JP7467097B2 - シートパッドおよびシートパッドの製造方法 - Google Patents

シートパッドおよびシートパッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シートパッドおよびシートパッドの製造方法に関する。
従来のシートパッドには、表面の一部を2~20μmの表面粗さの平滑部とし、当該平滑部の表面部の通気量を低く抑えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。こうした従来のシートパッドによれば、表面部の通気量が低く抑えられることによって、振動伝達率が十分に低く、振動吸収性に優れたシートパッドとなる。
特許第5393085号
しかしながら、上記従来のシートパッドは、長い時間にわたって座ったままでいると、熱がこもることによって、蒸れを生じることが懸念される。即ち、上記従来のシートパッドは、温熱快適性を向上させつつ振動吸収性を向上させる点に改善の余地があった。
本発明の目的は、温熱快適性が向上するとともに振動吸収性が向上するシートパッドと、当該シートパッドを容易に得ることができる、シートパッドの製造方法を提供することである。
本発明に係るシートパッドは、表面には、凹部又は貫通孔が形成されており、また、
前記表面において、セル膜の残り率が92%以上である。本発明に係るシートパッドによれば、温熱快適性が向上するとともに振動吸収性が向上する。
本発明に係るシートパッドにおいて、前記残り率は、95%以上であることが好ましい。この場合、振動吸収性がより向上する。
また、本発明に係るシートパッドにおいて、前記残り率は、97.5%以上であることが好ましい。この場合、振動吸収性がよりさらに向上する。
本発明に係る、シートパッドの製造方法は、成形型内に成形材料を供給して発泡成形を行うことにより、請求項1または2に記載のシートパッドを得るための、シートパッドの製造方法であって、前記成形型として、当該成形型の内面に突起が形成されているとともに、当該成形型の内面の少なくとも一部が樹脂で被覆された成形型を用いる。本発明に係る、シートパッドの製造方法によれば、上述の各シートパッドを容易に得ることができる。
本発明に係る、シートパッドの製造方法は、前記成形型として、当該成形型の内面が高密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いることが好ましい。この場合、振動吸収性がより向上する。
本発明に係る、シートパッドの製造方法は、前記成形型として、当該成形型の内面がポリスチレンで被覆された成形型を用いることが好ましい。この場合、振動吸収性がより向上する。
本発明に係る、シートパッドの製造方法は、前記成形型として、当該成形型の内面が低密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いることが好ましい。この場合、振動吸収性がより向上する。
本発明によれば、温熱快適性が向上するとともに振動吸収性が向上するシートパッドと、当該シートパッドを容易に得ることができる、シートパッドの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るシートパッドを備えた座席シートを概略的に示す斜視図である。 図1の座席シートの一部を構成する、同実施形態に係るシートパッドを、図1のA-A断面で示す断面図である。 図2のシートパッドの表面を概略的に示す図である。 比較例1のシートパッドの表面を概略的に示す図である。 図1のシートパッドを得るための当該シートパッドの製造方法に使用可能な成形型を型締め前の状態で概略的に示す断面図である。 図5Aの成形型の型締め状態を概略的に示す断面図である。 雰囲気温度の変化を同一にしたときの、貫通孔が成形されたシートパッドの内部温度の変化と、比較例1のシートパッドの内部温度の変化とを比較して示すグラフである。 表面のセル膜の残り率が95%以上であるシートパッドの振動伝達率と、比較例2のシートパッドの振動伝達率とを比較して示すグラフである。 シートパッドの表面通気量と共振倍率との関係を示すグラフである。 本発明に係るシートパッドの振動伝達率と、比較例1のシートパッドの振動伝達率と、比較例2のシートパッドの振動伝達率とを比較して示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、シートパッドおよびシートパッドの製造方法について説明をする。
