JP7480700B2 - 車両下部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両下部構造に関するものである。
自動車などの車両は、車両の床面を形成するフロアパネルと、フロアパネルの下側に配置されたバッテリパックなどの床下搭載部品とを有する車両下部構造を備える(例えば特許文献1)。特許文献1には、フロアクロスメンバを有するフロアパネルと、フロアパネルの下方に搭載されバッテリクロスメンバを有するバッテリパックとを備えた車体下部構造が記載されている。
また特許文献1の車体下部構造は、スタッドボルト、ボルト挿通部およびナットを備える。スタッドボルトは、フロアクロスメンバおよびバッテリクロスメンバの一方に設けられ他方側へ突出する。ボルト挿通部は、フロアクロスメンバに設けられてスタッドボルトの径よりも大径のボルト挿通孔を形成している。ナットは、ボルト挿通孔を貫通したスタッドボルトに取り付けられてスタッドボルトと協働して、フロアクロスメンバとバッテリクロスメンバとを締結する。
特許文献1の車体下部構造はさらに、バッテリパックとフロアパネルとの間に配置された防水カバーと、防水カバーに形成されスタッドボルトを挿通する貫通孔と、シール部材とを備える。シール部材は、フロアパネルと防水カバーとの間に圧縮状態で挟み込まれていて、防水カバーに形成された貫通孔に装着され、スタッドボルトの周囲を水密に閉塞する。
特許文献1では、バッテリパックの防水カバーにおけるスタッドボルトを挿通する貫通孔からの水の浸入を、シール部材によって抑制することができる、としている。さらに特許文献1では、シール部材は、フロアパネルと防水カバーとの間に圧縮状態で挟み込まれるので、フロアパネルおよび防水カバーの防振および防音効果を得ることができる、としている。
特開2018-193003号公報
しかし特許文献1の車体下部構造では、スタットボルトの周囲をシール材で囲んで貫通孔からの水の浸入を抑制するためには、スタッドボルトの周囲にシール材を配置してフロアパネルと防水カバーとの間に圧縮状態で挟み込む必要がある。
このような車体下部構造では、スタッドボルトの周囲にフロア振動モードの腹が位置する低周波振動においてはシール材によって防振効果を得ることができる。しかし、例えばより高周波のフロア振動モードにおいては、各振動モードの腹の位置にシール材を圧縮状態で挟み込む締結部が必要となってしまう。このため、フロア振動モードの腹の位置に締結部を設定できない場合には、フロア振動を十分に抑制することが困難である。
本発明は、このような課題に鑑み、フロアパネルの複数の領域で発生する振動を抑制して、フロア振動を抑制できる車両下部構造を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、車両の床面を形成していて上方または下方に凸のビードが形成されたフロアパネルと、フロアパネルの車幅方向の中央で車両前後方向にわたって延び上方に隆起しているフロアトンネルと、フロアパネルの縁に沿って車両前後方向に延びるサイドシルと、フロアパネルの上側で車幅方向に延びサイドシルおよびフロアトンネルに接合されるクロスメンバと、フロアパネルの下側に所定の締結部によって締結されるバッテリパックと、締結部によってバッテリパックとフロアパネルとの間に圧接された第1弾性体とを備え、第1弾性体は、サイドシル、フロアトンネルおよびクロスメンバで区画された複数の領域においてフロアパネルのビードに重なるように配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、フロアパネルの複数の領域で発生する振動を抑制して、フロア振動を抑制できる車両下部構造を提供することができる。
本発明の実施例に係る車両下部構造の概要を示す上面図である。 図1の車両下部構造の一部を透過して示す上面図である。 図1の車両下部構造のA-A断面図である。 図3(a)の車両下部構造を車両後方の斜め下方から見た状態を示す図である。 図4の車両下部構造の締結部の一部およびその周辺の構造を示す図である。 図2の車両下部構造の変形例を示す上面図である。
