JP7465669B2 - 暗視野コンデンサ - Google Patents

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Description

本明細書の開示は、暗視野コンデンサに関する。
様々なモジュールを適宜組み合わせることで複数の顕微鏡法に対応する顕微鏡(以降、システム顕微鏡と記す)では、コンデンサも、対物レンズなどとともに使用する顕微鏡法に応じて切り替えられる。
例えば、散乱光によって試料を観察する暗視野顕微鏡法では、対物レンズに直接光が入射することを回避するため、対物レンズの開口数よりも大きな入射角で試料に光を照射する専用のコンデンサ(以降、暗視野コンデンサ)が使用される。このような暗視野コンデンサは、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される暗視野コンデンサには、カージオイド光学系が採用されている。
特開平6-167655号公報
カージオイド光学系を採用した暗視野コンデンサは、硝材を複雑な形状に加工する必要があるため、製造することが難しい。このため、個体差なく安定した性能を発揮することは容易ではない。このような技術的な課題に対処した新たな暗視野コンデンサが求められている。
以上のような実情から、本発明の一側面に係る目的は、安定した照明性能を有する暗視野コンデンサを提供することである。
本発明一態様に係る暗視野コンデンサは、試料を挟んで対物レンズと対向する側に配置される暗視野コンデンサであって、光を反射する反射部であって、反射した光を前記試料に照射する前記反射部と、光を屈折する屈折部であって、前記反射部に入射する光の角度を規定する前記屈折部と、光を遮光する遮光部であって、前記遮光部に入射した光を輪帯状の光に変換する前記遮光部と、を備える。前記反射部は、前記遮光部及び前記屈折部よりも前記試料側に配置され、前記屈折部から出射した光であって光軸から離れる方向に進行する光を、前記光軸に近づく方向に向けて反射する。前記遮光部は、前記屈折部と前記反射部との間に配置される。
本発明の他の一態様に係る暗視野コンデンサは、光を反射する反射部であって、反射した光を試料に照射する前記反射部と、光を屈折する屈折部であって、前記反射部に入射する光の角度を規定する前記屈折部と、光を遮光する遮光部であって、前記遮光部に入射した光を輪帯状の光に変換する前記遮光部と、を備える。前記反射部は、前記遮光部及び前記屈折部よりも前記試料側に配置され、前記屈折部から出射した光であって光軸から離れる方向に進行する光を、前記光軸に近づく方向に向けて反射する。前記遮光部は、前記屈折部と前記反射部との間に配置された、輪帯状の開口が形成された第1の遮光部材を含む。また、下記の条件式を満たす。
0.9<(NA2×H1)/(NA1×H2)<2.0 ・・・(1)
但し、H1は前記第1の遮光部材に形成された前記開口の外側の半径であり、H2は前記第1の遮光部材に形成された前記開口の内側の半径であり、NA1は前記暗視野コンデンサの最大開口数であり、NA2は前記暗視野コンデンサの最小開口数である。
本発明の更に他の一態様に係る暗視野コンデンサは、光を反射する反射部であって、反射した光を試料に照射する前記反射部と、光を屈折する屈折部であって、前記反射部に入射する光の角度を規定する前記屈折部と、光を遮光する遮光部であって、前記遮光部に入射した光を輪帯状の光に変換する前記遮光部と、を備える。前記反射部は、前記遮光部及び前記屈折部よりも前記試料側に配置され、前記屈折部から出射した光であって光軸から離れる方向に進行する光を、前記光軸に近づく方向に向けて反射する。また、下記の条件式を満たす。
0.05<(WD×NA2)/FOV<1.7 ・・・(2)
但し、WDは前記暗視野コンデンサの作動距離であり、NA2は前記暗視野コンデンサの最小開口数であり、FOVは前記暗視野コンデンサの照明範囲の直径である。
上記の態様によれば、安定した照明性能を有する暗視野コンデンサを提供することができる。
第1の実施形態に係る顕微鏡100の構成を例示した図である。 第1の実施形態に係る暗視野コンデンサ10の構成を例示した図である。 ミラー13の直径とレンズ11へ入射する光の光束径の関係を説明するための図である。 ミラー13の曲率中心を説明するための図である。 ミラー13の半径と絞り12の開口12aの半径の関係を説明するための図である。 第2の実施形態に係る暗視野コンデンサ20の構成を例示した図である。 第3の実施形態に係る暗視野コンデンサ30の構成を例示した図である。 第4の実施形態に係る暗視野コンデンサ40の構成を例示した図である。 第5の実施形態に係る暗視野コンデンサ50の構成を例示した図である。 第6の実施形態に係る暗視野コンデンサ60の構成を例示した図である。 第7の実施形態に係る暗視野コンデンサ70の構成を例示した図である。 第8の実施形態に係る暗視野コンデンサ80の構成を例示した図である。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る顕微鏡100の構成を例示した図である。図1には、暗視野顕微鏡法を実現する構成が例示されている。具体的には、顕微鏡100は、図1に示すように、光源1と、コレクタレンズ2と、暗視野コンデンサ10と、対物レンズ3と、結像レンズ4を備えている。なお、顕微鏡100は、暗視野顕微鏡法を含む複数の顕微鏡法の間で使用する顕微鏡法を切り替え可能であってもよい。例えば、図1に示す暗視野コンデンサ10と対物レンズ3を図示しない位相差コンデンサと位相差対物レンズに交換する切り替えることで、位相差顕微鏡法が実現されてもよい。