[シートパッド]
図1は、本発明の一実施形態に係るシートパッド1を備えた座席シート10を概略的に示す斜視図である。また、図2は、座席シート10の一部を構成する、同実施形態に係るシートパッド1を、図1のA-A断面で示す断面図である。
図1の例では、座席シート10は、自動車用の座席シートである。座席シート10は、本実施形態に係るシートパッド1を備えている。図1中、シートパッド1は、破線で示している。本実施形態に係るシートパッド1は、着座者が着座するためのクッションパッド1aと、前記着座者の背中を支持するためのバックパッド1bとを備えている。この例では、座席シート10は、さらに、シートパッド1の表側を覆う表皮11と、クッションパッド1aを下から支持するフレーム(図示省略)と、バックパッド1bの裏側に設置されるフレーム(図示省略)と、前記着座者の頭部を支持するためのヘッドレスト12とを備えている。表皮11は、例えば、通気性の良い材料(布等)で構成されている。
シートパッド1は、樹脂発泡体によって構成されている。前記樹脂発泡体は、軟質樹脂発泡体が好ましく、軟質ポリウレタンフォームがより好ましい。本実施形態において、クッションパッド1aとバックパッド1bとは、互いに別体に構成されている。ただし、クッションパッド1aとバックパッド1bとは、一体に形成することができる。
図2を参照すれば、符号1fは、シートパッド1の表面である。本実施形態に係るシートバッド1は、当該シートパッド1の表面1fに、貫通孔1Pが形成されている。貫通孔1Pの断面形状は、平面視(上下方向視)で、丸形形状、多角形形状とすることができる。なお、本発明に従えば、貫通孔1Pは、凹部とすることができる。この場合、前記凹部は、シートパッド1の表面1fのうちの、上側表面および下側表面の少なくともいずれか一方に形成することができる。
また、本実施形態に係るシートバッド1は、当該シートパッド1の表面1fにおいて、セル膜の残り率92%以上である。ここで、膜残り率(%)は、シートパッド1の表面1fにおいて、当該表面1fの所定面積に占めるセル膜5の残り率である。ここで、所定面積は、縦80mm×横80mmの四角形の面積である。
シートパッド1の表面1fに貫通孔1Pを形成すれば、通気性が高まることによって、当該シートパッド1の温熱快適性が向上する。
しかしながら、一般的に、樹脂発泡体において、通気性が高まると、振動吸収性が低下することで、振動伝達率が上昇してしまう。これは、樹脂発泡体の表面にセル膜が形成されていることによって、通気量が制限されることに伴い、当該セル膜で閉塞されたセルによるエアダンピング効果が強くなっているからである。
そこで、シートパッド1の表面1fのセル膜の残り率を92%以上とすれば、上記エアダンピング効果を維持することができる。即ち、シートパッド1の表面1fのセル膜の残り率を92%以上とすれば、通気性を高めるために貫通孔1Pを形成しても、当該貫通孔1Pが形成されることによって生じる、振動吸収性の低下を抑制することができる。
したがって、本実施形態に係るシートパッド1によれば、シートパッド1の表面1fに貫通孔1Pが形成されるとともに、当該表面1fにおいて、セル膜の残り率が92%以上となっていることから、温熱快適性が向上するとともに振動吸収性が向上する。
また、本発明に係るシートパッド1において、前記残り率は、95%以上であることが好ましい。この場合、エアダンピング効果が向上することにより、振動吸収性がより向上する。
さらに、本発明に係るシートパッド1において、前記残り率は、97.5%以上であることが好ましい。この場合、エアダンピング効果がさらに向上することにより、振動吸収性がよりさらに向上する。本実施形態に係るシートパッド1において、前記残り率は、97.5%以上である。
ところで、前記残り率は、シートパッド1の通気量ARに置き換えることが可能である。以下、前記残り量を通気量ARに換えて、本実施形態に係るシートパッド1について説明をする。
本実施形態に係るシートパッド1は、当該シートパッド1の表面1fから10mmまでの表面部2を切り出して、当該表面部2の通気量AR1(以下、「表面通気量AR1」ともいう。)をJIS K 6400の規格にしたがって測定したときの当該表面通気量AR1は25cc/cm2/s以下である。
