JP7467798B2 - 自然水用肥料の製造方法および自然水用肥料 - Google Patents

自然水用肥料の製造方法および自然水用肥料 Download PDF

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Description

本発明は、自然水用肥料の製造方法および自然水用肥料に関する。
地球温暖化による海水温度の変化や、汚泥等の有機廃棄物質の海洋投棄が禁じられていることにより、海の貧栄養化、特に、リンの不足が進行し、海藻の生育に支障が出ている。それに伴って、漁獲量の減少や、高級食材でもあるアワビやサザエ等の水棲生物の採集量の減少等を引き起こす、いわゆる海の砂漠化も進んでいる。さらに養殖にも大きな影響が出ている。
海に栄養源を与える試みとしては、鉄鋼スラグと有機廃棄物を発酵させた腐植土をまぜて、海の中に埋め立てることで、鉄分の供給により海藻の生育状況がよくなったとの報告がある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、これは、鉄分の供給源とすることを目的としており、リン不足による問題を緩和、解消することができるものではなかった。
特開2014-068594公報
本発明の目的は、汚泥灰を有効利用しつつ、リン、ケイ素および鉄を含み、かつ、重金属の含有率が十分に低い自然水用肥料を提供すること、また、当該自然水用肥料の製造方法を提供することにある。特に、肥料成分の溶出速度が好適に制御された自然水用肥料を提供すること、また、当該自然水用肥料の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の自然水用肥料の製造方法は、汚泥灰と酸性の液体とを混合し、前記汚泥灰中に含まれる重金属およびリンを溶解させる第1の溶解工程と、
前記重金属およびリンが溶解した第1の液体を第1の固体から分離除去する第1の固液分離工程と、
前記第1の固体に対して、アルカリ金属および/または第2族元素の水酸化物および/または塩である反応性イオン性物質を添加する反応性イオン性物質添加工程と、
前記第1の固体および前記反応性イオン性物質を含む組成物に対し焼成処理を施す焼成工程とを有することを特徴とする。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記反応性イオン性物質は、Naおよび/またはCaを含む水酸化物および/または塩であることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記反応性イオン性物質は、NaCO、NaOH、CaCO、Ca(OH)、CaClおよびNaClよりなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記焼成処理における焼成温度は、150℃以上1100℃以下であることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記焼成処理の処理時間は、0.5時間以上100時間以下であることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記第1の固体に対して、還元剤を添加して、還元処理を施す還元工程を有することが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記第1の固液分離工程よりも後に、系内に窒素系の肥料成分を添加するN成分添加工程をさらに有することが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記第1の固液分離工程よりも後に、系内にリン系の肥料成分を添加するP成分添加工程をさらに有することが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記リン系の肥料成分は、
前記第1の固液分離工程で分離された前記第1の液体を析出剤と混合するとともにpHを上昇させ、前記重金属およびリンを含む第2の固体を析出させる第1の析出工程と、
前記第2の固体を液体成分と分離する第2の固液分離工程と、
前記第2の固体中に含まれるリンをアルカリ性の液体で溶解させる第2の溶解工程と、
リンが溶解した第2の液体を、前記重金属を含む固体成分と分離する第3の固液分離工程とを有する方法により、分離されたものであることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記リン系の肥料成分は、前記第3の固液分離工程の後に、前記第2の液体を析出剤と混合するとともにpHを低下させ、リンを含む第3の固体を析出させる第2の析出工程をさらに有する方法を用いて得られたものであることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記第2の析出工程の終了時における液相のpHが2.0以上12.0以下であることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記第2の析出工程で、pHが-1.0以上2.0以下の酸性液体を用いることが好ましい。
本発明の自然水用肥料の製造方法では、前記第2の析出工程で、前記反応性イオン性物質を用いることが好ましい。
本発明の自然水用肥料は、汚泥灰を原料とし、
リンとケイ素と鉄とを水溶性成分として含み、
ケイ素の含有率が10質量%以上40質量%以下であり、
鉄の含有率が1.0質量%以上50質量%以下であり、
重金属の含有率が1000ppm以下であることを特徴とする。
本発明の自然水用肥料では、リンの含有率が1.0質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
本発明の自然水用肥料では、リンの含有率をX[質量%]、ケイ素の含有率をXSi[質量%]としたとき1.0≦X Si /X ≦50.0の関係を満足することが好ましい。
本発明によれば、汚泥灰を有効利用しつつ、リン、ケイ素および鉄を含み、かつ、重金属の含有率が十分に低い自然水用肥料を提供すること、また、当該自然水用肥料の製造方法を提供することができる。特に、肥料成分の溶出速度が好適に制御された自然水用肥料を提供すること、また、当該自然水用肥料の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の自然水用肥料の製造方法の好適な実施形態を示す工程図である。 図2は、第1の析出工程の終了時における液相のpHと、最終的なリンの回収率との関係を模式的に示す図である。 図3は、汚泥灰(比較例1)を塩酸で処理した場合の鉄等の溶出率の経時変化を示す図である。 図4は、実施例1~5および比較例1に係る自然水用肥料について、炭酸ナトリウムの添加量の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。 図5は、実施例6、7および8についての、第1の析出工程の終了時における液相のpHと、析出物のX線回折(XRD)パターンとの対応を示す図である。 図6は、実施例6の自然水用肥料の製造過程で得られた第3の固体について、リンおよび主要金属元素の回収率(すなわち、原料としての汚泥灰中に含まれていた量に対する第3の固体中に含まれている量の比率)を示すグラフである。 図7は、実施例6の自然水用肥料の製造過程で得られた第3の固体についての、水溶性試験、ク溶性試験の結果を示すグラフである。 図8は、本発明の自然水用肥料の製造方法の具体的な一例を示すフローチャートである。 図9は、実施例11~16に係る自然水用肥料について、焼成温度の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。 図10は、実施例17、18に係る自然水用肥料について、炭酸カルシウムの添加量の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。 図11は、実施例19、20に係る自然水用肥料について、焼成時間の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。 図12は、実施例21および比較例2に係る自然水用肥料について、水酸化ナトリウムの添加有無に対する、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数と鉄成分の溶出率との関係を示す図である。 図13は、実施例22、23に係る自然水用肥料について、水酸化ナトリウムの添加量の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数と鉄成分の溶出率との関係を示す図である。 図14は、実施例24、25に係る自然水用肥料について、焼成温度の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数と鉄成分の溶出率との関係を示す図である。 図15は、実施例26~28および比較例3に係る自然水用肥料について、反応性イオン性物質の添加に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。 図16は、実施例29~31に係る自然水用肥料について、焼成温度の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。 図17は、実施例32、33に係る自然水用肥料について、ナトリウムイオンの添加量の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。 図18は、実施例34、35に係る自然水用肥料について、カルシウムイオンの添加量の変化に対する塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[自然水用肥料の製造方法]
まず、本発明の自然水用肥料の製造方法について説明する。
図1は、本発明の自然水用肥料の製造方法の好適な実施形態を示す工程図である。図2は、第1の析出工程の終了時における液相のpHと、最終的なリンの回収率との関係を模式的に示す図である。
本発明の自然水用肥料の製造方法は、汚泥灰と酸性の液体とを混合し、前記汚泥灰中に含まれる重金属およびリンを溶解させる第1の溶解工程と、重金属およびリンが溶解した第1の液体を第1の固体から分離除去する第1の固液分離工程と、前記第1の固体に対して、アルカリ金属および/または第2族元素の水酸化物および/または塩である反応性イオン性物質を添加する反応性イオン性物質添加工程と、前記第1の固体および前記反応性イオン性物質を含む組成物に対し焼成処理を施す焼成工程とを有することを特徴とする。
このように汚泥灰を原料として用いることにより、従来では産業廃棄物として取り扱われてきた汚泥灰を、従来にはない用途で有効利用することができ、省資源の観点や、産業廃棄物の埋め立て用地の確保、全体としての汚泥灰の処理コストの削減等の観点から好ましい。特に、汚泥灰の大部分(例えば、約90体積%を占める部分)を、自然水用肥料として有効利用することができるため、上記のような観点からの効果は非常に大きい。また、汚泥灰には、リンに加えて、鉄、ケイ素も高い含有率で含んでおり、これらの成分をバランスよく含む自然水用肥料を好適に得ることができる。また、反応性イオン性物質添加工程および焼成工程を有することにより、自然水用肥料中に含まれるリン成分に加え、ケイ素成分、鉄成分等の肥料成分の溶解性を好適に高めることができる。特に、反応性イオン性物質添加工程で用いる反応性イオン性物質の種類や使用量、焼成工程での焼成処理条件を調整することにより、製造される自然水用肥料からの肥料成分の溶出速度を好適に制御することができる。例えば、肥料成分の施肥効果を、数日間から数年間という広い範囲で制御することができる。より具体的には、例えば、前記第1の固体に対して、炭酸ナトリウムの添加量を15重量%から35質量%まで変化し、900℃で焼結した自然水肥料では、含有リンを50%溶出させるのに必要な時間は35重量%では2日間であるが、15%では350日間が必要である。同様な条件で(焼結温度900℃、リン溶出率50%)、前記第1の固体に対して、炭酸カルシウムの添加量が20重量%の場合と10重量%を比較すると、20重量%では300日間である。10%では1500日間が必要である。すなわち、例えば、製造条件を、上記のような範囲内で変更することにより、肥料成分の施肥効果を2日間~1500日間程度という、広い範囲で好適に制御することができる。また、焼結時間を長くすること、イオン性物質の添加量少なくすることにより、自然水用肥料からの肥料成分の溶出速度を比較的小さくし、自然水用肥料の持続性を高めることができる。焼結時間を短くすること、イオン性物質の添加量多くすることにより、自然水用肥料からの肥料成分の溶出速度を比較的大きくし、自然水用肥料の即効性を高めることができる。例えば、焼結温度が600℃から900℃までは温度の増加とともに、リン溶出率が増加するが、900℃を超えると溶出率はさがる。また、第1の溶解工程で、汚泥灰から重金属を効率よく除去することができるため、安全性の高い自然水用肥料を得ることができる。また、第1の固液分離工程で分離される第1の液体には、リンが高い含有率で含まれるため、第1の液体を精製することにより、高純度のリン化合物を好適に得ることができる。したがって、汚泥灰に含まれるリンを全体として特に高効率で利用することができる。また、重金属は、第1の固液分離工程で分離される第1の液体に、選択的に、かつ、比較的高い含有率で含まれているため、重金属を比較的高濃度で含む組成物の体積を大幅に低減させることができ、産業廃棄物の処理用地の確保や、有害物質の管理の観点からも好ましい。
