JP3466270B2 - 貝殻を用いたリン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法 - Google Patents
貝殻を用いたリン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法Info
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- Removal Of Specific Substances (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、貝殻を用いたリ
ン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法に関
するものである。
ン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】湖沼や内湾等の閉鎖性水域の富栄養化が
問題とされて久しい。水域の富栄養化を防止するために
は、排水中より、ポリリン酸,オルトリン酸,メタリン
酸,ピロリン酸等のリン酸或いはこれらの塩類等のリン
及び窒素のような栄養塩類を除去することが重要であ
る。
問題とされて久しい。水域の富栄養化を防止するために
は、排水中より、ポリリン酸,オルトリン酸,メタリン
酸,ピロリン酸等のリン酸或いはこれらの塩類等のリン
及び窒素のような栄養塩類を除去することが重要であ
る。
【0003】下水処理水(二次処理水,消化脱離液等)
等の汚水のリン除去方法として、石灰(消石灰)を凝集
剤として添加する方法がある。すなわち、石灰を添加す
ると、石灰に含まれるカルシウム由来のカルシウムイオ
ンと汚水に含まれるリン酸イオンが反応し、リン酸カル
シウム塩が生成され沈澱する。この沈澱物を除去するこ
とにより、汚水からリンを除去できる。
等の汚水のリン除去方法として、石灰(消石灰)を凝集
剤として添加する方法がある。すなわち、石灰を添加す
ると、石灰に含まれるカルシウム由来のカルシウムイオ
ンと汚水に含まれるリン酸イオンが反応し、リン酸カル
シウム塩が生成され沈澱する。この沈澱物を除去するこ
とにより、汚水からリンを除去できる。
【0004】また、ヒドロキシアパタイトを結晶種とし
て汚水に添加し、凖安定域の条件下で結晶種表面にヒド
ロキシアパタイトを析出させることにより汚水のリンを
除去する方法もある。凖安定域の条件として、溶存カル
シウム濃度を40〜100[mg-Ca/L ]程度とし、同時
にpHを7〜9程度とする必要がある。カルシウム濃度
が不足している場合には、消石灰添加等の方法でカルシ
ウムを補足する必要があり、またpHもNaOH等を用いて
上げる必要がある。
て汚水に添加し、凖安定域の条件下で結晶種表面にヒド
ロキシアパタイトを析出させることにより汚水のリンを
除去する方法もある。凖安定域の条件として、溶存カル
シウム濃度を40〜100[mg-Ca/L ]程度とし、同時
にpHを7〜9程度とする必要がある。カルシウム濃度
が不足している場合には、消石灰添加等の方法でカルシ
ウムを補足する必要があり、またpHもNaOH等を用いて
上げる必要がある。
【0005】また、結晶種として用いるヒドロキシアパ
タイト(HAP)は比較的高価な物質であるが、これを
貝殻を原料として以下のような反応で合成する方法が提
案されている。式(1)のCaCO3 は貝殻に含まれるもの
である。 CaCO3 +2HCl → Ca2++ 2Cl- +CO2 + H2O …式(1) すなわち、貝殻を塩酸で溶解しCaCl2 溶液とした後、9
0℃程度の高温の純水に、このCaCl2 溶液とリン酸水溶
液をCa:PO4 がモル比で5:3となるように徐々に添加
し、さらにNaOHを加えてヒドロキシアパタイトを合成す
る。
タイト(HAP)は比較的高価な物質であるが、これを
貝殻を原料として以下のような反応で合成する方法が提
案されている。式(1)のCaCO3 は貝殻に含まれるもの
である。 CaCO3 +2HCl → Ca2++ 2Cl- +CO2 + H2O …式(1) すなわち、貝殻を塩酸で溶解しCaCl2 溶液とした後、9
0℃程度の高温の純水に、このCaCl2 溶液とリン酸水溶
液をCa:PO4 がモル比で5:3となるように徐々に添加
し、さらにNaOHを加えてヒドロキシアパタイトを合成す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の石灰添加による
沈澱を利用したリン除去方法は、リン酸カルシウム塩が
