JP7479820B2 - 茶葉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、茶葉の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、ペットボトル等の容器に充填される飲料用の原料として好ましい茶葉の製造方法に関する。
煎茶に代表される緑茶の一般的な品質評価には、抽出された茶の香味や水色に加え、茶葉そのものの形状や色沢の項目が含まれる。そのため、緑茶の茶葉(緑茶葉)の製造では、蒸熱、葉打、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥といった多くの工程を経て、茶温の上昇を抑えながら、茶葉を針状に整形し、茶葉の変色及び変形を防ぐよう製造される。しかしながら、ペットボトル飲料に代表される飲料用緑茶原料では、必ずしも茶葉の形状及び色沢に関する評価は必要なく、それよりもむしろ、より簡易で、且つ生産性の高い緑茶葉の製造技術が求められている。また、従来の緑茶葉の製造設備では、乾燥に要するエネルギーの使用量が多い、茶渋清掃の手間が掛かる、熟練者の技術を要する等といったコスト面やメンテナンス面での課題があった。
簡易な緑茶葉の製造方法として、紅茶の茶葉の製造方法として知られているCTC(Crush, Tear and Curl)製法を緑茶葉に応用した技術がある。例えば、非特許文献1に記載されているように、CTC製法による緑茶葉は、蒸熱後の茶葉を高温熱風で乾燥し、ローターバンで圧搾及び破砕後、CTC機でさらに細かく破砕し、ネット式乾燥機で乾燥することによって製造される。当該製造方法では、従来の製造方法に比べて低コストで緑茶葉を製造することができるが、CTC機のローラー刃のメンテナンスに専用の研磨機や研磨技術を要するため、メンテナンス面での課題があった。
CTC製法によらない簡易な緑茶葉の製造方法としては、肉用のミンチ機のようにカッターとプレートとからなる圧搾装置を用いた方法が知られている(特許文献1、2)。これらの特許文献によれば、かかる圧搾装置を用いた緑茶葉の製造方法は、従来の方法と比べ、製造工程を短縮することができ、緑茶の抽出効率が高く、香味の優れた緑茶を得ることができるとされている。しかしながら、茶葉を摘採する時間や天候によっては茶葉の含水率が大きく異なり、緑茶葉を製造する上で重要となる乾燥条件の調節を行うには、前記の圧搾装置を用いた方法ではいずれも熟練者の技術が必要とされる。
特開2019-37216号公報 特開2017-200470号公報
図解 茶生産の最新技術 製造編、静岡県茶業会議所、2016年3月
容器詰飲料の原料として、従来の緑茶葉の製造ではコスト面及びメンテナンス面における課題があった。それらを解決する方法として、CTC製法等といった簡易的な設備による緑茶葉の製造方法が知られているが、当該製造方法にはメンテナンス面での課題があり、より設備を簡略化したミンチ機を用いる製造方法では、茶葉の含水率の調整において熟練者の技術を必要とするという課題があった。そこで、本発明は、簡易に実施することができる、容器詰飲料の原料として利用可能な茶葉の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、茶葉に対して打圧処理を行い、当該処理を通じて茶葉の含水率を所定の範囲に調整してから茶葉を揉み切り、そして茶葉を乾燥することにより、従来の製法により得られた緑茶葉の抽出液と同程度の香味や水色をもたらすことのできる茶葉が得られることを見出した。これらの知見に基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
〔1〕以下の工程(A)~(C):
(A)打圧処理を行い、茶葉の含水率を40~70%に調整する工程、
(B)茶葉を揉み切る工程、及び
(C)茶葉を乾燥する工程、
を含む、茶葉の製造方法。
〔2〕工程(A)において、打圧処理と同時に茶葉を乾燥することを特徴とする、〔1〕に記載の方法。
