剤による3回の筋肉内免疫化(500μL/注射)を受けた(表17)。試験は、4種の異なる群(表18)を含有した:群1(ExPEC10V)は、8μg/用量のO1A、O2、O6A、O4、O8、O15、O16、O18及びO75、並びに16μg/用量のO25B(すなわち、EPAキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされた各抗原多糖である16μg/mLのO1A、O2、O6A、O4-Glc+、O8、O15、O16、O18A及びO75抗原多糖の各々、並びに32μg/mLのO25B抗原多糖を含む0.5mLの組成物、上の実施例を参照のこと)を受容した;群2(ExPEC9V a)は、8μg/用量のO1A、O2、O6A、O4、O15、O16、O18A及びO75、並びに16μg/用量のO25B(すなわち、EPAキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされた各抗原多糖である16μg/mLのO1A、O2、O6A、O4-Glc+、O15、O16、O18A及びO75抗原多糖の各々、並びに32μg/mLのO25B抗原多糖を含む0.5mLの組成物、上の実施例を参照のこと)を受容した;群3(ExPEC9V b)は、8μg/用量のO1A、O2、O6A、O4、O15、O16及びO18A、並びに16μg/用量のO75及びO25B(すなわち、EPAキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされた各抗原多糖である16μg/mLのO1A、O2、O6A、O4-Glc+、O15、O16、及びO18A抗原多糖の各々、並びに32μg/mLのO25B及びO75抗原多糖を含む0.5mLの組成物、上の実施例を参照のこと)を受容した。
配合するために使用される緩衝液は、6.19mM KH2PO4、3.81mM Na2HPO4、5% ソルビトール(w/w)、10mM メチオニン、0.02% PS80(w/w)、pH7.0を含有した。対照群(群4)の動物は、生理食塩水(0.9%(w/v)塩化ナトリウム溶液)を受容した。各実験群は、10頭の動物を含有した。ELISAによって測定される血清抗体レベル(総IgG)は、免疫化前(0日目)及び免疫化後(14、28及び42日目)に評価された。
潜在的な注射部位応答は、各投与の前、各投与日の投与のおよそ6時間後、及び注射後の7日間毎日においてドレイズスコアリングシステムを使用してモニターされた。症例注射部位の影響が観察された場合、スコアが0に戻るまで毎日の観察が続けられた。
動物は、治療前の間に1回、各投与後の3日間毎日、その後週に1回個々に秤量された(グラム単位)。動物は、健康不良、又は有害な臨床効果のために1日に少なくとも1回観察された。投与日には、動物は、投与前及び治療のおよそ6時間後(注射部位の検査と同時)に治療に対する応答について試験された。体温は、直腸デジタル温度計を使用してモニターされ、投与前、各投与の6時間後及び24時間後に記録された。温度が38~40℃のウサギに関する正常範囲外にある場合、追加の測定は、体温がこれらの値内に戻るまで毎日実行された。
動物は、2週間隔で投与されるExPEC10V、ExPEC9V a、ExPEC9V b、又は生理食塩水により3回の筋肉内免疫化を受けた。抗体レベルは、0日目(ワクチン接種前)並びに14、28及び42日目(ワクチン接種後)にELISAによって測定された。
ExPECワクチン組成物中に含まれるO抗原の各々によって誘導される血清抗体レベルは、Gen 5ソフトウェアを使用してELISAによって解析された。450nmでのODは、4パラメーター(4PL)非線形回帰モデルにおいて解析された。50%効果濃度(EC50)は、二つ組の12工程の滴定曲線に基づいてそれぞれの個々の試料について計算された。試料の結果は、EC50力価として表される。
NZWウサギにおける抗原特異的血清抗体応答の評価は、試験された全てのExPECワクチン組成物(ExPEC10V、ExPEC9V a及びExPEC9V b)が、生理食塩水対照と比較したとき、ワクチン接種後の14、28及び42日目に全てのワクチン抗原に対する抗体応答において著しい増加を誘導したことを示した(図6)。試験された全てのExPECワクチン組成物の2回目の投与は、ワクチン接種後の14日目から28日目に抗原特異的抗体応答の著しい増加によって実証されるとおり抗体応答をブーストした。ExPECワクチンの3回目の投与のさらなるブースト効果は、ある特定の抗原及び組成物に関して明らかであった。O75抗原の幾何平均抗体力価(GMT)は、O75多糖の濃度の増加とともに増加した(図6)。増加した濃度の多糖O75(16μg)を含有するExPEC9V b組成物は、8μgのO75多糖のみを含有するExPEC9V a及びExPEC10V組成物と比較したとき、ワクチン接種後の14、28及び42日目により高いO75 GMT及びGMT倍率増加を誘導した(表19)。
