JP2020012168A - 耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐HIC特性、DWTT特性および耐SSC特性に優れた耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.03〜0.06%、Si:0.10〜0.60%、Mn:1.30〜1.80%、P:0.010%以下、S:0.0010%以下、Nb:0.003〜0.040%、Al:0.0010〜0.050%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.002〜0.006%、Ca:0.0010〜0.0050%、O:0.0030%以下、B:0.0003%以下、他任意元素、残部:Feおよび不純物であり、かつ、[0.05≦Cu+Ni+Cr+Mo+V≦0.80]を満足し、表層における金属組織が、面積率で、フェライト:10〜40%、硬質相:3.0%以下、残部:ベイナイトであり、かつ、平均結晶粒径が15.0μm以下であり、板厚中心部における金属組織が、面積率で、フェライト:30%以下、硬質相:2.0%以下、残部:ベイナイトであり、かつ、平均結晶粒径が20.0μm以下であり、表層硬さが、200HV以下であり、板厚が25〜40mmである、耐サワーラインパイプ用厚鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法に関する。
石油、天然ガス輸送用のパイプラインに使用される鋼管には、様々な性能が要求されている。その一例としては、耐サワー性能(以下、「耐SSC性能」ともいう。)が例示される。ラインパイプ用鋼管の使用環境は、硫化水素等を含む酸性化した厳しい腐食環境である。そして、管内を原油が流れる等により、鋼管に腐食が生じ、生じた腐食を起点として硫化物応力割れ(以下、「SSC」ともいう。)が生じることがある。このようなSSCの発生を防止するため、ラインパイプ用鋼管には、基本性能として優れた耐サワー性能が要求されるが、加えて、「耐HIC特性」および「DWTT特性」についても要求される。
「耐HIC特性」とは、外部応力が作用しない場合でも発生する水素誘起割れ(以下、「HIC」と記載する。)について、そのしにくさを示す特性である。そして、「HIC」は、例えば、ラインパイプ用鋼管の使用環境のような、硫化水素等と水分とが共存する環境において発生することが知られている。また、「DWTT特性」とは、低温における靭性、特に脆性亀裂伝播停止特性の評価手法の一つである落重引裂試験(DWTT)を行った際の特性である。
さらに、水深1000m以上の深海において用いられる場合、耐圧の観点から、上記鋼管には、素材の厚さを厚くする、いわゆる肉厚化も要求される。
特開2012−241270号公報
耐HIC特性とDWTT特性とは、一般的に相反する特性である。ラインパイプ用鋼管の厚肉化に加え、これら相反する特性を具備させる必要がある。このため、製造方法および組織等を適切に制御する必要がある。製造方法および組織等を適切に制御する技術として、例えば、特許文献1では、耐圧潰性に優れた耐サワーラインパイプを開示している。
特許文献1で開示された耐サワーラインパイプでは、スラブを熱間圧延後、デスケーリングを行い、その後直ちに表層の冷却速度と鋼板の平均冷却速度とを調整した加速冷却を300〜600℃まで行っている。続いて、室温まで冷却、管に形成、溶接することで、所定部位においてミクロ組織および硬さを調整している。
しかしながら、特許文献1では鋼板への噴射流衝突圧を高めた上でデスケーリングを行う必要があり、特殊な製造装置を必要とする。また、特許文献1では、板厚、耐HIC特性、DWTT特性、および耐SSC特性における相関について十分に検討されているとは言えない。
本発明は、上記の問題を解決し、耐HIC特性、DWTT特性、および耐SSC特性に優れた耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.03〜0.06%、
Si:0.10〜0.60%、
Mn:1.30〜1.80%、
P:0.010%以下、
S:0.0010%以下、
Nb:0.003〜0.040%、
Al:0.0010〜0.050%、
Ti:0.005〜0.020%、
N:0.002〜0.006%、
Ca:0.0010〜0.0050%、
O:0.0030%以下、
B:0.0003%以下、
Cu:0〜0.50%、
Ni:0〜0.50%、
Cr:0〜0.30%、
Mo:0〜0.20%、
V:0〜0.10%、
Mg:0〜0.010%、
REM:0〜0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
かつ、下記(i)式を満足し、
表層における金属組織が、面積率で、
10〜40%のフェライト、および
3.0%以下の硬質相を含み、
残部がベイナイトであり、かつ、