顕微鏡100では、光源1から出射した照明光L1は、コレクタレンズ2を経由して暗視野コンデンサ10に入射する。暗視野コンデンサ10は、対物レンズ3の開口数よりも大きな開口数で照明光L1をスライドガラスSの試料に照射する。このため、照明光L1のうち試料を透過した直接光は対物レンズ3に入射しない。従って、顕微鏡100では、試料で散乱した光が検出光L2として対物レンズ3及び結像レンズ4によって像面IPに結像する。顕微鏡100によれば、例えば、無色透明な生体標本を無染色で観察することができる。また、例えば、試料の傷や段差を感度よく検出することで、試料を検査することができる。
図2は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ10の構成を例示した図である。図3は、ミラー13の直径とレンズ11へ入射する光の径の関係を説明するための図である。図4は、ミラー13の曲率中心を説明するための図である。図5は、ミラー13の半径と絞り12の開口12aの半径の関係を説明するための図である。以下、図2から図5を参照しながら、暗視野コンデンサ10の構成について詳細に説明する。
暗視野コンデンサ10は、照明光路の最も試料側に配置され、光源1から出射した光を試料に照射する。暗視野コンデンサ10は、図2に示すように、光源1側から順に、レンズ11と、絞り12と、ミラー13を備えている。
レンズ11は、光を屈折する屈折部である。レンズ11は、より具体的には、負の屈折力を有する光学系である。レンズ11は、レンズ11に入射した光ILを光軸から離れる方向に屈折する。これにより、レンズ11は、凡そ平行光として入射した光ILを発散光である光IL11に変換して、絞り12及びミラー13へ向けて出射する。即ち、レンズ11は、ミラー13に入射する光の角度を規定する。
絞り12は、光を遮光する遮光部である。絞り12は、レンズ11とミラー13の間に配置されている。絞り12は、より具体的には、輪帯状の開口12aが形成された遮光部材である。絞り12は、絞り12に入射した光IL11を輪帯状の光IL12に変換する。
ミラー13は、光を反射する反射部である。ミラー13は、より具体的には、図3に示すように、光軸上に円形の開口が形成された輪帯状のミラーである。ミラー13は、レンズ11及び絞り12よりも試料側に配置されている。このため、ミラー13には、レンズ11から出射し、絞り12を経由した光IL12が入射する。ミラー13は、レンズ11で屈折することによって光軸から離れる方向に進行する光IL12を、光軸に近づく方向に向けて反射する。これにより、ミラー13は、反射した光IL13を試料に照射する。
また、ミラー13は、反射面13aを含んでいる。反射面13aは、試料上に光を集光するため、曲面形状を有している。反射面13aは、より具体的には、凹面形状を有している。これにより、ミラー13は、ミラー13に入射した発散光である光IL12を収束光である光IL13に変換して、その結果、試料上に光IL13を集光する。なお、反射面13aの曲率中心は、図4に示すように、暗視野コンデンサ10の光軸上にない。
暗視野コンデンサ10のレンズデータは、以下のとおりである。なお、レンズデータ中のINFは無限大(∞)を示している。
暗視野コンデンサ10
s r d nd ER
1 INF 1.2 1.5233 2.65
2 INF 5.4 1
3 -54.7 8.6 1
4 INF 18 1
5 INF 1 1
6 INF 10 1
7 -46 6 1.51633 10
8 46
なお、面番号s3に示す面の曲率中心の座標(Y,Z)は以下のとおりである。Zは光軸方向の座標であり、Yは光軸と直交する方向の座標である。
(Y,Z)=(-34,33)
ここで、sは面番号を、rは曲率半径(mm)を、dは面間隔(mm)を、ndはd線に対する屈折率を、ERは有効径(mm)を示している。これらの記号は、以降の実施例でも同様である。なお、面番号s1が示す面は、スライドガラスSの試料側の面である。面番号s2が示す面は、スライドガラスSの光源1側の面である。面番号s3が示す面は、ミラー13の反射面である。面番号s4が示す面は、ミラー13の光源1側の端部に位置にする光軸と直交する仮想面である。面番号s5が示す面は、絞り12の試料側の面である。面番号s6が示す面は、絞り12の光源1側の面である。面番号s7が示す面は、レンズ11の試料側の面である。面番号s8が示す面は、レンズ11の光源1側の面である。
