JP7469616B2 - 油井用電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents

油井用電縫鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は油井用電縫鋼管およびその製造方法に関する。
油井管は、地底等で掘削した天然ガスおよび石油を汲み上げる際に使用される。近年では、掘削技術の向上等により、油井またはガス井における深井戸化が進み、掘削される領域が深くなっている。
特開2015-168864号公報
掘削される領域が深くなると、地層圧、つまり外圧も高くなる。このため、油井管には、高い外圧を許容しうる高強度、高靭性が要求されつつある。例えば、特許文献1には、強度および靭性を高めた電縫鋼管が開示されている。
また、腐食性の硫化水素ガスを含み酸性化した井戸環境においては、腐食の一つである硫化物応力腐食割れ(以下、「SSC」ともいう。)が発生しやすくなる。このため、硫化物応力腐食割れを抑制しうる、耐SSC性についても要求される。
しかしながら、上記特許文献1に開示された電縫鋼管においては、耐SSC性は検討されておらず、強度、靭性および耐SSC性のすべてについて要求される特性を十分に満足しているとはいえない場合がある。
上述した強度と靭性とは、相反する特性であることから、両方の特性を要求される水準まで高めることは難しい場合がある。これら特性に加え、さらに、耐SSC性をも向上させた油井用電縫鋼管を得ることが難しい場合がある。
本発明は、上記の課題を解決し、良好な、強度、靭性および耐SSC性を有する油井用電縫鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の油井用電縫鋼管およびその製造方法を要旨とする。
(1)母材とシーム熱処理部とを有する電縫鋼管であって、
前記電縫鋼管の化学組成が、質量%で、
C:0.030~0.100%、
Si:0.010~0.50%、
Mn:1.30~2.00%、
P:0.020%以下、
S:0.0040%以下、
Al:0.0010~0.100%、
N:0.0010~0.0100%、
Nb:0.010~0.100%、
Ti:0.010~0.100%、
Mo:0.010~0.500%、
B:0.0015%以下、
Ca:0.0010~0.0050%、
V:0.010~0.100%、
Cu:0~0.50%、
Ni:0~0.50%、
Cr:0~0.50%、
REM:0~0.0100%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式を満足し、
前記母材の肉厚中央部における金属組織が、面積率で、
10~50%のフェライト、および
7%以下の硬質相を含み、
残部がベイニティックフェライトであり、かつフェライトの平均結晶粒径が20μm以下であり、
前記シーム熱処理部の外表層における金属組織が、面積率で、
50~80%のフェライト、および
5%以下の硬質相を含み、残部がベイニティックフェライトであり、
前記母材の引張強さは724MPa以上であり、
前記母材および前記シーム熱処理部の降伏強度は655~758MPaであり、
前記母材のシャルピー破面遷移温度が-40℃以下で、-20℃におけるシャルピー衝撃値が125J/cm以上であり、
前記シーム熱処理部の硬さが200~260HV10の範囲であり、かつ
前記シーム熱処理部において、外表層の平均硬さと肉厚中央部の平均硬さとの関係が下記(ii)式を満足し、
前記シーム熱処理部における外表層の平均硬さと前記母材の平均硬さとの関係が下記(iii)式を満足する、油井用電縫鋼管。
Mo+V≧0.10 ・・・(i)
HVout-HVcenter≦60 ・・・(ii)
HVout-HVbs≦60 ・・・(iii)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとし、上記式中の各記号は以下により定義される。
HVout:シーム熱処理部における外表層のHV10での平均硬さ
HVcenter:シーム熱処理部における肉厚中央部のHV10での平均硬さ
HVbs:母材のHV10での平均硬さ
(2)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.05~0.50%、
Ni:0.05~0.50%、
Cr:0.05~0.50%、および
REM:0.0001~0.0100%、
から選択される一種以上を含有する、上記(1)に記載の油井用電縫鋼管。
(3)前記肉厚が10~25mmである、上記(1)または(2)に記載の油井用電縫鋼管。
(4)(a)上記(1)または(2)に記載の化学組成を有する鋳片を、950℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上であり、かつ仕上圧延完了温度が850℃以下である条件で熱間圧延し、熱延鋼板とする工程と、
(b)前記(a)の工程の後、前記熱延鋼板について冷却を開始し、冷却開始から600~700℃における冷却停止までを平均冷却速度が20.0℃/s以上で冷却し、450~600℃における冷却停止までを平均冷却速度が2.0~10.0℃/sで冷却する工程と、
(c)前記熱延鋼板に成形および溶接を施し、電縫鋼管とする工程と、
(d)前記電縫鋼管におけるシーム部を900~1050℃に加熱する工程と、
(e)前記加熱後に、水冷を開始し、400~700℃の温度域で水冷を停止し、
水冷の開始から完了までの平均冷却速度を10.0~50.0℃/sの範囲にする工程と、
を有し、
前記(e)の工程において、外表面部の温度の上昇幅が30℃以上となる復熱を2回以上生じさせる、油井用電縫鋼管の製造方法。
本発明によれば、良好な強度、靭性および耐SSC性を有する油井用電縫鋼管を得ることができる。
図1は、硬さ試験における各測定位置を模式的に示した図である。 図2は、冷却曲線を模式的に示した図である。
本発明者は、良好な、強度、靭性および耐SSC性を有する油井用電縫鋼管を得るため、検討を行い、以下の(a)~(c)の知見を得た。
(a)鋼管としての強度および靭性を確保するためには、化学組成を調整するとともに、母材の金属組織を、基本的にはベイナイト相およびフェライト相からなる金属組織とすることが好ましい。上記相の割合のバランスを調整することで、良好な、強度と靭性とを有する鋼管を得ることができる。
(b)強度および靭性に加え、耐SSC性を向上させるためには、1)鋼管のシーム熱処理部において、表層と肉厚中央部との硬さの差を小さくし、かつ2)シーム熱処理部の表層と母材の硬さの差を小さくすることが有効である。このような硬さの差が大きいと、鋼管表面においてSSCが発生しやすくなるからである。