平均結晶粒径が15.0μm以下であり、
板厚中心部における金属組織が、面積率で、
30%以下のフェライト、および
2.0%以下の硬質相を含み、
残部がベイナイトであり、かつ、
平均結晶粒径が20.0μm以下であり、
表層硬さが、ビッカース硬さで、200以下であり、
板厚が25〜40mmである、耐サワーラインパイプ用厚鋼板。
0.05≦Cu+Ni+Cr+Mo+V≦0.80 ・・・(i)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
(2)前記化学組成が、質量%で、
Mg:0.003〜0.010%、および
REM:0.005〜0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)に記載の耐サワーラインパイプ用厚鋼板。
(3)上記(1)または(2)に記載の耐サワーラインパイプ用厚鋼板を製造する方法であって、
(a)鋼片を1100〜1250℃の温度域に加熱して均熱化する工程と、
(b)前記鋼片に粗圧延を行い、表面温度が900〜760℃の温度域から仕上圧延を開始し、700℃以上で仕上圧延を完了し、鋼板とする工程と、
(c)前記仕上圧延をされた鋼板に対し、前記仕上圧延完了後、80秒以内に冷却を開始し、当該鋼板の表面における冷却速度が15〜150℃/sとなるように冷却し、かつ当該鋼板の表面温度が650℃以下で、板厚1/4部における温度が680℃以上の温度域で前記冷却を停止する工程と、
(d)前記(c)において冷却を停止された鋼板の表面温度が700℃以上となるよう復熱させる工程と、
(e)前記複熱させた鋼板の板厚中心部における冷却速度が3〜40℃/sとなるように冷却し、当該鋼板の表面温度が500〜300℃の温度域で冷却を停止し、その後、室温まで空冷する工程と、を備える、
耐サワーラインパイプ用厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、耐HIC特性、DWTT特性、および耐SSC特性に優れた耐サワーラインパイプ用厚鋼板を得ることができる。
本発明者らは、水深1000m以上といった深海での使用をも想定し、要求される耐HIC特性、DWTT特性、および耐SSC特性を有する耐サワーラインパイプ用鋼管について検討した。その結果、以下(a)〜(d)の知見を得た。
(a)所望する耐HIC特性を得るために、中心偏析が発生しやすい鋼板の板厚中心部では、フェライトの生成を抑制し、ベイナイトを主相とする組織であるのが好ましい。
(b)DWTT特性は、鋼中のフェライト量が多いほど、その特性が改善する。一方、フェライト量が過剰であると、強度および耐HIC特性が低下する。このため、鋼板の板厚中心部においては、所定量のベイナイトを確保しつつ、表層においては相対的にフェライトを多く生成させることが有効である。これにより、DWTT特性を改善し、かつ強度および耐HIC特性が低下することを抑制できる。
(c)上記鋼管は、管内を原油等が直接流れるため、SSCが発生する場合がある。鋼管素材である鋼板においては、SCCの発生を防止するため、表面の耐SSC特性が重要である。フェライトは、耐SSC特性を向上させる効果を有することから、表層では、比較的、フェライト量が多い組織とするのが好ましい。
(d)上記(a)〜(c)のような金属組織を得るためには、鋼板の製造時の冷却工程において二段階の冷却を行うのが有効である。すなわち、一段目の冷却では、表層のみ冷却を急速に行い、鋼板の表層と内部との温度差を可能な限り大きくする。これにより、板厚の各部位において、大きく異なる金属組織を有する鋼板となる。一段目冷却後は、一旦水冷を停止し、内部の熱によって鋼板の表面温度が上昇する、いわゆる複熱を生じさせる。その後、鋼板の表面温度が、板厚中心部の温度に近くなった時点で、二段目の冷却を実施し、組織を制御する。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.03〜0.06%
Cは、強度を確保するために必要な元素である。C含有量が0.03%未満では、後述する強度を得ることができない。このため、C含有量は0.03%以上とし、0.04%以上であるのが好ましい。しかしながら、C含有量が0.06%を超えると、炭化物の生成が促進され、耐HIC特性を損なう。このため、C含有量は0.06%以下とし、0.05%以下であるのが好ましい。
Si:0.10〜0.60%
Siは、脱酸作用を有し、さらに、鋼を強化する作用もある。また、Si含有量が0.10%未満であると、脱酸が不十分となるため、Si含有量は0.10%以上とし、0.20%以上であるのが好ましい。しかしながら、Si含有量が0.60%を超えると、溶接熱影響部(以下、「HAZ」と記載する。)に、マルテンサイトが多く生成し、靱性を極度に劣化させる。このため、Si含有量は0.60%以下とし、0.50%以下であるのが好ましい。
Mn:1.30〜1.80%
