JP2014218707A - 耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014218707A
JP2014218707A JP2013099116A JP2013099116A JP2014218707A JP 2014218707 A JP2014218707 A JP 2014218707A JP 2013099116 A JP2013099116 A JP 2013099116A JP 2013099116 A JP2013099116 A JP 2013099116A JP 2014218707 A JP2014218707 A JP 2014218707A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
steel plate
temperature
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013099116A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5928405B2 (ja
Inventor
隆男 赤塚
Takao Akatsuka
隆男 赤塚
章夫 大森
Akio Omori
章夫 大森
石川 信行
Nobuyuki Ishikawa
信行 石川
友和 田村
Tomokazu Tamura
友和 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2013099116A priority Critical patent/JP5928405B2/ja
Publication of JP2014218707A publication Critical patent/JP2014218707A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5928405B2 publication Critical patent/JP5928405B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D1/00General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
    • C21D1/18Hardening; Quenching with or without subsequent tempering
    • C21D1/25Hardening, combined with annealing between 300 degrees Celsius and 600 degrees Celsius, i.e. heat refining ("Vergüten")
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/60Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing lead, selenium, tellurium, or antimony, or more than 0.04% by weight of sulfur

Abstract

【課題】耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.050%以下、S:0.050%以下、Al:0.100%以下を含有し、炭素当量Ceqを0.16〜0.60とし、鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの1種以上から、板厚中央部から板厚方向に±1mmの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの1種以上からなる主相が面積分率で80%以上であり、主相以外の残部がフェライト、パーライト、セメンタイト、残留オーステナイトの1種以上からなり、さらに、鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の硬度が250HV以下で、鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差が60HV以下である耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法に関する。特に、湿潤硫化水素環境下で使用される石油やガスの圧力容器用鋼板や硫化水素を含む石油や天然ガスを輸送するラインパイプ素材として好適な、板厚10mmから60mmの鋼板及びその製造方法に関する。
湿潤硫化水素環境下で使用される石油やガスの圧力容器用鋼板や硫化水素を含む石油や天然ガスを輸送するラインパイプは、強度、靭性、溶接性の他に、耐水素誘起割れ性(以下耐HIC性と呼ぶ)や耐応力腐食割れ性(以下耐SCC性と呼ぶ)などのいわゆる耐サワー性能が必要とされる。鋼材の水素誘起割れは、腐食反応による水素イオンが鋼材表面に吸着し、原子状の水素として鋼内部に侵入し、鋼中のMnSなどの非金属介在物や硬い第2相組織のまわりに拡散・集積して、その内圧により割れを生ずるものとされている。
このような水素誘起割れを防ぐためにいくつかの方法が提案されている。例えば、特許文献1には、鋼中のS含有量を下げるとともに、CaやREMなどを適量添加することにより、長く伸展したMnSの生成を抑制し、微細に分散した球状のCaS介在物に形態を変える技術が開示されている。これにより、硫化物系介在物による応力集中を小さくし、割れの発生・伝播を抑制することによって、耐HIC性を改善するというものである。
また、特許文献2および特許文献3においては、偏析傾向の高い元素(C、Mn、P等)の低減やスラブ加熱段階での均熱処理による偏析の低減、および圧延後の冷却時の変態途中での加速冷却を行う技術が開示されている。これにより、中心偏析部での割れの起点となる島状マルテンサイトの生成、および割れの伝播経路となるマルテンサイトなどの硬化組織の生成を抑制するというものである。
特許文献4には、Cuを添加して、鋼材表面に鋼中への水素侵入を抑制する保護膜を形成した鋼板が開示されている。
最近、X80グレードの高強度鋼板に対して、特許文献5、特許文献6および特許文献7では、低SでCa添加により硫化物系介在物の形態制御を行いつつ、低C−低Mn化により中心偏析を抑制し、それに伴う強度低下をCr,Mo,Ni等の添加と加速冷却により補う方法が開示されている。
特開昭54−110119号公報 特開昭61−60866号公報 特開昭61−165207号公報 特開昭52−111815号公報 特開平5−9575号公報 特開平5−271766号公報 特開平7−173536号公報 特開2003−13138号公報
しかし、上記した従来技術には次のような問題点がある。
特許文献1に開示された技術のように、硫化物系介在物の形態制御のみでは、高強度化に伴い酸化物系介在物に起因する割れの発生が無視できなくなる。