図2において、符号BSは、表面部2と、当該表面部2よりも内部のコア部3との界面である。図2において、界面BSは、破線で示されている。本実施形態において、シートパッド1の表面部2は、シートパッド1の表面1fの全体のうちの、任意の表面1fから切り出した表面部である。即ち、本実施形態に係るシートパッド1は、当該シートパッド1の表面1fの全体の、いかなる表面1fから切り出した表面部2においても、表面通気量AR1は25cc/cm2/s以下である。
本発明によれば、表面部2は、シートパッド1の表面1fの全体の、特定の表面1fから切り出した表面部とすることができる。ただし、この場合、図2に示すように、表面部2は、少なくとも、クッションパッド1aの表面1fから切り出した表面部であることが好ましい。より好ましくは、表面部2は、クッションパッド1aの表面1fのうちの、少なくとも、座面領域Rの側の表面1fa(以下、「座面領域側表面1fa」ともいう。)から切り出した表面部である。ここで、座面領域Rは、着座者が座席シート10に着座したときに、下向きの荷重が加わる領域である。座面領域Rは、図面左右方向に加え、図面表裏方向(図面奥行き方向)に延在している。本実施形態では、図2に示すように、座面領域側表面1faは、平滑面である。
図3は、シートパッド1の表面1fを概略的に示す図である。
図3を参照すれば、シートパッド1の、貫通孔1Pを除いた表面1fは、セルの骨格4にセル膜5が破れることなく形成されている閉塞部分がほとんどであるが、セルの骨格4にセル膜5が形成されていない開口部6も存在する。図3を参照すれば、本実施形態において、当該シートパッド1の表面1fは、セル膜5によって閉塞された前記閉塞部分に対して開口部6が占める割合は小さい。
一般的に、樹脂発泡体において、通気性が低下すると、振動吸収性が良くなることで、振動伝達率が低くなる。したがって、本実施形態に係るシートパッド1では、貫通孔1Pを除いた表面1fにおいて、セル膜5の残り率は、92%以上としている。
その一方、貫通孔1Pを除いた表面1fにおいて通気性が低下すると、熱がこもることによって、蒸れ等を生じさせる懸念がある。
これに対し、図4は、比較例1のシートパッド20の表面20fを概略的に示す図である。シートパッド20は、通常の成形型内に成形材料を供給して発泡成形を行うことにより、得られる樹脂発泡体である。
図4を参照すれば、シートパッド20の表面20fは、セル膜5が形成されていない開口部6となる部分がほとんどを占める。この場合、通気性が良くなることによって、蒸れ等を生じさせ難くなる。しかしながら、上述のとおり、発泡成形体において、通気性が良くなると、振動伝達率が低くなることで、振動吸収性も低下してしまう。
これに対し、図3を参照すれば、本実施形態において、表面部2では、セル膜5が形成されている閉塞部分に開口部6が確保されていることによって、温熱快適性と振動吸収性との両立が可能となる。特に、本実施形態のように、セル膜の残り率が80%以上の場合、表面通気量AR1が、5cc/cm2/s<AR1≦25cc/cm2/secを満たす。このように、表面通気量AR1が調整されれば、貫通孔1Pを除いた表面1fにおいて熱がこもることに起因する蒸れ等の不快感と、シートパッド(座席シート)から伝わる振動等の不快感とがバランス良く抑えられることによって、温熱快適性が向上するとともに振動吸収性が向上する。
また、本実施形態によれば、表面部2よりも内部のコア部3を切り出して、当該コア部3の通気量AR2(以下、「コア通気量AR2」ともいう。)をJIS K 6400の規格にしたがって測定したときの当該通気量AR2は、表面部2の通気量AR1よりも大きいことが好ましい。この場合、表面部2を通して伝わる熱が、コア部3に効率的に逃がされることによって、温熱快適性がより向上する。
なお、本発明によれば、コア部3の通気量AR2は、表面通気量AR1と等しく、或いはそれ以上にすることができる。この場合、エアダンピング効果が高まることによって、振動吸収性がより向上する。
[シートパッドの製造方法]
次に、図面を参照して、本実施形態に係る、シートパッドの製造方法について説明をする。
