JP7473174B2 - 杭の免震構造 - Google Patents

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本発明は、鋼管杭などの杭と基礎梁やフーチングンなどの基礎部との間に設けられる杭の免震構造に関するものである。
基礎梁やフーチングなどの基礎部と杭頭とを接続する際に、一方の接触面を凹状に成形し、他方の接触面を凸状に成形して、凹凸を嵌め合わせることで杭頭に免震構造を設けることが知られている(特許文献1など参照)。この特許文献1に開示された免震用杭頭部材は、小規模の一般住宅用として、杭頭と基礎部とに設けられた凹凸を嵌合させる構造となっている。
特開2003-27502号公報
しかしながら、特許文献1に開示された免震用杭頭部材は、凹凸の曲率が合致しているため、水平方向のすべりは起きないものと考えられる。このため、免震の接続構造となっているかは疑問が残る。
そこで、本発明は、簡単な構造で確実に免震機能を発揮させることができるうえに、地震の規模に応じて変位を制御することが可能な杭の免震構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の杭の免震構造は、杭と基礎部との間に設けられる杭の免震構造であって、前記基礎部側に下向きの凹状に形成される皿部と、前記杭の杭頭に設けられて前記皿部の下面に接触させる杭頭接触部とを備え、前記皿部の下面には、中央に平面状の平坦部と、その周囲に下がり勾配の曲面部とが設けられており、前記杭頭接触部は、前記皿部の下面に対して、滑面接触、線接触又は点接触することを特徴とする。
ここで、前記平坦部は平面視円形に形成されており、前記曲面部は前記平坦部の周囲を囲む環状に形成されている構成とすることができる。また、前記曲面部は、指数関数によって表される曲面に形成されていることが好ましい。
さらに、前記杭頭接触部は、前記杭頭の外縁付近に環状に形成されるとともに、上端面が滑面に形成されている構成とすることができる。
このように構成された本発明の杭の免震構造は、杭頭に設けられた杭頭接触部を、基礎部側に下向きの凹状に形成された皿部の中央の平坦部に接触させる。また、この平坦部の周囲には、下がり勾配の曲面部が設けられている。そして、杭頭接触部は、皿部の下面に対して、滑面接触、線接触又は点接触するように形成されている。
このように皿部の平面状の平坦部に滑面接触、線接触又は点接触した状態の杭頭接触部は、静的摩擦力を超えない小さな水平力に対しては相対的な移動をせず、地震力が大きくなるに従って、スムーズに水平方向のすべりが発生して免震機能を発揮させることができる。
さらに、地震の規模が大きくなって杭頭接触部が平坦部の端縁まで移動すると、下がり勾配の曲面部と接触することになって抵抗が増加し、すべり変位の増加が大きくなり過ぎないように制限することができる。すなわち、簡単な構造で確実に免震機能を発揮させることができるうえに、地震の規模に応じて変位を制御することができる。
また、平坦部が平面視円形に形成されて、曲面部が平坦部の周囲を囲む環状に形成されていれば、地震波がいずれの方向から伝搬してきても、適切に免震機能を発揮させることができる。
さらに、曲面部が指数関数によって表される曲面に形成されていれば、外縁に近づくほどすべりが減速されて、設定以上の相対変位の発生を防ぐことができる。また、杭頭接触部を、杭頭の外縁付近に環状に上端面が滑面となるように形成することで、耐久性に優れた安定したすべり構造を簡単に設けることができる。
本実施の形態の杭の免震構造の構成を示した説明図である。 杭の免震構造を構成する皿部を見上げて示した斜視図である。 皿部の曲面部を形成する曲線を例示した説明図である。 杭の免震構造を構成する杭頭接触部を説明する図であって、(a)は斜視図、(b)は底面図である。 本実施の形態の杭の免震構造の目標性能を説明する図であって、(a)は絶対加速度応答スペクトルを使った説明図、(b)は相対変位応答スペクトルを使った説明図である。 実施例1の杭の免震構造の構成を示した説明図である。 実施例2の杭の免震構造の構成を示した説明図である。 実施例3の杭の免震構造の構成を示した説明図である。 実施例3の杭の免震構造の性能を図解するための説明図である。 実施例3の杭の免震構造を構成する杭頭接触部を示した平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の杭の免震構造1の構成を説明するための図である。また、図2-図4は、杭の免震構造1を構成する皿部2と杭頭接触部4の詳細を説明するための図である。