なお、本発明において、重金属とは、比重が4以上の金属であって、鉄を除く金属のことを指す。また、本明細書において、自然水とは、海、河川、湖、池、沼等、自然界においてまとまって存在する水のことを含み、加えて、人工的に作られた、人工池、貯水池、釣り堀、水槽、養殖場等、前記海、河川、湖、池、沼等とは直接つながらない、閉じた空間にまとまって存在する水のことも含む概念とする。また、本発明において、自然水には、用水路水も含まれるものとする。また、自然水は、淡水、塩水および汽水のいずれであってもよい。
中でも、本発明に係る自然水用肥料が適用される自然水は、海水であるのが好ましい。
海は、貧栄養の問題が生じやすく、いわゆる海の砂漠化も進んでいる。したがって、自然水が海水である場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
海の砂漠化を食い止めることで、生態系を回復できる。例えば、本発明に係る自然水用肥料を用いることで、海に栄養分を供給することができ、コンブ、ワカメ等の海藻の生育が良くなり、また魚の生育の場になる。さらに、海藻は、アワビ、サザエ等の餌にもなるので、高級食材でもあるアワビ、サザエ等の生産量も増える。すなわち、漁村の経済活性化に貢献することができる。
特に、本実施形態では、第1の固液分離工程よりも後に、系内に窒素系の肥料成分を添加するN成分添加工程をさらに有する。
これにより、汚泥灰由来の肥料では不足しがちな窒素系の肥料成分を好適な割合で含有する自然水用肥料を好適に調製することができる。
また、本実施形態では、第1の固液分離工程よりも後に、系内にリン系の肥料成分を添加するP成分添加工程を有する。
これにより、例えば、自然水用肥料中におけるリン系の肥料成分の含有率を好適な値に調整することができる。また、水に対する溶解性の異なる複数種のリン系の肥料成分を含む自然水用肥料(特に、これらの成分を好適な比率で含有する自然水用肥料)を好適に調製することができる。
なお、P成分添加工程で第1の固体に添加するリン系の肥料成分を含む組成物については、後に詳述する。
また、本実施形態では、P成分添加工程において、リン系の肥料成分とともに、反応性イオン性物質を含む組成物を添加する。言い換えると、P成分添加工程が反応性イオン性物質添加工程を兼ねている。
これにより、第1の固体に、反応性イオン性物質を供給しつつ、リン系の肥料成分を供給することができ、自然水用肥料の生産性を優れたものとしつつ、リン系の肥料成分の含有量や肥料成分の溶出速度がより好適に制御された自然水用肥料を得ることができる。
なお、反応性イオン性物質添加工程は、第1の固液分離工程で得られた第1の固体に対して直接行ってもよいし、第1の固液分離工程で得られた第1の固体に所定の処理を施した後に行うものであってもよい。
特に、反応性イオン性物質添加工程は、後に詳述する焼成工程前に行う。言い換えると、反応性イオン性物質添加工程の後に、焼成工程を行う。
これにより、前記汚泥灰の処理物中に含まれる難溶性の成分(例えば、リン成分、ケイ素成分、鉄成分等)と反応性イオン性物質とを好適に反応させ、最終的に得られる自然水用肥料中に含まれるリン成分、ケイ素成分、鉄成分等の溶解性をさらに好適に調整することができる。
以下に、反応性イオン性物質を用いた場合に進行する化学反応の一例を示す。なお、式中、x,y,z,l,m,nはそれぞれ1以上の整数である。
(1)被処理物である汚泥灰の処理物に含まれる、難溶性のリン成分が、リン酸鉄(FePO)である場合
(1-1)NaCOとの反応:
FePO+3/2NaCO → NaPO+3/2CO+1/2Fe
2FePO+2NaCO → Na + 2CO +Fe + 1/2O
Fe +NaCO → Na +mCO +lFe
(1-2)CaCOとの反応:
2FePO + 3CaCO → Ca(PO + 3CO + FeCO
Fe +3CaCO → Ca +mCO +nFe
(2)被処理物である汚泥灰の処理物に含まれる、難溶性のリン成分が、リン酸アルミニウム(AlPO)である場合
(2-1)NaCOとの反応:
AlPO +3/2NaCO → NaPO +3/2CO +1/2Al
2AlPO + 2NaCO → Na + 2CO +Al +1/2O
Al +NaCO → Na + mCO + lAl
(2-2)CaCOとの反応:
2AlPO + 3CaCO → Ca(PO + 3CO +Al
Al + 3CaCO → Ca + mCO + nAl
また、例えば、反応に寄与する各成分の比率を調整すること等により、溶解性塩を、カルシウム欠損ハイドロキシアパタイト、CaHPO、Ca(HPO、Ca(HPO、NaHPO、NaHPO等のリン酸水素塩として得ることもできる。
このようなリン酸水素塩が得られる化学反応の一例を以下に示す。なお、式中、x,y,a,b,c,d,eはそれぞれ1以上の整数であり、Mは金属元素である。
CaPyO + M(OH) → Ca
NaPyO + M(OH) → Na
特に、本実施形態では、反応性イオン性物質添加工程で添加される反応性イオン性物質は、後に詳述する第2の析出工程で用いられたものである。
これにより、自然水用肥料の製造過程におけるリン成分の不本意な溶解等の不都合を防止し、自然水用肥料の生産性や自然水用肥料の組成をより確実に好適なものとしつつ、自然水用肥料中に含まれるリン成分等の溶解性をより好適に高めることができる。
また、本発明の自然水用肥料の製造方法は、汚泥灰の処理物である第1の固体に対して、還元剤を添加して還元処理を施す還元工程を有していてもよい。
これにより、自然水用肥料中に含まれるリン成分等の溶解性をより好適に高めることができる。また、第1の固体が鉄、ケイ素等を含む場合に、最終的に得られる自然水用肥料において、これらについての溶出速度も好適に制御することができる。
なお、還元工程は、第1の固液分離工程で得られた第1の固体に対して直接行ってもよいし、第1の固液分離工程で得られた第1の固体に所定の処理を施した後に行うものであってもよい。
還元工程は、例えば、炭素、水素等を含む還元剤を用いて行うことができる。また、稲等のモミガラ等の農林業の廃棄物を混合して還元する方法を採用することもできる。炭素を含む還元剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
還元工程は、いかなるタイミングで行ってもよいが、例えば、汚泥灰から重金属、リンを溶出除去した後、還元剤の添加プロセス後のタイミングで行うのが好ましい。さらに、無酸素で焼成工程を行うことで、還元工程と焼成工程を同時に行ってもよい。
また、本実施形態では、第1の固液分離工程、反応性イオン性物質添加工程よりも後に、第1の固体および反応性イオン性物質を含む組成物に対して焼成処理を施す焼成工程をさらに有する。
これにより、例えば、自然水用肥料中に含まれる水分量を好適に低減させることができる。また、例えば、自然水用肥料の水に対する溶解性等が好適なものとなるように好適に調整することができる。
なお、図1に示す構成では、第1の固液分離工程の後に、P成分添加工程、焼成工程およびN成分添加工程を、この順に行っているが、これらの工程の順番は入れ替えてもよく、また、複数の工程を同時進行的に行ってもよい。
<第1の溶解工程>
第1の溶解工程では、汚泥灰と、酸性の液体とを混合する。
これにより、汚泥灰中に含まれる重金属およびリンを溶解させる。
なお、汚泥灰中において、リンは、通常、酸化物(P等)やリン酸、リン酸塩等の形態で含まれている。以下の説明では、これらの形態を含めて原子としてのリンを含む化合物(イオン性物質を含む)や当該化合物中に含まれるリン原子のことを、単にリンということがある。
また、汚泥灰中において、重金属は、金属酸化物(複酸化物を含む)や単体金属、合金、金属塩等の形態で含まれている。以下の説明では、これらの形態を含めて原子としての重金属を含む化合物(イオン性物質を含む)や当該化合物中に含まれる重金属原子のことを、単に重金属ということがある。
本工程で用いる汚泥灰(すなわち、自然水用肥料の原料としての汚泥灰)は、一般に、重金属およびリンに加え、鉄およびケイ素を含んでいる。そして、本工程では、重金属を効率よく溶解することができる一方で、鉄およびケイ素に加え、汚泥灰中のリンの一部は、溶解せずに、固形分中に残存する。
これにより、最終的に得られる自然水用肥料中に、重金属が残存することを防止、リン、鉄およびケイ素を好適に含有させることができる。
また、本工程で用いる汚泥灰(すなわち、自然水用肥料の原料としての汚泥灰)は、一般に、上記の成分に加えて、Al、Mg等を含んでいる。
これにより、本工程において、汚泥灰中に含まれる重金属およびリンとともに、重金属以外の金属等を溶解させることができる。例えば、汚泥灰中に含まれる鉄の一部が溶解する。これらの成分は、後に詳述する第1の析出工程において、不純物として機能し、リン酸塩(特に、例えば、リン酸水素カルシウム2水和物、リン酸カルシウム等のリン酸のカルシウム塩)の結晶の粗大化をより効果的に防止することができる。その結果、形成されるリン酸塩の結晶は、比較的不安定で、アルカリ性の液体で溶解しやすくなる。その結果、後に詳述する第2の溶解工程で、より高い選択性で、リン酸塩を溶解させることができる。
本工程で用いる酸性の液体は、特に限定されないが、pH(水素イオン指数)が-1.0以上2.0以下の強酸であるのが好ましい。
これにより、安全性を確保しつつ、酸性の液体の使用量を抑制し、本工程を効率よく行うことができる。また、本工程での処理後の組成物(すなわち、汚泥灰と酸性の液体との混合物)の体積が大きくなりすぎることを効果的に防止することができる。また、その後の工程のし易さ、処理すべき廃液量の削減の観点からも好ましい。
本工程で用いる酸性の液体のpHは、-1.0以上1.5以下であるのが好ましいが、特に、-0.5以上1.3以下であるのがより好ましく、0以上1.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
酸性の液体としては、例えば、硫酸、硝酸、酢酸、塩酸や、これらのうちの2種以上を含む液体等を用いることができる。
本工程の終了時における液相(すなわち、重金属およびリンが溶解した第1の液体)のpHは、0.5以上6.8以下であるのが好ましいが、特に、1.0以上6.5以下であるのがより好ましく、1.5以上6.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、重金属をより効率よく溶出させることができ、本工程の終了時における固相中における重金属の残存量をより確実に少なくすることができる。また、適度な割合で、リンを溶出させることができ、最終的に得られる自然水用肥料中におけるリンの含有率を好適な範囲に調整しやすくなる。また、後の第1の析出工程より前に重金属や過剰なリンが不本意に析出することをより確実に防止することができる。
本工程の終了時における液相中へのリンの溶解率は、特に限定されないが、10%以上99%以下であるのが好ましく、15%以上90%以下であるのがより好ましく、20%以上70%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、有用物質であるリンをより効率よく回収することができる。