特許文献4に開示された技術のように、鋼材表面への水素侵入を抑制する保護膜を形成しても、pHの低い環境ではその効果が期待できない。例えば、低pHであるNACE溶液では、被膜の効果が得られていない。
特許文献2、特許文献3、特許文献5、特許文献6および特許文献7に開示された技術は、いずれも中心偏析部が対象となっているが、中心偏析部以外の部分については考慮されていない。加速冷却又は直接焼入れによって製造されるAPI規格X65グレード以上の強度を有する高強度鋼板においては、冷却速度の高い鋼板表面部が内部に比べて硬化するため、表面近傍から水素誘起割れが発生するという問題があり、表面からの割れを防ぐためには、表面硬度を低下させる必要がある。
また、従来は、表面硬度を低下させるために、ガス燃焼炉により燃焼ガス雰囲気中で鋼板全体を加熱していた。そのため、目的の温度に到達するのに長時間を要するため、鋼板表層部だけでなく、鋼板中央部まで強度が低下してしまい、鋼材の仕様を満たせないという問題があった。
これに対して、特許文献8に開示の技術では、鋼板の焼戻し時の鋼板表面の昇温速度を10℃/sec以上にすることによって、表層部のみを効果的に加熱し、かつ板厚平均の温度上昇を抑制することができているが、誘導加熱装置を用いて加熱する必要があり、通常の熱処理炉では再現することができないという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決し、通常の熱処理炉を用いた焼戻しで、鋼板表層部を軟化するが、板厚中央部および板厚1/4部の強度低下は抑制した耐HIC性に優れた降伏強さ:415MPa以上、引張強さ:550MPa以上の調質鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋼板の成分組成と製造方法、特に圧延後の加速冷却とその後の再加熱プロセスについて鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
(a)鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織が焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなること。
(b)板厚中央から板厚方向に±1mmの範囲の金属組織は焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなる主相が面積分率で80%以上であり、主相以外の残部がフェライト、パーライト、セメンタイト、残留オーステナイトの中から選ばれる1種以上であること。
(c)鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の硬度がビッカース硬さで250HV以下で、鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差がビッカース硬さで60HV以下である板厚方向硬さ分布を示すこと。
本発明は、上記の知見に更に検討を加えてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
[1]質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.050%以下、S:0.050%以下、Al:0.100%以下を含有し、炭素当量Ceqを0.16〜0.60とし、残部Fe及び不可避的不純物からなり、鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなり、板厚中央部から板厚方向に±1mmの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなる主相が面積分率で80%以上であり、主相以外の残部がフェライト、パーライト、セメンタイト、残留オーステナイトの中から選ばれる1種以上からなり、さらに、鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の硬度がビッカース硬さで250HV以下で、鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差がビッカース硬さで60HV以下であることを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
[2]さらに、質量%で、Nb:0.05%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下、V:0.50%以下の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする前記[1]に記載の耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
[3]さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
[4]前記[1]乃至[3]の何れかに記載の成分組成を有する鋼素材を、1050〜1300℃の温度範囲に加熱し、所定の板厚に熱間圧延して鋼板とした後、引続き鋼板をAr変態点以上から直接焼入れし、400℃以下の温度域で冷却停止した後に、500〜800℃の雰囲気温度の加熱炉に装入して鋼板を加熱し、次いで、加熱炉から抽出する直前の鋼板の状態を、鋼板表面温度が500℃以上Ac変態点未満で、かつ、鋼板表面の昇温速度Vsが下記式(1)を満たす状態として、加熱炉から鋼板を抽出し、空冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板の製造方法。
Vs≧−0.0036×t+0.54 ・・・(1)
ただし、Vs:鋼板表面の昇温速度(℃/min)、t:鋼板板厚(mm)
[5]前記[1]乃至[3]の何れかに記載の成分組成を有する鋼素材を、1050〜1300℃の温度範囲に加熱し、所定の板厚に熱間圧延して鋼板とした後、鋼板をAc変態点以上の温度に加熱し、引き続きAr変態点以上から水冷により400℃以下の温度まで冷却し、さらに、500〜800℃の雰囲気温度の加熱炉に装入して鋼板を加熱し、次いで、加熱炉から抽出する直前の鋼板の状態を、鋼板表面温度が500℃以上Ac変態点未満で、かつ、鋼板表面の昇温速度Vsが下記式(1)を満たす状態として、加熱炉から鋼板を抽出し、空冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板の製造方法。
Vs≧−0.0036×t+0.54 ・・・(1)
ただし、Vs:鋼板表面の昇温速度(℃/min)、t:鋼板板厚(mm)
本発明によれば、焼入れ後の再加熱処理(焼戻し処理)を誘導加熱装置によらないで、通常の熱処理炉を用いて行えるので、耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板を通常の熱処理炉を用いて製造することができる。
以下に本発明の各構成要件の限定理由について説明する。
1.成分組成について
