JP7469707B2 - 二相ステンレス鋼溶接継手 - Google Patents

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Description

この発明は、二相ステンレス鋼溶接継手に関し、特に、耐食性に優れた二相ステンレス鋼溶接継手に関する。
二相ステンレス鋼は、強度及び耐食性、特に、耐海水腐食性に優れているため、熱交換器用鋼管等として古くから広範囲の技術分野で使用されている。従来、耐食性、強度、加工性等を改善した二相ステンレス鋼についてはすでに多くの組成例が提案されている。
例えば、特許文献1には、1.5質量%を超え5質量%以下のWを含み、PREW[PREW=Cr+3.3(Mo+0.5W)+16N]が40以上である高強度二相ステンレス鋼が開示されている。この二相ステンレス鋼は、Wの多量添加により耐食性が飛躍的に向上し、しかも金属間化合物(シグマ相等)の析出による機械的性質の劣化や耐食性の劣化が小さいとされている。
特許文献2には、優れた耐孔食性及び溶接性を有する二相ステンレス鋼、特に溶接熱影響部においても微細なシグマ相等の金属間化合物が生成しない二相ステンレス鋼が開示されている。
耐孔食性の向上に関して、特許文献3には、N/Snが特定範囲にあるSnを含有させることにより、不働態皮膜を形成しやすくし、しかも、その安定性を高めて、局部腐食を大幅に抑制できることが開示されている。
高耐食高靱性二相ステンレス鋼溶接用溶接材料として、特許文献4には、CrとMoの含有量を制限し、Wを含有させ、耐孔食性指数PREWを42.0以上とし、かつフェライト容量指数Phを0.25~0.35とすることにより、熱間加工性、溶接金属部の靱性と耐孔食性に優れた溶接材料が開示されている。
特開平5-132741号公報 国際公開第2005/001151号 特開2013-253315号公報 特開平8-260101号公報
今日、各種溶接構造物が広く利用されるようになっている。温度の高い海水環境で使用される配管、熱交換器、ポンプ等の溶接構造物として二相ステンレス鋼を用いる場合、溶接部の耐食性、特に耐孔食性が問題となる。特許文献2には、鋼中のN及びMo量とアルミナ系粗大介在物の密度をコントロールすることにより、孔食の起点となる溶接熱影響部に生成する微細なシグマ相や窒化物を抑制することが示されている。
一方、海底油井用配管等、敷設後に万が一孔食等が生じると莫大な補修コストを要する施設においては、万全を期す意味で溶接部をはじめとする孔食の生じやすい部位に電位を付加して孔食の発生を抑える電気防食法(陰極防食)が用いられている。しかし、二相ステンレス鋼の溶接継手においては、陰極防食の際に発生する水素による割れ(HISC:Hydrogen Induced Stress Cracking)が生じるリスクがある。また、溶接構造物は靭性が良好であることも望まれている。しかし、上記先行文献では、耐HISC性についての言及がない。
本発明の課題は、靭性が良好で耐HISC性に優れた二相ステンレス鋼溶接継手を提供することである。
本発明の一実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手は、母材部と溶接部とを含む二相ステンレス鋼溶接継手であって、前記溶接部は、溶接金属部及び溶接熱影響部によって構成され、前記母材部の化学組成は、質量%で、C:0.040%以下、Si:0.90%以下、Mn:0.20~1.50%、P:0.040%以下、S:0.010%以下、Cr:21.00%以上31.00%未満、Ni:4.00~8.00%、Mo:0.50~4.00%、V:0.03~0.20%、Co:0.05~0.50%、N:0.100%を超え0.500%以下、Al:0.040%以下、B:0.0005~0.0040%、W:0~4.00%、Cu:0~4.00%、Sn:0~0.100%、REM:0~0.200%、Ca:0~0.0040%、Mg:0~0.0040%、Nb:0~0.100%、Ti:0~0.100%、Zr:0~0.100%、残部:Fe及び不純物であり、前記溶接金属部の化学組成は、Ni、V、Co、及びBを除き、前記母材部の化学組成の範囲と同じ範囲内であり、Ni、V、Co、及びBは、質量%で、Ni:5.00~10.50%、V:0~0.20%、Co:0~0.50%、及び、B:0~0.0040%、であり、前記溶接熱影響部は、フェライトとオーステナイトとの二相組織であって、フェライト相の体積率が70%以下であり、オーステナイト相間距離λが60μm以下である組織を有する。ここで、前記溶接熱影響部のオーステナイト相間距離λは、次のように測定する。溶接線と垂直な断面において、前記母材部の厚さ方向と垂直な方向を幅方向、前記母材部の厚さ方向を高さ方向とし、溶融線と隣接する幅方向84μm、高さ方向199.5μmの領域において、各々が前記幅方向と平行で長さ84μmの直線を10.5μm間隔で20本引き、前記20本の直線上においてフェライト相上にあってオーステナイト相との境界を結ぶ線分を抽出し、抽出した線分の長さの合計を線分の本数で除した値を幅方向の平均距離とし、各々が前記高さ方向と平行で長さ199.5μmの直線を10.5μm間隔で9本引き、前記9本の直線上においてフェライト相上にあってオーステナイト相との境界を結ぶ線分を抽出し、抽出した線分の長さの合計を線分の本数で除した値を高さ方向の平均距離とし、前記幅方向の平均距離と前記高さ方向の平均距離との平均の値をオーステナイト相間距離λとする。
本発明によれば、靭性が良好で耐HISC性に優れた二相ステンレス鋼溶接継手が得られる。
図1は、二相ステンレス鋼溶接継手の一例を模式的に示す断面図である。 図2Aは、組織観察用のマクロ試験片の採取方法を模式的に示す図である。 図2Bは、組織観察用のミクロ試験片の採取位置を模式的に示す断面図である。 図3Aは、オーステナイト相間距離λの測定方法を説明するための図である。 図3Bは、オーステナイト相間距離λの測定方法を説明するための図である。 図4は、シャルピー衝撃試験片の採取位置を模式的に示す断面図である。 図5Aは、供試鋼板の平面図である。 図5Bは、供試鋼板の正面図である。 図6Aは、腐食試験片の採取位置を模式的に示す断面図である。 図6Bは、腐食試験片の正面図である。 図6Cは、腐食試験片を図6BのC-C線で切断した断面図である。 図6Dは、腐食試験片のVノッチの拡大図である。
本発明者らは、陰極防食による割れについて検討し、下記の知見を得た。