沈澱するためにはカルシウムイオン濃度が高くなければ
ならないなどの問題点があった。また、従来の結晶種添
加によるヒドロキシアパタイトの析出を利用したリン除
去方法は、準安定域の条件を満たさなくてはならないな
どの問題点があった。さらに、貝殻は廃棄物として投棄
され有効に再利用されていないなどの問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、貝殻を有効に利用したリン除去方法およびヒ
ドロキシアパタイトを結晶種として有効に利用したヒド
ロキシアパタイトの利用方法を提供することを目的とす
る。
沈澱を利用したリン除去方法は、リン酸カルシウム塩が
沈澱するためにはカルシウムイオン濃度が高くなければ
ならないなどの問題点があった。また、従来の結晶種添
加によるヒドロキシアパタイトの析出を利用したリン除
去方法は、準安定域の条件を満たさなくてはならないな
どの問題点があった。さらに、貝殻は廃棄物として投棄
され有効に再利用されていないなどの問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、貝殻を有効に利用したリン除去方法およびヒ
ドロキシアパタイトを結晶種として有効に利用したヒド
ロキシアパタイトの利用方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る貝
殻を用いたリン除去方法は、汚水に焼成貝殻を添加し、
汚水中のリン酸イオンをカルシウム塩として沈澱させ除
去するものであり、具体的にはヒドロキシアパタイトを
結晶種として焼成貝殻と共に汚水に添加し、汚水中のリ
ン酸イオンをヒドロキシアパタイトとして結晶種表面に
析出させ除去するものである。請求項2の発明に係るヒ
ドロキシアパタイトの利用方法は、ヒドロキシアパタイ
トを結晶種として焼成貝殻と共に汚水に添加し、ヒドロ
キシアパタイトを結晶種表面に析出させ、成長したヒド
ロキシアパタイトをそのまま工業原料として、または粉
砕して結晶種として利用するものである。
殻を用いたリン除去方法は、汚水に焼成貝殻を添加し、
汚水中のリン酸イオンをカルシウム塩として沈澱させ除
去するものであり、具体的にはヒドロキシアパタイトを
結晶種として焼成貝殻と共に汚水に添加し、汚水中のリ
ン酸イオンをヒドロキシアパタイトとして結晶種表面に
析出させ除去するものである。請求項2の発明に係るヒ
ドロキシアパタイトの利用方法は、ヒドロキシアパタイ
トを結晶種として焼成貝殻と共に汚水に添加し、ヒドロ
キシアパタイトを結晶種表面に析出させ、成長したヒド
ロキシアパタイトをそのまま工業原料として、または粉
砕して結晶種として利用するものである。
【0008】
【作用】請求項1の発明における貝殻を用いたリン除去
方法は、焼成貝殻の添加により、溶存カルシウム濃度及
びpHが上昇するので、汚水中のリン酸イオンとの反応
により、リン酸カルシウム塩が生成されフロックが大き
く沈澱体積の小さい良好な沈澱ができる。
方法は、焼成貝殻の添加により、溶存カルシウム濃度及
びpHが上昇するので、汚水中のリン酸イオンとの反応
により、リン酸カルシウム塩が生成されフロックが大き
く沈澱体積の小さい良好な沈澱ができる。
【0009】そして、結晶種である貝殻から合成したヒ
ドロキシアパタイトと共に焼成貝殻を添加することによ
り、溶存カルシウムイオン濃度とpHが上昇し準安定域
となるので、汚水中のリン酸イオンがヒドロキシアパタ
イトとして結晶種表面に析出できる。
ドロキシアパタイトと共に焼成貝殻を添加することによ
り、溶存カルシウムイオン濃度とpHが上昇し準安定域
となるので、汚水中のリン酸イオンがヒドロキシアパタ
イトとして結晶種表面に析出できる。
【0010】請求項2の発明におけるヒドロキシアパタ
イトの利用方法は、結晶種と共に焼成貝殻を添加するこ
とにより準安定域となり、汚水中のリン酸イオンがヒド
ロキシアパタイトとして結晶種表面に析出して成長する
ので、成長したヒドロキシアパタイトをそのまま工業原
料として、または粉砕して結晶種として利用することが
できる。
イトの利用方法は、結晶種と共に焼成貝殻を添加するこ
とにより準安定域となり、汚水中のリン酸イオンがヒド
ロキシアパタイトとして結晶種表面に析出して成長する
ので、成長したヒドロキシアパタイトをそのまま工業原
料として、または粉砕して結晶種として利用することが
できる。
【0011】
実施例1.以下、この発明の一実施例を説明する。貝殻
を例えば800℃の高温で焼成すると、貝殻の主成分は
