JP7469106B2 - フェノール樹脂組成物、フェノール樹脂硬化物、活性炭製造用炭化物及びフェノール樹脂活性炭の製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂組成物、フェノール樹脂硬化物、活性炭製造用炭化物及びフェノール樹脂活性炭の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フェノール樹脂組成物、フェノール樹脂硬化物、活性炭製造用炭化物及びフェノール樹脂活性炭の製造方法に関する。
さらに詳しくは、原料にフェノール樹脂を含む有機材料を用いてメソ孔を有するフェノール樹脂活性炭を得るためのフェノール樹脂活性炭の製造方法、並びに、該フェノール樹脂活性炭の製造方法に用いる原料の製造方法に関する。
活性炭の天然系の原料として、例えば、ヤシの実が使用されているが、殻の極一部しか利用できない。そのため、1tの活性炭を得る為に、約5万個の椰子の実が必要である。このように、天然系の原料だけで大量の活性炭を安定して得ることは困難である。また、天然系の原料を使用した場合は、形状の自由度が低いという問題もある。
これに対して、合成系、例えば、フェノール樹脂を原料とするフェノール樹脂活性炭は、大量に安定して製造することができる。
また、フェノール樹脂は、成型が容易であり、繊維状等の種々の形状の活性炭を得ることも可能である。
しかしながら、フェノール樹脂活性炭は、ヤシ殻活性炭などと異なり、直径2~50nmのメソ孔と呼ばれる細孔が殆ど形成されない。特に10nm以上の比較的大きい細孔ができない。そのため、フェノール樹脂活性炭は比較的大きい分子を吸着することができないという問題があった。
合成系の原料を用いた活性炭にメソ孔を形成するため、種々の提案がされている。特許文献1では、ノボラック樹脂にポリビニルブチラールを加えることにより、メソ孔を有する活性炭繊維を得ることが開示されている。また、特許文献2には、フェノール類等の不飽和有機化合物と有機リン化合物を重合した原料を用いて、メソ孔を有する活性炭を得ることが開示されている。また、特許文献3には、有機質樹脂にアルカリ土類金属等を添加した原料を用いて、メソ孔を有する活性炭を得ることが開示されている。
特開平9-176922号公報 特開平11-157821号公報 特許第5551144号公報
しかし、特許文献1の製造方法は、形成されるメソ孔の大きさが小さいという問題があった。また、繊維状以外の形状の活性炭を製造することは検討されていなかった。また、特許文献2の製造方法では得られる活性炭にはりん成分が、特許文献3の製造方法では得られる活性炭にはアルカリ土類金属等が、各々残留する可能性があった。そのため、特許文献3では、残留するアルカリ土類金属等を除去するため、硫酸水溶液等で洗浄することが必要であるとされている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、メソ孔を有するフェノール樹脂活性炭を得ることができるフェノール樹脂活性炭の製造方法、並びに、この製造方法に用いるフェノール樹脂組成物、フェノール樹脂硬化物、及び活性炭製造用炭化物の製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]フェノール樹脂活性炭の原料となるフェノール樹脂組成物の製造方法であって、フェノール樹脂に、融点が210℃以下の脂肪酸化合物と、シランカップリング剤を混合することを特徴とするフェノール樹脂組成物の製造方法。
[2]前記脂肪酸化合物の配合量が、前記フェノール樹脂を構成するフェノール類の100質量部に対して0.5~20質量部である、[1]に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
[3]前記シランカップリング剤の配合量が、前記フェノール樹脂を構成するフェノール類の100質量部に対して0.1~10質量部である、[1]又は[2]に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
[4]前記フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
[5]前記ノボラック型フェノール樹脂を、塩酸又はシュウ酸を触媒として用いて合成する、[4]に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
[6]前記シランカップリング剤が、アミノ基、クロロ基、メルカプト基、メタクリロキシ基、エポキシ基、及びビニル基からなる群から選択される官能基を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
[7]脱水した前記フェノール樹脂に、前記脂肪酸化合物を混合し、次いで前記シランカップリング剤を混合する、[1]~[6]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
[8][1]~[7]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法によってフェノール樹脂組成物を得、得られたフェノール樹脂組成物を硬化する、フェノール樹脂硬化物の製造方法。
[9]得られたフェノール樹脂組成物を成形してから硬化する、[8]に記載のフェノール樹脂硬化物の製造方法。
[10][1]~[7]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法によってフェノール樹脂組成物を得、得られたフェノール樹脂組成物を炭化する、活性炭製造用炭化物の製造方法。
[11][8]または[9]に記載のフェノール樹脂硬化物の製造方法によってフェノール樹脂硬化物を得、得られたフェノール樹脂硬化物を炭化する、活性炭製造用炭化物の製造方法。
[12][10]または[11]のいずれか一項に記載の活性炭製造用炭化物の製造方法により活性炭製造用炭化物を得、得られた活性炭製造用炭化物を賦活するフェノール樹脂活性炭の製造方法。
本発明のフェノール樹脂組成物、フェノール樹脂硬化物、活性炭製造用炭化物(以下単に「炭化物」と称する場合がある。)、及びフェノール樹脂活性炭(以下単に「活性炭」と称する場合がある。)の製造方法によれば、メソ孔を有するフェノール樹脂活性炭を得ることができる。
実施例1、実施例2及び比較例1の活性炭の細孔分布である。 実施例3~5及び比較例6の活性炭の細孔分布である。 実施例6、実施例7、及び比較例6の活性炭の細孔分布である。 実施例8~11及び比較例6の活性炭の細孔分布である。 実施例12及び比較例7の活性炭の細孔分布である。 実施例13~15の活性炭の細孔分布である。
[フェール樹脂組成物の製造方法]
本発明のフェール樹脂組成物の製造方法は、フェノール樹脂に、融点が210℃以下の脂肪酸化合物と、シランカップリング剤を混合する。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、酸性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、塩基性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂、各種変性フェノール樹脂又はこれらの混合物等を使用できる。