陰極防食による割れは、電位の付加にともない発生した水素が鋼中に拡散し、フェライト相に拡散集積して生じる。この割れを防止するには、付加する電位を適正な範囲に制御して侵入する水素の量を抑えるとともに、二相ステンレス鋼の溶接部(溶接熱影響部及び溶接金属部)の金属組織を構成するフェライト相とオーステナイト相とを適正に配置させて、フェライト相に集積する水素の量を割れに至る量よりも低く抑える必要がある。
二相ステンレス鋼の母材は、製造時の熱処理によって、圧延方向に長く延ばされたオーステナイト相がフェライト相中に約1:1の割合で島状に存在する金属組織を有している。一方、平衡状態図では融点直下の高温域においてはフェライト単相が平衡相となっているため、溶融線(フュージョンライン。溶融部と未溶融母材との境界。ボンド、溶融境界ともいう。)近傍の溶接熱影響部(以下「HAZ」という場合がある。)のように融点近くに加熱される部分では、最高加熱温度に到達した際にはオーステナイト相が消失し、フェライト相が100%近くになる。溶接熱サイクルの冷却過程ではフェライト相の粒界からオーステナイト相が析出して二相組織にはなるが、相の構成比、形態ともに母材とは異なる組織となる。
陰極防食による割れに対する抵抗を高めるには、水素割れ感受性を有するフェライト相の体積率を低減することが第1の要件となる。しかし、相の分布形態が母材と大きく異なるHAZでは、フェライト相の体積率を低減するだけでは不十分である。
HAZでのHISCを抑制するためには、フェライト相の体積率を低減することに加えて、オーステナイト相間距離λを小さくする必要がある。陰極防食によって侵入した水素は各相の応力の高い部位に拡散集積し、特にフェライト相への集積が限界量を超えると割れが生じる。一方、フェライト/オーステナイト相間の水素の移動時間が十分短くなる組織では、侵入した水素がオーステナイト相側に流入して、フェライト相への集積が限界量以下に抑えられるため、割れは防止される。
フェライト/オーステナイト相間の水素の拡散流速Jは、オーステナイト相間距離λに対して、下記の式で表すことができる。
=DΔa/λ
ここで、Dは水素の拡散係数であり、Δaは二相間での水素の活量差である。
≧Jpcrを満たせば、フェライト相への水素の集積が限界以下に抑えられ、割れは防止される。オーステナイト相間距離λは相間距離の平均値で定義され、ミクロ組織における水素拡散の平均自由行程を意味し、これが小さいほど水素はオーステナイト相に吸収されやすくなる。なお、水素の拡散流速の閾値Jpcrは陰極防食の電位に依存する。
オーステナイト相間距離λを小さくするには、金属中を極めて速く動くことのできる(拡散速度の大きい)Nを利用することにより、溶接熱サイクルの冷却過程でオーステナイト相の生成を促進させることが有効である。Nの活用により粒界のオーステナイト相から粒内に枝を張るように(ウイドマンステッテン状に)十分に成長したオーステナイト相を形成させることができる。
オーステナイト相間距離λをより小さくするためには、さらに、適正量のVとCoを複合して含有させることが有効である。これにより、Cr-V-Coを主成分とする微細な化合物相がHAZの粒内に生じ、粒内から析出するオーステナイト相の核となって粒内オーステナイト相の析出を促進させることができる。
また、HAZの組織の形態は、溶接条件の影響を強く受ける。オーステナイト相間距離λを小さくするためには、溶接熱サイクルにおける1000~700℃の冷却時間Δtを所定の範囲内にする必要がある。
以上の知見に基づいて、本発明による二相ステンレス鋼溶接継手は完成された。以下、本発明の一実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手を詳述する。
[二相ステンレス鋼溶接継手]
図1は、本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手の一例である溶接継手10を模式的に示す断面図である。溶接継手10は、母材部11及び溶接部12を含んでいる。溶接部12は、溶接金属部121及び溶接熱影響部122から構成されている。溶接継手10は、鋼管を溶接したものであってもよいし、鋼板を溶接したものであってもよい。
ここで「母材部」とは、母材のうち溶接の影響を殆ど受けておらず、溶接前の母材とほぼ同じ組織を有している部分を意味する。「溶接熱影響部」とは、母材部と同じ化学組成を有するものの、溶接時に母材が融点未満の温度に加熱されたことにより、母材部とは異なる組織を有するに至った部分を意味する。「溶接金属部」とは、溶接時に母材及び/又は溶接材料(溶接ワイヤ等)が溶融・凝固して形成された部分を意味する。溶接金属部は、一般的には母材部とは異なる化学組成及び組織を有する。
[化学組成]
まず、本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手を構成する二相ステンレス鋼(以下、単に「二相ステンレス鋼」又は「鋼」と呼ぶ場合がある。)の化学組成について説明する。以下の説明において、各元素の含有量についての「%」は「質量%」を意味する。
C:0.040%以下(母材部及び溶接金属部)
炭素(C)は、オーステナイト相を安定化するのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.040%を超えると炭化物が析出しやすくなり、耐食性が劣化する。そのため、C含有量は0.040%以下とする。C含有量の上限は、好ましくは0.030%であり、さらに好ましくは0.025%である。上記の効果は、その含有量が不純物レベルでも発揮されるが、特に、0.005%以上とするのが好ましい。
Si:0.90%以下(母材部及び溶接金属部)
シリコン(Si)は、鋼の脱酸に有効であるが、その含有量が過剰な場合、金属間化合物(シグマ相等)の生成を促進する。そのため、Si含有量は0.90%以下とする。Si含有量の上限は、好ましくは0.80%であり、さらに好ましくは0.60%である。上記の効果は、その含有量が不純物レベルでも発揮されるが、特に、0.05%以上とするのが好ましい。
Mn:0.20~1.50%(母材部及び溶接金属部)
マンガン(Mn)は、二相ステンレス鋼の溶製時の脱硫及び脱酸効果によって熱間加工性を向上させる。また、Nの固溶度を大きくして溶接部での窒化物析出を抑制する。しかし、その含有量が過剰な場合、耐食性を劣化させる。そのため、Mn含有量は0.20~1.50%とする。Mn含有量の上限は、好ましくは0.70%である。Mn含有量の下限は、好ましくは0.30%であり、より好ましくは0.40%である。
