JP2016172909A - 高圧水素用容器およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度で、高圧水素ガス環境下での機械的特性に優れて良好な耐水素ガス脆化特性を備え、厚さ30mm以上の部位を有する、低合金鋼からなる高圧水素用容器を提供する。【解決手段】厚さ≧30mmの部位を有する、外面側からのみ焼入れされた高圧水素用容器であって、所定の化学組成を有し、旧オーステナイト結晶粒がASTM粒度番号9.0以上で、厚さ30mm以上の部位における内外面の硬度差が、ロックウェルC硬さで5.0以下であり、かつ引張強さが850MPa以上である、高圧水素用容器。【選択図】図1

Description

本発明は、高圧水素用容器およびその製造方法に関する。
近年、水素を燃料として走行する燃料電池自動車の開発および燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションの実用化研究が進められている。低合金鋼は、主として水素ステーションに設置される水素を貯蔵する蓄圧器(以下、「容器」ともいう。)に用いられる。
45MPa級の水素ステーション用蓄圧器には、主としてCrおよびMoを含有するJIS SCM435鋼が用いられ、特に、大型の厚肉容器には、CrおよびMoに加えて1.6〜2.0質量%のNiを含有するJIS SNCM439鋼が一般に用いられている。
水素ガス環境において優れた機械的特性と疲労特性とを有する低合金鋼として、特許文献1には、0.10〜0.20質量%のCに加え、Cr、MoおよびVを含有する引張強さが900〜950MPaの低合金鋼が開示されている。特許文献2には、特許文献1に開示された低合金鋼にさらにNiを含有させた引張強さが900〜950MPaの低合金鋼が開示されている。特許文献3には、0.15〜0.60質量%のCに加え、MoおよびVを含有する引張強さが900MPa以上の低合金鋼が開示されている。特許文献4には、0.05〜0.12質量%のCを含有する、また、特許文献5には、0.05〜0.15%のCを含有する、ベイナイト組織を主体とした低合金鋼が開示されている。特許文献6には、特定量のMn、Cr、MoおよびVを含有し引張強さが900MPa以上である、厚さが12mmを超える厚肉容器に好適な低合金鋼が開示されている。特許文献7には、Mn、Ti、NbおよびV等を含有する、高圧水素環境中での疲労き裂進展速度が低減された低合金鋼が開示されている。
特開2009−46737号公報 特開2009−275249号公報 特開2009−74122号公報 特開2012−107332号公報 特開2012−107333号公報 特開2014−173160号公報 国際公開第2014/156187号
商用化が進められている燃料電池自動車としては、ガソリン車と同等の航続距離を確保するために、例えば、これまでの45MPaよりも高圧である70MPaの水素を充填可能なタンクを搭載した自動車(以下、「70MPa級燃料電池自動車」という。)が要求される。そして、70MPa級燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションには、上記水素タンクよりも高圧の水素を貯蔵可能なことが要求される。
ところで、高圧容器は以下の4タイプに分類される。
・Type I:金属容器
・Type II:金属ライナー・フープ巻き容器
・Type III:金属ライナー・全周巻き容器
・Type IV:非金属ライナー・全周巻き容器。
70MPa級燃料電池自動車およびそれに対応するために水素ステーションに設置される容器には、強度および高圧水素ガスによる脆化(以下「水素ガス脆化」という。)に対する耐久性の観点から、Type IIIの複合容器であって内面の金属ライナーを炭素繊維で強化したもの、またはType IVの複合容器であって内面のプラスチックライナーを炭素繊維で強化したものが使用されている。なお、上記Type IIIの複合容器の内面金属ライナーには、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS316系)またはアルミニウム合金が使用される。
しかし、Type IIIおよびType IVの複合容器は非常に高価である。このため、70MPa級の高圧水素用容器として、上記複合容器と比較して安価なType Iの金属容器であって、特に低合金鋼からなるものが望まれている。
耐水素ガス脆化特性に優れた低合金鋼およびこのような低合金鋼製の容器は、特許文献1〜7に開示されている。しかし、近年、70MPa級の高圧水素用容器として、耐圧性を確保するために、厚さが30mm以上の部位を有する金属容器、特に40mm以上の部位を有する極厚の金属容器が要求されている。
低合金鋼製の高圧水素用容器は通常、鋼材を容器形状(素形材)に成形した後、熱処理として、素形材の外面側のみから所謂「片面焼入れ」を行い、その後に焼戻しを施して製造されることが多い。これは、焼入れ−焼戻し処理によって均一な焼戻しマルテンサイト組織とした鋼材は、高強度を維持しつつ靱性および耐水素ガス脆化特性に優れており、低合金鋼製の高圧容器に適しているからである。
なお、前記特許文献1〜7に開示されている鋼を素材として用いると、厚さが30mm以上の部位を有する高圧容器の場合には、十分な耐水素ガス脆化特性を確保できないことがある。これは、図1に示す鋼Oのように、片面焼入れの場合、容器の厚さが大きくなるほど、容器内面側で得られるマルテンサイトの割合が少なくなり、さらに、マルテンサイトの厚さ方向の分布も不均一となって、耐水素ガス脆化特性が低下するからである。このため、厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器の場合には、片面焼入れによって内面側にも十分な割合でマルテンサイトを確保し、さらに、厚さ方向のマルテンサイトの分布を均一にすることが必要である。
本発明は、低合金鋼からなり、850MPa以上の引張強さを有し、高圧水素ガス環境下での機械的特性に優れて良好な耐水素ガス脆化特性を備え、厚さが30mm以上の部位を有する、高圧水素用容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、厚さが30mm以上の部位を有する高圧容器であっても、外面側のみからの片面焼入れによって内面側にも十分な割合でマルテンサイトを確保し、さらに、厚さ方向のマルテンサイトの分布を均一にすることのできる鋼の成分系について、特に微量のB(ボロン)に着目して種々検討した。その結果、下記(a)〜(e)の知見を得た。