〔3〕工程(A)において、打圧処理を行った後で茶葉を乾燥することを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕工程(A)において、打圧処理が葉打機を用いて行われることを特徴とする、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕工程(C)において、茶葉の含水率を25%以下に調整することを特徴とする、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕工程(B)において、押し出し圧力とせん断力とを加えながら茶葉を揉み切ることを特徴とする、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕工程(B)と工程(C)との間に、茶葉を解砕する工程をさらに含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕工程(C)の後の茶葉の粒子径が3.35mm以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕工程(A)において、茶葉のかさ密度を70g/L以上に調整することを特徴とする、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕茶葉が、緑茶の茶葉である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、簡易に実施することができる、容器詰飲料の原料として利用可能な茶葉の製造方法を提供することができる。本発明の方法では、従来の緑茶葉の製造方法に対して設備の種類や数を削減することができ、短時間且つ低コストで茶葉を製造することができる。本発明の方法により得られた茶葉は、従来の製法により得られた緑茶葉の抽出液と同程度の香味や水色をもたらすことができ、ペットボトルや缶などの容器に充填する茶飲料の原料として有効に利用することができる。
図1は、茶葉の抽出率を示すグラフである。グラフの縦軸は抽出率(%)を示す。
本発明の一態様は、以下の工程(A)~(C):
(A)打圧処理を行い、茶葉の含水率を40~70%に調整する工程、
(B)茶葉を揉み切る工程、及び
(C)茶葉を乾燥する工程、
を含む、茶葉の製造方法である。かかる構成を採用することにより、容器詰飲料の原料として利用することのできる茶葉の製造を簡易に行うことができるものとなる。本発明の製造方法において工程(A)~(C)は、工程(A)、工程(B)、工程(C)の順に行われるが、各工程の間あるいは前後に工程(A)~(C)以外の別の工程が行われてもよいし、或いは一つの工程が完了した後で直ちに次の工程が行われてもよい。
(茶葉)
本発明において茶葉は、緑茶の茶葉(緑茶葉)であることが好ましい。緑茶葉は、特に限定されるわけではないが、Camellia sinensis var.sinensis及びそれらの近縁種から収穫された葉であれば、いずれも使用することができる。緑茶葉の品種分類においても、特に限定は受けず、やぶきた等の任意の品種を使用することができる。また、茶期(摘採時期)においても、特に限定されず、1茶、2茶、3茶、及び秋冬番茶などの任意の時期に収穫された茶葉を使用することができる。
(工程(A))
本発明の製造方法は、打圧処理を行い、茶葉の含水率を40~70%に調整する工程(工程(A))を含む。当該工程における打圧処理により、茶葉の性状が変化する。その茶葉の変化は、外観的には茶葉のかさ密度の上昇によって表される。そして、かさ密度の上昇を伴いながら茶葉の含水量を40~70%に調整することによって、最終的に得られる茶葉の抽出効率を大きく上昇させることができる。そのため、この工程(A)の存在により、茶葉製造の工程数や処理時間を大幅に削減することが可能となる。
本明細書において打圧処理とは、茶葉に対して打圧を加える処理を意味する。茶葉への打圧処理は、葉打機、粗揉機、蒸葉処理機などの当業者に公知の装置を用いて行うことができる。本発明では、葉打機を用いて打圧処理を行うことが好ましい。葉打機の一例として、茶葉を投入する槽内に、葉ざらいとも称されるフォーク状の手(攪拌羽根)が設けられ、そのフォーク状の手を回転させることにより茶葉の攪拌とともに茶葉に打圧を加える装置が挙げられる。打圧処理の時間は、茶葉全体に打圧が加えられる程度であればよく、葉打機を用いた場合であれば、例えば1~30分間、好ましくは2~20分間、より好ましくは5~15分間とすることができる。
工程(A)では、打圧処理を行い、茶葉の含水率が40~70%に調整される。本発明において含水率は、湿量基準含水率として表される。工程(A)における茶葉の含水率は、当業者に公知の含水率測定機(例えば、赤外線水分計など)を用いて測定することができる。工程(A)における茶葉の含水率は、好ましくは40~65%、より好ましくは45~65%、45~60%、又は50~60%である。
工程(A)における茶葉の含水率は、茶葉を乾燥することにより調整することができる。工程(A)において茶葉は、打圧処理と同時に(すなわち、打圧処理を行いながら)乾燥することができる。打圧処理と同時に行う茶葉の乾燥は、例えば、当業者に公知の葉打機において、打圧処理とともに茶葉に対して熱風を与えることにより行うことができる。打圧処理と同時に乾燥する場合の茶葉に対してかけられる乾燥温度は、特に限定されないが、例えば50~120℃、好ましくは60~110℃、より好ましくは70~100℃である。