P:0.040%以下(母材部及び溶接金属部)
リン(P)は、鋼中に不可避的に混入する不純物元素であり、その含有量が0.040%を超えると耐食性、靱性の劣化が著しくなる。そのため、P含有量は0.040%以下とする。P含有量は、好ましくは0.030%以下であり、さらに好ましくは0.025%以下である。
S:0.010%以下(母材部及び溶接金属部)
硫黄(S)も鋼中に不可避的に混入する不純物元素であり、鋼の熱間加工性を劣化させる。また、硫化物は孔食の発生起点となり耐孔食性を損なう。そのため、S含有量は0.010%以下とする。S含有量は、好ましくは0.005%以下であり、さらに好ましくは0.002%以下である。
Cr:21.00%以上31.00%未満(母材部及び溶接金属部)
クロム(Cr)は、耐食性を維持するために有効な基本成分である。Cr含有量が21.00%未満では、耐孔食性が不十分である。一方、Cr含有量が31.00%以上の場合、金属間化合物(シグマ相等)の析出が顕著になり、熱間加工性の低下及び溶接性の劣化を招く。そのため、Cr含有量は21.00%以上31.00%未満とする。Cr含有量の下限は、好ましくは23.00%であり、より好ましくは24.00%である。Cr含有量の上限は、好ましくは29.00%であり、より好ましくは28.00%である。
Ni:4.00~8.00%(母材部)
ニッケル(Ni)は、オーステナイト相を安定化するために必須の成分であるが、その含有量が8.00%を超えるとフェライト量の減少により二相ステンレス鋼の基本的な性質が確保しにくくなる。また多層溶接の際に、シグマ相の析出温度領域を複数回通過するため、HAZでのシグマ相等の析出が容易になる。一方、Niの含有量が4.00%より少ないとフェライト量が多くなり過ぎて同じく二相ステンレス鋼の特徴が失われる。また、フェライト中へのNの固溶度が小さいため窒化物が析出して耐食性が劣化する。そのため、母材部のNi含有量は、4.00~8.00%とする。母材部のNi含有量の下限は、好ましくは4.50%であり、より好ましくは4.80%である。母材部のNi含有量の上限は、好ましくは7.80%であり、より好ましくは7.50%であり、さらに好ましくは7.00%であり、さらに好ましくは6.00%であり、さらに好ましくは5.50%である。
Ni:5.00~10.50%(溶接金属部)
溶接金属部では、母材部のように熱間加工や熱処理によって相の分布形態を制御することができないため、Niの下限を母材部よりも高くして、オーステナイト相の体積率を確保すると同時にオーステナイト相間距離λ≦60μmも満たすようにする。一方、溶接金属部では凝固組織が熱間加工や熱処理を受けないため、Cr、Mo等のシグマ相析出を促進する元素がフェライト相中に分配(濃化)しない。そのため、母材部よりもNiを高くしてもシグマ相は析出しにくい。しかし、Ni含有量が10.50%を超えるとシグマ相等の析出が容易になり、二相ステンレス鋼の特徴が失われる。そのため、溶接金属部のNi含有量は5.00~10.50%とする。溶接金属部のNi含有量の下限は、好ましくは6.00%であり、より好ましくは7.00%であり、さらに好ましくは8.00%である。溶接金属部のNi含有量の上限は、好ましくは10.00%であり、さらに好ましくは9.50%である。
Mo:0.50~4.00%(母材部及び溶接金属部)
モリブデン(Mo)は、Crと同様に耐食性の向上に非常に有効な成分である。特に耐孔食性及び耐隙間腐食性を高めるためには、その含有量を0.50%以上とする必要がある。一方、Moを過剰に含有させると、製造中の素材の脆化の原因になり、Crと同様に金属間化合物の析出を容易にする作用が強い。そのため、Mo含有量は0.50~4.00%とする。Mo含有量の下限は、好ましくは0.80%であり、より好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは1.50%であり、さらに好ましくは2.00%である。Mo含有量の上限は、好ましくは3.50%であり、より好ましくは3.00%である。
V:0.03~0.20%(母材部)
バナジウム(V)は、Coとともに適正に含有させることにより、Cr-V-Coを主成分とする微細な化合物相をHAZ粒内に生じさせ、粒内から析出するオーステナイト相の核となり、粒内オーステナイト相の析出を促進する。その結果、HAZのオーステナイト相間距離λを小さくし、HAZにおけるフェライト相への水素集積の抑制に寄与する。しかし、この化合物相は成長すれば靭性に悪影響を与えるため、多量の含有は逆効果になる。そのため、母材部のV含有量は0.03~0.20%とする。母材部のV含有量の下限は、好ましくは0.04%である。母材部のV含有量の上限は、好ましくは0.15%であり、より好ましくは0.10%である。
V:0~0.20%(溶接金属部)
溶接金属部においては、Vは任意元素であり、含有されなくてもよい。溶接金属部においても、Vを含有させることで母材部の場合と同様の効果が得られる。一方、溶接金属部においては後述するように、母材よりもNi含有量の高い溶接材料を用いて溶接したり、Nを含有するシールドガスを用いて溶接したりすることによっても組織の制御が可能である。そのため溶接金属部ではVを含有することは必須ではなく、V含有量は0~0.20%とする。溶接金属部のV含有量の下限は、好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.04%である。溶接金属部のV含有量の上限は、好ましくは0.15%であり、より好ましくは0.10%である。
Co:0.05~0.50%(母材部)
コバルト(Co)は、Vとともに適正に含有させることにより、上記の通りCr-V-Coを主成分とする微細な化合物相をHAZ粒内に生じさせ、粒内から析出するオーステナイト相の核となり、粒内オーステナイト相の析出を促進する。その結果、HAZのオーステナイト相間距離λを小さくし、HAZにおけるフェライト相への水素集積の抑制に寄与する。しかし、Co含有量が多すぎると鋼の靱性が低下する。そのため、母材部のCo含有量は0.05~0.50%とする。母材部のCo含有量の下限は、好ましくは0.10%であり、より好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。母材部のCo含有量の上限は、好ましくは0.40%であり、より好ましくは0.35%であり、さらに好ましくは0.30%である。
Co:0~0.50%(溶接金属部)
