以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
{第1実施形態}
<1.基板処理装置1の概略構成>
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す平面図である。また、図2は、図1におけるA−A断面から矢印a方向に見た基板処理装置1の側面図である。また、図3は、図1におけるA−A断面から矢印bの方向に見た基板処理装置1の側面図である。なお、この明細書に添付した図において、X方向およびY方向は水平面を規定する2次元座標軸であり、Z方向はXY面に垂直な鉛直方向を規定している。
この基板処理装置1は、半導体ウエハ等の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型の基板洗浄装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、インデクサ区画2と、このインデクサ区画2に結合された処理区画3とを備えており、インデクサ区画2と処理区画3との境界部分には、中継部50が配置されている。中継部50は、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しを行うための中継ユニット50a、センターロボットCRとの間で基板Wの反転を行う反転ユニット(RT1)、基板Wを反転しつつインデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受渡を行うための反転受渡ユニット(RT2)とからなる。図2に示すように、中継部50は中継ユニット50aの上方に反転ユニットRT1を配置し、中継ユニット50aの下方に反転受渡ユニットRT2を配置した積層構造を有している。
また、基板処理装置1には、基板処理装置1における各装置の動作を制御するための制御部60が備えられている。処理区画3は、後述するスクラブ洗浄処理等の基板処理を行う区画であり、基板処理装置1全体として枚葉型の基板洗浄装置となっている。制御部60は、基板処理装置1の外部に置かれたホストコンピュータとLANを介して接続されている。ホストコンピュータから制御部60へは各基板Wの表面洗浄処理ユニットSSあるいは裏面洗浄処理ユニットSSRでの基板処理内容を決定するプロセスレシピPRが送信される。また、ホストコンピュータから制御部60へは、基板処理装置1内部での個々の基板Wの搬送内容を決定するフローレシピFRが送信される。制御部60は受信したフローレシピFRを参照して基板処理装置1内部での各基板Wの搬送スケジュールを作成する。この第1実施形態の記録媒体処理装置1においては、各基板の処理や搬送のスケジュールをデジタルデータの形式で作成するためのコンピュータプログラムが、制御部60にあらかじめ記憶されている。そして、制御部60のコンピュータがこのコンピュータプログラムを実行することにより、この制御部60のひとつの機能として、スケジュール作成装置が実現される。これらの詳細については後述する。
<1.1 インデクサ区画>
インデクサ区画2は、基板処理装置1の外部から受け取った基板W(未処理基板W)を処理区画3に渡すとともに、処理区画3から受け取った基板W(処理済み基板W)を基板処理装置1の外部に搬出するための区画である。インデクサ区画2は、複数枚の基板Wを収容できるキャリアCを保持することができるキャリア保持部4と、基板の搬送手段(基板搬送部とも言う)であるインデクサロボットIRと、インデクサロボットIRを水平に移動させるインデクサロボット移動機構5(以下では、「IR移動機構5」という)とを備えている。
キャリアCは、たとえば複数枚の基板Wを上下に一定の間隔を空けて水平に保持できるものであり、表面(2つの主面のうち電子デバイスを形成する主面)を上に向けて複数枚の基板Wを保持している。複数のキャリアCは、所定の配列方向(第1実施形態においては、Y方向)に沿って配列された状態で、キャリア保持部4に保持されている。IR移動機構5は、Y方向に沿ってインデクサロボットIRを水平に移動させることができる。
各キャリア保持部4に対しては、未処理基板Wを収納したキャリアCが、装置外部から、OHT(Overhead Hoist Transfer)、AGV(Automated Guided Vehicle)等によって搬入されて載置される。また、処理区画3でのスクラブ洗浄処理等の基板処理が終了した処理済み基板Wは、センターロボットCRから中継部50を介してインデクサロボットIRに受け渡され、キャリア保持部4に載置されたキャリアCに再度格納される。処理済み基板Wを格納したキャリアCは、OHT等によって装置外部に搬出される。すなわち、キャリア保持部4は、未処理基板Wおよび処理済み基板Wを集積する基板集積部として機能する。
本実施形態におけるIR移動機構5の構成について説明する。インデクサロボットIRには可動台が固設されており、この可動台はキャリアCの並びと平行にY方向に沿って延びるボールネジに螺合されるとともに、ガイドレールに対して摺動自在に設けられている。よって、回転モータによってボールネジが回転すると、可動台と固設されたインデクサロボットIRの全体がY軸方向に沿って水平移動する(いずれも図示省略)。このように、インデクサロボットIRはY方向に沿って自在に移動可能であるので、各キャリアCに、または、中継部50に基板の搬入出(以下、基板の搬入出のことを「アクセス」と称する場合がある。)可能な位置まで移動することができる。
図4は、インデクサロボットIRの図解的な側面図である。図4の各要素に付された参照記号のうち、カッコ内に示す参照符号は、インデクサロボットIRとほぼ同じ自由度を有するロボット機構をセンターロボットCRとしても用いる場合についての、センターロボットCRでの要素の参照符号である。したがって、ここでのインデクサロボットIRの構成説明においては、カッコ外にある参照符号を参照する。
インデクサロボットIRは、基台部18を有している。アーム6aおよびアーム7aの一端は基台部18に取り付けられており、各々のアームの他端にはハンド6b,6cおよびハンド7b,7cが、互いに干渉しないように上下方向に高さをずらして配置されている(図1では、ハンド6b,6cおよびハンド7b,7cが上下に重なり合っている。)。したがって、ハンド6b,6cは、アーム6aを介して基台部18に保持されている。
また、ハンド7b,7cは、アーム7aを介して基台部18に保持されている。各ハンド6b,6c,7b,7cの先端は、いずれも一対のフィンガ部を有している。すなわち、各ハンド6b、6c、7b、7cの先端は、上面視にて二股のフォーク状に形成されており、基板Wの下面を下方から支持することにより1枚の基板Wを水平に保持することができる。また、本実施形態においては、ハンド7b,7cは洗浄処理を行う前の未処理基板を搬送する際にのみ用い、ハンド6b,6cは洗浄処理後の処理済基板を搬送する場合にのみ用いる。なお、各ハンドの一対のフィンガ部の外寸は、中継部50(図9)に対向配置された一対の支持部材54の間隔よりもよりも小さい。このため、後述する基板搬入および搬出作業において、各ハンド6b、6c、7b、7cはこの支持部材54に干渉することなく基板Wを中継部50に搬入出することができる。
また、各ハンド6b、6c、7b、7cの一対のフィンガ部の外寸は基板Wの直径よりも小さい。このため基板Wを安定して保持することができる。したがって、このインデクサロボットIRは4つのハンド6b,6c,7b,7cを有しているものの、未処理基板の同時搬送としては最大2枚の基板が可能であり、処理済基板の同時搬送としても最大2枚の基板が可能なロボット機構となっている。アーム6aおよびアーム7aは、いずれも多関節型の屈伸式アームである。インデクサロボットIRは、進退駆動機構8により、アーム6aおよびアーム7aを個別に伸縮させることができる。したがって、当該アーム6a,7aに対応するハンド6b,6cおよび7b,7cを別々に水平に進退させることができる。
また、基台部18には、基台部18を鉛直軸線まわりに回転させるための旋回機構9と、基台部18を鉛直方向に昇降させるための昇降駆動機構10とが内蔵されている。以上の構成となっているため、インデクサロボットIRは、IR移動機構5によってY方向に沿って自在に移動可能である。また、インデクサロボットIRは、旋回機構9および昇降駆動機構10によって、水平面における各ハンドの角度、および、鉛直方向における各ハンドの高さを調節することができる。そのため、インデクサロボットIRは、各ハンド6b,6cおよびハンド7b,7cをキャリアCや中継部50に対向させることができる。インデクサロボットIRは、ハンド6b,6cおよびハンド7b,7cがキャリアCに対向した状態で、アーム6aまたはアーム7aを伸長させることにより、当該アーム6a,7aに対応するハンド6b,6cおよびハンド7b,7cを当該キャリアCや中継部50にアクセスさせることができる。
<1.2 処理区画>
処理区画3は、インデクサ区画2より搬送された未処理の基板Wに洗浄処理を施し、当該洗浄処理を施した処理済基板Wを再びインデクサ区画2へと搬送する区画である。
処理区画3は、基板の表面に一枚ずつ洗浄処理を施す表面洗浄処理部11と、基板の裏面に一枚ずつ洗浄処理を施す裏面洗浄処理部12と、基板の搬送手段(基板搬送部とも言う)であるセンターロボットCRと、センターロボットCRを水平に移動させるセンターロボット移動機構17(以下では、「CR移動機構17」という)とを備えている。以下、処理区画3における各装置の構成を説明する。
図1〜3に示すとおり、洗浄処理部11は、それぞれの組が上下方向に積み重ねられて4段構成とされた2組の表面洗浄処理ユニットSS1〜SS4、SS5〜SS8を備えており、また洗浄処理部11,12は、それぞれの組が上下方向に積み重ねられて4段構成とされた2組の裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR4、SSR5〜SSR8を備えた構成である。図1に示すように、表面洗浄処理部11および裏面洗浄処理部12は、Y方向に所定距離離隔した状態で並んで配置されている。センターロボットCRは、表面洗浄処理部11と裏面洗浄処理部12との間に配置されている。
図5は、表面洗浄処理部11の各洗浄処理ユニットSS1〜SS8における、基板W表面のスクラブ洗浄処理の様子を示した図である。洗浄処理ユニットSS1〜SS8は、表面が上側を向く基板Wを水平姿勢で保持して鉛直方向に沿った軸心周りで回転させるスピンチャック111、スピンチャック111上に保持された基板Wの表面に当接または近接してスクラブ洗浄を行う洗浄ブラシ112、基板Wの表面に洗浄液(例えば純水)を吐出するノズル113、スピンチャック111を回転駆動させるスピン回転支持部114、および、スピンチャック111上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等、およびこれらの部材を格納するユニットケース115を備えている。ユニットケース115には基板Wを搬入および搬出するためのスライド開閉可能なスリット116が配設されたゲート117が形成されている。
裏面洗浄処理部12では、基板Wの裏面のスクラブ洗浄処理を行う。裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8も、表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8と同様に、スピンチャック、洗浄ブラシ、ノズル、スピンモータ、カップ、およびこれらの部材を格納するユニットケースを備えている。また、ユニットケースには基板Wを搬入および搬出するための開閉可能なスリットが配設されたゲートが形成されている(いずれも図示省略)。