また、本工程は、汚泥灰と酸性の液体との混合物を撹拌しつつ行うのが好ましい。
これにより、汚泥灰と酸性の液体とをより効率よく接触させることができ、より効率よく、重金属等を溶解させることができる。
汚泥灰と酸性の液体との混合物の撹拌には、各種撹拌装置、各種混合装置を用いることができる。
また、本工程は、バッチ式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。
<第1の固液分離工程>
第1の固液分離工程では、重金属およびリンが溶解した第1の液体を固体成分である第1の固体から分離除去する。
これにより、重金属を実質的に含まず、リンの含有率が調整された固体(すなわち、第1の固体)を得ることができる。また、このような第1の固体は、リンに加え、汚泥灰由来のケイ素、鉄を含んでいる。したがって、第1の固体を自然水用肥料またはその原料として好適に用いることができる。
固液分離の方法は、特に限定されないが、例えば、デカンテーション、ろ過、遠心分離等が挙げられ、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
また、本工程では、必要に応じて、一旦分離された固相(すなわち、第1の固体)を水等により洗浄してもよい。
これにより、例えば、酸成分のイオン濃度、重金属の含有率をより低くすることができる。
なお、固相の洗浄に用いた液体は、回収後、先の固液分離により得られた液相と合わせて、後に詳述する第1の析出工程に用いてもよい。
固液分離された固相中におけるリンの含有率は、特に限定されないが、1.0質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、2.0質量%以上20質量%以下であるのがより好ましく、3.0質量%以上10.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
固液分離された固相中における重金属の含有率(複数種の重金属元素を含む場合には、これらの総量。以下、同様。)は、特に限定されないが、1質量%以下であるのが好ましく、0.01質量%以下であるのがより好ましく、0.0001質量%以下であるのがさらに好ましい。
<P成分添加工程>
本実施形態では、第1の固液分離工程で分離された固相(すなわち、第1の固体)に対して、P成分添加工程で、リン系の肥料成分を添加する。特に、本実施形態では、P成分添加工程において、リン系の肥料成分とともに反応性イオン性物質を含む組成物を第1の固体に添加する。
リン系の肥料成分としては、例えば、汚泥灰から回収したリン酸系化合物、市販のリン酸系肥料、製鋼スラグ、バイオマス燃焼灰、鉄鋼スラグ等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン系の肥料成分は、固体状態で添加するものであってもよいし、溶液状態やペースト状態で添加するものであってもよい。
P成分添加工程で、第1の固体に添加する組成物、すなわち、リン系の肥料成分とともに反応性イオン性物質を含む組成物の調製については、後に詳述する。なお、P成分添加工程のタイミングは、特に限定されず、例えば、P成分添加工程は、焼成工程よりも後のタイミングで行ってもよい。
<焼成工程>
焼成工程では、第1の固体および反応性イオン性物質を含む組成物に対し焼成処理を施す。
特に、本実施形態では、P成分添加工程の後に焼成工程を行う。
焼成処理における焼成温度は、特に限定されないが、150℃以上1100℃以下であるのが好ましく、200℃以上1000℃以下であるのがより好ましく、250℃以上950℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料からの各成分の溶解性をさらに好適に調整することができる。
焼成処理の処理時間は、特に限定されないが、0.5時間以上100時間以下であるのが好ましく、1.5時間以上90時間以下であるのがより好ましく、2時間以上80時間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料からの各成分の溶解性をさらに好適に調整することができる。
<N成分添加工程>
N成分添加工程では、窒素系の肥料成分を添加する。
窒素系の肥料成分としては、例えば、尿素、石灰窒素、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
窒素系の肥料成分の添加量は、特に限定されないが、最終的に得られる自然水用肥料中において、リン原子100質量部に対する窒素の含有量が以下の条件を満足するような量であるのが好ましい。すなわち、最終的に得られる自然水用肥料中におけるリン原子100質量部に対する窒素の含有量は、特に限定されないが、1.0質量部以上30.0質量部以下であるのが好ましく、2.0質量部以上20.0質量部以下であるのがより好ましく、3.0質量部以上10.0質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料中に含まれるリン原子と窒素原子とのバランスをより好適なものとすることができる。
窒素系の肥料成分は、固体状態で添加するものであってもよいし、溶液状態やペースト状態で添加するものであってもよい。
<P成分添加工程で第1の固体に添加する組成物について>
以下、P成分添加工程で第1の固体に添加する組成物、すなわち、リン系の肥料成分および反応性イオン性物質を含む組成物について詳細に説明する。
P成分添加工程で添加する組成物中に含まれるリン系の肥料成分は、特に限定されず、例えば、市販の肥料を用いてもよいが、以下の各工程を有する方法を経て得られたものであるのが好ましい。
すなわち、P成分添加工程で第1の固体に添加する組成物は、第1の固液分離工程で分離された第1の液体を析出剤と混合するとともにpHを上昇させ、重金属およびリンを含む第2の固体を析出させる第1の析出工程と、第2の固体を液体成分と分離する第2の固液分離工程と、第2の固体中に含まれるリンをアルカリ性の液体で溶解させる第2の溶解工程と、リンが溶解した第2の液体を、重金属を含む固体成分と分離する第3の固液分離工程とを有する方法により、分離されたものであるのが好ましい。
これにより、P成分添加工程で添加する組成物中に含まれるリン系の肥料成分も汚泥灰由来のものとすることができ、汚泥灰の利用効率をさらに高めることができる。また、このようなリン系の肥料成分(P成分添加工程で添加する組成物中に含まれるリン系の肥料成分)は、前述した第1の固体に含まれるリン成分に比べて、水に対する溶解性が高いものであるため、自然水用肥料全体としてのリン系の肥料成分の溶解性を好適に調整することができ、即効性と持続性とをより高いレベルで両立することができる。
特に、リン系の肥料成分は、第3の固液分離工程の後に、第2の液体を析出剤と混合するとともにpHを低下させ、リンを含む第3の固体を析出させる第2の析出工程をさらに有する方法を用いて得られたものであるのが好ましい。
これにより、重金属を実質的にほぼ含まない純度の高いリン酸塩を得ることができ、当該リン酸塩を、P成分添加工程でリン系の肥料成分として好適に用いることができる。また、当該リン酸塩は、純度の高いものであるため、P成分添加工程で用いるリン系の肥料成分以外の用途にも好適である。また、リンを固体状物質であるリン酸塩(例えば、リン酸水素カルシウム2水和物、リン酸カルシウム等)として取り扱うことができ、保管や輸送等をより好適に行うことができる。
<第1の析出工程>
第1の析出工程では、第1の固液分離工程で第1の固体から分離された第1の液体を、析出剤と混合するとともにpHを上昇させ、重金属およびリンを含む第2の固体を析出させる。特に、リンをリン酸塩(例えば、リン酸水素カルシウム2水和物、リン酸カルシウム等)として析出させる。
これにより、後の工程における、重金属およびリン以外を含む物質の取り扱いが容易となる。また、重金属およびリン以外を含む物質中における重金属およびリン以外の成分の含有率を低下させることができ、リン回収工程における不純物の混入量を低下させることができる。
また、このような条件でリン酸塩を析出させることにより、当該リン酸塩の核生成および成長を好適に制御することができ、当該リン酸塩を微結晶として析出させることができる。その結果、後の第2の溶解工程において、当該リン酸塩を溶解させやすくすることができ、リン(溶解状態)を重金属(固体状態)から好適に分離することができる。
また、第1の液体は、通常、重金属およびリンとともに、Al、Mg等を含んでおり、これにより、本工程において、リン酸塩(特に、リン酸のカルシウム塩)の結晶の粗大化をより効果的に防止することができる。その結果、形成されるリン酸塩の結晶は、比較的不安定で、アルカリ性の液体で溶解しやすくなる。したがって、後の工程で、より高い選択性で、リン酸塩を溶解させることができる。
本工程では、析出剤と混合するとともにpHを上昇させることができれば、どのような物質、組成物を用いてもよいが、pHが10以上のアルカリ性液体を用いるのが好ましい。
これにより、混合物のpHをより好適に上昇させることができ、重金属およびリンを含む第2の固体をより効率よく析出させることができる。また、後の第2の固液分離工程の完了前にリンや重金属が不本意に再溶解してしまうことをより確実に防止することができる。また、本工程において析出する析出物中に含まれるリン酸塩の結晶が粗大化することをより効果的に防止することができる。
析出剤は、リン酸塩等の析出を促進する機能を有していればよく、例えば、CaCl、Ca(OH)、CaCO等のCa系物質、Al塩等のAl系物質、Fe塩等のFe系物質、Mg塩等のMg系物質等を用いることができるが、Ca系物質を用いるのが好ましい。これにより、本工程で、リンをリン酸のカルシウム塩(例えば、リン酸水素カルシウム2水和物、リン酸カルシウム等)として析出させることができ、後の工程をより好適に行うことができる。
本工程では、pHが10以上のアルカリ性液体を用いるのが好ましいが、当該アルカリ性液体のpHは、特に限定されないが、11以上であるのがより好ましく、12以上14以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮されるとともに、当該アルカリ性液体を容易かつ安定的に入手または調製することができる。
また、本工程で、アルカリ性カルシウム化合物(イオン性物質)を用いるのが好ましく、CaCl、Ca(OH)、CaCOおよび、Al、Mg、Fe成分を持つ塩化物よりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのがより好ましく、CaCl、Ca(OH)およびCaCOよりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのがさらに好ましく、CaClを用いるのがもっとも好ましい。
これらのカルシウム化合物は、析出剤としてより好適に機能する。したがって、リン酸のカルシウム塩の一部となるカルシウム成分を系内に効率よく供給しつつ、混合物のpHを好適に調整することができる。その結果、本工程で、第1の液体に混合される物質の使用量を抑制し、本工程を効率よく進行させることができる。また、本工程での混合物中における、カルシウム含有率とpHとのバランスを好適に調整することができ、重金属およびリンの析出効率を向上させつつ、第1の液体中における不純物の含有率をより低くすることができる。また、後の第2の固液分離工程の完了前にリンや重金属が不本意に再溶解してしまうことをより確実に防止することができる。
本工程の終了時における液相のpHは、特に限定されないが、1.0以上12以下であるのが好ましく、1.5以上9.0以下であるのがより好ましく、2.0以上8.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、後の第2の固液分離工程の完了前にリンや重金属が不本意に再溶解してしまうことをより確実に防止することができる。
また、pHの上昇に用いる材料の使用量が必要以上に多くなることを防止しつつ、液相中に残存するリン、重金属の量をより少なくすることができる。
また、粒径が適度に小さく、不安定なリン酸塩の結晶を多く含む析出物を得ることができる。その結果、後の第2の溶解工程で、リン酸塩をより効率よく溶解させることができる。
これに対し、本工程の終了時における液相のpHが低すぎると、リンの析出率が低下して最終的なリンの回収率が低下する。