前記フェノール類としては、酸性又は塩基性触媒の存在下でアルデヒド類と反応させて各フェノール樹脂が得られるものであればよく、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、3,5-キシレノール、m-エチルフェノール、m-プロピルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、o-ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、3-メトキシフェノール、4-メトキシフェノール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、メチルハイドロキノン、2-メチルレゾルシノール、2,3-ジメチルハイドロキノン、2,5-ジメチルレゾルシノール、2-エトキシフェノール、4-エトキシフェノール、4-エチルレゾルシノール、3-エトキシ-4-メトキシフェノール、2-プロペニルフェノール、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、2-イソプロポキシフェノール、4-ピロポキシフェノール、2-アリルフェノール、3,4,5-トリメトキシフェノール、4-イソプロピル-3-メチルフェノール、ピロガロール、フロログリシノール、1,2,4-ベンゼントリオール、5-イソプロピル-3-メチルフェノール、4-ブトキシフェノール、4-t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、4-t-ペンチルフェノール、2-t-ブチル-5-メチルフェノール、2-フェニルフェノール、3-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、3-フェノキシフェノール、4-フェノキシフェノール、4-へキシルオキシフェノール、4-ヘキサノイルレゾルシノール、3,5-ジイソプロピルカテコール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルオキシフェノール、3,5-ジ-t-ブチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、ジ-sec-ブチルフェノール、4-クミルフェノール、ノニルフェノール、2-シクロペンチルフェノール、4-シクロペンチルフェノール、1-ナフトール、2-ナフトール、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
なかでも、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、ビスフェノールA、2,3-キシレノール、3,5-キシレノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、o-ブチルフェノール、4-フェニルフェノール、レゾルシノールが好ましく、フェノールが最も好ましい。前記フェノール類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、サリチルアルデヒド、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、o-ニトロベンズアルデヒド、m-ニトロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、o―メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、p-n-ブチルベンズアルデヒド等が挙げられる。
なかでも、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが特に好ましい。前記アルデヒド類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記酸性触媒としては、塩酸、シュウ酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルフォン酸、p-トルエンスルフォン酸、硼酸、又は塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属との塩等が挙げられる。
中でも、メソ孔の比率が高い活性炭を得やすいことから、塩酸またはシュウ酸を触媒として使用することが好ましく、塩酸が特に好ましい。
前記酸性触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記酸性触媒は、フェノールに対して、0.05~3.00質量%使用することが好ましく、0.05~1.00質量%使用することがより好ましい。
酸性触媒を用いた反応を終了させる際に中和する場合、中和液としては、水酸化ナトリウム溶液、アンモニア水、酢酸亜鉛、水酸化カリウム等を使用できる。
前記塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類等が挙げられる。
中でも固形のレゾール型フェノール樹脂を得やすいことから、アミン類が好ましく、アンモニア、ジエチルアミンから選択されるアミン類が特に好ましい。
前記塩基性触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記塩基性触媒は、フェノールに対して、0.5~3.0質量%使用することが好ましく、0.8~2.0質量%使用することがより好ましい。
各種変性フェノール樹脂は、ノボラック型又はレゾール型フェノール樹脂を、ホウ素変性、ケイ素変性、重金属変性、窒素変性、イオウ変性、油変性、ロジン変性等の公知の技法により変性させたものが挙げられる。
上記のなかでも、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂が好ましく、形態が固体であると、後述する添加剤を均一に分散させやすいことから、ノボラック型フェノール樹脂及び固形のレゾール型フェノール樹脂がより好ましく、ノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂に比べて熱安定性に優れ、溶融時の加熱で意図しない重合が進みにくい。そのため、繊維状等、各種の形状への成形を安定して行うことができる。
<脂肪酸化合物>
本発明のフェノール樹脂組成物の製造には、融点が210℃以下の脂肪酸化合物を用いる。本発明において脂肪酸化合物とは、一般式「RC(=O)」で表される脂肪酸基を有する化合物である。
前記式中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。
ここでいう「置換基を有していてもよい」とは、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されていてもよいことを意味する。
脂肪酸化合物の融点は、40~210℃が好ましく、50~180℃がより好ましく、60~150℃がさらに好ましい。
融点が上記下限値以上であることにより、室温で固体となり、ハンドリングが容易である。
また、融点が上記上限値以下であることにより、シランカップリング剤と共にフェノール樹脂に混合する際、フェノール樹脂との相溶状態を保ちやすい。
の炭素数は11以上が好ましく、13~39がより好ましく、14~31がさらに好ましく、15~23が特に好ましい。ただし、Rの炭化水素基の炭素数は、置換基中の炭素数を含まないものとする。
の炭素数が上記下限値以上であると、融点が室温より高くなりやすく、ハンドリングがしやすい。Rの炭素数が上記上限値以下であると、フェノール樹脂中に均一に分散させやすい。
は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rが有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基の炭素数は1~11が好ましい。
脂肪酸化合物としては、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸アルコール、脂肪酸ヒドラジド、脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、脂肪酸アミドが好ましい。
(脂肪酸)