(c)鋼管のシーム熱処理部において、表層と肉厚中央部との硬さの差を小さく、またシーム熱処理部の表層と母材の硬さの差を小さくするためには、溶接後の熱処理において、復熱を利用することが好ましい。水冷による冷却過程においては、鋼管表面から冷却されるため、表層での冷却速度は肉厚中央部に比べて相対的に速くなる。
ここで、復熱とは、水冷を停止した際に、肉厚中央部の熱が表層に伝導することで、一時的に表層の温度が上昇する現象をいう。この復熱を利用することで、表層での冷却速度が肉厚中央部に比べて過度に高くなるのを抑えることが可能となる。その結果、表層での硬さの上昇を抑制し、肉厚中央部および母材との硬さの差を小さくすることができる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.本発明に係る電縫鋼管の概要
本発明に係る電縫鋼管は、母材とシーム熱処理部とを有する。ここで、母材とは、電縫鋼管において、シーム熱処理部以外の部分のことをいう。なお、後述する説明においては溶接により溶融、再凝固した部分をシーム部と記載して説明する。また、シーム熱処理部とは、溶接により、金属が溶融し、再凝固した部分、すなわちシーム部と、溶接熱、溶接後の再加熱およびその後の冷却(シーム熱処理)によって組織的に変化を生じた部分のことをいう。
シーム熱処理部は、組織観察において所定の腐食液でエッチング等を行うことで、母材と区別して特定することができる。
2.化学組成
電縫鋼管の化学組成についての各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.030~0.100%
Cは、鋼の強度を高める効果を有する。このため、C含有量は0.030%以上とする。これより低いC含有量では、母材の強度が低下するからである。C含有量は0.040%以上とするのが好ましく、0.050%以上とするのがより好ましい。しかしながら、C含有量が0.100%を超えると、過剰に強度が高くなり、加えて、硬質相も生成しやすくなり、靭性が低下する。耐SSC性も低下する。このため、C含有量は0.100%以下とする。C含有量は、0.090%以下とするのが好ましく、0.080%以下とするのがより好ましい。
Si:0.010~0.50%
Siは、脱酸剤として使用され、母材に粗大な酸化物が生成することを抑制する。Siは、靭性を向上させる効果も有する。このため、Si含有量は、0.010%以上とする。Si含有量は0.050%以上とするのが好ましい。しかしながら、Si含有量が0.50%を超えると硬質相が生成し、靭性が低下する場合がある。このため、Si含有量は0.50%以下とするのが好ましい。Si含有量は0.350%以下とするのが好ましい。
Mn:1.30~2.00%
Mnは、鋼を固溶強化する効果を有する。また、Mn含有量が1.30%未満になると、固溶強化による強度向上が十分でなく、母材強度およびシーム熱処理部の強度が低下する。また、組織の粗大化により靭性も低下する場合がある。このため、所望する強度を得るために、Mn含有量は、1.30%以上とする。Mn含有量は、1.40%以上とするのが好ましい。しかしながら、Mnを過剰に含有させると、硬質相が生成しやすくなるとともに、鋼管の肉厚中央部に粗大なMnSが生成し、母材靭性を損なう場合がある。また、耐SSC性が低下する場合がある。このため、Mn含有量は2.00%以下とする。Mn含有量は、1.80%以下とするのが好ましい。
P:0.020%以下
Pは、不純物として含有される元素である。P含有量が0.020%を超えると、Pが粒界に偏析することで靭性を損なう。このため、P含有量は、0.020%以下とする。P含有量は、0.015%以下、さらに0.010%以下が好ましい。
S:0.0040%以下
Sは、不純物として含有される元素である。Sが過剰に含有されると鋼の靭性を低下させる。また、耐SSC性も低下させる場合がある。このため、S含有量は、0.0040%以下とする。S含有量は0.0030%以下とするのが好ましく、さらに0.0020%以下とするのが好ましい。
Al:0.0010~0.100%
Alは、Si同様、鋼に脱酸剤として使用される。十分に脱酸されないと、フリー酸素に起因する割れが発生しやすくなる。このため、Al含有量は、0.0010%以上とする。Al含有量は0.0050%以上とするのが好ましい。しかしながら、Al含有量が0.100%を超えると、Al系酸化物が形成し、靭性が低下する。このため、Al含有量は0.100%以下とする。Al含有量は0.040%以下とするのが好ましい。
N:0.0010~0.0100%
Nは、鋼中に主にTiと窒化物を形成することで結晶粒の粗大化を抑制し、母材の靭性を向上させる。このため、N含有量は0.0010%以上とする。N含有量は0.0020%以上とするのが好ましい。しかしながら、Nを、0.0100%を超えて含有すると、窒化物の生成量が増加し、母材靭性が低下する。また、耐SSC性が低下する場合がある。このため、N含有量は0.0100%以下とする。N含有量は0.0060%以下、さらに0.0040%以下とするのが好ましい。
Nb:0.010~0.100%
Nbは、靭性の向上および母材の強度向上に寄与する。Nbを含有させることで、未再結晶温度域での圧延により、靭性向上が期待できる。このため、Nb含有量は0.010%以上とする。Nb含有量は0.040%以上とするのが好ましく、さらに0.050%以上とするのが好ましい。Nb含有量が0.100%を超えると、粗大な炭化物が形成し、母材靭性が低下する。このため、Nb含有量は0.100%以下とする。Nb含有量は0.085%以下とするのが好ましい。
Ti:0.010~0.100%
Tiは、鋼中に炭窒化物を形成し、母材の強度を向上させる元素であるとともに、結晶粒の微細化にも寄与する元素である。Tiを0.010%以上含有することで、鋼の組織を微細化させることが可能である。また固溶している窒素を補足し、その量を低減することにより、靱性および耐SSC性を向上させる効果がある。このため、Ti含有量は、0.010%以上とする。Ti含有量は、0.012%以上とするのが好ましい。しかしながら、Ti含有量が0.100%を超えると、粗大な炭窒化物が生成し、母材靭性の低下を招く。このため、Ti含有量は0.100%以下とする。Ti含有量は、0.020%以下とするのが好ましい。
Mo:0.010~0.500%
Moは、析出強化により強度を向上させる効果を有する。このため、Mo含有量は、0.010%以上とする。Mo含有量は0.050%以上とするのが好ましい。しかしながら、Moを多量に含有させると、Mo炭窒化物または硬質相等が生成し、母材靭性を低下させる場合がある。このため、Mo含有量は0.500%以下とする。Mo含有量は0.350%以下とするのが好ましい。
B:0.0015%以下