(a)Cは、焼入れ性の向上に有効であり、極力含有量を高くすることが望ましい。しかし、Cを過剰に含有させると焼入れ時に焼割れが生じるおそれがある。ここで、Bは、微量の含有量で、焼入れによって厚さ方向に十分かつ均一なマルテンサイト組織を得るのに有効である。また、Mn、CrおよびMoは焼入れ性の向上に有効である。そのため、焼割れの発生を抑制しつつ焼入れ性を向上させるには、C、B、Mn、CrおよびMoを適正量含有させればよい。しかし、B含有量が過剰であるとその効果は飽和する。また、Mn、CrおよびMoの含有量が過剰であると、高圧容器の厚さ方向の焼入れが不均一となり、さらに、厚さ方向の焼入れが不均一であると水素拡散係数が低下して吸蔵水素量が増すため、耐水素ガス脆化特性が却って低下する。以上のことから、C含有量を0.27〜0.38質量%、B含有量を0.0003〜0.003質量%とするとともに、Mn、CrおよびMoの合計含有量を1.50〜2.50質量%とする。
(b)上記(a)項で述べたBの効果を安定して確保するためには、特定量のAlを含有させて、また、必要に応じて、特定量のTi、ZrおよびHfから選ばれる1種以上を含有させて、下記の式を満たすようにすることが望ましい。
B−(11/14)N+(11/48)Ti+(11/91)Zr+(11/178)Hf≧0.0003
ただし、上記の式中のB、N、Ti、ZrおよびHfは、それぞれの元素の質量%での鋼中含有量を意味し、Ti、ZrおよびHfは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
(c)高圧容器の厚さ方向のマルテンサイトの割合とその分布はできる限り均一であることが望ましい。厚さ方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性の指標として、高圧容器の内面と外面との硬度の差が挙げられる。この容器内外面の硬度差が小さいほど厚さ方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性が高いため、容器内外面の硬度差はできる限り小さいことが望ましい。厚さ方向に十分に均一なマルテンサイト組織は、高圧容器の素形材を外面側のみから焼入れし、その後焼戻しを施した場合の容器内外面の硬度差がロックウェルC硬さで5.0以下であることが必要である。なお、焼入れした容器の素形材内面側にも十分な割合でマルテンサイトを確保するとともに、厚さ方向のマルテンサイトの分布を均一にして、十分な耐水素ガス脆化特性を得るには、上記素形材内面側の焼入れままの硬さがロックウェルC硬さで「50C+26(ただし、「C」はCの鋼中含有量(質量%)を表す。)」以上であることが望ましい。
(d)高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素脆化特性を得るには、旧オーステナイト結晶粒の微細化が有効である。十分な機械的特性を得るには、ASTM粒度番号で9.0番以上とすることが必要である。
(e)高圧容器の厚さ方向に均一なマルテンサイト組織が得られるとともに、焼割れが生じにくい鋼の冷却方法として、高圧容器の素形材の外面側のみから焼入れを行うに際し、800〜500℃の温度域における平均冷却速度を20〜200℃/sとする方法がある。このような条件で冷却する方法として、ミスト焼入れまたはシャワー焼入れを適用することができる。
本発明は、上記の内容に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記に示す高圧水素用容器および高圧水素用容器の製造方法にある。
(1)厚さが30mm以上の部位を有する、外面側からのみ焼入れされた高圧水素用容器であって、
質量%で、
C:0.27〜0.38%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.35〜2.50%、
B:0.0003〜0.003%、
Al:0.005〜0.10%、
Cr:0〜2.15%、
Mo:0〜0.30%、
Ti:0〜0.02%、
Zr:0〜0.04%、
Hf:0〜0.05%、
V:0〜0.03%、
W:0〜0.4%、
Nb:0〜0.05%、
Ta:0〜0.05%、
Ni:0〜1.0%、
Cu:0〜1.0%、
Co:0〜1.0%、
Ca:0〜0.01%、
Mg:0〜0.01%、
REM:0〜0.20%、
残部:Feおよび不純物であり、
不純物としてのP、S、OおよびNが、
P:0.025%以下、
S:0.01%以下、
O:0.01%以下、
N:0.01%以下であり、かつ
下記の[1]式で表されるFn1が、1.50≦Fn1≦2.50を満足する化学組成を有し、
旧オーステナイト結晶粒がASTM粒度番号9.0以上であり、
厚さが30mm以上の部位における内外面の硬度差が、ロックウェルC硬さで5.0以下であり、かつ引張強さが850MPa以上である、
高圧水素用容器。
Fn1=Mn+Cr+Mo・・・[1]
ただし、[1]式中のMn、CrおよびMoは、それぞれの元素の鋼中含有量(%)を意味し、CrおよびMoは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
(2)化学組成が、下記の[2]式で表されるFn2が、Fn2≧0.0003を満足する、上記(1)に記載の高圧水素用容器。
Fn2=B−(11/14)N+(11/48)Ti+(11/91)Zr+(11/178)Hf・・・[2]
ただし、[2]式中のB、N、Ti、ZrおよびHfは、それぞれ元素の鋼中含有量(%)を意味し、Ti、ZrおよびHfは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
(3)下記の(A)〜(D)に掲げる元素から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載の高圧水素用容器。
(A)Ti:0.001〜0.02%、Zr:0.001〜0.04%およびHf:0.001〜0.05%
(B)V:0.01〜0.03%、W:0.01〜0.4%、Nb:0.001〜0.05%およびTa:0.001〜0.05%
(C)Ni:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%およびCo:0.1〜1.0%
(D)Ca:0.0001〜0.01%、Mg:0.0001〜0.01%およびREM:0.0001〜0.20%
(4)以下の(i)および(ii)の工程を含む、上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高圧水素用容器の製造方法。