溶接金属部においては、Coは任意元素であり、含有されなくてもよい。溶接金属部においても、Coを含有させることで母材部の場合と同様の効果が得られる。一方、溶接金属部においては後述するように、母材よりもNi含有量の高い溶接材料を用いて溶接したり、Nを含有するシールドガスを用いて溶接したりすることによっても組織の制御が可能である。そのため溶接金属部ではCoを含有することは必須ではなく、Co含有量は0~0.50%とする。溶接金属部のCo含有量の下限は、好ましくは0.05%であり、より好ましくは0.10%であり、さらに好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。溶接金属部のCo含有量の上限は、好ましくは0.40%であり、より好ましくは0.35%であり、さらに好ましくは0.30%である。
N:0.100%を超え0.500%以下(母材部及び溶接金属部)
窒素(N)は、強力なオーステナイト生成元素であり、二相ステンレス鋼の熱的安定性及び耐食性の向上に有効である。フェライト生成元素であるCr及びMoを多量に含有させる本実施形態の鋼においては、フェライトとオーステナイトとの二相のバランスを適正なものにするために、0.100%を超えるNを含有させる必要がある。さらにNは、耐孔食性指数PREWの向上に寄与してCr及びMoと同様に鋼の耐食性を向上させる。しかし、本実施形態の鋼では0.500%を超えるNを含有させると、ブローホールの発生による欠陥、あるいは溶接の際の熱影響による窒化物生成等により鋼の靱性、耐食性を劣化させる。そのため、N含有量は0.100%を超え0.500%以下とする。N含有量の下限は、好ましくは0.150%であり、さらに好ましくは0.200%である。N含有量の上限は、好ましくは0.450%であり、より好ましくは0.400%であり、さらに好ましくは0.350%である。
Al:0.040%以下(母材部及び溶接金属部)
アルミニウム(Al)は、鋼の脱酸剤として有効であるが、鋼中のN量が高い場合にはAlN(窒化アルミニウム)として析出し、靱性及び耐食性を劣化させる。さらには、酸化物を形成し、シグマ相の核生成サイトとなる。そのため、Alは0.040%以下とする。本実施形態では、Siの多量の含有は避けているので、脱酸剤としてAlを用いる場合が多いが、真空溶解を行う場合には必ずしもAlを含有させなくてもよい。Al含有量の上限は、好ましくは0.030%であり、より好ましくは0.020%である。なお、Al含有量は少ない方が好ましいが、あまりに低減することは製造コストを上昇させる。Al含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、より好ましくは0.005%である。なお、本明細書にいうAl含有量は、「酸可溶Al」、つまり、sol.Alの含有量を意味する。
B:0.0005~0.0040%(母材部)
ホウ素(B)は、鋼の熱間加工性を高める。例えば、傾斜圧延法により継目無鋼管を製造する場合、高い熱間加工性が要求される。一方、Bが0.0040%を超えて含有されれば、鋼中の酸化物、硫化物及び金属間化合物が増加する。酸化物、硫化物及び金属間化合物は孔食の起点となるため、鋼の耐食性が低下する。そのため、母材部のB含有量は0.0005~0.0040%とする。母材部のB含有量の下限は、好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%である。母材部のB含有量の上限は、好ましくは0.0030%であり、より好ましくは0.0025%である。
B:0~0.0040%(溶接金属部)
溶接金属部においては、Bは任意元素であり、含有されなくてもよい。溶接材料には母材部ほどの高度な熱間加工性は要求されないためである。そのため溶接金属部ではBを含有することは必須ではなく、B含有量は0~0.0040%とする。溶接金属部のB含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、より好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%である。溶接金属部のB含有量の上限は、好ましくは0.0030%であり、より好ましくは0.0025%である。
W:0~4.00%(母材部及び溶接金属部)
タングステン(W)は任意元素であり、含有されなくてもよい。WはMoと同様、耐食性、特に孔食及び隙間腐食への抵抗性を向上させる元素であり、安定な酸化物を形成して、pHの低い環境で耐食性を向上させるのに有効な元素である。Wが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。しかし、Wの含有量が4.00%を超えると、それに見合うだけの効果の増大はなく、徒にコストが嵩むだけである。そのため、W含有量は0~4.00%とする。W含有量の下限は、好ましくは0.50%であり、より好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは1.50%である。W含有量の上限は、好ましくは3.50%であり、より好ましくは3.00%であり、さらに好ましくは2.50%である。
Cu:0~4.00%(母材部及び溶接金属部)
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。Cuは、還元性の低pH環境、例えば、HSO又は硫化水素環境での耐酸性の向上に特に有効な元素である。Cuが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。しかし、Cuは過剰に含有させると、熱間加工性を劣化させる。そのため、Cu含有量を0~4.00%とする。Cu含有量の下限は、好ましくは0.20%であり、より好ましくは0.50%であり、さらに好ましくは1.00%であり、さらに好ましくは1.20%である。Cu含有量の上限は、好ましくは3.00%であり、より好ましくは2.50%であり、さらに好ましくは2.00%である。
Sn:0~0.100%(母材部及び溶接金属部)
スズ(Sn)は任意元素であり、含有されなくてもよい。Snは、耐食性を向上させる効果がある。Snが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。しかし、過剰に含有すると熱間加工性が低下する。そのため、Sn含有量は0~0.100%である。Sn含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、より好ましくは0.002%である。Sn含有量の上限は、好ましくは0.050%であり、さらに好ましくは0.020%である。