暗視野コンデンサ10に関連するその他のデータは、以下のとおりである。
NA1=0.92、NA2=0.8、ΦM1=2×H3(mm)、ΦM2=2×H4(mm)、H1=13.2(mm)、H2=10.6(mm)、H3=17.7(mm)、H4=14.1(mm)、WD=5.4(mm)、FOV=2.65(mm)
ここで、図2に示すように、NA1は暗視野コンデンサ10の最大開口数である。NA2は暗視野コンデンサ10の最小開口数である。また、図3に示すように、ΦM1はミラー13の外径である。ΦM2はミラー13の内径である。また、図5に示すように、H1は開口12aの外側の半径である。H2は開口12aの内側の半径である。H3はミラー13の外縁の半径である。H4はミラー13の内縁の半径である。WDは暗視野コンデンサ10の作動距離である。FOVは暗視野コンデンサ10の照明範囲の直径である。
以上のように、暗視野コンデンサ10では、レンズ11でミラー13に入射する光の角度を規定して、ミラー13がレンズ11から出射した光を反射して試料に照射する。このため、カージオイド光学系のような複雑な形状の光学素子を用いることなく、暗視野照明を行うことができる。従って、暗視野コンデンサ10によれば、安定した照明性能を有することができる。
また、暗視野コンデンサ10では、暗視野コンデンサ10内の絞り12で輪帯状の光を形成し、ミラー13が輪帯状の光を試料に向けて反射する。このため、暗視野照明を行うにあたり、暗視野コンデンサ10には、通常の光、つまり、円形の断面形状を有する光を入射させればよい。このため、他の顕微鏡法で使用されるコンデンサレンズを暗視野コンデンサ10に変更するだけで、他の顕微鏡法から暗視野顕微鏡法への切り替えを行うことが可能である。従って、暗視野コンデンサ10によれば、顕微鏡法の切り替えを容易に且つ素早く行うことができる。
また、暗視野コンデンサ10では、ミラー13は、光軸から離れる方向に進行する光を、光軸に近づく方向に向けて反射することで、試料に光を照射する。このような構成を採用することで、ミラー13よりも光源1側に設けられた、暗視野コンデンサ10の構成要素(レンズ11、絞り12)を小さくすることができる。従って、暗視野コンデンサ10全体をコンパクトに構成することが可能となる。
また、暗視野コンデンサ10では、レンズ11によって光軸から離れる方向に屈折した光をミラー13に入射させる。このような構成を採用することで、ミラー13に対応する光線高を確保するために必要となるレンズ11とミラー13の間の距離を短くすることができる。従って、暗視野コンデンサ10の全長を短くすることができる。また、全長を短くするために過度に大きな屈折力を必要としない。このため、暗視野コンデンサ10は、特殊な光学素子を用いることなく、負の屈折力を有する光学系であるレンズ11を用いて構成することができる。従って、暗視野コンデンサ10の製造コストを抑えることができる。
また、暗視野コンデンサ10では、凹面形状を有する反射面13aによって試料上に光を集光する。光を試料に向ける反射面13aに集光作用を持たせることで、暗視野コンデンサ10は、集光のための光学素子を別途備える必要がない。このため、照明光に作用する光学素子の数を少なく抑えることができる。これにより、暗視野コンデンサ10の製造コストを抑えることができる。また、光学素子で生じる光量ロスを小さくすることができる。
また、暗視野コンデンサ10は、図3に示すように、ΦM2>ΦHの関係を満たしている。ここで、ΦHは、レンズ11に入射する光ILの光束径である。つまり、ミラー13の内径は、レンズ11に入射する光ILの光束径よりも大きい。これにより、暗視野コンデンサ10は、対物レンズの開口数よりも大きな開口数を、小さなレンズ11によって十分な作動距離を確保しながら、達成することができる。
また、暗視野コンデンサ10では、絞り12は、レンズ11とミラー13の間に配置されている。つまり、絞り12は、レンズ11よりも試料側に配置されている。これにより、レンズ11で生じた迷光を絞り12で遮光することができる。従って、暗視野コンデンサ10によれば、フレア、ゴーストなどの発生を抑制することで、高いS/N比を達成することができる。
また、暗視野コンデンサ10では、(NA2×H1)/(NA1×H2)=1.08である。従って、暗視野コンデンサ10は、以下の条件式(1)を満たしている。
0.9<(NA2×H1)/(NA1×H2)<2.0 ・・・(1)
(NA2×H1)/(NA1×H2)が条件式(1)の下限値を下回る場合、開口12aが小さすぎるため、十分な光量で試料を照明することが困難になる。一方で、(NA2×H1)/(NA1×H2)が条件式(1)の上限値を上回る場合、迷光が開口12aを通過してしまうため、S/N比が劣化する。条件式(1)を満たすことで、暗視野コンデンサ10は、高いS/N比で明るく試料を照明することができる。