(i)上記(1)から(3)までのいずれかに記載の化学組成を有し、厚さ30mm以上の部位を有する高圧水素用容器の素形材を、Ac点以上かつ850℃を超える温度に加熱した後、800〜500℃の温度域における平均冷却速度を20〜200℃/sとして、前記素形材の外面側のみから冷却して焼入れを行う工程
(ii)前記焼入れられた素形材をAc点以下の温度で焼戻しする工程
(5)外面側のみから冷却して焼入れを行うに際し、ミスト焼入れまたはシャワー焼入れを用い、該焼入れ後に焼戻しを行う、上記(4)に記載の高圧水素用容器の製造方法。
本発明によれば、引張強さが850MPa以上の強度を有し、かつ厚さが30mm以上の部位を有していても、高圧水素ガス環境下での機械的特性に優れて良好な耐水素ガス脆化特性を備える高圧水素用容器を得ることができる。また、本発明の方法によれば、このような高圧水素用容器を安定して得ることができる。
本発明で規定する化学組成条件を満たす鋼Aおよび該条件から外れる鋼Oについて、厚さ15〜40mmの板材を900℃に加熱して片面焼入れ(片面のみをシャワー水冷)し、その後焼戻しを行った実施例の結果を用いて、片面焼入れの場合に被処理材の厚さが30mm以上になると、耐水素ガス脆化特性が低下する場合のあることを説明する図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.化学組成:
本発明の高圧水素用容器の化学組成の限定理由は次のとおりである。以下の説明において各元素の含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.27〜0.38%
Cは、鋼の焼入れ性を高めて厚さ方向のマルテンサイトの分布を均一にし、十分な耐水素ガス脆化特性を得るのに有効な元素である。この効果を得るには、C含有量を0.27%以上とする必要がある。一方、0.38%を超えて過剰にCを含有させてもその効果は飽和し、また、焼入れ時の焼割れの危険性が増す。このため、C含有量は0.27〜0.38%とする。C含有量の好ましい下限は0.30%であり、より好ましい下限は0.33%である。C含有量の好ましい上限は0.36%である。
Si:0.05〜1.0%
Siは、鋼の脱酸に有効な元素である。脱酸効果を得るには、Si含有量を0.05%以上とする必要がある。一方、Si含有量が1.0%を超えると、軟質相であるフェライト相の析出を促進して、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、Si含有量は0.05〜1.0%とする。Si含有量の好ましい下限は0.1%であり、より好ましい下限は0.15%である。Si含有量の好ましい上限は0.5%であり、より好ましい上限は0.35%である。
Mn:0.35〜2.50%
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させるのに有効な元素であり、特にBと組み合わせて含有させることにより鋼の焼入れ性をさらに向上させることができる。この効果を得るには、Mnを0.35%以上含有させたうえで、後述するように、Mn、CrおよびMoの合計含有量である[1]式で表されるFn1を1.50以上で2.50以下とする必要がある。上記のMn、CrおよびMoのうちではMnが最も安価であるため、製造コストの観点から、Mn含有量の上限を2.50%とする。なお、Mn含有量が多くなった場合のMnとPとの共偏析に基づく各種特性の低下防止の観点からも、Mn含有量の上限は2.50%とするべきである。したがって、Mn含有量を0.35〜2.50%とする。
B:0.0003〜0.003%、
Bは、焼入れによって厚さ方向に十分かつ均一なマルテンサイト組織を得るのに有効な元素である。この効果を得るにはB含有量を0.0003%以上とする必要がある。しかし、B含有量が過剰になるとその効果は飽和する。このため、B含有量は0.0003〜0.003%とする。B含有量の好ましい下限は0.0005%であり、より好ましい下限は0.0007%である。B含有量の好ましい上限は0.002%であり、より好ましい上限は0.0015%である。なお、B含有量は後述する[2]式を満たすことが好ましい。
Al:0.005〜0.10%
Alは、鋼の脱酸に有効な元素である。この効果を得るにはAl含有量を0.005%以上とする必要がある。一方、Al含有量が0.10%を超えると、酸化物が形成されやすくなり、靱性等に悪影響を与える。このため、Al含有量は0.005〜0.10%とする。なお、AlにはNを固定する効果もあるため、Bの活用を前提とする本発明においては、0.015%以上のAlを含有させることが好ましい。Al含有量のより好ましい下限は0.02%である。Al含有量の好ましい上限は0.07%であり、より好ましい上限は0.05%である。なお、本発明のAl含有量とは、酸可溶Al(所謂「Sol.Al」)での含有量を指す。
Cr:0〜2.15%
Crは、鋼の焼入れ性を向上させるのに有効な元素であり、特にBと組み合わせて含有させることにより鋼の焼入れ性をさらに向上させることができる。このため、必要に応じてCrを含有させてもよい。しかしながら、上記の効果を得るには、後述するように、[1]式で表されるFn1を1.50以上で2.50以下とする必要がある。上記のMn、CrおよびMoのうちではMnが最も安価でありMoが最も高価である。このため、製造コストの観点から、含有させる場合のCr量の上限を2.15%とする。
Mo:0〜0.30%
Moは、鋼の焼入れ性を向上させるのに有効な元素であり、特にBと組み合わせて含有させることにより鋼の焼入れ性をさらに向上させることができる。このため、必要に応じてMoを含有させてもよい。しかしながら、上記の効果を得るには、後述するように、[1]式で表されるFn1を1.50以上で2.50以下とする必要がある。上記のMn、CrおよびMoのうちではMnが最も安価でありMoが最も高価である。このため、製造コストの観点から、含有させる場合のMo量の上限を0.30%とする。
Ti:0〜0.02%
Tiは、窒化物生成能の高い元素であるため、NをTi窒化物の形で固定し、固溶Bを増加させ、焼入れ性を高める効果を有する。Tiには、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得る効果もある。このため、必要に応じてTiを含有させてもよい。しかしながら、Tiを0.02%を超えて含有すると、窒化物および/または炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のTiの量を0.02%以下とする。Tiの量は、0.015%以下であることが好ましい。一方、前記したTiの効果を安定して発現させるためには、Tiの量は、0.001%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがさらに好ましい。
