JP7478914B1 - 組成物 - Google Patents

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Abstract

良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈する経口組成物を提供する。耐熱物質と、準耐熱物質と、非耐熱物質とを含み、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、式:y≧-2.03x + 23.623(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)で表され、タッピング見掛け密度が0.3g/cm3~5g/cm3である、経口組成物とする。

Description

本開示は、組成物に関する。
様々な形態で医薬用や食品用として使用されている組成物は対象に経口で投与されたり摂取されたりする。そのような組成物には、対象の口腔内や嚥下中の組成物の良好な通過、すなわち飲みやすさが求められる。このような特性は、例えば、組成物が良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を有することにより可能である。同様の特性は、化粧品用や滑沢剤用としても好適であり得る。
従来、例えば組成物に含まれる繊維物質の繊維長、繊維幅等を調整することで、組成物を含む錠剤の硬度、口腔内錠剤崩壊性を調整することが試みられている。しかしながら、組成物に含まれる繊維長や繊維幅を正確に制御するための製造条件を設定することは困難であった。
国際公開第2013/180249号パンフレット
本開示は、良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈する組成物を提供することを課題とする。
本開示は以下の態様を包含する。
[1] 耐熱物質と、準耐熱物質と、非耐熱物質とを含み、
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、
25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
式:y ≧-2.03x + 23.623
(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)
で表され、
タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmである、組成物。
本開示によれば、良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈する組成物を提供することができる。
y軸を、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率、x軸を、25℃から600℃に昇温した場合の起電力として、実施例及び比較例の組成物の分析結果をプロットしたグラフである。斜線は、水中崩壊性及び良好な舌触りの効果を得られる組成物と得られない組成物とを区別する境界として規定され、式:y=-2.03x + 23.623で表される。直線A(実線)はy=11(%)、直線B(点線)はx=-4(μV)を示す。
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している場合がある。本開示において数値範囲についての「X~Y」との表現は、「X以上Y以下」であることを意味している。一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している場合がある。
特記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用される特徴、項目、量、パラメータ、特性、期間等を表す全ての数字は、全ての場合、「約」という用語により修飾されると理解される。本明細書に使用される場合、「約」という用語は、そのように特定した特徴、項目、量、パラメータ、特性、または期間が、記載した特徴、項目、量、パラメータ、特性、または期間の値のプラスマイナス10パーセントの上下の範囲を包含することを意味する。少なくとも特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しないように、各々の数値的指標は少なくとも、報告される有効数字の数を考慮して、且つ通常の四捨五入を適用することにより解釈されるべきである。任意の数値範囲または値は、本質的に、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる誤差の範囲を含む。特記しない限り、本明細書において、数値範囲の各々の個々の値は、それが本明細書に個々に列挙されているのと同様にして本明細書内に組み込まれる。
==第1実施形態(組成物)==
第1実施形態に係る組成物(1-1)は、
25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が50%以上98%以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、好ましくは60%~98%であり、より好ましくは70%~98%であり、さらに好ましくは90%~98%である。重量残存率が90%~98%である場合、95%であっても、96%であっても、97%であっても、98%であってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
「耐熱物質」とは、これを含む組成物を常温(25℃)から昇温した場合に、400℃以上で残存する物質である。
「非耐熱物質」とは、これを含む組成物を常温(25℃)から昇温した場合に、300℃未満で消失する物質である。
「準耐熱物質」とは、これを含む組成物を常温(25℃)から昇温した場合に、300℃から400℃の間に消失する物質である。
第1実施形態に係る組成物(1-2)は、
25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が50%以上96%以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、より好ましくは60%~95%であり、さらに好ましくは70%~95%であり、さらに好ましくは80%~95%である。重量残存率が80%~95%である場合、80%であっても、86%であっても、92%であっても、93%であっても、95%であってもよい。一実施形態において、25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
第1実施形態に係る組成物(1-3)は、
25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が50%以上90%以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、好ましくは55%~90%であり、より好ましくは60%~88%であり、さらに好ましくは60%~85%であり、さらに好ましくは63%~80%であり、さらに好ましくは65%~78%である。重量残存率が65%~78%である場合、65%であっても、66%であっても、69%であっても、72%であっても、73%であっても、74%であっても、78%であってもよい。一実施形態において、25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(1-4)は、
25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が15%以上80%以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、好ましくは15%~70%であり、より好ましくは16%~68%であり、さらに好ましくは20%~60%である。25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が20%~60%である場合、20%であっても、28%であっても、29%であっても、30%であっても、32%であっても、37%であっても、60%であってもよい。一実施形態において、25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(1-5)は、
25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が12%以上70%以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、好ましくは12%~60%であり、より好ましくは15%~55%であり、さらに好ましくは20%~50%である。25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が20%~50%である場合、20%であっても、22%であっても、24%であっても、31%であっても、41%であってもよい。一実施形態において、25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(1-6)は、
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、好ましくは11%~60%であり、より好ましくは12%~50%であり、さらに好ましくは13%~40%であり、さらに好ましくは18%~30%であり、さらに好ましくは20%~29%である。25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が20%~29%である場合、20%であっても、21%であっても、22%であっても、29%であってもよい。一実施形態において、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
第1実施形態に係る組成物(2-1)は、
25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W200)の百分率による数値((W200/W100)×100(%))が80~98であり、好ましくは85~98であり、より好ましくは88~97である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W200)の百分率による数値((W200/W100)×100(%))が、88~97である場合、88であっても、95であっても、96であっても、97であってもよい。一実施形態において、該W200/W100の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
第1実施形態に係る組成物(2-2)は、
25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W300)の百分率による数値((W300/W100)×100(%))が60~93であり、好ましくは65~93であり、より好ましくは67~93である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W300)の百分率による数値((W300/W100)×100(%))が、67~93である場合、67であっても、72であっても、76であっても、78であっても、80であっても、93であってもよい。一実施形態において、該W300/W100の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
第1実施形態に係る組成物(2-3)は、
25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W400)の百分率による数値((W400/W100)×100(%))が15~80である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W400)の百分率による数値((W400/W100)×100(%))が、15~80である場合、15であっても、17であっても、29であっても、31であっても、34であっても、38であっても、69であって、80であってもよい。一実施形態において、該W400/W100の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
第1実施形態に係る組成物(2-4)は、
25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W500)の百分率による数値((W500/W100)×100(%))が13~60である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W500)の百分率による数値((W500/W100)×100(%))が、13~60である場合、13であっても、16であっても、23であっても、25であっても、32であっても、33であっても、43であっても、60であってもよい。一実施形態において、該W500/W100の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
第1実施形態に係る組成物(2-5)は、
25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)の百分率による数値((W600/W100)×100(%))が11~45であり、好ましくは15~30であり、より好ましくは17~30である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)の百分率による数値((W600/W100)×100(%))が17~30である場合、17であっても、21であっても、22であっても、23であっても、30であってもよい。一実施形態において、該W600/W100の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(3-1)は、
25℃から100℃に昇温した場合の起電力が-10μV以上0μV以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力は、-8μV~-1μVであることが好ましく、-6μV~-3μVであることがより好ましい。25℃から100℃に昇温した場合の起電力が-6μV~-3μVである場合、-6μVであっても、-5μVであっても、-4μVであっても、-3μVであってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(3-2)は、
25℃から200℃に昇温した場合の起電力が-10μV以上0μV以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から200℃に昇温した場合の起電力は、-8μV~-1μVであることが好ましく、-6μV~-2μVであることが好ましい。25℃から200℃に昇温した場合の起電力が-6μV~-2μVである場合、-6μVであっても、-5μVであっても、-4μVであっても、-3μVであっても、-2μVであってもよい。一実施形態において、25℃から200℃に昇温した場合の起電力は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(3-3)は、
25℃から300℃に昇温した場合の起電力が-9μV以上10μV以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から300℃に昇温した場合の起電力は、-8μV~8μVであることが好ましく、-7μV~5μVであることがより好ましい。25℃から300℃に昇温した場合の起電力が-7μV~5μVである場合、-7μVであっても、-5μVであっても、-3μVであっても、-2μVであっても、0μVであっても、1μVであっても、3μVであっても、5μVであってもよい。一実施形態において、25℃から300℃に昇温した場合の起電力は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(3-4)は、
25℃から400℃に昇温した場合の起電力が-8μV以上15μV以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から400℃に昇温した場合の起電力は、-5μV~15μVであることが好ましく、-3μV~10μVであることがより好ましい。25℃から400℃に昇温した場合の起電力が-3μV~10μVである場合、-3μVであっても、-2μVであっても、-1μVであっても、0μVであっても、1μVであっても、8μVであっても、10μVであってもよい。一実施形態において、25℃から400℃に昇温した場合の起電力は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(3-5)は、