本実施の形態の杭の免震構造1が頭部に設けられる杭としての鋼管杭Pは、円筒形の鋼製管材によって形成される。また、鋼管杭Pの杭頭P1は、基礎梁やフーチングや建物の床版などの基礎部Mに接続される。鋼管杭Pは、中空であってもよいが、内空にコンクリートを充填することもできる。
基礎部Mは、鋼管杭Pの上に載せられて下方から支持されることになるが、鋼管杭Pと基礎部Mとの間には、本実施の形態の杭の免震構造1が杭頭接続構造として設けられる。杭の免震構造1を介して鋼管杭P上に設置された基礎部Mは、地震時に鋼管杭Pとの間で相対変位(水平移動)が生じることになる。この相対変位を生じさせることによって、免震機能を発揮させることができる。
この杭の免震構造1は、図1に示すように、基礎部M側に固定されて下向きの凹状に形成される皿部2と、鋼管杭Pの杭頭P1に設けられる杭頭接触部4とによって主に構成される。この杭頭接触部4は、皿部2の下面20に接触した状態になる。
皿部2には、図1及び図2に示すように、中央に平面状に形成される平坦部21と、その周囲に形成される下がり勾配の曲面部22とが設けられる。平坦部21は平面視円形に形成されており、曲面部22は平坦部21の周囲を囲む環状に形成される。
皿部2は、鋼板を椀状に成形加工したり、鋳物によって所望の形状に成型したりすることができる。また、皿部2の下面20は、四フッ化樹脂などのフッ素樹脂塗料を塗布するなどして滑面に加工する。
曲面部22は、様々な形状の曲面によって形成することができる。図3には、曲面部22の曲面の断面となる曲線を例示した。図示した曲面部22の断面を示す曲線は、いずれも以下の指数関数の式によって表される。
v = aebu
ここで、uは平坦部21と曲面部22との境界からの水平距離(cm)、vは平坦部21の高さを基準とした下向きの鉛直距離(cm)、aとbは定数を示す。また、実際に適用する際には、次式のように原点を修正することもできる。
v = aebu - a
また、図3に「極小」、「小」、「中」、「大」と示した凡例は、曲面部22の大きさ(サイズ)を示している。本実施の形態の杭の免震構造1は、戸建て住宅などの小規模建物からビルなどの中規模建物や大規模建物にも適用することができるが、その際に使用される皿部2及び曲面部22の大きさや形状は、それらの建物の設計に合わせて決定される。例えば杭径で言えば、直径40mmから1000mm程度の鋼管杭Pに対して適用することができる。
例えば、「極小」は直径が90mm未満の鋼管杭Pに対して用いられる皿部2の曲面部22の曲線を表している。また、「小」、「中」、「大」は、直径が90mm以上の鋼管杭Pに対して用いられる皿部2の曲面部22の曲線を表している。
さらに図示していないが、直径が800mm以上の鋼管杭Pに対しては、水平距離uが60cm程度、鉛直距離vが20cm程度となる「極大」の曲線を、曲面部22の曲面として設定することができる。一般の免振構造であるゴム支承が適用されるようなビルなどの大規模建物であれば、最大水平変位が60cm程度まで許容されるので、このような「極大」の曲面部22が形成された皿部2を使用することもできる。
指数関数の曲線で表される曲面部22は、平坦部21との境界から皿部2の外縁に向けて、皿部2の外縁にいくほど勾配が大きくなる。このように皿部2の外縁に近づくほど曲面の傾きが大きくなるということは、皿部2の中心側から外縁に向けて徐々に下がり勾配が大きくなっていくということである。
一方、杭頭接触部4は、図1及び図4に示すように、杭頭P1に載せられる蓋状部材で、鋼管杭Pの上端面に沿って設けられる鍔部41と、鋼管杭Pの開口に挿入される凹部42とを備えている。また、必要に応じて、凹部42の周面から複数のヒレ部43が張り出される。
詳細には、図4(a)に示すように、鍔部41は平板の円環状に形成されて、上端面411は、四フッ化樹脂などによって滑面に加工される。凹部42は、鍔部41と一体に製作される部分で、底のある逆截頭円錐形状に形成される。
一方、ヒレ部43は、図4(b)の杭頭接触部4の底面図に示すように、凹部42の周面下部に、周方向に間隔を置いて例えば3つ設けられる。平面視円弧状に形成されるヒレ部43は、張出量が凹部42の周面と鋼管杭Pの内周面との離隔より大きくなっていて、図1に示すようにヒレ部43の先端は鋼管杭Pの内周面に接触する。この接触によって、凹部42の中心が杭軸Cと一致しやすくなって、杭頭接触部4に水平力が作用してもぶれるの抑えることができる。