また、本工程の終了時における液相のpHが高すぎると、本工程で得られる析出物(第2の固体)中に含まれるリンのアルカリ性の液体への溶解度、溶解速度が低くなり、最終的なリンの回収率が低下する。
図2は、第1の析出工程の終了時における液相のpHと、最終的なリンの回収率との関係を模式的に示す図である。
本工程では、以下の条件を満足するように、カルシウムを加えるのが好ましい。すなわち、本工程の終了時における系内のリンの物質量をX[mol]、カルシウムの物質量をXCa[mol]としたとき、1.0≦XCa/X≦4.0の関係を満足するのが好ましく、1.3≦XCa/X≦3.0の関係を満足するのがより好ましく、1.5≦XCa/X≦2.5の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、第1の液体中に含まれていたリンをリン酸のカルシウム塩としてより好適に析出させること(例えば、ほぼ100%析出させること)ができ、溶解状態で液相中に残存するリンの割合を特に低くさせることができる。また、本工程において析出する析出物中に含まれるリン酸のカルシウム塩の結晶が粗大化することをより効果的に防止することができる。
<第2の固液分離工程>
第2の固液分離工程では、リンおよび重金属を含む第2の固体を、液体成分と分離する。
これにより、高濃度のリンおよび重金属を含む固体(第2の固体)と、重金属を実質的に含まない液相とに分離することができる。また、一般に、液相中に含まれるリンの含有量は十分に少ない。
このような液相(すなわち、重金属を実質的に含まず、リンの含有量が十分に少ない液相)は、環境に対する負荷が小さく、排水しても問題がない。また、固液分離された液相は、前記工程に再利用してもよい。これにより、カルシウムを比較的高い含有率で含む液体を再利用することができ、資源のさらなる有効利用の観点から好ましい。
固液分離の方法は、特に限定されないが、例えば、デカンテーション、ろ過、遠心分離等が挙げられ、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
また、本工程では、必要に応じて、一旦分離された固相を水等により洗浄してもよい。
固液分離された液相中におけるリンの含有率は、特に限定されないが、1000ppm以下であるのが好ましく、100ppm以下であるのがより好ましく、10ppm以下であるのがさらに好ましい。
固液分離された液相中における重金属の含有率は、特に限定されないが、10000ppm以下であるのが好ましく、1000ppm以下であるのがより好ましく、0.1ppm以下であるのがさらに好ましい。
<第2の溶解工程>
第2の溶解工程では、第2の固体中に含まれるリンをアルカリ性の液体で溶解させる。
このようにアルカリ性の液体を用いることにより、第2の固体中に含まれる重金属の溶解を防止しつつ、リンを選択的に溶解させることができる。特に、前述したように、第1の析出工程では、所定の条件でリン酸塩を析出させているため、当該リン酸塩の核生成および成長が好適に制御され、当該リン酸塩がアルカリに溶解しやすい状態になっている。その一方で、重金属は、一般に、アルカリ性の液体には、溶解しにくい。その結果、肥料等に利用可能な有用物質としてのリン(特に、P成分添加工程で好適に用いることができるリン系の肥料成分)と、重金属とを好適に分離することができる。また、最終的な固体廃棄物(産業廃棄物)を少なくすることができる。
本工程で用いるアルカリ性の液体のpHは、特に限定されないが、10以上であるのが好ましく、11以上14以下であるのがより好ましく、12以上14以下であるのがさらに好ましい。
これにより、重金属の再溶解を防止しつつ、リン(リン酸塩)をより効率よく溶解させることができる。また、後の第3の固液分離工程の完了前にリンが不本意に析出してしまうことをより確実に防止することができる。
アルカリ性の液体は、液体全体としてアルカリ性を呈するものであればよく、アルカリ性の液体中に含まれるアルカリ性物質としては、例えば、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Al(OH)等の金属水酸化物、CaCO、MgCO等の金属炭酸塩、アンモニア、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系物質等が挙げられる。
中でも、本工程で用いるアルカリ性の液体は、アルカリ性物質として、金属水酸化物を含んでいるのが好ましく、アルカリ金属の水酸化物を含んでいるのがより好ましく、NaOHを含んでいるのがさらに好ましい。
これにより、重金属の再溶解をより効果的に防止しつつ、第2の固体中に含まれるリンをより効率よく溶解させることができる。また、このようなアルカリ性物質は、安価でかつ入手が容易であり、コスト削減、安定的な処理等の観点からも好ましい。
本工程の終了時における液相のpHは、特に限定されないが、10以上であるのが好ましく、11以上14以下であるのがより好ましく、12以上14以下であるのがさらに好ましい。
これにより、重金属の再溶解をより効果的に防止しつつ、第2の固体中に含まれるリンをより効率よく溶解させることができ、pHの上昇に用いる材料の使用量が必要以上に多くなることを防止しつつ、液相中に残存するリンの量をより少なくすることができる。また、後の第3の固液分離工程の完了前にリンが不本意に析出してしまうことや重金属が不本意に溶解してしまうことをより確実に防止することができる。
<第3の固液分離工程>
第3の固液分離工程では、リンが溶解した第2の液体を、重金属を含む固体成分と分離する。
これにより、リンと重金属とを分離することができる。また、厳重な処理が求められる重金属を固体として取り扱うことができるため、重金属の取り扱いが容易となる。また、重金属を含む材料の体積を大幅に減少させることができるため、例えば、産業廃棄物として処理する場合であってもその処理が容易となる。また、分離された液相は、重金属を実質的に含んでいないため、産業廃棄物として処理する必要がない。
固液分離の方法は、特に限定されないが、例えば、デカンテーション、ろ過、遠心分離等が挙げられ、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
また、本工程では、必要に応じて、一旦分離された固相を水等により洗浄してもよい。
これにより、固体中のリンの含有率をより低くすることができる。
なお、固相の洗浄に用いた液体は、回収後、先の固液分離により得られた液相と合わせてもよい。
固液分離された固相中におけるリンの量は、特に限定されないが、原料として用いる汚泥灰(すなわち、第1の溶解工程に供される汚泥灰)のリン含有量の30質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、2質量%以下であるのがさらに好ましい。また、固液分離された固相中におけるリン含有量は50質量%以上が好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、99質量%以上であるのがさらに好ましい。
固液分離された液相中における重金属の含有率は、特に限定されないが、1000ppm以下であるのが好ましく、10ppm以下であるのがより好ましく、0.01ppm以下であるのがさらに好ましい。
<第2の析出工程>
本実施形態では、前述した第3の固液分離工程の後に、第2の液体を析出剤と混合するとともにpHを低下させ、リンを含む第3の固体を析出させる第2の析出工程をさらに有している。
これにより、重金属を実質的にほぼ含まない純度の高いリン酸塩を第3の固体として得ることができ、当該リン酸塩を、P成分添加工程でリン系の肥料成分として好適に用いることができる。また、当該リン酸塩は、純度の高いものであるため、P成分添加工程で用いるリン系の肥料成分以外の用途にも好適である。また、リンを固体状物質であるリン酸塩(例えば、リン酸水素カルシウム2水和物、リン酸カルシウム等)として取り扱うことができ、保管や輸送等をより好適に行うことができる。
本工程では、析出剤と混合するとともにpHを下降させることができれば、どのような物質、組成物を用いてもよいが、pHが-1.0以上2.0以下の酸性液体を用いるのが好ましい。
これにより、混合物のpHを好適に低下させることができ、リンを含む第3の固体をより効率よく析出させることができる。また、後の第4の固液分離工程の完了前にリンが不本意に再溶解してしまうことをより確実に防止することができる。
本工程では、pHが-1.0以上2以下の酸性液体を用いるのが好ましいが、当該酸性液体のpHは、-0.5以上1.3以下であるのがより好ましく、0.0以上1.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮されるとともに、当該酸性液体を容易かつ安定的に入手または調製することができる。
本工程では、析出剤として、リン酸塩等の析出を促進する機能を有するものを用いればよいが、アルカリ金属および/または第2族元素の水酸化物および/または塩である反応性イオン性物質を用いるのが好ましい。
これにより、アルカリ溶液での溶解性能を調節可能になり、さらに、リン酸塩を、肥料等に特に有用なリン酸金属塩として得ることができる。また、自然水用肥料中に含まれるリン成分等の溶解性をより好適に高めることができる。
特に、反応性イオン性物質は、Naおよび/またはCaを含む水酸化物および/または塩であるのが好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
中でも、本工程では、NaCO、NaOH、CaCO、Ca(OH)、CaClおよびNaClよりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
これにより、混合物のpHを好適に調整することができる。その結果、本工程で、第2の液体に混合される物質の使用量を抑制し、本工程を効率よく進行させることができる。また、リンの析出効率を向上させつつ、第3の固体中における不純物の含有率をより低くすることができる。また、後の第4の固液分離工程の完了前にリンが不本意に再溶解してしまうことをより確実に防止することができる。また、自然水用肥料中に含まれるリン成分等の溶解性をさらに好適に調整することができる。
特に、最終的に得られる自然水用肥料を、リンの溶解性塩(リン酸系化合物のアルカリ金属塩および/または第2族元素塩)として、NaまたはCaを含む塩を含むものと据えることができる。このような塩としては、例えば、Na、Caで表される塩(式中、x,y,zはそれぞれ1以上の整数である。)やCaHPO、Ca(HPO、NaHPO、NaHPO等のリン酸水素系化合物の塩等が挙げられる。中でも、当該塩として、NaPO、Na、Ca(POよりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むのが好ましい。
また、反応性イオン性物質としては、Naを含む水酸化物および/または塩と、Caを含む水酸化物および/または塩とを併用するのが好ましい。
これにより、最終的に得られる自然水用肥料を、リン酸系化合物のナトリウム塩と、リン酸系化合物のカルシウム塩との両方を含むものとすることができる。リン酸系化合物のナトリウム塩と、リン酸系化合物のカルシウム塩とは、水に対する溶解性が異なるため、これらを組み合わせることで、自然水に対する溶解性の調整をより好適に行うことができる。例えば、自然水への適用後の初期段階におけるリン成分(溶解性塩)の溶出量を比較的高いものとしつつ、自然水への適用後から比較的長期間経過した後のリン成分(溶解性塩)の溶出量も比較的高くすることができる。
本工程の終了時における液相のpHは、特に限定されないが、2.0以上12.0以下であるのが好ましく、2.5以上10.0以下であるのがより好ましく、3.0以上8.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、後の第4の固液分離工程の完了前にリンが不本意に再溶解してしまうことをより確実に防止することができる。また、pHの上昇に用いる材料の使用量が必要以上に多くなることを防止しつつ、液相中に残存するリンの量をより少なくすることができる。