なお、表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8のスピンチャック111は、基板Wを裏面側から保持するため真空吸着方式のものであってもよいが、裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8のスピンチャックは、基板Wの表面側から保持するため基板端縁部を機械的に把持する形式のものが好ましい。
洗浄ブラシ112によって基板Wの表面を洗浄するときには、図示しないブラシ移動機構によって、表面を上に向けてスピンチャック111に保持された基板Wの上方に洗浄ブラシ112を移動させる。そして、スピンチャック111によって基板Wを回転させつつノズル113から基板Wの上面に処理液(たとえば純水(脱イオン水))を供給させ、洗浄ブラシ112を基板Wの上面に接触させる。さらに、洗浄ブラシ112を基板Wの上面に接触させた状態で、当該洗浄ブラシ112を基板Wの上面に沿って移動させる。これにより、洗浄ブラシ112によって基板Wの上面をスキャンして、基板Wの表面全域をスクラブ洗浄することができる。このようにして、基板Wの表面に対する処理が行われる。基板の裏面洗浄についても同様である。
なお、本実施形態では、洗浄処理部11、12内の洗浄処理ユニットSS1〜SS8およびSSR1〜SSR8を基板Wへのスクラブ洗浄を行う装置として説明している。しかし、洗浄処理部11、12内の洗浄処理ユニットSS1〜SS8およびSSR1〜SSR8が行う基板処理は当該スクラブ洗浄に限定されるものではない。例えば、ブラシ洗浄を行わず、基板の表面または裏面に対向するノズル等から吐出される処理液(洗浄液やリンス液等)またはガス等の流体によって基板Wの枚葉洗浄を行う洗浄処理ユニットであってもよい。
図6は、反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2の図解的な側面図である。
反転ユニットRT1と反転受渡ユニットRT2とは、前者がセンターロボットCRのみからアクセス可能であるのに対して、後者はセンターロボットCRからだけでなくインデクサロボットIRからもアクセス可能である点のみで異なるため、同じ図6を用いて説明する。反転ユニットRT1はセンターロボットCRにより搬入された基板Wに反転処理を施す処理ユニットであり、反転ユニットRT1により基板Wが反転されると、センターロボットCRが当該基板を反転ユニットRT1から搬出する。反転受渡ユニットRT2はインデクサロボットIRおよびセンターロボットCRの両方からアクセス可能とされている。
インデクサロボットIRにより反転受渡ユニットRT2に基板Wが搬入されると、反転受渡ユニットRT2は当該基板Wを反転する。その後、センターロボットCRは当該基板を反転受渡ユニットRT2から搬出する。また、センターロボットCRにより反転受渡ユニットRT2に基板Wが搬入されると、反転受渡ユニットRT2は当該基板Wを反転する。
その後、インデクサロボットIRは当該基板を反転受渡ユニットRT2から搬出する。
第1実施形態における基板処理装置1において、表面洗浄処理部11および裏面洗浄処理部12の各洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8では、基板の上面(基板の表裏とは無関係であり、その時点での鉛直方向上側が上面、鉛直方向下側が下面)に洗浄処理が施される。そのため、基板の両面の洗浄処理を行う場合などは、洗浄処理とは別に基板Wの反転処理を行う必要があり、その際に用いられるのが反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2である。
図6に示すように、反転ユニットRT1は、水平に配置された固定板33と、固定板33を上下に挟んで水平に配置された4枚の可動板34とを有している。固定板33および4枚の可動板34は、それぞれ、矩形状であり平面視において重なり合うように配置されている。固定板33は、支持板35に水平状態で固定されており、各可動板34は、鉛直方向に延びるガイド36を介して、水平状態で支持板35に取り付けられている。各可動板34は、支持板35に対して鉛直方向に移動可能となっている。各可動板34は、エアーシリンダなどの図示しないアクチュエータによって鉛直方向に移動させられる。また、支持板35には、回転アクチュエータ37が取り付けられている。固定板33および4枚の可動板34は、回転アクチュエータ37によって、支持板35とともに水平な回転軸線まわりに一体的に回転させられる。回転アクチュエータ37は、支持板35を水平な回転軸線まわりに180度回転させることにより、固定板33および4枚の可動板34の上下を反転させることができる。
また、固定板33および4枚の可動板34において、互いに対向する面(たとえば、上側の可動板34の下面と固定板33の上面)には、それぞれ複数本の支持ピン38が取り付けられている。複数本の支持ピン38は、それぞれの面において、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。各支持ピン38の高さ(基端から先端までの長さ)は、一定とされており、ハンド6b、6c、ハンド7b、7c、およびハンド13b〜16bの厚み(鉛直方向への長さ)よりも大きくされている。
固定板33は、複数本の支持ピン38を介して、その上方で一枚の基板Wを水平に支持することができる。また、4枚の可動板34は、それぞれ、下側に位置しているときに、複数本の支持ピン38を介して、その上方で一枚の基板Wを水平に支持することができる。固定板33による基板支持位置と可動板34による基板支持位置との鉛直方向の間隔は、インデクサロボットIRの各ハンド6b、6c、ハンド7b、7cにより保持される二枚の基板Wの鉛直方向への間隔、およびセンターロボットCRの各ハンド13b〜16bにより保持される二枚の基板Wの鉛直方向への間隔と等しくなるように設定されている。
反転ユニットRT1が以上のような構成となっているため、センターロボットCRは、各ハンド13b〜16bにより保持される基板Wを反転ユニットRT1にアクセス(搬入出)させることができる。また、反転受渡ユニットRT2が以上のような構成となっているため、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCR(以下、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRを総称して「ロボットIRおよびCR」ということがある。)は、各ハンド6b、6c、ハンド7b、7c、および各ハンド13b〜16bにより保持される基板Wを反転受渡ユニットRT2にアクセス(搬入出)させることができる。
なお、詳細な基板Wの受け渡し動作については後述する。
インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRは、固定板33とその直上の可動板34との隙間に1枚目の基板Wを、当該可動板34とさらに上方の可動板34との隙間に2枚目の基板Wを挿入する。この状態でこれら2枚の可動板34を固定板33に向けて移動させることでこれら2枚の基板Wを反転ユニットRT1または反転受渡ユニットRT2に保持させることができる。
同様に、固定板33とその直下の可動板34との隙間に1枚目の基板Wを、当該可動板34とさらにその下方の可動板34との隙間に2枚目の基板Wを保持することができる。
そして、反転ユニットRT1内に基板Wが保持された状態で、回転アクチュエータ37によって支持板35を水平な回転軸線まわりに回転させることにより、保持された2枚の基板Wの上下を反転させることができる。
以上説明したように、反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2は、複数枚(この第1実施形態では、2枚)の基板Wを水平に保持し、保持した基板Wの上下を反転させることできる。本実施形態におけるCR移動機構17の構成は、既述のIR移動機構5の構成と同様である。つまり、CR移動機構17は、図示しない可動台、X方向に長尺なボールネジやガイドレール、および、ボールねじを回転させる回転モータによって構成される。ボールネジが回転すると、可動台と固設されたセンターロボットCRの全体が、表面洗浄処理部11と裏面洗浄処理部12との間を横切って処理区画3の内部をX方向に水平移動する。
このように、センターロボットCRはX方向に沿って自在に移動可能であるので、各洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8にアクセス(搬入出)可能な位置まで移動することができる。また、同様に、中継部50にアクセス(搬入出)可能な位置まで移動することもできる。センターロボットCRは、図4のインデクサロボットIRと実質的に同様の構成、すなわち相対固定された2段ハンドを、独立して進退駆動可能に上下に2組構成としたロボット機構(以下、「アーム2組ハンド4個」の意味で「2A4H機構」と呼ぶ)を用いることもできるし、他の構成を用いることもできる。インデクサロボットIRとして2A4H機構のロボットを用いる場合の各構成要素は、図4においてインデクサロボットIRについて説明したものと同様であるため、ここでの重複説明は省略する。
図7(a)は、4つのハンド13b〜16bのそれぞれを4つのアーム13a〜16aで独立して進退駆動可能な形式(以下「4A4H機構」と言う)で構成した場合のセンターロボットCRの図解的な側面図である。また、図7(b)は、後述する基板の搬入作業および搬出作業においてセンターロボットCRが洗浄処理ユニットSS(SSR)にアクセスする様子を示す図解的な上面図である。図7(a)に示すように、4A4H機構とした場合のこのセンターロボットCRは、基台部28を有している。各アーム13a〜16aの一端は基台部28に取り付けられ、各アーム13a〜16aの他端には各ハンド13b〜16bが取り付けられている。したがって、各ハンド13b〜16bは、それぞれ、各アーム13a〜16aを介して基台部28に保持されている。また、ハンド13b〜16bは隣接するハンド13b〜16bに対して互いに干渉しないように上下方向に高さをずらして(鉛直方向に互いに同一距離h1で隔離して)配置されている。さらに、各ハンド13b〜16bの先端は、いずれも一対のフィンガ部を有している。すなわち、各ハンド13b〜16bの先端は、上面視において二股のフォーク状に形成されており、各ハンド13b〜16bは、基板Wの下面を下方から支持することにより1枚の基板Wを水平に保持することができる。本実施形態においては、ハンド15b,16bは洗浄処理を行う前の未処理基板を搬送する際にのみ用い、ハンド13b,14bは洗浄処理後の処理済基板を搬送する場合にのみ用いる。
なお、各ハンド13b〜16bの一対のフィンガ部の外寸は中継部50における一対の対向する支持ピン55の間隔よりも小さい。このため、後述する基板搬入および搬出作業において、各ハンド13b〜16bが中継部50の支持部材54に干渉することが防止されている。さらに、各ハンド13b〜16bの一対のフィンガ部の間には部材通過領域が形成されている。当該領域は基板洗浄ユニットSS(SSR)のスピンチャック111よりも大きい。このため、後述する基板搬入および搬出作業において、各ハンド13b〜16bがスピンチャック111に干渉することが防止されている(図7(b)参照)。また、各ハンド13bの厚みはスピンチャック111の上面と回転支持部114の上面との間隔よりも小さい大きさとされている。また、アーム13a〜16aは、いずれも多関節型の屈伸式アームである。センターロボットCRは、各アーム13a〜16aを進退駆動機構29により個別に伸縮させ、当該アームに対応するハンド13b〜16bを別々に水平に移動させることができる。