はじめに、本発明の鋼の成分組成を規定した理由を説明する。なお、成分%は、すべて質量%を意味する。
C:0.05〜0.30%
Cは、鋼板の強度を確保するために必要であるが、0.05%未満では十分な強度を確保できず、0.30%を超えると強度が高くなりすぎる上、粗大な炭化物を形成しやすくなるため、靭性および耐HIC性を劣化させる。従って、C量は0.05〜0.30%の範囲内とする。好ましくは0.06〜0.16%の範囲である。
Si:0.05〜0.60%
Siは脱酸のために添加するが、0.05%未満では脱酸効果が十分ではなく、0.60%を超えると島状マルテンサイトを形成しやすくなるため、靭性や溶接性を劣化させる。従ってSi量は0.05〜0.60%の範囲とする。好ましくは0.10〜0.35%の範囲である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは鋼の強度および靭性の向上のため添加するが、0.5%未満ではその効果が十分ではなく、2.0%を超えると焼き入れ性が高くなりすぎるため、溶接性と耐HIC性が劣化する。従って、Mn量は0.5〜2.0%の範囲とする。好ましくは1.0〜1.7%の範囲である。
P:0.050%以下
Pは不可避不純物元素であり、溶接性と耐HIC性とを劣化させる。この傾向は0.050%を超えると顕著となる。従って、P量を0.050%以下とする。好ましくは0.020%以下である。
S: 0.0050%以下
Sは、鋼中においては一般にMnS系の介在物となるが、Ca添加によりMnS系からCaS系介在物に形態制御される。しかしSの含有量が多いとCaS系介在物の量も多くなり、高強度材では割れの起点となり得る。この傾向は、S量が0.0050%を超えると顕著となる。従って、S量は0.0050%以下とする。好ましくは0.0020%以下である。
Al:0.100%以下
Alは脱酸剤として添加される。この効果を得るためには0.010%以上の添加が好ましい。しかし、0.100%を超えると清浄度の低下により耐HIC性を劣化させる。従って、Al量は0.100%以下とする。好ましくは0.050%以下である。
炭素当量Ceq:0.16〜0.60
炭素当量Ceqが0.16未満では焼入れ性が低くなりすぎて、鋼板の金属組織が所望ものとならず、目的とする鋼板強度が確保できない。また炭素当量Ceqが0.60を超えると、焼入れ性が高くなりすぎて、焼き戻し後の表面から1mm位置の硬度がビッカース硬さで250HV以下とならなくなり、耐HIC性が低下する。このため、炭素当量Ceqは0.16〜0.60の範囲とする。好ましくは0.30〜0.50、より好ましくは0.35〜0.45の範囲である。
なお、炭素当量Ceqは下記式で定義される。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15
ここで、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
以上が本発明の基本成分であるが、鋼板の強度、靭性をさらに改善させる目的で、以下に示すNb、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Ca、REM、Mgの1種以上を含有してもよい。
Nb: 0.05%以下
Nbは、圧延時や焼入れのための加熱時の粒成長を抑制し、微細粒化により靭性を向上させる。この効果を得るためには0.005%以上の添加が好ましい。しかし、Nb量が0.05%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化する。従って、Nb量は0.05%以下とする。好ましくは0.03%以下である。
Cu:0.50%以下
Cuは、靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。この効果を得るためには0.05%以上の添加が好ましい。しかし、0.50%を超えて含有するとスラブ加熱時に割れが生じやすくなる上、溶接性が劣化する。従って、Cuを含有する場合は、Cu量は0.50%以下とする。好ましくは0.25%以下である。
Ni:0.50%以下
Niは、靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。この効果を得るためには0.05%以上の添加が好ましい。しかし、0.50%を超えて含有すると応力腐食割れが発生しやすくなる。従って、Niを含有する場合は、Ni量は0.50%以下とする。好ましくは0.25%以下である。
Cr:0.50%以下
Crは焼き入れ性を高め十分な強度を得るために有効な元素である。この効果を得るためには0.05%以上の含有が好ましい。しかし、0.50%を超えて含有すると溶接性を劣化させる。従って、Crを含有する場合は、Cr量は0.50%以下とする。好ましくは0.40%以下である。
Mo:0.50%以下
Moは、靭性の改善と強度の上昇に有効な元素である。この効果を得るためには0.05%以上の含有が好ましい。しかし、0.50%を超えて含有すると溶接性や耐HIC性が劣化する。従って、Moを含有する場合は、、Mo量は0.50%以下とする。好ましくは0.35%以下である。
V:0.50%以下
Vは、靭性、溶接性、および耐サワー性を劣化させずに強度を上昇させる元素である。この効果を得るためには0.01%以上の含有が好ましい。しかし、0.50%を超えて含有すると溶接性を著しく損なう。従って、Vを含有する場合は、V量は0.50%以下とする。好ましくは0.10%以下である。
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは硫化物系介在物の形態制御に不可欠な元素であるが、0.0005%未満ではその効果がなく、0.0050%を超えて含有しても効果が飽和し、むしろ清浄度の低下により耐HIC性を劣化させる。従って、Caを含有する場合は、Ca量は0.0005〜0.0050%の範囲とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.0010〜0.0030の範囲である。
REM:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下
REM、Mgは共に硫化物の形態制御を介して母材の靭性向上および延性向上に寄与する。この効果を得るためには0.0005%以上の含有が好ましい。しかし、0.0050%を超えると過剰な介在物が生成し、逆に靱性が低下する場合があるため、REM、Mgを含有する場合は、REM量、Mg量はいずれも、0.0050%以下とする。好ましくは0.0030以下である。
なお、本発明の鋼の上記成分以外の残部は、Feおよび不可避不純物である。ただし、本発明の作用効果を害さない範囲であれば、上記以外の元素の含有を拒むものではない。
2.金属組織について
鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織:焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種
鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、または、焼戻しベイナイト、または、焼戻しマルテンサイトと焼戻しベイナイトの混合組織でなければ、所望の強度が得られない。また、焼戻しマルテンサイトおよび焼戻しベイナイトは転位密度が高く比較的高強度でラス構造をもつフェライト中に微細なセメンタイトが分散した組織であるので、組織が均一で、水素の集積サイトとなる硬質な第二相が少なく、耐HIC性に優れている。また、靭性も優れている。このため、鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織は焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなる組織とする。
板厚中央部から板厚方向に±1mmの範囲の金属組織:焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなる主相が面積分率で80%以上
板厚中央部はスラブ鋳造の際に中央偏析によりP、Sなどの不純物が濃化して介在物が生じやすいほか、CやMnも濃化するため、硬質な第二相が生じやすく、水素誘起割れが発生しやすい位置である。しかし、焼き入れの際の板厚中央の冷却速度は鋼板表面に比べて遅いため、板厚中央の硬さは表面近傍に比べ低い。このため、板厚中央部は耐HIC性に優れた、焼戻しマルテンサイト、または、焼戻しベイナイト、または、焼戻しマルテンサイトと焼戻しベイナイトの混合組織のみで構成する必要はないが、これらの組織を主相とする必要がある。ここで主相とは面積率で80%以上であることを言う。主相以外の残部はフェライト、パーライト、セメンタイト、残留オーステナイトの中から選ばれる1種以上である。板厚中央部で前記主相が面積率で80%を下回ると、軟質なフェライトが増加するため、所望の鋼板強度を得られなくなる。このため板厚中央部の組織は前記主相が面積率で80%以上とする。また、耐HIC性の面からも、耐HIC性に優れた焼戻しマルテンサイト、および/または、焼戻しベイナイトの割合は高いほうが好ましく、前記主相の面積率は90%以上とすることが好ましい。
3.硬さについて
鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の平均硬度:ビッカース硬さで250HV以下
鋼板表面近傍の硬さは耐HIC性を決定する重要な因子である。硬さが高いほど耐HIC性が低下する。鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の平均硬度が250HVを超えるとHIC試験により割れが発生するため、250HV以下とする。好ましくは240HV以下である。また、表面近傍の硬さが高くなると鋼材の曲げ加工性が劣化してしまうため、この面からも、250HV以下とする。
鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差:60HV以下
鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差がビッカース硬さで60HVを超えると、板厚中央部の硬さが低すぎ、所望の強度が得られなくなる。このため、鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差はビッカース硬さで60HV以下とする。好ましくは50HV以下である。
4.製造条件について
上述した組成を有する鋼を、転炉、電気炉等の溶製手段により溶製し、連続鋳造法または造塊〜分塊法等でスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。なお、溶製方法、鋳造法については上記した方法に限定されるものではない。その後、所望の形状に圧延し、圧延後に、冷却および加熱を行う。なお、鋼材(鋼素材(スラブ)または鋼板)の温度は特に断らない限り、鋼材の表面温度を意味する。
鋼素材の加熱温度:1050〜1300℃
加熱温度が1050℃未満では、鋼素材(スラブ)中に存在する粗大な炭化物が完全に溶解しないため、得られる鋼板の強度が低下しやすい。また、スラブ温度が低いため鋼材の変形抵抗が高く、圧延能率も低下する。一方、鋼素材の加熱温度が1300℃を超えると、組織が粗大化して得られる鋼板の靱性が低下し、また、焼入性が増加しすぎて、得られる鋼板の表層硬さが増加しやすくなる。このため、鋼素材の加熱温度は1050℃〜1300℃の範囲に限定した。
直接焼入れ(焼入れ開始温度:Ar変態点以上、冷却停止温度:400℃以下)
熱間圧延終了後、母材強度および母材靭性を確保するため、また、マルテンサイト、または、ベイナイト、または、マルテンサイトとベイナイトの混合組織を主相とする組織を得るために、Ar変態点以上の温度から、鋼板を強制冷却により焼入れ処理を施すことが必要である。焼入れ開始温度がAr変態点を下回ると、オーステナイトが一部、フェライトに変態してしまい所望の強度、組織が得られない。このため、焼入れ開始温度はAr変態点以上とする。400℃以下に到達するまで直接焼入れする理由は、オーステナイトからマルテンサイトもしくはベイナイトヘの変態を完了させ母材の強度を保つため、および耐HIC性に優れる所望の組織を得るためである。
焼戻し時の鋼板表面温度:500℃以上Ac変態点未満
焼戻し時の鋼板表面の最高到達温度が500℃未満では、加熱温度が低すぎるため直接焼入れによって生じたマルテンサイトまたはベイナイトの焼き戻しが十分でないため、低下した靭性の回復が不十分である。また、表面近傍の硬さを目標未満に低下させることができず、耐HIC特性が十分でない。一方、鋼板表面の最高到達温度がAc変態温度以上になると、逆変態によりフェライトが生じ、表層部の靭性および強度などが著しく低下してしまう。このため、焼戻し時の鋼板表面の最高到達温度は、500℃以上Ac変態点未満の範囲とする。
焼戻し時の鋼板表面温度の昇温速度Vs:Vs≧−0.0036×t+0.54
一般的には、焼戻しにおいては、鋼板全体を均一な組織とするため、鋼板全体ができるだけ均一な温度になってから加熱炉から鋼板を抽出する。しかし、本発明では、意図的に表面と鋼板内部と温度差がついた状態で焼戻しを終了し、鋼板を加熱炉から抽出する。これは、本発明が目的とする耐HIC性に優れた鋼板では、耐HIC性の確保のため表面近傍の硬さを抑制する必要があり、表面近傍の焼戻しを進行させる必要がある反面、鋼板の強度を確保するために鋼板内部の焼戻しは抑制する必要があるためである。
鋼板内部の代表的な位置として板厚1/4を考える。熱伝導解析により、鋼板表面と板厚1/4の温度を計算すると、鋼板表面の昇温速度Vsが小さくなるほど鋼板表面と板厚1/4の温度差が小さくなることがわかった。また、鋼板表面の昇温速度Vsが[Vs≧−0.0036×t+0.54]を満たす状態では、「板厚表層温度−板厚1/4温度≧5℃」を満足していることがわかった。ただし、Vsは鋼板表面の昇温速度(℃/min)、tは鋼板の板厚(mm)である。このような状態では、鋼板表層と板厚1/4に5℃以上の温度差をつけて焼戻しすることができる。当然ながら板厚1/4よりも鋼板の内部(例えば板厚1/2)ではさらに大きい温度差がつく。