体重、体温及び注射部位応答の評価は、試験された全てのExPECワクチン組成物が動物によって忍容性が良好であったことを示す(データは示さず)。
結論として、試験された全てのExPECワクチン組成物は、NZWウサギにおいて免疫原性であり、抗原特異的血清抗体応答における著しい増加が、生理食塩水対照と比較したとき、ワクチン接種後の14、28及び42日目に観察された。試験された全てのExPECワクチン組成物は、多糖特異的抗体応答をブーストすることができた。加えて、試験された全てのExPECワクチン組成物は、動物によって忍容性が良好であり、ワクチン関連有害事象は観察されなかった。重要なこととして、増加した濃度のO75多糖を含有するExPEC9V b組成物は、より低い濃度のO75多糖を含有する組成物(ExPEC9Va及びExPEC10V)と比較したとき、より高いO75抗体応答(GMT及びGMT倍率増加)を誘導した。ExPEC9V b組成物中のO75の用量の増加は、O75血清型に対する免疫応答をそのように向上させ、したがって、そのような組成物は、ExPEC9V b組成物における血清型にわたって免疫応答のより均一な上昇をもたらす。
実施例9.新規のExPEC9V組成物によるヒトにおける第3相有効性試験。
ヒトにおける有効性試験は、増加した濃度のO75抗原多糖を有する九価ExPECワクチン組成物で実行される。試験の表題は、「過去2年に尿路感染症の病歴を有する60歳以上の成人における侵襲性腸管外病原性大腸菌(Escherichia coli)疾患の予防におけるExPEC9Vによるワクチン接種の有効性、安全性及び免疫原性を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設第3相試験」であり、それは、本明細書で「BAC3001」試験と称されることになる。
ExPEC9Vは、60歳以上の成人における侵襲性腸管外病原性大腸菌(Escherichia coli)(ExPEC)疾患(IED)の予防のための開発における九価ワクチン候補である。ExPEC9Vは、前の実施例において詳述されるとおり、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素A(EPA)の遺伝的に無毒化された形態であるキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされたExPEC血清型O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75のO抗原多糖(PS)からなる。ExPEC9Vワクチンは、全てのIEDの約65%に関与するExPECの最も流行しているO血清型の中にある9種の示される大腸菌(E.coli)血清型を包含する。
目的及び評価項目
全体的デザイン
これは、60歳以上であり、過去2年にUTIの病歴を有する医学的に安定したおよそ18,556名の成人において実行されることになる無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群、多施設、介入第3相試験である。
全ての参加者は、登録され、ExPEC9V又はプラセボのいずれかに1:1比で並行して無作為化され、1日目に試験ワクチンを受容する(0.5mL 筋肉内注射(三角筋))。第1の主要評価項目のための最終的な解析(血液、他の無菌部位、又は尿からの微生物学的確認による)は、試験で72件のワクチン血清型IED事象が観察されたとき、又は遅くとも最後の参加者がワクチン接種後36ヶ月間追跡調査されたときに行われる。第2の主要評価項目(血液又は他の無菌部位からの微生物学的確認による)は、第1の主要評価項目が統計的有意性を示したときに階層的な様式で試験される。第2の主要評価項目(血液又は他の無菌部位からの微生物学的確認による)の最終的な解析に関して、第2の主要評価項目に従う53件のワクチン血清型IED事象が観察される必要がある。ExPEC9Vワクチン組成物は、EPAキャリアタンパク質に別々にバイオコンジュゲートされた各抗原多糖である16μg/mLのO1A、O2、O6A、O4-Glc+、O15、O16、及びO18A抗原多糖の各々並びに32μg/mLのO25B及びO75抗原多糖を含む。上の実施例を参照されたい(例えば、これは、上の実施例8のウサギ免疫化の群3において使用される同じ組成物である;賦形剤は、実施例7のBAC1001試験において使用されるExPEC10Vワクチンに関して記載されるものと同じである)。プラセボは、0.9% w/v塩化ナトリウムである。