Mnは、鋼を強化するとともに、靱性を高める効果を有する。Mn含有量が1.30%未満では、後述する強度を得ることができない。このため、Mn含有量は1.30%以上とし、1.40%以上であるのが好ましい。しかしながら、Mn含有量が1.80%を超えると、スラブにおける中心偏析が増大し、HICが発生しやすくなる。このため、Mn含有量は1.80%以下とし、1.70%以下であるのが好ましい。
P:0.010%以下
Pは、不純物であり、可能な限り低減するのが好ましい。P含有量が過剰になり、特に、0.010%を超えると、スラブにおける中心偏析が増大して、局部的に硬さが増加する。このため、P含有量は0.010%以下とする。
S:0.0010%以下
SもPと同様に、不純物であり、可能な限り低減するのが好ましい。S含有量が、0.0010%を超えると、鋼に対して有害な介在物であるMnSが多く生成する。このため、S含有量は0.0010%以下とする。
Nb:0.003〜0.040%
Nbは、未再結晶領域を拡大させ、圧延の際に転位を導入しやすくする。この結果、Nbは、鋼板において微細組織を形成させる効果を有する。このため、Nb含有量は0.003%以上とする。Nb含有量は0.004%以上であるのが好ましく、0.005%以上であるのがより好ましい。
一方、Nbはスラブ中でNb炭窒化物を形成し、このNb炭窒化物がマトリックスに固溶せずクラスターを形成する。具体的には、Nb含有量が過剰になり、0.040%超になると、Nb炭窒化物が10μmを超えるサイズのクラスターを形成する。そして、このNb炭窒化物が起点となり、HICの発生を招く。このため、Nbの含有量は0.040%以下とする。Nb含有量は0.035%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましい。
Al:0.0010〜0.050%
Alは、脱酸のために必要な元素である。このため、Al含有量は0.0010%以上とし、0.0030%以上であるのが好ましい。しかしながら、Al含有量が0.050%を超えると、HAZにおいて靱性が劣化しやすくなる。これは、粗大なクラスター状のアルミナ系介在物粒子が形成されやすくなるからである。このため、Al含有量は0.050%以下とし、0.040%以下であるのがより好ましい。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、脱酸剤として作用し、また、窒化物を形成して鋼の結晶粒の細粒化に寄与する。このため、Ti含有量は0.005%以上とする。Ti含有量は0.006%以上であるのが好ましく、0.007%以上であるのがより好ましい。しかしながら、Ti含有量が0.020%を超えると、粗大な炭窒化物が形成し、靱性が低下する。このため、Ti含有量は0.020%以下とする。Ti含有量は0.018%以下であるのが好ましく、0.016%以下であるのがより好ましい。
N:0.002〜0.006%
Nは、Ti、Nbなどと窒化物(TiN、NbNなど)を形成する。形成した窒化物は、加熱時にオーステナイト粒の成長を抑制し、結晶粒を微細化する。N含有量が0.002%未満では、十分な窒化物が形成されず、鋼板の結晶粒を微細化できない。このため、N含有量は0.002%以上とし、0.003%以上であるのが好ましい。しかしながら、N含有量が0.006%を超えると、TiまたはNbがNおよびCと結合した、炭窒化物が集積し、靭性の低下が著しくなる。このため、N含有量は0.006%以下とし、0.005%以下であるのが好ましい。
Ca:0.0010〜0.0050%
Caは、硫化物介在物の改質、およびアルミナ介在物の球状化に有効な作用を有する。Ca含有量が0.0010%未満では、これらの効果を得ることができず、MnSおよび/またはアルミナクラスターに起因する、HICの発生を抑制することはできない。このため、Ca含有量は0.0010%以上とし、0.0020%以上であるのが好ましい。しかしながら、Ca含有量が0.0050%を超えると、CaSクラスターが生成する場合がある。このため、Ca含有量は0.0050%とし、Ca含有量は0.0040%以下であるのが好ましい。
O:0.0030%以下
O(酸素)は、不純物として鋼中に存在し、含有量が多い場合には母材靱性に悪影響を及ぼす。具体的には、O含有量が0.0030%を超えると、母材靱性の劣化が著しくなる。このため、O含有量は0.0030%以下とする。
B:0.0003%以下
Bを含有させると、焼入れ性を向上させることができるが、フェライト生成が抑制され靭性の低下を招く場合がある。このため、Bが不純物として含有されていたとしても、B含有量は0.0003%以下とし、0.0002%以下であるのが好ましい。
Cu:0〜0.50%
Ni:0〜0.50%
Cr:0〜0.30%
Mo:0〜0.20%
V:0〜0.10%
Cu、Ni、Cr、MoおよびVは、強度を高める作用を有する。このため、本発明の厚鋼板は、上記の元素に加えてさらに、Cu、Ni、Cr、MoおよびVから選択される1種以上の元素を含有させ、これら元素の合計含有量は下記(i)式を満足する。
