本開示の基板処理装置の一実施形態である塗布、現像装置1について、図1の平面図、図2の縦断側面図を夫々参照しながら説明する。塗布、現像装置1は、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、を横方向に一列に接続して構成されている。この列に沿った方向を前後方向とし、キャリアブロックD1側を前方側とする。これらのブロックD1~D3は互いに区画されている。インターフェイスブロックD3には、後方側に露光機D4が接続されている。
キャリアブロックD1は、塗布、現像装置1に対してウエハWを搬入出するためのブロックである。ウエハWは、例えばFOUP(Front Opening Unify Pod)と呼ばれるキャリアCに収納された状態で、当該キャリアブロックD1に対して搬入出される。即ち、キャリアCは、ウエハWを搬送するための搬送容器であり、キャリアブロックD1においては当該搬送容器が配置される。
図3にキャリアブロックD1を構成する筐体11の正面を示している。当該筐体11の正面には、ロードポートを構成すると共に開閉自在なウエハWの搬送口12が、例えばマトリクス状に配置されており、各搬送口12の下方の前方側にはキャリアステージが設けられている。キャリアCが載置されるこれらのキャリアステージは、前方側のアンロード位置と後方側のロード位置との間で移動する。アンロード位置にて、キャリアステージに対してキャリアCの受け渡しが行われる。ロード位置はキャリアCとキャリアブロックD1との間でウエハWの受け渡しが行われる位置であり、当該ロード位置にて、搬送口12を開閉する開閉機構13により、キャリアCの蓋の開閉も行われる。
キャリアブロックD1の筐体11を正面から見て、左側の2つのキャリアステージについては、ウエハWが収納されたキャリアCが載置され、当該キャリアC内から装置へウエハWが払い出し(送出)される。そのため、これらのキャリアステージを、センダーステージ14と記載する。また、基板搬出ポートである2つのセンダーステージ14のうち、上側を14A、下側を14Bとして各々区別して示す場合が有る。キャリアブロックD1を正面から見て、右側の2つのキャリアステージについては、ウエハWを装置に払い出し済みのキャリアCが載置され、当該キャリアCは装置からウエハWを受け取る。そのため、これらのキャリアステージを、レシーバーステージ15と記載する。また、基板受入ポートである2つのレシーバーステージ15のうち、上側を15A、下側を15Bとして各々区別して示す場合が有る。
なお、図1では、センダーステージ14A、レシーバーステージ15Aが夫々アンロード位置、ロード位置に位置する状態を示しており、図2では、センダーステージ14B、レシーバーステージ15Aがアンロード位置、ロード位置に夫々位置する状態を示している。また、センダーステージ14に載置されているキャリアCをセンダーキャリア、レシーバーステージ15に載置されているキャリアCをレシーバーキャリアとして、夫々記載する場合が有る。
筐体11正面の中央部には、キャリア仮置き部であるストッカ16が設けられており、当該ストッカ16には、例えば複数個のキャリアCを仮置き可能である。また、例えば筐体11の前方側には棚17が設けられており、当該棚17には、ロードステージ18及びアンロードステージ19が設けられている。塗布、現像装置1が設置される工場が備える搬送機構であるOHT(Overhead Hoist Transfer)が、ロードステージ18にキャリアCを搬送し、アンロードステージ19からキャリアCを搬出する。つまり、ロードステージ18には、塗布、現像装置1における処理前のウエハWが格納されたキャリアCが載置され、アンロードステージ19には、塗布、現像装置1において処理済みのウエハWが収納されたキャリアCが載置される。従って、ロードステージ18、アンロードステージ19は、キャリア搬入ポート、キャリア搬出ポートとして夫々構成されている。
そして、キャリアブロックD1には、キャリア移載機構21が設けられている。当該キャリア移載機構21は、キャリアブロックD1の筐体11と棚17との間に設けられており、左右に延びる移動軸22に沿って移動自在な昇降軸23と、当該昇降軸23に沿って昇降自在な関節アーム24と、関節アーム24の先端側に設けられた2つの爪部25と、を備えている。キャリアCの上部側に設けられる保持部C0を掴むことが可能なように、2つの爪部25の間隔は変更自在である。キャリア移載機構21により、センダーステージ14A、14Bと、レシーバーステージ15A、15Bと、ストッカ16と、ロードステージ18と、アンロードステージ19との間で、キャリアCを移載することができる。具体的にはこの移載動作は、移載元への爪部25の下降、爪部25による移載元のキャリアCの掴持、移載先の直上へのキャリアCの移動、爪部25の下降によるキャリアCの当該移載先への載置、掴持の解除という、一連の動作により行われる。
キャリアブロックD1の筐体11内の左右の中央部には、上下に延びるタワーT1が設けられている。タワーT1には各種のモジュールが設けられているが、受け渡しモジュールTRS及びウエハWの温度を調整する温度調整モジュールSCPL以外の図示は省略している。なお、ウエハWが載置される場所をモジュールとして記載する。温度調整モジュールSCPLや後述の現像モジュール32及びレジスト膜形成モジュールなど、ウエハWに処理を行うモジュールは、処理モジュールである。
詳しくは後述するが、処理ブロックD2は互いに積層された単位ブロックE1~E6により構成されている。単位ブロックE1~E6に対してウエハWを搬入出できるように、上記のタワーT1の受け渡しモジュールTRSについては、複数設けられ、単位ブロックE1~E6に各々対応する高さに配置されている。各受け渡しモジュールTRSについて、対応する高さの単位ブロックE1~E6と同じ数字を付して、TRS1~TRS6として示している。なお、図2では、1つの単位ブロックEに対して、受け渡しモジュールTRSが2つのみ設けられるように示している。ただし図4に示すように、1つの受け渡しモジュールTRSは、上下に配置されると共に、各々ウエハWを載置する複数の載置部20を備えている。つまり、1つの単位ブロックEに対応する高さに、多数のウエハWを載置することができる。また、タワーT1では温度調整モジュールSCPLも、受け渡しモジュールTRSと同様に単位ブロックE1~E6に各々対応する高さに設けられている。この温度調整モジュールSCPLについても、対応する高さの単位ブロックE1~E6と同じ数字を付すことで、図2中にSCPL1~SCPL6として示している。
正面から見たタワーT1の左側、右側には、ウエハ搬送機構27、28が夫々設けられている。ウエハ搬送機構27は、処理ブロックD2への送出用の搬送機構であり、タワーT1の各受け渡しモジュールTRSと、センダーステージ14に載置されたキャリアCとの間でウエハWを受け渡す。ウエハ搬送機構28は、処理ブロックD2からの受け取り用の搬送機構であり、タワーT1の各受け渡しモジュールTRSと、レシーバーステージ15に載置されたキャリアCとの間でウエハWを受け渡す。図1に示すように、ウエハ搬送機構27、28はタワーT1を挟むように設けられるが、図2では図示の便宜上、ウエハ搬送機構27、28をタワーT1よりも前方寄りに示している。なお、ウエハ搬送機構27、28はウエハWの保持部を2つずつ有し、キャリアCに対して2枚のウエハWを一括して受け渡すことができる。
このキャリアブロックD1については、上記のキャリア移載機構21によって、ウエハWが払い出されたキャリアCをセンダーステージ14から他の場所へ移載することができる。それにより、センダーステージ14が長時間、同じキャリアCに占有されることを防ぎ、当該センダーステージ14に順次、後続のキャリアCを移載して、装置内にウエハWを払い出すことができる。また、キャリア移載機構21によって、ウエハWを払い出し済みのキャリアCを順次、レシーバーステージ15に移載し、ウエハWを収納完了したキャリアCについては当該レシーバーステージ15から他の場所へ移載する。それにより、レシーバーステージ15が長時間、同じキャリアCに占有されることを防ぎ、装置内から各キャリアCに順次ウエハWを回収していくことができる。