安全性評価
重要な安全性評価は、SAE、身体検査、及び生命徴候を含む。加えて、非自発的局所及び全身性AE並びに自発的AEは、「安全性サブセット」における参加者、すなわち、追加の評価のための無作為化前に所与のインフォームドコンセントを有する選択された試験現場からのおよそ4,000名の参加者について記録される。
免疫原性評価
免疫原性の評価のために、9種のワクチンO血清型及びキャリアタンパク質EPAの各々に対するワクチンによって誘発されるIgG抗体レベルは、マルチプレックスECL系イムノアッセイによって測定され、血清型特異的機能性抗体は、MOPAによって測定される。免疫原性解析は、「免疫原性サブセット」における参加者、すなわち、追加の免疫原性評価のための無作為化の前に所与のインフォームドコンセントを有する選択された試験現場からのおよそ1,200名の参加者、及び確定IED事象を有する全ての参加者、及びUTI又は急性細菌性前立腺炎(ABP)事象を有する免疫原性サブセットにおける参加者について実施される。
有効性評価
主要目的は、ExPEC血清型O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75によって引き起こされる第1のIED事象の予防においてプラセボと比較してExPEC9Vの有効性を実証することである。IED、UTI、又はABPとして定義される事象は、全体的な試験期間(1,096日;3年)に全ての参加者に関して収集される。試験の追跡調査の間、参加者は、UTI又はABPのいずれかの徴候又は症状を経験する場合、又は全身性感染によって引き起こされる可能性がある症状のいずれかの新たな発症又は悪化を経験する場合、可能な限り早く試験現場に通知することが期待される。加えて、全ての参加者は、UTI、ABP、又は潜在的なIEDであった可能性がある、現場によって即時に把握されなかった過去の入院又は医学的事象についても質問されることになる。IED(全ての参加者)及びUTI又はABP(免疫原性サブセットのみ)に関する医療との接触に関連する医療資源利用データが収集される。2つの患者報告アウトカム(PRO)書類を使用して、健康に関連する生活の質を測定する:SF-36バージョン2及びEQ-5D-5L。加えて、フレイルは、SPPB及びフレイル指標スコアを使用して評価される。
免疫原性評価
免疫原性の評価のために、9種のワクチンO血清型及びキャリアタンパク質EPAの各々に対するワクチンによって誘発されるIgG抗体レベルは、マルチプレックスECL系イムノアッセイによって測定され、血清型特異的機能性抗体は、MOPAによって測定される。免疫原性解析は、「免疫原性サブセット」における参加者、すなわち、追加の免疫原性評価のための無作為化の前に所与のインフォームドコンセントを有する選択された試験現場からのおよそ1,200名の参加者、並びに確定IEDを有する全ての参加者及びUTI又はABP事象を有する免疫原性サブセットにおける参加者について実施される。1日目及び30日目の免疫原性血液試料は、全ての参加者から回収される。
安全性評価
重要な安全性評価は、SAE、身体検査、及び生命徴候を含む。加えて、非自発的局所及び全身性AE並びに自発的AEは、「安全性サブセット」における参加者、すなわち、追加の評価のための無作為化前に所与のインフォームドコンセントを有する選択された試験現場からのおよそ4,000名の参加者について記録される。
有効性解析
第1の主要評価項目の主要解析は、治験実施計画書に適合した有効性(PPE)集団において、プラセボ群と比較して、実薬ワクチン(ExPEC9V)群におけるワクチン接種の少なくとも29日後の発症を有するExPEC血清型O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75によって引き起こされる少なくとも1つのIED事象を有する参加者の数を評価する。第2の主要評価項目の主要解析は、PPE集団において、プラセボ群と比較して、実薬ワクチン(ExPEC9V)群におけるワクチン接種の少なくとも29日後(30日目から)の発症を有するExPEC血清型O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75によって引き起こされる血液又は他の無菌部位における微生物学的確認による少なくとも1つのIED事象を有する参加者の数を評価する。追跡調査期間もまた、考慮される。IED事象を有する参加者に関して、追跡調査期間は、ワクチン接種と最初の事象の発生の間の期間として定義される。IED事象を有しない参加者に関して、それはワクチン接種と最後の来院(又は試験を中断した参加者については最後の接触)の間の期間である。VE≦20%の帰無仮説は、対立仮説VE>20%に対して試験される。
