JP2024000691A - メタル系フラックス入りワイヤ - Google Patents

メタル系フラックス入りワイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2024000691A
JP2024000691A JP2022099539A JP2022099539A JP2024000691A JP 2024000691 A JP2024000691 A JP 2024000691A JP 2022099539 A JP2022099539 A JP 2022099539A JP 2022099539 A JP2022099539 A JP 2022099539A JP 2024000691 A JP2024000691 A JP 2024000691A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
less
wire
content
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022099539A
Other languages
English (en)
Inventor
真弓 阿部
Mayumi Abe
正道 鈴木
Masamichi Suzuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2022099539A priority Critical patent/JP2024000691A/ja
Priority to PCT/JP2023/018501 priority patent/WO2023248656A1/ja
Publication of JP2024000691A publication Critical patent/JP2024000691A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K35/00Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
    • B23K35/22Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
    • B23K35/24Selection of soldering or welding materials proper
    • B23K35/30Selection of soldering or welding materials proper with the principal constituent melting at less than 1550 degrees C
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K35/00Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
    • B23K35/22Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
    • B23K35/36Selection of non-metallic compositions, e.g. coatings, fluxes; Selection of soldering or welding materials, conjoint with selection of non-metallic compositions, both selections being of interest
    • B23K35/368Selection of non-metallic compositions of core materials either alone or conjoint with selection of soldering or welding materials

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Abstract

【課題】ステンレス鋼のアーク溶接においてブローホールの発生を低減することができるメタル系フラックス入りワイヤを提供する。【解決手段】メタル系フラックス入りワイヤは、ワイヤ全質量に対して、Fe:50質量%以上65質量%以下、Cr:22.0質量%以上29.0質量%以下、Ni:7.5質量%以上11.0質量%以下、Mo:1.5質量%以上6.0質量%以下、N:0.20質量%以上0.40質量%以下、及び、Mg及びAlから選択された少なくとも一方を含有し、Mn:4.0質量%以下(0質量%を含む)、Si:2.0質量%以下(0質量%を含む)、Ti:1.0質量%以下(0質量%を含む)、F:1.0質量%以下(0質量%を含む)であり、ワイヤ全質量に対するMg含有量を質量%で[Mg]、ワイヤ全質量に対するAl含有量を質量%で[Al]と表す場合に、[Mg]×5+[Al]:0.50以上5.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、メタル系フラックス入りワイヤに関する。
一般に、化学プラント機器、石油または天然ガスの掘削用油井管、海水淡水化装置などの様々な分野において、オーステナイト系とフェライト系の金属組織によって形成される二相系ステンレス鋼が多用されている。このため、二相系ステンレス鋼の溶接に使用されるフラックス入りワイヤについての要求が高まっている。