25℃から500℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上20μV以下であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から500℃に昇温した場合の起電力は、-4μV~18μVであることが好ましく、-2μV~14μVであることが好ましい。25℃から500℃に昇温した場合の起電力が-2μV~14μVである場合、-2μVであっても、-1μVであっても、0μVであっても、1μVであっても、5μVであっても、14μVであってもよい。一実施形態において、25℃から500℃に昇温した場合の起電力は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(3-6)は、
25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から600℃に昇温した場合の起電力は、-4μV~20μVであることが好ましく、-4μV~18μVであることがより好ましく、-3μV~17μVであることがさらに好ましく、1μV~17μVであることがさらに好ましい。25℃から600℃に昇温した場合の起電力が1μV~17μVである場合、1μVであっても、2μVであっても、5μVであっても、17μVであってもよい。一実施形態において、25℃から600℃に昇温した場合の起電力は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(4-1)は、
25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から200℃に昇温した場合の起電力(X200)の百分率による数値((X200/X100)×100(%))が30~170であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から200℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、35~170であることが好ましい。当該比が35~170である場合、35であっても、76であっても、87であっても、94であっても、121であっても、166であっても、170であってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から200℃に昇温した場合の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(4-2)は、
25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から300℃に昇温した場合の起電力(X300)の百分率による数値((X300/X100)×100(%))が-50~200であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から300℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、-50~180であることが好ましい。当該比が-50~180である場合、-50であっても、-18であっても、-0.4であっても、49であっても、51であっても、120であっても、172であっても、180であってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から300℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(4-3)は、
25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から400℃に昇温した場合の起電力(X400)の百分率による数値((X400/X100)×100(%))が-150~100であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から400℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、-130~70であることが好ましい。当該比が-130~70である場合、-130であっても、-15であっても、-0.4であっても、2であっても、27であっても、36であっても61であっても、70であってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から400℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(4-4)は、
25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から500℃に昇温した場合の起電力(X500)の百分率による数値((X500/X100)×100(%))が-250~50であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から500℃に昇温した場合の百分率による数値は、-240~40であることが好ましい。当該比が-240~40である場合、-240であっても、-238であっても、-108であっても、-15であっても、4であっても、19であっても、40であってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から500℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(4-5)は、
25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合の起電力(X600)の百分率による数値((X600/X100)×100(%))が-300~100であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む、組成物である。
当該組成物において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から600℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、-300~70であることが好ましい。当該比が-300~70である場合、-300であっても、-284であっても、-205であっても、-108であっても、-103であっても、-58であっても、-28であっても、-19であっても、20であっても、62であっても、70であってもよい。一実施形態において、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から600℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
本実施形態に係る組成物(5)は、
タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmである、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む組成物である。
当該組成物において、タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmである場合、0.3g/cmであっても、0.35g/cmであっても、0.4g/cmであっても、0.45g/cmであっても、0.48g/cmであっても、0.5g/cmであっても、0.8g/cmであっても、2g/cmであっても、4.2g/cmであっても、4.6g/cmであっても、4.8g/cmであっても、5g/cmであってもよい。一実施形態において、タッピング見掛け密度は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
組成物(5)の特徴としては、組成物を組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。この組成物(5)において、さらに良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易くするために検討された結果、常温から特定の温度に昇温した場合の重量残存率、及び起電力を特定の範囲とし、さらに当該重量残存率と起電力との関係を特定のものにした場合に、上記課題を達成することが見いだされた。
組成物(5)の特徴を有する組成物は、組成物を組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。この組成物(5)において、常温(25℃)から特定の温度に昇温した場合の重量残存率(組成物(1-1)~(1-6)の特徴のいずれか)とし、起電力を特定の範囲(組成物(3-1)~(3-6)の特徴のいずれか)とし、組成物(2-1)~(2-5)の特徴のいずれかを有するものとし、且つ/または組成物(4-1)~(4-5)の特徴のいずれかを有するものにした場合に、良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易く、且つ組成物を組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。
タッピング見掛け密度は後述の方法により測定される値である。
本実施形態に係る組成物(6)は、
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
式:y≧-2.03x + 23.623(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)で表される、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む組成物である。
ここで、組成物(6)において、xが-4μV以上、及びyが11%以上の少なくともいずれか1の特徴を備えることが好ましく、この両方の特徴を備えることがより好ましい。
xは-4μV~20μVであることがより好ましく、-4μV~18μVであることがさらに好ましく、-3μV~17μVであることがさらに好ましく、1μV~17μVであることがさらに好ましい。
yは11%~60%であることがより好ましく、12%~50%であることがさらに好ましく、13%~40%であることがさらに好ましく、18%~30%であることがさらに好ましく、20%~29%であることがさらに好ましい。
xが1μV~17μVである場合、1μV~6μVであってもよい。
yが20%~29%である場合、20%~25%であってもよく、20%~23%であってもよい。
組成物(6)が、xが-4μV以上、及びyが11%以上の両方の特徴を備える場合、xとyの値の組み合わせは上記いずれの範囲であってもよく、例えば、xが-3μV~17μVであり、yが20%~29%であっても、xが1μV~17μVであり、yが20%~25%または20%~23%であってもよい。
「式:y≧-2.03x + 23.623」について説明すると、図1に示すように、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上(直線Aよりも上側)であり、且つ25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上(直線Bよりも右側)に位置する実施例1~5、7~9(T1~T3、T6~T7、T9~T11)は、水中崩壊性が1.2(分/N)以下であり、すなわち良好な水中崩壊性を呈する。さらに、これらの組成物は、湿潤粉体の摩擦力が45(gf)以下であり、且つ舌触り官能試験の評価が3または4であり、良好な舌触りを有する。
しかしながら、直線Aよりも上側且つ直線Bよりも右側の範囲には、上記のような良好な水中崩壊性及び良好な舌触りの効果の低い、比較例3~6(T12~T15)が含まれる。そのため、実際の組成物の製造時に上記所望の効果の得られるものと得られないものとの判別が困難な場合がある。そこで、その判別を容易にするために、効果が得られるものと得られないものとを区別する境界線として、T2(実施例2)とT7(実施例5)を基準に「式:y=-2.03x + 23.623」を規定するとともに、この境界線よりも上の領域を示すものとして、「式:y≧-2.03x + 23.623」と規定した。この式を基準にして、効果の得られないものまたは低いものを有効に排除することができる。直線A、直線B、及び「式:y≧-2.03x + 23.623」の直線で取り囲まれた範囲外が除外されるため、良好な水中崩壊性と良好な舌触りを有する組成物を容易に判別することができる。「式:y≧-2.03x + 23.623」は直線であるため、判別が容易であり、組成物の効果の有無の判別がより容易となる。
組成物(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-5)、(3-1)~(3-6)、(4-1)~(4-5)、(5)、及び(6)は、それぞれ、錠剤の形態とした場合に良好な水中崩壊性を呈し、且つ/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈する。良好な水中崩壊性を呈するので、対象に経口投与された場合に、良好な口腔内崩壊性の効果を発揮し易くなる。また、これらの組成物は、良好な湿潤粉体の摩擦力を呈するので、対象に経口投与された場合に、粉末組成物のペーストの良好な舌触りの効果を発揮し易くなる。よって、組成物(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-5)、(3-1)~(3-6)、(4-1)~(4-5)、(5)、及び(6)は、良好な水中崩壊性を呈すること、且つ/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈することにより、経口投与された場合に、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい組成物となり易い。特に、組成物が組成物(5)の特徴を備えることで、さらに、組成物を組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。
一実施形態において、組成物は、経口組成物であることが好ましい。経口用に用いられることによって、上記のとおり、良好な水中崩壊性に基づく良好な口腔内崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力に基づく良好な舌触りの実現の効果が得られ易くなる。
一実施形態において、組成物は、第2実施形態でも説明されるとおり、錠剤の形態の食品、または医薬に含まれることが好ましい。錠剤の形態であることで、良好な水中崩壊性に基づく良好な口腔内崩壊性の効果を発揮し易くなり、且つ/または良好な湿潤粉体の摩擦力に基づく崩壊ペーストの良好な舌触りの効果を発揮し易くなる。
また、組成物が良好な水中崩壊性及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈することは、化粧品組成物としても好適な特性である。従って、第3実施形態に記載のとおり、一実施形態において、組成物は化粧品組成物であってよい。
本実施形態に係る組成物は、上記のとおり、良好な水中崩壊性に基づく良好な口腔内崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を有する。従って、第3実施形態に記載のとおり、一実施形態において、組成物は、錠剤における滑沢剤用組成物であってよい。
組成物(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-5)、(3-1)~(3-6)、(4-1)~(4-5)、(5)、及び(6)は、これらの2種以上の組成物の各々の特徴を組み合わせた組成物としてもよい。
例えば、組成物(1-6)、(3-6)、(5)、及び(6)の特徴を備え、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmであり、式:y≧-2.03x + 23.623(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)で表される、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質組成物であってもよい。
該組成物は、組成物(1-6)、(3-6)、(6)の特徴を備えることで、良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易くなり、組成物(5)の特徴を備えることで、組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。
別の例として、組成物(1-2)、(1-3)、(2-5)の特徴を備え、25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が50%以上96%以下であり、25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が50%以上90%以下であり、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)の百分率による数値((W600/W100)×100(%))が11~45である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む組成物であってもよい。