段階的な階層的試験戦略が以下の評価項目に適用される:
主要:
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる、血液、他の無菌部位、又は尿からの微生物学的確認による最初のIED
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる、血液又は他の無菌部位からの微生物学的確認による最初のIED
副次:
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる全てのIED(参加者毎に複数のIEDを含む)
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる最初の入院させられたIED事象
- ExPEC O血清型によって引き起こされる敗血症に関する判定基準を満たす最初のIED事象
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる最初の菌血症IED事象
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる最初の腎盂腎炎事象
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる最初のUTI
- ExPEC9V O血清型によって引き起こされる全てのUTI(参加者毎に複数のUTIを含む)
- 任意のExPEC O血清型によって引き起こされる最初のIED事象
- 任意のExPEC O血清型によって引き起こされる最初の腎盂腎炎事象
- 任意のExPEC O血清型によって引き起こされる最初のUTI
この試験戦略において、第2の主要評価項目は、第1の主要評価項目が統計的有意性を示したときにのみ試験される。第1の主要評価項目が72の事象により統計的有意性を示したとき、53未満の事象がその時に観察される場合、中間解析が第2の主要評価項目について実施される(血液又は他の無菌部位からの微生物学的確認により)。第2の主要評価項目が非有意である場合、第2の主要評価項目の最終的な解析は、第2の主要評価項目定義に従う53のワクチン血清型IED事象が観察されたときに実施される。さらに、第1の重要な副次評価項目は、両方の主要評価項目が統計的有意性を示したときにのみ試験される。第1の重要な副次評価項目は、追跡調査期間の最後までワクチン接種(PPE)の少なくとも29日後の発症を有する全てのExPEC9V IED事象を含む。
参加者は、以下の判定基準を満たし、独立した評価項目判定委員会(IEAC)によって確認される場合にIEDを有するとみなされる。
IEDと診断された成人参加者は、
● 以下のいずれかの存在によって示されるとおりの全身性細菌感染の徴候及び症状を有するいずれかの参加者である:
- 体温<36.0℃(96.8°F)又は>38.0℃(100.4°F)、
- 頻拍(HR)>90bpm、
- 頻呼吸(RR)>20呼吸/分、又は
- WBC数<4又は>12x109/L又は10%未成熟(帯状)形態、
並びに
● 以下の培養による微生物学的確認:
- 血液又は任意の他の無菌部位(例えば、脳脊髄液[CSF]、胸膜)における大腸菌(E.coli)、
及び/又は
- UTI徴候/症状を有し及び感染の他の同定可能な部位を有さず及びベースラインから全体的な逐次臓器不全評価(SOFA)スコア≧2点における急性の変化を有する尿中の大腸菌(E.coli)(コロニー形成単位/mL ≧105)。
主要評価項目及び副次評価項目に関して、ExPEC9V O血清型(すなわち、O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、又はO75)のいずれかによって引き起こされるIEDでは、O血清型判定が利用可能になる必要があり、IEDは、O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、又はO75陽性であると確認される必要がある。任意のExPEC O血清型に関連する副次評価項目に関して、O血清型判定は利用可能である必要はない。培養結果において複数の病原体を有する症例は、全身性感染がIEACの判定に従って大腸菌(E.coli)にのみ起因する可能性がない場合、主要又は副次評価項目のために考慮されない。混合された病原体及び大腸菌(E.coli)の存在を伴う症例は、感受性解析に含まれる。