温度差をつける焼戻しを行うと、通常の焼戻しと比べて、鋼板内部の強度低下を抑制して、鋼板表層部を焼戻しすることができるため、鋼板強度を保ちつつ、鋼板表層部の軟化を達成できる。板厚表層と板厚1/4の温度差が5℃以上あれば、目標の表面近傍硬さおよび目標の鋼板強度を確保できる。このため、鋼板を加熱炉から抽出する直前の鋼板の状態が、鋼板表面温度が500℃以上Ac変態点未満で、鋼板表面の昇温速度VsがVs≧−0.0036×t+0.54を満足する状態として、鋼板を加熱炉から抽出する。
加熱炉から抽出した鋼板は空冷する。加熱炉から抽出した鋼板を空冷する理由としては、焼き戻した鋼板を水冷すると鋼板の表面と内部に温度差が生じて、鋼板が歪むおそれがあるからであり、鋼板が歪まない冷却速度であれば、通常の空冷以外にも、水の噴霧によるミスト冷却やファンで強制的に空気を送風する冷却も適応できる。なお、鋼板を抽出する直前の鋼板表面の昇温速度Vsの上限は特に定めないが、鋼板表面の昇温速度Vsが大きすぎる場合には、鋼板表層と板厚1/4の温度差が大きすぎ、鋼板内部が十分に焼戻されず、焼入れままのマルテンサイトあるいはベイナイトが残留し靭性および耐HIC性が優れないおそれがあるため、Vs≦−0.0036×t+2.18を満足するまで鋼板を加熱炉中に保持することが好ましい。
再加熱焼入れ(再加熱温度:Ac変態点以上、焼入れ開始温度:Ar変態点以上、冷却停止温度:400℃以下)
熱間圧延後の直接焼入れに代えて、再加熱焼き入れをすることもできる。熱間圧延終了後、鋼板をAc変態点以上に再加熱し、Ar変態点以上の温度から水冷を開始し、400℃以下の温度まで水冷する。再加熱温度がAc変態点未満であると未変態のフェライトが残存し、所望の強度、組織が得られない。このため、再加熱温度はAc変態点以上とする。また、水冷開始温度がAr変態点を下回ると、オーステナイトが一部、水冷開始前に、フェライトに変態してしまい所望の強度、組織が得られない。このため、焼入れ開始温度はAr変態点以上とする。400℃以下に到達するまで水冷する理由は、オーステナイトからマルテンサイトもしくはベイナイトヘの変態を完了させ母材の強度を保つため、および耐HIC性に優れる所望の組織を得るためである。再加熱焼き入れ完了後、鋼板には焼戻しを行なうが、焼戻しの条件は、既に述べた直接焼入れの後に行なう焼戻しと同様である。
なお、Ar変態点、Ac変態点、Ac変態点は、以下の式より計算される値を用いる。
Ar3変態点(℃)=900−332C+6Si−77Mn−20Cu−50Ni−18Cr−68Mo
Ac1変態点(℃)=750.8−26.6C+17.6Si−11.6Mn−22.9Cu−23Ni+24.1Cr+22.5Mo
−39.7V−5.7Ti+232.4Nb−169.4Al−894.7B
Ac3変態点(℃)=937−476.5C+56Si−19.7Mn−16.3Cu−26.6Ni−4.9Cr+38.1Mo
+124.8V+136.3Ti−19.1Nb+198.4Al
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Ti 、Nb、 Al:各元素の含有量(質量%))
転炉−取鍋精錬−連続鋳造法で、表1に示す鋼組成の鋼素材(スラブ)を鋳造し、250mm厚のスラブとした。ここで、鋼種A〜Dは発明鋼、鋼種Eは比較鋼である。これらのスラブに熱間圧延を行い、直接焼入れ(DQ)−焼き戻し処理、あるいは、再加熱焼入れ(RQ)−焼き戻し処理を施した。表2に製造条件を示す。
得られた鋼板について組織観察、硬度測定、引張り特性評価、母材靭性測定、耐HIC試験を下記の要領で実施した。得られた結果を表3に示す。
[組織観察]
鋼板の組織は、圧延方向に垂直な断面のサンプルを採取し、断面を鏡面まで研磨後、硝酸メタノール溶液で腐食し、鋼板表面から板厚方向に1.0mmまで、および板厚中央部から板厚方向に±1mmの範囲を光学顕微鏡により400倍で当該範囲を、画面が連続した複数枚で写真撮影し、写真より当該範囲の相を同定し、各相の面積分率を決定した。焼戻しマルテンサイトと焼戻しベイナイトの組織はいずれもラス間に微細な炭化物が分散した組織であり、これらを判別できないので、焼戻しマルテンサイトと焼戻しベイナイトは同じ相とした。なお、焼戻し前の鋼板では、結晶粒中のセメンタイトの有無でマルテンサイトとベイナイトを区別することが可能である。
[硬度測定]
鋼板の組織は、圧延方向に垂直な断面のサンプルを採取し、断面を鏡面まで研磨後、JIS Z2244に準拠してビッカース硬さを測定した。ビッカース圧子の荷重は10kgとした。表面から1mmの位置、および板厚1/2の位置でそれぞれ5点測定し、5点のビッカース硬さを平均し、表面から1mmの位置および板厚1/2の位置の硬さとした。
[引張り特性]
JIS Z2241 に準拠し、板厚全厚の5号引張り試験片を圧延方向に垂直方向を試験片長手方向として鋼板より採取し、引張り試験を実施した。
[母材靭性]
各鋼板の板厚1/2位置の圧延方向と垂直な方向から、JIS Z 2202(1998年)の規定に準拠してVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242(1998年)の規定に準拠して各鋼板について各温度3本のシャルピー衝撃試験を実施し、試験温度0℃での吸収エネルギーを求め、母材靭性を評価した。試験温度0℃での吸収エネルギー(vEと言う場合がある)の3本の平均値が50J以上を母材靭性に優れるものとした。
[耐HIC試験]
耐HIC性は、pHが約3の硫化水素を飽和させた5%NaCl+0.5%CHCOOH水溶液(通常のNACE溶液)中に鋼材サンプル(幅30mm×長さ60mm×板厚)を96時間浸漬し、その後サンプルを幅中央位置で長さ方向に平行に切断し、板厚断面(圧延方向に平行で幅方向に垂直な断面)を鏡面まで研磨し、断面を20倍で観察し、割れの有無を調査するというHIC試験により評価した。割れが全く観察されないものを合格、割れが1つでも観察されたものを不合格とした。
Figure 2014218707
Figure 2014218707
Figure 2014218707