REM:0~0.200%(母材部及び溶接金属部)
希土類金属(REM)は任意元素であり、含有されなくてもよい。REMは、熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。REMが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。しかし、含有量が過剰な場合には、酸化物、硫化物等の非金属介在物が増加し、シグマ相の析出核生成サイトとなったり、孔食の起点となったりして、耐食性の劣化を招く。そのため、REM含有量は0~0.200%である。REM含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、より好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.020%である。REM含有量の上限は、好ましくは0.100%であり、より好ましくは0.080%である。なお、REMは、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は上記元素の合計量を意味する。
Ca:0~0.0040%(母材部及び溶接金属部)
カルシウム(Ca)は任意元素であり、含有されなくてもよい。CaはBと同様に、鋼の熱間加工性を高める。Caが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、Ca含有量が高すぎると、鋼中の酸化物、硫化物等の非金属介在物が増加する。これらの非金属介在物は、孔食の起点となって鋼の耐食性を低下させる。そのため、Ca含有量は0~0.0040%である。Ca含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、より好ましくは0.0010%である。Ca含有量の上限は、好ましくは0.0035%であり、より好ましくは0.0030%である。
Mg:0~0.0040%(母材部及び溶接金属部)
マグネシウム(Mg)は任意元素であり、含有されなくてもよい。MgはBと同様に、鋼の熱間加工性を高める。Mgが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、Mg含有量が高すぎると、鋼中の酸化物、硫化物等の非金属介在物が増加する。これらの非金属介在物は、孔食の起点となって鋼の耐食性を低下させる。そのため、Mg含有量は0~0.0040%である。Mg含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、より好ましくは0.0010%である。Mg含有量の上限は、好ましくは0.0035%であり、より好ましくは0.0030%である。
Nb:0~0.100%(母材部及び溶接金属部)
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。Nbは炭窒化物を形成し、鋼の強度を高める。Nbが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、Nb含有量が高すぎると、鋼の靭性が低下する。そのため、Nb含有量は0~0.100%である。Nb含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、より好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Nb含有量の上限は、好ましくは0.090%であり、より好ましくは0.080%である。
Ti:0~0.100%(母材部及び溶接金属部)
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。Tiは炭窒化物を形成し、鋼の強度を高める。Tiが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、Ti含有量が高すぎると、鋼の靭性が低下する。そのため、Ti含有量は0~0.100%である。Ti含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、より好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Ti含有量の上限は、好ましくは0.090%であり、より好ましくは0.080%である。
Zr:0~0.100%(母材部及び溶接金属部)
ジルコニウム(Zr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。Zrは炭窒化物を形成し、鋼の強度を高める。Zrが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、Zr含有量が高すぎると、鋼の靭性が低下する。そのため、Zr含有量は0~0.100%である。Zr含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、より好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Zr含有量の上限は、好ましくは0.090%であり、より好ましくは0.080%である。
二相ステンレス鋼(母材部及び溶接金属部)の化学組成の残部は、Fe及び不純物である。ここで、不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、原料として利用される鉱石やスクラップから混入する元素、又は製造過程の環境等から混入する元素を意味する。
[組織]
本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手は、溶接熱影響部の組織が、フェライトとオーステナイトとの二相組織からなり、フェライト相の体積率が70%以下である。溶接熱影響部の組織はさらに、オーステナイト相間距離λが60μm以下である。
二相ステンレス鋼溶接継手の溶接熱影響部の組織のフェライト相の体積率及びオーステナイト相間距離λは、次のように測定する。
図2Aに示すように、溶接継手10を溶接線と垂直に切断し、溶接線と垂直な断面を観察面とするマクロ試験片S1を10個採取する。10個のマクロ試験片S1の各々から、図2Bに示すように、ミクロ試験片S2を2個採取する。すなわち、一つの溶接継手10から20個のミクロ試験片S2を採取する。ミクロ試験片S2は、溶接金属部121の両側において、各々のミクロ試験片S2の中心が母材部11の厚さTの1/2となる位置で、溶融線FLを含むように採取する。