Bは、微量の添加でも、鋼の焼入れ性を高める効果を有する。しかしながら、Bが0.0015%を超えると、母材強度が過剰になる。このため、B含有量は0.0015%以下とする。B含有量は0.0008%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、B含有量は、0.0001%以上とするのが好ましい。
Ca:0.0010~0.0050%
Caは、硫化物系介在物の形態を制御し、鋼の低温靭性を向上させる効果を有する。また、耐SSC性を向上させる場合がある。このため、Ca含有量は、0.0010%以上とする。Ca含有量は0.0015%以上とするのが好ましい。しかしながら、Ca含有量が、0.0050%を超えると、Ca系の粗大な介在物またはクラスターが形成し、靭性に悪影響を及ぼす場合がある。このため、Ca含有量は0.0050%以下とする。Ca含有量は0.0040%以下とするのが好ましい。
V:0.010~0.100%
Vは、鋼の圧延中に炭窒化物を形成し、ピン止め効果により金属組織を微細化する効果を有する。このため、V含有量は、0.010%以上とする。V含有量は0.030%以上とするのが好ましく、さらに0.045%以上が好ましい。しかしながら、Vを過剰に含有させると、V炭窒化物が粗大となり、母材靭性が低下する。このため、V含有量は0.100%以下とする。V含有量は0.080%以下とするのが好ましい。
上記元素に加え、Cu、Ni、CrおよびREMから選択される一種以上を含有してもよい。
Cu:0~0.50%
Cuは、母材の強度の向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cuを過剰に含有させると、微細なCu粒子を生成し、靭性を著しく低下させる場合がある。このため、Cu含有量は0.50%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Cu含有量を0.05%以上とするのが好ましい。
Ni:0~0.50%
Niは、鋼の強度および靭性の向上に寄与する元素である。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niを過剰に含有させると、強度が過剰に高くなる。このため、Ni含有量は0.50%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Ni含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
Cr:0~0.50%
Crは、鋼を固溶強化させる効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、Crは溶接性を低下させる元素でもある。このため、Crを過剰に含有させると、シーム熱処理部に形成したCr系介在物により溶接欠陥が発生する。このため、Cr含有量は0.50%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Cr含有量は、0.05%以上とするのが好ましい。
REM:0~0.0100%
REMは、脱酸および脱硫効果を有する。このため、必要に応じて、含有させてもよい。しかしながら、REMを、0.0100%を超えて、含有させると、粗大な酸化物を生じて母材靭性を低下させる場合がある。このため、REM含有量は、0.0100%以下とする。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は0.0001%以上とするのが好ましい。
本発明において、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、上記REM含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。REMは、工業的には、ミッシュメタルの形で添加される。
本発明の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明に係る鋼管においては、鋼管としての良好な強度を得るため、下記(i)式を満足する。
Mo+V≧0.10 ・・・(i)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
(i)式左辺値が0.10未満であると、母材のフェライト相の生成量が増加し、Mo、Vなどの炭化物の量が低下するため、鋼管としての十分な強度を得ることができない。また、シーム熱処理部の降伏強度が低下する場合がある。このため、(i)式左辺値が0.10以上とし、0.25以上とするのが好ましい。一方(i)式左辺値は、MoおよびVの組成範囲から、通常、0.600以下となる。
3.鋼管母材の金属組織
3-1.面積率
本発明に係る鋼管母材の肉厚中央部における金属組織は、面積率で、10~50%のフェライトおよび7%以下の硬質相を含み、残部がベイニティックフェライトである。ここで、金属組織の面積率が上記割合を満足することで、鋼管母材の強度と靭性とを向上させることができる。母材の肉厚中央部において、フェライトが、面積率で、10%未満であると、鋼管の靭性が低下する。このため、母材の肉厚中央部において、フェライトは、面積率で、10%以上とし、30%以上とするのが好ましい。
しかしながら、母材の肉厚中央部において、フェライトが、面積率で、50%超であると、強度が低下する。このため、母材の肉厚中央部において、フェライトは、面積率で、50%以下とし、40%以下とするのが好ましい。
母材の肉厚中央部において、金属組織は、基本的には、フェライトおよびベイニティックフェライトからなるが、一部、不可避的に生成してしまう硬質相を含んでもよい。ここで、硬質相とは、具体的には、MA(Martensite-Austenite-constituent)、パーライト、疑似パーライトなどを指す。なお、疑似パーライトはセメンタイトとフェライトとが完全なラメラ状を呈していない組織である。母材の肉厚中央部において硬質相は、面積率で、7%以下とし、極力含まれないのが好ましい。上記硬質相が面積率で、7%を超えて生成すると、靭性が低下するからである。硬質相は面積率で5%以下であるのが好ましく、2%以下であるのがより好ましい。
母材の肉厚中央部において、フェライトおよび硬質相以外の残部は、ベイニティックフェライトとする。ベイニティックフェライトを所定量含むことによって、強度を確保することができるからである。
3-2.フェライトの平均結晶粒径
鋼管母材の肉厚中央部における金属組織において、フェライトの平均結晶粒径は20μm以下とする。上記フェライトの平均結晶粒径が20μmを超えると、靭性が低下するからである。上記フェライトの平均結晶粒径は20μm以下とし、15μm以下とするのが好ましい。なお、上記フェライトの平均結晶粒径の下限は特に定めないが、通常、5μm以上となる。