このように形成された杭頭接触部4の鍔部41の上端面411は、皿部2の下面20との間で円環帯状の滑面同士の接触をすることになる。すなわち鍔部41によって、杭頭P1の外縁付近に環状に連なる帯状滑面の接触部が形成される。
そして、地震などによって皿部2と杭頭接触部4との間に水平力が作用すると、杭頭接触部4は平坦部21の外縁まで相対的な水平移動をした後に、曲面部22の曲面に沿って移動することになる。
その曲面部22の断面を表す曲線(図3参照)に沿った移動の周期Tは、曲線の曲率半径をr、重力加速度をgとすると、以下の式で示すことができる。
T = 2π√(r/g) (1)
また、固有周波数ωは、以下の式で示される。
ω = √(g/r) (2)
図5は、本実施の形態の杭の免震構造1に設定される性能を説明するための図である。いずれも代表する地震波であるエルセントロ波を用いて作成した図で、図5(a)には絶対加速度応答スペクトルを示し、図5(b)には相対変位応答スペクトルを示した。
図5(a)を見ると、周期Tが0.2 - 0.6(s)となるあたりに、絶対加速度応答スペクトルのピークTPが発生していることがわかる。低層建築物の固有周期は0.2 - 0.3(s)程度、中層建築物の固有周期は0.6(s)程度となるので、免震構造1を設けることによって、建築物の固有周期をピークTPからずらすことを目指す。例えば、絶対加速度応答スペクトルがピークTPの1/2 - 1/5程度に低下する1.0 - 2.0(s)を、目標周期TCに設定する。
要するに、一般戸建て住宅などの小規模建物の固有周期を、本実施の形態の杭の免震構造1を設けることによって、1.0 - 2.0(s)の目標周期TCの範囲内に収めるような設計を行う。図5(b)に示すように、目標周期TC(1.0 - 2.0(s))の相対変位応答スペクトルは、10(cm)程度となる。
そして、図3を参照しながら上述した「極小」、「小」、「中」、「大」、「極大」の曲線によって形成された曲面部22を有する皿部2を使用することで、周期Tを1.0 - 2.0(s)の範囲内に設定することができる。
例えば「極小」の曲線はv = 0.0064e0.7796uで周期Tは1.0 - 2.0(s)となり、「小」の曲線はv = 0.0147e0.5104uで周期Tは1.0 - 2.0(s)となり、「中」の曲線はv = 0.0422e0.2845uで周期Tは1.2 - 2.0(s)となり、「大」の曲線はv = 0.0759e0.2012uで周期Tは1.4 - 2.0(s)となり、「極大」の曲線はv = 0.6985e0.0564uで周期Tは約2.0(s)となる。
本実施の形態の杭の免震構造1は、図1に示すように、常時においては、皿部2の中心と杭頭接触部4の中心は杭軸Cと一致して、杭頭接触部4が平坦部21の範囲内に位置することになる。この平坦部21の範囲内では、地震が発生して水平力が作用しても、皿部2の下面20と杭頭接触部4との間の静的摩擦力を超えない限りは、皿部2と杭頭接触部4との間で相対変位が生じない。
そして地震の揺れが大きくなって、作用する水平力が上記静的摩擦力を超えると、皿部2の下面20と鍔部41の上端面411との滑面接触ですべりが生じて、免震機能が発揮されるようになる。要するに、建築物の本来の固有周期(0.2 - 0.6(s)程度)に関わらず、皿部2と杭頭接触部4との相対変位が大きくなっていく。
さらに地震の揺れが大きくなっていくと、鍔部41の上端面411は曲面部22に接触することになる。この曲面部22の下がり勾配の曲面に差し掛かることで、皿部2と杭頭接触部4との相対変位の増加は平坦部21よりも抑えられる方向に推移するが、目標周期TCを維持できる範囲に留めることができる。
一方、地震の揺れがさらに大きくなる大規模地震になると、鍔部41の上端面411の位置が指数関数の曲線の勾配が大きくなる領域に移動していき、皿部2と杭頭接触部4との相対変位(横移動)は大幅に制限されることになる。要するに、建築物の本来の固有周期に近づくことになる。
このようにして地震が起きている間は、固有周期が目標周期TCの範囲内に収まるように免震機能が発揮されて、地震の揺れが収まり始めると、杭頭接触部4の中心が皿部2の中心と一致するように振幅が徐々に収束していき、杭軸Cと中心とが一致する当初の皿部2と杭頭接触部4との位置関係に自然に戻る。