センダーステージ14は2つ設けられるので、一のセンダーステージ14に載置したキャリアCからのウエハWの払い出しを行う一方で、他のセンダーステージ14へキャリアCを移載して、ロード位置で待機させておくことが可能となっている。そのようにキャリアCを待機させておけば、ウエハ搬送機構27は、一のセンダーステージ14のキャリアCからの払い出し終了後に待機すること無く、他のセンダーステージ14のキャリアCからのウエハWの払い出しを開始することができる。そして、レシーバーステージ15についても2つ設けられるので、一のレシーバーステージ15に載置したキャリアCへのウエハWの収納を行う一方で、他のレシーバーステージ15へキャリアCを移載して、ロード位置で待機させておくことが可能となっている。そのようにキャリアCを待機させておけば、ウエハ搬送機構28は、一のレシーバーステージ15のキャリアCへのウエハWの収納が終了した後に待機すること無く、他のレシーバーステージ15へのウエハWの収納を開始することができる。後に詳しく説明するが、このキャリアブロックD1においては、上記のウエハ搬送機構27、28の待機時間が無くなるようにキャリアCの移載が行われ、それによりウエハWの搬送における時間のロスが抑制される。
続いて、上記の処理ブロックD2の構成を説明する。処理ブロックD2は、互いに積層されると共に区画された6つの単位ブロックE1~E6が、番号順に下から積層されて構成されている。実際には、処理ブロックD2はウエハWに対して各種の液処理を行うが、説明の煩雑化を避けるために、ここでは液処理としては、レジストの塗布、現像処理のみを行うものとする。各単位ブロックE(E1~E6)において、互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。単位ブロックE1~E3が互いに同様の構成であり、単位ブロックE4~E6が互いに同様の構成である。
単位ブロックE1~E6のうち代表して、図1に示した単位ブロックE6について説明する。単位ブロックE6の左右の中央には、前後方向に伸びるウエハWの搬送路31が形成されている。搬送路31の左右の一方側には、4つの現像モジュール32が設けられている。搬送路31の左右の他方側には、露光後、現像前の加熱処理であるPEB(Post Exposure Bake)を行う加熱モジュール33が前後に多数並んで設けられている。また、上記の搬送路31には、単位ブロックE6でウエハWを搬送する搬送アームF6が設けられている。
単位ブロックE1~E3について、単位ブロックE6との差異点を中心に説明すると、単位ブロックE1~E3は、現像モジュール32の代わりにレジスト膜形成モジュールを備えている。レジスト膜形成モジュールは、ウエハWに薬液としてレジストを塗布してレジスト膜を形成する。また、単位ブロックE1~E3においては、加熱モジュール33、34の代わりに、レジスト膜形成後のウエハWを加熱するための加熱モジュールが設けられる。図2では、搬送アームF6に相当する各単位ブロックE1~E5の搬送アームについて、F1~F5として示している。
続いて、インターフェイスブロックD3について説明する。インターフェイスブロックD3は、単位ブロックE1~E6に跨がるように上下に伸びるタワーT2~T4を備えている。このタワーT2は、多数の受け渡しモジュールTRSが積層されて構成されている。単位ブロックE1~E6に対応する受け渡しモジュールTRSを、図2中、TRS11~TRS16として示している。なお、タワーT2の左右に配置されるタワーT3、T4には、各種のモジュールが含まれるが、図示及び説明を省略する。
また、インターフェイスブロックD3は、各タワーT2~T4に対してウエハWを搬送するウエハ搬送機構41~43を備えている。ウエハ搬送機構41は、タワーT2及びタワーT3に対してウエハWの受け渡しを行う。ウエハ搬送機構42は、タワーT2及びタワーT4に対してウエハWの受け渡しを行う。ウエハ搬送機構43は、タワーT2と露光機D4との間でウエハWの受け渡しを行う。
キャリアC毎に異なるロットのウエハWが格納されており、以上に述べた塗布、現像装置1では、ロット毎に指定される搬送レシピによって、装置内でウエハWが搬送される。つまり、ロット毎に異なる搬送経路で、ウエハWが搬送される。このウエハWの搬送経路のうち、第1の搬送経路H1及び第2の搬送経路H2について、これらの搬送経路の概略を示す図5も参照しながら説明する。
第1の搬送経路H1は、単位ブロックE1~E3のうちのいずれかと、単位ブロックE4~E6のいずれかと、をウエハWが通過する搬送経路であり、当該ウエハWにレジストパターンが形成される。センダーステージ14に載置されたセンダーキャリアCからウエハ搬送機構28によってウエハWが払い出され、処理ブロックD2への搬入用基板載置部である受け渡しモジュールTRS1~TRS3に振り分けられる。そして、当該ウエハWは、搬送アームF1~F3により受け取られ、温度調整モジュールSCPL1~SCPL3→レジスト膜形成モジュール→加熱モジュールの順で搬送される。そのように搬送されてレジスト膜が形成されたウエハWは、受け渡しモジュールTRS11~TRS13に搬送され、ウエハ搬送機構41、42により、露光機D4へ搬送され、レジスト膜が露光される。
露光後のウエハWは、ウエハ搬送機構43により露光機D4から取り出され、タワーT4のモジュールを介してウエハ搬送機構42に受け取られる。ウエハ搬送機構42は、ウエハWを受け渡しモジュールTRS14~TRS16に振り分ける。そして、受け渡しモジュールTRS14~TRS16に搬送されたウエハWは、搬送アームF4~F6により加熱モジュール33→温度調整モジュールSCPL4~SCPL6→現像モジュール32の順で搬送される。それにより、レジスト膜が現像され、ウエハWにレジストパターンが形成される。現像されたウエハWは、受け渡しモジュールTRS4~TRS6に搬送される。そして、ウエハ搬送機構28により、レシーバーステージ15に載置されたキャリアCに搬入される。
続いて、第2の搬送経路H2について説明する。この第2の搬送経路H2は、単位ブロックE1~E6のうち、単位ブロックE1~E3のいずれかのみをウエハWが通過する搬送経路であり、ウエハWにはレジスト膜の形成処理及び現像処理のうち、レジスト膜の形成処理のみが行われる。第1の搬送経路H1との差異点を中心に説明すると、ウエハWがセンダーキャリアCから受け渡しモジュールTRS1~TRS3に搬送され、処理ブロックD2に搬入される。そして、当該ウエハWは、温度調整モジュールSCPL1~SCPL3→レジスト膜形成モジュール→加熱モジュールの順で搬送される。そして、処理済みのウエハWは、受け渡しモジュールTRS1~TRS3に搬送されて、ウエハ搬送機構26により処理ブロックD2から搬出され、レシーバーステージ15のキャリアCに戻される。
上記の第1の搬送経路H1でウエハWが搬送される場合は、受け渡しモジュールTRS4~TRS6が、処理ブロックD2からの出口となる搬出用基板載置部である。第2の搬送経路H2でウエハWが搬送される場合は、受け渡しモジュールTRS1~TRS3が、処理ブロックD2からの出口となる搬出用基板載置部である。なおTRS1~TRS3については上記のように複数設けられるが、処理ブロックD2への搬入と、処理ブロックD2からの搬出とで、互いに異なるものが用いられる。
上記したように各搬送経路でウエハWを搬送するにあたり、基板搬送機構である搬送アームF(F1~F6)については、単位ブロックE(E1~E6)においてアクセスするモジュールの間を順番にサイクリックに移動する。そのように移動することで、ウエハWを1枚ずつ、上流側のモジュールから下流側のモジュールへ受け渡すサイクル搬送が行われる。より具体的に述べると、搬送アームFは独立して移動するウエハWの保持部を2つ備え、一方の保持部でモジュールからウエハWを受け取り、他方の保持部でモジュールにウエハWを送出し、モジュールに対してウエハWを順次入れ替えるように搬送する。従って、単位ブロックE6であれば、搬送アームF6が搬送路31を繰り返し周回移動し、単位ブロックE6への搬入用モジュールである受け渡しモジュールTRS16側から、搬出用モジュールである受け渡しモジュールTRS6へ向かうウエハWの搬送が、繰り返し行われる。搬送アームFが搬送路31を1周する時間をサイクルタイムとし、各単位ブロックEについて、共通のサイクルタイムが設定されている。搬送アームF以外の搬送機構もサイクルタイムに合わせてウエハWを搬送し、後述する計算式によってキャリアCに対するウエハWの払い出し終了時間、収納終了時間を算出することができる。