3-3.組織の観察
フェライトの面積率は、鋼管のシーム部から周方向に90°ずれた位置の断面(詳細には、鋼管長手方向に対して垂直な断面)における肉厚中央部において、EBSD(Electron Back Scatter Difraction)法により得られたデータに基づいて画像解析により求める。上記位置であれば、シーム熱処理部から十分離れているため、確実に母材の金属組織を観察することができるからである。
具体的な方法として、上記断面を鏡面研磨後、コロイダルシリカによる仕上げ研磨を行い、観察面を形成させる。その後、上記観察面を、電界放出型走査電子顕微鏡(JEOL社製・7001F)を用いて、200μm×300μmの領域について、0.3μmステップにて、EBSD法でGAM(Grain Average Misorientation)解析により結晶方位解析を行う。この解析により、フェライトの面積率を測定する。また、残部組織の同定は、フェライトの面積率等を測定した断面を鏡面研磨後、ナイタールでエッチングし、光学顕微鏡を用いて400倍で観察することにより行う。
平均結晶粒径については、同様にEBSD法に基づき、GAM解析において、15°の結晶方位差で囲まれる領域を一つの結晶粒と定義し、その中の平均の結晶方位差が1°以下のものをフェライトの結晶粒と判定する。判定された各フェライト粒の円相当直径の相加平均値をフェライトの平均結晶粒径とする。また、上記の測定においては、組織観察および平均結晶粒径の測定ともに、別視野で5視野以上測定し、その平均値に基づき、面積率および平均結晶粒径とする。
4.鋼管のシーム熱処理部の金属組織
本発明に係る鋼管のシーム熱処理部の外表層における金属組織は、面積率で、50~80%のフェライトおよび5%以下の硬質相を含み、残部がベイニティックフェライトである。ここで、上記外表層とは、電縫鋼管の長手方向に垂直な断面において、外表面、つまり鋼管外径側の表面から1.5mm位置の領域のことを言う。
シーム熱処理部の外表層においてフェライトが、面積率で、50%未満であると、シーム熱処理部において、十分な靭性を確保することができず、鋼管全体の靭性が低下する。また、シーム熱処理部において、シーム熱処理部の外表層と板厚中心部の硬さの差およびシーム熱処理部の外表層と母材部の硬さの差が大きくなり、耐SSC性が低下する。このため、シーム熱処理部の外表層においてフェライトは、面積率で、50%以上とし、60%以上とするのが好ましい。
しかしながら、シーム熱処理部の外表層においてフェライトが、面積率で、80%を超えると、シーム熱処理部の強度を十分確保することができず、鋼管全体の強度が低下する。このため、シーム熱処理部の外表層においてフェライトは、面積率で、80%以下とし、70%以下とするのが好ましい。
なお、シーム熱処理部の外表層において、金属組織は、基本的には、フェライトおよびベイニティックフェライトからなるが、一部、不可避的に生成してしまう硬質相を含んでもよい。ここで、硬質相とは、具体的には、MA、パーライト、疑似パーライトなどを指す。なお、疑似パーライトはセメンタイトとフェライトとが完全なラメラ状を呈していない組織である。シーム熱処理部の外表層において硬質相は、面積率で、5%以下とし、極力含まれないのが好ましい。上記硬質相が面積率で、5%を超えて生成すると、靭性が低下するからである。硬質相は面積率で3%以下であるのが好ましく、2%以下であるのがより好ましい。
また、シーム熱処理部のフェライトの面積率も母材と同様に測定することができる。具体的には、シーム熱処理部の金属組織は、鋼管長手方向に垂直な面が観察面となるように鋼管のシーム部が中央になるように、縦:成品厚さまま、横:10mm程度の試料を切り出し、シーム熱処理部を特定するためにナイタール等でエッチングする。続いて、母材のフェライトの面積率を測定した方法と同様の方法により、シーム熱処理部におけるフェライトの面積率を測定する。
5.機械的特性
5-1.強度
本発明に係る鋼管母材の引張強さは724MPa以上とする。また、母材およびシーム熱処理部の降伏強度は655~758MPaとする。上記範囲とする理由は、鋼管として所望する強度を得るためである。
母材部の引張試験は、鋼管の長手方向(鋼板圧延方向)の全厚試験片を引張試験片として上記電縫鋼管より採取し、引張試験を行う。引張試験結果に基づき、降伏強度(YS:0.5%全伸び)および引張強さ(TS)を測定する。ここで、母材の引張試験片は、電縫鋼管のシーム部から周方向に90°の位置に対応する部分から採取する。
シーム熱処理部の引張試験は、鋼管の周方向(圧延垂直方向)の全厚試験片を引張試験片として、上記電縫鋼管のシーム熱処理部が引張試験片の標点間の略中央部になるように採取し、反り矯正をした後、引張試験を行う。引張試験結果に基づき、降伏強度(YS:0.5%全伸び)を測定する。
5-2.靭性
本発明に係る鋼管母材のシャルピー破面遷移温度は-40℃以下とする。また、鋼管母材において、-20℃におけるシャルピー衝撃値が125J/cm以上とする。上記範囲とする理由は、鋼管としての十分な靭性を得るためである。
靭性については、シャルピー試験により評価する。具体的には周方向(鋼板の圧延垂直方向)のVノッチシャルピー試験片を電縫鋼管の母材(電縫鋼管のシーム部から周方向に90°の位置に対応する部分)より採取する。この際、Vノッチの深さ方向は鋼管長手方向とする。試験温度0~-100℃でVノッチシャルピー試験を行い、破面遷移温度を調査するとともに、-20℃での衝撃値を測定する。
5-3.硬さ
本発明に係る鋼管のシーム熱処理部の硬さは200~260HV10の範囲とする。シーム熱処理部の硬さが200HV10未満であると、鋼管として十分な強度を得ることができない。このため、シーム熱処理部の硬さは200HV10以上とする。シーム熱処理部の硬さは210HV10以上とするのが好ましく、220HV10以上とするのがより好ましい。
一方、シーム熱処理部の硬さが260HV10を超えると、耐SSC性が低下する。このため、シーム熱処理部の硬さは260HV10以下とする。シーム熱処理部の硬さは250HV10以下とするのが好ましく、245HV10以下とするのがより好ましい。
ここで、シーム熱処理部の硬さとは、図1に示すように、鋼管長手方向に垂直な断面において、鋼管のシーム部での外表面から1.5mm位置(「外表層」ともいう。)および肉厚中央部の2点に、上記各点から、シーム部での厚さ方向に垂直な方向に両側2mmずつ離れた位置の4点を加えた、計6点において硬さ測定を行った場合の平均硬さである。なお、「HV10」とは、試験力を98N(10kgf)として、ビッカース硬さ試験を実施した場合の「硬さ記号」を意味する(JIS Z 2244:2009を参照)。