Zr:0〜0.04%
Zrは、窒化物生成能の高い元素であるため、NをZr窒化物の形で固定し、固溶Bを増加させ、焼入れ性を高める効果を有する。Zrには、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得る効果もある。このため、必要に応じてZrを含有させてもよい。しかしながら、Zrを0.04%を超えて含有すると、窒化物および/または炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のZrの量を0.04%以下とする。Zrの量は、0.03%以下であることが好ましい。一方、前記したZrの効果を安定して発現させるためには、Zrの量は、0.001%以上であることが好ましく、0.02%以上であることがさらに好ましい。
Hf:0〜0.05%
Hfも、窒化物生成能の高い元素であるため、NをHf窒化物の形で固定し、固溶Bを増加させ、焼入れ性を高める効果を有する。Hfには、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得る効果もある。このため、必要に応じてHfを含有させてもよい。しかしながら、Hfを0.05%を超えて含有すると、窒化物および/または炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のHfの量を0.05%以下とする。Hfの量は、0.04%以下であることが好ましい。一方、前記したHfの効果を安定して発現させるためには、Hfの量は、0.001%以上であることが好ましく、0.02%以上であることがさらに好ましい。
前記(A)でまとめて記載したTi、ZrおよびHfは、そのうちのいずれか1種のみで、または2種以上の複合で、含有させることができる。なお、2種以上を複合して含有させる場合の合計量は、0.05%以下であることが好ましい。
V:0〜0.03%
Vは、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得るのに有効な元素である。Vには、鋼の焼入れ性を向上させる効果もある。このため、必要に応じてVを含有させてもよい。しかしながら、Vを0.03%を超えて含有すると、炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のVの量を0.03%以下とする。Vの量は、0.025%以下であることが好ましい。一方、前記したVの効果を安定して発現させるためには、Vの量は、0.01%以上であることが好ましく、0.015%以上であることがさらに好ましい。
W:0〜0.4%
Wは、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得るのに有効な元素である。Wには、鋼の焼入れ性を向上させる効果もある。このため、必要に応じてWを含有させてもよい。しかしながら、Wを0.4%を超えて含有すると、炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のWの量を0.4%以下とする。Wの量は、0.3%以下であることが好ましい。一方、前記したWの効果を安定して発現させるためには、Wの量は、0.01%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがさらに好ましい。
Nb:0〜0.05%
Nbは、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得るのに有効な元素である。このため、必要に応じてNbを含有させてもよい。しかしながら、Nbを0.05%を超えて含有すると、炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のNbの量を0.05%以下とする。Nbの量は、0.03%以下であることが好ましい。一方、前記したNbの効果を安定して発現させるためには、Nbの量は、0.001%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがさらに好ましい。
Ta:0〜0.05%
Taは、炭窒化物の生成を促進し、高圧水素用容器の結晶粒を微細化させ、高圧水素ガス環境下での機械的特性を向上させて良好な耐水素ガス脆化特性を得るのに有効な元素である。このため、必要に応じてTaを含有させてもよい。しかしながら、Taを0.05%を超えて含有すると、炭窒化物が過剰に生成し、高圧水素用容器の内外面の硬度差を大きくするとともに、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。このため、含有させる場合のTaの量を0.05%以下とする。Taの量は、0.03%以下であることが好ましい。一方、前記したTaの効果を安定して発現させるためには、Taの量は、0.001%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがさらに好ましい。
前記(B)でまとめて記載したV、W、NbおよびTaは、そのうちのいずれか1種のみで、または2種以上の複合で、含有させることができる。なお、2種以上を複合して含有させる場合の合計量は、0.4%以下であることが好ましい。
Ni:0〜1.0%
Niは、鋼の焼入れ性を向上させる元素である。このため、必要に応じてNiを含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が1.0%を超えると、製造コストが大きく嵩む。このため、含有させる場合のNiの量を1.0%以下とする。Niの量は、0.5%以下であることが好ましい。一方、前記したNiの効果を安定して発現させるためには、Niの量は、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることがさらに好ましい。
Cu:0〜1.0%
Cuは、鋼の焼入れ性を向上させる元素である。このため、必要に応じてCuを含有させてもよい。しかしながら、Cuの含有量が1.0%を超えると、熱間加工性が低下する。このため、含有させる場合のCuの量を1.0%以下とする。Cuの量は、0.5%以下であることが好ましい。一方、前記したCuの効果を安定して発現させるためには、Cuの量は、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることがさらに好ましい。
Co:0〜1.0%