例えば、特許文献1には、Cr、Ni、Mo、N、Mn及びSiの含有量を規定するとともに、Ti合金のTi換算値と、Al合金のAl換算値との関係を適切に制御した二相系ステンレス鋼用のフラックス入りワイヤが提案されている。また、特許文献1には、上記フラックス入りワイヤを使用してアーク溶接することにより、溶接部の低温靱性および耐孔食性を向上させることが記載されている。
特開2017-148821号公報
ところで、ステンレス鋼用のメタル系フラックス入りワイヤを用いてアーク溶接を行うとブローホールが発生しやすい。このため、ステンレス鋼用のメタル系フラックス入りワイヤでは、溶接時におけるブローホールの発生を抑制することが求められている。
しかしながら、上記特許文献1には、TiO等のスラグ成分を5%以上含有するスラグ系のフラックス入りワイヤについて詳しく検討されているが、メタル系のフラックス入りワイヤについては検討されていない。また、特許文献1のワイヤから単にスラグ成分を低減するとブローホールが発生してしまう問題があった。したがって、ステンレス鋼のアーク溶接において、ブローホールの発生を抑制可能なメタル系フラックス入りワイヤが求められている。
本発明は、上述した状況に鑑みてなされたものであり、ステンレス鋼のアーク溶接においてブローホールの発生を低減することができるメタル系フラックス入りワイヤ及びブローホールを低減した溶接金属を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、二相系ステンレス鋼のアーク溶接において、メタル系フラックス入りワイヤ中のMg含有量とAl含有量との関係を適切に制御することにより、ブローホールの発生を低減することができることを見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
本発明の上記目的は、メタル系フラックス入りワイヤに係る下記[1]の構成により達成される。
[1] ワイヤ全質量に対して、
Fe:50質量%以上65質量%以下、
Cr:22.0質量%以上29.0質量%以下、
Ni:7.5質量%以上11.0質量%以下、
Mo:1.5質量%以上6.0質量%以下、
N:0.20質量%以上0.40質量%以下、及び、
Mg及びAlから選択された少なくとも一方を含有し、
Mn:4.0質量%以下(0質量%を含む)、
Si:2.0質量%以下(0質量%を含む)、
Ti:1.0質量%以下(0質量%を含む)、
F:1.0質量%以下(0質量%を含む)であり、
ワイヤ全質量に対するMg含有量を質量%で[Mg]、ワイヤ全質量に対するAl含有量を質量%で[Al]と表す場合に、
[Mg]×5+[Al]:0.50以上5.0以下であることを特徴とする、メタル系フラックス入りワイヤ。
また、メタル系フラックス入りワイヤに係る本発明の好ましい実施形態は、以下の[2]~[6]に関する。
[2] ワイヤ全質量に対して、
Mg:0質量%超0.70質量%以下を含有することを特徴とする、[1]に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
[3] ワイヤ全質量に対して、
Al:0.10質量%以上0.60質量%以下、及び、
Mg:0.10質量%以上0.70質量%以下を含有し、
[Al]+[Mg]:0.30以上1.20以下であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
[4] さらに、Na、C、Nb及びCuから選択された少なくとも1種を、
ワイヤ全質量に対して、
Na:0.5質量%以下、
C:2.0質量%以下、
Nb:1.0質量%以下、
Cu:5.0質量%以下の範囲で含有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1つに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
[5] さらに、ワイヤ全質量に対して、
O:2.0質量%以下を含有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1つに記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
[6] さらに、ワイヤ全質量に対して、
O:2.0質量%以下を含有することを特徴とする、[4]に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
また、本発明の上記目的は、溶接金属に係る下記[7]の構成により達成される。
[7] [1]~[6]のいずれか1つに記載のメタル系フラックス入りワイヤを用いたガスシールドアーク溶接により製造されることを特徴とする、溶接金属。
本発明によれば、ステンレス鋼のアーク溶接においてブローホールの発生を低減することができるメタル系フラックス入りワイヤ及びブローホールを低減した溶接金属を提供することができる。
図1は、発明例及び比較例のメタル系フラックス入りワイヤを用いて溶接した際の母材の形状を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本明細書において、メタル系フラックス入りワイヤを、単に「ワイヤ」ということがある。また、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