0.05≦Cu+Ni+Cr+Mo+V≦0.80 ・・・(i)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
本発明に係る厚鋼板では上記(i)式の中辺値を0.05〜0.80%の範囲とする。上記(i)式における中辺値が、0.05%未満では十分な強度を確保することができない。このため(i)式における中辺値は0.05%以上とし、0.10%以上であるのが好ましい。一方、上記(i)式における中辺値が、0.80%超であると、その効果は飽和する。このため、上記(i)式における中辺値は0.80%以下とし、0.70%以下であるのが好ましい。以下において、各元素について、具体的に述べる。
Cuは強度を向上させる効果を有する。Cuを含有させると、特に、焼入れ−焼戻しの熱処理を行った場合には、Cuによる時効硬化により、強度を一層高めることができる。また、Cuは、耐食性を向上させる効果もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cuを、0.50%を超えて含有させても、コスト上昇に見合った性能の改善が見られない。このため、Cu含有量は0.50%以下とし、0.40%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Cu含有量は0.10%以上であるのが好ましい。
Niを含有させると、焼入性が高まり、強度を向上させることができる。また、強度向上以外にも、マトリックスに固溶したNiは鋼のマトリックスの靱性を高める効果がある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niを、0.50%を超えて含有させても、コスト上昇に見合った性能の改善が見られない。このため、Ni含有量は0.50%以下とし、0.40%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ni含有量は0.10%以上であるのが好ましい。
Crを含有させると、強度を上昇させることができる。Crは、スラブの凝固過程において中心偏析部に濃化しにくい。このため、熱間圧延後の厚鋼板の水冷時に、オーステナイトからのフェライトおよび/またはパーライトへの変態を遅らせて焼入れ性を高める。これにより、Crは鋼板の強度を上昇させる。また、Crは、焼戻し処理または高温でのSR処理の際に、微細な特殊炭化物の析出硬化作用を生じさせる。この結果、Crは、軟化抵抗を増加させ、素地フェライトの軟化を遅らせる。
このように、Crは、耐HIC性と高強度とを、ともに確保するために非常に有効である。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cr含有量が0.30%を超えると、溶接時の作業性を極度に低下させ、さらにコストを増加させる。このため、Cr含有量は0.30%以下とし、0.25%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Cr含有量は0.10%以上であるのが好ましい。
Moは強度を向上させる効果を有する。また、Moには、靱性を向上させる作用もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mo含有量が0.20%を超えると、HAZにおいて、特に、硬さが増加し、靱性および耐SSC性を損なう。このため、Mo含有量は0.20%以下とする。
Vは、強度を向上させる効果を有する。具体的には、Vは、主に、焼戻し時に炭窒化物析出させることで、強度を向上させる。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Vを、0.10%を超えて含有させても、強度を向上させる効果が飽和して、コストが増加する。また、靱性の劣化も生じる。このため、V含有量は、0.10%以下とし、0.06%以下であるのが好ましい。
本発明に係る厚鋼板は、上記元素に加え、Mg、REMから選択される1種以上の元素を含有させてもよい。
Mg:0〜0.010%
Mgは、熱間加工性を高める効果を有する。また、Mgは、Mg含有酸化物を生成してTiNの発生核となり、TiNを微細分散させる効果もある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.010%を超えると、生成する酸化物が過剰になり延性低下をもたらす。このためMg含有量は0.010%以下とする。なお、上記の効果を得るためには、Mg含有量は0.003%以上であるのが好ましい。
REM:0〜0.010%
REMは、熱間加工性を高める効果を有する。また、REMには、HAZ組織を微細化する効果もある。このため、必要に応じてREMを含有させてもよい。しかしながら、REM含有量が過剰であると、介在物を形成させ、清浄性を低下させる。REMを含有させることで形成する介在物は、比較的、靱性低下への影響が小さいが、REM含有量が0.010%超であると、上記介在物による母材の靱性低下を無視できない。