本工程では、以下の条件を満足するように、カルシウムを加えるのが好ましい。すなわち、本工程の終了時における系内のリンの物質量をX[mol]、カルシウムの物質量をXCa[mol]としたとき、1.0≦XCa/X≦4.0の関係を満足するのが好ましく、1.3≦XCa/X≦3.0の関係を満足するのがより好ましく、1.5≦XCa/X≦2.5の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、第2の液体中に含まれていたリンをリン酸のカルシウム塩としてより好適に析出させることができ、溶解状態で液相中に残存するリンの割合を特に低くさせることができる。
<第4の固液分離工程>
本実施形態では、前述した第2の析出工程の後に、リンを含む第3の固体(固相)と液体成分(液相)とを分離する第4の固液分離工程を有している。
これにより、リンを含む材料を固体として扱うことができ、その取扱いが容易となる。なお、分離された液相は、重金属を実質的に含んでいないため、産業廃棄液として処理する必要がない。また、分離された液相は、リンの含有率が十分に低いため、当該液相を廃棄しても、有用資源の有効利用の観点から不利ではない。また、分離された第3の固体は、リン酸塩を高純度で含み、重金属の含有率が極めて低いため、肥料等(特に、P成分添加工程で添加するリン系の肥料成分)に好適に用いることができる。特に、後処理等を行わなくても、また、後処理を行う場合であっても、簡易な処理で、肥料等に好適に用いることができる。
固液分離の方法は、特に限定されないが、例えば、デカンテーション、ろ過、遠心分離等が挙げられ、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
また、本工程では、必要に応じて、一旦分離された固相を水等により洗浄してもよい。
これにより、固体中のイオン(陽イオンおよび陰イオン)の含有率をより低くすることができる。
なお、固相の洗浄に用いた液体は、回収後、先の固液分離により得られた液相と合わせてもよい。
固液分離された固相(第2の固体)中における重金属の含有率は、特に限定されないが、1000ppm以下であるのが好ましく、500ppm以下であるのがより好ましく、10ppm以下であるのがさらに好ましい。
図8に、本発明の自然水用肥料の製造方法の具体的な一例のフローチャートを示す。
[自然水用肥料]
次に、本発明の自然水用肥料について説明する。
本発明の自然水用肥料は、汚泥灰を原料とし、リン(P)とケイ素(Si)と鉄(Fe)とを含み、重金属の含有率が1000ppm以下であることを特徴とする。
これにより、汚泥灰を有効利用しつつ、リン、ケイ素および鉄を含み、かつ、重金属の含有率が十分に低い自然水用肥料を提供することができる。特に、肥料成分の溶出速度が好適に制御された自然水用肥料を提供することができる。
このような本発明の自然水用肥料は、前述した方法により好適に製造することができる。
本発明の自然水用肥料中における重金属の含有率は、5000ppm以下であればよいが、500ppm以下であるのが好ましく、100ppm以下であるのがより好ましく、10ppm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
本発明の自然水用肥料中における重金属の溶解濃度は、1ppm以下であるのが好ましく、100ppb以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
本発明の自然水用肥料中におけるリン(P)の含有率は、特に限定されないが、1.0質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上9.0質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料が適用される自然水を、過剰に富栄養化させることをより効果的に防止しつつ、より適切な濃度でかつより長期間にわたって富栄養化させることができる自然水用肥料を提供することができる。また、自然水用肥料中における他の栄養成分とのバランスをより好適なものに調整しやすくなる。
本発明の自然水用肥料中におけるケイ素(Si)の含有率は、特に限定されないが、ケイ素の含有率が10質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上45質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料が適用される自然水を、過剰に富栄養化させることをより効果的に防止しつつ、より適切な濃度でかつより長期間にわたって富栄養化させることができる自然水用肥料を提供することができる。また、自然水用肥料中における他の栄養成分とのバランスをより好適なものに調整しやすくなる。
本発明の自然水用肥料中における鉄(Fe)の含有率は、特に限定されないが、鉄の含有率が1.0質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、4.0質量%以上12質量%以下であるのがより好ましく、5.0質量%以上10質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料が適用される自然水を、過剰に富栄養化させることをより効果的に防止しつつ、より適切な濃度でかつより長期間にわたって富栄養化させることができる自然水用肥料を提供することができる。また、自然水用肥料中における他の栄養成分とのバランスをより好適なものに調整しやすくなる。
特に、上記3成分が、いずれも、上記の含有率についての条件を満足するのが好ましい。
これにより、各成分のバランスがより好適なものとなり、前述した効果がより顕著に発揮される。
本発明の自然水用肥料中におけるリンの含有率をX[質量%]、本発明の自然水用肥料中におけるケイ素の含有率をXSi[質量%]としたとき、1.0≦XSi/X≦50.0の関係を満足するのが好ましく、3.0≦XSi/X≦30.0の関係を満足するのがより好ましく、4.0≦XSi/X≦15.0の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料中におけるリンの含有率とケイ素の含有率とのバランスがより好適なものとなる。
本発明の自然水用肥料中におけるリンの含有率をX[質量%]、本発明の自然水用肥料中における鉄の含有率をXFe[質量%]としたとき、0.9≦XFe/X≦50.0の関係を満足するのが好ましく、1.0≦XFe/X≦30.0の関係を満足するのがより好ましく、1.2≦XFe/X≦15.0の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、自然水用肥料中におけるリンの含有率と鉄の含有率とのバランスがより好適なものとなる。
特に、XSi/X、XFe/X、の両方の条件を満足するのが好ましい。
これにより、各成分のバランスがより好適なものとなり、前述した効果がより顕著に発揮される。
自然水用肥料中における、Naの含有率をXNa[mol%]、自然水用肥料中におけるCaの含有率をXCa[mol%]としたとき、0.01≦XCa/XNa≦100の関係を満足するのが好ましく、0.1≦XCa/XNa≦10の関係を満足するのがより好ましい。
これにより、上述した効果がより顕著に発揮される。
また、自然水用肥料中におけるFeの含有率とAlの含有率との和をX[質量%]、自然水用肥料中におけるアルカリ金属の含有率と第2族元素の含有率との和をX[質量%]としたとき、0.01≦X/X≦20の関係を満足するのが好ましく、0.1≦X/X≦10の関係を満足するのがより好ましく、0.5≦X/X≦3の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、長期間にわたってさらに好適に肥料成分を溶出することができ、自然水用肥料としての効果を長期間にわたってさらに好適に発揮することができる。
自然水用肥料は、いかなる形状であってもよいが、粒状をなしているのが好ましい。
これにより、自然水用肥料の取り扱いがより容易となる。
自然水用肥料が粒状をなしている場合、自然水用肥料が用いられる目的および環境によって、粒径を調節することができる。自然水用肥料の粒径や、自然水中への投与形態を変えることによって、溶出期間、即効性と持続性とのバランス等をより好適に調節することができる。
自然水用肥料が粒状をなす場合、要求される自然水用肥料の持続時間等によって異なるが、その平均粒径は、1μm以上1.0m以下であるのが好ましく、2mm以上500mm以下であるのがより好ましい。
これにより、自然水中における自然水用肥料の溶解速度、即効性と持続性とのバランス等をより好適に調整することができる。
自然水用肥料の自然水中への投与形態は、自然水と接触する状態で投与されるものであれば特に限定されず、例えば、自然水用肥料をそのまま自然水中に直接投入すること、自然水用肥料を土または砂利等に混ぜて海底等に敷設すること等により投与される。
また、自然水用肥料は、自然水用肥料の大きさよりも小さい開口部を有する容器に収容した状態で、自然水に適用してもよい。
これにより、例えば、水流等の影響で、固体状の自然水用肥料が必要以上に広範囲に拡散してしまい、所望の領域において十分な効果が得られなくなってしまうことをより確実に防止することができる。
前記容器としては、例えば、メッシュを有する袋体を用いてもよい。
袋体の構成材料は、特に限定されないが、鉄やポリ乳酸等の生分解性材料であるのが好ましい。
また、自然水用肥料は、例えば、護岸ブロック、消波ブロック、人工魚礁、堤防等の、自然水に接した状態で設置される構造体、特に、コンクリート製の大型固定物または建造物の全体または一部に含まれた状態で用いられるものであってもよい。
これにより、自然水用肥料が海流、水流等で流されることがより効果的に防止される。また、コンクリート等に含まれることによって、徐々に溶解する性質をさらに効果的に発揮することができ、さらに長期間にわたって効果を持続させることができる。
自然水用肥料は、前記構造体の全体に含まれていてもよいし、前記構造体の一部(ただし、自然水と接触し得る部位)のみに含まれていてもよい。
構造体を製造する際に、原料となるコンクリート等に混合することにより、自然水用肥料が混合された構造体とすることができる。
また、前記構造体は、その表面に、自然水用肥料を含む組成物を付着させたものであってもよい。また、自然水用肥料(前記構造体)は、自然水と接触し得るものであれば、地中に埋設して用いるものであってもよい。
これにより、例えば、自然水に接触し得る部位にすでに設置されている構造体や、すでに製造された設置前の構造体(例えば、設置準備中の構造体等)等にも、好適に適用することができ、コストや手間の観点からも有利である。また、肥料成分の溶出が進み、自然水用肥料としての効果が低下してきた場合にも、自然水用肥料を含む組成物を再付着させることにより、所望の期間だけ、自然水用肥料を延長させることができる。また、自然水に適用した場合の肥料成分の溶出量や海藻等の生育条件によって、自然水用肥料を含む組成物の付着量や組成物の組成の調整を行うことができ、より好ましい環境を作り上げることができる。また、万が一、肥料成分の溶出量が過剰となった場合に、残存する自然水用肥料の回収も比較的容易に行うことができる。
また、母材となる構造体への、自然水用肥料を含む組成物の付着は、例えば、塗装法により好適に行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の自然水用肥料の製造方法は、前述した工程以外の工程(例えば、前処理工程、中間処理工程、後処理工程等)を有していてもよい。
より具体的には、例えば、汚泥灰の処理物の構成成分の少なくとも一部(例えば、リン成分)を易溶化する工程を有していてもよい。
また、前述した実施形態では、反応性イオン性物質添加工程とともに還元工程を有する場合に、自然水用肥料中に含まれるリン成分等の溶解性をより好適に高めることができるとともに、鉄、ケイ素についての溶出速度も好適に制御することができるものとして説明したが、反応性イオン性物質添加工程を省略した場合、すなわち、少なくとも、第1の溶解工程と第1の固液分離工程と還元工程と焼成工程とを有する方法により、肥料成分、特に、鉄成分およびケイ素成分の溶解性が好適に調整された自然水用肥料を提供することができる。(ただし、還元工程には還元剤を添加する工程を含む。)
これにより、自然水用肥料中に含まれる肥料成分の溶解性をより好適に高めることができる。
また、本発明の自然水用肥料の製造方法は、第1の溶解工程と、第1の固液分離工程と、反応性イオン性物質添加工程と、焼成工程とを有していればよく、他の工程は有していなくてもよい。