また、工程(A)において茶葉は、打圧処理を行った後で茶葉を乾燥することができる。このとき、打圧処理と同時に(すなわち、打圧処理を行いながら)茶葉を乾燥し、さらに当該打圧処理の後でさらに茶葉を乾燥させてもよいし、或いは、打圧処理の際には茶葉は乾燥させず、当該打圧処理を行った後でのみ茶葉を乾燥させてもよい。打圧処理を行った後での茶葉の乾燥は、例えばネット乾燥機などのような当業者に公知の乾燥機を用いて行うことができる。ネット乾燥機は、例えば回転物又は固定物によって投入物の厚さを調整する、投入部に首振りコンベアを設ける、乾燥室内に撹拌機を設ける等、茶葉を均一に乾燥させるための機構を含んでいてもよい。打圧処理を行った後で乾燥する場合の茶葉に対してかけられる乾燥温度は、特に限定されないが、例えば70~150℃、好ましくは70~140℃、より好ましくは70~130℃である。また、打圧処理を行った後の乾燥時間は、特に限定されないが、例えば1~30分間、好ましくは1~20分間、より好ましくは1~10分間である。
上述した通り、工程(A)では、茶葉の打圧処理により茶葉のかさ密度を上昇させることができる。工程(A)において、茶葉のかさ密度は70g/L以上に調整することができる。なお、工程(A)でのかさ密度は、茶葉の含水量が40~70%に調整された時点でのかさ密度を意味する。茶葉のかさ密度は、1L容量のメスシリンダーを用いて茶葉を1L測り取り、その茶葉の重量を茶葉の体積(1L)で除することにより算出することができる。工程(A)における茶葉のかさ密度は、好ましくは85g/L以上、より好ましくは100g/L以上である。また、かさ密度の上限値としては特に限定されるわけではないが、例えば、工程(A)における茶葉のかさ密度は、例えば150g/L以下、好ましくは140g/L以下、より好ましくは130g/L以下である。特に限定されないが、典型的に、工程(A)における茶葉のかさ密度は、例えば70~150g/L、好ましくは85~140g/L、より好ましくは100~130g/Lである。
(工程(B))
本発明の製造方法は、茶葉を揉み切る工程(工程(B))を含む。工程(B)において茶葉を揉み切ることにより、圧力を加えて茶葉内の水分を均一にすることができ、それによってその後の茶葉の乾燥効率を高めることができる。また、当該工程における茶葉の揉み切りによって茶葉の組織や細胞が破壊され、茶葉抽出時の成分溶出効果を高めることもできる。本明細書において茶葉を揉み切るとは、茶葉の揉み込みと切断とを行うことを意味する。工程(B)において、茶葉は40℃以下に冷却してから、或いは冷却しながら揉み切りを行ってもよいし、冷却をせずに茶葉の揉み切りを行ってもよい。
工程(B)においては、茶葉が投入された槽の内部から外部への押し出し圧力とせん断力とを加えながら茶葉を揉み切ることができる。ここでの押し出し圧力とは、茶葉が投入された槽の内部から外部へ茶葉を押し出すときに茶葉に対して負荷される圧力を意味する。当該押し出し圧力とせん断力とを加えながら茶葉を揉み切ることによって、茶葉の茎部分や葉脈部分などの比較的固い部分にも十分に圧力を加えることができ、茶葉の乾燥効率や抽出効率をさらに高めることができる。また、そのような押し出し圧力とせん断力とを加えることによって茶葉を効率よく揉み切ることが可能となり、揉み切り処理時間の短縮化にも寄与する。このような茶葉の揉み切りは、例えば、肉挽き用のミンチ機や紅茶製造に利用するローターバンなどの当業者に公知の装置を用いて行うことができる。工程(B)においてはまた、茶葉に3軸方向のせん断力を加えながら茶葉を揉み切ることもできる。
(工程(C))
本発明の製造方法は、茶葉を乾燥する工程(工程(C))を含む。茶葉の揉み切りを行った後で、工程(C)において茶葉を乾燥することにより、茶葉の最終の仕上げの状態またはそれに近い状態にすることができる。工程(C)における茶葉の乾燥は、例えば70~150℃、好ましくは70~140℃、より好ましくは70~130℃の温度を茶葉にかけることにより行うことができる。そのような茶葉の乾燥は、例えばネット乾燥機などの当業者に公知の装置を用いて行うことができる。
工程(C)において茶葉を乾燥することにより、茶葉の含水率が低下する。工程(C)における茶葉の含水率も、上述した工程(A)での含水率と同様に湿量基準含水率として表され、上記の方法で測定することができる。工程(C)における茶葉の含水率は、例えば25%以下、好ましくは5~25%、より好ましくは10~20%、さらに好ましくは10~15%となるように調整される。
