JP7470806B2 - インプリントパターン形成用組成物の製造方法、硬化物の製造方法、インプリントパターンの製造方法及びデバイスの製造方法 - Google Patents

インプリントパターン形成用組成物の製造方法、硬化物の製造方法、インプリントパターンの製造方法及びデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インプリントパターン形成用組成物の製造方法、硬化物の製造方法、インプリントパターンの製造方法及びデバイスの製造方法に関する。
インプリント法とは、パターンが形成された金型(一般的にモールド又はスタンパとも呼ばれる。)を押し当てることにより、材料に微細パターンを転写する技術である。インプリント法を用いることで簡易に精密な微細パターンの作製が可能なことから、半導体集積回路用の精密加工分野など、近年さまざまな分野での応用が期待されている。特に、ナノオーダーレベルの微細パターンを形成するナノインプリント技術が注目されている。
特許文献1には、粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が310個/mL未満であることを特徴とするナノインプリント用液体材料が記載されている。
特開2016-164977号公報
インプリント法としては、その転写方法から熱インプリント法、硬化型インプリント法と呼ばれる方法が提案されている。熱インプリント法では、例えば、ガラス転移温度(以下、「Tg」ということがある)以上に加熱した熱可塑性樹脂にモールドを押し当て、冷却後にモールドを離型することにより微細パターンを形成する。この方法は多様な材料を選択できるが、プレス時に高圧を要すること、熱収縮等により寸法精度が低下するなど、微細なパターン形成が困難であるといった問題点も存在する。
硬化型インプリント法では、例えば、インプリントパターン形成用組成物にモールドを押し当てた状態でインプリントパターン形成用組成物を光又は熱等により硬化させた後、モールドを離型する。未硬化物へのインプリントのため、高圧付加、高温加熱の一部又は全部を省略でき、簡易に微細なパターンを作製することが可能である。また、硬化前後で寸法変動が小さいため、微細なパターンを精度よく形成できるという利点もある。
硬化型インプリント法としては、例えば、支持体(必要に応じて密着層の形成等の密着処理を行う)上にインプリントパターン形成用組成物を適用後、石英等の光透過性素材で作製されたモールドを押し当てるという方法が挙げられる。モールドを押し当てた状態で光照射によりインプリントパターン形成用組成物を硬化し、その後モールドを離型することで目的のパターンが転写された硬化物が作製される。
このようなインプリントパターン形成用組成物において、例えば適用時のインクジェット吐出性の向上、塗布面状の向上等を目的として、組成物中の異物数が低減されることが望まれている。
本発明は、得られるインプリントパターン形成用組成物に含まれる異物数が低減されるインプリントパターン形成用組成物の製造方法、上記インプリントパターン形成用組成物からなる硬化物の製造方法、上記インプリントパターン形成用組成物を用いたインプリントパターンの製造方法、及び、上記インプリントパターンの製造方法を含むデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の代表的な実施態様を以下に示す。
<1> 前駆組成物をろ過してインプリントパターン形成用組成物を得るろ過工程を含み、
上記ろ過工程において前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えない、
インプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<2> 上記ろ過工程におけるろ過圧力が0.20MPa以下である、<1>に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<3> 上記ろ過工程において用いられるフィルタの孔径が50nm以下である、<1>又は<2>に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<4> 上記フィルタはポリエチレン系樹脂、ナイロン系樹脂又はフッ素系樹脂を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<5> 上記インプリントパターン形成用組成物が溶剤を含まないか、又は、溶剤を含み、かつ、上記溶剤の含有量がインプリントパターン形成用組成物の全質量に対し、0質量%を超え5質量%未満である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<6> 上記インプリントパターン形成用組成物が溶剤を含み、上記溶剤の含有量がインプリントパターン形成用組成物の全質量に対して90~99.5質量%である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<7> 上記インプリントパターン形成用組成物が重合性化合物を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<8> インプリントパターン形成用組成物の製造方法において、ろ過前の前駆組成物又はろ過後のインプリントパターン形成用組成物が供される最大速度が0.2cm/h以上である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
<9> <1>~<8>のいずれか1つに記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法により得られたインプリントパターン形成用組成物を硬化する工程を含む、硬化物の製造方法。
<10> 支持体及びモールドよりなる群から選択される被適用部材に本発明のインプリントパターン形成用組成物を適用する適用工程、
上記支持体及び上記モールドよりなる群のうち上記被適用部材として選択されなかった部材を接触部材として上記インプリントパターン形成用組成物に接触させる接触工程、
上記インプリントパターン形成用組成物を硬化物とする硬化工程、並びに、
上記モールドと上記硬化物とを剥離する剥離工程を含む
インプリントパターンの製造方法。
<11> 得られるインプリントパターンがサイズが100nm以下のライン、ホール、ピラーのいずれかの形状を含む、<10>に記載のインプリントパターンの製造方法。
<12> <10>または<11>に記載のインプリントパターンの製造方法を含むデバイスの製造方法。
本発明によれば、得られるインプリントパターン形成用組成物に含まれる異物数が低減されるインプリントパターン形成用組成物の製造方法、上記インプリントパターン形成用組成物からなる硬化物の製造方法、上記インプリントパターン形成用組成物を用いたインプリントパターンの製造方法、及び、上記インプリントパターンの製造方法を含むデバイスの製造方法が提供される。
以下、本発明の代表的な実施形態について説明する。各構成要素は、便宜上、この代表的な実施形態に基づいて説明されるが、本発明は、そのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書において基(原子団)に関し、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に、置換基を有する基(原子団)をも包含する意味である。例えば、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)、及び、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)の両方を包含する意味である。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた描画のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む意味である。描画に用いられるエネルギー線としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)及びX線などの活性光線、並びに、電子線及びイオン線などの粒子線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、組成物中の固形分は、溶剤を除く他の成分を意味し、組成物中の固形分の含有量(濃度)は、特に述べない限り、その組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率によって表される。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101325Pa(1気圧)、相対湿度は50%RHである。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として示される。この重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000及びTSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。また、特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、特に述べない限り、GPC測定における検出には、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、さらに第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、支持体に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光層がある場合には、支持体から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
本明細書において、「インプリント」は、好ましくは、1nm~10mmのサイズのパターン転写をいい、より好ましくは、およそ10nm~100μmのサイズのパターン転写(ナノインプリント)をいう。
(インプリントパターン形成用組成物の製造方法)
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法は、前駆組成物をろ過してインプリントパターン形成用組成物を得るろ過工程を含み、上記ろ過工程において前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えない。
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法によれば、含まれる異物数が少ないインプリントパターン形成用組成物が得られる。
上記効果が得られるメカニズムは不明であるが、下記のように推測される。
従来から、インプリントパターン形成用組成物の製造時に、インプリントパターン形成用組成物に含まれる成分を混合した前駆組成物を調製した後に、異物の除去を目的としてフィルタ処理が行われている。
ここで、本発明者らは、フィルタにおける組成物の通過速度が速い場合には、異物(例えばゲル状の異物など、圧力により変形しやすい異物)がフィルタを通過してしまう場合があることを発見した。
本発明者らは、ろ過工程においてインプリントパターン形成用組成物の前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えないという低速でろ過を行う条件を採用することにより、異物を効率的に除去することができ、異物の少ないインプリントパターン形成用組成物が得られることを見出した。
また、本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法によれば、異物の少ないインプリントパターン形成用組成物が得られるため、インプリントパターン形成用組成物のインクジェット吐出性、塗布時の面状(塗布膜の表面の状態)にも優れると考えられる。
更に、本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法によれば、異物の少ないインプリントパターン形成用組成物が得られるため、インプリントパターン形成用組成物を保管した場合に、例えば微小な異物を核として重合性化合物の重合等、樹脂の凝集等により異物が成長することも抑制され、保管後の異物の発生も抑制されると推測される。
ここで、特許文献1には、このようなろ過工程を行うことにより、異物の少ないインプリントパターン形成用組成物が得られることについては記載も示唆もない。
以下、本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法における各工程の詳細について説明する。
<ろ過工程>
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法は、前駆組成物をろ過してインプリントパターン形成用組成物を得るろ過工程を含み、上記ろ過工程において前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えない。
〔前駆組成物〕
前駆組成物とは、インプリントパターン形成用組成物に含まれる成分のうち、複数種を含む組成物をいい、インプリントパターン形成用組成物に含まれる成分の全てを含む組成物であることが好ましい。
前駆組成物は、例えば、後述する前駆組成物調製工程により調製される。
〔フィルタを通過する速度〕
ろ過工程において前駆組成物がフィルタを通過する速度は、時速0.9cm(0.9cm/h)を連続して10秒以上超えない。
ここで、前駆組成物がフィルタを通過する速度(以下、単に「ろ過速度」ともいう。)とは、下記式(1)により算出される値である。
式(1):ろ過速度(cm/h)=ろ過流量(cm3/h)/ろ過フィルタ膜のろ過表面積(cm2
ろ過フィルタ膜のろ過表面積(cm2)は、典型的には、ろ過フィルタ膜の製造メーカーが公表する値を採用できる。
ろ過流量(cm3/h)は、フィルタを通過した組成物の量を測定することにより算出される。
本発明の製造方法では、前駆組成物をフィルタに2回以上通過させることが好ましく、2回~10回通過させることがより好ましい。前駆組成物をフィルタに2回以上通過させる場合、それぞれのフィルタは同一であってもよいし、材質、ろ過表面積、厚さ、孔径等が異なっていてもよい。フィルタに2回以上通過させることにより、異物を効率的に除去できる。
また、フィルタに2回以上通過させる場合、フィルターを少なくとも1回通過するときの速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えなければよいが、全てのフィルタを通過するときの速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えないことが好ましい。
上記速度は、時速0.9cm以下であればよいが、時速0.7cm以下であることが好ましく、0.6cm以下であることがより好ましい。
上記速度の下限は特に限定されないが、例えば、時速0.1cmとすることができる。
前駆組成物をフィルタに2回以上通過させる手段としては、特に限定されないが、好ましい例としてフィルタを含む装置内で組成物を循環させる方式、直列に接続した複数のフィルタを各々1回以上通過させる方式、あるフィルタによるろ過後に同一のまたは異なるフィルタを用いて再度ろ過を行う方式およびそれらの組み合わせによる方式が挙げられる。
フィルタの有効ろ過面積は、300cm2以上が好ましく、500cm2以上がより好ましく、1,000cm2以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、50,000cm2以下とすることができる。
前駆組成物をフィルタに2回以上通過させる場合、後に通過させるフィルタの方が、孔径が小さいことが好ましい。このような構成とすることにより、異物がより効果的に除去される傾向にある。
ろ過工程におけるろ過圧力(印加圧力)は、フィルタ、ろ過装置の材質や前駆組成物に含まれる成分の化学構造などにより変化しうるが、0.5MPa以下であることが好ましく、0.3MPa以下であることがより好ましく、0.2MPa以下であることが更に好ましく、0.1MPa以下であることが特に好ましい。このような範囲とすることにより、不純物によって、不純物のパーティクルがフィルタを透過してしまうのをより効果的に抑止できる。
上記ろ過圧力の下限は、特に限定されないが、0.05MPa以上であることが好ましい。
本発明では、前駆組成物の平均流量が、毎分20cm3以上であることが好ましく、毎分100cm3~250cm3であることがより好ましい。
本発明で用いるフィルタのうち、少なくとも1種類の孔径が100nm以下であることが好ましく、いずれのフィルタの孔径も、100nm以下であることがより好ましい。
孔径は、50nm以下であることがより好ましく、1nm~50nmであることがさらに好ましい。前駆組成物を上記孔径のフィルタに通過させることでサブミクロンサイズの微細粒子や異物を効率的に除去することができ、例えば、インクジェット法によるインプリントパターン形成用組成物の支持体への適用の際にノズルの目詰まりによる吐出不良を抑制することができる。
本発明で用いるフィルタの材質は、特に定めるものではないが、少なくとも1種類が、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ナイロン系樹脂などのものが好ましく使用できる。特に、少なくとも1種類が、フッ素系樹脂を含むフィルタまたはポリエチレン系樹脂を含むフィルタが異物除去およびフィルタの経時安定性の観点から好ましい。
これらの中でも、上記フィルタは、ポリエチレン系樹脂、ナイロン系樹脂又はフッ素樹脂を含むことが好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。
ナイロン系樹脂としては、ナイロン-6、ナイロン-6,6等の公知のナイロン等が挙げられる。
フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
フィルタとしては、メンブレンフィルタ、デプスフィルタなどが挙げられ、特に限定なく公知のフィルタを用いることができるが、メンブレンフィルタが好ましい。