例えば、組成物(1-4)及び組成物(1-5)の特徴を備え、25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が15%以上80%以下であり、且つ、25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が12%以上70%以下である、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む組成物であってもよい。
さらに別の例として、組成物(3-6)及び組成物(4-5)の特徴を備え、25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上20μV以下であり、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から600℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値((W600/W100)×100(%))が-300~100であり、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む組成物であってもよい。
同様に、組成物(1-1)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(1-2)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(1-3)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(1-4)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(1-5)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(1-6)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(2-1)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(2-2)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(2-3)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(2-4)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(2-5)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(3-1)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(3-2)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(3-3)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(3-4)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(3-5)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(3-6)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(4-1)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(4-2)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(4-3)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(4-4)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(4-5)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(5)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物、組成物(6)とそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物であってもよい。これらのうちの任意に2つ、3つ、または4つ以上を組み合わせた特徴を備える組成物にすることもできる。
本実施形態に係る組成物は、耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む。好ましくは、組成物は、耐熱物質、準耐熱物質、非耐熱物質のうち2種以上を含み、より好ましくは、組成物は、耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質を含む。耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質の非限定的な例は以下のとおりである。
耐熱物質の非限定的な例として、無機物が挙げられる。無機物は、食品組成物または医薬組成物に許容される範囲で限定されず、非限定的な例として、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、水酸化マグネシウム、乾燥炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、Fe-Mg系ハイドロタルサイト様化合物、Al-Mg系ハイドロタルサイト様化合物が挙げられる。耐熱物質は1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
組成物に植物由来のセルロース等の天然由来の成分が含まれる場合、耐熱物質の例には、当該天然由来の成分に含まれる無機物等も含まれ得る。無機物の含有量を調整するために、無機物の含有量が調整されたセルロース等の天然由来の成分を用いることもできる。
準耐熱物質の非限定的な例として、高結晶系物質が挙げられる。高結晶系物質は高分子炭水化物を包含する。高分子炭水化物は多糖(オリゴ糖を包含する)であり、非限定的な例として、D-グルコースが重合してなるデンプン、グリコーゲン、セルロース等、N-アセチルグルコサミンが重合してなるキチン、キチンが脱アセチル化されたキトサン等が挙げられる。高分子炭水化物は、その機能または役割によって限定されず、エネルギー貯蔵の機能(デンプン、グリコーゲン等)、生体を形づくる機能、免疫、細胞間伝達等のいかなる機能を担うまたはいかなる機能に関与する炭水化物であってもよい。一実施形態において、準耐熱物質は、セルロース、またはセルロースと上記いずれか1以上のその他の成分であってもよい。準耐熱物質は1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
非耐熱物質の非限定的な例として、タンパク質、及び低分子炭水化物等が挙げられる。低分子炭水化物は単糖であり、単糖は、三炭糖、四単糖、五単糖、六単糖の炭素鎖構造の炭素数により限定されず、アルデヒド基を有するアルドース(D-グルコース、D-リボース等を包含する)、ケトン基を有するケトース(D-フルクトース等を包含する)等であってもよい。非耐熱物質は1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
組成物は、灰分及び無機物等の耐熱物質、セルロース及び高結晶系物質等の準耐熱物質、並びにタンパク質及び低分子炭水化物等の非耐熱物質を含むことが好ましい。組成物は、耐熱物質、準耐熱物質、並びに非耐熱物質の含有量を、それぞれ18重量%超、72重量%未満、及び10重量%超含むことが好ましく、それぞれ20重量%~40重量%、30重量%~70重量%、10重量%~45重量%含むことがより好ましく、それぞれ20重量%~40重量%、35重量%~55重量%、20重量%~35重量%含むことがさらに好ましい。耐熱物質が20重量%~40重量%である場合、20重量%であっても、22重量%であっても、24重量%であっても、28重量%であっても、30重量%であっても、38重量%であっても、40重量%であってもよく、これらの値のいずれかを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。準耐熱物質が30重量%~60重量%である場合、30重量%であっても、35重量%であっても、40重量%であっても、52重量%であっても、60重量%であってもよく、これらの値のいずれかを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。非耐熱物質が20重量%~40重量%である場合、20重量%であっても、24重量%であっても、25重量%であっても、26重量%であっても、27重量%であっても、30重量%であっても、32重量%であってもよく、これらの値のいずれかを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質の含有量の合計は100重量%であることが好ましい。
組成物が、耐熱物質、準耐熱物質、並びに非耐熱物質の含有量を、それぞれ18重量%超、75重量%未満、及び10重量%超含むことによって、組成物が、良好な水中崩壊性を呈し、且つ/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易くなる。これにより、組成物が経口投与された場合に、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい組成物となり易い。
ここで、組成物にセルロース等の天然由来の成分が含まれることで、当該天然由来の成分に含まれる無機物等も含まれ得る。無機物の含有量を調整するために、無機物の含有量が調整されたセルロース等の天然由来の成分を用いることもできる。
上記のような含有量で耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質を含む組成物は、耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質から選択される1以上を含む材料を任意の量で配合して調製することができる。
灰分等の耐熱物質のみを含む材料として、酸化チタン、炭酸カルシウムが挙げられる。
耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質を含む材料は植物由来成分である。植物由来成分は、天然の植物に由来する成分であっても、植物に加工処理を施して作製した植物由来成分であってもよく、例えば、小麦胚芽、オーツ麦、結晶セルロース(例えば、旭化成のセオラス(登録商標)のPHグレード)、粉末セルロース(例えば、日本製紙株式会社のKCフロックW-50)、大豆組成物(大豆または大豆由来成分)が例示できる。
小麦胚芽、オーツ麦、結晶セルロース、及び粉末セルロースは、耐熱物質である灰分等、準耐熱物質であるセルロース等、非耐熱物質であるヘミセルロース等を含む。
例えば、小麦胚芽には、耐熱物質が5~25重量%含まれ、準耐熱物質が30~70重量%含まれ、非耐熱物質が25~45重量%含まれる。例えば、オーツ麦には耐熱物質が5~20重量%含まれ、準耐熱物質が45~75重量%含まれ、非耐熱物質が20~45重量%含まれる。例えば、結晶セルロース(旭化成のセオラス)には、耐熱物質が1~10重量%含まれ、準耐熱物質が70~98重量%含まれ、非耐熱物質が0.1~5重量%含まれる。例えば、粉末セルロース(日本製紙株式会社のKCフロックW-50)には、耐熱物質が1~10重量%含まれ、準耐熱物質が70~90重量%含まれ、非耐熱物質が5~20重量%含まれる。
また、例えば大豆組成物には、耐熱物質が1~20重量%含まれ、準耐熱物質が60~90重量%含まれ、非耐熱物質が1~20重量%含まれる。
組成物を調製する際、実際に使用する植物由来成分に耐熱物質、準耐熱物質、及び/または非耐熱物質が具体的にどの量または割合で含まれるかは、当業者に周知の方法で決定することができる。例えば、灰分等の耐熱物質の含有量の測定は、公知の灰分法を用いることができる。例えば、セルロース等の準耐熱物質の含有量の測定は、公知のαセルロースの定量法を用いることができる。例えば、ヘミセルロース等の非耐熱物質の含有量の測定は、公知のホロセルロースの定量法を用いて取得した値から公知のαセルロースの測定によって取得した値を差し引いて算出することができる。これらの測定結果に基づいてこれらの材料を混合し、所望の割合で耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質を含む組成物を調製することができる。
一実施形態において、組成物は、組成物(6)の特徴と、それ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える組成物である。すなわち、一実施形態において、組成物は、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
式:y≧-2.03x + 23.623
(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)で表され、且つそれ以外の上記組成物から選択される1以上の特徴を備える。
本実施形態に係る組成物が、上記式を満たすことにより、良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易くなる。さらに、舌触りがより滑らかになり易い。組成物が対象に投与された場合に凝集が少なくなり易いためである。且つ、上記式を満たすことにより、錠剤で投与された場合に、錠剤の水中崩壊性が良好になり易い。
一実施形態において、組成物は、組成物(6)の特徴と、組成物(1-6)、組成物(3-6)、及び組成物(5)の少なくとも1つの特徴を備えることが好ましく、2つの特徴を備えることがより好ましく、3つの特徴を備えることがさらに好ましい。
一実施形態において、組成物は、組成物(1-6)、組成物(3-6)、組成物(5)、及び組成物(6)の特徴を備える。
一実施形態において、組成物は、組成物(1-6)、組成物(3-6)、組成物(5)、及び組成物(6)の特徴を備える、耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質を含む組成物である。
一実施形態において、組成物は、耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質を含み、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
式:y≧-2.03x + 23.623
(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)で表され、タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmである、組成物である。
組成物が、組成物(6)の特徴と、組成物(1-6)、組成物(3-6)、及び組成物(5)の少なくとも1つの特徴、2つの特徴、または3つの特徴を備えることによって、組成物は、より良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易く、舌ざわりがより滑らかになり易く、且つ錠剤で投与された場合に、錠剤の水中崩壊性がより良好になり易い。
「起電力の測定」の項でも説明するとおり、25℃から600℃に昇温した場合の試料の起電力(式中、x)は、組成物中の非耐熱物質の含有量、耐熱物質の含有量、及び/または準耐熱物質の含有量を調整することによって調整することができる。より具体的には、また、「熱重量分析」の項でも説明するとおり、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析によって求められる重量残存率(式中、y)は、組成物中の非耐熱物質の含有量、耐熱物質の含有量、及び/または準耐熱物質の含有量を調整することによって調整することができる。
したがって、組成物中の非耐熱物質の含有量、耐熱物質の含有量、及び/または準耐熱物質の含有量を調整することによって、組成物が上記式を満たすように調整することができる。
より具体的には、25℃から600℃に昇温した場合の起電力(式中、x)は、耐熱物質、準耐熱物質、並びに非耐熱物質の含有量を、それぞれ18重量%超、72重量%未満、及び10重量%超に調整することによって、-4μV以上に調整することができる。
本実施形態に係る組成物は、錠剤形態に調製されて対象に投与または摂取された場合に、所望の飲みやすさの効果(良好な口腔内崩壊性及び/または良好な舌触り)を発揮することを考慮すれば、粉末組成物であることが好ましい。