本発明の一実施形態の代表的な構成は、車両の床面を形成していて上方または下方に凸のビードが形成されたフロアパネルと、フロアパネルの車幅方向の中央で車両前後方向にわたって延び上方に隆起しているフロアトンネルと、フロアパネルの縁に沿って車両前後方向に延びるサイドシルと、フロアパネルの上側で車幅方向に延びサイドシルおよびフロアトンネルに接合されるクロスメンバと、フロアパネルの下側に所定の締結部によって締結されるバッテリパックと、締結部によってバッテリパックとフロアパネルとの間に圧接された第1弾性体とを備え、第1弾性体は、サイドシル、フロアトンネルおよびクロスメンバで区画された複数の領域においてフロアパネルのビードに重なるように配置されていることを特徴とする。
ここで、フロアパネルの下側にバッテリパックを締結する車両においては、車高を変更せずに車室内の空間を確保するために、フロアトンネルの高さを維持しながら、フロアパネルの底上げを行う場合がある。このような場合、フロアトンネルの上面とフロアパネルの高低差が小さくなり、フロアパネルの上下方向の剛性が低下してしまう。
そこで上記構成では、バッテリパックとフロアパネルの間に第1弾性体を挟み込んで圧接し、さらに第1弾性体を、サイドシル、フロアトンネルおよびクロスメンバで区画された複数の領域においてフロアパネルのビードに重なるように配置している。これにより、フロアパネルの複数の領域で発生する振動を抑制して、フロア振動を抑制できる。
上記のフロアトンネルは、上壁と、上壁とフロアパネルとをつなぐ側壁とを有し、締結部は、フロアトンネルの上壁および側壁に接合されクロスメンバの車両前後方向の範囲と重なる締結ブラケットと、締結ブラケットに螺合することでバッテリパックをフロアパネルに締結する締結ボルトとを有するとよい。
上記構成では、締結部の締結ブラケットを、フロアトンネルの上壁および側壁に接合しさらにクロスメンバの車両前後方向の範囲に重なるように配置している。これにより、締結ブラケットを剛性の高い箇所に接合できるため、締結ブラケットに締結ボルトが螺合することで、バッテリパックとフロアパネルとの間に第1弾性体を確実に圧接することができる。
また、フロアトンネルの上壁および側壁に締結ブラケットを接合したので、フロアトンネルの側壁が変形することを防止でき、これにより、側壁が屈曲することに伴う振動も防止することができる。
上記の車両下部構造はさらに、フロアパネルの下側のうちフロアトンネルの側壁と重なる位置に配置され締結部によりフロアパネルとバッテリパックとの間に圧接される第2弾性体を備え、第2弾性体は、第1弾性体よりもフロアトンネル側に位置していて、フロアトンネルの側壁に沿って車両前後方向に延び、第2弾性体の車両前後方向の長さは、区画された複数の領域に配置された第1弾性体の車両前後方向の長さよりも長いとよい。
上記構成では、フロアトンネルの側壁に沿って第2弾性体を車両前後方向に配置し、第2弾性体の車両前後方向の長さを、フロアパネルの複数の領域に配置された第1弾性体の車両前後方向の長さよりも長く設定している。このため、フロアトンネルからフロアパネルに騒音が侵入することを第2弾性体によって防止することができる。さらに、フロアパネルとバッテリパックの間に第1弾性体に加えて第2弾性体を圧接したので、フロアパネルの複数の領域の上下振動を防止することができる。
上記の第2弾性体は、区画された複数の領域のいくつかにわたる範囲の周縁、または各々の周縁に配置されているとよい。
このように、フロアパネルの区画された複数の領域に第1弾性体を配置するだけでなく、複数の領域のうちいくつかにわたる範囲の周縁、または各々の領域の周縁に第2弾性体を配置している。このような第1弾性体と第2弾性体とを、フロアパネルとバッテリパックの間に圧接するので、フロア振動をより抑制することができる。
上記の第2弾性体はさらに、遮音性を有するとよい。
ここで第2弾性体としては、例えばエプトシーラ(シール材)が挙げられる。エプトシーラは、本来、遮音性を有する部材であり、しかもフロアパネルに圧接することにより防振性を有することもできる。このため、フロアパネルとバッテリパックの間に第2弾性体を配置することで騒音を抑制することができる。さらに、フロアパネルとバッテリパックの間に第1弾性体とともに第2弾性体を圧接することでフロア振動も抑制できる。
上記の車両下部構造はさらに、車幅方向に延びていてバッテリパックの下側でサイドシル同士を接続しバッテリパックに接合されるバッテリクロスメンバを備え、締結ボルトは、バッテリクロスメンバを下方から貫通してさらにバッテリパックの上部材を貫通して、フロアトンネルに接合された締結ブラケットに螺合するとよい。