また、暗視野コンデンサ10では、(WD×NA2)/FOV=1.63である。従って、暗視野コンデンサ10は、以下の条件式(2)を満たしている。
0.05<(WD×NA2)/FOV<1.7 ・・・(2)
(WD×NA2)/FOVが条件式(2)の下限値を下回る場合、十分な開口数と作動距離が確保することが困難になる。一方で、(WD×NA2)/FOVが条件式(2)の上限値を上回る場合、暗視野コンデンサ10による照明範囲に対して開口数と作動距離が大きくなりすぎる。その結果、暗視野コンデンサ10が大型化してしまう。条件式(2)を満たすことで、暗視野コンデンサ10は、コンパクトな構成で高い照明性能を実現することができる。
[第2の実施形態]
図6は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ20の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ20は、図6に示すように、光源1側から順に、絞り21と、レンズ22と、ミラー23を備えている。
暗視野コンデンサ20は、実質的には、図2に示す暗視野コンデンサ10のレンズ11と絞り12の位置を入れ替えたものに相当する。従って、絞り21、レンズ22、ミラー23は、それぞれ、暗視野コンデンサ10の絞り12、レンズ11、ミラー13に相当する。
具体的には、絞り21は、輪帯状の開口21aが形成された遮光部材である。絞り21は、絞り21に入射した光ILを輪帯状の光IL21に変換する。レンズ22は、負の屈折力を有する光学系である。レンズ22は、レンズ22に入射した光IL21を光軸から離れる方向に屈折し、発散光である光IL22をミラー23に入射させる。ミラー23は、光軸上に円形の開口が形成された輪帯状のミラーである。ミラー23は、レンズ22で屈折することによって光軸から離れる方向に進行する光IL22を、凹面形状を有する反射面23aで光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL23を試料に照射する。
以上のように構成された暗視野コンデンサ20でも、暗視野コンデンサ10と同様に、カージオイド光学系のような複雑な形状の光学素子を用いることなく、暗視野照明を行うことができる。従って、暗視野コンデンサ20によれば、安定した照明性能を有することができる。また、暗視野コンデンサ20は、遮光部が反射部と屈折部に置かれることによって得られる効果を除き、暗視野コンデンサ10と同様の効果を奏する。
[第3の実施形態]
図7は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ30の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ30は、図7に示すように、光源1側から順に、絞り31と、レンズ32と、絞り33と、ミラー34を備えている。
暗視野コンデンサ30は、実質的には、図2に示す暗視野コンデンサ10のレンズ11の光源1側に、さらに絞りを追加したものに相当する。従って、レンズ32と、絞り33と、ミラー34は、それぞれ、暗視野コンデンサ10のレンズ11、絞り12、ミラー13に相当する。
暗視野コンデンサ30では、開口31aが形成された絞り31と開口33aが形成された絞り33が遮光部として機能する。即ち、遮光部は、複数の遮光部材を含んでいる。また、暗視野コンデンサ30では、複数の遮光部材の各々に形成された輪帯状の開口の位置は、ミラー34に近いほど光軸から離れている。より具体的には、絞り33に形成された輪帯状の開口33aは、絞り31に形成された輪帯状の開口31aよりも光軸から離れている。
絞り31は、絞り31に入射した光ILを輪帯状の光IL31に変換する。レンズ32は、レンズ32に入射した光IL31を光軸から離れる方向に屈折し、発散光である光IL32に変換する。絞り33は、レンズ32で生じた迷光を遮光して、発散光である光IL33をミラー34に入射させる。ミラー34は、光軸から離れる方向に進行する光IL33を、反射面34aで光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL34を試料に照射する。
以上のように構成された暗視野コンデンサ30によっても、暗視野コンデンサ10と同様の効果を奏する。また、暗視野コンデンサ30は、複数の遮光部材(絞り31、絞り33)を備えているため、さらに効果的に迷光を遮光することができる。また、複数の遮光部材のうちの少なくとも1つ(絞り33)は、レンズ32とミラー34の間に配置されているため、レンズ32で生じた迷光によるフレア、ゴーストなどの発生を抑制することができる。
[第4の実施形態]