メンブレンフィルタを用いることにより、ゲル状の不純物等がフィルタ中で変形しながら、フィルタを通り抜けることが抑制できる。
また、本発明で用いるフィルタは、少なくとも1種類が、メンブレンフィルタをプリーツ状に加工したフィルタカートリッジであることが好ましい。プリーツ状に加工したフィルタカートリッジは有効ろ過面積を大きく製造することができるという点でメリットがある。
ろ過工程におけるの前駆組成物の温度は、調整してもよいし調整しなくともよい。
例えば、前駆組成物の温度を10℃~40℃の範囲内としてろ過することが挙げられ、15℃~30℃とすることも好ましい。
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法は、公知の製造装置により実現される。
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法に用いられる製造装置は、上記フィルタを含んでいる限り、特に定めるものではなく、他の構成要素については公知の技術を採用できる。具体的には、例えば特許第4323074号公報などに記載の技術を参酌できる。
インプリントパターン形成用組成物の製造方法において、ろ過前の前駆組成物又はろ過後のインプリントパターン形成用組成物が供される最大速度は、0.2cm/h以上であることが好ましく、0.4cm/h以上であることがより好ましく、0.6cm/h以上であることが更に好ましい。
上記最大速度としては、例えば、上述の製造装置におけるライン中の最大速度等が挙げられる。
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法によれば、ろ過工程において異物が効率的に除去されるため、上記のように最大速度を大きくしたとしても、静電気等の影響により発生する異物の除去性に優れ、又は、微小な異物を核とする更なる異物の発生が抑制されると考えられる。
<前駆組成物調製工程>
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法は、前駆組成物を調製する工程(「前駆組成物調製工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
前駆組成物を調製する工程は、インプリントパターン形成用組成物に含まれる各成分を混合する工程であることが好ましい。
混合方法は特に限定されず、公知の方法により行われればよい。混合は、例えば0℃~100℃の範囲で行なわれ、好ましくは10℃~40℃の範囲で行なわれる。
<その他の工程>
本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法は、ろ過工程及び前駆組成物調製工程以外の、他の工程を更に含んでもよい。
他の工程としては、例えば、イオン交換樹脂を用いて前駆組成物から塩成分等を除去する工程等が挙げられる。
以下、インプリントパターン形成用組成物に含まれる各成分について説明する。インプリントパターン形成用組成物に含まれる各成分の詳細と、前駆組成物に含まれる各成分の詳細とは同一である。
すなわち、インプリントパターン形成用組成物に含まれることが好ましい成分は、前駆組成物にも含まれることが好ましく、インプリントパターン形成用組成物と前駆組成物とでその含有量も同様である。
<重合性化合物>
インプリントパターン形成用組成物は重合性化合物を含むことが好ましい。重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
〔重合性基〕
重合性化合物が有する重合性基の種類は特に定めるものでは無いが、エチレン性不飽和基を有する基、環状エーテル基(エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基)等が例示され、エチレン性不飽和基を有する基が好ましい。エチレン性不飽和基を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、ビニルフェニル基等が例示され、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイル基又はアクリロイルオキシ基がさらに好ましい。ここで定義する重合性基をQpと称する。
〔特定重合性化合物〕
重合性化合物としては、特に限定されるものではないが、後述する吸光係数Aが1.8L/(g・cm)以下であり、かつ、重量平均分子量が800以上である化合物が好ましい。
以下、吸光係数Aが1.8L/(g・cm)以下であり、かつ、重量平均分子量が800以上である重合性化合物を「特定重合性化合物」ともいう。
特定重合性化合物としては、ケイ素原子(Si)を含む化合物(ケイ素含有化合物)、環状構造を含む化合物(環含有化合物)、デンドリマー型化合物が挙げられ、ケイ素含有化合物又は環含有化合物が好ましく、ケイ素含有化合物がより好ましい。
また、インプリントパターン形成用組成物は、特定重合性化合物を含有せず後述の他の重合性化合物のみを含有してもよいし、特定重合性化合物に加えて後述の他の重合性化合物を含有してもよい。
-吸光係数Aの最大値-
本発明において、特定重合性化合物のアセトニトリル溶液における250~400nmの波長領域での単位質量あたりの吸光度の最大値を「吸光係数A」という。
特定重合性化合物の吸光係数Aの最大値は、1.8L/(g・cm)以下であり、1.5L/(g・cm)以下であることが好ましく、1.2L/(g・cm)以下であることがより好ましく、1.0L/(g・cm)以下であることが更に好ましい。さらに高度な透光性が求められる場合は、上記吸光係数Aが、0.8L/(g・cm)以下であることが好ましく、0.5L/(g・cm)以下であることがより好ましく、0.2L/(g・cm)以下であることが更に好ましく、0.01L/(g・cm)未満であることが一層好ましい。下限値は特に制限されないが、0.0001L/(g・cm)以上であることが好ましい。本発明の組成物においては、吸光係数Aを上記上限値以下とすることで、パターン深部の硬化性が向上し、パターンの解像性に優れると考えられる。
-重量平均分子量-
特定重合性化合物の重量平均分子量は、800以上であり、1,000以上であることが好ましく、1,500以上がより好ましく、2,000超が更に好ましい。重量平均分子量の上限は特に定めるものではないが、例えば、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましく、8,000以下が一層好ましく、5,000以下がより一層好ましく、3,500以下がさらに一層好ましく、3,000以下が特に一層好ましい。分子量を上記下限値以上とすることで、化合物の揮発性が抑えられ、組成物や塗布膜の特性が安定化する。また、塗布膜の形態を維持するための良好な粘性も確保できる。さらに、離型剤を少量に抑えた影響を補完して、膜の良好な離型性を実現することができる。分子量を上記上限値以下とすることで、パターン充填に必要な低粘度(流動性)を確保しやすくなり好ましい。
-ケイ素含有化合物-
ケイ素含有化合物としてはシリコーン骨格を有する化合物が挙げられる。具体的には、下記式(S1)で表されるD単位のシロキサン構造及び式(S2)で表されるT単位のシロキサン構造のうち少なくとも一方を有する化合物が挙げられる。
式(S1)又は式(S2)中、RS1~RS3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の置換基を表し、*はそれぞれ独立に、他の構造との結合部位を表す。
S1~RS3はそれぞれ独立に、1価の置換基であることが好ましい。
上記1価の置換基としては、芳香族炭化水素基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)又は脂肪族炭化水素基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)が好ましく、中でも、環状又は鎖状(直鎖若しくは分岐)のアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)又は重合性基を含む基が好ましい。
具体的なケイ素含有化合物の構造の例としては、部分構造で示すと、以下の式(s-1)~(s-9)の例が挙げられる。式中のQは上述の重合性基Qpを含む基である。これらの構造は化合物に複数存在してもよく、組み合わせて存在していてもよい。
ケイ素含有化合物は、シリコーン樹脂と重合性基を有する化合物との反応物であることが好ましい。
上記シリコーン樹脂としては、反応性シリコーン樹脂が好ましい。
反応性シリコーン樹脂としては、上述したシリコーン骨格を有する変性シリコーン樹脂が挙げられ、例えば、モノアミン変性シリコーン樹脂、ジアミン変性シリコーン樹脂、特殊アミノ変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、脂環式エポキシ変性シリコーン樹脂、カルビノール変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーン樹脂、ハイドロジェン変性シリコーン樹脂、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン樹脂、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン樹脂、エポキシ・アラルキル変性シリコーン樹脂などが挙げられる。
上記重合性基を有する化合物としては、重合性基と、アルコキシシリル基又はシラノール基と反応可能な基とを有する化合物が好ましく、重合性基及びヒドロキシ基を有する化合物がより好ましい。
また、シリコーン樹脂として上述の変性シリコーン樹脂を用いる場合、上記重合性基を有する化合物として、重合性基及び上記変性シリコーン樹脂に含まれるアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基等と反応する基を有する化合物を用いてもよい。
上記重合性基を有する化合物における重合性基の好ましい態様は、上述の重合性化合物における重合性基の好ましい態様と同様である。
これらの中でも、上記重合性基を有する化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
さらに具体的には、重合性基及びアルコキシシリル基又はシラノール基と反応可能な基(例えば、ヒドロキシ基)を有する化合物と、アルコキシシリル基又はシラノール基を有するシリコーン樹脂との反応物であることが好ましい。
-環含有化合物-
環を含む化合物(環含有化合物)の環状構造としては、芳香族環、脂環が挙げられる。芳香族環としては、芳香族炭化水素環、芳香族複素環が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、炭素数6~22のものが好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい。芳香族炭化水素環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フェナレン環、フルオレン環、ベンゾシクロオクテン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、インデン環、インダン環、トリフェニレン環、ピレン環、クリセン環、ペリレン環、テトラヒドロナフタレン環などが挙げられる。なかでも、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。芳香族環は複数が連結した構造を取っていてもよく、例えば、ビフェニル構造、ジフェニルアルカン構造(例えば、2,2-ジフェニルプロパン)が挙げられる。(ここで規定する芳香族炭化水素環をaCyと称する)
芳香族複素環としては、炭素数1~12のものが好ましく、1~6がより好ましく、1~5がさらに好ましい。その具体例としては、チオフェン環、フラン環、ジベンゾフラン環、ピロール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、イソインドール環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環などが挙げられる。(ここで規定する芳香族複素環をhCyと称する)
脂環としては炭素数3~22が好ましく、4~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい。具体的に脂肪族炭化水素環としては、例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロブテン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ジシクロペンタジエン環、スピロデカン環、スピロノナン環、テトラヒドロジシクロペンタジエン環、オクタヒドロナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、ヘキサヒドロインダン環、ボルナン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、イソボルナン環、トリシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などが挙げられる。脂肪族複素環としては、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピぺリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環、オキサン環、ジオキサン環などが挙げられる。(ここで規定する脂環をfCyと称する)
本発明においては、特定重合性化合物が環含有化合物であるとき、芳香族炭化水素環を含有する化合物であることが好ましく、ベンゼン環を有する化合物であることがより好ましい。例えば、下記式(C-1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
式中、Arは上記の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。
1及びL2はそれぞれ独立に単結合又は連結基である。連結基としては、酸素原子(オキシ基)、カルボニル基、アミノ基、アルキレン基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)、又はこれらを組み合わせた基が挙げられる。中でも、(ポリ)アルキレンオキシ基が好ましい。(ポリ)アルキレンオキシ基とは、アルキレンオキシ基が1つのものでも、複数繰り返して連結されているものでもよい。また、アルキレン基とオキシ基の順序が限定されるものではない。アルキレンオキシ基の繰り返し数は1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい。また、(ポリ)アルキレンオキシ基は母核となる環Ar又は重合性基Qとの連結の関係で、アルキレン基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)が介在していてもよい。したがって、(ポリ)アルキレンオキシ=アルキレン基となっていてもよい。
3は任意の置換基であり、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、アリールアルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11がさらに好ましい)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)、アシル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい。また、アルキルカルボニル基が好ましい)、アリーロイル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11がさらに好ましい)が挙げられる。
3は単結合又は連結基である。連結基としては、上記L1,L2の例が挙げられる。
n3は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましく、0であることが特に好ましい。
1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、上記重合性基Qpの例が好ましい。
環含有化合物においては、重合性基を有する側鎖の数が増えることで、硬化時に強固な架橋構造を形成することが可能となり解像性が向上する傾向がある。かかる観点から、nqは2以上であることが好ましい。上限としては、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。
同様に均一な架橋構造を形成しやすいという観点から、環状構造に重合性基を含む基ないし置換基が導入される場合、直列状に置換基が配置されることが好ましい。
-デンドリマー型化合物-
特定重合性化合物はデンドリマー型化合物であってもよい。デンドリマーは、中心から規則的に分枝した構造を持つ樹状高分子を意味する。デンドリマーはコアと呼ばれる中心分子(幹)と、デンドロンと呼ばれる側鎖部分(枝)から構成される。全体としては扇形の化合物が一般的であるが、半円状ないし円状にデンドロンがひろがった、デンドリマーであってもよい。このデンドリマーのデンドロンの部分(例えば、コアからは離れる末端部分)に重合性基を有する基を導入し重合性化合物とすることができる。導入する重合性基に(メタ)アクリロイル基を用いれば、デンドリマー型の多官能(メタ)アクリレートとすることができる。
デンドリマー型化合物については、例えば、特許第5512970号公報に開示された事項を参照することができ、上記公報の記載は本明細書に組み込まれる。
-重合性基当量-
特定重合性化合物は、重合性基当量が、130以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、160以上であることがさらに好ましく、190以上であることが一層好ましく、240以上であることがより一層好ましい。重合性基当量の上限値としては、2,500以下であることが好ましく、1,800以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましく、500以下であることが一層好ましく、350以下であることがより一層好ましく、300以下であってもよい。