本発明の一実施形態に係る、シートパッドの製造方法は、成形型内100に成形材料M1を供給して発泡成形を行うことにより、シートパッド1を得るための、シートパッドの製造方法である。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る、シートパッドの製造方法において使用可能な成形型100を型締め前の状態で概略的に示す断面図である。図5Bは、図5Aの成形型100の型締め状態を概略的に示す断面図である。
図5Bを参照すれば、符号100は、シートパッド1の製造方法に使用可能な成形型である。成形型100の内面100fは、成形材料M1を供給して発泡成形を行うためのキャビティを形作っている。成形型100の内面100fには、突起100Pが形成されている。なお、図5B中、成形型100の内面100fには、例示的に、7つの突起100Pが形成されている。ただし、突起100Pは、少なくとも1つとすることができる。また、図5Bには、符号100Pは、例示的に1つの突起のみに付されている。
さらに、成形型100の内面100fの少なくとも一部は、樹脂M2で被覆されている。この例では、成形型100の内面100fは、樹脂M2で被覆されている。この例では、図5Aに示すように、樹脂M2は、突起100Pを除くように、成形型100の内面100fを被覆している。ただし、本発明によれば、樹脂M2は、突起100Pを被覆するように、成形型100の内面100fを被覆していてもよい。樹脂M2としては、例えば、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)を用いることができる。さらに、PEとしては、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)を用いることができる。本実施形態では、樹脂M2として、HDPEが用いられている。
また、図5Aを参照すれば、この例において、成形型100は、上型101と、下型102とを備えている。成形型100の内面100fは、上型101の内面101fと、下型102の内面101fとによって形成される。また、この例では、上型101の内面101fには、突起101Pが形成されており、また、下型102の内面102fにも、突起102Pが形成されている。この例では、突起101Pと突起102Pとは、上型101と下型102とを型締めすることによって、突起100Pを形成する。ただし、本発明によれば、突起100Pは、上型101の突起101Pと、下型102の突起102Pとのいずれか一方で形成することができる。さらに、この例では、樹脂M2は、樹脂シートによって形成されている。
本発明の一実施形態に係る、シートパッドの製造方法は、概略すると、次のとおりである。
[成形型配置工程]
まず、図5Aに示すように、上型101の内面101fと、下型102の内面101fとのそれぞれを、樹脂M2で覆う。本実施形態では、上型101の内面101fと、下型102の内面101fとのそれぞれを、樹脂M2からなる樹脂シートで覆う。この例では、前記樹脂シートには、貫通孔が形成されている。前記貫通孔には、上型101の突起101Pまたは下型102の突起102Pを貫通させることができる。これによって、樹脂M2は、上型101の内面101fおよび下型102の内面102fのそれぞれに前記樹脂シートを被せることによって、突起100Pを除くように、成形型100の内面100fを被覆することができる。次いで、図5Bに示すように、上型101および下型102を合わせて成形型100の内部に樹脂M2で覆われた前記キャビティを形成する。
[発泡成形工程]
次いで、図5Bに示すように、樹脂M2で覆われた成形型100の内部に成形材料M1を注入し、当該成形材料M1を加熱・発泡させる。その後、成形型100を型締めし、当該成形型100の内部での発泡成形が行われる。成形材料M1は、発泡樹脂である。前記発泡樹脂は、軟質ポリウレタンが好ましい。成形材料M1としては、例えば、軟質ポリウレタン樹脂に発泡剤を混合させた軟質発泡ポリウレタンが挙げられる。ただし、本発明によれば、成形材料M1として、様々な発泡樹脂を使用することができる。
[型開き工程]
成形型100の内部での発泡成形が完了した後、成形型100を開いて、上型101と下型102とを分離する。これにより、図2に示すように、表面1fには、貫通孔1Pが形成されており、また、表面1fにおいて、セル膜の残り率が92%以上のシートパッド1を得ることができる。
このように、成形型100として、当該成形型100の内面100fが樹脂M2で被覆された成形型100を用いれば、成形型100の内面100fを樹脂M2で覆うだけの簡易な段取りによって、シートパッド1を容易に得ることができる。
