JP5725663B2 - 酵素阻害剤 - Google Patents
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また、例えば、タラノキおよびビンロウジからなる群より選ばれる少なくとも1つの植物あるいは生薬の抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤(特許文献1参照)が報告されている。
従って、本発明の課題は、安全でかつ強い酵素阻害作用を有するヒアルロニダーゼ阻害剤及びエラスターゼ阻害剤を提供することにある。
[1]カラメルを有効成分とする酵素阻害剤。
[2]ヒアルロニダーゼ阻害剤である[1]記載の酵素阻害剤。
[3]エステラーゼ阻害剤である[1]記載の酵素阻害剤。
[4]カラメルが、カラメルI、カラメルII及びカラメルIVから選ばれる1種又は2種以上である[2]記載の酵素阻害剤。
[5]カラメルが、カラメルII及びカラメルIVから選ばれる1種又は2種である[3]記載の酵素阻害剤。
カラメルは、暗褐色から黒色の液体または粉末で、特有の風味を有し、水に溶けやすく、油脂や有機溶媒には溶けない。カラメル水溶液は、淡褐色から黒褐色を示し、熱や光に対して安定である。
カラメルについては、変異原性試験、反復投与毒性試験、発がん性試験等多くの試験が行なわれ、安全性に問題がないことが報告されており、すでに安全性が確認されている。
着色料としてのカラメルは、食品添加物公定書ではその製法に応じて、カラメルI(CaramelI(plain))、カラメルII(CaramelII(caustic sulfite process))、カラメルIII(CaramelIII(ammonia process))及びカラメルIV(CaramelIV(sulfite ammonia process))に分類される。食品添加物公定書(第8版食品添加物公定書)における、カラメルI、カラメルII、カラメルIII、カラメルIVの定義は以下の通りである。
本品は、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物を、熱処理して得られたもの、又は酸若しくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物及びアンモニウム化合物を使用していないものである。
本品は、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物に、亜硫酸化合物を加えて、又はこれに酸若しくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、 アンモニウム化合物を使用していないものである。
本品は、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物に、アンモニウム化合物を加えて、又はこれに酸若しくはアルカリを加えて熱処理して得られたもので、亜硫酸化合物を使用していないものである。
本品は、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物に、亜硫酸化合物及びアンモニウム化合物を加えて、又はこれに酸若しくはアルカリを加えて熱処理して得られたものである。
確認試験(1)
本品の水溶液(1→100)は、淡褐〜黒褐色を呈する。
確認試験(2)
あらかじめ測定する吸光度が約0.5になるように本品を量り、0.025mol/L塩酸を加えて正確に100mlとし、必要があれば遠心分離し、その上澄液を用い、A液とする。A液20mlを量り、弱塩基性ジエチルアミノエチル−セルロース陰イオン交換体0.20g(0.7meq/g交換容量、セルロース交換容量に比例して使用量を調整する)を加えてよく振り混ぜた後、遠心分離し、上澄液をとり、B液とする。A液及びB液を0.025mol/L塩酸を対照とし、液層の長さ1cmで波長560nmにおける吸光度AA及びABを測定するとき、(AA−AB)/AAは0.75以下を示す。
確認試験(3)
本品0.20〜0.30gを量り、0.025mol/L塩酸を加えて正確に100mlとし、必要があれば遠心分離し、その上澄液を用い、C液とする。C液40mlを量り、強酸性リン酸化セルロース陽イオン交換体2.0g(0.85meq/g交換容量、セルロース交換容量に比例して使用量を調整する)を加えてよく振り混ぜた後、遠心分離し、上澄液をとり、D液とする。C液及びD液を0.025mol/L塩酸を対照とし、液層の長さ1cmで波長560nmにおける吸光度AC及びADを測定するとき、(AC−AD)/ACは0.50以下を示す。
確認試験(1)
本品の水溶液(1→100)は、淡褐〜黒褐色を呈する。
確認試験(2)
「カラメルI」の確認試験(2)を準用する。ただし、その値は0.50以上である。
確認試験(3)
本品0.10gを量り、水を加えて正確に100mlとし、必要があれば遠心分離し、その上澄液を用い、A液とする。A液5mlを量り、水を加えて正確に100mlとし、B液とする。A液を水を対照とし、液層の長さ1cmで波長560nmにおける吸光度AAを、又B液を水を対照とし、液層の長さ1cmで波長280nmにおける吸光度ABをそれぞれ測定するとき、AB×20/AAは50以上を示す。
確認試験(1)
本品の水溶液(1→100)は、淡褐〜黒褐色を呈する。
確認試験(2)
「カラメルI」の確認試験(2)を準用する。ただし、その値は0.50以下である。
確認試験(3)
「カラメルI」の確認試験(3)を準用する。ただし、その値は0.50以上である。
確認試験(1)
本品の水溶液(1→100)は、淡褐〜黒褐色を呈する。
確認試験(2)
「カラメルI」の確認試験(2)を準用する。ただし、その値は0.50以上である。
確認試験(3)
「カラメルII」の確認試験(3)を準用する。ただし、その値は50以下である。