〔メタル系フラックス入りワイヤ〕
本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼用の溶接材料として使用されるものであり、スラグ系フラックス入りワイヤと比較して、スラグ形成成分が少ない。具体的には、本実施形態のメタル系フラックス入りワイヤは、Oの含有量が2.0質量%以下とされている。本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤは、筒状の外皮と、その外皮の内部に充填されたメタル系のフラックスとからなる。なお、フラックス入りワイヤとしては、外皮に継目のないシームレスタイプ、C断面、重ね断面等のように管状に成形され、外皮に継目のあるシームタイプ等があるが、本実施形態においてはいずれの形態であってもよい。ステンレス鋼としては特に限定されるものではなく、例えば二相系ステンレス鋼であり、被溶接材としてより具体的には鋼板や管などである。なお、本実施形態のフラックス入りワイヤはステンレス鋼以外にも用いることができる。
次に、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤに含有される化学成分について、その含有理由及び数値限定理由を詳細に説明する。なお、所望の特性を得るための各元素は、外皮及びフラックスのいずれから含有されていてもよい。したがって、以下の説明において、特に断りのない限り、メタル系フラックス入りワイヤ中の各成分量は外皮中及びフラックス中に含有される成分の合計量を、ワイヤ全質量(外皮と外皮内のフラックスの合計量)に対する含有量とした値で規定される。
<Cr:22.0質量%以上29.0質量%以下>
Crは、フェライト安定化元素として、フェライト相とオーステナイト相とのバランスを調整する役割を有するとともに、不動態被膜の形成元素として溶接部の耐孔食性を向上させる作用を有する。ワイヤ中のCrの含有量が22.0質量%未満であると、上記作用を十分に得ることができない。したがって、ワイヤ全質量に対するCr含有量は、22.0質量%以上とし、23質量%以上であることが好ましく、24質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のCrの含有量が29.0質量%を超えると、金属間化合物であるσ相が析出し、溶接部の低温靱性が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するCr含有量は、29.0質量%以下とし、28質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましい。
<Ni:7.5質量%以上11.0質量%以下>
Niは、オーステナイト安定化元素としてフェライト/オーステナイト相バランスを調整する役割を有するとともに、溶接部の低温靱性向上に有効な元素である。ワイヤ中のNiの含有量が7.5質量%未満であると、上記効果を十分に得ることができない。したがって、ワイヤ全質量に対するNi含有量は、7.5質量%以上とし、8.0質量%以上であることが好ましく、8.5質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のNiの含有量が11.0質量%を超えると、溶接金属中のオーステナイト相が過多となり溶接部の強度が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するNi含有量は、11.0質量%以下とし、10.5質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましい。
<Mo:1.5質量%以上6.0質量%以下>
Moは、フェライト安定化元素としてフェライト/オーステナイト相バランスを調整する役割があるとともに、Crとともに溶接部の耐孔食性を改善する作用を有する。ワイヤ中のMoの含有量が1.5質量%未満であると、上記作用を十分に得ることができない。したがって、ワイヤ全質量に対するMo含有量は、1.5質量%以上とし、2.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のMoの含有量が6.0質量%を超えると、σ相の析出が助長され溶接部の低温靱性が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するMo含有量は、6.0質量%以下とし、5.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましい。
<N:0.20質量%以上0.40質量%以下>
Nは、オーステナイト安定化元素としてフェライト/オーステナイト相バランスを調整する役割があるとともに、Cr、Moとともに溶接部の耐孔食性を改善する作用を有する。ワイヤ中のNの含有量が0.20質量%未満であると、上記作用を十分に得ることができない。したがって、ワイヤ全質量に対するN含有量は、0.20質量%以上とし、0.22質量%以上であることが好ましく、0.24質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のNの含有量が0.30質量%を超えると、耐気孔欠陥性が低下して、健全な溶接継手を得ることが難しい。したがって、ワイヤ全質量に対するN含有量は、0.40質量%以下とし、0.35質量%以下であることが好ましく、0.29質量%以下であることがより好ましく、0.28質量%以下であることがさらに好ましい。