その結果を表3に示す。ここで、No.1〜5、No.10は発明例、No.6〜9、No.11は比較例である。発明例はいずれも降伏強さ:415MPa以上、引張強さ:550MPa以上を有し、鋼板表面から1mm〜5mmの表層部の平均硬さが250HV以下で、表面から1mmと板厚中央との硬度差が60HV以下である板厚方向硬さ分布を示しており、耐HIC特性も良好であった。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.05〜0.60%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.050%以下、S:0.050%以下、Al:0.100%以下を含有し、炭素当量Ceqを0.16〜0.60とし、残部Fe及び不可避的不純物からなり、鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなり、板厚中央部から板厚方向に±1mmの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種または2種からなる主相が面積分率で80%以上であり、主相以外の残部がフェライト、パーライト、セメンタイト、残留オーステナイトの中から選ばれる1種以上からなり、さらに、鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の硬度がビッカース硬さで250HV以下で、鋼板表面から1mmの位置と板厚中央部との硬度差がビッカース硬さで60HV以下であることを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
  2. さらに、質量%で、Nb:0.05%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下、V:0.50%以下の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
  3. さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の成分組成を有する鋼素材を、1050〜1300℃の温度範囲に加熱し、所定の板厚に熱間圧延して鋼板とした後、引続き鋼板をAr変態点以上から直接焼入れし、400℃以下の温度域で冷却停止した後に、500〜800℃の雰囲気温度の加熱炉に装入して鋼板を加熱し、次いで、加熱炉から抽出する直前の鋼板の状態を、鋼板表面温度が500℃以上Ac変態点未満で、かつ、鋼板表面の昇温速度Vsが下記式(1)を満たす状態として、加熱炉から鋼板を抽出し、空冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板の製造方法。
    Vs≧−0.0036×t+0.54 ・・・(1)
    ただし、Vs:鋼板表面の昇温速度(℃/min)、t:鋼板板厚(mm)
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の成分組成を有する鋼素材を、1050〜1300℃の温度範囲に加熱し、所定の板厚に熱間圧延して鋼板とした後、鋼板をAc変態点以上の温度に加熱し、引き続きAr変態点以上から水冷により400℃以下の温度まで冷却し、さらに、500〜800℃の雰囲気温度の加熱炉に装入して鋼板を加熱し、次いで、加熱炉から抽出する直前の鋼板の状態を、鋼板表面温度が500℃以上Ac変態点未満で、かつ、鋼板表面の昇温速度Vsが下記式(1)を満たす状態として、加熱炉から鋼板を抽出し、空冷することを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板の製造方法。
    Vs≧−0.0036×t+0.54 ・・・(1)
    ただし、Vs:鋼板表面の昇温速度(℃/min)、t:鋼板板厚(mm)
JP2013099116A 2013-05-09 2013-05-09 耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法 Active JP5928405B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013099116A JP5928405B2 (ja) 2013-05-09 2013-05-09 耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013099116A JP5928405B2 (ja) 2013-05-09 2013-05-09 耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014218707A true JP2014218707A (ja) 2014-11-20
JP5928405B2 JP5928405B2 (ja) 2016-06-01

Family

ID=51937449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013099116A Active JP5928405B2 (ja) 2013-05-09 2013-05-09 耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5928405B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172909A (ja) * 2015-03-18 2016-09-29 新日鐵住金株式会社 高圧水素用容器およびその製造方法
WO2017018108A1 (ja) * 2015-07-27 2017-02-02 新日鐵住金株式会社 ラインパイプ用鋼管及びその製造方法
KR20180059915A (ko) * 2016-04-19 2018-06-05 지앙인 싱쳉 스페셜 스틸 웍스 코., 엘티디. 수소 유기 균열 저항 압력 용기 철판 및 그 제조방법
WO2018117449A1 (ko) * 2016-12-22 2018-06-28 주식회사 포스코 수소유기균열 저항성이 우수한 인장강도 450mpa급 후육 강재 및 그 제조방법
WO2019058422A1 (ja) 2017-09-19 2019-03-28 新日鐵住金株式会社 鋼管及び鋼板
KR20190077177A (ko) * 2017-12-24 2019-07-03 주식회사 포스코 고강도 강판 및 그 제조방법
WO2019198468A1 (ja) * 2018-04-09 2019-10-17 日本製鉄株式会社 サワー環境での使用に適した鋼材
WO2020203158A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 日本製鉄株式会社 鋼板
KR20210062883A (ko) * 2019-11-22 2021-06-01 현대제철 주식회사 강재 및 그 제조방법
WO2021176590A1 (ja) 2020-03-04 2021-09-10 日本製鉄株式会社 鋼管および鋼板
CN114207170A (zh) * 2019-08-06 2022-03-18 杰富意钢铁株式会社 高强度薄钢板及其制造方法
KR20220089109A (ko) * 2020-12-21 2022-06-28 주식회사 포스코 충격인성이 우수한 압력용기용 고강도 강재 및 이의 제조방법

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07233415A (ja) * 1994-02-22 1995-09-05 Nippon Steel Corp 耐サワー性および低温靭性に優れた高張力鋼板の製造方法