[試験結果]
次に、シートパッドに貫通孔を形成した場合の試験結果を以下に示す。
図6は、シートパッドの周囲の雰囲気温度の変化を同一にしたときの、貫通孔が形成されたシートパッド(以下、「貫通孔付きシートパッド」ともいう。)の内部温度の変化と、比較例1のシートパッド20の内部温度の変化とを比較して示すグラフである。なお、「貫通孔付きシートパッド」とは、シートパッド20に貫通孔を形成したものである。
図6中、一点鎖線は、前記貫通孔付きシートパッドの表面とシートパッド20の表面20fとのそれぞれに与えた雰囲気温度の変化を示すグラフである。また、太線は、前記貫通孔付きシートパッド20の内部温度の変化を示すグラフである。さらに、破線は、比較例1としてのシートパッド20の内部温度の変化を示すグラフである。
図6を参照すれば、貫通孔付きシートパッド20の場合、当該貫通孔付きシートパッド20の内部温度の変化(太線)と、当該貫通孔付きシートパッド20の表面20fに与えた雰囲気温度の変化(一点鎖線)とに生じるタイムラグは小さい。これに対し、表面20fに貫通孔が形成されていない、比較例1のシートパッド20の場合、当該シートパッド20の内部温度の変化(破線)と、当該シートパッド20の表面20fに与えた雰囲気温度の変化(一点鎖線)との間に生じるタイムラグは、貫通孔付きシートパッド20よりも大きい。即ち、比較例1のシートパッド20は、貫通孔付きシートパッド20に比べて内部に熱がこもり易い。したがって、この試験結果からも、表面20fに貫通孔が形成された貫通孔付きシートパッド20は、比較例1のシートパッド20よりも温熱快適性が良いことが分かる。
次に、成形型100の内面100fに被覆された樹脂M2として、異なる樹脂M2を使用することによって得られたシートパッドに関する、試験結果を以下に示す。
図7は、本実施形態に係るシートパッド1の振動伝達率VR1と、比較例1としてのシートパッド20の振動伝達率VR2とを示す図である。
図7において、符号VR1は、JASO B-407の規格にしたがって測定した、本実施形態に係るシートパッド1の振動伝達率である。また、符号VR2は、同じくJASO B-407の規格にしたがって測定した、比較例1のシートパッド20の振動伝達率である。
図7において、シートパッド1を用いて得られた振動伝達率VR1の試験結果は実線で示し、シートパッド20を用いて得られた振動伝達率VR2の試験結果は破線で示す。
図7を参照すれば、シートパッド1の共振倍率(シートパッド1の振動伝達率VR1のピーク値)RM1は、シートパッド20の共振倍率(シートパッド20の振動伝達率VR2のピーク値)RM2よりも低い値に抑えられている。したがって、図7から、本実施形態に係るシートパッド1は、比較例1のシートパッド20よりも振動吸収性が良いことが分かる。
次いで、図8は、シートパッドの表面通気量AR1と、当該シートパッドの共振倍率RMとの関係を示すグラフである。
図8は、異なる樹脂M2を被覆した成形型100によって得られたシートパッドの表面通気量AR1と共振倍率RMとの関係を示す。
図8を参照すれば、シートパッドの表面通気量AR1が減少するにしたがって、共振倍率RMも低下する傾向にある。特に、図8からは、シートパッドの表面通気量AR1=25cc/cm2/secを境に、共振倍率RMが急激に抑えられている。したがって、図8から、本実施形態に係るシートパッド1のように、AR1≦25cc/cm2/secのシートパッドによれば、通気量を確保しつつ振動吸収性が効果的に高められることが分かる。
より詳細には、25cc/cm2/sec<AR1の場合、共振倍率RMが4.5を超えてしまう。この試験結果は、成形型100の内面100fに樹脂M2を被覆しないで発泡成形を行った、比較例1としてのシートパッド20と、成形型100の内面100fに樹脂M2として、PP(ポリプロピレン)を被覆して発泡成形を行ったシートパッドとの、2種類のシートパッドの試験結果である。