Coは、鋼の焼入れ性を向上させる元素である。このため、必要に応じてCoを含有させてもよい。しかしながら、Coの含有量が1.0%を超えると、製造コストが大きく嵩む。このため、含有させる場合のCoの量を1.0%以下とする。Coの量は、0.5%以下であることが好ましい。一方、前記したCoの効果を安定して発現させるためには、Coの量は、0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることがさらに好ましい。
前記(C)でまとめて記載したNi、CuおよびCoは、そのうちのいずれか1種のみで、または2種以上の複合で、含有させることができる。なお、2種以上を複合して含有させる場合の合計量は、1.0%以下であることが好ましい。
Ca:0〜0.01%
Caは、鋼中のSと結合して硫化物を形成し、介在物の形状を改善して靱性等の機械的特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じてCaを含有させてもよい。しかしながら、Caを0.01%を超えて含有させても機械的特性の向上効果が飽和する。このため、含有させる場合のCaの量を0.01%以下とする。Caの量は、0.005%以下であることが好ましい。一方、前記したCaの効果を安定して発現させるためには、Caの量は、0.0001%以上であることが好ましく、0.001%以上であることがさらに好ましい。
Mg:0〜0.01%
Mgは、鋼中のSと結合して硫化物を形成し、介在物の形状を改善して靱性等の機械的特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じてMgを含有させてもよい。しかしながら、Mgを0.01%を超えて含有させても機械的特性の向上効果が飽和する。このため、含有させる場合のMgの量を0.01%以下とする。Mgの量は、0.005%以下であることが好ましい。一方、前記したMgの効果を安定して発現させるためには、Mgの量は、0.0001%以上であることが好ましく、0.001%以上であることがさらに好ましい。
REM:0〜0.20%
REMは、鋼中のSと結合して硫化物を形成し、介在物の形状を改善して靱性等の機械的特性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じてREMを含有させてもよい。しかしながら、REMを0.20%を超えて含有させても機械的特性の向上効果が飽和する。このため、含有させる場合のREMの量を0.20%以下とする。REMの量は、0.10%以下であることが好ましい。一方、前記したREMの効果を安定して発現させるためには、REMの量は、0.0001%以上であることが好ましく、0.005%以上であることがさらに好ましい。
本発明において「REM」とは、Sc、Y、およびランタノイドの合計17元素を指し、「REMの含有量」とは、REMが1種の場合はその含有量、2種以上の場合はそれらの合計含有量を指す。また、REMは一般的には複数種のREMの合金であるミッシュメタルとしても供給されている。このため、個別の元素を1種または2種以上添加してREMの量が上記の範囲となるように含有させてもよいし、例えば、ミッシュメタルの形で添加して、REMの量が上記の範囲となるように含有させてもよい。
前記(D)でまとめて記載したCa、MgおよびREMは、そのうちのいずれか1種のみで、または2種以上の複合で、含有させることができる。なお、2種以上を複合して含有させる場合の合計量は、0.20%以下であることが好ましい。
本発明の高圧水素用容器は、上述の各元素と、残部がFeおよび不純物とからなり、不純物としてのP、S、OおよびNが、P:0.025%以下、S:0.01%以下、O:0.01%以下およびN:0.01%以下であり、前記[1]式で表されるFn1が、1.50≦Fn1≦2.50を満足する化学組成を有する。
「不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分を意味する。
P:0.025%以下
Pは、結晶粒界に偏析し、耐水素ガス脆化特性を低下させる。このため、P含有量は0.025%以下に制限する必要がある。P含有量はできるだけ少ないことが望ましい。
S:0.01%以下
Sは、結晶粒界に偏析し、耐水素ガス脆化特性を低下させる。このため、S含有量は0.01%以下に制限する必要がある。S含有量はできるだけ少ないことが望ましい。
O(酸素):0.01%以下
Oは、不純物として鋼中に存在し、含有量が0.01%を超えると粗大な酸化物を形成して靱性等の機械的特性を低下させる。そのため、O含有量は0.01%以下とする。O含有量はできるだけ少ないことが望ましい。
N(窒素):0.01%以下
Nは、不純物として鋼中に存在し、Bと優先的に結合してB窒化物(BN)を形成し、鋼の焼入れ性を低下させる。そのため、N含有量は0.01%以下とする。なお、鋼中にTi、Zr、Hfのいずれもを含有させない場合は、N含有量は0.007%以下とすることが望ましく、0.005%以下とすることがさらに望ましい。
Fn1:1.50以上で2.50以下
厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器は、上述の各元素の含有量、中でもC、B、Mn、CrおよびMoの含有量が上述の範囲にあって、しかも下記[1]式で表されるFn1が、1.50≦Fn1≦2.50を満たす場合に、高圧水素ガス環境下での機械的特性および耐水素ガス脆化特性に優れる。
Fn1=Mn+Cr+Mo・・・[1]
ただし、[1]式中のMn、CrおよびMoは、それぞれの元素の鋼中含有量(%)を意味し、CrおよびMoは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
Mn、CrおよびMoを、上述した微量のBとともに含有させても、厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器に対しては、Fn1が1.50未満の場合には、十分な焼入れ性向上効果を付与できず、高圧水素ガス環境下での機械的特性が低下するので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。一方、Fn1が2.50を超える場合には、厚さ方向の焼入れ性が不均一となり、高圧水素ガス環境下での機械的特性を低下させるので耐水素ガス脆化特性が却って低下する。Fn1の下限は1.70であることが好ましく、1.80であることがさらに好ましい。Fn1の上限は、2.30であることが好ましく、2.20であることがさらに好ましい。
Fn2:0.0003以上
本発明の高圧水素用容器は、下記[2]式で表されるFn2が、Fn2≧0.0003であることが好ましい。
Fn2=B−(11/14)N+(11/48)Ti+(11/91)Zr+(11/178)Hf・・・[2]