このため、REM含有量は0.010%以下とし、0.009%以下であるのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、REM含有量は0.005%以上であるのが好ましい。
なお、本発明における「REM」は、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は、REMのうちの1種以上の元素の合計含有量を指す。
本発明に係る厚鋼板の残部は、Feおよび不純物である。ここで、不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本発明の厚鋼板に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
2.金属組織
本発明に係る鋼板では、板厚全体においてベイナイトを主相とする。しかしながら、ベイナイトだけでは、所望するDWTT特性、耐HIC特性、および耐SSC特性といった特性、全てを得ることができない。このため、本発明では、板厚が厚いことを活かし、板厚の各部位それぞれにおいて、要求される機能、具体的には、DWTT特性、耐HIC特性、および耐SSC特性を具備させる。
2−1.表層における金属組織
2−1−1.フェライト
表層におけるフェライトは、面積率で、10〜40%の範囲とする。鋼板表層に形成したフェライトは、DWTT特性を安定化させる。また、表層におけるフェライトは、耐SSC特性を向上させる。このため、表層において、フェライトは、面積率で、10%以上とし、15%以上であるのが好ましい。一方、表層における過剰なフェライトは、耐HIC特性を劣化させる。このため、表層におけるフェライトは、面積率で、40%以下とし、35%以下であるのが好ましい。なお、本発明に係る鋼板において、表層とは、鋼板の表面から0.5mm深さの位置を指す。
2−1−2.硬質相
表層の金属組織は、基本的には、ベイナイトおよびフェライトからなるが、一部、硬質相を含む場合がある。硬質相は、極力含まれないことが好ましいが、含まれる場合には、面積率で、3.0%以下とする。これは、表層において、3.0%超の硬質相が含まれていると、SSCの起点となり、耐SSC特性を劣化させるためである。このため、表層における硬質相は、面積率で、3.0%以下とし、1.0%以下であるのが好ましい。なお、硬質相とは、島状マルテンサイト、パーライトなどを指す。
2−1−3.ベイナイト
表層の金属組織は、ベイナイトを主相とし、フェライトおよび硬質相以外の残部をベイナイト相とする。なお、上記ベイナイトには、いわゆる「ベイニティックフェライト」、および「アシキュラーフェライト」を含む。ベイナイトは、フェライトと比べ、強度の高い組織である。このため、主相をベイナイトとすることで、鋼管を製造した際に、後述するTSで520MPa以上、YSで415MPa以上という強度グレードの強度を容易に達成することができる。
したがって、表層における金属組織は、面積率で、10〜40%のフェライト、3.0%以下の硬質相、および残部がベイナイトを含有する組織とする。
なお、本発明において、金属組織は以下の手順で観察を行う。具体的には、鋼板の板幅中心部から、鋼板全厚のサンプルを切り出し、L断面(圧延方向および板厚方向の垂直断面)を鏡面研磨後、コロイダルシリカによる試料調整を実施し、平均結晶粒径およびフェライト分率を、EBSDを用いて測定した。
2−1−4.平均結晶粒径
DWTT特性は金属組織の結晶粒径が小さいほど良好となる。このことから、DWTT特性を安定化させるため、平均結晶粒径は可能な限り小さいことが好ましい。板厚の厚い厚鋼板では、表層の結晶粒径は、板厚中心部に比べ、小さくなる。このため、板厚中心部の平均結晶粒径を考慮すると、表層における金属組織の平均結晶粒径は15.0μm以下とする。
なお、平均結晶粒径は、後方散乱電子回折(EBSD)で測定したときの15°以上の大傾角粒界に囲まれた領域の円相当直径により定義する。また、EBSDによる測定は、倍率を400倍に設定し、200μm×300μmの範囲で行うものとする。
2−2.板厚中心部における金属組織
2−2−1.フェライト
厚鋼板の板厚中心部では、耐HIC特性の確保のため、可能な限りフェライトを形成させない方が好ましい。ただし、板厚中心部におけるフェライトが、面積率で、30%以下であれば、耐HIC特性に影響はない。このため、板厚中心部において、フェライトは、面積率で、30%以下とし、25%以下であるのが好ましい。
2−2−2.硬質相
また、板厚中心部では、フェライト以外にも、耐HIC特性に影響がない範囲、すなわち、面積率で、2.0%以下であれば、硬質相を含んでもよい。このため、板厚中心部において、硬質相は、面積率で、2.0%以下とし、1.7%以下であるのが好ましい。なお、硬質相とは上述のとおりである。