次に、本実施の形態の杭の免震構造1の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の杭の免震構造1は、杭頭P1に設けられた杭頭接触部4を、基礎部M側に下向きの凹状に形成された皿部2の中央の平坦部21に接触させる。また、この平坦部21の周囲には、下がり勾配の曲面部22が設けられている。そして、杭頭接触部4は、鍔部41の上端面411が皿部2の下面20に対して滑面接触するように形成されている。
このように皿部2の平面状の平坦部21に滑面接触した状態の杭頭接触部4は、静的摩擦力を超えない小さな水平力に対しては相対的な移動をせず、地震力が大きくなるに従って、スムーズに水平方向のすべりが発生して免震機能を発揮させることができる。
さらに、地震の規模が大きくなって杭頭接触部4が平坦部21の端縁まで移動すると、下がり勾配の曲面部22と接触することになって抵抗が増加し、すべり変位の増加が大きくなり過ぎないように制限することができる。すなわち、皿部2とそれに接触させる杭頭接触部4という簡単な構造で確実に免震機能を発揮させることができるうえに、地震の規模に応じて変位を制御することができる。
また、平坦部21が平面視円形に形成されて、曲面部22が平坦部21の周囲を囲む環状に形成されていれば、地震波が建築物の360°のいずれの方向から伝搬してきても、適切に免震機能を発揮させることができる。
さらに、曲面部22が指数関数によって表される曲面に形成されていて、下がり勾配が皿部2の外縁にいくほど大きくなっていれば、外縁に近づくほど減速効果が大きくなって、設定以上の相対変位の発生を防ぐことができる。
要するに指数関数の曲線によって、徐々に曲率が増えていくようにすることで、急激に曲率が変化した場合に起こり得る衝突などによる衝撃力の発生を抑えることでき、スムーズに減衰機能を変化させていくことができる。なお、このような曲面部22の断面曲線を特定する指数関数の式は、皿部2や杭の直径などに応じて任意に設定することができる。
以下、前記した実施の形態の杭の免震構造1とは別の実施形態について、図6を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例1では、蓋状の杭頭接触部3Aを使用した杭の免震構造1Aについて説明する。この杭の免震構造1Aは、基礎部M側に下向きの凹状に形成される皿部2と、鋼管杭Pの杭頭P1に設けられる杭頭接触部3Aとによって主に構成される。
杭頭接触部3Aは、杭頭P1に載せられる蓋状部材で、鋼管杭Pの上端面に沿って設けられる円環部37と、鋼管杭Pの開口を塞ぐ平蓋部38とを備えている。例えば円形の鋼板の縁部を折り曲げ加工によって立ち上げることで、円環部37と平蓋部38とを一体に製作することができる。
円環部37及び平蓋部38の上面には、四フッ化樹脂などのフッ素樹脂塗料が塗布される。特に、円環部37の最も上方に突出した頂部分(上端面)は、すべりやすい滑面に仕上げられる。この円環部37の円形に形成される頂部分が、皿部2の下面20に線接触することになる。すなわち円環部37によって、杭頭P1の外縁付近に環状に連なる線状の接触部が形成される。
このような構成となる杭の免震構造1Aは、鋼管杭Pの上端開口を塞ぐ蓋状の杭頭接触部3Aを設けるだけで、簡単に皿部2の下面20に対してすべりやすい構成にすることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態及び実施例1の杭の免震構造1,1Aとは別の実施形態について、図7を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例2では、半球体36を使用した杭の免震構造1Bについて説明する。この杭の免震構造1Bは、基礎部M側に下向きの凹状に形成される皿部2と、鋼管杭Pの杭頭P1に設けられる杭頭接触部3Bとによって主に構成される。
杭頭接触部3Bは、杭頭P1に載せられる平面視円形の基板32と、基板32の下面から下方に延伸されて鋼管杭Pの内部に挿入されるジョイント部33と、基板32の上面に固定される複数の半球体36とを備えている。
基板32は、鋼管杭Pより直径が大きくなるように鋼板などを円形に切断加工することによって形成することができる。また、ジョイント部33は、鋼管杭Pの内径よりわずかに外径の小さい鋼管などによって形成することができる。ジョイント部33は、基板32の下面に溶接等によって固定される。
半球体36は、鋼球などの球体を半分に分割することで形成されていて、頂点が上方に突出するように配置される。この半球体36の突出した頂点が、皿部2の下面20に点接触することになる。