参加者がUTIの徴候及び症状を医師及び/又は試験現場に連絡した場合、以下の判定基準を満たし、腎盂腎炎の症例についてIEACによって確認される場合、参加者は症候性UTIを有すると定義される。
記録された膿尿(白血球(WBC)数≧10細胞/mm3)及び尿中の大腸菌(E.coli)の培養による微生物学的確認(コロニー形成単位≧105/mL)を有し、以下の徴候及び症状の定義のうちの1つを有する成人:
● 非複雑性UTIに関して、以下の徴候又は症状の少なくとも2つ:
- 排尿障害、
- 尿意頻数、
- 尿意切迫、又は
- 恥骨上痛。
● 複雑性UTI(cUTI)に関して:
- 以下の徴候又は症状の少なくとも2つ:
○ 発熱(例えば、38.0℃以上の温度)を伴う悪寒、硬直若しくは温感、
○ 排尿障害、尿意頻数若しくは尿意切迫、
○ 下腹部痛若しくは骨盤痛、又は
○ 嘔気若しくは嘔吐、
及び
- 以下の複雑化因子の少なくとも1つ:
○ 尿貯留の病歴(男性参加者において)、
○ 現在留置している尿路カテーテル、
○ 閉塞性尿路疾患、又は
○ 任意の関連する機能的若しくは解剖学的異常。
● 以下の症状の少なくとも2つを有する腎盂腎炎(尿路の根底にある異常に関係なく)に関して:
- 発熱(例えば、38.0℃以上の温度)を伴う悪寒、硬直若しくは温感、又は
- 身体検査時の側腹部痛若しくは肋骨脊柱角の圧痛、又は
- 嘔気若しくは嘔吐。
● 再発性UTI(rUTI)に関して:
- 最近6ヶ月における2回のUTIの頻度を有する非複雑性及び/若しくは複雑性UTIの再発、又は
- 年に少なくとも3回のUTIの頻度を有する非複雑性及び/若しくは複雑性UTIの再発。
副次評価項目に関して、ExPEC9V O血清型(すなわち、O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、又はO75)のいずれかによって引き起こされるUTIでは、O血清型判定が利用可能になる必要があり、UTIは、O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、又はO75陽性であると確認される必要がある。任意のExPEC O血清型に関連する副次評価項目に関して、O血清型判定は利用可能である必要はない。培養結果において複数の病原体を有し及び大腸菌(E.coli)の存在を有する症例は、副次評価項目のために考慮されない。これらの症例は、感受性解析に含まれる。
探索的評価項目として、IED(大腸菌(E.coli)の微生物学的確認を除く)又はUTIの上の定義を満たすが、緑膿菌(P.aeruginosa)に関して陽性の(UTIの場合の尿)試料を有する(UTIの場合コロニー形成単位≧105/mL)参加者は、それぞれ緑膿菌(P.aeruginosa)、又は緑膿菌(P.aeruginosa)UTIに起因する侵襲性疾患を有すると報告される。血清型判定は、緑膿菌(P.aeruginosa)については実施されない。混合された病原体とともに緑膿菌(P.aeruginosa)の存在を伴う試料は、この探索的評価項目のために考慮されない。
ABPのための探索的有効性評価項目として、ExPEC血清型O1A、O2、O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75によって引き起こされる事象が報告される。
参加者がABPの徴候及び症状を医師及び/又は試験現場に連絡した場合、以下の判定基準を満たす場合、参加者は症候性ABPを有すると定義される。
記録された膿尿(WBC数≧10細胞/mm3)及び尿中の大腸菌(E.coli)の培養による微生物学的確認(コロニー形成単位≧105/mL)を有し、発熱及び以下の急性発症を有する成人:
● 刺激性の排尿症状:
○ 排尿障害、
○ 尿意頻数、
○ 尿意切迫、又は
● 閉塞性の排尿症状:
- 排尿躊躇、
- 不完全な排尿、
- 腹圧性排尿、
- 尿勢低下、及び
● 恥骨上痛、直腸痛、若しくは会陰部痛。
この広範な発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に対する変更形態がなされ得ることが当業者に理解されるであろう。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書によって規定される本発明の趣旨及び範囲に含まれる変形形態を包含することが意図されることを理解されたい。
配列