本発明において、工程(C)の後の茶葉の粒子径は、特に限定されないが、例えば3.35mm以下であり、好ましくは1.7mmより大きく3.35mm以下であり、より好ましくは1.7mmより大きく2.36mm以下である。本発明において、工程(C)の後の茶葉の粒子径は、次の通り求めることができる。目開き4.75mm、3.35mm、2.36mm、及び1.7mmのふるいを組み合わせて茶葉のふるい分けを行い、各ふるいの上下での茶葉の重量分布を調べる。そして、当該重量分布において、1.7mm以下からの累積度数が茶葉全重量の50%となるところ(目開きの範囲)を茶葉の粒子径とすることができる。例えば、全量50gの茶葉において、目開き4.75mmのふるいの上の茶葉の重量が3g、目開き3.35mmのふるいの上の茶葉の重量が7g、目開き2.36mmのふるいの上の茶葉の重量が11g、目開き1.7mmのふるいの上の茶葉の重量が10g、目開き1.7mmのふるいの下の茶葉の重量が18gである場合、茶葉の粒子径は1.7mmより大きく2.36mm以下である(1.7mm以下:36%(18g/50g)、1.7mmより大きく2.36mm以下:36%~56%((18g+10g)/50g)。
(茶葉の解砕工程)
本発明の製造方法は、工程(B)と工程(C)との間に、茶葉を解砕する工程(以下、解砕工程と称する)をさらに含むことができる。工程(B)の後で茶葉の解砕工程を設けることにより、例えば工程(B)での揉み切りにより茶葉の塊が生じた場合に、当該塊をほぐすことができる。茶葉の塊は、そのままでは塊内部の水分が蒸発しづらく、その後の工程(C)での乾燥効率が低下するため、そのような場合には茶葉の塊をほぐすことが好ましい。当該工程における茶葉の解砕は、当業者に公知の解砕装置、切断装置、粉砕装置を用いて行うことができる。1回の解砕処理で茶葉の塊がほぐしきれない場合は、複数回にわたって解砕工程を繰り返してもよい。
(その他の工程)
本発明の製造方法は、茶葉を殺青処理する工程(以下、殺青工程と称する)を含んでもよい。殺青処理とは、茶葉内に存在する酵素を不活化する処理を意味し、蒸熱処理、釜炒処理、熱風処理などの当業者に公知の方法を用いて行うことができる。当該工程は、工程(A)の前に行うことが好ましい。殺青処理に供する茶葉は収穫直後のみならず、収穫後、生葉管理機、冷蔵庫、冷凍庫などで保管された茶葉も利用することができる。また、殺青処理の効率やその後の茶葉の乾燥処理の効率を上げるために、殺青工程の前及び/又は後に、カッターなどによる茶葉の切断処理、或いは粉砕機などによる茶葉の粉砕処理を行ってもよい。
本発明の製造方法は、殺青工程の前に、茶葉の性状に影響を与えない範囲で洗浄工程や脱水工程等、茶葉の状態を整えるための処理を行ってもよい。
本発明の製造方法は、上記の殺青工程に次いで、茶葉を冷却する工程(以下、冷却工程と称する)を含んでいてもよい。当該工程は、工程(A)の前に行うことが好ましい。当該工程において茶葉を冷却しておくことで、茶葉の品質の劣化を抑制することができる。冷却工程は、当業者に公知の冷却装置を用いて行うことができる。
本発明の製造方法は、工程(C)の後で、さらに茶葉を乾燥する工程(以下、最終乾燥工程と称する)を含んでいてもよい。当該工程において茶葉をさらに乾燥することにより、製造後の茶葉の保存性を高めることができる。当該工程における茶葉の乾燥は、特に限定されないが、例えば自然乾燥により行うことができ、棚式乾燥機などのような当業者に公知の乾燥機を用いて行うことができる。また、当該工程において、茶葉の含水率は、湿量基準含水率として5%未満となるように調整することができる。なお、当該工程における茶葉の含水率は、上述した方法を用いて測定することができる。
本発明の製造方法は、工程(C)の後で、ふるい分け工程、切断工程、選別工程、異物除去工程、火入れ工程等、茶葉の状態を整える処理を行ってもよい。
以上の記載から、本発明の製造方法は、一つの好ましい態様として、
茶葉を殺青処理する工程(殺青工程)、
茶葉を冷却する工程(冷却工程)、
打圧処理を行い、茶葉の含水率を40~70%に調整する工程(工程(A))、
茶葉を揉み切る工程(工程(B))、
茶葉を解砕する工程(解砕工程)、
茶葉を乾燥する工程(工程(C))、及び
さらに茶葉を乾燥する工程(最終乾燥工程)
を含む、茶葉の製造方法である。
本発明の製造方法により得られた茶葉は、容器詰飲料の原料として用いることができる。すなわち、本発明は、容器詰飲料の原料茶葉の製造方法とすることもできる。かかる容器の種類は特に制限されず、例えば、ペットボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス容器、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、アルミパウチなど、通常、飲料に用いられる容器であればいずれも用いることができる。また、飲料の種類も特に制限されず、好ましくは茶飲料、より好ましくは緑茶飲料である。