粉末組成物に含まれる耐熱物質の少なくとも一部、準耐熱物質の少なくとも一部、及び非耐熱物質の少なくとも一部は、粉体粒子である。粉末組成物は粉体粒子により構成されていてもよい。準耐熱物質の粉体粒子にはセルロースが含まれる。準耐熱物質の粉体粒子には大豆由来成分がさらに含まれていてもよい。
粉体粒子の形状は制限されないが、セルロース及び/またはセルロース以外の成分において、繊維状成分が含まれる。粉末組成物は繊維状の粉体粒子により構成されていてもよい。
繊維状の粉体粒子について、平均繊維長(繊維方向の長さ)は1μm~500μmであり、好ましくは5μm~500μmであり、より好ましくは5μm~250μmであり、さらに好ましくは5μm~100μmであり、さらに好ましくは5μm~50μmである。平均繊維長が5μm~50μmである場合、5μmであっても、10μmであっても、20μmであっても、30μmであっても、40μmであっても、50μmであってもよく、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。例えば、平均繊維長は5μm以上であってもよい。一実施形態において、粉体粒子の平均繊維長は、10~11μmである。
粉体粒子の平均繊維幅(繊維に垂直な方向の長さ)は、1μm~500μmであり、好ましくは5μm~500μmであり、より好ましくは5μm~250μmであり、さらに好ましくは5μm~100μmであり、さらに好ましくは5μm~50μmである。平均繊維幅が5μm~50μmである場合、5μmであっても、10μmであっても、20μmであっても、30μmであっても、40μmであっても、50μmであってもよく、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。例えば、平均繊維幅は5μm以上であってもよい。一実施形態において、粉体粒子の平均繊維幅は、10~11μmである。
一実施形態において、上記いずれかの組成物は、さらに、該組成物に含まれる粉体粒子の平均繊維長が5μm以上である組成物であってもよい。
粉体粒子は、繊維1本であっても、複数の繊維が結合して粒子を形成したものであってもよい。
粉体粒子の平均繊維長を1μm~500μm、平均繊維幅を1μm~500μmとすることにより、錠剤形態に調製する場合に適度な密着性を発揮し易く、且つ/または調製された錠剤が良好な水中崩壊性及び/若しくは良好な湿潤粉体の摩擦力を呈するものとし易くなる。それにより、粉末組成物を含む錠剤は、経口投与された場合に、良好な口腔内崩壊性と崩壊ペーストの良好な舌触りを実現し易くなり、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい錠剤となり易い。
粉体粒子の平均繊維長及び平均繊維幅は後述の方法により測定される値である。
一実施形態において、上記いずれかの組成物は、さらに、該組成物に含まれる粉体粒子のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)が、1.0~100であり、好ましくは1.0~5.0であり、1.0~3.0であることが好ましく、1.0~2.0であることがより好ましく、1.0~1.5である組成物であることがさらに好ましい。該アスペクト比が1.0~1.5である場合、1.0であっても、1.1であっても、1.5であってもよい。
該組成物に含まれる粉体粒子のアスペクト比が1.0~100であることによって、組成物が良好な水中崩壊性、及び良好な湿潤粉体の摩擦力を呈しやすくなる。また、組成物に含まれる粉体粒子が同数であるとき、アスペクト比が1.0により近いことにより、体積がより小さくなり易い。組成物を用いて医薬、食品、化粧品等の製品を加工または製造する工程での機器内での詰まりのリスクを低減し易い。これらの各効果は、アスペクト比が1.0に近いことにより、粉体粒子の繊維同士の摩擦が小さくなり易いことによる効果であると推測される。
粉体粒子のアスペクト比は後述の方法により測定される値である。
一実施形態において、上記いずれかの組成物は、さらに、該組成物に含まれる粉体粒子の吸水率が、200%未満である組成物であってもよい。
粉体粒子の吸水率は、25%~150%であることが好ましく、30%~100%であることがより好ましく、40%~80%であることがさらに好ましく、50%~75%であることがさらに好ましい。粉体粒子の吸水率が50%~75%である場合、50%であってもよく、60%であってもよく、70%であってもよく、75%であってもよい。一実施形態において、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
組成物において、粉体粒子の吸水率が低い場合、粉体粒子が膨張しにくいため、粉体粒子同士がほぐれやすく、組成物を含む錠剤の水中崩壊性が良好になり易い。粉体粒子の吸水率が200%未満である場合、該粉体粒子を含む組成物を含む錠剤の水中崩壊性が良好になり易い。
組成物に含まれる粉体粒子の吸水率は後述の方法により測定される値である。
一実施形態において、上記いずれかの組成物は、さらに、見掛け密度(タッピングなし)が0.3g/cm~5g/cmである組成物であってもよい。見掛け密度(タッピングなし)が0.3g/cm~5g/cmである場合、0.3g/cmであっても、0.32g/cmであっても、0.34g/cmであっても、0.4g/cmであっても、0.45g/cmであっても、0.5g/cmであっても、0.65g/cmであっても、1.6g/cmであっても、3.8g/cmであっても、4.2g/cmであっても、5g/cmであってもよい。一実施形態において、見掛け密度(タッピングなし)は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
組成物の見掛け密度(タッピングなし)が0.3g/cm~5g/cmであることによって、組成物を組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。
見掛け密度(タッピングなし)は後述の方法により測定される値である。
一実施形態において、上記いずれかの組成物は、さらに、圧縮度が1.35未満である組成物であってもよい。圧縮度が1.35未満である場合、1~1.3であってもよく、1であっても、1.09であっても、1.1であっても、1.11であっても、1.13であっても、1.18であっても、1.2であっても、1.23であっても、1.25であってもよい。一実施形態において、圧縮度は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
組成物の圧縮度が1.35未満であることによって、組成物に振動を与えた場合に組成物が圧縮されにくく、組成物を包装した袋の形状が変化しにくくなる。これによって、組成物を包装した袋の積載がし易くなり、運搬がし易くなる。
圧縮度は後述の方法により測定される値である。
(熱重量分析)
重量残存率は、当業者に周知の方法に従い熱重量分析(TG)を行うことによって取得することができる。
本開示において、重量残存率は、熱分析装置(日立ハイテクサイエンス製 STA300)を用いて、試料(約10mgの組成物(または第2実施形態に係る食品組成物、第2実施形態に係る医薬組成物、第3実施形態に係る化粧品組成物、第3実施形態に係る滑沢剤用組成物、若しくはこれらのいずれかを含む剤形))をN雰囲気下で10℃/minで25℃から600℃まで昇温させた際の、100℃、200℃、300℃、400℃、600℃での試料の残存重量から取得した値である。
試料を温度aから温度bに昇温したときの重量残存率は、温度aでの残存重量を100とした場合の温度bでの残存重量を百分率(%)で示した値である。すなわち、該重量残存率は以下の式で表される。
重量残存率(%)=100×[温度bでの残存重量(mg)]/[温度aでの残存重量(mg)]
試料を温度aから温度cに昇温したときの重量残存率(Wa→c)に対する、試料を温度aから温度bに昇温したときの重量残存率(Wa→b)の百分率による数値は、式:(Wa→b/Wa→c)×100(%)で表される。
より具体的には、例えば25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃以上に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)の百分率による数値((W600/W100)×100(%))は、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)を、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)で除した値を百分率で表した数値である。なお、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、W25→100とも表現できるが、本明細書ではW100と表現する。25℃から200℃、300℃、400℃、500℃、600℃またはd℃への各昇温に対する重量残存率の表現も同様である。
組成物中の灰分及び無機物等の耐熱物質、セルロース及び高結晶系物質等の準耐熱物質、並びにタンパク質及び低分子炭水化物等の非耐熱物質の含有量を調整することによって、25℃から200℃、300℃、400℃、500℃、または600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率を調整することができる。
300℃までの昇温によれば、組成物に含まれる非耐熱物質の多くが消失する(栗山旭、材料、第16巻、第169号、772~776頁)。従って、25℃から200℃、または25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、組成物に含まれる非耐熱物質以外の成分の残存を示す。組成物に含まれる非耐熱物質の含有量を増加させることによって、25℃から200℃、または25℃から300℃に昇温した場合の重量減少率が増加し、該重量残存率を低下させることができる。あるいは、組成物に含まれる非耐熱物質以外の成分の含有量、すなわち、耐熱物質及び/または非耐熱物質の含有量を低下させることによって、25℃から200℃、または25℃から300℃に昇温した場合の重量減少率が増加し、該重量残存率を低下させることができる。
組成物において25℃から200℃に昇温した場合の熱重量分析により求められる重量残存率を上記のとおり測定し、50%以上96%以下、または上記に列挙したいずれかの所望の値となるように、組成物に含まれる非耐熱物質の含有量を調整することができる。
また、組成物において25℃から300℃に昇温した場合の熱重量分析により求められる重量残存率を上記のとおり測定し、50%以上90%以下、または上記に列挙したいずれかの所望の値となるように、組成物に含まれる非耐熱物質の含有量を調整することができる。
組成物中の非耐熱物質の含有量、及び/または耐熱物質の含有量、及び/または準耐熱物質の含有量を調整することによって、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃、500℃、400℃、300℃、または200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W25→d(d=200、300、400、500又は600))の百分率による数値((W25→d/W100)×100(%))を調整することができる。ここで、上述の通り、W25→dはWdとも表現できる。
25℃から100℃に昇温した場合の熱重量分析により求められる重量残存率は、組成物に吸着した水以外の成分の残存を示す。
25℃から400℃以上に昇温した場合、300℃と400℃の間に、組成物に含まれる準耐熱物質が消失する(万木正ら、日本化学会誌、1975、(4)、733~737頁))。従って、25℃から400℃以上に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率は、組成物に含まれる非耐熱物質(300℃に昇温した場合に消失する成分)と、準耐熱物質(300℃と400℃の間に消失する成分)以外の成分、すなわち耐熱物質の残存を示す。組成物に含まれる非耐熱物質、及び準耐熱物質の含有量を増加させることによって、25℃から400℃に昇温した場合の重量減少率が増加し、該重量残存率を低下させることができる。あるいは、組成物に含まれる非耐熱物質、及び準耐熱物質以外の成分、すなわち耐熱物質の含有量を低下させることによっても、25℃から400℃以上に昇温した場合の重量減少率が増加し、該重量残存率を低下させることができる。
組成物において25℃から400℃、または400℃より高い温度に昇温した場合の熱重量分析により求められる重量残存率を上記のとおり測定し、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W400)の百分率による数値((W400/W100)×100(%))が15~80、若しくは上記に列挙したいずれかの所望の値となるように、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W500)の百分率による数値((W500/W100)×100(%))が13~60、若しくは上記に列挙したいずれかの所望の値となるように、または25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)の百分率による数値((W600/W100)×100(%))が15~30、若しくは上記に列挙したいずれかの所望の値となるように、組成物に含まれる非耐熱物質の量、及び/または準耐熱物質の量、耐熱物質の量を調整することができる。
ここで、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率に対する、25℃から所定の温度に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率の百分率による数値としたのは、組成物、食品組成物、医薬組成物、化粧品組成物、または滑沢剤用組成物に吸着した水の影響を排除するためである。
本実施形態に係るいずれの組成物における、所定の温度に昇温した場合の熱重量分析により求められる重量残存率についても、上記で説明したのと同様にして調整することができる。
(起電力の測定)
試料のある温度での起電力は、当業者に周知の方法に従い取得することができる。
本開示において、ある温度での起電力は、熱分析装置(日立ハイテクサイエンス製 STA300)を用いて、試料(約10mgの組成物をN雰囲気下で10℃/minで25℃から600℃まで昇温させた際の、100℃、200℃、300℃、400℃、600℃での試料の起電力(μV)である。
25℃から温度bに昇温した場合の試料の起電力(Xb)に対する、25℃から温度aに昇温した場合の試料の起電力(Xa)の百分率による数値は、式:(Xa/Xb)×100(%)で表される。なお、25℃からa℃に昇温した場合の試料の起電力は、X25→aとも表現できるが、本明細書ではXaと表現する。25℃からb℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、または600℃への各昇温に対する起電力の表現も同様である。
組成物中の灰分及び無機物等の耐熱物質、セルロース及び高結晶系物質等の準耐熱物質、並びにタンパク質及び低分子炭水化物等の非耐熱物質の含有量を調整することによって、ある温度での試料の起電力を調整することができる。
より具体的には、耐熱物質、準耐熱物質、並びに非耐熱物質の含有量を、それぞれ18重量%超、72重量%未満、及び10重量%超に調整することによって、試料を25℃から600℃に昇温した場合の起電力を-4μV以上に調整することができる。
ここで、耐熱物質、準耐熱物質、非耐熱物質等の例については、上記「熱重量分析」で説明したとおりである。
また、組成物中の灰分及び無機物等の耐熱物質、セルロース及び高結晶系物質等の準耐熱物質、並びにタンパク質及び低分子炭水化物等の非耐熱物質の含有量を調整することによって、25℃から温度bに昇温した場合の起電力(Xb)に対する、25℃から温度aに昇温した場合の起電力(Xa)の百分率による数値((Xa/Xb)×100(%))を調整することができる。
より具体的には、耐熱物質、準耐熱物質、並びに非耐熱物質の含有量を、それぞれ18重量%超、72重量%未満、及び10重量%超に調整することによって、25℃から100℃に昇温した場合の起電力に対する、25℃から600℃に昇温した場合の起電力の百分率による数値を-300~100に調整することができる。
(粉体粒子の平均繊維長及び平均繊維幅の測定)
組成物の粉末試料1gについて、極端に粗大な繊維や凝集した繊維を取り除くため、水分を2~3%に調整した試料を用いて、JIS試験用ふるい(東京スクリーン社製:710μm)を用いて分級する。分級した試料を光学顕微鏡下(倍率:100倍)で無作為に選択し、サイズが大きい100個、サイズが小さい100個を除いた1000個について、粉体粒子の繊維長(繊維方向の長さ)及び繊維幅(繊維に垂直な方向の長さ)を測定し、その平均値を算出する。