本発明において、酵素がエラスターゼであるときの酵素阻害剤におけるカラメルは、カラメルII及びカラメルIVから選ばれる1種又は2種が好ましく、より好ましくはカラメルIVである。
また、生体内のヒアルロン酸は、通常の状態ではヒアルロン酸合成酵素と分解酵素の活性の平衡が保たれている。老化に伴いこの平衡が失われ、ヒアルロン酸の合成に対してヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ活性が亢進され、組織の柔軟性や湿潤性も失われ、皮膚のシワやタルミ等の皮膚老化を引き起こす。
したがって、ヒアルロニダーゼ阻害剤は、抗アレルギー、抗炎症、皮膚老化防止、免疫力増強等に用いることができる。
また、エラスチンは、新陳代謝において合成、分解の平衡が保たれることで恒常的に保持されている。エラスターゼが紫外線や加齢によって活性化されることにより、皮膚に存在するエラスチンを分解し、皮膚のシワやタルミ等の老人性変化を引き起こす。
したがって、エラスターゼ阻害剤は、皮膚老化防止剤として有用である。
本発明の酵素阻害剤は、該カラメルをそのまま使用することもでき、公知の賦形剤や希釈剤、又は、他の任意の配合材料とともに混合して、溶液、粉末、顆粒状、ペースト状又は乳化物等の形態として製剤化して使用することができ、添加対象とする製品の性状や工程などに合せて最も効果が期待できる剤型に加工することができる。
また、本発明の酵素阻害剤は、該カラメルと他の成分との混合形態であってもよく、そのような成分としては、本発明の酵素阻害剤の効果を損なわないものであって、飲料、食品、化粧品、医薬部外品又医薬品の加工やその機能等に対して好ましい効果を有するものを使用することができる。さらに、本発明の酵素阻害剤の有効成分である該カラメルは、目的とする効果、使用方法から添加量、濃度を算出し使用すればよい。
本発明の酵素阻害剤を含有するこれらの飲料又は食品には、ビタミン類、動植物抽出物、抗酸化性成分等の機能性成分、生理活性物質又は既知の他の抗アレルギー成分等を適宜配合して用いることができる。
本発明の酵素阻害剤を含有する、これらの飲料又は食品を摂取することにより、アレルギー症の改善、免疫力の向上等をすることができる。
また、本発明において、有効成分であるカラメルのヒアルロニダーゼ阻害活性又はエラスターゼ阻害活性のIC50に基づいて、カラメルを有効成分とする酵素阻害剤の飲料、食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品等への配合量を決めることもできる。
酵素阻害活性の有効成分であるカラメルについて、以下のカラメルを用いて食品添加物公定書記載の定義及び確認試験により試験照合した。試験の結果、表1記載のように分類された。
(1)プレインカラメルで標準的砂糖製カラメル
例として、「カラメルS」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(2)プレインカラメルで砂糖製カラメル
例として、「カラメルS−239」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(3)プレインカラメルでブドウ糖製カラメル
例として、「カラメルS−710」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(4)コーステイックサルファイトカラメル
例として、「カラメル試作品A」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(5)サルファイトアンモニアカラメルで耐酸性・耐塩性カラメル
例として、「カラメルRB」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(6)サルファイトアンモニアカラメルで耐酸性シングルストレングスカラメル
例として、「カラメルCD」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(7)サルファイトアンモニアカラメルで耐酸性ミドルストレングスカラメル
例として、「カラメルCN」(液体、池田糖化工業株式会社製)
(8)サルファイトアンモニアカラメルで耐酸性ダブルストレングスカラメル
例としてカラメルBC−2」(液体、池田糖化工業株式会社製)
[ヒアルロニダーゼ阻害活性の測定]
本発明の酵素阻害剤の有効成分であるカラメルについて上記カラメルを試料として、ヒアルロニダーゼ阻害活性を測定した。
ヒアルロニダーゼ(type IV-S from Bovine testis、Sigma社製)溶液の25μl(4,500unit/ml;0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解)に試料50μlを加えて、37℃20分間放置した。次に酵素活性化剤(Compound 48/80、Sigma社製)溶液(0.5mg/ml;0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解)50μlを加え、37℃で20分間放置した後、基質であるヒアルロン酸カリウム(from rooster comb、和光純薬工業株式会社製)溶液(0.8mg/ml;0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解)125μlを入れ、37℃で40分間放置した。次いで0.4N水酸化ナトリウム溶液50μlを加えて反応を停止させた後、0.8Mホウ酸溶液50μlを加え、沸水中で3分間加熱した。室温まで冷却後、1%p−ジメチルアミノベンズアルデヒド酢酸溶液1.5mlを加え、37℃で20分間放置した後、585nmにおける吸光度(A)を測定した。なお、試料はそれぞれ0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)に溶解し、固形物換算で0.5mg/ml、0.25mg/ml、0.1mg/mlの終濃度となるように作成した。上記とさらにそれぞれの場合について酵素を添加せずに蒸留水を加えて同様にして吸光度(B)、(D)の測定を行った。対照として、ヒアルロニダーゼに対する阻害活性を持つことが知られている食用野草であるヨモギ末を用いた。阻害率(%)は、次式により算出しその結果を表2に示し、それぞれの阻害曲線から50%阻害濃度(IC50)を求めその結果を表3に示した。