また、本発明の製造方法により得られた茶葉は、好ましい抽出率を得られるため、ティーバッグやインスタント茶等の加工茶製品の原料、粉末茶の原料として用いることができる。
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
鹿児島県内で収穫されたやぶきた3番茶の生茶葉を材料として用いて、蒸熱機(宮村鐵工所)によって生茶葉中の酵素を失活し、次いで、冷却機(宮村鐵工所)によって蒸熱後の茶葉を冷却した。冷却した茶葉は、葉打機(寺田製作所)を用いて80℃の熱風をかけながら打圧処理と乾燥処理とを11分間行い、茶葉の含水率が40~70%になるように調整した。その後、揉み切り工程として、茶葉をローターバン(寺田製作所)によって揉み切り、そして、チョップカッター(増幸産業)によって茶葉塊を解砕した。解砕した茶葉を、ネット乾燥機(大川原製作所)を用いて125℃の熱風で2分30秒、95℃の熱風で2分30秒、連続的に乾燥処理し、茶葉の含水率が15%以下となるように調整した。ネット乾燥機により乾燥した茶葉は、棚式乾燥機(寺田製作所)によって茶葉の含水率が5%以下になるよう乾燥した。
(実施例2)
実施例1で用いた生茶葉と同じものを、実施例1と同様にして酵素失活させ、冷却した。冷却した茶葉を、実施例1と同じ葉打機によって80℃の熱風をかけながら打圧処理と乾燥処理とを6分間行い、茶葉の含水率が60%~70%になるように調整した。次いで、茶葉を、実施例1と同じネット乾燥機によって125℃の熱風で2分30秒、95℃の熱風で2分30秒、連続的に乾燥処理し、茶葉の含水率が15%以下となるように調整した。その後、乾燥した茶葉は、実施例1と同様にして、ローターバンによる揉み切り、チョップカッターによる解砕、ネット乾燥機による乾燥、そして棚式乾燥機による乾燥を行った。
(比較例1)
実施例1で用いた生茶葉と同じものを、実施例1と同様にして酵素失活させ、冷却した。冷却した茶葉は、打圧処理を行わずに、実施例1と同じネット乾燥機によって125℃の熱風で2分30秒、95℃の熱風で2分30秒、連続的に乾燥処理し、茶葉の含水率が40~70%となるように調整した。その後、乾燥した茶葉は、実施例1と同様にして、ローターバンによる揉み切り、チョップカッターによる解砕、ネット乾燥機による乾燥、そして棚式乾燥機による乾燥を行った。
(比較例2)
実施例1で用いた生茶葉と同じものを、実施例1と同様にして酵素失活させ、冷却した。冷却した茶葉は、打圧処理や揉み切り処理を行わずに、実施例1と同じネット乾燥機を用いて125℃の熱風で2分30秒、95℃の熱風で2分30秒、連続的に乾燥処理し、茶葉の含水率が15%以下となるように調整した。ネット乾燥機により乾燥した茶葉は、実施例1と同様にして、棚式乾燥機によって茶葉の含水率が5%以下になるよう乾燥した。
(参考例)
実施例1で用いた生茶葉と同じものを、実施例1と同様にして酵素失活させ、冷却した。冷却した茶葉は、葉打機、粗揉機、揉捻機、中揉機、精揉機、そして棚式乾燥機(いずれも寺田製作所)を経て、従来の製造方法を用いて、最終的な茶葉の含水率が5%以下となる荒茶を製造した。
(官能評価)
茶碗に茶葉2gを投入し、沸騰させた脱イオン水200mlを注ぎ、5分間の抽出処理を行った後、茶殻を分離除去し、茶抽出液を得た。参考例を基準として、3名の専門パネルにより茶抽出液の香味及び水色について3段階の官能評価を行った。なお、3段階の官能評価は以下の通りとした。
○:荒茶として十分な品質を有している。
△:荒茶として十分な品質を有していない。
×:荒茶として許容できない。
(抽出率の測定)
前記官能評価と同様の方法で茶抽出液を作製し、その重量及びBrix値を測定して、茶抽出液中の可溶性固形分量を算出した([可溶性固形分量]=[茶抽出液の重量]×[茶抽出液のBrix値]/100)。そして、茶抽出液中の可溶性固形分量と、抽出に用いた茶葉重量とから抽出率を算出し([茶抽出液中の可溶性固形分量]/[茶葉重量])、3回の抽出における抽出率の平均を各例の抽出率とした。茶抽出液のBrix値は、デジタル屈折計(アタゴ、RX-5000α)を用いて測定した。
(含水率の測定)
茶葉の含水率は、赤外線水分計(ケット科学研究所、FD-660)を用いて測定した。
(粒子径の測定)
電磁式ふるい振とう機(レッチェ、AS-200)及びJIS試験用ふるい(飯田製作所)を用いて1分間ふるい振とうを行い、目開き4.75mm、3.35mm、2.36mm、1.7mmのふるいのふるい上及びふるい下の茶葉重量を測定し、各ふるいの上下での茶葉の重量分布を調べた。当該重量分布において、1.7mm以下からの累積度数が茶葉全重量の50%となるところ(目開きの範囲)を茶葉の粒子径とした。