(粉体粒子のアスペクト比)
粉体粒子のアスペクト比は、上記のとおり顕微鏡下で測定することにより取得した、1000個の粉体粒子の繊維長と繊維幅を用い、繊維長/繊維幅を算出して得た、その平均値である。
(タッピング見掛け密度)
組成物のタッピング見掛け密度は、市販の粉体物性測定機(ホソカワミクロン製、パウダーテスターPT-T型)を用いて測定した値である。具体的には、組成物に含まれる全ての粉体粒子を100cmカップに充填し、1分間あたり250回タッピングした後、カップの体積を、カップに充填された粉体試料の重量を、該粉体試料の体積で除して求める。
組成物のタッピング見掛け密度は、粉体粒子の粒子径及び/または形状を調整することにより、調整することができる。例えば、粒子径(繊維長または繊維幅)を小さくしたり、アスペクト比を小さくしたりすることで、粉体粒子のタッピング見掛け密度を高くすることができる。
(見掛け密度(タッピングなし))
組成物の見掛け密度(タッピングなし)は、100cmのガラス製メスシリンダーに、組成物の定量フィーダーなどを用いて、2~3分かけて粗充填した上で、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平にならしその容積を読みとり、粉体試料の重量を容積で除して求めた値である。粉体の重量は容積が70~100cm程度になるように適宜決定する。
組成物の見掛け密度(タッピングなし)は、粉体粒子の粒子径及び/または形状を調整することにより、調整することができる。例えば、粒子径(繊維長または繊維幅)を小さくしたり、アスペクト比を小さくしたりすることで、粉体粒子の見掛け密度(タッピングなし)を高くすることができる。
(圧縮度)
圧縮度は、上記で説明した「タッピング見掛け密度」を「見掛け密度(タッピングなし)」で除して算出した値である。値が小さいほど、組成物に振動を与えた場合に組成物が圧縮されにくいことを示す。
圧縮度は、組成物のタッピング見掛け密度及び/または見掛け密度(タッピングなし)を調整することによって調整することができる。タッピング見掛け密度と見掛け密度(タッピングなし)の調整方法は上記で説明したとおりである。
(粉体粒子の吸水率)
組成物に含まれる粉体粒子の吸水率は、粉体粒子2gを容器に入れ、水を滴下し均等に混合したときに、目視により繊維からの離水の発生が確認される直前の水量の測定値である。n=100の平均値である。
粉体粒子の吸水率は、粉体粒子の繊維長及び/または繊維幅を調整することで調整することができる。具体的には、粉体粒子の繊維長若しくは繊維幅、または繊維長及び繊維幅を大きくすることで、粉体粒子の吸水率を向上させ易くなる。粉末粒子の繊維長および繊維幅は、組成物を調製するときの材料成分の粉砕工程での粉砕時間、粉砕強度等を調整することで調整することができる。具体的には、粉砕時間を短くしたり、及び/または粉砕強度を弱くしたりすることによって、粉末粒子の繊維長及び/または繊維幅を大きくすることができる。
(舌触り官能試験)
成人男性30人、成人女性30人により評価される。錠剤を口腔内に入れ、舌で転がしながら錠剤を崩壊させ、錠剤が完全に崩壊した後の粉っぽい舌触りを評価する。
結果は以下の判定基準により評価される。
1: 粉っぽさを非常に感じる
2: 粉っぽさを感じる
3: 粉っぽさを僅かに感じるものの、粉っぽさを感じない程度にしっとりしている
4: 粉っぽさを感じない
「粉っぽさ」は、例えば、舌の上に細かい粒が残っているように感じられることであり得る。
舌触り官能試験における評価が、4に近いほど、錠剤の崩壊ペーストの粉っぽさが低く、すなわち、錠剤が対象に経口投与された場合に崩壊ペーストの良好な舌触りを呈することを示す。
本実施形態に係る組成物は、舌触り官能試験の評価が3または4であり、錠剤の崩壊ペーストが良好な舌触りを実現し、すなわち飲みやすい錠剤または組成物であることを示す。
(水中崩壊性)
本実施形態に係る組成物を含む錠剤の口腔内崩壊性は、水中崩壊性を測定することにより評価される。
水中崩壊性は、単位硬度あたりの崩壊時間[水中崩壊時間(D)/錠剤硬度(N)(分/N)]で表される。
錠剤硬度(N)は、硬度計(型番:KHT-40N、藤原製作所)を用いて測定した値である。「錠剤の製造方法」の項で説明する方法で製造した錠剤を計測台の中央に載せて装置を起動させる(AUTO[起動]ボタンを押す)。これにより、ロッドが高速下降し表示がピークホールド状態になり、測定物に接触すると低速になり約0.1秒毎に表示監視し、増加しなければ破壊と判断し、そのときに硬度計に示された硬度を錠剤硬度(N)とする。
水中崩壊時間は、錠剤を試験管に入れ、純水20mlを加え、振とう機(往復・旋回振とう機 MMS-3020、東京理化器械製)で37℃で振動させ、崩壊時間を測定することで取得する。測定は50回行い、その平均値をその錠剤の水中崩壊時間とする。
本実施形態に係る錠剤の水中崩壊性は、1.9(分/N)未満であることが好ましく、1.5(分/N)以下であることがより好ましく、1.2(分/N)以下であることがさらに好ましい。水中崩壊性が1.2(分/N)以下である場合、1.2(分/N)であっても、0.9(分/N)であっても、0.8(分/N)であっても、0.7(分/N)であっても、0.6(分/N)であっても、0.5(分/N)であっても、0.4(分/N)であっても、0.3(分/N)であってもよい。一実施形態において、錠剤の水中崩壊性は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。
錠剤の水中崩壊性が1.9(分/N)未満であることにより、対象が錠剤を食品として摂取したまたは医薬として投与された場合に、良好な口腔内崩壊性を実現し易くなる。これにより、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい錠剤となり易い。
本実施形態に係る組成物は、組成物を含む錠剤の水中崩壊性が1.9(分/N)未満であるため、上記のとおり、良好な口腔内崩壊性を実現し易くなる。
上記好適な水中崩壊性を実現するため、錠剤の水中崩壊時間は、90分未満であることが好ましく、30分以下であることがより好ましい。錠剤の水中崩壊時間が30分以下である場合、30分であっても、25分であっても、15分であっても、14分であっても、12分であってもよい。一実施形態において、錠剤の水中崩壊時間は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。錠剤の水中崩壊時間は、例えば、12分~30分であっても、12分~15分であってもよい。
また、上記好適な水中崩壊性を実現するため、錠剤の硬度は、46N以下であることが好ましく、45N未満であることがより好ましい。錠剤の硬度が45N未満である場合、43Nであっても、42Nであっても、35Nであっても、25Nであっても、17Nであっても、14Nであってもよい。一実施形態において、錠剤の硬度は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。錠剤の硬度は、例えば、14N~46Nであっても、14N~43Nであってもよい。
(湿潤粉体の摩擦力)
湿潤粉体の摩擦力(gf)は、上記「水中崩壊性」の試験に供した試料の残渣を90μm(JIS規格Z8801ワイヤー)で通過し、回収し、静・動摩擦測定器(トリニティーラボ社製「ハンディートライボマスタTL201Ts」)を用いて、荷重50g、速度10mm/秒の測定条件で測定した値である。接触子として、5mm厚のスポンジシート(セメダイン社製「すきま用テープN-1」)に人工皮膚(ビューラックス社製「バイオスキン」)を貼り付けた接触子を使用する。
静摩擦力(gf)の結果をもとに、移動距離0mmおよび3mmの比率を以下の式により算出する。
式:移動2mmの湿潤粉体の摩擦力=100×(移動距離0mm時点の静摩擦力/移動距離3mm時点の静摩擦力)
湿潤粉体の摩擦力は、65(gf)未満であることが好ましく、45(gf)以下であることがさらに好ましい。湿潤粉体の摩擦力が45(gf)以下である場合、42(gf)であっても、41(gf)であっても、40(gf)であっても、34(gf)であっても、32(gf)であっても、30(gf)であってもよい。一実施形態において、錠剤の水中崩壊性は、上記の値のいずれを上限及び下限として組み合わせた範囲であってもよい。湿潤粉体の摩擦力は、例えば、20(gf)~60(gf)であっても、25(gf)~55(gf)であっても、25(gf)~50(gf)であってもよい。また、例えば、30(gf)~45(gf)であっても、30(gf)~34(gf)であってもよい。
湿潤粉体の摩擦力が、65(gf)未満であることにより、錠剤の崩壊ペーストまたは粉末組成物のペーストの良好な舌触りを実現し易くなる。これにより、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい錠剤または組成物となり易い。
本実施形態に係る組成物は、組成物の湿潤粉体の摩擦力が65(gf)未満であるため、上記のとおり、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい錠剤または組成物となり易い。
本実施形態に係る組成物は、第2実施形態で説明するように、食品組成物または医薬組成物として使用することができる。
本実施形態に係る組成物は、第3実施形態で説明するように、化粧品組成物または滑沢剤用組成物として使用することができる。
==第2実施形態(食品組成物・医薬組成物)==
第1実施形態に係る組成物は、食品組成物として使用することができる。
本実施形態に係る食品組成物は、機能性成分を含む。
一実施形態において、第1実施形態に係る経口組成物を食品組成物として使用することが好ましい。
食品組成物は、単独または2種以上の食品組成物の組み合わせで、例えば、飲料、スープ、肉加工品、野菜加工品、果実加工品、調味料、濃縮食品、サプリメント(栄養補助食品、栄養補助飲料)等の食品の調製に使用することができる。
一実施形態に係る食品は、本実施形態に係る食品組成物を含む。
ここで、加工品とは、天然の食材に対し加工及び/または調理を施したものを意味し、冷凍食品、レトルト食品、缶詰食品、瓶詰食品等が含まれる。
食品の形態は制限されないが、経口的な使用に適した形態であることが好ましく、摂取のしやすさの観点から、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよく、粉末状、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル状、ソフトカプセル状等の固体状であってもよい。錠剤は、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散状、及び溶解錠のいずれであってもよい。
第1実施形態に係る組成物を含むことによる良好な水中崩壊性及び/若しくは良好な湿潤粉体の摩擦力に基づく、良好な口腔内崩壊性と崩壊ペーストの良好な舌触りの効果、それによる嚥下中の組成物の良好な通過の効果を考慮すれば、食品の錠剤は、口腔内崩壊錠またはチュアブル錠であることが好ましく、口腔内崩壊錠であることがより好ましい。
機能性成分は、通常の食事に追加して摂取が所望される成分であれは制限されないが、摂取した対象において、食品組成物を含む食品の用途または目的である栄養学的、生理学的な何らかの活性または作用を発揮し得る物質であることが好ましい。
一実施形態において、機能性成分は、対象における非所望の症状及び/または体調不良等を改善する等の効果を有する成分(健康維持・増進に関する機能を包含する)であることが好ましい。
よって、食品組成物を含む食品は、それを摂取した対象において非所望の症状及び/または体調不良等を改善する等の効果(健康維持・増進に関する機能を包含する)を有する機能性食品であることが好ましい。そのような機能性食品の例として、例えば、日本国では、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品等を包含する一般食品、及び国が定めた安全性や有効性に関する基準等に従って食品の機能表示がなされる保健機能食品(栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品を包含する)が挙げられる。
機能性成分の組成、原料、由来、入手経路等は制限されず、天然物、天然抽出物、化学合成物質、これらの2以上の混合物等が包含される
機能性成分の非限定的な例として、ビタミンB1、B2、C等のビタミン、鉄、亜鉛等のミネラル、アミノ酸、食物繊維、DHA、EPA、ポリフェノール(アントシアニン類、イソフラボン類(大豆イソフラボン及びその代謝物であるエクオールを含む)、フラボン類、カテキン類、フラボノール類、フラバノン類等)、カロテノイド(α-カテキン、β-カテキン、β-クリプトキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキンサンチン等)、含硫酸物(イソチアシアネート類、システインスルホキシド類等)が挙げられる。食品組成物は、機能性成分を1種含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
一実施形態において、機能性成分は大豆由来成分であってもよく、大豆由来成分は大豆イソフラボン及び/またはエクオールであってもよい。大豆イソフラボン及びエクオールは、それぞれ配糖体であっても、アグリコン型であってもよい。
例えば、機能性成分が大豆イソフラボンまたはエクオールである場合、これらの取得方法は限定されず、非限定的な取得方法として、周知の方法に従った大豆からの抽出、市販品の購入、エクオール産生菌等を用いた人工的な調製が挙げられる。
一実施形態において、食品は、錠剤の形態である機能性食品であることが好ましく、口腔内崩壊錠の形態である機能性食品であることがより好ましい。
食品の1日の使用量は限定されず、食品中の機能性成分の含有量と、対象における1日の必要摂取量を元に当業者が適宜決定することができる。
第1実施形態に係る組成物は、医薬組成物として使用することができる。
本実施形態に係る医薬組成物は、薬学的有効成分を含む。
一実施形態において、第1実施形態に係る経口組成物を医薬組成物として使用することが好ましい。
医薬組成物は、単独または2種以上の医薬組成物の組み合わせで、例えば、その薬学的有効成分の有する薬学的効果に適した疾患や症状の治療するための医薬の調製に使用することができる。
一実施形態に係る医薬は、本実施形態に係る医薬組成物を含む。
一実施形態に係る治療方法は、本実施形態に係る医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
一実施形態に係る使用は、第1実施形態に係る組成物、または本実施形態に係る医薬組成物の、それを必要とする対象の治療のための医薬の製造における使用である。
一実施形態に係る組成物、医薬組成物、または薬学的有効成分は、それを必要とする対象の治療のための、第1実施形態に係る組成物、本実施形態に係る医薬組成物、または薬学的有効成分である。
医薬の形態は制限されないが、経口的な使用に適した形態であることが好ましく、投与のしやすさの観点から、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよく、粉末状、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル状、ソフトカプセル状等の固体状であってもよい。錠剤は、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散状、及び溶解錠のいずれであってもよい。
第1実施形態に係る組成物を含むことによる適度な水中崩壊性及び/若しくは良好な湿潤粉体の摩擦力に基づく、良好な口腔内崩壊性と良好な舌触りの効果、それによる嚥下中の組成物の良好な通過の効果を考慮すれば、医薬の錠剤は、口腔内崩壊錠またはチュアブル錠であることが好ましく、口腔内崩壊錠であることがより好ましい。
薬学的有効成分は、任意の疾患を有するまたは症状を呈する対象において投与が所望される成分であれば制限されないが、投与された対象において薬学的有効成分の用途または目的である生理学的な何らかの活性または作用を発揮し得る物質であることが好ましい。
薬学的有効成分の組成、原料、由来、入手経路等は制限されず、天然物、天然抽出物、合成物質(生物工学的に作製された物質、化学合成物質を包含する)、これらの2以上の混合物等が包含される。天然物または天然抽出物としては、例えば、核酸、タンパク質(抗体及びその断片を包含する)、培養液抽出物、低分子化合物等が挙げられ、これらと同一の物質または同様の機能を有する類似物質であって生物工学的に作製された物質であっても、または化学的に合成された物質(化学合成物質)であってもよい。天然物または天然抽出物は、微生物、動物、植物等のいずれの生物から取得されたものであってもよく、生物の生態や生息場所によっても限定されない。医薬組成物は、薬学的有効成分を1種含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