このように、締結部の締結ボルトは、バッテリクロスメンバおよびバッテリパックの上部材を下方から貫通し、さらにフロアトンネルに接合された締結ブラケットに螺合している。このため、バッテリパックの上部材に加えて剛性の高いバッテリクロスメンバを用いて締結部によって、バッテリパックをフロアパネルに締結できるため、フロア振動を十分に抑制することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施例に係る車両下部構造100の概要を示す上面図である。以下各図において、車両前後方向をそれぞれ矢印Front、Back、車幅方向の左右をそれぞれ矢印Left、Right、車両上下方向をそれぞれ矢印Up、Downで例示する。
車両下部構造100は、車両の床面を形成するフロアパネル102と、一対のサイドシル104、106と、フロアトンネル108とを備える。一対のサイドシル104、106は、フロアパネル102の縁に沿って車両前後方向に延びている。フロアトンネル108は、フロアパネル102の車幅方向の中央で車両前後方向にわたって延び上方に隆起している。
車両下部構造100はさらに、前側クロスメンバ110、112と、後側クロスメンバ114、116とを備える。前側クロスメンバ110、112および後側クロスメンバ114、116は、車両前後に離間していて、フロアパネル102の上側に配置されサイドシル104、106とフロアトンネル108との間でそれぞれ車幅方向に延びている。なお前側クロスメンバ110、112および後側クロスメンバ114、116には、シート取付用ブラケット118が複数設置されている。
フロアパネル102は、一対のサイドシル104、106、フロアトンネル108、前側クロスメンバ110、112および後側クロスメンバ114、116で区画された複数(ここでは6つ)の領域120、122、124、126、128、130を有する。
フロアパネル102では、これら各領域120、122、124、126、128、130内に、例えば領域130に代表的に符号を付した上方または下方に凸の複数のビード132、134、136が形成されている。なお領域130に形成された3つのビード132、134、136の形状や数は、一例に過ぎず、他の矩形状や円形状のものなど適宜の形状であってもよく、その数も2つあるいは4つ以上であってもよい。フロアパネル102では、これらのビードを各領域120、122、124、126、128、130内に適宜形成してよい。
図2は、図1の車両下部構造100の一部を透過して示す上面図である。図中では、車両下部構造100を、フロアパネル102、前側クロスメンバ110、112および後側クロスメンバ114、116を透過した状態で示している。図3は、図1の車両下部構造100のA-A断面図である。なお図3(a)は、A-A断面の奥行まで示した図である。なお図2にも、図1に対応してA-A線を示している。
車両下部構造100はさらに、図2に示すバッテリパック138を備える。バッテリパック138は、フロアパネル102の下側に図3に示す所定の締結部140、142によって締結される。
ここで、フロアパネル102の下側にバッテリパック138を締結する車両においては、車高を変更せずに車室内の空間を確保するために、フロアトンネル108の高さを維持しながら、フロアパネル102の底上げを行う場合がある。このような場合、車両下部構造100では、フロアトンネル108の図3に示す上壁144とフロアパネル102の高低差が小さくなり、フロアパネル102の上下方向の剛性が低下してしまう。
そこで車両下部構造100では、フロアパネル102の複数の領域120、122、124、126、128、130で発生する振動を抑制して、フロア振動を抑制できる構成を採用した。すなわち車両下部構造100はさらに、図2に示す第1弾性体146、148、150、152、154、156と、第2弾性体158、160とを備える。
第1弾性体146、148、150、152、154、156は、フロアパネル102の複数の領域120、122、124、126、128、130においてこれら各領域内に形成された各ビード(図1参照)に重なるように配置されている。なお第1弾性体146、148、150、152、154、156は、例えばウレタンであって、緩衝材や防振材として機能する。