ただし、[2]式中のB、N、Ti、ZrおよびHfは、それぞれ元素の鋼中含有量(%)を意味し、Ti、ZrおよびHfは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
Fn2は、本発明の厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器において、焼入れ性に大きな影響を与える固溶B量の指標であり、この値が0.0003以上の場合に、より一層安定して良好な焼入れ性を具備させることができる。Fn2は0.0005以上であることが好ましく、0.0007以上であることがさらに好ましい。Fn2の上限は、0.002であることが好ましい。
2.旧オーステナイト結晶粒:
旧オーステナイト結晶粒がASTM粒度番号9.0未満の場合には、厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器に、高圧水素ガス環境下で十分な機械的特性を付与できないので良好な耐水素ガス脆化特性が得られない。したがって、厚さが30mm以上の部位を有する本発明の高圧水素用容器は、旧オーステナイト結晶粒がASTM粒度番号9.0以上と規定する。高圧水素ガス環境下での機械的特性は、旧オーステナイト結晶粒が微細であればあるほど、つまりASTM粒度番号が大きければ大きいほど良好になるが、工業的な製造工程では該粒度番号の上限は12.0程度である。
ASTM粒度番号は、高圧水素用容器から採取した試料を樹脂に埋めて断面を鏡面研磨した後、例えば、界面活性剤を添加したピクリン酸飽和水溶液によって腐食(エッチング)し、光学顕微鏡によって観察することにより測定することができる。なお、後方散乱電子回折(EBSD)等の方法を用いて、結晶の方位関係から旧オーステナイト結晶粒のASTM粒度番号を求めることもできる。具体的には、EBSDの場合には、例えば結晶方位差15°以上の大角粒界を旧オーステナイト結晶粒界と解釈し、画像解析による結晶粒度の平均値から求めることができる。
3.厚さが30mm以上の部位における内外面の硬度差:
外面側のみから片面焼入れされた本発明の高圧水素用容器は、厚さが30mm以上の部位における下記の[3]式で表される高圧水素用容器の内外面の硬度差(ΔH)が、ロックウェルC硬さ(以下、「HRC」という。)で5.0以下である。
ΔH=HO−HI・・・[3]
ただし、「HO」および「HI」はそれぞれ、高圧水素容器の、厚さが30mm以上の部位における外面近傍のHRCおよび内面近傍のHRCである。
十分な耐圧性を確保するために、厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器の厚さ方向のマルテンサイトの割合とその分布はできる限り均一であることが望ましい。上記の[3]式で表されるΔHは、厚さが30mm以上の部位における上記厚さ方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性の指標であり、ΔHが5.0以下であれば、厚さ方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性が高いので、良好な耐圧性を安定して確保することが可能であり、耐水素ガス脆化特性に優れる。
また、焼入れした容器の素形材内面側にも十分な割合でマルテンサイトを確保し、さらに、厚さ方向のマルテンサイトの分布を均一にして十分な耐水素ガス脆化特性を得るには、上記素形材の厚さが30mm以上の部位における内面側での焼入れままの硬さがHRCで「50C+26(ただし、「C」はCの鋼中含有量(質量%)を表す。)」以上であることが望ましい。
なお、本発明の外面側からのみ焼入れされた高圧水素用容器は、厚さが30mm以上の部位における内外面の硬度差が、HRCで5.0以下であればよく、該部位の最大厚さは特に規定されるものではないが、本発明で規定する化学組成では、80mm程度が限界になると考えられる。
4.引張強さ:
本発明の高圧水素用容器は、引張強さが850MPa以上である。この引張強さであれば、70MPa級の高圧水素用容器として安定して用いることができる。上記引張強さの上限は十分な耐水素ガス脆化特性を確保する観点から1000MPaである。
5.製造方法:
本発明の高圧水素用容器は、例えば、以下の方法により製造することができるが、この方法には限定されない。
上記で説明した化学組成を有する低合金鋼を、溶製した後、鋳造によりインゴットまたは鋳片とする。鋳造されたインゴットまたは鋳片は、熱間圧延、熱間押出等の熱間加工により、継目無鋼管に加工する。この継目無鋼管を厚さが30mm以上の部位を有する高圧水素用容器形状(素形材)に成形する。
高圧容器の素形材は、焼入れ−焼戻し処理により、旧オーステナイト結晶粒、引張強さ等を調整する。焼入れは、素形材の外面側からのみ行う。焼入れの加熱温度はオーステナイト単相組織となるAc点以上で、かつ850℃を超える温度とする。該温度は、860〜950℃とすることが好ましく、880〜920℃とすることがより好ましい。焼入れの加熱温度が850℃以下では、焼入れ性が不十分となることがある。焼入れの加熱温度が950℃を超えると、旧オーステナイト結晶粒が粗大化してASTM粒度番号9.0を下回って、耐水素ガス脆化特性が低下することがある。焼戻しはオーステナイトへの逆変態を生じないAc点以下の温度で行う。なお、焼戻しにおける温度と時間は、鋼の化学組成に応じて、850MPa以上の引張強さが得られるように、適宜調整すればよい。
素形材の外面側からのみの片面焼入れであっても、マルテンサイトの割合を増加させ、しかも焼割れの生じ難い条件で、焼入れを行うべきである。このために、焼入れは、800〜500℃の温度域における平均冷却速度が20〜200℃/sの条件で行うことが好ましい。このような条件で素形材の外面側からのみの片面焼入れ処理を施す方法として、ミスト焼入れまたはシャワー焼入れを用いることが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜Wを真空溶解炉を用いて溶製し、インゴットに鋳造した。表中には下記の式で表されるAc点およびAc点の計算値も併記した。なお、式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(%)を示す。
Ac(℃)=751−16.3C+34.9Si−27.5Mn−5.5Cu−15.9Ni+12.7Cr+3.4Mo
Ac(℃)=881−205.7C+53.1Si−15.0Mn−26.5Cu−20.1Ni−0.7Cr+41.1Mo