図8は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ40の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ40は、図8に示すように、光源1側から順に、絞り41と、レンズ42と、レンズ43と、ミラー44を備えている。
暗視野コンデンサ40は、実質的には、図6に示す暗視野コンデンサ20のレンズ22を複数のレンズ(レンズ42、レンズ43)に置き換えたものに相当する。従って、絞り41と、レンズ42及びレンズ43と、ミラー44は、それぞれ、暗視野コンデンサ20の絞り21、レンズ22、ミラー23に相当する。
暗視野コンデンサ40では、負の屈折力を有するレンズ42と負の屈折力を有するレンズ43が屈折部として機能する。即ち、屈折部は、全体として負の屈折力を有する光学系である。
絞り41は、絞り41に入射した光ILを輪帯状の光IL41に変換する。レンズ42は、開口41aを通過してレンズ42に入射した光IL41を、光軸から離れる方向に屈折し、発散光である光IL42に変換する。さらに、レンズ43は、レンズ43に入射した光IL42を光軸から離れる方向に屈折し、さらに発散した光である光IL43をミラー44に入射させる。ミラー44は、光軸から離れる方向に進行する光IL43を、反射面44aで光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL44を試料に照射する。
暗視野コンデンサ40のレンズデータは、以下のとおりである。
暗視野コンデンサ40
s r d nd ER
1 INF 1.2 1.5233 2.65
2 INF 4.5 1
3 -45 15.7 1
4 INF 11.6 1
5 -200 5 1.51633 18
6 50 15 1
7 -30 6.9 1.51633 15
8 -80 1 1
9 INF 1 1
10 INF
なお、面番号s3に示す面の曲率中心の座標(Y,Z)は以下のとおりである。Zは光軸方向の座標であり、Yは光軸と直交する方向の座標である。
(Y,Z)=(-20,29)
なお、面番号s1が示す面は、スライドガラスSの試料側の面である。面番号s2が示す面は、スライドガラスSの光源1側の面である。面番号s3が示す面は、ミラー44の反射面である。面番号s4が示す面は、ミラー44の光源1側の端部に位置にする光軸と直交する仮想面である。面番号s5が示す面は、レンズ43の試料側の面である。面番号s6が示す面は、レンズ43の光源1側の面である。面番号s7が示す面は、レンズ42の試料側の面である。面番号s8が示す面は、レンズ42の光源1側の面である。面番号s9が示す面は、絞り41の試料側の面である。面番号s10が示す面は、絞り41の光源1側の面である。
暗視野コンデンサ40に関連するその他のデータは、以下のとおりである。
NA1=0.92、NA2=0.8、ΦM1=2×H3(mm)、ΦM2=2×H4(mm)、H1=12.8(mm)、H2=11.5(mm)、H3=23.2(mm)、H4=15.8(mm)、WD=4.5(mm)、FOV=2.65(mm)
以上のように構成された暗視野コンデンサ40によっても、暗視野コンデンサ20と同様の効果を奏する。また、暗視野コンデンサ40は、複数のレンズを備えているため、暗視野コンデンサ40内で光を徐々に曲げることができる。このため、光を強く屈折させることによって生じる様々な問題を回避することができる。
なお、暗視野コンデンサ40では、(NA2×H1)/(NA1×H2)=0.97である。従って、暗視野コンデンサ40は、以下の条件式(1)を満たしている。また、暗視野コンデンサ40では、(WD×NA2)/FOV=1.36である。従って、暗視野コンデンサ40は、以下の条件式(2)を満たしている。
[第5の実施形態]
図9は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ50の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ50は、図9に示すように、光源1側から順に、絞り51と、レンズ52と、レンズ53と、レンズ54と、ミラー55を備えている。
暗視野コンデンサ50は、実質的には、図6に示す暗視野コンデンサ20のレンズ22を複数のレンズ(レンズ52からレンズ54)に置き換えたものに相当する。従って、絞り51と、レンズ52からレンズ54と、ミラー55は、それぞれ、暗視野コンデンサ20の絞り21、レンズ22、ミラー23に相当する。
暗視野コンデンサ50では、負の屈折力を有するレンズ52と負の屈折力を有するレンズ53と正の屈折力を有するレンズ54が屈折部として機能する。屈折部は、全体として負の屈折力を有する光学系である。