重合性基当量は下記式で算出される。
(重合性基当量)=(重合性化合物の数平均分子量)/(重合性化合物中の重合性基数)
特定重合性化合物の重合性基当量が上記下限値以上であれば硬化時の弾性率が適切な範囲となり、離型性に優れると考えられる。一方、重合性基当量が上記上限値以下であれば、硬化物パターンの架橋密度が適切な範囲となり、転写パターンの解像性に優れると考えられる。
特定重合性化合物中の重合性基の数は、ケイ素含有化合物の場合は、一分子中、2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましく、4個以上であることがさらに好ましい。上限としては、50個以下であることが好ましく、40個以下であることがより好ましく、30個以下であることがさらに好ましく、20個以下であることが一層好ましい。
環含有化合物の場合は、一分子中、2個以上であることが好ましい。上限としては、4個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。
あるいは、デンドリマー型化合物である場合は、一分子中、5個以上であることが好ましく、10個以上であることがより好ましく、20個以上であることがさらに好ましい。上限としては、1000個以下であることが好ましく、500個以下であることがより好ましく、200個以下であることがさらに好ましい。
-粘度-
特定重合性化合物の23℃における粘度は、100mPa・s以上であることが好ましく、120mPa・s以上であることがより好ましく、150mPa・s以上であることがさらに好ましい。上記粘度の上限値は、2000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以下であることがより好ましく、1200mPa・s以下であることがさらに好ましい。
本明細書において粘度は、特に断らない限り、東機産業(株)製のE型回転粘度計RE85L、標準コーン・ロータ(1°34’×R24)を用い、サンプルカップを23℃に温度調節して測定した値とする。測定に関するその他の詳細はJISZ8803:2011に準拠する。1水準につき2つの試料を作製し、それぞれ3回測定する。合計6回の算術平均値を評価値として採用する。
〔他の重合性化合物〕
インプリントパターン形成用組成物は、重合性化合物として、特定重合性化合物以外の他の重合性化合物を含んでもよい。
他の重合性化合物は、重合性基が1つである単官能重合性化合物でも、重合性基が2つ以上である多官能重合性化合物でもよい。インプリントパターン形成用組成物は、多官能重合性化合物を含むことが好ましく、多官能重合性化合物と単官能重合性化合物の両方を含むことがより好ましい。
多官能重合性化合物は、二官能重合性化合物及び三官能重合性化合物の少なくとも1種を含むことが好ましく、二官能重合性化合物の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
-分子量-
他の重合性化合物の分子量は、2,000未満であることが好ましく、1,500以下であることがより好ましく、1,000以下であることが一層好ましく、800以下であってもよい。下限値は、100以上であることが好ましい。
-多官能重合性化合物-
他の重合性化合物である多官能重合性化合物が有する重合性基の数は、2以上であり、2~7が好ましく、2~4がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が一層好ましい。
本発明では、下記式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。このような化合物を用いることにより、密着性、離型力、経時安定性について、バランスよく、より優れる傾向にある。
式中、R21はq価の有機基であり、R22は水素原子又はメチル基であり、qは2以上の整数である。qは2以上7以下の整数が好ましく、2以上4以下の整数がより好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が一層好ましい。
21は、2~7価の有機基であることが好ましく、2~4価の有機基であることがより好ましく、2又は3価の有機基であることがさらに好ましく、2価の有機基であることが一層好ましい。R21は直鎖、分岐及び環状の少なくとも1つの構造を有する炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基の炭素数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。
21が2価の有機基であるとき、下記式(1-2)で表される有機基であることが好ましい。
式中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-Alk-、又は-Alk-O-であることが好ましい。Alkはアルキレン基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)を表し、本発明の効果が得られる範囲で、置換基を有していてもよい。
9は、単結合又は下記の式(9-1)~(9-10)から選ばれる連結基又はその組み合わせが好ましい。中でも、式(9-1)~(9-3)、(9-7)、及び(9-8)から選ばれる連結基であることが好ましい。
101~R117は任意の置換基である。中でも、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)、アラルキル基(炭素数7~21が好ましく、7~15がより好ましく、7~11がさらに好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、チエニル基、フリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(アルキル基は炭素数1~24のものが好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)が好ましい。R101とR102、R103とR104、R105とR106、R107とR108、R109とR110、複数あるときのR111、複数あるときのR112、複数あるときのR113、複数あるときのR114、複数あるときのR115、複数あるときのR116、複数あるときのR117は、互いに結合して環を形成していてもよい。
Arはアリーレン基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)であり、具体的には、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、フルオレンジイル基が挙げられる。
hCy1はヘテロ環基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、2~5がさらに好ましい)であり、5員環又は6員環がより好ましい。hCy1を構成するヘテロ環の具体例としては、上記芳香族複素環hCy、ピロリドン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環などの例が挙げられ、中でも、チオフェン環、フラン環、ジベンゾフラン環が好ましい。
n及びmは100以下の自然数であり、1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
pは0以上で、各環に置換可能な最大数以下の整数である。上限値は、それぞれの場合で独立に、置換可能最大数の半分以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
多官能重合性化合物は、下記式(2-1)で表されることが好ましい。
式(2-1)中、R9、Z1及びZ2は、それぞれ、式(1-2)におけるR9、Z1及びZ2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
これらの多官能重合性化合物は、1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
本発明で用いる多官能重合性化合物を構成する原子の種類は特に定めるものでは無いが、炭素原子、酸素原子、水素原子及びハロゲン原子から選択される原子のみで構成されることが好ましく、炭素原子、酸素原子及び水素原子から選択される原子のみで構成されることがより好ましい。
また、多官能重合性化合物は、上記で定義される重合性基当量が150以上のものであることが好ましく、160以上であることがより好ましく、190以上であることがさらに好ましく、240以上であることが一層好ましい。上限としては、2,500以下であることが好ましく、1,800以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましい。
多官能重合性化合物は、環状構造を有することが好ましい。その環状構造として、芳香族炭化水素環aCy、芳香族複素環hCy、脂環fCyの例が挙げられる。
他の重合性化合物の例としては、特開2014-090133号公報の段落0017~0024及び実施例に記載の化合物、特開2015-009171号公報の段落0024~0089に記載の化合物、特開2015-070145号公報の段落0023~0037に記載の化合物、国際公開第2016/152597号の段落0012~0039に記載の化合物を挙げることができ、これらを引用して本明細書に組み込む。
-単官能重合性化合物-
本発明で用いる単官能重合性化合物は、その種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではない。本発明で用いる単官能重合性化合物は、環状構造を有するか、炭素数4以上の直鎖又は分岐の炭化水素鎖を有することが好ましい。本発明では単官能重合性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本発明で用いる単官能重合性化合物は、25℃で液体であることが好ましい。
本発明において、25℃で液体とは、25℃で流動性を有する化合物であって、例えば、25℃での粘度が、1~100,000mPa・sである化合物を意味する。単官能重合性化合物の25℃での粘度は、例えば、10~20,000mPa・sがより好ましく、100~15,000mPa・sが一層好ましい。
25℃で液体の化合物を用いることにより、溶剤を実質的に含まない構成とすることができる。また、後述する蒸留も容易になる。ここで、溶剤を実質的に含まないとは、例えば、インプリントパターン形成用組成物に対する溶剤の含有量が5質量%以下であることをいい、さらには3質量%以下であることをいい、特には1質量%以下であることをいう。
本発明で用いる単官能重合性化合物の25℃での粘度は、100mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましく、8mPa・s以下がさらに好ましく、6mPa・s以下が一層好ましい。単官能重合性化合物の25℃での粘度を上記上限値以下とすることで、インプリントパターン形成用組成物の粘度を低減でき、充填性が向上する傾向がある。下限値については、特に定めるものではないが、例えば、1mPa・s以上とすることができる。
本発明で用いる単官能重合性化合物は、単官能(メタ)アクリルモノマーであることが好ましく、単官能アクリレートであることがより好ましい。
本発明で用いる単官能重合性化合物を構成する原子の種類は特に定めるものでは無いが、炭素原子、酸素原子、水素原子及びハロゲン原子から選択される原子のみで構成されることが好ましく、炭素原子、酸素原子及び水素原子から選択される原子のみで構成されることがより好ましい。
本発明で用いる単官能重合性化合物は、可塑構造を有することが好ましい。例えば、本発明で用いる単官能重合性化合物は、その少なくとも1種が、以下の(1)~(3)からなる群から選択される1つの基を含むことが好ましい。
(1)アルキル鎖及びアルケニル鎖の少なくとも一方と、脂環構造及び芳香環構造の少なくとも一方とを含み、かつ、合計炭素数が7以上である基(以下、「(1)の基」ということがある);
(2)炭素数4以上のアルキル鎖を含む基(以下、「(2)の基」ということがある);並びに
(3)炭素数4以上のアルケニル鎖を含む基(以下、「(3)の基」ということがある);
このような構成とすることにより、インプリントパターン形成用組成物中に含まれる単官能重合性化合物の添加量を減らしつつ、硬化膜の弾性率を効率良く低下させることが可能になる。さらに、モールドとの界面エネルギーが低減し、離型力の低減効果(離型性の向上効果)を大きくすることができる。
上記(1)~(3)の基における、アルキル鎖及びアルケニル鎖は、直鎖、分岐、又は環状のいずれであってもよく、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐状であることが好ましい。また、上記(1)~(3)の基は、上記アルキル鎖及びアルケニル鎖の少なくとも一つを単官能重合性化合物の末端に、すなわち、アルキル基及びアルケニル基の少なくとも一つとして有することが好ましい。このような構造とすることにより、離型性をより向上させることができる。
アルキル鎖及びアルケニル鎖は、それぞれ独立に、鎖中にエーテル基(-O-)を含んでいてもよいが、エーテル基を含んでいない方が離型性向上の観点から好ましい。
<<(1)の基>>
上記(1)の基は、合計炭素数が35以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
環状構造としては、3~8員環の単環又は縮合環が好ましい。上記縮合環を構成する環の数は、2つ又は3つが好ましい。環状構造は、5員環又は6員環がより好ましく、6員環がさらに好ましい。また、単環がより好ましい。(1)の基における環状構造としては、シクロヘキサン環、ベンゼン環及びナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。また、環状構造は、芳香環構造の方が好ましい。
(1)の基における環状構造の数は、1つであっても、2つ以上であってもよいが、1つ又は2つが好ましく、1つがより好ましい。尚、縮合環の場合は、縮合環を1つの環状構造として考える。
<<(2)の基>>
上記(2)の基は、炭素数4以上のアルキル鎖を含む基であり、炭素数4以上のアルキル鎖のみからなる基(すなわち、アルキル基)であることが好ましい。アルキル鎖の炭素数は、7以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。アルキル鎖の炭素数の上限値については、特に限定されるものでは無いが、例えば、25以下とすることができる。なお、アルキル鎖の一部の炭素原子がケイ素原子に置き換わった化合物も単官能重合性化合物として例示できる。
<<(3)の基>>
上記(3)の基は、炭素数4以上のアルケニル鎖を含む基であり、炭素数4以上のアルケニル鎖のみからなる基(すなわち、アルキレン基)であることが好ましい。アルケニル鎖の炭素数は、7以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましい。アルケニル鎖の炭素数の上限値については、特に限定されるものでは無いが、例えば、25以下とすることができる。
本発明で用いる単官能重合性化合物は、上記(1)~(3)の基のいずれか1つ以上と、重合性基が、直接に又は連結基を介して結合している化合物が好ましく、上記(1)~(3)の基のいずれか1つと、重合性基が直接に結合している化合物がより好ましい。連結基としては、-O-、-C(=O)-、-CH2-、-NH-又はこれらの組み合わせが例示される。
単官能重合性化合物の具体例としては、国際公開第2018/025739号の段落0013等に記載の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
インプリントパターン形成用組成物が単官能重合性化合物を含む場合、インプリントパターン形成用組成物に含まれる全重合性化合物の質量に対する単官能重合性化合物の含有量としては、下限値は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、7質量%以上が一層好ましい。また、上限値は、29質量%以下がより好ましく、27質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特にさらに好ましく、20質量%以下が一層好ましく、15質量%以下がより一層好ましい。全重合性化合物に対して、単官能重合性化合物の量を上記下限値以上とすることで、離型性を向上することができ、モールド離型時に欠陥やモールド破損を抑制できる。また、上記上限値以下とすることで、インプリントパターン形成用組成物の硬化膜のTgを高くすることができ、エッチング加工耐性、特に、エッチング時のパターンのうねりを抑制できる。
本発明では、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記単官能重合性化合物以外の単官能重合性化合物を用いてもよく、特開2014-170949号公報に記載の重合性化合物のうち、単官能重合性化合物が例示され、これらの内容は本明細書に含まれる。
〔含有量〕
重合性化合物のインプリントパターン形成用組成物中の含有量は、組成物の全固形分に対し、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、99.9質量%以下であることが好ましい。重合性化合物を上記下限値以上の量で含有することで、十分な光透過性が得られ、光照射により膜を硬化する際に、膜深部での硬化性が向上するため好ましい。重合性化合物は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。複数種を併用する場合はその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<重合開始剤>
インプリントパターン形成用組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は、光重合開始剤であっても熱重合開始剤であってもよいが、露光によるパターンの硬化を実現する観点からは、光重合開始剤であることが好ましい。