また、本発明に係る鋼管においては、硬さの差を規定する。具体的には、シーム熱処理部において、外表層の平均硬さと肉厚中央部の平均硬さとの関係が下記(ii)式を満足する。
HVout-HVcenter≦60 ・・・(ii)
但し、上記式中の各記号は以下により定義される。
HVout:シーム熱処理部における外表層のHV10での平均硬さ
HVcenter:シーム熱処理部における肉厚中央部のHV10での平均硬さ
(ii)式左辺値が60を超えると、肉厚中央部と鋼管外表面との硬さの差が大きくなり、鋼管の耐SSC性が低下する。このため、(ii)式左辺値は60以下とし、50以下とするのが好ましい。(ii)式左辺値は小さければ、小さい程好ましい。
さらに、シーム熱処理部における外表層の平均硬さと母材の平均硬さとの関係が下記(iii)式を満足する。
HVout-HVbs≦60 ・・・(iii)
但し、上記式中の各記号は以下により定義される。
HVout:シーム熱処理部における外表層のHV10での平均硬さ
HVbs:母材のHV10での平均硬さ
(iii)式左辺値が60を超えると、シーム熱処理部と母材との硬さの差が大きくなり、鋼管の耐SSC性が低下する。このため、(iii)式左辺値は60以下とし、50以下とするのが好ましい。(iii)式左辺値は小さければ、小さい程好ましい。
シーム熱処理部の硬さについては、図1に示すように、鋼管長手方向に垂直な断面において、鋼管のシーム部での外表面から1.5mm位置の1点に、その1点からシーム部での厚さ方向に垂直な方向に両側2mmずつ離れた位置の2点を加えた、計3点において硬さ測定を行う。測定した上記3点の平均の硬さをシーム熱処理部における外表層のHV10での平均硬さ、つまりHVoutとする。
同様に、鋼管のシーム部での肉厚中央部の1点に、その1点からシーム部での厚さ方向に垂直な方向に両側2mmずつ離れた位置の2点を加えた、計3点において硬さ測定を行う。測定した3点の平均の硬さを、シーム熱処理部における肉厚中央部のHV10での平均硬さ、つまりHVcenterとする。さらに、図1に示すように、シーム部から、直線的に30mm離れた位置での外表層、肉厚中央部、肉厚3/4部での3点の硬さ測定を行う。3点の平均の硬さを、母材のHV10での平均硬さ、つまりHVbsとする。
なお、本発明においては、鋼管の外表面から1.5mm位置を外表層という。肉厚1/4部とは、鋼管外表面からの肉厚方向の距離が肉厚の1/4である部位をいう。同様に、肉厚3/4部とは、鋼管外表面からの肉厚方向の距離が肉厚の3/4である部位をいう。
5-4.肉厚
本発明に係る鋼管は、肉厚が10~25mmの範囲であるのが好ましく、15~22mmの範囲であるのがより好ましい。また、鋼管の外径は406.4~607.2mmであるのが好ましい。
6.製造方法
本発明に係る電縫鋼管の好ましい製造方法について説明する。下記記載の製造方法により、本発明に係る電縫鋼管を安定して得ることができる。本発明に係る電縫鋼管の製造方法は、
(a)上記の化学組成を有する鋳片を、950℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上であり、かつ仕上圧延完了温度が850℃以下である条件で熱間圧延し、熱延鋼板とする工程と、
(b)上記(a)の工程の後、上記熱延鋼板について冷却を開始し、冷却開始から600~700℃における冷却停止までを平均冷却速度が20.0℃/s以上で冷却し、450~600℃における冷却停止までを平均冷却速度が2.0~10.0℃/sで冷却する工程と、
(c)上記熱延鋼板に成形および溶接を施し、電縫鋼管とする工程と、
(d)電縫鋼管におけるシーム部を900~1050℃に加熱する工程と、
(e)加熱後に、水冷を開始し、400~700℃の温度域で水冷を停止し、
水冷の開始から完了までの平均冷却速度を10.0~50.0℃/sの範囲にする工程と、
を有し、
前記(e)の工程において、外表面部の温度の上昇幅が30℃以上となる復熱を2回以上生じさせるのが好ましい。
6-1.熱間圧延
上記の化学組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造法などにより鋳片を得る。得られた鋳片を1100~1350℃の範囲で加熱するのが好ましい。鋳片を加熱する温度(以下、「鋳片加熱温度」ともいう。)が1100℃未満であると、未固溶のNbがNb炭化物を生成し、強度および靭性が低下する。このため、鋳片加熱温度が1100℃以上とするのが好ましい。しかしながら、鋳片加熱温度が1350℃を超えると、結晶粒が粗大になり、却って靭性が低下する。このため、鋳片加熱温度は1350℃以下とするのが好ましい。
続いて、加熱した鋳片を950℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上であり、かつ仕上圧延完了温度が850℃以下である条件で熱間圧延をし、熱延鋼板とするのが好ましい。上記の条件で熱間圧延を行うことで、十分、金属組織を微細化することができ、強度と靭性とを向上させることができるからである。なお、本発明に係る鋼管の肉厚は10~25mmであるのが好ましく、15~22mmの範囲であるのがより好ましい。このため、熱延鋼板の板厚は鋼管の肉厚と同様に10~25mmであるのが好ましく、15~22mmの範囲であるのがより好ましい。
仕上圧延後、Ar点以上の温度で冷却を開始することが好ましい。Ar点未満の温度で冷却を開始すると、粗大なフェライトが生成し、強度および靭性が低下するからである。冷却の開始温度は圧延完了温度に対応する。仕上圧延完了後、5s以内に冷却を開始することが好ましい。なお、Ar点は、下記の(1)式を用いて算出することができる。
Ar(℃)=910-310C-80Mn-55Ni-20Cu-15Cr-80Mo ・・・(1)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
上記熱延鋼板を冷却開始から600~700℃における冷却停止までを平均冷却速度が20℃/s以上で冷却するのが好ましい。すなわち、600~700℃において、一旦、冷却を停止する。この際の冷却を停止する温度(以下、「冷却停止温度」ともいう。)が600℃未満であると、フェライトが生成する前に、ベイナイト変態が生じ、フェライトの量を十分確保できなくなる。この結果、鋼管母材の靭性が低下する。このため、上記冷却停止温度を600℃以上とするのが好ましい。一方、冷却停止温度が700℃を超えると、フェライト粒が粗大になり、却って靭性が低下する。このため、上記冷却停止温度を700℃以下とするのが好ましい。
また、上記温度域における冷却停止までの平均冷却速度が20.0℃/s未満であると、フェライトの核生成サイトが少なくなり、靭性が低下する。このため、上記温度域における冷却停止までの平均冷却速度は20.0℃/s以上とするのが好ましい。