20個のミクロ試験片S2をすべて用いて、フェライト相の体積率測定を実施する。観察面(溶接線と垂直な断面)を鏡面研磨した後、10質量%シュウ酸溶液中で電解エッチングする。エッチングした面を400倍の光学顕微鏡で観察し、溶融線FLと隣接する幅方向(母材部11の厚さ方向と垂直な方向、以下同じ。)84μm、高さ方向(母材部11の厚さ方向、以下同じ。)199.5μmの領域を対象として、フェライト相の面積率をASTM E562:2019に準拠したポイントカウント法で求める。20個のミクロ試験片S2で得られたフェライト相の面積率の平均値を、二相ステンレス鋼溶接継手の溶接熱影響部の組織のフェライト相の体積率とする。
20個のミクロ試験片S2をすべて用いて、オーステナイト相間距離λを測定する。各ミクロ試験片S2について、観察面(溶接線と垂直な断面)を鏡面研磨した後、溶融線FLと隣接する幅方向84μm、高さ方向199.5μmの領域を対象として、倍率500倍で電子線後方散乱回折(EBSD)解析し、フェライト相(α)及びオーステナイト相(γ)の分布図を得る。
図3Aに示すように、分布図上に、各々が幅方向と平行で長さ84μmの直線Lxを10.5μm間隔で20本引く。この直線上において、フェライト相(α)上にあってオーステナイト相(γ)との境界を結ぶ線分Lx、Lx、・・・、Lxnx(nxは線分の本数、図3Aの例ではnx=15。)を抽出する。抽出した線分Lx、Lx、・・・、Lxnxの長さの合計を線分の本数nxで除した値を幅方向の平均距離とする。
図3Bに示すように、分布図上に、各々が高さ方向と平行で長さ199.5μmの直線Lyを10.5μm間隔で9本引く。この直線上において、フェライト相(α)上にあってオーステナイト相(γ)との境界を結ぶ線分Ly、Ly、・・・、Lyny(nyは線分の本数、図3Bの例ではny=15。)を抽出する。抽出した線分Ly、Ly、・・・、Lynyの長さの合計を線分の本数nyで除した値を高さ方向の平均距離とする。
幅方向の平均距離と高さ方向の平均距離との平均の値を、当該ミクロ試験片S2におけるオーステナイト相間距離λとし、20個のミクロ試験片S2のオーステナイト相間距離λの平均の値を、溶接継手10のオーステナイト相間距離λとする。
溶接熱影響部の組織のフェライト相の体積率が70%以下であり、かつ、オーステナイト相間距離λが60μm以下であれば、良好な靱性と耐HISC性が得られる。溶接熱影響部の組織のフェライト相の体積率の上限は、好ましくは65%であり、より好ましくは60%である。溶接熱影響部の組織のフェライト相の体積率の下限は、特に限定されないが、例えば30%である。
溶接金属部の組織は、溶接熱影響部と同等以上の耐HISC性を備えた組織であることが好ましい。すなわち、溶接金属部の組織は、フェライト相の体積率が70%以下であり、かつ、オーステナイト相間距離λが60μm以下であることが好ましい。なお、溶接金属部の組織のフェライト相の体積率及びオーステナイト相間距離λは、溶接金属部の中央付近からサンプルを採取し、溶接熱影響部の組織を測定した方法に準じて測定することができる。
母材部の組織のフェライト相の体積率は、これに限定されないが、例えば30~70%である。なお、母材部の組織のフェライト相の体積率及びオーステナイト相間距離λは、母材部の中央付近からサンプルを採取し、溶接熱影響部の組織を測定した方法に準じて測定することができる。
[機械的特性]
本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手は、好ましくは、母材部の降伏強度が450MPa以上である。母材部の降伏強度は、より好ましくは500MPa以上であり、さらに好ましくは550MPa以上であり、さらに好ましくは600MPa以上である。なお、母材部の降伏強度の上限は特に限定されないが、例えば、690MPaである。
本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手は、好ましくは、溶接熱影響部が、-30℃でのシャルピー衝撃試験での吸収エネルギーが30J以上である。ここで、シャルピー衝撃試験は、JIS Z2242:2018に準拠して行う。
シャルピー衝撃試験片は、幅10mm、厚さ10mm、長さ55mm、ノッチ深さ2mmのフルサイズのVノッチ試験片を用いる。図4に示すように、シャルピー衝撃試験片S3は、ノッチNの中心が母材部11の厚さTの1/2となる位置で溶融線FLと接するように採取する。なお、フルサイズの試験片を採取できない場合、サブサイズの試験片を用いて試験を行い、変換を行って吸収エネルギーを求める。変換は、API Specification 5CRAのTable A.5に従う。
[製造方法]
以下、本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手の製造方法を説明する。以下に説明する製造方法は例示であり、本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手の製造方法を限定するものではない。
[母材の製造方法]
まず、上述した母材部の化学組成を有する二相ステンレス鋼を溶製する。二相ステンレス鋼は、電気炉によって溶製してもよいし、Ar-O混合ガス底吹き脱炭炉(AOD炉)によって溶製してもよい。二相ステンレス鋼はまた、真空脱炭炉(VOD炉)によって溶製してもよい。溶製した二相ステンレス鋼は、造塊法によってインゴットにしてもよいし、連続鋳造法によってスラブ、ブルーム、又はビレットにしてもよい。
製造されたインゴット、スラブ、ブルーム、又はビレットを用いて二相ステンレス鋼材を製造する。二相ステンレス鋼材は例えば、二相ステンレス鋼板や二相ステンレス鋼管である。
二相ステンレス鋼板は例えば、インゴット又はスラブを熱間加工して製造することができる。熱間加工は例えば熱間鍛造や熱間圧延である。
二相ステンレス鋼管は、継目無鋼管であってもよいし、溶接鋼管であってもよい。継目無鋼管は例えば、インゴット、スラブ、若しくはブルームを熱間加工して製造したビレット、又は連続鋳造法によって製造したビレットを熱間加工して製造することができる。ビレットの熱間加工は、例えばマンネスマン法による穿孔圧延や、熱間押出、熱間鍛造や熱間圧延である。溶接鋼管は例えば、上述した二相ステンレス鋼板に曲げ加工を実施してオープンパイプにした後、オープンパイプの長手方向の両端面をサブマージアーク溶接法等の周知の溶接法によって溶接して製造することができる。