本実施形態における医薬組成物は、対象における疾患、非所望の症状、及び/または体調不良等を治療または予防するための医薬組成物である。「治療」は、疾患の症状の減少、緩和、軽減を包含し、「予防」は、将来的な疾患または症状の発症に対する防御及び進行の抑制を包含する。治療による望ましい治療効果には、症状の寛解、疾患の直接的または間接的病理結果の改善、症状悪化の進行速度の低減、疾患状態の回復または緩和、予後の改善が包含される。
食品組成物または医薬組成物は、2種以上の食品組成物または医薬組成物を別々に製剤化して2種以上の食品または医薬製剤とした場合には、個々の食品または医薬を同時、または一定の時間間隔を空けて別々に、または連続して摂取若しくは投与することが可能である。当該2種以上の食品または医薬製剤は、1日にそれぞれ異なる回数及び/または異なる経路で摂取または投与することもできる。医薬製剤は、全身的または局所的に、投与することができる。
食品組成物または医薬組成物は、組成物、及び機能性成分または薬学的有効成分に加え、さらに、食品として栄養学的に許容されるまたは薬学的に許容される、1以上の非機能性成分を含んでいてもよい。非機能性成分としては、例えば、酸味料、甘味料、賦形剤、界面活性剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、及び安定化剤、防腐剤等の添加物が挙げられる。賦形剤としては、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、ラクトース、マルトース、マルチトール、グルコース、スクロース、フルクトース、マンノース、ソルビトール、アミロース、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、無水リン酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。界面活性剤としては非イオン界面活性剤を挙げることができ、例えば、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノミリテート、グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル等のHLB6~18を有するもの、等が挙げられる。
その他の非機能性成分として、例えば、水、食塩水、アルコール、シリコーン、ワックス、ワセリン、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエスラル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
食品組成物または医薬組成物における機能性成分または薬学的有効成分の含有量は限定されないが、10重量%超であってもよく、20重量%以上であってもよく、20~40重量%であってもよく、20~32重量%であってもよく、20~30重量%であってもよい。機能性成分または薬学的有効成分の含有量が20~30重量%である場合、20重量%であっても、24重量%であっても、26重量%であっても、27重量%であっても、30重量%であってもよい。また、食品組成物または医薬組成物における非機能性成分の含有量は限定されず、90重量%以下であってもよく、60~90重量%であってもよく、60~80重量%であってもよく、68~80重量%であってもよく、70~80重量%であってもよい。機能性成分または薬学的有効成分は、本第2実施形態に係る組成物中の非耐熱物質に含まれてもよく、例えばタンパク質、低分子炭水化物等であってもよい。
機能性成分または薬学的有効成分の含有量が10重量%超、及び非機能性成分の含有量が90重量%以下であることによって、食品組成物若しくはそれを含む食品、または医薬組成物若しくはそれを含む医薬が良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易くなる。そのため、その摂取において、良好な舌触りを実現し易くなり、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易くなり、すなわち飲みやすい食品または医薬となり易い。食品または医薬が錠剤の形態である場合には、良好な水中崩壊性及び/若しくは良好な湿潤粉体の摩擦力を呈し易くなる。それにより、錠剤は、良好な口腔内崩壊性と崩壊ペーストの良好な舌触りを実現し易くなり、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい錠剤となり易い。
また、機能性成分または薬学的有効成分の含有量が10重量%超であることによって、食品を摂取したまたは医薬を投与された対象において、機能性成分または薬学的有効成分による所望の効果が発揮され易くなる。
食品組成物若しくはそれを含む食品の摂取対象、または医薬組成物若しくはそれを含む医薬の投与対象は、それらを必要とする動物であれば限定されず、ヒトであっても、非ヒト動物であってもよく、非ヒト動物種は、例えば、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、モルモット、ハムスター、マウス、及び/またはラット等であってもよく、家畜動物、愛玩動物、実験動物等の用途により限定されないが、哺乳動物であることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。
本実施形態に係る食品組成物若しくは食品組成物を含む食品、または医薬組成物若しくは医薬組成物を含む医薬の包装形態は特に限定されず、剤形等に応じて当業者が適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック、ストリップ包装、ヒートシール、アルミパウチ、プラスチックや合成樹脂等を用いるフィルム包装、バイアル等のガラス容器、アンプルなどのプラスチック容器等が挙げられる。
(錠剤の製造方法)
本実施形態に係る食品または医薬の錠剤は、当業者に周知の方法により製造することができる。
例えば、第1実施形態に係る組成物の粉末から、液体を利用した湿潤造粒法または液体を利用しない乾式造粒法により顆粒を製造する。湿潤造粒法では、造粒用流体を使用して、例えば、せん断造粒機、高せん断混合器造粒装置、二軸スクリュー造粒機、流動床造粒機等の湿潤造粒機を使用して粉末を集合させて、顆粒を製造する。乾式造粒法では、組成物の粉末を圧力により凝集させる。具体的には、打錠機を用いてスラグが製造されるか、または組成物の粉末を2つのローラーによるローラー圧縮によりシートまたはリボンが製造される。製造されたスラグ、またはシート若しくはリボンは粉砕され、顆粒が調製される。次いで顆粒を打錠機により圧縮することで錠剤が製造される。
より具体的には、第1実施形態に係る組成物を、流動層造粒機(FL-LABO、フロイント産業株式会社)に投入し、顆粒を得ることができる。
さらに、得られた顆粒に対し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社)を加え混合し、簡易錠剤成形機(HANDTAB-100、市橋精機株式会社)を用い、打錠圧縮力において打錠し、直径8mm、R12杵錠、約250mgの錠剤が得られる。
または、例えば、第1実施形態に係る組成物の材料である、耐熱物質、準耐熱物質、非耐熱物質のそれぞれの成分について、粗大物を粉砕する粉砕工程(ミル処理)に供する。粉砕工程後、粉体粒子の平均粒径を確認し、60μm未満である場合には、ジェットミル(例えば、セイシン製のジェットミル粉砕機STJ-400)を用い、流量が2kg/時間以上12kg/時間以下の条件で1回粉砕し、10μm程度に粉砕し、第1実施形態に係る組成物(粉末組成物)を得る。この粉末組成物250mgを、臼(市橋精機社製、直径8mm)に入れ、錠剤の厚みが5mm程度に揃うように3kNで圧縮し、その応力を60分保持し、直径8mm、R12杵錠、約250mgの錠剤を作製する。圧縮機としては、圧縮機はエナパック社製、HANDTAB-100を使用することができる。
このように、粉砕によって10μm程度に調製した粉体粒子を用いて錠剤を調製することで、得られる錠剤は良好な水中崩壊性、及び良好な湿潤粉体の摩擦力を呈しやすくなる。これは、粉砕により、粉体粒子のアスペクト比が1.0に近くなり易く、そのため、粉体粒子の繊維同士の摩擦が小さくなり易いことによる効果であると推測される。
このように製造された錠剤は、良好な水中崩壊性及び/若しくは良好な湿潤粉体の摩擦力を呈するものとし易くなる。それにより、粉末組成物を含む錠剤は、良好な口腔内崩壊性と良好な舌触りを実現し易くなり、嚥下中の組成物の良好な通過を実現し易く、すなわち飲みやすい錠剤となり易い。
==第3実施形態(その他の用途)==
第1実施形態に係る組成物は、組成物が呈する特性、すなわち良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力に基づき、これらの特性が好適に効果を発揮する様々な用途に用いることができる。
例えば、第1実施形態に係る組成物は、化粧品組成物として使用することができる。また、例えば、第1実施形態に係る組成物は、滑沢剤用組成物として使用することができる。
一実施形態に係る化粧品は、本実施形態に係る化粧品組成物を含む。
一実施形態に係る滑沢剤は、本実施形態に係る滑沢剤用組成物を含む。
化粧品組成物は、例えば、皮膚、髪、爪等の美容を目的とする組成物であり、これらの部位の手入れが可能な形態で製剤化し、化粧品とすることができる。例えば、液剤、ローション剤、クリーム剤、貼付剤、オイル剤、スプレー剤、液状洗浄剤、固形石けん等であってもよい。また、製品としては、化粧液、美容液、保湿液、保湿クリーム、石けん、ボディーソープ、皮膚クレンジング剤、風呂用バスソルト、日焼け止め、ひげ剃りローション、脱毛剤、シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック、毛髪染料等であってもよい。特に、第1実施形態に係る組成物の呈する特性により好適に効果を発揮する観点から、例えば、ローション剤、クリーム剤、液状洗浄剤が好ましく、液状洗浄剤の商品形態としてはシャンプー、ボディーソープ、皮膚クレンジング剤等が挙げられる。
化粧品組成物は、第2実施形態で説明した1以上の機能性成分、及び/または1以上非機能性成分を含んでいてもよい。また、化粧品組成物を含む化粧品の包装形態の例は、第2実施形態において説明した包装形態と同様である。
化粧品組成物若しくはそれを含む化粧品の適用対象は、それらを必要とする動物であれば限定されず、ヒトであっても、非ヒト動物であってもよく、非ヒト動物種は、例えば、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、モルモット、ハムスター、マウス、及び/またはラット等であってもよく、家畜動物、愛玩動物、実験動物等の用途により限定されないが、哺乳動物であることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。
滑沢剤用組成物は、錠剤の打錠時のハンドリング性の向上、錠剤の投与時の飲みやすさの向上を目的とする組成物である。第1実施形態に係る組成物は、良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈することから、滑沢剤用組成物として好適に使用することができる。
滑沢剤用組成物は、第2実施形態で説明した1以上の機能性成分、及び/または1以上非機能性成分を含んでいてもよい。滑沢剤用組成物としての機能性の観点から、当該分野で当業者に周知の1以上の滑沢剤を含んでいることが好ましい。そのような滑沢剤の非限定的な例として、酸化チタン、炭酸カルシウム、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、グリセリン脂肪酸エステル、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、硬化油、重質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸マグネシウム、ダイズ硬化油、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ミツロウ、無水ケイ酸水和物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、およびモノステアリン酸グリセリンが挙げられる。
本実施形態に係る滑沢剤用組成物を含む滑沢剤は、例えば第2実施形態に係る医薬組成物、または医薬組成物を含む医薬の製剤において、好適に用いることができる。
本開示の例示的な実施形態及び例示的な実施形態の組み合わせの非限定的なリストを以下に開示する。
[1] 耐熱物質と、準耐熱物質と、非耐熱物質と、を含み、
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、
25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
式:y≧-2.03x + 23.623
(xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)
で表され、
タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmである、組成物。
[2] 25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)が11%~60%、12%~50%、13%~40%、18%~30%、または20%~29%である、[1]に記載の組成物。
[3] 25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)が50%以上98%以下、60%~98%、70%~98%、または90%~98%である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 25℃から200℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W200)が50%以上96%以下、60%~95%、70%~95%、または80%~95%である、[1]から[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 25℃から300℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W300)が50%以上90%以下、55%~90%、60%~88%、60%~85%、63%~80%、または65%~78%である、[1]から[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 25℃から400℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W400)が15%以上80%以下、15%~70%、16%~68%、または20%~60%である、[1]から[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 25℃から500℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W500)が12%以上70%以下、12%~60%、15%~55%、または20%~50%である、[1]から[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] (W200/W100)×100(%))が80~98、85~98、または88~97である、[1]から[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] (W300/W100)×100(%))が60~93、65~93、または67~93である、[1]から[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] (W400/W100)×100(%))が15~80である、[1]から[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] (W500/W100)×100(%))が13~60である、[1]から[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] (W600/W100)×100(%))が11~45、15~30、または17~30である、[1]から[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] 25℃から600℃に昇温した場合の起電力(X600)が-4μV~20μV、-4μV~18μV、または1μV~17μVである、[1]から[12]のいずれかに記載の組成物。