CaCO3 であるので、以下の反応でCaO を得ることができ
た。 CaCO3 → CaO+ CO2 …式(3) この焼成貝殻を下水二次処理水に添加すると、CaO と水
が以下のように反応してCa2+が生成した。Ca2+
濃度がリン酸カルシウムの溶解度積以上となりリン酸カ
ルシウムが沈澱した。 CaO+ H2O → Ca2+ + 2OH- …式(4) このCaO の添加が、同時に水のpHを上昇させた。下水
二次処理水のpHは12.5程度まで上昇した。pH1
2以上で、フロックが大きく沈澱体積の小さい、良好な
リン酸カルシウムの沈澱が生成された。この様にして処
理水中のリンはリン酸カルシウムとして除去された。
を例えば800℃の高温で焼成すると、貝殻の主成分は
CaCO3 であるので、以下の反応でCaO を得ることができ
た。 CaCO3 → CaO+ CO2 …式(3) この焼成貝殻を下水二次処理水に添加すると、CaO と水
が以下のように反応してCa2+が生成した。Ca2+
濃度がリン酸カルシウムの溶解度積以上となりリン酸カ
ルシウムが沈澱した。 CaO+ H2O → Ca2+ + 2OH- …式(4) このCaO の添加が、同時に水のpHを上昇させた。下水
二次処理水のpHは12.5程度まで上昇した。pH1
2以上で、フロックが大きく沈澱体積の小さい、良好な
リン酸カルシウムの沈澱が生成された。この様にして処
理水中のリンはリン酸カルシウムとして除去された。
【0012】実施例2.実施例1の方法に対して、さら
に低いCa2+濃度及び低いpHでリンを除去するには、ヒ
ドロキシアパタイト(HAP)等のリン酸カルシウム塩
を結晶種として用い、リン酸カルシウム塩を結晶種上に
析出させる方法がある。処理水からHAPが結晶種上に
析出するためには、処理水をHAP生成の準安定域にす
る必要がある。
に低いCa2+濃度及び低いpHでリンを除去するには、ヒ
ドロキシアパタイト(HAP)等のリン酸カルシウム塩
を結晶種として用い、リン酸カルシウム塩を結晶種上に
析出させる方法がある。処理水からHAPが結晶種上に
析出するためには、処理水をHAP生成の準安定域にす
る必要がある。
【0013】焼成貝殻を実施例1と同様にして得、HA
Pの結晶種は前述したように貝殻から得る。これら焼成
貝殻及び結晶種のHAPを下水二次処理水に添加する。
この時の焼成貝殻の添加量は実施例1での添加量より少
ない。焼成貝殻を下水二次処理水に添加するので、実施
例1と同様に、CaO と水が反応してCa2+が生成し、Ca2+
濃度及びpHが上昇する。これにより、処理水を準安定
域にすることができる。準安定域において処理水中のH
APが結晶種上に析出するので、処理水中のリンを除去
することができる。
Pの結晶種は前述したように貝殻から得る。これら焼成
貝殻及び結晶種のHAPを下水二次処理水に添加する。
この時の焼成貝殻の添加量は実施例1での添加量より少
ない。焼成貝殻を下水二次処理水に添加するので、実施
例1と同様に、CaO と水が反応してCa2+が生成し、Ca2+
濃度及びpHが上昇する。これにより、処理水を準安定
域にすることができる。準安定域において処理水中のH
APが結晶種上に析出するので、処理水中のリンを除去
することができる。
【0014】結晶種であるHAPが成長して一定以上の
大きさになると、重量当りの比表面積が低下するので、
大きく成長したHAPを反応器から取り除き、新たに粒
径の小さいHAPを補充する必要がある。この時、粒径
の大きく成長したHAPを小さく砕くことによりこれを
再び結晶種として用いることができる。粉砕した余剰の
HAPは、そのままリン工業の原料として利用すること
もでき、また肥料として農地還元することもでき、有効
に利用できる。
大きさになると、重量当りの比表面積が低下するので、
大きく成長したHAPを反応器から取り除き、新たに粒
径の小さいHAPを補充する必要がある。この時、粒径
の大きく成長したHAPを小さく砕くことによりこれを
再び結晶種として用いることができる。粉砕した余剰の
HAPは、そのままリン工業の原料として利用すること
もでき、また肥料として農地還元することもでき、有効
に利用できる。
【0015】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、焼成貝殻の添加により、溶存カルシウムイオン濃度
が上昇するので、カルシウムイオンがリン酸カルシウム
塩の溶解度積以上となり汚水中のリン酸イオンがリン酸
カルシウム塩として沈澱でき、またpHも上昇するの
で、フロックが大きく沈澱体積の小さい良好な沈澱が形