<Mn:4.0質量%以下(0質量%を含む)>
Mnは、オーステナイト安定化元素としてフェライト/オーステナイト相バランスを調整する役割があるとともに、脱酸元素として作用する。本実施形態においては、脱酸元素として、ワイヤ中に必ずしもMnを含有させる必要はなく、0質量%であってもよい。ただし、溶接部の相バランスの観点から、ワイヤ全質量に対するMn含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のMnの含有量が4.0質量%を超えると、MnSを形成し、溶接部の低温靱性が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するMn含有量は、4.0質量%以下とし、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。
<Si:2.0質量%以下(0質量%を含む)>
Siは、フェライト安定化元素としてフェライト/オーステナイト相バランスを調整する役割があるとともに、脱酸元素として作用する。本実施形態においては、脱酸元素として、ワイヤ中に必ずしもSiを含有させる必要はなく、0質量%であってもよい。ただし、溶接部の相バランスの観点から、ワイヤ全質量に対するSi含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のSiの含有量が2.0質量%を超えると、固溶Si量の増加により溶接部の低温靱性が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するSi含有量は、2.0質量%以下とし、1.8質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。
<Ti:1.0質量%以下(0質量%を含む)>
Tiは、強力な脱酸元素であり、溶融状態の溶接金属中に残留する介在物と結びつき、酸化物を形成することで、ブローホール発生を抑制することができる。本実施形態においては、後述するMg及びAlの含有量を適切に制御することにより、ブローホールを低減することができるため、脱酸元素としてワイヤ中に必ずしもTiを含有させる必要はなく、0質量%であってもよい。ただし、溶接部の低温靱性を向上させることを目的として、ワイヤ中にTiを含有させる場合に、ワイヤ全質量に対するTi含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のTiの含有量が1.0質量%を超えると、余剰のTiが溶融状態の溶接金属中に導入されることになり、余剰Tiの一部が、溶接金属中に存在するNと反応してTiNを形成する。その結果、介在物の凝集及び粗大化を招き、孔食の起点となるリスクが増大するのみならず、母相中に含まれるN量が減少することにより、溶接部の耐孔食性が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するTi含有量は、1.0質量%以下とし、0.9質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましい。
<F:1.0質量%以下(0質量%を含む)>
Fは、ピット、ブローホール等の気孔欠陥を抑制させる作用を有する。本実施形態においては、後述するMg及びAlの含有量を適切に制御することにより、ブローホールを低減することができるため、ワイヤ中に必ずしもFを含有させる必要はなく、0質量%であってもよい。ただし、気孔欠陥の発生をより一層抑制することを目的として、ワイヤ中にFを含有させる場合に、ワイヤ全質量に対するF含有量は、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のFの含有量が1.0質量%を超えても、さらなる耐気孔欠陥性改善効果を得られないばかりか、アーク安定性が低下する。したがって、ワイヤ全質量に対するF含有量は、1.0質量%以下とする。
<[Mg]×5+[Al]:0.50以上5.0以下>
Mg及びAlは、強力な脱酸元素であり、本実施形態における最も重要な元素である。本実施形態においては、ワイヤ中に必ずしもMg及びAlの両方を含有させる必要はなく、Mg及びAlから選択された少なくとも一方を含有すればよい。本発明者らは、MgはAlと比較して、ブローホールの発生を低減する効果が高く、少量含有されている場合であっても上記効果を得ることができることを見出し、下記式(1)により表されるパラメータを導いた。
[Mg]×5+[Al] ・・・式(1)
ただし、[Mg]は、ワイヤ全質量に対するMg含有量を質量%で表した値であり、[Al]は、ワイヤ全質量に対するAl含有量を質量%で表した値である。