続いて、450~600℃における冷却停止までを平均冷却速度が2.0~10.0℃/sで冷却するのが好ましい。すなわち、450~600℃において、再度、冷却を停止する。この際の冷却停止温度が450℃未満であると、後述する巻取りの後、析出物が十分形成せず、強度が低下する。このため、この際の冷却停止温度を450℃以上とするのが好ましい。一方、冷却停止温度が600℃を超えると、パーライトが生成し、所望の強度が得られなかったり、靭性が低下したりする。このため、この際の冷却停止温度を600℃以下とするのが好ましい。
また、上記温度域における冷却停止までの平均冷却速度が2.0℃/s未満であると、パーライトが生成し、靭性が低下する。このため、上記温度域における冷却停止までの平均冷却速度は2.0℃/s以上とするのが好ましい。一方、上記温度域における冷却停止までの平均冷却速度が10.0℃/sを超えると、フェライトが十分生成せず、ベイナイトの量が過剰になる。この結果、鋼管母材の靭性が低下する。このため、上記温度域における冷却停止までの平均冷却速度を10.0℃/s以下とするのが好ましい。上記冷却の後、熱延鋼板を巻取り、コイル形状としてもよい。熱延鋼板の巻取り温度は特に指定しないが、冷却停止温度~冷却停止温度-50℃の範囲が好ましい。
6-2.成形および溶接
続いて、熱延鋼板に成形および溶接を施し、電縫鋼管とするのが好ましい。具体的には、熱延鋼板を連続的にロール成型し、オープンパイプとした後、突合せ部近傍を融点以上に加熱し、スクイズロールで圧接する電縫溶接を行い、シーム部を形成することで、電縫鋼管とする。溶接方法としては、高周波抵抗溶接法などが一般的である。必要に応じて、シーム部において鋼管の外表面および内表面からはみ出たビードを切削すればよい。
6-3.溶接後の熱処理
続いて、電縫鋼管におけるシーム部を900~1050℃に加熱した後に冷却する熱処理(シーム熱処理)を行うのが好ましい。シーム部の加熱温度が900℃未満であると、溶接での入熱により形成した粗大な金属組織が残存し、機械的特性を損ねる。このため、シーム部の加熱温度は900℃以上とするのが好ましい。一方、シーム部の加熱温度が1050℃を超えると、結晶粒が粗大化する。このため、シーム部の加熱温度は1050℃以下とするのが好ましい。
なお、シーム部の熱処理は、上記加熱温度に到達すればよく、上記加熱温度において、特に一定時間保持する必要はない。
上記加熱後に水冷を開始し、400~700℃の温度域で水冷を停止し、当該水冷の開始から完了までの間の平均冷却速度を10.0~50.0℃/sの範囲にするのが好ましい。水冷開始から水冷完了までを上記温度域とするのは、シーム熱処理部の強度を確保するためである。
ここで、「水冷が完了する」とは、冷却において、最後に生じた復熱(30℃以上の温度の上昇幅を有する。)により温度が最も上昇した点に到達したことをいう(図2参照。)。水冷開始から水冷完了までの間の平均冷却速度が10.0℃/s未満であると、シーム熱処理部の強度が低下する。
このため、水冷開始から水冷完了までの間の平均冷却速度は10.0℃/s以上とする。一方、水冷開始から水冷完了までの間の平均冷却速度が50.0℃/sを超えると、シーム熱処理部の強度が過剰になり、耐SSC性が低下する。このため、水冷開始から水冷完了までの間の平均冷却速度は50.0℃/s以下とする。
また、上記の水冷開始から完了までに、外表面部の温度の上昇幅が30℃以上となる復熱を2回以上生じさせるのが好ましい。外表面部の温度の上昇幅が30℃未満で、かつ復熱回数が2回未満であると、十分に復熱の効果が得られない。この結果、シーム熱処理部の表面の硬さが過剰になり、耐SSC性が低下する。このため、上記温度の上昇幅が30℃以上となる復熱を2回以上生じさせるのが好ましく、復熱回数は3回以上であることがより好ましい。ここで、十分復熱させるために、水冷開始から完了までの間に適宜、図2に示すように水冷を停止してもよい。以上により、強度、靭性、耐SSC性に優れる電縫鋼管を得ることができる。
なお、上述した製造条件における各温度は、放射温度計により測定される表面温度である。具体的には、上述の外表面部の温度とは、放射温度計により計測される鋼管外面側の表面温度のことをいう。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成の鋳片を製造し、その後、表2に示す条件で熱間圧延および冷却を行い、板厚17.5mmの熱延鋼板とした。なお、仕上圧延完了後、冷却を開始しているが、この際の冷却開始温度は、すべての試験片でAr点以上であった。また、上記熱延鋼板の板厚は、鋼管形状に加工された後は肉厚と同様の値となる。
Figure 0007469616000001
その後、得られた熱延鋼板について連続的にロール成型し、オープンパイプとした後、突合わせ部近傍を融点以上に加熱し、スクイズロールで圧接する電縫溶接を行った。
電縫鋼管のシーム部を表2に示す条件で再加熱し、その後、水冷をした。表2にこの際の復熱回数、復熱の際の温度幅等を示した。ここで、表2における復熱到達温度とは、復熱の温度上昇により到達した最高温度のことをいう。次いで、シーム部において、鋼管の外表面および内表面からはみ出たビードを切削して、肉厚が17.5mm、外径が508mmの電縫鋼管とした。
Figure 0007469616000002
表2の条件により製造した電縫鋼管について、母材およびシーム熱処理部の金属組織、機械的特性、耐SSC性について調べた。
(母材の金属組織)
鋼管母材のフェライト相の面積率は、以下の手順で測定した。具体的には、鋼管のシーム部から周方向に90°ずれた位置の断面(詳細には、鋼管長手方向に対して垂直な断面)における肉厚中央部において、EBSD法により得られたデータに基づいて画像解析により求めた。
この際、上記断面を鏡面研磨後、コロイダルシリカによる仕上げ研磨を行い、観察面を形成させた。その後、上記観察面を、電界放出型走査電子顕微鏡(JEOL社製・7001F)を用いて、200μm×300μmの領域について、0.3μmステップにて、EBSD法でGAM解析により結晶方位解析を行った。この解析により、フェライトの面積率を測定した。また、他の組織の同定は、フェライトの面積率等を測定した断面を鏡面研磨後、ナイタールでエッチングし、光学顕微鏡を用いて400倍で観察することにより行った。
また、鋼管母材のフェライトの平均結晶粒径は、以下の手順により測定した。具体的には、平均結晶粒径については、同様にEBSD法に基づき、GAM解析において、15°の結晶方位差で囲まれる領域を一つの結晶粒と定義し、その中の平均の結晶方位差が1°以下のものをフェライトの結晶粒と判定した。判定された各フェライト粒の円相当直径の相加平均値をフェライトの平均結晶粒径とした。また、上記の測定を別視野で5視野以上測定した。