絞り51は、絞り51に入射した光ILを輪帯状の光IL51に変換する。レンズ52は、絞り51を通過してレンズ52に入射した光IL51を光軸から離れる方向に屈折し、発散光である光IL52に変換する。レンズ53は、レンズ53に入射した光IL52を光軸から離れる方向に屈折し、さらに発散した光である光IL53に変換する。レンズ54は、レンズ54に入射した光IL53を収束光である光IL54に変換し、ミラー54に入射させる。ミラー54は、凹面形状を有する反射面55aを有していて、反射面55aで光軸から離れる方向に進行する光IL54を、光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL55を試料に照射する。
暗視野コンデンサ50のレンズデータは、以下のとおりである。
暗視野コンデンサ50
s r d nd ER
1 INF 1.2 1.5233 2.65
2 INF 4.5 1
3 -55 10.9 1
4 INF 22.6 1
5 -98 10 1.51633 15
6 -60 8 1
7 -120 8 1.51633 12
8 58 8 1
9 -37.5 8 1.51633 11
10 96 2 1
11 INF 1 1
12 INF
なお、面番号s3に示す面の曲率中心の座標(Y,Z)は以下のとおりである。Zは光軸方向の座標であり、Yは光軸と直交する方向の座標である。
(Y,Z)=(-33,33)
なお、面番号s1が示す面は、スライドガラスSの試料側の面である。面番号s2が示す面は、スライドガラスSの光源1側の面である。面番号s3が示す面は、ミラー55の反射面である。面番号s4が示す面は、ミラー55の光源1側の端部に位置にする光軸と直交する仮想面である。面番号s5が示す面は、レンズ54の試料側の面である。面番号s6が示す面は、レンズ54の光源1側の面である。面番号s7が示す面は、レンズ53の試料側の面である。面番号s8が示す面は、レンズ53の光源1側の面である。面番号s9が示す面は、レンズ52の試料側の面である。面番号s10が示す面は、レンズ52の光源1側の面である。面番号s11が示す面は、絞り51の試料側の面である。面番号s12が示す面は、絞り51の光源1側の面である。
暗視野コンデンサ50に関連するその他のデータは、以下のとおりである。
NA1=0.92、NA2=0.8、ΦM1=2×H3(mm)、ΦM2=2×H4(mm)、H1=11(mm)、H2=5(mm)、H3=19(mm)、H4=14.2(mm)、WD=4.5(mm)、FOV=2.65(mm)
以上のように構成された暗視野コンデンサ50によっても、暗視野コンデンサ20と同様の効果を奏する。また、暗視野コンデンサ50は、複数のレンズを備えているため、暗視野コンデンサ50内で光を徐々に曲げることができる。このため、暗視野コンデンサ40と同様に、光を強く屈折させることによって生じる様々な問題を回避することができる。
なお、暗視野コンデンサ50では、(NA2×H1)/(NA1×H2)=1.91である。従って、暗視野コンデンサ50は、以下の条件式(1)を満たしている。また、暗視野コンデンサ50では、(WD×NA2)/FOV=1.36である。従って、暗視野コンデンサ50は、以下の条件式(2)を満たしている。
[第6の実施形態]
図10は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ60の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ60は、図10に示すように、光源1側から順に、絞り61と、レンズ62と、レンズ63と、ミラー64を備えている。
暗視野コンデンサ60は、実質的には、図9に示す暗視野コンデンサ50のレンズ52とレンズ53をレンズ62に置き換えたものに相当する。従って、絞り61と、レンズ62及びレンズ63と、ミラー64は、それぞれ、暗視野コンデンサ50の絞り51、レンズ52からレンズ54、ミラー55に相当する。
暗視野コンデンサ60では、レンズ62と正の屈折力を有するレンズ63が屈折部として機能する。レンズ62は、正レンズを光軸に沿って2つに切断し、2つの部材を反対に向けて接合したものである。このため、レンズ62は、負レンズのように光を光軸に対して離れる方向に曲げながら、正レンズのように光線束を収束させる作用を有している。
絞り61は、絞り61に入射した光ILを輪帯状の光IL61に変換する。レンズ62は、レンズ62に入射した光IL61を光軸から離れる方向に屈折し、収束光である光IL62に変換する。レンズ63は、レンズ63に入射した光IL62をさらに収束した光である光IL63に変換し、ミラー64に入射させる。ミラー64は、凸面形状を有する反射面64aを有していて、反射面64aで光軸から離れる方向に進行する光IL63を、光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL64を試料に照射する。