本実施形態においては、ワイヤ中のMg含有量及びAl含有量に基づき、上記式(1)により算出される値が所望の範囲となるように、Mg及びAlの含有量を規定する。上記式(1)により得られる値が0.50未満であると、ブローホールの発生を低減することができない。したがって、上記式(1)により得られる値は、0.50以上とし、0.70以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。一方、上記式(1)により得られる値が5.0を超えると、作業性が著しく劣化する。したがって、上記式(1)により得られる値は、5.0以下とし、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。なお、ブローホールの発生をより一層低減する観点から、Mg:0質量%超、Al:0質量%超とするとともに、上記式(1)により得られる値を、1.5以上とすることがさらに好ましい。また、溶接作業性をより一層向上させる観点からは、上記式(1)により得られる値の下限を、1.0以上にすることがさらに好ましい。また、同様に、溶接作業性をより一層向上させる観点から上限を2.5以下とすることがさらに好ましい。
<Mg:0質量%超0.70質量%以下>
上述のとおり、本実施形態においては、ワイヤ中に必ずしもMg及びAlの両方を含有させる必要はないが、ブローホールの発生をより一層低減することを目的として、Mg含有量を規定することが好ましい。ワイヤ中のMg含有量が0質量%超であれば、ブローホールの発生を低減する効果を得ることができる。したがって、ワイヤ全質量に対するMg含有量は、0質量%超であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましい。一方、ワイヤ中のMg含有量が0.70質量%以下であれば、作業性を劣化させることなく、溶接を実施することができる。したがって、ワイヤ全質量に対するMg含有量は、0.70質量%以下であることが好ましく、0.60質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以下であることがさらに好ましい。
<Al:0.10質量%以上0.60質量%以下>
Alは、Mgと同様に強力な脱酸元素であり、本実施形態における重要な元素である。本実施形態においては、ワイヤ中に必ずしもAlを含有させる必要はないが、ブローホールの発生をより一層低減することを目的として、Al含有量を規定することが好ましい。ワイヤ中のAl含有量が0.10質量%以上であれば、ブローホールの発生を低減する効果を得ることができる。したがって、ワイヤ全質量に対するAl含有量は、0.10質量%以上であることが好ましく、0.12質量%以上であることがより好ましい。一方、ワイヤ中のAl含有量が0.60質量%以下であれば、アークが安定となりブローホールも発生しづらい。したがって、ワイヤ全質量に対するAl含有量は、0.60質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以下であることがより好ましい。
<[Al]+[Mg]:0.30以上1.20以下>
上述のとおり、本実施形態においては、ワイヤ中に必ずしもMg及びAlの両方を含有させる必要はないが、AlをMgとともにワイヤ中に適切な含有量で含有させることにより、溶接作業性を向上させることができる。
[Al]+[Mg]が0.30以上1.20以下であると、溶接作業性の向上と、ブローホールの発生低減の両方の効果を得ることができる。より詳細には、[Al]+[Mg]により得られる値は、0.30以上とすることが好ましく、0.50以上とすることがより好ましい。一方、[Al]+[Mg]により得られる値は、1.20以下とすることが好ましく、1.0以下とすることがより好ましい。
本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤには、さらに、Na、C、Nb及びCuから選択された少なくとも1種を含有させることが好ましい。以下、各成分の上限値及びその限定理由について説明する。
<Na:0.5質量%以下>
Naはアーク安定性を確保する効果があり、本実施形態においてアーク微調整剤としての効果を有する。ワイヤ中にNaを含有させる場合に、ワイヤ中のNaの含有量が0.5質量%以下であれば、アークが強くなりすぎず、吸湿性が劣化することもない。したがって、ワイヤ全質量に対するNa含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
<C:2.0質量%以下>
CはNb等の元素と結合し、微細析出することで溶接金属の強度を向上させる成分である一方で、耐食性を劣化させる成分でもある。ワイヤ中にCを含有させる場合に、ワイヤ中のCの含有量が2.0質量%以下であれば、溶接金属の耐食性を劣化させることなく、溶接金属の強度を向上させる効果を得ることができる。したがって、ワイヤ全質量に対するC含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
<Nb:1.0質量%以下>
Nbは、Cと結合して溶接金属の強度を向上させる成分である一方で、結晶粒界に低融点化合物を生成させて耐凝固割れ性を劣化させる成分である。ワイヤ中にNbを含有させる場合に、ワイヤ中のNbの含有量が1.0質量%以下であれば、溶接金属の耐凝固割れ性を劣化させることなく、溶接金属の強度を向上させることができる。したがって、ワイヤ全質量に対するNb含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
<Cu:5.0質量%以下>