配列番号1(グリコシル化コンセンサス配列)
Asn-X-Ser(Thr)(Xは、Proを除く任意のアミノ酸であり得る)
配列番号2(最適化されたグリコシル化コンセンサス配列)
Asp(Glu)-X-Asn-Z-Ser(Thr)(X及びZは、独立して、Proを除く任意のアミノ酸から選択される)
配列番号3(4個のグリコシル化コンセンサス配列を含むEPAキャリアタンパク質(EPA-4))
配列番号4(O4 GtrSアミノ酸配列)
配列番号5(例のO4 gtrS核酸配列)
配列番号6(例のPglB配列(「野生型」))
配列番号7(例のgtrAアミノ酸配列;大腸菌(E.coli)W3110 yfdG、GenBank:BAA16209.1)
MLKLFAKYTSIGVLNTLIHWVVFGVCIYVAHTNQALANFAGFVVAVSFSFFANAKFTFKASTTTMRYMLYVGFMGTLSATVGWAADRCALPPMITLVTFSAISLVCGFVYSKFIVFRDAK
配列番号8(例のgtrBアミノ酸配列-大腸菌(E.coli)W3110 yfdH、GenBank:BAA16210.1)
配列番号9(例のO4 rfb座位ヌクレオチド配列-O4-EPA産生株BVEC-L-00684f)
配列番号10(EPAキャリアタンパク質に関する例のシグナル配列)
MKKIWLALAG LVLAFSASA
配列番号11(例のO1A rfb座位ヌクレオチド配列-O1A-EPA産生株stGVXN4411及びstLMTB10217)
配列番号12(例のO2 rfb座位ヌクレオチド配列-O2-EPA産生株-stGVXN4906)
配列番号13(例のO6A rfb座位ヌクレオチド配列-O6A-EPA産生株stGVXN4112及びstLMTB10923)
配列番号14(例のO8 rfb座位ヌクレオチド配列-O8-EPA産生株-stLMTB11734)
配列番号15(例のO15 rfb座位ヌクレオチド配列-O15-EPA産生株-stLMTB11738)
配列番号16(例のO16 rfb座位ヌクレオチド配列-O16-EPA産生株-stLMTB11739)
配列番号17(例のO18A rfb座位ヌクレオチド配列-O18A-EPA産生株-BVEC-L-00559)
配列番号18(例のO25B rfb座位ヌクレオチド配列-O25B-EPA産生株-stGVXN4459)
配列番号19(例のO75 rfb座位ヌクレオチド配列-O75-EPA産生株-stLMTB11737)
配列番号20(例のCRM197配列)
本明細書に記載される実施形態は、単に例示であることが意図され、当業者は、通例の実験だけを使用して、本明細書に記載される特定の手順に対する多数の均等物を認識することになるか、又は確認することができるであろう。全てのそのような均等物は、本発明の範囲内にあるとみなされ、以下の特許請求の範囲によって包含される。
本明細書で引用される全ての参考文献(特許出願、特許、及び出版物を含む)は、それぞれの個々の出版物又は特許若しくは特許出願が全ての目的のために全体として参照により具体的に及び個別に組み込まれることが示されるのと同程度に、全体として及び全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
また、本発明は以下を提供する。
[1]
大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25、O75及びO6抗原多糖を含む組成物であって、前記抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75及びO25抗原多糖の各々の濃度が、独立して、O1、O2、O4、O15、O16、O18及びO6抗原多糖の各々の濃度と比較して高い、組成物。
[2]
O75抗原多糖の濃度と、独立してO1、O2、O4、O15、O16、O18及びO6抗原多糖の各々の濃度との重量比が、約1.5:1~約2.5:1である、[1]に記載の組成物。
[3]
O75抗原多糖の濃度と、独立してO1、O2、O4、O15、O16、O18及びO6抗原多糖の各々の濃度との重量比が、約2:1である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]
大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25、O75及びO6抗原多糖を含む組成物であって、前記抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75抗原多糖とO1、O2、及び/又はO6抗原多糖の濃度との重量比が、約1:5:1~約4:1、好ましくは、約2:1である組成物。