表1における鋼A〜Nは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼である。
一方、表1における鋼O〜Wは、化学組成が本発明で規定する条件から外れた鋼である。具体的には、鋼Oは、B含有量が本発明の規定範囲よりも低く、鋼Pは、C含有量が本発明の規定範囲よりも低い。鋼Qは、Si含有量が本発明の規定範囲よりも高い。鋼Rおよび鋼Sは、Fn1が本発明の規定範囲よりも低く、一方、鋼Tおよび鋼Uは、Fn1が本発明の規定範囲よりも高い。鋼VはP含有量が、鋼WはS含有量が、それぞれ本発明の規定範囲よりも高い。
Figure 2016172909
上記の各インゴットを熱間鍛造して、厚さ150mmのブロックとし、このブロックをさらに熱間圧延して、厚さ15〜50mmの板材に仕上げた。
次いで、表2に示す条件で、各厚さの板材を焼入れした。なお、焼入れの際には、実際の高圧水素用容器の片面焼入れを模擬するため、板材の片面のみにシャワー水冷を行った。水冷面とは反対側の面(以下、「非水冷面」という。)が、実際の高圧水素用容器の内面側(高圧水素に接触する側)を模擬していることになる。
各鋼について、焼入れままの各厚さの板材から、旧オーステナイト結晶粒のASTM粒度番号測定用試験片および厚さ方向のHRC測定用試験片を採取した。
すなわち、焼入れままの板材の圧延方向に試験片を採取し、圧延方向に直角の断面が観察面になるように樹脂埋めし、鏡面研磨した後、界面活性剤を添加したピクリン酸飽和水溶液によって腐食(エッチング)し、光学顕微鏡観察して、旧オーステナイト結晶粒(以下、「旧オーステナイト粒」という。)のASTM粒度番号を測定した。なお、焼入れままの旧オーステナイト粒は、焼戻ししてもそのサイズに変化がないため、この焼入れままの旧オーステナイト粒度番号を焼戻し後の旧オーステナイト粒度番号と見なした。
また、焼入れままの板材から、各板厚まま×20mm×20mmの寸法の試験片を採取し、非水冷面の近傍(具体的には、表面から3mmの位置)のHRCを10点測定し、その算術平均値を「50C+26」の値と比較した。
さらに、各鋼について、各厚さの焼入れままの残りの板材に、表2に示す条件で焼戻しを行い、HRC測定用試験片、引張試験片、および耐水素脆化特性調査用の試験片を採取した。
すなわち、各板厚まま×20mm×20mmの寸法の試験片を採取し、板厚方向のHRCを測定した。具体的には、水冷面近傍(表面から3mmの位置)と非水冷面近傍(表面から3mmの位置)のHRCを各10点測定しそれぞれ10点の算術平均値を、水冷面近傍のHRC(HR’)および非水冷面近傍のHRC(HI’)とし、下記の[3']式で表される硬度差(ΔH’)を求めた。なお、上記のΔH’は前記[3]式で表される高圧水素用容器の内外面の硬度差(ΔH)に相当する。
ΔH’=HO’−HI’・・・[3']
また、焼戻し後の板材の非水冷面の直下から、圧延方向に、平行部直径が6mmの丸棒引張試験片を採取し、常温で引張試験を行って引張強さを求めた。
さらに、焼戻し後の板材の非水冷面の直下から、圧延方向に、平行部直径が3mmで、中央部に1mm深さの環状切欠を付与した試験片を採取した。切欠は60゜のV型で、切欠底の半径は0.1mmとした。この試験片を用いて、常温大気中または常温の70MPaの高圧水素ガス中で、ひずみ速度3×10-6/sで引張試験を行い、破断強度を測定し、大気中での破断強度(T1)と高圧水素ガス中での破断強度(T2)から、下記[4]式を用いて相対切欠破断強度を算出し、この値が80%以上であることを目標とした。これは、上記相対切欠破断強度が80%以上であれば、水素による強度の低下は軽微であり、耐水素ガス脆化特性に優れると判断できるからである。
(T1/T2)×100・・・[4]。
表2に、上記の各試験結果を併せて示す。また、図1に、鋼Aおよび鋼Oを用いた表2中の試験番号1、試験番号18および試験番号27〜32を一例にして、片面焼入れの場合の板厚と相対切欠破断強度との関係を整理して示す。
Figure 2016172909
表2から、本発明で規定する条件を満たす試験番号1〜14は、板厚が35〜50mmと大きいにも拘わらず、いずれも相対切欠破断強度が80%を大きく超えており、耐水素ガス脆化特性に優れていることが明らかである。なお、参考例として示す試験番号27〜32のように板厚が15〜25mmと小さい場合には、化学組成が本発明で規定する条件を満たす満たさないに関係なく、相対切欠破断強度が80%を大きく超えており、耐水素ガス脆化特性に優れている。なお、上記の試験番号1〜14および試験番号27〜32の場合、いずれも焼入れままの非水冷面の近傍(具体的には、表面から3mmの位置)のHRCが、前記「50C+26」の値よりも十分大きい。このため、非水冷面側にも十分な割合でマルテンサイトを確保できているとともに、厚さ方向のマルテンサイトの分布も均一であると考えられる。
これに対して、比較例の試験番号15〜26は、いずれも相対切欠き破断強度が80%未満であり、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号15は、鋼Aの化学組成は本発明で規定する範囲内にあるものの、焼入れの加熱温度が850℃で低いため、焼入れままの非水冷面近傍のHRCが前記「50C+26」の値よりも小さく、非水冷面側では十分な割合でマルテンサイトが確保できていない。このため、前記[3']式で表される硬度差ΔH’も5.0を超える8.0で、板厚方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性が低くなって、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
鋼Aを用いた試験番号16は、旧オーステナイト粒のASTM粒度番号が9.0を下回る8.5と小さいため、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