(シーム熱処理部の金属組織)
シーム熱処理部におけるフェライト面積率は、母材のフェライト面積率と同様の手順で測定した。また、他の組織についても、フェライトの面積率等を測定した断面を鏡面研磨後、ナイタールでエッチングし、光学顕微鏡を用いて400倍で観察することにより行った。
(引張強さおよび降伏強度)
母材部の引張試験は、鋼管の長手方向の全厚試験片を引張試験片として上記電縫鋼管より採取し、引張試験を行い、降伏強度(YS:0.5%全伸び)および引張強さ(TS)を測定した。ここで、母材の引張試験片は、電縫鋼管のシーム部から周方向に90°の位置に対応する部分から採取した。
シーム熱処理部の引張試験は、鋼管の周方向(鋼板の圧延垂直方向)の全厚試験片を引張試験片として、上記電縫鋼管のシーム熱処理部が引張試験片の標点間の略中央部になるように採取し、反り矯正をした後、引張試験を行い、降伏強度(YS:0.5%全伸び)を測定した。
(シャルピー破面遷移温度およびシャルピー衝撃値)
靭性については、シャルピー試験により評価した。周方向(鋼板の圧延垂直方向)のフルサイズVノッチシャルピー試験片を電縫鋼管の母材(電縫鋼管のシーム部から周方向に90°の位置に対応する部分)より採取した。この際、Vノッチの深さ方向は鋼管長手方向とした。試験温度0℃~-100℃でVノッチシャルピー試験を行い、破面遷移温度を調査するとともに、-20℃の衝撃値を測定した。
(硬さ試験)
シーム熱処理部の硬さとは、図1に示すように、鋼管長手方向に垂直な断面において、鋼管のシーム部での外表面から1.5mm位置、肉厚中央部の2点に、上記各点から、シーム部での厚さ方向に垂直な方向に両側2mmずつ離れた位置の4点を加えた、計6点において硬さ測定を行った場合の平均硬さである。
硬さについては、図1に示すように、鋼管長手方向に垂直な断面において、鋼管のシーム部での外表面から1.5mm位置の1点に、その1点からシーム部での厚さ方向に垂直な方向に両側2mmずつ離れた位置の2点を加えた、計3点において硬さ測定を行った。測定した上記3点の平均の硬さをシーム熱処理部における外表層のHV10での平均硬さ、つまりHVoutとした。
同様に、鋼管のシーム部での肉厚中央部の1点に、その1点からシーム部での厚さ方向に垂直な方向に両側2mmずつ離れた位置の2点を加えた、計3点において硬さ測定を行った。測定した3点の平均の硬さを、シーム熱処理部における肉厚中央部のHV10での平均硬さ、つまりHVcenterとした。さらに、シーム部から、直線的に30mm離れた位置での外表層、肉厚中央部、肉厚3/4部での3点の硬さ測定を行った。3点の平均の硬さを母材のHV10での平均硬さ、つまりHVbsとした。
(耐SSC性)
シーム熱処理部の耐SSC性を調査するため、定荷重試験を行った。シーム部を含んだC方向からシーム熱処理部の定荷重試験片(NACETM0177に準拠)を採取した。試験溶液は5%食塩と0.05Nの酢酸・酢酸ナトリウムの緩衝溶液を用いて、pHを5.5、硫化水素分圧を0.01MPaに調整した。負荷応力はいわゆる「95ksi」グレードのSMYS(Specified Minimun Yield Strength、655MPa)の80%、つまり524MPaである。その他の試験条件は全てNACETM0177に準拠した。そして、SSCが生じなかったものを合格(○)、SSCが生じたものを不合格(×)と判定した。
以下、纏めて結果を表3に示す。
Figure 0007469616000003
本発明の規定を満足する試験No.1~10は、油井用電縫鋼管として、良好な特性、すなわち良好な強度、靭性および耐SSC性を示した。一方、本発明の規定を満足しない試験No.11~46は、強度、靭性、耐SSC性等のいずれか一つ以上が劣る結果となった。
試験No.11は、C含有量が本発明の規定範囲より低かったため、母材降伏強度が低下した。試験No.12は、C含有量が本発明の規定範囲より高かったため、母材降伏強度が過剰に高くなった。試験No.13は、Si含有量が本発明の規定範囲より低かったため、脱酸が不十分となり、母材靭性が低下した。試験No.14は、Si含有量が本発明の規定範囲より高かったため、多量のSi酸化物が生成し、母材靭性が低下した。
試験No.15は、Mn含有量が本発明の規定範囲より低かったため、固溶強化が不足し、母材靭性が低下した。試験No.16は、Mn含有量が本発明の規定範囲より高かったため、MnS起因の脆化が生じ、母材靭性が低下した。また、耐SSC性も低下した。
試験No.17は、Nb含有量が本発明の規定範囲より低かったため、フェライトの結晶粒径が大きくなり、母材靭性が低下した。試験No.18は、Nb含有量が本発明の規定範囲より高かったため、Nb系炭窒化物が多量に生成し、母材靭性が低下した。
試験No.19は、Ti含有量が本発明の規定範囲より低かったため、結晶粒径が大きくなり、母材靭性が低下した。試験No.20は、Ti含有量が本発明の規定範囲より高かったため、Ti系炭窒化物が多量に生成し、母材靭性が低下した。試験No.21は、Mo含有量が本発明の規定範囲より低かったため、析出強化が十分でなく、母材強度が低下した。試験No.22は、Mo含有量が本発明の規定範囲より高かったため、Mo炭窒化物が多量に生成し、母材靭性が低下した。
試験No.23は、V含有量が本発明の規定範囲より低かったため、結晶粒径が大きくなり、母材靭性が低下した。試験No.24は、V含有量が本発明の規定範囲より高かったため、V炭窒化物が多量に生成し、母材靭性が低下した。試験No.25は、Al含有量が本発明の規定範囲より低かったため、脱酸が不十分となり、母材靭性が低下した。試験No.26は、本発明の規定範囲より高かったため、多量のAl酸化物が生成し、母材靭性が低下した。
試験No.27は、N含有量が本発明の規定範囲より低かったため、炭窒化物が生成せず、結晶粒径が粗大となり、母材靭性が低下した。試験No.28は、N含有量が本発明の規定範囲より高かったため、合金炭化物の生成が多くなり、母材靭性が低下した。試験No.29は、P含有量が本発明の規定範囲より高かったため、粒界脆化が起こり、母材靭性が低下した。
試験No.30は、S含有量が本発明の規定範囲より高かったため、粗大な介在物を生成し、母材靭性が低下し、耐SSC性特性も低下した。試験No.31は、B含有量が本発明の規定範囲より高かったため、焼入れ性が高くなり、母材強度が過剰に高くなった。試験No.32は、(i)式左辺値が本発明の規定範囲より低かったため、電縫溶接部強度が低下した。試験No.33は、Caが本発明の規定範囲より低かったため、耐SSC性が低下した。