US20030116231A1 (en) * 1997-03-07 2003-06-26 O'hara Randy D. Hydrogen-induced-cracking resistant and sulphide-stress-cracking resistant steel alloy
JP2005076050A (ja) * 2003-08-28 2005-03-24 Jfe Steel Kk 高強度鋼板の製造方法
JP2007009324A (ja) * 2005-05-30 2007-01-18 Jfe Steel Kk 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材ならびにその製造方法
JP2007016302A (ja) * 2005-06-08 2007-01-25 Jfe Steel Kk 耐ssc特性に優れた高張力鋼板の製造方法
JP2007197777A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Jfe Steel Kk 耐延性亀裂発生特性と耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法
JP2008056962A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Jfe Steel Kk 耐水素誘起割れ性能に優れたバウシンガー効果による降伏応力低下が小さい高強度ラインパイプ用鋼板およびその製造方法
JP2008208454A (ja) * 2007-01-31 2008-09-11 Jfe Steel Kk 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材並びにその製造方法
JP2008266780A (ja) * 2007-03-29 2008-11-06 Jfe Steel Kk 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材ならびにその製造方法
JP2009052137A (ja) * 2007-07-31 2009-03-12 Jfe Steel Kk 高強度耐サワーラインパイプ用鋼板およびその製造方法および鋼管
JP2009242840A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Jfe Steel Corp 曲げ加工性および低温靭性に優れる高張力鋼材ならびにその製造方法
JP2012241267A (ja) * 2011-05-24 2012-12-10 Jfe Steel Corp 高圧縮強度鋼管及びその製造方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07233415A (ja) * 1994-02-22 1995-09-05 Nippon Steel Corp 耐サワー性および低温靭性に優れた高張力鋼板の製造方法
US20030116231A1 (en) * 1997-03-07 2003-06-26 O'hara Randy D. Hydrogen-induced-cracking resistant and sulphide-stress-cracking resistant steel alloy
JP2005076050A (ja) * 2003-08-28 2005-03-24 Jfe Steel Kk 高強度鋼板の製造方法
JP2007009324A (ja) * 2005-05-30 2007-01-18 Jfe Steel Kk 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材ならびにその製造方法
JP2007016302A (ja) * 2005-06-08 2007-01-25 Jfe Steel Kk 耐ssc特性に優れた高張力鋼板の製造方法
JP2007197777A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Jfe Steel Kk 耐延性亀裂発生特性と耐疲労亀裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法
JP2008056962A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Jfe Steel Kk 耐水素誘起割れ性能に優れたバウシンガー効果による降伏応力低下が小さい高強度ラインパイプ用鋼板およびその製造方法
JP2008208454A (ja) * 2007-01-31 2008-09-11 Jfe Steel Kk 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材並びにその製造方法
JP2008266780A (ja) * 2007-03-29 2008-11-06 Jfe Steel Kk 耐遅れ破壊特性に優れた高張力鋼材ならびにその製造方法
JP2009052137A (ja) * 2007-07-31 2009-03-12 Jfe Steel Kk 高強度耐サワーラインパイプ用鋼板およびその製造方法および鋼管
JP2009242840A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Jfe Steel Corp 曲げ加工性および低温靭性に優れる高張力鋼材ならびにその製造方法
JP2012241267A (ja) * 2011-05-24 2012-12-10 Jfe Steel Corp 高圧縮強度鋼管及びその製造方法

Cited By (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016172909A (ja) * 2015-03-18 2016-09-29 新日鐵住金株式会社 高圧水素用容器およびその製造方法
WO2017018108A1 (ja) * 2015-07-27 2017-02-02 新日鐵住金株式会社 ラインパイプ用鋼管及びその製造方法
JPWO2017018108A1 (ja) * 2015-07-27 2017-11-02 新日鐵住金株式会社 ラインパイプ用鋼管及びその製造方法
KR20180059915A (ko) * 2016-04-19 2018-06-05 지앙인 싱쳉 스페셜 스틸 웍스 코., 엘티디. 수소 유기 균열 저항 압력 용기 철판 및 그 제조방법
KR102145898B1 (ko) * 2016-04-19 2020-08-19 지앙인 싱쳉 스페셜 스틸 웍스 코., 엘티디. 수소 유기 균열 저항 압력 용기 철판 및 그 제조방법
WO2018117449A1 (ko) * 2016-12-22 2018-06-28 주식회사 포스코 수소유기균열 저항성이 우수한 인장강도 450mpa급 후육 강재 및 그 제조방법