フロアパネル102の各領域のうち、領域124、130は、後輪用の揺動するサスペンション(不図示)が固定される図1および図2に示すサスペンション固定部162、164の近くに位置している。このため、フロアパネル102の領域124、130は、サスペンション固定部162、164を介して振動が入力されやすく、高周波のフロア振動モードが発生しやすい。そこで以下では、特に必要な場合を除き、フロアパネル102の領域124、130およびその周辺の構造について主に説明する。
車両下部構造100では、フロアパネル102の領域124において第1弾性体150を領域124内のビード166、168、170(図1参照)の少なくとも1つに重なるように配置し、領域130において第1弾性体156を領域130内のビード132、134、136の少なくとも1つに重なるように配置している。
これらの第1弾性体150、156は、図3に示すように締結部140、142によってフロアパネル102の領域124、130とバッテリパック138の上部材171との間に挟み込まれて圧接されている。
第2弾性体158は、図2に示すようにフロアパネル102の車両前後に離間した3つの領域120、122、124にわたる範囲の周縁に配置され、これら領域120、122、124を全体として取り囲んでいる。また第2弾性体160は、フロアパネル102の車両前後に離間した3つの領域126、128、130にわたる範囲の周縁に配置され、これら領域126、128、130を全体として取り囲んでいる。
また、図2に示す第2弾性体158のうち車幅方向中央側に位置する中央側部位172は、第1弾性体146、148、150よりもフロアトンネル108側に位置していて、フロアトンネル108の側壁174に沿って車両前後方向に延びている。そして第2弾性体158の中央側部位172の車両前後方向の長さは、第1弾性体146、148、150の車両前後方向の長さよりも長く設定されている。
第2弾性体160の中央側部位176は、第1弾性体152、154、156よりもフロアトンネル108側に位置していて、フロアトンネル108の側壁178に沿って車両前後方向に延びている。そして第2弾性体160の中央側部位176の車両前後方向の長さは、第1弾性体152、154、156の車両前後方向の長さよりも長く設定されている。
さらに第2弾性体158、160の中央側部位172、176は、図3に示すように、フロアパネル102の下側のうちフロアトンネル108の側壁174、178と重なる位置に配置され、締結部140、142によりフロアパネル102の領域124、130とバッテリパック138の上部材171との間に圧接される(図4参照)。
第2弾性体158、160は、例えばエプトシーラ(シール材)であってよい。エプトシーラは、本来、遮音性を有する部材であり、しかもフロアパネル102に圧接することにより防振性を有することもできる。このため、フロアパネル102とバッテリパック138の間にエプトシーラである第2弾性体158、160を配置することで騒音を抑制でき、さらに第2弾性体158、160を圧接することでフロア振動も抑制できる。
図4は、図3(a)の車両下部構造100を車両後方の斜め下方から見た状態を示す図である。図5は、図4の車両下部構造100の締結部140、142の一部およびその周辺の構造を示す図である。
締結部140、142は、締結ブラケット180、182と、締結ボルト184、186と、カラー188、190とを有する。締結ブラケット180、182は、フロアトンネル108の上壁144および側壁174、178にそれぞれ接合されていて、さらに図4および図5(a)に示すように後側クロスメンバ114、116の車両前後方向の範囲と重なる位置にある。なお図5(a)は、締結ブラケット180、182およびその周辺を示す下面図である。締結ブラケット180、182は、図5(a)に示すように車両前後方向に長手の形状を有している。
車両下部構造100はさらに、図3および図4に示すバッテリクロスメンバ192を備える。バッテリクロスメンバ192は、車幅方向に延びていてバッテリパック138の下側で図3に示すサイドシル104、106同士を接続し、さらにバッテリパック138に接合される。