本実施形態による熱間加工工程では、加工時間は好ましくは15分以下である。加工時間(分)とは、素材が加熱炉から抽出されてから、最終の熱間加工が終了するまでの時間を意味する。加工時間が長すぎれば、フェライトが粗大となり、靭性の低下が懸念される。したがって、本実施形態では、加工時間を15分以下とするのが好ましい。より好ましい加工時間の上限は14分であり、さらに好ましくは13分である。加工時間の下限は特に限定されないが、例えば、5分である。
製造された二相ステンレス鋼材に対して、固溶化熱処理を実施する。具体的には、二相ステンレス鋼材を熱処理炉に装入し、所定の固溶化熱処理温度で熱処理する。固溶化熱処理温度は、これに限定されないが、例えば900~1200℃である。一般的に、固溶化熱処理温度が高い程、フェライト相の体積率が高くなる。固溶化熱処理温度で熱処理した後、二相ステンレス鋼材を水冷等により急冷する。
[溶接継手の製造方法]
母材を溶接して溶接継手を製造する。溶接継手は鋼管から作製してもよいし、鋼板から作製してもよい。
溶接材料は、溶接金属部の化学組成が上述した範囲になるものを使用する。溶接材料は、好ましくは母材よりもNi含有量が1.0~4.0質量%高いもの、より好ましくは2.0~4.0質量%高いものを用いる。また、必要に応じて、シールドガスに2.0~5.0体積%のNを含有させたものを用いてもよい。Ni含有量の高い溶接材料、及び/又はNを含有させたシールドガスを用いることによって、溶接金属部の耐HISC性を確保しやすくできる。
溶接熱影響部の組織の制御には、化学組成の制限に加えて、溶接条件の管理が重要である。具体的には、溶接熱影響部のオーステナイト相間距離λを60μm以下にするためには、溶接熱サイクルにおける1000~700℃の冷却時間Δtを8~50秒とする必要がある。時間Δtの制御は、溶接継手の形状、寸法(主に厚さ)に応じた溶接入熱の管理により実現可能である。時間Δtが短すぎると、粒内からオーステナイト相の核生成が不十分となる。時間Δtが長すぎると、シグマ相が析出して靱性低下を招く。
以上、本発明の一実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手を説明した。本実施形態によれば、靭性が良好で、陰極防食時のHISCを抑制できる二相ステンレス鋼溶接継手が得られる。本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手は、ラインパイプ用鋼管の溶接継手として特に好適である。本実施形態による二相ステンレス鋼溶接継手はまた、ラインパイプ用の継目無鋼管の溶接継手として特に好適である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
表1に示す化学組成を有する母材用二相ステンレス鋼と、表2に示す化学組成を有する溶接材料用二相ステンレス鋼とを実験室規模の電気炉にて溶解した。
Figure 0007469707000001
Figure 0007469707000002
母材用二相ステンレス鋼については、鋳造後、1200℃に加熱し、鍛造により厚さ40mmの板材とした。得られた板材を、1250℃に加熱し、圧延により厚さ15mmの鋼板とした。熱間圧延の加工時間を後掲の表3に示す。
製造された鋼板に対して固溶化熱処理を実施した。具体的には、鋼板を後掲の表3に示す固溶化熱処理温度で30分間加熱した後、水冷して供試鋼板とした。
この供試鋼板を機械加工して、図5A及び図5Bに示す試験材20を作製した。図5Aは試験材20の平面図、図5Bは正面図である。試験材20は、厚さ13mm、幅100mm、長さ200mmであり、長辺の端部にベベル角度30°(開先角度60°)のV開先を有していた。
溶接材料用二相ステンレス鋼については、鍛造後、1200℃に加熱し、鍛造により外径30mmの棒材とした。得られた棒材に対し、1250℃で熱間圧延を行い、さらに冷間圧延を行って外径1.6mmの溶接用線材とした。
同じ鋼記号かつ同じ固溶化熱処理を行った試験材同士を突き合わせて、片側からTIG溶接にて、溶接用線材を用いて多層溶接して溶接継手を作製した。シールドガスには純Arを用いた。溶接入熱は、試験番号10では6kJ/cm、その他は15kJ/cmとした。
[母材部の引張試験]
各試験番号の溶接継手の母材部(供試鋼板)から丸棒引張試験片を採取した。丸棒引張試験片の平行部の直径は4mmであり、長さは20mmであった。丸棒引張試験片の長手方向は、供試鋼板の圧延方向に対して垂直であった。丸棒引張試験片を用いて、常温(25℃)で引張試験を実施し、降伏強度を測定した。0.2%耐力を降伏強度と定義した。
[組織の評価]
実施形態で説明した方法に準じて、母材部(供試鋼板)のフェライト相の体積率、溶接熱影響部のフェライト相の体積率、及び、溶接熱影響部のオーステナイト相間距離λを測定した。
[溶接熱影響部のHISC試験]
得られた各溶接継手から、長手方向が溶接線に直交するように平行部7.5mm×5.625mm(断面四角形)、平行部長さ25.4mm、ノッチ深さ1.5mmのVノッチ付き腐食試験片S4を採取した。図6Aにこの腐食試験片S4の採取位置を、図6Bにこの腐食試験片S4の正面図を、図6Cにこの腐食試験片S4を図6BのC-C線で切断した断面図を、図6DにVノッチの拡大図をそれぞれ示す。図6Aに示すように、Vノッチの先端が溶融線FL上になるように腐食試験片S4を採取した。この腐食試験片S4を用いて、以下に示す方法にて陰極防食試験を実施した。
腐食試験片S4に、80℃で、30日間、-1.1V(vs.SCE)の試験電位を付加した後、温度を4℃に下げ、長手方向に引張応力を14日間負荷した。試験完了後、腐食試験片S4のノッチ部の割れの有無を評価した。なお、引張応力は、供試材の0.2%耐力の98%の応力を負荷した。また、試験液は3.5質量%NaCl水溶液を用いた。破断しなかったものを「P」、破断したものを「F」と評価した。
[溶接熱影響部靱性試験]
実施形態で説明した方法に準じて、幅10mm、厚さ10mm、長さ55mm、ノッチ深さ2mmのフルサイズのVノッチ試験片を採取して-30℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーを求めた。吸収エネルギーが30J以上の場合、靱性が良好であると評価した。
結果を表3に示す。
Figure 0007469707000003
試験番号1~9、及び11~20の溶接継手は、HISCが発生せず、靱性も良好であった。