そして、図6に示すように塗布、現像装置1は、コンピュータにより構成されている制御部51を備えている。制御部51はウエハ処理プログラム52と、キャリア移載プログラム53とを備えている。ウエハ処理プログラム52は、上記したウエハWの搬送、各モジュールでのウエハWの処理が行われるようにステップ群が組まれており、そのように搬送及び処理が行われるように、各モジュールやウエハWの各搬送機構に制御信号を出力する。キャリア移載プログラム53は、後述するキャリアCの移載を行うことができるようにステップ群が組まれており、当該移載が行われるようにキャリア移載機構21に制御信号を出力する。ウエハ処理プログラム52及びキャリア移載プログラム53は、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部51にインストールされる。
ウエハ処理プログラム52、キャリア移載プログラム53は連携しており、例えばウエハ処理プログラム52から所定の指示が出力されたときに、キャリア移載プログラム53は、それに応じたキャリア移載機構21の動作が行われるようにステップ群が組まれている。この所定の指示の一つに、キャリア強制準備指示が有る。このキャリア強制準備指示とは、塗布、現像装置1内を搬送されるロットの先頭のウエハWが、搬送経路中の所定のモジュールに到達した際に、当該ロットを収納すべきキャリアCがレシーバーステージ15に未載置である場合に出される。即ち、当該キャリアCのレシーバーステージ15への移載を促す指示である。
このようにキャリア強制準備指示は、塗布、現像装置1内のウエハWの搬送状況に基づいて出される。図5で例示したように、ロット毎に搬送経路の長さが異なるので、キャリアCの追い越し(後からキャリアブロックD1に搬送されたキャリアCが、先に搬送されたキャリアCよりも後段のステージに移載される)が起きるように移載を行うことが必要な場合が有る。つまりキャリアCは、必ずしもウエハWを払い出した順に移載されず、そのような追い越しが行われる場合が有り、例えばその追い越しに起因して当該キャリア強制準備指示が出される場合が有る。
また、制御部51はキャリアブロックD1におけるキャリアCの移載経路についての情報を格納するメモリ54と、後述するキャリアの必要時間を格納するメモリ55と、を備えている。そして制御部51は、上位制御部56に接続されている。上位制御部56は、上記のOHTの動作を制御する。この上位制御部56は、OHTによってロードステージ18へキャリアCが搬送されたことを示すキャリア搬入情報、及びOHTによってアンロードステージ19からキャリアCが搬出されたことを示すキャリア搬出情報を制御部51に送信する。このようにキャリア搬入情報及びキャリア搬出情報は、キャリアブロックD1におけるキャリアCの配置状況についての情報である。
さらに上位制御部56は、制御部51にキャリアアウト指示を送信する。このキャリアアウト指示は、キャリアCについてアンロードステージ19への移載を可とする指示であり、キャリアC毎に出される。即ち、ウエハWを回収済みのキャリアCのうち、キャリアアウト指示が出力済みのキャリアCについては、アンロードステージ19に移載可能であるが、キャリアアウト指示が未出力のキャリアCについては、アンロードステージ19への移載が不可であり、ストッカ16へ移載されることになる。このようにキャリアアウト指示は、塗布、現像装置1からのキャリアCの搬出可否情報である。
この図6で説明したキャリア強制準備指示、キャリア搬入情報、キャリア搬出情報、またはキャリアアウト指示によって、キャリア移載機構21が行うように決定された動作がキャンセルされ、これらの指示または情報に応じた動作が行われる場合が有る。従って、これらの指示及び情報は、塗布、現像装置1の状態を表す情報であると共に、キャリア移載機構21の動作を制御する割り込み指令に相当する。
以下、塗布、現像装置1のキャリアブロックD1における作用効果を明確に示すために、比較例の装置のキャリアブロックD1についての作用効果と適宜、対比させて説明を行う。比較例の装置については制御部の構成を除き、塗布、現像装置1と同様に構成されているものとする。比較例の装置において、キャリアCは、ロードステージ18→(ストッカ16)→センダーステージ14→ストッカ16→レシーバーステージ15→(ストッカ16)→アンロードステージ19の順で移載される。この比較例の移載経路において、キャリアCは少なくともセンダーステージ14からレシーバーステージ15へ移載される前に、必ずストッカ16に移載される。そして、この比較例の装置では、キャリアブロックD1に複数の移載可能なキャリアCが有る場合、キャリアCの配置に関する情報に基づいてのみ、移載対象のキャリアC及び移載先が決定される。
図7を参照して比較例の装置における移載対象のキャリアCの決定について、より具体的に述べる。図7の上部側はキャリアブロックD1の概略図であり、説明の便宜上、既述の各図のレイアウトとは異なるレイアウトで、ステージ(センダーステージ14、レシーバーステージ15、ロードステージ18及びアンロードステージ19)及びストッカ16を示している。図7中のキャリアブロックD1内に示した矢印は、上記したキャリアCの移載経路中の各段の移載を示している。そして、この各段の移載には、制御部によって優先度が設定される。各矢印の近傍に表した丸で囲んだ番号で、その優先度を示しており、番号が小さいほど優先度が高い。なお図7の下部側は、図7の上部側で示しているキャリアCの移載経路を、より簡略化して示したものである。
図7に示すように、センダーステージ14への移載及びレシーバーステージ15への移載のうちの一方が優先度1(最優先)、他方が優先度2である。レシーバーステージ15、→アンロードステージ19の移載が優先度3である。センダーステージ14→ストッカ16の移載、レシーバーステージ15→ストッカ16の移載、ロードステージ18→ストッカ16の移載、ストッカ16→アンロードステージ19の移載が、夫々優先度4、5、6、7である。センダーステージ14への移載、レシーバーステージ15への移載のうちどちらが優先されるか(優先度1になるか)は、例えば2つのレシーバーステージ15のいずれも空いていない場合は、センダーステージ14への移載が優先される。それ以外の場合は、レシーバーステージ15への移載が優先される。制御部により、上記の移載経路について優先度が高い段から順に、移載元にキャリアCが有り且つ移載先が空いている状態(キャリアCが載置されていない箇所が有り、キャリアCを移載できる状態)となっているか判定される。そして、そのような状態になっていると判定された段における移載が行われるように、移載対象のキャリアC及び移載先が決定される。
図8は、比較例の装置において、キャリアCの移載を1回行うにあたり実行される工程を示すフローチャートである。先ず制御部により、上記したようにレシーバーステージ15におけるキャリアCの配置に基づき、センダーステージ14への移載及びレシーバーステージ15への移載のうち、いずれを優先するかが制御部により、判定される(ステップS11)。センダーステージ14への移載を優先すると判定した場合は、センダーステージ14への移載を優先度1、レシーバーステージ15への移載を優先度2として決定された搬送経路中の各段の優先度と、キャリアCの配置とに基づいて判定が行われる。つまり、上記したように搬送経路について優先度が高い段から順に、移載元にキャリアCが有り、且つ移載先が空いているようになっているかが判定されることで、移載対象のキャリアC及び移載先が決定される(ステップS12)。
レシーバーステージ15への移載を優先すると判定した場合は、レシーバーステージ15への移載を優先度1、センダーステージ14への移載を優先度2として決定された搬送経路中の各段の優先度と、キャリアCの配置とに基づいて、ステップS12と同様に判定が行われる。そして、移載対象のキャリアC及び移載先が決定される(ステップS13)。
ステップS12、S13でのキャリアCの移載先の決定は、メモリ54に格納されるキャリアCの移載経路の情報を参照して行われる。ただし、この移載経路は、図7で述べたように、ステージへの移載前にストッカ16を経由する移載経路である。移載対象のキャリアC及び移載先の決定後は、キャリア移載機構21が移載元となるステージまたはストッカ16に載置されたキャリアCの直上に移動し(ステップS14)、当該キャリアCを受け取り、移載先へと移載する(ステップS15)。ステップS15の後は、ステップS11以降の工程が再度行われる。