また、重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であってもカチオン重合開始剤であってもよく、重合開始剤の種類は重合性化合物の種類に応じて適宜選択すればよいが、ラジカル重合開始剤であることが好ましく、光ラジカル重合開始剤であることがより好ましい。
〔光重合開始剤〕
本発明において、光重合開始剤のアセトニトリル溶液における250~400nmの波長領域でのモル吸光係数の最大値を、「吸光係数B」という。
重合開始剤は、吸光係数Bの最大値が5,000L/(mol・cm)以上であることが好ましく、10,000L/(mol・cm)以上であることがより好ましく、25,000L/(mol・cm)以上であることが更に好ましい。吸光係数Bの最大値の上限としては、例えば、100,000L/(mol・cm)以下、さらには、50,000L/(mol・cm)以下とすることができる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、アリーロイルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤が例示される。なかでも、インプリントパターン形成用組成物においては、オキシムエステル系光重合開始剤を用いることが好ましい。ここで、オキシムエステル系光重合開始剤は、下記式(1)の連結構造を分子内に有する化合物をいい、式(2)の連結構造を有することが好ましい。式中の*は有機基に結合する結合手を表す。
光重合開始剤の分子量は特に限定されないが、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、200以上であることがさらに好ましい。上限としては、2,000以下であることが好ましく、1,500以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、BASF製のIRGACURE819、OXE-01、OXE-02、OXE-04、Darocure1173、IrgacureTPO、ADEKA製のNCI-831、NCI-831Eなどが挙げられる。
〔熱重合開始剤〕
インプリントパターン形成用組成物は、熱重合開始剤を含んでもよい。熱重合開始剤としては、重合性化合物の種類に応じて選択すればよいが、熱ラジカル重合開始剤が好ましい。
インプリントパターン形成用組成物が熱重合開始剤を含む場合、例えば、インプリントパターン形成用組成物をモールドと支持体の間で押接しながら加熱することにより、パターン状の硬化物が得られる。
また、インプリントパターン形成用組成物は、光重合開始剤及び熱重合開始剤を含んでもよい。
熱重合開始剤として、具体的には、特開2008-063554号公報の段落0074~0118に記載されている化合物が挙げられる。
〔含有量〕
重合開始剤の含有量は、インプリントパターン形成用組成物の全固形分に対し、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、2.0質量%以上であることが更に好ましい。上限値としては、8.0質量%以下であることが好ましく、6.0質量%以下であることがより好ましい。重合開始剤の含有量が上記下限値以上であると、十分な硬化性を確保でき、良好な解像性を発揮し得る。一方、上記上限値以下とすることで、塗布時や冷蔵保管時に開始剤が析出し塗布欠陥等を誘発することを防ぐことができる。
重合開始剤は1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
<離型剤>
インプリントパターン形成用組成物は離型剤を含有することが好ましい。離型剤の含有量は、組成物の全固形分に対して0.1質量%以上であり、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上がさらに好ましい。上限値としては、1.0質量%未満であり、0.9質量%以下が好ましく、0.85質量%以下がより好ましい。離型剤の含有量を上記下限値以上とすることで、離型性が良好となり、硬化膜の剥がれや、離型時のモールド破損を防ぐことができる。また、上記上限値以下とすることで、離型剤の影響による硬化時のパターン強度の過度な低下を招かず、重合性化合物及び重合開始剤との相乗効果が発揮され、良好な解像性を実現することができる。
離型剤は1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
離型剤の種類は特に限定されないが、好ましくは、モールドとの界面に偏析し、効果的にモールドとの離型を促進する機能を有することが好ましい。本発明では、離型剤が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、フッ素原子及びケイ素原子の合計量が離型剤の1質量%以下であることをいい、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。離型剤としてフッ素原子及びケイ素原子を実質的に含有しないものを用いることにより、インプリントパターン形成用組成物を、その膜の高い離型性を実現しつつ、エッチング等に対する加工耐性に優れたものとする観点から好ましい。
本発明で用いられる離型剤は、具体的には、界面活性剤であることが好ましい。あるいは、末端に少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアルコール化合物か、又は、ヒドロキシ基がエーテル化された(ポリ)アルキレングリコール構造を有する化合物((ポリ)アルキレングリコール化合物)であることが好ましい。界面活性剤及び(ポリ)アルキレングリコール化合物は重合性基Qpを持たない非重合性化合物であることが好ましい。なお、(ポリ)アルキレングリコールとは、アルキレングリコール構造が1つのものでも、複数繰り返して連結されているものでもよい意味である。
〔界面活性剤〕
本発明において離型剤として用いることができる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤とは、少なくとも一つの疎水部と少なくとも一つのノニオン性親水部を有する化合物である。疎水部と親水部は、それぞれ、分子の末端にあっても、内部にあってもよい。疎水部は、例えば炭化水素基で構成され、疎水部の炭素数は、1~25が好ましく、2~15がより好ましく、4~10がさらに好ましく、5~8が一層好ましい。ノニオン性親水部は、アルコール性ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、エーテル基(好ましくは(ポリ)アルキレンオキシ基、環状エーテル基)、アミド基、イミド基、ウレイド基、ウレタン基、シアノ基、スルホンアミド基、ラクトン基、ラクタム基、シクロカーボネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有することが好ましい。なかでも、アルコール性ヒドロキシ基、エーテル基(好ましくは(ポリ)アルキレンオキシ基、環状エーテル基)を有する化合物であることがより好ましい。
〔アルコール化合物、(ポリ)アルキレングリコール化合物〕
インプリントパターン形成用組成物に用いられる好ましい離型剤として、上記のように、末端に少なくとも1つのヒドロキシ基を有するアルコール化合物か、又は、ヒドロキシ基がエーテル化された(ポリ)アルキレングリコール化合物が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール化合物は、具体的には、アルキレンオキシ基又はポリアルキレンオキシ基を有することが好ましく、炭素数1~6のアルキレン基を含む(ポリ)アルキレンオキシ基を有することがより好ましい。具体的には、(ポリ)エチレンオキシ基、(ポリ)プロピレンオキシ基、(ポリ)ブチレンオキシ基、又はこれらの混合構造を有するが好ましく、(ポリ)エチレンオキシ基、(ポリ)プロピレンオキシ基、又はこれらの混合構造を有するがより好ましく、(ポリ)プロピレンオキシ基を有することがさらに好ましい。(ポリ)アルキレングリコール化合物は、末端の置換基を除き実質的に(ポリ)アルキレンオキシ基のみで構成されていてもよい。ここで実質的にとは、(ポリ)アルキレンオキシ基以外の構成要素が全体の5質量%以下であることをいい、好ましくは1質量%以下であることをいう。特に、(ポリ)アルキレングリコール化合物として、実質的に(ポリ)プロピレンオキシ基のみからなる化合物を含むことが特に好ましい。
(ポリ)アルキレングリコール化合物における、アルキレンオキシ基の繰り返し数は、3~100であることが好ましく、4~50であることがより好ましく、5~30であることがさらに好ましく、6~20であることが一層好ましい。
(ポリ)アルキレングリコール化合物は、末端のヒドロキシ基がエーテル化されていれば、残りの末端はヒドロキシ基であってもよく、末端ヒドロキシ基の水素原子が置換されているものであってもよい。末端ヒドロキシ基の水素原子が置換されていてもよい基としてはアルキル基(すなわち(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテル)、アシル基(すなわち(ポリ)アルキレングリコールエステル)が好ましい。連結基を介して複数(好ましくは2又は3本)の(ポリ)アルキレングリコール鎖を有している化合物も好ましく用いることができる。
(ポリ)アルキレングリコール化合物の好ましい具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、和光純薬製)、これらのモノ又はジメチルエーテル、モノ又はジブチルエーテル、モノ又はジオクチルエーテル、モノ又はジセチルエーテル、モノステアリン酸エステル、モノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、これらのトリメチルエーテルが挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコール化合物は下記の式(P1)又は(P2)で表される化合物であることが好ましい。
式中のRP1は鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよいアルキレン基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)である。RP2、RP3は水素原子あるいは鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよいアルキル基(炭素数1~36が好ましく、2~24がより好ましく、3~12がさらに好ましい)である。pは1~24の整数が好ましく、2~12の整数がより好ましい。
P4はq価の連結基であり、有機基からなる連結基であることが好ましく、炭化水素からなる連結基であることが好ましい。具体的に炭化水素からなる連結基としては、アルカン構造の連結基(炭素数1~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましい)、アルケン構造の連結基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましい)、アリール構造の連結基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)が挙げられる。
qは2~8の整数であることが好ましく、2~6の整数であることがより好ましく、2~4の整数であることがさらに好ましい。
離型剤として用いられるアルコール化合物又は(ポリ)アルキレングリコール化合物の重量平均分子量としては150~6,000が好ましく、200~3,000がより好ましく、250~2,000がさらに好ましく、300~1,200が一層好ましい。
また、本発明で用いることができる(ポリ)アルキレングリコール化合物の市販品としては、オルフィンE1010(日信化学工業社製)、Brij35(キシダ化学社製)等が例示される。
<重合禁止剤>
インプリントパターン形成用組成物は、重合禁止剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
重合禁止剤は光重合開始剤から発生するラジカル等の反応性物質をクエンチする(失活させる)機能を有し、インプリントパターン形成用組成物の低露光量での反応を抑制する役割を担う。
特に、他の重合性化合物を含む場合に、重合禁止剤を充分に溶解させることが可能となり、上記の効果が発現しやすくなる。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、4-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、p-tert-ブチルカテコール、1,4-ベンゾキノン、ジフェニル-p-ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N-ニトロソジフェニルアミン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-(1-ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-tert-ブチル)フェニルメタンなどが好適に用いられる。また、特開2015-127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、及び、国際公開第2015/125469号の段落0031~0046に記載の化合物を用いることもできる。重合禁止剤の市販品の具体例としては、Q-1300、Q-1301、TBHQ(和光純薬工業株式会製)、キノパワーシリーズ(川崎化成工業株式会製)などが挙げられる。
また、下記化合物を用いることができる(Meはメチル基である)。
重合禁止剤の含有量は0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。この含有量が上記下限値以上とすることで光重合開始剤の反応性を効果的に発揮させることができ。また、上記上限値以下とすることで、転写パターンの倒れを防ぎ効果的なパターニングを可能とする。
重合禁止剤は1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<溶剤>
上記インプリントパターン形成用組成物は、溶剤を含んでいてもよい。溶剤とは、23℃において液体であって沸点が250℃以下の化合物をいう。溶剤を含む場合、その含有量は、例えば1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、上記含有量は、例えば、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下がさらに好ましい。
これらの中でも、インプリントパターン形成用組成物の第一の好ましい態様は、溶剤を含み、上記溶剤の含有量がインプリントパターン形成用組成物の全質量に対し、90.0~99.5質量%である態様である。
上記第一の好ましい態様において、上記溶剤の含有量は95.0質量%以上であることが好ましく、97.0質量%以上であることがより好ましい。
また、上記第一の好ましい態様において、インプリントパターン形成用組成物は、重合性化合物として上述の特定重合性化合物を含むことが好ましい。
インプリントパターン形成用組成物の第二の好ましい態様は、溶剤を含まないか、又は、溶剤を含み、かつ、上記溶剤の含有量がインプリントパターン形成用組成物の全質量に対し、0質量%を超え5質量%未満である態様である。
上記第二の好ましい態様において、溶剤を含まないか、又は、上記溶剤の含有量が0質量%を超え3質量%未満であることが好ましく、溶剤を含まないか、又は、上記溶剤の含有量が0質量%を超え1質量%未満であることがより好ましい。
また、上記第二の好ましい態様において、インプリントパターン形成用組成物は、重合性化合物として上述の他の重合性化合物を含むことが好ましい。
上記いずれの態様においても、溶剤は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明においては、溶剤のうち最も含有量の多い成分の沸点が200℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。溶剤の沸点を上記の温度以下とすることにより、ベイクの実施によりインプリントパターン形成用組成物中の溶剤を除去することが可能となる。溶剤の沸点の下限値は特に限定されないが、60℃以上が好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが更に好ましい。
溶剤は、有機溶剤が好ましい。溶剤は、好ましくは、エステル基、カルボニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基及びエーテル基のいずれか1つ以上を有する溶剤であることが好ましい。
溶剤の具体例としては、アルコキシアルコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸エステル、酢酸エステル、アルコキシプロピオン酸エステル、鎖状ケトン、環状ケトン、ラクトン、及びアルキレンカーボネートが選択される。
アルコキシアルコールとしては、メトキシエタノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール(例えば、1-メトキシ-2-プロパノール)、エトキシプロパノール(例えば、1-エトキシ-2-プロパノール)、プロポキシプロパノール(例えば、1-プロポキシ-2-プロパノール)、メトキシブタノール(例えば、1-メトキシ-2-ブタノール、1-メトキシ-3-ブタノール)、エトキシブタノール(例えば、1-エトキシ-2-ブタノール、1-エトキシ-3-ブタノール)、メチルペンタノール(例えば、4-メチル-2-ペンタノール)などが挙げられる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、及び、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1つが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることが特に好ましい。