締結ボルト184、186は、図4に示すようにカラー188、190に挿通された状態で、バッテリクロスメンバ192を下方から貫通してさらにバッテリパック138の上部材171を貫通して、フロアトンネル108に接合された締結ブラケット180、182に螺合する。
一例として、締結ボルト184、186は、図5(b)に示す締結ブラケット180、182の貫通孔194、196を下方から貫通して、不図示のナットなどに螺合するとよい。なお図5(b)は、締結ブラケット180、182およびその周辺を斜め下方から見上げた状態を示す斜視図である。
これにより、締結部140、142は、バッテリパック138の上部材171に加えて剛性の高いバッテリクロスメンバ192を用いて、フロアパネル102の下側にバッテリパック138を締結することができる。また、締結部140、142は、フロアパネル102の領域124、130とバッテリパック138の上部材171との間に第1弾性体150、156および第2弾性体158、160を圧接することができる。
締結ブラケット180は、図5(b)に示すように天面198と、天面198に連続して下方に屈曲した側面200とを有する。天面198と側面200は、図示のようにフロアトンネル108の上壁144と側壁174にそれぞれ接合されている。締結ブラケット180はさらに、端面202、204を有する。この端面202、204は、車両前後に離間して下方に延びていて、天面198と側面200をつないでいる。
また締結ブラケット180は、端面202、204の下端から車両前後に延びる下面206、208を有する。下面206には、締結ボルト184が貫通する上記の貫通孔194が形成されている。なお下面208にも不図示の他の締結ボルトが貫通する貫通孔210が形成されている。
さらに締結ブラケット180は、他の端面212、214を有する。他の端面212、214は、下面206、208から上方に向かって屈曲して延びている。他の端面212は、フロアトンネル108の上壁144、側壁174にそれぞれ接合する他の天面216と側面218をつないでいる。また他の端面212は、フロアトンネル108の上壁144、側壁174にそれぞれ接合する他の天面220と側面222をつないでいる。
このように締結ブラケット180は、天面198、216、220がフロアトンネル108の上壁144にそれぞれ接合され、さらに側面200、218、222がフロアトンネル108の側壁174にそれぞれ接合されている。このため、締結ブラケット180は、フロアトンネル108の上壁144および側壁174に確実に接合される。なお締結ブラケット182も締結ブラケット180と同様の構成を有しているため、フロアトンネル108の上壁144および側壁178に確実に接合される。
以上説明したように車両下部構造100では、バッテリパック138とフロアパネル102の間に第1弾性体146、148、150、152、154、156を挟み込んで圧接し、さらに第1弾性体146、148、150、152、154、156を、フロアパネル102の区画された複数の領域120、122、124、126、128、130においてフロアパネル102のビードに重なるように配置している。これにより車両下部構造100によれば、フロアパネル102の複数の領域120、122、124、126、128、130で発生する振動を抑制して、フロア振動を抑制できる。
また、締結部140、142の締結ブラケット180、182を、フロアトンネル108の上壁144および側壁174、178に接合しさらに後側クロスメンバ114、116の車両前後方向の範囲に重なるように配置している。これにより車両下部構造100では、締結ブラケット180、182を剛性の高い箇所に接合できるため、締結ブラケット180、182に締結ボルト184、186が螺合することで、バッテリパック138とフロアパネル102との間に第1弾性体150、156を確実に圧接することができる。
また車両下部構造100では、フロアトンネル108の上壁144および側壁174、178に締結ブラケット180、182を接合したので、フロアトンネル108の側壁174、178が変形することを防止でき、これにより、側壁174、178が屈曲することに伴う振動も防止することができる。