また、前述した実施形態では、反応性イオン性物質を第2の析出工程で用いることにより、P成分添加工程で、第1の固体に対して、反応性イオン性物質を添加する場合について代表的に説明したが、反応性イオン性物質は、これ以外の形態で、第1の固体に添加してもよい。例えば、本発明の自然水用肥料の製造方法は、P成分添加工程を有さず、第1の固液分離工程で分離された第1の固体に対して、反応性イオン性物質を直接添加してもよい。
また、本発明の自然水用肥料の製造方法は、第1の溶解工程と、第1の固液分離工程と、イオン性物質添加工程と、焼成工程とをこの順番で有していればよく、その他の工程の順番は、前述した実施形態で説明したものに限定されず、順番を入れ替えて行ってもよい。例えば、P成分添加工程を焼成工程の後に有してもよい。
また、本発明の自然水用肥料は、汚泥灰を原料とし、リンとケイ素と鉄とを含み、重金属の溶出率が1000ppm以下であればよく、前述した方法で製造されたものに限定されない。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《1》自然水用肥料の製造
(実施例1)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、15質量部の割合で、反応性イオン性物質としての炭酸ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、800℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、800℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例2~5)
第1の固体100質量部に対して添加する炭酸ナトリウム(反応性イオン性物質)の割合を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例6)
前記実施例1と同様にして第1の液体を用いて調製したサンプル液に対し、溶出したリンの物質量とカルシウムの物質量との比が1:2となるように塩化カルシウムを添加し、1MのNaOH溶液を添加しながら、pHメーターを用いてpHを測定し、撹拌を行いながらリンおよび重金属を析出させた(第1の析出工程)。このとき、リンは、主にリン酸塩として析出した。
pHを4に調整した後、さらに30分撹拌し、その後、ろ紙を濾過機にセットし、真空ポンプを用いて固液分離を行った(第2の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)をメスアップした。
メスアップした濾液を特定の割合で希釈し、モリブデン青吸光度法によりリン濃度を測定し、測定結果から、リンの析出率を算出した。リン濃度の測定には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いて濾液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相に含まれる量と液相に含まれる量とを算出した。
また、第2の固液分離工程で得られた固相については、105℃で2時間乾燥した後に、粉末にし、XRDによる分析も行った。
第2の固液分離工程で得られた固相を、乾燥した後、200mLの1.0MのNaOH水溶液が入っている三角フラスコに投入し、60℃で20分間撹拌した。これにより、リンを再溶出させた(第2の溶解工程)。
リンが溶解した第2の液体(液相)をろ紙で固液分離し、重金属を含む固体成分(固相)と分離した(第3の固液分離工程)。
次に、固液分離した第2の液体に対し、第2の液体中のリンの物質量と、添加するカルシウムの物質量との比が1:2となるように塩化カルシウムを添加し、1Mの塩酸を添加しながら、pHメーターを用いてpHを測定し、撹拌を行いながら、リン酸のカルシウム塩を析出させた(第2の析出工程)。本工程は、液温が20℃以上80℃以下となるようにして行った。
pHを2.0~12の間で調整しながら、さらに60分間撹拌した後、固液分離を行い、主としてリン酸のカルシウム塩で構成された固体(第3の固体)を得た(第4の固液分離工程)。
その後、第1の固液分離工程で分離された第1の固体に対し、リン系の肥料成分として第4の固液分離工程で得られた第3の固体を所定の割合で添加した(P成分添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、800℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、800℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
その後、窒素系の肥料成分としての硝酸ナトリウムを所定の割合で添加した(N成分添加工程)。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例7~10)
第1の析出工程の終了時におけるpHを表1に示すように変更した以外は、前記実施例6と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例11)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、25質量部の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例12)
最高焼成温度を600℃に変更した以外は、前記実施例11と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例13)
最高焼成温度を700℃に変更した以外は、前記実施例11と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例14)
最高焼成温度を800℃に変更した以外は、前記実施例11と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例15)
最高焼成温度を1000℃に変更した以外は、前記実施例11と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例16)
最高焼成温度を1100℃に変更した以外は、前記実施例11と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例17)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、10質量部の割合で、反応性イオン性物質としての炭酸カルシウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例18)
第1の固体100質量部に対して添加する炭酸カルシウム(反応性イオン性物質)の割合を20質量部に変更した以外は、前記実施例17と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例19)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、25質量部の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で1時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例20)
焼成工程の最高焼成温度(900℃)での保持時間を3時間に変更した以外は、前記実施例19と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例21)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、10質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体100質量部に対し、20質量部の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、窒素雰囲気で、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
なお、本実施例では、反応性イオン性物質の添加量について、残渣のリン含有率(5質量%)をモルに換算して、反応性イオン性物質添加量もモルに換算して、その比率を示した。還元剤の量は、残渣の質量基準である。以下の各実施例についても同様である。
(実施例22)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、10質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して十分の1のモル割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、窒素雰囲気で、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例23)
反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムの比率を、十分の1から同量(1:1)に変更した以外は、前記実施例22と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例24)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、10質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して同量(1:1)の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、窒素雰囲気で、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、500℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、500℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例25)
焼成工程の最高焼成温度を500℃から900℃に変更した以外は、前記実施例24と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例26)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、10質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して同量(1:1)の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、窒素雰囲気で、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例27)
反応性イオン性物質添加工程において、反応性イオン性物質として、水酸化ナトリウムを水酸化カルシウムに変更した以外は、前記実施例26と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例28)
反応性イオン性物質添加工程において、反応性イオン性物質として、水酸化ナトリウム(0.5)と水酸化カルシウム(0.5)を合わせて、含有リンのモルと同量(1:1)にした以外は、前記実施例26と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例29)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、20質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して5倍の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、窒素雰囲気で、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、500℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、500℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例30)
焼成工程での最高焼成温度を700℃に変更以外は、前記実施例29と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例31)