KR20200040826A (ko) 2017-09-19 2020-04-20 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 강관 및 강판
WO2019058422A1 (ja) 2017-09-19 2019-03-28 新日鐵住金株式会社 鋼管及び鋼板
EP3730655A4 (en) * 2017-12-24 2020-10-28 Posco HIGH STRENGTH STEEL SHEET AND ITS MANUFACTURING PROCESS
KR102031450B1 (ko) 2017-12-24 2019-10-11 주식회사 포스코 고강도 강판 및 그 제조방법
KR20190077177A (ko) * 2017-12-24 2019-07-03 주식회사 포스코 고강도 강판 및 그 제조방법
JPWO2019198468A1 (ja) * 2018-04-09 2021-03-11 日本製鉄株式会社 サワー環境での使用に適した鋼材
WO2019198468A1 (ja) * 2018-04-09 2019-10-17 日本製鉄株式会社 サワー環境での使用に適した鋼材
JPWO2020203158A1 (ja) * 2019-03-29 2021-10-21 日本製鉄株式会社 鋼板
WO2020203158A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 日本製鉄株式会社 鋼板
JP7196997B2 (ja) 2019-03-29 2022-12-27 日本製鉄株式会社 鋼板
CN112969804A (zh) * 2019-03-29 2021-06-15 日本制铁株式会社 钢板
CN114207170B (zh) * 2019-08-06 2022-09-13 杰富意钢铁株式会社 高强度薄钢板及其制造方法
CN114207170A (zh) * 2019-08-06 2022-03-18 杰富意钢铁株式会社 高强度薄钢板及其制造方法
KR102289522B1 (ko) * 2019-11-22 2021-08-12 현대제철 주식회사 강재 및 그 제조방법
KR20210062883A (ko) * 2019-11-22 2021-06-01 현대제철 주식회사 강재 및 그 제조방법
WO2021176590A1 (ja) 2020-03-04 2021-09-10 日本製鉄株式会社 鋼管および鋼板
KR20220131992A (ko) 2020-03-04 2022-09-29 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 강관 및 강판
KR20220089109A (ko) * 2020-12-21 2022-06-28 주식회사 포스코 충격인성이 우수한 압력용기용 고강도 강재 및 이의 제조방법
KR102493979B1 (ko) 2020-12-21 2023-01-31 주식회사 포스코 충격인성이 우수한 압력용기용 고강도 강재 및 이의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP5928405B2 (ja) 2016-06-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5928405B2 (ja) 耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板及びその製造方法
JP5266791B2 (ja) 耐sr特性および変形性能に優れたx100グレード以上の高強度鋼板およびその製造方法
JP6048436B2 (ja) 調質高張力厚鋼板及びその製造方法
EP2484792A1 (en) Steel plate with low yield ratio, high strength, and high toughness and process for producing same
US10767250B2 (en) Thick steel plate for structural pipes or tubes, method of producing thick steel plate for structural pipes or tubes, and structural pipes and tubes
KR102119561B1 (ko) 구조관용 후육 강판, 구조관용 후육 강판의 제조 방법 및, 구조관
JP5141073B2 (ja) X70グレード以下の低降伏比高強度高靱性鋼管およびその製造方法
JP6583374B2 (ja) 耐摩耗鋼板および耐摩耗鋼板の製造方法
JP2008056962A (ja) 耐水素誘起割れ性能に優れたバウシンガー効果による降伏応力低下が小さい高強度ラインパイプ用鋼板およびその製造方法
JP7155702B2 (ja) 耐サワーラインパイプ用厚鋼板およびその製造方法
JP5845674B2 (ja) 曲げ加工性および低温靱性に優れる高張力鋼板およびその製造方法
KR101908818B1 (ko) 저온에서의 파괴 개시 및 전파 저항성이 우수한 고강도 강재 및 그 제조방법
JP6583375B2 (ja) 耐摩耗鋼板および耐摩耗鋼板の製造方法
JP2015190026A (ja) ラインパイプ用厚肉高強度電縫鋼管およびその製造方法
WO2015151468A1 (ja) 耐歪時効特性及び耐hic特性に優れた高変形能ラインパイプ用鋼材およびその製造方法ならびに溶接鋼管
JP2015183279A (ja) 脆性亀裂伝播停止特性に優れる船舶用、海洋構造物用および水圧鉄管用厚鋼板およびその製造方法
KR102002241B1 (ko) 구조관용 강판, 구조관용 강판의 제조 방법, 및 구조관
WO2016157235A1 (ja) 高強度鋼及びその製造方法、並びに鋼管及びその製造方法
JP4547944B2 (ja) 高強度高靭性厚鋼板の製造方法
JP4507708B2 (ja) 低降伏比高強度高靱性鋼板の製造方法
JP3941211B2 (ja) 耐hic性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法
JP7115200B2 (ja) ラインパイプ用鋼板
JP6241434B2 (ja) ラインパイプ用鋼板、ラインパイプ用鋼管、およびその製造方法
JP4824142B2 (ja) 強度、延性の良好なラインパイプ用鋼およびその製造方法
JPWO2019064459A1 (ja) 耐サワーラインパイプ用高強度鋼板およびその製造方法並びに耐サワーラインパイプ用高強度鋼板を用いた高強度鋼管

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5928405

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250