「脂肪酸」とは、「RC(=O)-OH」で表される炭化水素の1価のカルボン酸または「RC(=O)-O-Q-O-C(=O)R」で表されるビス脂肪酸エステルである。Rは、脂肪酸基の説明におけるRと同じである。また、ビス脂肪酸エステルにおける2つのRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。Qは、炭素数20以下の2価の炭化水素基であり、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Qの炭素数は、1~22が好ましく、7~20がより好ましく、14~18がさらに好ましい。
Qの炭素数が上記下限値以上、上記上限値以下であると、工業的に入手しやすい。
炭化水素の1価のカルボン酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等が挙げられる。
ビス脂肪酸エステルとしては、例えば、ヘキサデカン二酸ジメチル、オクタデカン二酸ジメチル、エイコサン二酸ジメチルが挙げられる。
(脂肪酸アミド)
「脂肪酸アミド」とは、上述した脂肪酸のアミド化合物である。換言すれば、アンモニア又はアミンの窒素原子に結合する水素原子の1以上が脂肪酸基によって置換された構造をもつ非重合体を意味する。
「脂肪酸アミド」には、該窒素原子に水素原子が2つ結合する第1級アミド、該窒素原子に水素原子が1つ結合する第2級アミド、該窒素原子に水素原子が結合していない第3級アミド、及び1分子中にアミンの窒素原子を2個以上有するものを包含する。
したがって、本発明における「脂肪酸アミド」は、ナイロン-6、ナイロン-6,6に代表される所謂、脂肪族ポリアミドのような重合体とは異なる。なお、「脂肪酸アミド」は脂肪酸アマイドとも称する。
第1級アミドとしては、一般式「RC(=O)NH」で表される化合物などが挙げられる。前記式中、Rは、上記脂肪酸基の説明におけるRと同じである。
第1級アミドとして具体的には、ラウリン酸アミド、ミリスチル酸アミド、パルミチル酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、モンタン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸モノアミドなどが挙げられる。
第2級アミドとしては、一般式「RC(=O)NHR」で表される化合物などが挙げられる。
前記式中、Rは、上記脂肪酸基の説明におけるRと同じである。
前記式中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は、-C(=O)Rである。Rにおける該炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、その炭素数は1~23が好ましく、1~17がより好ましい。該炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基等が挙げられる。
は、Rと同様のものが挙げられ、RとRとは互いに同じであっても異なっていてもよい。なお、Rが-C(=O)Rである化合物はイミドとも称する。
第2級アミドとして具体的には、ステアリルステアリン酸アミド、オレイルオレイン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミド、オレイルステアリン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド等の置換アミド;メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミドなどが挙げられる。
第3級アミドとしては、一般式「RC(=O)NR」で表される化合物などが挙げられる。
前記式中、Rは、上記脂肪酸基の説明におけるRと同じである。
前記式中、R,Rは、それぞれ、上記第2級アミドについての説明におけるRと同様のものが挙げられ、RとRとは互いに同じであっても異なっていてもよい。
1分子中にアミンの窒素原子を2個以上有するものとしては、一般式「R11C(=O)NH-R-NHC(=O)R12」で表される化合物、一般式「R11NHC(=O)-R-C(=O)NHR12」で表される化合物が挙げられる。
前記式中、R11,R12は、それぞれ、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、上記Rと同様のものが挙げられる。
,Rは、それぞれ、二価の炭化水素基であり、その炭素数は1~10が好ましく、1~8がより好ましい。
1分子中にアミンの窒素原子を2個以上有するものとして具体的には、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド;N,N-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。
上記の脂肪酸アミドのなかでも、工業的な入手しやすさの点から、第1級アミド、1分子中にアミンの窒素原子を2個以上有するものが好ましく、エチレンビスステアリン酸アミドがより好ましい。
また、脂肪酸アミドの炭素数は、分子全体で12~39が好ましく、18~38がより好ましい。炭素数が上記範囲の下限値以上、上限値以下であれば活性炭を作製した際に直径が大きな細孔が形成されやすい。
脂肪酸アミドは、一種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、他の脂肪酸化合物と併用してもよい。
(脂肪酸エステル)
「脂肪酸エステル」とは、上記脂肪酸とアルコールとのエステル化合物である。
アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸-1,3-ブタンジオールエステル、モンタン酸-トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールプロパントリラウレート、ブチルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸エステルは、一種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、他の脂肪酸化合物と併用してもよい。
(脂肪酸金属塩)
「脂肪酸金属塩」とは、上記脂肪酸の金属塩である。融点が210℃以下の脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛が挙げられる。
これら脂肪酸金属塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、他の脂肪酸化合物と併用してもよい。
(脂肪酸ヒドラジド)
「脂肪酸ヒドラジド」とは、上記脂肪酸のヒドラジドである。
脂肪酸ヒドラジドとしては、具体的には、ラウリン酸ヒドラジド、及びステアリン酸ヒドラジドが挙げられる。
これら脂肪酸ヒドラジドは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、他の脂肪酸化合物と併用してもよい。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤の官能基としては、アミノ基、クロロ基、メルカプト基、エポキシ基、ビニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ウレイド基、イソシアネート基等が挙げられる。
アミノ基を含有するアミノ基含有シランカップリング剤としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
クロロ基を含有するクロロ基含有シランカップリング剤としては、3-クロロプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
メルカプト基を含有するメルカプト基含有シランカップリング剤としては、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