Cuは、溶接金属の強度を高める効果を有する成分である一方で、溶接金属の高温割れ発生の危険性を高めるとともに、過剰な硬化が生じることにより、溶接金属の靱性を劣化させる成分でもある。ワイヤ中にCuを含有させる場合に、ワイヤ中のCuの含有量が5.0質量%以下であれば、溶接金属の高温割れ性及び靱性を劣化させることなく、溶接金属の強度を向上させることができる。したがって、ワイヤ全質量に対するCu含有量は、5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
<O:2.0質量%以下>
Oは、ブローホールを発生させやすくする成分であるとともに、溶接金属中の酸素量を増加させることにより、溶接金属の靱性を低下させる成分でもある。ワイヤ中にOを含有させる場合に、ワイヤ中のOの含有量が2.0質量%以下であれば、ブローホールの発生を増加させることがなく、良好な靱性を有する溶接金属を得ることができる。したがって、ワイヤ全質量に対するO含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。
<Fe:50質量%以上65質量%以下>
Feは、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤの主成分であり、所望の特性を有する溶接金属を得るために、Fe含有量を調整することが好ましい。ワイヤ全質量に対するFe含有量は、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、57質量%以上であることがさらに好ましく、58質量%以上であることが特に好ましい。一方、ワイヤ中のFe含有量が65質量%以下であることが実際的である。
なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤにおいて、Fe、Cr、Ni、Mo、N、Mg、Al、Mn、Si、Ti及びFの含有量の合計は、ワイヤ全質量に対して90質量%以上であることが好ましく、93質量%以上であることがより好ましく、96質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
<残部>
なお、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤは、残部として、不可避的不純物の他に、上記効果を妨げない範囲で、種々の金属成分を含有させることができる。金属成分としては、耐食性及び機械性能の観点から、V、W等がワイヤ中に含有されていてもよく、アーク安定性の観点から、K、Li等がワイヤ中に含有されていてもよい。これらの金属成分の合計量としては例えば0.30質量%未満とすることが好ましい。不可避的不純物としては、P、S等が挙げられる。
<シールドガスの種類及び流量>
本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤによる溶接時において、使用するシールドガスは特に制限されないが、例えばArガス、炭酸ガス、Arガスと炭酸ガスの混合ガス、Arガスと酸素ガスの混合ガスを用いることができる。ガスの流量も特に制限されないが、例えば15~30L/分とすることができる。
<溶接姿勢、ワイヤの外皮の厚さ、及びワイヤ径>
また、本実施形態に係るメタル系フラックスワイヤを使用した溶接姿勢は特に限定されず、種々の溶接姿勢で溶接を実施することができる。さらに、本実施形態に係るメタル系フラックス入りワイヤの外皮の厚さ、及びワイヤ径(直径)についても、特に限定されないが、AWS又はJIS等の溶接材料規格に規定された直径のワイヤに適用することができる。
〔溶接金属〕
本実施形態に係る溶接金属は、上記メタル系フラックス入りワイヤを使用した溶接により得られるものである。溶接条件については特に限定されず、一般的に使用される溶接条件を使用することができる。一般的に使用される溶接条件とは、例えば、JIS Z3184:2003に記載の溶着金属の作製方法に準拠した溶接条件とすることができる。
以下、本発明に係る発明例及び比較例を挙げて、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[メタル系フラックス入りワイヤの製造]
ワイヤの含有成分が種々の含有量となるように、ワイヤ径が1.2mmであるメタル系フラックス入りワイヤを作製した。ワイヤ全質量あたりの化学成分の含有量(質量%)、式(1)及び式([Al]+[Mg])により算出される値を下記表1に示す。なお、ワイヤ中の下記表1に示す化学成分を除く残部は不可避的不純物を含む。また、表1の「-」はその成分を積極的に含有させていないことを意味する。
[ガスシールドアーク溶接]
図1は、発明例及び比較例のメタル系フラックス入りワイヤを用いて溶接した際の母材の形状を示す模式図である。図1に示すように、板厚が12mmである板材を準備し、一方の面から6mmの深さで溝1aを加工して、母材1を作製した。なお、溝1aの開先角度は60°とし、溝1aの底部1bには、半径3mmのR加工を施し、溝形状をU字状とした。その後、作製したメタル系フラックス入りワイヤを使用して、母材1に対してガスシールドアーク溶接を実施した。溶接条件を以下に示す。
<溶接条件>
母材の種類:JIS G 4304 SUS821L1
シールドガスの種類、流量:80%Ar-20%COの混合ガス、25リットル/分
溶接電流250A
溶接電圧:30V
溶接姿勢:下向き溶接
溶接速度:300mm/分