また、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はプロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
乳酸エステルとしては、乳酸エチル、乳酸ブチル、又は乳酸プロピルが好ましい。
酢酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、酢酸イソアミル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、又は酢酸3-メトキシブチルが好ましい。
アルコキシプロピオン酸エステルとしては、3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP)、又は、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP)が好ましい。
鎖状ケトンとしては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン又はメチルアミルケトンが好ましい。
環状ケトンとしては、メチルシクロヘキサノン、イソホロン又はシクロヘキサノンが好ましい。
ラクトンとしては、γ-ブチロラクトン(γ-BL)が好ましい。
アルキレンカーボネートとしては、プロピレンカーボネートが好ましい。
上記成分の他、炭素数が7以上(7~14が好ましく、7~12がより好ましく、7~10がさらに好ましい)、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
炭素数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤の好ましい例としては、酢酸アミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチルなどが挙げられ、酢酸イソアミルを用いることが特に好ましい。
また、引火点(以下、fpともいう)が30℃以上であるものを用いることも好ましい。このような成分(M2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(fp:47℃)、乳酸エチル(fp:53℃)、3-エトキシプロピオン酸エチル(fp:49℃)、メチルアミルケトン(fp:42℃)、シクロヘキサノン(fp:30℃)、酢酸ペンチル(fp:45℃)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(fp:45℃)、γ-ブチロラクトン(fp:101℃)又はプロピレンカーボネート(fp:132℃)が好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル(EL)、酢酸ペンチル又はシクロヘキサノンがさらに好ましく、プロピレングリコールモノエチルエーテル又は乳酸エチルが特に好ましい。なお、ここで「引火点」とは、東京化成工業株式会社又はシグマアルドリッチ社の試薬カタログに記載されている値を意味している。
より好ましい溶剤としては、水、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオネート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル及び4-メチル-2-ペンタノールよりなる群から選択される少なくとも1種であり、PGMEA及びPGMEよりなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましい。
<紫外線吸収剤>
インプリントパターン形成用組成物は紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤は露光の際に発生する漏れ光(フレア光)を吸収することで光重合開始剤に反応光が届くことを抑制し、インプリントパターン形成用組成物の低露光量での反応を抑制する役割を担う。
紫外線吸収剤の種類としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアンアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は0.01~5質量%であることが好ましく、0.02~3質量%であることがより好ましい。紫外線吸収剤は1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となることが好ましい。
<その他の成分>
インプリントパターン形成用組成物にはその他の成分を用いることもできる。例えば、増感剤、酸化防止剤、着色剤などを含んでいてもよい。含有量は特に限定されないが、組成物の全固形分中、0.01~20質量%程度を適宜配合してもよい。
<物性>
インプリントパターン形成用組成物がインクジェット法による適用に供される場合は、23℃の粘度が20mPa・s以下であることが好ましく、15mPa・s以下であることがより好ましく、11mPa・s以下であることがさらに好ましく、9mPa・s以下であることが一層好ましい。上記粘度の下限は特に限定されないが、5mPa・s以上であることが好ましい。
インプリントパターン形成用組成物がスピンコート法による適用に供される場合は、23℃の粘度が20mPa・s以下であることが好ましく、15mPa・s以下であることがより好ましく、11mPa・s以下であることがさらに好ましく、9mPa・s以下であることが一層好ましい。上記粘度の下限は特に限定されないが、5mPa・s以上であることが好ましく、6mPa・s以上であることがより好ましい。
インプリントパターン形成用組成物から溶剤を除いた場合の粘度(すなわち、乾燥時の粘度)は、23℃において、500mPa・s以下であることが好ましく、400mPa・s以下であることがより好ましく、300mPa・s以下であることがさらに好ましく、250mPa・s以下であることが一層好ましい。上記粘度の下限は特に限定されないが、10mPa・s以上であることが好ましく、20mPa・s以上であることがより好ましい。
粘度は、例えば、下記の方法に従って測定される。
粘度は、東機産業(株)製のE型回転粘度計RE85L、標準コーン・ロータ(1°34’×R24)を用い、サンプルカップを23℃に温度調節して測定する。単位は、mPa・sで示す。測定に関するその他の詳細はJISZ8803:2011に準拠する。1水準につき2つの試料を作製し、それぞれ3回測定する。合計6回の算術平均値を評価値として採用する。
インプリントパターン形成用組成物の23℃における表面張力(γResist)は28mN/m以上であることが好ましく、30mN/m以上であることがより好ましく、32.0mN/m以上であることが更に好ましい。表面張力の高いインプリントパターン形成用組成物を用いることで毛細管力が上昇し、モールドパターンへのインプリントパターン形成用組成物の高速な充填が可能となる。上記表面張力の上限値としては、特に限定されるものではないが、インクジェット適性を付与するという観点では、40mN/m以下であることが好ましく、38mN/m以下であることがより好ましく、36mN/m以下であってもよい。インプリントパターン形成用組成物の表面張力は、下記の方法に従って測定される。
表面張力は、協和界面科学(株)製、表面張力計 SURFACE TENS-IOMETER CBVP-A3を用い、ガラスプレートを用いて23℃で測定した。単位は、mN/mで示した。1水準につき2つの試料を作製し、それぞれ3回測定した。合計6回の算術平均値を評価値として採用する。
インプリントパターン形成用組成物は、その全固形分の表面張力と、インプリントパターン形成用組成物の全固形分から離型剤を除いた成分の表面張力の差が1.5mN/m以下であることが好ましく、1.0mN/m以下であることがより好ましく、0.8mN/m以下であることがさらに好ましい。下限値としては、例えば、0.01mN/m以上、さらには0.1mN/m以上であることが好ましい。この差が小さいほど、インプリントパターン形成用組成物中での離型剤の相溶性が向上し、均質な硬化膜を形成することが可能となる。
インプリントパターン形成用組成物の大西パラメータは、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3.7以下であることがさらに好ましい。インプリントパターン形成用組成物の大西パラメータの下限値は、特に定めるものではないが、例えば、1以上、さらには、2以上であってもよい。
大西パラメータはインプリントパターン形成用組成物の不揮発性成分について、それぞれ、全構成成分の炭素原子、水素原子及び酸素原子の数を下記式に代入して求めることができる。
大西パラメータ=炭素原子、水素原子及び酸素原子の数の和/(炭素原子の数-酸素原子の数)
インプリントパターン形成用組成物は、モールド耐久性の観点から、インプリントパターン形成用組成物の全固形分に対し、金属原子及び金属イオンの合計量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以下であることがより好ましい。
上記合計量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
上記金属原子及び金属イオンは、例えば、金属錯体、金属塩化合物、その他、各成分に由来する不純物としてインプリントパターン形成用組成物に含まれる。
上記金属としては、特に限定されないが、例えば、鉄、銅、チタン、鉛、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、リチウム、クロム、ニッケル、錫、亜鉛、ヒ素、銀、金、カドミウム、コバルト、バナジウムおよびタングステン等が挙げられる。
インプリントパターン形成用組成物は、モールド耐久性の観点から、インプリントパターン形成用組成物の全固形分に対し、無機化合物の合計量が1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。
上記合計量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
無機化合物としては、特に限定されないが、無機顔料等の無機着色剤、シリカ粒子等の半金属粒子、酸化チタン粒子等の金属粒子等が挙げられる。
インプリントパターン形成用組成物は、モールド耐久性の観点から、インプリントパターン形成用組成物の全固形分に対し、塩化合物の合計量が1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。
上記合計量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
塩化合物としては、特に限定されないが、着色剤、酸発生剤、重合開始剤、重合性化合物、樹脂、重合禁止剤、界面活性剤等に該当する成分であって、塩構造を含む化合物が挙げられる。
上記塩構造としては、特に限定されないが、単塩構造、複塩構造、錯塩構造等が挙げられる。
<保存容器>
インプリントパターン形成用組成物の収容容器としては従来公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器としては、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成された多層ボトルや、6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
(硬化物の製造方法及びインプリントパターンの製造方法)
本発明のインプリントパターンの製造方法は、支持体及びモールドよりなる群から選択される被適用部材に本発明のインプリントパターン形成用組成物を適用する適用工程、上記支持体及び上記モールドよりなる群のうち上記被適用部材として選択されなかった部材を接触部材として上記インプリントパターン形成用組成物に接触させる接触工程、上記インプリントパターン形成用組成物を硬化物とする硬化工程、並びに、上記モールドと上記硬化物とを剥離する剥離工程を含む。
本発明のインプリントパターンの製造方法により得られるインプリントパターンとしては、特に限定されないが、ライン、ホール、ピラーのいずれかの形状を含むインプリントパターンが好ましく挙げられる。
中でも、得られるインプリントパターンが、サイズが100nm以下のライン、ホール、ピラーのいずれかの形状を含むことが好ましい。
上記サイズとは、ラインであればラインの幅、ホールであればホール部の最小寸法、ピラーであればピラーの最小寸法をいう。
〔適用工程〕
本発明のインプリントパターンの製造方法は、支持体及びモールドよりなる群から選択される被適用部材に本発明のインプリントパターン形成用組成物を適用する適用工程を含む。
適用工程において、支持体及びモールドよりなる群から選択された1つの部材が被適用部材として選択され、選択された被適用部材上に本発明のインプリントパターン形成用組成物が適用される。
支持体及びモールドのうち、選択された一方が被適用部材であり、他方が接触部材となる。
すなわち、適用工程において、本発明のインプリントパターン形成用組成物を支持体に適用した後にモールドと接触させてもよいし、モールドに適用した後に支持体(後述する密着層等を有していてもよい)と接触させてもよい。
-支持体-
支持体としては、特開2010-109092号公報(対応米国出願は、米国特許出願公開第2011/0199592号明細書)の段落0103の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。具体的には、シリコン基板、ガラス基板、サファイア基板、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)基板、窒化ガリウム基板、金属アルミニウム基板、アモルファス酸化アルミニウム基板、多結晶酸化アルミニウム基板、GaAsP、GaP、AlGaAs、InGaN、GaN、AlGaN、ZnSe、AlGaInP、又は、ZnOから構成される基板が挙げられる。なお、ガラス基板の具体的な材料例としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスが挙げられる。本発明では、基板として、シリコン基板が好ましい。
上記支持体は、インプリントパターン形成用組成物が適用される側の面に密着層を備える部材であることが好ましい。
密着層は、後述する密着層形成用組成物を支持体に適用することにより形成された密着層であることが好ましい。
また、上記支持体は、密着層の支持体と接する側とは反対側の面に後述する液膜を更に備えてもよい。
液膜は、後述する液膜形成用組成物を密着層上に適用することにより形成された液膜であることが好ましい。
上記密着層としては、例えば、特開2014-024322号公報の段落0017~0068、特開2013-093552号公報の段落0016~0044に記載されたもの、特開2014-093385号公報に記載の密着層、特開2013-202982号公報に記載の密着層等を用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
-モールド-
本発明においてモールドは特に限定されない。モールドについて、特開2010-109092号公報(対応米国出願は、米国特許出願公開第2011/0199592号明細書)の段落0105~0109の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。本発明において用いられるモールドとしては、石英モールドが好ましい。本発明で用いるモールドのパターン(線幅)は、サイズが50nm以下であることが好ましい。上記モールドのパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成できるが、本発明では、モールドパターン製造方法は特に制限されない。
また、インプリントパターンとして、ライン、ホール、ピラーのいずれかの形状を含むインプリントパターンが形成されるモールドが好ましい。
中でも、サイズが100nm以下のライン、ホール、ピラーのいずれかの形状を含むインプリントパターンが形成されるモールドが好ましい。
-適用方法-
被適用部材に本発明のインプリントパターン形成用組成物を適用する方法としては、特に定めるものではなく、一般によく知られた適用方法を採用できる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法、インクジェット法が例示される。
これらの中でも、インクジェット法及びスピンコート法が好ましく挙げられる。
また、インプリントパターン形成用組成物を多重塗布により塗布してもよい。
インクジェット法により液滴を配置する方法において、液滴の体積は1~20pL程度が好ましく、液滴間隔をあけて支持体表面に配置することが好ましい。液滴間隔としては、液滴の体積に応じて適宜設定すればよいが、10~1000μmの間隔が好ましい。液滴間隔は、インクジェット法の場合は、インクジェットのノズルの配置間隔とする。
インクジェット法は、インプリントパターン形成用組成物のロスが少ないといった利点がある。
インクジェット方式によるインプリントパターン形成用組成物の適用方法の具体例として、特開2015-179807号公報、国際公開第2016/152597号等に記載の方法が挙げられ、これらの文献に記載の方法を本発明においても好適に使用することができる。
一方、スピンコート方式は塗布プロセスの安定性が高く使用可能な材料の選択肢も広がるという利点がある。
スピンコート方式によるインプリントパターン形成用組成物の適用方法の具体例として、特開2013-095833号公報、特開2015-071741号公報等に記載の方法が挙げられ、これらの文献に記載の方法を本発明においても好適に使用することができる。
-乾燥工程-
また、本発明のインプリントパターンの製造方法は、適用工程により適用した本発明のインプリントパターン形成用組成物を乾燥する乾燥工程を更に含んでもよい。
特に、本発明のインプリントパターン形成用組成物として、溶剤を含む組成物を用いる場合、本発明のインプリントパターンの製造方法は乾燥工程を含むことが好ましい。
乾燥工程においては、適用された本発明のインプリントパターン形成用組成物に含まれる溶剤のうち、少なくとも一部が除去される。