このように比較例の装置については、移載元及び移載先のキャリアCの有無に基づいて、どのキャリアCを優先して移載するかが判定される。しかし、このような判定によって、ウエハWの装置への払い出しを遅らせないためには本来、優先して移載すべきキャリアCとは別のキャリアCが移載されてしまう場合が有る。後にそのような状況を具体的に述べるので、ここでは簡単に事例を挙げておくと、ロードステージ18→センダーステージ14への移載を優先すべきところを、ストッカ16→レシーバーステージ15への移載が優先されてしまう場合が有る。そして、そのような不適切な移載がなされると、センダーステージ14へのキャリアCの移載が遅れ、結果として装置へのウエハWの搬入が遅れてしまい、装置のスループットが低下してしまうおそれが有る。また、本来は不要な状況でも、キャリアCは次のステージに移載される前に、一旦ストッカ16に移載される場合が有る。この移載中は他のキャリアCの移載を行えないため、センダーステージ14、レシーバーステージ15へのキャリアCの移載が遅れるおそれが有る。その移載の遅れにより、装置のスループットが低下してしまうおそれが有る。
続いて、塗布、現像装置1におけるキャリアCの移載の概要を説明する。塗布、現像装置1では、ウエハWの払い出し前のキャリアC、ウエハWの払い出し後のキャリアCを夫々いつまでにセンダーステージ14、レシーバーステージ15に移載する必要があるかという、キャリアCの必要時間を算出する。つまり、任意のキャリアCからのウエハWの払い出しを終えた後、ウエハWの払い出しが途絶えない(ウエハ搬送機構27の待機時間が無くなる)ように後続のキャリアCからウエハWを払い出すには、その後続のキャリアCをいつまでにセンダーステージ14に移載する必要があるかという情報を取得する。同様に、任意のキャリアCへのウエハWの収納を終えた後、ウエハWの収納が途絶えない(ウエハ搬送機構26の待機時間が無くなる)ように後続のキャリアCへのウエハWの収納を行うには、その後続のキャリアCをいつまでにレシーバーステージ15に移載する必要があるか、という情報を取得する。
キャリアの必要時間とは上記のような時間であるため、センダーステージ14のキャリアCからの装置へのウエハWの搬出状況、及びレシーバーステージ15のキャリアCへの装置からのウエハWの搬入状況に基づいて決められる。装置へのウエハWの搬出状況及び装置からのウエハWの搬入状況としては、具体的には後述するセンダーキャリアについての払い出し終了時間及びレシーバーキャリアについての収納終了時間が含まれる。塗布、現像装置1では、キャリアCの配置及び移載経路における各段の優先度に加え、当該キャリアの必要時間に基づいて、移載対象のキャリアC及び移載先の決定が行われる。つまり、装置へのウエハWの搬出状況及びキャリアCへのウエハWの搬入状況に基づいて、キャリアCの移載の制御が行われる。
図9は、塗布、現像装置1におけるキャリアCの移載経路を示しており、図7に示した比較例の装置におけるキャリアCの移載経路との差異点として、任意のステージから次のステージへ、ストッカ16を経由しない(スキップする)移載が行われる場合が有る。つまり、ロードステージ18→センダーステージ14、センダーステージ14→レシーバーステージ15、レシーバーステージ15→アンロードステージ19の移載が行われる場合が有る。従って図6で説明した、制御部51のメモリ54に格納される移載経路の情報としては、この図9に示す移載経路の情報、即ちセンダーステージ14→レシーバーステージ15の経路を含むストッカ16をスキップする経路の情報を含んだものとなっている。
図9の矢印の付近に表した丸で囲んだ数字は、図7と同じく移載経路中の各段の移載の優先度を示す。図中に示すように、ロードステージ18またはストッカ16→センダーステージ14、及びセンダーステージ14またはストッカ16→レシーバーステージ15の移載が優先度1(最優先)である。レシーバーステージ15→アンロードステージ19またはストッカ16の移載、及びセンダーステージ14→ストッカ16への移載が優先度2である。ただし、レシーバーステージ15→アンロードステージ19またはストッカ16の移載については、ストッカ16への移載よりもアンロードステージ19への移載の方が優位である。従って、レシーバーステージ15からアンロードステージ19、ストッカ16の各々へキャリアCを移載可能な場合は、アンロードステージ19への移載が行われる。また、ロードステージ18→ストッカ16の移載が優先度3、ストッカ16→アンロードステージ19の移載が優先度4である。
このように、センダーステージ14及びレシーバーステージ15への移載の優先度、及びセンダーステージ14及びレシーバーステージ15からキャリアCを移載する優先度が比較的高い一方で、ストッカ16への移載の優先度は低い。後に具体的な事例を示すように、この塗布、現像装置1では、優先度が比較的高い動作が多く行われ、それによってキャリアCのストッカ16への移載頻度がさらに抑制されるように、キャリアCの移載制御が行われる。
図10は、塗布、現像装置1において、キャリアCの移載を1回行うにあたり実行される工程を示すフローチャートである。制御部51により、キャリアブロックD1に配置される各キャリアCの必要時間が算出され、メモリ55に記憶される。そのように各キャリアCの必要時間が記憶されることで、メモリ55にはどのキャリアCをいつまでに移載しなければならないかという情報(キャリア移載必要時間情報)が記憶されることになる(ステップS1)。
そのメモリ55に記憶された時間情報と、メモリ54に記憶される移載経路の情報(どこからどこへ移載できるかの情報)と、図9で述べた移載経路の各段の優先度と、各キャリアCの配置と、に基づき、移載対象のキャリアC及びその移載先について判定される(ステップS2)。このステップS2の実行時において、実行可能な移載の中で優先度が高い移載が行われるように判定されるが、後に具体例を挙げて示すように、その移載を待ち合わせ、後でより優先度が高い移載を行うケースが有る。また、図9で示したように、キャリアCの移載経路において同一の優先度が設定されている段が有る。この同一の優先度の移載をいずれも実行可能な場合、このステップS2でいずれの移載を行うか決められる。これについても後に具体的に事例を示す。
移載対象のキャリアCとして判定されたキャリアCを受け取るために、当該キャリアCの直上へキャリア移載機構21が移動する(ステップS3)。そのようにキャリア移載機構21の移動後、当該キャリア移載機構21が下降してキャリアCを掴持する前に、ステップS2で行った判定を再度実行する(ステップS4)。続いて、キャリア移載機構21による移載が実行される(ステップS5)。このステップS5の移載は、ステップS4の判定によって、移載対象のキャリアC及び/または移載先が変更になった場合は、その変更に従って行う。移載対象のキャリアC及び/または移載先に変更無い場合は、ステップS2で決定された移載対象のキャリアCを、ステップS2で決定された移載先に搬送する。ステップS5の実行後は、再度ステップS1が実行される。この一連のステップS1~S5における計算、判定及びキャリア移載機構21の動作制御は、図6で説明したキャリア移載プログラム53により行われる。
なお、このS2、S4の判定の実行時に、既述したキャリア強制準備指示が出されている場合は、そのキャリア強制準備指示に従った移載が優先して行われる。つまり、強制準備指示の対象となるキャリアCのレシーバーステージ15への移載、あるいはその移載に先んじてレシーバーステージ15を空けるために、レシーバーステージ15のキャリアCのストッカ16への移載が最優先で行われるように決定される。また、ステップS4について補足して説明しておくと、当該ステップS4を行うのは、キャリア移載機構21の移動中に、図6で説明したキャリア搬入情報またはキャリア搬出情報が出される(即ち、キャリアCの配置状況が変わる)場合や、キャリアアウト指示が出される場合が有るためである。つまり、これらキャリア搬入情報、キャリア搬出情報、キャリアアウト指示によって、キャリア移載機構21の移動中に、より優先度の高い移載が可能になるケースが有るためである。さらにキャリア移載機構21の移動中に、上記したようにキャリア強制準備指示が出される場合も有るので、それに対応した移載を行うためでもある。
ところで、後に具体的な事例を述べるが、移載対象のキャリアC及び移載先を判定するにあたり、キャリア移載機構21の1回の移載工程に要する時間(移載時間)が用いられる場合が有る。制御部51は、この移載時間を取得できるように構成されている。この移載時間については、例えば予め設定されたアルゴリズムに基づいて算出可能としてもよいし、あるいは定数として制御部51を構成するメモリに予め記憶されてもよい。例えば移載元及び移載先に応じて移載経路長が異なるため、移載元及び移載先の組み合わせ毎に移載時間は若干異なるが、移載元及び移載先の違いに関わらず一定の値を用いてもよいし、移載元及び移載先に応じて異なった移載時間を用いてもよい。