成される効果がある。
ば、焼成貝殻の添加により、溶存カルシウムイオン濃度
が上昇するので、カルシウムイオンがリン酸カルシウム
塩の溶解度積以上となり汚水中のリン酸イオンがリン酸
カルシウム塩として沈澱でき、またpHも上昇するの
で、フロックが大きく沈澱体積の小さい良好な沈澱が形
成される効果がある。
【0016】そして、焼成貝殻の添加により溶存カルシ
ウムイオン濃度とpHが上昇し準安定域となるので、汚
水中のリン酸イオンがヒドロキシアパタイトとして結晶
種表面に析出できる効果がある。
ウムイオン濃度とpHが上昇し準安定域となるので、汚
水中のリン酸イオンがヒドロキシアパタイトとして結晶
種表面に析出できる効果がある。
【0017】請求項2の発明によれば、焼成貝殻と結晶
種の汚水への添加により結晶種表面にヒドロキシアパタ
イトが析出して成長するので、成長したヒドロキシアパ
タイトを粉砕することにより、これを結晶種として利用
できるし、そのままでも工業原料や肥料として利用でき
る効果がある。
種の汚水への添加により結晶種表面にヒドロキシアパタ
イトが析出して成長するので、成長したヒドロキシアパ
タイトを粉砕することにより、これを結晶種として利用
できるし、そのままでも工業原料や肥料として利用でき
る効果がある。
【0018】請求項1および請求項2の発明によれば、
従来は廃棄物として投棄されていた貝殻を有効に利用で
きる効果がある。
従来は廃棄物として投棄されていた貝殻を有効に利用で
きる効果がある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平7−51668(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C02F 1/58
B01D 21/01
C02F 1/52 - 1/56
Claims (2)
- 【請求項1】 貝殻から合成したヒドロキシアパタイト
を結晶種として焼成貝殻と共に汚水に添加し、前記汚水
中のリン酸イオンをヒドロキシアパタイトとして前記結
晶種表面に析出させ除去することを特徴とする貝殻を用
いたリン除去方法。 - 【請求項2】 貝殻から合成したヒドロキシアパタイト
を結晶種として焼成貝殻と共に汚水に添加し、前記汚水
中のリン酸イオンをヒドロキシアパタイトとして前記結
晶種表面に析出させ、前記結晶種表面に析出して成長し
たヒドロキシアパタイトをそのまま工業原料として、ま
たは粉砕して結晶種として利用することを特徴とするヒ
ドロキシアパタイトの利用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10009594A JP3466270B2 (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 貝殻を用いたリン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10009594A JP3466270B2 (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 貝殻を用いたリン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07303889A JPH07303889A (ja) | 1995-11-21 |
JP3466270B2 true JP3466270B2 (ja) | 2003-11-10 |
Family
ID=14264852
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10009594A Expired - Fee Related JP3466270B2 (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 貝殻を用いたリン除去方法およびヒドロキシアパタイトの利用方法 |
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Country | Link |
---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5128735B2 (ja) * | 2001-05-15 | 2013-01-23 | 三機工業株式会社 | 排水中のリンおよび凝集剤回収再利用方法 |
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