また、基台部28には、基台部28を鉛直軸線まわりに回転させるための旋回機構31と、基台部28を鉛直方向に昇降させるための昇降駆動機構32とが内蔵されている。
CR移動機構17によって、各洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8にアクセス可能な位置までセンターロボットCRを移動させた後、旋回機構31により基台部28を回転させて各ハンド13b〜16bを所定の鉛直軸線まわりに回転させるとともに、昇降駆動機構32により基台部28を鉛直方向に昇降させることにより、これらの任意のハンド13b〜16bを所望の洗浄処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8に対向させることができる。そして、ハンド13b〜16bが洗浄処理ユニットに対向した状態で、アーム13a〜16aを伸長させることにより、当該アームに対応するハンド13b〜16bを当該洗浄処理ユニットにアクセスさせることができる。同様に、センターロボットCRは、任意のハンド13b〜16bを中継部50へアクセスさせることができる。
センターロボットCRとして2A4H機構を採用した場合も、4A4H機構を採用した場合も、中継部50から処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8へ一括搬送(同時搬送)できる未処理基板は最大で2枚であり、処理ユニットSS1〜SS8、SSR1〜SSR8から中継部50へと一括搬送できる処理済基板は最大で2枚となっている。
したがって、一括搬送可能な基板の最大枚数はいずれも同一であるため、以下では、説明の便宜上、4A4H機構として構成されたセンターロボットCRについて説明するが、センターロボットCRとして2A4H機構を用いた場合についても、インデクサロボットIRのアーム動作から類推することにより、センターロボットCRについての個々のアーム動作は理解可能である。なお、上記ではCR移動機構17を併用することによりセンターロボットCRの各ハンド13b〜16bを処理ユニットSS、SSR、および中継部50にアクセス可能とした形態について説明した。しかし、CR移動機構17を用いずにセンターロボットCRの旋回機構31、昇降駆動機構32および進退駆動機構29のみによってセンターロボットCRの各ハンド13b〜16bを処理ユニットSS、SSR、および中継部50にアクセス可能とすることももちろん可能である。
<1.3 中継ユニット50a>
インデクサ区画2と処理区画3との境界部分には、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しを行うための中継ユニット50aが配置されている。中継ユニット50aは基板載置部PASS1〜PASS4を備える筐体であり、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wの受け渡しが行われる際には、基板載置部PASS1〜PASS4内に基板Wが一時的に載置される。
図8は、第1実施形態における中継ユニット50aの側面図である。また、図9は図8におけるA−A断面の矢印方向からみた上面図である。中継ユニット50aの筐体の側壁の、インデクサロボットIRに対向する一側壁には、基板Wを搬入出するための開口部51が設けられている。また、上記一側壁に対向する、センターロボットCR側に位置する他側壁にも、同様の開口部52が設けられている。
筐体内の開口部51,52に対向する部位には、上記基板Wを略水平に保持する基板載置部PASS1〜PASS4が設けられている。このため、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRは、それぞれ、開口部51,52より、基板載置部PASS1〜PASS4にアクセス可能となっている。なお、本実施形態においては、上側の基板載置部PASS1、PASS2は、処理済基板Wを処理区画3からインデクサ区画2へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS3、PSS4は、未処理基板Wをインデクサ区画2から処理区画3へ搬送する際に用いられる。
図8,9に示すように、基板載置部PASS1〜PASS4は、筐体内部の側壁に固設される一対の支持部材54と、当該支持部材54上面の両端部に2本一組で設けられる合計4本の支持ピン55とから構成される。また、支持部材54は、開口部51,52が形成された側壁と異なる一対の側壁に固設されている。支持ピン55の上端は円錐状に形成されている。そのため、一対の支持ピン55には、基板Wが周縁部の4箇所を係合させて着脱可能に保持される。
ここで、PASS1−PASS2間、PASS2−PASS3間、およびPASS3−PASS4間における各支持ピン55は、鉛直方向に同一距離h2で隔離して設けられている(図8参照)。この距離h2は、前記したセンターロボットCRのハンド13b〜16bの鉛直方向の間隔h1と等しい。このため、センターロボットCRが中継ユニット50aに対向させた状態で、センターロボットCRのハンド15b、16bを進退駆動機構29により同時に伸長させることにより、中継ユニット50aの基板載置部PASS3、PASS4から2枚の未処理基板Wを同時に受け取ることができる。同様に、センターロボットCRのハンド13b、14bを進退駆動機構29により同時に伸長させることにより、これらのハンド13b、14bに保持されている2枚の処理済基板Wを、中継ユニット50aの基板載置部PASS1、PASS2に同時に引き渡すことができる。
<1.4 制御部60>
図10は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。また、図11は、制御部60の内部構成を説明するためのブロック図である。
制御部60は、図11に示されるように、例えば、CPU61、ROM62、RAM63、記憶装置64等が、バスライン65を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。ROM62は基本プログラム等を格納しており、RAM63はCPU61が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置64は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成される。記憶装置64には、処理プログラムP0およびスケジュール作成プログラムP1が格納されている。スケジュール作成プログラムP1に記述された手順に従って、CPU61が後述する演算処理を行うことにより、処理対象となる各基板Wのスケジュールデータ(以下、「SD」とする。)が時系列順に配列したテーブル形式などで作成される。なお、作成されたスケジュールデータSDは、記憶装置64に格納される。また、処理プログラムP0に記述された手順に従って、CPU61が演算処理を行うことにより基板処理装置1の各種機能が実現され、上記スケジュールデータSDに従って対象基板Wに所定の洗浄処理が施される。
また、制御部60では、入力部66、表示部67、通信部68もバスライン65に接続されている。入力部66では、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の各種の入力設定指示を受ける。表示部67は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU61による制御のもと各種の情報を表示する。
通信部68は、LAN等を介したデータ通信機能を有する。
制御部60には、インデクサロボットIR、センターロボットCR、IR移動機構5、CR移動機構17、表面洗浄処理部11、裏面洗浄処理部12、反転ユニットRT1、および反転受渡ユニットRT2が制御対象として接続されている。なお、スケジュール作成プログラムP1に関する詳細な説明は、基板処理装置1の動作に関する説明の後に行う。
<2. 基板処理装置1の動作>
これまで、基板処理装置1における各装置の構成、および、各装置内での動作(洗浄処理や反転処理等)について説明を行った。
以下、基板処理装置1内部の各装置(基板載置部PASS、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2、洗浄処理ユニットSS(SSR)等)とインデクサロボットIRやセンターロボットCRとの基板Wの受渡し動作、および、基板処理装置1全体を通しての基板処理動作について説明する。これらの動作はスケジュール作成プログラムP1によって作成されたスケジュールデータSDに従って行われるが、以下ではまず、個々の動作について説明し、スケジュールデータSDの生成原理およびそれに基づく総合的なタイミング制御については後に詳述する。
<2.1 基板Wの受渡し動作>
既述したとおり、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRには、移動機構、旋回機構、昇降駆動機構、進退駆動機構が設けられており、当該ロボットの各ハンドを基板処理装置1内部の各要素にアクセスさせることが可能である。
この際の基板の受渡し動作について、センターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSSにアクセスした場合と、センターロボットCRが中継部50にアクセスした場合とを例に挙げて説明する。図12および図13は、センターロボットCRと表面洗浄処理ユニットSSとの間の基板受渡し動作の一例を示した模式図である。また、図14は、センターロボットCRとPASS(中継部50)との間の基板受渡し動作を示した模式図であり、理解を容易にするため、基板Wと、基板載置部PASS1〜PASS4の支持部材54と、ハンド13b〜16bとのみで基板受渡し動作を簡易的に表現している。
[センターロボットCRと処理ユニットとのアクセス]
図12(a)に示す通り、処理ユニットSSのスピンチャック111上には処理済基板W1が載置されている。また、処理ユニットSSのスリット116がスライドしてゲート117が開放されている。
センターロボットCRがこのような表面洗浄処理ユニットSSから処理済基板W1を搬出するときは、まず、制御部60が旋回機構31を制御して、ハンド13bを当該表面洗浄処理ユニットSSに対向させる。同時に、制御部60は昇降駆動機構32を制御して、ハンド13bの上面がスピンチャック111の上面よりも下であって、ハンド13bの下面が回転支持部114の上面よりも上になる高さ位置にする(図12(a)参照)。
次に、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム13aを伸長させる。これにより、ハンド13bが水平移動して表面洗浄処理ユニットSSの内部に入り込み、ハンド13b先端の部材通過領域がスピンチャック111を通過し、図12(b)に示すように、ハンド13bがスピンチャック111に保持された基板W1の下方に配置される。本実施形態の各ハンド13b〜16bは個別に伸縮可能であるため、基板の搬入出作業に必要なハンド(ここではハンド13b)のみを表面洗浄処理ユニットSSのユニットケース115の中に進入させることができる。これによりハンド13b〜16bがユニットケース115内に持ち込むおそれのあるパーティクルの量を最小限にすることができる。また、スピンチャック111と回転支持部114とのスペースを1本のハンド13b〜16bのみが進入可能な程度の上下幅に狭めることができる。
