JP4793643B2 - 基礎杭の応力低減構造及び応力低減方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、基礎杭間で土間スラブの下方に増し杭を設置し、その増し杭の杭頭部を土間スラブに連結させ、増し杭と既存の基礎杭の上端に接合されているフーチングとを横方向に連結されてなるコンクリートなどの材料からなる連結梁を配置した構成をなし、基礎杭が受ける水平力の負担を軽減させて耐震性能を向上させるものである。
このようなことから、土間スラブが構築されるような大スパンとなる建物において、基礎杭が負担する水平力を小さくできる好適な構造及び方法が求められていた。
また、本発明に係る基礎杭の応力低減方法では、建物の荷重を基礎から基礎杭を介して地盤に伝達する基礎杭の応力低減方法であって、土間スラブを基礎に対して水平方向に接触させるとともに上下方向に相対移動可能に接触させ、土間スラブの下面に一体となるように地盤改良体を形成させるようにしたことを特徴としている。
本発明では、土間スラブに地盤改良体を一体化させると共に、基礎と土間スラブとが水平方向に接触していることから、基礎から土間スラブ及び地盤改良体に水平力(応力)を伝達することができる。そして、地盤改良体は、地盤に対する底面摩擦力が生じることから、地盤改良体で水平力を負担させることができる。そのため、基礎杭が負担する水平力を低減させることができる。
本発明では、基礎と地盤改良体とが一体化して接合されることで、より確実に基礎杭で負担する水平力を地盤改良体に伝達させることができ、地盤改良体の底面摩擦力で水平力を負担することができる。
本発明では、土間スラブと地盤改良体とを密着性を向上させて接合させることができる。
本発明では、土間スラブは、基礎に形成されている係止部によって水平力に対する抵抗力(剛性)が大きくなって水平移動が抑制され、基礎に対して水平方向に係止した状態で接触されることになる。
本発明では、例えば地盤改良体の深度を大きくしたときに、地盤改良体における格子状をなす部分(格子状部)に囲われた非改良領域が形成されることから改良範囲の増加を抑えることができ、経済的な耐震補強構造を実現できると共に、非改良領域内の地盤も地盤改良体と一緒に挙動させることで底面摩擦力を大きくすることができる。
したがって、使用する基礎杭は杭径や基礎杭の本数などを小さな水平力に応じて選定することができ、基礎杭に対する補強なども行う必要がなくなることから、コストの低減を図ることができる
図1は本発明の第一の実施の形態による基礎杭の耐震補強構造を示す立断面図、図2は基礎と土間スラブとの接触構造を示す一部破断分解斜視図、図3は基礎杭および地盤改良体の底面摩擦における水平抵抗の発揮状態を示すグラフである。
また、図2に示すように、土間スラブ3の接触部Tには、上述した基礎4の凸状係止部4b、4bに凹凸嵌合した状態となるように凹状係止部32、32が形成されることになる。これにより、土間スラブ3は、基礎4に形成されている凸状係止部4b、4bによって水平力に対する抵抗力(剛性)が大きくなって水平移動が抑制され、基礎4に対して水平方向に係止した状態で接することになる。
なお、この接触部Tは、図1に示すように基礎4に対し、土間スラブ3の上下方向の略下半分が接した状態をなしているが、この接触範囲はこれに限定されるものではなく、後述するように基礎4から土間スラブ3に水平力が伝達可能となる範囲で接していればよい。
また、この地盤改良体10としては、例えばセメント系固化材などの改良材を混合して固化させたものなどを採用できる。
図1に示すように、本耐震補強構造1では、土間スラブ3に地盤改良体10を一体化させると共に、基礎4と土間スラブ3とが水平方向に接触していることから、地震時に水平力が発生したときに、基礎4から土間スラブ3及び地盤改良体10に水平力(応力)を伝達することができる。そして、地盤改良体10は、地盤5に対する底面摩擦力を生じることになり、地盤改良体10で水平力を負担させることができる。そのため、基礎杭6が負担する水平力を低減させることができる。
図3のグラフから、底面摩擦は、水平変位が小さい段階から水平抵抗を発揮していることがわかる。すなわち、地盤改良体10を設けることで、水平変位の小さい段階から地盤改良体10の底面摩擦で水平力を負担させることができ、基礎杭6が負担する水平力を効率的に低減させることができる。
したがって、使用する基礎杭6は杭径や基礎杭の本数などを小さな水平力に応じて選定することができ、基礎杭6に対する補強なども行う必要がなくなることから、コストの低減を図ることができる
図4は本発明の第二の実施の形態による耐震補強構造を示す立断面図である。
図4に示すように、第二の実施の形態による耐震補強構造11の地盤改良体20は、土間スラブ3の下面3aの全面を改良させたものでなく、とくに水平力の負担が大きいとされる基礎杭6(基礎4)の周囲のみに地盤改良体20を形成させ、その基礎杭6が負担する水平力を低下させるものである。