焼成工程での最高焼成温度を900℃に変更以外は、前記実施例30と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例32)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、20質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して0.1倍の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化ナトリウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例33)
第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して5倍の割合で、水酸化ナトリウムを添加した以外は、前記実施例32と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(実施例34)
まず、汚泥灰を用意し、これに110℃で2時間の乾燥処理を施し、含水率を0%にした。この汚泥灰は、リンとケイ素と鉄とアルミニウムとマグネシウムと重金属とを含んでいた。
次に、300mLの三角フラスコに1Mの塩酸200mLを入れ、80℃で加熱した後、汚泥灰10gをこの三角フラスコ内に添加し、マグネットスターラーを用いて40分間撹拌した。これにより、汚泥中の酸化リンをリン酸イオンとして溶出させた(第1の溶解工程)。
60分間撹拌を行った後、ろ紙を濾過器にセットし、固相である第1の固体と、液相である第1の液体とを、固液分離した(第1の固液分離工程)。
500mLメスフラスコを用いて、固液分離した濾液(液相)である第1の液体をメスアップし、サンプル液をした。
サンプル液を希釈し、モリブデン青吸光度法にてリン濃度を測定し、測定結果から、リンの溶出率を算出した。溶出液の分析には、UV分光分析器を用いた。
また、ICP-AES、ICP-MSを用いてサンプル液中の金属・重金属の濃度を求め、金属・重金属について、固相(第1の固体)に含まれる量と液相(第1の液体)に含まれる量とを算出した。
次に、第1の固体100質量部に対し、10質量部の割合で、カーボンブラック(還元剤)を添加した(還元剤添加工程)。
次に、第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算して、含有リンのモルに対して0.1倍の割合で、反応性イオン性物質としての水酸化カルシウムを添加した(反応性イオン性物質添加工程)。
その後、焼成処理を施した(焼成工程)。焼成処理は、まず、窒素雰囲気で室温から200℃までは昇温速度:10℃/分で昇温し、200℃で2時間保持し、次いで、900℃(最高焼成温度)まで昇温速度:20℃/分で昇温し、900℃(最高焼成温度)で2時間保持し、次いで、200℃まで、降温速度:5℃/分で降温し、200℃で2時間保持し、その後、室温まで、降温速度:10℃/分で降温することにより行った。
これにより、自然水用肥料を得た。
(実施例35)
第1の固体のリン含有率を第1の固体の単位質量あたりモル(mol)に換算した含有リンのモルに対して添加する水酸化カルシウム(反応性イオン性物質)の割合を10倍に変更した以外は、前記実施例34と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(比較例1)
汚泥灰をそのまま自然水用肥料とした。
(比較例2)
還元工程と反応性イオン性物質添加工程を省略した以外は、前記実施例21と同様にして、自然水用肥料を製造した。
(比較例3)
反応性イオン性物質としての炭酸ナトリウムを用いなかった以外は、前記実施例26と同様にして、自然水用肥料を製造した。
前記実施例1~10および前記比較例1について、反応性イオン性物質添加工程で添加した炭酸ナトリウム(反応性イオン性物質)の第1の固体100質量部に対する割合、第1の溶解工程、第1の析出工程での処理条件を表1にまとめて示す。なお、前記実施例1~10では、第1の固液分離工程で分離された第1の固体中におけるリンの含有率は、いずれも、1.0質量%以上10.0質量%以下であり、第1の固液分離工程で分離された第1の固体中における重金属の含有率は、いずれも、初期含有率の3%以下であった。また、前記実施例6~10では、第2の固液分離工程で分離された液相中におけるリンの含有率は、いずれも、1質量%以下であり、第2の固液分離工程で分離された液相中における重金属の含有率は、いずれも、0.1質量%以下であり、第3の固液分離工程で分離された固相中におけるリンの含有率は、いずれも、95質量%以上であり、第3の固液分離工程で分離された固相中における重金属の含有率は、いずれも、初期含有率の90%以上であり、第4の固液分離工程で分離された固相(第3の固体)中における重金属の含有率は、いずれも、初期含有率の1.0%以下であり、第4の固液分離工程で分離された固相(第3の固体)中におけるリンの回収率は、いずれも、初期含有率の50%以上であった(最高は85%)。前記実施例1~10の自然水用肥料では、いずれも、リンの含有率が1.0質量%以上10質量%以下の範囲内であり、ケイ素の含有率が10質量%以上50質量%以下の範囲内であり、鉄の含有率が3.0質量%以上50.0質量%以下の範囲内であり、重金属の含有率が100ppm以下であった。また、自然水用肥料中におけるリンの含有率をX[質量%]、ケイ素の含有率をXSi[質量%]、鉄の含有率をXFe[質量%]としたとき、前記実施例1~10の自然水用肥料は、いずれも、4.0≦XSi/X≦15の関係、および、3≦XFe/X≦20.0の関係を満足していた。また、前記実施例1~10の自然水用肥料について、X線回折(XRD)にて成分の分析を行ったところ、いずれも、リン酸ナトリウムが含まれていることが確認された。また、前記実施例1~10で得られた自然水用肥料は、いずれも、粒状をしており、その平均粒径は、いずれも、3mm以上10mm以下であった。また、前記実施例1~10で得られた自然水用肥料は、いずれも、溶解性塩(リン酸系化合物のアルカリ金属塩および/または第2族元素塩)の含有率が3.0質量%以上であった。一方、比較例1の自然水用肥料中における重金属の含有率は、1000ppm以下で、溶解濃度は100ppb以下であった。
Figure 0007467798000001
《2》評価
《2-1》汚泥灰からの鉄等の溶出率の確認
まず、汚泥灰(比較例1の自然水用肥料)10gを、1Mの塩酸200mLに加えて十分に撹拌した後の鉄等の溶出率を確認した。
その結果を、図3に示す。
図3から明らかなように、60分以内での汚泥灰からの鉄の溶出率は20%以下であり、この結果から、製造過程において酸(塩酸)で処理した前記実施例の自然水用肥料中には、高い含有率で鉄が含まれている(残存している)ことが分かる。
《2-2》リンの溶出率の評価
前記実施例1~10および前記比較例1の自然水用肥料1gを、それぞれ、500mLの3.5質量%塩化ナトリウム水溶液に添加して、25℃で静置した。
この際の、自然水用肥料中に含まれるリンの溶出率を30日間にわたって測定した。
図4は、実施例1~5および比較例1に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。
図4から明らかなように、汚泥灰をそのまま用いた比較例1では、30日間でのリン成分の溶出率は約0.5%であったのに対し、前記実施例1~5では、いずれも溶解度が向上していることがわかる。また、反応性イオン性物質の濃度を変えることによって、自然水用肥料のリンの溶出率を変更できることがわかる。より具体的には、実施例1~5で行った範囲では、反応性イオン性物質の比率を上げることにより、溶出率を上げることができ、5%~50%程度の範囲でリンの溶出率を調節可能であった。このことから、反応性イオン性物質の使用量により、自然水用肥料からのリン成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
また、前記実施例1~5では、30日経過以降もリンの溶出率が増加していくことが確認された。このことから、試算では2年間にわたってリン成分の溶出が可能であり、この場合、汚泥灰に含まれているリンの約80%を溶出させることができると推測される。
また、第2の析出工程で反応性イオン性物質(CaCl)を用いた前記実施例6~10についても、前記実施例1~5と同様に優れた結果が得られた。
また、反応性イオン性物質として、NaCO、CaClの代わりに、CaCO、NaOH、Ca(OH)およびNaClを用いた以外は、前記実施例1~10と同様にして自然水用肥料を製造したところ、いずれも優れた結果が得られた。
また、加熱処理の加熱温度を、150℃以上1500℃以下の範囲内で変更するとともに、加熱処理の処理時間(150℃以上の温度での加熱時間)を、1時間以上100時間以下の範囲内で変更した以外は、前記実施例1~10と同様にして自然水用肥料を製造したところ、いずれも優れた結果が得られた。
また、第1の溶解工程で用いる酸性の液体を、pHが-1.0以上1.5以下の範囲で変更した以外は、前記実施例1~10と同様の方法を行ったところ、いずれも優れた結果が得られた。
また、前記実施例6~10について、原料としての汚泥灰中に含まれていたリンの総量に対する抽出されたリンの比率(第4の固液分離工程で分離された第3の固体として回収されたリンの比率)を求めた。
また、上記のようにしてリンの抽出量を求めた対象物(第4の固液分離工程で分離された第3の固体)に含まれる全固形分に対する重金属の含有率を求めた。
なお、リンの溶出量、析出量は、モリブデン青吸光光度法によりリン酸濃度を定量し、その結果から算出した。また、溶出、析出時の金属・重金属の挙動は、ICP分光分析(ICP-AES)・ICP質量分析(ICP-MS)・元素分析機器により算出した。また、析出物の同定は、X線回折(XRD)法とICP-MS法を用いて行った。
これらの結果を表2にまとめて示す。
なお、実施例6、7および8についての、第1の析出工程の終了時における液相のpHと、析出物のX線回折(XRD)パターンとの対応を図5に示した。
Figure 0007467798000002
また、実施例6の自然水用肥料の製造過程で得られた第3の固体について、リンおよび主要金属元素の回収率(原料としての汚泥灰中に含まれていた量に対する第3の固体中に含まれている量の比率)を図6に示す。なお、第3の固体中におけるヒ素(As)回収率は、他の重金属に比べると高いが、第3の固体中におけるヒ素の含有率は46.4mg/kgであり、肥料の基準値である1400mg/kgを大幅に下回っており、安全性に問題はないと考えられる。
また、前記実施例6~10の自然水用肥料の製造過程で得られた第3の固体について、肥料としての適性を評価する目的で、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)により定められている肥料分析法を参考に、水溶性試験およびク溶性試験を行った。
水溶性試験では、試料(第3の固体):0.15gに対し溶媒(水)量を12mLとし、常温で30分間撹拌した後、固液分離し、溶解したリン濃度をモリブデン青吸光光度法で測定し、リン溶出率を算出した。
ク溶性試験では、試料(第3の固体):0.10gに対しクエン酸水溶液8mLを添加し、30℃で60分間撹拌しながら溶出を行った。ここで、用いたクエン酸溶液は、100gのクエン酸一水和物を水100mLに溶かし、その溶液を5倍希釈したものである。
その結果、前記実施例6~10で得られた第3の固体は、いずれも、水での溶出量が少ない一方で、クエン酸溶出量が多かった。
代表的に、実施例6の自然水用肥料の製造過程で得られた第3の固体についての、水溶性試験、ク溶性試験の結果を図7に示す。