以下、上記のステップS2で行われる移載対象のキャリアC及び移載先の決定について、具体例を示して、より詳しく説明する。図9で示したように、ロードステージ18またはストッカ16からセンダーステージ14への移載、センダーステージ14またはストッカ16からレシーバーステージ15への移載は、共に優先度1である。このセンダーステージ14への移載、レシーバーステージ15への移載が共に可能である場合について説明する。
図10のフローで述べたキャリアの必要時間を算出するにあたり、制御部51によって、以下のセンダーキャリア払い出し終了時間及びレシーバーキャリア収納終了時間が算出される。
センダーキャリア払い出し終了時間=センダーキャリアCにおけるウエハWの払い出し残り枚数×サイクルタイム
レシーバーキャリア収納終了時間=レシーバーキャリアCにおけるウエハWの残り収納枚数×サイクルタイム
従って、センダーキャリア払い出し終了時間は、キャリアCから搬出予定のウエハWの搬出が完了する搬出完了時間であり、レシーバーキャリア収納終了時間は、キャリアCに搬入予定のウエハWの搬入が完了する搬入完了時間である。これらのセンダーキャリア払い出し終了時間と、レシーバーキャリア収納終了時間との長さを比較し、センダーキャリア払い出し終了時間が短ければセンダーステージ14への移載を優先し、レシーバーキャリア収納終了時間が短ければレシーバーステージ15への移載を優先する。つまり、装置へのウエハWの払い出し、装置からのウエハWの受け取りのうち、より早く終了する方にキャリアCを搬送し、払い出しまたは受け取りの間隔が長くなることを防止する。
そして、センダーキャリア払い出し終了時間とレシーバーキャリア収納終了時間との長さを比較した結果、互いの時間が同じである場合は、図11の模式図で示すように、センダーステージ14へのキャリアCの移載を優先する。このようにセンダーステージ14への移載を優先する理由を述べると、処理ブロックD2からウエハWを搬出するための出口となる受け渡しモジュールTRSにおいては、図4で述べた通り、複数枚のウエハWを載置、滞留させることが可能である。つまり、受け渡しモジュールTRSにウエハWを滞留させておき、レシーバーキャリアCが載置された後で、ウエハ搬送機構28によって当該レシーバーキャリアCに搬送を行うことができる。従って、塗布、現像装置1のスループットへの影響が抑えられる。その一方で、センダーステージ14への移載が滞ると、塗布、現像装置1への新規のウエハWの払い出し及びウエハWの処理が遅れることになるので、当該装置のスループットが低下する。そのため、センダーステージ14への移載を優先して行うようにしている。このように、塗布、現像装置1では、センダーキャリア払い出し終了時間と、レシーバーキャリア収納終了時間とを比較し、センダーステージ14及びレシーバーステージ15のうちのいずれにキャリアCを移載するか決めることで、装置のスループットの低下が抑制されるようにしている。
ところで、センダーキャリア払い出し終了時間と、レシーバーキャリア収納終了時間との差分の時間について、上記の例では予め設定された値として0秒であったときのみ、センダーステージ14への移載を優先していることにしている。そのように差分の時間が、設定値であったときのみセンダーステージ14へ移載を優先することには限られず、予め範囲を設定しておき、その設定範囲内に上記の差分の時間が収まる場合は、センダーステージ14への移載を優先することにしてもよい。当該設定範囲としては、例えば0秒を含むようにする。
続いて図12、図13を参照し、塗布、現像装置1では上記したようにセンダーキャリア払い出し終了時間、レシーバーキャリア収納終了時間に基づいて優先度が決まることで、比較例の装置に対して、同じ状況であっても移載されるキャリアCが異なる場合が有ることを説明する。図12は比較例の装置(1Aとして表示している)におけるキャリアCの移載、図13は塗布、現像装置1におけるキャリアCの移載を夫々示している。比較例の装置1A及び塗布、現像装置1の両方において、ロードステージ18にキャリアCが載置され、2つのセンダーステージ14は空いていて、レシーバーステージ15については15Bが空いており、15AではウエハWの収納が行われているとする。また、ストッカ16にウエハWを払い出し済みのキャリアCが配置されているとする。従って、各装置において、センダーステージ14へのキャリアCの移載、レシーバーステージ15BへのキャリアCの移載が共に可能な状態となっている。
比較例の装置1Aでは、図7で説明したように優先度が設定されるので、図12に示すようにストッカ16のキャリアCがレシーバーステージ15Bへ移載されるように決定される。一方、塗布、現像装置1では、上記のようにセンダーキャリア払い出し終了時間及びレシーバーキャリア収納終了時間が算出される。レシーバーキャリアCにウエハWを収納中であるため、ウエハWの収納枚数は1枚以上であるので、レシーバーキャリア収納終了時間は0秒より大きい。センダーキャリア払い出し終了時間は、センダーステージ14にキャリアCが無いため、ウエハWの払い出し残り枚数は0枚であることから、センダーキャリア払い出し終了時間は0秒である。従って、センダーキャリア払い出し終了時間<レシーバーキャリア収納終了時間であるので、センダーステージ14への移載が優先されるように決定される。このようにセンダーステージ14へ優先して移載されることで、既述したように装置へのウエハWの搬入及び処理の遅れが防止され、高いスループットを確保することができる。
続いて、図9に戻って他の事例を説明する。2つのレシーバーステージ15にキャリアCが載置され、これらのレシーバーキャリア収納終了時間が同一であったとする。さらにそのときに、一方のレシーバーステージ15のキャリアCにはキャリアアウト指示が出ておらず、移載先がストッカ16であり、他方のレシーバーステージ15のキャリアCにはキャリアアウト指示が出ていて、移載先がアンロードステージ19であり、アンロードステージ19は空いているものとする。つまり、レシーバーステージ15からアンロードステージ19への移載、ストッカ16への移載のいずれも行える状態であるとする。その場合には、他方のレシーバーステージ15のキャリアCをアンロードステージ19へ優先して移載するように決定される。
これは、仮に一方のレシーバーステージ15のキャリアCをストッカ16に優先して移載すると、その後、当該キャリアCをストッカ16からアンロードステージ19に移載することに1工程、他方のレシーバーステージ15BのキャリアCをアンロードステージ19に移載する工程に1工程を要する。つまり、2つのキャリアCをアンロードステージ19へ移載するためのキャリア移載機構21の移載工程数が3工程になる。一方、他方のレシーバーステージ15のキャリアCをアンロードステージ19に優先して移載すると、その移載中に、一方のレシーバーステージ15のキャリアCについてもキャリアアウト指示が出てアンロードステージ19への直接の移載が可能となる場合が有る。その場合には、2つのレシーバーステージ15の各キャリアCをロードステージ18へ移載するためのキャリア移載機構21の移載工程数が、2工程で済むためである。
さらに他の移載事例について説明する。図10で説明したフローのステップS2の実行時、即ち移載対象のキャリアC及び移載先の判定を行う瞬間においては、優先度が低い移載しか行えない場合が有る。しかし、その優先度が低い移載を一定時間待ち合わせることで、より優先度が高い移載を行える場合が有る。制御部51は、キャリアの必要時間に基づいて、そのような優先度が高い移載を行えるか否かを判断し、当該移載を行えると判断したときは、優先度が低い移載を待ち合わせ、待ち合わせ後に優先度が高い移載を行うように決定する。
このような移載事例をより具体的に、比較例の装置1Aにおける移載と対比させながら、図14~図17を参照して説明する。図14は、比較例の装置1A及び塗布、現像装置1におけるキャリアCの配置状況を示しており、移載不可のキャリアCにハッチングを付している。2つのレシーバーステージ15にウエハWの収納が終了していないキャリアCが配置されており、当該キャリアCが移載不可であると共に、センダーステージ14にウエハWの払い出しが終了していないキャリアCが配置されており、当該キャリアCについても移載不可である。ただし、センダーステージ14AのキャリアCについては間もなくウエハWの搬出が終了し、センダーステージ14Aから移載可能になる(アンロード位置に位置する)ものとする。また、ロードステージ18には、新規にキャリアCが搬入された状態である。説明の便宜上、センダーステージ14A、センダーステージ14B、ロードステージ18のキャリアCを夫々C1、C2、C3とする。図14中のドットを付した矢印は、比較例の装置1Aで設定される移載経路、ドットを付していない矢印は、塗布、現像装置1で設定される移載経路を表している。なお、各矢印付近に付した番号は、移載の順番を示す。