複数の半球体36は、杭頭P1の外縁付近に環状に連なるように並べられて配置される。環状に並べられた半球体36は、後述する実施例3の図10で参照できるように、環状に並べられた配置状態になる。
このような構成となる杭の免震構造1Bは、複数の半球体36を基板32上に環状に並べて取り付けるだけで、ボールベアリングのような安定したすべり機能を発揮させることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態の杭の免震構造1及び実施例1,2とは別の実施形態について、図8-図10を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1,2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例3では、球体31を使用した杭の免震構造1Cについて説明する。この杭の免震構造1Cでは、皿部2Cの曲面部22Cが、曲率の異なる複数の環状によって形成されている。本実施例3では、4つの異なる曲率の曲面部が、第1曲面部221、第2曲面部222、第3曲面部223、第4曲面部224として設けられる。
第1曲面部221は、平坦部21Cに隣接して設けられ、そこから皿部2Cの外縁に向けて第2曲面部222と第3曲面部223と第4曲面部224とが設けられる。第1曲面部221から第4曲面部224までの曲率は、皿部2Cの外縁にいくほど大きくなる。すなわち、皿部2Cの外縁の曲面部ほど曲率半径が小さく、曲がり具合がきつくなる。
このように皿部2Cの外縁に近づくほど曲率半径によって形成される曲面の接線の傾きが大きくなるということは、皿部2Cの中心側から外縁に向けて徐々に下がり勾配が大きくなっていくということである。
一方、杭頭接触部3Cには、図8及び図10に示すように、杭頭P1の外縁付近に環状に連なるように並べられた複数の球体31が配置される。本実施例3の杭頭接触部3Cは、杭頭P1に載せられる平面視円形の基板32と、基板32の下面から下方に延伸されて鋼管杭Pの内部に挿入されるジョイント部33とを備えている。
基板32の上面には、杭軸C側に環状に内ガイド部34が設けられるとともに、そこから外縁に向けて間隔を置いて環状の外ガイド部35が設けられる。内ガイド部34及び外ガイド部35は、例えばそれぞれの大きさに適した径の鋼管を、球体31の直径より短くなるように切断することで形成できる。
内ガイド部34と外ガイド部35との間隔(内寸)は、その間に収容される球体31の直径と同程度か、それよりも広い間隔に設定される。そして、内ガイド部34と外ガイド部35との間には、図10に示すように、複数の球体31が収容される。すなわち、内ガイド部34と外ガイド部35との間には、ベアリング状に複数の球体31が並べられる。
球体31は、鋼球などによって形成されていて、内ガイド部34及び外ガイド部35の高さより直径が大きく、少なくとも頂点が上方に突出することになる。この球体31の突出した頂点が、皿部2Cの下面20に点接触することになる。
例えば、直径50mm程度の鋼管杭Pに対して、円形鋼板製の基板32の上に、14個の直径10mm程度の球体31を環状に連なるように並べることで、杭頭接触部3Cを構成することができる。
次に、本実施例3の杭の免震構造1Cの性能について、図9を参照しながら説明する。
図9には、上側に皿部2Cを下から見た平面図の半分を寸法とともに示し、下側には皿部2Cの断面図を寸法とともに示した。
ここでは一例として、皿部2Cの平面視円形の平坦部21Cの直径をD(=1.0D)に設定する。そして、第1曲面部221の平面視円形の外円直径を1.5D、第2曲面部222の平面視円形の外円直径を2.0D、第3曲面部223の平面視円形の外円直径を2.5D、第4曲面部224の平面視円形の外円直径を3.0Dに設定する。
一方、第1曲面部221の曲率半径を7D、第2曲面部222の曲率半径を5D、第3曲面部223の曲率半径を3D、第4曲面部224の曲率半径を2Dに設定する。この際、第1曲面部221の円弧中央と杭軸Cとがなす角はθ7D、第2曲面部222の円弧中央と杭軸Cとがなす角はθ5D、第3曲面部223の円弧中央と杭軸Cとがなす角はθ3D、第4曲面部224の円弧中央と杭軸Cとがなす角はθ2Dとなる。
ところで、円弧に沿って移動する粒体の周期Tは、円弧の曲率半径をr、円弧上の粒体の位置と垂線とがなす角をθ、重力加速度をgとすると、以下の式で示すことができる。