乾燥方法としては特に限定されず、加熱による乾燥、送風による乾燥等を特に限定なく使用することができるが、加熱による乾燥を行うことが好ましい。
加熱手段としては、特に限定されず、公知のホットプレート、オーブン、赤外線ヒーター等を用いることができる。
本発明において、適用工程、及び、必要に応じて行われる乾燥工程後のインプリントパターン形成用組成物から形成される層であって、接触工程前の層を「パターン形成層」ともいう。
〔接触工程〕
本発明のインプリントパターンの製造方法は、上記支持体及び上記モールドよりなる群のうち上記被適用部材として選択されなかった部材を接触部材として上記インプリントパターン形成用組成物(パターン形成層)に接触させる接触工程を含む。
上記適用工程において支持体を被適用部材として選択した場合、接触工程においては、支持体の本発明のインプリントパターン形成用組成物が適用された面(パターン形成層が形成された面)に、接触部材であるモールドを接触させる。
上記適用工程においてモールドを被適用部材として選択した場合、接触工程においては、モールドの本発明のインプリントパターン形成用組成物が適用された面(パターン形成層が形成された面)に、接触部材である支持体を接触させる。
すなわち、接触工程により、本発明のインプリントパターン形成用組成物は被適用部材と接触部材との間に存在することとなる。
支持体及びモールドの詳細は上述の通りである。
被適用部材上に適用された本発明のインプリントパターン形成用組成物(パターン形成層)と接触部材とを接触させるに際し、押接圧力は1MPa以下とすることが好ましい。押接圧力を1MPa以下とすることにより、支持体及びモールドが変形しにくく、パターン精度が向上する傾向にある。また、加圧力が低いため装置を小型化できる傾向にある点からも好ましい。
また、パターン形成層と接触部材との接触を、ヘリウムガス又は凝縮性ガス、あるいはヘリウムガスと凝縮性ガスの両方を含む雰囲気下で行うことも好ましい。
〔硬化工程〕
本発明のインプリントパターンの製造方法は、上記インプリントパターン形成用組成物を硬化物とする硬化工程を含む。
硬化工程は、上記接触工程の後、上記剥離工程の前に行われる。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法により得られたインプリントパターン形成用組成物を硬化する工程を含む。上記硬化する工程は、本発明のインプリントパターンの製造方法における硬化工程と同様の方法により行うことができる。また、上記硬化物は、後述する剥離工程によりモールドが剥離された状態の硬化物であることが好ましい。
硬化方法としては、加熱による硬化、露光による硬化等が挙げられ、インプリントパターン形成用組成物に含まれる重合開始剤の種類等に応じて決定すればよいが、露光による硬化が好ましい。
例えば、上記重合開始剤が光重合開始剤である場合、硬化工程において露光を行うことにより、インプリントパターン形成用組成物を硬化することができる。
露光波長は、特に限定されず、重合開始剤に応じて決定すればよいが、例えば紫外光等を用いることができる。
露光光源は、露光波長に応じて決定すればよいが、g線(波長 436nm)、h線(波長 405nm)、i線(波長 365nm)、ブロードバンド光(g,h,i線の3波長、及び、i線よりも短い波長の光よりなる群から選ばれた、少なくとも2種の波長の光を含む光。例えば、光学フィルタを使用しない場合の高圧水銀灯等が挙げられる。)、半導体レーザー(波長 830nm、532nm、488nm、405nm etc.)、メタルハライドランプ、エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー(波長 248nm)、ArFエキシマレーザー(波長 193nm)、F2エキシマレーザー(波長 157nm)、極端紫外線;EUV(波長 13.6nm)、電子線等が挙げられる。
これらの中でも、i線又はブロードバンド光を用いた露光が好ましく挙げられる。
露光時における照射量(露光量)は、インプリントパターン形成用組成物の硬化に必要な最小限の照射量よりも十分大きければよい。インプリントパターン形成用組成物の硬化に必要な照射量は、インプリントパターン形成用組成物の不飽和結合の消費量などを調べて適宜決定することができる。
露光量は、例えば、5~1,000mJ/cm2の範囲にすることが好ましく、10~500mJ/cm2の範囲にすることがより好ましい。
露光照度は、特に限定されず、光源との関係により選択すればよいが、1~500mW/cm2の範囲にすることが好ましく、10~400mW/cm2の範囲にすることがより好ましい。
露光時間は特に限定されず、露光量に応じて露光照度を考慮して決定すればよいが、0.01~10秒であることが好ましく、0.5~1秒であることがより好ましい。
露光の際の支持体の温度は、通常、室温とするが、反応性を高めるために加熱をしながら露光してもよい。露光の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、モールドとインプリントパターン形成用組成物との密着性向上に効果があるため、真空状態で光照射してもよい。また、露光時における好ましい真空度は、10-1Paから常圧の範囲である。
露光後、必要に応じて、露光後のインプリントパターン形成用組成物を加熱してもよい。加熱温度としては、150~280℃が好ましく、200~250℃がより好ましい。また、加熱時間としては、5~60分間が好ましく、15~45分間がさらに好ましい。
また、硬化工程において、露光を行わずに加熱工程のみを行ってもよい。例えば、上記重合開始剤が熱重合開始剤である場合、硬化工程において加熱を行うことにより、インプリントパターン形成用組成物を硬化させることができる。その場合の加熱温度及び加熱時間の好ましい態様は、上記露光後に加熱を行う場合の加熱温度及び加熱時間と同様である。
加熱手段としては、特に限定されず、上述の乾燥工程における加熱と同様の加熱手段が挙げられる。
〔剥離工程〕
本発明のインプリントパターンの製造方法は、上記モールドと上記硬化物とを剥離する剥離工程を含む。
剥離工程により、硬化工程により得られた硬化物とモールドとが剥離され、モールドのパターンが転写されたパターン状の硬化物(「硬化物パターン」ともいう。)が得られる。得られた硬化物パターンは後述する通り各種用途に利用できる。本発明では特にナノオーダーの微細硬化物パターンを形成でき、さらにはサイズが50nm以下、特には30nm以下の硬化物パターンも形成できる点で有益である。上記硬化物パターンのサイズの下限値については特に定めるものでは無いが、例えば、1nm以上とすることができる。
剥離方法としては特に限定されず、例えばインプリントパターン製造方法において公知の機械剥離装置等を用いて行うことができる。
(デバイスの製造方法、硬化物パターンの応用)
本発明のデバイスの製造方法は、本発明のインプリントパターンの製造方法を含む。
具体的には、本発明のインプリントパターンの製造方法によって形成されたパターン(硬化物パターン)を、液晶表示装置(LCD)などに用いられる永久膜や、半導体素子製造用のエッチングレジスト(リソグラフィ用マスク)として用いたデバイスの製造方法が挙げられる。
特に、本発明では、本発明のインプリントパターンの製造方法によりパターン(硬化物パターン)を得る工程を含む、回路基板の製造方法、及び、上記回路基板を含むデバイスの製造方法を開示する。さらに、本発明の好ましい実施形態に係る回路基板の製造方法では、上記パターンの形成方法により得られたパターン(硬化物パターン)をマスクとして基板にエッチング又はイオン注入を行う工程と、電子部材を形成する工程と、を有していてもよい。上記回路基板は、半導体素子であることが好ましい。すなわち、本発明では、本発明のインプリントパターンの製造方法を含む半導体デバイスの製造方法を開示する。さらに、本発明では、上記回路基板の製造方法により回路基板を得る工程と、上記回路基板と上記回路基板を制御する制御機構とを接続する工程と、を有するデバイスの製造方法を開示する。
また、本発明のインプリントパターンの製造方法を用いて液晶表示装置のガラス基板にグリッドパターンを形成することで、反射や吸収が少なく、大画面サイズ(例えば55インチ、60インチ超)の偏光板を安価に製造することができる。すなわち、本発明では、本発明のインプリントパターンの製造方法を含む偏光板の製造方法及び上記偏光板を含むデバイスの製造方法を開示する。例えば、特開2015-132825号公報や国際公開第2011/132649号に記載の偏光板が製造できる。なお、1インチは25.4mmである。
本発明のインプリントパターンの製造方法によって製造されたパターン(硬化物パターン)はエッチングレジスト(リソグラフィ用マスク)としても有用である。すなわち、本発明では、本発明のインプリントパターンの製造方法を含み、得られた硬化物パターンをエッチングレジストとして利用するデバイスの製造方法を開示する。
硬化物パターンをエッチングレジストとして利用する場合には、まず、支持体上に本発明のインプリントパターンの製造方法を適用してパターン(硬化物パターン)を形成し、得られた上記硬化物パターンをエッチングマスクとして用いて支持体をエッチングする態様が挙げられる。ウェットエッチングの場合にはフッ化水素等、ドライエッチングの場合にはCF4等のエッチングガスを用いてエッチングすることにより、支持体上に所望の硬化物パターンの形状に沿ったパターンを形成することができる。
また、本発明のインプリントパターンの製造方法によって製造されたパターン(硬化物パターン)は、磁気ディスク等の記録媒体、固体撮像素子等の受光素子、LED(light emitting diode)や有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)等の発光素子、液晶表示装置(LCD)等の光デバイス、回折格子、レリーフホログラム、光導波路、光学フィルタ、マイクロレンズアレイ等の光学部品、薄膜トランジスタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、反射防止膜、偏光板、偏光素子、光学フィルム、柱材等のフラットパネルディスプレイ用部材、ナノバイオデバイス、免疫分析チップ、デオキシリボ核酸(DNA)分離チップ、マイクロリアクター、フォトニック液晶、ブロックコポリマーの自己組織化を用いた微細パターン形成(directed self-assembly、DSA)のためのガイドパターン等の作製に好ましく用いることもできる。
すなわち、本発明では、本発明のインプリントパターンの製造方法を含むこれらのデバイスの製造方法を開示する。
<密着層形成用組成物>
上記のとおり、支持体とインプリントパターン形成用組成物の間に密着層を設けることにより、支持体とインプリントパターン形成用組成物層の密着性が向上するなどの効果が得られる。本発明において、密着層は、インプリントパターン形成用組成物と同様の手法により、密着層形成用組成物を支持体上に適用し、その後、組成物を硬化することにより得られる。以下、密着層形成用組成物の各成分について説明する。
密着層形成用組成物は、硬化性成分を含む。硬化性成分とは、密着層を構成する成分であり、高分子成分(例えば、分子量1000超)や低分子成分(例えば、分子量1000未満)のいずれであってもよい。具体的には、樹脂及び架橋剤などが例示される。これらは、それぞれ、1種のみ用いられていてもよいし、2種以上用いられていてもよい。
密着層形成用組成物における硬化性成分の合計含有量は、特に限定されないが、全固形分中では50質量%以上であることが好ましく、全固形分中で70質量%以上であることがより好ましく、全固形分中で80質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、99.9質量%以下であることが好ましい。
硬化性成分の密着層形成用組成物中(溶剤を含む)での濃度は、特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%未満であることが一層好ましい。
〔樹脂〕
密着層形成用組成物中の樹脂は、公知の樹脂を広く用いることができる。本発明で用いる樹脂は、ラジカル重合性基及び極性基の少なくとも一方を有することが好ましく、ラジカル重合性基及び極性基の両方を有することがより好ましい。
ラジカル重合性基を有することにより、強度に優れた密着層が得られる。また、極性基を有することにより、支持体との密着性が向上する。また、架橋剤を配合する場合は、硬化後に形成される架橋構造がより強固となり、得られる密着層の強度を向上させることができる。
ラジカル重合性基は、エチレン性不飽和結合含有基を含むことが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイル基(好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基)、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、メチルアリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、シクロヘキセニル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。ここで定義するエチレン性不飽和結合含有基をEtと称する。
また、極性基は、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、リン酸基、カルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも1種であることが好ましく、アルコール性ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも1種であることがより好ましく、アルコール性ヒドロキシ基又はカルボキシ基であることがさらに好ましい。ここで定義する極性基を極性基Poと称する。極性基は、非イオン性の基であることが好ましい。
密着層形成用組成物中の樹脂は、さらに、環状エーテル基を含んでいてもよい。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基が例示され、エポキシ基が好ましい。ここで定義する環状エーテル基を環状エーテル基Cytと称する。
上記樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が例示され、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂及びノボラック樹脂の少なくとも1種であることが好ましい。
上記樹脂の重量平均分子量は、4000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、8000以上であることがさらに好ましい。上限としては、1000000以下であることが好ましく、500000以下であってもよい。
上記樹脂は下記の式(1)~(3)の少なくとも1つの構成単位を有することが好ましい。
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R21及びR3はそれぞれ独立に置換基である。L1、L2及びL3は、それぞれ独立に、単結合又は連結基である。n2は0~4の整数である。n3は0~3の整数である。Q1はエチレン性不飽和結合含有基又は環状エーテル基である。Q2はエチレン性不飽和結合含有基、環状エーテル基又は極性基である。
1及びR2は、メチル基が好ましい。
21及びR3はそれぞれ独立に上記置換基Tが好ましい。
21が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成してもよい。本明細書において連結とは結合して連続する態様のほか、一部の原子を失って縮合(縮環)する態様も含む意味である。また特に断らない限り、連結する環状構造中に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子(アミノ基)を含んでいてもよい。形成される環状構造としては、脂肪族炭化水素環(以下に例示するものを環Cfと称する)(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等)、芳香族炭化水素環(以下に例示するものを環Crと称する)(ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等)、含窒素複素環(以下に例示するものを環Cnと称する)(例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピロリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピぺリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等)、含酸素複素環(以下に例示するものを環Coと称する)(フラン環、ピラン環、オキシラン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環等)、含硫黄複素環(以下に例示するものを環Csと称する)(チオフェン環、チイラン環、チエタン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオピラン環等)などが挙げられる。
3が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成してもよい。形成される環状構造としては、Cf、環Cr、環Cn、環Co、環Csなどが挙げられる。
1、L2、L3はそれぞれ独立に単結合又は後述する連結基Lであることが好ましい。中でも、単結合、又は連結基Lで規定されるアルキレン基若しくは(オリゴ)アルキレンオキシ基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。連結基Lは、極性基Poを置換基として有することが好ましい。また、アルキレン基がヒドロキシ基を置換基として有する態様も好ましい。本明細書において、「(オリゴ)アルキレンオキシ基」は、構成単位である「アルキレンオキシ」を1以上有する2価の連結基を意味する。構成単位中のアルキレン鎖の炭素数は、構成単位ごとに同一であっても異なっていてもよい。