[5]
O75抗原多糖の濃度と、O4、O15、O16及び/又はO18抗原多糖の濃度との重量比が、約1.5:1~約4:1、好ましくは、約2:1である、[4]に記載の組成物。
[6]
前記組成物中のO75抗原多糖の濃度とO25抗原多糖の濃度との重量比が、約1:1である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
大腸菌(E.coli)抗原多糖O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25:O75の濃度の重量比が、1:1:1:1:1:1:1:2:2である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
前記O1抗原がO1Aであり、前記O4がグルコシル化されており、前記O6抗原がO6Aであり、前記O18抗原がO18Aであり、及び前記O25抗原がO25Bであり、
(i)前記大腸菌(E.coli)O1抗原多糖が、式(O1A)の構造:
を含み、
(ii)前記大腸菌(E.coli)O2抗原多糖が、式(O2)の構造:
を含み、
(iii)前記大腸菌(E.coli)O4抗原多糖が、式(O4-Glc+)の構造:
を含み、
(iv)前記大腸菌(E.coli)O6抗原多糖が、式(O6A)の構造:
を含み、
(v)前記大腸菌(E.coli)O15抗原多糖が、式(O15)の構造:
[→2)-β-D-Galp-(1→3)-α-L-FucpNAc-(1→3)-β-D-GlcpNAc-(1→]n
を含み、
(vi)前記大腸菌(E.coli)O16抗原多糖が、式(O16)の構造:
を含み、
(vii)前記大腸菌(E.coli)O18抗原多糖が、式(O18A)の構造:
を含み、
(viii)前記大腸菌(E.coli)O25抗原多糖が、式(O25B)の構造:
を含み、及び
(ix)前記大腸菌(E.coli)O75抗原多糖が、式(O75)の構造:
を含み、
各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である、[1]~[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
前記O75抗原多糖の濃度が、約8~約64μg/mL、好ましくは、約8~約50μg/mL、好ましくは、約12~約40μg/mL、好ましくは、約16~約32μg/mL、好ましくは、約28~約36μg/mL、好ましくは、約32μg/mLである、[1]~[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
前記組成物中に存在する大腸菌(E.coli)O抗原多糖が、O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25、O75及びO6からなる、[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
キャリアタンパク質に共有結合的に連結された少なくとも1つの追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖をさらに含み、好ましくは、前記少なくとも1つの追加の大腸菌(E.coli)抗原多糖が、式(O8):
α-D-Manp3Me-(1→[3)-β-D-Manp-(1→2)-α-D-Manp-(1→2)-α-D-Manp-(1→]n
を有するO8抗原多糖を含み、
nが、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数である、[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
前記キャリアタンパク質が、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の無毒化外毒素A(EPA)又はCRM
197
、好ましくは、EPAであり、好ましくは、前記キャリアタンパク質が、配列番号1のアミノ酸配列、例えば、配列番号2のアミノ酸配列を有するコンセンサス配列を有する1~20個、例えば、1~10個、又は2~4個のグリコシル化コンセンサス配列を含み、より好ましくは、前記キャリアタンパク質が、4個の前記グリコシル化コンセンサス配列を含み、最も好ましくは、各キャリアタンパク質が、配列番号3のアミノ酸配列を含むEPAである、[1]~[11]のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