パス:溝1aに対して2層2パス
[評価試験]
各メタル系フラックス入りワイヤについて、溶接作業性を評価するとともに、耐気孔欠陥性を評価した。各評価方法及び評価基準を以下に示す。
<溶接作業性>
溶接時のアークの安定性、スパッタ発生量及びビード形状の官能評価を実施することにより、溶接作業性を評価した。評価基準としては、全ての評価項目について総合的に溶接作業性に優れた結果であったものを「◎:優良」、概ね優れた結果であったが、上記評価項目のいずれか1種が優良のワイヤより劣っていたものを「○:良好」とし、上記評価項目の2種以上が優良の場合より劣っていたものの、実用できるレベルであったものを「△:実用可能」とした。
<耐気孔欠陥性>
得られた溶接ビード(300mm)に対して、放射線透過試験を実施し、300mmの長さの領域におけるブローホールの個数を測定することにより、耐気孔欠陥性を評価した。評価基準としては、ブローホールの個数が0~5個であったものを「◎:優良」、ブローホールの個数が6~49個であったものを「○:良好」、ブローホールの個数が50~79個であったものを「△:実用可能」とし、これらを合格と判断した。また、ブローホールの個数が80個以上であったものを「×:不良」とし、不合格と判断した。
溶接作業性及び耐気孔欠陥性の評価結果を下記表2に示す。
Figure 2024000691000001
Figure 2024000691000002
[評価結果]
上記表1及び表2に示すように、発明例No.1~14は、ワイヤの化学成分が、本発明で規定する数値範囲内であるため、ブローホールの発生を低減することができた。特に、発明例No.9~14は、Mg:0質量%超及びAl:0質量%超であるとともに、式(1):[Mg]×5+[Al]により得られる値が1.5以上であったため、耐気孔欠陥性の評価結果がより一層優れた結果となった。また、発明例No.7~9及び12~14は、式(1)により得られる値が1.0以上、2.5以下であったため、作業性の評価結果がより一層優れた結果となった。
これに対して、比較例No.1~3は、ワイヤの化学成分又は式(1)により算出される値が本発明で規定する数値範囲から外れているため、耐気孔欠陥性の評価結果が不良となった。
1 母材
1a 溝

Claims (7)

  1. ワイヤ全質量に対して、
    Fe:50質量%以上65質量%以下、
    Cr:22.0質量%以上29.0質量%以下、
    Ni:7.5質量%以上11.0質量%以下、
    Mo:1.5質量%以上6.0質量%以下、
    N:0.20質量%以上0.40質量%以下、及び、
    Mg及びAlから選択された少なくとも一方を含有し、
    Mn:4.0質量%以下(0質量%を含む)、
    Si:2.0質量%以下(0質量%を含む)、
    Ti:1.0質量%以下(0質量%を含む)、
    F:1.0質量%以下(0質量%を含む)であり、
    ワイヤ全質量に対するMg含有量を質量%で[Mg]、ワイヤ全質量に対するAl含有量を質量%で[Al]と表す場合に、
    [Mg]×5+[Al]:0.50以上5.0以下であることを特徴とする、メタル系フラックス入りワイヤ。
  2. ワイヤ全質量に対して、
    Mg:0質量%超0.70質量%以下を含有することを特徴とする、請求項1に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  3. ワイヤ全質量に対して、
    Al:0.10質量%以上0.60質量%以下、及び、
    Mg:0.10質量%以上0.70質量%以下を含有し、
    [Al]+[Mg]:0.30以上1.20以下であることを特徴とする、請求項1に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  4. さらに、Na、C、Nb及びCuから選択された少なくとも1種を、
    ワイヤ全質量に対して、
    Na:0.5質量%以下、
    C:2.0質量%以下、
    Nb:1.0質量%以下、
    Cu:5.0質量%以下の範囲で含有することを特徴とする、請求項1に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  5. さらに、ワイヤ全質量に対して、
    O:2.0質量%以下を含有することを特徴とする、請求項1に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  6. さらに、ワイヤ全質量に対して、
    O:2.0質量%以下を含有することを特徴とする、請求項4に記載のメタル系フラックス入りワイヤ。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のメタル系フラックス入りワイヤを用いたガスシールドアーク溶接により製造されることを特徴とする、溶接金属。
JP2022099539A 2022-06-21 2022-06-21 メタル系フラックス入りワイヤ Pending JP2024000691A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022099539A JP2024000691A (ja) 2022-06-21 2022-06-21 メタル系フラックス入りワイヤ