エポキシ基を含有するエポキシ基含有シランカップリング剤としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル基を含有するビニル基含有シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
メタクリロイル基を含有するメタクリロイル基含有シランカップリング剤としては、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アクリロイル基を含有するアクリロイル基含有シランカップリング剤としては、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基を含有するウレイド基含有シランカップリング剤としては、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネート基を含有するイソシアネート基含有シランカップリング剤としては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
中でも、アミノ基含有シランカップリング剤、クロロ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、メタクリロキシ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、及びビニル基含有シランカップリング剤からなる群から選択されるシランカップリング剤が好ましい。
これらのシランカップリング剤はいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のフェール樹脂組成物の製造方法における脂肪酸化合物の配合量は、フェノール樹脂を構成するフェノール類の100質量部に対して0.5~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、1.5~4.0質量部がさらに好ましい。
脂肪酸化合物の配合量が上記範囲の下限値以上であれば活性炭を作製した際の細孔容積が増大する。
脂肪酸化合物の配合量が上記範囲の上限値以下であればコストを抑制できる。
本発明のフェール樹脂組成物の製造方法におけるシランカップリング剤の配合量は、フェノール樹脂を構成するフェノール類の100質量部に対して0.1~10.0質量部が好ましく、0.1~4.0質量部がより好ましく、0.25~2.00質量部がさらに好ましい。
シランカップリング剤の配合量が上記範囲の下限値以上、上限値以下であれば、活性炭を作製した際に直径が大きな細孔が形成されやすい。
本発明のフェール樹脂組成物の製造方法におけるシランカップリング剤の配合量と脂肪酸化合物の配合量の質量比は、1:1~1:10が好ましく、1:1~1:8がより好ましい。
シランカップリング剤の配合量と脂肪酸化合物の配合量の質量比が上記範囲であれば、活性炭を作製した際に直径が大きな細孔が形成されやすい。
<混合>
本発明のフェール樹脂組成物の製造方法では、脂肪酸化合物と、シランカップリング剤(以下、これらを総称して「添加剤」と称する場合がある。)を、できる限り均一にフェノール樹脂に混合することが好ましい。
均一に混合するほど、得られる活性炭に、安定してメソ孔を形成できる。
添加剤を均一にフェノール樹脂に混合するためには、フェノール樹脂合成後に脱水して、未だ温度が保たれている段階で混合することが好ましい。
添加剤は、脱水により、フェノール樹脂(添加剤を添加する前のフェノール樹脂)の水分量が1.0質量%以下となった段階で混合することが好ましい。添加剤を混合する際のフェノール樹脂の水分量は、0.4質量%以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。
混合する際の水分量が低い程、均一に添加剤を混合しやすい。
なお、水分量は、カールフィッシャー法により求める水分量である。
フェノール樹脂の水分量を充分に低下させるためには、加熱濃縮により、脱水することが好ましい。また、大気圧下の加熱濃縮だけでなく、減圧下の加熱濃縮(減圧濃縮)を合わせて行うことが好ましい。
大気圧下での加熱濃縮は60~180分かけて140~200℃まで昇温することが好ましい。また、減圧濃縮は、140~230℃の範囲で圧力が0.0013~0.008MPaになるまで、15~60分かけて行うことが好ましい。
添加剤は、合成後、加熱濃縮により水分を除去した後のフェノール樹脂の温度が、充分に高い温度に保たれている段階で混合することが好ましい。具体的な混合時の温度は、脂肪酸化合物の融点やシランカップリング剤の耐熱性等を考慮して適宜選択すればよい。
シランカップリング剤を混合する際の好ましい温度は、脂肪酸化合物を混合する際の好ましい温度よりも低いため、加熱濃縮により水分を除去した後のフェノール樹脂に対して、先に脂肪酸化合物を混合し、その後シランカップリング剤を混合することが好ましい。
脂肪酸化合物をフェノール樹脂に混合する際の温度は、脂肪酸化合物の融点にもよるが、140~210℃が好ましく、145~190℃がより好ましく、150~180℃がさらに好ましい。
混合時の温度を好ましい下限値以上にすることで、効率良くフェノール樹脂と混合し、フェノール樹脂と相溶させることが可能となる。混合時の温度を好ましい上限値以下にすることで、加熱濃縮後のフェノール樹脂を改めて加熱することなく、脂肪酸化合物をフェノール樹脂に混合することができる。
シランカップリング剤を混合する際の温度は、脂肪酸化合物の融点とシランカップリング剤の耐熱性にもよるが、130~185℃であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。
混合時の温度を好ましい下限値以上にすることで、先に混合した脂肪酸化合物とフェノール樹脂との相溶状態を維持したままシランカップリング剤を混合できる。
また、混合時の温度を好ましい上限値以下にすることで、高温にシランカップリング剤を曝すことによる熱変性、劣化を抑制しやすい。
混練装置としては、押出機型混練機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、高速二軸連続ミキサー等が挙げられる。
混合時間は、脂肪酸化合物の混合とシランカップリング剤の混合の各々について、15~300分間が好ましく、30~120分間がより好ましい。
混合時間を好ましい下限値以上にすることで、両者をより均一に混合することが可能となる。混合時間を好ましい上限値以下にすることで、添加剤の熱変性、劣化を抑制しやすい。
添加剤を均一にフェノール樹脂に混合することができれば、フェノール樹脂合成における水分を除去する工程の後、未だ温度が保たれている段階での混合ではなく、完成後のフェノール樹脂を改めて加熱して、添加剤を溶融混合してもよい。その場合も、先に脂肪酸化合物を混合し、その後シランカップリング剤を混合することが好ましい。
また、完成後のフェノール樹脂と添加剤を溶媒に溶解して混合してもよい。
[フェノール樹脂硬化物の製造方法]
本発明のフェノール樹脂硬化物の製造方法は、本発明のフェノール樹脂を硬化させて、フェノール樹脂硬化物を得る方法である。
硬化は、必要に応じて適宜の形状に成形してから行ってもよい。例えば、繊維状、板状、粒状、粉末状等の形状に成形してから硬化させることができる。
<成形>
成形を行う場合は、フェノール樹脂組成物を硬化させる前に行う。
例えば繊維状に成形する場合、フェノール樹脂組成物の性状等の点から、湿式紡糸、乾式紡糸、乾・湿式紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸、液晶紡糸などの公知の方法を適宜選択することができる。なかでも、装置の簡便さ、経済的に有利なことから、溶融紡糸が好ましい。
紡糸の方法として溶融紡糸を用いる場合、一般的な溶融紡糸装置が使用できる。