図15、図16は、比較例の装置1A、塗布、現像装置1の夫々について、キャリアC1~C3の配置が変化する様子と、キャリア移載機構21の動作と、を表すタイムチャートである。図14で説明した状況は、チャート中の時刻j1における状況であり、この時刻j1にて、移載対象のキャリアC及び移載先の判定が行われるものとする。従って、塗布、現像装置1では図10で示したフローのステップS2、比較例の装置1Aでは図8で示したS11~S13の判定が行われる。各タイムチャートでは、センダーステージ14A、14B及びロードステージ18の夫々の状態を示しているが、これらのステージについて、キャリアC1~C3が載置されている期間を太枠で囲んで示している。そして、太枠内において、キャリアCが移載不可である期間にハッチングを、移載可である期間にドットを夫々付して示している。また、キャリア移載機構21については、動作している期間にドットを付し、待機している期間にドットを付していない。
比較例の装置1Aについては図7で説明したように優先度が設定されていることから、図15中の時刻j1において、優先度6であるストッカ16へのキャリアC3の移載が行われるように判定される。当該キャリアC3の移載を開始し(時刻j2)、その後、当該キャリアC3の移載中に、キャリアC1の移載不可の期間が終了するものとする(時刻j3)。従って、このキャリアC3の移載終了後は、優先度4である当該キャリアC1のストッカ16への移載が行われるように決定される(時刻j4)。そして、このキャリアC1の移載終了後に、優先度1であるキャリアC3の空いたセンダーステージ14Aへの移載が行われるように決定され(時刻j5)、当該移載が行われる。
このように比較例の装置1Aでは、特定の瞬間におけるキャリアCの配置に基づいて移載対象のキャリアC及び移載先の判定を行うため、優先度が低いキャリアC3の移載の実行中に、優先度が高いキャリアC1の移載が可能となる事態となっている。キャリアC3の移載中はキャリアC1の移載を行えないので、当該キャリアC1の移載を速やかに実行できないし、そのように優先度が高いキャリアC1のセンダーステージ14Aへ移載を完了するまでにキャリア移載機構21が3工程を要している。結果として、キャリアC1のセンダーステージ14Aへの移載が終了する時間が遅くなっている。
続いて、図16、図17を用いて塗布、現像装置1における移載を説明する。なお、図17は、後述のように塗布、現像装置1で時刻j1にて行われる移載の判定結果を模式的に示している。時刻j1においてはロードステージ18からストッカ16へのキャリアC3の移載を行うことができる。図9で説明したように、この移載は優先度3である。しかし、塗布、現像装置1の制御部51は、上記したキャリアの必要時間を取得するにあたり、センダーキャリア払い出し終了時間(ウエハWの払い出し残り枚数×サイクルタイム)について取得している。そして、当該制御部51は、このセンダーキャリア払い出し終了時間に、キャリアCのアンロード時間(ロード位置からアンロード位置へ移動する時間)を加算することで、キャリアC1、C2がセンダーステージ14A、14Bから夫々移載可能になる時刻j11、j12を算出することができる。
また、制御部51は、既述したようにロードステージ18からストッカ16への移載時間も取得することができる。従って、制御部51は、ストッカ16へのキャリアC3の移載(優先度3)を行ったとした場合には、この移載中に時刻j11に至り、センダーステージ14Aからストッカ16へのキャリアC1の移載(優先度2)が遅れてしまうことを検出することができる。
そこで制御部51は、時刻j1において行われる図10のフローのステップS2において、図17で示すようにロードステージ18からストッカ16へのキャリアC3への移載を待ち合わせる(つまり比較例では行った、時刻j2でのキャリアC3の移載を行わない)。そして、そのように移載を待ち合わせ、センダーステージ14Aからストッカ16へのキャリアC1の移載を行うように決定する。そして、時刻j11になったら、移載可能になった当該キャリアC1の移載を行う。なお、ステップS4での移載対象のキャリアCの変更及び移載先の変更は起こらなかったものとして説明している。
そのようにキャリアC1の移載が行われた後は、次に行われるステップS2で、キャリアC3を空いたセンダーステージ14Aに移載する、優先度1の移載が行われるように決定されることになる。このように移載を行うことで、センダーステージ14Aを速やかに空けることができ、また、キャリアC3をセンダーステージ14Aへ移載するまでに、ストッカ16への移載がスキップされることで、キャリア移載機構21が2工程のみ要することになる。従って、図16で示すように、比較例の装置1Aよりも早い時間に、キャリアC3のセンダーステージ14Aへの移載が完了する。
より具体的に、制御部51は、上記したロードステージ18からストッカ16へのキャリアC3への移載の待ち合わせを行うか否かを、下記の2つの条件のいずれかに当てはまるか否かによって判定する。
条件の1つは、ロードステージ18からストッカ16への移載時間>センダーキャリア払い出し終了時間+キャリアCのアンロード時間という関係になり、且つウエハWの払い出しを終了するセンダーキャリアCの移載先が存在することである。センダーキャリアCの移載先が存在する、とはストッカ16あるいはレシーバーステージ15にキャリアCを移載可能であるということである。図16、図17で説明した事例は、当該条件に該当することで、待ち合わせを行うと判定された場合の事例である。
センダーキャリア払い出し終了時間+キャリアCのアンロード時間をキャリアCにおける第1の搬出可能予定時間とする。制御部51としては、当該第1の搬出可能予定時間と、ロードステージ18からストッカ16への移載時間との比較に基づいて、キャリアCをストッカに搬送するか否かを決定していることになる。なお、上記のように第1の搬出可能予定時間は、センダーキャリア払い出し終了時間に基づくため、キャリアCからのウエハWの搬出状況に対応する時間である。
そして条件の他の1つは、ロードステージ18からストッカ16への移載に要する時間>レシーバーキャリア収納終了時間+キャリアCのアンロード時間という関係になり、且つウエハWの収納を終了するレシーバーキャリアCの移載先が存在することである。レシーバーキャリアCの移載先が存在する、とはストッカ16あるいはアンロードステージ19にキャリアCを移載可能であるということである。このような条件に当てはまる場合、ストッカ16への移載を行ったとしたらその移載中に、より優先度が高いレシーバーキャリアCの移載を行うことができることになってしまう。つまり、ストッカ16への移載を行うことでレシーバーステージ15が空くタイミングが遅れてしまうので、ストッカ16への移載を待ち合わせて、レシーバーキャリアCの移載を行うように決定される。
レシーバーキャリア収納終了時間+キャリアCのアンロード時間をキャリアCにおける第2の搬出可能予定時間とする。制御部51としては、当該第2の搬出可能予定時間と、ロードステージ18からストッカ16への移載時間との比較に基づいて、キャリアCをストッカ16に搬送するか否かを決定していることになる。なお、上記のように第2の搬出可能予定時間は、レシーバーキャリア収納終了時間に基づくため、キャリアCへのウエハWの搬入状況に対応する時間である。
ところで、上記したように比較例の装置1Aでは、ステージ14、15間でキャリアCを移載するにあたり、ストッカ16を経由する。図18においては図14と同様に、ドットを付した矢印で比較例の装置1AにおけるキャリアCの移載例を、ドットを付さない矢印で塗布、現像装置1の移載例を夫々示している。この図に示すように、比較例の装置1Aではセンダーステージ14→ストッカ16、レシーバーステージ15→ストッカ16またはアンロードステージ19、ストッカ16→レシーバーステージ15の順で移載し、センダーステージのキャリアCをレシーバーステージ15へ載置する。しかし、図で塗布、現像装置1の移載例として示すように、レシーバーステージ15→ストッカ16またはアンロードステージ19、センダーステージ14→レシーバーステージ15の順で移載を行える場合は、このような移載を行う。つまり、センダーステージ14からレシーバーステージ15へキャリアCを移載するにあたり、ストッカ16をスキップして問題無い場合には、このようなスキップを行う。