このように構成される第二の実施の形態による耐震補強構造11では、基礎杭6が負担する水平力に応じて選択的に地盤改良を実施することで、地盤改良範囲を抑えることができ、コスト低減の効果を奏する。
図5に示すように、第三の実施の形態による耐震補強構造12は、平面視で格子状をなす第一及び第二格子状改良体30、40(地盤改良体)を土間スラブ3の下面3a側に形成させたものであり、第一及び第二格子状改良体30、40の深度(厚さ)を第一及び第二の実施の形態の地盤改良体10、20(図1、図4参照)よりも大きくしたものである。これら第一及び第二格子状改良体30、40は、例えば砂地盤などの地盤剛性の小さな地盤5に適用される。つまり、本第三の実施の形態のような砂地盤では、第一及び第二格子状改良体30、40の深度を大きくし、格子状改良体30(40)および土間スラブ3の自重を増大することで底面摩擦力を大きくさせている。
第一格子状改良体30は、土間スラブ3の下面3aの全面にわたって一定の厚さ寸法(深さ方向)に水平改良部30Aを有する改良体である。また、第二格子状改良体40はこの水平改良部30Aに相当する改良を形成しない改良体である。
そして、第一及び第二の実施の形態と同様に、第一及び第二格子状改良体30、40の底面摩擦力によって水平力を負担することができることから、基礎杭6の負担する水平力を低減させることができる。
なお、本第三の実施の形態では、第一及び第二格子状改良体30、40の両方を採用した構成としているが、どちらか一方の改良体であってもよく、要は上述したように必要とされる底面摩擦力(水平抵抗)に応じて適宜選定すればよい。
例えば、本第一乃至第三の実施の形態では基礎4の側面4cに凸状係止部4b、4bを形成させて土間スラブ3に接しているが、このような接触方法に限定されることはない。例えば、図6に示すように基礎の側面4cに凹状係止部4d、4d(係止部)を形成させた基礎4であってもよい。この場合、土間スラブ3には凸状係止部33、33が形成されることになる。要は、基礎4と土間スラブ3とが水平方向に接する状態が良好であって、水平力が確実に伝達されればよいのであって、場合によっては基礎4に凹凸状の係止部を形成しなくてもかまわない。
そして、本第一乃至第三の実施の形態では地盤改良体10、20、30、40と基礎4とが水平方向に接触した状態で接合されているが、両者が接触しない状態であってもかまわない。つまり、基礎4と土間スラブ3とが水平方向に接触することで、基礎4から地盤改良体に水平力が伝達され、地盤改良体の底面摩擦力によって水平力を負担することができる。
また、基礎4の側面4cの略全周範囲に地盤改良体を設けているが、これに限定されることはなく、地盤改良体は基礎4の側面4cの一部の範囲であってもかまわない。
2 建物
3 土間スラブ
31 突起部
32 凹状係止部
4 基礎
4b 凸状係止部(係止部)
5 地盤
6 基礎杭
10、20 地盤改良体
30、40 格子状改良体(地盤改良体)
T 接触部
Claims (6)
- 建物の荷重を基礎から基礎杭を介して地盤に伝達する基礎杭の応力低減構造であって、
前記基礎に対して水平方向に接触された土間スラブと、
前記土間スラブの下面に一体となるように形成された地盤改良体と、
が設けられ、
前記基礎と前記土間スラブとは、上下方向に相対移動可能に接触していることを特徴とする基礎杭の応力低減構造。 - 前記地盤改良体は、前記基礎の周囲の全周又は一部に接合するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎杭の応力低減構造。
- 前記土間スラブの下面には、下方に向けて突出する突起部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎杭の応力低減構造。
- 前記基礎と前記土間スラブとは、凹凸嵌合によって接触する係止部を有していて、前記土間スラブの水平移動を抑制することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基礎杭の応力低減構造。
- 前記地盤改良体は、平面視で格子状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基礎杭の応力低減構造。
- 建物の荷重を基礎から基礎杭を介して地盤に伝達する基礎杭の応力低減方法であって、
土間スラブを前記基礎に対して水平方向に接触させるとともに上下方向に相対移動可能に接触させ、
前記土間スラブの下面に一体となるように地盤改良体を形成させるようにしたことを特徴とする基礎杭の応力低減方法。
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