これに対し、AR1≦25cc/cm2/secの場合、共振倍率RMが4.5を下回る。この試験結果は、成形型100の内面100fに樹脂M2としてHDPE(高密度ポリエチレン)を被覆して発泡成形を行ったシートパッド(以下、「HDPE型成形シートパッド」ともいう。)と、成形型100の内面100fに樹脂M2としてLDPE(低密度ポリエチレン)を被覆して発泡成形を行ったシートパッド(以下、「LDPE型成形シートパッド」ともいう。)と、成形型100の内面100fに樹脂M2としてPS(ポリスチレン)を被覆して発泡成形を行ったシートパッド(以下、「PS型成形シートパッド」ともいう。)との、3種類のシートパッドの試験結果である。
また、図8を参照すれば、上記3種類のシートパッドによれば、シートパッドの表面通気量AR1がAR1<5cc/cm2/sec付近では、シートパッドの表面通気量AR1が確保されるとともに共振倍率RMが急激に抑えられる傾向にあることが分かる。
より詳細には、HDPE型成形シートパッドと、PS型成形シートパッドとの、2種類のシートパッドによれば、AR1=5cc/cm2/sec付近において、共振倍率RMが3.0~3.5に抑えられている。また、LDPE型成形シートパッドも、AR1=5cc/cm2/sec付近において、共振倍率RMが3.0~3.5に抑えられる場合がある。特に、HDPE型成形シートパッドの場合、共振倍率RMが3.0付近で最も抑えられている。
上述の試験結果からも明らかなように、本発明に係る、シートパッドの製造方法は、成形型100として、当該成形型100の内面100fが高密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いることが好ましい。この場合、シートパッド1の共振倍率RMを最も効果的に低下させることができる。したがって、この場合、振動吸収性がより向上する。特に、HDPEで被覆された成形型を使用した場合、共振倍率RMがよりさらに低下、即ち、振動吸収性がよりさらに向上する。
また、上述の試験結果からも明らかなように、本発明に係る、シートパッドの製造方法は、成形型100として、当該成形型100の内面100fがポリスチレンで被覆された成形型を用いることが好ましい。この場合も、シートパッドの共振倍率RMを、成形型100の内面100fが高密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いる場合と同様に、効果的に低下させることができる。したがって、この場合、振動吸収性がより向上する。
また、上述の試験結果からも明らかなように、本発明に係る、シートパッドの製造方法は、成形型100として、当該成形型100の内面100fが低密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いることが好ましい。この場合も、振動吸収性がより向上する。
なお、以下の表には、成形型100の内面100fに樹脂M2を被覆した成形型を用いて発泡成形を行うことにより、得られた各シートパッドの、共振周波数、共振倍率、表面通気量を、膜残り率(%)とともに示す表である。なお、PP-1、PP-2はそれぞれ、~のポリプロプレンである。また、ここで、ノーマルとは、成形型100の内面10fに樹脂M2を被覆しないで発泡成形を行った場合である。即ち、ノーマルとは、比較例1のシートパッド20である。膜残り率(%)は、シートパッド1の表面1fにおいて、貫通孔1Pを避けた位置の当該表面1fの所定面積に占めるセル膜5の残り率である。ここで、所定面積は、縦80mm×横80mmの四角形の面積である。
上記表1を参照すれば、シートパッド1の製造方法において、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2として高密度ポリエチレンを用いれば、セル膜の残り率が97.5%以上となるとともに、表面通気量AR1が、5cc/cm2/s<AR1≦25cc/cm2/secを満たすことが分かる。また、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2としてポリプロピレンまたは低密度ポリエチレンを用いた場合に比べると、表面通気量AR1が抑えられていることが分かる。言い換えれば、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2として高密度ポリエチレンを用いた成形型100を使用した方がエアダンピング効果、即ち、振動吸収性が最も良い。