鋼Aを用いた試験番号17は、800〜500℃の温度域における平均冷却速度が小さいので、焼入れままの非水冷面近傍のHRCが前記「50C+26」の値よりも小さく、非水冷面側では十分な割合でマルテンサイトが確保できていない。このため、引張強さが845MPaで本発明の規定値を下回り、さらに、前記[3']式で表される硬度差ΔH’も5.0を遙かに超える10.4で、板厚方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性も低くなって、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号18は、用いた鋼OのB含有量が0.0002%と低く、焼入れによって厚さ方向に十分かつ均一なマルテンサイト組織が得られないので、焼入れままの非水冷面近傍のHRCが前記「50C+26」の値よりも小さく、非水冷面側では十分な割合でマルテンサイトが確保できていないし、前記[3']式で表される硬度差ΔH’も5.0を超える8.4であり、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号19は、用いた鋼PのC含有量が0.26%と低く、厚さ方向のマルテンサイトの分布が不均一なため、前記[3']式で表される硬度差ΔH’が5.0を超える7.5であり、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号20は、用いた鋼QのSi含有量が1.45%と高く、軟質相であるフェライト相の析出が促進したうえに、前記[3']式で表される硬度差ΔH’が5.0を超える5.5であり、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号21および試験番号22は、用いた鋼Rおよび鋼SのFn1がそれぞれ、1.44および1.47であり、ともに1.50より小さい。このため、十分な焼入れ性向上効果が得られず、焼入れままの非水冷面の近傍のHRCが、前記「50C+26」の値よりも小さいため、非水冷面側では十分な割合でマルテンサイトが確保できていないし、板厚方向のマルテンサイトの割合とその分布の均一性が低くなって、前記[3']式で表される硬度差ΔH’も5.0より大きい8.8および8.3であり、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号23および試験番号24は、用いた鋼Tおよび鋼UのFn1がそれぞれ、2.82および2.68であり、ともに2.50より大きい。このため、厚さ方向の焼入れ性が不均一となり、前記[3']式で表される硬度差ΔH’が5.0より大きい7.2および6.9であり、耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
試験番号25は、用いた鋼VのP含有量が0.035%と高いために、また、試験番号26は、用いた鋼WのS含有量が0.013%と高いために、いずれも耐水素ガス脆化特性に劣っていた。
さらに、図1に示すように、本発明で規定する化学組成条件から外れる鋼Oを用いた場合、板厚が30mm以上になると、片面焼入れでは耐水素ガス脆化特性が低下することも明らかである。
本発明によれば、引張強さが850MPa以上の強度を有し、かつ厚さが30mm以上の部位を有していても、高圧水素ガス環境下での機械的特性に優れて良好な耐水素ガス脆化特性を備える高圧水素用容器を得ることができる。また、本発明の方法によれば、このような高圧水素用容器を安定して得ることができる。

Claims (5)

  1. 厚さが30mm以上の部位を有する、外面側からのみ焼入れされた高圧水素用容器であって、
    質量%で、
    C:0.27〜0.38%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.35〜2.50%、
    B:0.0003〜0.003%、
    Al:0.005〜0.10%、
    Cr:0〜2.15%、
    Mo:0〜0.30%、
    Ti:0〜0.02%、
    Zr:0〜0.04%、
    Hf:0〜0.05%、
    V:0〜0.03%、
    W:0〜0.4%、
    Nb:0〜0.05%、
    Ta:0〜0.05%、
    Ni:0〜1.0%、
    Cu:0〜1.0%、
    Co:0〜1.0%、
    Ca:0〜0.01%、
    Mg:0〜0.01%、
    REM:0〜0.20%、
    残部:Feおよび不純物であり、
    不純物としてのP、S、OおよびNが、
    P:0.025%以下、
    S:0.01%以下、
    O:0.01%以下、
    N:0.01%以下であり、かつ
    下記の[1]式で表されるFn1が、1.50≦Fn1≦2.50を満足する化学組成を有し、
    旧オーステナイト結晶粒がASTM粒度番号9.0以上であり、
    厚さが30mm以上の部位における内外面の硬度差が、ロックウェルC硬さで5.0以下であり、かつ引張強さが850MPa以上である、
    高圧水素用容器。
    Fn1=Mn+Cr+Mo・・・[1]
    ただし、[1]式中のMn、CrおよびMoは、それぞれの元素の鋼中含有量(%)を意味し、CrおよびMoは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
  2. 化学組成が、下記の[2]式で表されるFn2が、Fn2≧0.0003を満足する、請求項1に記載の高圧水素用容器。
    Fn2=B−(11/14)N+(11/48)Ti+(11/91)Zr+(11/178)Hf・・・[2]
    ただし、[2]式中のB、N、Ti、ZrおよびHfは、それぞれ元素の鋼中含有量(%)を意味し、Ti、ZrおよびHfは、鋼中にその元素を含まない場合、「0」である。
  3. 下記の(A)〜(D)に掲げる元素から選択される1種以上を含有する、請求項1または2に記載の高圧水素用容器。
    (A)Ti:0.001〜0.02%、Zr:0.001〜0.04%およびHf:0.001〜0.05%
    (B)V:0.01〜0.03%、W:0.01〜0.4%、Nb:0.001〜0.05%およびTa:0.001〜0.05%
    (C)Ni:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜1.0%およびCo:0.1〜1.0%
    (D)Ca:0.0001〜0.01%、Mg:0.0001〜0.01%およびREM:0.0001〜0.20%
  4. 以下の(i)および(ii)の工程を含む、請求項1から3までのいずれかに記載の高圧水素用容器の製造方法。
    (i)請求項1から3までのいずれかに記載の化学組成を有し、厚さ30mm以上の部位を有する高圧水素用容器の素形材を、Ac点以上かつ850℃を超える温度に加熱した後、800〜500℃の温度域における平均冷却速度を20〜200℃/sとして、前記素形材の外面側のみから冷却して焼入れを行う工程
    (ii)前記焼入れられた素形材をAc点以下の温度で焼戻しする工程
  5. 外面側のみから冷却して焼入れを行うに際し、ミスト焼入れまたはシャワー焼入れを用い、該焼入れ後に焼戻しを行う、請求項4に記載の高圧水素用容器の製造方法。

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