ところで説明の便宜上、図10のフローのステップS2について、移載対象のキャリアC及びキャリアの移載先を判定するにあたり、キャリアCの必要時間に基づいて行うと述べてきたが、他の要因に基づいて、キャリアCの移載先の判定が行われる場合が有る。以下、当該他の要因であるキャリアCの必要順番に基づいて、上記したセンダーステージ14とレシーバーステージ15との間で、ストッカ16のスキップを行う事例を説明する。
上記のキャリアCの必要順番について説明しておくと、当該必要順番とは、ウエハWを装置に払い出し済みで、レシーバーステージ15に未載置のキャリアCに割り当てられる順番であり、レシーバーステージ15への移載を早く行う必要が有るものほど、早い順番が割り当てられる。図5で示したようなウエハWの搬送経路長の違いや、装置中で発生するトラブルなどで、装置に搬入されてから処理ブロックD2の出口となる受け渡しモジュールTRSへ搬送されるまでの時間は、ウエハW毎に異なる。それ故にキャリアCの必要順番は、ウエハWの払い出し順とは異なる順番となる場合が有る。
キャリアCの必要順番についてさらに詳しく述べると、図10のフローのステップS2の実行時に、例えばロットの先頭のウエハW(1番目に装置に搬入されたウエハW)が、当該ロットの搬送経路における処理ブロックD2の出口となる受け渡しモジュールTRSに搬入される予定の時刻に基づき、必要順番が設定される。従って、例えば図5で述べた、第1のウエハ搬送経路H1で搬送されるロットについては、先頭のウエハWの受け渡しモジュールTRS4~TRS6への搬入予定時刻に応じて、必要順番が決められる。例えば図5で述べた第2のウエハ搬送経路H2で搬送されるロットについては、先頭のウエハWの受け渡しモジュールTRS1~TRS3への搬入予定時刻に応じて、必要順番が決められる。従って、キャリアCの必要順番とは、互いに異なるキャリアに収納されるウエハW間について、処理ブロックD2の出口の搬出用モジュールTRSに搬送される予定の順番に対応する。このように必要順番は、当該処理ブロックD2におけるウエハWの搬送経路の下流側への搬送予定に対応して設定される順番である。なお、上記のようにサイクルタイムが設定される他、装置内の各モジュールの処理時間及び露光機D4の処理時間とのデータを制御部51は取得可能であり、これら処理時間及びサイクルタイムから、上記の各TRSへの搬入予定時刻を算出可能である。
図19を参照して上記したスキップを行う事例を説明する。上記のステップS2が実行されるにあたり、センダーステージ14のキャリアCの必要順番≦空いているレシーバーステージ15の数であるものとする。そのとき、当該センダーステージ14のキャリアCを移載するとしたときに、直接レシーバーステージ15に移載されるように決定される。つまり、キャリアCの必要順番と、キャリアCが載置されていないレシーバーステージ15の数と、に基づいて、ウエハWの搬出(払い出し)を終えたキャリアCを、ストッカ16を経由せずに基板受入ポートに移載するか否かが決定される。
図19の例では、レシーバーステージ15AにキャリアCが載置され、レシーバーステージ15Bが空いている。移載されるセンダーキャリアCの必要順番は1であり、上記の条件に適合する。従って、このセンダーキャリアCを移載するにあたり、ストッカ16ではなく、レシーバーステージ15Bに移載するように決定される。つまり、図9で示したように優先度2のストッカ16への移載ではなく、優先度1のレシーバーステージ15への移載が行われるように決定される。
続いて図20を参照して、必要順番に基づいて行われる移載の決定の他の事例を説明する。上記のステップS2が実行されるにあたり、センダーステージ14におけるキャリアCの必要順番>空いているレシーバーステージ15の数であるものとする。この場合、他の条件次第ではセンダーステージ14のキャリアCについてストッカ16への移載が可能であっても、この移載を待ち合わせて他のキャリアCを移載し、センダーステージ14とレシーバーステージ15との間でストッカ16をスキップした移載が行われるように判定される場合が有る。
例えば一のセンダーステージ(図の例では14B)のキャリアCがウエハWの払い出しを終え、移載可能となっている。そして、他のセンダーステージ(図の例では14A)のキャリアCからウエハWを払い出し中であったとする。このキャリアCの払い出し終了時間(ウエハWの払い出し残り枚数×サイクルタイム)=時間G1とする。レシーバーステージ15は空いていない。レシーバーステージ15のうち、先にウエハWの収納が完了する方の一のレシーバーステージのキャリアC(図の例では15BのキャリアC)について、移載可能となるまでの時間をG2とする。この時間G2は、レシーバーキャリア収納終了時間+キャリアCのアンロード時間であり、既述したようにレシーバーキャリア収納終了時間=ウエハWの残り収納枚数×サイクルタイムである。
そして、先にウエハWの収納が完了するキャリアC(図の例では15BのキャリアC)について、キャリア移載機構21が移載に要する時間をG3とする。時間G3は、このキャリアCのキャリアアウト信号が出ていて、且つロードステージ18が空いていればロードステージ18への移載に要する時間、そうでなければストッカ16への移載に要する時間である。また、上記の一のセンダーステージ(図の例では14B)で移載可能となっているキャリアCについて、先にウエハWの収納が完了するキャリアCのステージ(図の例では15B)への移載に要する時間をG4とする。また、ロードステージ18にキャリアCが載置されているか、ストッカ16にウエハWを払い出していないキャリアCが載置されており、そのキャリアCについて一のセンダーステージへの移載に要する時間+ロード時間(アンロード位置からロード位置へ移動する時間)を時間G5とする。
時間G1>時間G2+時間G3+時間G4+時間G5であると判定されたときには、一のセンダーステージ(図の例では14B)のストッカ16への移載(優先度3)を待ち合わせる。そして、一のレシーバーステージ(図の例では15B)のキャリアCが移載可能となったら、当該キャリアCの移載(優先度2)を行うように決定する。このように、当例では、センダーステージ14AにおけるキャリアCからのウエハWの搬出状況、レシーバーステージ15BにおけるキャリアCへのウエハWの搬入状況、必要順番及び空いているレシーバーステージ15の数に基づいて、センダーステージ14BのキャリアCをストッカ16へ移載するか否かを決定している。
時間G1~G5が上記の関係であるときに、ストッカ16への移載を待ち合わせる理由を説明するために、上記の事例をより具体的に示す。ステップS2の実行時に、サイクルタイムを5秒、センダーステージ14AのキャリアCの払い出し残り枚数(残留枚数)が25枚、レシーバーステージ15BのキャリアCは、全てのウエハWを収納済みでアンロード位置へ移動していないものとする。また、キャリア移載機構21の一工程に要する時間は、25秒として設定されているものとする。従って、レシーバーステージ15BからのキャリアCの移載に要する時間、センダーステージ14AへのキャリアCの移載に要する時間は、共に25秒とする。ロード時間、アンロード時間は夫々20秒、15秒であるものとする。
この場合、センダーステージ14Aの払い出し終了時間G1=ウエハWの払い出し残り枚数×サイクルタイム=25枚×5秒=125秒である。レシーバーステージ15BのキャリアCの移載可能となるまでの時間G2=レシーバーキャリア収納終了時間+キャリアCのアンロード時間=0枚×5秒+15秒=15秒である。レシーバーキャリアCの移載に要する時間G3=25秒である。センダーステージ14BのキャリアCのレシーバーステージ15Bへの移載に要する時間G4=25秒である。センダーステージ14BへのキャリアCの移載に要する時間+ロード時間=G5=25秒+20秒である。従って、時間G1=125秒>時間G2+時間G3+時間G4+時間G5=110秒となる。そのため、センダーステージ14BのキャリアCについて、ストッカ16への移載を待ち合わせる。
そのように待ち合わせる理由を以下に述べる。レシーバーステージ15BのキャリアCを移載して、当該レシーバーステージ15Bを空ける。次にセンダーステージ14BのキャリアCを空いたレシーバーステージ15Bに移載する(即ち、ストッカ16に移載しない)。続いて、空いたセンダーステージ14Bに後続のキャリアCを移載し、ロード位置に移動させ、当該キャリアCからのウエハWの払い出しを可能にする状態とする。このような一連の移載が行われるとした場合に、時間G1>時間G2+時間G3+時間G4+時間G5の関係になることは、当該一連の移載終了時にセンダーステージ14Aにおいて、キャリアCからのウエハWの払い出しが続けられている(終了していない)ことになる。