2−2−3.ベイナイト
板厚中心部の金属組織は、ベイナイトを主相とし、フェライトおよび硬質相以外の残部をベイナイトとする。なお、ベイナイトとは、上述のとおりである。
したがって、板厚中心部における金属組織は、面積率で、30%以下のフェライト、2.0%以下の硬質相、および残部が主相であるベイナイトを含有する組織とする。なお、金属組織の観察方法については上述したとおりである。
2−2−4.平均結晶粒径
上述のように、DWTT特性は金属組織の結晶結晶粒径が小さいほど良好となる。最も冷却がしづらく、結晶粒径が大きくなる板厚中心部の平均粒径を20.0μm以下とすれば、DWTT特性が安定化する。このため、板厚中心部における金属組織の平均結晶粒径は20.0μm以下とする。なお、平均結晶粒径の測定については上述したとおりである。
3.表層硬さ
本発明に係る鋼板の表層硬さは、ビッカース硬さ(以下、「HV硬さ」という。)で、200以下とする。鋼板の表層硬さが、HV硬さで、200超であると、割れ感受性が高くなり、耐SSC特性が低下する。表層硬さの下限は特に規定しないが、通常HV硬さで
170以上となる。
なお、本発明においては、上述のとおり、表層とは鋼板の表面から0.5mm深さの位置を指す。そして、表層硬さは、ビッカース硬さ試験で、押付け荷重を100gとして、以下のとおり測定する。具体的には、製造した鋼板を圧延と並行方向に切断し、その断面における表面から表面1mm下までを、0.1mmピッチで測定し、その最大硬さを表層硬さとする。
4.板厚
所望する特性を得るため、本発明に係る厚鋼板の板厚は25〜40mmの範囲とする。
5.目標とする特性
本発明に係る厚鋼板においては、鋼管に製造した際の強度が、アメリカ石油協会規格API 5L(以下、単に「API 5L」とする。)のX60グレードの強度、つまりTS520MPa以上、YS415MPa以上を満足することを目標とする。また、DWTT延性破面率が85%以上の場合を、DWTT特性が良好なものとして判断する。また、耐HIC特性、または耐SSC特性については、それぞれの試験を行い、割れが認められない場合、両特性が良好であると判断する。
6.製造方法
上記の化学組成を有する鋼片を連続鋳造法により製造する。以下において、本発明に係る厚鋼板の製造方法について説明する。
6−1.加熱工程
鋼片は1100〜1250℃の温度域で加熱する。鋼片の加熱は、加熱による軟化作用により圧延工程をスムーズに行えるようにすることが主目的である。また、鋼片中に存在するNb炭窒化物を溶解し、Nbを固溶させればHICの発生を防止することができる。このため、鋼片は1100℃以上に加熱し、1120℃以上で加熱するのが好ましい。
一方、加熱温度が高すぎても、加熱に要するエネルギーが無駄となる。このため、鋼片は1250℃以下で加熱し、1200℃以下で加熱するのが好ましい。また、加熱後は十分な均熱を行うことが必要である。均熱が不十分で、鋼片の温度がそれぞれの部位で大きく異なると、後工程である圧延工程で圧延が不均一になるだけでなく、圧延工程後の冷却工程でも組織制御を上手く行うことができない。この結果、所望する金属組織を得ることができない。
6−2.圧延工程
圧延は、鋼板に粗圧延を行い、被圧延体(厚鋼板)の表面温度が900〜760℃の温度域から仕上圧延を開始し、700℃以上で仕上げ圧延を完了し、鋼板とする。仕上圧延開始温度が900℃超であると細粒化が不十分となりDWTT特性が安定化しない。このため、仕上圧延開始温度は900℃以下とし、880℃以下であるのが好ましい。また、仕上圧延開始温度が760℃未満であると板厚中心部におけるフェライト量が増加し、耐HIC特性が劣化する。このため、仕上圧延開始温度は760℃以上とし、780℃以上であるのが好ましい。また、仕上圧延完了温度が700℃未満であると、板厚中心部におけるフェライト量が増加し、耐HIC特性が劣化する。このため、仕上圧延完了温度(表面温度)は700℃以上とし、750℃以上であるのが好ましい。
粗圧延では、おおよそ厚鋼板の最終板厚の3〜5倍まで圧下する。そして、仕上圧延でさらに圧下し、板厚25〜40mmの厚鋼板とする。
6−3.冷却工程
仕上げ圧延完了後は、冷却を行う。冷却は、例えば、水冷により行えばよい。以下、冷却を水冷によって行う場合を例にして説明する。冷却は二段階に分け、それぞれの冷却の間に冷却を停止し、内部の熱によって厚鋼板の表面温度が上昇する、つまり、複熱する時間を設けることで組織制御を行う。なお、以下の記載においては最初の冷却を一段目冷却と記載し、複熱後の冷却を二段目冷却と記載することがある。
6−3−1.一段目冷却