以上のように構成された暗視野コンデンサ60によっても、暗視野コンデンサ50と同様の効果を奏する。なお、暗視野コンデンサ60は、レンズ62によって光を光軸から離れる方向に曲げながら収束光に変換することができる。従って、暗視野コンデンサ50のレンズ52からレンズ54をレンズ62に置き換えてもよい。
[第7の実施形態]
図11は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ70の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ70は、図11に示すように、光源1側から順に、絞り71と、レンズ72と、ミラー73を備えている。
暗視野コンデンサ70は、実質的には、図6に示す暗視野コンデンサ20の負の屈折力を有するレンズ22を正の屈折力を有するレンズ72に置き換えたものに相当する。従って、絞り71と、レンズ72と、ミラー73は、それぞれ、暗視野コンデンサ20の絞り21、レンズ22、ミラー23に相当する。
絞り71は、絞り71に入射した光ILを輪帯状の光IL71に変換する。レンズ72は、レンズ72に入射した光IL71を光軸に近づく方向に屈折する。レンズ72で屈折した光IL72は、一旦収束し、その後、発散光としてミラー73に入射する。ミラー73は、凹面形状を有する反射面73aを有していて、反射面73aで光軸から離れる方向に進行する光IL72を、光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL73を試料に照射する。
以上のように構成された暗視野コンデンサ70によっても、暗視野コンデンサ20と同様の効果を奏する。
[第8の実施形態]
図12は、本実施形態に係る暗視野コンデンサ80の構成を例示した図である。暗視野コンデンサ80は、図12に示すように、光源1側から順に、レンズ81と、絞り82と、ミラー83を備えている。
暗視野コンデンサ80は、実質的には、図1に示す暗視野コンデンサ10の負の屈折力を有するレンズ11をアキシコンレンズであるレンズ81に置き換えたものに相当する。従って、レンズ81と、絞り82と、ミラー83は、それぞれ、暗視野コンデンサ10のレンズ11、絞り12、ミラー13に相当する。
暗視野コンデンサ80では、アキシコンレンズであるレンズ81が屈折部として機能する。レンズ81は、レンズ81に入射した光ILを輪帯状の光IL81に変換する。その後、光IL81は、レンズ81とミラー83との間に配置された、光軸上に中心を有する輪帯状の開口82aが形成された遮光部材である絞り82へ入射する。絞り82を通過したIL82は、ミラー83に入射する。ミラー83は、凹面形状を有する反射面83aを有していて、反射面83aで光軸から離れる方向に進行する光IL82を、光軸に近づく方向に向けて反射し、反射した光IL83を試料に照射する。
以上のように構成された暗視野コンデンサ80によっても、暗視野コンデンサ10と同様の効果を奏する。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするための具体例を示したものであり、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。上述した実施形態の一部を他の実施形態に適用しても良い。暗視野コンデンサは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
上述した実施形態では、反射部としてミラーを例示したが、反射部は、ミラーに限らない。反射部は、試料に向けて光を反射するものであればよく、例えば、入射光を全反射するように配置されたプリズムであってもよい。
また、上述した実施形態では、遮光部として輪帯状の開口が形成された絞りを例示したが、これに限らない。遮光部は、輪帯状の光を出射するものであればよく、例えば、光線束の中心部分のみを遮光する円形の遮光板であってもよい。また、遮光部と屈折部は、一体に構成されてもよい。例えば、遮光部は屈折部であるレンズの表面に設けられた遮光膜であってもよい。
1 光源
2 コレクタレンズ
3 対物レンズ
4 結像レンズ
10、20、30、40、50、60、70、80 暗視野コンデンサ
11、22、32、42、43、52~54、62、63、72、81 レンズ
12、21、31、33、41、51、61、71、82 絞り
12a、21a、31a、33a、41a、51a、61a、71a、82a 開口
13、23、34、44、55、64、73、83 ミラー
13a、23a、34a、44a、55a、64a、73a、83a 反射面
100 顕微鏡
L1 照明光
L2 検出光
IP 像面
S スライドガラス

Claims (11)

  1. 試料を挟んで対物レンズと対向する側に配置される暗視野コンデンサであって、
    光を反射する反射部であって、反射した光を前記試料に照射する前記反射部と、
    光を屈折する屈折部であって、前記反射部に入射する光の角度を規定する前記屈折部と、