その後、制御部60が昇降駆動機構32を制御して、ハンド13bを上昇させる。これにより、図12(c)に示すように、スピンチャック111上に載置されていた基板W1がハンド13bの上側に渡される。続いて、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム13aを収縮させる。これにより、図12(d)に示すように、ハンド13bが表面洗浄処理ユニットSSから退避していく。また、前述の一連の動作では、ハンド13bを用いて何れかの表面洗浄処理ユニットSSから一枚の基板Wを搬出する場合について説明したが、他の基板保持ハンド14b〜16bを用いるときにおいても、前述の1枚搬出と同条件となるように昇降駆動機構32によりハンドの高さを変更すれば、同様の搬出動作を行うことができる。
続いて、基板の搬入動作について説明する。制御部60は昇降駆動機構32を制御して、ハンド15bの上面に保持された未処理基板W2がスピンチャック111の上方となる高さまでアーム15aを上昇させる(図13(a))。
次に、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム15aを伸長させる。これにより、ハンド15bが水平移動して表面洗浄処理ユニットSSの内部に入り込み、図13(b)に示すように、ハンド15bの上側に保持された基板W2が、スピンチャック111の上方に配置される。
その後、制御部60が昇降駆動機構32を制御して、ハンド15bを下降させる。これにより、図13(c)に示すように、ハンド15bに保持されていた基板W2がスピンチャック111に渡される。そして、制御部60が進退駆動機構29を制御して、アーム15aを収縮させる。これにより、図13(d)に示すように、ハンド15bが表面洗浄処理ユニットSSから退避していく。また、前述の一連の動作では、ハンド15bを用いて表面洗浄処理ユニットSSに基板Wを一枚搬入する場合について説明したが、この1枚搬入動作は、裏面洗浄ユニットSSRに基板Wを一枚搬入する場合についても同様である。
なお、ハンド15bを降下させるとき、図13(b),13(c)に示されるように、ハンド15bは、側面視において(水平方向から見て)スピンチャック111と重なり合うタイミングがある。しかし、既述したようにハンド15bが二股のフォーク状にされているので、このとき、スピンチャック111は、基板保持ハンド15bの内側に入り込み、ハンド15bと干渉することはない。同様に、基板載置部PASSや反転ユニットRT1における支持ピンと各ハンドとの基板受渡し動作においても、側面視において(水平方向から見て)支持ピンと各ハンドとが重なり合うタイミングはあるが、干渉することがないように設計されている。
[センターロボットCRの中継部50へのアクセス]
図14は、センターロボットCRによって基板載置部PASS1,PASS2に基板Wを2枚同時に搬入するときの動作の一例を説明するための模式図である。
センターロボットCRによって基板載置部PASS1,PASS2に基板Wを2枚同時に搬入するときは、たとえば、ハンド13b、14bに基板Wを1枚ずつ保持させた状態で、2枚の基板Wを基板載置部PASS1,PASS2に同時に搬入する(2枚搬入動作)。具体的には、制御部60が、旋回機構9および昇降駆動機構10を制御して、ハンド13b,14bを基板載置部PASS1,PASS2に対向させる。このとき、ハンド13b、14bは、図14(a)に示すように、ハンド13b、14bに保持された2枚の基板Wが、それぞれ、基板載置部PASS1,PASS2よりも上方となる高さまで上昇または下降されている。
前述のように、基板載置部PASS1〜PASS4における上下の基板支持位置の鉛直方向の間隔が、センターロボットCRの各ハンド13b、14bにより保持される2枚の基板Wの鉛直方向への間隔と等しくなるように設定されている。したがって、昇降駆動機構10によってハンド13bが保持する基板Wが基板載置部PASS1の上方にくるように配置すれば、その他のハンド14bについても、それぞれ、基板載置部PASS2の上方に配置させることができる。
次に、制御部60が進退駆動機構8を制御してアーム13aおよびアーム14aを同時に伸長させる。これにより、ハンド13b,14bが基板載置部PASS1,PASS2の内部に入り込み、図14(b)に示すように、ハンド13b、14bにそれぞれ保持された2枚の基板Wが、それぞれ、基板載置部PASS1,PASS2の上方に配置される。
その後、制御部60が、昇降駆動機構10を制御して、当該2枚の基板WがPASS1、PASS2に支持されるまで、ハンド13b、14bを降下させる。これにより、図14(c)に示すように、PASS1,PASS2の図示しない支持ピン55上に基板Wが同時に載置され、センターロボットCRから基板載置部PASS1,PASS2に2枚の基板Wが同時に渡される。そして、制御部60が進退駆動機構29を制御してアーム13aおよびアーム14aを同時に収縮させる。これにより、ハンド13b、14bが基板載置部PASS3,PASS4から退避していく(2枚搬入動作)。図を用いた説明は省略するが、センターロボットCRが基板載置部PASS3,PASS4から2枚の未処理基板Wを同時に搬出するときは、前述の一連の動作を逆に行う。つまり、ハンド15b,16bを基板載置部PASS3,PASS4の下方に伸長させる。次に、当該ハンド15b、16bcを上昇させ、続いてアーム15aおよびアーム16aを同時に収縮させることにより、ハンド15b、16bを用いて基板載置部PASS1,PASS2から2枚の基板Wを同時に搬出することができる(2枚搬出動作)。
ここまで、センターロボットCRとPASSとにおける基板Wの2枚搬入動作および2枚搬出動作について説明したが、この一連の動作はセンターロボットCRと他のユニット間での基板の受渡しについても同様である。具体的には、センターロボットCRと反転ユニットRT1とにおける基板の受渡し、インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRと反転受渡ユニットRT2とにおける基板の受渡し、インデクサロボットIRと基板載置部PASSとにおける基板の受渡し、および、インデクサロボットIRとキャリアCとにおける基板の受渡しにおいて、既述した2枚搬入動作および2枚搬出動作を行うことができる。
なお、本実施形態における各ロボット(CRまたはIR)の各ハンドでは、保持される基板Wが洗浄処理前の未処理基板であるか洗浄処理済みの処理済基板であるか、という使い分けがなされている。そのため、未処理基板用のハンドであるハンド7b,7c、およびハンド15b,16bで処理済み基板Wの搬入や搬出を行うことは既述の搬入動作および搬出動作の原理としては可能ではあるが、本実施形態の中では実施しない。処理済み基板用のハンドであるハンド6b,6c、およびハンド13b,14bにおいても同様である。
なお、センターロボットCRが複数枚の基板Wを保持している場合、複数の洗浄処理ユニットSS(またはSSR)に基板Wを1枚ずつ順番に搬入していくことがある。同様に、センタ−ロボットCRが複数の洗浄処理ユニットSS(SSR)から基板Wを1枚ずつ搬出していくことがある。これらの場合、個別の処理ユニットSS(SSR)とセンターロボットCRとの関係性だけに着目すれば1枚搬入動作または1枚搬出動作を行っているが、複数の洗浄処理ユニットSS(SSR)の総体である洗浄処理部11(または12)とセンターロボットCRとの関係においては2枚搬入動作または2枚搬出動作を行っているとみなすことができる。したがって、本明細書では、複数の基板Wを保持したセンターロボットCRが複数の洗浄処理ユニットSS(SSR)に順番搬入するケースや複数の洗浄処理ユニットSS(SSR)から複数の基板Wを順番搬出して別のセグメントに移動するケースも、センターロボットCRが中継部50とアクセスして2枚搬入(または搬出)動作を行うケースと同様に、2枚搬入(または搬出)動作を行っていると同じものとして説明を行う。
<2.2 基板処理のパターン>
ここで、本基板処理装置1において実施可能な基板処理のパターンについて説明する。
本基板処理装置1では、「表面洗浄のみ」、「裏面洗浄のみ」、および「両面洗浄(裏面→表面)」「両面洗浄(表面→裏面)」等のさまざまな基板処理パターンを基板Wに対して選択的に施すことが可能である。
「表面洗浄のみ」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転することなく、基板Wの表面の洗浄処理を行う。洗浄処理後は基板Wの表裏を反転することなく、キャリアCに返却する。「裏面洗浄のみ」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転した上で基板Wの裏面の洗浄処理を行う。洗浄処理後は、基板Wの表裏を反転した上で、キャリアCに返却する。「両面洗浄(裏面→表面)」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転した上で、基板Wの裏面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転して、基板Wの表面が上を向いた状態にして、基板Wの表面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転することなく、キャリアCに基板を返却する。「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンでは、基板WをキャリアCから搬出した後、基板Wの表裏を反転することなく、基板Wの表面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転して、基板Wの裏面が上を向いた状態にして、基板Wの裏面の洗浄処理を行う。その後、基板Wの表裏を反転した上で、キャリアCに返却する。
本基板処理装置1で基板Wに対して施される一連の処理は、図15に示すように複数のセグメントS1〜S13に分割することができる。
セグメントS1およびS13は、基板WがキャリアCに格納されている段階に対応している。セグメントS2およびS12は、インデクサロボットIRにより基板Wをインデクサ区画2内で搬送する段階に対応している。セグメントS3、S7、およびS11は、基板Wを中継部50に格納した段階に対応している。セグメントS5、S9は、基板Wを処理区画3で処理する段階に対応している。セグメントS4、S6、S8、およびS10は、センターロボットCRにより基板Wを処理区画3内で搬送する段階に対応している。