T = 2π√(rcosθ/g) (3)
常時においては、皿部2Cの中心と杭頭接触部3Cの中心は杭軸Cと一致して、杭頭接触部3Cが平坦部21Cの範囲内に位置することになる。この平坦部21Cの範囲内では、地震が発生して水平力が作用しても、皿部2Cの下面20と杭頭接触部3Cとの間の静的摩擦力を超えない限りは、皿部2Cと杭頭接触部3Cとの間で相対変位が生じない。
そして地震の揺れが大きくなって、作用する水平力が上記静的摩擦力を超えると、皿部2Cの下面20と球体31との点接触ですべりが生じて、免震機能が発揮されるようになる。要するに、建築物の本来の固有周期(0.2 - 0.6(s)程度)に関わらず、皿部2Cと杭頭接触部3Cとの相対変位が大きくなっていく。
さらに地震の揺れが大きくなっていくと、球体31は曲面部22の最初の第1曲面部221に接触することになる。上記式(3)に示したように、曲率半径rが7Dと大きく、θもθ7Dと小さい第1曲面部221内では、周期Tを長くしておくことができるので、皿部2Cと杭頭接触部3Cとの相対変位は平坦部21Cよりも抑えられる方向に推移するが、目標周期TCを維持できる範囲に留めることができる。
一方、地震の揺れがさらに大きくなる大規模地震になると、球体31の位置が第2曲面部222、第3曲面部223、第4曲面部224と移動していき、皿部2Cと杭頭接触部3Cとの相対変位(横移動)は大幅に制限されることになる。要するに、建築物の本来の固有周期に近づくことになる。
このようにして地震が起きている間は、固有周期が目標周期TCの範囲内に収まるように免震機能が発揮されて、地震の揺れが収まり始めると、杭頭接触部3Cの中心が皿部2Cの中心と一致するように振幅が徐々に収束していき、杭軸Cと中心とが一致する当初の皿部2Cと杭頭接触部3Cとの位置関係に自然に戻る。
また、杭頭接触部3Cを、杭頭P1の外縁付近に環状に連なるように並べられた複数の球体31によって形成することで、耐久性に優れた安定したすべり構造を簡単に設けることができる。すなわち、球体31であれば上部構造から作用する荷重に対しての耐力が高いうえに、転がりやすい形状であるため、ボールベアリングと同様に安定したすべり機能を発揮させることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。また、本実施例3の皿部2Cに替えて、前記実施の形態で説明した皿部2を適用することもできる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態又は実施例1-3では、杭として鋼管杭Pを例に説明したが、これに限定されるものではなく、既製のコンクリート杭や杭頭に鋼管が配置された耐震性のあるプレストレスト杭が杭であってもよい。また、場所打ちコンクリート杭の杭頭にも、本発明の杭の免震構造を設けることができる。さらに、円柱状の丸杭だけではなく、角柱状の角杭にも適用することができる。
1,1A,1B,1C:杭の免震構造
2,2C:皿部
20 :下面
21,21C:平坦部
22,22C:曲面部
3A,3B,3C:杭頭接触部
4 :杭頭接触部
M :基礎部
P :鋼管杭(杭)
P1 :杭頭

Claims (4)

  1. 杭と基礎部との間に設けられる杭の免震構造であって、
    前記基礎部側に下向きの凹状に形成される皿部と、
    前記杭の杭頭に設けられて前記皿部の下面に接触させる杭頭接触部とを備え、
    前記皿部の下面には、中央に平面状の平坦部と、その周囲に下がり勾配の曲面部とが設けられており、前記杭頭接触部は、前記皿部の下面に対して、滑面接触、線接触又は点接触することを特徴とする杭の免震構造。
  2. 前記平坦部は平面視円形に形成されており、前記曲面部は前記平坦部の周囲を囲む環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の杭の免震構造。
  3. 前記曲面部は、指数関数によって表される曲面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の杭の免震構造。
  4. 前記杭頭接触部は、前記杭頭の外縁付近に環状に形成されるとともに、上端面が滑面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の杭の免震構造。
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