一段目冷却のとき、冷却開始は仕上圧延完了後になるべく早く行う。具体的には、仕上圧延完了後、80秒以内に鋼板の水冷を開始する。仕上圧延完了後、80秒を超えてから水冷を開始すると、圧延後水冷開始までにフェライト生成が促進され、耐HIC特性が不安定になる。このため、仕上圧延完了後、水冷開始までを80秒以内とし、60秒以内であるのが好ましい。また、一段目冷却時における水冷による冷却は、鋼板の表面における冷却速度が15〜150℃/sとなるように冷却し、かつ鋼板の表面温度が650℃以下で、鋼板の板厚1/4部における温度が680℃以上の温度域で水冷による冷却を停止する。
一段目冷却時の冷却速度が15℃/s未満であると、板厚内部において冷却速度を確保することが困難になる。このため、上記冷却速度は15℃/s以上とし、20℃/s以上であるのが好ましい。一方、上記冷却速度が150℃/s超であると、HV硬さで、200を上回る硬質組織が形成される。このため、上記冷却速度は150℃/s以下とし、100℃/s以下であるのが好ましい。このように、厚鋼板の表面のみを急速に冷却することで、表面と板厚内部との温度差を大きくし、板厚方向のフェライトの面積率を制御することができる。
そして、冷却を停止する際、鋼板の表面温度が650℃超であると、表層において所望する量のフェライトを確保することが難しい。このため、一段目冷却における冷却を停止する際の鋼板の表面温度は650℃以下とし、600℃以下であるのが好ましい。また、上記冷却を停止する際、鋼板の板厚1/4部における温度が680℃未満であると、板厚内部におけるベイナイト組織を確保することが難しい。このため、上記冷却を停止する際、鋼板の板厚1/4部における温度は680℃以上とし、700℃以上であるのが好ましい。
上記冷却停止時に、鋼板表面と板厚1/4部の部位において温度差がある場合には、複熱により表面温度が上昇する。ここで、冷却が停止された鋼板の表面温度が700℃以上になるまで放置し、複熱させる。特に冷却が停止された鋼板の復熱後の最高表面温度については規定しないが、通常、800℃以下となる。
6−3−2.二段目冷却
続いて行う二段目冷却は、上述した復熱後の鋼板の表面温度が700℃未満で水冷を開始すると、表層におけるフェライト面積率の確保が不十分となる。
二段目冷却では、鋼板の板厚中心部における冷却速度が3〜40℃/sとなるように冷却する。二段目冷却の冷却速度が3℃/s未満であると、板厚内部におけるベイナイト組織の確保が困難となる。このため、上記冷却速度は3℃/s以上とし、5℃/s以上であるのが好ましい。一方、上記冷却の冷却速度が40℃/s超であると、板厚内部において硬質組織の生成が顕著となり、耐HIC特性の確保が困難となる。このため、上記冷却の冷却速度は40℃/s以下とし、30℃/s以下であるのが好ましい。
その後、鋼板の表面温度が500〜300℃の温度域で上記の水冷による冷却を停止する。冷却停止温度が500℃超であると、板厚内部におけるベイナイト組織の確保が困難となる。このため、上記冷却停止温度は500℃以下とし、480℃以下であるのが好ましい。一方、冷却停止温度が300℃未満であると、板厚内部において硬質組織の生成が顕著となり、耐HIC特性の確保が困難となる。このため、上記冷却停止温度は300℃以上とし、350℃以上であるのが好ましい。その後は、そのまま放置して、室温まで空冷すればよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1および2に示す組成を有する300mm厚の鋼片を連続鋳造法にて作製した。表3および表4に示す製造条件により、製造し、その後、室温まで空冷し、厚鋼板を製造した。
Figure 2020012168
Figure 2020012168
Figure 2020012168
Figure 2020012168
製造した厚鋼板は以下に示す方法により、金属組織および特性を調査した。具体的には、鋼板の板幅中心部から、鋼板全厚のサンプルを切り出し、L断面を鏡面研磨後、コロイダルシリカによる試料調整を実施し、平均結晶粒径およびフェライト分率を、EBSDを用いて測定した。測定は表層0.5mm位置および板厚中央とした。フェライト粒径の測定方法は、倍率を400倍に設定し、200μm×300μmの範囲を、0.25μmピッチで測定した。結晶粒径は15°傾角を基準に判定した。フェライト分率は、GAMの閾値を0.5に設定し、0.5以下をフェライト組織と判定した。
鋼板の板幅中心部から、幅方向を長手方向とし、API 5Lに準拠した全厚試験片を2本ずつ採取し、室温で引張試験を行い降伏応力および引張強度を求めた。深海で使用することを考慮して、TSが520MPa以上、かつYSが415MPa以上を満足するものを良好なものとして判断した。
硬さ測定は、ビッカース硬さ試験で、押付け荷重を100gとして、製造した鋼板を圧延と並行方向に切断し、その断面における表面から表面1mm下までを、0.1mmピッチで測定し、その最大硬さを表層硬さとした。
鋼板の板幅中心部から、幅方向を長手方向とする全厚のDWT試験片を採取した。DWT試験もAPI 5Lに準拠して、−30℃で2回の試験を行い、最低値をDWTT延性破面率として測定した。ここで、DWTT延性破面率が85%以上の場合をDWTT特性が良好なものとした。