PCT/JP2023/018501 WO2023248656A1 (ja) 2022-06-21 2023-05-17 メタル系フラックス入りワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022099539A JP2024000691A (ja) 2022-06-21 2022-06-21 メタル系フラックス入りワイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024000691A true JP2024000691A (ja) 2024-01-09

Family

ID=89379694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022099539A Pending JP2024000691A (ja) 2022-06-21 2022-06-21 メタル系フラックス入りワイヤ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2024000691A (ja)
WO (1) WO2023248656A1 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7460906B2 (ja) * 2020-07-20 2024-04-03 日本製鉄株式会社 二相ステンレス鋼溶接材料
JP7469707B2 (ja) * 2020-10-23 2024-04-17 日本製鉄株式会社 二相ステンレス鋼溶接継手

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023248656A1 (ja) 2023-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3476125B2 (ja) 2相ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP4776508B2 (ja) エレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP4531118B2 (ja) 凝固結晶粒を微細にする二相ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ
JP5005309B2 (ja) 高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ
US10870178B2 (en) Flux-cored wire for arc welding of duplex stainless steel and weld metal
JP6399983B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
KR20120024360A (ko) 플럭스 코어드 용접 와이어 및 이를 이용한 육성 용접의 아크 용접 방법
JP4787062B2 (ja) 靭性および耐sr割れ性に優れた溶接金属
JP4209913B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2008068274A (ja) 低温靭性に優れた高強度溶接金属
WO1998010888A1 (fr) Materiau d'apport pour la soudure d'aciers inoxydables
JP6891630B2 (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ、及び溶接継手の製造方法
KR102197134B1 (ko) Ni기 합금 플럭스 코어드 와이어
WO2020012925A1 (ja) 2相ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ、溶接方法および溶接金属
WO2023248656A1 (ja) メタル系フラックス入りワイヤ
JPH0810982A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP2002361481A (ja) 溶接継手部の疲労強度に優れた鉄系消耗溶接材料および溶接継手
JP4260127B2 (ja) サブマージアーク溶接用複合ワイヤ
CN114829060A (zh) 用于制造lng罐的不锈钢焊丝
JPH07276088A (ja) 低温鋼用mag溶接フラックス入りワイヤ
JP2004261858A (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼管溶接用ワイヤ
JP2020015092A (ja) 2相ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ、溶接方法および溶接金属
JP2004230392A (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼管用溶接材料およびマルテンサイト系ステンレス鋼管の溶接方法
JPH0899193A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
JP7323497B2 (ja) フラックス入りワイヤ