試験番号10の溶接継手は、HISCが発生した。これは、溶接熱サイクルにおける1000~700℃の冷却時間Δtが短すぎ、溶接熱影響部におけるオーステナイト相の生成が不十分であったためと考えられる。
試験番号21~24(鋼記号T、U、V、及びW)の溶接継手は、HISCが発生した。これは、母材のNi含有量が低すぎたためと考えられる。
試験番号25及び27(鋼記号X及びZ)の溶接継手は、靱性が低かった。これは、母材のV含有量が高すぎたためと考えられる。
試験番号26及び28(鋼記号Y及びAA)の溶接継手は、HISCが発生した。これは、溶接熱影響部の組織のオーステナイト相間距離λが大きかったためと考えられる。オーステナイト相間距離λが大きかったのは、母材のV含有量が低すぎたためと考えられる。
試験番号29及び31(鋼記号AB及びAD)の溶接継手は、靱性が低かった。これは、母材のCo含有量が高すぎたためと考えられる。
試験番号30及び32(鋼記号AC及びAE)の溶接継手は、HISCが発生した。これは、溶接熱影響部の組織のオーステナイト相間距離λが大きかったためと考えられる。オーステナイト相間距離λが大きかったのは、母材のCo含有量が低すぎたためと考えられる。
試験番号33(鋼記号AF)の溶接継手は、靱性が低かった。これは、母材のNi含有量が高すぎ、シグマ相が析出したためと考えられる。試験番号33のように、Ni含有量を高くすることでもオーステナイト相間距離λを小さくすることはできるが、シグマ相の析出抑制と両立することが困難である。
試験番号34及び35の溶接継手は、HISCが発生した。これは、熱間加工の時間が長すぎ、母材のフェライト相の体積率が高くなり、結果として溶接熱影響部のフェライト相の体積率も高くなったためと考えられる。また、結晶粒の粗大化によって靱性も低下したと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
10 溶接継手
11 母材部
12 溶接部
121 溶接金属部
122 溶接熱影響部
20 試験材
S1 マクロ試験片
S2 ミクロ試験片
S3 シャルピー衝撃試験片
S4 腐食試験片
FL 溶融線
T 厚さ
N ノッチ
Lx 直線
Lx、Lx、・・・、Lx15 線分
Ly 直線
Ly、Ly、・・・、Ly15 線分

Claims (4)

  1. 母材部と溶接部とを含む二相ステンレス鋼溶接継手であって、
    前記溶接部は、溶接金属部及び溶接熱影響部によって構成され、
    前記母材部の化学組成は、質量%で、
    C :0.040%以下、
    Si:0.90%以下、
    Mn:0.20~1.50%、
    P :0.040%以下、
    S :0.010%以下、
    Cr:21.00%以上31.00%未満、
    Ni:4.00~8.00%、
    Mo:0.50~4.00%、
    V :0.03~0.20%、
    Co:0.05~0.50%、
    N :0.100%を超え0.500%以下、
    Al:0.040%以下、
    B :0.0005~0.0040%、
    W :0~4.00%、
    Cu:0~4.00%、
    Sn:0~0.100%、
    REM:0~0.200%、
    Ca:0~0.0040%、
    Mg:0~0.0040%、
    Nb:0~0.100%、
    Ti:0~0.100%、
    Zr:0~0.100%、
    残部:Fe及び不純物であり、
    前記溶接金属部の化学組成は、Ni、V、Co、及びBを除き、前記母材部の化学組成の範囲と同じ範囲内であり、Ni、V、Co、及びBは、質量%で、
    Ni:5.00~10.50%、
    V :0~0.20%、
    Co:0~0.50%、及び、
    B :0~0.0040%、であり、
    前記溶接熱影響部は、フェライトとオーステナイトとの二相組織であって、フェライト相の体積率が70%以下であり、オーステナイト相間距離λが60μm以下である組織を有する、二相ステンレス鋼溶接継手。
    ここで、前記溶接熱影響部のオーステナイト相間距離λは、次のように測定する。
    溶接線と垂直な断面において、前記母材部の厚さ方向と垂直な方向を幅方向、前記母材部の厚さ方向を高さ方向とし、溶融線と隣接する幅方向84μm、高さ方向199.5μmの領域において、
    各々が前記幅方向と平行で長さ84μmの直線を10.5μm間隔で20本引き、前記20本の直線上においてフェライト相上にあってオーステナイト相との境界を結ぶ線分を抽出し、抽出した線分の長さの合計を線分の本数で除した値を幅方向の平均距離とし、
    各々が前記高さ方向と平行で長さ199.5μmの直線を10.5μm間隔で9本引き、前記9本の直線上においてフェライト相上にあってオーステナイト相との境界を結ぶ線分を抽出し、抽出した線分の長さの合計を線分の本数で除した値を高さ方向の平均距離とし、
    前記幅方向の平均距離と前記高さ方向の平均距離との平均の値をオーステナイト相間距離λとする。
  2. 請求項1に記載の二相ステンレス鋼溶接継手であって、
    前記母材部及び前記溶接金属部の少なくとも一方の化学組成は、質量%で、
    W :0.50~4.00%、
    Cu:0.20~4.00%、及び、
    Sn:0.001~0.100%、
    からなる群から選択される1種以上の元素を含有する、二相ステンレス鋼溶接継手。
  3. 請求項1又は2に記載の二相ステンレス鋼溶接継手であって、
    前記母材部及び前記溶接金属部の少なくとも一方の化学組成は、質量%で、
    REM:0.001~0.200%、
    Ca:0.0005~0.0040%、及び、
    Mg:0.0005~0.0040%、
    からなる群から選択される1種以上の元素を含有する、二相ステンレス鋼溶接継手。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の二相ステンレス鋼溶接継手であって、
    前記母材部及び前記溶接金属部の少なくとも一方の化学組成は、質量%で、
    Nb:0.001~0.100%、
    Ti:0.001~0.100%、及び、
    Zr:0.001~0.100%、
    からなる群から選択される1種以上の元素を含有する、二相ステンレス鋼溶接継手。
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