耐HIC特性は、NACE Standard TM 0284に準じた、A溶液中浸漬時間96時間のHIC試験を行い、割れが認められない場合を耐HIC特性が良好と判断して○で、割れが発生した場合を×で示した。
SSC試験は、厚さ5mm、幅15mm、長さ115mmの矩形試験片を採取し、4点曲げにより試験片中央に降伏強度の90%に相当する応力を付与した後、酢酸水溶液と塩化ナトリウム水溶液を混合してpHを3.0に調整した浸漬液に100%硫化水素ガスを飽和させ、720時間浸漬した。浸漬が終了した試験片を治具から外し、水洗後、100倍の倍率で試験片表面でのSSC発生有無を確認し、割れが認められない場合を、耐SSC特性が良好と判断して○で、割れが発生した場合を×で示した。
これらの組織および特性を表5および6に示す。
Figure 2020012168
Figure 2020012168
鋼種No.1〜27は、本発明の規定および好ましい製造条件を満足するため、良好な強度、DWTT特性、耐SSC特性および耐HIC特性を得ることができた。一方で、鋼種No.28〜46は、本発明で規定する組成を満足せず、強度、DWTT特性、耐SSC特性、耐HIC特性の少なくともいずれかが劣る結果となった。そして、本発明で規定する組成を満足するが、好ましい製造条件を満足しないNo.47〜59についても、強度、DWTT特性、耐SSC特性、耐HIC特性の少なくともいずれかが劣る結果となった。

Claims (3)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.03〜0.06%、
    Si:0.10〜0.60%、
    Mn:1.30〜1.80%、
    P:0.010%以下、
    S:0.0010%以下、
    Nb:0.003〜0.040%、
    Al:0.0010〜0.050%、
    Ti:0.005〜0.020%、
    N:0.002〜0.006%、
    Ca:0.0010〜0.0050%、
    O:0.0030%以下、
    B:0.0003%以下、
    Cu:0〜0.50%、
    Ni:0〜0.50%、
    Cr:0〜0.30%、
    Mo:0〜0.20%、
    V:0〜0.10%、
    Mg:0〜0.010%、
    REM:0〜0.010%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    かつ、下記(i)式を満足し、
    表層における金属組織が、面積率で、
    10〜40%のフェライト、および
    3.0%以下の硬質相を含み、
    残部がベイナイトであり、かつ、
    平均結晶粒径が15.0μm以下であり、
    板厚中心部における金属組織が、面積率で、
    30%以下のフェライト、および
    2.0%以下の硬質相を含み、
    残部がベイナイトであり、かつ、
    平均結晶粒径が20.0μm以下であり、
    表層硬さが、ビッカース硬さで、200以下であり、
    板厚が25〜40mmである、耐サワーラインパイプ用厚鋼板。
    0.05≦Cu+Ni+Cr+Mo+V≦0.80 ・・・(i)
    但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
  2. 前記化学組成が、質量%で、
    Mg:0.003〜0.010%、および
    REM:0.005〜0.010%、
    から選択される1種以上を含有する、
    請求項1に記載の耐サワーラインパイプ用厚鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の耐サワーラインパイプ用厚鋼板を製造する方法であって、
    (a)鋼片を1100〜1250℃の温度域に加熱して均熱化する工程と、
    (b)前記鋼片に粗圧延を行い、表面温度が900〜760℃の温度域から仕上圧延を開始し、700℃以上で仕上圧延を完了し、鋼板とする工程と、
    (c)前記仕上圧延をされた鋼板に対し、前記仕上圧延完了後、80秒以内に冷却を開始し、当該鋼板の表面における冷却速度が15〜150℃/sとなるように冷却し、かつ当該鋼板の表面温度が650℃以下で、板厚1/4部における温度が680℃以上の温度域で前記冷却を停止する工程と、
    (d)前記(c)において冷却を停止された鋼板の表面温度が700℃以上となるよう復熱させる工程と、
    (e)前記複熱させた鋼板の板厚中心部における冷却速度が3〜40℃/sとなるように冷却し、当該鋼板の表面温度が500〜300℃の温度域で冷却を停止し、その後、室温まで空冷する工程と、を備える、
    耐サワーラインパイプ用厚鋼板の製造方法。
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