該溶融紡糸装置の溶解装置としては、グリッドメルター式、単軸押出し機方式、二軸押出し機方式、タンデム押出し機方式などを使用できる。
なお、溶融したフェノール樹脂組成物の酸化を防止するために、溶融紡糸装置内の窒素置換を行ってもよく、又はベントを具備した押出し機を使用して、微量の残留溶媒もしくはモノマー類を除去する操作を行ってもよい。
溶融紡糸の際、温度条件は、120~200℃が好ましく、140~170℃がより好ましい。温度条件を好ましい下限値以上とすることで、効率良く紡糸することができる。 温度条件を好ましい上限値以下とすることで、熱変性、劣化を抑制しやすく、かつ、フェノール樹脂と添加剤とが分離しにくくなる。
紡糸口金としては、通常のものが使用可能であり、孔径は0.05mm以上1mm未満が好ましく、0.1mm以上0.5mm未満がより好ましく、キャピラー部の(長さL/直径D)は0.5以上10未満が好ましく、1~5がより好ましい。孔径とL/Dをそれぞれ前記の好ましい範囲とすることで、安定して紡糸することができる。
特別な繊維の製造方法の場合(たとえば並列型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維の場合など)には、サイドバイサイド型もしくはシースコア型、又は第三成分のポリマーを組み合わせるコンジュゲート口金を使用することもできる。
紡糸速度は、15m/分以上、3000m/分未満が好ましく、30m/分以上、2000m/分未満がより好ましく、50m/分以上、1600m/分未満がさらに好ましい。
紡糸速度を好ましい下限値以上とすることで、効率良く紡糸できる。紡糸速度を好ましい上限値未満とすることで、紡糸時の糸切れの発生を抑制できる。
板状に成形する場合は、金型を用いて成型すればよい。
粒状に成形する場合は、造粒機を用いて製造すればよい。
<硬化>
フェノール樹脂硬化物は、成形したフェノール樹脂組成物または成形していないフェノール樹脂組成物を硬化することによって得られる。
フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用い、成形したフェノール樹脂組成物を硬化させる場合は、触媒と必要に応じてアルデヒド類を含む水性の処理液と接触させることによって硬化させる。
フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用い、成形していないフェノール樹脂組成物を硬化させる場合は、フェノール樹脂に、触媒と、必要に応じてアルデヒド類を混練することにより硬化させる。
触媒としては、水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類、又はこれらの混合物等の塩基性触媒;塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルフォン酸、p-トルエンスルフォン酸、硼酸、塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属との塩、又はこれらの混合物等の酸性触媒などが挙げられる。触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用い、成形していないフェノール樹脂組成物を硬化させる場合、触媒としては、ヘキサメチレンテトラミンを使用することが好ましい。
また、フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用い、繊維状等に成形したフェノール樹脂組成物を硬化させる場合は、触媒として酸性触媒を使用することが好ましい。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、サリチルアルデヒド、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、o-ニトロベンズアルデヒド、m-ニトロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、o―メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、p-n-ブチルベンズアルデヒド等が使用できる。
なかでも、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが特に好ましい。アルデヒド類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
触媒としてヘキサメチレンテトラミンを使用する場合、アルデヒド類は不要である。
処理液を用いる場合、硬化は、処理液内にて、60℃以上110℃未満の温度で3時間以上30時間未満、加熱して行うことが好ましい。
硬化は、処理液に接触させた後、または触媒と必要に応じてアルデヒド類を混練した後に、気相下で加熱することにより硬化してもよい。
また、処理液内で加熱硬化させた後、水洗乾燥し、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の不活性ガス中、100~300℃の温度で加熱することによりさらに硬化させてもよい。
その他、公知の硬化処理を行うことができる。
処理液に接触させる具体的な方法に特に限定はないが、繊維状のフェノール樹脂組成物を得る方法としては、ステープル状もしくはトウ状に加工したものを反応容器内の処理液に浸漬させてバッチ式で硬化処理する方法、ボビン状、もしくはかせ状に加工したものを処理液と接触させて硬化処理する方法、又はトウ状に加工したものを連続的に処理液と接触させて硬化処理する方法などが挙げられる。
一方、フェノール樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を用いた場合、湿熱法又は乾熱法で加熱処理を行うことにより硬化物を得ることができる。
加熱処理温度は100~220℃が好ましく、120~180℃がより好ましく、加熱処理時間は5~120分間が好ましく、20~60分間がより好ましい。
[活性炭製造用炭化物の製造方法]
本発明の活性炭製造用炭化物の製造方法は、本発明のフェノール樹脂組成物の製造方法で得られたフェノール樹脂組成物、または本発明のフェノール樹脂硬化物の製造方法で得られたフェノール樹脂硬化物を炭化して炭化物を得る方法である。
炭化は、不活性ガス存在下で加熱する従来公知の方法を用いることができる。
炭化に使用する不活性ガスとしては、酸素を実質的に含まないガス、たとえば窒素、ヘリウム、アルゴン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素等が挙げられる。炭化時の温度は480~1200℃の範囲が好ましく、520~1000℃の範囲がより好ましく、600~900℃の範囲がさらに好ましい。
炭化は、多段炉、ロータリーキルン炉、流動層炉等を用いて行うことができる。
得られた炭化物は、本発明の活性炭の製造方法における原料として使用できる。
[フェノール樹脂活性炭の製造方法]
本発明のフェノール樹脂活性炭の製造方法は、本発明の活性炭製造用炭化物の製造方法により得られた炭化物を賦活して活性炭を得る方法である。
賦活は、ガス賦活法、薬剤賦活法などの従来公知の賦活方法を用いることができる。
ガス賦活法では、賦活ガスを、フェノール樹脂組成物またはフェノール樹脂硬化物の炭化物に接触させて賦活する。
賦活ガスとしては、水蒸気、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、塩化水素、酸素又はこれらを混合したものからなるガスが挙げられる。
薬剤賦活法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;ホウ酸、リン酸、硫酸、塩酸等の無機酸類;又は塩化亜鉛などの無機塩類などを、フェノール樹脂組成物またはフェノール樹脂硬化物の炭化物に接触させて賦活する。