n2は0又は1であることが好ましく、0がより好ましい。n3は0又は1であることが好ましく、0がより好ましい。
1はエチレン性不飽和結合含有基Etが好ましい。
2は、極性基が好ましく、アルコール性ヒドロキシ基を有するアルキル基が好ましい。
上記の樹脂は、さらに、下記構成単位(11)、(21)及び(31)の少なくとも1つの構成単位を含んでいてもよい。特に、本発明に含まれる樹脂は、構成単位(11)が構成単位(1)と組み合わせられることが好ましく、構成単位(21)が構成単位(2)と組み合わせられることが好ましく、構成単位(31)が構成単位(3)と組み合わせられることが好ましい。
式中、R11及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R17は置換基である。R27は置換基である。n21は0~5の整数である。R31は置換基であり、n31は0~3の整数である。
11及びR22は、メチル基が好ましい。
17は極性基を含む基又は環状エーテル基を含む基であることが好ましい。R17が極性基を含む基である場合、上述の極性基Poを含む基であることが好ましく、上述の極性基Poであるか、上述の極性基Poで置換された置換基Tであることがより好ましい。R17が環状エーテル基を含む基である場合、上述の環状エーテル基Cytを含む基であることが好ましく、上述の環状エーテル基Cytで置換された置換基Tであることがより好ましい。
27は置換基であり、R27の少なくとも1つは、極性基であることが好ましい。上記置換基は、置換基Tが好ましい。n21は0又は1が好ましく、0がより好ましい。R27が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成していてもよい。形成される環状構造としては、環Cf、環Cr、環Cn、環Co、環Csの例が挙げられる。
31は置換基Tが好ましい。n31は0~3の整数であり、0又は1が好ましく、0がより好ましい。R31が複数あるとき、互いに連結して環状構造を形成してもよい。形成される環状構造としては、環Cf、環Cr、環Cn、環Co、環Csの例が挙げられる。
連結基Lとしては、アルキレン基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい)、アルケニレン基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい)、(オリゴ)アルキレンオキシ基(1つの構成単位中のアルキレン基の炭素数は1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい;繰り返し数は1~50が好ましく、1~40がより好ましく、1~30がさらに好ましい)、アリーレン基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、-NRN-、及びそれらの組み合わせに係る連結基が挙げられる。アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基は上記置換基Tを有していてもよい。例えば、アルキレン基がヒドロキシ基を有していてもよい。
連結基Lの連結鎖長は、1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましい。連結鎖長は連結に関与する原子団のうち最短の道程に位置する原子数を意味する。例えば、-CH2-(C=O)-O-であると3となる。
なお、連結基Lで規定されるアルキレン基、アルケニレン基、(オリゴ)アルキレンオキシ基は、鎖状でも環状でもよく、直鎖でも分岐でもよい。
連結基Lを構成する原子としては、炭素原子と水素原子、必要によりヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる少なくとも1種等)を含むものであることが好ましい。連結基中の炭素原子の数は1~24個が好ましく、1~12個がより好ましく、1~6個がさらに好ましい。水素原子は炭素原子等の数に応じて定められればよい。ヘテロ原子の数は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、それぞれ独立に、0~12個が好ましく、0~6個がより好ましく、0~3個がさらに好ましい。
上記樹脂の合成は常法によればよい。例えば、式(1)の構成単位を有する樹脂は、オレフィンの付加重合に係る公知の方法により適宜合成することができる。式(2)の構成単位を有する樹脂は、スチレンの付加重合に係る公知の方法により適宜合成することができる。式(3)の構成単位を有する樹脂は、フェノール樹脂の合成に係る公知の方法により適宜合成することができる。
上記の樹脂は1種を用いても複数のものを用いてもよい。
硬化性成分としての樹脂は、上述の他、国際公開第2016/152600号の段落0016~0079の記載、国際公開第2016/148095号の段落0025~0078の記載、国際公開第2016/031879号の段落0015~0077の記載、国際公開第2016/027843号の0015~0057に記載のものを用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
〔架橋剤〕
密着層形成用組成物中の架橋剤は、架橋反応により硬化を進行させるものであれば、特に限定はない。本発明では、架橋剤は、樹脂が有する極性基との反応によって、架橋構造を形成するものが好ましい。このような架橋剤を用いることにより、樹脂がより強固に結合し、より強固な膜が得られる。
架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物)、オキセタニル化合物(オキセタニル基を有する化合物)、アルコキシメチル化合物(アルコキシメチル基を有する化合物)、メチロール化合物(メチロール基を有する化合物)、ブロックイソシアネート化合物(ブロックイソシアネート基を有する化合物)などが挙げられ、アルコキシメチル化合物(アルコキシメチル基を有する化合物)が低温で強固な結合形成が可能であるため好ましい。
〔他の成分〕
密着層形成用組成物は、上記成分に加え、他の成分を含んでいてもよい。
具体的には、溶剤、熱酸発生剤、アルキレングリコール化合物、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、界面活性剤等を1種又は2種以上含んでいてもよい。上記成分について、特開2013-036027号公報、特開2014-090133号公報、特開2013-189537号公報に記載の各成分を用いることができる。含有量等についても、上記公報の記載を参酌できる。
-溶剤-
本発明では、密着層形成用組成物は、特に、溶剤(以下、「密着層用溶剤」ともいう。)を含むことが好ましい。溶剤は例えば、23℃で液体であって沸点が250℃以下の化合物が好ましい。密着層形成用組成物は、密着層用溶剤を99.0質量%以上含むことが好ましく、99.2質量%以上含むことがより好ましく、99.4質量%以上であってもよい。すなわち、密着層形成用組成物は、全固形分濃度が1質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、0質量%超であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることがさらに好ましく、0.1質量%以上であることが一層好ましい。溶剤の割合を上記の範囲とすることで、膜形成時の膜厚を薄く保ち、エッチング加工時のパターン形成性が向上する傾向にある。
溶剤は、密着層形成用組成物に、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。2種以上含む場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
密着層用溶剤の沸点は、230℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましく、160℃以下であることが一層好ましく、130℃以下であることがより一層好ましい。下限値は23℃であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。沸点を上記の範囲とすることにより、密着層から溶剤を容易に除去でき好ましい。
密着層用溶剤は、有機溶剤が好ましい。溶剤は、好ましくはエステル基、カルボニル基、ヒドロキシ基及びエーテル基のいずれか1つ以上を有する溶剤である。なかでも、非プロトン性極性溶剤を用いることが好ましい。
密着層用溶剤として中でも好ましい溶剤としては、アルコキシアルコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸エステル、酢酸エステル、アルコキシプロピオン酸エステル、鎖状ケトン、環状ケトン、ラクトン、及びアルキレンカーボネートが挙げられ、プロピレングリコールモノアルキルエーテル及びラクトンが特に好ましい。
-熱酸発生剤-
熱酸発生剤は、加熱によって酸が発生し、酸の作用によって架橋を進行させる化合物である。上記架橋剤と併用することにより、より強度の高い密着層を得ることができる。
熱酸発生剤としては、通常はカチオン成分とアニオン成分とが対になった有機オニウム塩化合物が用いられる。上記カチオン成分としては、例えば、有機スルホニウム、有機オキソニウム、有機アンモニウム、有機ホスホニウムや有機ヨードニウムを挙げることができる。また、上記アニオン成分としては、例えば、BF4-、B(C654-、SbF6-、AsF6-、PF6-、CF3SO3 -、C49SO3 -や(CF3SO23-を挙げることができる。
具体的には、特開2017-224660号公報の段落0243~0256及び特開2017-155091号公報の段落0016の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
熱酸発生剤の含有量は、架橋剤100質量部に対し、0.01~10質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。熱酸発生剤は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
-重合開始剤-
密着層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよく、熱重合開始剤及び光重合開始剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。また、密着層形成用組成物は、重合開始剤を含有しなくともよい。重合開始剤を含むことにより、密着層形成用組成物に含まれる重合性基の反応が促進し、密着性が向上する傾向にある。インプリントパターン形成用組成物との架橋反応性を向上させる観点から光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤が好ましく、ラジカル重合開始剤がより好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン、アゾ系化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
アシルホスフィン化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE-819やIRGACURE1173、IRGACURE-TPO(商品名:いずれもBASF製)を用いることができる。
上記密着層形成用組成物に用いられる光重合開始剤の含有量は、配合する場合、全固形分中、例えば、0.0001~5質量%であり、好ましくは0.0005~3質量%であり、さらに好ましくは0.01~1質量%である。2種以上の光重合開始剤を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となる。
<液膜形成用組成物>
また、本発明において、23℃、1気圧で液体であるラジカル重合性化合物を含む液膜形成用組成物を用いて、密着層の上に液膜を形成することも好ましい。本発明において、液膜は、インプリントパターン形成用組成物と同様の手法により、液膜形成用組成物を支持体上に適用し、その後、組成物を乾燥させることにより得られる。このような液膜を形成することにより、支持体とインプリントパターン形成用組成物との密着性がさらに向上し、インプリントパターン形成用組成物の支持体上での濡れ性も向上するという効果がある。以下、液膜形成用組成物について説明する。
液膜形成用組成物の粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましく、800mPa・s以下であることがより好ましく、500mPa・s以下であることがさらに好ましく、100mPa・s以下であることが一層好ましい。上記粘度の下限値としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、1mPa・s以上とすることができる。粘度は、下記の方法に従って測定される。
粘度は、東機産業(株)製のE型回転粘度計RE85L、標準コーン・ロータ(1°34’×R24)を用い、サンプルカップを23℃に温度調節して測定する。単位は、mPa・sで示す。測定に関するその他の詳細はJISZ8803:2011に準拠する。1水準につき2つの試料を作製し、それぞれ3回測定する。合計6回の算術平均値を評価値として採用する。
〔ラジカル重合性化合物A〕
液膜形成用組成物は、23℃、1気圧で液体であるラジカル重合性化合物(ラジカル重合性化合物A)を含有する。
ラジカル重合性化合物Aの23℃における粘度は、1~100000mPa・sであることが好ましい。下限は、5mPa・s以上であることが好ましく、11mPa・s以上であることがより好ましい。上限は、1000mPa・s以下であることが好ましく、600mPa・s以下であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物Aは、一分子中にラジカル重合性基を1つのみ有する単官能のラジカル重合性化合物であってもよく、一分子中にラジカル重合性基を2つ以上有する多官能のラジカル重合性化合物であってもよい。単官能のラジカル重合性化合物と多官能のラジカル重合性化合物とを併用してもよい。なかでも、パターン倒れ抑制という理由から液膜形成用組成物に含まれるラジカル重合性化合物Aは多官能のラジカル重合性化合物を含むことが好ましく、一分子中にラジカル重合性基を2~5つ含むラジカル重合性化合物を含むことがより好ましく、一分子中にラジカル重合性基を2~4つ含むラジカル重合性化合物を含むことが更に好ましく、一分子中にラジカル重合性基を2つ含むラジカル重合性化合物を含むことが特に好ましい。
また、ラジカル重合性化合物Aは、芳香族環(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)及び脂環(炭素数3~24が好ましく、3~18がより好ましく、3~6がさらに好ましい)の少なくとも一方を含むことが好ましく、芳香族環を含むことがさらに好ましい。芳香族環はベンゼン環が好ましい。また、ラジカル重合性化合物Aの分子量は100~900が好ましい。
ラジカル重合性化合物Aが有するラジカル重合性基は、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合含有基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物Aは、下記式(I-1)で表される化合物であることも好ましい。
20は、1+q2価の連結基であり、例えば、1+q2価の、アルカン構造の基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい)、アルケン構造の基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3がさらに好ましい)、アリール構造の基(炭素数6~22が好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい)、ヘテロアリール構造の基(炭素数1~22が好ましく、1~18がより好ましく、1~10がさらに好ましい、ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が挙げられる、5員環、6員環、7員環が好ましい)、又はこれらを組み合わせた基を含む連結基が挙げられる。アリール基を2つ組み合わせた基としてはビフェニルやジフェニルアルカン、ビフェニレン、インデンなどの構造を有する基が挙げられる。ヘテロアリール構造の基とアリール構造の基を組合せたものとしては、インドール、ベンゾイミダゾール、キノキサリン、カルバゾールなどの構造を有する基が挙げられる。
20は、アリール構造の基及びヘテロアリール構造の基から選ばれる少なくとも1種を含む連結基であることが好ましく、アリール構造の基を含む連結基であることがより好ましい。
21及びR22はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。
21及びL22はそれぞれ独立に単結合又は上記連結基Lを表し、単結合又はアルキレン基であることが好ましい。
20とL21又はL22は連結基Lを介して又は介さずに結合して環を形成していてもよい。L20、L21及びL22は上記置換基Tを有していてもよい。置換基Tは複数が結合して環を形成してもよい。置換基Tが複数あるときは互いに同じでも異なっていてもよい。
q2は0~5の整数であり、0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましく、0又は1がさらに好ましく、1が特に好ましい。
ラジカル重合性化合物Aとしては、特開2014-090133号公報の段落0017~0024及び実施例に記載の化合物、特開2015-009171号公報の段落0024~0089に記載の化合物、特開2015-070145号公報の段落0023~0037に記載の化合物、国際公開第2016/152597号の段落0012~0039に記載の化合物を用いることもできる。
液膜形成用組成物中におけるラジカル重合性化合物Aの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