図15に示すように、各セグメントでの基板Wの搬送先は基板Wの搬送パターンに応じて異なることがある。例えば、セグメントS3では、「表面洗浄のみ」「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンの場合であれば基板Wを中継処理ユニット50aの基板載置部PASSに基板Wを搬送する。「裏面洗浄のみ」「両面洗浄(裏面→表面)」の場合であれば反転受渡ユニットRT2に基板Wを搬送する。セグメントS5では、「表面洗浄のみ」「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンの場合であれば基板Wを表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8のいずれかに搬送する。「裏面洗浄のみ」「両面洗浄(裏面→表面)」のパターンの場合であれば裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8のいずれかに基板Wを搬送する。セグメントS7では、「両面洗浄(裏面→表面)」「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンの場合であれば基板Wを反転処理ユニットRT1に搬送する。セグメントS9では、「両面洗浄(裏面→表面)」のパターンであれば基板Wを表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8のいずれかに搬送する。一方、「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンの場合であれば基板Wを裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8のいずれかに搬送する。セグメントS11では、「表面洗浄のみ」「両面洗浄(裏面→表面)」のパターンの場合であれば、基板Wを中継処理ユニット50aのいずれかの基板載置部PASSに基板Wを搬送する。「裏面洗浄のみ」「両面洗浄(表面→裏面)」のパターンの場合であれば、反転受渡ユニットRT2に基板Wを搬送する。
また、図15中、網掛けされたセグメント(S1、S3、S5、S7、S9、S11、S13)における基板Wの取り扱い方は、フローレシピFRの中で規定されている。
具体的には以下の通りである。
セグメントS1およびS13に関して、フローレシピFRは基板Wを格納するキャリアCのスロット位置を規定している。セグメントS3およびS11に関して、フローレシピFRは、処理対象の基板Wを中継部50中の中継ユニット50a、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2のいずれに搬送するかを規定している。セグメントS5、S7およびS9に関して、フローレシピFRは、処理対象の基板Wを表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8および裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8のいずれに搬送するかを規定している。
<3. スケジュール作成プログラムP1>
これより、スケジュール作成プログラムP1について説明する。
図11に示すように、スケジュール作成プログラムP1は、制御部60内の記憶装置64に格納されているプログラムである。スケジュール作成プログラムP1は、各種演算処理を行うCPU61によって実行されることにより、処理対象となる各基板のスケジュールデータSDを作成するプログラムであり、こうして作成されたスケジュールデータSDは記憶装置64に格納される。また、処理プログラムP0に記述された手順に従ってCPU61が演算処理を行うことにより基板処理装置1の各種機能が実現され、上記スケジュールデータSDに従って対象基板Wに所定の洗浄処理が施される。
<3.1 スケジュール作成における計画ロジック>
図16は、本発明の第1実施形態におけるスケジュール作成プログラムP1によるスケジュールデータSDの作成の流れを示すフロー図である。まず、複数枚(例えば1ロット分)の基板WについてフローレシピFRがスケジュール作成プログラムP1に与えられる(ステップST1)。スケジュール作成プログラムP1は、フローレシピFRに基づいて、1回目の洗浄処理セグメントS5および2回目の洗浄処理セグメントS9において並行した処理(並行処理とも言う)が可能な処理ユニットの数(並行処理ユニット数とも言う)を決定する(ステップST2)。
既述したとおり、フローレシピFRはセグメントS5およびS9において表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8および裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8のいずれを使用するかを規定している。従って、スケジュール作成プログラムP1はこの情報に基づいて1回目の洗浄処理を行うセグメントS5および2回目の洗浄処理を行うセグメントS9において並行した処理が可能な処理ユニットの数(並行処理ユニット数)を決定することができる。例えば、フローレシピFRが、セグメントS5で使用すべき表面洗浄処理ユニットとして表面洗浄処理ユニットSS1のみを規定しているのであればセグメントS5における並行処理ユニット数は「1」となる。一方、フローレシピFRがセグメントS5ですべての表面洗浄処理ユニットSS1〜SS8を規定しているのであれば、セグメントS5における並行処理ユニット数は「8」となる。同様に、フローレシピFRがセグメントS5に関して特定の裏面洗浄処理ユニットSSR1のみを規定しているのであればセグメントS5における並行処理ユニット数は「1」となる。フローレシピFRがセグメントS5に関してすべての裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR8を規定しているのであればセグメントS5における並行処理ユニット数は「8」となる。同様の考え方により、2回目の洗浄処理を行うセグメントS9において並行処理が可能な処理ユニットの数(並行処理ユニット数)がフローレシピFRに基づいて決定される。
以下の説明では、1回目の洗浄処理において並行処理が可能な処理ユニットの数をM(両面洗浄を行う場合はM1)という。また、2回目の洗浄処理において並行処理が可能な処理ユニットの数をM2という。
スケジュール作成プログラムP1は、上記に基づいて基板搬送の流れを以下のように決定する(ステップST3)。なお、以下では、セグメントS5で並行処理される処理ユニットの種類と数、並びにセグメントS9で並行処理される処理ユニットの種類と数を、「裏3並行−表4並行」のように併記することで、基板搬送の流れを表現する。また、セグメントS5で洗浄処理のみを行いセグメントS9で洗浄処理を行わない場合、「裏8並行」のように、セグメントS5で並行処理される処理ユニットの種類と数とで基板搬送の流れを表現する。
既述の「裏面洗浄のみ」パターンにおいて、「裏3並行」で洗浄処理ユニットを稼働させる場合、基板Wは図17のように搬送される。キャリアCから反転受渡ユニットRT2に向かってインデクサロボットIRによって複数枚の基板Wが順次搬送される(セグメントS2)。インデクサロボットIRによって反転受渡ユニットRT2に搬送された基板Wは、センターロボットCRによって3個の裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR3に順次搬送される(セグメントS4)。裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR3は3枚の基板Wを並行して洗浄処理する(セグメントS5)。裏面洗浄処理ユニットSSR1〜SSR3での洗浄処理が終了した基板WはセンターロボットCRによって反転受渡ユニットRT2に向けて順次搬送される(セグメントS6)。反転受渡ユニットRT2に搬送された基板WはインデクサロボットIRによって反転受渡ユニットRT2からキャリアCに向けて順次搬送される(セグメントS12)。
また、既述の「両面洗浄(裏面→表面)」パターンにおいて、「裏3並行−表6並行」で処理ユニットを稼働させる場合、基板Wは図18のように搬送される。セグメントS2からセグメントS5までは「裏面洗浄のみ」と同じであるので説明を省略する。
裏面洗浄処理ユニットSS1〜SSRでの洗浄処理が終了した基板WはセンターロボットCRによって反転ユニットRT1に向けて順次搬送される(セグメントS6)。反転ユニットRT1に搬送された基板Wは反転処理が行われた後、センターロボットCRによって、6個の表面洗浄処理ユニットSS1〜SS6に向けて順次搬送される(セグメントS8)。表面洗浄処理ユニットSS1〜SS6は6枚の基板Wを並行して洗浄処理する(セグメントS9)。表面洗浄処理ユニットSS1〜SS6での洗浄処理が終了した基板Wは、センターロボットCRによって中継ユニット50aの基板載置部PASSに向けて順次搬送される(セグメントS10)。基板載置部PASSに載置された基板Wは、インデクサロボットIRによってキャリアCに向けて順次搬送される(セグメントS12)。
このように、「裏3並行」におけるセグメントS2、S4、S6およびS12では3枚の基板Wを順次搬送する必要がある。また、「裏3並行−表6並行」におけるセグメントS2、S4およびS6では3枚の基板Wを、セグメントS8、S10およびS12では6枚の基板Wを、それぞれ順次搬送する必要がある。しかし、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRが同時に搬送できる未処理基板Wは2枚にすぎない。同様に、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2および基板載置部PASSが同時に保持することのできる未処理基板Wは2枚にすぎない。したがって、これらのセグメントにおける、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRの動かし方が重要になる。
図16の説明に戻る。以上のようにして基板搬送の流れが決定されると(ステップST3)、センターロボットCRが同時に搬送することのできる基板Wの枚数が決定される(ステップST4)。上記の通り、センターロボットCRが同時に搬送することのできる基板Wの枚数は「2」であるためステップST4では通常は「2」が指定される。しかし、センターロボットCRの故障等によりセンターロボットCRの一部のハンド13が使用できないことが考えられる。このため、ステップST4では「1」または「2」が同時搬送可能な基板Wの枚数として特定される可能性がある。一般化すると、センターロボットCRがX枚(Xは1以上)以下の基板Wを同時に搬送可能な仕様であれば、ステップST4では、X枚以下の自然数が特定される可能性がある。また、本実施形態では、センターロボットCRの4本のハンド13b〜16bのうち、ハンド13bおよび14bは未処理基板用、ハンド15bおよび16bは処理済基板用のように使い分けられているためセンターロボットCRが同時搬送可能な未処理基板Wまたは処理済基板Wの枚数は「1」または「2」であるが、ハンド13b〜16bをこのように使い分けしない場合にはセンターロボットCRが同時搬送可能な未処理基板Wまたは処理済基板Wの枚数は「1」「2」「3」または「4」になる。同様の考え方により、インデクサロボットIRが同時に搬送することのできる基板Wの枚数が特定される(ステップST5)。
次に、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2および基板載置部PASSが同時に保持することのできる基板Wの枚数が特定される(ステップST6)。先述の通り、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2および基板載置部PASSが同時に保持することのできる基板Wの枚数は「2」であるためステップST6では通常は「2」が指定される。しかし、反転ユニットRT1、反転受渡RT2または基板載置部PASSの故障等により1枚の基板Wしか保持できないことが考えられる。そのため、ステップST6では「1」または「2」が同時保持可能な基板Wの枚数として特定される可能性がある。一般化すると、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2および基板載置部PASSがY枚(Yは1以上)以下の基板Wを同時に搬送可能な仕様であれば、ステップST6ではY枚以下の自然数が特定される可能性がある。