試験No.34~36は、母材のフェライトの平均結晶粒径が粗大になり、母材靭性が低下した。これは、試験No.34が、仕上圧延完了温度が本発明の規定範囲より高かったためである。また、試験No.35が、950℃以下の累積圧下率が低かったためである。試験No.36が、熱間圧延後、600~700℃で冷却停止する際の冷却速度が低かったためである。
試験No.37は、母材のフェライト面積率が本発明の規定の範囲より低かったため、母材靭性が低下した。これは、試験No.37が、熱間圧延後、600~700℃において冷却停止されなかったためである。試験No.38は、母材のフェライト相の平均結晶粒径が粗大になり、母材靭性が低下した。これは、試験No.38が、熱間圧延後、600~700℃において冷却停止されなかったためである。
試験No.39および40は、母材のフェライト面積率が本発明の規定範囲より低かったため、母材靭性が低下した。これは試験No.39が、熱間圧延後の450~600℃で冷却を停止する冷却速度が低かったためである。また、試験No.40が、熱間圧延後の450~600℃で冷却を停止する際の冷却速度が高かったためである。
試験No.41は、母材の降伏強度が低下した。これは、試験No.41が、熱間圧延後の450~600℃で冷却を停止されなかったためである。試験No.42は、母材のフェライト相面積率が低下したため、母材の靭性が低下した。これは、試験No.42が、熱間圧延後の450~600℃で冷却を停止されなかったためである。
試験No.43は、シーム熱処理部のフェライト面積率が過剰になったため、シーム熱処理部の降伏強度が低下した。これは、試験No.43が、水冷開始から冷却停止までの冷却速度が遅かったためである。試験No.44は、シーム熱処理部のフェライト面積率が本発明の規定範囲より低かったため、シーム熱処理部の降伏強度と、耐SSC性とが低下した。これは、試験No.43が、水冷開始から冷却停止までの冷却速度が速かったためである。
試験No.45および46は、シーム熱処理部の降伏強度と、耐SSC性とが低下した。これは、復熱回数および復熱時の温度上昇幅が本発明の規定を満足しなかったためである。
1 鋼管
2 シーム部

Claims (4)

  1. 母材とシーム熱処理部とを有する電縫鋼管であって、
    前記電縫鋼管の化学組成が、質量%で、
    C:0.030~0.100%、
    Si:0.010~0.50%、
    Mn:1.30~2.00%、
    P:0.020%以下、
    S:0.0040%以下、
    Al:0.0010~0.100%、
    N:0.0010~0.0100%、
    Nb:0.010~0.100%、
    Ti:0.010~0.100%、
    Mo:0.010~0.500%、
    B:0.0015%以下、
    Ca:0.0010~0.0050%、
    V:0.010~0.100%、
    Cu:0~0.50%、
    Ni:0~0.50%、
    Cr:0~0.50%、
    REM:0~0.0100%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    下記(i)式を満足し、
    前記母材の肉厚中央部における金属組織が、面積率で、
    10~50%のフェライト、および
    7%以下の硬質相を含み、
    残部がベイニティックフェライトであり、かつフェライトの平均結晶粒径が20μm以下であり、
    前記シーム熱処理部の外表層における金属組織が、面積率で、
    50~80%のフェライト、および
    5%以下の硬質相を含み、残部がベイニティックフェライトであり、
    前記母材の引張強さは724MPa以上であり、
    前記母材および前記シーム熱処理部の降伏強度は655~758MPaであり、
    前記母材のシャルピー破面遷移温度が-40℃以下で、-20℃におけるシャルピー衝撃値が125J/cm以上であり、
    前記シーム熱処理部の硬さが200~260HV10の範囲であり、かつ
    前記シーム熱処理部において、外表層の平均硬さと肉厚中央部の平均硬さとの関係が下記(ii)式を満足し、
    前記シーム熱処理部における外表層の平均硬さと前記母材の平均硬さとの関係が下記(iii)式を満足する、油井用電縫鋼管。
    Mo+V≧0.10 ・・・(i)
    HVout-HVcenter≦60 ・・・(ii)
    HVout-HVbs≦60 ・・・(iii)
    但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとし、上記式中の各記号は以下により定義される。
    HVout:シーム熱処理部における外表層のHV10での平均硬さ
    HVcenter:シーム熱処理部における肉厚中央部のHV10での平均硬さ
    HVbs:母材のHV10での平均硬さ
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.05~0.50%、
    Ni:0.05~0.50%、
    Cr:0.05~0.50%、および
    REM:0.0001~0.0100%、
    から選択される一種以上を含有する、請求項1に記載の油井用電縫鋼管。
  3. 前記肉厚が10~25mmである、請求項1または2に記載の油井用電縫鋼管。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の油井用電縫鋼管の製造方法であって、
    (a)請求項1または2に記載の化学組成を有する鋳片を、950℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上であり、かつ仕上圧延完了温度が850℃以下である条件で熱間圧延し、熱延鋼板とする工程と、
    (b)前記(a)の工程の後、前記熱延鋼板について冷却を開始し、冷却開始から600~700℃における冷却停止までを平均冷却速度が20.0℃/s以上で冷却し、450~600℃における冷却停止までを平均冷却速度が2.0~10.0℃/sで冷却する工程と、
    (c)前記熱延鋼板に成形および溶接を施し、電縫鋼管とする工程と、
    (d)前記電縫鋼管におけるシーム部を900~1050℃に加熱する工程と、
    (e)前記加熱後に、水冷を開始し、400~700℃の温度域で水冷を停止し、
    水冷の開始から完了までの平均冷却速度を10.0~50.0℃/sの範囲にする工程と、
    を有し、
    前記(e)の工程において、外表面部の温度の上昇幅が30℃以上となる復熱を2回以上生じさせる、油井用電縫鋼管の製造方法。
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