液膜形成用組成物の固形分中におけるラジカル重合性化合物Aの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限としては、100質量%であってもよい。ラジカル重合性化合物Aは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、液膜形成用組成物の固形分は実質的にラジカル重合性化合物Aのみからなることも好ましい。液膜形成用組成物の固形分は実質的にラジカル重合性化合物Aのみからなる場合とは、液膜形成用組成物の固形分中におけるラジカル重合性化合物Aの含有量が99.9質量%以上であることを意味し、99.99質量%以上であることがより好ましく、重合性化合物Aのみからなることが更に好ましい。
〔溶剤〕
液膜形成用組成物は溶剤(以下、「液膜用溶剤」ということがある)を含むことが好ましい。液膜用溶剤としては、上述した密着層用溶剤の項で説明したものが挙げられ、これらを用いることができる。液膜形成用組成物は、液膜用溶剤を90質量%以上含むことが好ましく、99質量%以上含むことがより好ましく、99.99質量%以上であってもよい。
液膜用溶剤の沸点は、230℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましく、160℃以下であることが一層好ましく、130℃以下であることがより一層好ましい。下限値は23℃であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。沸点を上記の範囲とすることにより、液膜から溶剤を容易に除去でき好ましい。
〔ラジカル重合開始剤〕
液膜形成用組成物はラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。ラジカル重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を任意に使用できる。例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、トリハロメチル基を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、アセトフェノン化合物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ素化合物、鉄アレーン錯体などが挙げられる。これらの詳細については、特開2016-027357号公報の段落0165~0182の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。この中でもアセトフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、オキシム化合物が好ましい。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-127、IRGACURE-819、IRGACURE-379、IRGACURE-369、IRGACURE-754、IRGACURE-1800、IRGACURE-651、IRGACURE-907、IRGACURE-TPO、IRGACURE-1173等(以上、BASF社製)、Omnirad 184、Omnirad TPO H、Omnirad 819、Omnirad 1173(以上、IGM Resins B.V.製)が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、含有する場合、液膜形成用組成物の固形分の0.1~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることがより好ましく、2~5質量%であることが更に好ましい。2種以上のラジカル重合開始剤を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔その他の成分〕
液膜形成用組成物は、上記の他、重合禁止剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、界面活性剤等を1種又は2種以上含んでいてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。実施例において、特に述べない限り、「部」及び「%」は質量基準であり、各工程の環境温度(室温)は23℃である。
<前駆組成物の調製>
下記表に記載した各成分(各種化合物)を混合し、前駆組成物A-1~A-4、B-1~B-5を調製した。
溶剤以外の各成分の含有量は下記表の「質量部」の欄に記載の含有量(質量部)とした。「溶剤」と記載された成分の含有量は、組成物の全質量に対する不揮発性成分の濃度(固形分濃度、質量%)が「不揮発性成分の濃度(質量%)」の欄に記載の値となるようにした。また、「溶剤」と記載された成分の「質量部」の欄に記載の数値は、各溶剤の含有比(質量比)であり、「100」の記載は、その溶剤を単独で使用したことを意味する。
前駆組成物B-3に含まれる含シリコーンアクリレート樹脂の合成方法は下記の通りである。
メチル系シリコーンレジンKR-500(商品名、信越化学工業(株)製)(110.8部)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(58.1部)、パラトルエンスルホン酸一水和物(0.034部)を混合後、120℃に昇温し、縮合反応により生成したメタノールを留去しながら3時間撹拌して反応させ、含シリコーンアクリレート樹脂を得た。
また、前駆組成物B-1、B-2及びB-4に含まれる含シリコーンアクリレート樹脂についても、それぞれ、表中に記載の原料を用いて同様の方法により合成することができる。
<インプリントパターン形成用組成物の調製>
各実施例及び各比較例において、それぞれ、下記表の「1本目」の欄に記載のフィルタ(1本目のフィルタ)、「2本目」の欄に記載のフィルタ(2本目のフィルタ)、及び、「3本目」の欄に記載のフィルタ(3本目のフィルタ)を直列に結合し、「前駆組成物」の欄に記載の前駆組成物を、1本目のフィルタ、2本目のフィルタ、3本目のフィルタの順に通過させ、インプリントパターン形成用組成物又は比較用組成物を得た。
ただし、「3本目」の欄に「-」と記載された例においては、3本目のフィルタは使用しなかった。
表中、「流速(cm/h)」の欄の記載は、通液が安定した状態における、前駆組成物がフィルタを通過する速度(ろ過速度)を示している。
表中、「時間」の欄に「A」と記載した例においては、少なくとも一方のフィルタにおいて、前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cm(0.9cm/h)を常に下回っていたことを示し、「B」と記載した例においては、前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを超えた時間が合計で20秒間存在したが、連続して10秒以上超えることはなかったことを示し、「C」と記載した例においては、前駆組成物がフィルタを通過する速度が常に時速0.9cmを超えたことを示している。
表中、「圧力(MPa)」の欄の記載は、ろ過工程におけるろ過圧力を示している。
また、全ての実施例において、ろ過前の前駆組成物又はろ過後のインプリントパターン形成用組成物が供される最大速度は0.2cm/h以上であった。
表中の略語の詳細は下記の通りである。
〔種類〕
・F-1:Pall社製、型番:ABF1UCFD3EH1
・F-2:Pall社製、型番:ABF1UCFT3EH1
・F-3:Pall社製、型番:ABD1UG0053EH1
・F-4:Pall社製、型番:ABD1UNM3EH1
・F-5:Entegris社製、型番:CWAZ01HCT
・F-6:Entegris社製、型番:CWNX0S2S1UCP
・F-7:Pall社製、型番:ABD1UG53EH1
・F-8:Entegris社製、型番:CWCF01MSTUC
・F-9:Entegris社製、型番:CWCK01MSTUC
・F-10:Entegris社製、型番:CWCF0S2S3
・F-11:Entegris社製、型番:CWCK0S2S1UC
・F-12:Entegris社製、型番:PHD1UG003H23
〔材質〕
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
・HDPE:高密度ポリエチレン
・Ny:ナイロン
・UPE:超高分子量ポリエチレン
<評価>
〔異物数(パーティクル数)の評価〕
液中パーティクルセンサKS-41B(リオン株式会社製)を用いて、パーティクルの密度を計測した。この測定は、クラス1000のクリーンルーム下、測定流量:5mL/minで行った。
評価結果を下記表の「異物数(個/mL)」の欄に示す。
表中、「0.2~」の記載は、各実施例及び比較例におけるインプリントパターン形成用組成物(1mL)又は比較用組成物(1mL)に含まれる異物のうち、粒子径が0.2μm以上である異物の個数を示している。また、「0.18~0.20」の記載は、各実施例又は比較例におけるインプリントパターン形成用組成物(1mL)又は比較用組成物(1mL)に含まれる異物のうち、粒子径が0.18μm以上0.20μm未満の異物の個数を、それぞれ示している。他の数値範囲についても同様である。
〔経時後の異物数(パーティクル数)の評価〕
各実施例及び比較例におけるインプリントパターン形成用組成物又は比較用組成物について、遮光した状態で23℃の温度で180日間静置した。静置の前後において組成物中の異物数(パーティクル数)をリオン社製パーティクルカウンターKS-41Bにてカウントし、下記式で計算されるパーティクル増加数を評価した。
この測定は、クラス1000のクリーンルーム下、測定流量:5mL/minで行った。
パーティクル増加数=(静置後のパーティクル数)-(静置前のパーティクル数)
パーティクル数としては、インプリントパターン形成用組成物又は比較用組成物1mL中の粒子径が0.20μm以上のパーティクルの個数を測定した。
評価結果は下記表の「経時後の異物数(個/mL)」の欄に示す。
〔インクジェット吐出不良の評価〕
各実施例又は比較例において、インプリントパターン形成用組成物又は比較用組成物をインクジェットプリンターDMP-2831を用いて20回連続でノズルから吐出し、ノズルの目詰まりによる吐出不良の有無を確認した。吐出不良とは、吐出初期と比較した際に単位時間あたりのノズル先端からの組成物吐出量が低下する現象を意味する。
下記評価基準に従って評価し、評価結果は表中の「インクジェット吐出不良」の欄に記載した。
ただし、評価結果の欄に「-」と記載された例においては、インクジェット吐出不良の評価は行わなかった。
-評価基準-
A:計16本のノズルのうち、吐出不良が生じたノズル数が0個であった。
B:計16本のノズルのうち、吐出不良が生じたノズル数が1~2個であった。
C:計16本のノズルのうち、吐出不良が生じたノズル数が3個以上であった。
〔塗布欠陥の評価〕
直径300mmのシリコンウェハを準備し、ウェハ表面上欠陥検出装置(KLA Tencor社製SP-5)で上記シリコンウェハ上に存在する直径50nm以上のパーティクルを検出した。これを欠陥数の初期値とする。次に、上記シリコンウェハ上に下記密着層形成用組成物C-1をスピンコートし、ホットプレートを用いて220℃に加熱し、シリコンウェハ上に密着層を形成した。次に、同様の方法で欠陥数(シリコンウェハ上に存在する直径50nm以上のパーティクル数)を計測した。これを欠陥数の計測値とする。そして、欠陥数の初期値と欠陥数の計測値の差(欠陥数の計測値-欠陥数の初期値)を計算した。得られた結果は、下記の基準に基づいて評価し、結果を表中の「塗布欠陥」の欄に示した。
-評価基準-
A:欠陥数の初期値と計測値の差が20個以下だった。
B:欠陥数の初期値と計測値の差が21~100個だった。
C:欠陥数の計測値と初期値の差が101~500個だった。
D:欠陥数の計測値と初期値の差が501個以上だった。
〔密着層形成用組成物C-1の調製〕
下記表に記載の成分を混合し、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターでろ過して密着層形成用組成物を得た。
〔パターン形成性の評価〕
石英モールドとして、線幅20nm、深さ55nmのライン(Line)/スペース(Space)を有する石英モールドを使用した。
シリコンウェハ上に上記密着層形成用組成物C-1をスピンコートし、ホットプレートを用いて220℃に加熱し、シリコンウェハ上に密着層を形成した。
前駆組成物として、A-1~A-4のいずれかを使用した例においては、インクジェット装置として、FUJIFILM Dimatix社製インクジェットプリンター DMP-2831を用いて、上記密着層が形成されたシリコンウェハ(シリコン基板)上に、上記インプリントパターン形成用組成物をインクジェット法により適用し、パターン形成層を形成した。
前駆組成物として、B-1~B-5のいずれかを使用した例においては、、上記密着層が形成されたシリコンウェハ(シリコン基板)上に、上記インプリントパターン形成用組成物をスピンコート法により適用し、厚さ100nmのパターン形成層を形成した。
上記パターン形成層のシリコンウェハとは反対の側の表面に上記石英モールドを接触させ、ヘリウム雰囲気下で、上記モールドで上記パターン形成層を上記石英モールド及び上記シリコンウェハにより挟んだ。石英モールド側から高圧水銀ランプを用いて、100mJ/cm2の条件で露光した後、石英モールドを離型することでシリコンウェハ上にパターンを得た。得られたパターンを走査型電子顕微鏡にて観察し、パターンの剥がれを以下の評価基準に従い評価した。評価結果は下記表の「パターン形成性」の欄に記載した。
-評価基準-
A:パターンの欠損が全くみられなかった。
B:パターンの欠損がみられる領域が、パターン形成面積中1%未満であった。
C:パターンの欠損がみられる領域が、パターン形成面積中1%以上10%未満であった。
D:パターンの欠損がみられる領域が、パターン形成面積中10%未満であった。
以上の結果から、本発明のインプリントパターン形成用組成物の製造方法を用いた場合には、異物の発生が抑制されることがわかる。
比較例1に係る製造方法においては、前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超える。このような製造方法を用いた場合には、異物の発生が抑制されないことがわかる。
また、シリコンウェハ上に、各実施例に係るインプリントパターン形成用組成物の製造方法により得られたインプリントパターン形成用組成物を用いて、半導体回路に対応する所定のパターンを形成した。そして、このパターンをエッチングマスクとして、シリコンウェハをそれぞれドライエッチングし、そのシリコンウェハを用いて半導体素子をそれぞれ作製した。いずれの半導体素子についても、性能に問題はなかった。
さらに、実施例1のインプリントパターン形成用組成物を使用して、SOC(スピンオンカーボン)層を有する基板上に上記と同様の手順で半導体素子を作製した。この半導体素子についても、性能に問題はなかった。

Claims (12)

  1. 前駆組成物をろ過してインプリントパターン形成用組成物を得るろ過工程を含み、
    前記ろ過工程において前駆組成物がフィルタを通過する速度が時速0.9cmを連続して10秒以上超えない、
    インプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  2. 前記ろ過工程におけるろ過圧力が0.20MPa以下である、請求項1に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  3. 前記ろ過工程において用いられるフィルタの孔径が50nm以下である、請求項1又は2に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  4. 前記フィルタはポリエチレン系樹脂、ナイロン系樹脂又はフッ素系樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  5. 前記インプリントパターン形成用組成物が溶剤を含まないか、又は、溶剤を含み、かつ、前記溶剤の含有量がインプリントパターン形成用組成物の全質量に対し、0質量%を超え5質量%未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  6. 前記インプリントパターン形成用組成物が溶剤を含み、前記溶剤の含有量がインプリントパターン形成用組成物の全質量に対して90~99.5質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  7. 前記インプリントパターン形成用組成物が重合性化合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  8. インプリントパターン形成用組成物の製造方法において、ろ過前の前駆組成物又はろ過後のインプリントパターン形成用組成物が供される最大速度が0.2cm/h以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法により得られたインプリントパターン形成用組成物を硬化する工程を含む、硬化物の製造方法。
  10. 支持体及びモールドよりなる群から選択される被適用部材に請求項1~8のいずれか1項に記載のインプリントパターン形成用組成物の製造方法により得られたインプリントパターン形成用組成物を適用する適用工程、
    前記支持体及び上記モールドよりなる群のうち上記被適用部材として選択されなかった部材を接触部材として上記インプリントパターン形成用組成物に接触させる接触工程、
    前記インプリントパターン形成用組成物を硬化物とする硬化工程、並びに、
    前記モールドと前記硬化物とを剥離する剥離工程を含む
    インプリントパターンの製造方法。
  11. 得られるインプリントパターンがサイズが100nm以下のライン、ホール、ピラーのいずれかの形状を含む、請求項10に記載のインプリントパターンの製造方法。
  12. 請求項10または11に記載のインプリントパターンの製造方法を含むデバイスの製造方法。
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