(かさ密度の測定)
茶葉のかさ密度は、1L容量のメスシリンダーを用いて茶葉を1L測り取り、その茶葉の重量をかさ密度(g/L)とした。
茶葉の粒子径について、重量分布の結果(数値は、累積で表す)を下表に示す。
Figure 0007479820000001
上記の結果より、実施例1、実施例2及び比較例1の茶葉の粒子径は1.7mmより大きく2.36mm以下であることがわかり、比較例2の茶葉の粒子径は4.75mmより大きく、参考例の茶葉の粒子径は2.36mmより大きく3.35mm以下であることがわかった。抽出率、含水率、粒子径、及びかさ密度の結果を下表に示す。
Figure 0007479820000002
官能評価の結果、抽出率の判定結果、及び総合評価を下表に示す。なお、抽出率の判定基準は、30%以上を〇、20%以上30%未満を△、20%未満を×とした。また、総合評価の基準は、以下の通りとした。
官能評価及び抽出率の判定結果が全て〇の場合:〇
官能評価及び抽出率の判定結果において△が存在し、×が存在しない場合:△
官能評価及び抽出率の判定結果において×が存在する場合:×
Figure 0007479820000003
実施例1及び2で製造した荒茶は、好ましい香味と水色を有する上に、比較例1及び2、並びに参考例よりも好ましい抽出率を有しており、荒茶として十分な品質であることがわかる。一方で、比較例1は一部香味の官能評価で好ましくないとする評価があった上に、抽出率が参考例の荒茶と変わらず、実施例1及び2ほど良い品質の荒茶であるとは言えない。

Claims (13)

  1. 以下の工程(A)~(C):
    (A)葉打機を用いて打圧処理を行い、茶葉の含水率を40~70%に調整する工程、
    (B)茶葉を揉み切る工程、及び
    (C)茶葉を乾燥する工程、
    を含む、茶葉の製造方法。
  2. 工程(A)において、打圧処理と同時に茶葉を乾燥することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(A)において、打圧処理を行った後で茶葉を乾燥することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(C)において、茶葉の含水率を25%以下に調整することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(B)において、押し出し圧力とせん断力とを加えながら茶葉を揉み切ることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(B)と工程(C)との間に、茶葉を解砕する工程をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(C)の後の茶葉の粒子径が3.35mm以下であり、ここで、該粒子径は、目開き4.75mm、3.35mm、2.36mm、及び1.7mmのふるいを組み合わせて茶葉のふるい分けを行い、各ふるいの上下での茶葉の重量分布を調べ、そして、該重量分布において、1.7mm以下からの累積度数が茶葉全重量の50%となる目開きの範囲として特定される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(A)において、茶葉のかさ密度を70g/L以上に調整することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  9. 茶葉が、緑茶の茶葉である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程(B)において、冷却をせずに茶葉の揉み切りを行うことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程(A)の前に、茶葉を殺青処理する工程、および、該工程に次いで茶葉を冷却する工程を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 工程(C)の後で、さらに茶葉を自然乾燥する工程を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程(A)の前における茶葉の含水率が70.5%以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
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