また、フロアトンネル108の側壁174、178に沿って第2弾性体158、160の中央側部位172、176を車両前後方向に配置し、その車両前後方向の長さを、フロアパネルの複数の領域120、122、124、126、128、130に配置された第1弾性体146、148、150、152、154、156の車両前後方向の長さよりも長く設定している。このため車両下部構造100では、フロアトンネル108からフロアパネル102に騒音が侵入することを第2弾性体158、160によって防止することができる。また車両下部構造100では、フロアパネル102とバッテリパック138の間に第1弾性体146、148、150、152、154、156に加えて第2弾性体158、160を圧接したので、フロアパネル102の複数の領域120、122、124、126、128、130の上下振動を防止することができる。
さらに車両下部構造では、締結部140、142がバッテリパック138の上部材171に加えて剛性の高いバッテリクロスメンバ192を用いて、フロアパネル102の下側にバッテリパック138を締結することができるため、フロア振動を十分に抑制することができる。
図6は、図2の車両下部構造100の変形例を示す上面図である。図6(a)に示す変形例の車両下部構造100Aは、第2弾性体158、160に代えて第2弾性体224a、224b、224c、224d、224e、224fを備える点で、上記の車両下部構造100と異なる。
第2弾性体224a、224b、224c、224d、224e、224fは、図6(a)に示すように、フロアパネル102の区画された複数の領域120、122、124、126、128、130を各々取り囲むように、これらの各領域の周縁に配置されている。
このため、車両下部構造100Aでは、フロアパネル102とバッテリパック138の間に第1弾性体146、148、150、152、154、156に加えて第2弾性体224a、224b、224c、224d、224e、224fを圧接することができる。したがって車両下部構造100Aによれば、フロアパネル102の複数の領域120、122、124、126、128、130の上下振動をより防止することができ、さらに騒音もより防止することができる。
図6(b)に示す変形例の車両下部構造100Bは、第2弾性体158、160に代えて第2弾性体158A、160Aを備える点で、上記の車両下部構造100と異なる。第2弾性体158A、160Aは、第2弾性体158、160に対して中間部位226a、226b、226c、226d、226e、226f、226g、226hを追加した形状を有している。
第2弾性体158Aの中間部位226a、226bは、前側クロスメンバ110を隔てて車幅方向に延びている。中間部位226c、226dは、後側クロスメンバ114を隔てて車幅方向に延びている。これにより、第2弾性体158Aは、図6(b)に示すようにフロアパネル102の車両前後に離間した3つの領域120、122、124にわたる範囲の周縁に配置され、これら領域120、122、124を全体として取り囲み、その上で、領域120、122、124を各々取り囲むように、これらの各領域120、122、124の周縁にも配置されている。
第2弾性体160Aの中間部位226e、226fは、前側クロスメンバ112を隔てて車幅方向に延びている。中間部位226g、226hは、後側クロスメンバ116を隔てて車幅方向に延びている。これにより、第2弾性体160Aは、図6(b)に示すようにフロアパネル102の車両前後に離間した3つの領域126、128、130にわたる範囲の周縁に配置され、これら領域126、128、130を全体として取り囲み、その上で、領域126、128、130を各々取り囲むように、これらの各領域126、128、130の周縁にも配置されている。
このため、車両下部構造100Bでは、フロアパネル102とバッテリパック138の間に第1弾性体146、148、150、152、154、156に加えて中間部位226a~226hを含む第2弾性体158A、160Aを圧接することができる。したがって車両下部構造100Bによれば、フロアパネル102の複数の領域120、122、124、126、128、130の上下振動をより十分に防止することができ、さらに騒音もより十分に防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、車両下部構造に利用することができる。