[14] 25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)が-10μV以上0μV以下、-8μV~-1μV、または-6μV~-3μVである、[1]から[13]のいずれかに記載の組成物。
[15] 25℃から200℃に昇温した場合の起電力(X200)が-10μV以上0μV以下、-8μV~-1μV、または-6μV~-2μVである、[1]から[14]のいずれかに記載の組成物。
[16] 25℃から300℃に昇温した場合の起電力(X300)が-9μV以上10μV以下、-8μV~8μV、または-7μV~5μVである、[1]から[15]のいずれかに記載の組成物。
[17] 25℃から400℃に昇温した場合の起電力(X400)が-8μV以上15μV以下、-5μV~15μV、または-3μV~10μVである、[1]から[16]のいずれかに記載の組成物。
[18] 25℃から500℃に昇温した場合の起電力(X500)が-4μV以上20μV以下、-4μV~18μV、または-2μV~14μVである、[1]から[17]のいずれかに記載の組成物。
[19] (X200/X100)×100(%))が30~170、または35~170である、[1]から[18]のいずれかに記載の組成物。
[20] (X300/X100)×100(%))が-50~200、または-50~180である、[1]から[19]のいずれかに記載の組成物。
[21] (X400/X100)×100(%))が-150~100、または-130~70である、[1]から[20]のいずれかに記載の組成物。
[22] (X500/X100)×100(%))が-250~50、または-240~40である、[1]から[21]のいずれかに記載の組成物。
[23] (X600/X100)×100(%))が-300~100、または-300~70である、[1]から[22]のいずれかに記載の組成物。
[24] タッピング見掛け密度が0.35g/cm~4.6g/cmである、[1]から[23]のいずれかに記載の組成物。
[25] 前記耐熱物質が無機物である、[1]から[24]のいずれかに記載の組成物。
[26] 無機物が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、水酸化マグネシウム、乾燥炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、Fe-Mg系ハイドロタルサイト様化合物、及びAl-Mg系ハイドロタルサイト様化合物からなる群から選択される1以上である、[25]に記載の組成物。
[27] 前記準耐熱物質が高結晶系物質である、[1]から[26]のいずれかに記載の組成物。
[28] 高結晶系物質が、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、及びキトサンからなる群から選択される1以上である、[27]に記載の組成物。
[29] 前記非耐熱物質がタンパク質及び低分子炭水化物からなる群から選択される1以上である、[1]から[28]のいずれかに記載の組成物。
[30] 低分子炭水化物がアルドース及びケトースからなる群から選択される1以上である、[29]に記載の組成物。
[31] 前記組成物中の前記耐熱物質の含有量が18重量%超であり、前記組成物中の前記準耐熱物質の含有量が72重量%未満であり、前記組成物中の前記非耐熱物質の含有量が10重量%超である、[1]から[30]のいずれかに記載の組成物。
[32] 前記組成物中の前記耐熱物質の含有量が20重量%~40重量%であり、前記組成物中の前記準耐熱物質の含有量が30重量%~70重量%であり、前記組成物中の前記非耐熱物質の含有量が10重量%~45重量%である、[31]に記載の組成物。
[33] 前記組成物中の前記耐熱物質の含有量が20重量%~40重量%であり、前記組成物中の前記準耐熱物質の含有量が35重量%~55重量%であり、前記組成物中の前記非耐熱物質の含有量が20重量%~35重量%である、[31]に記載の組成物。
[34] 前記組成物が天然由来の成分を含む、[1]から[33]のいずれかに記載の組成物。
[35]組成物が粉末組成物であり、粉末組成物に含まれる粉体粒子の平均繊維長が1μm~500μm、5μm~500μm、5μm~250μm、5μm~100μm、または5μm~50μmである、[1]から[34]のいずれかに記載の組成物。
[36]組成物が粉末組成物であり、粉末組成物に含まれる粉体粒子の平均繊維幅が1μm~500μm、5μm~500μm、5μm~250μm、5μm~100μm、または5μm~50μmである、[1]から[35]のいずれかに記載の組成物。
[37]組成物が粉末組成物であり、粉末組成物に含まれる粉体粒子のアスペクト比が1.0~100、1.0~5.0、1.0~3.0、1.0~2.0、または1.0~1.5である、[1]から[36]のいずれかに記載の組成物。
[38]組成物が粉末組成物であり、粉末組成物に含まれる粉体粒子の吸水率が200%未満、25%~150%、30%~100%、40%~80%、または50%~75%である、[1]から[37]のいずれかに記載の組成物。
[39]見掛け密度(タッピングなし)が0.3g/cm~5g/cmである、[1]から[38]のいずれかに記載の組成物。
[40]圧縮度が1.35未満、または1~1.3である、[1]から[39]のいずれかに記載の組成物。
[41]組成物を含む錠剤の水中崩壊性が1.9(分/N)未満、1.5(分/N)以下、または1.2(分/N)以下である、[1]から[40]のいずれかに記載の組成物。
[42]組成物を含む錠剤の水中崩壊時間が90分未満、30分以下、12分か~30分、または12分~15分である、[1]から[41]のいずれかに記載の組成物。
[43]湿潤粉体の摩擦力が65(gf)未満、45(gf)以下、20(gf)~60(gf)、25(gf)~55(gf)、25(gf)~50(gf)、30(gf)~45(gf)、または30(gf)~34(gf)である、[1]から[42]のいずれかに記載の組成物。
[44] 経口用である、[1]から[43]のいずれかに記載の組成物。
[45] 食品組成物である、[1]から[44]に記載の組成物。
[46] 医薬組成物である、[1]から[44]に記載の組成物。
[47] [45]に記載の組成物を含む、機能性食品。
[48] [46]に記載の組成物を含む、医薬。
[49] 錠剤の形態である、[47]に記載の機能性食品。
[50] 錠剤の形態である、[48]に記載の医薬。
以下に実施例を示して本開示を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本開示の解釈が限定されるものではない。
〔組成物〕
表1の「材料」に示す重量(g)で、小麦胚芽、酸化チタン、結晶セルロース(旭化成のセオラス(登録商標)のPH-101)、粉末セルロース(日本製紙株式会社のKCフロックW-50)オーツ麦、及び/または炭酸カルシウムを計100gになるよう混合し、実施例1~5、7~9と比較例1~6の組成物を調製した。
(実施例)
(実施例1)粉末組成物(T1)
(実施例2)粉末組成物(T2)
(実施例3)粉末組成物(T3)
(実施例4)粉末組成物(T6)
(実施例5)粉末組成物(T7
実施例7)粉末組成物(T9)
(実施例8)粉末組成物(T10)
(実施例9)粉末組成物(T11)
(比較例)
(比較例1)粉末組成物(T4)
(比較例2)粉末組成物(T5)
(比較例3)粉末組成物(T12)
(比較例4)粉末組成物(T13)
(比較例5)粉末組成物(T14)
(比較例6)粉末組成物(T15)
Figure 0007478914000001
〔組成物及び錠剤の調製〕
材料の混合物を、粗大物を粉砕する粉砕工程(ミル処理)に供した。粉砕工程後、粉体粒子の平均粒径(繊維長)を確認し、60μm未満である場合には、ジェットミル(例えば、セイシン製のジェットミル粉砕機STJ-400)を用い、流量が2kg/時間以上12kg/時間以下の条件で1回粉砕し、10μm程度に粉砕し、粉末組成物を得た。
実施例1~5、7~9及び比較例1~6の組成物について、耐熱物質の含有量を公知の灰分法により、準耐熱物質の含有量を、公知のαセルロースの定量法により測定した。非耐熱物質の含有量を、公知のホロセルロースの定量法を用いて取得した値から公知のαセルロースの測定によって取得した値を差し引くことによって取得した。
実施例1~5、7~9及び比較例1~6の組成物は、表1の「製造例」に示す配合(重量%)で耐熱物質、準耐熱物質、非耐熱物質をそれぞれ含んでいた。
また、各材料において、組成物と同様に耐熱物質、準耐熱物質、非耐熱物質を分析した結果、小麦胚芽には耐熱物質が5~25重量%含まれ、準耐熱物質が30~70重量%含まれ、非耐熱物質が25~45重量%含まれていた。オーツ麦には耐熱物質が5~20重量%含まれ、準耐熱物質が45~75重量%含まれ、非耐熱物質が20~45重量%含まれていた。結晶セルロース(旭化成のセオラス)には、耐熱物質が1~10重量%含まれ、準耐熱物質が70~98重量%含まれ、非耐熱物質が0.1~5重量%含まれていた。粉末セルロース(日本製紙株式会社のKCフロックW-50)には、耐熱物質が1~10重量%含まれ、準耐熱物質が70~90重量%含まれ、非耐熱物質が5~20重量%含まれていた。
上記実施例及び比較例の粉末組成物を用いて錠剤を調製するため、粉体粒子平均粒径(繊維長)の測定に使用した試料250mgを、臼(市橋精機社製、直径8mm)に入れ、錠剤の厚みが5mm程度に揃うように3kNで圧縮し、その応力を60分保持し、直径8mm、R12杵錠、約250mgの錠剤を作製した(圧縮機はエナパック社製、HANDTAB-100を使用した)。
〔経口組成物の評価〕
実施例及び比較例の錠剤または組成物について、以下のとおり評価を行った。
(熱重量分析)
熱分析装置(日立ハイテクサイエンス製 STA300)を用いて、試料(約10mg)の粉末組成物をN雰囲気下で10℃/minで25℃から600℃まで昇温させた際の、100℃、200℃、300℃、400℃、600℃での試料の残存重量を測定した。
試料を温度aから温度bに昇温したときの重量残存率は、温度aでの残存重量を100とした場合の温度bでの残存重量を百分率(%)で示した値である。すなわち、該重量残存率は以下の式で表される。
重量残存率(%)=100×[温度bでの残存重量(mg)]/[温度aでの残存重量(mg)]
試料を温度aから温度cに昇温したときの重量残存率(Wa→c)に対する、試料を温度aから温度bに昇温したときの重量残存率(Wa→b)の比は、式:Wa→b/Wa→cで表される。
(起電力の測定)
熱分析装置(日立ハイテクサイエンス製 STA300)を用いて、試料(約10mgの粉末組成物をN雰囲気下で10℃/minで25℃から600℃まで昇温させた際の、100℃、200℃、300℃、400℃、600℃での試料の起電力(μV)を測定した。
25℃から温度bに昇温した場合の試料の起電力(Xb)に対する、25℃から温度aに昇温した場合の試料の起電力(Xa)の比は、式:Xa/Xbで表される。
(水中崩壊性)
水中崩壊性は、単位硬度あたりの崩壊時間[水中崩壊時間(D)/錠剤硬度(N)(分/N)]で表される。
錠剤の水中崩壊性評価のため、実施例及び比較例の組成物について、上記のとおり調製した錠剤を用いた。
水中崩壊時間は、錠剤を試験管に入れ、純水20mlを加え、振とう機(往復・旋回振とう機 MMS-3020、東京理化器械製)で37℃で振動させ、崩壊時間を測定することで取得した。測定は50回行い、その平均値をその錠剤の水中崩壊時間とした。
(錠剤硬度)
錠剤硬度(N)は、硬度計(型番:KHT-40N、藤原製作所)を用いて測定した。「組成物及び錠剤の調製」の項で製造した錠剤を計測台の中央に載せて装置を起動させた(AUTO[起動]ボタンを押した)。この際、錠剤成形時の圧縮方向に対し、垂直方向の硬度を測定した。これにより、ロッドが高速下降し表示がピークホールド状態になり、測定物に接触すると低速になり約0.1秒毎に表示監視し、増加しなければ破壊と判断し、そのときに硬度計に示された硬度を錠剤硬度(N)とした。
(湿潤粉体の摩擦力)
湿潤粉体の摩擦力(gf)は、上記「水中崩壊性」の試験に供した試料の残渣を90μm(JIS規格Z8801ワイヤー)で通過し、回収し、静・動摩擦測定器(トリニティーラボ社製「ハンディートライボマスタTL201Ts」)を用いて、荷重50g、速度10mm/秒の測定条件で測定した。接触子として、5mm厚のスポンジシート(セメダイン社製「すきま用テープN-1」)に人工皮膚(ビューラックス社製「バイオスキン」)を貼り付けた接触子を使用した。
静摩擦力(gf)の結果をもとに、移動距離0mmおよび3mmの比率を以下の式により算出した。
式:移動2mmの湿潤粉体の摩擦力=100×(移動距離0mm時点の静摩擦力/移動距離3mm時点の静摩擦力)
(粉体粒子の平均繊維長及び平均繊維幅の測定)
実施例及び比較例の組成物の粉末試料1gについて、極端に粗大な繊維や凝集した繊維を取り除くため、水分を2~3%に調整した試料を用いて、JIS試験用ふるい(東京スクリーン社製:710μm)を用いて分級した。分級した試料を光学顕微鏡下(倍率:100倍)で無作為に選択し、サイズが大きい100個、サイズが小さい100個を除いた1000個について、粉体粒子の繊維長(繊維方向の長さ)及び繊維幅(繊維に垂直な方向の長さ)を測定し、その平均値を算出した。
(粉体粒子のアスペクト比)
実施例及び比較例の組成物の粉体粒子のアスペクト比の取得のため、上記のとおり顕微鏡下で測定することにより取得した、1000個の粉体粒子の繊維長と繊維幅を用い、繊維長/繊維幅を算出し、その平均値を求めた。
(タッピング見掛け密度)
実施例及び比較例の組成物の粉体粒子のタッピング見掛け密度は、市販の粉体物性測定機(ホソカワミクロン製、パウダーテスターPT-T型)を用いて測定した。具体的には、組成物に含まれる全ての粉体粒子を100cmカップに充填し、1分間あたり250回タッピングした後、カップの体積を、カップに充填された粉体試料の重量を、該粉体試料の体積で除して求めた。
(見掛け密度(タッピングなし))
組成物の見掛け密度(タッピングなし)は、100cmのガラス製メスシリンダーに、組成物の定量フィーダーなどを用いて、2~3分かけて粗充填した上で、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平にならしその容積を読みとり、粉体試料の重量を容積で除して求めた。粉体の重量は容積が70~100cm程度になるように適宜決定した。
(粉体粒子の吸水率)
実施例及び比較例の組成物に含まれる粉体粒子の吸水率は、粉体粒子2gを容器に入れ、水を滴下し均等に混合したときに、目視により繊維からの離水の発生が確認される直前の水量を測定した。n=100の平均値を取得した。
(舌触り官能試験)
成人男性30人、成人女性30人により評価した。錠剤を口腔内に入れ、舌で転がしながら錠剤を崩壊させ、錠剤が完全に崩壊した後の粉っぽい舌触りを評価した。この60人の1~4点による4段階評価の平均値を、各実施例及び比較例の評価点とした。
結果は以下の判定基準により評価された。
1: 粉っぽさを非常に感じる
2: 粉っぽさを感じる
3: 粉っぽさを僅かに感じるものの、粉っぽさを感じない程度にしっとりしている
4: 粉っぽさを感じない
(圧縮度)
圧縮度は、上記で説明した「タッピング見掛け密度」を「見掛け密度(タッピングなし)」で除して算出した。
(重量残存率(y)の関数式)
25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)を、25℃から600℃に昇温した場合の起電力(x)を用いた関数により示した。
まず、表2に示される、実施例及び比較例の組成物について25℃から600℃に昇温した場合の重量残存率をプロットした。
図1に示すように、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上(直線Aよりも上側)であり、且つ25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上(直線Bよりも右側)に位置する実施例1~5、7~9(T1~T3、T6~T7、T9~T11)は、水中崩壊性が1.2(分/N)以下であり、すなわち良好な水中崩壊性を呈していた。さらに、これらの組成物は、湿潤粉体の摩擦力が45(gf)以下であり、且つ舌触り官能試験の評価が3または4であり、良好な舌触りを有していた。
しかしながら、直線Aよりも上側且つ直線Bよりも右側の範囲には、上記のような良好な水中崩壊性及び良好な舌触りの効果の低い、比較例3~6(T12~T15)が含まれていた。実際の組成物の製造時に上記所望の効果の得られるものと得られないものとの判別が困難を容易にするために、効果が得られるものと得られないものとを区別する境界線として、T2(実施例2)とT7(実施例5)を基準に「式:y≧-2.03x + 23.623」を規定した。