薬剤賦活法の場合、賦活の後、生成物や用いた薬品を、酸又はアルカリで中和してもよいし、水洗等により除去してもよい。
上記賦活方法のなかでも、設備の簡便性、賦活後に特別な処理を要しない点で、ガス賦活法が好ましく、水蒸気によるガス賦活法が特に好ましい。
賦活は、多段炉、ロータリーキルン炉、流動層炉等を用いて行うことができる。
本発明のフェノール樹脂活性炭の製造方法で得られる活性炭は、フェノール樹脂を原料とするフェノール樹脂活性炭である。
本発明で得られる活性炭は、フェノール樹脂活性炭であるにもかかわらず、少なくとも細孔直径が2~50nmのメソ孔、特に細孔直径が10nm以上のメソ孔を備えている。
本発明のフェノール樹脂活性炭の製造方法によって、メソ孔を備える活性炭が得られる理由は、以下の様に推定される。
本発明者らは、脂肪酸アミドや脂肪酸等の脂肪酸化合物が、高温溶融状態の樹脂と相溶性を有することを確認している。
この高温溶融状態の樹脂と相溶している脂肪酸化合物は分子間相互作用によってアルキル鎖構造同士で集まっていると考えられ、シランカップリング剤は、官能基側がその脂肪酸化合物の集合体の表面に配向し、シラン部位がフェノール樹脂側へ配向し、全体としてミセル様の構造体を形成していると考えられる。
そして、このミセル様の構造体が、炭化の際に昇温脱離し、その脱離部位がメソ孔として残ると考えられる。
本発明で得られる活性炭は、BET比表面積(窒素吸着比表面積)が、800~2500m/gであることが好ましく、1200~2000m/gであることがより好ましい。
BET比表面積(窒素吸着比表面積)が上記範囲の下限値以上であれば、ターゲット物質の吸着性が良い。BET比表面積(窒素吸着比表面積)が上記範囲の上限値以下であれば、製造時の収率が良い。
本発明で得られる活性炭は、Dollimore-Heal法により求めたメソ孔の容積が、0.15~0.30cm/gであることが好ましく、0.2~0.3cm/gであることがより好ましい。
本発明で得られる活性炭は、BET比表面積(窒素吸着比表面積)が2000m/gのときの窒素吸着等温線測定により求めたメソ孔の容積が、0.15~0.30cm/gであることが好ましく、0.20~0.25cm/gであることがより好ましい。
本発明で得られる活性炭は、直径2~50nmのメソ孔に加えて、直径2nmに満たないミクロ孔や、直径50nmを超えるマクロ孔を有していてもよい。
以下の各実施例、比較例において、%は特に断りのない限り質量%である。
各実施例、比較例で得られた活性炭の細孔分布は、吸着測定装置3Flex(マイクロメリティクス社)による窒素吸着等温線測定から解析した。
なお、各実施例、比較例で得られた活性炭の吸着測定装置3Flexで求めたBET比表面積(窒素吸着比表面積)は、いずれも2000±100m/gの範囲である。
[添加剤の効果]
<実施例1>
温度計、撹拌装置、およびコンデンサーを備えた反応容器(1Lフラスコ)に、フェノール540g、50%ホルマリン241g(フェノールとホルマリンのモル比、F/P=0.70)、および10%塩酸を0.65g(フェノールに対して0.12%)を投入した。
反応容器を昇温し、還流温度に到達した後、4時間の還流反応を行った。還流反応が開始し白濁してから20分経過した時点で、10%塩酸を2.05g(フェノールに対して0.38%)を追加投入した。
反応終了後、70℃以下まで冷却し、水酸化ナトリウム0.297g(フェノールに対して0.055%)を水で希釈して10%水酸化ナトリウム溶液として添加し、中和した。
その後、大気圧下で200℃まで昇温した後、0.0026MPaまで減圧して200℃になるまで昇温し、200℃で30分間加熱を継続して減圧濃縮を行った。
減圧濃縮後の樹脂に、エチレンビスステアリン酸アミドを9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加し溶融混合し、その後150℃以下まで降温した後、3-アミノプロピルエトキシシラン7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加し145±5℃の温度を保ちながら、約2時間溶融混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物40gにヘキサメチレンテトラミン4g(フェノール樹脂組成物に対して10%)を添加し、コーヒーミル(Melitta社MJ-518型)へ入れ1分間以上粉砕することで粉末状とした。得られた粉末を、乾燥機に入れ、大気雰囲気下、5℃/分の昇温速度で200℃になるまで昇温し、200℃で2時間加熱を継続して硬化させ、フェノール樹脂硬化物を得た。
次いで、得られたフェノール樹脂硬化物を焼成炉に入れ、窒素ガス雰囲気下5℃/分の昇温速度で800℃になるまで昇温し、800℃で1時間加熱を継続して炭化物を得た。
得られた炭化物を横型管状炉内に入れ窒素ガスを流しながら5℃/分の昇温速度で900℃になるまで昇温した。次いで予め80℃に調整されている温水中を通過させた窒素ガスを導入することにより、水蒸気を4.125mL/分で前記管状炉内に窒素ガスと共に導入しながら900℃で1時間加熱を継続して賦活した。続いて、窒素ガスのみを導入しながら冷却することにより、活性炭を得た。
<実施例2>
温度計、撹拌装置、およびコンデンサーを備えた反応容器(1Lフラスコ)に、フェノール540g、50%ホルマリン241g(フェノールとホルマリンのモル比、F/P=0.70)、およびシュウ酸を5.4g(フェノールに対して1.0%)を投入した。
反応容器を昇温し、還流温度に到達した後、4時間の還流反応を行った。
その後、大気圧下で200℃まで昇温した後、0.0026MPaまで減圧して200℃になるまで昇温し、200℃で30分間加熱を継続して減圧濃縮を行った。
減圧濃縮後の樹脂に、エチレンビスステアリン酸アミドを9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加し溶融混合し、その後150℃以下まで降温した後、3-アミノプロピルエトキシシラン7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加し145±5℃の温度を保ちながら、約2時間溶融混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<比較例1>
エチレンビスステアリン酸アミドと3-アミノプロピルエトキシシランを添加しなかった他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<比較例2>
3-アミノプロピルエトキシシランを添加し、エチレンビスステアリン酸アミドを添加しなかった他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<比較例3>
エチレンビスステアリン酸アミドを添加し、3-アミノプロピルエトキシシランを添加しなかった他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<比較例4>
3-アミノプロピルエトキシシランを添加し、エチレンビスステアリン酸アミドを添加しなかった他は、実施例2と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<比較例5>
エチレンビスステアリン酸アミドを添加し、3-アミノプロピルエトキシシランを添加しなかった他は、実施例2と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<細孔分布の比較>
実施例1、実施例2及び比較例1の活性炭の細孔分布を図1に示す。
図1に示す様に、比較例1では、メソ孔、特に細孔直径10nm以上のメソ孔が殆ど形成されていないのに対して、実施例1、実施例2では、細孔直径10nm以上のメソ孔が形成されていた。特に塩酸触媒を用いた実施例1では、細孔直径10nm以上のメソ孔の比率が大幅に増加していた。