100、100A、100B…車両下部構造、102…フロアパネル、104、106…サイドシル、108…フロアトンネル、110、112…前側クロスメンバ、114、116…後側クロスメンバ、118…シート取付用ブラケット、120、122、124、126、128、130…フロアパネルの領域、132、134、136、166、168、170…ビード、138…バッテリパック、140、142…締結部、144…フロアトンネルの上壁、146、148、150、152、154、156…第1弾性体、158、158A、160、160A、224a、224b、224c、224d、224e、224f…第2弾性体、162、164…サスペンション固定部、171…バッテリパックの上部材、172、176…第2弾性体の中央側部位、174、178…フロアトンネルの側壁、180、182…締結ブラケット、184、186…締結ボルト、188、190…カラー、192…バッテリクロスメンバ、194、196、210…締結ブラケットの貫通孔、198、216、220…締結ブラケットの天面、200、218、222…締結ブラケットの側面、202、204、212、214…締結ブラケットの端面、206、208…締結ブラケットの下面、226a、226b、226c、226d、226e、226f、226g、226h…第2弾性体の中間部位

Claims (6)

  1. 車両の床面を形成していて上方または下方に凸のビードが形成されたフロアパネルと、
    前記フロアパネルの車幅方向の中央で車両前後方向にわたって延び上方に隆起しているフロアトンネルと、
    前記フロアパネルの縁に沿って車両前後方向に延びるサイドシルと、
    前記フロアパネルの上側で車幅方向に延び前記サイドシルおよびフロアトンネルに接合されるクロスメンバと、
    前記フロアパネルの下側に所定の締結部によって締結されるバッテリパックと、
    前記締結部によって前記バッテリパックと前記フロアパネルとの間に圧接された第1弾性体とを備え、
    前記第1弾性体は、前記サイドシル、前記フロアトンネルおよび前記クロスメンバで区画された複数の領域において前記フロアパネルの前記ビードに重なるように配置されていることを特徴とする車両下部構造。
  2. 前記フロアトンネルは、上壁と、該上壁と前記フロアパネルとをつなぐ側壁とを有し、
    前記締結部は、
    前記フロアトンネルの上壁および側壁に接合され前記クロスメンバの車両前後方向の範囲と重なる締結ブラケットと、
    前記締結ブラケットに螺合することで前記バッテリパックを前記フロアパネルに締結する締結ボルトとを有することを特徴とする請求項1に記載の車両下部構造。
  3. 当該車両下部構造はさらに、前記フロアパネルの下側のうち前記フロアトンネルの側壁と重なる位置に配置され前記締結部により前記フロアパネルと前記バッテリパックとの間に圧接される第2弾性体を備え、
    前記第2弾性体は、前記第1弾性体よりも前記フロアトンネル側に位置していて、該フロアトンネルの前記側壁に沿って車両前後方向に延び、
    前記第2弾性体の車両前後方向の長さは、前記区画された複数の領域に配置された前記第1弾性体の車両前後方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項1または2に記載の車両下部構造。
  4. 前記第2弾性体は、前記区画された複数の領域のいくつかにわたる範囲の周縁、または各々の周縁に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両下部構造。
  5. 前記第2弾性体はさらに、遮音性を有することを特徴とする請求項3または4に記載の車両下部構造。
  6. 当該車両下部構造はさらに、
    車幅方向に延びていて前記バッテリパックの下側で前記サイドシル同士を接続し前記バッテリパックに接合されるバッテリクロスメンバを備え、
    前記締結ボルトは、前記バッテリクロスメンバを下方から貫通してさらに前記バッテリパックの上部材を貫通して、前記フロアトンネルに接合された前記締結ブラケットに螺合することを特徴とする請求項2に記載の車両下部構造。
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