次に、スケジュール作成プログラムP1は、セグメントS2およびS12におけるインデクサロボットIRの動作スケジュール、並びにセグメントS4、S6、S8およびS10におけるセンターロボットCRの動作スケジュールを作成する(ステップST7)。スケジュール作成プログラムP1は、ステップST7のサブステップであるステップST7a〜ST7eに従ってセグメントS2およびS12におけるインデクサロボットIRの動作スケジュール、並びにセグメントS4、S6、S8およびS10におけるセンターロボットCRの動作スケジュールを作成する。
ステップST7aでは、インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRの搬送先における並行処理ユニットの数M(両面洗浄を行う場合は、M1およびM2)が、ロボットIRまたはCRで同時搬送可能な基板Wの枚数Nで割り切れるかの判断がされる。換言すれば、ステップST7aでは、N枚が並行処理ユニット数であるM(両面洗浄を行う場合はM1およびM2)の約数になっているか否かの判断をされている。ステップST7aで「Yes」と判断された場合には、インデクサロボットIRまたはセンターロボットCRはN枚の基板Wを処理ユニットSSまたはSSRに同時に搬送する(ステップST7b)。一方、ステップST7aで「No」と判断された場合には、ステップST7cに進み、実行しようとする基板搬送のパターンが「表面洗浄のみ」または「裏面洗浄のみ」であるか判断される。そして、ステップST7cで「Yes」と判断された場合には以下の計画ロジック1に従ってインデクサロボットIRまたはセンターロボットCRの動作スケジュールを決定する(ステップST7d)。一方、ステップST7cで「No」と判断された場合には以下の計画ロジック2に従ってセンターロボットCRの動作スケジュールを決定する(ステップST7e)。
[計画ロジック1] センターロボットCRが基板Wを2個のセグメント間で搬送する場合、以下のステップSS11とSS12とからなるサイクルが繰り返されるようにセンターロボットCRの動作スケジュールを作成する。
SS11:センターロボットCRは基板WのN枚の同時搬送を、MをNで割った商の回数だけ、実行する。
SS12:センターロボットCRは、「「MをNで割った商の回数」+1」回目の基板搬送では、MをNで割った余りの枚数の基板Wを同時に搬送する。
但し、MはセンターロボットCRの基板搬送先における並行処理ユニット数あるいは同時に基板Wを保持することが可能な枚数(同時基板保持枚数とも言う)である。NはセンターロボットCRにより同時搬送可能な基板Wの枚数である。
[計画ロジック2] センターロボットCRが、「裏3並行−表6並行」の場合のように、1枚の基板Wを複数の処理ユニットに順番に搬送する場合は、以下のサブステップSS21とSS22とからなるサイクルが繰り返されるようにセンターロボットCRの動作スケジュールを作成する。
SS21:センターロボットCRは、基板WのN枚の同時搬送を、M1とM2の最大公約数をNで割った商の回数(M3とする)だけ、実行する。
SS22:センターロボットCRは、「M3+1」回目の基板搬送では、「M1とM2の最大公約数」をNで割った余り」の枚数の基板Wを同時に搬送する。
但し、M1は1回目の洗浄処理において並行処理を行う処理ユニットの数、M2は2回目の洗浄処理において並行処理を行う処理ユニットの数、NはセンターロボットCRによって同時に搬送可能な基板Wの枚数である。
以上のようにして、スケジュール作成プログラムP1によって、セグメントS4、S6、S8、S10におけるセンターロボットCRの動作スケジュールが決定される。その後、センターロボットCRの動作スケジュールに合わせてインデクサロボットIRの動作スケジュールが作成される。最後に、スケジュール作成プログラムP1は各ロボットによる基板搬送スケジュールと、各洗浄処理ユニットSSおよびSSRでの基板処理スケジュール、反転ユニットRT1および反転受渡ユニットRT2での基板反転スケジュール等を統合して、最終的なスケジュールデータSDを生成する(ステップST8)。
<3.2 計画ロジック1の適用例>
以下では、計画ロジック1に基づいて作成した搬送スケジュールの一例を説明する。
計画ロジック1を「裏3並行」パターン(図17参照)でのセグメントS4におけるセンターロボットCRの動きに適用した場合、センターロボットCRは以下のサブステップSS11とSS12とからなるサイクルを繰り返し実行することになる。
(サブステップSS11) センターロボットCRは基板Wの2枚(すなわち、N枚)の同時搬送を、反転受渡ユニットRT2から2つの裏面洗浄処理ユニットSSRに向けて、1回(すなわち、3を2で割った商の回数)だけ実行する。
(サブステップSS12) センターロボットCRは2回目(すなわち、3を2で割った商に1を加えた回)の基板搬送では、1枚(すなわち、3を2で割った余りの枚数)の基板Wを搬送する。
これにより、例えば図19に示すようなスケジュールが作成される。図19は「裏3並行」パターンでのセグメントS4およびセグメントS5におけるセンターロボットCRおよび裏面洗浄ユニットSSR1〜SSR3のタイミングチャートである。実際には、センターロボットCRは裏面洗浄ユニットSSR1〜SSR3からの処理済基板Wの搬出も行うが、図19では反転受渡ユニットRT2から裏面洗浄ユニットSSR1〜SSR3への未処理基板Wの搬送サイクルに集中して説明するため、処理済基板Wの裏面洗浄ユニットSSR1〜SSR3からの搬出作業が行われないものと仮想して説明する。
時刻t0までに2枚の未処理基板W1、W2がインデクサロボットIRによって反転受渡ユニットRT2に載置される。これらの基板W1、W2は時刻t1までに反転受渡ユニットRT2によって反転される。センターロボットCRは時刻t1に2枚の未処理基板W1、W2を反転受渡ユニットRT2から同時に搬出する。センターロボットCRは時刻t1からt2までの期間に、2枚の未処理基板W1、W2を保持しつつ裏面搬送処理ユニットSSR1に対向する位置まで移動する。センターロボットCRは、時刻t2に未処理基板W1を裏面洗浄処理ユニットSSR1に搬入する。その後、裏面洗浄処理ユニットSSR1は未処理基板W1に対する裏面洗浄処理を開始する。次に、センターロボットCRは裏面洗浄処理ユニットSSR2に対向する位置まで移動する。そして、時刻t2から若干遅れたタイミングで裏面洗浄処理ユニットSSR2に未処理基板W2を搬入する。裏面洗浄処理ユニットSSR2は未処理基板W2に対する裏面洗浄処理を開始する。
なお、図19では簡単のため、センターロボットCRが同じ時刻t2に裏面洗浄処理ユニットSSR1およびSSR2に2枚の未処理基板W1、W2を同時搬入するように図示している(以下、同じ)。
その後、センターロボットCRは時刻t3までの期間で反転受渡ユニットRT2に対向する位置まで移動する。時刻t3までにインデクサロボットIRによって3枚目の未処理基板W3が反転受渡ユニットRT2に載置され、また反転受渡ユニットRT2での反転を完了している。センターロボットCRは時刻t3に反転受渡ユニットRT2から3枚目の未処理基板W3を取り出す。
その後、センターロボットCRは時刻t3から時刻t4までの期間で1枚の基板W3を保持しつつ裏面洗浄処理ユニットSSR3に対向する位置まで移動する。次に、センターロボットCRは時刻t4に裏面洗浄処理ユニットSSR3に1枚の未処理基板W3を搬入する。裏面洗浄処理ユニットSSR3は未処理基板W3に対する裏面洗浄処理を開始する。
その後、センターロボットCRは時刻t4から時刻t5までの期間に反転受渡ユニットRT2に対向する位置まで移動する。時刻t5までにインデクサロボットIRによって2枚の未処理基板W4、W5が反転受渡ユニットRT2に載置され、また反転受渡ユニットRT2での反転を完了している。
センターロボットCRは時刻t5に未処理基板W4、W5を反転受渡ユニットRT2から取り出す。続いて、センターロボットCRは時刻t5から時刻t6までの期間に裏面洗浄処理ユニットSSR1に対向する位置まで移動する。センターロボットCRは未処理基板W4を裏面洗浄処理ユニットSSR1に搬入する。裏面洗浄処理ユニットSSR1は未処理基板W4に対する裏面洗浄処理を開始する。センターロボットCRは裏面洗浄処理ユニットSSR2に対向する位置まで移動し、時刻t6から若干遅れた時刻に裏面洗浄処理ユニットSSR2に搬入する。裏面洗浄処理ユニットSSR2は未処理基板W5に対する裏面洗浄処理を開始する。
その後、センターロボットCRは時刻t7までの期間で反転受渡ユニットRT2に対向する位置まで移動する。時刻t7までにインデクサロボットIRによって6枚目の未処理基板W6が載置され、また反転受渡ユニットRT2による基板W6の反転を完了している。センターロボットCRは時刻t7に反転受渡ユニットRT2から6枚目の未処理基板W6を取り出す。
その後、センターロボットCRは時刻t7から時刻t8までの期間で1枚の基板W6を保持した状態で裏面洗浄処理ユニットSSR3に対向する位置まで移動する。次に、センターロボットCRは時刻t8に裏面洗浄処理ユニットSSR3に1枚の未処理基板W6を搬入する。裏面洗浄処理ユニットSSR3は未処理基板W6に対する裏面洗浄処理を開始する。
以上のように、センターロボットCRは反転受渡ユニットRT2から3つの裏面洗浄処理ユニットSR1〜SR3に向けて、2枚搬送→1枚搬送→2枚搬送→1枚搬送…と言ったリズムで未処理基板Wの搬送を行っている。基板搬送のサイクルは、時刻t1から時刻t4まで(時刻t5から時刻8まで)が1サイクルである。
なお、図19の例では、1サイクルの基板搬送に要する時間が1つの基板処理ユニットでの処理時間よりも長いため、基板処理ユニットの側で待ち時間が生じている。このような状態を「搬送律速」という。一方、1サイクルの基板搬送に要する時間が1つの基板処理ユニットでの処理時間よりも短くなると、センターロボットCRの側で待ち時間が発生する。このような状態を「プロセス律速」という。センターロボットCRから複数のハンド13b、14b(または15b、16b)を用いて処理ユニットSSまたはSSRに向けて複数の基板Wを順次搬送する動作スケジュールを作成すると、搬送時間と処理ユニットでの基板処理時間との大小関係に応じて、搬送律速の状態、プロセス律速の状態、またはセンターロボットCRと処理ユニットとが完全に同期した状態のいずれかが発生する。
しかし、計画ロジック1に従ってロボットIRまたはCRの動作スケジュールを作成すると、「搬送律速」と「プロセス律速」の一方のみが発生し、「搬送律速」と「プロセス律速」とが入り乱れて発生することがない。
また、図19に示すように、センターロボットCRが1回の基板搬送サイクルを実行する期間(例えば時刻t1から時刻t4までの期間、時刻t5から時刻t8までの期間、または時刻t9から時刻t12までの期間)または当該期間の整数倍の期間内に、全ての並行処理ユニットSSR1〜SSR3に基板Wが搬送されている。この結果、センターロボットCRによる1搬送サイクル(または当該期間のその整数倍)の期間内に、全ての並行処理ユニットSSR1〜SSR3での基板処理を開始することができるようになる。
これにより、センターロボットCRによる基板搬送の周期と並行処理ユニットでの基板処理開始タイミングの周期とが同期して進行する。基板搬送の周期と基板処理を開始する周期とが同期進行することで基板搬送と基板処理が一定のリズムで進行するようになり、安定した基板処理が可能になる。したがって、このような動作スケジュールを実行するセグメントと当該セグメントの前または後のセグメントの動作スケジュールとを円滑に連結することが可能になる。
<3.3 計画ロジック2の適用例>