前記大腸菌(E.coli)抗原多糖が、バイオコンジュゲーション又は化学的コンジュゲーションによって前記キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、前記大腸菌(E.coli)抗原多糖が、バイオコンジュゲーションによって前記キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、好ましくは、前記多糖が、前記キャリアタンパク質中のグリコシル化部位におけるAsn残基に共有結合的に連結されている、[1]~[11]のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法であって、[1]~[13]のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む方法。
[15]
対象において大腸菌(E.coli)、好ましくは、腸管外病原性大腸菌(E.coli)(ExPEC)に対する免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に大腸菌(E.coli)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25、O75及びO6抗原多糖の各々の有効量を投与することを含み、前記抗原多糖の各々が、独立して、キャリアタンパク質に共有結合的に連結され、O75及びO25抗原多糖の各々の前記有効量が、独立して、O1、O2、O4、O15、O16、O18及びO6抗原多糖の各々と比較して高い方法。
[16]
a)O75抗原多糖の前記有効量が、O1、O2、O4、O15、O16、O18及びO6抗原多糖の各々に対して独立して約1.5:1~約2.5:1、好ましくは、約2:1の重量比で投与されるか;又は
b)O75抗原多糖の前記有効量が、O1、O2、及び/又はO6抗原多糖に対して独立して約1.5:1~約4:1、好ましくは、約2:1の重量比で投与され、さらに、前記有効量のO75抗原多糖が、O25抗原多糖に対して1:1の重量比で投与される、[15]に記載の方法。
[17]
前記免疫応答が、前記対象において侵襲性ExPEC疾患の重症度を制限するか又は侵襲性ExPEC疾患を予防し、好ましくは、前記侵襲性ExPEC疾患が、敗血症及び/又は菌血症を含む、[14]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記O1抗原がO1Aであり、前記O4がグルコシル化されており、前記O6抗原がO6Aであり、前記O18抗原がO18Aであり、及び前記O25抗原がO25Bであり、
好ましくは、前記O1A、O2、グルコシル化O4、O6A、O15、O16、O18A、O25B、及びO75抗原多糖が、表1に示されるとおりの式(O1A)、(O2)、(O4-Glc+)、(O6A)、(O15)、(O16)、(O18A)、(O25B)、及び(O75)の構造をそれぞれ含み、各nが、独立して、1~100、好ましくは、3~50、例えば、5~40、より好ましくは、5~30、例えば、7~25、例えば、10~20の整数であり、
O75抗原多糖とO6抗原多糖の重量比が、約1.5:1~約4:1、より好ましくは、約2:1である、[15]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記対象に投与される、大腸菌(E.coli)O抗原多糖が、
a)O1、O2、O4、O15、O16、O18、O25、O75及びO6からなるか;又は
b)キャリアタンパク質にそれぞれ独立して共有結合的に連結された1~15種の追加の大腸菌(E.coli)O抗原多糖をさらに含む、[15]~[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記対象が、大腸菌(E.coli)(好ましくは、ExPEC)感染、好ましくは、侵襲性ExPEC疾患を有するか又は有するリスクのあるヒトである、[14]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]
約8~16μg、好ましくは、約16μgの前記O75抗原多糖が、投与毎に投与される、[14]~[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
O1:O2:O4:O6:O15:O16:O18:O25:O75の投与された大腸菌(E.coli)抗原多糖の前記有効量が、1:1:1:1:1:1:1:2:2の重量比で投与される、[14]~[21]のいずれか一項に記載の方法。