また、第1の析出工程の終了時おける液相のpHが2.0以上10以下となるようにアルカリ性液体の使用量を変更した以外は、前記実施例6~10と同様の方法を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、第1の析出工程の終了時における系内のリンの物質量をX[mol]、カルシウムの物質量をXCa[mol]としたとき、XCa/Xの値が1.3以上3.0以下となるように析出剤の使用量を変更した以外は、前記実施例6~10と同様の方法を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、第2の析出工程の終了時における液相のpHが2.0以上12.0以下となるように酸性液体の使用量を変更した以外は、前記実施例6~10と同様の方法を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、第2の析出工程で用いる酸性液体を、pHが-1.0以上2以下の範囲で変更した以外は、前記実施例6~10と同様の方法を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、第2の析出工程の終了時における系内のリンの物質量をX[mol]、カルシウムの物質量をXCa[mol]としたとき、XCa/Xの値が1.3以上3.0以下となるように析出剤の使用量を変更した以外は、前記実施例6~10と同様の方法を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
また、第1の析出工程、第2の析出工程で、CaClの代わりに、Ca(OH)およびCaCOを用いた以外は、前記実施例6~10と同様の方法を行ったところ、前記と同様の結果が得られた。
図9は、実施例11~16に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。
図9から明らかなように、焼成工程での焼成温度を変えることによって、自然水用肥料のリン成分の溶出率を変更できることがわかる。このことから、焼成工程での焼成温度により、自然水用肥料からのリン成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図10は、実施例17、18に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。
図10から明らかなように、反応性イオン性物質として炭酸ナトリウムを用いた実施例1~5の結果を示す図4と同様に、反応性イオン性物質として炭酸カルシウムを用いた場合でも、反応性イオン性物質の濃度を変えることによって、自然水用肥料のリン成分の溶出率を変更できることがわかる。このことから、反応性イオン性物質の使用量により、自然水用肥料からのリン成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図11は、実施例19、20に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とリン成分の溶出率との関係を示す図である。
図11から明らかなように、焼成工程での焼成時間を変えることによって、自然水用肥料のリン成分の溶出率を変更できることがわかる。このことから、焼成工程での焼成時間により、自然水用肥料からのリン成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図12は、実施例21および比較例2に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数と鉄成分の溶出率との関係を示す図である。
図12から明らかなように、反応性イオン性物質添加工程とともに、還元剤を用いた還元工程を行うことにより、鉄成分の溶出率が大幅に向上している。このことから、原料としての汚泥灰中に含まれていた鉄成分が、還元工程により、可溶性の高い状態に変化していると言える。
図13は、実施例22、23に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数と鉄成分の溶出率との関係を示す図である。
図13から明らかなように、還元工程での還元剤の使用量により、最終的に自然水用肥料からの鉄成分の溶出速度が変化している。このことから、還元剤の使用量により、自然水用肥料からの鉄成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図14は、実施例24、25に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数と鉄成分の溶出率との関係を示す図である。
図14から明らかなように、焼成工程での焼成温度により、最終的に自然水用肥料からの鉄成分の溶出速度が変化している。このことから、焼成温度により、自然水用肥料からの鉄成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図15は、実施例26~28および比較例3に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。
図15から明らかなように、反応性イオン性物質を用いなかった比較例3では、ケイ素の溶出率が低いのに対し、反応性イオン性物質を用いた実施例27~29では、ケイ素成分の溶出率が向上している。このことから、原料としての汚泥灰中に含まれていたケイ素成分が、反応性イオン性物質の使用により、可溶性の高い状態に変化していると言える。また、実施例27~29からは、反応性イオン性物質の種類によって、自然水用肥料のケイ素成分の溶出率を変更できることがわかる。このことから、反応性イオン性物質の使用量により、自然水用肥料からのケイ素成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図16は、実施例29~31に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。
図16から明らかなように、焼成工程での焼成温度により、最終的に自然水用肥料からのケイ素成分の溶出速度が変化している。このことから、焼成温度により、自然水用肥料からのケイ素成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図17は、実施例32、33に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。
図17から明らかなように、反応性イオン性物質の濃度を変えることによって、自然水用肥料のケイ素成分の溶出率を変更できることがわかる。このことから、反応性イオン性物質の使用量により、自然水用肥料からのケイ素成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
図18は、実施例34、35に係る自然水用肥料について、塩化ナトリウム水溶液への添加からの経過日数とケイ素成分の溶出率との関係を示す図である。
図18から明らかなように、反応性イオン性物質として水酸化ナトリウムを用いた実施例32、33の結果を示す図17と同様に、反応性イオン性物質として水酸化カルシウムを用いた場合でも、反応性イオン性物質の濃度を変えることによって、自然水用肥料のケイ素成分の溶出率を変更できることがわかる。このことから、反応性イオン性物質の使用量により、自然水用肥料からのケイ素成分の溶出速度を制御することができ、例えば、自然水用肥料の使用形態、使用場所等に応じて、求められる特性に対応するように、即効性と持続性とのバランスを調整することができると言える。
本発明の自然水用肥料の製造方法は、汚泥灰と酸性の液体とを混合し、前記汚泥灰中に含まれる重金属およびリンを溶解させる第1の溶解工程と、前記重金属およびリンが溶解した第1の液体を第1の固体から分離除去する第1の固液分離工程と、前記第1の固体に対して、アルカリ金属および/または第2族元素の水酸化物および/または塩である反応性イオン性物質を添加する反応性イオン性物質添加工程と、前記第1の固体および前記反応性イオン性物質を含む組成物に対し焼成処理を施す焼成工程とを有する。また、本発明の自然水用肥料は、汚泥灰を原料とし、リンとケイ素と鉄とを含み、重金属の含有率が1000ppm以下である。そのため、汚泥灰を有効利用しつつ、リン、ケイ素および鉄を含み、かつ、重金属の含有率が十分に低い自然水用肥料を提供すること、また、当該自然水用肥料の製造方法を提供することができる。特に、肥料成分の溶出速度が好適に制御された自然水用肥料を提供すること、また、当該自然水用肥料の製造方法を提供することができる。したがって、本発明の自然水用肥料の製造方法、自然水用肥料は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (16)

  1. 汚泥灰と酸性の液体とを混合し、前記汚泥灰中に含まれる重金属およびリンを溶解させる第1の溶解工程と、
    前記重金属およびリンが溶解した第1の液体を第1の固体から分離除去する第1の固液分離工程と、
    前記第1の固体に対して、アルカリ金属および/または第2族元素の水酸化物および/または塩である反応性イオン性物質を添加する反応性イオン性物質添加工程と、
    前記第1の固体および前記反応性イオン性物質を含む組成物に対し焼成処理を施す焼成工程とを有することを特徴とする自然水用肥料の製造方法。
  2. 前記反応性イオン性物質は、Naおよび/またはCaを含む水酸化物および/または塩である請求項1に記載の自然水用肥料の製造方法。
  3. 前記反応性イオン性物質は、NaCO、NaOH、CaCO、Ca(OH)、CaClおよびNaClよりなる群から選択される1種または2種以上である請求項2に記載の自然水用肥料の製造方法。
  4. 前記焼成処理における焼成温度は、150℃以上1100℃以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自然水用肥料の製造方法。
  5. 前記焼成処理の処理時間は、0.5時間以上100時間以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の自然水用肥料の製造方法。
  6. 前記第1の固体に対して、還元剤を添加して、還元処理を施す還元工程を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の自然水用肥料の製造方法。
  7. 前記第1の固液分離工程よりも後に、系内に窒素系の肥料成分を添加するN成分添加工程をさらに有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の自然水用肥料の製造方法。
  8. 前記第1の固液分離工程よりも後に、系内にリン系の肥料成分を添加するP成分添加工程をさらに有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の自然水用肥料の製造方法。
  9. 前記リン系の肥料成分は、
    前記第1の固液分離工程で分離された前記第1の液体を析出剤と混合するとともにpHを上昇させ、前記重金属およびリンを含む第2の固体を析出させる第1の析出工程と、
    前記第2の固体を液体成分と分離する第2の固液分離工程と、
    前記第2の固体中に含まれるリンをアルカリ性の液体で溶解させる第2の溶解工程と、
    リンが溶解した第2の液体を、前記重金属を含む固体成分と分離する第3の固液分離工程とを有する方法により、分離されたものである請求項8に記載の自然水用肥料の製造方法。
  10. 前記リン系の肥料成分は、前記第3の固液分離工程の後に、前記第2の液体を析出剤と混合するとともにpHを低下させ、リンを含む第3の固体を析出させる第2の析出工程をさらに有する方法を用いて得られたものである請求項9に記載の自然水用肥料の製造方法。
  11. 前記第2の析出工程の終了時における液相のpHが2.0以上12.0以下である請求項10に記載の自然水用肥料の製造方法。
  12. 前記第2の析出工程で、pHが-1.0以上2.0以下の酸性液体を用いる請求項10または11に記載の自然水用肥料の製造方法。
  13. 前記第2の析出工程で、前記反応性イオン性物質を用いる請求項10ないし12のいずれか1項に記載の自然水用肥料の製造方法。
  14. 汚泥灰を原料とし、
    リンとケイ素と鉄とを水溶性成分として含み、
    ケイ素の含有率が10質量%以上40質量%以下であり、
    鉄の含有率が1.0質量%以上50質量%以下であり、
    重金属の含有率が1000ppm以下であることを特徴とする自然水用肥料。
  15. リンの含有率が1.0質量%以上20質量%以下である請求項14に記載の自然水用肥料。
  16. リンの含有率をX[質量%]、ケイ素の含有率をXSi[質量%]としたとき、1.0≦XSi/X≦50.0の関係を満足する請求項14または15に記載の自然水用肥料。
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