以下では、計画ロジック2に基づいて作成した搬送スケジュールの一例を説明する。計画ロジック2を、図18を用いて既述の「裏3並行−表6並行」パターンでのセグメントS4、S6およびS8におけるセンターロボットCRの動きに適用すると、センターロボットCRは以下のサブステップSS21とSS22とからなるサイクルを繰り返し実行することになる。
(サブステップSS21)
センターロボットCRは基板Wの2枚(すなわち、N枚)の同時搬送を、反転受渡ユニットRT2から2つの裏面洗浄処理ユニットSSRに向けて、1回(すなわち、(M1とM2の最大公約数をNで割った商)の回数)実行する。
(サブステップSS22)
センターロボットCRは2回目(すなわち、((M1とM2の最大公約数をNで割った商)+1)回目)の基板搬送では、1枚(すなわち、(M1とM2の最大公約数)/Nの余り)枚)の基板Wを搬送する。
これにより、図20に示すようなスケジュールが作成される。図20は「裏3並行−表6並行」パターンにおいて複数の基板Wを順次搬送した場合において、反転受渡ユニットRT2、センターロボットCR、裏面洗浄処理ユニットSSR、および表面洗浄処理ユニットSSの各タイミングでの基板Wの保持状態を示す模式図である。なお、図20では、センターロボットCRによる裏面洗浄処理ユニットSSRからの基板Wの搬出工程も説明している。
時刻t0までにインデクサロボットIRによって2枚の未処理基板W1、W2が反転受渡ユニットRT2に載置される。そして、時刻t1までに基板W1、W2が反転受渡ユニットRT2により反転される。時刻t1に2枚の基板W1、W2が反転受渡ユニットRT2からセンターロボットCRに同時に受け渡される。時刻t1からt2にかけて基板W1、W2を保持したセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR1に対向する位置まで移動する。時刻t2に基板W1がセンターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSR1に受け渡される。その後、裏面洗浄処理ユニットSSR1によって基板W1の裏面の洗浄処理が開始される。また、センターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR2に対向する位置まで移動する。そして、基板W2がセンターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSR2に受け渡される。その後、裏面洗浄処理ユニットSSR2によって基板W2の裏面の洗浄処理が開始される。なお、センターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSRに受け渡されるタイミングは、基板W2のほうが基板W1よりも若干遅い。しかし、図20では、簡単のため、基板W1と基板W2が同じ時刻t2に、センターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSRに受け渡されるように図示している。
時刻t2からt3にかけてセンターロボットCRが反転受渡ユニットRT2に対向する位置まで移動する。時刻t3までに3枚目の基板W3がインデクサロボットIRにより反転受渡ユニットRT2に載置され、そして、反転受渡ユニットRT2によって反転される。時刻t3に3枚目の基板W3が反転受渡ユニットRT2からセンターロボットCRに受け渡される。時刻t3からt4にかけて、基板W3を保持したセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR3に対向する位置まで移動する。時刻t4に基板W3がセンターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSR3に受け渡される。そして、裏面洗浄処理ユニットSSR3によって、基板W3の裏面の洗浄処理が開始される。
時刻t4から時刻t5にかけてセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR1に対向する位置まで移動する。時刻t5に基板W1が裏面洗浄処理ユニットSSR1からセンターロボットCRに受け渡される。次に、センターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR2に対向する位置まで移動した後、基板W2が裏面洗浄処理ユニットSSR2からセンターロボットCRに受け渡される。時刻t5からt6にかけて基板W1、W2を保持したセンターロボットCRが反転ユニットRT1に対向する位置まで移動する。時刻t6に基板W1、W2がセンターロボットCRから反転ユニットRT1に同時に受け渡される。時刻t6からt7にかけて反転ユニットRT1が基板W1およびW2を同時に反転させる。時刻t7に基板W1、W2が反転ユニットRT1からセンターロボットCRに同時に受け渡される。時刻t7からt8にかけて基板W1、W2を保持したセンターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSS1に対向する位置まで移動する。時刻t8に基板W1がセンターロボットCRから表面洗浄処理ユニットSS1に受け渡される。その後、表面洗浄処理ユニットSS1によって基板W1の表面の洗浄処理が開始される。また、センターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSS2に対向する位置まで移動する。そして、基板W2がセンターロボットCRから表面洗浄処理ユニットSS2に受け渡される。その後、表面洗浄処理ユニットSS2によって基板W2の裏面の洗浄処理が開始される。
時刻t8からt9にかけてセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR3に対向する位置まで移動する。時刻t9に裏面洗浄処理ユニットSSR3からセンターロボットCRに基板W3が受け渡される。時刻t9からt10にかけて基板W3を保持したセンターロボットCRが反転ユニットRT1に対向する位置まで移動する。時刻t10に基板W3がセンターロボットCRから反転ユニットRT1に受け渡される。時刻t10からt11にかけて反転ユニットRT1が基板W3を反転させる。時刻t11に基板W3が反転ユニットRT1からセンターロボットCRに受け渡される。時刻t11からt12にかけて基板W3を保持したセンターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSS3に対向する位置まで移動する。時刻t12に基板W3がセンターロボットCRから表面洗浄処理ユニットSS3に受け渡される。その後、表面洗浄処理ユニットSS3により基板W3の表面洗浄処理が開始される。
時刻t12からt13にかけてセンターロボットCRが反転受渡ユニットRT2に対向する位置まで移動する。時刻t13までに4枚目、5枚目の基板W4、W5がインデクサロボットIRによって反転受渡ユニットRT2に載置されて、反転受渡ユニットRT2によって反転される。時刻t13に基板W4、W5が反転受渡ユニットRT2からセンターロボットCRに同時に受け渡される。時刻t13からt14にかけて基板W4、W5を保持したセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR1に対向する位置まで移動する。時刻t14に基板W4がセンターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSR1に受け渡される。その後、裏面洗浄処理ユニットSSR1によって基板W4の裏面の洗浄処理が開始される。また、センターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR2に対向する位置まで移動する。そして、基板W5がセンターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSR2に受け渡される。その後、裏面洗浄処理ユニットSSR2によって基板W5の裏面の洗浄処理が開始される。なお、センターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSRに受け渡されるタイミングは、基板W5のほうが基板W4よりも若干遅い。しかし、図20では、簡単のため、基板W4と基板W5が同じ時刻t14に、センターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSRに受け渡されるように図示している。
時刻t14からt15にかけてセンターロボットCRが反転受渡ユニットRT2に対向する位置まで移動する。時刻t15までに6枚目の基板W6がインデクサロボットIRにより反転受渡ユニットRT2に載置され、反転受渡ユニットRT2によって反転されている。時刻t15に6枚目の基板W6が反転受渡ユニットRT2からセンターロボットCRに受け渡される。時刻t15からt16にかけて、基板W6を保持したセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR3に対向する位置まで移動する。時刻t16に基板W6がセンターロボットCRから裏面洗浄処理ユニットSSR3に受け渡される。そして、裏面洗浄処理ユニットSSR3によって、基板W6の裏面の洗浄処理が開始される。
時刻t16から時刻t17にかけてセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR1に対向する位置まで移動する。時刻t17に基板W4が裏面洗浄処理ユニットSSR1からセンターロボットCRに受け渡される。次に、センターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR2に対向する位置まで移動した後、基板W5が裏面洗浄処理ユニットSSR2からセンターロボットCRに受け渡される。時刻t17からt18にかけて基板W4、W5を保持したセンターロボットCRが反転ユニットRT1に対向する位置まで移動する。時刻t18に基板W4、W5がセンターロボットCRから反転ユニットRT1に同時に受け渡される。時刻t18からt19にかけて反転ユニットRT1が基板W4およびW5を同時に反転させる。時刻t19に基板W4、W5が反転ユニットRT1からセンターロボットCRに同時に受け渡される。時刻t19からt20にかけて基板W4、W5を保持したセンターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSS4に対向する位置まで移動する。時刻t20に基板W4がセンターロボットCRから表面洗浄処理ユニットSS4に受け渡される。その後、表面洗浄処理ユニットSS4によって基板W4の表面の洗浄処理が開始される。また、センターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSS5に対向する位置まで移動する。そして、基板W5がセンターロボットCRから表面洗浄処理ユニットSS5に受け渡される。その後、表面洗浄処理ユニットSS5によって基板W5の表面の洗浄処理が開始される。
時刻t20からt21にかけてセンターロボットCRが裏面洗浄処理ユニットSSR3に対向する位置まで移動する。時刻t21に裏面洗浄処理ユニットSSR3からセンターロボットCRに基板W6が受け渡される。時刻t21からt22にかけて基板W6を保持したセンターロボットCRが反転ユニットRT1に対向する位置まで移動する。時刻t22に基板W6がセンターロボットCRから反転ユニットRT1に受け渡される。時刻t22からt23にかけて反転ユニットRT1が基板W6を反転させる。時刻t23に基板W6が反転ユニットRT1からセンターロボットCRに受け渡される。時刻t23からt24にかけて基板W6を保持したセンターロボットCRが表面洗浄処理ユニットSS6に対向する位置まで移動する。時刻t24に基板W6がセンターロボットCRから表面洗浄処理ユニットSS6に受け渡される。その後、表面洗浄処理ユニットSS6により基板W6の表面の洗浄処理が開始される。