    光を遮光する遮光部であって、前記遮光部に入射した光を輪帯状の光に変換する前記遮光部と、を備え、
    前記反射部は、
    前記遮光部及び前記屈折部よりも前記試料側に配置され、
    前記屈折部から出射した光であって光軸から離れる方向に進行する光を、前記光軸に近づく方向に向けて反射し、
    前記遮光部は、前記屈折部と前記反射部との間に配置される
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  2. 請求項1に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記屈折部は、前記屈折部に入射した光を前記光軸から離れる方向に屈折する
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  3. 請求項2に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記屈折部は、負の屈折力を有する光学系である
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記反射部は、曲面形状を有する反射面を含む
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  5. 請求項4に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記反射部は、凹面形状を有する反射面を含む
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記反射部は、輪帯状のミラーであり、
    前記ミラーの内径は、前記屈折部に入射する光の光束径よりも大きい
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記遮光部は、複数の遮光部材を含む
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  8. 請求項7に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記複数の遮光部材の各々に形成された輪帯状の開口の位置は、前記反射部に近いほど前記光軸から離れている
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
  9. 光を反射する反射部であって、反射した光を試料に照射する前記反射部と、
    光を屈折する屈折部であって、前記反射部に入射する光の角度を規定する前記屈折部と、
    光を遮光する遮光部であって、前記遮光部に入射した光を輪帯状の光に変換する前記遮光部と、を備え、
    前記反射部は、
    前記遮光部及び前記屈折部よりも前記試料側に配置され、
    前記屈折部から出射した光であって光軸から離れる方向に進行する光を、前記光軸に近づく方向に向けて反射し、
    前記遮光部は、前記屈折部と前記反射部との間に配置された、輪帯状の開口が形成された第1の遮光部材を含み、
    以下の条件式を満たすことを特徴する暗視野コンデンサ。
    0.9<(NA2×H1)/(NA1×H2)<2.0 ・・・(1)
    但し、H1は前記第1の遮光部材に形成された前記開口の外側の半径であり、H2は前記第1の遮光部材に形成された前記開口の内側の半径であり、NA1は前記暗視野コンデンサの最大開口数であり、NA2は前記暗視野コンデンサの最小開口数である。
  10. 光を反射する反射部であって、反射した光を試料に照射する前記反射部と、
    光を屈折する屈折部であって、前記反射部に入射する光の角度を規定する前記屈折部と、
    光を遮光する遮光部であって、前記遮光部に入射した光を輪帯状の光に変換する前記遮光部と、を備え、
    前記反射部は、
    前記遮光部及び前記屈折部よりも前記試料側に配置され、
    前記屈折部から出射した光であって光軸から離れる方向に進行する光を、前記光軸に近づく方向に向けて反射し、
    以下の条件式を満たすことを特徴する暗視野コンデンサ。
    0.05<(WD×NA2)/FOV<1.7 ・・・(2)
    但し、WDは前記暗視野コンデンサの作動距離であり、NA2は前記暗視野コンデンサの最小開口数であり、FOVは前記暗視野コンデンサの照明範囲の直径である。
  11. 請求項1に記載の暗視野コンデンサにおいて、
    前記屈折部は、アキシコンレンズを含み、
    前記遮光部は、前記アキシコンレンズと前記反射部との間に配置された、前記光軸上に中心を有する輪帯状の開口が形成された遮光部材を含む
    ことを特徴とする暗視野コンデンサ。
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