ヒアルロニダーゼ阻害率(%)=100−100×[(A−B)/(C−D)]
B:試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度
[エラスターゼ阻害活性の測定]
本発明の酵素阻害剤の有効成分であるカラメルについて、上記カラメルを試料として、エラスターゼ阻害活性を測定した。
ブタ膵臓由来エラスターゼ(和光純薬工業株式会社製)および合成基質スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−アラニン−p−ニトロアニリド)(ナカライテスク株式会社製)を用いて評価した。基質をジメチルスルホキシドで0.1Mに調整し、使用時に、0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.8)で100倍希釈した1mM溶液を使用した。酵素は0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.8)で0.05unit/mlに調製した。基質100μlを酵素50μlおよび試料50μlとともに37℃で30分間反応させ、その後、吸光度405nmで測定した。なお、試料はそれぞれ0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.8)に溶解し、固形物換算で0.63mg/ml、0.31mg/ml、0.16mg/mlの終濃度となるように作成した。上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに緩衝液を添加して行った。さらにそれぞれの場合について酵素を添加せずに緩衝液を加えて同様の操作と測定を行った。対照として、エラスターゼに対する阻害活性を持つことが知られているビワ葉抽出物末(市販品)を試験に用いた。阻害率(%)は、次式により算出しその結果を表4に示した。
エラスターゼ阻害率(%)=100−100×[(A−B)/(C−D)]
A:試料溶液添加、酵素溶液添加時の吸光度
B:試料溶液添加、酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加、酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加、酵素溶液無添加時の吸光度
次の配合例で、本発明品の酵素阻害剤を配合した清涼飲料水を常法により製造した。
本発明品(実施例1:カラメルCD) 0.4g(質量部)
ステビア 0.018g
(ハイステビアRA−700M、池田糖化工業株式会社製)
エリスリトール 2.0g
アスコルビン酸 0.1g
アスコルビン酸ナトリウム 0.04g
香料 微量
精製水 適量
合計 100ml
ゼラチンカプセルにカラメルS−710をスプレードライヤーにより粉末化した本発明品の酵素阻害剤200mgを充填し、キャップ部を結合し、抗アレルギー用食品とするカプセル剤を調製した。
カラメルCN100重量部にデキストリン40重量部を配合してスプレードライヤーにより粉末化した本発明品の酵素阻害剤を、次の配合例により、湿式造粒し、打錠して1粒1gの錠剤を得た。
本発明品 350(質量部)
乳糖 470
結晶セルロース 140
ヒドロキシプロピルセルロース 30
ステアリン酸マグネシウム 1
タルク 9
次の配合例で、本発明品の酵素阻害剤を配合したO/W型クリームを常法により製造した。
(成分及び重量%)
本発明品(実施例1:カラメルS−239) 0.5
ステアリルアルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
1,3−ブチレングリコール 6.0
PEG1500 4.0
ポリエキシエチレン(25)
セチルアルコールエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
防腐剤 適量
酸化防止剤 適量
香料 適量
精製水 53.5
次の配合例で、本発明品の酵素阻害剤を配合したシャンプーを常法により製造した。
(成分及び重量%)
本発明品(実施例1:カラメルCD) 0.5
ラウリルポリオキシエチレン(3)硫酸エステル 30.0
ナトリウム塩(30%水溶液)
ラウリル硫酸エステルナトリウム塩(30%水溶液) 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
グリセリン 1.0
香料 適量
防腐剤 適量
金属イオン封鎖剤,pH調整剤 適量
精製水 55.0
Claims (5)
- カラメルを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤。
- カラメルを有効成分とするエラスターゼ阻害剤。
- カラメルが、カラメルI、カラメルII及びカラメルIVから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。
- カラメルが、カラメルII及びカラメルIVから選ばれる1種又は2種である請求項2記載のエラスターゼ阻害剤。
- カラメルが、カラメルIVである請求項1〜4のいずれか1項に記載の阻害剤。
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