この式を基準にして、効果の得られないものまたは低いものを有効に排除することができた。直線A、直線B、及び「式:y≧-2.03x + 23.623」の直線で取り囲まれた範囲外が除外されるため、良好な水中崩壊性と良好な舌触りを有する組成物を容易に判別することができる。「式:y≧-2.03x + 23.623」は直線であるため、判別が容易であり、組成物の効果の有無の判別がより容易となった。
〔評価結果〕
(熱重量分析)
表2に示すとおり、25℃から100℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、重量残存率が95%以上であった。25℃から100℃に昇温した場合の重量減少は、錠剤または粉末組成物に吸着した水の減少によるものであり、残存物は水を除く錠剤または粉末組成物である。
25℃から200℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、重量残存率が85%以上であった。実施例では、重量残存率が85%~93%であった。特に、20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例(実施例2及び3)では、重量残存率が92%~93%であった。一方、比較例では、重量残存率が96%以上であった。
25℃から300℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、重量残存率が65%以上であった。実施例では、重量残存率が65%~88%であった。特に、20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、重量残存率が72%~73%であった。一方、比較例では、重量残存率が91%以上であった。
25℃から400℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、重量残存率が9%以上であった。実施例では、重量残存率が16%~66%であった。特に、20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、重量残存率が28%~30%であった。一方、比較例では、重量残存率が9%~33%であった。
25℃から500℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、重量残存率が7%以上であった。実施例では、重量残存率が15%~41%であった。特に、20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、重量残存率が21%~23%であった。一方、比較例では、重量残存率が7%~31%であった。
25から600℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、重量残存率が6%以上であった。実施例では、重量残存率が13~40%であった。特に、20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、重量残存率が20%~21%であった。一方、比較例では、重量残存率が6~29%であった。
Figure 0007478914000002
表3に、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から200℃、300℃、400℃、500℃、600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(Wd(d=200、300、400、500または600))の百分率による数値((Wd/W100)×100(%))を示す。
例えば、25℃から100℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(W600)の百分率による数値((W600/W100)×100(%))は、実施例では14~42であった。
Figure 0007478914000003
(起電力の評価)
表2に示すとおり、25℃から100℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、起電力が-6μV~-2μVであった。実施例では、起電力が-6μV~-4μVであった。特に、20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、起電力が-5μV~-4μVであった。一方、比較例では、起電力が-2μV~-1μVであった。
25℃から200℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、起電力が-6μV~-2μVであった。実施例では、起電力が-6μV~-2μVであった。20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、起電力が-6μV~-4μVであった。一方、比較例では、起電力が-3μV~-2μVであった。
25℃から300℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、起電力が-8μV~+3μVであった。実施例では、起電力が-2μV~+3μVであった。20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、起電力が-6μV~-2μVであった。一方、比較例では、起電力が-8μV~-5μVであった。
25℃から400℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、起電力が-9μV~+8μVであった。実施例では、起電力が-2μV~+8μVであった。20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、起電力が-2μV~-1μVであった。一方、比較例では、起電力が-9μV~-7μVであった。
25℃から500℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、起電力が-8μV~+14μVであった。実施例では、起電力が-2μV~+14μVであった。20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、起電力が-2μV~+1μVであった。一方、比較例では、起電力が-8μV~-4μVであった。
25℃から600℃まで昇温した場合、実施例及び比較例の全ての組成物において、起電力が-6μV~+17μVであった。実施例では、起電力が-3μV~+17μVであった。20%の高純度セルロース粉末が混合されている実施例では、起電力が+1μV~+5μVであった。一方、比較例では、起電力が-6μV~+2μVであった。
表4に、25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から200℃、300℃、400℃、500℃、600℃に昇温した場合の起電力(Xd(d=200、300、400、500または600))の百分率による数値((Xd/X100)×100(%))を示す。
例えば、25℃から100℃に昇温した場合の起電力(X100)に対する、25℃から600℃に昇温した場合の起電力(X600)の百分率による数値(X600/X100)×100(%))は、実施例では-284~62であった。
Figure 0007478914000004
(水中崩壊性)
実施例と比較例の組成物についての水中崩壊性の値を表2に示す。
実施例では、水中崩壊性は1.9(分/N)未満であった。
実施例の組成物の錠剤は、水中崩壊性は1.9(分/N)未満であったことにより、良好な口腔内崩壊性を呈し、これにより、嚥下中の組成物の良好な通過の効果が得られ、すなわち飲みやすい錠剤であった。
(湿潤粉体の摩擦力)
実施例と比較例の組成物についての湿潤粉体の摩擦力の値を表2に示す。
実施例では、湿潤粉体の摩擦力は65(gf)未満であった。
実施例の組成物は、湿潤粉体の摩擦力が65(gf)未満であることにより、錠剤の崩壊ペーストまたは粉末組成物のペーストの良好な舌触りを呈していた。
(粉体粒子の長径及び短径の平均値の測定)
実施例と比較例の組成物についての粉体粒子(繊維)の長径及び短径の値を表2に示す。
実施例では、粉体粒子(繊維)の長径は10~11μm、短径は10~11μmであった。このような長径及び短径を有することにより、本開示に係る組成物を用いて錠剤形態に調製する場合に適度な密着性を発揮し易く、且つ/または調製された錠剤が良好な水中崩壊性及び/若しくは良好な湿潤粉体の摩擦力を呈するものとし易くなる。
(粉体粒子のアスペクト比)
実施例と比較例の組成物についての粉体粒子のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)を表2に示す。
実施例では、アスペクト比は1.0~1.1であった。組成物に含まれる粉体粒子がこのようなアスペクト比を有することにより、本開示に係る組成物が良好な水中崩壊性、及び良好な湿潤粉体の摩擦力を呈しやすくなる。また、組成物に含まれる粉体粒子が同数であるとき、アスペクト比が1.0により近いことにより、体積がより小さくなり易い。組成物を用いて医薬、食品、化粧品等の製品を加工または製造する工程での機器内での詰まりのリスクを低減し易い。これらの各効果は、アスペクト比が1.0に近いことにより、の粉体粒子の繊維同士の摩擦が小さくなり易いことによる効果であると推測される。
(タッピング見掛け密度)
実施例と比較例の組成物のタッピング見掛け密度を表2に示す。
実施例では、0.35g/cm~4.6g/cmであった。組成物がこのようなタッピング見掛け密度を有することにより、組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなるため、生産性を向上させ易くなる。
(見掛け密度(タッピングなし))
実施例と比較例の組成物の見掛け密度(タッピングなし)を表2に示す。
実施例では、0.32g/cm~4.2g/cm未満であった。組成物がこのような見掛け密度(タッピングなし)を有することにより、組成物を組成物袋や錠剤の成型機に充填し易くなり、生産性を向上させ易くなる。
(粉体粒子の吸水率)
実施例と比較例の組成物についての粉体粒子吸水率(粉体吸水率)を表2に示す。
実施例の組成物の粉体吸水率は、75%以下であった。
組成物において、粉体粒子の吸水率が低い場合、粉体粒子が膨張しにくいため、粉体粒子同士がほぐれやすく、組成物を含む錠剤の水中崩壊性が良好になり易い。本開示に係る組成物の粉体粒子の吸水率が75%以下であることにより、該粉体粒子により構成される組成物を含む錠剤の水中崩壊性が良好であった。
(圧縮度)
実施例と比較例の組成物についての圧縮度を表2に示す。
実施例の組成物の圧縮度は、1.09~1.25であった。組成物がこのような圧縮度を有することにより、組成物に振動を与えた場合に組成物が圧縮されにくく、組成物を包装した袋の形状が変化しにくくなる。これによって、組成物を包装した袋の積載がし易くなり、運搬がし易くなる。
(舌触り官能試験)
実施例と比較例の組成物の錠剤の舌触り官能試験の結果を表2に示す。
実施例の組成物の舌触り官能試験の評価は3(3: 粉っぽさを僅かに感じるものの、粉っぽさを感じない程度にしっとりしている)または4(4: 粉っぽさを感じない)であった。
実施例の組成物は、良好な舌触りを有していることが明らかになった。
(水中崩壊性及び湿潤粉体の摩擦力と、組成物の特徴との関係)
以上の結果から、少なくとも、組成物が、本開示に係る組成物(1-1)~(1-6)、(2-1)~(2-5)、(3-1)~(3-6)、(4-1)~(4-5)、(5)及び/または(6)の特徴を備える組成物である場合、良好な水中崩壊性と、良好な湿潤粉体の摩擦力を呈することが見出された。
なお、各重量残存率は、[1]耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質の熱に対する耐熱性の程度や、[2]組成物における、耐熱物質、準耐熱物質、及び非耐熱物質の含有量、などを総合的に示す指標である。各重量残存率について、組成物中に無機物等、高密度の耐熱物質が十分に含まれる場合(すなわち、繊維質が少ない)、繊維凝集が少なく、錠剤にした際の舌触りが滑らかになり易かった。また、そのような組成物では、繊維凝集が少ないことから錠剤にした際の水中崩壊性にも優れていた。
また、起電力は、吸発熱の程度の指標であり、起電力について、特定の比率になること、すなわち、組成物の結晶、非結晶のバランスを調整することで、たとえば高結晶成分特有の剛直繊維を低減でき、組成物間の摩擦を抑制につながっており、錠剤にした際に良好な舌触りを呈し易かった。さらに、過度に高結晶成分を増加させないことで、剛直繊維を低減でき、繊維凝集抑制、錠剤の水中崩壊性に寄与できた。
以上を組み合わせることで、より舌触りの良さや、水中崩壊性に関する効果を発揮できことが明らかになった。
本実施形態の組成物は良好な水中崩壊性、及び/または良好な湿潤粉体の摩擦力を呈するため、そのような特性が所望される食品用、医薬用、化粧品用等の組成物として好適に用いることができ、産業上の利用可能性を有している。

Claims (14)

  1. 耐熱物質と、準耐熱物質と、非耐熱物質とを含み、
    25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、
    25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、
    25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
    式:y ≧-2.03x + 23.623
    (xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)
    で表され、
    タッピング見掛け密度が0.3g/cm~5g/cmである、組成物。
  2. 25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上60%以下である、請求項1に記載の組成物。
  3. 25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上20μV以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 経口用である、請求項1に記載の組成物。
  5. 食品組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
  6. 医薬組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
  7. 耐熱物質と、準耐熱物質と、非耐熱物質とを含み、
    25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、
    25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、
    25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
    式:y ≧-2.03x + 23.623
    (xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)
    で表され、
    タッピング見掛け密度が0.3g/cm ~5g/cm である、機能性食品。
  8. 25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上60%以下である、請求項7に記載の機能性食品。
  9. 25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上20μV以下である、請求項7又は8に記載の機能性食品。
  10. 耐熱物質と、準耐熱物質と、非耐熱物質とを含み、
    25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上であり、
    25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上であり、
    25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率(y)が、
    式:y ≧-2.03x + 23.623
    (xは25℃から600℃に昇温した場合の起電力を表す)
    で表され、
    タッピング見掛け密度が0.3g/cm ~5g/cm である、医薬。
  11. 25℃から600℃に昇温した場合に熱重量分析により求められる重量残存率が11%以上60%以下である、請求項10に記載の医薬。
  12. 25℃から600℃に昇温した場合の起電力が-4μV以上20μV以下である、請求項10又は11に記載の医薬。
  13. 錠剤の形態である、請求項に記載の機能性食品。
  14. 錠剤の形態である、請求項10に記載の医薬。
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