つまり、時間G1~G5が上記の関係にあることにより、上記の一連の移載を行っても、ウエハ搬送機構27はセンダーステージ14AのキャリアCからウエハWを全て払い出した後、待機すること無くセンダーステージ14BのキャリアCからウエハWを払い出せるので、装置へのウエハWの払い出しが滞らない。その一方で、レシーバーステージ15Bには、センダーステージ14Bに載置されていたキャリアCがストッカ16を経由せずに移載されるので、より早い時間でウエハWを収納可能な状態とされることになる。
続いて、図10のフローにおける再判定を行うステップS4について、具体例を示して説明する。図21、図22は、比較例の装置1A、塗布、現像装置1の夫々において、任意のキャリアC(C1とする)が移載される状況及びキャリア移載機構21の動作を示すタイムチャートである。各図のタイムチャートは、レシーバーステージ15、ストッカ16、アンロードステージ19におけるキャリアC1の移載状況を示しており、キャリアC1が載置されている期間にドットを付して示している。そして、図15、図16のチャートと同様キャリア移載機構21について、動作している期間にドットを付し、待機している期間にはドットを付していない。
ここでは、比較例の装置、塗布、現像装置1共に以下の条件で移載が行われるものとする。キャリアC1が、レシーバーステージ15において、アンロード位置に移動する時刻をk1とする。この時刻k1では、このキャリアC1についてキャリアアウト指示が出されておらず、この時刻k1の後の時刻k2で、キャリアアウト指示が出されるものとする。この時刻k2では、キャリアC1はレシーバーステージ15に載置されたままであるものとする。
比較例の装置1Aにおいては、時刻k1で行われるステップS11~S13(図8参照)の判定で、このキャリアC1を移載するように決定されると、キャリア移載機構21がレシーバーステージ15に移動してキャリアC1を受け取り(図21中、時刻k3(時刻k2の後の時刻))、キャリアC1はストッカ16に移載される。このように比較例の装置1Aでは、塗布、現像装置1のステップS4に相当する再判定が行われないので、時刻k2においてキャリアアウト指示が出されていても、レシーバーステージ15のキャリアC1を、ストッカ16に一旦、移載する(時刻k4)。次にステップS11~S13の判定を行ったときに、このキャリアC1を移載するように決定されるとすると、キャリアアウト指示が出されていることにより、ストッカ16からアンロードステージ19へ移載される(時刻k5)。
続いて塗布、現像装置1における移載を説明する。時刻k1でステップS2の判定(図10参照)が実行され、この時点ではレシーバーステージ15からストッカ16への移載(優先度2-2)を行うように判定されているものとする。その後、時刻k2でキャリアアウト指示が出される。そして、レシーバーステージ15の直上へキャリア移載機構21が位置し、ステップS4の再判定が行われる(図22中、時刻k13)。キャリアアウト指示が出されたことにより、レシーバーステージ15からアンロードステージ19への移載(優先度2-1)を行うように再決定がなされ、キャリアC1はアンロードステージ19へ移載される(時刻k14)。従って、塗布、現像装置1については、比較例の装置1Aに比べて、キャリアC1をアンロードステージ19へ移載するまでに要するキャリア移載機構21の工程数は1工程少ない。そして、キャリアC1をより早い時間においてアンロードステージ19へ移載することができる。
このように塗布、現像装置1においては、塗布、現像装置1へのウエハWの搬入状況、搬出状況及び処理ブロックD2におけるウエハWの搬送経路の下流側への搬送状況に応じて、キャリアCの移載が行われる。従って、キャリアCから装置へのウエハWの搬入、装置からキャリアCへのウエハWの収納が滞らないように、キャリアCを移載することができる。従って、塗布、現像装置1のスループットを向上させることができる。
そして、キャリアCの移載を行うにあたり、ストッカ16をスキップした移載が行われることで、キャリアCの移載効率を高くすることができる。従って、より確実に、装置に対するウエハWの搬入出が滞らないようにするために必要なタイミングで、キャリアCをセンダーステージ14、レシーバーステージ15の各々に移載することができる。そのため、塗布、現像装置1のスループットをより確実に向上させることができる。
また、移載するキャリアC及び移載先の決定後、キャリア移載機構21が移載するキャリアCに対応する位置へ移動した後、キャリアCを受け取るまでの間に、予め設定された条件(割り込み指令)の有無に基づいて、そのように決定された移載を実行するか否かの再決定が行われる。割り込み指令には、キャリアブロックD1におけるキャリアCの配置状況、塗布、現像装置1内でのウエハWの搬送状況、キャリアCのキャリアブロックD1からの搬出可否状況に各々対応する指令が含まれるので、これらの状況に速やかに対応したキャリアCの移載を行うことができる。
ところで、例えば図11等で説明したセンダーキャリア払い出し終了時間及びレシーバーキャリア払い出し終了時間に基づいたキャリアCの移載、及び図19で説明した必要順番に基づいたキャリアCの移載のうち、一方のみを行ってもよい。つまり、塗布、現像装置1に対するウエハWの搬入出状況に基づくキャリアCの移載、及びウエハWの塗布、現像装置1内での搬送状況に基づくキャリアCの移載のうちの一方のみが行われるように装置を構成してもよい。
また、ウエハWの搬入出状況に基づくキャリアCの移載を行うにあたっては、ウエハWの搬入状況及びウエハWの搬出状況のうちの一方のみに基づいてキャリアCの移載を行ってもよい。例えば、センダーステージ14におけるキャリア払い出し終了時間に基づいてロードステージ18のキャリアCをストッカ16に移載するか、センダーステージ14に移載するか決定するようにする。レシーバーステージ15におけるキャリア収納終了時間に基づいて、センダーステージ14のキャリアCをストッカ16に移載するか、レシーバーステージ15に移載するか決定するようにする。これらのような2つの決定のうち、いずれか一方のみの決定を行うようにしてもよい。
キャリアブロックD1における、ロードステージ18、アンロードステージ19、センダーステージ14、レシーバーステージ15、ストッカ16のレイアウトについて、上記のレイアウトは一例であり、キャリア移載機構21がアクセスできればよく、上記のレイアウトに限られない。また、各ステージ及びストッカの各々の配置数についても、上記の例は一例であり、上記の例に限られない。また、レシーバーステージ及びセンダーステージは上記の構成例では別体であるが、そのように別体にすることに限られない。つまりウエハWを収納したキャリアCが載置される場合にはセンダーステージと機能し、ウエハWを払い出したキャリアCが載置される場合にはレシーバーステージとして機能することで使い分けられるキャリアステージを設けてもよい。また、上記の例ではキャリアブロックD1に設けられるウエハWの搬送機構について、処理ブロックD2にウエハWを搬送するウエハ搬送機構と、キャリアCにウエハWを搬送するウエハ搬送機構とが別体となっているが、共通のウエハ搬送機構であってもよい。また当該キャリアブロックD1の搬送機構の保持部について、複数設けられることに限られず、一つであってもよい。さらに、センダーステージ14で払い出されたキャリアCと同じキャリアCにウエハWを戻すことには限られない。つまり、上記の必要順番を設定するにあたり、キャリアCを収納していたものとは異なるキャリアCにウエハWが収納されるように必要順番が設定されてもよい。
上記した処理ブロックD2における第1のウエハ搬送経路H1及び第2のウエハ搬送経路H2は一例であり、例えば現像処理を行うために単位ブロックE1~E6のうち、単位ブロックE4~E6のいずれか一つのみを通過する搬送経路でウエハWが搬送されてもよい。また、処理ブロックD2としては、単位ブロックを一つのみ備える構成であってもよい。また、処理ブロックD2で行われる処理としては、レジスト膜の形成、現像に限られない。液処理による反射防止膜や絶縁膜の形成、ウエハWを貼り合わせるための接着剤の塗布などの処理が行われてもよい。また、処理にはウエハWを撮像し表面状態を検査することも含まれる。従って、基板処理装置としては塗布、現像装置1に限られない。
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更及び組み合わせがなされてもよい。