また、図示を省略する比較例2~5の活性炭の細孔分布は、比較例1とほぼ同等であった。このことから、本発明の効果を得るためにはフェノール樹脂に、脂肪酸化合物と、シランカップリング剤の双方を添加することが必要であり、いずれか一方では効果を得られないことがわかった。
[脂肪酸化合物の添加量]
<実施例3>
実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例4>
エチレンビスステアリン酸アミドの添加量を、フェノールに対して4.57%に変更した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例5>
エチレンビスステアリン酸アミドの添加量を、フェノールに対して7.32%に変更した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<比較例6>
比較例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<細孔分布の比較>
実施例3~5及び比較例6の活性炭の細孔分布を図2に示す。
図2に示す様に、比較例6では、メソ孔、特に細孔直径10nm以上のメソ孔が殆ど形成されていないのに対して、実施例3~5では、細孔直径10nm以上のメソ孔が形成されていた。また、エチレンビスステアリン酸アミドの添加量が増えるに従い、細孔直径10nm以上のメソ孔が増加する傾向が見られた。
[その他の脂肪酸化合物]
<実施例6>
エチレンビスステアリン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)に代えて、エチレンビスオレイン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例7>
エチレンビスステアリン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)に代えて、オレイン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<細孔分布の比較>
実施例6、実施例7、及び比較例6の活性炭の細孔分布を図3に示す。
図3に示す様に、比較例6では、メソ孔、特に細孔直径10nm以上のメソ孔が殆ど形成されていないのに対して、実施例6、実施例7では、細孔直径10nm以上のメソ孔が形成されていた。また、実施例6、実施例7の細孔径分布は、図1の実施例1とほぼ同等であり、脂肪酸化合物の種類を変更しても、ほぼ同等の効果が得られることがわかった。
[その他のシランカップリング剤]
<実施例8>
実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例9>
3-アミノプロピルエトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)に代えて、3-クロロプロピルトリメトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例10>
3-アミノプロピルエトキシシラン7.0g(フェノールに対して1.3%)に代えて、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例11>
3-アミノプロピルエトキシシラン7.0g(フェノールに対して1.3%)に代えて、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加した他は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例1と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<細孔分布の比較>
実施例8~11及び比較例6の活性炭の細孔分布を図4に示す。
図4に示す様に、比較例6では、メソ孔、特に細孔直径10nm以上のメソ孔が殆ど形成されていないのに対して、実施例8~11では、細孔直径10nm以上のメソ孔が形成されていた。また、実施例8~11は、細孔直径10nm以上における分布において、ピーク位置が異なり、シランカップリング剤の官能基を変更することにより、メソ孔の分布を調整できることがわかった。
[繊維状活性炭]
<実施例12>
温度計、撹拌装置、およびコンデンサーを備えた反応容器(1Lフラスコ)に、フェノール540g、50%ホルマリン241g(フェノールとホルマリンのモル比、F/P=0.70)、および10%塩酸を0.65g(フェノールに対して0.12%)を投入した。
反応容器を昇温し、還流温度に到達した後、4時間の還流反応を行った。還流反応が開始し白濁してから20分経過した時点で、10%塩酸を2.05g(フェノールに対して0.38%)を追加投入した。
反応終了後、70℃以下まで冷却し、水酸化ナトリウム0.297g(フェノールに対して0.055%)を水で希釈して10%水酸化ナトリウム溶液として添加し、中和した。
その後、大気圧下で200℃まで昇温した後、0.0026MPaまで減圧して200℃になるまで昇温し、200℃で30分間加熱を継続して減圧濃縮を行った。
減圧濃縮後の樹脂に、エチレンビスステアリン酸アミドを9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加し溶融混合し、その後150℃以下まで降温した後、3-アミノプロピルエトキシシラン7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加し145±5℃の温度を保ちながら、約2時間溶融混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を直径約3~5mmの大きさに粉砕して粉末状にした後、溶融紡糸装置を用いて103±1℃で溶融し、該溶融により得られた溶融物を、103±1℃に保たれた孔径0.5mm、長さL/直径D=5、ホール数1個の紡糸口金から窒素ガスによる押し出しにより一定吐出量を保ちながら一定紡糸速度で紡糸(溶融紡糸)して糸條を得た。
次いで、得られた糸條を、長さ51mmにカットしてフラスコに入れ、塩酸14質量%かつホルムアルデヒド8質量%の水溶液に常温で30分間浸漬した後、2時間で98℃まで昇温し、さらに98℃で2時間保持することにより硬化を行った。
次いで、得られた硬化物を、前記フラスコから取り出して充分に水洗した後、3質量%アンモニア水溶液で60℃、30分間の中和を行った。その後、再度、充分に水洗し、90℃、30分間乾燥することによりフェノール樹脂硬化物を得た。
次いで、得られたフェノール樹脂硬化物を窒素ガス雰囲気下5℃/分の昇温速度で800℃になるまで昇温し、800℃で1時間加熱を継続して炭化物を得た。
得られた炭化物を横型管状炉内に入れて密閉し、窒素ガスを18mL/分で1時間流通させることで炉内雰囲気を窒素ガス置換した。続いて、窒素ガスを0.1mL/分で流しながら5℃/分の昇温速度で900℃になるまで昇温した。次いで予め80℃に調整されている温水中を通過させた窒素ガスを導入することにより、水蒸気を4.125mL/分で前記管状炉内に窒素ガスと共に導入しながら900℃で1時間加熱を継続して賦活した。続いて、窒素ガスのみを導入しながら冷却することにより、繊維状の活性炭を得た。
[比較例7]
フェノール1000gと37質量%ホルマリン733gとシュウ酸5gを、還流冷却器を備えた反応容器に仕込み40分間で常温から100℃に昇温させ、さらに100℃で4 時間反応させた後、200℃まで加熱して脱水濃縮した後、冷却してノボラック型フェノール樹脂を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を直径約3~5mmの大きさに粉砕して粉末状にした後、溶融紡糸装置(グリッドメルター式)を用いて200℃で溶融し、該溶融により得られた溶融物を、170℃に保たれた孔径0.1mm、長さL/直径D=3、ホール数10個の紡糸口金から一定吐出量を保ちながら紡糸速度1500m/分で紡糸(溶融紡糸)して糸條を得た。