また、上記表1を参照すれば、シートパッド1の製造方法において、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2としてポリスチレンを用いれば、高密度ポリエチレンと同様、セル膜の残り率が97.5%以上となるとともに、表面通気量AR1が、5cc/cm2/s<AR1≦25cc/cm2/secを満たすことが分かる。したがって、この場合も、振動吸収性が最も良い。
また、上記表1を参照すれば、シートパッド1の製造方法において、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2として低密度ポリエチレンを用いれば、セル膜の残り率が95%以上となるとともに、表面通気量AR1が、5cc/cm2/s<AR1≦25cc/cm2/secを満たすことが分かる。また、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2としてポリプロピレンを用いた場合に比べると、表面通気量AR1が抑えられていることが分かる。言い換えれば、成形型100の内面100fに被覆される樹脂M2として低密度ポリエチレンを用いた方が、ポリプロピレンを用いるよりも、エアダンピング効果、即ち、振動吸収性がさらに良い。
さらに、図9は、本発明に係るシートパッド1の振動伝達率VRと、比較例1のシートパッド20の振動伝達率VRと、比較例2のシートパッド20の振動伝達率VRとを比較して示すグラフである。なお、「比較例2」は、上述の貫通孔付きシートパッド20である。
図9中、実線は、本発明に係るシートパッド1の振動伝達率VRを示すグラフである。また、破線は、比較例1の振動伝達率VRを示すグラフである。さらに、一転鎖線は、比較例2の振動伝達率VRを示すグラフである。なお、図9中、「スキンコントロール」とは、樹脂M2が内面100fに被覆された成形型100を使用して、表面1fのセル膜5の残り率が92%以上に制御されていることをいう。
図9を参照すれば、シートパッド1の共振倍率RM1は、貫通孔付きシートパッド20の共振倍率(貫通孔付きシートパッド20の振動伝達率VR3のピーク値)RM3よりも低い値に抑えられている。そして、シートパッド1の共振倍率RM1は、ほぼシートパッド20の共振倍率RM2と等しい値に抑えられている。したがって、図7から、本実施形態に係るシートパッド1は、比較例1および2よりも振動吸収性が良いことが分かる。
上述のように、本実施形態に係るシートパッド1によれば、シートパッド1の表面1fに貫通孔1Pを形成することによって振動吸収性が低下しても、シートパッド1の表面1fにおいて、セル膜の残り率を92%以上としたことにより、エアダンピング効果によって、振動吸収性を補うことができる。
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。また、上述した各実施形態に採用された様々な構成は、相互に適宜、置き換えることができる。
1:シートパッド, 2:表面部, 3:コア部, 1f:シートパッドの表面(表面), 4:骨格, 5:セル膜, 6:開口, 100;成形型, 100f;成形型の内面, 100P;成形型の突起, 101;上型, 101f;上型の内面, 101P;上型の突起, 102;下型, 102f;下型の内面, 102P;下型の突起, M1:成形材料, M2:樹脂

Claims (4)

  1. 成形型内に成形材料を供給して発泡成形を行うことにより、表面には、貫通孔が形成されており、また、前記表面において、前記貫通孔を避けた位置の当該表面の所定面積に占めるセル膜の残り率が92%以上であるシートパッドを得るための、シートパッドの製造方法であって、
    前記成形型として、当該成形型の内面に突起が形成されているとともに、当該成形型の内面の少なくとも一部が樹脂で被覆された成形型を用いる、シートパッドの製造方法。
  2. 前記成形型として、当該成形型の内面が高密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いる、請求項に記載の、シートパッドの製造方法。
  3. 前記成形型として、当該成形型の内面がポリスチレンで被覆された成形型を用いる、請求項に記載の、シートパッドの製造方法。
  4. 前記成形型として、当該成形型の内面が低密度ポリエチレンで被覆された成形型を用いる、請求項に記載の、シートパッドの製造方法。
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