このように、センターロボットCRは、反転受渡ユニットRT2(セグメントS2)から、3つの裏面洗浄処理ユニットSSRが並行処理を実行する裏面洗浄部12(セグメントS5)に向けて、2枚→1枚→2枚→1枚…のリズムで基板Wを搬送している。
同様に、センターロボットCRは、裏面洗浄処理部12から反転ユニットRT1(セグメントS7)に向けて、2枚→1枚→2枚→1枚…のリズムで基板Wを搬送している。センターロボットCRは、反転ユニットRT1から、6つの表面洗浄処理ユニットSSが並行処理を実行する表面洗浄部11(セグメントS9)に向けて、2枚→1枚→2枚→1枚…のリズムで基板Wを搬送している。
<3.4 本発明の一般化>
ここで本発明の内容を一般化しておく。本発明の目的は、複数枚(M枚。)の基板Wを同時に保持する1以上のセグメント(キャリアC、反転ユニットRT1、反転受渡ユニットRT2。並行処理が可能な複数の表面洗浄処理ユニットSSを有する表面洗浄処理部11、および並行処理が可能な複数の裏面洗浄処理ユニットSSRを有する裏面洗浄処理部12など)に向けて、あるいは該セグメントから、複数枚(N枚。NはMの約数でない)の基板を同時に搬送可能な基板搬送部(インデクサロボットIRまたはセンターロボットCR)によって、リズミカルに基板Wの搬送を実行することにある。
まず、1つのセグメントに向けての、あるいは1つのセグメントからの、基板搬送部による基板搬送処理に着目する。MがNで割り切れるときは、N枚の基板Wの同時搬送を繰り返し行う。MがNで割り切れないときには、以下の式1を満足するような変数i1,i2,…iNを設定する。そして、変数i1,i2,…iNが代入された式1を参照して、基板搬送部の動作スケジュールを設定する。
M=N×i1+(N−1)×i2+(N−2)×i3+…+1×iN・・・式1
但し、i1,i2,i3,…iNは、いずれも0以上、(M/N)以下の任意の整数である。
つまり、次の第1工程と、第2工程と、第3工程と、・・・第N工程とからなる基板搬送サイクルが、繰り返し実行される。
[第1工程]N枚の基板Wを、1つのセグメントから、または当該1つのセグメントに向けて基板搬送部によって同時に搬送する基板搬送ステップがi1回だけ実行される。
[第2工程](N−1)枚の基板Wを、1つのセグメントから、または当該1つのセグメントに向けて基板搬送部によって同時に搬送する基板搬送ステップがi2回だけ実行される。
[第3工程](N−2)枚の基板Wを、1つのセグメントから、または当該1つのセグメントに向けて基板搬送部によって同時に搬送する基板搬送ステップがi3回だけ実行される。
[第N工程]1枚の基板Wを、1つのセグメントから、または当該1つのセグメントに向けて基板搬送部によって同時に搬送する基板搬送ステップがiN回だけ実行される。
なお、基板搬送サイクルでは、第1工程から第N工程が、この順番に行われる態様だけに限られず、例えば、第1工程から第N工程が、任意の順番で行われても良い。また、第1工程から第N工程が、任意の順番で時間順次に行われるだけに限られず、例えば、第1工程から第N工程のうちの2以上の工程の少なくとも一部が並行して実行されても良い。
換言すれば、M枚(Mは2以上の整数)の基板Wを同時に保持することが可能な1つのセグメントから、または当該1つのセグメントに向けて、N枚(NはMの約数ではない2以上の整数)の基板Wを同時に搬送することが可能な基板搬送部によって、次の基板搬送サイクルが繰り返し実行される。但し、ここでは、N個の変数ik(kは1〜Nの整数)が、それぞれ0以上で且つ(M/N)以下の任意の整数であるとともに下式2を満たす。そして、基板搬送サイクルでは、1つのセグメントから、または1つのセグメントに向けて、(N−k+1)枚の基板Wを基板搬送部によって同時に搬送する基板搬送ステップをik回行う搬送工程が、N個の変数ikのうちの自然数である各変数によって基板搬送ステップの回数が規定される搬送工程について行われる。
そして、i1が自然数であれば、基板搬送サイクルには、1つのセグメントから、または当該1つのセグメントに向けて、N枚の基板を基板搬送部によって同時に搬送する基板搬送ステップをi1回行う搬送工程が含まれる。これにより、基板処理装置におけるスループットが向上する。
ここで、具体的に、「裏10枚並行」で3枚の同時搬送(M=10、N=3)の場合を例にとって説明する。
この場合、式1および式2を満たす変数i1,i2,i3,…iNの組み合わせとしては以下のものを例示することができる。
10=3×3+2×0+1×1
(この場合、i1=3、i2=0、iN=1) ・・・・[1]
10=3×2+2×2+1×0
(この場合、i1=2、i2=2、iN=0) ・・・・[2]
10=3×2+2×1+1×2
(この場合、i1=2、i2=1、iN=2) ・・・・[3]
10=3×2+2×0+1×4
(この場合、i1=2、i2=0、iN=4) ・・・・[4]
10=3×1+2×3+1×1
(この場合、i1=1、i2=3、iN=1) ・・・・[5]
[1]は前記した計画ロジック1に対応するものであり、3枚の同時搬送を3回繰り返した後、1枚搬送を1回行うサイクルの繰り返しで基板Wの搬送を行う動作スケジュールである。[2]は、3枚の同時搬送を2回繰り返した後、2枚の同時搬送を2回行うサイクルの繰り返しで基板Wの搬送を行う動作スケジュールである。[3]は、3枚の同時搬送を2回繰り返した後、2枚の同時搬送を1回、1枚搬送を2回行うサイクルの繰り返しで基板Wの搬送を行う動作スケジュールである。[4]は、3枚の同時搬送を2回繰り返した後、1枚搬送を4回行うサイクルの繰り返しで基板Wの搬送を行う動作スケジュールである。[5]は、3枚の同時搬送を1回行った後、2枚の同時搬送を3回、1枚搬送を1回行うサイクルの繰り返しで基板Wの搬送を行う動作スケジュールである。[1]〜[5]のいずれの場合においても、基板搬送部が1回の基板搬送サイクルを完了する間に、セグメントに向けての、あるいはセグメントからの、基板搬送部によるM枚の基板Wの搬送が実行される。
次に、基板搬送部が、複数のセグメント(M1枚の基板を同時に保持することが可能な第1セグメントR1およびM2枚の基板Wを同時に保持することが可能な第2セグメントR2)の間で基板Wを順番に搬送する場合の基板搬送処理を検討する。まず、M1枚とM2枚の両方がNで割り切れないときは、M1とM2の最大公約数であるM3を求める。そして、以下の式3を満足するような変数i1,i2,…iNを設定する。そして、変数i1,i2,…iNが代入された式3を参照して、基板搬送部の動作スケジュールを設定する。
M3=N×i1+(N−1)×i2+(N−2)×i3+…+1×iN・・・式3
(但し、i1〜iNは、いずれも0以上、(M/N)以下の任意の整数)
ここでは、第1セグメントと、第2セグメントと、第1セグメントおよび第2セグメントに対して基板Wを順番に搬送すると共に複数枚(N枚。但し、NはM1およびM2の少なくとも一方の約数でない)の基板Wを保持可能な基板搬送部と、が用いられる。
つまり、次の第1工程と、第2工程と、第3工程と、・・・第N工程とからなる基板搬送サイクルが、繰り返し実行される。
[第1工程]第1セグメントに同時に搬送し、次に当該N枚の基板Wを第1セグメントから搬出し、次に第2セグメントに同時に搬送する基板搬送がi1回だけ実行される。
[第2工程](N−1)枚の基板を、第1セグメントに同時に搬送し、次に当該(N−1)枚の基板Wを第1セグメントから搬出し、次に第2セグメントに同時に搬送する基板搬送がi2回だけ実行される。
[第3工程](N−2)枚の基板を、第1セグメントに同時に搬送し、次に当該(N−2)枚の基板Wを第1セグメントから搬出し、次に第2セグメントに同時に搬送する基板搬送がi3回だけ実行される。
[第N工程]1枚の基板を第1セグメントに搬送し、次に当該1枚の基板を第1セグメントから搬出し、次に第2セグメントに搬送する基板搬送がiN回だけ実行される。
なお、基板搬送サイクルでは、第1工程から第N工程が、この順番に行われる態様だけに限られず、例えば、第1工程から第N工程が、任意の順番で行われても良い。また、第1工程から第N工程が、任意の順番で時間順次に行われるだけに限られず、例えば、第1工程から第N工程のうちの2以上の工程の少なくとも一部が並行して実行されても良い。
換言すれば、M1枚(M1は2以上の整数)の基板を同時に保持することが可能な第1セグメントと、M2枚(M2は2以上の整数)の基板を同時に保持することが可能な第2セグメントと、第1セグメントおよび第2セグメントに対して基板を順番に搬送するとともにN枚(NはM1およびM2の少なくとも一方の約数ではない2以上の整数)の基板を保持することが可能な基板搬送部によって、次の基板搬送サイクルが繰り返し実行される。但し、ここでは、M1とM2の最大公約数がM3であり、N個の変数ik(kは1〜Nの整数)が、それぞれ0以上で且つ(M3/N)以下の任意の整数であるとともに下式4を満たす。そして、基板搬送サイクルでは、(N−k+1)枚の基板を第1セグメントに向けて同時に搬送し、次に当該(N−k+1)枚の基板を第1セグメントから搬出し、次に当該(N−k+1)枚の基板を第2セグメントに向けて同時に搬送する基板搬送ステップをik回行う搬送工程が、N個の変数ikのうちの自然数である各変数によって基板搬送ステップの回数が規定される搬送工程について行われる。
そして、i1が自然数であれば、基板搬送サイクルには、基板搬送部によって、N枚の基板を、第1セグメントに向けて同時に搬送する動作、当該N枚の基板を第1セグメントから搬出する動作、および当該N枚の基板を第2セグメントに向けて同時に搬送する動作を順次に実行する基板搬送ステップをi1回行う搬送工程が含まれる。これにより、基板処理装置におけるスループットが向上する。
ここで、具体的に、「裏3枚並行−表6枚並行」で2枚の同時搬送を行う場合(M1枚=3枚、M2枚=6枚、N枚=2枚)を例にとって説明する。
M1枚とM2枚の最大公約数M3枚は「3」となる。したがって、式3および式4を満たすi1、i2の組み合わせはi1=1、i2=1であり、以下の式が得られる。
3=2×1+1×1 ・・・・・・[6]。
[6]は前記した計画ロジック2に対応するものであり、2枚の同時搬送を1回行った後、1枚搬送を1回行うサイクルの繰り返しで複数の基板Wを順次第1セグメントR1に搬送し、次に第1セグメントR1から搬出した基板を第2セグメントR2に搬送する。この場合、リズム搬送を実現される。
なお、第1実施形態では、センターロボットCRと中継部50、表面洗浄処理部11および裏面洗浄処理部12との基板Wの受渡を中心に説明した。しかし、本発明は、インデクサロボットIRが、キャリアCまたは中継部50と基板Wを受け渡す場合にも適用可能である。また、第1実施形態では、スケジュール作成プログラムP1によりインデクサロボットIRやセンターロボットCRの動作スケジュールおよびスケジュールデータSDが作成されたが、スケジュール作成プログラムP1と同様の機能を有する制御回路によってこれらが作成されてもよい。
第1実施形態において、基板処理装置1としてスクラブ洗浄処理装置を例にスケジュールを作成する構成を説明したが、本発明における基板処理装置1はスクラブ洗浄処理装置に限られるものではく、ブラシ洗浄を伴わない枚葉基板洗浄装置や、冷却処理装置や乾燥処理装置など種々の基板処理装置に用いることが可能である。