次いで、得られた糸條を、実施例実施例12と同様にして、硬化、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<細孔分布の比較>
実施例12及び比較例7の活性炭の細孔分布を図5に示す。
図5に示す様に、比較例7では、メソ孔、特に細孔直径10nm以上のメソ孔が殆ど形成されていないのに対して、実施例12では、細孔直径10nm以上のメソ孔が形成されていた。これにより、繊維状に成形した場合も、実施例1等の粉砕品と同様にメソ孔を形成できることがわかった。
[未硬化の樹脂組成物]
<実施例13>
温度計、撹拌装置、およびコンデンサーを備えた反応容器(1Lフラスコ)に、フェノール540g、50%ホルマリン241g(フェノールとホルマリンのモル比、F/P=0.70)、および10%塩酸を0.65g(フェノールに対して0.12%)を投入した。
反応容器を昇温し、還流温度に到達した後、4時間の還流反応を行った。還流反応が開始し白濁してから20分経過した時点で、10%塩酸を2.05g(フェノールに対して0.38%)を追加投入した。
反応終了後、70℃以下まで冷却し、水酸化ナトリウム0.297g(フェノールに対して0.055%)を水で希釈して10%水酸化ナトリウム溶液として添加し、中和した。
その後、大気圧下で200℃まで昇温した後、0.0026MPaまで減圧して200℃になるまで昇温し、200℃で30分間加熱を継続して減圧濃縮を行った。
減圧濃縮後の樹脂に、ステアリン酸アミドを9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加し溶融混合し、その後150℃以下まで降温した後、3-アミノプロピルエトキシシラン7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加し145±5℃の温度を保ちながら、約2時間溶融混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物をハンマー等で細かく粉砕して粉末状にした後、窒素ガス雰囲気下5℃/分の昇温速度で900℃になるまで昇温し、900℃で30分間加熱を継続して炭化物を得た。
次いで、得られた炭化物を横型管状炉内に入れて密閉し、窒素ガスを18mL/分で1時間流通させることで炉内雰囲気を窒素ガス置換した。続いて、窒素ガスを0.1mL/分で流しながら5℃/分の昇温速度で900℃になるまで昇温した。次いで予め80℃に調整されている温水中を通過させた窒素ガスを導入することにより、水蒸気を4.125mL/分で前記管状炉内に窒素ガスと共に導入しながら900℃で1時間加熱を継続して賦活した。続いて、窒素ガスのみを導入しながら冷却することにより、粉末状の活性炭を得た。
<実施例14>
ステアリン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)に代えて、エチレンビスステアリン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加し、3-アミノプロピルエトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)に代えて、ビニルトリエトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加した他は、実施例13と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例13と同様にして、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<実施例15>
ステアリン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)に代えて、エチレンビスステアリン酸アミドの9.9g(フェノールに対して1.83%)を添加し、3-アミノプロピルエトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)に代えて、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの7.0g(フェノールに対して1.3%)を添加した他は、実施例13と同様にしてフェノール樹脂組成物を得た。
得られたフェノール樹脂組成物を実施例13と同様にして、炭化、賦活し、活性炭を得た。
<細孔分布の比較>
実施例13~15の活性炭の細孔分布を図6に示す。
図6に示す様に、実施例13~15では、細孔直径10nm以上のメソ孔が形成されていた。これにより、未硬化の樹脂組成物をそのまま炭化賦活しても、メソ孔を形成できることがわかった。
本発明で得られるフェノール樹脂活性炭は色素、タンパク質等の比較的大きい分子の吸着に有用である。

Claims (10)

  1. フェノール樹脂活性炭の原料となるフェノール樹脂組成物の製造方法であって、
    フェノール樹脂に、融点が210℃以下の脂肪酸アミドと、シランカップリング剤を混合することを特徴とし、
    前記脂肪酸アミドの配合量が、前記フェノール樹脂を構成するフェノール類の100質量部に対して0.5~20質量部であり、
    前記シランカップリング剤の配合量が、前記フェノール樹脂を構成するフェノール類の100質量部に対して0.1~10質量部であり、
    前記シランカップリング剤の配合量と前記脂肪酸アミドの配合量の質量比が、1:1~1:10であり、
    前記脂肪酸アミドの融点が、40℃以上である、フェノール樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記フェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂である、請求項1に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記ノボラック型フェノール樹脂を、塩酸又はシュウ酸を触媒として用いて合成する、請求項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記シランカップリング剤が、アミノ基、クロロ基、メルカプト基、メタクリロキシ基、エポキシ基、及びビニル基からなる群から選択される官能基を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  5. 脱水した前記フェノール樹脂に、前記脂肪酸アミドを混合し、次いで前記シランカップリング剤を混合する、請求項1~のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法によってフェノール樹脂組成物を得、得られたフェノール樹脂組成物を硬化する、フェノール樹脂硬化物の製造方法。
  7. 得られたフェノール樹脂組成物を成形してから硬化する、請求項に記載のフェノール樹脂硬化物の製造方法。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載のフェノール樹脂組成物の製造方法によってフェノール樹脂組成物を得、得られたフェノール樹脂組成物を炭化する、活性炭製造用炭化物の製造方法。
  9. 請求項またはに記載のフェノール樹脂硬化物の製造方法によってフェノール樹脂硬化物を得、得られたフェノール樹脂硬化物を炭化する、活性炭製造用炭化物の製造方法。
  10. 請求項または9に記載の活性炭製造用炭化物の製造方法により活性炭製造用炭化物を得、得られた活性炭製造用炭化物を賦活するフェノール樹脂活性炭の製造方法。
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